
【人狼への転生、魔王の副官 15.巨竜咆哮】 漂月/ 手島nari。 アース・スターノベル
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ドラゴン出現でミラルディア大陸最大の危機!?
ワの国で偽アソンを倒したフリーデは成人を迎え学業の傍ら魔王軍で父の手伝いをする忙しい日々を送っていた。そんななか、南国のクウォールから留学生としてシュマル王子がミラルディアにやってくることになった。在学生代表として彼を歓迎することとなったフリーデは父・ヴァイト譲りの人柄の良さで急速に親睦を深めていく。
一方、開拓が進む樹海ではここ最近で不思議な現象が多発していた。調査の結果、樹海にドラゴンが出現したと判明。魔力を求めるドラゴンは移動を繰り返しておりこのまま膨大な魔力を吸収し続ければいずれは戦神となってミラルディアだけではなく世界を巻き込んだ未曽有の大災害となる。かつてない危機感を抱いたヴァイトは使者を派遣し、各国に応援を呼びかけるが……。
ああーーー、そう言えばそうだ。本作って空を飛ぶ魔族も、空を飛ぶ強力な魔物もいなかったですねえ。ファンタジーでは定番の竜騎士やペガサスナイトとかグリドンナイトみたいな、空を飛ぶ魔物を利用した戦種みたいなのも存在しなかった。
本作で描かれた戦争は、とにかく地道に地べたを這いずって移動して、軍隊同士がぶつかり合う……時々黒狼卿が一人で軍隊ぶっ飛ばしてたりもしましたが、ともかく平面で戦争してたんだよなあ。
移動手段にも空を飛んでひとっ飛び、というのがないから、遠方に出向くときはそれなり以上に「旅」の雰囲気をまとっていた。
同じミラルディアでも、南北でだいぶ風土が違ったり、北のロルムンド帝国の距離感は、東のワの国とを隔てる風紋の砂漠なども含めて、かなり隔たりを感じさせるものでした。
それをバンバン踏破していって、遠方という距離感を縮めていったのは黒狼卿の功績でもあるし、今娘のフリーデがフットワークわりと軽めにロルムンドやワの国に出向く足場づくりにもなってたんですよねえ。
物理的距離は変わらないけれど、精神的な距離は随分と昔と比べて近づいた。それでも、歩いて歩いて渡っていく距離感ではあったわけだ。
そこに、空をゆく、という感覚はなかったし、空から強大な敵が襲いかかってくる、という経験は古代に遡ってもこの地に住まう人達には皆無だったのでしょう。
例の戦神システムで生み出された強大な存在たちですら、みな地に足をつけた者たちだったわけですし。
だから、いきなり空飛ぶ大怪獣みたいなのが出現、となったら皆大混乱になりますわなあ。こんな脅威に対する対抗の仕方がまるでわからないもの。
転生者である黒狼卿だって、わからんよこんなん。スーパーXもメカゴジラもこの世界じゃ作れないんだから。頼みの魔撃銃ですら怪獣の強大な魔力に打ち消されて通じなかったわけですし。
そこで、火薬式の大砲をワの国から仕入れてこよう、という発想に至るあたりが怪獣映画なら知ってるよ、という転生者の強みではあったんでしょうけれど。
ってか、これ結局このドラゴンって成り立ちがゴジラですよねえ、これ。
この世界におけるドラゴンというのは、あくまで伝承。神話上の存在で、こっちの世界でのドラゴンとさして変わらない。実際には存在しなかった幻想生物、という扱いだったわけです。実際のこのドラゴンが現れるまでは。これまでの歴史において、ドラゴンの存在は一切確認されてこなかった。
先々代の魔王様であるフリーデンリヒター様。あのひと、もう生けるドラゴンみたいな魔王様でしたけれど、実際に人型の竜であったわけじゃなくて、あくまで竜人族でしたしね。
この竜人族って、竜というよりもリザードマンからの派生っぽい。爬虫人類系統というべきか。だから、ドラゴンと人が交わって人型になった種族、というのとは違うんでしょう。神話ではどうかわからないですけれど。
そんな、今まで存在が確認されていなかったドラゴンが、いきなり現れた、というのはやっぱりおかしいんですよ。古の昔に封印された、とかドラゴンが眠りについている火口、みたいな伝説もなかったわけですし。
可能性としては、それこそ人類史、魔族史がはじまる以前、知性ある存在が記録を後世に残すより以前に眠りについていた古代生物が目覚めた、というのもアリっちゃ有りなんでしょうけれど。
それはもう、登場の仕方が「怪獣映画」ですよねえ、という話。
実際の真相はまた古代生物説とは違っていたのですが……この実際の真相の方がまんまゴジラ誕生みたいな感じなんですけど!!!
どちらかというと、マグロ食ってる方のゴジラな気もしますが。進化ペースに関してはシンゴジな感じもしますけど。
さても、あの生きているものなら絶対に負けない、絶対に殺せてしまう最強の死霊術師である、兄弟子のパーカーですら、なすすべなく消し飛ばされて情報すら残せなかったほどの相手である(あとで復活再生して情報持ち帰ってきてくれたけれど。地味にかなり心配しているヴァイトが珍しかった。パーカーに関しては普段は絶対に大丈夫だからこそぞんざいな扱いなんですけれど、どうせ復活してくると言いながら今までになく焦ってましたもんね)。マトモにやりあえば、大魔王お婆ちゃんですらやりあえるかわからない上に、相手は空飛んで都市を急襲できるときた。
これはもう、世界規模の危機である。というわけで、ミラルディア一国だけじゃなく、ロルムンドやワの国にも人を派遣して協力を募ることに。対ドラゴン戦線も世界規模ってなもんだ。
ここで注目すべきは、いつもなら、ちょっとひとっ走り行ってくるわ、とばかりにとっとと先走って飛び出していってしまう黒狼卿が、今回ばかりはドラゴンの下にも他国の交渉にも自分で脚を伸ばして出向くことをせず、部下や娘のフリーデに任せることになった、という所なんですよね。
……いや、性懲りもなく飛び出そうとしていたけれどw
でも、今までだと誰も止められない、というか止める間もなくいなくなってたのに、今回は遂に止められたわけですよ。あのヴァイトが、黙って後ろで控えている。そうせざるをえなかった。
なかなか衝撃の一事でありました。
ああ、もうヴァイトも後ろでデーンと構えてないといけなくなったかー、と。本人も、もう自分が最前線に出たらいけないんだなあ、そういう立場になったんだなあ、としみじみと痛感していましたけれど。
そういう時期にきたんですねえ……いや、もう随分ととっくの昔にあんた責任者も責任者で、トップじゃないにしても実質の現場責任者で、魔王が天皇ならおまえ征夷大将軍だろう、というくらい責任ある副官だったくせに、ひょいひょい突っ走って最前線飛び出して行ってたんだからね。みんな止めてるのに。いい加減やめなさいってずっと言われてたのに。
ようやくだよ。
遅すぎるくらいだよw
いやほんとに。ほんとに。まじで!!!!
まあ、結局最終的に、ドラゴン相手に一対一で誘引することになるのですけれど。これはまあ、ちゃんと計画されて作戦として立案されたものに従っての出撃出陣なので、また別の話。いや、偵察だけのはずが想定外に突っかかられてなし崩しに始まっちゃってはいるんだけれど。
いつもみたいに勝手にやりはじめたってわけじゃないからね。
まあ黒狼卿が後ろに控える、となったのを見たときには流石に世代交代の時期なんだなあ、と痛感しましたねえ。そういう時期が来たんだなあ、と。
まだまだ、この化け物みたいな副官に文武両方でかなう奴なんざ存在しないのですけれど。それでも、そろそろ体力も下降気味になってきた、というのはドラゴン戦でも垣間見えましたし。
また、次世代が育ってきているのはもう眩しいばかりに明らかでもあります。娘のフリーデをはじめ、とにかく次世代を担う若い連中が頼もしい。すこぶる優秀で、人品も健やかで、器がでかい。どの国も、次の指導者になるだろう若者たちが、素晴らしい子たちなのだ。
そして国が違っても誼を通じて、仲が良い。ロルムンド帝国の次期皇帝となるだろうミーシャと、フリーでの友情に代表されるように、お互いの国同士の交流、いや実際に人も行き来しての人材の還流がとても盛んになっていて、これは将来とても明るいなあ、と思えてきます。
このドラゴンの脅威を前にしての、一致団結とは行きませんけれど、きっちり交渉してお互いWINWINでまとめることの出来る関係。すごくいいじゃないですか。まさか、ミーシャが自分でミラルディアまで出張ってくるとは思いませんでしたけれど。いや、クォールの方の王子が留学してきているのもそうですけれど、次の国の王になろうというほどの人物が気軽に他国に行き来できる関係って、素晴らしいですよ。
そして、その下地を築いていったのが、あっちこっちで国難助けて回って、デリバリー救国の英雄しまくってた黒狼卿なんですけどね。
今回は、まさにその集大成を思わせてくれる話の展開でも有りました。もう憂いもなく、次は最終巻というのもなんとなく納得というか、じんわりとそうだろうなあ、と思えるエピソードでもありました。
現状で起こり得るだろう最大の危機を乗り越え。最後、どのような未来の展望が描かれていくのか、今から楽しみです。
……しかし、ラシィのあの幻術、ちょっと訳わからない規模と精度まで操れるようになってたなあ。都市丸ごと隠蔽できてしまうって。歴史に残るレベルの魔術師なんじゃないの、これ?























































































































































































































































































































































































































































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