【転生したらポンコツメイドと呼ばれていました ２ 前世のあれこれを持ち込みお屋敷改革します】 紫陽 凛／nyanya カドカワBOOKS
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ポンコツメイドとお嬢様の転生者コンビに、屋敷存続の危機再来!
日本でホテル勤務をしていた前世の知識を使い、屋敷の没落を食い止めた転生メイドのイーディス。だが、さらなる借金が発覚!
屋敷の主・ヴィンセントの婿入りと会社の吸収合併を阻止するため、イーディスと令嬢グレイスの転生者コンビは新たな策を練り始めるが、転生者の知識を上回る敏腕事業家の登場で大ピンチに……!?
巻末には、イーディスに恋心を抱くヴィンセント、執着するユーリとの恋愛が進展するかもしれない番外編も収録!
うわ、新事業を立ち上げて幸先もよく、まさにこれからというときに、亡き親がこっそり隠していた借金が発覚するって、後頭部をガツンと殴られるようなショックだよなあ。躓きなんてもんじゃねえ。
ヴィンセントさまが絶望するのも無理はない。タイミングが悪すぎる。
幸いだったのは、借金相手が叔父の家であり、向こうも強引に取り立てるつもりはない、という所。なんならチャラにしてあげてもいいんだよ、とさえ言ってきてくれている。ええ、ホントでござるかぁ〜。ただより怖いものはない。そこまで甘いことを言ってくるということは、借金にかこつけてお家の乗っ取りとか仕掛けてくるんじゃないだろうか、と相手の悪意を疑ってしまったのだが。
でも、どうやら相手の親族の家って商売が随分と儲かっていて没落寸前のオルタンツァ家なんかよりもよっぽど隆盛を極めてるんですよね。別に家格が低くて、オルタンツァ家の貴族としての格を求めてるってわけでもないようですし。
純粋に、本当に純粋に手を差し伸べてくれているらしい。すまなかった、疑って済まなかったよ叔父様。
しかし、ヴィンセント様としては借りっぱなしはどうしてもよくない、恥知らずな真似はできない、と必死に返済の算段を立てようとするのだけれど、いま新事業を立ち上げて頑張るぞーってなってる矢先なもんだから、そう簡単に金なんて湧いてこない。今一番金が必要な時期なんだから。ただでさえもう青息吐息の状況だったのを、イーディスの助言や妹グレイスの頑張りで得たチャンスだったんですからねえ。
そんなこんなで苦心するヴィンセントに、叔父さんが提案してきたのは、今自分のところの事業展開を一手に担っている女実業家の娘クラウディアに婿入りしないか、という話でありました。
結婚さえしてしまえば、借金なんて公式にチャラだぜ。
ありがたい話である。それにヴィンセントとクラウディアは親戚同士で幼馴染でもあり、幼少の頃は仲も良くて結婚の約束もしてたんだっけ？ 何の問題もない。
問題もないはずなのに、ヴィンセントの脳裏によぎるのは自分の価値観をぶち壊した上で家を助ける方策を導き出してくれたメイドの姿。
相手はメイドさんだぞ、身分が違うぞ。それは茨の道だぞ、ヴィンセント。
というわけで、彼の結婚話を機に、一気に恋愛話も盛り上がってくるのである。
それもヴィンセントだけじゃなくて、グレイスの方にも。ってか、メインは主人公のイーディアなんですけれどね。完全にそういう話には他人事を気取っている間に、異国の事業家でこちらも転生者なユーリにはガチで言い寄られはじめ、おまけにヴィンセントからも秋波が飛んできて、まさにモテ期突入のイーディスである。本人の気持ちがまったく追いついていない、というか恋とか全然意識していなかったために、二人の男からの求愛に目を白黒するばかりのイーディスさん。
修羅場、今あなたは修羅場の渦中にいるんですよ！？
イーディス本人よりもむしろグレイスやマリーナ、ついでにクラウディアといった女性陣が大いに盛り上がり、手に汗握ってかぶりついていらっしゃる。グレイスお嬢様なんぞ、前世漫画家の魂が刺激に刺激を受けまくって、ついには創作意欲を爆発させ始める始末。
あなたも求愛受けてらっしゃったじゃないですか。意外とお嬢様、相手のクラウディアの弟に対して悪い気持ちは抱いていないようで、前向きなお友達からはじめましょうスタートを開始しているので、何気にこっちの方が順調に行くのかもしれない。いや、あのストーカー男でいいのか？
それはそれとして、ついでにこの弟者のストーカー行為を発端にしてイーディスの出自に関しても明らかになっていくんですね。こいつ、天涯孤独の孤児じゃなかったのか。いや、孤児だったんだけれど。まさかの両親発覚である。
……ヴィンセント様、あくまでイーディスをうちのメイドなんで誰にもあげません、宣言をしてたけれど、あえて実家に戻してから嫁にください、にしたほうが身分的にも借金的にも丸く収まったんじゃなかろうか。今のまんまだとみちならぬ恋になってしまいそうなんだけれど。
恋愛模様に関してはこれから、という気もするのだけれど、話の締め方からしてこれで終わりっぽいなあ。イーディスが遠慮なく気兼ねなく辛辣なくらい好き勝手に相手しているのはユーリの方でもあるんで、こっちの方が付き合いやすそうではあるんだけれど、何しろイーディスが全く全然二人に対してまだ気持ち盛り上がってないので、あとは二人からのアピール次第なんだろうけれど、これで終わっちゃうのかあ。いやもうどちらかを選ぶんじゃなくて、二人とそのままお付き合いする方法はないものだろうか。逆ハーレムってなかなかそういう環境に持っていくのが難しいねえ。
Ａｍａｚｏｎ
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