
【冒険者酒場の料理人 2】 黒留ハガネ /転 GAノベル
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剣ではなく包丁を、盾ではなく鍋を手に、
魔法のごとき調理法(アイディア)で戦う一人の料理人と、酒場に集う冒険者たちの物語。
待望の第2巻!
ヨイシが編み出した迷宮料理により、この街の食事事情は大きく改善。
酒場は腹を空かせた荒くれ冒険者が集い、連日連夜の大賑わいとなった。
――そんなある日。
噂を聞きつけ、酒場にふらりと奇妙な風体の男がやって来る。
「君が本物のヨイシだというのなら、これを食べられるようにしてみてくれたまえよ」
その男、吟遊詩人が取りだしたのは、なんと“透明な植物”だった。
投げかけられた無理難題。
しかしヨイシは現代知識を活用し、新たな迷宮料理へと昇華する――!?
透明玉菜、爆発卵、王侯蜂蜜に昇天キノコ……。
今日も可愛い看板娘と、冒険者が持ち寄る素材で至高の料理を披露しよう。
ヨイシに店を残してくれた先代の親父さん、ただの料理人じゃなくてかなり名うての冒険者だったのか。
味はともかくとして、とにかく冒険者どもに腹いっぱい食べさせてやりたい、というコンセプトはまさに同じ冒険者たち、後輩たちへの愛情に満ちていたと言って良い。
とはいえ、そうかーちゃんとした料理人ではなく、料理もできる冒険者だったのか。だからこそ、美味い料理にまでは手が及んでなかったのか。
そもそも、この迷宮街は寂れ気味で、流通も乏しく大した食材も入ってこない以上、あるもので作らなきゃいけないから、発展の余地がなかったのかもしれない。
そこで、迷宮産の食材を取り扱って、なんとか冒険者たちに美味いものを食わせてやりたい、と頑張ったのがヨイシだ。
彼の工夫と試行錯誤で、とても人間が食べられるものではない、と思われていた迷宮の産物たちも舌が蕩けそうな美味さの料理へと変貌した。これはヨイシの料理の腕前もあるんだろうけれど、この人自分だけが作れる料理ではなくて、他の料理人たちも調理が出来るようにレシピ作って、それを惜しげもなく広げてるんですよね。
そのおかげで、いつの間にかヨイシの店以外でも彼が考案した料理が広まり、なんだったら最初にユグドラとセフィが持ち込んできた石胡桃は、一般家庭でも食べられるようになっているという。
寂れていた街全体が今や活気に満ち溢れている。
まあどう考えても、ヨイシとウカノの二人体制な、しかもウカノちゃんはほぼホール担当なんで、料理はヨイシが一人で賄っているわけですから、あんたそんなたくさんのメニュー捌くの無理でしょ。迷宮産の料理は下ごしらえなんかも、とにかく手がかかりますからねえ。あれもこれもと作ってられない……いや、この男作ってやがるけれど。よくまあ、捌けるよなあ。
そして、新しい料理の開発をしている時以外は、店を閉めたあとマメにウカノちゃんの遊びや趣味に付き合ってるんですよね。わりと頻繁に興味があっちこっち移ってるのか、寝る前にしょっちゅう色んな違うことをして、パパと遊んでいるウカノちゃん、かわゆし。かわゆし。
そしてそれに毎度いちいちちゃんと付き合ってるヨイシは良いパパっぷりである。独身なのに。
そんな彼とこの酒場の評判は、この迷宮街に留まらず全国に広がっているようで、ついでにこの巻の最初に登場した腕利きの吟遊詩人が、彼が自分の出したお題に応えて作ってくれた料理に感動して、この酒場と料理人ヨイシの詩を作って広めたものだから、評判もうなぎのぼり。
ついには、王宮の料理人がレシピを教えてもらうために訪ねてくる始末。王命による派遣だったんで、向こうもプライドあるだろうから何某かの衝突が起こるのかと思ったら、相手のストラトニーケーさんとはお互いに料理の腕を認め合い、インスピレーションを高め合い、これめっちゃ意気投合してるよね。アカルナニアの知らぬ所でまさかのライバル登場である。ストラトニーケーさん女性なのよ。
あとあと何回か登場しているのだけれど、鉄面皮のくせにあとで給仕と紹介されていたウカノが娘としって、結婚してたんですか!?と動揺しまくっていたので、実はかなり意識していた模様。これ、自分と同等以上の料理の腕がないと結婚しません、みたいなどこぞの剣術道場の娘みたいな感覚の人なんじゃないだろうか。実際、料理の腕前に関しては凄まじく自負があるようですし。その上で、ヨイシの腕を自分に匹敵するかそれ以上と認めているようですし。
それはそれとして、ウカノちゃんとはあんまり相性よくなさそうなんだよなあ。ヨイシはあくまで娘優先。娘が認めてくれなければ、結婚なんてなんて、という立場。
そういう意味では、ついに勇気振り絞ってヨイシにプロポーズしたアカルナニアは、ウカノちゃんの事も気遣っていて、一番頑張ってるよなあ。ウカノちゃん、母親という存在自体にトラウマがあるみたいなので、パパに近づく女には、というか自分の母になるかもしれない女に対しては警戒を隠さない、というか拒絶しまくってますねえw
まあアカルナニアの場合、いつもひでえ酔い方してゲロ吐きながら潰れてるやべえ客なんで、そもそも看板娘の心象がよろしいはずもないのですがw
でも、付き合うのをすっ飛ばしていきなりプロポーズされて、いやそれってどうなの? とドン引きしているヨイシに、付き合ってお互いのことを知っていって、ってしなくてももう自分の悪いところは余すことなく見せちゃってるから、全部知ってるでしょ、というアカルナニアの言い分にはちょっと笑ってしまった。それで、それもそうかも、と納得してしまうヨイシはこいつわりと強引に言い切られるとあんまり考えないで受け入れちゃうタイプだな。
ウカノちゃんが連れてきてペットにしてしまったコカトリス、どう見てもコカトリスなのに「コケコッコー」と棒読みの鳴き声出してたら、コケコッコーと鳴くのなら鶏だな、と素直に納得しちゃってたし。
こいつ、さてはアホだな。
この2巻も色んな料理、というか食べられないものを食べられるようにする調理法、が出てきましたけれど、かなり難儀な手順を模索して探り当てていた1巻のときと比べると、コツを掴んだのかわりとあっさり食べられるようにできていた気がするなあ。あれ?それでいいの?と思うくらい。
いやでも、爆弾卵は普通に危ないと思うんですけど!? 割れたら爆発するって、処理するまで安全管理めちゃくちゃ大変だと思うんだけど!? これを武器代わりに持ち歩いている冒険者も相当命知らずじゃない? 持ち歩いてる時に転んでぶつけて割ってしまったら、その場でドカンですよ!?
そんなこんなと、あれこれ迷宮料理を編み出している間に、ろくに装備もなく食べるものにも事欠いていた初心者冒険者だったユグドラとセフィは、どんどんと実力を上げてダンジョンの下層に潜っていき、ついにはこの迷宮で最も深くまで潜る超一流の冒険者になっていた。時が流れるのが早いというか、彼らの成長が早いというか。いや、これは彼らの成長がめちゃくちゃ速いよな!
それでも、欠かさず頼んだ迷宮の食材は持ってきてくれて、ヨイシの酒場で美味しそうにご飯を食べていってくれる。ここに帰ってくる、というのをずっと見ていたので、なんか彼ら二人が戦っているシーンはまったく見ないんだけれど、それでもその成長をずっと見守っていたような気分にさせられる。
だから、最終回のあのダンジョン踏破にユグドラとセフィ挑む話はその旅立ちに至るまでぜんぶが感慨深かった。最後の迷宮産の食材が、米って言うのも印象的だったなあ。
彼ら二人が新しい迷宮への冒険を求めて、この街から巣立っていくのを見送ることで、この物語が幕を下ろす、というのはユグドラとセフィの二人の訪れによって始まった物語として、なんとも相応しい結末だったように思います。良いお話でした。










































































































































































































































































































































































































































































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