【転生してショタ王子になった剣聖は、かつての弟子には絶対にバレたくないっ ３．練剣災禍】 ぽんこつ少尉／しあびす 一迅社ノベルス
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見た目は子供、中身は無敵の元剣聖に迫る過去からの混迷――。
波瀾万丈の学園ファンタジー第３巻！
リリと話した剣聖であった自身の最期。
彼女の本心に触れられたことで、二人の距離感も少し（？）縮まったように見えていたある日。
学園までヴォイドを訪ねてきた“諜報将校フアネーレ”ことミリオラから、かつて行われていた魔導錬金術の研究によって生みだされたホムンクルスについて知らされたエレミア。
ダンジョン内で遭遇した人ならざるものについて思いを巡らせていた一組三班だが、三度目となったカリキュラムの道中、彼らの前に少女のようなホムンクルスが現れる。
アテュラと名乗る彼女は自分が初めに作られた存在であること、そして……
「リオナ・ベルツハインは死んでいます」
と衝撃の言葉を放つ――。
ちょっとぉ、ちょっともうこれはもう、もう、もうぅぅっ！
リオナちゃん、もう今までの来歴だけでも突き抜けて不幸な境遇で、悲惨な人生歩んできて、今ようやくエレミアたちによって救われて、未来に向かって前向きに歩いて行こうという所だったのに。
この期に及んで、いやリオナ本人も知らなかった所で更にどん底に叩き落すような真実を持ってくるんじゃないよ。
リオナ虐が辛すぎる。
この物語の主要人物たち、誰も彼もがこの年齢の子供が背負うべきじゃない、とてつもない重いものを背負ってるんだけれど、リオナの境遇が凄まじすぎて霞んでしまうくらいなんだよなあ。いや、全然霞んじゃいないのですけれど。そもそも比べるようなものじゃないんですけれど。
でも、それにしてもですよ。
多分、リオナがようやく胸に抱けるようになってきた幸せな未来図ってものを、この真実は実質踏み潰してしまったのですから。
それは、そこまではちょっと予想も想像もしていなかった。いやもうさ、今まで明らかになったリオナの境遇だけでも、もうお腹いっぱい筆舌しがたいものだったんですから、さらにここまでの上乗せが来るとは思わないじゃないですか。
エレミア、お前マジでこの娘繋ぎ止めておかないとあかんぞ。真実を知った彼女を一人にしないですぐに追いかけたのはグッドジョブだった。これまでもそのネアカなくらいの明るさに反して、ひどく儚い所があったけれど、これ以降は本気でちょっと目を離しただけでふっと消えてしまいそうな危うさを感じるようになってしまった。冗談じゃなく、一生掴まえておかないといけないよ。リオナに関してだけはもうこれまで以上に依存させてしまった方が安心、まであるよ。
一方で、リリ・イェイツも完全に精神面がエレミアに依存しつつあるんですよねえ。依存というか、ブレイズを喪って魂が抜けたみたいになっていた女が、今その全身全霊をこのショタっ子へと全集中しつつある、というべきか。なんかもう、徐々にエレミアという子が彼女の存在意義になりつつある、というか。ブレイズ亡きあと行く先を喪っていた重たい女の気質全部が、エレミアに差し向けられつつある、というべきか。
いつの間にか、見知らぬ女とちょっと仲良くしているのを見るだけで、見たこと無い顔で遠くからじっと見つめるようになっちゃってるし。これ、思いっきりヤンデレの初期症状じゃない？
なまじ、一度喪う絶望を、喪失感を、虚無を味わっているだけに、執着はえらいことになりつつある気がするんだが。
あかん、これリオナもリリも、エレミアがいないとぶっ壊れそう。色んな意味でもう離れられないわｗ
まだエレミア、１０歳なんだけどなｗ
さても、１組によるダンジョン探索は続行され、幾度もの想定外の死線をくぐり抜けた彼らは、すでに学生レベルをこえた実力を身に着けつつある。元から相当の実力者揃いだった１組３班、つまりエレミアたち四人だけじゃなく、１組のみんなが実戦レベルの強さ、というより覚悟と心構え、連帯紐帯結束を身に着けてるんですよね。技術的にも、戦争や実戦経験者である３班の面々からの指導を熱心に受けて、実践レベルで習得しつつありますし。
イルガ、セネカを中心として、見違えるくらいまとまってきたんだよなあ。それぞれのキャラも立ってきて、横のつながりも深くなったし、なんか一組の子ら全員にすごく感情移入してきてしまいましたよ。いい子たちなんだよ。
正直、未だに未踏派ダンジョンにド素人同然の学生を放り込む、という教育方針は頭おかしいんじゃないか、と思ってるし、実際変なパワーゲームの結果で良識ある人達は上層部、学園の教官含めてみな反対してたわけで。おまけに、３班という特殊なメンバーがいなければまず最初の探索で全滅していただろうし、教育綱領としてはイカレてるんだけれど……。
でも、結果出ちゃったからなあ。
いや、敵国の送り込んできた極秘兵器のホムンクルスと遭遇してしまったり、竜のキメラみたいなのとかちあったり、と明らかに学園側が想定していたレベルじゃない化け物と学生たちだけで戦うはめになってて、大失敗だろこれ、とは思うんだけれど。
でも、生き残れた結果、１組の子らめちゃめちゃ成長しちゃってるんですよねえ。みなが学生レベルじゃなくなってる。
それが明らかになったのが、正騎士の仕事にインターンで職場体験だー、という事になった際。
先の戦争経験者であるベテランの騎士たちは、さすがというべきか、歴戦というべき実力、見識の持ち主たちなんだけれど、戦争経験のない実戦経験に乏しい若手正騎士が、これ全然あかんやん！
ダンジョンで修羅場潜って肚も据わり、戦場で緊急時にどう動くべきかという心づもり、経験則、決断力判断力が出来上がってる１組の子らと比べても、明らかに実戦慣れしてない、足引っ張る存在になっちゃってるんですよね。
これ、もう１組の子ら即戦力なんじゃないだろうか。それどころか、これもう将来の騎士団の中核を担う存在になりえるんじゃないだろうか。セネカなんか、即座にもう隊の作戦参謀的な立ち回りで彼女らの受け持ちの隊長をサポートしてたし。
インターンの学生たちの能力、何より実戦での対応力を見抜いて、団員の騎士たちよりも学生たちを即座に信頼してくれた副長なんか、騎士全般が頼りないんじゃなくて、歴戦の騎士はさすが凄い、と感じさせてくれるのがまたよろし。
しかし、戦争経験者と若手との間にかなり意識や実力の断絶があるなあ、大丈夫かこの国。と、心配もしていたら若手にもちゃんと実力者もいるのね。なんかオネエだけど。いいのか、オネエが騎士でも。わりとおおらかな国なのか、ここｗ
敵国が製造していると思われる人型兵器ホムンクルス。そのバックグラウンドも明らかになってきて、これまたどんどん送り込まれてくるんだろうか。最後のやつは逃してしまったけれど、あれセネカによって意識の毒を植え込まれているの、何気に大きな影響あるんじゃないだろうか。
これまで現れたホムンクルスって、自分が複製されていくらでも生み出される事で不死性を自負していたみたいだけれど、セネカによってそこに楔を打たれてしまったんですよね。逃げたホムンクルス個人にとっての毒に留まらず、この毒が感染してくれたら無知故に恐れを知らなかったホムンクルスの脅威も些かなりとも減じるのではないかと思いたい所なんだが。
あと、リリの兄弟子で、エレミアたちのインターン先の小隊長だったお姉さんの兄であるカーツ。行方不明だったけれど、この人なんか重要なポディションになってくるの？ リリとは別の意味で、ブレイズの死によって虚無を得てしまった人なんだけれど、エレミアを保護して愛でることで虚無を埋めたリリと違って、カーツの虚ろはリリみたいな寂しさじゃないから、これエレミアにとってはちょっと厄介な事になるんじゃないのか？ カーツに接触してきた勢力がどこのものかもわからんし。
Ａｍａｚｏｎ
Ａｍａｚｏｎ
