【ロクでなし魔術講師と福音後記】 羊太郎／三嶋 くろね 富士見ファンタジア文庫
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これは、どこかにあるかもしれない幸せな後日譚――
《無垢なる闇》、そして禁忌教典をめぐる戦いを乗り越えて皆の下に帰ってきたグレン=レーダス。
彼がその後どんな未来を歩むことになったのか――
ナムルスと共に無限の世界を渡り歩く未来、帝国軍の大元帥となったイヴに寄り添う未来、リィエルと一緒に“人”として生きていく未来、ルミアと婚約を交わした未来、魔導考古学者となる夢を叶えたシスティーナと道を共にする未来、セリカについに想いを告げる未来……そして――
そんな様々な可能性に分岐する“IF”の未来が今、語られる。
これは、どこかにあるかもしれない後日譚。
今度こそ本当にロクでなし魔術講師のシリーズはこれで最後……最後だよね？ 前回、短編集の１１巻でこれが最後って記事で書いちゃったんですけど！？ まさか、こんなIF形式の各ルート分岐エンディング後を描いたファンディスク的な後日談が出るなんて知らなかったんですけど！
というわけで、もうこれ以上なく書き切ってもう書くことないよ、というくらいには書いてしまったので流石にこれが本当に最後かと思われます…………。
なんか、カクヨムでイヴが主人公の話が本編終了後の時系列で書かれてるんですけど、スピンオフならまだありそうなんですか、これ！？
ともかく、今回は後日談と言っても本編後からざっくりと、各ヒロインのそれぞれと結ばれました、的なルート別のエンディングを見ましょう、という企画ですね。
個々のヒロインと結ばれて恋人になるという一番甘酸っぱいところは想像の赴くままに、というところでありますね。
若干名、その甘酸っぱいところまですら行かずにズルズルと進んじゃってるルートもあったんですが。
白猫、お前だよ！！
いやあ……他のヒロインたちの話がまず前提として本編終了後、あれからなんやかんやありまして、恋人になりました、とか結婚しました、という男女関係がきっちり成立した後からの話になっているのに対して、こいつだけ、この娘だけ……ガチで何も進展しないままズルズルと現状維持で来てやがった。
普通にシスティが考古学の権威となり、グレンがその助手を務めるようになり一緒に世界中飛び回ってた、という前フリの時点で他のヒロインたちと同様にまず恋人になっているのは前提で、そこから話が描かれていくのかと普通に思いましたよ。何も疑ってませんでしたよ。
この、ヘタレがーー！！
マジでなにやってたんだコイツ。よく、他の娘たちに掻っ攫われなかったよなあ。マジでなんもしてなかったのか。これ、グレンの方がきっちり意思固めてなかったら、マジでなんの進展もないまま関係終了してたぞ。どの並行世界覗いてもグレンが積極的にならないと成立しない関係じゃないのか？
そして、女性側からの告白としては史上最低のどうしようもない告白を見せられてしまったかもしれない。こんな無様な告白、女性側からバージョンはちょっと見たこと無いぞｗ
本編では格好良いヒロインだったのにねえ。成長率ではまじでここまで伸びた娘いないだろ、というくらい普通の娘から神レベルまで努力で這い上がった格好良い女性だったのに。
無様ｗ
駄目ッ娘だ。これ、グレン先生の方に一生色んな意味でお世話にならないと駄目な娘ですねえ。
……まあ、白猫に限らずわりと人として駄目だろう、というヒロインの方が多い気もするのですけれど。確か最初の頃はグレンの方がサボり魔で意地汚い働きたくないロクでなしで、周りからお世話され面倒見てもらわないと真っ当な生活も送れなさそう、というキャラクターだったのに。
これ、どのルートのグレンを見ても……かなりスパダリじゃない？ 痒いところまで行き届いてるスーパーダーリンじゃない？
まあ各ヒロインの中で、デレたら一番ダメ人間になるだろうなあ、と予想していた彼女が、予想通りにダメ人間になっていたのには笑いましたけれど。イブさん、貴女ですよ、貴女。
デレ方が本当にひどい。完全にグレンに寄りかかって生きてる。甘やかしてもらわないと呼吸が出来ないレベルで依存してるｗ
まあそうなるだろうなあ、という人格形成されていたけれど。神にも行き遅れ認識されてしまっていたような人が、まかり間違って男と結ばれてしまったら、まあこうなるわなあ。
それにしても、ダメ人間の極みである。イブの弄り役かと思われた妹のイリヤが完全にフォローとツッコミ役に回ってるじゃないかｗ
この娘、他のルートでも後始末押し付けられて奔走する羽目になってたし、他人で遊ぶ享楽キャラかと思ってたけど実は苦労系やらざるを得ない娘なのか？ ご愁傷さま？
ナムルスも愛が重すぎる上に自己完結してしまいがちな面倒くさい女なので、案の定面倒くさい迷走してるし。ここで描かれているお話で愛を確かめあってもう二度と離れることはない、みたいな結論に至ってたけれど、多分定期的に同じようなことやるんじゃない、この娘。
そんな中で意外にも一番家庭人やっててちゃんとお母さんをやってたのがまさかのリィエルである。ちゃんと子供まで作って家庭を築いている様子が描かれてるの、リィエルルートだけだったんですよね。
ちゃんと優秀な子供たちのお母さん役を、グレンと一緒に親としてやっていたの印象的でした。
なんか、見た目は変わらずずっとロリのままみたいだけれど。
そしてリィエルと並ぶくらいに、一番グレンとお似合いの家族で夫婦をやっていたのが……セリカである。だろうなー！！ そうだろーなー！！ いやもう、本編の段階からグレンとの絆が深すぎて、白猫たちが割って入れん、と臆してるくらいでしたし。疑似的にも母と子という親子関係形成していたから進展しなかっただけで、一番一緒に居て落ち着く、という雰囲気出していたのここだったもんなあ。
個人的には一番お似合い感があったの、まさかのここ、セリカルートでありました。
ルミアルートは、むしろアリシア陛下とルミアのお姉ちゃんたちの方が面白かったんですけどｗ
ガチで寝取りにきたら、ルミアによってクーデター発生しそうだな、この王家。
とまあ、それぞれのヒロインのルートを描いた上で、平行世界の終着点として描かれたグランドルートで、あの子が出てくるのは……これやっぱりグレンにとっての大本命って彼女、セラだったんだなあ、というのを思い知らされる構成でしたよ。
短編集のエピローグ読んでても、あのあとグレン先生が他の女性とくっつくイメージあんまり湧かなかったもんなあ。亡き想い人に心を寄せながら、一生独り身で過ごしそう、みたいな感じありましたし。
そういう意味では、最後のあのエピソードは救いでもありました。あの子が一番、報われなかったですもんね。それをこんな形で、とはいえもう一度を叶えさせてくれたのは、読者としてもありがたかったです。
思い出に残る、素敵な作品でした。感謝。
Ａｍａｚｏｎ
Ａｍａｚｏｎ
