もうシーズンも最終盤に入り、中には終了してしまっている作品もあると思われますが、もう最後の方まで見た感想でもいいさ、の爽やかな心持ちで続き行きたいと思います。


花は咲く、修羅の如く　★★★★

人口600人の小さな島・十鳴島（となきじま）に住む春山花奈（はるやまはな）は、島の子供たちに向けて朗読会を行うほど朗読が好きだった。花奈の�狷匹澂瓩某佑鮗罎�つける力を感じた薄頼瑞希（うすらいみずき）は、自身が部長を務める放送部へ誘う。
「お前の本当の願いを言え、アタシが叶えてやる」
「私、放送部に入りたいです」
入部を決意した花奈は、たくさんの�狃蕕瓩騰瓩鯤�送部のメンバーと共にし、大好きな朗読を深めていく…。
へー、放送部ってこんな事やってるんだぁ……（ふと、中学時代自分、一時期放送部だった事を思い出した）。
え、放送部にこんなコンテストとかあるとかガチで知らなかったんですけど？　いやあ、放送部と言ってもほんとに何もしなかったからなあ。機材とかもろくに触らして貰えなかったんじゃないだろうか。マジで何をした記憶もないぞ。卒業式とかで照明とかやったんだっけ？　だめだ、ほんとに何も覚えてない。ただ、放送で自分の声を乗せたとか、放送で喋ったみたいな事は絶対しなかったのは間違いない。
まあ放送部というのも烏滸がましいし、実際自分が放送部だったという実感も皆無なので、そういう共感の類は一切ないのだけれど、この朗読やアナウンス、短編ドラマの制作などといったジャンルが放送部のものだという認識自体なかったんで、めちゃくちゃ新鮮でありました。なんぼでも面白い界隈があるもんだ。
しかし、アニメとしての本作は恐ろしいほどの声優さんの力量が試される作品でありました。声、喋り方、伝わる語り、これ実際に声を発する声優さんの実力が伴わなければ、完全にから回っちゃいますもんね。「全修。」の方もアニメーターが主人公なだけに、アニメ制作に携わる人たちにとっても他人事ではない色々と突きつけられる作品になるだろうな、と思いましたけれど、こっちはさらに壮絶なハードルが手ぐすね引いて待ち構えてるみたいで、見ててゾクゾクしましたよ。
そういう意味で、主人公の花奈の「朗読」は映像の演出効果抜きに、ゾワゾワっとする魔性が感じられて、一気にそこで掴まされましたね。あのインパクトは凄かった。
実際にコンテストみたいなものに出場するにあたって、技術や心構えなど色々と試される場面が出てきてますけれど、今のところは何も教えられていなかった最初のほうこそが、ゾクっとするような凄みを感じられたのですけれど、そこんところどうなんだろう。
しかし、花奈はこの子、内気で人見知りなのかと思ったら、おとなしいくせに引っ込み思案っぽいくせに、ビクビクしながらもずっとグイグイ押し続けてくるような、厚かましさというか図太い一面があって面白い子ですよねえ。今どき、主人公はタフじゃなきゃあダメなのか。









マジック・メイカー 〜異世界魔法の作り方〜 ★★★☆

「リスティア国の片田舎の領地を治める下級貴族、オーンスタイン家。そこには、二人の姉弟がいた。
姉のマリーは、父から剣術の稽古を受けるのが大好きな活発な女の子。
弟のシオンは、部屋に籠もって本を読むのが大好きな内気な男の子。
性格は正反対の二人だが、優しい両親に見守られながら、仲睦まじく暮らしていた。
そんなある日、シオンは『まほう』というものがこの世界に存在するか、父に尋ねる。
しかし、貴族としてそれなりの教養がある父でも、『まほう』という言葉自体を知らなかった。
ましてや、シオンが言う「火とか水とか風とか光とか、何もないところからいろんなものを出したり
する」現象など、この世には存在するはずもなく......。
その日から、シオンは目に見えて落ち込んでしまう。
シオンを励ましたいと、幼馴染みで農家の娘のローズに話すマリー。
すると、湖で不思議な現象を目の当たりにして――
この異世界、魔法がない!?
そんな世界に転生した主人公の少年シオンが紡いでいく、
ロマン求める魔法開発ファンタジースタート。
魔法という概念そのものが存在しない異世界で、魔力の存在を発見した主人公がゼロから魔法を創造していく、というなかなか凄いアプローチの作品である。序盤は、魔力も魔法も概念そのものが知られておらず、過去に封印されたというような経緯も古代文明的な痕跡も見当たらないので、車輪の再発見ですらなく本気でゼロからの構築なんですよね。主人公が前世の記憶でそういう存在を知っていたから、だからこそ当たりをつける事が出来たわけで、これ概念から無いんだから普通なら魔法が誕生しない世界だよなあ。いやでも、魔力という認識はなくても不思議な現象が起こっていた以上、人間の好奇心や知識欲を思えば魔力の発見や、魔法反応の発見もいずれは人類史の中で起こっていたのかもしれない。でもそれは何世代もの研究の果のことだろうし、たった一人でゼロから魔法の創造までたどり着くことはなかっただろう。そういう意味でも、これは魔法使いの始祖の誕生の物語でもあるんですなあ。序盤、ほんとに何も起こらなくて実験の失敗どころか無反応の連続の中に僅かな反応の痕跡を見つける、という凄まじく地道なトライアルアンドエラーが続いてて、これよく根気よくやったよなあ、とここが主人公の一番の称賛すべき所かもしれない。それに根気強く付き合い続けたお姉ちゃんと幼馴染の献身も、である。この二人がずっと応援してくれなければ、幾ら魔法バカの主人公でもメゲただろうし。
それ以上に、ある程度魔法が形になったあと、父親を筆頭に家族が全面的に子供たちの支援支持してくれたのが本当に大きい。お父ちゃん、領主の仕事はないのかい？と思うほど息子の魔法開発に付き合ってたし……まじで仕事ないのか、このお父ちゃん。
あまりに姉と仲が良すぎて、ローズじゃなくてお姉ちゃんのほうがメインヒロインみたいなじゃないか、と思ってたらガチでお姉ちゃんがメインヒロインで、かなりびっくりさせられた作品でもありました。主人公のシオン、わりとガチ目にお姉ちゃん好きみたいだしｗ







メダリスト　★★★★☆

スケーターとして挫折した青年・明浦路司が出会ったのは、フィギュアスケートの世界に憧れを抱く少女・結束いのり。
リンクへの執念を秘めたいのりに突き動かされ、司は自らコーチを引き受ける。
才能を開花させていくいのりと、指導者として成長していく司。
タッグを組んだ二人は栄光の“メダリスト”を目指す――!
これが……俺達の司ッ。
キュゥゥゥン。
いやあ……これは、いい。これはいいものだ。素晴らしい。得難い成分を毎週接種してる感覚。
この子供たちの本気に、自分たちの膨大な未来をすべて注ぎ込むような必死さに、応える大人たちの覚悟、期待、喜び。自分の出来なかったことを投影するんじゃない、子供自身の可能性を全身全霊で開花させようとする司先生をはじめとするコーチ陣の、この在り方にもう魅せられて魅せられて。
凄いなあ、いのりさんたち選手である子供たちと、司先生たちコーチ陣、両サイドが主人公なんですねえ。特にあの司先生のいのりさんをはじめとする子供たちへの接し方、教え導くという上から先からじゃない、同じ目線の対等な存在と思ってるようなあの接し方を、この人はだれに言われるでもなく教えられるでもなく、ナチュラルにはじめてるんですねえ。いのりさんが最初の生徒なんですから。
いやあ……凄いなあ、脳が震えるなあ。ふわぁ……これが司先生かぁ。
OPは毎週飛ばすことが出来ずにずっと見てます。光ちゃんのシーン、毎度魂抜けてしまうわ。






Ubel Blatt〜ユーベルブラット〜　★★★★

神託歴3968年、闇の異邦（ヴィシュテヒ）の侵略を封じるため、皇帝は14人の若者たちに使命と聖なる槍を与えて送り出した。
3人は旅の途中で命を失い、4人は敵に寝返り皇帝を裏切ったとされ討たれた。
だが、それは栄誉を我が物にしようとした7人の仲間の裏切り行為であった。

帝都に凱旋した彼らは“七英雄”と称され、帝国の民の尊敬を集め栄華の座に上りつめたが、
一方で、武勲を奪われ“裏切りの槍”の汚名を着せられた。
一人の剣士・アシェリートが、妖精の血肉を食らい生き延びていた。

容姿を少年に、名をケインツェルに変え、20年の時を経て、
七英雄への復讐の旅が今はじまる— ！
塩野干支郎次さんのダークファンタジー。これ原作完結してるのに、このタイミングでアニメ化！？　と、思ったら続編ちょうど始まってたんですね。
塩野干支郎次さんというと、けっこうギャグコメディ的な作品も多く出してるんですが（これがまたみんな笑えるのよ）、本作はゴリゴリのダークで王道な復讐譚。復讐劇と英雄譚をここまで見事に最後まで描ききった作品はなかなかないと思いますよ。
プライムビデオで視聴しているので、視聴期限とか今のところないからどうしても見るの後回しにしてしまっているのですが、この全体的に暗い色調は雰囲気が伝わってきてよろし、という感じ。
全体的に剣戟剣戟また剣戟のアクション作品なだけに、戦うシーンの迫力には期待したいところなんですが、決して動き自体はあんまり良くないと思うんですけど、雰囲気や空気感、鬼気迫る迫力や情念の描き方が実に良き。
全２４巻の大作なんだけれど、なんとか全部映像化してほしいにゃあ。





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