【魔界帰りの劣等能力者 １３．魔神の花嫁と劣等能力者】 たすろう／かる HJ文庫
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魔神VS天衣無縫VS魔神殺し！
幻魔降ろしの儀は魔神降臨という最悪の結果を迎えてしまった。
アシュタロスとなり暴れる秋華、依頼通り秋華ごとアシュタロスを滅しようとする王俊豪、そして秋華を助けようと割り込む祐人。
三つ巴の状況にさらなる敵も現れる中、英雄や琴音も参戦する！
敵味方が複雑に入り乱れる戦場で超越者たちの死闘が始まる――
「僕は僕のやり方で秋華さんを救います。その邪魔をするなら、SSランクのあんたでも容赦はしない」
最弱劣等の魔神殺しが魔神の花嫁を救い出すため戦う、第13弾!!
敵の策略によって秋華に魔神アシュタロスが憑依してしまい、絶体絶命の大ピンチ……という所で前巻終了、そのまま１年以上音沙汰なくなってしまい、続き出るんだろうか大丈夫だろうか、とやきもきさせられましたが、どうにか無事に続きが出てくれました。ありがたく。
とまあ、前巻がどえらいところで終わったので、この巻は最初からクライマックス。VS魔神アシュタロスから始まるという展開に。
それも、単純に魔神アシュタロスを討伐する、というわけにはいかないんですよね。取り憑かれた秋華からアシュタロスを引き剥がして、彼女を助けないといけない。というのは、祐人のみならず、黄家とも共有する目的なわけで。
しかし、それを邪魔してくるのが、幻魔降ろしの儀を悪用して魔神降臨を企んでいた組織「クラヴェス」の能力者たち。彼らはアシュタロスが取り憑いた秋華ごと、彼女を確保して連れ去ろうとしているので、これを食い止めつつ魔神の力を振るって暴れまわるアシュタロスを止めなければならない。
これだけでも大変なのに、さらに自身の暴走を危惧していた秋華が独自にいざという時に自身の始末を依頼していた王俊豪が介入してくる。秋華を助けようとする祐人たちと違って、明確に秋華を殺すつもりで。その王俊豪から秋華を守りながら、攻撃してくる秋華を止めて、秋華を連れ去ろうとするクラヴェスの連中からも守らないといけない……忙しすぎる、難しすぎる！！ 三つ巴じゃ済まない状況ですよ。単なる三つ巴なら、自分以外の勢力を叩き潰せばいいわけですけれど、守らなきゃいけない相手からも攻撃されて、その守らないといけない相手こそがこの場における最恐の魔神なわけですからねえ。
さすがに、祐人一人ではこれどうにもならなかったでしょう。しかし、幸いにもここにいた黄家の皆は祐人サイドの人間であり、何とか数だけは足りていたわけだ。
その中でも英雄は、未熟ながらもこの戦いの中で脱落するどころか、必死に食らいついて爆発的に成長していきます。彼の自身の未熟さを、弱さを、今までの努力の方向性の間違いを悔やみながら、健気な妹の想いに気づかなかった自身に怒りながら、妹を助けるために奮起しつづけ、自分の前を行き続ける祐人の背中に憧れすらも抱きながら追いつこうと食らいついていく、その男の子の心意気が実に胸に響くものがありました。
そして、それ以上に未熟でありながら、自分のできることを諦めずにやり続ける琴音の頑張りも。
こういう成長の物語は、カタルシスがありますよ。能力の成長だけじゃなくて、心の成長こそが痛快さを呼び起こすんですよね。
そして、そんな彼らを奮起させる祐人の背中の頼もしさですよ。正直、あまりにも絶望的な状況、展開が連発する戦況で、祐人だけは一切心に怯みや弱気や迷いが生じないんですね。一切ブレることなく、秋華を助けるという意思を強固に保ち続け、黄家の人たちを鼓舞し続けるのである。
この戦いの中で、何度祐人の叱咤激励に彼らが勇気を得たか、絶望を振り切れたか。奮い立つことが出来たか。
こういう先頭に立って意思を示し続ける戦い振りには、祐人がこれまで戦い抜いてきた歴史を感じます。どれほど過酷な戦場を戦い抜いてきたのか。どれほどの修羅場を潜り抜けてきたのか。
元々、秋華の心意気を汲んで依頼を受けただけで積極的に秋華を殺したいとは毛頭思っていなかった王俊豪でしたけれど、祐人がこれほどの能力の強さ以上に絶対に退かないという意思の強さを見せていたからこそ、何としてでも秋華を殺すというつもりになりきれなかった所もあるんじゃないでしょうか。本気だったのは間違いないけれど、必死さまではなかった気がします。
まあともかくも覚悟ガンギマリな主人公でした。もうアシュタロスが復活した時点で、魔神殺しのために自分の禁忌を開放するつもりだったんでしょうね。開放までの流れに一切淀みがなかったですし。自分の存在が記憶から掻き消えてしまう禁忌の術。それによって親しくなった人から忘れられてしまう心の痛みがどれほど彼を傷つけてきたのか、それでも迷いなく切り札を切るこの主人公の揺るぎなさですよ。
そんでもって、この展開こそが、一度祐人のことを忘れてしまったニイナにとってのヒロインとしてのもう一つのターニングポイントだったんでしょう。ようやく祐人のことを思い出したとはいえ、一度忘れてしまったハンデは他のヒロインたちとの差を生んでましたからね。ここで、今度は忘れなかった。最初に祐人のことを出迎えて慰めた上に、皆忘れてしまった黄家の面々とのフォローもやってくれて、公私にわたるサポート役としての揺るがぬ地位、誰にも邪魔されない唯一のポディションを確立してみせたわけですから。
どうにも普段は頼りない、ぼんやりしていて迂闊でおぼつかない祐人の秘書にして助言者にしてつなぎ役という無二の立ち位置ですよ。これはちょっと他の誰にも割って入れないポディションですよ。能力者として一緒に戦えないハンデを帳消しにする、幼馴染以上の近しいポディションだ、これ。
もう、祐人はニイナに一切頭上がらなくなったし。仕事からプライベートまで一切仕切られるようになっちゃったし。もう彼女がいないと生きていけないレベルまで、そのうち調整されちゃうぞ。
次はマリオン回になりそうだけれど、一旦記憶から消えてしまったとはいえ、秋華も琴音も、ついでに英雄も祐人の影はしっかり色濃く心に焼き付いているみたいだし、ちょっとでもキッカケがあれば思い出しそうな状態だけに、そこまでの差にはならなさそう。
なにより、巻末にて英雄が祐人の爺さんに弟子入り、という展開になっちゃってるし。いや、あのエロジジイに入門するの！？ これで祐人の身近に出入りするようにもなるし……って、これ一番先に記憶取り戻すのヒロイン年少組じゃなくて、英雄の方なんじゃね？ 男の親友枠二人目はわりとすぐに取り戻せそうじゃね？
とまあ、前巻がどえらいところで終わったので、この巻は最初からクライマックス。VS魔神アシュタロスから始まるという展開に。
それも、単純に魔神アシュタロスを討伐する、というわけにはいかないんですよね。取り憑かれた秋華からアシュタロスを引き剥がして、彼女を助けないといけない。というのは、祐人のみならず、黄家とも共有する目的なわけで。
しかし、それを邪魔してくるのが、幻魔降ろしの儀を悪用して魔神降臨を企んでいた組織「クラヴェス」の能力者たち。彼らはアシュタロスが取り憑いた秋華ごと、彼女を確保して連れ去ろうとしているので、これを食い止めつつ魔神の力を振るって暴れまわるアシュタロスを止めなければならない。
これだけでも大変なのに、さらに自身の暴走を危惧していた秋華が独自にいざという時に自身の始末を依頼していた王俊豪が介入してくる。秋華を助けようとする祐人たちと違って、明確に秋華を殺すつもりで。その王俊豪から秋華を守りながら、攻撃してくる秋華を止めて、秋華を連れ去ろうとするクラヴェスの連中からも守らないといけない……忙しすぎる、難しすぎる！！ 三つ巴じゃ済まない状況ですよ。単なる三つ巴なら、自分以外の勢力を叩き潰せばいいわけですけれど、守らなきゃいけない相手からも攻撃されて、その守らないといけない相手こそがこの場における最恐の魔神なわけですからねえ。
さすがに、祐人一人ではこれどうにもならなかったでしょう。しかし、幸いにもここにいた黄家の皆は祐人サイドの人間であり、何とか数だけは足りていたわけだ。
その中でも英雄は、未熟ながらもこの戦いの中で脱落するどころか、必死に食らいついて爆発的に成長していきます。彼の自身の未熟さを、弱さを、今までの努力の方向性の間違いを悔やみながら、健気な妹の想いに気づかなかった自身に怒りながら、妹を助けるために奮起しつづけ、自分の前を行き続ける祐人の背中に憧れすらも抱きながら追いつこうと食らいついていく、その男の子の心意気が実に胸に響くものがありました。
そして、それ以上に未熟でありながら、自分のできることを諦めずにやり続ける琴音の頑張りも。
こういう成長の物語は、カタルシスがありますよ。能力の成長だけじゃなくて、心の成長こそが痛快さを呼び起こすんですよね。
そして、そんな彼らを奮起させる祐人の背中の頼もしさですよ。正直、あまりにも絶望的な状況、展開が連発する戦況で、祐人だけは一切心に怯みや弱気や迷いが生じないんですね。一切ブレることなく、秋華を助けるという意思を強固に保ち続け、黄家の人たちを鼓舞し続けるのである。
この戦いの中で、何度祐人の叱咤激励に彼らが勇気を得たか、絶望を振り切れたか。奮い立つことが出来たか。
こういう先頭に立って意思を示し続ける戦い振りには、祐人がこれまで戦い抜いてきた歴史を感じます。どれほど過酷な戦場を戦い抜いてきたのか。どれほどの修羅場を潜り抜けてきたのか。
元々、秋華の心意気を汲んで依頼を受けただけで積極的に秋華を殺したいとは毛頭思っていなかった王俊豪でしたけれど、祐人がこれほどの能力の強さ以上に絶対に退かないという意思の強さを見せていたからこそ、何としてでも秋華を殺すというつもりになりきれなかった所もあるんじゃないでしょうか。本気だったのは間違いないけれど、必死さまではなかった気がします。
まあともかくも覚悟ガンギマリな主人公でした。もうアシュタロスが復活した時点で、魔神殺しのために自分の禁忌を開放するつもりだったんでしょうね。開放までの流れに一切淀みがなかったですし。自分の存在が記憶から掻き消えてしまう禁忌の術。それによって親しくなった人から忘れられてしまう心の痛みがどれほど彼を傷つけてきたのか、それでも迷いなく切り札を切るこの主人公の揺るぎなさですよ。
そんでもって、この展開こそが、一度祐人のことを忘れてしまったニイナにとってのヒロインとしてのもう一つのターニングポイントだったんでしょう。ようやく祐人のことを思い出したとはいえ、一度忘れてしまったハンデは他のヒロインたちとの差を生んでましたからね。ここで、今度は忘れなかった。最初に祐人のことを出迎えて慰めた上に、皆忘れてしまった黄家の面々とのフォローもやってくれて、公私にわたるサポート役としての揺るがぬ地位、誰にも邪魔されない唯一のポディションを確立してみせたわけですから。
どうにも普段は頼りない、ぼんやりしていて迂闊でおぼつかない祐人の秘書にして助言者にしてつなぎ役という無二の立ち位置ですよ。これはちょっと他の誰にも割って入れないポディションですよ。能力者として一緒に戦えないハンデを帳消しにする、幼馴染以上の近しいポディションだ、これ。
もう、祐人はニイナに一切頭上がらなくなったし。仕事からプライベートまで一切仕切られるようになっちゃったし。もう彼女がいないと生きていけないレベルまで、そのうち調整されちゃうぞ。
次はマリオン回になりそうだけれど、一旦記憶から消えてしまったとはいえ、秋華も琴音も、ついでに英雄も祐人の影はしっかり色濃く心に焼き付いているみたいだし、ちょっとでもキッカケがあれば思い出しそうな状態だけに、そこまでの差にはならなさそう。
なにより、巻末にて英雄が祐人の爺さんに弟子入り、という展開になっちゃってるし。いや、あのエロジジイに入門するの！？ これで祐人の身近に出入りするようにもなるし……って、これ一番先に記憶取り戻すのヒロイン年少組じゃなくて、英雄の方なんじゃね？ 男の親友枠二人目はわりとすぐに取り戻せそうじゃね？
Ａｍａｚｏｎ
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