【図書館の天才少女 ２ ~本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!~】 蒼井 美紗／緋原ヨウ カドカワBOOKS
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本好き官吏マルティナ、召喚してしまった聖女のために奔走します!
本が大好きで、王宮図書館の本を求めて官吏となったマルティナ。その特殊な記憶力を発揮して活躍し、ついには世界を救うために聖女召喚を成功させたが、それは聖女を元いた世界から引き離すことだった。世界を救おうとしてくれる聖女を必ず元の世界に帰そうと、聖女送還の方法を求めて再びマルティナは奮闘を始める!
だが、そんな彼女たちを尻目に、聖女を取り巻く様々な思惑は不穏な様相を呈しはじめ――。
召喚された聖女ハルカが、メンタル聖女すぎる。
魔物をうみだす瘴気溜まり。世界各地に発生しだしたその瘴気溜まりによって危機的状況に陥りつつある中、マルティナが文献の中から探り当てた千年前の同じような危機に、異世界から聖女を召喚し聖女の浄化によって危機を脱したという記述をもとに、幾つもの断片を収集して聖女召喚の魔法陣をなんとか構築。
そうして、世界を救う切り札として、伝説の聖女の召喚に成功したわけだけれど……。
現れた聖女は、別の世界で学生として平和に過ごしていたただの少女だったのです。
ハルカという名前の少女は、突然見知らぬ土地に飛ばされて混乱し、元の場所に帰して欲しいと泣き崩れてしまうのでした。
そんなハルカを眼の前にして、自分達が別の世界から普通の人間を、この世界とは何の関係もない普通の女の子を拉致してしまったのだと気がついて蒼白となるマルティナたち。
マルティナたちにとって、聖女召喚というのは天上の世界みたいなところから、女神とか精霊とかみたいなもっと概念的な、或いは超人的な存在が降臨してきてくれて、この世界の危機を解決してくれるというイメージしか持っていなくて、まさか自分たちと同じような普通の人間が召喚されてくるとは想像もしてなかったみたいなんですよね。
小説や漫画でその手の事象を山程嗜んでいる自分達のような読者サイドと違って、マルティナたちにとって召喚というのは全く未知の事象であり、具体的なイメージが出来ていなかった、というのも無理からん所ではあるんですよ。聖女召喚だって、マルティナが見つけた古文書にかかれていたもので、今のこの世界の人たちにとって召喚魔法とか全く知らないものだったわけですしねえ。
ただここでちゃんと、心優しいマルティナだけじゃなくて、ラクサリア王国の人たちみんなが、これはとんでもないことをしてしまった、とちゃんとハルカに対して大変な罪を犯してしまった、とても申し訳ないことをしてしまった、という罪の意識を抱いてくれたのは幸いのことでした。
瘴気だまりをなんとかしないことには世界が滅びてしまうので、ハルカにはどうにか聖女として助けてもらわないといけないのは間違いないんですけれど、それはあくまでこちらの都合でしかありませんからね。それを押し付けてしまうことへの罪悪感をしっかりと持ち、ハルカに対して誠実に、真摯に接し続けたことが彼女の信任を得るのに大きく作用したことは間違いないでしょう。
マルティナだけが親身になって接したとしても、そう簡単にはいかなかったはず。
それはそれとして、この世界の人たちが本当に困っているみたいなので、それをどうにか出来るのが自分だけだというのなら、何とか力になりたい、と言ってくれるハルカさんが、メンタルまじで聖女なんですよねえ。
どうやら元の世界でも両親がいない苦学生の身の上で、持たざるからこそ他者に対して献身的な振る舞いを普段からしていたような子らしく……つまり元から聖女みたいな子だったんだよ。
おまけに、かなりの本好きらしくマルティナとあっさり意気投合。拉致同然に連れてこられたにも関わらず、快く協力してくれることになり、ラクサリア王国サイドもこれはもう何としてでもハルカに報いなければ、というこういう展開としては望外なくらいお互いに信頼しあえる関係になれたわけです。
特に、マルティナはその完全記憶能力と、記憶した情報を精査解析検証運用構築できる超AIかよ、という能力を使って、ハルカに教えてもらった日本語から短期間に通常会話が出来るまでにマスターしたことで、余計に親密に。って、外国語どころか殆ど未知の異世界言語を僅かな時間で習得できるって、ハルカ自身がもうスパコンみたいなんですよね。完全記憶能力が看板になってますけれど、記憶の能力はこれ彼女の全能の一端に過ぎないよなあ。
ハルカが回復魔法浄化魔法に留まらず、それもう「聖女ビーム」でいいんじゃないですか？ というような光線みたいな攻撃魔法まで習得して、攻防一体のワンマンアーミーみたいになっていく一方で、マルティナの方は未知の魔物相手でも的確に特徴から習性、弱点、攻略法を記憶した情報から導き出し、最前線で戦う騎士たちに直で伝えていく情報参謀みたいな活躍っぷりを見せて、これ何事か起こったらマルティナ召喚！！ が完全に正解になっちゃってるな。文献に載っていなかった全く正体不明の怪物に対しても、的確に正体解析して、攻略法のとっかかり見つけてくれましたからねえ。あまりにも便利すぎる、マルティナさん。
聖女ハルカの浄化魔法によって瘴気溜まりを消滅させていく一方で、ハルカを元の世界に帰らせるための帰還のための送還魔法陣の情報を探し、さらに聖女に頼らない瘴気溜まり消滅の方法を探るために、寝る間も惜しんで働くマルティナ。無理やり休みをとらせようとしたら、寝室に本を持ち込んで睡眠時間を削って好きな本を読む、という暴挙をやらかし、こいつどうしてくれよう、と皆から寄って集って叱られるマルティナさんｗ
しばらく休暇をとらせて、働き出してから帰っていなかった実家の方に帰郷したりもしたのですけれど、その時も護衛兼監視役で上司のロランがついていくことになったくらいですからねえ。
まあ、実家の方でも地元の本屋や図書館を周り、ロランにも荷物持ちさせて大量の本を持って職場に帰ってくることになったわけですけれど。この子、国会図書館に放り込んであげたいわ。
しかし、形として男連れで実家に戻ったことになり、お父さんにそういう関係だと思われたロランさんがとばっちりである。いや、ロランさんはマジでマルティナとはそういう関係じゃないですよね？ ロランさん、特にそういう意識ないですよね？
どちらかというと、ソフィアン王子の方がマルティナの事気にしているように思っていたのだけれど、ここしばらくはハルカの旅の方に同行していてそれどころじゃなかったからなあ。色恋沙汰の方はしばし目立ったイベントはないかもしらん。
Ａｍａｚｏｎ
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