【大魔導士と呼ばれた侯爵令嬢〜世界が汚いので掃除していただけなんですけど……〜 1】  K1you/パルプピロシ TOブックス

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黒いモヤモヤに汚染された異世界。綺麗好きなアラサーOLが転生したのは、ヴァンデル王国侯爵令嬢スカーレット・ノースマークだった。世界に蔓延る“モヤモヤ”は自分にしか見えないと知り「私が綺麗にするしかない!」と彼女が手に取ったのは、箒。好奇心旺盛、天真爛漫な彼女は、遊び感覚で徹底的に掃いて掃いて掃きまくるが──ある日、なぜか規格外の魔法が使えるようになっていて……!?どんな病も治したり、戦車と対決して撃ち勝ったり。家族はもちろん、王立学院では王族すらも驚かしていくのであった。箒は友達! お転婆姫が王国中の汚れを掃き上げて大魔導士となる、お掃除令嬢の英雄譚!

これって汚物は消毒だ、ヒャッハーーという要素も含まれているんだろうか。汚物っぽいろくでもなさそうな貴族なんかはちょいちょい出てきてるんだけれど、今のところ主人公のお嬢がヒャッハーして隠滅しているような事はないのだけれど。
お掃除要素は、今のところ幼少期に彼女だけに見えていた魔力の素と思しきバッチそうなまっくろくろすけを、幼児特有の真似っ子遊びと思われていたみたいだけれど、せっせとお掃除のマネをして祓っていたくらいで、これもある程度成長してこのばっちいのがどうやら他人には見えていないこと。魔力の素みたいなもので、悪いものではないらしいというのがわかってからは、殆どお掃除もしてる様子なくなってます。まあ、それ以外にすることがいっぱい増えた、ということでもあるんですけれど。
ただ、この頃いつもお掃除ごっこしていたこともあってか、お掃除好きと思われていて、魔法の杖代わりに特注の箒を二本贈り物でいただいて、二刀流で振るうことになるんですね。それくらいですか、お掃除要素の名残は。
ただ、魔女と言えば箒ですし、この箒ぜったい掃除するためのものじゃないだろう、というくらいには見た目豪勢で、ってかほぼ魔法少女のステッキですよね、という形状なんだよなあ。実際、なかなか良いデザインである、イラストグッジョブですね、このあたり。
主人公のスカーレットの格好も、見るからに魔女っ子とか魔法少女っぽくてこれがなかなか雰囲気ある。とはいえ、スカーレットの代名詞というとむしろラバースーツなんですけどね。後世に語り継がれる歴史的にもスカーレットと言えばラバースーツらしいですしw

まあそんなこんなで、清掃員を目指しているわけでもこの世の悪を掃除奉る、的なスイーパーとか必殺仕事人の道を歩み始めるでもなく、珍しい無属性ながら優秀な成績を残して名望高い貴族令嬢としての道を着実に歩んでいるスカーレット。
彼女の将来の夢とか目標って、大魔導士と呼ばれたとか言われてますけれど、実際に学生になった際にはその成績や魔法の腕前で才女の名をほしいままにしているのですが、魔法のプロを目指してるってわけでもないんですよね。魔道具の開発や魔法技術の開拓など、凝ってる方面はありますし、常識レベルを遥かに超えた極大魔法なんかを編み出したり、と順調に人間の範疇を超えつつあるのですが、スカーレットにとってそれらは貴族としての義務を果たすための要素に過ぎない……とまではいかないか。楽しくてやっている節もありますし。
ただ、彼女にとって既に目指すべきもの、目標は定まっていて、母のような立派な貴族の女性になる、という志を持っている。あれもこれも、とやりたいことやれることを片っ端からやってるようなものだけれど、それもこれも憧れの母のような女性になりたいという思いを叶えるためのステップなのだ。
戦闘も出来るし、なんなら個人で戦うような相手じゃない戦車でも魔砲でぶち抜けたりもするけれど、特に戦いのセンスがあるわけじゃない、というのは実際の戦いのシーンでも示されているし、彼女自身強く自覚もしてるんですよね。魔道具に関しても、コンセプトを立ち上げ導き出したり、新たな観点をもたらしたり、という大きなキッカケを持ち込んではいるけれど、彼女自身が技術者としてその専門知識を深め掘り下げていくわけではない。ある程度形と方向性を生み出したら専門家に丸投げしてたりしますしね。
そういう意味では、彼女が望むのはスペシャリストではなく、ということなのでしょう。
とはいえ、まだ進むべき明確な形というのが見えてきていないのは、話としては序盤も序盤だから、という部分も大きいのではないでしょうか。

幼い頃から姉代わりとして育ち、今や専属の従者として以心伝心のフランに。学校に通うようになって初めて出来た友達であり、同世代としてはスカーレット並にぶっ壊れの剣士であるオーレリアという二人の掛け替えのない人たちを傍らに、明らかにやらかしてしまいましたね、という業績を早速残しつつあるスカーレット。まだ、明確な作品そのものの方向性というかスタイルというか、形が見えてきていないのですけれど、それはともかくとして話自体が読んでいて楽しいものでした。スタイルがぼんやりしている、というのも中身が薄いとかじゃなくて、全容が見えてきていないというだけなんで、話が進めば進むほど全体像が見えてきそうなスケール感が感じられるので、そういう意味ではまだ定まっていないからこそのワクワク感みたいなものがあって、楽しみがありますなあ。