
【筺底のエルピス 8.我らの戦い】 オキシ タケヒコ/ toi8 ガガガ文庫
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終わらせてなるものか――。
殺戮因果連鎖憑依体――
古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれる脅威と戦ってきた三つの組織は、月の知性体《一二〇》からの電子的侵攻を一時的に封じ、ワームホールゲートの管理権限を失う危機を土壇場で回避した。
それでも世界は、依然として崖っぷちにあった。百刈燈をはじめとする三名の依代が再び肉体を乗っ取られるまで、およそ五十日しか残されていないうえ、白鬼を宿した朋之浦結を奪取すべく、《一二〇》が地上侵攻してくる可能性すら高いのだ。状況を打破する唯一の道は、白鬼の所在を秘匿したうえで、時間切れまでに《一二〇》との和睦を果たすことのみ。
月を目指すロケットが突貫工事で準備され、少女たちが夜空の逃避行を続けるなか、ゲート組織たる《門部》、《ゲオルギウス会》、《I》にて可能な限りの準備と再編が進み、かつて敵だった者まで含め、戦力が続々と集結していく。そんな彼らの前に圧倒的絶望の光景が立ちはだかるとき、集った”我ら”は、いかに戦い抜くのか――。
人類の存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩。終焉に立ち向かう、一致団結の第8弾。
もう4年ぶりになるんですか。筺底のエルピスの最新刊であります。
いや、結構いきなり来たって感じで、心構えが出来ていなくて。心構えというか、よし読むぞ、という態勢が整っていなかったんですよね。
そういう場合は、まず前巻どんな話だったかをもう一度ざっとでも読み直したり、自分でどんな感想書いてたかな、というのを見直したりしてストレッチするんだけれど、この巻に関してはそういう前置きすっ飛ばして、流れでいきなり読み始めちゃったんですよ。
なので、気持ちが入っていない没入していない状態で何となく読み始めてしまって、あれえっとどういう話だったっけ? お? あれ? うーん、およよ? と、なんかふわふわして地に足がついてない状態のままスタートして、そのまま池に浮かんだ蓮の葉の上を訳解んないまま、お?と?と?と4,5歩歩いて進んじゃって、そのままズボンッ! 全身頭の先っぽまで綺麗にハマりましたよ、沼に!!
没入感、やべえぇぇぇ。
お、面白いぃぃぃ。
うわぁぁ、しまった【筺底のエルピス】ってこんなだった。久々すぎて忘れてたぁぁぁ。
待って。ちょっと待って。面白すぎるの待って。
いや、今回はいつもに比べても動き少ないんですよ。ある意味最終局面に向かっての状況は固まってて、超えがたいハードルを全部乗り越えてきたのが今の状況で、人類絶滅カウントダウンに向けて。そして月の知性体《一二〇》の直接侵攻に備えて、狙われている白鬼である朋之浦結は護衛のダブルかなえ達と円盤型UFOでの常時移動による退避。そしてずっと敵対していた《門部》、《ゲオルギウス会》、《I》の三者のゲート組織の結束による迎撃体制の構築。
と、各組織の面々やそれに関わる人達みんなが、世界の終わりに抗うための……今までずっと抗ってきたんだけれど、その終局面に備える展開なのだ。だから、もう劇的に何かが変わる状況というのは今の間はもう無いんですよ。
だからこそ、それぞれの心構えや終末に対しての備え、心境なんかが綴られていくのですけれど……。
なんかねー、思いの外誰も切羽詰まってないんですよ。もう世界が滅びるって状況は押し留められなくて、月の知性体に対しては武力で抗いようがなくって、相手がその気なら人類が何をしようが太刀打ちできない、そんな強大すぎるコズミックな相手なんですよ。可能性があるとしたら、月に直接赴いて対面で、意思疎通の叶わない、既存の生命とは全く異なる価値観を有した異星の創造物と話をすり合わせて、和平を実現するしか無い。
そういう可能性の前提に辿り着くまでに、それこそ絶望のどん底を幾度も潜り抜けてきたのがこのシリーズで、無数の歴史すらも切り捨ててきた、という捨環戦という想像を絶する戦いを繰り広げてきたその末、その終着点が今なわけで。
なんていうんでしょうね。他のシュチュエーション、他の物語の絶望的な状況と比べても、途方もない終末感に置かれた状況なのに、不思議とここが希望の切っ先だという感覚があるんですよね。
登場人物の誰もが、悲壮感に暮れていない。諦めていない。未来を信じてる、なんてわけでもなく、人類が破滅する可能性が高いことは今となっては殆どみんなが事情を知っているのですけれど、皆わかってるんですよ。根拠もなく、楽観的になっているわけでもない。
でも、ほんと誰も暗く投げやりになってない。末端の組織の人員ですら、自分のやるべき事を責任を持って果たそうとしている。人事を尽くして天命を待つ、というのが一番相応しい彼らの在り方、様子の表現なんでしょうかね。
だから、状況はどんどん悪化していっているにも関わらず、雰囲気決して暗くないんですよ。暗くなる状況、鬱になる状況、全部乗り越えてきたもんなあ。やり遂げて乗り越えて飛び越えて、ここまでたどり着いたのだから、もう後はなるようになるし、なるようにしかならないさ、という開き直りにも似た気持ちなのかも知れない。信じてる、というほど浮ついた感じでもないあたりが、逆に頼もしいというべきか。
今回は主要な登場人物だけじゃなくて、ほんと色んな人にスポットあたって、それぞれの様子が描かれるんですよ。《門部》の人間だけじゃなくて《ゲオルギウス会》や《I》といった、これまで敵対していた組織の面々まで。
いやあ……こんな色々とたくさんの人にスポット当てて描かれてしまっては、みんな全員好きになっちゃうじゃないですか! 思い入れ出来まくってしまうじゃないですか!
それはそれとして、エンブリオだけは吐き気を催す邪悪以外のナニモノでもなく、全世界全歴史共通して排除すべき邪悪だったわけですけれど。その被害者から、まさかのあのヒトまでサルベージされるわ、同じく人類の未来に対して害しか与えないだろうな、という人物だったパペッティアが人格ロンダリングしたら、あんな真っ当……というと色々とアレな所もあるけれど、真っ当な人格の持ち主として再登場するとか、なんていうんだろう……こうしてみると登場人物、意外なほど損なわれてないんですよね。外園先輩が、自分のやったことに対して謝って回る機会を得て、それを許してもらえる状況になってる、というのは象徴的でもあるんじゃないでしょうか。
殺されて蘇生もできない有り様になったあの間白田ですら、人格データで復活しましたし。
星カナエは特別としても、本来なら捨環戦で切り捨てられた歴史の中で打ち捨てられるはずだった別の歴史の圭だったり、他にも奥菜さんや阿黍のおっさんまで不死者として残ってるのって、これ捨てられるはずだったものをめちゃくちゃ丁寧に拾い集めてますよねえ。数え切れない歴史の環を、未来を繋ぐために捨ててきた物語だからこそ、何でもかんでも簡単に捨ててしまうんじゃなくて、色んな形で棄てず拾って押し留めて、この終局まで持ってこさせた、どうせならその終局も超えて持ち越そう、という意思を感じさせてくれるじゃないですか。
こういうの、じわじわと嬉しくなってくるんですよね。
そして、組織の人員じゃなくても、結の両親である朋之浦夫妻のように月行きロケットの緊急整備のために奮闘している人達。この両親なんかも結の両親だよなあ、という宇宙バカで。この状況を教えられつつも、宇宙人に攫われそうとか娘が心配なんだけれど、それ以上にちょっと羨ましすぎん!? とかなってるの、あの娘にしてこの両親ありすぎて、なんかもう流石であるよ。こういう人達に、月に行くためのロケット用意してもらってるのって、頼もしすぎません?!
他にも、門部の協力者として戦後からフィクサーになって、政治家を裏から操っていたという御老公と呼ばれるお爺ちゃんとか、内面面白すぎて一気に好きになってしまったんですけれど。政界の裏の妖怪みたいなとんでもない怪物扱いされてる人みたいだけれど、完全に苦労人の阿黍のおっさんの被害者じゃないですか。でも、あの人に振り回され怯え泣きそうになりながら頑張ってきた人なんだけれど、その心の片隅には阿黍への連帯感やら友情じゃないんだけれど、力になれてた事に対する人生への充足感みたいなのが感じられて、なんか潤ってしまいました。こういうお爺さん好きだわあ。
次世代に丸投げして押し付ける気満々なのも含めて。でも、世界の終わりについて教えられているのに、当たり前みたいに次世代のこと考えてるの、阿黍さんへの信頼感みたいなものもあって、これもさあ……潤うよねえ。
そして、ゲオルギウス会のミケーラ修道女や、iの狙撃手「ティン・ガン」のヒルデ・トールヴァルト。そして空飛ぶ未確認飛行物体UFO・火星人の運送屋(マーシアン・タクシーズ)のマーシアンたち。
いやもう、これ絶対みんな好きになるでしょ。それぞれのエピソード、みんなちょっと良すぎですよ。キャラクターとしての魅力が詰まりすぎている。ミケーラなんか、最初ただのヤバイサイコな壊し屋にしか思えない子だったんじゃなかったっけ。それが、結やかなえズたちと一緒に行動するようになって、こんな面白い子だったとは。となって、さらに悲惨な境遇から壊れていた情緒がどんどん戻ってきて、とこんなん好きになるに決まってるじゃないですか。
そして、月からすると裏切り者となる各ゲート組織の要となる寄生端末の依代たち。門部の当主である百刈燈。この子、ほんと凄いよねえ。メンタルが強いというより、アグレッシブの固まりというべきか。寄生端末の依代となった影響で、体は殆ど機能していないにも関わらず、これだけ食わせ者というかイイ性格しているというか、どんな状況だろうと楽しんでいるような。この巻のラストに至っては価値観の通じない相手であるはずの月の知性体に対して、煽るわおちょくるわ散々言葉で翻弄した挙げ句の宣戦布告ですからねえ。あれは、燃えた。
人類、捨てたもんじゃないんだよ。人間舐めるなエイリアン。
それはそれとして、同じ寄生端末の依代として、ゲオルギウス会や「i」の主として大切に据えられていたサリエル十三世やメリクリウスくん。二人共品行方正、真面目に自分の宿命に勤しんでいたっぽいのですけれど、ゲート組織が奇跡的な和解を迎えて交流がはじまった途端、燈の影響を受けて廃ゲーマーと化してしまったの、これ取り返しのつかない被害被ってません!? 堕落させられてる。アホ妹が悪徳を垂れ流しとるw 完全にうちの妹が大変もうしわけありません謝罪案件だ。
これが不自由な境遇に押し込まれた幼い子供たちがはじめて得た解放であり交流、遊びの場であったらまだ格好つくのですけれど、他の子らがまだ十代の子供なのに対して、見た目容姿は成長なく幼くとも、百刈燈22歳。幼気で無垢な男の子たちを退廃に引きずり込んだ、間違いなく悪女であるw
表紙絵の真ん中の少女(22)だよ! 傍らのエナドリの存在感w
まだ表紙絵だとヘッドホンしているとはいえ、清楚で神秘的にも見えなくもないですけれど、ラストの月の知性体を煽ってるときのシーンの挿絵は、めちゃくちゃ悪そうな顔してるぞ! 実にイイ顔で、ゾクゾクしてしまいましたが。
最終章「絶望時空」という名前と裏腹の、絶望に敢然と立ち向かう、気負わずやるべきことをやり通して、胸を張ってよっしゃーやったるぜ!と終わりに挑む人類の、そう次が次こそがほんとのラスト。最終巻にして完結編。こんなにもワクワクしてしまう終末は、あんまり記憶にございません。
なんか、ズボンとハマって以降は心がピョンピョンしっ放しの終幕前のお話でした。文句なしに面白かった。読んだったーー、という満足感がたまらん!!
追記:ギスラン猊下、今回は出番少なかったけれど、たとえ少なかろうがやっぱり最萌すぎるよギスラン猊下!
いや、結構いきなり来たって感じで、心構えが出来ていなくて。心構えというか、よし読むぞ、という態勢が整っていなかったんですよね。
そういう場合は、まず前巻どんな話だったかをもう一度ざっとでも読み直したり、自分でどんな感想書いてたかな、というのを見直したりしてストレッチするんだけれど、この巻に関してはそういう前置きすっ飛ばして、流れでいきなり読み始めちゃったんですよ。
なので、気持ちが入っていない没入していない状態で何となく読み始めてしまって、あれえっとどういう話だったっけ? お? あれ? うーん、およよ? と、なんかふわふわして地に足がついてない状態のままスタートして、そのまま池に浮かんだ蓮の葉の上を訳解んないまま、お?と?と?と4,5歩歩いて進んじゃって、そのままズボンッ! 全身頭の先っぽまで綺麗にハマりましたよ、沼に!!
没入感、やべえぇぇぇ。
お、面白いぃぃぃ。
うわぁぁ、しまった【筺底のエルピス】ってこんなだった。久々すぎて忘れてたぁぁぁ。
待って。ちょっと待って。面白すぎるの待って。
いや、今回はいつもに比べても動き少ないんですよ。ある意味最終局面に向かっての状況は固まってて、超えがたいハードルを全部乗り越えてきたのが今の状況で、人類絶滅カウントダウンに向けて。そして月の知性体《一二〇》の直接侵攻に備えて、狙われている白鬼である朋之浦結は護衛のダブルかなえ達と円盤型UFOでの常時移動による退避。そしてずっと敵対していた《門部》、《ゲオルギウス会》、《I》の三者のゲート組織の結束による迎撃体制の構築。
と、各組織の面々やそれに関わる人達みんなが、世界の終わりに抗うための……今までずっと抗ってきたんだけれど、その終局面に備える展開なのだ。だから、もう劇的に何かが変わる状況というのは今の間はもう無いんですよ。
だからこそ、それぞれの心構えや終末に対しての備え、心境なんかが綴られていくのですけれど……。
なんかねー、思いの外誰も切羽詰まってないんですよ。もう世界が滅びるって状況は押し留められなくて、月の知性体に対しては武力で抗いようがなくって、相手がその気なら人類が何をしようが太刀打ちできない、そんな強大すぎるコズミックな相手なんですよ。可能性があるとしたら、月に直接赴いて対面で、意思疎通の叶わない、既存の生命とは全く異なる価値観を有した異星の創造物と話をすり合わせて、和平を実現するしか無い。
そういう可能性の前提に辿り着くまでに、それこそ絶望のどん底を幾度も潜り抜けてきたのがこのシリーズで、無数の歴史すらも切り捨ててきた、という捨環戦という想像を絶する戦いを繰り広げてきたその末、その終着点が今なわけで。
なんていうんでしょうね。他のシュチュエーション、他の物語の絶望的な状況と比べても、途方もない終末感に置かれた状況なのに、不思議とここが希望の切っ先だという感覚があるんですよね。
登場人物の誰もが、悲壮感に暮れていない。諦めていない。未来を信じてる、なんてわけでもなく、人類が破滅する可能性が高いことは今となっては殆どみんなが事情を知っているのですけれど、皆わかってるんですよ。根拠もなく、楽観的になっているわけでもない。
でも、ほんと誰も暗く投げやりになってない。末端の組織の人員ですら、自分のやるべき事を責任を持って果たそうとしている。人事を尽くして天命を待つ、というのが一番相応しい彼らの在り方、様子の表現なんでしょうかね。
だから、状況はどんどん悪化していっているにも関わらず、雰囲気決して暗くないんですよ。暗くなる状況、鬱になる状況、全部乗り越えてきたもんなあ。やり遂げて乗り越えて飛び越えて、ここまでたどり着いたのだから、もう後はなるようになるし、なるようにしかならないさ、という開き直りにも似た気持ちなのかも知れない。信じてる、というほど浮ついた感じでもないあたりが、逆に頼もしいというべきか。
今回は主要な登場人物だけじゃなくて、ほんと色んな人にスポットあたって、それぞれの様子が描かれるんですよ。《門部》の人間だけじゃなくて《ゲオルギウス会》や《I》といった、これまで敵対していた組織の面々まで。
いやあ……こんな色々とたくさんの人にスポット当てて描かれてしまっては、みんな全員好きになっちゃうじゃないですか! 思い入れ出来まくってしまうじゃないですか!
それはそれとして、エンブリオだけは吐き気を催す邪悪以外のナニモノでもなく、全世界全歴史共通して排除すべき邪悪だったわけですけれど。その被害者から、まさかのあのヒトまでサルベージされるわ、同じく人類の未来に対して害しか与えないだろうな、という人物だったパペッティアが人格ロンダリングしたら、あんな真っ当……というと色々とアレな所もあるけれど、真っ当な人格の持ち主として再登場するとか、なんていうんだろう……こうしてみると登場人物、意外なほど損なわれてないんですよね。外園先輩が、自分のやったことに対して謝って回る機会を得て、それを許してもらえる状況になってる、というのは象徴的でもあるんじゃないでしょうか。
殺されて蘇生もできない有り様になったあの間白田ですら、人格データで復活しましたし。
星カナエは特別としても、本来なら捨環戦で切り捨てられた歴史の中で打ち捨てられるはずだった別の歴史の圭だったり、他にも奥菜さんや阿黍のおっさんまで不死者として残ってるのって、これ捨てられるはずだったものをめちゃくちゃ丁寧に拾い集めてますよねえ。数え切れない歴史の環を、未来を繋ぐために捨ててきた物語だからこそ、何でもかんでも簡単に捨ててしまうんじゃなくて、色んな形で棄てず拾って押し留めて、この終局まで持ってこさせた、どうせならその終局も超えて持ち越そう、という意思を感じさせてくれるじゃないですか。
こういうの、じわじわと嬉しくなってくるんですよね。
そして、組織の人員じゃなくても、結の両親である朋之浦夫妻のように月行きロケットの緊急整備のために奮闘している人達。この両親なんかも結の両親だよなあ、という宇宙バカで。この状況を教えられつつも、宇宙人に攫われそうとか娘が心配なんだけれど、それ以上にちょっと羨ましすぎん!? とかなってるの、あの娘にしてこの両親ありすぎて、なんかもう流石であるよ。こういう人達に、月に行くためのロケット用意してもらってるのって、頼もしすぎません?!
他にも、門部の協力者として戦後からフィクサーになって、政治家を裏から操っていたという御老公と呼ばれるお爺ちゃんとか、内面面白すぎて一気に好きになってしまったんですけれど。政界の裏の妖怪みたいなとんでもない怪物扱いされてる人みたいだけれど、完全に苦労人の阿黍のおっさんの被害者じゃないですか。でも、あの人に振り回され怯え泣きそうになりながら頑張ってきた人なんだけれど、その心の片隅には阿黍への連帯感やら友情じゃないんだけれど、力になれてた事に対する人生への充足感みたいなのが感じられて、なんか潤ってしまいました。こういうお爺さん好きだわあ。
次世代に丸投げして押し付ける気満々なのも含めて。でも、世界の終わりについて教えられているのに、当たり前みたいに次世代のこと考えてるの、阿黍さんへの信頼感みたいなものもあって、これもさあ……潤うよねえ。
そして、ゲオルギウス会のミケーラ修道女や、iの狙撃手「ティン・ガン」のヒルデ・トールヴァルト。そして空飛ぶ未確認飛行物体UFO・火星人の運送屋(マーシアン・タクシーズ)のマーシアンたち。
いやもう、これ絶対みんな好きになるでしょ。それぞれのエピソード、みんなちょっと良すぎですよ。キャラクターとしての魅力が詰まりすぎている。ミケーラなんか、最初ただのヤバイサイコな壊し屋にしか思えない子だったんじゃなかったっけ。それが、結やかなえズたちと一緒に行動するようになって、こんな面白い子だったとは。となって、さらに悲惨な境遇から壊れていた情緒がどんどん戻ってきて、とこんなん好きになるに決まってるじゃないですか。
そして、月からすると裏切り者となる各ゲート組織の要となる寄生端末の依代たち。門部の当主である百刈燈。この子、ほんと凄いよねえ。メンタルが強いというより、アグレッシブの固まりというべきか。寄生端末の依代となった影響で、体は殆ど機能していないにも関わらず、これだけ食わせ者というかイイ性格しているというか、どんな状況だろうと楽しんでいるような。この巻のラストに至っては価値観の通じない相手であるはずの月の知性体に対して、煽るわおちょくるわ散々言葉で翻弄した挙げ句の宣戦布告ですからねえ。あれは、燃えた。
人類、捨てたもんじゃないんだよ。人間舐めるなエイリアン。
それはそれとして、同じ寄生端末の依代として、ゲオルギウス会や「i」の主として大切に据えられていたサリエル十三世やメリクリウスくん。二人共品行方正、真面目に自分の宿命に勤しんでいたっぽいのですけれど、ゲート組織が奇跡的な和解を迎えて交流がはじまった途端、燈の影響を受けて廃ゲーマーと化してしまったの、これ取り返しのつかない被害被ってません!? 堕落させられてる。アホ妹が悪徳を垂れ流しとるw 完全にうちの妹が大変もうしわけありません謝罪案件だ。
これが不自由な境遇に押し込まれた幼い子供たちがはじめて得た解放であり交流、遊びの場であったらまだ格好つくのですけれど、他の子らがまだ十代の子供なのに対して、見た目容姿は成長なく幼くとも、百刈燈22歳。幼気で無垢な男の子たちを退廃に引きずり込んだ、間違いなく悪女であるw
表紙絵の真ん中の少女(22)だよ! 傍らのエナドリの存在感w
まだ表紙絵だとヘッドホンしているとはいえ、清楚で神秘的にも見えなくもないですけれど、ラストの月の知性体を煽ってるときのシーンの挿絵は、めちゃくちゃ悪そうな顔してるぞ! 実にイイ顔で、ゾクゾクしてしまいましたが。
最終章「絶望時空」という名前と裏腹の、絶望に敢然と立ち向かう、気負わずやるべきことをやり通して、胸を張ってよっしゃーやったるぜ!と終わりに挑む人類の、そう次が次こそがほんとのラスト。最終巻にして完結編。こんなにもワクワクしてしまう終末は、あんまり記憶にございません。
なんか、ズボンとハマって以降は心がピョンピョンしっ放しの終幕前のお話でした。文句なしに面白かった。読んだったーー、という満足感がたまらん!!
追記:ギスラン猊下、今回は出番少なかったけれど、たとえ少なかろうがやっぱり最萌すぎるよギスラン猊下!























































































































































































































































































































































































































































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エンブリオの部下の末路見せられたら「廃棄未来の奥菜さんまだマシだった〜!」「門部仲間たち人間でよかった〜!」と感覚がバグりました。
ジャファルさんはなんだか有能で不憫で、別時空の黒歴史やらで圭と仲良くなれそうな方でしたね。
八岐
が
しました