【骨姫ロザリー 2.死者の力を引き継ぐ最強少女、騎士を目指し大海を舞う】  朧丸 /みきさい オーバーラップ文庫

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死者を操る最強少女、呪われた幽霊船を支配する!!

最強の力を隠して魔導学園に入学するも、友人たちを守るために正体を明かしてしまった死霊騎士(ネクロマンサー)の少女・ロザリー。
危険な存在として王国に捕らえられたロザリーだったが、その能力を王に認められ、国に力を貸すことを条件に無事解放さ
れる。
学園へと戻ったロザリーは、魔導を持たず虐げられている少女・ラナ、双子の魔導具技師・ロブ&ロイと共に王都を出て「騎士実習」に向かうことに。
しかし、道中立ち寄った港町で初めての海を前に大はしゃぎする一行を待っていたのは、呪われた幽霊船と危険な海賊達、そして伝説の恐ろしい怪物で……!?
死者を操る最強少女が海上でも華麗に舞う無双ファンタジー、第二幕!!



前巻、まさかあのタイミングでロザリーが死霊騎士である事がバレてしまう……友人達を救うために正体を明かすことになるとは思いもよらなかったので、かなり驚かされたんですよね。
てっきり、ネクロマンサーである事は隠したまま、バレたら人間たちに追われ迫害される危険を抱えつつ、こっそりとその力を使いながら人間たちの中で生徒として歩んでいく。その過程で何人かの友達には身バレして、みたいな感じで話が進んでいくと思っていたので。
親しい少数の人間どころか、公になっちゃいましたよ。大々的に死霊騎士と知れ渡っちゃいましたよ。何百年も前とはいえ、師匠のヒューゴが腐肉使いとして忌み嫌われ、最後は追討されてしまった経緯を見ているだけに、排除排斥されてしまうのかとヒヤヒヤしていたら、まさかの司法取引みたいな感じで放免ですからね。
薄々、ネクロマンサーである事に気づいていたらしい校長といい、その力を利用するつもりだとは言え後ろ盾になり身分保障までしてくれた宮中伯コクトーといい、大人たちによる扱いが思いの外親身でこれは本当に意外だった。
そして、死者を使うというネクロマンサーという、まあ悍ましい能力だよね。そんな力を振るうロザリーに対して、ようやく出来た人間の友達たち。学友たちがどういう反応を示すのか、というのは心配も心配でしたよ。距離を置かれるくらいならまだしも、拒絶し蔑まれ敵意むき出しにされたら、ダメージ食らうなんてもんじゃないですからね。
でも、一部にこそそういう人間はいたものの、これまでの学校生活で親しくなった友達たちはみんなロザリーの能力も、その強さもちゃんとそれぞれに咀嚼して受け止め、受け入れてくれたのは心から良かったなあ、と思う。
ロザリーが正体を明かしたのは、その友達らを守るためだったんですからね。その行いに対して正統な報いはあって然るべき。この場合、ロザリーは大きなリスクを負ったその行いに対して、ちゃんと報われたわけだ。ロザリーに絡んできた連中に対して、オズやロロの啖呵は気持ち入ってて伝わるものがあったなあ。そして、ライバルとしてその隣に立てるほどの実力がなかった事に歯噛みするグレン。いいなあ、男の子だなあ。ロザリーの本当の実力を見たうえで、悔しくて惨めで八つ当たりまでして、それでも真っ向から張り合える。親友として並び立つんだ、と吠えられる。男の子してますなあ。まあ、いつまで親友とか言ってられるか、という話ですけれど。若い若い。

しかし、そうやって受け入れられる一方で、ロザリーを危険視する勢力は国の上層部にも厳然と存在する。正当な手続きをもっての処分は宮中伯コクトーらによって阻止されたが故に、謀略によってロザリーの立場を貶め、謀殺しようと幾つもの魔の手を伸ばしてくるのだけれど。
こういう場合、師匠のヒューゴが背後をこっそりと守っている、というのはめちゃくちゃ頼もしいですよね。ロザリー以外には誰にもその存在を知られていない、ロザリーに庇護している何者かがいる、という事実を一切知られていない、というのは凄まじい主導権ですよ。
それも、正体を偽り、公の身分まで手に入れて、影に徹するだけじゃなくて表でも堂々と立場と権力を使ってロザリーを庇護しているのですから。
男にも女にも化け、ときにロザリーの所属する教室の担任教師に。ときに、ロザリーが騎士実習で送られる地についてくる指導教官に。姿形、性別も思いのままに入れ替えて、ロザリーを守ってるんですから。ロザリー自身、死霊使いとしても剣士としても一流の力を有しているものの、謀略やら政治やらはとんと未経験で身の守りかたもまだ経験が浅い段階ですからね。ヒューゴがいなかったら、速攻で罪をでっち上げられて、なし崩しに処分されてしまっていたでしょう。

さて、学園に復帰したロザリーですけれど、復帰早々学園をでないといけないはめに。これはロザリーだけじゃなくて、同じ学年の人はみんな騎士実習というのを受けるために、指導騎士をつけられて各地に派遣されることになるんですね。数ヶ月から一年くらいというから、かなり本格的長期間だ。
というわけで、グレンたちとはここで一旦お別れ。一巻で特に親しくなっていた連中とはまた別に、無色で初めての騎士を目指すというラナと、受験の際に知り合ったロブとロイという双子の魔導具作製の職人コンビとともに、後ろ盾のコクトー卿の依頼を解決するために、一路ロザリーにとっての初めての海。多くの交易船が出入りする貿易港へと赴くのが今回のメインコンテンツ。

そう、普段なら交易の為に訪れる船と積荷、そして国際色豊かであろう人々によって賑わっているはずの港は、近海に現れたという巨大な海洋生物が行き交う船を襲いまるごと飲み込んでしまう、という魔物被害によって閑散となってしまっていたのでした。

海物語定番の、港を封鎖する海の巨大モンスターを退治せよ、というあれですよ。
しかも、お約束である海賊船に、幽霊船。とどめに、近隣で船を襲っている怪物は鯨の化け物で、丸呑みにされた船は、そこに乗っていた船員たちごと鯨のお腹の中で生きていて、という海洋を舞台とした物語としてはピノキオか聖書以来の古き良き古典である。
ちなみに、海賊船はともかく、幽霊船は自分らじゃないか、ロザリーさんたち。ロザリーの召喚した「野郎ども」ことスケルトン軍団によって動かされる船は、普通どう見ても幽霊船である。
乗り込んできた海賊の皆さん、ご愁傷さまです。そりゃ、乗ってるのは見知った港町の公務員のお姉さん。行方不明の町長の捜索に出てきた船だと思うよねえ。それが、襲いかかって乗り込んでみたら、中に蠢いているのは骨の群れ、ですから、そりゃ怖いよ!!

ロザリーも、もう正体を隠さずに済むようになったので、気兼ねなく剣士としてもネクロマンサーとしても能力を発揮できるので、結構イケイケドンドンで痛快でした。
同行メンバーのラナも、ロブ&ロイも今更ロザリーにビビることもなく、ってか三人ともキャラ濃いですよね! 学校で親しくなった友達、みんなそれぞれみんなキャラ立ってるのは先々考えてもイイよなあ。

と、面白かったんですけれど、一巻が起承転結波乱万丈のロザリーの半生がドッタンバッタン転がりまくってたのに比べると、この港町での怪物退治で話が終わっちゃったのは、あれもう終わり!?と感じてしまったほどで、いや実は本来の騎士実習の目的地の南ランスローにはまだたどり着いてもいないんですよね。話あんまり進まなかった!? ページ数が少ないってわけでもないので、それだけ一気に読んでしまうほどお話に没頭していた、とも言えるんでしょうけれど。
もうちょっと読んでたかったなあ、という感じではありました。でも、それだけロザリーたちの冒険譚が面白かったってことだなこれは。それだけに、次回が楽しみ。