【かくして少年は迷宮を駆ける ３．色欲の迷宮と役立たずの魔法使い】 あかのまに／深遊 MFブックス
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灰の少年が迷宮の奥で手にした力は!? 王道×本格ファンタジー第3巻!
死霊の軍勢と恐るべき幼竜を打ち破ったウル達は、ディズと共に魔術大国【大罪都市国ラスト】に辿り着いた。新たな賞金首、毒花怪鳥討伐に向け、死霊騎士ロックと共に鬱蒼と木々茂る迷宮を駆けるウル。そこで彼等が出会ったのは、無比の力と引き換えにとてつもない問題を抱えた小人(コロポ)の魔女 リーネだった。
一方、魔術を磨くため魔術学園へ編入したシズクは、その美貌で学園中に喜声と混乱を巻き起こし――!?
奇抜な戦闘を行う毒花怪鳥に対抗すべく、ウル達も奇策を練り、小さな魔女と共に決戦へ挑む!
しかし激闘の最中、迷宮の深層にて、底知れぬ白き悪意が表層へとその蔓を延ばしていた。その意識向く先とは――!?
そして、色欲の迷宮で凡庸なる灰の少年が手に入れる力とは……。
迷宮冒険活劇、第三巻!!
シズクだけじゃなく、ディズまで魔術学園の制服を着こなしているものだから、あれ？学園編はじまる！？ と、思ったらはじまったのはサークルクラッシャーならぬ学園クラッシャーの蹂躙劇だった。
お？ お？？ おお？？ し、シズクさん？ シズクさん！？ 何してらっしゃるのシズクさん！！？？ シズクさんッッッツッ！！！！
え、待って待って待って、シズクさんとウルを別行動させるというのは、捕食者（プレデター）を制御不能のまま餌場に解き放つようなものなの！？
彼女が絶世の美女、というのはわかっていたので、そりゃあこんな美人さんが編入してきたら学生なんぞイチコロで魂奪われちゃうだろうなあ、とは想像していたので、シズクも天然だから無自覚にえらい騒ぎを起こしてしまうんだろうなあ、と思ってたんですけどね！ ですけどね！！？
思ってたより百倍やべえよ、この女ｗ
ちょ、なんでいきなり学園に通っている有力者の子弟片っ端から籠絡してんの！？ 媚び売って取り入って気に入られて魅了して、いつしかシズク無しでは平静を保てないくらいに傾倒させてるんですけど！？
無自覚どころか、完全に自覚的に意図的に、自分に夢中にさせてしまって心を奪い、魂を縛り、麻薬のように離れがたくして、正気を喪わしめているんですけど、この女！？
こわっ、こわっ。
ガチの傾国じゃないですか。しかも、意図せず魅了してしまうのではなく、明確に手練手管を駆使して籠絡して、自分に依存させてしまってる。
なにこれ、悪役令嬢が主人公のお話で攻略対象を魅了して逆ハーレムを作っちゃう敵役の正ヒロインみたいなことしてるんですけど、シズクさん！？
幸か不幸か、この物語における魔術学園には悪役令嬢はいなかったわけだが、いなかったらそれを止める人がいない、というわけで、えらいことになってるんだが！？
恐るべきは、というか恐ろしいことに、シズクはこれを野心とか欲望、承認欲求や愛情を求めて、という意味でやってるんではなくて……純粋に善意で男連中の心を弄び、支配し、征服し、屈服させ、バキバキにへし折ったのである。元々、彼女が目をつけて引っ掛けた男連中らは権力に酔いしれてやりたい放題やらかしていた連中なんだけれど、シズクはどうやら彼らを暴君にしてしまったコンプレックスの存在を見抜いて、暴き立て、歪んでしまっていたそれを一度木っ端微塵にぶち壊した、ということらしい。善意で。
粉々に粉砕した上で、自らの手で再構築……バラバラに壊れてしまったそれを組み立て直してあげよう、善意で、としていたみたいなんだけれど、それは直前で心ある先生に止められてるんですよね。そこまでしてしまうと、完全にシズクの支配、或いは洗脳によって人格から別人のシズクの奴隷みたいになってしまっていたんじゃないだろうか。でも、悪意はないんですよ。善意なんですよ。さながら、聖女のふるまいである。同時に、完全に悪女のふるまいである。魔性の女以外のなにものでもなく、しかしその動機も心の在りようも純粋であり厚意であり善意であり無垢である。聖女なのだ。
まさに魔性の聖女。
なお、やらかしがバレてウルに正座させられた上で説教食らっているのだけれど。
ウルが完全にシズクの倫理回路であり、制御システムなんだが。シズクが自分を所有物と規定して、ウルに自分の所有者たるを望んでいるのは、こういう意味合いもあるからなのか。
とりあえず、ウルから離れると高確率でやらかすことは理解した。ふと目を離すと、すぐに聖母の微笑を浮かべたまま人の心をべきべきにへし折ってしまうというのを理解したｗ
ウルはよく、この子の魔性に惑わないよなあ。そもそも、シズクがウルにそういう事をする余地がないっぽいんですよね。必要がないし、意味がない。
なんか、そういう部分でウルって迷わないし惑わないのだ。もちろん、行動に迷ったり、これからどうするべきかで模索したり、いつも走り回っているわけではなく、むしろ慎重居士熟慮熟考の側の人だろう。
でも、人に対しては、人間と向き合うことに関しては、土壇場修羅場ここぞというとき、いざというとき、この少年は一切迷わない、躊躇しない。果断と決断と覚悟と一意専心の化身とすら言える。
ウルのこういう時の迷いのなさは、その向かい側にいる人間から言葉を失わせる。その果断に絶句し、魅入られる。そこに勇者も巫女も死霊も兵器も関係なく区別はない。
何が凡庸だよ、果断の怪物じゃないか。
今回の冒険、今回の賞金首となるモンスターの討伐にあたっての決断もすごかった。どう考えても、いやまじでどう考えても戦闘のパーティーに加えるには大きな問題がありすぎる、戦力と見做すには越えるべきハードルがウォール・マリアくらいありそうな今回の新キャラである魔女リーネの加入を認めるか否かの問題で、彼はそのデメリットではなくメリットの方を注視して、越えないといけないハードルがあるなら、越えたらもうメリットしかないよね、くらいの軽さ……軽いというのはちょっと違うけれど重視する問題じゃない……いや、重視はちゃんとしてるんだが。でも、すぐに前提となる問題をどうやってクリアするのか、という方に意識を向けていて……その半生、いや代々その術を受け継いできた一族がずっと抱え込み、その障害の高さに苦しみ衰退の一途を辿っていた末の末であるリーネにとって、ウルのその姿勢は衝撃であっただろう。
実際、リーネの術の問題を、ウルは凄まじい方法で解決……少なくとも、どうやったって使えないという所から条件付きながらも活用できる段階まで持っていったのだから、とんでもない。
いや、マジでとんでもないんだよ。さすがにリーネの抱える問題は、今まで色んな作品読んできたけれど戦闘パーティーの一員としては論外に等しい。いやこんなん、どない使えっちゅうねん！と、誰でも突っ込むし否定するし、パーティーに入れようとは思わんでしょう。
これはいくら何でもさすがに無理だよ。実戦向きとは間違ってもいえない。これを使える、とウルが判断したときは、わかっていても「はぁ！？」と目を向いてしまいましたよ。話の展開上、リーネが仲間入りするのは間違いないものでしたけれど、それはそれとしてどうやっても使えないでしょう、彼女の魔術は。
これを使えるって判断したという事はすなわち……ウル自身が後衛となるリーネに問うているんですけれど、意味わからんほどの覚悟が必要なんですよ。ウル自身、前衛として想像を絶する、ほんとに意味わからんほどの耐える覚悟が必要になる。それを、この少年は迷いなくやり切るつもりで、迷いなく加入を判断してみせた。
……意志力の化け物かよ。
まあとはいえ、根性や意志力だけで解決する問題でもなかったので、あれこれと工夫はしてみたわけだけれど、そうして導き出した最適解がまた、ダンジョン攻略という観点からはかけ離れすぎていて、なんという自由！！
今回の討伐対象は、モケモケ鳥……じゃなかった、毒花怪鳥というなにこれダチョウの怪物？ ポイズンガウチョというルビが振ってあって、なんでガウチョなの！？ 名前が何となくキューティクルで印象に残ってガウチョガウチョと呼びながら読んでたし、鳴き声がモケーー！！ なので、強敵ではあったんですけれど妙な愛嬌があってコミカルだったんですよねえ……いや、実際の対決はスピード感全振りの超高速機動戦闘、っちうかカーチェイスか西部劇の騎馬盗賊に襲撃される乗り合い馬車的な勢いと迫力があって、息もつかせぬ見応えタップリの展開だったのですが。でも、モケモケ、キャラが面白すぎ。
と、ここまでで終わっていたなら、あれ？今回の相手は意外と危なげなかったなあ、で済んでいたはずだったんですが……。
いやいやいやいや、そこから、そこから連戦。しかも、相手が。死ぬやん。どう足掻いてもバッドエンドルートやん！？ という所からリスタートして、ハードモードなんてもんじゃなかったですよ。難易度ルナティックかよ。意味わからんほどの絶望感。
ってところから、足掻くんですよ、この少年。ガチで、本当にガチでこれはもう無理、マジで無理、予定調和とかお約束加味しても無理だろこれ、という外でも他所でも滅多と見ないマジで詰んでる状況から、こじ開けるんですよ、このウルくん。これを生き延びたの、マジで凄いわ。リーネをメンバーに加えた意味は、ここにこそあったのか。
本来ならどう足掻いても、どう藻掻いても、ディズの足元にも及ばない塵芥のウルが、黄金級に指先引っ掛ける、これが分水嶺だったのか。
ディズと同じ土俵で戦えた、というのは前巻を考えたら大きな進歩どころじゃない、隔絶した飛躍ですよ。ブーストだろうがドーピングだろうと関係ない、やれたという事が意味がある。
ロックの爺ちゃんも、なんか想像を超えたというか想定を越えたというか。思い描いていた活躍の範疇を、まるで違うジャンルで軽々と羽ばたいて飛び越えていって、なんなんだこの爺ちゃん、便利すぎやしないか！？ ただでさえ歴戦ベテラン不死身の死霊騎士、というだけで戦力として要となり得る存在で、その年の功と明るさは人柄でもってパーティーの貫目となり得て、それだけでも得難い仲間だったのに。
もはや生きた人間では絶対にできない方向性の活躍まではじめてしまって、便利すぎやしないか、この爺さん。というか、死霊だからといって便利使いしすぎてない！？ 本人、まるで気にしてないどころか楽しんでそうまであるんだけれども。なんでもありだな、この爺ちゃん。
今回もカラー口絵には、ダンジョンの入口を前に佇む登場人物たちの背中が描かれている。この背姿が一巻からずっと良くてさあ、エモーショナルでさあ、思わず見入っちゃうんですよ。
背中って、いいですよね。背中で全部その人のことを物語れる。いや、物語れる背中を描けるって、めちゃくちゃ素晴らしい絵師さんじゃないですか？ そのキャラ個人だけじゃなくて、その場にいる面々の関係性みたいなものまで、一目で見て取れるようなこの構図。このシリーズの毎巻の真っ先の楽しみなんですよね。
この最初の口絵を見るだけで、冒険の予感にワクワクが止まらなくなる、そんなイラストなんですよ。
もう、大好き。
お？ お？？ おお？？ し、シズクさん？ シズクさん！？ 何してらっしゃるのシズクさん！！？？ シズクさんッッッツッ！！！！
え、待って待って待って、シズクさんとウルを別行動させるというのは、捕食者（プレデター）を制御不能のまま餌場に解き放つようなものなの！？
彼女が絶世の美女、というのはわかっていたので、そりゃあこんな美人さんが編入してきたら学生なんぞイチコロで魂奪われちゃうだろうなあ、とは想像していたので、シズクも天然だから無自覚にえらい騒ぎを起こしてしまうんだろうなあ、と思ってたんですけどね！ ですけどね！！？
思ってたより百倍やべえよ、この女ｗ
ちょ、なんでいきなり学園に通っている有力者の子弟片っ端から籠絡してんの！？ 媚び売って取り入って気に入られて魅了して、いつしかシズク無しでは平静を保てないくらいに傾倒させてるんですけど！？
無自覚どころか、完全に自覚的に意図的に、自分に夢中にさせてしまって心を奪い、魂を縛り、麻薬のように離れがたくして、正気を喪わしめているんですけど、この女！？
こわっ、こわっ。
ガチの傾国じゃないですか。しかも、意図せず魅了してしまうのではなく、明確に手練手管を駆使して籠絡して、自分に依存させてしまってる。
なにこれ、悪役令嬢が主人公のお話で攻略対象を魅了して逆ハーレムを作っちゃう敵役の正ヒロインみたいなことしてるんですけど、シズクさん！？
幸か不幸か、この物語における魔術学園には悪役令嬢はいなかったわけだが、いなかったらそれを止める人がいない、というわけで、えらいことになってるんだが！？
恐るべきは、というか恐ろしいことに、シズクはこれを野心とか欲望、承認欲求や愛情を求めて、という意味でやってるんではなくて……純粋に善意で男連中の心を弄び、支配し、征服し、屈服させ、バキバキにへし折ったのである。元々、彼女が目をつけて引っ掛けた男連中らは権力に酔いしれてやりたい放題やらかしていた連中なんだけれど、シズクはどうやら彼らを暴君にしてしまったコンプレックスの存在を見抜いて、暴き立て、歪んでしまっていたそれを一度木っ端微塵にぶち壊した、ということらしい。善意で。
粉々に粉砕した上で、自らの手で再構築……バラバラに壊れてしまったそれを組み立て直してあげよう、善意で、としていたみたいなんだけれど、それは直前で心ある先生に止められてるんですよね。そこまでしてしまうと、完全にシズクの支配、或いは洗脳によって人格から別人のシズクの奴隷みたいになってしまっていたんじゃないだろうか。でも、悪意はないんですよ。善意なんですよ。さながら、聖女のふるまいである。同時に、完全に悪女のふるまいである。魔性の女以外のなにものでもなく、しかしその動機も心の在りようも純粋であり厚意であり善意であり無垢である。聖女なのだ。
まさに魔性の聖女。
なお、やらかしがバレてウルに正座させられた上で説教食らっているのだけれど。
ウルが完全にシズクの倫理回路であり、制御システムなんだが。シズクが自分を所有物と規定して、ウルに自分の所有者たるを望んでいるのは、こういう意味合いもあるからなのか。
とりあえず、ウルから離れると高確率でやらかすことは理解した。ふと目を離すと、すぐに聖母の微笑を浮かべたまま人の心をべきべきにへし折ってしまうというのを理解したｗ
ウルはよく、この子の魔性に惑わないよなあ。そもそも、シズクがウルにそういう事をする余地がないっぽいんですよね。必要がないし、意味がない。
なんか、そういう部分でウルって迷わないし惑わないのだ。もちろん、行動に迷ったり、これからどうするべきかで模索したり、いつも走り回っているわけではなく、むしろ慎重居士熟慮熟考の側の人だろう。
でも、人に対しては、人間と向き合うことに関しては、土壇場修羅場ここぞというとき、いざというとき、この少年は一切迷わない、躊躇しない。果断と決断と覚悟と一意専心の化身とすら言える。
ウルのこういう時の迷いのなさは、その向かい側にいる人間から言葉を失わせる。その果断に絶句し、魅入られる。そこに勇者も巫女も死霊も兵器も関係なく区別はない。
何が凡庸だよ、果断の怪物じゃないか。
今回の冒険、今回の賞金首となるモンスターの討伐にあたっての決断もすごかった。どう考えても、いやまじでどう考えても戦闘のパーティーに加えるには大きな問題がありすぎる、戦力と見做すには越えるべきハードルがウォール・マリアくらいありそうな今回の新キャラである魔女リーネの加入を認めるか否かの問題で、彼はそのデメリットではなくメリットの方を注視して、越えないといけないハードルがあるなら、越えたらもうメリットしかないよね、くらいの軽さ……軽いというのはちょっと違うけれど重視する問題じゃない……いや、重視はちゃんとしてるんだが。でも、すぐに前提となる問題をどうやってクリアするのか、という方に意識を向けていて……その半生、いや代々その術を受け継いできた一族がずっと抱え込み、その障害の高さに苦しみ衰退の一途を辿っていた末の末であるリーネにとって、ウルのその姿勢は衝撃であっただろう。
実際、リーネの術の問題を、ウルは凄まじい方法で解決……少なくとも、どうやったって使えないという所から条件付きながらも活用できる段階まで持っていったのだから、とんでもない。
いや、マジでとんでもないんだよ。さすがにリーネの抱える問題は、今まで色んな作品読んできたけれど戦闘パーティーの一員としては論外に等しい。いやこんなん、どない使えっちゅうねん！と、誰でも突っ込むし否定するし、パーティーに入れようとは思わんでしょう。
これはいくら何でもさすがに無理だよ。実戦向きとは間違ってもいえない。これを使える、とウルが判断したときは、わかっていても「はぁ！？」と目を向いてしまいましたよ。話の展開上、リーネが仲間入りするのは間違いないものでしたけれど、それはそれとしてどうやっても使えないでしょう、彼女の魔術は。
これを使えるって判断したという事はすなわち……ウル自身が後衛となるリーネに問うているんですけれど、意味わからんほどの覚悟が必要なんですよ。ウル自身、前衛として想像を絶する、ほんとに意味わからんほどの耐える覚悟が必要になる。それを、この少年は迷いなくやり切るつもりで、迷いなく加入を判断してみせた。
……意志力の化け物かよ。
まあとはいえ、根性や意志力だけで解決する問題でもなかったので、あれこれと工夫はしてみたわけだけれど、そうして導き出した最適解がまた、ダンジョン攻略という観点からはかけ離れすぎていて、なんという自由！！
今回の討伐対象は、モケモケ鳥……じゃなかった、毒花怪鳥というなにこれダチョウの怪物？ ポイズンガウチョというルビが振ってあって、なんでガウチョなの！？ 名前が何となくキューティクルで印象に残ってガウチョガウチョと呼びながら読んでたし、鳴き声がモケーー！！ なので、強敵ではあったんですけれど妙な愛嬌があってコミカルだったんですよねえ……いや、実際の対決はスピード感全振りの超高速機動戦闘、っちうかカーチェイスか西部劇の騎馬盗賊に襲撃される乗り合い馬車的な勢いと迫力があって、息もつかせぬ見応えタップリの展開だったのですが。でも、モケモケ、キャラが面白すぎ。
と、ここまでで終わっていたなら、あれ？今回の相手は意外と危なげなかったなあ、で済んでいたはずだったんですが……。
いやいやいやいや、そこから、そこから連戦。しかも、相手が。死ぬやん。どう足掻いてもバッドエンドルートやん！？ という所からリスタートして、ハードモードなんてもんじゃなかったですよ。難易度ルナティックかよ。意味わからんほどの絶望感。
ってところから、足掻くんですよ、この少年。ガチで、本当にガチでこれはもう無理、マジで無理、予定調和とかお約束加味しても無理だろこれ、という外でも他所でも滅多と見ないマジで詰んでる状況から、こじ開けるんですよ、このウルくん。これを生き延びたの、マジで凄いわ。リーネをメンバーに加えた意味は、ここにこそあったのか。
本来ならどう足掻いても、どう藻掻いても、ディズの足元にも及ばない塵芥のウルが、黄金級に指先引っ掛ける、これが分水嶺だったのか。
ディズと同じ土俵で戦えた、というのは前巻を考えたら大きな進歩どころじゃない、隔絶した飛躍ですよ。ブーストだろうがドーピングだろうと関係ない、やれたという事が意味がある。
ロックの爺ちゃんも、なんか想像を超えたというか想定を越えたというか。思い描いていた活躍の範疇を、まるで違うジャンルで軽々と羽ばたいて飛び越えていって、なんなんだこの爺ちゃん、便利すぎやしないか！？ ただでさえ歴戦ベテラン不死身の死霊騎士、というだけで戦力として要となり得る存在で、その年の功と明るさは人柄でもってパーティーの貫目となり得て、それだけでも得難い仲間だったのに。
もはや生きた人間では絶対にできない方向性の活躍まではじめてしまって、便利すぎやしないか、この爺さん。というか、死霊だからといって便利使いしすぎてない！？ 本人、まるで気にしてないどころか楽しんでそうまであるんだけれども。なんでもありだな、この爺ちゃん。
今回もカラー口絵には、ダンジョンの入口を前に佇む登場人物たちの背中が描かれている。この背姿が一巻からずっと良くてさあ、エモーショナルでさあ、思わず見入っちゃうんですよ。
背中って、いいですよね。背中で全部その人のことを物語れる。いや、物語れる背中を描けるって、めちゃくちゃ素晴らしい絵師さんじゃないですか？ そのキャラ個人だけじゃなくて、その場にいる面々の関係性みたいなものまで、一目で見て取れるようなこの構図。このシリーズの毎巻の真っ先の楽しみなんですよね。
この最初の口絵を見るだけで、冒険の予感にワクワクが止まらなくなる、そんなイラストなんですよ。
もう、大好き。
しました
Ａｍａｚｏｎ
Ａｍａｚｏｎ
八岐
が
しました