前回、１０月下半期の記事です。
以降は１１月上半期に発売のライトノベルから、注目作品をピックアップしていきたいと思います。
【継母の連れ子が元カノだった １３．あなたにこの世で誰よりも】 紙城 境介(角川スニーカー文庫)
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「僕は君のファン第1号だからな」恋と情熱、才能があふれる高2文化祭編!いさなって、確か主人公に告白してフラレた普通に考えると言わば負けヒロイン枠にあたる娘なわけですけれど、恋愛的には退きながらも水斗くんの人生のパートナー的なものになってるんですよね。カノジョの結女も公認で。
水斗のプロデュースでイラストレーターとして歩み始めたいさなに、ラノベの依頼が舞い込んだ。
プロデビューの覚悟が問われるなか、返答期限は9月末――ちょうど文化祭が終わる頃まで。
そんなことを露知らず、いさな推しのギャル・吉野の発案で、いさながクラスの出し物の看板を描くことに!
テーマは『脱出ゲーム』。気合いが入った吉野は、1年生からシナリオライターまで連れてきた。
「先輩。私の相談役になってくれませんか?」
脚本を読んだ水斗は、その後輩文学ギャル・道倉美陽にも、才能を見出して手伝うと言い出し――!?
恋、夢、情熱……創作者《クリエイター》たちの青春弾ける、高2文化祭編!!
異様な存在感のキャラクターですよ。他に類を見ないヒロインってのは滅多いないですけれど、東頭いさなというキャラクターはまじでこれですよ。ちょっと似たような娘は見たことない。
そんな彼女が今回は主人公である。クリエイターでアーティストの物語だなあ、これは。
【魔界帰りの劣等能力者 １４．少女たちの体育祭】 たすろう(HJ文庫)
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祐人をめぐって少女たちの戦いが始まる！しばらくながらくずっと術師界隈のシリアスな話が続いていたんだけれど、今回は久々に学生らしい日常回にドタバタラブコメがはじまりそうなんだが、一巻まるまる日常回ってのは初めてなんじゃないの？ 長期シリーズになってこそ、出来る話ですね。
魔神復活を狙う組織と戦い警戒度を上げた祐人。ヒロインたちにセキュリティの高い場所への引っ越しを提案すると、幼馴染という関係を活かした茉莉が祐人の家に移ると言い出した。
すると、負けじと他の少女たちも祐人の家に引っ越そうとし始め、あわや一触即発かという事態に!!
最終的に、吉林高校体育祭のチーム順位でフェアに決めることになるが、仙人が経営する高校で行われる体育祭は一筋縄ではいかないイレギュラー満載で――！
祐人と同棲したいヒロインたちが火花を散らす、第14弾!!
【聖女と暴食】 三雲岳斗(電撃文庫)
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喰い尽くせ、世界を! 解き放て、欲望を!ストライク・ザ・ブラッドの三雲先生の新作新シリーズがこちら。ってストブラの短編集の方も同時刊行ですよす。ストブラ、いつまでも読んでいられるの正直嬉しい。
地球周回軌道上に浮かぶ巨大都市「天環《オービタル》」から、地上へと逃走してきた少女アナセマ。彼女は、かつて旧世界を滅ぼした魔導兵器“災厄”の一体――“暴食の悪魔”《ベエルゼブブ》と契約した魔女だった。
地上の閉鎖環境都市「学園」の生徒ハルは、アナセマと出会ったことにより、生徒会エリートの地位を投げ捨てて、旧世界が生み出した美食の最高峰“四星全席”の完成を目指す謎の部活「学食部」へと移籍する。
なぜならアナセマが“暴食”と交わした契約は、彼に「美味い料理を喰わせること」だったからだ。かくしてハルたちは地上を“災厄”の暴走から救うため、美食の素材となる魔物狩りに明け暮れることになる!
“災厄”と“美食”が交差する新感覚学園ファンタジー、ここに開幕!
それはそれとして、新作ですよ。科学と魔法の交差する近未来ファンタジー学園モノ、とまあまた定番であり贅沢でもある世界観でのボーイミーツガールなラブコメアクションかと思ったのですが……いや、おおむねその方向性で間違っていないと思うんですけれど。
なんか章タイトル見ていったら全部…料理名？！ あれ、これ「ご飯モノ」なの！？
いや、よくあらすじ見たら、学食部が舞台だわ。グルメバトルファンタジーだわこれ！
【悪役天才道術士の憤怒 破滅確定だった転生悪役、隠された才能で原作を蹂躙する】 稲荷 竜(カドカワBOOKS)
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圧倒的才能×原作知識=最強。なのに――この身体、煽り耐性ゼロ!?【セーブ＆ロードのできる宿屋さん】の稲荷竜さん、書籍化作品はけっこう久々になるのか？ ウェブ上ではかなり多作で色々書いてらっしゃるんだが。この方のキャラクターの描き方、キャラが独特というのもあるんだけれど、その独特のキャラクターをえらい独特な表現や言い回しで語っていくの、この作家さんもオンリーワン枠なんだよなあ、自分の中では。
美少女×国盗りなゲーム世界に転生した。最初に殺される悪役として。10年後の本編開始までに、原作知識で生存ルートを確定させねば――えっ、この身体、煽り耐性ゼロ!?
穏便に破滅の未来を回避したい中の人に対して、些細なことでキレ散らかす身体。こうなったら――原作では隠されていた道術士の才能で、無双して全員土下座させるしかない。
「待ってろ『主人公』……! 貴様の額を地面につけてやる!」
中の人(まだ会ってもない原作主人公にキレないでくれ……)
この梅雪くん、特に序盤はガチで煽り耐性ゼロなので、箸が転がっても笑う年頃ならぬ、小石を蹴飛ばしてもキレ散らかす、別に煽ってもいないのに勝手に煽られた気になってキレ散らかす、という沸点が低いどころじゃない子なんですよ。きみ、それで生きていけるのか？ と心配になるくらい。
そこは段々と折り合いをつけていけるのでホント序盤だけなのですが、煽り耐性皆無のくせに梅雪くんって同時に煽りの達人でもあるんですよ。挑発とか煽りのセリフって、それで怒るってよっぽど頭悪いんだろうなあ、というようなセリフが大概なんですけど、梅雪くんの煽りって読んでても「う、うわ……ぁぁ」と、思わず戦慄きながら拍手してしまいそうな芸術的な煽り文句なんですよ。相手が突かれて痛いところを見事なほどクチュクチュと突いてかき混ぜて。そ、それは怒るだろうな、挑発されちゃうよなあ、と心底納得してしまうほどで、いやあよくまああんなセリフ考えますわ。こういう所ほんと稲荷さん。
怪人物という他ないキャラクターがわんさかと出てくる、これちょっと元ネタのゲームが戦国ランスっぽいアンポンタンな世界観しているのも変なエッセンスになってて、面白いんですよねえ。
【オルクセン王国史〜野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか〜６】 樽見京一郎(サーガフォレスト)
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美しい白エルフたちの国・エルフィンドと、稀代の名君・グスタフ王率いる魔族連合国家オルクセンの、因縁の戦いが激化！ 双方に数多の被害を与え、悲劇を巻き起こしながら、雌雄を決するときは、近づきつつあった。エルフィンドから逃げ延びたダークエルフ族は、ディネルースを筆頭としたオルクセン最強の《牙》として、仇敵の同族の喉元に歯を立てるが――。血湧き肉躍る異世界戦争群像劇、シリーズ第６弾！佳境である。いや、マジで佳境も佳境に差し掛かってる真っ最中なんですよね。戦争は終盤に差し掛かっている。
ところが、本作において戦争というのはメインではあるんだけれど、メインではないんだ。戦争ってのは始める前が大変で、やってる最中も大変で、それを終わらせるのが大変で、終わった後こそが本番なのです。戦争をやるために戦争をするのではなく、なんぞ目的あってそれを達成するためにはじめるのが戦争ですからね。大事なのは終わらせたあと。そして、あらゆる想定外が噴出する戦争は、たとえそれが終わった後でも想定外を垂れ流し続ける。戦争をはじめるための大変なまでの準備以上のとんでもない規模の備えを、終わったあとの為に準備して置かなければならない。
この巻は、そこらへんに至るまでを描くところになるんじゃなかろうか。
Ａｍａｚｏｎ
Ａｍａｚｏｎ
