【弱小国家の英雄王子 1 〜最強の魔術師だけど、さっさと国出て自由に生きてぇぇ!〜】 楓原こうた/トモゼロ オーバーラップ文庫

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最強の英雄――、戦場で無双する!

弱小国家でありながら大国と同等に渡り合うウルミーラ王国。
その立役者は魔法を極めた魔術師であり、圧倒的戦闘センスを持つ最強の第二王子・アレンだった。
アレンが戦場に立ち始めてからウルミーラ王国は大国の軍勢相手に一度の敗北もなく勝ち続け、いつしかアレンは【英雄】と称され国内外から畏敬の念を抱かれる存在へと成った。
しかしみんなが憧れる【英雄】の実態は――
「戦争なんかやってられっかッッッ!! それより女の子と遊びまくりてぇ!!!!」
自堕落な生活を送ることしか考えていないただの戦争嫌いで!? 
平和に生きたい最強王子が、国を守るために泣きながら力を振るう異世界無双ファンタジー!






立地最悪だな、このウルミーラ王国。東西南北、全部大国に囲まれていて包囲されているようなものである。一部の国と同盟を結んでも、自国を通って貰わないと援軍も来れないんじゃないだろうか。
こんなの、アレン王子がどれだけ頑張っても二か所以上から攻められたらあっという間に終わりだぞ。

さっさと国を出て逃げ出したい、と常々ほざいているアレン王子だけれど、これ別に自分の国の行く末を悲観してもう逃げ出してしまいたい、とか思っているわけではなく、単なる過剰労働環境、他国がひっきりなしに侵攻してきて、それを片っ端からアレンが出撃して撃退していかなければならない、という休みもろくにないブラック環境にうんざりして、もう逃げ出したい、と言っているだけで戦いに関しては悲観している様子はないんですよね。
ってか、口では逃げ出したいトンズラしたい、と喚いている王子さまですけれど、これはやるやる詐欺ですね。口で言っているだけで別に実行する気とか全然ないでしょ。国や国民、家族への愛情は人一倍あるみたいだし、自分が逃げ出してしまったら国がどうなるかなんて容易に想像できるわけですから、そんなの実行できるわけがないんですよね。
その上、身内でなくても女の子が泣いていたらついつい国益とか現状認識とかほっぽりだして助けにいっちゃうような、ヒーロー気質。正しく、弱いものの味方なんですよ、この王子。
それで、責任ほっぽらかして逃げ出すなんて、絶対気質的にもムリじゃないですか。そのあたり、家族も周りの兵士たちもよくわかっているみたいで、どれだけ王子が駄々をこねてイヤイヤ期に入っていてもほぼスルーですね。はいはい、なんか言ってるねー、くらいの扱いである。
妹姫なんて、その上からさらに仕事を押し付けて、いってらっしゃいしてくるぐらいです。まあそれをグチグチいいながらも素直に言う通りに出撃しちゃうところが、王子見透かされているというかなんというか。
まあ実行する気はないけれど、言わずにはいられない人っていますよね。愚痴や弱音は盛大に吐き出してしまうタイプの人っていますよね。
まあいいじゃないですか、アレン王子。見返りが全然ないではなく、ちゃんとおつきのメイドのセリアさんが、さんざん甘やかしてくれるじゃないですか。お仕置きされることもけっこうありますけれど、ああもべったりイチャイチャしてくれるのですから、十分な報酬じゃないですか。
頑張れば、妹姫も褒めてくれるじゃないですか。

だから頑張れ頑張れ。

だいたい、走り回って戦っているその原因の半分くらいは命令されたから、じゃなくて自分から泣いてる女の子を助けるためだー、と突っ込んでいっているので、半分くらいは自業自得の労働じゃないですか。じゅうぶん、自由に思う通りに生きてるんじゃないですか?

さても本作、だいぶ軽い感じのお話です。だいたいをコメディテイストにまとめてますね。戦争をしてますけれど、戦争というよりも戦闘って感じで本格的な戦記物とは程遠いことは留意しておくべきかと。
肝心の戦闘シーンも、軍勢同士が武略を尽くして衝突するのではなく、ほぼ王子など一部のキャラの一騎駆け。一騎当千の魔術師が暴れまわるという戦いで、一応味方にも兵士たちもいるんですけれど戦争って感じではないですねえ。そういう作品だと踏まえておけば、サクサク進んで楽しい話ではあります。
しかしセリアさん、助けられた御恩返しなのか王子のおつきのメイドみたいなことしてますけれど、ほぼこれアレンの家族からも婚約者的な扱いされてないだろうか。妹姫もお義姉様みたいな感じでつきあってるし、距離感が主従どころじゃないんだよなあ。嫉妬でビシバシ制裁加えるのも、いちゃいちゃ甘えるのも。