
【俺の愛娘は悪役令嬢 2】 かわもり かぐら/縞 MFブックス
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父娘の絆で破滅エンドを食い止める!
傍若無人なハインリヒ王子との婚約を回避することができなかった愛娘ルイーゼ。この世界が、元となっている乙女ゲームのルイーゼ破滅エンドへ向かっていると予感したヴォルフガングは、ルイーゼを守るため、周囲への警戒度を高めていく。そして十歳を迎えたルイーゼが真名授与の儀を受けた日の夜、事件が起こる。ルイーゼの脳内に「ゲームのエンディング=自分が辿るかもしれない未来」の記憶が雪崩のように押し寄せてきたのだった。その話を聞いたヴォルフガングは、前世の記憶をレナやマルクスたちに打ち明け、一丸となってルイーゼを守り抜くことを決意する。時は流れ、いよいよゲームシナリオが動き出すという頃、ヴォルフガングたちに新たな味方が――? 破滅する運命に逆らう家族の絆を描く、異世界ファンタジー第2弾。
ハインリヒ王子があまりにも盆暗で、国王になるには不適格。貴族からの評判も最悪で、王家も彼を持て余し気味に思える対応を見せていて、これは建前上婚約者になってしまいましたけれど、いずれ王子がなんぞやらかして婚約は解消されるんだろうなあ、と思ってたら、王子の方は相変わらずなのにどうしてかズルズルと続いてしまって、ついにはルイーゼが16歳。原作ゲームのゲームシナリオがはじまってしまう時期にまできてしまった。
どうなってんの!? となりますけれど、まさかの魅了魔術汚染が宮廷内に広がっていて……って、王妃さまもやられてんの!?
これは深刻ですよ。もろに精神操作ですからね。最初の時点では、宰相たち政治中枢が動いて誰が魅了の魔導具を使っているのか捜索するも、一向に犯人がわからず。とかやっているうちにじわじわと精神汚染は広がっていき、遂には捜索していたはずの宰相たちにまでその影響が見られ始め…。
って、完全に宮廷は魔境になっちゃってるじゃん。
ハインリヒ王子は底の浅さが目についていたんで、排除は決して難しくはないと思っていたのだけれど。
この時点では、まだ原作の主人公であるモニカは登場してなかったんですよね。このタイプの悪役令嬢モノだと、ゲーム主人公が成人になって見出されて攻略対象と交流を始めてから、彼らに魅了系統の魔術を使って精神支配していく、という流れが多いんだけれど、それ以前から攻略対象に限定せずに国王陛下や王妃殿下といった政治中枢まで精神操作の手を伸ばして汚染していく、という展開はさすがに見たことなくて、これ国家そのものの危機じゃない!?
しかも、その犯人がよりにもよってハインリヒ王子その人だと発覚して……、こいつ、ただのアホじゃなくてアホの極みじゃないか!!
自分が気持ちよくなるために、イエスマンばかりを揃えるために、魅了の魔導具なんか使って両親である国王夫妻にまで魅了を掛けるって、どうかしているぞ。国王になりさえすれば、周りがイエスばかりしか言わない傀儡になれば、国を好き勝手動かせると思っているのか。自分の思う通りに世界が動くと思っているのか?
アホすぎるだろう、こいつ。その上、あまりにも考え方が幼稚で邪悪すぎる。
こんなんの婚約者しないといけないルイーズの精神的負担を考えると、ヴォルフガングの溺愛っぷりもまだ足りないんじゃないかと思えてくる。沢山かわいがって沢山慰めて、そうやって精神面労ってあげないと耐えられんよ、あんな愚劣の極みみたいな男の相手させられるの。
ただ、成長するにつれて無邪気にパパに頼ってくれた愛娘も、大人になるにつれて自分でなんとかしないと、という自立心を芽生えさせていくんですよね。
なんでもパパに打ち明けられていた幼い頃と違って、年頃の女の子は心に秘めたるものを抱え込むものなのである。
まだ継母であるレナと本当の親子のように仲良いから、そのあたりの女性同士の負担軽減はなされているんだろうけれど、ルイーズ自身ヴォルフガングの娘らしく自分でやろうとしてしまうところがあるっぽいからなあ。
そうやって振り返ってみると、ルイーズをさらに悪化させたような抱え込む気質を持っているヴォルフガングが、これだけ周囲に頼ることが出来るようになって、味方を増やせたのは奇跡に近いものを感じる。
それだけ本当に周りの人たち、弟や再婚したレナや友人たちが親身になって愛妻を失い、娘を抱えて苦闘するヴォルフガングに寄り添ってくれたからなんでしょうけれど。一巻ではほんと紆余曲折ありましたからねえ。相貌失認という貴族としては致命的なハンデを背負っているヴォルフガングに対して、多くの人があれだけ自然に寄り添ってフォローしてくれているのはありがたい限りですよ。
ただ、彼の相貌失認ってただの病気じゃなくて、加護のデメリットだったのか。まさか、力を使えば使うほどに覚えたはずの大切な人の顔も忘れてしまうとか、悪夢だろこれ。そんな状態で今まで聖人として力を振るってきたの? 今は予備役となって、本当に人が足りないときしか動員されないとはいえ、長らく会っていないまま力を使うと、レナや実子のギルの顔ですらわからなくなる、って相当ですよ。
ただ、どうしてそんなリスクを背負っているのか、というのが後で明らかになるので、その解決法も見つかって本当に良かった。
取り敢えず、宮廷の魅了汚染は年々深刻化していて、解決の糸口が見えないまま、さらにゲーム主人公モニカが、当初の純朴な性格から豹変してしまい、ハインリヒ王子とともに宮廷を壟断しはじめた上に、それにろくに手が出せないという状況になってきて、どんどんルイーズが置かれる環境が悪化しつつあり、それをどうにかする方法が見つからない、というどん詰まりになってきたところで。
ヴォルフガングが抱えていた前世の記憶を、味方の多くの人たちと共有することが叶って、危機感の統一がなされた上に、前世の記憶に引っ張られかねないヴォルフガングを周りで制御しようという体制も整い、兎にも角にもハインリヒ王子に好き勝手させない味方の連帯が出来上がってきた、というのは実に大きい。
これはルイーズとヴォルフガングの父娘だけでは抗しえない体制でしたからね。
しかし、これだけ自分の先世について大っぴら……いや、公表したわけじゃないけれど、結構沢山の人に打ち明けて、その情報に基づいた協力体制を取れることになるとは思わなかった。
よくまあ、打ち明けられたなあ、とも思う。勿論、相手は選んでいたとは言え。かつては亡き愛妻にしか吐露できなかったものを、これだけ多くの人に打ち明けて、助けを求めることが出来るようになったんだなあ、と感慨深くなる。
一方で、この物語の世界観そのものが確かにゲームに基づいたものであって、ヴォルフガング以前にも前世持ちで元となったゲームのシナリオから逸脱して、歴史の流れを変えている人がいるんですね。それが現在にも波及していて、ヴォルフガングが知っているゲームの内容と大きく異なっている部分も出てきている。それだけに、前世の記憶に囚われすぎないことも重要で、そこはヴォルフガング以外の周りの人たちが上手いことヴォルフガングの意識を引っ張ってくれそうで、ほんとありがたい限りだ。なくてはならない人たちがとても沢山になっている。
ある意味チート行為を行っているハインリヒ王子の所業に、この世界を運営する神々が運営側としてヴォルフガングたちの陣営に対抗手段を与えてくれたのも大きい。直接介入はさすがにダメなんだろうけれど、あの魅了の魔導具を防ぎ、また解呪する手段を手に入れられたのは、打開の方法が見えてこなかった閉塞感を打破する大きな鍵になったんではないでしょうか。
それに、やるべきこととその為に必要なこと。ヴォルフガングに与えられていたハンデの意味についても明らかになって、とにもかくにも全体の構図がはっきりしたのが大きい。
こっから思う存分の逆襲編になるのか、楽しみにしたい所です。
……ってか、さらっとルイーズのお相手役の人、出てきてるのね。パパさんとしてはどうなんだ?w
それよりも先に、弟のマルクスのお相手を探さないと。いい加減いい年なんだし。今のところまださっぱりですよね。










































































































































































































































































































































































































































































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