【テスターですけど、このネトゲ学園が難しすぎるとか言うのやめれる? 「これ絶対クリアできないんですけど、責任とれそ?」】  聴猫 芝居/Bcoca 電撃文庫

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あなたのせいで、このゲーム(学園)は壊れてるんです!

VRオンラインゲームの中に設立された世界初の高校・オーバーカム学園。その創立初の新入生として入学することにワクワクしながら、とある非公開ゲームのテスターを完全クリアした千葉王我(HN:ラグ)だったが、実はそのゲームこそがオーバーカム学園だったと知らされ!?
「俺、これから通う学校を完全攻略しちゃったの!?」
ネタバレどころか実績までフルコンプしてしまったラグは泣く泣く全てをテスターとして知る学園に入学するのだが、そこで同じく新入生の美少女ゲーマーのリアと出会い──。
「この学園は、ラグ君を基準に作ったせいで難易度が壊れてます!」
俺、テスターだけどこの神ゲー学園、そんなに難しくなかったよな……?

「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」の聴猫芝居が贈る、新たなラブコメ×ネトゲライフ in ハイスクール!


聴猫先生、何年ぶりの新作になるんだろう。いやあ、滅茶苦茶面白いなあ!!
楽しさが弾んでやがる。

これねえ、言うなれば主人公の王我くん……実名凄いな。いやこれ、圧倒的実力を持って主人公勢力の前に立ちふさがる絶対敗北イベントで味方を蹂躙する強キャラがだいたいこんな名前なんだよw
作中でも身内からいきなり序盤から雇える雷神シドとか、なぜか味方になったネオ・グランゾンに乗ったシュウとか言われてるもんなあ。アマテラス様って、【大神】のアマテラスか?
はじまりの街から仲間になるヒースクリフ、という例えが一番アレですね、あれw

まあ話を戻すけれど、この主人公の王我……ハンドルネーム・ラグは本人全然知らんかったとはいえ、春から入学する予定の通信学校のゲーム部分をテスターとしてフルコンプ、全実績解除していて、つまり入学前にクリア済なわけですよ。
一度クリアしたゲームをもう一度最初からやって楽しいのか、って話でもあって。
でも、このラグくん、めちゃくちゃ楽しそうなんですよね。すでに攻略済だから、淡々と同じ様にプレイしてそのイベントをクリアしたり、敵キャラを倒したりして、最速で再クリアしていくって話じゃなくて、攻略のコツみたいなのは一度経験しているだけにわかってはいるんだけれど、それを作業じゃなくてもう一度最初から倒せるぞー、とばかりに心から楽しそうに遊んでるんですよ。
見ていて、思わずこっちも笑顔になってしまうくらい、無邪気に。
もちろん、未プレイの人達への配慮は心がけていて、場を荒らすような真似は一切せず、かと言って過剰なおせっかいを焼くわけではなく、他の生徒たちも思う存分このゲームを楽しく遊べるように、というスタンスでうまいこと立ち回っているのである。
それも上から目線じゃなくて、ほんと同じ生徒として並び立つ立ち位置で。
初っ端、というか入学直前からリアという同級生となるゲーマー少女と出会い、まあこの子がきっかけでラグは自分がテスターやってたゲームが、今度入学する学校のプログラムだと知ってしまい頭抱える羽目になるのですが、ともかく入学前から縁が出来てしまったこのリアという子は、真剣に実績全解除を目指していて、出会った時に尋常じゃないプレイヤースキルを見せたラグを、こいつは使えるぜ話してなるものか協力してください、とばかりに捕獲され、わりと早々にテスターやってた事までバレてしまい、攻略本ゲットだぜわーい、となってしまうんですが。
このリアも、この特殊な学生生活をほんと心から楽しそうに挑戦してるんですよね。同時に、ラグというあまりに便利ななんでも知ってる超人プレイヤーを、小気味よく利用しつつその事は明言、というかはっきりラグに告げつつ、かといって攻略本に依存はしてないんですよ。このバランス感覚が素晴らしい。
自分が思いっきり力を振るって思いっきり楽しくこのゲームで学園生活を遊び尽くすという力強く弾んだ意思がある。自分の力でクリアしなきゃ面白くない、それはそれとして活用できる情報はガンガン使わせてもらう、というある意味欲深く真っ直ぐな存念ですよ。自信家で享楽的で、遊ぶことへのこの向上心。ヒロインとしてめちゃくちゃ弾けてますよ、跳ねてますよ、この子。かわいい。
これでポンコツで隙だらけなところもあり、自信家のわりにぐぬぬとなる場面も多くて、まーなんという強ヒロインでしょうかね。こんなに一緒に居て楽しい相方はそうそういないんじゃないだろうか。
この子と一緒だからこそ、ラグも一度クリアしたこのゲームをもう一度心から楽しんで遊んでいられる、というのもあるんじゃないだろうか。
だいたい、ラグって一度コンプしているくせに、増長などとは一切縁がなく、それどころかテスターやってる最中から自分の実力が一般人レベルを逸脱している自覚が一切ないんですよね。おそらく、中の中か中の下くらいだと思ってたんじゃないだろうか。
だいたい平均かそれよりもちょっと下手なくらい。あんまり上手くない、と本気で思っているものだから、自分がクリアできるくらいの難易度で適性なんじゃない、と思い込んでいたわけだ。
これに関しては、開発者連中が悪い、間違いなく悪い。ラグが明らかにやべえレベルのゲーマーに成り果ててる、とこいつらが育ててしまったようなものだからわかってて当然なんだが、わかってるくせにラグに合わせて難易度調整してしまったものだから、ラグに簡単に攻略させてなるものか、とどんどん勢いで難易度あげてしまったがために、誰もこれクリアできないんじゃない?という難易度ルナティックが標準となっちゃって、大惨事だよ! ただのゲームならクソゲーで終わっただろうに、これ通信学校の教育課程のなかに組み込まれた歴とした学校の単位科目になってるんだから、それ誰もクリアできなくなったら大惨事だよ!! まさかのラグ以外全員留年! みたいな話になっちゃいかねない。誰も進級できなくなった学校に意味はあるんだろうか、責任者出てこい! って大惨事になりますよ?

どうすんだこれ?

第三者であるリアからの指摘で、ようやくあれ?これっておかしいの? と気づくラグ。リアが全実績解除してやるぜ、と意気込んでるのが素人が吹き上がってるんじゃなくて、ゲーマーとして間違いなく天才の部類である、とそのプレイからラグが認識し認めた上で、そのリアがこれちょっと難しすぎません? という疑義を向けてくるわけですから、え?そうなの? とラグとしてもようやく受け入れざるを得なかった、というわけか。
開発者連中からのコールは、一切信じてなくて、ただの冗談だと思い込まれてたあたり、主任の叔母さんはじめとして、開発陣への信頼感えぇぇぇ。
なお、ようやく認めたくせに感情が追いついていないのか、あれ?やっぱりこれくらい誰でも出来るよね? 別に難しくないよ、大丈夫出来る出来る、とナチュラルに自己認識を修正してくるので、油断できない男である。
やべえやつじゃねえかw
ニコニコ笑いながら、システムの間隙をついてレベル1で出来るはずのない、やっちゃいけない事を軽快にやりたおして、リアルタイムで開発陣を泣かせにかかる主人公である。この開発陣とのチャットのやり取りが楽しそうなこと楽しそうなこと。

でも、本作が読んでてもほんと楽しくなってくるのって、楽しんでるのが彼、主人公のラグくんだけじゃなくて、ギャン泣きしてるけれど開発陣もヒンヒン言いながら楽しそうに修正してるわけですよ。
この開発陣も、ゲーム開発という名の遊びでラグと思いっきりやりたい放題楽しんで遊んでただろ、これ。
メインヒロインのリアも、これまた心から楽しげにラグに絡みながら、この学校生活にしてゲーム生活を満喫している。
そして、このメインキャラたちだけじゃなく、彼らとクラスメイトになるこの学園の一期生たちも、さすがはゲームでありながら学校という特異なスタイルのオーバーカムに入学した猛者たちである。
この明らかに難易度バグってるゲームにヒンヒン言いながらも、負けず折れず挑んでいくわけですよ。そして、それがまた楽しそうなのだ。
そして、本当にこのゲームをつまらなくしてしまいそうな要素、展開に関してはテスターにして、このゲームをコンプし知り尽くしているラグだからこそ、そして運営側じゃなくて今は生徒としてこの学校の内側にいる存在だからこそ、生徒の立場テスターとしての立場、観点視点から、うまいことフォローして……そのフォローの仕方が難易度ルナティックを軽々と遊び倒すプレイヤースキルの賜物のはちゃめちゃさ。これが、最高に格好良くて痛快なんですわ。
場を破壊するカッコよさじゃなく、生徒として遊び開発側として支え、ゲーマーとして堪能する最高のバランサーとしてのカッコよさなわけですよ。そして何より楽しそう。ゲームそのものを遊ぶ楽しそう、であり、みんなといっしょに遊ぶ楽しそう、でもあり。
こいつ、最後の最後まで他のみんなも自分と同じ事が出来るんだ、と心から信じてるんだよなあ。こんな凄えゲーマーに、そこまで信じられて奮い立たないゲーマーがいるだろうか。
サリス委員長をはじめとして、他のクラスメイトたちもこれ相当に食わせ物というか、いい性格をしている個性の強いゲーマーたちなんですよ。いいキャラしてるんだ。そんな子たちですから、彼にあんな風に道をつけられて、魅せられて、黙っていられるはずがない。だって、心からゲームを楽しいと思ってるからこそ、この学校に入った筋金入りたちばかりなんですから。

主人公は、このオーバーカムという学校を既にクリアしている攻略者である。なんなら開発陣が気づいていないグリッジまで掌握している。
でも、彼は他のすべてを置いてけぼりにして先には行ったりしないし、リアをはじめとした他の学校の生徒たちは彼を一人にはしないだろう。
皆がわいわいと騒ぎながら、目を輝かせてワクワクしながら、一緒になって遊んでいる。
それを見てて、こっちだって楽しくないわけがない。
いやー、ほんとに面白かった、楽しかった、まだまだ彼らのプレイを、遊びを見ていたいと思わせてくれる聴猫芝居先生の新作シリーズ開幕でありました♪