
【義理の姉妹、彼女になるか家族になるか】 鶴城 東 /七草 きのこ ガガガ文庫
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フッた彼女が義妹に!おい、迫ってくるな!
俺は、離婚した父さんと一軒家で二人暮らししている。女が家にない暮らし、悪くない。そんな父さんが再婚すると言い出した。お相手に連れられて顔合わせの席に現れたのは、二人の姉妹。その妹の方は…先日俺が一方的にフッた同級生だった!妹を溺愛する姉(謎の男嫌い)の目を盗んでは、グイグイとあからさまに俺に迫ってくる。「ケチ!ちょっとくらい義妹を甘やかせー!義兄の義務だぞ!」ベッドに上ってきて抱きつこうとするなよ!お前のねえさん、完全に疑ってるぞ!恋愛は絶対しないと決めた俺の受難の日々が始まった!
おーー。なるほど。
これはまた、主人公の湊くん、めためたに繊細ですね。脆い、と言っても良い。
これはラブコメとか恋愛モノというよりも、非常にセンシティブな家族のお話。親が再婚する際に起こる家庭環境の激変の翻弄される子供たちのお話でもあるわけか。
若干一名、この荒波を事前に見越した上で波乗りしている子供が一人いますけれど。
この芽衣って義妹は、なんかこう……凄いな。怖いもの知らずというか衝動的でありながら計画的というか。しっかりと湊くんの心を掴んでいたあたり、人の懐に入るのがとても上手な子なのだろう。
ただ彼女の情熱というか、執着は湊くんにとって触れ続けるには熱すぎる、刺激の強すぎるものだったのかもしれない。
最初は分からなかったけれど、この湊くん。上でも書きましたけれど、かなり繊細というか脆い部分があるんですよね。決して、人と距離を置かないと気が休まらないタイプの人間ではないことは、家に入り浸せるような男女の友人がいたり、明確に拒絶してきている義姉となった真姫に対しても、同じく距離を置くつもりでいながら実際にところ、あれこれと細かく配慮したり、自然に贈り物をしていたりするのを見ると、本来の彼って非常に人付き合い上手くてそれを苦にしないタイプなんじゃないだろうか。
これに関しては真姫の方も似たようなところがあって、あれほど辛辣に仲良くする気がない、と意思表示して実際本気でそう思っているのに、お弁当作ってあげたり気配りを意識せずしていたり、このお姉ちゃんが本来どういう人間性の持ち主なのか、というのがもう透けて見えてくるわけですよ。
そんな二人が、でも今はメンタルに異常をきたしているとすらいえる状態だ。元々の精神が、一度ぐちゃぐちゃに踏み躙られ、バキバキに割り砕かれたのを、なんとか継ぎ接ぎして修復してまともに見える状態に治した、というのが今の彼らだとでも言えばいいのか。
だから、普通なら耐えられるような変化ですら、ボロボロと形が崩れていく。メンタルが綻んでいく。
繕っていたものが、壊れていく。
真姫の方は関係者がはっきりと言ってくれないので詳細はわからないのだけれど、母親の前の再婚相手からなんかされたっぽい事は匂わされてるんですよね。
元々生真面目で家庭的っぽい真姫が、どうも性格と合わないギャルっぽい格好で身を固めているのって、ある種の防衛反応なんじゃないかとも想像してしまう。
一方で湊くんの方の事情は冒頭から明らかにされている。と言っても、見ると聞くとでは大違い、というやつで後半で目の当たりにした彼の置かれていた環境というのは、想像を絶するものであったのだけれど。
毒親ってよくいうけれど、酷いのは本当に酷いんだなあ。
昔は、この手の毒親って男親が娘を食い物にする形でよく引き合いに出されていたけれど、今の御時世だと母親でもこのパターンあるのか。
正直ここまでグロテスクだとは想像していなかったので、ショックすら受けているんですけれど、よくこんな母親に育てられてこれだけ真っ当に育ちましたよね、と感動すらしてしまう。
いやこれ、父親と離婚したことでここまで破綻してしまったのかと思いきや、湊くんの反応を見ていると元から大体こんな感じだったっぽいんですよね。……マジでこれ、まともな人格で育つことが出来るのか、こんな母親に育てられて。育てられてないかも知れないけれど、一緒の生活環境に居てこんなん耐えられるのか?
いや、耐えられなかったからこそ、あれだけの脆さを内包する心の形になってしまっていたのだろう。
バキバキにへし折られ、ぐしゃぐしゃに踏み躙られ、割り砕かれた心がそれでも真っ当に機能し続けたのは、それだけ父親の貢献があったんだろうな、というのは想像がつく。
湊くん、父親とはぎこちない距離感になってしまっている、と言ってちょっと気まずいような距離感を測りかねている関係、みたいな事を独白していて、父親に対してはそっけないような遠慮しているような、でも普通の親子関係みたいな感じを見せていたのに……。いや、血が繋がらないのに息子として受け入れてくれている事に感謝と恩と実の父としての愛情がある事はしっかりと語ってはいたんですよ。でも、それ込みでも普通の父子としての、でも血が繋がらないという托卵された子という事実に引け目を感じている、くらいの塩梅だと見せていたのに。
終盤のあの精神の均衡崩れた様子を見ていると、この子父親のことめちゃくちゃ拠り所にしてたっぽいんですよね。この人に見捨てられたらもう自分は生きていけない、とすら思ってたんじゃないだろうか。そりゃ、そんな父親が自分以外の家族を持つ、ということに対して非常に鋭角的になってしまっていたのも、無理からぬことと理解できる。
その上で、父親の幸せを邪魔したくない、という気持ちも本物だからこそ、あとで自分でも言っていますけれど冷静に考えればありえない衝動任せの短絡的な自傷的な行動に出てしまったのも、ほんと気持ち伝わるんですよね。
彼の行動は、もう愚か極まるものだったと思いますけれど、そういう脆くて繊細な部分に決して悪い気持ちにはならないんですよ。湊くん自身も自分がどれだけ心が傷だらけになっていたか、気づいていなかったんでしょうし。
これの解決、湊くんの迷走に対してのアンカーとして、芽衣の存在は本当に覿面でありました。
果たして芽衣って、湊の恋愛に対しての生理的拒否感についてどこまで理解してるんだろう。別れを切り出されたとき、特に抵抗せずに受け入れた、というのはもうすぐ両親が結婚して湊とも家族になる、というのがわかっていたから、というのは間違いないみたいなのですが。
湊に対しては、恋人よりも家族の方が一緒にいられる、とわかってたんだろうか。
いずれにしても、彼女は勇気を振り絞って、彼の母親から湊を奪い返した。血の繋がりとは関係ない、父親以外の家族としての繋がりを、湊に受け入れさせてみせた。すげえ女ですよ。
ただ、ただ……実のところ人間的な相性としても、家族としての相性としても、芽衣よりも真姫の方が湊と激烈なくらい合ってるんじゃないか。呼吸というかテンポというか、凹凸というか。なんかこう、この二人って素晴らしくハマりそうな感覚があるんですよね。
芽衣の動性って、センシティブな状態にある湊の心にとってちょっと刺激が強すぎる気がするんですよ。ガンガン来られるのって、ダメージがあるというか疲労が溜まるというか。彼女の事を異性として好いていることすらも、今の湊にとっては心の疲弊に繋がっていた。家族としての芽衣を受け入れたあとでも、この刺激はけっこうキツイと思いますよ。
一方で、真姫のあれはじわじわと浸透してくる包容力があると思うんですよね。お互いに自然と心配りが出来る方なので、お互い精神面が良好な際に接していると、以心伝心なくらい意識せずに思いやりが行き来している節があるし。その上で、真姫お姉さんって身内認定した相手にはダダ甘の世話好きになるらしきことが、妹の口から明言されていて、すでにその兆候が示されているだけに。
ちょっとあれなんですよね。気がつけば、熟年夫婦みたいになってるんじゃない、この二人?
幸い、芽衣はこの二人の相性の良さに危機感をちゃんと感じてみるみたいだけれど……、だからといってどないもできないんじゃないですか!? ベタベタするのは多分逆効果だぞ? いや、ワンチャンあるかしら。家族という関係を介在させることで、芽衣との関係、彼女に対する想いもある種のロンダリングが出来そうな気配ありますし。
もしラブコメ展開があるとしたら、ここからですよねえ。
これはまた、主人公の湊くん、めためたに繊細ですね。脆い、と言っても良い。
これはラブコメとか恋愛モノというよりも、非常にセンシティブな家族のお話。親が再婚する際に起こる家庭環境の激変の翻弄される子供たちのお話でもあるわけか。
若干一名、この荒波を事前に見越した上で波乗りしている子供が一人いますけれど。
この芽衣って義妹は、なんかこう……凄いな。怖いもの知らずというか衝動的でありながら計画的というか。しっかりと湊くんの心を掴んでいたあたり、人の懐に入るのがとても上手な子なのだろう。
ただ彼女の情熱というか、執着は湊くんにとって触れ続けるには熱すぎる、刺激の強すぎるものだったのかもしれない。
最初は分からなかったけれど、この湊くん。上でも書きましたけれど、かなり繊細というか脆い部分があるんですよね。決して、人と距離を置かないと気が休まらないタイプの人間ではないことは、家に入り浸せるような男女の友人がいたり、明確に拒絶してきている義姉となった真姫に対しても、同じく距離を置くつもりでいながら実際にところ、あれこれと細かく配慮したり、自然に贈り物をしていたりするのを見ると、本来の彼って非常に人付き合い上手くてそれを苦にしないタイプなんじゃないだろうか。
これに関しては真姫の方も似たようなところがあって、あれほど辛辣に仲良くする気がない、と意思表示して実際本気でそう思っているのに、お弁当作ってあげたり気配りを意識せずしていたり、このお姉ちゃんが本来どういう人間性の持ち主なのか、というのがもう透けて見えてくるわけですよ。
そんな二人が、でも今はメンタルに異常をきたしているとすらいえる状態だ。元々の精神が、一度ぐちゃぐちゃに踏み躙られ、バキバキに割り砕かれたのを、なんとか継ぎ接ぎして修復してまともに見える状態に治した、というのが今の彼らだとでも言えばいいのか。
だから、普通なら耐えられるような変化ですら、ボロボロと形が崩れていく。メンタルが綻んでいく。
繕っていたものが、壊れていく。
真姫の方は関係者がはっきりと言ってくれないので詳細はわからないのだけれど、母親の前の再婚相手からなんかされたっぽい事は匂わされてるんですよね。
元々生真面目で家庭的っぽい真姫が、どうも性格と合わないギャルっぽい格好で身を固めているのって、ある種の防衛反応なんじゃないかとも想像してしまう。
一方で湊くんの方の事情は冒頭から明らかにされている。と言っても、見ると聞くとでは大違い、というやつで後半で目の当たりにした彼の置かれていた環境というのは、想像を絶するものであったのだけれど。
毒親ってよくいうけれど、酷いのは本当に酷いんだなあ。
昔は、この手の毒親って男親が娘を食い物にする形でよく引き合いに出されていたけれど、今の御時世だと母親でもこのパターンあるのか。
正直ここまでグロテスクだとは想像していなかったので、ショックすら受けているんですけれど、よくこんな母親に育てられてこれだけ真っ当に育ちましたよね、と感動すらしてしまう。
いやこれ、父親と離婚したことでここまで破綻してしまったのかと思いきや、湊くんの反応を見ていると元から大体こんな感じだったっぽいんですよね。……マジでこれ、まともな人格で育つことが出来るのか、こんな母親に育てられて。育てられてないかも知れないけれど、一緒の生活環境に居てこんなん耐えられるのか?
いや、耐えられなかったからこそ、あれだけの脆さを内包する心の形になってしまっていたのだろう。
バキバキにへし折られ、ぐしゃぐしゃに踏み躙られ、割り砕かれた心がそれでも真っ当に機能し続けたのは、それだけ父親の貢献があったんだろうな、というのは想像がつく。
湊くん、父親とはぎこちない距離感になってしまっている、と言ってちょっと気まずいような距離感を測りかねている関係、みたいな事を独白していて、父親に対してはそっけないような遠慮しているような、でも普通の親子関係みたいな感じを見せていたのに……。いや、血が繋がらないのに息子として受け入れてくれている事に感謝と恩と実の父としての愛情がある事はしっかりと語ってはいたんですよ。でも、それ込みでも普通の父子としての、でも血が繋がらないという托卵された子という事実に引け目を感じている、くらいの塩梅だと見せていたのに。
終盤のあの精神の均衡崩れた様子を見ていると、この子父親のことめちゃくちゃ拠り所にしてたっぽいんですよね。この人に見捨てられたらもう自分は生きていけない、とすら思ってたんじゃないだろうか。そりゃ、そんな父親が自分以外の家族を持つ、ということに対して非常に鋭角的になってしまっていたのも、無理からぬことと理解できる。
その上で、父親の幸せを邪魔したくない、という気持ちも本物だからこそ、あとで自分でも言っていますけれど冷静に考えればありえない衝動任せの短絡的な自傷的な行動に出てしまったのも、ほんと気持ち伝わるんですよね。
彼の行動は、もう愚か極まるものだったと思いますけれど、そういう脆くて繊細な部分に決して悪い気持ちにはならないんですよ。湊くん自身も自分がどれだけ心が傷だらけになっていたか、気づいていなかったんでしょうし。
これの解決、湊くんの迷走に対してのアンカーとして、芽衣の存在は本当に覿面でありました。
果たして芽衣って、湊の恋愛に対しての生理的拒否感についてどこまで理解してるんだろう。別れを切り出されたとき、特に抵抗せずに受け入れた、というのはもうすぐ両親が結婚して湊とも家族になる、というのがわかっていたから、というのは間違いないみたいなのですが。
湊に対しては、恋人よりも家族の方が一緒にいられる、とわかってたんだろうか。
いずれにしても、彼女は勇気を振り絞って、彼の母親から湊を奪い返した。血の繋がりとは関係ない、父親以外の家族としての繋がりを、湊に受け入れさせてみせた。すげえ女ですよ。
ただ、ただ……実のところ人間的な相性としても、家族としての相性としても、芽衣よりも真姫の方が湊と激烈なくらい合ってるんじゃないか。呼吸というかテンポというか、凹凸というか。なんかこう、この二人って素晴らしくハマりそうな感覚があるんですよね。
芽衣の動性って、センシティブな状態にある湊の心にとってちょっと刺激が強すぎる気がするんですよ。ガンガン来られるのって、ダメージがあるというか疲労が溜まるというか。彼女の事を異性として好いていることすらも、今の湊にとっては心の疲弊に繋がっていた。家族としての芽衣を受け入れたあとでも、この刺激はけっこうキツイと思いますよ。
一方で、真姫のあれはじわじわと浸透してくる包容力があると思うんですよね。お互いに自然と心配りが出来る方なので、お互い精神面が良好な際に接していると、以心伝心なくらい意識せずに思いやりが行き来している節があるし。その上で、真姫お姉さんって身内認定した相手にはダダ甘の世話好きになるらしきことが、妹の口から明言されていて、すでにその兆候が示されているだけに。
ちょっとあれなんですよね。気がつけば、熟年夫婦みたいになってるんじゃない、この二人?
幸い、芽衣はこの二人の相性の良さに危機感をちゃんと感じてみるみたいだけれど……、だからといってどないもできないんじゃないですか!? ベタベタするのは多分逆効果だぞ? いや、ワンチャンあるかしら。家族という関係を介在させることで、芽衣との関係、彼女に対する想いもある種のロンダリングが出来そうな気配ありますし。
もしラブコメ展開があるとしたら、ここからですよねえ。










































































































































































































































































































































































































































































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