
【カラテ魔女地獄変 雷の章】 昏式 龍也/ あんりふれ ガガガ文庫
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魔法、否。今度の魔女は殴る!
ある日、一人の魔女によって魔王は討ち果たされた。だが、その力を恐れた支配者は魔女たちを地下監獄へと封じ込める。救いなき地獄、そこに突如誰も知らない謎の魔女が現れる。
その名はライカ・ホムラ。
謎多きライカの熱にあてられ、竜をも倒す神秘の異世界武術『カラテ』の使い手たちが一人また一人と集う。血で血を洗う狂騒の歯車は回り出し、戦いの中で失われた真実が浮かび上がる。
魔王を倒した魔女は誰だ? ライカの正体とは?
「さあ喰らい合え、罪深き〈カラテ〉魔女どもよ!」
かくて監獄内で、八人の〈カラテ〉魔女最強を決める『魔女獄門淘汰戦』が幕を開ける。
闘技者の誇りと最強の座を賭けて、カラテ魔女たちが拳と拳をぶつけ合う――百花繚乱の格闘浪漫譚!
いや、ほぼ魔法じゃない!?
魔法、否。今度の魔女は殴る! と、あらすじでは書いてるけれど、実際殴ってるけれど、実際は焔や毒や雷が拳とともに飛び交うトンチキ格闘じゃまいかい?
というわけで、殴りヒーラーならぬ殴り魔女のお通りである。
多分に、魔女たちが大監獄に囚われる羽目になった経緯が、まんま「狡兎死して走狗烹らる」の故事のとおりである。
悲惨なのは、支配者サイドである汎人類統一教圏なる組織が、最初から救世主であった魔女たちを利用して事が終われば排斥する気満々だったようにしか見えない所だろう。
人類が対抗できなかった魔王さえ倒してしまえば、あとは目障りな魔女たちは一所に集めて死ぬまで閉じ込め追い詰め追い込めばいい、と最初から考えていたようにしか思えない。
魔王の脅威が去った後に、魔王と同質の力を持つだろう魔女たちの脅威を実感して、徐々に排斥の感情が広がっていった、なんて悠長な経緯を辿っていたら、魔女たちはもっと生き残って世界中に散らばり、汎人類統一教圏に対して反抗していたでしょう。何しろ、魔王とまともに戦えるだけの力を持っていたのだから。
それが、魔王が討伐された直後に、魔女は一網打尽に捉えられ、その能力を封じる……仕えば孫悟空の緊箍児よろしく、星韻と呼ばれる歌を使おうとしたら首に嵌ったそれが指輪サイズまで縮んでしまう、によって無力化されている。
事前によほど準備し、周到に罠を仕掛けていないと、こんな抵抗もさせずに無数の魔女を捕まえることなんてできないでしょう。
その後の監獄での扱いも酷いもので、人間扱いされない魔女たちのありさまは、まさに地獄の亡者ども。尊厳も誇りも力も何もかも奪われたかつて魔女だった囚人たちは、お互いを踏みにじりあい、虐げ合うことで自らを慰めることしかできない。
女囚うんたらかんたら、という観たこと無いけど、昔の「Vシネマ」的な? まあ殆どそういう映像作品のエロティックな側面は、本作にはないのだけれど。ほぼほぼバイオレンスである。
でも、なんもないかというとそうでもなく、この作者さんの前作【ここでは猫の言葉で話せ】でもそうだったんだけれど、非常に湿度の高い濡れそぼった百合が見受けられる。
百合っていうか、かなり情欲が絡んだ同性愛って感じなんだけれど。それでいて、純愛的な同性同士の恋愛感情もあるし、この魔女たち同じ年に生まれた子たちなので年齢も全く同じなんだけれど、やたらと姉妹という関係にこだわっている娘もいるし、かなり女性同士の関係というものが沼化している作風うなのである。
それはそれとして、女の子同士で殴り合い、その強さをぶつけ合う、殺しも厭わぬ戦いの権化たちの物語でもあるわけだ。
そもそも、カラテ魔女なるものたちは、この魔法が封じられた魔女たちの中で唯一囚われる前と同じ力を発揮できる魔女たちなんですよね。
この虐げられ踏み躙られ人としての尊厳を粉々に砕かれて歴史から抹消されようとしている中で、圧政者たちに対して一致団結して対抗しよう、自由を勝ち取ろう、というつもりがこのカラテ魔女たちにはほぼ見受けられない。
彼女たちが求めるのは強さの証明。強いものと拳を交え、さらに自分が強いのだと、その証を立てることを至上としていて、監獄を抜け出そう、獄吏たちをぶっ飛ばそうなんて余計余分なことは一切考えていない。
だから、危険分子同士お互い殺し合わせるための、この地下格闘技大会。監獄長が主催する血みどろの大宴会に、むしろ自分たちから望んで参加しているのだ。このバトルジャンキーたちは。
もちろん、中には違う使命感を持って戦いに挑んでいるカラテ魔女もいるのだけれど、結果として殴り合うことを選んでいるので、バトルジャンキー認定である。
冷静に考えると、かなり意味のわからん流れで、いつの間にか『魔女獄門淘汰戦』なるカラテ魔女たちによるトーナメント格闘大会。敗者には死を!的な戦いが始まってるんですよね。
……なんか、問答無用で始まったよね!?
そんな中、本来この監獄には存在しなかった一人のカラテ魔女が、監獄の中に忽然と現れる。現れた当人である赤毛の少女はライカ・ホムラという自分の名前以外の記憶を持っていなかった。
何もわからないまま、自分がカラテ魔女であるということすら技とともに忘れていた彼女は、理不尽に降りかかる暴力の雨に抗い、立ち向かうことで徐々に自分の中の戦い方を取り戻していく。
という話ではあるんだけれど、このライカの正体が本人も知らないものだから、さっぱりなんだよ!
ちゃんと親もいる、喪われた記憶のもとになる過去もちゃんとあるらしい、普通の人間……ではないのか、魔女だから。ともかく、エピローグ見る限りでは実は魔女でなかったとか、異世界人だとか…いや、これに関してはまだ一考しないといけないかもしれないが。ともかく、他の魔女と同じこの世界で他の子たちと同じ日に生まれた魔女ではあったわけだ。
ならば、なぜ彼女は記憶をなくしているのか。どうやって、この監獄の中に忽然と現れたのか。
そういった、ライカの過去にまつわる謎についてはほぼ完全放置である。据え置きである。記憶、まったく戻らないわけではなく、カラテの技の記憶とともに通常記憶も徐々に戻ってきているみたいだけれど。
そして、執拗に語られるわりに詳細が一切語られない、魔王を倒した一人の魔女の存在について。
今のところ、露骨にライカを指しているようにも見えるけれど、ミスリードを誘っているにしてはあからさますぎて、逆に本当に魔王倒したのこの子なんじゃないか、とすら思えてくる。
なんか、そういう魔王を倒したような凄い魔女には見えないんだけれど。強くて覇気があって主人公張るに十分のカリスマや愛嬌、狂気もあるんだけれど。それはそれとして、単独で魔王を討ち果たすような存在か?というと、やはり違和感がある。
密かに、あのネズミっ子なクロエがそうなんじゃないの?と疑ったのだけれど、最後に魔王を倒したのは魔女は魔女でも、カラテ魔女って明記されてたからなあ。
ただ、現存するカラテ魔女が、果たしてトーナメントに出場している面々だけなのか、と言われると疑問もあるんですよね。正体隠しきっているやつもいるんじゃなかろうか。
味方側だけじゃなくて、汎人類統一教圏側にもなんか動向が怪しい人いますもんね。
しかし、カラテと言われると違うと主張されても空手を連想してしまうわけで。
空手にも色々と流派みたいなものはあるんでしょうけれど、中国武術や剣術流派に比べるとそんなに多種多様な流派がある印象じゃなかったので、紫電鳴神流とか、神・陰流とか言われると剣術流派の方を想像してしまいますねえ。
そして、カラテはカラテでも雷や焔が飛び交う魔女の戦いでもあるわけで。これ、ライカって父親から教えを受けたみたいだけど、魔女じゃなくてもあんな電磁拳とか使えたの!? いや、始祖からして熊殺しどころじゃないハチャメチャな話が伝わってるっぽいから、魔女関係なかったのかもしれん。
ただ、今回は最初から中盤までライカと、もう一人の拳を交えることで無二の友情を交わすことになったもう一人のお姉ちゃん魔女との話に終始していて、他の魔女たちはほとんどトーナメント開始が初対面か、似たようなものだったので、いきなり戦い始まってもちょい個人個人に思い入れを感じる前に戦いがサクッと進んでしまったので、そこまで身が入らなかったのも確かであります。
場を盛り上げる実況と「知っているのか雷電!」的な解説、という掛け合いがないっぽいのは若干寂しいかもしれないw
とりあえず、シスターさんは口絵での全員が流派とともに構えている構図を見た時は、全然シスターとか思わんかったわ! 完全にこいつ暗殺者だろ。
個人的にはマリオンが、ライカと打ち解けてからのあの頼りになる姐御風味で一番好ましかったかと。流れ的に、ライカと再対決しそうにないんで気持ち上がらない所もあるんですけどね。いやあ、まず勝ち上がるの展開的に難しいでしょw
こういう予想を越えてくる展開があればいいのですけれど。










































































































































































































































































































































































































































































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