
【廃墟めぐり ここから先は自己責任です!】 二月 公/塩かずのこ 電撃文庫
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わたしたちは、生き残るために死を映す。
元生徒会長でいつでもクールな透花。引っ込み思案でオタクJKな真冬。ふたりはどこにでもいるような仲のいい幼馴染だった――。
あの動画を観るまでは。
『このアカウントは●されています。再生数が足りません』
最近人気の心霊系チャンネル【廃墟めぐり】。その実態は、"おそろしい"動画で再生数を稼がなければ《ヒラキサマ》の呪いから逃れられない――呪われたふたりが始めた、生き残るための手段。
何もしなければ呪われて死ぬけど、廃墟を巡れば"おそろしい"ことで死ぬかもしれない。
そんなチャンネルに自称"最強にカワイイ"ギャルの姫奈が加入したことで、日常の崩壊は加速していき――?
あー、胃が重い。
ホラーです。ガチ目の普通のホラーです。……普通のホラーってなんだ?
定義できるほどホラーを嗜んでいるわけではなく、精通しているわけでもないので、これを普通と言っていいのかわからないけれど、遊びのない笑いのないただただ闇にずぶずぶとハマっていくタイプのホラーでしたね。
これ自己責任ってねー、言われてもねー。
いや、呪いの動画を見てしまって否応無く恐怖動画を作らなくてはならなくなった透花と真冬。嫌々だけれど、やらないと死んでしまう以上仕方なく怖い思いをしながらやっている二人以外は、望んで彼女たちの作成している動画チャンネルに参加してるわけだから、自己責任ではあるのか。
これ、作者の出世作である声優達のお話である【声優ラジオのウラオモテ】と同じ世界観ってのが結構じわじわと恐ろしさを感じます。あっちの世界と地続きで、こんな呪われた悪意の世界が横たわっているというのはゾッとしないなあ。真冬が声優オタクで恐怖を声優への愛でなんとか中和し誤魔化している、という感じで【声優ラジオのウラオモテ】の声優ネタを挟み込んでくるものだから、それが結構じわじわ来ます。
しかし、ホラーとしてはこれ背筋が寒くなるとか、肝が冷えるとか、胃の腑がきゅーっと縮んでしまうとか、もうこれはあかんあかんあかん、こわいこわいこわいーー、ってなる情景描写力やその場にいる人の感覚に同調してしまう共感性を刺激してくるタイプのホラーとはちょっと違う感覚でしたね。
自分はひたすら嫌だった。恐いというよりも、いやぁな気分にさせられて気が重くなっていく、恐いんだけれど未知な現象が恐いというよりも、悪意が恐い、邪悪な意思が恐い、陥れようという意図が恐い、という感じで、その怖さってすごい嫌な気分なんですよ。その嫌気がしんどかった。
すごく読み進めるのに疲弊させられる、そういう重たいホラーでした。
なんかもうね、現象として人知ではどうしようもない魔に触れてしまって、為すすべなく怪異や怪奇現象、オカルト現象に巻き込まれて悲惨な目に遭っていく、というのは理不尽な目に遭ってるのは間違いないんだけれど、ある意味それは災厄との遭遇であり仕方のないことじゃないですか。
或いは、人間の側から禁忌を破ってしまったり、といった原因がこちら側にあったりするもので。
でも、この話ってヒドい目にあってる娘たちってまるで微塵も悪いことしてないんですよ。それでも巻き込まれてしまう運の悪い子、というのはいるものですけれど、この一連の怪異に関しては異様なほど悪意が詰まっている。それを指向的の対象者に浴びせかけている。たまたま目についた相手を、一方的な制約によって縛り上げ、呪い、言うとおりにしないと死んじゃうぞ、と追い詰めた挙句に、追い立てるように嫌々恐怖映像を作らせているわけだ。
誰もそんなことやりたくないのに、嫌々もう泣きながら、吐きながら、怯え狂いながら、それでも生きるためにはやらないとねー、とばかりに追い込んで追い込んで、尊厳を踏み躙っていく。正気を狂わせていく。
そこに明確な意図が、悪意が、害意が、舌なめずりして嗤っているかのような邪悪な意思が見え隠れしているだけに、それが本当に嫌で嫌で、気持ちが悪かった。
その悪意は、ただ後ろから追い立てるだけじゃなく、内部にずるりと入り込んで、内側から狡猾にいたぶるように仕掛けてもきているわけですよ。
現象でもなく、ただ条件にあったら発動する呪いでもなく、人が苦しみ藻掻いて絶望する様子を作り出して、嘲笑い楽しむ意図が明確に見えている。
怨霊というには恨みや怨みといった報復や因果応報を無関係な相手に押し付ける、みたいな理不尽ではなく、ひたすら享楽の影が見え隠れするんですよね。
嫌だなあ、不快だなあ、気持ち悪いなあ。
こうした悪の理不尽に対して、透花や真冬は対抗できてないんですよ。実のところ、悪意に従って言うとおりにすることで延命しているに過ぎない。その延命も、別の要因で命がけ。毒を持って毒を制すじゃない、毒にさらなる毒を服毒して、余計に絶望や恐怖が蓄積していく一方じゃないですか。
そして、この一方的な理不尽を打破する方法はまったく見つけられていない。ただただ、逃げ惑っている他なく、後ろから追いつかれたら、或いは他の邪悪に横槍を入れられたら、それだけで足を取られてすっ転んで、ゴミのように踏み潰されるだけ。それを待つばかり。ただただ、逃げ惑っているだけで、戦っているわけじゃない。この呪縛から、死の宣告から脱出するすべを探ることもできていない。
無抵抗でいたいわけじゃないんだろうけれど、実際には何もできていない。なにもできていないまま、悪意に絡め取られた側からドロドロの沼の中に引きずり込まれていく。
これはしんどいですよ。
戦えるのか、この娘たちは? 敵が誰かもわかっていないんだぞ?
でも、この流れだと透花はもう逃げる理由すらなくなっちゃった、とも言えるんですよね。生きる理由すらなくなったんじゃ、と心配にもなるけれど、同時に形振り構わないボーダーラインを突破してしまった、とも言えるわけで。
果たして、ここからどうなるのか。透花がどう動いていくのか。
姫奈の存在がどう関わってくるのか。
個人的には、なんとか戦えるまでになってほしいなあ、と。やり方を見つけるにしろ、敵に気づくにしろ。今までみたいな、ただただ何もできず、理不尽にいたぶられ続けるばかりなのを見るのは、キツイですから。
あと古都ちゃんはあれだ。マジでやめとけ。ただただ向いてないから。稼ぐにしても他になにかあるでしょう。わざわざこんなガチのオカルトチャンネルに首突っ込む必要どこにもないって。あんな怖がってるくらいなんだから、日常生活にも支障が出るぞ。










































































































































































































































































































































































































































































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