
【魔術探偵・時崎狂三の死亡届】 橘公司/つなこ 富士見ファンタジア文庫
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時を操る力を求めて、魔術工芸品を持つ者同士の死闘を始めましょう
あなたは【時計の儀】の参加者に選ばれました。
○時計は全部で七つ存在します。
○時計にはそれぞれ能力が付与されています。
○全ての時計を集めた者に「時を操る力」が与えられます。
時崎探偵社に届いた一つの懐中時計と同封の手紙に記されたルール。時崎狂三は魔術工芸品犯罪を未然に防ぐため、残りの時計の回収に動き出すも、別の時計を持つ者に刃物で胸を刺され、致命傷を負ってしまう。しかし――「蘇生は初めてではありませんの」自身の時計の能力【時間の巻き戻し】が発動し!?
さあ――魔術工芸品を持つ者同士の死闘を始めましょう。
なるほど。これ、タイトルの【魔術探偵・時崎狂三の死亡届】って読み終わってから振り返ると、いくつもの意味が込められてるとも考えられますよね。
どれだけ狂三が死んでも、その死を覚えていてもらえるものは本当に僅かで、その死が誰かの傷になることはない。だからこそ、あの人の消えない傷になったあの狂三の死は、全・狂三にとっての唯一無二の特別に値したのかもしれない。
まあ、あの人……五河士道に傷をつけた、という意味だけの特別かもしれませんが。
その恋への狂気をはらんだ想いが昂じた末に、【バレット】なんて物語が生まれた事を思えば、尚更に。
更に言うと、いちいち分身体の狂三の死亡届なんて、本体の狂三ですら把握していないんだから、そりゃあ残っていたかもしれませんでしたよねえ。
とはいえ、そんな彼女が表舞台に出てきた理由があれ、というのは……狂三さん、やっぱりその恋心、狂気をはらんでいますよねえ。本体の狂三さんは、そのあたり出さないように見せないようにしているのか、前面には押し出してこないのですけれど、本編での士道へのあの理解度と献身を見てると確実に内蔵してるよなあ。分身体の子たちでも繕うべき重しがなくなった子たちから、そのあたりの恋心剥き出しにしてきているような気がする。
その上で、想い人本人に突撃していかないあたりが、奥ゆかしいというか狂三らしいというか。
本編は、懐中時計を模した時間を操る魔術工芸品が、狂三の下に送られてきたところからはじまります。
……いや、実際はタイトルよろしく狂三が殺害される場面から、になるのか。
まー、確かに死ぬのは慣れてますよね、狂三さん。他の精霊でもこれだけガッツリ死にまくった精霊は他にはいないでしょう。他の精霊は死んだら普通に死ぬからなあ。
そして、7つの異なる時間操作能力を有した時計を巡って、お互いに奪い合ってください、というデスゲームっぽい……いやまあ相手を殺す必要はないのでそこまで殺伐としていない、と思われましたが殺伐としてましたね。争奪戦が繰り広げられることになったのである。
もう見るからに黄金の懐中時計って、精霊だった頃の狂三の目にはめ込まれていた時計盤を連想させるそれであり、それぞれの時計が持ち得ている時間操作能力も、かつて狂三が操った刻々帝(ザフキエル)の弾丸のそれで。
いったい誰が何の目的で、この時計型の魔術工芸品をばらまいたのか。という謎を解き、これを仕掛けた黒幕を見つけるために、同じ時計保持者を探していく、という短編連作集になっておりました。
短編連作集というか、もう普通に長編ですよね?
元々、このシリーズが連載されていた小説雑誌ドラゴンマガジンが休刊となってしまったことで、このシリーズも続きが出なくなるかと思いきや、全編書き下ろしでやってやらあ、と誕生したのがこれ、ということで。
もう最初から最後までまさに狂三のための狂三による狂三のストーリーでありました。贅沢狂三三昧。
いやあ、今回は魔術工芸品の持ち主がほとんどヤバい人、危険人物ばっかりで、そういう人に時間操作能力とか持たせたらヤバいことになるに決まってるじゃないですかー、てなもんである。
一番最初に出てきた一番ヤバそうな人が、相対的に一番まともだった、というのもなんともかんとも。
あれをマトモと言って良いのか、殺人鬼なんでそれはどうよ、ってなもんなんだけれど、それでも性格的には一番まともなんだよなあ。他が異常な輩ばっかりすぎる。
それゆえに、けっこうこの本編、緊張感ありましたね。ちょっとでも油断すると、すぐに狂三さん死にますし。
……蘇生するからって、わりと死ぬ前提で動いてたからなあ、この主人公。それができるメンタリティの凄まじさと、そういう経験を今まで山程してきた、という余人が追いつけない経験値。
今の狂三って、戦闘能力とかそういうのはほんと皆無に近く、普通の女子大生に近いはずなのですけれど、実際すぐに拉致られたりしてますしね。ただ、最悪の精霊として何年も飛び回り、付け狙われるのを返り討ちにしてきた殺伐とした経験値に、死んでも復活できるというカードをもたせたら、そりゃこうなりますわねえ、てなもんである。
ただ、そうなると本当に危険な場面ばかりになってしまう、狂三が殺されてしまうような危地ですからね。そこに小学生助手のアヤちゃんを軽々と連れていけないし、さりとて死んだ狂三というのは死んでる間は抵抗できない状態で何されるかわからない、というのを考えると、自分で自分の身を守れる上に危険の中に放り込んでも良心が傷まず、ある程度勝手に動き回れて、勝手に動き回りすぎたらしばき倒したら良いという雑な扱いを許容できる助手、となるとやっぱりあっちの、あの元助手の方が使い勝手がいいというか、潰しが効くというか、動かしやすいと言うか、可動域が広いというか。
茉莉花、便利キャラだよなあ、あれ。
一巻のあとの、あのままフェイドアウトしてしまうのはちょっと勿体ないなあ、という個性的というか個性が酷すぎるキャラだったので、再登場もあるだろうかと期待のようなものも抱いていたけれど、ここまでガッツリと再登場してくるとは思わなかった。
とはいえ信頼できる相手でもないのは確かなので、そういう意味ではアヤちゃん、居てくれないと困るんですよねえ。あと小学生は正義。
黒幕については、ほとんど隠してはいなかったでしょう、これ。いや、薄々どういうキャラなのかはもうあからさまではあったけれど、それがそのまま黒幕かどうかはまだ判断できなかったのは間違いない。まったく別方向から、黒幕仕掛け人がいる、という展開も予想としてあり得ましたし。
ただまあそうかー。その正体、がっつり「あれ」そのものだとも思ってなかったかも。
その上で、この時計型の魔術工芸品についても、明らかに狂三のかつての能力を模したもの、とは容易に想像はついていたけれど、あくまでそれを劣化解体したもので、それらを利用してなにかを企んでいる、というのは考えられたけれど。ある意味この時計型の魔術工芸品そのものが目的であり、蠱毒に似た分解じゃなくて組み立ての方の意味合いがあった、というのはちょっと思いもよらなんだ。
さながら、時計順回りに回っているのかと思ったら、反時計回りだった、ようなこうな。
構成、面白いなあ。わかりやすくあからさまでありながら、一番大事なところはくるりくるりと反転して裏返しになり、大ドンデン返しに遡る。
狂三の能力ベースの話となると、やっぱりぐわんと面白くなりますねえ。
そして、タイトルにも沿った綺麗で仄かなハッピーエンド。
ほんのりと、魔術工芸品を実際に作った制作者の存在という暗がりを添えて続きを意識させながら。
という仕舞い方。読後感も素晴らしかったです。
ってか、ドラゴンマガジン休刊後、この一冊が特別に出た、ってことじゃなくて、この後の話も出てきてほしいなあ。わりと期待はもてそうな雰囲気ですけれど。
……ってか、アニメもう一回、くるの!? ガチの小説最終巻をやるんかこれ!?










































































































































































































































































































































































































































































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バレットのラストはこの後の話だとうっすらと気づきますね
バレットの狂三と響はこのデスゲームの参加対象として最も狙われかねないですし
狂三と響の現実への帰還はデート・ア・ライブ本編の完結から、何年か経つ必要があるってことですね
八岐
が
しました