
【ガララリア戦記〜姫将軍に見初められた傭兵が、戦場で英雄になるまで〜】 天野雪人/冷織 TOブックス
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「わらわに玉座を捧げよ!」
燻り続けた傭兵が姫将軍を史上最高の王へと導く成り上がり戦記、堂々開幕!!
書き下ろし番外編収録!
ガゼルダ帝国による侵略が続くガララリア大陸。
住民の虐殺に都市の焼き討ち……非道な大国に抗う底辺傭兵・ラースは、強大な力の前に敗北を重ね、自暴自棄になっていた。
そんな彼の前に現れたのは――
「そなた、わらわの物になれ!」
帝国の第二王女であり自由奔放な姫将軍・エデルナだった。
なぜか無理やり部下にさせられたラースは、寝首を搔く機会をうかがうが、敵国の民すら救う彼女の高潔な姿に、名君の器を見出してしまう。
卑劣な権力争いの罠に陥り、一万の兵に包囲されたエデルナを助けるため、ラースは隠していた力を呼び起こす!
燻り続けた傭兵が姫将軍を史上最高の王へと導く成り上がり戦記、堂々開幕!!
戦記物が読みたくなったので。
髪留めや巨大な武器など、身の回りのものをかつて亡くした大切な友人たちの形見で固めているという主人公のラース。髪留めなんか、それを身につけるために髪を伸ばしているくらいで。
そういう情報が冒頭あたりにドーンと放り込まれてくる。
重いっ、重い男じゃぁ!
まあ一発で、この男が復讐のために生きている、というのは伝わってくる。大切な友人たちを殺された事実を忘れないために、その身に刻むために形見を離さず身につけているのだろう。
とまあ、最初はそう思っていたわけですが……。
あとあとになって、それどころじゃない重たい想いを以てその形見を身に着けていることがわかるんですけどね。ある意味、それは形見ですらなかったのかもしれない。
過去そのものに雁字搦め、を通り越してその体そのものが過去によって形成され、縛り付けられ、形作られている。彼にとって、生きることそのものが復讐を意味づけられている、とでも思わないと正気を保てなかったのかもしれない。
ラースの率いる少人数の傭兵団は、そんな彼の想いに惹かれた……というよりも、同じように怨念を以て生きるよりほかなかった者たちの集まりであり、同じ帝国という復讐相手に立ち向かうために手を取り合った同志であり仲間であり、新たな家族でもあると言えましょう。
そんな今の仲間達でさえ、ラースは過去にとらわれている。その怨念のまま自分達を置いて消えてしまうんじゃないか、という不安を抱えていて、もっと自分達の方を見て欲しい、とも思ってるんですよね。
この点、傭兵団の仲間たちはもう復讐だけじゃなく、ラースの事を気にかけ、この団長と一緒に生きていきたいと思う所があるからこそ、自分達の方をもっと見て欲しいと感じている、不安に思っているのなら、それはそれで未来志向だと思うんですよね。
サブリーダー的な存在のゼファルからして、壮絶な過去があり、復讐するは我にあり、てな苛烈な想いでおのが魂を焼いているのですけれど、そこに理性も人格も焚べてしまわず、今の仲間達の事を大切にしている所でだいぶ健全なんですよね。
そういう意味では、ラースも姫将軍エデルナとの出会いで変わったものがあるのでしょう。自分を勧誘したエデルナを、利用して帝国内部から打ち崩していく踏み台にするつもりで、彼女の高潔さ、理想に惹かれていってしまう。それは、彼にとっての人生そのものである復讐のやり方そのものを変えてしまって、後悔しないほどの。
エデルナの在り方に希望を感じてしまうってことは、つまり過去からの怨念を果たして終わる結末ではなく、その先を見るようになったということ。過去じゃなく未来を見る余地ができたということでもあると思うんですよね。
そして、それをラースはエデルナに誘われたという受け身じゃなく、自分から踏み出し踏み込んで自分の復讐の道と彼女の理想の道を重ね合わせることを選んだ。前向きじゃないですか。
彼の告白と差し伸べた手は、同時にエデルナにとっても自らの後悔、自分の存在そのものが父王を狂わせ、普通の国だったこの国を悪逆非道の帝国に変えてしまったという罪悪感を償うばかりじゃない、赦しであり自分の夢への肯定であったと思うのです。
なかなかに運命の二人じゃないですか。
でもこの二人、頭もいいけどそれが腹黒とか政治的狡猾性に繋がってないので、脳筋とは言わないけれどバトル脳の前衛タイプなんですよね。
姫様、政敵である兄にほんと良いようにやりたい放題やられて、その意図を見抜きながら何も対策取れないまま死地に追いやられてしまったのを見ると、色々と人材を集めて私兵軍団作り上げてるのはいいけれど、政治家タイプの参謀がいないんじゃない?!
ラースはこれ、エデルナと一緒になって罠なら真正面から食い破れ、みたいなタイプだし。ラースの傭兵団の連中も癖強いけど、政治が出来るタイプいなさそうだし。
このメンツに必要なのって、軍事系軍師よりも王佐なんじゃないかしら。
にしても、あとあとまで因縁深い対立関係になりそうだった敵役、あっさり退場しちゃったな。これ、姫様は帝国内部の敵と戦っていくと同時に、交戦中の他国とも渡り合っていくことになるんだろうけれど、主敵はどっちになるんだろう。同じ帝国内にはっきりとしたライバル関係になりそうな相手って残ってるんだろうか。まあまだ序盤だから兄妹でも出てきてないのたくさんいそうだけれど。




























































































































































































































































































































































































































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