徒然雑記

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書籍感想(2008〜

家族ゲーム 54   

家族ゲーム 5 (5) (電撃コミックス EX 電撃4コマコレクション 96-5)

【家族ゲーム 5】 鈴城芹(電撃コミックス EX 電撃4コマコレクション)(

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もういい加減、西浦先輩に愛の手を!(笑
真言の受験の家庭教師になって、進展するかに思えた西浦先輩の恋も受験が終わって家庭教師お払い箱になったとたん、まったく進展なしになっちゃってるんですよね。あれから後も度々、出会う機会に恵まれているにも関わらず。真言の方は相変わらず、まったくと言っていいほど西浦先輩を恋愛対象として認識してないし。時々、無意識下で引っかかってるらしき描写は在るんだけど、そっから全然前進しないからなあ。そろそろ本気で可哀想になってきたw
一方で中学生になってますます女の子らしくなってきた葵。最初は真言の方が普通に可愛らしい女の子で、妹の葵の方が元気いっぱいな男の子にしか見えない娘だったのにねえ。いつの間にか完全に逆転しちゃったなあ。今回は、葵達のグループに加わった紫杏が、上手いこと葵と悟の関係に刺激を加えてくれたせいか、葵が嫉妬するわ拗ねるわ甘えるわでえらい事に。登場人物も熟女から大学生、高校生組、中学生と多岐に渡ってきましたけど、ほんとに一番恋する女の子してるのは葵だわ。
高校生組は、真言は相変わらずのゲーム廃人してるし、由寿は殆ど身を引いてピヨちゃん応援モード入ってるし、今のところ恋愛臭は一番薄まっているような感じですよね。そういえば、登場人物の中でもゲームやってなくて一番一般人らしかった永妙寺さんが、いつの間にか一番ヒドいことになってた事に愕然です(笑
そのうち、犯罪者にならないか心配だ。本気で心配だw

大学生組は、ピヨちゃんと温水くん、微妙にすれ違ってはいるものの、ああこれはそのうち上手くいきそうな感じ。お互いの、微妙に恋愛感情にまで至っていなかった、気になる異性という間柄が、由寿の存在やお互い意識し合うものの上手く噛み合わずにすれ違ってる状態が、逆に曖昧だった二人の感情を、段々と決定的な恋愛感情へと駆け昇らせている感じなんですよね。ここらへん、さり気なく上手いなあ。
新登場組では、藤井こずえがお気に入り。なんかもう、一目で気に入ってしまいました。見た目とか見た目とか。由寿が大人しくなってしまったせいで、好きな人にがむしゃらに突っ込んでいくタイプの女性がいなくなってたので、この人の独行妄想っぷりは大好きですw
もう一人は新登場でもないんですけど、水瀬先生。この人も、段々と味出てきた。高校の先生としての顔、紫杏の母親としての顔、単身赴任の夫を待つ妻としての顔、遊佐ママの先輩としての顔。一人のキャラクターで色んなタイプの顔を見せてくれる人なので、読んでても結構印象残るんですよね。

だいぶ登場人物も増えてきて、人間関係もこんがらがってきたけど、それだけに読み応えも厚みを増してきて、読み終えたあとの満足感が半端ない。
あーー、楽しかったぁ!!
4巻から5巻の発売スパンが短かったので、次が出るのはだいぶ先になっちゃうんでしょうかねえ。次、また楽しみに待ってます。

SHI-NO ―シノ― 過去からの招待状5   

SHI-NO-シノ-  過去からの招待状 (富士見ミステリー文庫)

【SHI-NO ―シノ― 過去からの招待状】 上月雨音/東条さかな 富士見ミステリー文庫

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………嘘でしょう?(絶句


あらすじからして、志乃と「僕」が再会した時の事件がメインとなる過去編だと思っていたから、完全に油断していた。
この展開は、頭の隅にも思い浮かべていなかったから、なんというかその。「……冗談でしょう、これ」という顛末を信じられない言葉で埋め尽くされてしまっている。
いやもう、本当に。嘘でしょう?

過去に起こっていた猟奇殺人事件。犯人が自殺して終わったはずの事件が、今再び繰り返される中、「僕」が志乃ちゃんと再会した頃の回想や、まだ彼らに出会う前の鴻池キララ先輩が警察官に憧れ、目指すまでの回想なんかが描かれつつ、過去に終わったはずの猟奇事件と現在の猟奇事件の繋がり。正体不明のまま死んでしまった殺人犯の正体。うっすらと浮かび上がってきた巨大な影の存在に、これはなかなか大事になってきたなあ、と思ってたら。
本当に、どえらいことに。どえらいことに。
あれは。あの状況では。さすがにあかんやろ。

自分の常識を勝手に押し付け、志乃という存在を誤解していた過去の僕から、今の僕への成長。それと同時に、無機質だった志乃の確かな変化。
本来ならば好ましいはずの志乃の人間性の獲得が、この作品においてはたびたび逆に暗い予兆として囁かれていたのだけれど、僕と志乃の変化が結果として幸であったのか不幸であったのかが判明するのは、きっと彼と彼女の原点であるこの事件が決着するその時になるんだろうけど。
うわぁ。
実のところ、物語の帰着点に関してはけっこう楽観してたんですよね。なんだかんだ言っても、最終的にはハッピーエンドに終わるんだろうって。
ところが、その楽観を持ちえる象徴とも言うべき存在が……うわぁ、いや、もう何度も繰り返しになるけど「嘘だろう?」と首を振ってしまう。

次巻が、この作品の最終巻になるそうだけど。
思っていたよりも、遥かに凄絶なものになるのかもしれない。

それにしてもこればっかりは……絶句するほかないよ。

迷い猫オーバーラン! 2.拾わせてあげてもいいわよ?  

迷い猫オーバーラン! 2 (2) (集英社スーパーダッシュ文庫 ま 1-2)

【迷い猫オーバーラン! 2.拾わせてあげてもいいわよ?】 松智洋/ぺこ スーパーダッシュ文庫

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うん、これは良かったなあ。このシリーズ――既に三巻の発売も決定しているようなのでシリーズでいいですよね――、<迷い猫>という一つのテーマを、一貫してブレなく追及しているあたりに、非常に好感が持てる。
特に方向性もなく登場キャラクターがギャーギャー騒ぐだけの仕様だと、どうしても読んでる方もダラダラと眺めてしまいますしね。よっぽどキャラクターが魅力的じゃないと、なにか毎度同じことをしているなあ、という飽きも来てしまいますし。その点、この迷い猫オーバーラン! は、一巻も続編であるこの二巻も、<迷い猫>と<帰る家>という主題からブレることなく、キャラクターの行動原理からストーリー構成の帰着まで一本筋が通って非常にスッキリしているので、読んでいるこっちも前のめりに作品に集中できる。
と、言ってもわりと後半になるまでこれらの主題というのは、意外なほど意識されなかったのだけれど。
千世が皆を呼び集めるばかりで、自分の方から輪に入っていかない、という構造は、ほんと、なんでか気づかされなかったんですよね。みてりゃ明白な構図だったのに。
千世の傍若無人で我儘な性格が前回から強調されていたせいで、彼女が巧
たちを呼び集めてなんか仕出かす、というスタイルに何の違和感も覚えなかったのと、集まったら集まったでみんなワイワイガヤガヤ屈託なく壁らしいものは感じられなかったし、千世は千世で無茶苦茶言いながらも巧たちのケーキ屋<ストレイキャット>の現況はちゃんと理解してくれていて、譲る所は譲ってくれていたからなんでしょうけど。
違和感に気づいたのは、千世が唆されて暴走を始めてから。あれ? なんで彼女、ストレイキャットに顔出さないんだろう。みんなが呼んでもこれないなら、自分から行けば、それだけなのに。
そう、それだけの些細なことだったから、気づけなかったとも言える。その些細な行動が取れないところに、千世がある意味、以前の希と同じ<迷い猫>と呼ぶにたる在り様に囚われていた、と言う事に。
彼女の寂しさや臆病さ。温かさを求めながら、実際それを目の前にするとついつい逃げ出してしまうその姿は、やはり<迷い猫>というに相応しく。
いや、感心させられるんですけどね。この<迷い猫>という名付け方は、ほんとに。上手いこと言うなあ、と。

前回の迷い猫だった希は、見事にストレイキャットの家族として馴染んでいて、いいキャラになってますわ。以前あった人との間に張り巡らされてた壁が取り除かれて、無表情型ほんわか天然少女として時にみんなの雰囲気を和ませ、ときにお惚けかまして。ほんと、この家族たちの欠かせない一員になってます。

そんで、メインヒロインたる文乃。一応、あれ本気で告白のつもりだったんだ(苦笑
自分は告白したんだから、次は巧のターンだ、と意地になって普段どおりに振舞ってるあたり、この娘は本気で不器用だなあ、と微笑ましくなる。確かに、そのロジックは正当性があると思うし、文乃があれだけ言ったんだから、巧は幼馴染としてちゃんと彼女の意を汲むべきだとは思うけど、もうちょっと思わせぶりな態度を取って巧の意識を揺さぶるくらいの芸当はしてみせるべきなんじゃないかなあ。その辺を頑なに、徹底してやらないのが、この娘の可愛げでもあるんだろうけど(苦笑
でも、彼女は彼女なりに頑張ってるわけで、はっきりと自分の巧への好意を自覚し、それを認め、逃げる事も曖昧にぼかすこともせず、彼女なりにだけどしっかり意志表明して立ち向かってるあたりは、とても好ましいんですよね。結果的に二人の関係はあいまいになっちゃってるけど、それは彼女が極度に恋愛下手である結果的にであって彼女のちゃんと行動してるんですから。
多分、最後の迷い猫は文乃になるんでしょうし、その辺は期待しながらじっくり待ちます。不安はなく、ただただ楽しみ。


ANGEL+DIVE 3.LOVENDER5   

ANGEL+DIVE〈3〉LOVENDER (一迅社文庫)

【ANGEL+DIVE 3.LOVENDER】 十文字青/青稀シン 一迅社文庫

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今、読後の呆然とした心地のまま、衝動的にブログを立ち上げ内々に湧き上がったこの情動を言葉として出力しようとして、はたと我を取り戻す。
その途端、ハラハラと零れおちていく涙。
立ち尽くすようなこの自失感が、さざめくようなサラサラとした悲しみなのだと、今になって気づく。感想を書くということは、時として今のように自分が自身の中に入力したものを具体的に検証することにも繋がる。もっとも、それらを精緻に分析した挙句に言語化して出力できるのかというと、恐らくは殆どが失敗に終わり、その大部分が曖昧なまま不定形のあやふやなもののまま内在し、消化されていくのだろうけれど。

と、再びここで我に返る。今呼んだこの本について書いているつもりが、なにかわけのわからないことをいつの間にか書きなぐっていた。思いのほか動揺しているのか、出力する段階でこう変換するべきだと心霊が囁いたのか。

悲劇が墜ちていく。

太陽を目指したイカロスが、地に墜ちたようにして。いや、彼らが望んだのはそんな大層なことじゃない。ささやかな、普通の人ならば当たり前のように得られる穏やかな幸せだ。
でも、今、彼らの幸福な日々は完全に破滅した。

それが、とても悲しい。悲しい。
誰のせいでもないのが、誰のせいにも出来ないのが、とても悲しい。

人は滅びる為に、生きているのか。
それは真理なのだとしても、それを受け入れてしまえばそれは人間ではなくなってしまうということ。
でも、抗った結果がこれだというのなら。

変わってしまった夏彦は、この結末を経て、さらにどれほどの変化に至ってしまうのか。あの未来の姿は、さらに人間性を失った姿だったのか、それとも何かを取り戻した姿だったのか。
どこか歪んだまま混じり入ってしまった幼馴染との関係といい、彼にとっての破滅はまだ始まったばかりだったのかもしれない。
この悲劇ですら、まだ端緒に過ぎないというのは、それこそ悪夢なんだろうけれど。

そして、この巻の文字通り主人公だった桜慈。生涯唯一の運命と出会い、引き裂かれた彼がどうなっていくのか。

この作者は、どれほど負の感情にまみれ、地を這いつくばり、花の曲がるような腐臭を漂わせていようとも、そんな登場人物たちの中にある善性を信じさせてくれる人だけど、それだけにそんな彼らをグチャグチャに叩き潰す展開を容赦呵責なく描かれると、ダメージがでかい。
この結末は、ある程度予想出来ていたものだけど、それでもショックだった。ショックだった。
だって、秋葉が(涙

ひとひら 64   

ひとひら 6 (6) (アクションコミックス)

【ひとひら 6】 桐原いずみ(アクションコミックス)

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ああ、本気になっちゃった。
ちとせって子は、結局あれなのか。恋する男の横顔に恋してしまう難儀な体質だったのか。
桂木にしても、甲斐にしても、ちとせがときめいて恋をしてしまったのは、彼奴らが自分と違う女を見つめてる横顔だったものなあ。
ちとせが不遇、というか可哀想なのは、彼女がまっすぐ過ぎる所なんですよね。権謀術数を駆使して、自分の方へと振り向かせようというタイプじゃない。桂木相手の時のように真っ正面から突貫して砕け散るか、最初から諦めにかかってしまうか。
まだ相手が、意中の女性とくっついているなら、諦めようもあるだろうに。桂木にしても、甲斐にしても相手に片思いの段階なんだから、やり様は幾らでもあるだろうに。
今回の場合なんか、最初から挫けてる。甲斐の意中の相手が、麦だからっていうのもあるのだろうけど。
麦は恵まれてる。野乃先輩や甲斐、そしてちとせが鍛え、励まし、支えてくれたんだから。一方で、ちとせに対して同じように支えてくれる相手がいただろうか。
麦に道を示し、導いたのは確かに野乃先輩だったかもしれないけど、その道を進むのに何度も挫け、逃げ出そうとした麦を、最後の最後で支えて背中を押してくれたのは、ちとせだったのに、演劇で麦に役を実力で取られ、恋愛でも好きになってしまった甲斐は、麦ばかりを見つめてる。
そこで黒い感情を抱いてしまうような子じゃないのが、彼女の貧乏籤を引いてしまう性分なのかもしれないけど、挫けてしまうのも無理ないよなあ。
最後の、演劇やめようかな、という呟きは、今までこの作中で麦だけでなく様々な人が同じような言葉を口にしていたけど、それらを凌駕する重く空虚な一言だった。

なんか、段々と麦だけでなく、ここにきて本格的にちとせも主役のようになってきたなあ。明るく天真爛漫に振る舞ってきたちとせだけに、誰も彼女の事を心配してないけど、だからこそ誰も見ていないうちにズブズブと深いところまで落ち込んでしまっていきそう。
こういう時こそ、今まで助けてきてもらった麦がなんとかするべきなんだろうけど、その麦こそがある意味元凶なんだから、なかなか難しい話。だいたい、麦にはそういう人間関係の対処能力が著しく欠けているわけだし。


ところで、裏表紙の四コマの響のあの反応は、つまりどういうことなんだろう。本編見てると、本気で他人に関心なさそうな彼女が、いちいち嫌がらせまでしてるってことは、当たってるってことなのかしら(2828

野乃たち三年生が卒業し、麦と甲斐が演劇部に加わって、これまでわりとモブキャラだった演劇部の面々が、ここにきて活き活きと動き出した感がある。部長のたまちゃんに、副部長のさちえ。美麗の下で賑やかに騒いでたこの二人の後輩コンビが、皆を引っ張るようになってまた色々と変わってくるんですよね。立場が人を作る、と言いますけど、これはなかなかの至言だと思うところ。立場ってやつは、否応なくその人の本人すら知らなかった一面を無理やり引っ張りだしてくるものだから、まー見てる分には面白い。自分がなると大変だし、部下や後輩として関わる事になるのも大変だけど(苦笑
でも、さっさと対立しちゃった野乃と美麗と違って、たまちゃんとさちえは上手いことコンビで成り立ってるみたいだし、喧嘩もすれ違いもありつつも、仲好く上手くやっていきそう。世代によって部活も雰囲気変わるものだけど、この演劇部も以前とは違う新しい雰囲気で、このままいっても楽しい感じになっていきそうだけど。
まあ、そこは後々のちとせ問題次第になるのかなあ。

さよならピアノソナタ 45   

さよならピアノソナタ〈4〉 (電撃文庫)

【さよならピアノソナタ 4】 杉井光/植田亮 電撃文庫

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冬のイメージってなんだろうと思索する。静けさ、冷たさ。騒がしさから一歩引いた、粛々とした終わりの空気。終わりへと至る、眠りへの時期。
その冷たさは、体に刻まれた傷を疼かせ、その寒気は心の熱を奪い去る。
理性を吹き飛ばすほどの熱量もまた、冬は拭い去っていく。興奮は冷め、それでも消えない炎は、種火となって灯り続けるとしても、そこに出力するほどの熱量は残されていない。自然、人は温もりを求めて、内側を見つめる事となる。
自分を見つめなおすこと。相手との関係を見つめなおすこと。見て見ぬふりを許される時期は、もう通り過ぎてしまったということだ。
冬は、必然的に結論を要求される。

この四巻に流れる音は、ずっと静かだった。弾む事も弾けることもなく、同じところをグルグルと廻り続けるナオミの想いと、それを包み込む冬の空気が、静粛と言葉を綴り続ける。
秋に、進むべき道筋が示されてしまった以上、ナオミが突き進むべき道は本人を含めて皆が理解してしまっている。だから、きっとナオミが素直にその道を突き進むのなら、この第四巻からは賑やかなパレードを思わせる音が聞こえたのだろう。けど、この野郎はすでに出てしまっている結論を躊躇い、恐れ、逃げ惑い、後ずさりして、前に進もうとしない。ゆえに、真冬もまた同じところに足をとどめ、先輩はナオミの手を引き寄せようと抗い、千晶は忸怩と唇を噛み続ける。
誰もが傷つき、冬の冷気に傷口をさらわれ、のたうちまわる。

その先に、爽快などはどこにもない。ただ、動けず傷つけ合った先に待っていたどうしようもない現実に、見っとも無く叩き伏せられたナオミが、でも這い蹲ったまま、立ち上がれずにでも前に進もうと這いずって這いずって、這いずった先に、真冬が待っていてくれた。
そういうこと、なんだろうね。

もし、彼らに音楽と言う言語がなかったら、彼らはたとえ出会ったとしても何一つ心通じることなく、そのまますれ違っていたのだろうか。
じゃなくて。ナオミにしても、真冬にしても、その在り様はあまりに音楽に特化していて、二人とも、音楽を解さない相手とどれほど繋がる事が出来るんだろう。二人とも、あまりに不器用で人の心を理解するに疎くて、鈍くて、意地っ張りで。言葉でも態度でも、上手くコミュニケーションが取れなくて。
それでも、あの二人があれほど深く繋がれたのは、お互いの奏でる音が何もかもをすっとばして、心の一番深い所に叩きつけられていたからなんだろう。でも、二人はそれでも言葉によってコミュニケーションを取らざるをえない人間でしかなく、この上なくお互いに気持を繋げていたとしても、それが本当の気持ちなのか、自分の感じているこの感覚が本物なのか、確信し続けることはやはり不可能なことで、最終的にはやはり言葉と態度で示さなければならないところを、音に縋ってしまったのが、この二人の長い長い回り道の原因だったのかもしれない。
きっと、これから先も、ずっとずっと、この二人は繋がったまま何度もすれ違い、重なり続けるんだろうなあ。


この作品は、杉井光の作品の中でも、地の文がとびっきり素敵で、叙情的で、見ることで音が流れだす♪のようで、とても好きでした。
文章を文字列として捉えるだけでなく、どこか感覚的に入力されていくんですよね。【時載りリンネ】のそれが文章的な美しさの極致にあるのと、似て非なる、音楽的な美しさ。普段は家で本を読むときは、何かしらの音楽をかけてたりするものですが、このシリーズを読むときは意識して無音状態にしてから読んでましたね。
まあ、没頭してしまえば外界からの音など認識しなくなっていたでしょうけど。
うん、素晴らしかった。感動した。傑作だった。そういうこと。

C3 ―シーキューブ― V  

C3‐シーキューブ〈5〉 (電撃文庫)

【C3 ―シーキューブ― 后曄/綫ネ娵遏燭気修蠅ため 電撃文庫

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まずはヒモパン。常にヒモパン。なんぞもし。

すみません、最近疲れているもので。
今回は、前回出番のなかったいいんちょのターン。でも、フィアもメインヒロイン面目躍如なんですよね。
この作品に登場するヒロインたちは、みんな多かれ少なかれ宿業を背負っています。フィアにしても、このはにしても、呪われた道具として何人も何十人も、場合によっては何百人もの人間の肉体を傷つけ、尊厳を破壊し、心を打ち砕き、絶望を刻みこみ、命を奪ってきたわけです。
その罪科は、たとえ使われる道具でしかなかったとはいえ、彼女たちを今なお苦しめ続けている。
ゆえに、だからこそ。
彼女たちの生きざまは、読んでいてハッとさせられるほど健気で、真摯で、誠実であり、気高くすらあるのです。常に正しくあろうとしている、というのとは少し違うのかな。今回なんかは特に大いに<間違える>話であったわけだし。
彼女たちの行動は、選択は、彼女たちが大切に思う人たちに恥ずかしくない、胸を張って結果を示せる、そんな意識を常に心がけている、そんな風に見えている。後ろ暗い過去に常に苛まれている彼女たちだからこそ、背筋をピンと張ってかざしてみせるその姿勢は、眩く見えるのだろう。
対比となる、敵方の連中が以前の家族会にしても、今回の研究室国にしても、自分の欲望、思想に忠実で自分本位極まる連中であることも、フィアたちの気高さが際立つ要素なのかもしれない。
春亮は、主人公なのに、いざ戦いとなると何の役にも立たない。作中でも自分で愚痴ってるけど、観戦に回らざるを得ない自分には忸怩たるものがあるだろう。でも、こいつを役立たずだと思ったことはないな。たとえ戦闘力がなかろうが、彼女たちの精神的支柱はまぎれもなく彼なんだから。彼がいたからこそ、彼女らは自身の罪科や弱さに押し潰されず、未来や希望といったものを見出す事が出来、自分の宿業に立ち向かう勇気と意志を得ることが出来たんだから。
彼が彼女たちに示したものは、呪いから解放されるという希望、そしてそれ以上に彼女たちがこれから胸を張って生きていくための、道筋だったように思う。大変だぜ、他人にそれだけの勇気や意志力を与え続けるための姿を示し続けるのは。でも、彼は見事にそれを成し遂げている。
錐霞が、兄の呪縛に真っ向から立ち向かう勇気を得たのも、春亮やフィアの示したそうした生き様だったんだから。

意外だったのが、崩壊後の家族会、ですか。二階堂クルリの今回の目的が最後までわからなかったのですが、それが明らかになったとき、ガツンときたなあ。最後まで間違え続けてしまった家族会ですけど、こうしてクルリの想い、アリスの告解を見てしまうと、そのすべてを否定し尽くすことはできないよなあ。あの破滅の後にも、残ったものはあったのだ、と。
アリスのこの後の人生は贖罪の酷道なのでしょうが、クルリのおかげでその道を最後まで歩き続けることができるでしょう、きっと。

恋愛パートでは、いいんちょが一歩リード、になるんかな。フィアはまだ恋心が芽生えはじめたばかりだろうし、このはは……可哀想だがやり方がへたくそ過ぎる(苦笑


東方儚月抄 Silent Sinner in Blue. (中)  

東方儚月抄~Silent Sinner in Blue. 中 (2) (IDコミックス REXコミックス)

【東方儚月抄 Silent Sinner in Blue. (中)】 原作:ZUN 漫画:秋★枝 (IDコミックス REXコミックス)

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月面侵攻用ロケット完成披露宴に出席した時の霊夢の洋風にアレンジされた巫女服っぽいドレスは、良かったなあ。スカートにはフリルついてたし。
ポンと、衣装を変えちゃうあたり、魔理沙って魔法使いなんだなあ、と今更のように納得。
さて、全体構図は明らかになってきたような、なってきていないような。
月に侵攻しようとしている真の黒幕は、取りあえずは紫の事でいいのかしら。
えーりんは、そう思ってると見て間違いないのだろうけど、だったらなんでレミリアのロケットが月に到着するようにこっそり支援しているのか。一方で、綿月姉妹に情報を流しているわけだし。んー?
なーんか、そう単純な話じゃないような気がするんだけどなあ。えーりんも、月侵攻の真犯人を見つけ出したい、とは言ってるけど。見つけてどうしよう、って言ってるわけじゃないんですよね。綿月姉妹に丸投げしてる。月の都を守りたい、と言っているのは真意として、月の都を守る、というのは具体的にどういった結果を以って守る、としているのか。紫の意図を挫くことなのか、はたまた……。
そもそも、紫が真犯人だとして、彼女が月に対して何を目論んでいるのか、その目的がわかんないんですよね。その目的次第では、えーりんと対立するような形にならないのかも。現段階だと、えーりんの思惑通りに事が進んでるみたいになってしまってるものねえ。それだと、紫の立つ瀬がないわけだし。
だいたい、幽々子様もわかんない。彼女の言う、敵をだますにはまず味方からって、誰が敵で、誰が味方なのかという前提からして、どうなってるの? と眉間に皺を寄せて考え込まなくてはならない。
レミィに、月ロケットの推進力となる概念を教えた意図は? 紫を助けるつもりなのか、はたまた成果を横からかっさらうつもりなのか。
でも、幽々子様にしても紫にしても、物欲とは程遠そうだし、何が狙いなんだろう。
わっかんないなー。

面白いのは、えーりんの弟子のうどんげ。幽々子の従者である妖夢。紫の式神である藍。事態の裏でうごめく三者の手足となって働く、ナンバー2の三人が三人とも、主の真意を読めずに困惑しているところでしょうか。
みんな、意地悪だよなあ。あの娘らが、わかんなくて困ってるのを楽しんでいる素振りすら見せてるし。
一方で、そういった動きに気づいていながらもまったく頓着していない風なのが、霊夢あたりですか。上手いこと利用されていることを自覚しながら、あんまり気にせず流れに乗っかって泰然としてるんですよね、彼女。カウンター的なものを狙っているわけでもなく、受容しているというべきか。細かいところを気にせず、御輿に乗ってやる、というこの態度が、大物連中に好かれるところの所以なのかもしれませんけど。
咲夜さんも、パチェと同じく気づいてはいるんだろうなあ。レミィが踊らされてるっての。気付いて巻き込まれないようにちゃっかり残るパチェに対して、しっかり付いてくる咲夜さんというのも面白い対比なのかもしれません。
だいたい、レミィには踊らされてる自覚ないのかしら? それを理解した上で、真っ正面から食い破る、みたいな物騒な考え方をしていそうなのも、この吸血鬼の性格っぽいんだけど。

放課後の魔術師 2.シャットダウン・クライシス4   

放課後の魔術師  (2)シャットダウン・クライシス (角川スニーカー文庫)

【放課後の魔術師 2.シャットダウン・クライシス】 土屋つかさ/ふゆの春秋 スニーカー文庫

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手に取った時は、えらい本の厚さが薄っぺらく感じで、おいおいと思ったんだけど、読み終えたときには薄いという印象はさっぱりなくって、けっこう驚いた。思っていた以上に、中身に没頭していたみたい。第一巻でもかなり絶賛したつもりだけど、これは思いのほかこの作品に嵌まりつつあるということだろうか。
同い年なのに、教師生徒の関係、というのは今までにない絶妙な距離感が合って、好きだなあ、これ。プライベートでも魔術の教師と生徒なわけだし、精神的にも安芸は大人だから、アグレッシブな遥もきちんと目上の人に対する丁寧な接し方をしてるんだけど、相手が同い年だからという点は気安さや積極的な押しの強さを自身に容認することにもつながってるので、これが絶妙なんですよね。
奔放に見えてこれで遥って結構きっちりとした性格だから、安芸が本当に年上の教師だったら、もっとちゃんと生徒と教師という線引きをしてるように思えるんですよね。妹と二人で生きてきたことから、大人に対して変に甘えない自律した面もあることだし。立場としては目上で、でも年齢は同じ、という他なら多少接し方に違和感や歪みが生じるような関係なんだろうけど、この二人には逆にしっくりと行くものだったのかもしれない。

それにしても、相変わらず安芸の授業は凄いなあ。テストなんかしなくても先生は生徒の実力はわかってる、というのはそんな優秀な教師はそんなにいないよ、とも思うんだけど、彼の授業法にしてもテストのやり方にしても、変に突飛ではなくなまじ本当に効果的そうで面白そうで、その、困る。
英語の授業なんか特に苦手だった自分なんかからすると、あのテストは心理的に厳しいんだよなあ。変に誤魔化すこともできないだろうし、クラスメイトの前で喋ることになるんだから、実際やらされるとなると参るだろうなあ。対策も立てようがないし、自分の実力で頑張るしかない。
大変だし、多分受験なんかに即効性のある効果があるかはわからんけど、英語をしゃべれるようになる、という意味ではこの人の授業は本当に効果ありそう。

今回は、本格的にシリーズ化、ということで大量に伏線をばらまくことに終始していたのかも、と読後に振り返って思い至る。
でも、予想以上にてきぱきと伏せていた秘密を開示してこられたのには、少々驚いたかも。特に、ジェシカのモデルになった伊予なんかは引っ張ろうと思ったら、安芸の過去の影としてもっと引っ張れただろうに。それを、こうも明快に登場させるというところに、作者のこの作品に込めた方向性を明確に感じさせられて、なかなか好印象。なるほど、安芸と遥の関係こそが、この作品の最大の見せ場であり重要な根幹であるということですね。それも、陰湿に重たくするでなく、快濶にぐいぐいとパワフルにまい進する類いの。
それでいて、<鴉>だけではなく論理魔術師一党の中でも勢力争いはあるという展開を提示することで、単純な敵味方の対立構図ではない、様々な意図が絡まりあった暗闘の要素も垣間見えてきて、先の顛末が実に楽しみ。
これは、これからどんどんおもしろさの上昇カーブを描いていきそう。最初に感じた期待感は、どうやら間違っていなかった様子。
2009の注目作品。

東方儚月抄  Silent Sinner in Blue. 上巻  

東方儚月抄 ~Silent Sinner in Blue. 上巻 (IDコミックス REXコミックス)

【東方儚月抄  Silent Sinner in Blue. 上巻】 原作:ZUN 漫画:秋★枝 (IDコミックス REXコミックス)

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第二次月面戦争勃発!!
もっと、ほのぼのした内容を想像していたんだけど、これはみんな黒い、黒いよ!!
時系列的には永夜抄の後からってことになるのかしら? 作中時間が経過しているうちに、花映塚、風神録、地霊殿の事件も起こってるみたいだけど。
月面侵攻の発端となってる紫からしても、地上の月人であるえーりんにしても、今回静観を決め込んでいる幽々子にしても、裏で思いっきり何かを画策しまくってる。それも、お互いの思惑、出方を読み合いながら。三者三様とも、最終的に何を成就させることを目的にしているのすらも分かんないから、恐ろしいったらありゃしない。妖夢じゃないけど、雨月すら想像できない乏しい発想の持ち主なので、何も分からないまま見続けるしかないんだけど。
レミリアはその辺、わかった上で突貫しているのかいないのか。この幼女も短絡的なおバカに見えて、その内側や歳を経た吸血鬼らしく深遠な部分があるからなあ。すべて承知で乗っている、という態度にも見えなくもない。

しかし、堂々ロケットで月に行こうとするのが凄いなあ。しかも、ロケットが月に到達する理論がまたこれ、素晴らしい。純然たる物理科学を端から鼻で笑ったような、言霊や魔術論法における理論。
サターンロケットを基にして、月に到達するために様々な論点から問題解決を図った結果、ロケットは三段で構成されている→月に到達するためのロケットは三段で構成されていなければならない→三段で構成される筒を見つければ、月に到達できるロケットになる。
ふざけた三段論法みたいに見えるけど、古い呪術、魔術の、結果を顕現させるプロセスってだいたいこんなんなんですよね。
ところで、アポロ計画は旧い月ロケット計画は、既に幻想入りし出しているのか。時代の流れを感じるとともに、あの衛星も遠いものになったなあ、と感慨。でも、中国の嫦娥計画が触れられているあたり、これ面白いわぁ。現実と幻想の相克が、非常に見事なバランスで描かれていて、実に不思議な感覚を覚える。会話の間やコマ間などの独特のテンポもまた、その雰囲気を助長しているんだろうけど。

これは、想像していたよりもかなり面白い作品になりそう。もっとファンブック的な内容のないものを予想していたんで、これは嬉しい悲鳴。

世界平和は一家団欒のあとに 6.星弓さんちの非日常4   

世界平和は一家団欒のあとに〈6〉星弓さんちの非日常 (電撃文庫)

【世界平和は一家団欒のあとに 6.星弓さんちの非日常】 橋本和也/さめだ小判 電撃文庫

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柚っち可愛いよ、柚っち!
というわけで、今回は短編集だったのですが、星弓さんちのお嫁さんこと柚島の出番が多かったので素直に嬉しかったり喜ばしかったり。
ライトノベルにゃ、それこそ星の数ほどヒロイン様はいらっしゃるわけですけど、柚っちほど【嫁】っぽい感じのするヒロインはなかなかお目にかかれませんよ。
なんでだろう。やっぱり、作品の骨子が家族モノだからかしら。なんだかんだで、星弓家の家族の絆が話の中心になりますしね、いつも。そこに積極的に絡んでくる柚島は、他人にも関わらず既に家族の一員みたいな感覚で存在しているわけで。その上で、軋人に対して彼の性格、考え方、咄嗟の反応、長所短所、全部を飲み込んだ上で、苦言を呈しながらも好きにやらせつつ、でも手綱を握っているっぽいのが、長年連れ添った女房みたいなんですよね。もう、恋人ですらない今の段階で、軋人は柚島に尻に惹かれて頭あがってないし。
でも、なんだかんだ言いつつも、軋人の意見や意地は尊重して支えてくれるわけで。そりゃ、頭あがらんわなあ。柚っち、年下なのにねえ。
もう結婚しちゃえよw


悪党退治は何カロリー?
妹、美智乃が体重増加に発狂して、ダイエットを敢行。このはっちゃけ娘の無茶苦茶な行動に巻き込まれるのが兄貴の宿命なんだろうけど、はっきり言って自分から首突っ込んでるから自業自得なんじゃない? このシスコンめ。
まあ、彼の場合、もう一人の妹の事もあるわけで、なんだかんだと美智乃を溺愛するのも無理ないんだろうけど。


星の王子さま
ナチュラルに星間危機に巻き込まれてるあたり、星弓家の業を感じるわけですが、そのきっかけを軋人に持ち込んできたのが柚島であるのはどう考慮するべきなんだろう。別に、変な想像を巡らせんでもいんだろうけど。
柚島も世話好きなんだけど、これ読んでると軋人も相当だよね。柚島のクラスメイトへの屈託のない友達づきあいの仕方見てると、なんでこいつ友達少ないのかよくわかんないんだけどね。


刃の行方
これが、この短編集でもメインなのかな?
星弓家の面々って、どいつもこいつも殺しても死ななそうなメンツばっかりなんだけど、その中で唯一軋人だけは、やたらと危なっかしいところがあるんですよね。わりとあっさりと、ちょっとしたアクシデントでぽっくり死んじゃいそうな、生命線の細い雰囲気がある。情が深い分、その情が命取りになって、しくじりそうな。
この話は、そんな軋人の危なっかしいところがもろに出たようなお話で。軋人はあれで賢明な男だから、自分の致命的な部分は勿論心得ているんだろうけど、こればっかりは業に近いものだからして、似たような出来事に直面したら、結局また危ない橋を渡ってしまうんだろう。それを繰り返していたら、いずれ取り返しがつかないことになることは承知しているだろうに。柚島からしたら、たまったもんじゃないんだろうけど。彼女の性格からしたら、こんな危なっかしい野郎、そりゃ放っておけなくなるわなあ。


大邪神の夜
珍しい、彩美・七美のお姉ちゃんコンビのお話。随所に、彩美姉ちゃんと竜助が上手くいってる様子が伺えて、この辺ニヤニヤさせられるなあ。
こりゃ、作品が終了するまでに結婚までこぎつけるんじゃないのか、これ。
さて、肝心の内容は、二人の学生時代に解決した事件の後始末、みたいな感じの話で。邪神退治、と見せかけて、過去の人間関係の決着が真相にくるあたり、この作品らしい展開で。
七美って、力は家族内最強だとしても、ほんとに不器用なんだなあ。彩美に対しても、もっと説明の仕方とか誤魔化し方ってのがあるだろうに。それに、力がある分、自分ひとりでやろうとする傾向もあるのかも。なまじ、物事の本質を直観的に誰よりも早く捉える事の出来る人間であるのも、独走の原因なんだろうけど。周りの人間が事態の把握に右往左往してる間にも、彼女は事の本質に立ち向かっているわけで、そりゃ第一歩にこれだけ差がひらいてしまえば、一人で突っ走ってしまうんも無理からぬところなんだろうけど。かと言って、器用にスマートに物事をスパッと解決できるような人間でもないから、だいたいややこしいことになってしまうんだろうけど。
いや、なんでも一人でやっちゃおうとしてしまう傾向は、他の家族も同様か。彩美にしても、そのせいで友人と拗れたんだし、両親もこの間、家族崩壊の危機に陥ったわけで、軋人も妹のことで傷を負ったんだし。大変だねえ、この家族も。そりゃあ、柚島が放っておけなくなるわけだ(笑


そろそろ、弟くんの話もして欲しいところかなあ。でも、こいつ絡め難そうなのはよくわかる。女の影でも見えてきたら、面白そうなんだけどw

断章のグリム 宗,覆任靴魁焚次4   

断章のグリム〈9〉なでしこ〈下〉 (電撃文庫)

【断章のグリム 宗,覆任靴魁焚次法曄々壇蝶愎諭浸案月かける 電撃文庫

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<なでしこ>編、完結!
これは参った。この展開に真相は完璧に予想外、想定の枠内のさらに外側から来られた感じ。これまでの泡禍と同じパターンで、潜有者を特定していくものだとばかり思っていたから、それ以外の状況をまるで考えていなかったので、かなり愕然とさせられた。まさかそういう事になっていたとは。
確かに、上巻から妙な違和感ばっかりだったんですよね。どうにもこれまでと違って、起こる事件が<なでしこ>童話から想定される惨劇パターンにすっきり当てはまる感じでありながら、どこかそれが上滑りして身になっていないような、ちぐはぐで不気味な感覚が。
それが、下巻になってからさらに膨らんできて、いったい何がどうなってるのか訳がわからなくなってきて。
これまでの泡禍は、起こる惨劇が予想外でありながら、起こった後に吟味してみるとそれが常に明確な指向性を示していただけに、今回はその指向性が不鮮明で、混乱させられたんですよね。
なるほど。なでしこ、という童話の知名度の低さ、この童話の寓意などの研究度の乏しさを逆手にとった、これは見事な仕掛けでした。やられたわ。
下巻に入って、蒼衣といういつもの探偵役が現場を離れてしまったのも、事態の真相解明が混迷を深める結果を上手く導いていたように思える。

しかし、毎回言ってる気がするけど、蒼衣の異常性は今回際立ってませんでした? 普通の日常というものへの執着が、明らかに異常。明らかにこの子、普通というものを履き違えている気がする。普通なら、あのクライマックスで現場の方で異常事態が起こっている、しかも雪乃とも連絡がつかない、なんて一報を聞いて、現場に駆け付けようとせずいつも通り学校に通う方を優先しようとするかな? それも、一瞬も迷わずに。
わかってるのでしょうか、彼は? あの瞬間、自分が普通の生活のために、雪乃たちを見捨てた、ということを。全然、わかってないのか。それとも、わかった上で平然とそうしたのか。聡明な彼が、それを理解していなかったとは、とても思えないんだけど。その決断に、後悔や後ろめたさが一切感じられなかったのも……。
いつも、この子には違和感と居心地の悪さを感じていたけど、今回ばかりはかなりゾッとさせられましたわ。
本当に普通の人間が、目醒めのアリスのような強力で理不尽な断章を、断章保持者として維持できるわけがないのは確かなのですが、多かれ少なかれ他の断章保持者が異常性を有しているにしても、彼はどっか根本的におかしいんじゃないでしょうか。
雪乃さんなんか、今回さらっと明らかになってたけど、追いつけられて余裕がなくなるほど、普段の冷酷さや非情さが薄れて、情深い行動を咄嗟に取ってしまう人なんですよね。
過去編を読むと分かるように、彼女元々はとても優しく、親身になって他人を気遣える女性だったんですよね。そんな素の性格が、逆に余裕がなくなればなくなるほど、表に出てしまう。普段の【雪の女王】としての彼女の顔は、やっぱり造った仮面の顔だったってことなんでしょうけど。
まあ、自分の意志で外したりつけたりできるような類いの仮面ではないのでしょうけど。根深い憤怒や憎悪、絶望と自己嫌悪、そういった激情によって形作られ、貼り付けられた雪の仮面。
でも、それがやはり仮面に過ぎないというのは、何だかんだと言いながら、結果として彼女の行動が周りの人間を助け、心が傷つかないように気遣う形となっているものからも明らかなのでしょう。ただ、それに周りの人間も、本人も気づいていないようなのが不幸なのか、それともこの環境においては幸いなのか、複雑なところです。

そして、断章のグリム、としては今まででは珍しいパターンの結末。ただ、生き残った人間の心に刻まれた傷跡は、これまでのものと変わらないくらい酷いものだったんじゃないかな。いや、これまでが有無を言わさぬ悪夢の惨劇に、問答無用に心砕かれたものだとすれば、今回は明確に自分の責任によるもの、という意識がある分、背負った重荷はより重たいものなのかもしれない。エンディングの彼の暗いまなざしからは、そんな傷跡が伺える。
まあ、死人が思いのほか少なく済んだ、という意味ではやはり画期的なんだろうけど。

アンゲルゼ 永遠の君に誓う5   

アンゲルゼ―永遠の君に誓う (コバルト文庫)

【アンゲルゼ 永遠の君に誓う】 須賀しのぶ/駒田絹 コバルト文庫

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この四巻で完結と情報を戴いたときはびっくり仰天したものでした。まだまだ中盤、これから本番って感じだっただけに。実際、本来は五巻完結だったところを大人の事情で四巻に纏めたそうで、ところどころどうしても早足だったり、伏線が触れられなかったり、飛ばされちゃったりしたらしき場面が見受けられたわけですが。
それを考慮に入れてなお。

凄まじかった。

圧巻でした。ったく、須賀さんの描く物語はどれもこれも、クライマックスは圧巻としか言いようがないのが正直困る。嬉しい悲鳴が迸るゼ。

淡々と繰り返す日常に埋没し、ウジウジと周囲の環境、母親や友人たちに侮蔑と絶望を抱きながら、何よりも自分に絶望し未来に何の展望を抱けないまま、腐ったように日々を過ごしていた、つまるところ普通の思春期の内向的な少女でしかなかった陽菜が、天使病の感染をきっかけに人生を一変させることになったこの物語。
自分とは関わりのない世界の話でしかなかったアンゲルゼとの戦争の渦中に叩き込まれ、さらに自分に秘められた出生の秘密、封印された過去などが明らかになるにつれ、残酷な現実を何度も何度も目の前につきだされ、叩きつけられ、だからこそ強くならざるをえなかった彼女。
そう、強くなったよ、陽菜は。最初の、あの引っ込み思案な大人しい少女がよくもまあ、ここまで、と思うほどに。須賀さんの作品の主人公としたらこういうタイプはちょっと見たことなかっただけに、どうなるかと思いましたけど、逆に最初が弱かっただけにその分ガシガシ叩いて鍛え上げられたのかもしれないですね。泣いて怯えて怒って挫けて、でも最後にはいつも歯をくいしばって立ち上がった少女。
やっぱり、須賀さんの女主人公はみんなカッコイイや。

最初に彼女が憎み、絶望していた周囲の人間たちの醜い姿が、平和な日常が覆されていくたびに、その真意、真相が明らかになり、陽菜が思っていたのとは全く別の姿となって現われてくる。みんな、本当に陽菜の事を心から想い、心配し、助けようとしていてくれたんですよね。それに気づいていくことは、セピア色だった陽菜の世界が鮮やかに色づき、彼女が日々を過ごしていた世界がつまらなくくだらないものでは決してなく、とても素晴らしいものだったと理解していく行程であったのと同時に、皮肉なことにそれらを失っていくものだったわけで。
何も知らなかった自分を後悔し、与えられ続けていた優しさ、慈愛に報い応えるために陽菜は強くなっていけたのでしょうけど、そうやって気づいた優しい世界を守ろうとすればするほど、せっかく気づいたそれらを遠ざけ、突き放し、無くしていかなければならないこの矛盾。

陽菜と合わなくなった後の、遥母さんのあの空っぽの状態は、辛かったなあ。読んでても辛かった。
だから、この人が色々と報われる展開を迎えたことは、ある意味この物語の中で最も嬉しかった事だったのかもしれない。
過去に負った傷を癒され、陽菜がああなってしまった後も、ああして彼女を待つのにお互い支える相手を見つけることが出来たんだから。
うん、陽菜と覚野の不器用な想いのぶつけ合いも、切ない純愛でとても好ましいものだったけど、この物語の中で一番胸に残ったのは、この血のつながらない母娘の繋がりだったように思う。遥母さん、頑張ったもんな。ほんとに、この人の哲也父さんとの別れや、そのあとの陽菜との生活は辛いことばっかりだっただろうに、陽菜に疎まれ憎まれても最後まで彼女を育て上げ、最後にはやっと陽菜と気持ちが通じて、本当の母娘らしくなったと思えば、その陽菜は戦争の最前線に駆り出されて、娘の安全を祈りながら彼女を待つ日々。彼女こそが、報われて欲しいひとだったからなあ。

一人蚊帳の外に置かれ、離れていく陽菜を追いかけようとするもーちゃんの覚悟。若者の浅慮と言われようと、彼の覚悟はすげえなあ、と思うしかない。湊にとっては、彼のそんな強い意志は彼が示している以上に鮮烈に感じるものだったのかもしれないなあ、と彼が有紗のことで敷島少佐に容赦のない指摘を受けた時の事を思うと色々と想像してしまう。
確かに、湊は最後まで有紗には腰引けたまんまだったもんなあ。彼の優しさは周囲の人間を明るくし、幾度も挫けそうになった陽菜を支え続けた間違いなく彼の長所そのものだったんだろうけど、同時に有紗との関係では短所となって出てしまったのでしょう。
でも、有紗も嫌いじゃなかったんじゃないかな。彼の、そんなところ。最後まで敷島以外と打ち解けなかった彼女だけど、陽菜が現れてから敷島以外の仲間に対して意識を向けるようになった彼女は、ちゃんと湊の優しい性格を認めていたように思う。だからこそ、あんな餞別をくれてやったんじゃないかと。
でも、湊からしたら、後悔ばっかりだよな、あの結末は。なにも、本当に何もできなかったんだから。
有紗は、悔いも思い残すこともなく、生き切ったんだろうけどさ。

そして、もう一人の主人公とも言うべき、敷島。
最後まで何を考えているかわからない、その真意がどこにあるか見つからない、一癖も二癖もある面倒で厄介でわけのわからない人だったけど、最後の手紙を見たら、なんかもうこの人の心の内側の正体に首をかしげていたのが馬鹿らしくなってきてしまった。
この人はとてもシンプルで、わかりやすくて、だからこそきっと当人にも自分の事が分かっていなかった複雑怪奇な人だったんだな、と。
片腕だった東さんなんか、その辺よくわかってたんじゃないかな。
そんな彼が、娘から与えてもらった平穏な日々。
陽菜が世界を愛おしいものと知っていったのと同じように、彼も陽菜をはじめとしたアンハッチの子供たちと過ごす中で、きっとかつてどこかにしまいこんでしまった世界や人を愛する安らぎを、取り戻していたんだろうなあ。
うむむ、思い返してみると、須賀さんって死亡フラグがビンビンに立ちまくってるオッサン、意外と殺さんなあ(笑

そして、圧巻のクライマックス。
陽菜の決断と残された人々の想い、少年の誓い。
最後に陽菜が残した言葉には、ちょっと泣きそうになったです。出来れば、敷島と陽菜の関係への複雑な思いは、もうちょっとじっくり醸成してれば、もっと良かったんだろうけどなあ。二人の関係の真相とか、わりとあっさり過ぎちゃったのは、マキ入ってたからなんだろうなあ。
他にもやっぱり、色々と畳まれた話があるっぽいし、五巻で読みたかったところだけど。やはり、現代軍隊モノはキツかったんだろうか。もったいないもったいない。
それでも、物語としてこの上なく見事にまとめてくれたのも確か。
傑作でした。傑作でした。ああ、素晴らしかった。

封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ 44   

封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ〈4〉 (ルルル文庫)

【封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ 4】 霜島ケイ/也 ルルル文庫

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ああ、そうだったのか。以前から幾度か触れられてきた桐子の心の洞。埋まることのない空隙。
どうして、聖と弓生という存在が傍らにいながら、桐子の心の空隙が埋まらないのか不思議に思っていたんだけど、確かにこれは聖たちでは決して埋められないわなあ。切ない。
悠久の時を生き続ける鬼である聖と弓生にとって、一番大切なのはお互い通し。二人であったからこそ、この無限の時を生きてこられた。だからこそ、片割れがいなくなれば残されたもう一人は狂うしかない。
人間であり、百年も生きていないだろう桐子では、絶対に届かない絆。どれほど自分を大事に思っていてくれても、大切にしてくれても、それは彼らが相棒に抱くそれには決して敵わない。自分は選ばれない。
その天性の才ゆえに、わずか十歳のときに、愛する兄を殺し、従兄を殺してしまった桐子。ダキニの異名をとるほどにその冷酷さと凄まじいまでの力で恐れられる少女だろうと、まだ十四歳の女の子であることに違いはないのですよ。自分を、愛してくれる人を求める女の子でしかない。
だけど、彼女はそれを諦めてしまっている。優しかった兄の幻影を封じ込め、見ないふりをして諦観を身に宿し、神島当主としての自分に徹している。
確かに、洞だ。
そんなものを目の当たりにして、やはり志郎は傍観者を気取っていられるほど世捨て人ではなかったな。
常から穏やかな彼が本気で怒り、悲しみ、他人の心を土足で踏みにじる行為と知りながら、桐子の欺瞞を彼女に突きつけた彼は、もうぼんやりと事態を眺めていることを、許容し続けてはいられないだろう。
もっとも、彼女と<友達>になった段階で、そんな立場は遥か彼方のことなんだろうけど。

一方で、そんな使役でも部下という関係でもない志郎という男の存在は、桐子の心に多大な影響を与えつつあるように見える。
なんとなく、はじめの頃は頑なだった彼女の態度の中に、屈託のないものや十四歳の少女に相応しい言動が増えてきたように思うのは気のせいだろうか。
宇和島夫婦など、当主としてではなく桐子個人を心配し、心から尽くしてくれる相手が現れたことも大きいのだろうけど。
宇和島の奥さんなんか、桐子にとって母親みたいな感じすらあるのかも。全然敵わないって雰囲気だしね、あの桐子が。
そんで志郎といるときとか、志郎のことを考えてる時の桐子は、本当にとびっきり子供っぽい。これがあの桐子か、と思うくらいにw
あとがきで作者氏も、甘え我儘言える相手、なんて言ってるけどまったくそのとおりだわ。甘えてる甘えてる。接し方がまたぶっきらぼうで攻撃的だから気づきにくいけど、桐子からすれば立場を越えてこうして受け止めてくれる相手というのは、やっぱり初めてだからよくわからんのだろうなあ、接し方とか相手への感情とか。
志郎は志郎で、桐子の弱い部分とか目を見張るような強い部分を見つけるたびに、彼女のことが気にかかってきているようにも見える。まだ異性とかそういう風ではなく、放っておけない女の子、といった感じだけど。
でも、聖や弓生、宇和島たちでは決して立てない場所に、彼女が求めているものがある、と彼は知ってしまったわけで。
ああ、これがフラグ立ったってやつなのかしら(笑

今回の座布団は弓生さん。自爆した桐子はまあ自業自得として、乙女小説を朗読させられて悶えている桐子を見て、密かに楽しんでる弓生はけっこうひどいSだと思う。Mじゃなかったのか、こいつww


いぬかみっ! EXわんわん!!5   

いぬかみっ!EXわんわん!! (電撃文庫)

【いぬかみっ! EXわんわん!!】 有沢まみず/松沢まり 電撃文庫

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【いぬかみっ!】、最後の最後の後日譚。これで最後。ほんとのラスト。
ああーーー、面白かった。やっぱり、このシリーズ、この作品、ここに出てくる全部の登場人物キャラクター、みんな大好きだ!
両手を天に広げて空を見上げて大きく絶叫「みんな大好きだ!!」

いやいや、しかし最後に色々と驚きのネタが満載で、吃驚したり仰天したり楽しかったり、切なかったり。色々と据え置かれていた伏線にも決着がついたようだし、ああこれで本当に終わりなんだなあ、と。
啓太とようこの話はこれで終わりなんだなあ、と思うとなんだかしんみりしつつ、でもどこか明るく気持ちよく。心地の良い終わり方でした。
とはいえ、この【いぬかみっ!!】の世界観はそのまま現在進行中の【ラッキーチャンス!】でも引き継がれているわけで、いずれこの中の誰かがあちらに出張出演、なんで機会もおそらく虎視眈々と狙われているでしょうから、寂しがる必要はないのかもしれません。
この作中でも、あちらの主人公の話らしい話題が一瞬、仮名さんの口から出てますしね。

冒頭の一作は、かなりキツいホラー描写の入った古の約定が若い母子に襲いかかる現代怪奇譚。お気楽ドタバタコメディを中心に書いている有沢まみず氏ですけど、この人本気出すとかなりマヂ怖いホラー書けるからなあ。だからこそ、この作品が何だかんだと場面場面で引き締まって、単なる変態が闊歩するコメディではない代物になっているんだと思いますけど。
その、典型的ホラーを吹き飛ばす啓太とようこのつうかいにして爽快感。暗く奈落のように深い圧倒的な絶望感を、そう啓太とようこはこうしてぶっ飛ばしてきたわけだ。このいぬかみっ!!の濶たる部分を凝縮したような話でした。なんでこのエピソードをこの最後の後日譚に入れなくてはいけなかったのか、うっすらと理解できたようなできなかったような。


そしてラストエピソードは、宗家の引退に伴い、啓太と薫、どちらかが河平宗家を継ぐことになるというお話。
いやー、啓太自身は自覚なかったんだけど、確かに死神事件以降、邪星、三神と尋常でない試練を潜り抜け、大小様々な事件でその大きな器振りを示してきた啓太は、いつの間にかみんなに認められてたんだなあ。
その象徴というべきなのが、薫の犬神たち。みんな当初の毛嫌いが嘘のように、今の懐きよう。でも、実際啓太はそれだけの事をやってきて、皆に慕われるだけの態度を見せてきたんだから、それが皆に認められているというのは、付き合ってきた読者としても何となくうれしくなる。

それでもヤッちゃうのが、啓太なんだけどね(大爆笑

後継者指名の大事な席で、とんでもないことをしでかしてしまう啓太殿w
こいつの可哀想なところは、決して啓太本人が望んでやらかしるわけでなく、彼本人に責任があるわけでないところか。
変態、もしくは変態的出来事が向こうから押し寄せてくる体質、と(笑
後継者問題棚上げの理由も、啓太の人格や能力は今更疑わないが、あの変態体質は川平家の代表としてどうなのよ? と、至極首を上下に動かしてしかるべき代物で。そりゃ、霊能界でも有数の名家である川平家の当主様が、毎度ことあるごとに変態的出来事を巻き起こしてたら、……単純に嫌だよなあ(爆笑

というわけで、なんだかんだとお祭り好きな川平家の血が騒ぎ、宗主の後継者は啓太と薫が直接対決して決めることに。
仮名さんが薫に味方する理由があまりに切実で爆笑したよ。確かに、仮名さん、啓太に巻き込まれさえしなければこの作品でも稀に見る常識人だもんなあ。でも、過去を顧みると一番変態的なことをになってるのも仮名さんなわけで。いやいや、ほんと凄まじいまでに変態だもんなあ(大爆笑

と、その影で薫の犬神たちの色々な思いも垣間見えてきます。
特に印象的だったのが、人間と犬神との種族を越えた、でも寿命という運命に隔てられた哀しい関係。明るい雰囲気の裏側で、この問題は常に逃れられない重たさを以って話の裏側で流れていたからなあ。
その傷を一番深く負っているのがあのフラノ。ごきょうや曰く、愛した人との別れに心を凍らせてしまっているという。そして、その痛みを知らず恋を知ったのがたゆね。今回の、啓太への想いを素直に告白するたゆねは、本当に可愛らしくなった。潔癖なボーイッシュな突進少女が、恋する女の子として花開いていくその集大成みたいな話で。
……そうか、君、愛人体質だったのかー!(どかーーん
まあ、この子の性格じゃ、ようこを押しのけることなんか土台無理な話か。でも、ちゃっかり傍に侍っている雰囲気の子でもある。そんで、初めての恋で、大きな傷を負うんだろうなあ。この子は、人間との恋がどんな結末になるかを本当の意味で知らないから。
そして、現在進行形で傷を負い続けているのがごきょうや。こっそりと私が一番好きだった犬神。もとは啓太の父親の宗太郎の犬神だった娘であり、彼に恋したが故に遠ざけられた犬神。
今回描かれるのは、彼女が胸にひっそりと抱き続けた切ない恋の終わりの話。なでしこの話を聞き、遂に自分の想いに決着をつけるごきょうやの想いが、なんとも切なく哀しく、でも美しかった。
やっぱり、自分は一番この人が好きだったわ。
そして、ごきょうやとの酒席で明らかになった、なでしことようこが天地開闢医局に通っていた理由。
これは本当に驚いた。とてもとても驚いた。
そうか、二人はそういう選択をしたのね。
でも、それは残される連中からしたら、やっぱり哀しいことなんだろうねえ。みんな、許してくれるだろうし、祝福するんだろうけど。寂しい、と思わずにはいられない。

もう一つびっくりしたのが、せんだんの恋。
ああ、まさかまさか、そう来たか(笑
うんうん、これはまったく頭になかったけど、言われてみるとすっごいお似合い。とびっきりにお似合いだ。あの人にとっても、ようこが上のような選択をした以上、彼女が傍にいてくれるということはとてもいいことだと思うし。
祝い事である。

新藤ケイは、やっぱりやっぱり最大のようこのライバルであり続けると思うんだ。ヘンタイたちが味方にいるからじゃないけど(あれはケイが可哀想だぞ(笑
たゆねはあの愛人体質からして、上手いこと傍に侍りそうだけど、ケイはどうなんのかなあ。普通はようこと啓太の間には入る隙間なさそうなんだけど、この娘だけはたとえ隙間が溶接されててもえいやと腕力で観音開きに開いて足突っ込んでマテやこら、と割って入りそうなパワフルさがあるんですよね。啓太に対する引け目もないし。
ようこと啓太は間違いないベストカップルだとは私も思うけど、それでも頑張って欲しいね、彼女には。

そして、決戦。楽しい楽しい、お祭りごと。
ああ、楽しい、楽しい最後の大騒ぎ。薫と啓太、やっぱりこの二人はとびっきりの大親友だわ。犬神たちが嫉妬するくらい、がっちりと気持ちがかみ合ってる。この二人が内外から支える川平家は、今までで一番の繁栄を迎えるに違いない。

楽しかった。とっても楽しかった。最高のお祭り騒ぎを堪能させていただいたとても楽しく素敵な作品でした。

ごちそうさまでした♪

アニスと不機嫌な魔法使い 24   

アニスと不機嫌な魔法使い2 (HJ文庫)

【アニスと不機嫌な魔法使い 2】 花房牧生/植田亮 HJ文庫

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………あれ? あれれ? これ、こんなに面白かったっけ!?
前作は、正直言ってあんまり印象に残っていなかったんですけど、うはは、いやこれはこれは、抜群に面白くなってますよ。
というわけで、アニスと不機嫌な魔法使い第二巻。
不老不死の呪いをかけられた見た目は年端もいかない少年の気難しい大魔導師シド
のもとに、娘として引き受けられたアニス。召喚士としての修行を受けながらも、魔法でも家事でも失敗ばかりでシドには怒られっぱなし。それでもアニスはめげることなく、友人のビアンカに愚痴をこぼしながらも、妄想を垂れ流し、あらゆる意味で暴走し、やっぱりシドの激怒を呼びつつ毎日を健やかに過ごしていたのでした。
ちょっとはめげろ(笑
シドの怒り方や言い方ももうちょっと年頃の女の子の気持ちを考えろ、というようなものであることも確かなのですが、アニスが全然聞いてないというか堪えてないからなあ。そりゃまあ、内心はシドを怒らせてばっかりだったり、やることなすこと上手くいかないことに悩んでいるのは間違いないのですが、だからといって落ち込んだりへこんだりせず、懲りずにポジティブシンキング。ゴーイングマイウェイで邁進し続けるのはいいのか悪いのか(苦笑
でも、他の人が言う通り、この二人はお似合いなんだろうなあ。気難しく女の子の扱い方に難ありのシドとアニスが平気で一緒にいられるのは、やっぱりあの性格のお陰なんだろうし。
シドはシドで、アニスとの生活を代理公に問われて答えた言葉が、彼らしくシンプルでそっけないながらも、だからこそ温かい気持ちが通ったもので、それを立ち聞きしてしまったアニスの実に嬉しそうな様子に、思わずニヤニヤ。
これは、代理公GJである。
しかし、この人も他人については気が回るのに、自分の家族については、特に娘についてはなーんも分かってないのよね。父親の娘に対する認識、というのはどうしてもこーなってしまうのか。なんか、典型的な年頃の娘と父親のすれ違い、って感じで逆に微笑ましく感じてしまいます。
微笑ましく感じるのも、マリエルがアニスと仲良くなって素の姦しい表情を見せてくれたからこそ、なんでしょうけど。
マリエルの妹のロッテがしかけてくる意地悪の、鮮やかすぎるスルー振りといい、周りに壁を作っていたマリエルと仲良くなってしまうことといい、彼女の天然妄想少女振りは無敵じゃまいか(笑
今回登場の蛇型竜種のクールデール卿のすっ惚けたお喋りと言い、暴走しまくりのアニスの妄想といい、それに振り回されて何だかんだと被害を被っているビアンカといい、会話文がやたらめったら面白かった。
ビアンカ、と言えばこの人は本気でいい人だわなあ。本来ならシドと同じ魔導師の中でも頂点に位置する四元素の魔導師ジュリ・メイガスのはずなのに、同じ年頃の女の子同士のようにアニスと接し、シドの文句や愚痴を言い合い、アニスの暴走に振り回され、普通に親友してるし。結構、アニスの友達というのは大変な役割だと思うんだけど、実際けっこう被害食らってるし。でも、一緒にいるのは楽しそうだからいいのかな。ジュリ・メイガスとしてではなく、ビアンカというただの女の子として、アニスの友人として振る舞うのを満喫しているようにも見えるし。
とはいえ、ジュリ・メイガスという自分を封印しているというわけでもなく、大魔導師としての力や知識が必要となれば、惜しむことなくアニスに力を貸してくれるし。なんだかんだと、一番いい人に見えますよ、ビアンカ。

さて、アニスがアニスらしく成長しているその影で、シドはアニスの宿命に関わってくることになる俗世に広がりつつある陰謀の影と対することに。今回、代理公のもとを訪れたのもそれが理由ですしね。案外あっさりとシドの正体、というか素性を明らかにしたもので。アニスやビアンカにもあっさり教えたのを見ると、別に隠しているわけでもなかったようだけど。彼の素性や父親との因縁は、前の巻では明らかにされなかったはずだけど、これは早々に開示して良かったかも。かなり物語の全体像がすっきり開けて見えてきた。
クールデールの出現によって俄かに浮き彫りになってきたアニスの宿命や、召喚師狩りをおこなう謎の組織とシドの過去。そして、垣間見えてきたアニスを狙う黒幕の姿。と、妄想少女アニスを中心とした日常の和やかなドタバタ劇と並行して、物語の根幹を担うであろう裏の話も徐々に鎌首をもたげはじめ、これは面白くなってきた。
一巻読んだ時は、これほど面白く感じる作品になるとは思わなかったんですよね。これは化けはじめてるのかも。
次が楽しみ。

翼の帰る処(下)4   

翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

【翼の帰る処(下)】 妹尾ゆふ子/ことき 幻狼ファンタジアノベルス

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これまで結構な数の本を読んできたと思うんですけど、この作品のヤエトほど、虚弱体質極まってる主人公はちょっとお目にかかった記憶がございませんヨ!
前篇もまあ、かなりの割合で熱出してぶっ倒れてましたけど、今回もまあ登場シーン中の八割くらいは、ぶっ倒れてたんじゃないかと。というか、動きまわってる時でも発熱してたり、フラフラで意識朦朧だったりと健康な状態のときってなかったんじゃないのかな。
いきなり冒頭、皇女からおまえちょっとその状態危なすぎるからあったかいところ行って療養してこい、と南方の王都の皇女とは同腹の兄貴である第三皇子のところに送り出されるのですが、極寒の北嶺から灼熱の熱地に移動したせいか、バテて余計に体調悪化させるヤエト殿。
皇女、こいつダメです。どこに行ってもなんだかんだ理由つけて身体壊しやがります(笑
とはいえ、皇女も本気で心配して信頼している第三皇子のところに送り出したんだろうけど、あんな蒸し暑そうな所じゃ療養にならんですよ。その上、皇子側からは何か探りにきた密偵じゃないのかと疑われて、半ば軟禁状態に置かれるヤエト殿。
まるで隠居だ、と喜んでるこの人の神経もいまいちわかりづらいのだけれど。
いやまあ、閉じ込められるわ疑われるわ、実際なんだか陰謀が張り巡らされてる気配はあるわ、彼に備わった恩寵の力が勝手に発動しだすわ、と隠居だと喜んでいる場合でもなくなってしまうわけですけど。

それにしても、このヤエトの皇女への態度は何なんでしょうね。親愛、というには少し違和感があるし。
元々病弱で長く生きられないといわれてきたせいか、立身出世どころか自分の生き死ににも執着が薄く、俗世に煩わされることを厭いながら食べるために役人の仕事をやってると嘯くヤエト(餓死は苦しいから嫌なんだそうな)。出来れば隠居して余生を穏やかに暮らしたいと公言してはばからない36歳。
そんな彼が面倒くさい、とっとと引退したい、厄介事はごめんだとぶつくさ言いながら、皇女のために病身を押して本当に身を削るように、時に決死の旅に身をゆだね、奔走するわけです。
いつ死んでもまあ仕方ないなあ程度にしか考えていなかった彼が、皇女を助けるために、死ねないとまで思い定める。
そんな決意の発露は、どこから来ているのか。
皇族同士の身内同士で血で血を洗う権力闘争の泥沼の渦中にある皇女の立場を、王都で目の当たりにし。そんな境遇に絶望しながらも、皇族として奇跡のような心根の優しさ、只人であるかのような在り様、それでいて皇族に相応しい誇りと気構え、意欲を兼ね備えた彼女の人品を知り、ただの幼い少女である彼女を感じたことで、ヤエトが彼女に何を見出したのか。
入れ込む、にしては淡々としているんですよね。特別な感情を抱いている風もない。忠誠心、というには熱情が足りてない。
皇女からしたら、ほんとにわけわからん臣下なんだろうな、こいつ。
ただ、自分を帝国の皇女という地位ではなく、彼女個人として見てくれていることを分かっている。絶対裏切らず、自分を正しく、彼女が望む方へと導き誘ってくれる人だと感じている。だから、真名を教えたんだろうし、誰よりも信頼している。もしかしたら、淡い恋情すら抱いているのかもしれない。
でも、手応えはなかなかないんだろうなあ。ヤエトがあんなだから。

今まで何にも執着せず、何も得ようとせず、何も持たずに生きてきたヤエトにとって、皇女は初めて得た「守るべきもの」なのかもしれない。あの面倒そうな態度は、自分で気づいていないっぽいけど。
ただ、今のところは、今はあれは臣下のものだと思うんですよね。役職というんじゃなく、彼女個人とヤエト個人の公的なものではない私的な主従関係、という括りになるんだろうけど。ヤエトには帝国や皇族への忠誠心って、全然なさそうだし。
だから、皇女は彼個人の守る場所であり、皇女が言ってくれたように、皇女そのものがヤエトが帰る場所になったんだろう。
そうか、療養に送り出すときに皇女が言った言葉は、思いのほかヤエトには大きく響いてたのかもしれないなあ。

他の脇役衆も、なかなか味出てたなあ。
伝達官のおじさん、親戚のおじさん風味がよく出てて、ヤエトとの会話はオッサン同士の話なのに、これがなんか感じ良かったんですよね。
んで、さらにおっさん。ジェイサルド。上巻では、ヤエトと隠居談義していて、わりと温厚な人なのかと思ってたら、実はかなりの武闘派でえらいごっつい過去の持ち主だったことが発覚。砂漠の悪鬼て。
ただ、強面な言動とは裏腹にけっこうユーモアのある人で、この人との道中は頼もしいやらなんやらで、今後もレギュラーで登場してほしいなあ。
ルーギンとはまた別のタイプで、ヤエトと皇女の脇を固める臣になりそうだし。

うん、素晴らしいファンタジーでした。

あとがきを読んでたら、驚いたことに、というか嬉しいことに続編が決まっているみたい。これは実に楽しみです。良かったよかった。

二人で始める世界征服4   

二人で始める世界征服 (MF文庫J)

【二人で始める世界征服】 おかざき登/高階@聖人 MF文庫J

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主人公側が悪の秘密結社というパターンは今までも何度かお目にかかったことがあったけど、これはその中でも一番好きかもしれんなあ。

とりあえず、あとがきを読んで愕然としたのが、肝心の作者が幼馴染ヒロインのありすのポンテンシャルの高さについて、まるで認識していなかったところでしょうか。
本来は噛ませ犬でしかなかった彼女をプッシュさせた編集さん、超ウルトラファインプレイ。いや、実際ありすほどヒロインスペックの高いキャラクターは、なかなかお目にかかれませんよ。
両親を失い経済状況も苦しいにも関わらず、そんなことはおくびにも出さない明るく兇暴なくらいのパワフルな性格。主人公に対して手足のすぐ出る屈託のない態度とは裏腹の、健気な想い。
パーフェクトですよ、パーフェクト。
自覚なしに彼女みたいなキャラクターを書けるというのは、凄いというべきなのか不安に思うべきなのか。

とはいえ、この作品のまったりとしたほのぼの感、読後感の心地よさを引き立てているのは、主人公の竜太の良い人っぷりじゃないでしょうか。
いきなり改造されてしまったにも関わらず、仕方ないなあと笑って許す温厚さ(…いや、怒れよ)。変に暴走しがちなラブンツェルの手綱を握って方向修正してあげる良識人振り。それでいて、彼女やありすのピンチには躊躇なく渦中に飛び込み、彼女たちを苦しめる悪党には激情を隠さない行動力と正義感振り。
ドラゴンに変身した時の偽装した紳士なキャラクター付けも非常に味のあるキャラになってて、彼の行動見てるのが楽しくて仕方なかったですね。

世界征服をもくろむ悪の秘密結社と言いつつ、いざ困ってる人、危険なことに遭遇しそうになってる人を目の前にしてしまうと、やることは人助け。
そんなほのぼのとした空気を醸し出してるキャラクターたちなんですけど、そのわりに竜太にしても、千紗もありすも意外なほど重たいもの背負ってるせいでしょうか、そんな彼らがもたらしてくれる空気だからこそ、変にぬるすぎた温度にならないポカポカとした心地よい雰囲気になったのかも。
ヒロイン二人も上手いことかちあって、一般戦闘員(というにはなかなか優秀な)も加わって、これは続いてくれたら嬉しいですね。
面白かった。

ちなみに、悪いが私は圧倒的なありす派ですよ?

幽式4   

幽式 (ガガガ文庫)

【幽式】 一肇/わかば ガガガ文庫

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最初、主人公の渡崎トキオのこと、正直気に入らなかったんですよね。ヘタレなのに重度のオカルトマニア。好奇心丸出しで、腰が引けながらも怪奇現象に首を突っ込んでいくその姿は、オカルトというものをどこか娯楽としか捉えていないように思えて。
彼岸の向こう側に足を踏み入れてしまっているかのような電波少女、神野江ユイになんでか見込まれてしまった彼は、彼女の奇矯な振る舞いに振り回されながらも、なんだかんだと自分から怖いもの知らずに怪異のさなかに首を突っ込んで行ってしまうわけです。
彼が参加している大手オカルトサイトの管理人、クリシュナさんなんかはそんな彼の行動を危ぶんで、何度も忠告してくれるのですが、一応聞き届けているような態度をしながら、結局はユイに引きずられて、という体裁をまといながら自分から飛び込んでいく。
どこか、本当の怪異を舐めているような、深刻に受け止めきれていないような、軽薄にすら見えるその姿勢には、読んでてイライラさせられていたわけですが。
中盤、ある真実が明らかになったことで、そんな印象は完全に逆転。
参りました。
彼岸の向こう側に立ち、怪異に寄り添うように佇む神野江ユイの圧倒的な存在感、クリシュナの理性的でありながら怪異を肯定するその態度。そして、現実とあちら側の境界があやふやになっていくような幽界の描写。
まさしく幽霊が実在する怪異ホラーかと思いこんで読んでいたのですが。

はたして、この作品において、幽霊という存在は実在するものとして定義されていたんだろうか、と舞台がひっくり返されたあとに考えてみると、決して断言されていないんですよね。途中、ユイが見ていただけで。
むしろ、中盤以降に主人公の身に降りかかっていく怪異は、彼を含めた人間が心の奥底に溜め込んでいた闇が、さながら現世にあふれだしたかのような代物で。むしろ、幽霊だ心霊現象だと言っていた前半よりも、よほど恐ろしいものを眼前に突きつけられたような心地だった。
正気がねじれていく様子。均衡を保っていた精神が、ふとしたきっかけから壊れ崩れていくあり様。これまで見ていた光景が一変するようなそれは、人間が持ちえている精神の足場がどれほど危ういものなのかを思い知らされるかのようで。
ここらへんまで読むと、タイトルの幽式という言葉の意味が、深としみとおってくるんですよね。彼岸と此方とのあやふやな境界。幽かなるもの、というモノが事象としての幽霊や心霊現象とは一線を画した、人の心の中にあるものだというような。

そして、神野江ユイという少女の在り様。
なんで、トキオが彼女に目を付けられてしまったのか。彼を振り回しているかに見えた彼女の真意。彼岸の側に片足を踏み入れた理由。
その真実が解き明かされていくにつれ、彼女についての印象もまた一変していくんですよね。
優しい、子じゃないか。
読み終えてみれば、読後感は意外なほど切なくて、爽やかで。清々しいほどのボーイ・ミーツ・ガールの物語でした。
良作。

カンピオーネ! 供)皺ν萠4   

カンピオーネ! 2 (2) (集英社スーパーダッシュ文庫 た 9-2)

【カンピオーネ! 供)皺ν萠廖曄‐羞郛襦織轡灰襯好ー スーパーダッシュ文庫

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一巻読んだ時も思ったけど、これ初見で受ける印象より遥かに土台となる基礎レベル高いわ。二巻でいったいどうなるかと手ぐすね引いて待ってたわけですが、バトルにしてもラブコメにしても迷走に陥ることなく、きっかりと枠組み骨格強化され、その上でキャラクターもエリカ、万理谷というヒロイン衆の底上げに、リリアナという新ヒロインの投入。前作では名前だけ登場していたサルバトーレ・ドニ、今回の敵であるヴォバンという敵方もしかりと補強され、エンターテインメントとして確実に前回よりもレベルアップしていると見た。
面白い!

この作品。【神殺し】なる文句がやはり目立つせいか、アレな印象をどうしても受けてしまうのだが、この作品における【神殺し――カンピオーネ】とは、神殺しといっても神様より俺は強いぜ、という意味とは少々ベクトルが異なっている。
この作品のカンピオーネは、現実の神話にある神を殺すことで、その神が有している特性、特殊能力を権能という形で奪い取り、自分の力として使役する事を可能とした人間ということになる。
これは神殺しといっても理不尽な何の法則性もないとにかく無茶苦茶な力をもって暴威をふるう話とは一線を画している。特に主人公の護堂の神殺しとしての力は、非常に面倒くさい条件をクリアしないと発動すらしないものであり、敵と戦うにしても段取りが必要となる。
その上、今回の敵は同じカンピオーネ。とはいえ、殺した神が違う以上、相手の持つ能力もまた違うもの。しかも、複数の神を殺し、異なる権能を保有している人物だ。
そのため、護堂はまず相手の能力を把握し、そこから彼がどの神を殺したかを推察して対処法を見出し、その上でさらに自分の能力の発動条件を整え、戦術を蓄える、という段階を踏まなければならない。
これは敵を倒すというよりも、攻略するといった方が良さそうな、きっかりとしたプロセスを提示するスタイルなのである。
バトルものとしては、ドラゴンボールよりむしろH×H的な性質を持ったものとしてもいいのではないだろうか。
護堂が神の権能として奪った軍神ウルスラグナの十の化身の中でも最強とされる能力は、相手の正体を看破し、その在り様を言霊によって解体し、神秘性を剥奪していくことによりダメージを与えるという代物であり、神に対する蘊蓄、考察や解釈は京極堂の憑物落としにも類するなかなか見応えのある論述となる。
今回は特に、魔王ヴォバンの殺した神の正体は、その特徴、能力からはまるで想像していなかったあまりにも意外な、だが誰でもその名前を知っている有名な神様で、これは心底驚かされた。
前回のアテナもそうだったけど、これは一般的なその神の神話を知っているだけでは、なかなかその正体には辿りつけないだろう。太陽を食らうほどの狼となると、まずフェンリルとかそっちの方しか発想がいかん。
この神の正体、成り立ちの解体のくだりは、毎回非常に読み応えがあって実に面白い。
まあ、前回の感想でも少し触れたけど、神の正体を突き止めるのにやっぱりフィールドワークの類いは行わないんだけどね。これやっちゃうと一冊では収まらんというのもあるだろうし。

とはいえ、カンピオーネという存在が神殺しの名に相応しいまったくもって傍若無人な暴君であるというのは間違いないことで。
その横暴さ、理不尽さを体現する存在として、今回登場のカンピオーネ。サーシャ・デヤンスタール・ヴォバンはその存在感を示してくれたのではないだろうか。まさしく、魔王。この自分以外の人間を虫けらとしか考えていなさそうな、自身の欲望に忠実な暴虐の王。
これほど揺るがぬ悪そのものであり、大物の威風を損なわず君臨する敵というのは、なかなかお目にかかれないんじゃないだろうか。
なにしろ、主人公からして世界の魔術師たちが王と崇め傅く<カンピオーネ>なのだからして、敵もまたそれ以上のボスキャラでないと話にならない、というのもあるんだろうけど、しっかりとそうした存在感のあるボスを敵として配置してくれるところは、安心感がある。

そう、やっぱり護堂も【王】なんだよね。彼の性格やキャラクターは、決して他のバトルものの主人公から逸脱したものじゃないはずなんだけど、彼の戦いぶり、存在感というのは一人の戦士ではなく、君臨する王であるのだというのは、今回読んでてなんか実感した。
面白い。
エリカや万理谷、そんでリリアナにしても、仲間であり守る対象でありながら、同時に王に従えその命に殉じる騎士であり、巫女なんですよね。
途中、万理谷が幻視するシーンで、王を守護する紅と青の双壁の騎士というイメージがあったんですが、あれはなんか燃えたw
ヒロインたちが主人公を守護する役目を担っている、という作品はよくあるんですけど、その対象となる主人公ってここぞというときは活躍しても、どうしても庇護者という印象が強いんですよね。一方で、この護堂は普段はどうあれ、自分がどういう存在かを認識し、理解した上で、しっかりと受け入れている。時にその力を振るうことを厭わない、王として振る舞うことを忌避しない、エリカたちが従うに足る存在感があるんですよね。見ていて、爽快ですらある。

で、その彼を取り巻くヒロイン衆ですが、前回は脇に押されていた万理谷がメインとなってプッシュされてましたけど、やっぱりここぞという時にエリカが示す存在感は大きかった。
言葉すら交わさず一瞬のアイコンタクトで互いの意思を通じ合わせる、その繋がり。互いの能力以上に、その考え方、有り様を信頼しきり、共に地獄に落ちることも躊躇わない絆。
相棒として、こればっかりは他の女が入る余地がないような関係に見えますね。
ただ、逆に相棒としての信頼関係が強すぎることが、エリカが恋愛関係で護堂を落とせないことにつながっているような気がします。
日常では、どちらが主君か知れたものではない傍若無人さで護堂を振り回し、下心や打算を隠しもせず護堂に色仕掛で迫る彼女。
彼女が所属する魔術結社の利益のため、護堂を籠絡し利用しようとしていることを隠してもいないエリカですけど、彼女がそれ以上に護堂に惚れているのも間違いない話で。きっと、彼か組織かの選択を迫られたら刹那の迷いもなく、彼の側に立つんだろうな、という気持ちはその言動の端々から伺えるわけですが。元々組織への忠誠心とかあんまりなさそうですし、自分本位だし。彼女の開けっぴろげでフリーダムで奔放すぎる愛情表現、求愛行動は、どちらかというと彼女の諧謔的性格に基づいているようにも見えるんですよね。護堂の力を借りたい、利用したいってだけなら、彼本人が宣言しているように、普通に頼めばよほどの理不尽でなければ喜んで力を貸してくれるはずなんだから。
初めて出会った頃の冷淡な態度が彼女の素の顔だとしたら、今のエリカは騎士として護堂に仕えるだけでなく、女としてベロベロに惚れてるって事で、だからこそあんな求愛行動で迫って護堂の反応を楽しんでる、というか落とす過程を楽しんでるんだろうけど。ただ、本気で護堂に恋愛感情を芽吹かせたかったら、女としての隙を見せてやらないと、今のままだと相棒としてしか見てもらえんのではないだろうか。なんだかんだと、エリカって頼もしすぎるもんなあ。
あいつ、エリカがストレートに好きです、って迫ったら意外ところっと行きそうなんだけどなあ。

P.S
キスシーンがエロいというのは大事だと思う。大事だと思うw
万理谷とのシーン。息継ぎした時に早口に神の在り様について語りながらキスを繰り返す、というシーンもエロかったんだけど、ラストのエリカが護堂の首根っこ押えて、万理谷とのそれを消毒するようにネチネチとしてくるそれも、エロかったなあ(堪能
 
9月21日

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8月26日

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