徒然雑記

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書籍感想(2009〜

白銀の城姫(ベルクフリート)4   

白銀の城姫 (MF文庫J し 4-4)

【白銀の城姫(ベルクフリート)】 志瑞祐/上田夢人 MF文庫J

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ああ、これ実在の城がモチーフになってるのか!! これってよく考えると、本来直接対峙することが有り得ないお城同士が、城姫という形をとって直接対決するという事でもあり、燃える展開だよなあ。
今回登場したヒロインのシャトレアを初めとして、三人の城姫の本拠となる城塞はそれぞれ、自分でも知っているような著名なものだし。あの城とこの城がガチンコ対決とか、そう考えるとめちゃ燃えませんか?
あとがき読んだら、次回は海を渡って岐阜城襲来か!? とか書いてあるしw いや、これが冗談なのか本気なのかは分かりませんけど、舞台となっている15〜17世紀の欧州だけでも多種多様の城があるものの、古今東西の城の参戦が叶うとなればちょっと興奮してしまう。遺跡もあるみたいだし。それぞれの城姫が持つ固有兵装も、それぞれの城の持つ特徴が活かされているとなれば、単純に名前を借りただけのものではなくなりますし。
しかし、安土でも大坂でもなく岐阜城というのは渋いよなあ。もしかして、本気なのか?
放浪の城姫として登場したシャトレアが、最後に自分の真名を思い出すシーンも、おそらくは誰もが知っているあの城が!! という事で思わず「おおっ!」と歓声を上げてしまいましたし。
舞台そのものは異世界であるものの、その有り様は殆ど現実の欧州で、途中で幾つかあげられる戦史などもほぼ史実に基づいたものなんですよね。とはいえ、確かに15〜17世紀あたりが色々混ざっているっぽいけど、それがむしろ面白いことになっている感じ。敵ボスの鉄仮面からして、かの有名なあの人物がモチーフですもんねえ。なるほど、確かにあれも考えようによっては城塞といえるのか。
実際の戦争の風景も、城がテーマなせいか攻城戦や攻城兵器に焦点が当たってたり、工兵部隊や建築様式などへの注目度もかなり視点が違ってて、読んでても新鮮でこれがなかなか面白い。主人公からして、建築士であり、ヒロイン格として登場するレティーツィアも工兵傭兵団の団長で壊し屋という面白い役どころだし。
ここに、建築にまつわる<建奏術>という様々な種類の魔法という要素が加わって、設定的にもかなり興味を引っ張られる面白い作品になっている。
城姫同士のバトルも、ミシェルとのそれは城の陣地や特性を活かし殺しし、主人公の建築士という役割をいかした、単なる叩きあいとは違うものになっていたんですよね。こういう、城姫同士の特性で勝負するようなバトルをこれからも続けられたら、他のファンタジーに埋没せず独自性を押し出していけると思うんだけどなあ。

あと、取りあえず主人公のリンツは女の子慣れしていないのか、かわいい女の子と見るとすぐにときめいてしまうのはヤメとけ(苦笑
どうしても気が多いように見えてしまって仕方が無い。最初は幼馴染のエリッセ一筋かと思いきや、なんかシャトレアといい感じになっちゃってまあ。レティにも何だかんだと気になるそぶりを見せてるし。エリッセがちょいかわいそうだぞ、おい。
なんか最後、彼女は力を失ってしまったっぽくなってるけど、このままヒロインとしても城姫としても戦線離脱というにはあまりに勿体無い、可愛らしい魅力的なキャラだっただけに、何とか復活して喰らいついてきてほしいよなあ。ほんと、あれで御仕舞いというには勿体無さ過ぎる。

花守の竜の叙情詩 24   

花守の竜の叙情詩2 (富士見ファンタジア文庫)

【花守の竜の叙情詩 2】 淡路帆希/フルーツパンチ 富士見ファンタジア文庫

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これも続編が出ると聞いて驚いた口なんですよね。一巻の終り方はとても切なく物悲しいものの、透き通るような美しさが心を鷲掴みにする悲恋の物語だっただけに、それを敢えて続けると言うのはかなり難しいことだったはず。
あとがきを見る限りでは、当初は著者もどうやら続きを書くつもりはなかったみたいだし。
その意味では、あの終りの余韻を台無しにすることなく、きっちり仕上げてきた淡路さんには自然と頭がさがります。これは御見事と。

銀竜となったテオバルトと別れ、エレンと二人着の身着のままで野に下ったアマポーラ。その後、優しい羊飼いの老夫婦に拾われ、住処と家族を手に入れて、なんとか暮らして行く算段をつけられ、いつ帰ってくるともしれないテオバルトを何十年経とうと、それこそ死そうとも待ち続ける日々に至ったアマポーラですが、ここで物語として終わっていればともかく、現実に彼女は生活を続けていかなければいけません。元々我儘な王女であり自らは何もせず暮らしていたアマポーラは、村落に住まう女が最低限しなければいけない仕事どころか、日々の生活を営むために必要なスキルや知識すら何も持たない状態。老夫婦はアマポーラを娘のように可愛がり、彼女に生活に必要な様々な知識や技術を教えてはくれるのですが、この時代、日々の生活と言うものは一個の家族内に収まるものではなく、ひとつの共同体の中で営まれるもので、特に過酷な使役が日常的な荘園の中ではよそ者であり、なんの役にも立たないアマポーラは自然と爪弾きにされてしまいます。
それでも、テオとの約束を信じ、老夫婦の愛情に報いるために、エレンを守り育てるために、母親として、必死に前向きに挫けることなく頑張り続けるアマポーラですが、やっぱりつらいことがとても多いんですよね。
もし、今回の歌姫の一件がなかったとしても、テオを待ち続けるアマポーラに、果たして幸せはあったんだろうか、とどうしても思ってしまいます。でも、彼女は挫けないだろうことは間違いないと、彼女をおそう理不尽に毅然と立ち向かう姿を見ていれば、それは確信として理解できる。彼女にとって、待ち続けることはつらいことではあっても不幸ではなかったんでしょう。苦しくても悲しくても、待ち続けることができたのは幸せだったのかもしれません。
その意味では、再会なったにも関わらず、テオとアマポーラの二人の間に訪れた転機は、彼女にとって苦しみや悲しみ、辛さが取り払われるとしても、とてつもない残酷な事だったのかも。
あの展開は、ラブストーリーにおいてわりと王道というかありがちというか、ここで続けるならまあこういうパターンが多いだろうなあ、特に少女系レーベルのだと、というものだったんだけど、アマポーラの寄って立つものを考えるなら、やっぱり凶悪にして強烈に残酷で悲劇なんだよなあ。

辛いといえば、アマポーラ本人は大丈夫だとしても、彼女を見守る老夫婦やエレンにとっては彼女が毅然としている事自体が見ていて辛い事だったんだろうなあ。エレンは事情を知っているし、アマポーラと思いを共有しているからイイとして、事情を何も知らずアマポーラに喪った娘を透かし見ている老夫婦からすれば、アマポーラの姿は痛々しいなんてものじゃなかったんだろうし。
この二人がいなかったらアマポーラとエレンは野垂れ死んでいてもおかしくなかったので、なんとかもう一度家族として一緒に暮らしていけたらいいのに、と思わずにはいられません。

しかし、改めて見直してみても、この物語、悲恋ものにも関わらず、アマポーラを支えているものはテオへの想いだけではなく、エレンを守る母親としての愛情、というのが他とは少し違う特徴なんですよね。この辺が、そこらのライトノベルとちょっと違う所なんだと。
一巻でも、エレンへの母性こそが、我儘で世間知らずだった彼女を大きく変えた要因でしたけれど、この二巻でも苦しい生活の中、アマポーラに力を与え続けていたのはエレンへの母親としての愛情でした。ほんと、もうしっかりと母親してるもんなあ。エレンも健気で小さいのにとても聡明で、本来は他人だったはずのアマポーラを母として慕い、幼い身の上ながら必死で母を守ろうとする姿は、本当に愛しい限りで。
この年の近い母娘が、本当の親子のように寄り添い合う姿は、見ていて心温まるものでした。だからこそ余計に、ここに父親の姿が無いのが物悲しいんだよなあ。


物語は、一巻では伝承の彼方にしかなかった女神と銀竜と悪魔たちの神話の真実と世界の今の有り様にまでスポットがあたり、テオ以外の古参の銀竜も登場することで大きく動くことになります。
女神がいかにして世界を形作り、悪魔がいかにして生まれ世に災いを無し、銀竜がいかにして誕生し悪魔を狩ってきたか。伝承の彼方に曖昧模糊として映っていたものが、具体的に表されたことで、テオが使命を果たしアマポーラの元に戻ってくるために何が必要なのか、それがどれだけ困難な事なのかが、詳らかになったわけですけど、さらに予想外のファクターが混じることで連綿と続いてきた銀竜と悪魔の戦いに大きな転機が訪れたわけです。
テオにとってはチャンスなんだけど、また残酷な話だわなあ。
他の銀竜たちにもそれぞれ悲劇と遺してきた想いがあり、二人ともイイ人なだけに、胸に来るんですよね。特に、テオが銀竜に為ることを選んだきっかけとなった伝説である聖女本人の物語も。
なんだかんだと、悪人罪人は多けれど、イイ人がそれと同じくらい多いのも、この物語の救いですねえ。たとえ罪を犯しても、今は悪心に身を引きずられても、人の心には良き部分があり、罪は濯げるのだと、子どもたちの悪戯から、王の悔恨、歌姫の復讐に到るまで、そしてかつて王族として多くの罪を犯してきたテオとアマポーラからして、人は善き方へと変われるのだという可能性を、この残酷で理不尽がはびこる世界観の中でしっかりと示している事こそが、この作品の雰囲気を切なくも暖かくココロ洗われるようなものにしている要因なのではないでしょうか。

うーん、二作目への不安を綺麗に払拭してもらいました。このシリーズ、次の三巻ですっぱり終わってくれる、というのも安心材料。きっと、感動的なクライマックスが待っていると信じて、最終巻を待ちたいと思います。

一巻感想

とある飛空士への恋歌 35   

とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫)

【とある飛空士への恋歌 3】 犬村小六/森沢晴行 ガガガ文庫

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だーかーらー、私、こういうのダメなんだってーっ。泣くから、もう泣いちゃうから!
もう、ボロ泣き。
あのシーンは、特に雷撃隊隊長の視点が介在しているから、余計にくるんだ。あの手の献身的な行為というのは、当人たちの必死にして決死の想いを直接的に描かれるよりも、その行為を外から、単純な事実として目の当たりにした第三者視点から受けた衝撃、感情のうねりが描かれる方が、威力がケタ違いなんですよね。読者以外にも、彼らの行為の意味するところ、その勇気や尊さ、儚さを理解してくれる存在がいるということは、もろにそのシーンに感情移入させられてしまう。
その上で、あの二人の間でこぼれ落ちていく命の時間、交わっていく想いとその結実に因る別れを魅せられた日には、たまったもんじゃないですよ。
何度読んでもあのシーンだけは、泣かされてしまう。だから弱いんだって。常時必中クリティカルヒット。

あの眩しかった夏は終りを告げ、戦争の季節が訪れる。
ずっと続くものだと思っていた日々は、砂浜に築かれた砂の城のように、もろくも血と硝煙の波に浚われ砕かれていく。
笑い合った学友たちは、戦友と呼ばれる存在となり、櫛の歯が欠けていくように次々といなくなっていく。
夢と希望が詰まった果ての無い、自由と未来によって祝福されていた空は、生命を止めどとなく飲み込んでいく死の坩堝と化してしまった。
それでも、若者たちは空に縋りつくのだ。逝く者すら、遺していく者たちに空を手放すなと言い遺していく。戦いの果てに、守りぬいた果てに、かつて自分たちが信じたものがまだ空に残されているのだと、そう信じて。

戦火をくぐり抜け、もう誰も無垢な子供でいられない。友を殺され、愛する人を失い、故郷を焼かれ、自らの手で人を殺し、敵を砕き、残酷な死の洗礼が本当に簡単に、あっさりと命を奪い去っていくのを間近で目の当たりにしてしまったのだ。
もう、子どもたちは子どもたちでいられないだろう。そして、同じ死の洗礼の中を手に手を取り、同じ方向に突き進み、潜り抜けてきた者たちは、戦友という名の絆で結びつくのだ。
図らずも、その戦火から遠ざけられたクレアは、結局何一つカルエルたちと共有する事が出来なかったのが、少し気になる。双方に拒絶の意図がなかったとしても、同じ死地を共有出来なかったクレアと他の学友たちとの間には、もしかしたらとてもとても大きな断絶が横たわってしまったのかもしれない。
まだ、それについては些かの描写もなされていないのだけれど、あの場に彼女が居なかった事は、もしかしたらカルエルとクレア、二人の正体以上に今後に暗い影を落とすような予感がして仕方がない。
翻って、アリエルとカルエルの二人の関係は、生死の狭間で剥き出しの想いをぶつけ合ったせいで、これ以上なく強固なものになってしまったなあ。元々カルエルって、その場の盛り上がりに釣られるところがあるけれど、あの場面で訴えたアリエルへのセリフは、多少装飾過多とはいえ、まじりっけ無い本心をそのまま増幅させた、嘘偽りの無い本音だったんだろうし。あれ、誓いのセリフどころじゃないよなあw

空戦シーンは、とにかく迫力と緊迫感あふれるシーンの連続で、手に汗握りながらも悲嘆に暮れ、絶望感に突き動かされ、息も突かせぬスピード感に翻弄される、と大変素晴らしい出来でした。
巻末の参考資料のページのところに作者が記載しているように、現実の空戦からするとかなりトバしている部分も多いんですけどね。いくらコンバットボックスを形成しようと(コンバットボックスどころか単縦陣だった)、後部座席にまともに照準器もない銃座が一丁しかない複座練習機が、三倍以上の低翼単座戦闘機相手にまともな戦闘が成り立つなんざ、まずありえないですし。
ただ、本作はそういうところに焦点を当てるものではなく、飛空機に乗る若き飛空士たちの生きざまをこそ語るもので、なにより面白さをこそ追求してるものなんだからこれでいい。

寮長の存在は、結構世界観壊している気もするけど、私もこの人好きだからなあ(苦笑
いや、ほんとまんま羽染静さんで、全然変わってないんだよねえ。リヴァ恋とまったく同じシチュエーションで出歯亀してるのは、爆笑させられてしまった。なんでこの人、いつも正座して覗きしてるんだよ!!
もう理屈とか全部抜きで、この人はあの静さん本人だというのを納得させられてしまった。なんでこっちにいるんですか、とか聞く気にもならない。もう静さんだからで納得してしまう恐ろしさw
いや、だから派遣元はいったい何処なんですか!?

著者作品の感想一覧

影執事マルクの覚醒4   

影執事マルクの覚醒 (富士見ファンタジア文庫)


【影執事マルクの覚醒】 手島史詞/COMTA 富士見ファンタジア文庫

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なるほど、エルミナとエミリオに纏わる以前からの奇妙な違和感は、こういう仕組みによって成り立っていたのか。単純な入れ替わりなら、これほど混乱させられる事は無かったんだろうけれど、正確な事実を把握している者と、完全に事実認識に錯誤を起こしている者、誤解しているものの違和感を抱いている者。これら三者がそれぞれの認識が食い違っている事自体に気付かず、もしくは気づいてもそのまま放置していたがために、それらがぶつからずに常にフラットに提示されてしまっている状態だったわけだ。おかげで、読んでるこっちは基本ベースはマルク視点ながらも、同じ事項に対して複数の事実認識が提示させられて、うまい具合に混乱させられるはめになっていたのか。
肝心の本人の片割れからして、完全に勘違いしていたのが致命的だったんだな。時折挟まれる回想がキーになっているのかと思ってたら、前提から間違っていたんだから。
それでも、それぞれの言動を冷静に吟味して行ったら、正確なところはつかめたんだろうけれど、紛らわし方が非常に絶妙で、露呈してしまえば別段複雑でもない単純な事実だったにも関わらず、本気で混乱させられてしまいましたよ。
思えば、先だってエルミナが記憶喪失になり、それまでの無感情な様子から一転、無邪気で快活な人格になってしまったのも、単に記憶喪失と入れ替わりの違いだけではなく、今回の彼女の言動から透かし見えてくる違和感を和らげるカモフラージュになってたんだなあ。普段の彼女からすると、この巻の彼女の細かな立ち振る舞いに浮き上がってくる違和感は、本来なら尋常ではなく引っかかるもののはずなんだけれど、つい先立ってそれ以上の変貌が彼女を襲っていたがために、紛らわされてしまったんですよね。改めて振り返ってみると、あからさまに別人だろう!? という振る舞いをしているのに(苦笑
そうやってちゃんと読み返してみると、エルミナとエミリオ、どちらがどちらの真似をしていたか。どちらが姉でどちらが妹か、というのは実にわかりやすい形で描かれているわけです。ただ、露骨でなくさり気なく、でもちゃんと分かるようにした描き方は絶妙で、読み返して思わず感嘆させられたんですけどね。
うむむ、これは人が増えて多人数になったのを持て余すどころか、逆に縦横無尽に活用しまくった、本気で上手い構成や心理先導だわ。
それぞれの屋敷内での立場や人間関係の立ち位置を最大限利用しつつ、内乱状態へと持っていく流れといい、一度は手の内を見せ合って同僚になったにも関わらず、逆に手の内がわかっているのを駆け引きの見せ場としつつ、さらに伏せていたカードを開いてみせたり、思わぬ契約者同士の連携の可能性を見せたりと、エンタメ的にも非常に盛り上がる演出がなされているんですよね。
なんか存在感無いのが売りみたいになってきていたオウマ君が、【魔術師】の異名に相応しい貫禄を見せたり、破壊力ばかりが先行していたアイシャがいつの間にか、一端の戦闘技術を手に入れてたりとか、アーロンの本気がちょっと洒落にならなかったりとか。
な、なんかみんな登場時点で既に尋常じゃない契約者ばかりだったはずなのに、さらに強くなってるようなw
それと同時に、みんなこの屋敷で働き過ごすことに遣り甲斐と幸福を感じるようになっているのが、そこかしこで描かれていて、じんわりとあったかくもあるんですよね。セリア姉さんの口から語られた心情と、この屋敷での生活に抱く想いの欠片は、今や皆にとってここがかけがえのないホームになっているのがなんとなく伝わってきて、素敵でした。
内乱状態も、それぞれが本気でこの屋敷や主たちを思っての事だし、あれだけ本気で真剣の対立が発生したにも関わらず、ごくあっさりと対立が収まり、まとまってしまうあたり、皆がなあなあで馴れ合っているのではなく、しっかりと繋がりを得た身内同士として成立しているが故なんでしょうね。ほんと、いいファミリーになりましたよ。
ファミリーといえば、アルバ兄さんが丸くなりすぎの気もするけど(苦笑
まー、アイシャとの仲睦まじさはほのぼのすると言うか、この野郎!と思うというか。いや、いいんだけど。結構世話好きで、何くれとなくエルミナたちをフォローしてくれるのはほんとに頼もしい人だし。人の心配している暇があったら、セリア姉さんの気持ちに気づいてやれよ、と思わないでも無いけどw

そんなこんなで、ヴァレンシュタイン家崩壊の最大の危機を乗り越え、これまで数人の心の中に秘められたままだった真実と今後の展望、そしてこの一連の事件を通じて打開策が明らかになり、一家使用人全員に情報が共有され、兎にも角にも一段落。これから、一致団結して目的のために邁進するのだ! となるはずなんですけど、またぞろ、でっかい波乱要素がーー!!
いやまあ、前巻のラストがなるほど、こういう事になってたわけか。これは確かに確固たる進展なんだけど、カナメは穏やかではないんだろうなあ。ラストの挿絵見ても、ちょっとキツそうなことになってるし。
こりゃあ、次回は修羅場か!


著者作品の感想一覧

龍盤七朝 ケルベロス 壱5   

龍盤七朝 ケルベロス 壱 (メディアワークス文庫 ふ 1-1)

【龍盤七朝 ケルベロス 壱】 古橋秀之/藤城陽 メディアワークス文庫

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は、ははは、こりゃあスゲエ。読んでて卒倒するかと思った。
先日怪我した指の治療のため、仕事帰りに病院に通っているのですが、その待合で読み耽ってたら呼ばれてるの気付かずスルーしてしまいましたよ。参った参った。

そう、参った。これは、ブラックロッド以来の衝撃だ。これが、古橋秀之だ! これこそが古橋秀之なんだよ、力拳を握りこんで叫びたくなるくらい、素晴らしい渾身の古橋秀之。
これは、ブラックロッドを読んで古橋秀之の何たるかを知ってしまった世のファンたちが、望んでも望んでもなかなかに至ることのできなかった、この人の極地であり、この人の本気であり、他の誰でもない、古橋先生しか描き出せないあの、あのセンスティブが炸裂しまくった、至高の古橋作品でありますよ。
ああ、まさかこれほど古橋成分がギトギトに煮詰まった作品を読むことができる日が来るとは。しかも、幻想武侠小説とキタ。やっぱりね、あのブラックロッドシリーズに衝撃を受けた身としては、以降に出た作品は面白さこそ文句のつけようがないものが多かったんだけれど、でもこの作者に求めていたモノとは、どうしてもズレがあったんですよね。
とはいえ、ブラックロッドはある意味濃すぎた部分もあって、あれみたいなのをもう一度そのまま出されても、ある意味のた打ち回るしか無かったように思う。その意味でも、このケルベロスはイイ意味で洗練されている。物語は研ぎ澄まされ、ケイオスは調律され、然れどもあの空前にして絶後であろう古橋成分はギトギトにつぎ込まれた、これぞ進化した怪物作品だ。
未だブラックロッドを忘れられない諸氏は、疑いもなくこれを手に取るがイイ。アレの、その先が、此処に在る。
しかし、ああ、そうなのかなあ。御大は【IX(ノウェム) 】でこれをやりたかったんだろうなあ、きっと。そう思えば、よくぞここまで突き詰めた、と胸が熱くなる。

それにしても、第一の怪物であるところのラガンの化物っぷりが突き抜けすぎて、もうとんでもないことになってるんですが。人間か? と問うのがあほらしく、魔王だの神だのと評するのもバカらしい。なるほど、これは天災と称するしか他に表わしようがない。否や、天災というのも生ぬるい。これは、そういうものだとしか言い様がない。どういうものだと問い返されたら、こういうものだとしか言い返せない。これを、言葉によって言い表すことが果たして妥当なものなのか。
正直、こんなとんでもないモノを、見た記憶がない。これに類するものを挙げる頃すらできない。幾ら何でも凄まじすぎて、これをラスボスと言っていいのかすら分からない。強いとか弱いとかいう範疇で括れないよ、こんなの。
この文章を読んで、みなさんラガンについて色々と想像を巡らすことでしょうけど、断言しましょう。どんな想像を思い浮かべようと、現物は絶対にそんな想像を遥かに上回るどころではない、まったくの別次元の領域です。普通なら、いやたとえ頭がおかしかろうと、こんなもん想像できないよ!!

そんな想像上にすら存在できない怪物を。こんな馬鹿げた怪物を、倒す怪物の物語がこれだという事実。あれを倒す? あれを? あんなものを?
倒すのだという。これから生まれる三首四眼五臂六脚の怪物が、倒すのだという。
そんな物語がこれから存在をはじめるという事実そのものに、卒倒してしまいそうだ。

そのいずれ生まれ落ちる怪物となるのは、逃げ続けた敗残者であり、化生に堕ちた姫であり、ひたすらに鐘を打つ男の三人だ。怪物によって真っ当な人からハズレてしまった彼らは出会い、出会ったことでまともな人に返りかけ、だがしかし、その再誕の門出を怪物によってたたきつぶされた。
ならばこそ、彼らは怪物になるのだろう。怪物を倒す怪物になるのだろう。果たしてその怪物が、人の心を持つ怪物となるのかは定かではないけれど。
でも、怪物を倒す怪物は、人の心を持った怪物で居て欲しい。廉把も蘭珈も浪尤も、人であることを全部捨て去るにはあまりにも魅力的な<人間>だったのだから。
なんにせよ、続きを。早く続きを!!

Fate/kaleid liner  プリズマ☆イリヤ ツヴァイ! 15   

Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ! (1) (角川コミックス・エース 200-3)

【Fate/kaleid liner  プリズマ☆イリヤ ツヴァイ! 1】 ひろやまひろし 角川コミックス・エース

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おっ、おっ、おっ、おもしれええええええええええ!!
やっべえ、なにこれ、楽しすぎる、面白すぎる、愉快すぎる、痛快すぎる!!
どうしようこれ、隅から隅まで面白いよ、なにからなにまで面白いよ!!
くわあああ、最高だこれ。スペシャルにMarvelousだ!! 
ギャグの間合い、バトルの躍動感、絵の綺麗さ、構図の上手さ、ストーリーの吸引力。オーケー、パーフェクトだ、文句のつけようがない。全部に絶賛の万歳三唱を授与しないと気が済まない。
とにかく、こんだけぶっ飛んで楽しいと、脳内麻薬が壊れた水道管みたいに水浸しだよ!!

いやあ、第一期もメチャクチャ面白かったけどさ、うん、あの時点であれだけ凄まじく面白かったのに、あれだけすんげえ面白かったのに、恐ろしいことに第二期になって明らかに全体的にパワーアップしてますよ。グレートになってますよ!!
一期は短く一気に話を纏めるようにしていたため、急ぎ足でとんとん拍子に話が進んで、微妙に忙しないところがあったんですが、この二期はどうも一期よりもじっくり話を進めるつもりなのか、急ぎ足の駆け足ではなく、しっかり地面蹴っ飛ばしてかっ跳んでますよーーっ!
敢えて物足りなさをあげるなら、火力砲戦系の超大規模戦闘描写が今回はなかった点を挙げれるかもしれませんが、それは今後に期待だし、戦闘シーン、十分派手でスピード感、躍動感、戦術性、見せ方演出、畳み掛けギャグ! と委細申し分ありません。ひゃっほーー!!

既にイリヤと深遊の友情関係も成立済みの段階からだから、どたばた楽しい日常風景も最初っからじっくりねっとり楽しめるし、凛とルヴィアは相変わらず残念極まりなくてお陰さまでご愁傷さまな感じだし(なんだそれw
そして止めが、現れたもう一人のイリヤ。小悪魔だーー! もう、引っ掻き回す引っ掻き回す! 面白い面白い! ああ、もうなんど面白いって言ってしまってるのか。何度言っても言い足りない気分だけどさ♪

ちょっとびっくりだったのが、士郎兄ちゃん、ただのモブキャラじゃなかったのかー。凛とルヴィアにいつの間にかフラグ立ててたのは、まあ予想していたけど、まさか深遊と何らかの関係があったとは。そういえば、まだ深遊の過去や素性って明らかにされてなかったんだっけ。あのサラッと重い性格も、ちゃんと所以があるんだろうか。イリヤに秘められた秘密も、今回ダイレクトに表に出てきそうだし。さあ、第三期に引っ張れるだけの伏線は残せるのか? それ以前に、二期をどれだけやれるのかが問題だけど。できれば一期みたいに二巻と言わず、もっと長期にやって欲しいなあ。話の進み具合からして、二巻では済まなさそうだけど。番外編も三編も入れるくらいだし。その三編が三編ともまたべらぼうに面白いんだよなあ。畜生、どこにも隙がねえゼw

それにしても、凛とルヴィアは面白いなあ(笑
扉絵はけっこうエロかったし。やっぱルヴィアは胸でけえ。

そういえば、あの保険医さん。一瞬、セイバーかと思ったんだけど、よく見ると、彼女、カレンか? 服装違うし、髪型もアップしていたのでわかんなかったんだけど。あのふわふわっとした髪や佇まいは、多分カレンだよなあ。
これだれ? と言えば、番外編の第一話でゼルレッチと一緒にいたのって、ウェイバー・ベルベットですよね、多分。この登場は何気に嬉しいなあ。

ハイスクールD×D 5.冥界合宿のヘルキャット4   

ハイスクールD×D5  冥界合宿のヘルキャット (富士見ファンタジア文庫)

【ハイスクールD×D 5。冥界合宿のヘルキャット】 石踏一榮/みやま零 富士見ファンタジア文庫

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あああっ、アホだーーっ! 前代未聞のアホがいるッ!! 空前絶後のアホがいるっ!! 
こいつ、本気でレベルが違う。すけべでエロな主人公なんて吐いて捨てるほど、というほどは実はいないんだけど(わりと少数派な気がする)、その中でも一誠は群を抜いている。ちょっと尋常じゃない。いや、エロさとかすけべえさという点では、ハーレム王を目指すとうそぶいておきながら、ちょっと純情すぎたり女の子慣れしてなくて、現実の女性からのアプローチにまともに反応出来てなかったりと未熟の一言なんですが、エロい事に掛ける意気込みとイイますか、しょうもない、本当にしょうもないえっちい行為に掛けるパワーは、なんかもうどうしようもない。
本物のアホだ(爆笑
オレ、こんなにアホな、頭の悪い、主人公の覚醒シーン見たことねーよ(爆笑
相棒、おめでとう。しかし、酷い。俺は本格的に泣くぞ、そろそろ

いや、ドライグさん。あんた、もうちょっと怒ってもいいと思うよ? 面白がってる場合じゃないと思うよ? 本気でそろそろ、赤龍帝の名が泣くよ?w
だ、駄目だ。あまりにアホすぎて、面白すぎる。作中でもみんな一誠を予想の斜め上を行く、と畏怖してるけど、読んでるこっちもあまりにも斜め上を行き過ぎて、もうどうしたらわからない右往左往の領域にまで至っちゃってるよw

これでエロ関係以外はわりと人格的にはまともだし、謙虚で努力家で気遣い上手なんだから、ほんとどうしたもんかなあ(苦笑
普通、一部分とはいえアホが特化してたら、女の子どん引きしそうなもんだけど、いや実際人となりを知らない女性からはドン引きされまくってるんですが、現実にはほぼハーレムを完成させてしまっているというこの世の不思議w
世にハーレムモノは多けれど、ここまでハーレムを完成形に持っていってる主人公はかなり稀少だと思いますよ。惜しむらくは、一誠がハーレムハーレムと連呼しながら、実際のハーレムがどんなものかわかっておらず、既に自分がハーレムを手にしている事実にまったく気が付いていない可哀想な子なところでしょうか。

にしても、今富士見Fでも調子に乗ってる作品というのもうなずける。面白いよ、これ確かに。
ハーレムものという割に、けっこう男率も高いんですよね。木場や匙など、熱い友情をぶつけ合える親友と言えるヤツもいるし、アザゼル先生をはじめとして、立場的に上の人たちにも頼れる男性陣が多いですし、人間関係がけっこう多彩でなかなか楽しい事になってきてますし。
バトル方面に付いても、主人公は確かに特別で凄い力を持ってるんですが、これが案外制限が多くて超無敵、俺最強ーー、とはけっこうかけ離れてるんですよね。それに主人公ワンマンではなく、どちらかというとチームバトルが中心で、戦術や駆け引きなど特別巧妙というほどではないんですが、手を変え品を変え、読んでて飽きをこさせないように工夫してアリますし。なにより、ゲームバランスとでも言いましょうか、戦闘力がインフレ起こさないように、ストーリー展開や戦闘環境設定などの調整が実にうまく仕込まれているんですよね。チーム内やライバルとの力関係にまつわる心理的な綱引きもしっかり丁寧に描かれていて、そこからチームワークやライバル同士の白熱した鬩ぎ合いといった燃える流れにも自然に繋げていっているし。
すっげえバカバカしいエロばかコメディでありながら、構成力のウマさにもぐいぐいと引っ張られるんですよね。
おまけに、神魔堕天使に加えて世界中の神話世界をごっちゃ混ぜに突っ込んできた世界観は、混沌としていながらパワフルにドキドキワクワク感を引っ張り出されて、素直に面白いなあと破顔させられてしまいます。
こうなってしまうと、やんややんやと喝采をあげるしかないんですよ、ほんと(笑

ところで、あれ、匙も実はハーレム状態にあるんじゃないですか? ソーナ会長のチームって、彼以外は女の子ばっかりですし。匙も性格からして、年上からは可愛がられ、後輩からは懐かれそうな野郎ですし。
残念ながらリアス組ほど爛れてないようなので、あんまり美味しい目には遭ってなさそうですがw

アイゼンフリューゲル 24   

アイゼンフリューゲル2 (ガガガ文庫)

【アイゼンフリューゲル 2】 虚淵玄/中央東口 ガガガ文庫

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空を飛ぶ男の物語というものは、結局三通りの結末にしか辿り着けない。地上に帰るか、空から墜ちるか、空に消えるか。
結局、空に見入られた男たちが辿るのは、そのたった三つの道しかないのだ。
そう考えれば、カールが迎えた終焉というものは、彼の生きざまを目の当たりにした瞬間から、もう分かりきった事だった。それは、定められた宿命と呼んでもいい。避けられない運命と呼んでもいい。それが、摂理だったのだとすら言ってもいいのかもしれない。
カールは夢に惑ったのでも、ロマンに殉じたのでも、現実から逃げ去ったのでもないのだ。彼は、空に引かれ、空に掴まれ、空に落ちていったのだ。万物が重力に引かれて地に落ちて行くように、彼は空に落ちていったのだ。
そもそも、彼は人であることから間違いだったのだろう。愛する人と出会い、心から通じ合う親友と出会い、同じ志をいだいた仲間たちを得ながら、その大切さ、かけがえのなさ、温もりや幸福を誰よりも理解しながら、彼はそれらと相容れる事ができなかった。
でも、彼が愚かだったからではない。彼が周囲の人々をないがしろにしたわけでもない。駄目だったのだ。無理だったのだ。最初から、それらは決して重なることが叶わないものだったのだ。だから、これは仕方のない結果であり、どうしようもない事だったのだ。誰が悪いのでもない、誰のせいでもない。
彼は、還らなければならない所に還っていっただけなのだ。

でも、それはとても哀しいことで、無情感に蝕まれ、ひどく無力感に苛まれる。

そんな彷徨う人間たちをはるか空から見守る龍の眼は、ひたすら透徹として、鏡のように追いすがる人の心を映し出す。それが龍の思念なのか、その者の心の奥底に秘められた想いなのかは定かではない。だが、常に人を見守り、人に自身の在り方を問い続ける彼ら龍という存在は、やはり限りなく神に近いモノなのだろう。

未来という頚木から解き放たれ、人の枠を抜け出して自由を得た彼は空の彼方へと去り、だが残された人々は彼が置いていった残滓を大切に胸に仕舞い、未来へと歩き続ける。
少しだけ驚いた。作者の作風からして、ラストはひどく虚無感の残る最後になるものだと思っていたのだけれど、エリックも、ヘレンも、ゲプハルトも、それぞれに疼く傷痕を抱えながらも、傷の痛みに縛られることなく生きていく。少し、虚淵さんも変わったのかもしれない。それとも、これも作者の中に内包されていた要素の一つだったのか、とヘレンとゲプハルトの間に生まれていた繋がりに仄かな優しさの影を感じながら、しんみりと読後の感慨に浸っている。

風に乗りて歩むもの4   

風に乗りて歩むもの (ガガガ文庫)

【風に乗りて歩むもの】 原田宇陀児/ringo ガガガ文庫

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読み終えてみると、ガチに本格的なハリウッド映画みたいな作品だったなあ。

謎の少女とタクシードライバーの逃亡劇。
私立探偵兼タクシードライバーのボギィは、旧知のアローニ警部からある東洋人少女の護送依頼を受ける。「行き先は言えない」と警部に言われ、毒舌を吐きながらボギィはその寡黙な少女を乗せ、とりあえずタクシーを走らせていると、突然、何者かの襲撃。少女は命を狙われている? なぜ……? 少女は何も語らない。何もわからぬまま「見えない敵」から逃亡を続けるうちに、ふたりの間にはいつしか不思議な絆が芽生え始め……。

このあらすじだと、唐突に逃亡劇が始まるようなイメージですけど、実際にはこれ以前にとある開演前の遊園地で起こった少女の失踪事件が発端として描かれています。ジェットコースター上から忽然と消えた少女の行方は。消えた少女の友人であり、同じジェットコースターに乗っていた娘クラニットが狙われる理由とは、誰が彼女を狙うのか。
そして、少女が消えた瞬間に現れた影、イタカと呼ばれる存在の正体とは。

粗野でぶっきらぼうな元警察官にしてベトナム帰りの私立探偵と、素性の知れないミステリアスな少女のデコボココンビの逃亡劇と並行して、ボギィの後輩刑事を介して繰り広げられる事件の真相究明劇。謎が謎を呼び、浮かび上がってくるのは常識では考えられない超常の存在の影。これらがうまく絡まり合って、単なる探偵モノでも逃亡ものとも違う、それらが合わさったとてもスリリングな作品に仕上がっている。さらに、イタカの存在がエッセンスとして加わって、物語の底辺に不気味な影を投げかけて、真相が明らかに為るその時までどこか薄ら寒い雰囲気をこびりつかせているんですよね。これが、また話の進む先を不鮮明にして、面白さを引っ張っていくんです。
そして、当初はお互いに不信感と警戒感を剥き出しにしてぶつかり合うボギィと少女グラニットの間に徐々に育まれていく信頼と親愛。ふたりとも家族に恵まれなかったせいか、その間には擬似的な親子のような想いがつながり始めるのです。ボギィはついぞ縁の無かった娘という存在をグラニットに感じ、グラニットは実の父から得られることのなかった父親の愛と、決して叶うことのない初恋をボギィにいだいていく。
二人の間に育まれた尊い絆と、避けられない別れへと至る時間。定番とはいえ、二人の別れのシーンは胸を鷲掴みにされそうな切なさが炸裂ですよ。
本人は切なさはない、といっているけど、羅列される感慨の言葉ひとつひとつが、やっぱり読んでるこっちとしては切ないとしか言い様がない。
吹き荒ぶさみしげな風の音色のような余韻に、少しの間だけ浸ってみる。

陰陽ノ京 月風譚 黒方の鬼5   

陰陽ノ京 月風譚 黒方の鬼 (メディアワークス文庫)

【陰陽ノ京 月風譚 黒方の鬼】 渡瀬草一郎/洒乃渉 メディアワークス文庫

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まさかまさか、メディアワークス文庫創刊ラインナップに【陰陽ノ京】のタイトルが並んでいたのを見たときには驚くとともに飛び上がって喜んだものです。電撃幼なじみ作家のひとりとして良質のファンタジーを提供し続けてくれている渡瀬先生でありますが、やはり私個人としましては作者の最高傑作は【陰陽ノ京】と信じて疑わない次第。
ときめく心とともにページを開いて至福の数時間。
嗚呼、嗚呼、もう最高じゃ!!
やっぱり【陰陽ノ京】は別格だ。渡瀬さんの文章においては、なによりこの作品こそが一番しっくり来るんだよなあ。面白かったーー。メチャクチャ面白かったー。
てっきり主人公は今までと同じく慶滋保胤だとばかり思い込んでいたら、月風譚ではそうなのか、それともこの巻のみなのか、主人公は保胤の甥にして、現陰陽寮の長である陰陽頭・賀茂保憲の長子・賀茂光榮となっている。
あの野卑でズボラでぶっきらぼうで素っ気なく、どこか斜に構えている癖に、妙に生真面目で繊細で細かいところまで気が回るという結構複雑で矛盾な性格をした兄ちゃんが主人公になりますかー。保胤さんはあれで相当面倒くさい人だったけど、光榮もこうして見ると結構主人公らしい厄介な人柄なんですよね。ただ、グダグダと内心では思いをめぐらしているにも関わらず、行動力は抜群なんですよね。考えることで立ち止まらず、考えながらも常に動き続けるあたり、非常に能動的で、その意味では動かしやすい主人公なのかもしれません。それなりに割り切り決断も早いし。
以前のそのままの続編ではなく、仕切り直しの新編という意味でも、主人公変更は良かったかも。前までのシリーズを知らなくても、読んだ感じまったく問題なさそうですもんね。
光榮と兼良のこれまた複雑怪奇な関係も、電撃文庫の時にはサブキャラ同士ということで、これほどまで面倒くさい事になってるとはわからなかったし。ただ、あの吉平くんと貴年の嬉し恥ずかしなイチャイチャ関係については、なんでああなってしまったかは前までのシリーズ読んでないとアレでしょうけど……。
そう、そうなんですよねー。またぞろ、この阿部吉平(12歳)の最強女殺し属性がまた見られるとは思わなかったよなあ。このお子様、登場人物中最年少にも関わらず、頭一つ二つ他の連中と女性に対する接し方が抜けているというか、凄まじいことになっているというか。もっとも、女殺しと言っても貴年相手だけなんですけど。でも、今回もひどいことになってたなあ。もう、口説く口説く。甘い言葉を囁き、躊躇もなくベタベタとひっつき、プロポーズ紛いの言葉を連発するという、なんだこの十二歳(笑
こんだけ積極的かつストレートに口説きまくるキャラって、渡瀬さんの他の作品見渡しても、見あたらないよw
二人で夜釣りに出かけて、釣りしている間じゅう寒いからと貴年を後ろから抱きしめながら釣りしてたって、お前、なにやってんだよ、ほんとに!! ヤバイ、行状が以前よりも悪化している。直接的になってる。そして、それを許してしまっているあたり、貴年のデレっぷりも堤防を決壊しつつある(笑
任務で路傍で警戒待機している吉平の元を心配で訪れ、何か手伝えることはないかと申し出てきた貴年に対して、じゃあただ突っ立ってるの寒いから、この間の釣りの時みたいに抱きつかせてー、とかあっけらかんと女の子に要求する、なにこの十二歳(笑
いやあ、普段のこの子、登場人物の中でも屈指のマジメで聡明で冷静で賢い子なだけに、貴年相手の時だけのこの女殺しへの変貌ぶりが、毎度ながらギャップが凄くて、笑っちゃうんだよなあ。
しかも、周りの大人たちは貴年が女の子とは知らず、みんな男の子と思い込んでるのがまた、なんともはや(笑
この時代、十五歳くらいになればもう、男女とも結婚して子供をもうけてもおかしくない年齢ですからね。あと三年もすれば、貴年、食われちゃいそうだなあw

と、思わず年少組二人について熱く語ってしまいましたが、この二人のみならず、光榮と兼良の複雑怪奇な関係や、左大臣藤原実頼と、外法師桔梗と藤乃母娘の入り組んだ愛情によってつながった関係など、死後になっても残る思い、鬼に変貌する人の心などをメインに扱うせいか、非常に繊細かつ丁寧に人と人との繋がり、想いの在り方というのが描かれていて、読み応えがハンパない。
この実頼という、この時代の最高権力者のじいさんが、またイカした爺さんなんだよなあ。正直、惚れた。
権力者なんざ鼻にも掛けない光榮が、事件で面識を得たあと完全に意気投合してしまっているあたり、その人柄が知れるんじゃないだろうか。前主人公の保胤が顔見せした際の、二人のむちゃくちゃなやり取りには笑った笑った。
実頼と、桔梗・藤乃母娘との関係で違和感があった部分も、最後ちゃんと光榮が指摘してくれて、すっきりしました。やっぱり、そうだったんだなあ。でも、だからこそ桔梗があれほどまでになって残した想いや、実頼の桔梗への想い、藤乃への接し方というものが余計に尊く感じられるんですよね。やっぱり、この爺さん、素敵だなあ。
光榮は、どっか達観していると言うか、妙に俗世から浮いている部分があるんで、嫁取りとかは難しいんかなあ。少なくとも、彼の方からは今回のヒロインであるところの藤乃に対しては全然気がなかったようにも見えるし、実際そう明言しちゃってるし。藤乃の方は違うみたいだけど。
でも、賀茂家の長子で、もう27歳という年頃を考えると、幾ら何でもそろそろ貰っとかないと、ねえ。


どうやらこれにて一件落着、というわけではなく、兼良が追いかけていたシーンを見ると、なんかまだ続くみたいな感じで、嬉しい限り。
何はともあれ、伯家の姫様と保胤のロマンスだけは、なんとか決着つけて欲しかったし。続きを読む

悠久のアンダンテ 荒野とナツメの物語5   

悠久のアンダンテ -荒野とナツメの物語- (GA文庫)

【悠久のアンダンテ 荒野とナツメの物語】 明日香々一/文倉十 GA文庫

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う、うわぁぁぁぁ! うひゃああああ! ひゃっはあああっ!!
もう最高、素晴らしい素晴らしい、やったぜ、ひゃっほい♪

狂喜乱舞である。

いやもう素晴らしかった。完全アッパー状態入りましたよ。
ラブい、尋常じゃなくラブい。なんだよこのラブラブカップル。らぶらぶらぶらぶらぶらぶらぶ〜〜〜。そして、ファンタジーから少し外れた【神話】と呼ぶにふさわしい世界構造。神様と人間の邂逅から始まるラブストーリー。これぞまさしく明日香々一さんの作品そのものですよ。しかも、これはあの【王国神話】よりも確かな上積みがなされてる。デビュー作で感じた足りなさが、見事に払拭されてて、長所の方はぐいぐいと伸びていて、おおよそ五年ぶりの新作となったわけですけど、見事に顕在っぷりを見せてくれて、嬉しいのなんの。
【王国神話】よりも明日香々一らしい作品を読める日が来るなんて。生きるって素晴らしいなあ、ねえ?

どうやら作者にとって、ラブストーリーとは想いが通じ合うまでを言うのではないらしい。愛の存在に気づき、愛を知り、愛を交わし、愛を育み、愛に寄り添い、その末に愛の結晶を儲け、そこからさらに愛を膨らませていく。その過程すべてを包括して、ラブストーリーなのだ。そして、愛は終わることなく連綿と続いていく。
デビュー作の【王国神話】のヒロインだったオルフィナもそうだったけれど、二作続けてヒロインが子供を儲けてお母さんになるとは思わなかったなあ(笑
もう一つの特徴は、これは神様の領域に在る存在が人と愛を交わすことによって、人の領域にまで降りてくるある種の【神話】であるということだ。ここで描かれている神様と言うのは意思と人格が備えている一個人であると同時に、この世を成り立たせている法則そのものを担っている存在でもある。それはこの世を支える礎であると同時に、摂理そのものに蝕まれた存在でもある。
アベルは、その摂理の中核というべき存在に抗いながらも、摂理そのものには逆らう事に思い至ることもできず、神様の一柱であること自体は変わらなかったわけです、ナツメと出会うまでは。
アベル自身が語っていたように、彼は生きているでもなく死んでいないというだけの、ただ在るだけの存在だった。
彼が本当の意味でこの世に在るのではなく、生きる存在になったのは、あの場面。ナツメが彼との間に生まれた子を連れて、アベルのもとを訪れた、あの瞬間だったのでしょう。あのアベルが流した涙は、彼がこの世界に生まれた証、そのものだったのかもしれません。
その意味では、ナツメはある意味アベルの母親にもなるんだよなあ。
そして、アベルは自らの子を儲けたことで半ば摂理に再び強固に取り込まれる事になり、図らずも自らが何者であるかの選択を迫られるわけです。
ここからの展開は、何気に【王国神話】と同じなんだよなあ。似通ってるとか、そういう意味ではなく、神様の国譲りになってるんですよ。神が世を担う柱としてありながら、自らが支える世界の中にいる人間と出会い、愛を育み、その上で世界が既に自らが支えなければ成り立たない脆弱な幼子でない事を理解して、世界には自立するに任せ自らは神の座を降り、愛する人の中に帰っていく。
私がこの人の【神話】をとても好きなのは、神様が世界の管理を手放して、そのあとどこへともなく去っていくのではなく、自らが育んだ世界の中に自ら戻っていき、人の中に帰っていくところなんだと思います。然してその愛情は次世代へと連綿と連なっていく。
あの女神マリアの存在がどう作用するのかと思ってたら、さり気なく思わぬ新たなラブストーリーが生まれ出ていて、最後までニヤニヤさせられてしまいました。

ああ、それにしてもナツメとアベルのラブラブっぷりは、素敵極まりないなあ。その出会いから再会まですらも劇的すぎるのに、そこから何年も逢瀬を重ねて好意を紡ぎあげていった果ての……あの、カラー口絵でも描かれている最強のラブシーン。あれはもう、すごかった。別の意味で七転八倒させられました。
お、おんにゃのこになんちゅうセリフを言わせるんじゃーー。だ
誰だよ、この作品のイラストレーターに文倉さん選んだの。パーフェクトじゃ!!

そして、ナツメがお母さんになってからは、むしろより一層ラブラブっぷりが加速するんですよね。この作者の場合、結ばれたあとの方がまいど凄いような気がする。この会いたくてもなかなか会えない、ともすれば逢瀬の終わりが二度と会えない別れになるかもしれないという切なさが、またラブを盛り上がらせてるんですよね。
ナツメの存在によって自らの在り方そのものを変えることになったアベル。同時に、ナツメもまた、アベルとの出会いによって、アベルと出会い助けられた事によって、この世に生まれ落ちたと言える。それまでの彼女は名前も与えられず、死ぬまで道具のようにこき使われるだけの、人間とは呼べない存在でしかなかったわけです。それが、アベルによって彼女には名前が与えられ、そこで初めてナツメは人間としてこの世に生まれたのでした。
図らずも、この二人はお互いをこの世に産み落とした事になるんですよね。なんか、運命的だよなあ。でも、再会こそ運命ですけど、その後の愛が生まれていくまでは、間違いなくナツメの強靭な意思と努力による結果というのがまた素晴らしい。蟲がはびこる危険な荒野を駆け抜けて、アベルのもとを何年も何年も欠かさず訪れたからこそ結ばれた、そして二人が能動的に求め合うことで得られた最終的な幸せは、とても素敵なハッピーエンド。

ああ、素晴らしき哉、素晴らしき哉。

これを機会に、明日香さんには本格的に作家として復帰して欲しいなあ。これだけ素晴らしいラブストーリーを見せられたら、そりゃあ期待せずにはいられませんよ。デビュー作である【王国神話】のみでフェイドアウトして、もう二度とこの人の書くラブストーリーにはお目にかかれないと諦めていただけに、これほどの作品引っさげての復活は、メチャクチャ嬉しかったです。
ああもう、ニヤニヤがとまらんとまらん♪

月見月理解の探偵殺人4   

月見月理解の探偵殺人 (GA文庫 あ 8-1)

【月見月理解の探偵殺人】 明月千里/mebae GA文庫

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たまに出て来るんだよなあ、こういう思いっきりファウストっぽい作品。そしてレーベル自体で、この手の作風の作品を手がけた事がない場合、大概問題作と銘打って売出してきている気がする。
ただ、この作品の場合厳密にミステリーに括っていいのか難しい部分がある。犯人探しや真相究明のロジックより、重点的に登場人物の心の闇、そのあり方そのものに主題を寄せてググッと踏み込みのめり込んでいるのを見ると、むしろライトノベルらしい作品と言えるのかもしれない。
なんにせよ、これは面白かった。新人賞作品とは思えないほど、完成度がバカ高い。ファウストっぽいと表現したのは、この最初から最後の二人のチャットのやりとりに到るまでの過不足のない美しいと言って良いくらい非常に均整のとれた物語の起承転結もまた、要因の一つだ。この約300ページという容量の中に、見事に書くべきことを必要な分、完璧に書き収めている。なかなかできる芸当じゃないし、ましてやこれ、新人作品である。よっぽど構成力に優れているのだろう。
ただ綺麗に書いて書き終わっているだけのスマートな作品というわけでもない。なにより、ヒロインである月見月理解のキャラクターの強烈さが凄まじい。傲岸不遜や唯我独尊という程度の言葉では収まりきらない、暴虐をもって興じ、冷徹に弄び、享楽的に蹂躙し、用意周到に踏みにじる。味方を乞わず仲間を作らず、周り全てを敵に回すことを厭うどころか、むしろ望んで敵意をぶちまける。
まー、強烈極まりない。
だけれど、驚嘆するべきはこれほどインパクトの強い強烈なキャラクターを世に送り出した事ではなく、彼女の特異性をラストの主人公との短いチャットでのやりとりで、恐ろしく明快に解体してしまったところだと思うんですよね。
なぜ月見月理解は悪しき者として在るのかを、見事なまでに端的に論証し、その印象を裏返してしまうことに成功している。
同時にそれを後付としないように、彼女の言動には確かにそれらしい痕跡が散りばめられているんですよね。普通、理解の言動は不快と苛立ちを常に引き起こされるようなメチャクチャなもののはずなんですが、これが意外と読んでいる間は彼女に対して殆ど悪印象を受けなかったんですよね。それは彼女が身体的弱者だからなのか、暴虐の中にある種の愛嬌があったからなのか、それはなんともいえないのですけど、彼女の行動原理がれーくんの言うとおりならば、なるほど彼女の中に必死な無邪気さ、とでも言うようなものが常に付きまとっていたのも納得出来るわけです。

彼女のみならず、主人公のれーくん含め、妹との関係や宮原さんの程よく現実的な黒さといい、心の機微の描き方、その曝け出し方を含めて非常に秀逸で、読み応えがありました。それぞれが抱く理由にしても、決して大仰すぎず身近な、だけど生半では背負い切れない負債から湧き出した闇は、身近であるからこそとても痛々しく苦しそうで、背中をさすってやりたくなりました、はい。

とりあえず、れーくんは、同じ相手に二度同じ手が通用するなどと浅はかに考えたことを反省したまえ。むしろこの場合は、出会いのきっかけとなった探偵殺人ゲームにて、すでに手の内を晒してしまっていた、と考えるべきなんだろうか。
これはこれでスパンと一巻で綺麗に終わっているし、この終わり方だとれーくんは理解の相棒と成り得るのかけっこう微妙なところなので、はたして続きが出るのかはわかりませんけど、続編にせよ新作にせよ、この作者さんの手がけた作品なら、勇んで買いに走って間違いはなさそうです。
面白かったです、はい。

ソードアート・オンライン 3.フェアリ・ダンス4   

ソードアート・オンライン〈3〉フェアリィ・ダンス (電撃文庫)

【ソードアート・オンライン 3.フェアリ・ダンス】 川原礫/abec 電撃文庫

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いやあ、面白かった面白かった。読んでて痛快爽快、カタルシスも際立ってて読み終えたあとの満腹感は文句の出ようもない満足度でした。
……と、一息ついてこの高揚を感想を書きなぐって晴らしてやろうとした段で、またぞろハタと困ってしまったわけで。
なんか、書くこと思いつかないんですよね。キリトくん、つええ。とか、二刀流再び、かっけえーー! やっぱりデッド・オア・アライブだったアインクラッド編と比べると緊張感が違うなあ、という見たまんま読んだまんまの事についてはヒョロヒョロと書くことはできるんですが、そんなん箇条書きで書いてもなあ。
そこで、ふらふらとこのシリーズの自分が書いた過去の感想を見返してみたのですが、ふむふむ……やっぱり、内容について全然書いてねえ(苦笑
しかも、一巻の感想、これから書こうと思ったのとほとんど変わってないわ。という事は、一巻を読んだ段階でこのシリーズに感じたものは、新章に入っても結局変わらなかったということか。
良くも悪くも優等生なんだろうなあ。キャラクターの造形にしても人間関係にしても、ステロタイプだけど非常によくできていると言っていいと思う。話の流れだって、高いレベルで器用にまとまってて、狙いすましたように痛快無比でフラストレーションのたまる余地なく、カタルシスぶっ飛ばしてるし。なにより、面白い。ドキドキとわくわくが詰まってる。だったら、それで十分じゃないか、と言われても仕方ないんですけど。
でも、こうして振り返ってみて、改めて読み返してみると、やっぱり、物足りないんだろうなあ。
読んでても、常に予想・想像の範囲内から逸脱しないし、頭ぶん殴られるような衝撃的なモノにブチ当たる感覚が訪れる気配が絶対にないし、キャラについても掘り下げて延々と語れるところがなくて、感想書くにかけないし。
それでも、これだけメチャクチャ面白いんだから、つまるところ作者さんはエンターテインメントとは書くあるべしというのをこれ以上なく弁えている上に、物語を書くという技術そのものが素晴らしく巧いんだろう。器用にまとまっているにしても、まとまり方のレベルの高さがハンパないもんなあ。
なんか、傑作量産機みたいな作品だw
ここまで来ると、もっと弾けろとか突き抜けろ、というのも間違ってる気がするし、これはこれで。
ただ、悪役の魅力のなさだけは、もうちょっとなんとかして欲しいなあ。小物ばっかりでにんともかんとも。

イスカリオテ 44   

イスカリオテ〈4〉 (電撃文庫)

【イスカリオテ 4】 三田誠/岸和田ロビン 電撃文庫

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シリーズ初の短編集、なのだけれど番外編ではなく、短編連作形式の全部一繋がりの事件であると同時に、イザヤや玻璃たちが転機を迎えるエピソードであり、加えて次回以降の激動の展開を予想させる不気味な蠕動が露わとなる、という読み終わってみれば非常に重要な一冊だというのがわかる。
初っ端のノウェムが主人公のエピソードなんか、ノウェムと女子中学生の微笑ましいやり取りに和みながら気楽に読んでたら、真相でえらいヘコまされたもんなあ。

【第一章 銀のノウェム】
これまで、ノウェムに関してはずっとその機械人形らしからぬ反応に可愛い可愛いを連呼してきたわけですけれど、今までのそれは良く考えてみるとイザヤとの対峙から生まれるものが殆どだったように思います。ならば、ノウェムという人形兵器がまるで人のような心のあり方を垣間見せるのは果たしてイザヤ相手の時だけなのだろうか。
その答えが、この短編でははっきりと出ていたように思います。
偶々出会ったはずだった、元気溌剌、ちょっとそそっかしい女子中学生、遥との交流。他愛も無いお茶会で覗き見せるノウェムの姿は、ノウェムの正体を知らない遥の目には、神秘的でありながらたおやかな情感と優しさに満たされているかのように映っていて、それは冷たく心を持たない機械人形のそれとは、やはりかけ離れている。ならば、ノウェムという存在がそも供え持つ本質とは、イザヤの前で見せるそれそのままなのだろう。
この遥という子は非常に残念だったなあ。ノウェムをこうもフラットな目で見つめ、意外に鋭い観察眼で彼女の内面を的確に映し込む才能は、ノウェムの友人としてレギュラー化しても良かったくらいなのに。
ド派手な戦闘シーンは多々あれど、この短編でのノウェムと獣との戦いのシーンは、シリーズ通しても屈指の名シーンになるんじゃないだろうか。
「……許します」

この言葉には、泣いた。


【第二章 黒のラーフラ】
異端審問官にして、幾多の秘密を抱えたイザヤや玻璃を監視するものであり、いずれ彼らを異端として裁くことを目的としているラーフラ。味方でありながら、限りなく敵に等しい彼の過去が垣間見えるエピソード。人形であるノウェムよりも、むしろ機械のように冷徹に、虎視眈々とイザヤたちの動向を監視しているラーフラ。そんな彼という人間が培われた原点とも言うべき過去が、この話で分かるわけですが、分かったからといって彼がイザヤたちの秘密を暴こうと暗躍している事実が変わるでもなく、でもそんな彼も決して心の無い空洞の人間ではない、というのが辛うじて伝わる程度の微細な表現や演出の繰り出し方のバランス感覚は、ちょっと凄いなあと感心。ラーフラの過去がわかっても、だからどうした、という感覚しか読み手側には与えないんですよね。そういう書き方をしている。でも、徐々に、ゆっくりと彼に対する認識が変化していくような、慎重に加えられた積み重ねも確かにあって、この辺のキャラクターの立ち位置、読み手側の対象認識のずらし方は、やっぱり上手いなあ。


【第三章 紅衣の娘】
ああっ、玻璃の方はもったいぶらずにどんどん状況を進行させていくなあ。薄々、玻璃も自分の中に自分ではない何かが巣食っていることに気づきだしていた頃ではあったけど、まさかこうも早い段階ではっきりと玻璃に、バビロンの大淫婦の存在を知らせるか。それも遠まわしではなく、以前は意識が眠っていた玻璃が起きた状態で、妖女が動いてしまい、しかも両者が対話できる状態にまでなるなんて。
ただ、逆に言うとこんな状態になっても双方が自我を保ったまま存在しているのなら、両者が融合してしまうようなこともなさそうだな。玻璃が乗っ取られかけている、という見方も出来るけれど。でも、それなら玻璃の意識が目覚めたまま妖女が行動するというのも違和感あるし。
玻璃のほうに決定的な転機が訪れたのと同時に、妖女がけっこうとんでもない発言をしてるんですよね。彼女の言うことが真実なら、獣<ベスティア>は敵の真理ではなく、単なる盤上で踊らされる駒に過ぎないと言うことになるわけだし。
そもそも英雄だった壬生の変質や、妖女の不可解な在り様、そしてイザヤの身に起きつつある異常など、まだこの世界の軋みの本当のところは何も見えてきていないんですよね。過去の聖戦の概要も含めて。
どうやら、この巻の一連の事件を前ふりにして、次回以降そこのところに俄然突っ込みそうな、根幹に足を踏み入れそうな事件が、もう既に起こりつつあるのか。
次は春だそうで、長いなあと思いつつも、その間に他のシリーズの分も出してくれるんでしょう。


著者作品感想

レンタル・フルムーン 2.第二訓 良い関係は良い距離感から4   

レンタル・フルムーン〈2〉第二訓 良い関係は良い距離感から (電撃文庫)

【レンタル・フルムーン 2.第二訓 良い関係は良い距離感から】 瀬那和章/すまき俊悟 電撃文庫

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……ちょっと待て、もしかして今私は、伝説の<素直クール>が生まれるその過程を目撃してるんじゃないか!?

と、思わず動転してしまうくらい、ヒロインのツクモが後半、素直に心情を吐露している。新たなヒロイン候補の登場に伴い、ツクモと新太は些細な見栄の張り合いと行き違いによって気まずい雰囲気に陥ってしまうわけだけれど、この二人、偉いことに自分と相手、両方に悪いところがあった事をきちんと飲み込み、その上でどちらが頭を下げるというのではなく、お互いきちんと自分の本音を口に出して言い合い、二人で一緒に歩み寄る努力を行ったところなんですよね。
元々、一巻の感想で偏屈でひねくれモノに見えて、実はかなりサバサバした気持ちのいい性格なんじゃないか、とツクモの事を捉えていたのですが、どうやらその分析は間違っていなかったみたいだ。
自分の間違いや失敗は是が非でもなかったことにするツクモだけど、不思議と自分の気持ちや相手の想いは、無かったことにしようとはしないんですよね。それでも、新太が自分を放って鈴音と楽しそうにしてたり、へらへらしていたのが不愉快だった、とあんなにもはっきり言っちゃうとは思わなくて、びっくりしたなあ。
……単に、何にも考えてないのかもしれないけど、この娘。発言に、慎重さがまるでないもんなあ。思ったことをそのまま口にしてる傾向があるし。……いまさらか。

早川鈴音という魅力的なヒロインの登場で揺れに揺れる二人の関係だけれど、終わってみると彼女の存在はラブコメの多角的な男女関係の発生ではなく、ツクモと新太の関係に揺さぶりをかけ、停滞に陥りかけていた距離感を打ち崩し、再構築するためのものだったと言うことが良く分かる。やはり、この作品、ムツキと新太のカップリングは鉄板で、二人の関係が波乱を経ながらも着実に近づいていく様子を、ニヤニヤしながら見守るのを主眼としたものと見て間違いあるまい。
恋愛感情を含めて、人の気持ちというものに酷く鈍感なツクモは、どうやら自分の中に育まれつつある新太への気持ちの正体について理解が及んでおらず、どうも彼女はそもそも自分が新太を意識しているという事自体、気がついていない節があるので(とにかく深く物事を考えない性質みたいだし)、明確なデレの反応はまだ見えないのだけれど、自覚がない故の無意識の反応や仕草、言動が、時々びっくりするくらい無防備にぶっ放されてくるので、それが物凄い威力なんですよね。自分以外の女と仲良くしているのが不愉快だ、とはっきり言っちゃったり、恋人の振りをしてお互いの良いところを上げていったときの、最後の一つなんか、無防備にも程がある。そして、初めて弱音を吐くシーン。この娘の最大の魅力は、こうした破壊力満点の言動を、まったく落ち着き払った平静な態度で冷ややかに言い放てる所なんだよなあ。
この娘、絶対<素直クール>の素質あるよ!!
そして、常に平静なだけあって、稀に見せる動揺した顔がスペシャルな威力なんですよね。この巻において彼女が感情を乱したのはわずかに二箇所だけ。それも、本当に微妙な反応なんですが、これがまた…(ニヤニヤ

この作品のポイントというか、とても重要な要素となっているのが、幕間に載っているクルンの日記なんですよね。新太視点からはなかなかその心情が見えてこないツクモの内面が、日記ではクルンの目を通して見えてくるんですよね。新太の言動や二人の間で起こった出来事に対して、ツクモが自宅でどんな様子だったかクルンの日記では克明に描かれていて、無表情で無感動なツクモの喜怒哀楽が伝わってくる。ちょうど幕間で話が一区切りされ一息つく所というのも絶妙なんですよね。ああ、ツクモはあれ、怒ってたんだなあ、とか。あの新太の発言、実はめちゃくちゃ嬉しかったんだなあ、というのが後になって理解できるというのは、よいエッセンスであり、次の幕に行くにあたって地の文の主である新太の心情だけに引っ張られず、ツクモと新太、両方の関係が育まれていくのを見守るような感覚を保てるわけで。

しかし、クルンの健気さは前巻にも増して凄まじいものになってきてるなあ。いっそ、凄絶とすら言っていいかもしれない健気さ。献身と書いてクルンと読む、と辞書に記してもいいかもしれない。
もう、子猫物語ならぬ<クルン物語>として普段の彼女の生活を映像化して映画館で上映したらいいじゃない!

ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 東京動乱4   

ガンパレード・マーチ逆襲の刻 (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 東京動乱】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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「121作戦」の成功により幻獣王・カーミラとの和平にこぎ着けた日本政府は、長すぎた幻獣との戦争終結を宣言した。しかし、その平和を嫌う、軍需により私腹を肥やしていた軍産複合体と好戦派の面々が、都心部で暗躍しはじめていた。
自衛軍はそうした不穏な動きを察知し、警戒を強めていた。しかし、自衛軍の考えをあざ笑うかのように、予想より数週間も早く反乱軍は都心部で蜂起する。
その日、5121小隊の面々はそれぞれに束の間の平和を謳歌しようと、一切の武装を解いた状態で都内へ繰り出していた。そこに突然の戒厳令が下される……。
舞台を首都・東京に移し「榊ガンパレ」の新シリーズがついに開幕!


クーデターなるものが発生してしまった原因は多様にあるんだけれど、軍の根幹となる中堅将校の多くを動かしてしまった原因は、政府のプロパガンダにあるよなあ、これは。
軍の被害を過少に見積もり、高らかに戦果を強調する。確かに121作戦はとてもじゃないけど公にしてただですむような作戦じゃなかったから、カバーストーリーをでっちあげたのは仕方ないにせよ、山口や九州での運と偶然と莫大な戦死者によって辛うじて手に入れた薄氷の勝利を、大勝利と謳ったのは大本営発表以外のなにものでもない。
現地にいなかった人間は、結局与えられた華美な情報と貧困な現状のギャップに戸惑うほか無く、華やかな戦果を現実に反映できない政府への不満を募らせることになる。
ここで、自分たちに対して都合の良い情報ばかりを信じず、今自分たちが置かれている現実から、真実を見極めることが出来るのならよいのだろうけれど、作中でも冷厳と指摘されているけれど、この国の国民は冷静よりも感情に重きを為し自分たちに都合の良い話を信じたがる傾向がある。
マスコミは視聴率のとりやすい耳障りの良いニュースばかり流し、スポンサーの意向に従って政府の弱腰を攻め立てる。現場で本物の戦争を経験した兵士や住民たちの声は幾ら叫んでも伝わらず、世論は容易に勢いに呑まれて、掛け替えのない血と命によって勝ち取られた平和に不満を漏らし始める。
クーデターとは、決して軍や地位の高いモノたちの権力欲や正義感だけで発生してしまうものじゃないんですよね。絶対に、その下地となる世の空気というものがある。
ゆえに、こうした国家の凶事というものは一部の主犯の愚かさに責任を押し付けてしまっていいものじゃないんですよね。
ラストで舞たちが苦渋とともに吐露していますけど、クーデターとは発生してしまった時点で国家にとって敗北であり、同じ国軍同士が相打つことは、もはや消えない傷を穿ってしまったということ。
幸いにして今回の一件で、東京を中心に中枢に蔓延っていた自衛軍内の強硬的な主戦派が悪役となりこれを排除できたものの、これで世論が和平派に傾き大原首相の政府支持率があがるかというと、クーデターを未然に防げず、一般市民にまで被害を出してしまった時点で、果たしてどうなることやら。
今回の一件で、前線に出さずに予備兵力として置いておくことが出来た首都圏の兵力が軒並みがたがたになり、再編にも時間がかかることになっただろうし、このクーデターでこの国が受けたダメージはかなり深刻なことになってるんじゃないだろうか。
カーミラーとの休戦で一息つき、疲弊し破綻寸前だった国の財政を立て直すはずが、クーデターで国家中枢がぐちゃぐちゃになったところに間をおかず、今度は北から新たな幻獣軍の侵攻がはじまるわけだから、これは本格的にヤバいですよ。
地味に、西郷長官が精神操作を受けてクーデター側の首班となってしまったのが痛い。この人、和平後の経済立て直しの中核となって働くはずだった人だろうし。
山川中将はどう動くのかと思ってたけど、なかなか意外な働きを見せてくれたよなあ、この人は。いやあ、見直した。この状況下で反乱軍側に身を寄せなかったことではなく、政治的に大ダメージを受けてそのまま軍内での力を失いかねなかった状況で、素直に軍人としての清廉さに目覚めるのではなく、シビリアンコントロールに従うと言う軍人としての正統な原則にきっちり従いながら、強かに大原首相に軍内での重要なポストを要求して、これをせしめたところでしょう。
反乱軍が勝っても和平派が勝っても立場がなくなるところだったところを、上手いこと勝ち組に載ってしまうんだから。公のためと個人の権力欲を並列処理してしまったこの人、本物の政治屋だわ。実際、それだけの働きを示したわけでもあるし、ここまでやられてしまうと、ちょっと惚れそうなくらい、もう凄いとしか言いようがないですよ。たいしたもんだ(笑
まあ、その行動を引き出したのは、山川息子の純真な国を憂う気持ちなんですけど。

さすがに人間相手、しかも同じ国軍同士では5121小隊の面々も幻獣相手の大暴れができるはずもなく、戦闘力の発揮という意味では大人しかったものの、戦争の悲惨さを生で知り、平和の尊さ、その価値をなによりも体感している現場の兵の代表のような立場で、和平を否定する世論の空気に憤りと嘆きを示し、その平和を覆そうとする反乱軍への純粋な怒りと現すという意味では、しっかりとみんな主人公やってましたよ。

恐るべきことに、こっからガンパレ新シリーズは四ヶ月連続刊行を敢行するのだという。の、のりに乗ってるなあ、榊先生。
こりゃあ、オーケストラの時期まで一気に話も進みそうだ。


シリーズ感想

ラッキーチャンス! 64   

ラッキーチャンス!〈6〉 (電撃文庫)


【ラッキーチャンス! 6】  有沢まみず/QP:flapper 電撃文庫

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前回、住む家をなくしてしまった雅人に対して、二ノ宮さんと天草さんが一緒に住みませんか? と提案してきてどちらを選ぶか決断を要する事態になったとき、ついにこのラブコメも一気に進展を迎えるのか!? と息を呑んだものでしたが……なるほどなあ。
言われてみればその通り。実のところこのラブコメ、まだ始まってもいなかったと言うことか。これまでハプニングやらゴタゴタが頻繁に起こっていたせいではっきりと整理されず、距離感も把握されないまま複雑に入り組んでしまった人間関係を、一度きっぱりと詳らかにした上で、まずスタートラインに立たせよう。今回の話は割り切って言ってしまうとこんな形になるんじゃないだろうか。
というわけで、今までいまいち目立たずヒロインとしては地味だった二ノ宮良子、ヒロインとして異能の側の存在として覚醒爆誕!!
これまで一巻の最初から登場したメインヒロイン級にも関わらず表紙絵に一度も選ばれなかったのは、まさに満を持してこのエピソードを待っていたがため、と思えてくるほど、かなりの強烈な個性を獲得し、これまで遅れに遅れていたヒロインとしてのレーシングポディションが、俄然上位に食い込んできましたよッってなもんですよ。。
ちゅーか、怖いよ、良子さん(w
この温厚篤実な優しい笑顔の奥底に秘めた、静謐で狂的な圧迫感と妄執は、あれだな、【いぬかみっ!】でいうならなでしこタイプ。
ヤンデレの素質充分でございますよw

今までもやもやとしたままだった雅人への気持ちを、はっきりと恋だと認識し、雅人の事が好きで好きでたまらないと自覚した二ノ宮さん。
ところが逆に、雅人の方はこれまで二ノ宮さんに抱いていたほのかな甘い気持ちが、二人きりで無人島で楽しく過ごし、これまでになく彼女の素顔に触れたことで、逆にその想いが恋ではなく憧れに近いものだと理解してしまったんですよね。
驚いたことに、今までヒロインとして劣勢だった二ノ宮さんの唯一のアドバンテージだった雅人からの好意が、彼女がヒロインとしてメキメキと頭角を現した途端に仕切りなおしとばかりに消えてしまったわけだ。
とはいえ、マイナスにひっくり返ったわけではなく、横一線に戻っただけの話。しかも、雅人は女の子に関心がないわけではなく、むしろ二ノ宮さんを含めて、自分の身の回りにいる女の子に対して、強い関心、淡い胸の高鳴りを感じているわけだ。何気に気の多い男とも言えるけど。
こうなってくると、もう一人のメインヒロインであることの天草沙代もまた、この流れで行くならば明確にこのラブコメレースに参加してくるはずなんですよね。今までどおり、雅人へのもやもやとした想いの正体から目を背けて、自分の本心と向き合わないままツンデレを続けていたら、とてもじゃないけど今後の二ノ宮さんや、トトやキチ。そしていずれ現れるだろう真打ちである幼馴染に対して、とてもじゃないけど太刀打ちできない。
あとがきでも、次回は沙代さんのターンと言ってるし、こりゃあ次回、デレるぜきっと。

の、はずなんだけど、その沙代さんがまたラストでえらいことになってるんですけどw
これ、文章をそのまま読んだら、まんま鬼畜系のエロゲー展開なんですが……ドキドキ。沙代は、なんかこう、エロくいたぶられるのが恐ろしく似合うところがあるからなあ。
……まー、この世界観からして、ある種のド変態がフェティシズムを満足させる流れなんでしょうけど。


そういえば、にゃんこ出てましたね、にゃんこ。あの【いぬかみっ!】主要メンバーの一人にして流離う風来坊にゃんこ。それから【北の神獣】と呼ばれる犬神の存在に触れられてましたけど、こりゃあ【いぬかみっ!】とのリンクも濃くなってきた。北の神獣って誰だろう。まだ若くて可愛い子、という時二郎の説明と、トトとキチがかかった初恋風邪の特性からすると、多分ともはねかな。しかし、既に現時点で神獣とすら呼ばれるくらい、力あがってるのか?

光炎のウィザード 未来は百花繚乱4   

光炎のウィザード  未来は百花繚乱 (角川ビーンズ文庫)

【光炎のウィザード 未来は百花繚乱】 喜多みどり/宮城とおこ 角川ビーンズ文庫

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くわぁぁぁ、クライマックス入ってからの、ヤムセ先生の理性と欲望の激しいせめぎあい、そう<男の情念>とでも言うべき胸のうちで荒れ狂う激情に、ゾクゾクしっぱなし。
このゾクゾク感っていうのは、やっぱり飢えた狼の目の前で無警戒に子羊さんがウロウロしているという、狼さんがちょっとその気になったら簡単にパクッと食われてしまうという、スリルから来るんだろうか。
でも、前は無警戒にヤムセの生の情念に触れてしまって、ビビり倒していたリティーヤだけど、もうただの師匠と弟子という関係ではいられないと彼女も分かった上で自分の中で育ってきていた先生への気持ちを無視できなくなった状態だったから、もう既に無警戒で懐いてくるんじゃなくて、食べたいなら食べちゃってもいいですよー、という所まで行っちゃってて、このドキドキ感はスリルの段階を通り越して、いつリティーヤが美味しくいただかれてしまうか、という所に焦点が当たってた感じ。参った参った(苦笑

何にせよ、この作品、男のふきこぼれそうなギリギリの瀬戸際の感情の描き方が、特に後半際立ってた。時々理性がキレて、半分くらいマジでリティーヤに襲い掛かるんですもん、もうドキドキだったよ。そこで勢いに任せてしまわず、ぐっとこらえるあたりが大人の男らしくて、むしろセクシーというかなんというか。
先生のユローナへの思いの決着のつけ方にしても、既に亡くなった尊敬する師であり、姉の仇という相手へ抱いていた、ずっと押し殺していた好きだったという感情をついに認めることが出来、それを想い出として消化していく過程が素晴らしかった。
こうして過去に決着をつけることで、現在から未来に向かうリティーヤとの関係も一気に変化してくるんですよね。過去に向き合えたからこそ、現在とも向き合えたわけで。リティーヤ本人はヤムセの変化を不安に思ってたみたいだけど、リティーヤに対しても実は良い方向に変化してたんですよね、これ。リティーヤを攫ってから、ことさら彼女を子ども扱いしているとロードマスターに指摘された時の反応も見事だった。
ヤムセの態度の変化は、たとえ必死に抑制していたとしても如実にリティーヤにも伝わってくるわけで、幾らリティーヤが暢気で天然であったとしても、元々ヤムセに対して抱いていた複雑な思いが触発されて明確な方向性を得てしまうのも、これは避けられない事なんですよね。
このあたりの、師匠と弟子という関係が徐々に跨いではいけない部分を跨いで、男と女のそれと混じっていくところが、なんか凄まじい色気が漂ってて、その辺のラブストーリーとは一線を隠した艶が出てたんだよなあ。
こうなってくるともうゼストガさんの割って入る余地はなく、案外諦めよくイイ人に徹していたゼストガさんが、切ないやら健気やら。拗ねるなよーw

ラストはとびっきりのハッピーエンド。頑なな男の胸を貫くのは、やっぱり恋する女の子の本心からの訴えであり、願いであり、うるさいくらいの叫びであり、あーもう、リティーヤは最初から最後まで楽しく可愛かったなあ。昨今では最高クラスの元気系天然ヒロインでございましたよ。
素敵な素敵なラブ物語でありました。次回作も絶対速攻で買います、はい。

迷い猫オーバーラン! 7.拾ったらいいじゃないですか!3   

迷い猫オーバーラン!〈7〉拾ったらいいじゃないですか! (集英社スーパーダッシュ文庫)

【迷い猫オーバーラン! 7.拾ったらいいじゃないですか!】 松智洋/ぺこ スーパーダッシュ文庫

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アニメ化に漫画化かー。内容的には構成の堅実さや妙味の部分は小説特有の特徴であって、他の媒体で作用するものではないから、見るべき部分は概略だけど、その点はオーソドックスだし、これは作り手次第になりそう。

自分を好いてくれる女性にふさわしい男になりたい、というのは向上心を高く保ったイイ事なのでしょうけれど、同時に男の自己満足に過ぎないのも確かな話。そもそも自分を高めることに夢中になって、肝心の女性の方をほったらかしにしてしまっているとなれば、まったくもって本末転倒。それどころか、告白に対して明確な答えを返さないまま、女性の側を宙ぶらりんにして待たせて、自分事にかまけているのだから、女性の側としたらたまったものじゃないでしょう、これ。
作中でも文乃たちが寂しそうに呟いていますけど、彼女たちからしたら大事なのは巧の気持ち、自分たちの誰を好きなのか、であって、ふさわしいだの資格云々なんてのは心底どうでもいいはずなんですよ。もうすでに今の巧に、彼女たちは惚れているのですから。
それなのに、巧は自分たちに構ってくれず、新たに現れた迷い猫のお世話に夢中。本当なら寂しい、もっと自分の方を見て、とみゃあみゃあ泣き喚きたいところを、ぐっとこらえて耐える三人が、今回はかわいそうでかわいそうで仕方ありませんでしたよ。

かわいそうといえば、新たに加わった新入部員のうちの一人、柴田くんがまた、かわいそうだったと思うのは異端でしょうか。部員はみんな、手のかかる問題児の部員の心の方にかかりっきりで、柴田くんの方はほったらかし。手のかからない優等生だからって、同じ新入部員、新しい仲間なのに、この放置プレイは可愛そうだよなあ。普通、拗ねるぞ、というか止めてしまいそうなもんだけど。紹介文には何か腹に一物あるぞ、みたいな書かれ方されてしまっていますけど、こういう扱いされてしまうと、腹に一物抱えてしまっても仕方ないような(苦笑 まあ、入部自体が何らかの目論見あって、とも考えられますけど。

そして、肝心の新ヒロイン。仮想あずにゃんこと心は、なるほど見事にこれまでのヒロインズ、文乃に千世、希の三人が抱えていた性格難を重ねて兼ね備えたキャラクター。まさしく最終兵器とも、汎用兵器ともいえるポンテンシャル(笑
でも、毎度思うんだけど、ヒロインのこうした性格の描き方って本当に猫をリアルに想起させるんですよね。迷い猫迷い猫と標榜しているのは伊達じゃなく、猫的な性格の表現はピカイチで、そんな人に慣れていない野良猫をてなづけていくかのような、頑なな心を解きほぐしていく過程の描き方は、オーソドックスだけれどソツがなく、ここまでくると練達の味わいすら感じさせる出来栄え。
でも、これ以上ヒロインはさすがにイイですよ(苦笑
出来れば、メインヒロインは文乃、希、千世の三人衆で譲らないで欲しいなあ。この三人の恋のライバルにして掛け替えのない親友同士という間柄の複雑な心理面での綱引きが、ある意味この作品の醍醐味なので。巧はこの点、恋愛パートでは全く愚鈍で見ていられないというのもあるけれど。

シリーズ感想

シュガーダーク 埋められた闇と少女4   

シュガーダーク  埋められた闇と少女 (角川スニーカー文庫)

【シュガーダーク 埋められた闇と少女】 新井円侍/mebae 角川スニーカー文庫

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第十四回スニーカー大賞<大賞>受賞作。実に【涼宮ハルヒの憂鬱】以来6年ぶりの大賞受賞作だそうだ。
で、読んでみたのですが、なるほど、これは納得させられた。こんなの送られてきたら、賞をあげないという選択肢はまずないだろうし、あげるとすれば佳作や優秀賞だとあまりに違和感がありすぎる。しっくりこないし、居心地が悪い。
だとすれば、一番収まりがいいのはどうしても大賞以外ないんですよね。必然的に大賞をあげなくてはどうしようもなくなる、これってそういうタイプの作品だなあ、と感じた次第。
だってもう、完璧と言っていいくらい無駄が省かれているんだもん。恐ろしいくらい徹底的にシェイプアップがなされ、限界までそぎ落とせる部分はそぎ落としている。
普通、ここまで無駄をなくしてしまうと話の中身などが薄っぺらく感じたり、こそぎ落とした故の鋭利さについていけなかったりと、物足りなさや置いてかれた感に苛まれて、作品に没頭できないケースが多くなってしまうものなんだけれど、この作品の凄いことはこれほど徹底的にシェイプアップしたにも関わらず、少なくとも読んでいる最中には一切物足りなさや作品と読者との乖離感などを感じさせず、独特の雰囲気、世界観に飲み込んで夢中にさせ、余計な部分に意識を持って行かせない所なんですよね。
あとになって思い返してみると、ザ・ダークがどこから来るのかとか、狩人たちとは何者なのか、あの老人たちの背景とか、正直肝心な部分については何にも書かれていないんですよね。でも、読んでいる最中はそういう余計な部分にまるで気が逸れず、ひたすらこの陰鬱で重苦しい夜の墓所で毎夜繰り広げられる少年と少女の逢瀬に意識の全部を引き寄せられていたのです。
まさしくボーイ・ミーツ・ガールの一点突破。わき目も振らず、ひたすらに二人が感情を交わらせていく様子を描いていく。それこそ、二人の過去の思い出すらも舞台装置にして。
よくよく冷静になって振り返ってみると、二人がお互いを大切に思っていくその過程など、描き方それそのもは決して先鋭的でも深度が深いわけでもなく、わりとオーソドックスなそれなんですよね。少年が少女の事を特別に思っていく過程もけっこう唐突だったり、そこに明確な理由やらがあったわけでもない。
ただ、この墓地という舞台から吹き寄せ来る暴力的な陰影の濃さと、退廃的な空気、喉をやわらかく締め付けてくるような圧迫感、そうした圧倒的な雰囲気、世界観こそが、このオーソドックスと言えるボーイ・ミーツ・ガールを重苦しい闇の中で味わえる掛け替えのない尊い甘味に見せているかのようなのです。
その意味では、ザ・ダークの詳細や墓所の外の世界の有り様、いや、この少年と少女以外の存在というのは、あの特別な役割を秘めたカラスという子や、黒犬、配役として必要不可欠な老人を除けば、まったく不必要でしかない。確かに、それ以外は無駄で、無意味なのです。
だからと言って、こうも思い切ってバッサリと切り落とし、それを感じさせない、意識させないというのは、なるほど見事と言う他無いです。
これは、新人賞を審査する方としたら、減点すべき所が見当たらないでしょう。物足りない、なんて言ってしまうと無駄な部分を増やせ、と言う事になってしまうし。ぶっちゃけ、この作品を売れ筋に乗せていくには、その無駄な部分こそが重要になってくるようにも思うんだけれど、賞に送ってきた作品にはそういうことは言えるもんではないですからね。そうなると、もう大賞に放り込むしかない。

この作品、タイプとしては電撃で大賞とった【ミミズクと夜の王】の紅玉いづきさんと同じ流れを汲んでいるようにも見て取れるけど、あちらほど<物語>に特化はしておらず、ある程度ライトノベル的な要素も備えている気がするんだけれど、うーん、でもいっそ特化してしまった方が中途半端にならずにいい気もするけど、これは難しいところだなあ。
 
5月10日

(このライトノベルがすごい!文庫)
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4月22日

(GA文庫)
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(講談社)
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(ガンガンコミックスJOKER) Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスpixiv) Amazon Kindle B☆W


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4月20日

(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(チャンピオンREDコミックス)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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4月19日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(裏少年サンデーコミックス)
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4月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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4月16日

(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス月刊マガジン)
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(ボニータ・コミックス)
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(FWコミックス)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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4月15日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(講談社コミックス)
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(コロナ・コミックス)
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4月14日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GAノベル)
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(GAノベル)
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(GAノベル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ハヤカワ文庫JA)
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(徳間文庫)
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4月12日

(まんがタイムKR フォワードコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(裏少年サンデーコミックス)
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(ガンガンコミックスONLINE)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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