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お気に入り

とある科学の超電磁砲 75   

とある科学の超電磁砲 7―とある魔術の禁書目録外伝 (電撃コミックス)

【とある科学の超電磁砲 7】 冬川基 電撃コミックス

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“戦い”は終結し、新しい“物語”が始まる ――!

一方通行との死闘を終えた美琴を待っていたもの。
それは上条当麻からの手作りクッキーのおねだりと、規格外のスケールの超運動会だった―― !!
毎回毎回おんなじ事ばっかり繰り返してしまって申し訳なくなるのだけれど、これ本当にすごいわ。純粋に「漫画」としてここまで表現出来る人、今どれだけ居るんだろう。
愕然としたのが、これほどにキャラの表情を迫真かつ豊かに描ききれる人が、この巻ではむしろ表情を見せないことで凄まじいまでに印象に残るコマやシーンを描き出してるんですよね。39話の最後のコマとか、その次の閑話とか、もはやあっけにとられるレベル。
婚后さんがあの湾内さんと泡浮さんと友だちになったシーンでの、遠くから美琴が三人に近づいていくのを足元から映しているコマとか。カメラアングルが神がかってるんですよね。一コマ一コマに、心引っ張られ鷲掴みにされるこの快感、この悦楽。いやあ、やっぱり最高ですわ、この人の描く漫画わ。

という訳で、シスターズ編の決着から婚后さんの新登場、美琴の天敵である食蜂の本格出場に伴っての大覇☆祭の開幕という形で本編も急展開。
いやあ、もうね、電磁砲での上条さんは、原作側と言動一緒のはずなのになんかもう別人ですよね、別人。男の魅力がパねえっすよ、この上条さん。
「俺の最弱は、ちっとばっか響くぞ」と嘯く上条さんのあの顔、何なんですか、あの表情!? 背筋泡立ちましたよ。すっげえわ、あの台詞を言うシーンで上条さんにあんな顔させるなんて。印象、まるで違うんですけど。
ここで挟まれる一方通行の心象風景もまた素晴らしい。これが在るお陰で、彼の最強を求める根源が一気に理解できました。いや、理解と言うより感覚的に伝わった、というべきか。
そしてあの『鉄橋は恋の合図』でのミサカさんですよ。もう、やべえって。ここでの御坂さんはヤバすぎる。恋ですよ、恋! この世で一番キラキラと輝いてるあの「女の子の恋」そのものですよ。
ここも最後のコマがもう最高すぎて、痺れた。

続いて、アニメで大人気の婚后光子さんが、漫画のほうではこれが初登場だったんですね。婚后さんはキャラが立ちすぎくらいに立ちまくって、世界観に馴染みすぎてたんで、もう漫画のほうでも登場済み、な気分だったのですが、そうか、まだだったんだ!! びっくり!!
いや、しかしこの婚后さん、素敵すぎじゃありません!? アニメだともうちょっと面倒くさい性格だったぞ!? 相変わらず人付き合いの下手くそなお嬢様ですけれど、この婚后さん無茶苦茶いい子じゃないですか! アニメでも仲良くなってた泡浮さんと湾内さんとの関係も、あちらでは二人が婚后さんに合わせてくれてる、みたいなところがありましたけれど、こちらではすっごく素直に婚后さんから「友達になってください」って申し込むのである。ちゃんと反省すべきところは反省するし、自分の至らない所に対する自覚も強い。変に意地もはらずに、美琴にも湾内さんたちにもすごく素直に接してますし……おーい、黒子。アニメじゃ似たり寄ったりのダメライバル同士だった気もするが、こちらだと婚后さん、真人間レベルが素晴らしく高いですぞ!?
大覇星祭で美琴と婚后さんがコンビくんで競技に出場してるのも納得。いやあ、むちゃくちゃ仲いいじゃないですか、お二人さん。息も合っててコンビネーションも抜群ですし。この婚后さんなら、佐天さんとも気が合いそうですし、こりゃあ本格的にレギュラーメンバー、というか美琴、黒子、初春、佐天のメインカルテットに入ってきそうな勢いですじゃん。むしろ歓迎のことですが。

人間力といえば、佐天さんですよ、佐天さん。相変わらず圧倒的なまでの人間性の高さ。この娘、つい先日まで小学生だった中学生のくせに、心配りが行き届き過ぎでしょう。友達甲斐がありすぎる。落ち込んでた初春を元気づけるために色々と画策して気を使っているのに、まるでそれを気取らせないのがまたすごい。傍から見てるから、佐天さんが初春の為に彼女を引っ張り回していたのはわかってたはずなのに、それをついつい忘れてしまうくらい、この娘気負いなく他意を見せず初春を連れて遊びまわっているのである。ごく自然に、ただ普通に遊んでいるとしか思えないくらいに。
佐天涙子は、絶対将来モテまくるに違いない。違わなければおかしいよ、うん。

それから、ついに以前から美琴が敵視しまくってた、どうやら人間性に問題がありまくるらしいレベル5の一角、食蜂操祈が登場。うわー、こいつはヤバイわ。この性格でこの能力って、やりたい放題じゃないのか? ってか、ダイエットしてる娘にケーキバイキングとか、鬼か、こいつ(笑

原作本編の方の大覇星祭の方は、上条さんがバタバタと走り回っているうちに適当に終ってしまったので、こちらではガッツリとお祭りやってるのをみたいところでありますなあ。
食蜂がどう絡んでくるか、なんだろうけど。というか、また佐天さんが知らず知らずに足突っ込んでそうだぞw

シリーズ感想


とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲 65   

とある科学の超電磁砲 6―とある魔術の禁書目録外伝 (電撃コミックス)

【とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲 6】 冬川基 電撃コミックス

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学園都市で行われる二万体もの美琴のクローン 『妹達(シスターズ)』 を殺害させる 「絶対能力進化(レベル6シフト)」 計画。
その実験を止めるため、美琴は最強の能力者である 『一方通行(アクセラレータ)』 に挑もうとする。
だが、そこへ上条当麻が現れ……。 最強と最弱の男が激突!

いや、これホントに原作小説のあのシーンなの? 全然違うじゃない。全然違うじゃない。自分の死をもって計画を止めようと決意した美琴の前に立ちふさがる上条当麻。あの橋の上でのシーン、ここまで印象変わるとは思ってなかった。そりゃ、冬川さんの描くとあるの世界は全然違う別物だと分かっていたつもりだったけど、同じシーンでここまで劇的に変わってくるなんて、すごいわ、この人本当に凄い。
美琴が計画を知ってから必死の思いでこれを止めようとして失敗して失敗して失敗を何度も繰り返し、その間にもシスターズが殺されていく絶望に打ち拉がれ、精神的にボロボロに成り果てた末に自分が死んで決着をつけようと思い詰めるまでを赤裸々に描かれていただけに、美琴の悲壮感や絶望感はこれ以上なく伝わってきてたんですよね。美琴については予想できていた。予想外だったのが上条さんですよ。
この上条さん、一杯いっぱいなのである。美琴の前に立ちふさがるこの少年、切羽詰ってて余裕なんか全然なくて、目茶苦茶必死なんですよ。瀬戸際に立たされたような、一歩退けばそれだけで全部台無しになってしまうと迫られているかのように、息をするのも苦しそうなほど緊張しまくってる。そんな様子で、美琴の前に立ちふさがるわけですよ。
この上条さんは、ちゃんと美琴を見てるんです。美琴という個人を見て、必死にこの女の子を止めようとしている。止められなかったら、取り返しのつかないことになると恐怖しながら。
この上条さんが示すのは、信念でも正義でもありません。愛ですよ、愛!! 
そんでね、ボロボロになりながら、この上条さんは物凄いイイ顔で笑うんですよ。美琴を止められて、とても安心したように、ホッとした顔で笑うんですよ。そして、彼女の代わりに戦うと誓って、待っててくれと気負いのない顔で微笑むわけですよ。
そして、シスターズの為に、本気で激怒する上条さん。
もう、惚れる。これでホレなかったら頭がおかしいってくらいにカッコイイ。人間・上条当麻のなんてかっこいいことか。この上条さんなら、幾らでも好きになれるのになあ。

加えて、一方通行と上条さんの殴り合いに立ち会った時の美琴の想い。妹たちと、本当の意味でつながった瞬間。毎回毎回おんなじことばっかり言ってますけど、この冬川基という人の漫画力、魅せる力はケタ違いだわ。
傑作です。

シリーズ感想

ベン・トー 7.真・和風ロールキャベツ弁当280円5   

ベン・トー 7 真・和風ロールキャベツ弁当280円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ベン・トー 7.真・和風ロールキャベツ弁当280円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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美味しいものには、毒がある!?
「このライトノベルがすごい!2011」第5位ランクイン!シリーズ第8作!

半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋は、ひょんなことから未曾有の経済危機に陥り、『変態』の二つ名を体現する日々を送っていた。そんなある日修学旅行で槍水が不在になる間、佐藤は彼女の縄張りであるスーパーを託されることに。しかし槍水と入れ替わるようにHP同好会に烏頭みことと名乗る美人OGが現れ、佐藤は彼女に翻弄されてしまうのだった。烏頭はかつてHP部が解散するに至った原因は槍水にあると告げるのだが――。毒を食わらば皿まで!「狼」の誇りを持って落とし前はきっちりつけろ!庶民派シリアスギャグアクション第8作!
まさかのアニメ化の一報に界隈が湧き立つ中で登場したシリーズ最新作。読んで改めて思ったが、この人天才だろう。完全に狂気を制御しきっている。それも、あらゆる種類の狂気を、だ。
これって、アニメ化にあたっての問題は、この【ベン・トー】という作品が内包する「狂気」を如何に見せるか、だよなあ。眼に見える部分である表層をなぞる事は幾らでも出来るけれど、はたしてそれだけではこの作品の本質とも肝ともいうべき部分をまるで見せることが叶わない気がする。差し当たっては、主人公佐藤洋のエキセントリックで一本スジの通った思考回路を映像という媒体でどれだけ見せられるのか、という所である。此処を取り逃がせば、この作品の本質は七割り落としたも同然だし。近年、ライトノベルがアニメ原作となるケースが物凄い勢いで増えているけれど、【ベン・トー】みたいな作品は、文章によって起こされた物語を映像に変換する難しさを思い出させてくれるような作品で、正直アニメ化についてはそれほど期待し切れないんだよなあ。
アニメ化の話はさておいて、本編の方はついにこれまで引っ張られたHP部解散の謎の一端を抱えて、OG【ウルフズペイン】烏頭みことが現れる。
まさか、ここまでべっとりと粘度の高い女の情念を、ベン・トーで見せられる事になるとは思わなかったなあ。今回当事者の一人である槍水仙は修学旅行で不在、著莪あやめも実家に帰っているなどして出番は非常に少ないのだが、なるほど今回の話に置いては槍水仙と著莪あやめは言わば登場してはいけない役だったんだなあ、と納得。洋にとって、二人は憧憬と安らぎの象徴みたいな所があるんですが、烏頭みこととの対立が深まる状況下で洋が二人と逢う事は精神的な敗北へとつながっていたわけです。修学旅行に行っていた槍水先輩はともかく、著莪については週明けには戻ってきてたわけで、逢おうと思えば逢えたはずなのに、実際一度心の安定を求めるかのように著莪に逢いに行こうとする機会があるのですが、結局二人の介入を許すこと無く洋の戦いは続くことになる。今回の話は洋にとっては完全にとばっちりなんですが、それでも女の愛憎入り交じった情念とも執念ともつかない怨念に絡め取られ、心竦んでしまう話であるわけです。そんな折に、毒に侵され心折れかけた有様であの二人に逢うというのは、やっぱりダメなんですよね。心の弱り方に「女」が絡んでいる以上、洋たち当人が意識していなくてもやっぱり関係性として「女」という括りが絡み付いているあの尊敬して慕う先輩と、気心のしれた幼馴染では、洋の狼としての部分を取り戻すどころか余計に殺してしまう可能性すらあったわけです。他のケースなら、二人ともこれ以上ないくら位頼もしい支えになれるんですけどね。
だからこそ、今回洋を復活させる役割を得たのは【オルトロス】や茶髪たちのような戦友たちでなければならなかった訳です。アレほどドロドロに渦巻いた人間関係の破綻と拗れ、縺れを半額弁当争奪戦という舞台に引き込みながら、最終的に、上手い弁当を激闘の末に奪取し、喰って堪能する、という狼の原点に立ち返る事の出来るこの作品は、やっぱりとてつもない。しかも、その原点こそが在るべき人の心の営みを取り戻し、傷ついた心や迷いを癒し、導く事になるわけだから、殆ど魔法みたいなストーリー構成である。
あれほどぐちゃぐちゃドロドロの話の流れの中で、しっかりと今回の【和風ロールキャベツ弁当】が究極へと至っていく過程がこれでもかとしっかりと描かれ、【真・和風ロールキャベツ弁当】という月桂冠の本命がドーーーンと登場する衝撃をきっちりと支えてるんだもんなあ。特に今回の最終決戦は、今まででも例を見ないくらい凄まじいメンツの揃った頂上決戦だった訳で、そんなメンツが奪い合う最上の財宝として【真・和風ロールキャベツ弁当】はばっちりちゃんと格を得ていたわけで……くっそう、やっぱりこの作品の食い物は有り得ないくらいウマそうだ。
でも、残念だったのは頂上決戦が本物の頂上決戦にはならなかったことだよなあ。正直、あのメンツでの本当の決戦をぜひ見たかった。特にウィザードは現れる事自体稀なレアキャラなだけに。オルトロスだって普段は狩場が違うんだし。
いやしかし、まだこれからも機会はあるか。ウィザードは帰国してしばらく此処にいるみたいだし、実のところHP部解散の真相は未だ全容は明かされてないわけですし、ウィザードと魔女の関係もまだ本当のところは見えてないですしね。

にしても、やはり茶髪はもう二つ名持ってもいいんじゃないのかな、という位に凄腕だよなあ。今回だって何気に一番イイところ持ってったし。というか、此処ぞという決戦で毎回いいところ持って行くわけだし。さらに、名無しの狼としてさらにウルフズカットの少女が登場。そうか、新入生か。まだまだ未熟で幼い狼なのが、そうか洋たちも戦場に立ちだしてもう後発が出てくるくらいになったんだなあ、という実感が。しかし、なんでおんなじ学校にも関わらずHP同好会に入ってくれないんだよ! まあ明らかに洋のせいなんだがw
その洋の爆笑過去回想は今までの中でもこの巻が一番絶好調だったんじゃないだろうか。本数も多かったし。こいつとその仲間の話はそれだけ本に纏めてもベストセラーになりそうなくらい面白いよなあ。革命話なんか、笑い死ぬかと思った。どんな光景だよ。

シリーズ感想

惑星のさみだれ 10.全部 きみのためにある5   

惑星のさみだれ 10 (ヤングキングコミックス)

【惑星のさみだれ 10.全部 きみのためにある】 水上悟志 ヤングキングコミックス

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泣いた。
マジ泣きである。泣きそうになった、じゃなくて本気で泣いてしまった。ポロポロと零れ落ちる涙を、なんども袖で拭った。
驚いた事に、一度読み、二度読み返し、三度読み返し、と何度読み返しても涙が出てくる。読み返すたびに泣いてしまう。思えば、雑誌の連載を読んだ時も泣いてしまったのだった。
悲しみはいつか癒えるのだとしても、感動は人の心から薄れないのかもしれない。
何度読んでも、同じ場面で心揺さぶられ、同じ台詞で涙腺を撃ちぬかれ、登場人物のその姿に魂を握りつぶされる。
惑星のさみだれ、完結編である。
まだ月末に向けて幾つかの候補作はあるとはいえ、おそらく私は本作を本年度の漫画作品の中で読めて良かったと思える物語の、一番上に据えるだろう。
感謝を。
こんなに素晴らしい物語をこの世に送り出してくれた水上先生には、心からの感謝とお礼を捧げたい。
この物語によって得られた感動は、きっと一生のたからものになってくれるだろうから。

振り返り、近づいて、拳を解き広げた手のひら、差し伸べられたその九つの手は、小さな魔王を受け止める。
彼女の絶望も、哀しみも、全部一緒に背負ってくれる。

ありがとう、さようなら、また明日。

幾つもの幾つもの「ありがとう」がかわされる。
笑顔と涙で送られるさようならが紡がれる。
そして、さし出される「また明日」。

一つの、とてつもない物語が、星を砕く者の物語が終わっても、明日は続く。明日へと続いていく。それは長い人生の中におけるたった一つのエピソードに過ぎない。どれほど重く、大きく、忘れられない出来事だったのだとしても、人生は続いていく。
その先は、だから後日の談などではないのだ。
それは、かけがえの無い「今」の物語。

あんな凄い物語があったのに
それが終わったのに
ぼくらの人生は10年経った今でも
相変わらず続いている

共に生命を預けあった仲間を得て
ぼくらの物語は続いていく

こうして……

ぼく達は少し 大人になった


素晴らしい、物語でした。心から、ありがとう。



追記:ヤマカムさんの感想記事を見て、驚いたのなんの。これは、全然気づいてなかった。昴と雪待のお師匠様、そういうことだったのか。そういう事だったのか!!

真月譚月姫 85   

真月譚月姫 8 (電撃コミックス)

【真月譚月姫 8】 佐々木少年 電撃コミックス

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「そして、彼女は死地に赴いた。あの一言が、千年に航る旅の報いだったと微笑みながら」


第63話、139ページのアルクェイドには、もう胸がギューーーーッと締め付けられた。
人間、幸せで幸せすぎて、もうこのまま死んでもいいと思うくらいに最高に幸せな瞬間が訪れる時がある。まさに、この時のアルクェイドはそれだったんじゃないだろうか。
千年、まさにこの瞬間の時に生きてきた。あの言葉をもらうために生きてきた。なんて幸せ、なんて幸福。
だからもう充分。他に何も要らない。
そんな気分。
今まで、佐々木少年さんの描くアルクェイドの笑顔は素晴らしいものばかりだったけれど、139ページのそれは、その中でも最高、今までで一番のギューーーッとなる笑顔だった。嬉しくて嬉しくて仕方なくて幸せで幸せで仕方なくて、我慢しても我慢してもこらえきれずに、あふれ出てくる幸せの笑顔。
そして、その下のコマ。静かな夜空に向かって両手を広げて、高々とスキップを踏むアルクェイドの後ろ姿。何もセリフが無いにも関わらず、表情すらも描かれていないにも関わらず、物凄い勢いで彼女の気持ちが伝わってくる。ぶわーーーーっ、と吹き出してくる歓喜に、思わずのけぞりそうなこの一コマ。物凄い一コマ。正直、次の見開きの清々しいアルクの御姿よりも、このシーンの方が凄まじかった。
この傑作シリーズの中でも、特に珠玉と言っていいシーンだと断言する。
悲愴でも絶望でも諦観でもなく、ただただ喜びを以て終焉の地へと赴くアルクェイド。彼女は本当に、幸せでたまらなかったんだろうけれど、でもだからこそ、志貴はそんなアルクを逝かせたくはなかったんだろうなあ。
ここはアルクの気持ちも、志貴の気持ちもとてもよくわかるので、高揚と切なさが綯交ぜになってテンションが変なことになってしまっている。
なんにせよ、クライマックスに相応しい盛り上がりだよ。

最初の、四季が志貴にコーヒー缶を投げてくるのは、もしかしてプラスディスクのオマージュか。原作では確かこんなシーンはなかったもんな。あの夢では夜の街でコーヒーを酌み交わしたこの二人。だけれど、ここでは投げられたコーヒー缶は受け取られることもなく、虚しく床に転がり跳ねる。
さり気なく、これは原作ゲームをやりこんだファンに対する至上のサービスだわなあ。

そして、アカデミー助演女優賞をブッチギリで受賞しそうな勢いのシエル先輩。とてもじゃないけど、サブヒロインとか脇役なんて言葉で言い表してしまうのが失礼に思えてくる、シエル先輩の絶大な存在感。この人なくしては、物語もラブストーリーも何も成立しないんだよなあ。彼女こそが何もかもを支えてる。可愛いんですよ? シエル先輩。

弱りきった身体でなおもロアと対決し、これを圧倒するアルクェイド。彼女がTYPEMOONの世界観のキャラクターの中でもその強さが群を抜いているというのもよくわかる。力を殆ど失った状態でこれって、万全ならどうなるんだ? 
ただ、その強さを以てしても、万全の体制で待ち構えていたロアを殺しきることは出来ない。
そして到着する志貴とシエル先輩。
物語は、ついに最終幕へ。最終巻は夏、か。今はただひたすらに待ち遠しい。

シリーズ感想

カンピオーネ! 6.神山飛鳳 5   

カンピオーネ! 6 (集英社スーパーダッシュ文庫 た 9-6)

【カンピオーネ! 6.神山飛鳳】 丈月城/シコルスキー スーパーダッシュ文庫

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うおおおお、お、面白い面白い、メチャクチャ面白い!! べらぼうに面白れえーーーーーーー!!
いやいやいやいや、毎回このシリーズったらメチャクチャ面白いけどさ、今回の出来栄えはもう屈指じゃないのか、というくらいに面白かった。
なんでこんなに面白かったんだろうと考えてみたんだが、やはりあれだ。護堂以外のカンピオーネたちが一斉に動き出したからなんだろう。まつろわぬ神との対決もそれはそれで面白いんだが、やっぱり一番面白いのは同じ人間であり同じ神殺しである他のカンピオーネたちと対峙した時なんですよね。
同じ人間とか言っちゃったけれど、カンピオーネというのは本当にどいつもこいつもとんでもない規格外だったんだなあ。今まで登場したカンピオーネは我らが草薙護堂に、サルバトーレ・ドニ。サーシャ・デヤンスタール・ヴォバンの三人だけだったんだが、この巻ではついに今まで不明だった他の四名のうち三人、イギリスの黒王子にアメリカのジョン・プルートー・スミス、中国の羅濠教主の動向が明らかに。
現存する七人のうち、六人の人となりが明らかになったことで、カンピオーネという存在がどういうものか段々と見えてきたんだが……いやもう、こいつらおかしい!!(笑
在り方が根本的におかしい。普通に考えておかしい。なにからなにまでおかしい。
強さが最強とか、化け物とか超人とか、そういう視点や概念で語ってしまうとどうもカンピオーネという存在について正しい姿を捉えきれない気がする。
そもそも、そういう考え方で捉えられる範疇の存在なら、神を殺すなんて土台無理なんだよなあ。その辺は今回、羅濠教主の弟子である陸鷹化がうまいこと表現してくれていたので引用すると、
あの人たちにはキャリアなんて関係ないよ。神を殺し、その権能を簒奪した時点で彼らは埒外の存在なんだ。僕や姐さんはそこそこ上等な遣い手だと思うけど、最弱の『王』ですら僕らの遥か上を往く。
技とか術とか、策とか罠とか、そんなものを云々する相手じゃないんだ。僕は多分、七人いらっしゃる『王』たちの五人までは武芸で凌ぐと思うけど、まともに喧嘩を売る度胸は無いよ。あの人たちは、相手が誰であろうと必ず『勝ち方』を見つける。そんな才能も百年の修行も、そいつでチャラにしちまうんだ。だから王様なんだよ。
そりゃ年功序列とか身につけた技で勝敗が決まるなら、うちの師父が勝つだろうけどさ
そんな殊勝で扱いやすい人なら、そもそも神様と戦った時点で死んでるじゃないか。魔王の方々にそんな人間らしさを期待するほど、僕はバカじゃないぜ?
でたらめ、と表現するのが一番適しているのだろうか。だが繰り返すが、強さがでたらめとか最強とかというのとは違うのである。少しの違いのようで、決定的に違うのである。
じゃあ何がデタラメで規格外で常識外か、と言うと……もうその存在そのもの、としか言いようが無い。
あのサルバトーレ・ドニにしても、デヤンスタール・ヴォバンにしても、今回冒頭でロスでの活躍を見せてくれたジョン・プルートー・スミスにしても、護堂と戦うことになる羅濠教主にしても、あっけにとられるようなデタラメな人たちなんですよね。だから、こいつらおかしいんだって!(笑
実のところ、常識人を気取っている本編主人公であるところの護堂だって、一見マトモに見えるし、まあ概ねまともな常識人である所は否定しないんだが……それでも、やっぱりこいつもカンピオーネで王様で紛れもなく魔王なのである。読み込めば読み込むほど、つくづくそれを思い知らされる。
いや、常識人に見えて実は、というんじゃないんだ。彼が常識人なのは間違いない。非常にまともで健全な思考の持ち主なのである。それなのに、デタラメで規格外で異常でおかしい、という在り方が両立していることが、カンピオーネという存在の特異性を如実に示しているのではなかろうか。いくらここで力説しても、まるで伝わる気がしないや(苦笑
こればっかりは、読んで貰わないとわからないかもしれないね。

いや、なにより護堂の異常性はあれだろう。女性とのフラグ立て能力だろう。古今東西、フラグ一級建築士などと呼称される猛者たちが数多くいらっしゃいますが、この巻でリリアナが調査し暴露してくれた護堂の女性遍歴の凄まじさを見せつけられては、護堂さん(敢えてさんづけをさせていただくきたく)のそれはもう別格であると断言せざるを得ない。いやもう、ほんとにマジで凄いから!(笑 震撼させられた。次元が違うと言ってもいいかもしれない。
丁度、公式ページで件のシーンの一部が抜粋されているのでご覧になっていただきたい。
護堂さん、あんたって人は生まれてこの方、どれだけのフラグを立ててはブチ折ってきなすったんだ(笑
それに対するリリアナの見解が正鵠を射まくってて、吹くわ吹くわw 護堂って、そうなんだよなあ。まったくリリアナの言うとおりなんだ。
ぶっちゃけ、護堂のヒロインを努めるには、普遍的なヒロインの在り方ではまったく上手くいかないんだな、これが。リリアナのこれまでの対応は、他の作品ならまずもって正答だったはずなんだが、如何せんこのカンピオーネでは大間違い。護堂が女の子を無差別に惹きつけてしまうのは、もうどうしようもないんだ。いくら抵抗しても、こればっかりはどうしようもない。護堂の傍に侍るには、まずその事実を受け入れなければ始まらないわけだ。
それを見事に修正してきたあたり、伊達にエリカのライバルではなかったということか。エリカも、そんなリリアナを要警戒しだしたし。裕理も着実に距離を縮めてますしねえ。今のところまだエリカが本妻というのは揺るがないところでしょうけれど。
ただ、今後恐ろしい人材が投入されてくる可能性が出てきたからなあ(w
それはもう、反則だろうと言う領域。いくらエリカでもこの人達相手じゃあ今まで通りにはいかないぞ。まあまだ決定ではないんだろうけれど、護堂さんの力を考えるとまったく楽観できん!! あははははは、やべえ、これマジ楽しいんですけど!! うわぁ、どうなるんだこれ。どうなってしまうんだ!?

と、人間関係の方だけでもえらいことになっているのに、バトルの方もリミッター完全オフ。前回わりとおとなしかった分を取り戻すように、もうやりたい放題のでたらめ劇場。
今回は完全に武侠モノのノリである。いや、冒頭のジョン・プルートー・スミスのパートは完全にアメコミのノリだっただけに、なにこのワールドワイドなお祭り騒ぎは。あとがきじゃあ「東映まんがまつり的クロスオーバー」とか言ってるし。全くそのとおりと言うか、それ以上じゃないか。
陸鷹化とリリアナ&エリカの激闘は、まさに武侠小説の超人と西洋魔術の異種格闘戦というノリ。とはいえ、上手いこと世界観のすり合わせがなされているんですよね。しっかりと武侠モノと西洋魔術、それぞれの設定を組み上げているにも関わらず、上手いこと噛み合うように練り上げている。神話の薀蓄に毎回感心させられるように、このシリーズ、魔術にしても今回はじめてお目見えの武侠系のネタにしても本当によく勉強して上っ面をさらっただけとは思えない識で、これらの設定群を扱っているんですよ。しかも、その設定の見せ方が非常に上手い。素晴らしいエンターテインメント性を有している。これについては、手放しですごいなあと毎回感心させられるわけです。
ひかりの歌っている呪文は、柿本人麻呂関連のものなんですよね。羅濠教主の呪文にしても、おそらくは道教系の実際のものから、漢詩の類。李商隱とかはよく知らないけど、李白や杜甫はさすがに知ってる。漢詩を呪文に引用するとは、ハッタリがきいてるじゃないですか。もう、しびれるなあ。というか、羅濠教主のセリフ、いちいち風雅でカッコイイんだよなあ。
カンピオーネは、みんなもうデタラメにデタラメを重ねたような無茶苦茶な人物なんだけれど、それ以上に物凄く魅力的な人たちなんですよね。あの凶人ヴォバンですら邪悪の魅力というのに満ち満ちていた。暴虐の魔王でありながら、どこか惹きつけられるものがある人だったんですよね。この羅濠教主もまた、デタラメで無茶苦茶なんだが、
わたくしのような身分の者が、民と直接交わるなどあってはならないこと。我が身を直視した者は己の両目を抉り、我が声を耳にした者は己の耳を削ぎ、償いとせねばなりません。
「わたくしは古今東西の皇帝、覇者、将帥を凌ぐ武の頂点。ゆえに、あらゆる支配者も及ばぬ崇敬を捧げられねばなりません。それが序列というものです」
「えーと、歴史上のどんな王様よりすごいって、何を根拠に?」
「それはもちろん、我が武芸と権能ゆえに。羅翠蓮が振るう拳脚は千の兵を屠り、刀槍は万の兵を薙ぎ払います。わたくしが武の真髄を絶技として示さば、百万の軍とて悉く屍山血河。全ての国は虚しく破れ、山河のみが残る結果となりましょう」
「いや! もっと政治とか経済とか文化のことも考えましょうよ!」

概ねこういう人物です。無茶苦茶です。でも、天上天下唯我独尊な人物にも関わらず、全然嫌味も憎たらしさもないんですよねえ。痛快で勇壮で美麗で風雅。いやあ、惚れるわー。なんか、無茶苦茶好きになってしまった。

もう、そんな羅濠教主との大決闘だけでお腹いっぱい、と言ってもなんら過言でないにも関わらず、彼女との闘争はある意味、前哨戦に過ぎないんですよね。【カンピオーネ!】シリーズ初めての前後編か。一巻で終わらなかったもんな。満足度は一巻どコロじゃなかったけれど、ここからさらにスケールアップとか、ドコまで行くんだ一体。
羅濠教主が対決を所望し、日光東照宮に封印されていたまつろわぬ神。その正体は一目瞭然で、神話だのの方面には何らの知識もない護堂でさえ知っている有名人物ならぬ神物。
それはそれとして、こいつが件の<鋼>の郎党を名乗っているのはどういう事なんだろう。この国に封印されていると言う<鋼の御子>というのは、もしかしてあの神様をすら郎党に数えてしまうような存在だということ? これは、ちょっと想像を絶するような大物という可能性が出てきたぞ。日本の神様じゃなくて、外来モノというのは間違いないみたいだし。
そう言えば、例のスサノオのところにいた二人の人外。僧侶の方はおそらくあの人というのが発覚したけど、もう一人の女性の方はまだわからんなあ。色々と正体を絞るための情報は出てきたけれど。

正直、今はもう続きが待ち遠しくて仕方ない。どこまで面白くなっていくんだ、このシリーズ♪
あーー、もう素晴らしく面白かった。最高だ!!

シリーズ感想

神明解ろーどぐらす5   

神明解ろーどぐらす (MF文庫 J ひ 3-7)

【神明解ろーどぐらす】 比嘉智康/すばち MF文庫J

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くわっ! こ、これはっ!?
これはっ、これはぁ!! キタキタキタキタ、ひゃっはーー! これはキタぁぁぁ!!

MARVELOUS!!
MARVELOUS!!
MARVELOUS!!


最高だ、これ。すばらしいーーーーーー!!

一見意味不明なタイトルからはてっきり学園異能系のそれかと思ってたら、ろーどぐらすって……道草のことかー!!
今や富士見Fの【生徒会】シリーズやMF文庫Jの【僕は友達が少ない】などに代表され、一大潮流となりつつある駄弁り系ライトノベルの新機軸が此処に誕生。以前までのはクラブ活動的なものだったけれど、この【神明解ろーどぐらす】は言うなれば
帰宅部!!
下校時の他愛の無いお喋りや、友達と連れ立っての寄り道、道草、買い食い。それこそ、下校時の学校を出る前のまったりした時間などを主舞台に置いた、まさに本格的に駄弁り倒すことこそが根幹となる作品である。
駄弁ってないで仕事しろとか部活しろとか、これでもう言われる謂れなどなくなったーー!!

と、単なる新機軸というだけならここまでハイテンションにはなりません。全然なりません。
何をここまでうっはうっはのあげあげ状態になっているのかといえば、成り果てているのかといえば!
比嘉智康(敬称略)が本気出したー^ーーーー!!
デビュー作であるところの【ギャルゴ!!!!】の時点でそのエキセントリックで独特すぎる惚けた会話のテンポやセンスにはなんどもひっくり返されたものだけれど、本格的に益体もないお喋りを主体とした作品として打って出てきたこの【神明解ろーどぐらす】は、【ギャルゴ!!!!】のあれが霞んで見えるほど、突っ走りに突っ走った出来栄えだった。
いや、ぶっ飛び度に関しては【ギャルゴ!!!!】の方がアレだったんだが、より洗練されてきたというべきか。ぶっ飛びすぎてちょっとハズしすぎていたような部分が修正され、見事にそのお喋り部分を純粋に楽しめるように強化カスタマイズされてきたとでも言うべきか。
正直、センスが飛びすぎててちょっとついて行けない所があった【ギャルゴ!!!!】に対して、こちらの【神明解ろーどぐらす】はかなり取っ付き易くなっているように思える。それでいて、単純に登場人物たちの掛け合いを楽しみ、笑い、ニヤケさせてくれるという意味においては掛け値なしにパワーアップしている。
【ギャルゴ!!!!】も良作だったけど、これは予想を遥かに超えて化けた!!


下校に掛ける熱い男、池田十勝。ネガディブハッピー思い込み暴走少女の千歳キララ。自称超絶美少女のナルシスト丹下まりも。ロリロリポジティブカメラ小娘富良野咲、通称さきっぽ。
高校入学式の下校時にデパートの催事場で偶然知り合った奇天烈な四人組が織りなす楽しい楽しい下校ライフ。
一緒に帰るための待ち合わせ場所を決めようと真剣談義。寄り道に足を伸ばしてみんなでプール。雨降りの日の相合傘騒動。帰り道のジャンケン荷物持ち。
学校が終り家に帰るまでの、どこか心浮き立つ隙間の時間。
どれもこれも、読んでて楽しくて仕方ない。いいなー、こいつらいいなーー♪

うーん、やっぱりキャラのインパクトが凄い。まずもって最初に登場した千歳キララの存在感がパねえ。基本常にネガティブに物事を考え、自分に自信が欠片もなく、どちらかというとおどおどとした性格のキャラなのに、暗い印象は全然ないんですよね。常時軽度に暴走しているからか、むしろ弱気なのに押しが強いようにすら見える。言動もエキセントリックで自己完結していて、とにかく素っ頓狂で面白い。思考がダウナーすぎて、下降線を辿るどころか一回転して変な方向にふわふわと飛んでいくんですよね。
「さきっぽよ。よく考えてみてほしい。例えば十勝と安易に相合い傘をした結果、望まれない子供を授かることだってあるだろ」

みんなちょっと置いてけぼりにされるんだけれど、鬱陶しがったり引いたりせず、自然にふわふわと飛んでいく千歳を待て待てと追いかけて捕まえてくれるので、千歳の思い込みによる思考暴走も、わりと安心して見ていられるんですよね。
まりもも出てきた直後は自己中で自意識過剰で扱いにくそうな娘だと思ったんだけれど、話が進んでくると同姓の女の子には優しく親切で、ナルシストだけれど決して嫌味な人間だったり、他人を嫌な気分にさせるような娘じゃないとわかってくる。
それどころか、プール編では妙にしおらしくて繊細な女の子らしい側面を見せてくれて、一気に株価上昇中。
何気に、着実にラブコメしているのも好感触。というか、かなりニヤニヤしっぱなしだったんだが(w
妙なところで勘違いしまくって、十勝のことを意識しまくり思考をどんどん暴走させていく千歳の可愛いこと可愛いこと。
「出来るならロボットアニメみたいなことを十勝としたいという気持ちを持ちながら、それが、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめている状態じゃないから」
迂遠、遠回し過ぎる上に否定形で締めとは、心がグルグルしすぎだよ(笑
第五話でラブレターの件を知った途端、テンパって十勝に変なアプローチをしてくるまりもやさきっぽも、これ完全に十勝のこと意識してるんだよなあ。特に、まりもはプールの件でかなりグラッと来てる節があったし。
今のところまださきっぽについては特定個別イベントはない状態なので、まだまだなんにも始まってない状態なんですけどね。最終話で4月終了だから、まだ知りあって一ヶ月立っていないわけだけれど、この四人の息の合ったやりとりは、読んでて本当に楽しかった。
いやもう、まじで面白かったーー!!
全力全開で、これはオススメ。推薦図書。
これなら、【僕は友達が少ない】と二枚看板で押し出しても全く遜色ない、というかこれはプッシュすべきでしょう?
絶賛です。おすすめーー。

僕は友達が少ない 3 4   

僕は友達が少ない 3 (MF文庫 J ひ 2-21)

【僕は友達が少ない 3】 平坂読/ぶりき MF文庫J

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隣人部のメンバーも一揃いし、いよいよ本格的に隣人部の活動が始まる!! となった途端に、夏休みに入ってしまうというタイミングの悪さに苦笑していたら……夏休みでも普通に部活に来る隣人部の面々。そして、普段と同じくだらだらと部室で過ごす面々。
いや、おまえらよ、な、夏休みよ? な、なつ、夏休み……夏休み。
そ、そもそも本格的な隣人部の活動って、本格的も何もあったもんではなかったのだった。友達が欲しいと集まったくせに、こいつらは根本的にその目的を叶えるための行動に出ようという意思も気力も、それ以前に発想も無いのだからして、ただただ居心地の良い空間にだらだらと滞在するのが既に隣人部の本格的な活動となってしまっている次第。これをなんとかせねばと奮起するようなキャラクターも全く皆無。となれば、今後もこのままこれが続くのか。
しかし、夏休みを無駄無為無意味に過ごすのはまあ珍しくはないけれど、それでも長期のお休みに対して何らかのワクワク感や期待感を膨らませるものだと思ってたけれど、こいつらにとっては単に授業がないというだけで、それ以上でもそれ以下でもないんだなあ。むしろ、暇で時間を持てあます分、夜空や小鷹などはしんどそうである。長期の休みが暇で退屈で苦痛って…君たちってやつは……本気で泣けてきたぜw

まさかこのまま、夏休みは延々部活でダラダラと過ごすだけという、信じがたい暴挙が最後まで続くのか、続いてしまうのかといささか本気で危惧してしまったが、実はさり気なく自覚なくリア充しているこの連中は、結局夏休みもリア充に流されていくのであった。さあ、そろそろ殺意が湧いてくる読者もいるんではなかろうかw

とはいえ、幾らリア充していても、それに気づかないくらい隣人部の諸君は世間慣れしておらず、どうしても所々で、もしくはイベントの終りで残念な引き出物を引き当ててしまうわけである。というか、お前ら今日はたのしかったなーー! で普通に終われないのか! なんで毎回そんな、微妙に気まずい終わり方に徹しようとするんだ。なんの強迫観念に駆られているんだ!?


「あ、あんちゃん! ちゃんと見といてよぉ!

と懇願して全裸になって着替える妹……。こ、小鳩さん。あーた、小学生低学年のお子様じゃなくて、仮にももう中二なんですから、その、もうちょっと羞恥心と言うものをですね……。
この娘、幾ら何でも兄に対して無防備すぎると言うか、肉体的にも精神的にももうちょっと成長してくれた方が嬉しいと言うか。
いやいや、でもこの巻では演じるセリフよりもナチュラルな方言の方が多かったので、もうそれで充分だ。ふにゃふにゃよー。

一方で、着実かつ堅実にフラグを積み上げていっているのは、星奈の方で。これって、一歩一歩は決して大きくはないんだが、夜空の方に全くと云っていいほど恋愛フラグが立ちそうなイベントが起こらなかったので、完全に星奈が距離間詰めてるんですよね。
なんか、なしくずしに自宅に呼んで一泊、とかいうイベントに、さらにお風呂で全裸ドッキリと言うお約束までやっちゃってるし。そこで、何故か彼女のお父さんと同じベッドでご就寝という、凄まじすぎるオチが待っているんだが。
あのお父さんはなーー(苦笑 性格的には面倒くさいけれど凄くイイ人そうで、意外とというと失礼だけれどそんな破綻した人でもなく、わりかしまともなんですよね。あー、星奈の血縁だ、というのがよく伝わってくるけれど、星奈の破綻した部分がこなれてちゃんと社会に適応した感じか。大人としてもまあ、頼れそうな人なので良かった。
ただただ、名前が残念という悲劇……笑ったわ!! おいおいおい、役所は止めてやれよ!! 近年は奇抜な名前をつけられる子どもが増えて、将来は可哀想なことになるんじゃないか、という危惧がなされている昨今ではあるけれど、具体的にこういう例を見せられてしまうと、なんかもう涙つまされるww 改名しなよ、お父さんw もしつけた親に遠慮かこだわりがあるとしても、それはさすがに、小鷹が自分の髪を染めようとしない、というこだわりとは別次元の問題だよw いや、その名前は酷い(爆笑
そんな名前の残念な理事長から、娘のことを頼まれる小鷹。これって、小鷹は気付いていないが、完全に親から認められた関係、ってやつになっちゃってるよなあ。
ぶっちゃけ、星奈はあほの子だけれど、小鷹に対しては健気だし一生懸命だし、結構素直だし、とかなり可愛いので、正直私は星奈派だ。
なのだが、ラストで、これまで沈黙を守り続けてきた夜空の、まさかまさかの必殺の一撃。つーか、え、ええ!? べ、別人じゃない!? こ、これは絵師のブリキさんの大技炸裂だわ。文章だけでも充分インパクトある描写だったけれど、最後のイラストは強力この上なし。
はーーー。

ただ、今の時点ではまだ、友達という関係にこだわっている夜空と、小鷹を男性として意識することを肯定している星奈とでは、まだ若干立ち位置に差があるんですよね。
それとは別に、小鷹の意識、という点も今後は重要になってくるんだろうけれど。親友か、恋人か。残念ながら、その関係を両立させるというのは不可能とは言わずとも、まずもってありえないほど困難ですからねえ。関係性へのこだわりは、そのまま関係性の発展、もしくは変化変質を拒み歪める拘束となりかねないわけで。
三巻ラストにして、根幹を揺るがすほどに大きく大きく動いてきたストーリー。まさに、ここからが本番か!!


しかし、名実ともにこのシリーズ、MF文庫Jの看板へと駆け上がってきた。遠からずアニメ化、とかもなるんだろうなあ。

一巻 二巻感想

“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店 75   

付喪堂骨董店〈7〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)

【“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店 7】 御堂彰彦/タケシマサトシ 電撃文庫

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明らかにされた物語の根底に最初から仕込まれていた真実を目の前にして茫然自失。
マジかよ、これ。
その真実を踏まえて、前の6巻で自分が書いた感想を読み返してみると、自分がまったく咲についても、都和子についても、何もわかっていなかったのだと思い知らされる。
見当はずれじゃないけれど、この物語が秘めていた真実の重さ、闇の深さを完全に見誤っていたと言える。その意味では、読者である自分は刻也とまったくシンクロしていて、作者の手のひらの上で踊らされていたと言えるのかも知れない。
ようやく相手のことが分かったつもりになって、それなのに実は何も分かっていなかったと突き付けられて、その先に救いもなにも残されてなどいないのだと理解させられ、残ったものは想いだけ。
此処に至って、以前咲が刻也に告げた「優しいけれど、傲慢だ」という言葉が、次元の異なる痛みをもって貫いてくる。
あれは、そういうことだったのか。これほどまでに破滅的で、救いようのない真実だったとは……。
なんという悲恋なのだろう。なんという過酷な運命なんだろう。
真実が明らかになった途端、これまで二人が経験してきたアンティークにまつわる事件が、すべて土台から景色を変えてくる。あれらの事件の記憶が、経験が、痛みが、ここに結実していく。
あの「夢の香炉」の事件。刻也が選んだ選択は、ちょっと異色だと思っていたんだが、なるほどあの場面で彼女を夢のなかから救うことを止めた刻也の決断は、そのまま彼が当事者となるこの最終局面における選択へと直結していくのか。
都和子さんも語っているけれど、彼は真実を知る前から既に、身を滅ぼす事によってしか手に入れられない幸せ、という概念を持ち得ていたのか。もしかしたら、薄々自分に突きつけられる選択肢を予感していたのかも知れない。

彼が最後に見つけ出した手段は、決してすべてが丸く収まる大団円などではない。有り体にいって、煉獄そのものだ。彼らには、おそらく心安まる暇もなく運命が襲い来続けるのだろう。そして、それを乗り越える度に、彼らはすべてから置き去りにされていく。
世界から見放され、置き去りにされ、殺され続けることを煉獄と呼ばずして何というのだろう。それでも、彼らは愛した人のいない平穏よりも、二人で寄りそう煉獄を選んだのだ。
なんという壮絶な悲恋であり、想像を絶するハッピーエンドなんだろう。
彼らは「アンティーク」と呼ばれる不思議な道具によって身を滅ぼし、掛け替えのない大切なものを手に入れ、幸せになったのだ。恐らくは、その大切なもの以外の殆どすべてをかなぐり捨てて。

見届人を仰せつかった都和子さんは、本人嬉しそうだけれど、難儀な役目を負わされたものだと思う。刻也、何だかんだと結構恨みに思ってたんじゃないのか、これ(苦笑
都和子さんのことを、よっぽど好きで、恨みに思ってないと、幾ら同じ当事者で原因の一人であっても、ここまで巻き込めないだろうに。
あーあー、でも都和子さんは巻き込まれて本当に嬉しそうだから、これでいいのか。ラブラブカップルのイチャイチャを延々と間近で見続けなきゃならないという、ある意味拷問みたいな人生が待っているというのに。まあ、本人、自分はさておき、二人を見ているのが何よりも楽しそうだからいいのか。
そういえば、都和子さんともうひとつの付喪堂骨董店のオーナーの関係は、結局定かでないままだった。古い友人、と言っていたけれど、詳しい話は何もしてくれなかったし。そもそも、二人ともまともな人間だったのか。
まあ、今となっては気にするのも仕方ない。

凄絶なまでの、懇親の、ピュアラブストーリーでした。読み終えた今は、ただただ胸が、いっぱいです。素晴らしい作品に出会えたことに、感謝を。

真月譚月姫 75   

真月譚月姫 (7) (電撃コミックス)

【真月譚月姫 7】 佐々木少年 電撃コミックス


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6巻が発売されたのが2008年の三月だったか四月だったか。ほぼ丸二年ぶりとなる新刊【真月譚月姫】。
そんでもって、今回は圧倒的なまでに、アルクェイドのターン、アルクェイドのターン、ターン、ターン!
思い出させられるのは、2001年。あの衝撃的だった原作ゲーム【月姫】のプレイ。そうなんだよなあ、そうだったよなあ。あの時は、もう狂熱的に、発狂したかのように、アルクアルクと絶叫していたもんだった。あまりのアルクの可愛さに、あのアーパー吸血鬼の切ないまでの生き様に、アルク萌えぇぇーーー! と叫び狂っていたんだった。
あの狂熱を、いやおう無く思い出させられる、佐々木少年版のアルクェイドと志貴との月下の恋物語。胸が高鳴り、目じりが熱くなる。今にも命尽きようとする中で、狂おしいまでに求め合い、悲しいまでにすれ違う二人の想いに、もう七転八倒でありますよ。
並み居るヒロイン衆を押しのけて、アルクが長らく人気投票でトップを取り続けたのは、伊達じゃないんですよ、伊達じゃあ。
そして、やっぱりタイプムーンの主人公の中では遠野志貴が一番好きですなあ、私は。こいつは、ごたごた難しいことを言わず、一番大切なもののために一直線に突き抜けられるんだ。優しくて、強い。迷いながら、揺るがない。観ていて、本当に愛おしくなる男の子なんだよなあ。ただただ頑張れと、その背中にエールを送りたくなる漢なんだよなあ。
改めて、惚れ直した。

で、やっぱり野獣化するのね(笑

まさかの、エッチシーンも余さず描写。二人の愛の行方を描く過程で、やはりこの場面ははずせないと判断したのか。ああもう、アルクかわいいよ、アルクかわいいよ、ふにゃああ。
この本、この巻、危なすぎる。あらゆるページに致死量の凶器が仕込まれていて、危険極まりない。なにこの一面に敷き詰められた地雷原は。ページめくるたんびに爆発だよ。コマに視線を移すごとに吹き飛ばされるよ。
やめてー、もうとっくに私のHPはゼロポイントよー!! LPもゼロよー(w

はぁ、はぁ、はぁ。

と、ほぼ完全にアルクェイドのターンだったわけですが、シエル先輩、このシリーズではメインヒロインじゃなかったけど、脇を固めるキャラクターとしてはほぼ完璧に近い存在力でした。
吸血衝動に犯され、半分魔王化したアルクと激闘を繰り広げる先輩の強いこと強いこと。
原作ではここまでバンバンと遠慮なく魔術を連発していなかったので、かなりインパクトが強いんですよね。元々蛇に憑かれていたために、シエル先輩は魔術師としても凄まじいまでの腕前、という設定があったのですが、あの頃の忌まわしい記憶から極力魔術は使わないようにしているんだったかな。その自縄を解いて魔術全開のシエル先輩の凄まじいこと凄まじいこと。これ、普通の一流どころじゃないよなあ。
代行者としての厳しい顔を前面に出しながら、ツンと志貴の額を突っついたりと垣間見せる先輩としての優しい顔など、シエル先輩もこれ、相当に魅力的なんですよねえ。
ううっ、シエルルートも読みたいなあ。

状況はついに最終局面。二年待たせてくれただけあって、8巻はまさかの翌月連続刊行。そして最終巻は夏に予定と、ラストに向けて一気に畳み掛けてきてくれましたよっと。
よし、後は一生懸命待つだけだ。

世界平和は一家団欒のあとに 9.宇宙蛍4   

世界平和は一家団欒のあとに〈9〉宇宙蛍 (電撃文庫)

【世界平和は一家団欒のあとに 9.宇宙蛍】 橋本和也/さめだ小判 電撃文庫

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満を持して、一家最強、天下無双の七美メイン巻です!

 ある日、軋人と柚島は七美から一人の少女を預かるよう頼まれる。
 ナナというその少女を、七美は銀河連邦とともに行った惑星探査の際に拾ったという。柚島の家で世話をすることになり、どちらにより懐くかを無駄に競い合う軋人と柚島だったが、あたりには不穏な気配が漂いはじめ──。
 どうやら七美は、その少女をめぐって銀河連邦と対立しているようだった。はたして七美の選択は、そして弟である軋人の取る行動は!?
 世界と家族の平和を天秤にかける物語、第9弾!

やっべえ、もうにやけ殺されるかと思ったよ!!
あんたら、もう結婚しちゃいなよ、という彩美姉さんのぼそりとしたつぶやきにしみじみと同意。もうからかうのも馬鹿らしくなるくらいの、軋人と柚島のリアル夫婦っぷり。もう、恋人同然とかバカップルってレベルじゃありません!!
実はもうこいつら、結婚してるんじゃないのか、という疑いすら湧いてくる。あれか、内縁関係ってやつか!?

「でもやっぱり欲しいのは、強いて言うなら女の子かな。今回のことでつくづく感じたわ、うん。男で、あんたみたいにガラ悪く育たれても困るし」
「馬鹿、こんな紳士を捕まえて何言ってやがる。俺は、男がいいな。女ばっかりなんて、それこそうるさくて、ろくなもんじゃねえ」

男の子だ女の子だ、と自分の子供がどちらかいいか、真剣に言い争うこの二人が、未だに恋人ですらないのが、今更ながら信じられないというよりも、化かされている気にすらなってくる(苦笑 もうこの二人にとって、今更好きだの恋だのと鞘当てする必要すらないのかもしれないなあ。七美から預かったナナを巡って張り合う姿は親バカそのもので、あーんイベントという、ナナちゃんグッドジョブ!な、ニヤニヤシーンもあるものの、ナナが撒き餌になって二人の仲が進展するという流れではないんですよね。
まず二人の距離感は前提かつ鉄板としてもう既に実態的に夫婦同然というのを踏まえた上で、ナナという子供を柚っちと軋人の間に置くことで擬似的な新婚夫婦(初めて子供が出来ました編)を再現しているんですよね。
なにしろ、以前軋人が柚っちの家に泊まりこむイベントで、既に新婚夫婦(初めての夜編)は既に完遂してたからなあ。
……なにこいつら? まだ恋愛方面では殆ど進展がないにも関わらず、何故か夫婦としてはどんどん進捗しているじゃないか。友達以上恋人未満夫婦同然って、方程式的にかなり矛盾してる気がするんだが、いったいどうしたものやら。
ナナに対する態度を見る限り、この二人は子煩悩になりそうだなあ。上の会話というか対立を見る限りでは、絶対子供二人以上作りそうだし、男の子女の子が出揃うまで。いや、まだホントに恋人でも何でもないんですが(苦笑
でも、既に星弓家では、柚島は殆どもう嫁扱い、身内扱いなんですよね。七美が、ナナを香奈子に預けたのも、彼女を家族同然に見ていたからと言っていいはず。まだ預けた当初は事態が悪化しきっていなかったとはいえ、ナナを取り返しに来る連中が現れる可能性はあったわけですからね。軋人を付けていたとはいえ、本当に他人だったら七美は香奈子を巻き込まなかったでしょうし。
うん。普段はほんとに無茶苦茶で理不尽なくらいな七美なんだけど、実際は非常に繊細で特に人間関係については臆病なくらいに慎重、というか弱気? という側面は前々からちらほらと伺える場面はあったんですよね。五巻での星弓家の両親夫婦喧嘩の回なんか、めちゃくちゃへこんでたし。
はっきり言って、星弓家でもブッチギリのチート能力者の七美が、何だかんだと家族から甘やかされてるのは、実のところ彼女が一番家族の中でもメンタル面が弱いからなのかもしれませんね。そのくせ、責任感や強がりだけは一人前でなんでも一人でやっちまおうとするタイプだし。彩美姉ちゃんなんか、元々家族の中でも一番世話好きなところがあるから、七美に対してはずっとモドカシイ思いをしてきたんじゃないかな。珍しく七美に頼られた時の、あの嬉しそうなこと嬉しそうなこと。
そんな、どこか脆さを内包した強さでもって生きてきた七美の腕の中に飛び込んできた、小さな生命。
ナナを挟んだ香奈子と軋人の擬似夫婦っぷりも良かったけど、でもやっぱり真骨頂は七美とナナの母娘のシーンでしたね。自分が守ってあげなければすぐに壊れてしまいそうな小さく弱い生命を腕の中に抱いてしまった瞬間、彼女がこれまで頑なに守ってきた強さは砕け散り、人としての弱さと成長を得るわけです。
これまで傍若無人なキャラクターだった七美が、甲斐甲斐しくやんちゃな子供の世話を焼き、ナナが悪いことをすればしっかり叱りつける、これが七美かというくらいの真っ当な母親っぷりは、なんか凄かったなあ。誰に言われたからでもなく、自分で考え意識して母親たろうとしているわけでもなく、ナナと接するウチに、彼女の面倒を見るウチに、本当に自然に七美が母親としての振る舞いをしてるんですよね。これは、凄く印象的だった。
宇宙規模の話にも関わらず、七美とナナの話って、そこはかとなく生活に行き詰まりながらも必死に子供を手放すまいとするシングルマザーと、無邪気にやんちゃに振る舞いながら、でも健気に母親を信じて待つ子供の、母一人子一人の物語っぽくなってるんですよね。
しかし、彩子供化のときも思ったけれど、この人は小さい子供を描くのが非常にうまいなあ。可愛らしく元気いっぱいで表情がくるくるかわり、こまっしゃくれていて、なにより健気。覿面に庇護欲をくすぐられます。

今回の話は、原点に帰って、という意図があるのか無いのか。いや、このシリーズ、多かれ少なかれ、このタイトルを主題とした話を一貫して続けているんですが、今回も世界の平和と個人の幸せを天秤にかけるような話に。
このシリーズって、安易に「人の命は地球よりも重い」という類の妄言を信奉して、青臭い理想論にしがみついてるわけじゃあないんですよね。きっちり、大を生かすために小を殺す必要性、正しさ、大切さを重視し、決して蔑ろにせず、その重み、責任の大きさを踏まえた上で、その上で身近なもの、肉親の情の偉大さを伝えようとする姿勢は、とても好き、大好き。
大切な人一人守れずに、もっと大勢の人を守れるかーー、という類の二兎も三兎も全部総取り的な現実無視の無茶なせりふは、基本的には大嫌いなんだが、これはそういうのとは一線を画してる感じなんですよね。
加えて、七美の場合、地球を守る立場というのは、本当に自主的にやっていることなわけです。そういう役職についているわけでも、それで報酬を受け取っているわけでもない。まったくのボランティア、好意に過ぎない。だから、実のところ彼女を責める権利って、地球の側にはまるで無いんですよね。自分の大切なものと、地球を天秤にかけたとしても、裏切り者と罵れる権利を持つものは、地球にはいないと思うんです。それでも、七美は苦悩し続ける。ちょろっとでも、自分がどう行動しようと責められる謂れは無い、という方向性の考えを思い浮かべもしない。根本のところで、この家族の人たちはみんな真面目なんだよなあ。

はあ、今回も本当に素敵なお話でした。このシリーズを読むと、毎度素直に、家族っていいなあ、と思えるんですよね。この一家、ほんとに大好きだわ。

あとがきを読む限り、そろそろこのシリーズも終が見えてきたっぽい。次が最終巻と明言しているわけではないのですが、最終章には入っていきそう。当然、星弓さん家のお嫁さんのお話なんでしょうね?w

空色パンデミック 15   

空色パンデミック1 (ファミ通文庫)

【空色パンデミック 1】 本田誠/庭 ファミ通文庫

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その空想は、セカイに感染する。

「見つけたわよ、ジャスティスの仇!!」「……はい?」高校受験の朝、駅のホームで僕はその少女と出逢った。彼女──結衣さんは"空想病"。発作を起こすと正義の使者とかになりきってしまうらしい。以後なぜか結衣さんは何かにつけ僕の前に現れる。空騒ぎに付き合ってられない。最初はそう思っていた。彼女を守るため世界を敵にまわして戦うことになるなんて、思いもしなかった──。えんため大賞優秀賞受賞、狂騒と純真の「ボーイ、ミーツ、空想少女」。


……え? あ、あれ? お、おおお! ちょっと待って。これ……もしかしてマジに、傑作じゃないんですか?
はぁーーーーー……うわぁ。いや、これ凄いわ。
ちょとどうしたの、ファミ通文庫。今回の新人賞、【B.A.D.】といい【ココロコネクト】といい、ど偉いのが来たと思ったら、挙句にこれですか。お世辞抜きで、やたらレベル高いんですけど。
はぁーーー、驚いた。

この<空想病>。邪気眼に犯されたイタイ人の代名詞、というものではなく、本当の意味で病気なのです。罹患者は発作によって、自分が空想した設定に成り切って行動してしまう、というもの。あくまで病気であって、趣味や嗜好の産物ではないので、発作が治まれば正気に帰って非常に恥ずかしく居た堪れない気持ちに襲われてしまうわけで、これがかなり辛い。それだけでなく、発作中は完全に自分の想像した設定、世界観に基づく登場人物に成り切っているので、社会的規範やルールはガン無視。勿論、世間的には大変迷惑極まりない事態になるわけです。
とはいえ、空想病患者は国家機関によって管理保護されていて、発作を起こしても迅速に沈静化出来るような体制が整えられ、世間的にも周知徹底されているので、それほどメチャクチャな事にはならないのですが、問題は空想病患者にも病気の進行度というものがあり、重度の患者となるとそれまでの自己完結型――罹患者当人だけが発症するものに収まらず、劇場型と呼ばれるレベルの患者となると、発作を起こした際には周囲の人間にまでその空想の影響が感染し、世界観に飲み込まれ、登場人物に成り切ってしまうという状態になってしまうわけです。
さらに、空想病にはさらに上の段階があり、一度はそれで冗談じゃなくキューバ危機以来の世界の危機<第三次世界大戦前夜>と呼ばれる状態に陥った事があると言う、決してイタイイタイと苦笑いで住むようなふざけた軽々しい病気ではないわけで。
お陰で空想病罹患者への管理は非常に徹底したものになっているのです。幸いにして、人権を無視した酷いものではなく、管理者たちも決して冷徹な監視者というわけじゃなく、むしろ親切で仕事であるという以上に親身になって接してくれる優しい人達なのですけれど、それでもやはり生きていく上での不自由は否めないわけです。
そんな籠の鳥の生活の中で、空想病に犯された少女が初めて他人を介さず、出会い知り合った少年。
まさに「ボーイ・ミーツ・空想少女」。
繰り返しますけど、これは邪気眼の人たちの話ではなく、病気によって不自由な生き方を強いられる人たちと、そんな人達と交流することで病の本当の姿と、患者たちを取り巻く状況を深く知ると同時に、その不自由や理不尽によって様々な苦難を帯びながらも、毅然と真っ向から立ち向かう少女や、空想病に関わる人達に惹かれて行く少年を描いた、真っ当すぎるくらい真っ当な青春物語なのです。
過去にはこの空想病によって引き起こされた悲劇があり、今なおその傷跡が消えずに、生き方が歪んだ人も居て、本当にギャグや冗談じゃ済まないシビアな話なんですよね。
唐突奇襲自由気ままな振る舞いで、主人公の仲西景を振り回す穂高結衣にしても、女装する美少年青井晴にしても、最初はけったいで面倒な人間だと思ったものだけれど、彼女たちの今に到るまでの人生や、それを踏まえた上での現在の一生懸命で前向きな生き方は、もう眩しいくらいでした。根っから明るい結衣にしても、あの演劇で垣間見せた影は鮮烈な陰影でしたし、青井晴に至っては、衝撃的ですらありました。
こいつの複雑怪奇で入り組みまくった、それでいて真っ直で高潔な生き様は、ホント、圧倒されたよなあ。だからこそ、こいつが垣間見せた弱い顔はさらに青井というキャラクターの魅力をいや増していたように思う。よくもまあ、こんなキャラクターを導き出したもんだわ。
そして圧巻のクライマックス。まさに、津波に呑み込まれたかのようなどうしようもない巨大なものに翻弄されるような感覚に、有無を言わさず押し流されて行く圧倒感。
さすがに、あの客観が突然主観に摩り替わったような感覚のお陰で、だいたい何が起こっているのかは察することが出きましたけど、逆に言うとそう感じること自体が凄いんだよなあ。
ちゃんと、その微妙にして繊細な差異を、意図的に明瞭に描き分けてるってことなんですし。
それまで傍観者だったのが、思いっきりホンモノを体感させられてしまったみたいで、かなりアップアップさせられた。なまじ、設定が突飛なものではなく、現実順守というのもあったのだろうけど、この足元の覚束無さ。あっさりと腐った床板を踏みぬいてしまうように世界が壊れかねない危うさを、彼女たちがいつも感じているというのは、どれほど恐ろしく不安なものなんだろう。我に返ったときには全部嘘だったと理解出来るとしても、あの臨場感はやはりホンモノなわけですから。

しかし、これ巻数表示がついていると言うことは、続くのか? これはこれでとても綺麗に終わっているようにも思うのだけれど。まあでも、この空想病とその周辺の設定は本当に上手く出来ていて、まだまだ違う方向からのアプローチも出来そうだし、登場人物も同じでもまったく違う人にしてもイケそうだし、うん、そう考えると、続くのもありか。脚本のネタさえ上手いのを考えられたら、いくらでも凄い話に引っ張れそうだし。なんにせよ、著者先生の腕次第ということですか。それなら、何の心配もなく、楽しみに待てそうですね。

戦闘城塞マスラヲ 15   

戦闘城塞マスラヲ (1) (角川コミックス・エース 263-1)

【戦闘城塞マスラヲ 1】 浅井蓮次+ 角川コミックス・エース 

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ヒデオ、本気で目つきメチャクチャ悪いなッ!!!!
古今、目つきが悪いという特徴のキャラクターは多々あれど、本当にここまで悪いのは滅多といないぞ!(爆笑
いやもう、本当に何人も殺してそうな目だよ。リュータもこれ、相当に目付きが悪い部類に入ると思うんだけれど、ヒデオの目付きの悪さと比べるとまるで好青年に見えてしまうと言うくらい。さすが、この目つきのお陰で人生踏み外すだけあるわー。というか、こんな目つきの写真が貼られた履歴書送られてきたら、そりゃ速攻でごめんなさいしちゃいますよ。

というわけで、かの傑作ライトノベルのコミカラズである。昨今の漫画化作品は一昔前と違って非常にクオリティの高いものが多いが、この戦闘城塞マスラヲもその中の一つ、というかその中でも特に素晴らしいクオリティのものと言っていいんでないだろうか。何度も繰り返しになってしまうが、ヒデオの目つきの悪さがもうパネェ事になっており、そのお陰でヒデオの行動の何もかもがもう、インパクト強すぎてひっくり返ってしまう。あの何とも特徴的なキャラクターも見事に漫画に対応していて感心してしまった。ヒデオって無口だし見た目リアクションも少ないし、けっこう書きにくいキャラクターだと思うんだけど、とりあえず目で殺しーの、あのやたら可笑しい地の文もうまいことチョイスして使ってて、あの原作の通りのヒデオがここに降臨しているわけです。いやあ、これはすごいわ。
漫画になって改めて思ったけど、【戦闘城塞マスラヲ】の面白さって、あの林トモアキの独特の文章に寄る処だけではなく、単純に話として面白いんだよなあ。ストーリー展開からエキセントリックですっ飛んでて、それでいて奇を衒っただけではない王道としての芯があって。
原作である小説をまだ読んだことのない人は、ぜひぜひこの漫画をきっかけにして川村ヒデオという特異にしてオンリーワンな主人公と林トモアキの世界に足を突っ込んで欲しいなあ。まだまだ【戦闘城塞マスラヲ】はこの一巻では序の口も序の口。その盛り上がりたるや登り始めて一合目。これでまさかの一合目。ここからさらにさらに鰻登りに上り調子になっていくので乞うご期待。

しかし、女性陣が思いのほか可愛らしいのには、年甲斐もなくときめいてしまった。特に美奈子さんはまるでヒロインのようじゃないか!(w
まあもっと驚いたのは、リリーさんの方ですけど。あのリリーさんがなんだか可憐で可愛いのですよ? あのリリーさんが、あのリリーさんが! あの! リリーさんがぁ!!
まあ、ネコかぶってるのも今のうちですけどw
そういえば、この漫画から入った人は、リリーさんについてはまるで情報無いんだよなあ。いきなり聖魔王と言われてもわけわかんないだろうし。なるほど、謎の美少女である……美少女て(爆笑

レンタルマギカ 銀の騎士と魔法使い5   

レンタルマギカ  銀の騎士と魔法使い (角川スニーカー文庫)

【レンタルマギカ 銀の騎士と魔法使い】 三田誠/pako 角川スニーカー文庫

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この表紙絵観たときは、目を丸くしたものです。一体誰だ、こいつ、と真剣に首をひねってしまった。それくらい、以前のいつきとは印象が変わっている。眼帯がなくなったことこそ一番大きな外見的変化なのですが、それだけならこんなにも驚かなかったと思うんですよね。
この優しげで柔らかくも、芯の強そうな真っ直ぐな相貌。それはいつきの本質そのものなのですが、以前の彼はここまではっきりとその本質が表に出る人間じゃなかったんですよね。同じ微笑でも、どこか気弱でヘラヘラっとした笑みこそが彼の表情だったのに。
彼を苛み続けながらもその強さの源でもあり続けた紅い瞳が奪われ、彼を支え続けた猫屋敷と穂波を協会に奪われ、アディもまたいつきから距離を置き、アストラルに残ったのはオルトとみかん、黒羽と新たに助っ人として加わったラピスと、いつきよりも年少者ばかり。
いつきが拠り所としていたものがすべて奪われてしまったわけです。そんな中で、いやそういう状況だからこそか、彼は甘えを捨て、今まで漠然としていた願いを叶えるために何をすればいいのかを、それを具体的に見定め、誰に導かれるのでもなく、自分の頭で考え、自分の足で進みだすのです。
そこには、かつての気弱で内気で情けなげな少年の幼い風貌は溶けてなくなり、精力的に己が目的を達成するために、夢を叶えるために突き進む精悍な男の姿があるばかり。
ああ、少年は大人になったんだなあ、とこの巻を読んでいて妙な感動に胸が熱くなってしまった。それも、ツマラナイ大人になるのではなく、少年がかねてから持っていた良い部分を、多くの人々が彼を慕い、余人に心許さず光に見向きもせず闇を歩むはずの魔法使いたちを惹きつけて止まなかった素晴らしい彼の本質はいささかも陰ることなくそのままに、とても素敵な青年へと成長していっている。
まあ、気弱そうだったり、臆病だったりするのは以前のままで、妙に安心させられてしまうのですが。それでも、気弱でも、頼もしさが前とは断然違うんだよなあ。
おそらく彼は答えを見つけたのだろう。これまで彼がずっと疑問に思い、自問し続けてきた問題に対して。そして何より、妖精眼という異能を持っているものの、魔法使いではないただの人間でしかない自分が、魔法使いの社会の中でどういう立場にいるのかを、いったい何が出来るのかを。

前回、彼の中に隠されていた秘蹟が奪い去られたことで、伊庭いつきが持っていた能力は著しく低下してしまい、主力だった社員たちが抜け、いつも手助けしてくれていたアディが疎遠になったことで、アストラルの戦力は半減どころではない勢いで減退してしまいました。
前の巻の感想でも、この戦力の低下をどうするんだろう、とかなり不安視していたのですが、いやまったく自分の見識の浅さを思い知らされた思いです。
まさか、真っ向からの正攻法で、これほど強力なアストラルを見せつけられることになるとは。そうなんだよなあ。アストラルの強みというのは、個々の魔法使いが稀代の腕利きばかり、というんじゃなかったんだよなあ。それなら、猫屋敷、穂波、アディが抜けたことで立ち直りようがなかったはず。でも、アストラルの本当の強さというのは、洋の東西を問わない多種多様の系統の魔法使いが一同に介しているというところだったんですよね。社長であるいつきが起点となって、それぞれの魔術系統の特徴、長所を活かして応用自在に状況に対応する。他の魔術結社には決してできない、魔術の融合、それこそがアストラルの唯一無二の在り方だったわけだ。
そして、残ったみかん、オルト、黒羽、そしてラピスたちもまた以前のままではなく、懸命な研鑽を積んで魔法使いとしての力を増しているわけで。
以前とはまた少し違ってはいるものの、より結束と柔軟性が深まり、いつき本人の意思と戦略性が通るようになった指揮っぷりは、新生アストラルが決して前よりも劣化などしていない事を示していて、各種戦闘ターンでは随分と興奮してしまいました。
ゲーティアに匹敵するほどの強大な魔術結社<銀の騎士団>との一連の会合は、痛快の一言だった。辺境の弱小結社と舐めまくり見下しまくった相手の思惑を、ことごとく覆して行くいつきの深慮遠謀。あー、この子がこんなに強かな策士になるとはなあ。それも、陰惨で性格の悪いたぐいの策ではなく、どこか敵にすら思わず「やられた!」と喝采をあげさせてしまうような、いっそ清々しいような快策ときた。
そして、それは戦術面のことだけではなく、政治戦略的な面にも繋がることになる。敵を打ち倒すのではなく、味方を作り、利益だけでない信頼によって紡がれる繋がりを広げて行く。一旦は禁忌指定を受けて協会内での立場を最悪としたアストラルが、裏技でも反則技でもルールの盲点を突くやり方でもなく、まったくの正攻法で、真正面からの正々堂々のやり方で、これほど見事に、これほど痛快に、再び……いや、こんどこそ本当に協会内で無視できない存在感を示すことになろうとは。
今回はもう、いつき社長に惚れっぱなしの巻だったなあ。ほんと、よくここまで成長したよ。

魔法使いが幸せになってはいけないのか。その疑問を胸に、魔法使いの世界の中に、あくまで普通の人間として挑むことを決意したいつき。彼の在り方に惹かれ彼の味方をしようと集まる魔法使いたちの流れは留まるどころか拡大するばかり。<螺旋の蛇>の正体も含めて、なにかとてつもない大きな変化の波が、いつきを中心に起きようとしている、この雰囲気には酔っ払いそうだ。
そして、ついに。ついにあの人の消息が明らかに。何もかもが謎に包まれたあの人が、今後どういう影響をこの波に及ぼすのか。第三部開始冒頭から、めちゃくちゃ盛り上がってきた!!

レイセン File1:巫女とヒキコと闇少女4   

レイセン  File1:巫女とヒキコと闇少女 (角川スニーカー文庫)

【レイセン File1:巫女とヒキコと闇少女】 林トモアキ/上田夢人 角川スニーカー文庫

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またぞろ最初からすっ飛ばしてぶっ飛んだ展開に突入するのかと思いきや、意外にも就職先で奇態な同僚と慣れない仕事に四苦八苦しながらも普通(?)に日々を送るヒデオくん。
なんと、これ本気でオマケ的な後日譚番外編だったのか、とあとがきで書かれていた話に納得すると同時に、さらりとこのレイセンは前振りで、あとに本番が控えている、という大暴露に大興奮してしまいしたよ。この人はもう、プロットも書かない癖にその頭の中にどれだけ壮大なクロニクルが詰まってんだか。大風呂敷を広げれば広げるほど、さらに大きな風呂敷が詰まっていると言う、この逆マトリョーシカ人形め。
実はマスラヲにアニメ化の話があったというのにも驚いたけど、それを蹴ってたのにはさらに驚いたさ! これはでも、話を聞く限りでは英断でしょう。そりゃ、アニメとして【お・り・が・み】とか【マスラヲ】はそりゃもう見てみたいけど、【マスラヲの皮みたいなのを被ったもの】を見たいとは全然思わないもんなあ。

さて本編ではアリますが、聖魔杯が終わった後も二十社面接を受けて全滅したヒデオ。面接受けにいけるようになっただけ大いに成長しているとも言えるんだろうけど、受からなかったらどうしようもないんだよなあ。それで、鈴蘭や貴瀬のコネで宮内省神霊班、あの長谷部翔香や名護屋河睡蓮がいる対オカルト対策チームに就職することに。
一時期、魔殺商会に務めていた時期もあったけれど、何はともあれこれでようやくヒデオもニート・ヒキコモリから脱却することに。ダウナー属性は未だに脱却出来ておらず、相変わらずマイナス思考になりがちだけれど、それでもちゃんと就職できたんだなあ、おめでとうおめでとう。
と言っても、ヒデオってぶっちゃけ何の特殊能力も持ってないので、実は何も出来ないんですよね。睡蓮からは目付きの悪さが仇となって目の敵にされてしごかれ、聖魔杯をくぐり抜けてきたとはいえ、第三世界のことについては何も知らないヒデオは、四苦八苦することに。まあ、オカルト方面と言う点を除けば、社会人が新しい職場で頭を抱える苦労という点では変わらないんですけどね。
それでも、あの闇の神アンリマユが送り込んできた観覧用端末闇理ノアレや神に昇格したにも関わらず、相変わらずヒョイヒョイ遊びに来るウィル子たちのお陰で、ヒデオは召喚師やら妖精使いだのと勘違いされ、なんだかんだと一目置かれるわけで。まあ、でもヒデオは頼めば闇の力をなんぼでも借りられるし、呼べばウィル子もすぐに助けに来てくれるわけで、精霊使いというのもあながち間違った話じゃないんだよなあ。もっとも、ヒデオの誠実さはやっぱり前のまんまで、そういうチートを利用せず、自分でなんとかしようとするのは相変わらず偉いところ。
いわゆるハッタリで場を乗り越えて行くタイプにも関わらず、ヒデオへの好感度がやたら高いのは、彼は嘘や虚言を弄するタイプではなく、むしろ常に誠実で献身的だからなんだろうなあ。
このシリーズに出てくる大物たちは、大物であるが故にヒデオの本質を鋭く見抜き、見抜くが故に勝手に誤解し、はたまたその言を大げさに解釈し、もしくはその意を疑えないわけだ。騙されている、惑わされている、のとは一線を画してるんだよなあ。
睡蓮が出てくると言うことで、ほむら鬼も【お・り・が・み】以来久々に登場したわけですけど、あの鬼があれほどまともに他人を認め評価するのは初めて見るような気がする。睡蓮はもとより、鈴蘭に対してだってもうちょっとひねくれた態度だったし、評価は辛かったぞ。
ちなみに、ほむらのビジュアルデザイン出たのはこの巻が初めてか。実はもっとムキムキの鬼と言われてすぐに思い浮かぶ典型的な姿を連想していたんだけれど、なるほどこっちタイプだったのか。
ナニゲに後日談と言うことで、人間関係――特に恋愛方面で色々と激変があったんですよね。これはぶっちゃけ驚いた。翔香さん、あなた貴瀬とまさかそういう関係だったとは!!
これはこの巻で一番驚いたかもしれん。たしか、【お・り・が・み】からこっち、翔香と貴瀬が対面している場面、なかったんじゃないか? 幼馴染で、みーこ関連で色々あったという話はあったけどさ。でも、いやそう言えば、伊織貴瀬について話している時の翔香って彼に対してかなり気安い、というかある意味弟に対してよりも身近な相手について口にしているみたいな柔らかさがあったんだよなあ。貴瀬はみーこのモノ、というイメージがくっきり刻み込まれてたんで、みーこ以外ならハズレ籤で鈴蘭? という組み合わせぐらいしか思い浮かんでなかったんで、これはサプライズだった。ちゃんと、みーこもイイと言ってる、とみーこの了解得ているところとか、ホント良くわかってる(笑
翔希は翔希で、真琴と別れてやがるし。う、上手くいかなかったのかよぉ(苦笑
そりゃあ、告白の時からえらい蛋白な対応されてたけど、高校時代からの友達気分が抜けなくて、というのは色々と生々しいw だからと言って、鈴蘭に走るのはある意味バッドエンドだぞ。
意外なカップリングというと、ヒデオも意外だったよなあ。なんか、睡蓮とわりと本気でイイ雰囲気になってきてるし。てっきり、ヒデオに対しては婦警の美奈子が本気でアプローチしてくると思ったんだけどなあ。ヒデオに脈があったかどうかはともかくとして。


書下ろしは、鈴蘭無双というか鈴蘭無法というか。この女、いい加減悪の組織の親玉が似合いすぎて偉いことになるつつあるなあ。貴瀬だってまだマシだったぞw 少なくとも、貴瀬は部下の覆面タイツにノリで実弾ばら撒くとかしなかったから。
出てきた当初は不幸不遇がお似合いの被虐系薄幸メイドヒロインだったはずなのに、今や初代聖魔王とか神殺しとか言う以前に、悪の暴君だもんなあ。
いいぞ、もっとやれw
リップルラップル、とうとうミズノのみならずSSKにまで食手を伸ばしやがったか。マリアエクセルも暇なのか? 最近、普通に地上におりてきて姉妹喧嘩ばかりしてる気がするがw


今のところこれといった大事件は起きていないものの、ヒデオたちが処理してきた案件の裏ではうごめく影があるようで、今のところどちらも相互にその存在に気づかない段階。幾つか接触はあったものの、未だ決定的な所までには至ってはいないが、早晩表面化はしそうなんだよなあ。
こりゃあ、次の巻あたりから自体は大きく動き出すのか。それとも、レイセンでは動かずに終わるのか。このノンビリしたノリも結構好きなので、しばらくはこれで楽しむのもいいなあ。と、あとに真打が控えているのがわかってると、余裕も出てくるな、うんうん。

ベン・トー 5.北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円4   

ベン・トー〈5〉北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円 (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ベン・トー 5.北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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物凄い暴露記事をあとがきに観た!! この作者、担当とよほど仲がいいか、会社的に抹殺したいほど大好きかのどちらかだな。
初版本にだけついているおみくじしおりは中吉でござんした。これ、デザインは種類一つだけなのかな。着物姿の先輩がなかなか美人さんで可愛らしく、キュートでござんした。裏のアセビの厄除けは、むしろ厄寄せなんじゃないかと恐々ですが。

今回、かなり削ったらしくあとがきでも、話が成り立つかどうかの綱渡りをしてどうにかこうにか、と言っているだけあって、かなりカツカツな感じがするんですよね。もういっそ分冊にしてしまえばいいのに、と思うんだけどなあ。
前々から佐藤たちのいる街は相当の激戦区、レベルの高い地域じゃないのかとは思っていたけれど、大谷や牧といった別地域の狼たちとの交戦を見る限りではやはり相当なんだな。未だ二つ名を持ってない茶髪や坊主、顎髭なんかのいつもの面々だって、あれもう無茶苦茶古強者って感じだし。茶髪さんなんか、未だにガチでやりあったときには、佐藤にまともに勝ちを譲ってないじゃないですか。佐藤はあれ、まだムラがあるとはいえ確かに二つ名レベルの実力を獲得してきているのに、ですよ。茶髪さんは二つ名出てきてもおかしくなさそう。

今回はわりと直球のラブコメをやっているのですが、うーん、やっぱり佐藤の恋愛観ってちょっと他の人とは違う気配がするんだよなあ。丁度、別口のカップルが成立しているのでその違いがわかりやすかったのだけれど、大谷くんのそれは大変わかり易いものだったんですが、佐藤のそれはちょっとズレてるんだよなあ。彼が広部さんが好きで惚れているというのは間違いの無いことだとは思うのだけれど、それが果たして大谷が牧に抱いた想いと同種のものだったのか。
もし、広部蘭が間違わずに佐藤が好きだった素の彼女で彼を引き止めていたら、という問題じゃなくて、佐藤の生き様云々という話じゃなくて、そもそも佐藤の異性への認識、女性との距離感、恋愛に対する想像力が普通の男と違ってしまっているような気がするんですよね。これは、あやめとの付き合いから生じたものだとは思うんだけれど、大谷や二階堂といった他の男と比べてもどうもなんかおかしい。他人の恋愛に対しても、殆ど理解力や認識が及んでいないみたいだし。
その点、あやめはズレてるようで恋愛観はちゃんと普通の女の子らしく持ってるんですよね。故にこそ、あやめは佐藤が他とはズレているのを、ちゃんと把握しているのかも。だから、自分と彼がくっつくことはないと確信しているのかもなあ。でも、最近ちょっとあやめの佐藤への接し方が徐々にだけど変わってきてるんですよね。佐藤も微妙に違和感感じてきているみたいだし。

まあでも、佐藤の恋愛異常と、自身の生き様に対する誠実さとはまた別のお話なわけで。人って賢いやつよりもバカなやつの方が正直に生きることが出来ると言うことなのか。打算や損得勘定で、時に人間は自分が望んでいた生き方をハズレてしまい、ついついより確実と思われる方の道を選んでしまった結果、その正解の中で息を詰まらせ苦しい思いをすることになる。
広部蘭も、猟犬とあった山原も、それぞれが正しいと思って選んだ道で、成功しているはずなのに、何故か苦しい思いに苛まれている。
そんな二人にとって、佐藤という存在は憎悪と憧憬の象徴だったのかもしれない。だから、彼をたたきつぶそうと執心し、彼を自分の場所にまで引きずり降ろそうと、しがみついていたのだろう。
「あたしと半額弁当……どっちが好き?」
この頭の悪い問い掛けを、バカじゃないのかと自分で思いながらも広部は真剣に尋ねるんだけれど、これは彼女が、未だ半額弁当争奪戦の真実の姿を知らないままでありながら、正確に佐藤が持つ魅力を理解し、彼の生き様が自分が捨て去ったものを体現しているのだと認識していたからこそ言えたセリフなんじゃないだろうか。逆に、自分はこのセリフで相当に広部蘭というキャラクターを好きになりましたよ。これは、よっぽど彼女が聡明でないと言えないセリフだもんなあ。本人はこの時点ではわかってないけど、ある意味コレ、今の自分と昔の自分、どちらが好き? と問いかけているようなもんだし。だからこそ、佐藤はあんなふうに答えたんだろうし。
うん、バカは強いよなあ。余計なものにリソースを振り分ける余裕が無いから、脇目もふらず自分の信じた道に好き勝手に突き進める。あとで後悔することも無い。
それはとってもカッコいいことだし、羨ましい。
だから、変態扱いされながらも彼の周りにはライバルでありながら通じ合った友が集まるんだろう。なんだかんだと、佐藤ってこの地域の狼たちの中心核的な存在になりつつもありますしね。ボスだの最強だのというんじゃあないんだけれど、誰もが彼を意識しているわけですし。そろそろ、ホントにあれな二つ名じゃなく、まともなのをつけてあげてもよさそうなもんなんだけどなあ。どうも、犬系のにはなりそうな感じなんだけど。
オルトロス姉妹の再登場は嬉しかったなあ。ダンドーと猟犬群との激戦に、オルトロスが味方側で参戦してきた時には激燃えでしたよ。魔導士を除けば、オルトロス姉妹は間違いなくこれまで出てきた中でも最強クラスの狼なわけですし、それが味方に回るときたら、
八匹の猟犬を引き連れた地獄の狩猟者・ダンドーと、双頭の魔犬を引き連れた魔女。頭数では負けていても、その総力では負けていない。

この口絵の、氷結の魔女とオルトロスが並び立つシーンは、読み始める前だったのに滾ったもんなあ。

そういえば、今回、具体的ではなかったものの、槍水先輩とHP部の過去が段々と明らかになってきてましたよね。前巻の感想でそろそろ、過去のHP部の話もやるのかと穿ってましたけど、次くらい本格的に来そうだよなあ。

弁当の描写も、全く衰えることなく美味そうで美味そうで。自分、豆ご飯とピーマンの肉詰めがあれほど美味しそうに思えた事なんて初めてですよ。どっちも別に好きじゃない類の品なのになあ、滅茶苦茶美味そうだったなあ、はぁ。

氷室の天地 Fate/schoollife 34   

氷室の天地Fate/school life 3 (IDコミックス 4コマKINGSぱれっとコミックス)


【氷室の天地 Fate/schoollife 3】
 磨伸映一郎 IDコミックス/4コマKINGSぱれっとコミックス


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か、鐘ちゃんを泣かすなーーー!!
知的策略系クール美少女キャラと言いつつも、氷室鐘、実は思い込み度S。賑やかな夏休みの日々を奇々怪々と堪能しながらその一方で、あの許嫁の一件の調査も進めていたのだけれど、彼女自身これまで予想もしていなかった人材が対象者である可能性に気づいてからの意識のしようは可愛い限り。いや、発想力が豊かな分、制御を失うととことん暴走しだす傾向があるな、この娘は。まだ途中で理性を取り戻して「いやいや」と一旦停止するけれど、なにげに妄想家な所がある。
まあ、勝手に自分で想像して一人で悶えている、というのはけっこうアレなんだがw
その結果、好奇心を押えきれずちょっかいをかけて探りを入れてみようとしたところ、物凄いてひどいしっぺ返しを受けて、鐘ちゃんマジ泣き。
うわぁ、ばかめ、これは完璧に逆効果だ! このシーン、思いっきり固まってる美綴と違って、慌てずスッと氷室嬢を抱きしめる三枝ちゃんがすっごい女の子だ。
マキジが場を外していたのも納得。ここに彼女がいたら、えらいことになって余計に拗れてただろうし。

と、最後の展開はさておいて、相変わらず怒涛の小ネタの奔流がエクストリームしまくってるハイテンションコメディの品質は超一級品のママ型落ちせず。おっもしろいなあ、もう!
英雄史大戦はちょっとやりたい!
三人娘&美綴がここまでスッとんでると、猫かぶりバージョンの遠坂凛がむしろおとなしくて目立たないという不思議。まあ、彼女の場合ネコ被ってようと素の状態だろうと誰が相手だろうと、振り回されて収拾役にまわってしまう運命にあるのですがね。
マキジの偏りまくった多才ぶり、知識人ぶりはやっぱり面白いなあ。あれだけ歴史に詳しいのに国語のメタメタっぷりは笑える。国語の試験でこの作品における作者の心境を掛け、という設問の答え、あれは何だかんだと間違っていないような。走れメロスってそういう太宰の実体験があって書かれた創作だったのか! とりあえずゴムボートに畝傍と名づけるセンスは大好きだw
パンジャンドラムは人が乗る兵器じゃありません! というか、大河いつそんなの作ってたんだ。
志茂田景樹!(笑
ドアラ!
お好み焼き屋のメニュー。ネーポンはまだわかるんだが、ミスパレードというのは知らんなあw
なんでネーポン250円でホットネーポンは500円といきなり値段が倍になってるんだ?

次回からは夏休みあけて二学期編。氷室嬢が今回の一件でテンション落ちているかどうかが心配だけれど、逆に進展もありそうで、ラブコメ的にも面白くなってきた。
でも、この漫画、公式のはずなんだが、ということはこのカップリングも一応の公式になるんだろうか。

天川天音の否定公式 34   

天川天音の否定公式〈3〉 (MF文庫J)

【天川天音の否定公式 3】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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この、物語全体にしんしんと降り積もる一種異様な儚さ、明るく賑やかにわいわいとラブコメをやっているはずなのにどこか仄かに香る物悲しさ。
この他の異能モノやラブコメハーレムものに類を見ない、あまりに独特であまりに異端な雰囲気は、同時にどこか既視感があって、いったいなんだったかなあとずっと頭を悩ましていたのですが、ようやくわかった。
これ、一種の終末モノなんだ。
遠くない未来、自分たちが滅び去ることを半ば承知しながら、それでもその時、その瞬間が来るまで絶望する事を選ばず、懸命に今の幸福を享受して生きる若者たち。その輝きは眩くも儚く、美しくも幻のようにふつりと消えてしまいそうで。
彼らはきっと、破滅するのだろう。
雪道は瑛子たちを守ると決めながらそれが叶わぬのだと識っている。
瑛子は未来を知らずとも忍び寄る運命を察し、その果てが滅びであると薄々気づきながら、最期まで雪道と離れないと決めている。
天音もまた、雪道に迫る絶対的破滅の足音を聞きながら、巻き添えを食う前に逃げろと言う協力者に別離を告げ、彼と滅びることを選択した。
シロコは最初から何もかも承知の上でカレの前に現れた。

みんな、最期まで運命に抗い戦い抜くつもりであり、同時にその果ての滅びが避けられないものだとどこかで受け入れ、その上で今この瞬間を、かけがえのない日常を、騒がず慌てず穏やかに過ごしているのだ。
それはまるで、滅びゆく世界で終末を前に、それでも懸命に穏やかに日々を生き抜こうとする人々の物語そのままのように感じたのだ。
それは雪道が、この巻の最後、この結末をとても悲しみながらも、悔悟や理不尽に憤る事もなく、ただ粛々と受け入れ、瑛子たちに努めて普段と変わらぬ表情を見せたこと。瑛子たちもまた、穏やかにそれを受け入れたことに、象徴されているのではないだろうか。

何度読んでも、彼と彼女らのこの透明な覚悟には、背筋が震える。表向きの賑やかなラブコメパートが楽しいだけに、その明るさに余計に胸打たれる。
その明るさが、決して無理をして作り出しているものではない、極々自然に湧き出しているものだという事実が、彼女らの健気さを示しているようで、息を飲む。
天音が協力者だった人から<領域>の動向を知らされた時の一瞬の躊躇いもない、穏やかな決断とその後の別れのやり取りなんか、ちょっとした衝撃ですらあったものなあ。その後、みんなの前での天音が、それまでと何も変わらなかったという事も。
どこかお遊戯のような日常の時間が、彼女らにとってどれほど大切でかけがえのないものなのか、思い知らされたようで。
あれほどの痛切で鮮烈な想いを抱えながら、瑛子も天音もシロコも、決してそれをぶちまけず、無様に晒さず、ぬるま湯のような空気の中で戯れじゃれ合い続ける。
来るべき時が来たならば、自身の何もかもを投げ捨てる覚悟を秘めながら、今はただ戯れ続ける彼と彼女らが、無性に切なく愛しい。
もし叶うならば、彼らの幸せな時間が長く長く続くように、祈りたい。その祈りはもう何度も何度も物語の中で否定され続けているのだけれど。

そして、他の彼女たちのように一途に雪道に想いを寄せながら、その運命に押し流されていったコッペリア。人形である彼女こそが、幸せな時間が終わることを否定し、そして失敗したと言うのはここでは何を意味するんだろう。
彼女は、結局雪道を中心とした小さな世界に、入りきれなかったと言うことではあるんだろうけれど。今回の一件で確信したのは、この物語においてもはやヒロインは増えないという事ですね。あくまでヒロインは天音と瑛子の二人であり、特別枠はシロコのみということか。
こうなってくると、あの最初の四式も、この四人にかかってくるのだろうか。雪道の原初式に加えて、天音は終焉式を得ているわけで、あとの二式も瑛子とシロコに対応すると想像し得る。
時間迷宮で出てきたもう一人の天音の意味深な発言も、待ち人ゴドーの言葉にかかる部分があるし、想像の余地はまだまだあるなあ。

お茶が運ばれてくるまでに 〜A Book At Cafe〜5   

お茶が運ばれてくるまでに―A Book At Cafe (メディアワークス文庫)

【お茶が運ばれてくるまでに 〜A Book At Cafe〜】 時雨沢恵一/黒星紅白  メディアワークス文庫

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実のところ、この本、完全に作者買いで内容についてはまったく把握していませんでした。あらすじも見てなかったし。だもんで、届いた時の薄さと本の質感に「????」となりながらページを開いてみたら、これが<絵本>じゃないですか。
ええーー、と拍子抜け、というかガッカリしてしまったんですよね。

そのときは。

ごめんなさい。ガッカリなんかしてごめんなさい。絵本を舐めてました、すみません。
絵本と言うよりも、本来ならこれは詩篇・詩集とカテゴライズするべきなのかもしれない。
18の掌篇。黒星さんの絵も、普段と違う淡いタッチ。
そして紡がれる、短くも濃密で、寡黙なようで雄弁な、言葉の旋律。
元々時雨沢さんって多くの言葉を費やさず、わりと短い言葉で物語や情感を紡ぐスキルを有した特異な人で、キノの旅なんてのはその結晶みたいなものだとこれまでは考えていたのだけれど、あれでまだまだ多弁だったのだなあ、と本当に結晶になるまで純化されたものを前にして感嘆の吐息をついてしまう。
真摯に訴えかける言葉。アイロニーが散りばめられた言葉。物静かにささやかれる言葉。そのどれもが、ムギュッ心を鷲掴みにして、トンと胸を押す。
なるほど、これは確かに喫茶店で注文して、お茶が来るまで軽くページを開いて目を通し、届いたお茶に口をつけて「ほぅ」と息をつく。
そんな至福を想起させられる一冊だ。
歩き続ける人生の中の一時の休息にて、再び歩き続けるための糧となり、新たな歩のリズムを得るための、かけがえのない一冊。
もっとも、お茶はお茶でもこれは紅茶というよりも苦いコーヒーが良く合いそうな気がするなあ。

お気に入りの一編は「りゆう」。内容だけなら、良く目にし、言われている事のはずなのに、たった二行の言葉に、どうしてここまでハッとさせられるのか。
あとは「やりたいこと」「かべ」「きょうのできごと」あたりかなあ。ああ、やっぱり時雨沢さんらしい、と思わされるアイロニーに満ちた内容のものも好きだし、柔らかくも優しい死生観を感じさせる詩もいいなあ。
これは、繰返し繰返し、折を見て読み返すことになりそう。何か心が疲れた時にこれを読んだら、また頑張ろうという気になれそうな気がする。
やっぱり、この二人のコンビは素晴らしいなあ。


それはそれとして、何故描かれている女の子になべて耳が生えているのか、なんか気になる気になるw

秋田禎信BOX5   

秋田禎信BOX

【秋田禎信BOX】 秋田禎信

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限定生産とうたってたけれど、アマゾンではまだ在庫があるのか。7350円という書籍としては非常に高額なだけに購入をためらう人も多いと思うが、かつて【魔術士オーフェンはぐれ旅】を嗜んだ人ならば、これは絶対に買って損はないと断言します。

もう、すごいから。

このセットが世に出るきっかけとなった作者が自分のHPで掲載していた「あいつがそいつでこいつがそれで」の改訂版<キエサルヒマの終端>からしてあのオーフェンの物語に決着をつける意味でも凄かったのに、書下ろしの<約束の地で>と<魔王の娘の師匠>なんかもう、内容からして物凄かったとしか言い様がない。
<キエサルヒマの終端>は本編最終巻直後からのお話。短編の方の最後でオーフェンの娘の話なんかが載っていて、しかも舞台がキエサルヒマ大陸とは違う新たな大陸、と来て母親は誰なんだ、とか何がどうなってキエサルヒマから離れることになったんだ、と結構話題と言うか大混乱が起こったものですが、いわゆるオーフェンたちがキエサルヒマを旅立つまでを描いた話となっております。本編では結局最後の方まで身勝手な小娘の括りから逃れることの出来なかったクリーオウが、本編が終わったその後でようやく真のヒロインとして目覚めると言う驚愕のお話でもアリ……。いや、まじでクリーオウ、考え方と言うか心構えが以前とは別人かと言うくらいに変わってるんですよね。ある種の覚悟と、思慮を得ることで非常に大人びた女性の振る舞いになっているこの驚き。まあ、よくよく見ると無茶するのは何にも変わってないわけですけど、その無茶もちゃんとリスクを弁えた上で決然と踏み出した結果の無茶なので、以前とはまるで印象が異なっているわけです。
一連の大事件によって、大陸の情勢は混迷を極め、事態はキムラックの崩壊と、魔術士同盟と貴族連盟の全面戦争というところにまで発展。オーフェンの立場も随分と大変なことに。
ここでオーフェンがこうまで大掛かりな政治的な行動に討ってでるというのは、既にこの時点で将来における彼の立ち位置の片鱗が垣間見えているわけか。魔王となった彼は、もう一介の魔術士という立場を公的にも私的にも許されなくなってるんですよね。そして同時に、哀しいことに彼は自分の選択としてもそれを受け入れ、選んだわけだ。
そこで手を組んだ相手があの人達だったというのは、かなり意外でしたけど。ここで短編のメンバーが出てくるとは。しかも、結婚してるとは!! 結局直接は登場しなかったけど、いったい何を血迷ってあんなのと結婚したんだ、その人はw 話によると真面目な普通人みたいだし、本当にかわいそうにかわいそうに。

まー、結婚でびっくらこいたといえば、残り二組のカップルも相当驚かされたところだけれど。特に、ティッシは連載中に読んだ時には仰天したもんですわ。前々からそういう関係だったっていうけれど、読んでいる限りでは全然気がつかなかったですよ。

そして、最後まで理解が及びそうでその内面を解析しきれなかったコルゴン。最初から完成された人間であったが故の自信と行き詰まりを体現したようなキャラクターで、よくよく考えてみるととてもシンプルでわかりやすい在り方の男だったのかもしれないけど、本編だけだったらやっぱりよくわからなかったなあ。この男こそ、後日談があったからこそその人物がようやく理解できた人間と言えるんじゃないだろうか。クリーオウとの邂逅と、オーフェンとの決着。完璧にして完成された最強の暗殺者にして魔術士だった男の初めての挫折と混迷。理解できないものへ、クリーオウとの邂逅を通じてはじめて真正面から向き合い、それでもなお振り払おうとして相手と選んだのは、自らを打ち砕いた弟弟子。
その後の彼にどういう遍歴があって、20年後のああいう生き方にたどり着いたのかには、非常に興味をそそられるところではあるんだけれど、それが語られることはなさそうだなあ。ただ、まあ無為な人生を送っているわけではなさそうなのは良かった。

そして、メインディッシュこそこの<約束の地で>。
本編から二十年後ですぜ! 二十年後!
人に歴史あり、とは言うけれど、その歴史をリアルタイムで読み続けてきた身とするならば、あの生々しい日々が新世代の若者たちによって歴史として語られるというのは、かなり奇妙な気分だ。その当事者たちはみんな大人としてそれぞれに立場を変えながらも、そこにいるわけですしねえ。
オーフェンには娘がいることは、既にその娘が主人公の短編が描かれていることで明らかになっていたけれど、あのラッツベインだけでなく、彼女を長女として他にエッジとラチェットという全部で三人も娘がいたという事実が発覚。というか、全員名前ひどいよな、おい! ラッツベインが一番ひどいのは間違いないけど(殺鼠剤だぜ)、次女のエッジも、三女のラチェット(工具だぜ、ラチェットっつったら)といい、オーフェンのネーミングセンスの酷さは尋常ではない。自分の名前に孤児(オーフェン)と名付けたのは、ある種の自重と皮肉かと思っていたけれど、もしかしたら彼独特のズレたセンスも要因の一部なのかもしれない。
奥さんは何にも言わなかったんだろうか。あんまりこだわり無さそうだしなあ、彼女も。

エッジに関しては、プルートー師がキリランシェロに似ていると言ってるけど、この我の強さと言うか強引さについては母親の性質もよく出てる気がするなあ。むしろ、ラッツベインの方がキリランシェロっぽい所が垣間見える気がするようにも思える。ラチェットについてはあんまりキャラ描写がなかったからよくわかんないけど、どうやら周囲からは普通の子扱いされてるみたいなのが逆に怖いw 魔術士としての成績はあんまりよくないみたいだけど、本人にあんまりやる気がないからっぽい所もあるし、なによりレキと一番仲がイイっつーのがなあ。

子供世代というとベイジットが図抜けてひどいんだよなあ。これは、子育て失敗してるんじゃないだろうか。両親の悪いところ、というよりも悪質なところ? が合わさっちゃってるみたいなところがあるし。
一方でマヨールは、容姿は母親そっくりと繰り返し言われてるけど、中身についてはかなり父親そのまんまだよね、これ。まあ、あの人はなかなか内面を見せてくれなくてどういう人物か判断しにくいところがあったけど、つまるところこのマヨールみたいな人だったんじゃないかと。勿論、この子よりもイイ意味でも悪い意味でも抑制された人格っぽいけど。
ただ、二十年後のお父さんしている彼は、若い頃の印象よりもかなり柔らかい感じなので、抑制されていたというよりもかたくなだったのかもしれないなあ。若さゆえの固さというべきか。歳を経ることで自分のイメージと実情にズレが少なくなり、プライドの高さに肩肘を張り続ける必要もなくなって、柔らかくなったというべきか。

まあ、変わったと言えばやっぱりオーフェンが一番変わってるよなあ。この変わり方はかなり予想外だった。あれほどコミュニケーション能力に難ありだった男が、これほど世慣れるとは。否応なくとはいえ、チャイルドマンよりも余程うまくやってるんじゃないだろうか、これは。
けっこう家庭に馴染んでいるのもちょっとした驚きかも。
原大陸での開拓事業は相当ひどいものだったようだけれど、奥さんとの仲はどんなふうに進展していったんだか。奥さんも相当暴れたっぽいけどなあ。魔王のボディーガードってどんな異名だよ。武勇伝もまた、すごいことになってるし。
あと、二人がお見合いで出会ったと言う情報は確かに間違ってないけど、大間違いだ! 相手がそもそも違うし、実は本当は結婚詐欺でした、とか子供たちには教えられないわなあ(苦笑
そういえば、今はオーフェン、フィンランディ姓を名乗っているけど、これって聞き覚えがあると思ったら、キリランシェロの本姓だったんでしたね。いつ、どのタイミングからまたこの姓を名乗るようになったのかは興味深いところ。やっぱり、結婚する際なのかなあ。

第四部というだけあって、世界観の変動もえらいことになっている。少なくとも、以前のオーフェンの世界の感覚とはかなり激変してるんじゃないだろうか。
だいぶ落ち着いたとはいえ、ラッツベイン主役の短編を読んだ時に感じた平和な時代とはかなりイメージが違う、現在進行形で過酷な闘争がつづいている状態みたいだし、へたをすると原大陸のみならずキエサルヒマ大陸(島)にまで拡大しかねないという危惧すらあるというのが、この短編での重要なキーワードになっているわけで。
魔術の概念もかなりえらいことになってるしなあ。
最後の短編での話だけど、擬似空間転移でマジクが壁抜けしてみせたときはひっくり返ったし。音声魔術も、音響相殺魔術で消音を実現してるみたいだし。

そう、マジクといえば、この子もまた、なんというか、なるべくしてこんな大人になっちゃったというか。昼行灯と言うよりも枯れた大人になっちゃったなあ(苦笑 もうちょっと歪んで育つかとも思ったんだけれど。
でもこれじゃあ女の人にはモテないなあ。しばらく新婚のオーフェン夫妻のところに居候して、奥さんにもだいぶ面倒見てもらったみたいだし、なんか間近で見せられて、色々と達観しちゃったんだろうなあ。マジクって、奥さんに気があったっぽいし。
なんだかんだと暢気な師匠に弟子が構い続けてそのまま隣にくっつきそうな気配もあるけれど。

そのマジクさん。結局本編では瞳の色やその不安定な天才性で、思わせぶりにドラゴン種族じゃないのか、秘められた力があるんじゃないかと期待させながら、最後まで本人の努力によるわりと落ち着いた成長に基づく、活躍に終始してしまい、秘められたうんたらについては何もなく終わっちゃったんですよね。
ところが、やっぱりあったんだ、秘密!!
未収録短編での、チャイルドマン教室大集合編でのブラッディ・バース・リンとの大活劇から、一応彼の天才性の根拠となるような情報が、よりにもよってチャイルドマンから明かされることに。
っていうか、マジクの母ちゃん、本気で化けものだったんだな。短編の世界観仕様のアレかと思ってたんだが。

エンジェルハウリングの方も、コチラも後日談ですが、こっちは本編終了後から間もなくで、それぞれ生き様や立場が激変した、というわけでもないので、むしろコチラの方が物語の終わりの余韻を名残惜しむ意味では正しい後日談かもしれませんね。
サリオンの幸の薄さはきっと一生変わらんのだな(苦笑
特に目に見えて不幸ってわけじゃなのだけれど、この青年が幸せそうにしている情景がまるで浮かばない、ひたすらに気の毒そう、というのはどういうキャラクターなんだろう、ホントに。

まー、<約束の地で>を読むためだけでも、このボックス買う価値はあるんじゃないでしょうか。オーフェン好きだった世代には、垂涎モノです、間違いなく。
逆に言うと、これが本当に最後なんだろうなあ、としみじみと思う。作者はまだまだ小説家として世に作品を送り出してくるでしょうけど、オーフェンみたいなノリと枠組みの作品はきっともう書くこともないでしょうし。
自分の中に区切りを付ける意味でも、この書籍が出てくれたのは本当にありがたかったと思う。

ご馳走様でした。
 
10月22日

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