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龍盤七朝 ケルベロス 壱5   

龍盤七朝 ケルベロス 壱 (メディアワークス文庫 ふ 1-1)

【龍盤七朝 ケルベロス 壱】 古橋秀之/藤城陽 メディアワークス文庫

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は、ははは、こりゃあスゲエ。読んでて卒倒するかと思った。
先日怪我した指の治療のため、仕事帰りに病院に通っているのですが、その待合で読み耽ってたら呼ばれてるの気付かずスルーしてしまいましたよ。参った参った。

そう、参った。これは、ブラックロッド以来の衝撃だ。これが、古橋秀之だ! これこそが古橋秀之なんだよ、力拳を握りこんで叫びたくなるくらい、素晴らしい渾身の古橋秀之。
これは、ブラックロッドを読んで古橋秀之の何たるかを知ってしまった世のファンたちが、望んでも望んでもなかなかに至ることのできなかった、この人の極地であり、この人の本気であり、他の誰でもない、古橋先生しか描き出せないあの、あのセンスティブが炸裂しまくった、至高の古橋作品でありますよ。
ああ、まさかこれほど古橋成分がギトギトに煮詰まった作品を読むことができる日が来るとは。しかも、幻想武侠小説とキタ。やっぱりね、あのブラックロッドシリーズに衝撃を受けた身としては、以降に出た作品は面白さこそ文句のつけようがないものが多かったんだけれど、でもこの作者に求めていたモノとは、どうしてもズレがあったんですよね。
とはいえ、ブラックロッドはある意味濃すぎた部分もあって、あれみたいなのをもう一度そのまま出されても、ある意味のた打ち回るしか無かったように思う。その意味でも、このケルベロスはイイ意味で洗練されている。物語は研ぎ澄まされ、ケイオスは調律され、然れどもあの空前にして絶後であろう古橋成分はギトギトにつぎ込まれた、これぞ進化した怪物作品だ。
未だブラックロッドを忘れられない諸氏は、疑いもなくこれを手に取るがイイ。アレの、その先が、此処に在る。
しかし、ああ、そうなのかなあ。御大は【IX(ノウェム) 】でこれをやりたかったんだろうなあ、きっと。そう思えば、よくぞここまで突き詰めた、と胸が熱くなる。

それにしても、第一の怪物であるところのラガンの化物っぷりが突き抜けすぎて、もうとんでもないことになってるんですが。人間か? と問うのがあほらしく、魔王だの神だのと評するのもバカらしい。なるほど、これは天災と称するしか他に表わしようがない。否や、天災というのも生ぬるい。これは、そういうものだとしか言い様がない。どういうものだと問い返されたら、こういうものだとしか言い返せない。これを、言葉によって言い表すことが果たして妥当なものなのか。
正直、こんなとんでもないモノを、見た記憶がない。これに類するものを挙げる頃すらできない。幾ら何でも凄まじすぎて、これをラスボスと言っていいのかすら分からない。強いとか弱いとかいう範疇で括れないよ、こんなの。
この文章を読んで、みなさんラガンについて色々と想像を巡らすことでしょうけど、断言しましょう。どんな想像を思い浮かべようと、現物は絶対にそんな想像を遥かに上回るどころではない、まったくの別次元の領域です。普通なら、いやたとえ頭がおかしかろうと、こんなもん想像できないよ!!

そんな想像上にすら存在できない怪物を。こんな馬鹿げた怪物を、倒す怪物の物語がこれだという事実。あれを倒す? あれを? あんなものを?
倒すのだという。これから生まれる三首四眼五臂六脚の怪物が、倒すのだという。
そんな物語がこれから存在をはじめるという事実そのものに、卒倒してしまいそうだ。

そのいずれ生まれ落ちる怪物となるのは、逃げ続けた敗残者であり、化生に堕ちた姫であり、ひたすらに鐘を打つ男の三人だ。怪物によって真っ当な人からハズレてしまった彼らは出会い、出会ったことでまともな人に返りかけ、だがしかし、その再誕の門出を怪物によってたたきつぶされた。
ならばこそ、彼らは怪物になるのだろう。怪物を倒す怪物になるのだろう。果たしてその怪物が、人の心を持つ怪物となるのかは定かではないけれど。
でも、怪物を倒す怪物は、人の心を持った怪物で居て欲しい。廉把も蘭珈も浪尤も、人であることを全部捨て去るにはあまりにも魅力的な<人間>だったのだから。
なんにせよ、続きを。早く続きを!!

Fate/kaleid liner  プリズマ☆イリヤ ツヴァイ! 15   

Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ! (1) (角川コミックス・エース 200-3)

【Fate/kaleid liner  プリズマ☆イリヤ ツヴァイ! 1】 ひろやまひろし 角川コミックス・エース

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おっ、おっ、おっ、おもしれええええええええええ!!
やっべえ、なにこれ、楽しすぎる、面白すぎる、愉快すぎる、痛快すぎる!!
どうしようこれ、隅から隅まで面白いよ、なにからなにまで面白いよ!!
くわあああ、最高だこれ。スペシャルにMarvelousだ!! 
ギャグの間合い、バトルの躍動感、絵の綺麗さ、構図の上手さ、ストーリーの吸引力。オーケー、パーフェクトだ、文句のつけようがない。全部に絶賛の万歳三唱を授与しないと気が済まない。
とにかく、こんだけぶっ飛んで楽しいと、脳内麻薬が壊れた水道管みたいに水浸しだよ!!

いやあ、第一期もメチャクチャ面白かったけどさ、うん、あの時点であれだけ凄まじく面白かったのに、あれだけすんげえ面白かったのに、恐ろしいことに第二期になって明らかに全体的にパワーアップしてますよ。グレートになってますよ!!
一期は短く一気に話を纏めるようにしていたため、急ぎ足でとんとん拍子に話が進んで、微妙に忙しないところがあったんですが、この二期はどうも一期よりもじっくり話を進めるつもりなのか、急ぎ足の駆け足ではなく、しっかり地面蹴っ飛ばしてかっ跳んでますよーーっ!
敢えて物足りなさをあげるなら、火力砲戦系の超大規模戦闘描写が今回はなかった点を挙げれるかもしれませんが、それは今後に期待だし、戦闘シーン、十分派手でスピード感、躍動感、戦術性、見せ方演出、畳み掛けギャグ! と委細申し分ありません。ひゃっほーー!!

既にイリヤと深遊の友情関係も成立済みの段階からだから、どたばた楽しい日常風景も最初っからじっくりねっとり楽しめるし、凛とルヴィアは相変わらず残念極まりなくてお陰さまでご愁傷さまな感じだし(なんだそれw
そして止めが、現れたもう一人のイリヤ。小悪魔だーー! もう、引っ掻き回す引っ掻き回す! 面白い面白い! ああ、もうなんど面白いって言ってしまってるのか。何度言っても言い足りない気分だけどさ♪

ちょっとびっくりだったのが、士郎兄ちゃん、ただのモブキャラじゃなかったのかー。凛とルヴィアにいつの間にかフラグ立ててたのは、まあ予想していたけど、まさか深遊と何らかの関係があったとは。そういえば、まだ深遊の過去や素性って明らかにされてなかったんだっけ。あのサラッと重い性格も、ちゃんと所以があるんだろうか。イリヤに秘められた秘密も、今回ダイレクトに表に出てきそうだし。さあ、第三期に引っ張れるだけの伏線は残せるのか? それ以前に、二期をどれだけやれるのかが問題だけど。できれば一期みたいに二巻と言わず、もっと長期にやって欲しいなあ。話の進み具合からして、二巻では済まなさそうだけど。番外編も三編も入れるくらいだし。その三編が三編ともまたべらぼうに面白いんだよなあ。畜生、どこにも隙がねえゼw

それにしても、凛とルヴィアは面白いなあ(笑
扉絵はけっこうエロかったし。やっぱルヴィアは胸でけえ。

そういえば、あの保険医さん。一瞬、セイバーかと思ったんだけど、よく見ると、彼女、カレンか? 服装違うし、髪型もアップしていたのでわかんなかったんだけど。あのふわふわっとした髪や佇まいは、多分カレンだよなあ。
これだれ? と言えば、番外編の第一話でゼルレッチと一緒にいたのって、ウェイバー・ベルベットですよね、多分。この登場は何気に嬉しいなあ。

レンタル・フルムーン 2.第二訓 良い関係は良い距離感から4   

レンタル・フルムーン〈2〉第二訓 良い関係は良い距離感から (電撃文庫)

【レンタル・フルムーン 2.第二訓 良い関係は良い距離感から】 瀬那和章/すまき俊悟 電撃文庫

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……ちょっと待て、もしかして今私は、伝説の<素直クール>が生まれるその過程を目撃してるんじゃないか!?

と、思わず動転してしまうくらい、ヒロインのツクモが後半、素直に心情を吐露している。新たなヒロイン候補の登場に伴い、ツクモと新太は些細な見栄の張り合いと行き違いによって気まずい雰囲気に陥ってしまうわけだけれど、この二人、偉いことに自分と相手、両方に悪いところがあった事をきちんと飲み込み、その上でどちらが頭を下げるというのではなく、お互いきちんと自分の本音を口に出して言い合い、二人で一緒に歩み寄る努力を行ったところなんですよね。
元々、一巻の感想で偏屈でひねくれモノに見えて、実はかなりサバサバした気持ちのいい性格なんじゃないか、とツクモの事を捉えていたのですが、どうやらその分析は間違っていなかったみたいだ。
自分の間違いや失敗は是が非でもなかったことにするツクモだけど、不思議と自分の気持ちや相手の想いは、無かったことにしようとはしないんですよね。それでも、新太が自分を放って鈴音と楽しそうにしてたり、へらへらしていたのが不愉快だった、とあんなにもはっきり言っちゃうとは思わなくて、びっくりしたなあ。
……単に、何にも考えてないのかもしれないけど、この娘。発言に、慎重さがまるでないもんなあ。思ったことをそのまま口にしてる傾向があるし。……いまさらか。

早川鈴音という魅力的なヒロインの登場で揺れに揺れる二人の関係だけれど、終わってみると彼女の存在はラブコメの多角的な男女関係の発生ではなく、ツクモと新太の関係に揺さぶりをかけ、停滞に陥りかけていた距離感を打ち崩し、再構築するためのものだったと言うことが良く分かる。やはり、この作品、ムツキと新太のカップリングは鉄板で、二人の関係が波乱を経ながらも着実に近づいていく様子を、ニヤニヤしながら見守るのを主眼としたものと見て間違いあるまい。
恋愛感情を含めて、人の気持ちというものに酷く鈍感なツクモは、どうやら自分の中に育まれつつある新太への気持ちの正体について理解が及んでおらず、どうも彼女はそもそも自分が新太を意識しているという事自体、気がついていない節があるので(とにかく深く物事を考えない性質みたいだし)、明確なデレの反応はまだ見えないのだけれど、自覚がない故の無意識の反応や仕草、言動が、時々びっくりするくらい無防備にぶっ放されてくるので、それが物凄い威力なんですよね。自分以外の女と仲良くしているのが不愉快だ、とはっきり言っちゃったり、恋人の振りをしてお互いの良いところを上げていったときの、最後の一つなんか、無防備にも程がある。そして、初めて弱音を吐くシーン。この娘の最大の魅力は、こうした破壊力満点の言動を、まったく落ち着き払った平静な態度で冷ややかに言い放てる所なんだよなあ。
この娘、絶対<素直クール>の素質あるよ!!
そして、常に平静なだけあって、稀に見せる動揺した顔がスペシャルな威力なんですよね。この巻において彼女が感情を乱したのはわずかに二箇所だけ。それも、本当に微妙な反応なんですが、これがまた…(ニヤニヤ

この作品のポイントというか、とても重要な要素となっているのが、幕間に載っているクルンの日記なんですよね。新太視点からはなかなかその心情が見えてこないツクモの内面が、日記ではクルンの目を通して見えてくるんですよね。新太の言動や二人の間で起こった出来事に対して、ツクモが自宅でどんな様子だったかクルンの日記では克明に描かれていて、無表情で無感動なツクモの喜怒哀楽が伝わってくる。ちょうど幕間で話が一区切りされ一息つく所というのも絶妙なんですよね。ああ、ツクモはあれ、怒ってたんだなあ、とか。あの新太の発言、実はめちゃくちゃ嬉しかったんだなあ、というのが後になって理解できるというのは、よいエッセンスであり、次の幕に行くにあたって地の文の主である新太の心情だけに引っ張られず、ツクモと新太、両方の関係が育まれていくのを見守るような感覚を保てるわけで。

しかし、クルンの健気さは前巻にも増して凄まじいものになってきてるなあ。いっそ、凄絶とすら言っていいかもしれない健気さ。献身と書いてクルンと読む、と辞書に記してもいいかもしれない。
もう、子猫物語ならぬ<クルン物語>として普段の彼女の生活を映像化して映画館で上映したらいいじゃない!

僕は友達が少ない 24   

僕は友達が少ない 2 (MF文庫 J) (MF文庫J)

【僕は友達が少ない 2】 平坂読/ぶりき MF文庫J

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幼女も残念幼女だ!!(爆笑

そしてすまん。一巻の感想で小鷹はまともな常識人じゃないか、と力説したものだけど……常識人だろうとまともな人間だろうと、残念は残念だったんだなあ、と一話を読んでしみじみ思ったり。笑いのセンスがズレてるとかそういう段階にすら至っていなくて、ただ普通につまらないという残念さ。まさしく残念としか言いようの無い極めて磨きぬかれ突き詰められた残念さに戦慄すら覚える。
ああ、そうか。つまり小鷹は普通に残念なヤツなのか。それってある意味、特徴的なほかの残念衆よりも残念かもしれないのが哀しいw

ああ、そうだ幼女。隣人部の顧問となったシスター・マリアって所謂ちっちゃい大人ではなく、リアルに十歳のお子様だったのね。知能指数は高いのかもしれないが、知性は並以下。つまるところアホの子。【よつばと】のよつばが世知辛い世間の荒波に放り出されると、こういう有様になってしまうのかもしれない。性格極悪の生徒に言い様に弄ばれるとか。もっと賢くなれよ!(涙
幼女には幼女なりの賢明さというものが必須であり、それが欠片も微塵もないマリアは、この場合残念幼女としか言いようが無い。よくぞまあ、ここまで残念さを引き立たせたものだと、感心せざるを得ない。しかしまあ、アホの子はアホの子で操作が簡単な分、愛玩用としては可愛かったりするんだよなあ。
マリアがちゃんとご飯を食べてないと言うのを知って、即座に弁当を作ってきてやる小鷹は、大したものだと思うけど。伊達に妹と二人暮らしじゃないというか、子供の面倒を見るのを空気を吸うようにこなすんですよね。さらっとやってるけど、なかなか出来るもんじゃないぞ、子供の相手。
まー、妹の小鳩も子供っぽいっちゃまんまお子様だからなあ。これで中学二年生というのは少々信じがたい(苦笑
10歳のマリアと同レベルで張り合ってるもんなあ。そもそもそのマリアからして、十歳というには幼いくらいなのに。
とはいえ、二人で<お兄ちゃん>の取り合いをしているのはほほえましい限り。
なんだよ、小鷹。もうモテモテじゃないかい。残念天才少女の理科も、小鷹に興味津々だし。実のところ、友達いないヤツばっかりの隣人部だけれど、本気で友達欲しくて入ってきたのって、星奈だけで、目的を同じくしているのは小鷹と夜空と星奈の三人であって、マリアは無理やり顧問にされた口で、今は小鷹に懐いて出入りしてる。理科と幸村と小鳩は完全に小鷹目当てだもんなあ。
でも、本気でフラグ立ってるのは夜空と星奈の二人なんだけど。
今回、新規参入組のお陰でわりと大人しかった夜空と星奈だけど、メンバーそろったところで次からこそ本格的に残念会、じゃなかった、話が進展するんだろうか。ラストでバリバリに恋愛抗争勃発フラグ立ってたし。ただ、夜空があくまで男女の友情に拘ってるのに対して、星奈のほうはその辺拘り無く、かなり小鷹を自覚的に意識している節があるので、スタートラインで既にだいぶ差がついているのが気になるところ。まあ、この程度は後の展開次第でどうとでもなる程度のことだけど。


そういえば、ラノベ部と同じノリでリレー小説なんてやってたけど、話の展開がやっぱりラノベ部とは違って、此方特有の酷い有様になってて、笑ったと言うか笑えなかったというか(苦笑
このネタ、もう一度は出来ないなあ、これw


あと、イラストのブリキさんの絵は、相変わらずキてるなあ。カラーのプリプリつやっとした肉感も然ることながら、モノクロの挿絵の方ですらやわらかそうで弾力のある質感を保ってるんだから、素晴らしいったらありゃしない♪

1巻感想

Landreaall 155   

Landreaall 15 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

【Landreaall 15】 おがきちか IDコミックス/ZERO-SUMコミックス

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ああほら、やっぱり第一印象は当てにならないんだ。
とはいえ、第一印象はやっぱり胡散くさかったんだよなあ。イオンの語るクエンティンのイメージは、此方が受けた印象を論理的ではないが感覚的に見事に言い表していて、やはりその辺は意図的に表現していたんだなあ、と。
とはいえ、ただそれだけにつまらない人間とは、やはりかけ離れてるんですよね。アンちゃんとはまた違う人種だけれど、変人なのは間違いない。その理想からして異端だし、それを当事者であるDXにはっきりと明言してキングメーカーとしてあなたを推薦したい、とのたまうその神経と言うか在り方はやっぱり常人とはかけ離れてるし。
父であるリゲインの知り合いであり、少なくとも親しくしている様子を見るならば、宮廷政治を楽しみ利権を食い物にするタイプとは程遠いんだろう。ただ、リゲインもただ親しいという感じじゃないですよね。少なからず緊張しているというのは、クエンティンの立場のみならずどうも人物そのものにある種の危険性を感じているようには見える。リゲインとの会談の中で語られたクエンティンの壮絶な過去。彼の抱いている将来の目的、理想、野望と言ってもいいその道筋から見ても、アニューラスとは変人同士と言ってもちょっと方向性が違うようにも見える。DXはレイ・サークと似てると言ってたけど(その理由が最高で、まさしくと思わされる)、その性向は似てるけど、レイがどちらかというと享楽を旨として動いているのに比べて、クエンティンには強固な意志の方向性が垣間見える。
でも、当初想像したような他者の思惑など無視して自分の信念を押し通すようなタイプの危険人物とは、ちょっと違う気がするなあ。したたかで実に政治的な曲芸を乗りこなすことに練達している人物ではあるものの、柔軟である種の素直な優しさを秘めている人にも見える。誠実ですらありそうだ。うーん、アンちゃんの方がタチが悪いんじゃないか(笑
とはいえ、まだまだ底の見えない人ではあるんだけれど。
そういえば初めてじゃないかな。DXが王様に向いてないと言ったのは。でもDXの人物認識は非常に的確なんですよね。おそらく、DXが王様に向いていると言ってきた人たちと何も変わらない。さらに面白いのは、その双方がDXを王に推したいと思っている所か。
とりあえず、アンちゃんを押しのけDXの意思を無視して一方的に何かをしようという気はさらさら無いようなので、その辺はひとまず安心した。てっきりDXも反発するかと思ってたけど、お互いよく話すことでDX自身、クエンティンという存在を飲み込んだみたいだし。

そんなクエンティンのエカリープ来訪の本当の目的は、リゲインに行方不明だった王女の消息を伝えること。それを機会に、これまで情報が伏せられていた革命の真実の一端がようやく見えてくる。
現体制の王不在の理由や、リゲインが田舎に引っ込んでいる理由。なるほど、今は平和なアルトリア王国だけれど、一昔前は血なまぐさい時代そのもので、それは現在もまだ拭い去れてはいないわけだ。
アンちゃんやクエンティンがDXに望む王様像の所以もこれで徐々に見えてくる。なるほどねえ。

そして、ライナスとルーディーのターン。こいつらの贈り物攻勢はホント大したもんだよなあ。いつもイオンちゃんを伊達に餌付けしてないということか。まさか、ファレル母さんを光モノで落とすとは(笑
所謂宝石にはとんと興味を示さないだろうファレルに普通の貴族の奥方に対する贈り物とは趣向の違うものを贈るのは想像できたものの、敢えてなおも光モノを贈るとは、やっぱり一味違うよなこいつらわ。
あんなにウキウキときめいてるファレル母さんはじめてみた(笑
ここできっちり、リゲインがルーディーにあの誘拐事件の件で謝るのには感心させられる。そうだよなあ、ルーディーはあれ、DXの巻き添えくらった被害者なんだよね。そういう事を忘れずきっちりしてる作者さまには、重ねて感心させられる。こういう積み重ねが、世界観とストーリーラインの強固な親和性を構築していくわけだ。なるほど、世界観がべらぼうに広大になるわけだよ。

しかし、この飲んだくれながらの、忌憚の無いというか堅苦しさの欠片もない言いたい放題のダラダラとした時間を過ごせるのは、素敵だなあ。これ以上ない友達同士のだべりあいって感じで。目の当たりにしたファレル母さんが大笑いするのも道理だわ。親としても、自分の息子がこんな友達作ってたら、嬉しいだろうなあ。

ライナスたちと話す、スピンドル事件のことも、相変わらず意味深、というか何重もの意が織り込まれてて、非常に面白い。やっぱり、DXの本質はみんなとはどっか違うんだよなあ。視点、立脚点がまるで人と違っている。それは身分や生い立ちから来るものであると同時に、それらとは隔絶したDXという人間そのものの資質によるものなのか。
フィルについての話もそうで、あのしてやったりの顔は反則だよなあ。叶わない。

君は報われない幸せを知らない
か。ふむふむ。

槍熊の話も含めて、こいつらホントにイイ友達同士だよなあ。お互いみんながいい意味で感化しあってる。

そして、ついにリゲインの口から語られる誰も知らない革命の真実。彼が犯した罪と得た自由。
DXの本質とは自由であるこそそのものなんだろうけれど、その<自由>というものも、決して一概に一括りに出来る概念じゃないんだろうね。アカデミーに入り人の集団の中に入ることでDXはそこで自由というものの意味を色んな角度から捉え始め、今また父を縛る<自由>を目の当たりにするわけだ。


で、毎度おなじみ今回のおまけーー。

(w

いやもうね、これは何も言えんわーー(笑
よくぞまあ、なんというか、アホばっかりというか男は世知辛いというか、騎士というのもなんだかなー、というか。
面白いなあ、もう(苦笑


感想一覧

とある科学の超電磁砲 45   

とある科学の超電磁砲 4―とある魔術の禁書目録外伝 (電撃コミックス)

【とある科学の超電磁砲 4】 冬川基 電撃コミックス

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う、うわあ、うわあ。
ついに木山先生が予告していた件の絶望、シスターズ編に突入したわけですが、これはキッツいなあ。妹ちゃんとビリビリの交流が思いのほかホットで屈託なく、初対面同士にも関わらず本当の姉妹みたいだっただけに、その後の顛末のショックたるやとんでもないレベルでザクザクと刻まれる。
元々、これまでの巻でもアクションの描写力の凄まじさには圧倒されていたものの、どちらかというと痛快感の方が強かったんですよね。
でも、シスターズとアクセルレータの実験は殺し合いであり、一方的な殺戮であり、問答無用の惨劇なのです。ここまで徹底して克明に、残虐な殺人を見せられるとは覚悟していなかったので、かなり衝撃が強かったですわ。ビリビリから強奪、もといプレゼントされたバッチにすがりより、最期の瞬間ギュッと抱きしめるミサカ妹の姿がまた、象徴的で……実験の真相を知り、別れたミサカ妹を探し求める美琴の表情がイイんですよ。今まで見たことのない彼女の表情。怒りでも悲しみでもない、純粋なまでの恐怖。自分の知ってしまった事実への怯え、信じることを拒否する心。実験が今まさに行われている事を確認しようとする行為へ完全にビビり倒しながら確認せずにはいられない真っ黒な恐怖。真の絶望へと至る絶壁の手前。

正直、原作小説のこの事件での、ビリビリのあの悲壮な、自分が死んでも実験をとめてやろうという決意は、そこに至る彼女の心の変節が描かれていなくて、随分と唐突感に苛まれて彼女の決意とやらに特に思うこともなかったんですが、これを見せられると、彼女がどうしてなんで、あそこまで何もかもをかなぐり捨ててこの実験をとめようとしたのかが嫌というほどわからされる。というか、思い知らされる。
事件の顛末は既に知っているだけあって、このシスターズ編、ちょっと舐めてた所があったんですよね。これまでのエピソードと違って新鮮味に欠けてしまうかなあ、と。
とんでもなかった。完全に見縊っていた。
感想を書くたびに繰り返しになってしまっているけど、この冬川基という漫画家の力量はマジ半端ねえっすよ。この人が描いてなかったら、ぶっちゃけここまで面白くならんですよ。シスターズも、全然可愛いし。あのシニカルに惚けた感じ、たまんねえ。繰り返しになってしまいますが、ほんとにビリビリと彼女の掛け合いは楽しく面白く、ニヤニヤさせられたんですよね。それだけに、ラストのキツかった。
五巻を、五巻を早くお願いします、マジで。

2巻 3巻感想

ディーふらぐ! 25   

ディーふらぐ!2 (MFコミックス アライブシリーズ)

【ディーふらぐ! 2】 春野友矢 MFコミックス アライブシリーズ

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一巻に引き続き、ひたすら高尾部長かわいいよ。廊下の隅で膝抱えてカタカタ震えてる高尾部長かわえーーー!! いや、逃げてるならせめて隠れようよ(爆笑
そして優位に立った途端、速攻で調子に乗る部長かわええなあ! そっから落ちるのも急降下だし。
やっぱりツンデレさんの最強付属属性はドジッ娘&ダメッ娘だよなあ、と実感した。見てて放っておけないですものね。もう、見過ごすのがむしろ悪いみたいな気すらしてくるしw
一応この人、ロカと並ぶメインヒロイン格で間違いないんですよね。この二巻ですでに表紙を飾っているわけだし。ですから、そろそろ部長に名前のほうを進呈してほしいんですが。いまだに名前不明とか、メインヒロインとしてどうなんだよ(笑
しかも高尾部長の部長って、この作品の活動のメインとなる部活とは別の部の部長だし。まー、順調に高尾部長がツンデレ道を極めつつあるので、それさえ楽しめれば何でも構いませんよ?
一巻では高尾部長とロカの二人ばっかりが目立って、むしろ本来のゲーム製作部(仮)(正式名)のメンバーの紹介すらおろそかにされていたのだけれど(このへん、完全に勢い任せだ)、安心めされよ。この二巻では思いっきり影が薄かった水上桜にもスポットが当たっている。
なに、このエグい娘さんは……しまった、ボーイッシュな外見にだまされてた。わりと単純アーパーな体力勝負っ娘だと誤解していた。こいつ、しれっと笑いながら人の心の傷をグリグリつま先でえぐって喜ぶタイプだw

しかし、二巻になってもこの完全に予想想像の範疇外から繰り出されてくるギャグのたたみかけは、衰えるどころか切れ味を増している。
もう最初から最後まで笑いっぱなし。小ネタの応酬だけでは済まず、魔の十四楽団編なんて、ストーリー展開の根元からギャグとして聳えてるんだもんなあ。魔の十四楽団なんて全然覚えてなかったよ!! 実在すら信じてなかったよ!
そもそも、主人公の風間が不良さんで、学園制覇などという昭和の匂いすら嗅ぐってくる野望を秘めているなんて、根本から忘れ去っていましたよw
というか、あのリストを見る限り、この学校かなりの不良天国なんじゃないのか、とすら思えてくる。全部、ゲテモノばっかりだけどw
この調子だと、二人ブラザーズとかも出てくるのか?
何気に、あの嘘次回予告の魔の十四楽団過去回想編とか見てみたいよな。あいつら、無闇に面白いもんなあ。とはいえ、ロカと高尾部長が出てこないとそれはそれでヘコむんですけど。
この漫画、やたらと面白すぎるのでもっと短い間隔で出てほしいんですが、ほとんど9〜10ヶ月置きだもんなあ、焦れる焦れる。

1巻感想

天川天音の否定公式 25   

天川天音の否定公式 II (MF文庫J)

【天川天音の否定公式 2】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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そうか、これはそういう事だったのか!!
完全に登場人物の立ち位置を勘違いしていたのが、シロコの天音への痛烈な指摘とエピメテウスの繰り言によって、この作品について捉えていた構図がガラリと百八十度引っ繰り返った。
そもそも、非日常の象徴として雪道と瑛子を巻き込む存在として現れたはずの天音こそが、逆に巻き込まれた側であり、もっとも普通の人間であり、この惨劇が約束されている未来の運命に対する部外者だったという事か。
故にこそ逆に彼女――天川天音こそが雪道・瑛子・天音の三人によって紡がれ始めていたこのぬるま湯のような安息の日常を護る担い手となり、部外者であるが故に運命を覆す要となり、雪道や瑛子の歯止め――ストッパー、いつか彼らが境界を飛び越えてしまうのを、日常の側に引き留める存在になるということか。

てっきり典型的パターンとして元々日常サイドの人間だった瑛子の方がその役割を担う側だと思い込んでいたんだけれど、今回の一連の事件での瑛子の行動を見ている限り、彼女にはそういう立場に立つ事が絶対に無理だと思い知った。
瑛子と雪道の関係は、あまりに重く深く断ち難い繋がりによって、それこそ魂の根源からと言えるほどの深度で繋がっているので、日常とか非日常とか周りの環境、生死の境ですら問題ではないんですよね。彼女にとって雪道とは絶対と言っていい存在であり、彼の辿る道ならたとえ地獄だろうと奈落の底だろうと何の躊躇なく付いていく。他の何を捨てても振り返る事すらないだろう、まさしく絶対存在。
それは、雪道にとっての瑛子もまた同じで、それはかつて雪道が彼女のことを「自分にとっての光だ」とのたまったように、瑛子の存在は雪道にとって何を引き換えにしても後悔のない掛け替えの無い存在。今でこそ天音やシロコが現れ、彼にとって護るべき存在は増えているとはいえ、瑛子はまるで別格なんですよね。
そんな二人が、二人だけでいたなら、きっと軽々と越えてはいけない境界を踏み越えてしまうに違いない。いずれ襲い来るであろう明示された絶望の運命に、彼ら二人だけでは抗えない。
そこに、天音の存在が必要になるわけです。
ただ二人だけで完結しかねない雪道と瑛子の間に現れた、運命の部外者天川天音。彼女は異能者であり非日常の側の人間でありながら、あまりに普通の人間であり、多くのしがらみを捨て切れずにいる人間です。ラストに近いとあるシーン。あのシーンで躊躇なく雪道のいる場所に駆けこんでいった瑛子と違って、天音は異常な空間に隔てられた雪道のいる場所に飛びこむことを躊躇い、迷ってしまいました。
ヒロインとして致命的に見えるこの行動こそが、きっと天音の存在がこの物語において、雪道と瑛子の二人にとって、かけがえのない者となる事を示しているんじゃないかと思うのです。
異能者でありながら普通の人間そのものである彼女だからこそ、二人を日常の側に引き留める、過酷な運命から二人を護る存在になるのでは、と。
ですが、部外者が、普通の人間が運命の楯になるのなら、それ相応の代償が必要。大好きな二人を守るため、彼女はここでしばらく前、同じような選択を迫られた瑛子と正反対の選択をするわけです。それぞれが多大な勇気と覚悟を持って。
この時点を以って、雪道と瑛子と天音の三角関係というものは、誰一人欠けてもいけない、尊いまでの繋がりと化したのではないでしょうか。
もっとも、正直、今回の一件で天音はめちゃめちゃな勢いで死亡フラグを立てまくった気がします。雪道は、きっと最後に立てた誓いを果たす事はできないんでしょうけれど、守られたその先にこそ、もう一度果たせなかった誓いを果たす機会を得るのでは、となんとなくそんな展開を想像してみたり。それには、きっと瑛子が必要なんだろうね。瑛子こそが雪道の光なのだし。だからこそ、誰一人欠けたらいけないんだわ、きっと。

とまあ、完璧に入り込む隙のないように見えたこの三人の中に、見事にすべり込む事に成功した浅闇シロコというキャラクターの描き方は絶妙の一言。なるほど、出自と言い雪道や瑛子との関係といい、彼女が秘めていた知識と目的といい、その行動の果てに辿り着いた居場所といい、彼女もまた運命のキーパーソンとして重要な立ち位置を担う存在になるわけだ。具体的にどういう役割を担うかは、次回以降に見えてくるんだろうけど


シリアスパートの尻上がりの面白さと同様に、ラブコメパートもまたニヤニヤが止まらんのよですねえ。一番常識人で抑え役だったはずのクールで冷静だったはずの瑛子さんが、際限なく暴走しまくり、それをあたふた右往左往しながら必死に宥める天音の構図。おい、逆、元々の立ち位置と逆逆(w
猫被りのダメッ娘という属性に苦労症という属性まで付けて、天音さんはいったいどこまで行くつもりだ(笑
一巻で、既に振り回され役と思われた主人公の雪道が実は無自覚に振り回す方だったと発覚した上に、瑛子の無表情に惑乱暴走するタイプ、しまいにシロコは小悪魔的に事態をひっかきまわすタイプ、となると必然的に天音の抑え役の役回りが回ってきてしまうのか。傍若無人のお調子者に見えて結構根は常識人というのが発覚しちゃったからなあ(笑

一巻で絶賛に絶賛を重ねた本作品、二巻でますます惚れた、ベタ惚れ。自分の好みをスマッシュヒットされまくり。前シリーズの【この広い世界にふたりぼっち】よりは一般向けにカスタマイズされてるけど、まだまだ読み手を選ぶタイプの作品だとは思います。けど、自分相手にはまったくもって傑作様でございました。もう、こういうの大好きなんだよな、たまらん!!

1巻感想

みそララ 35   

みそララ 3 (まんがタイムコミックス)

【みそララ 3】 宮原るり まんがタイムコミックス

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ラブコメものはもちろん大好きで大好物なんだけど、こういうとびっきりに傑作な仕事モノって、味わいがまた格別なんだよなあ。

前半は親睦会的なバーベキューに、街頭インタビュー。
後半は丸々、再び若手三人組揃っての大仕事。今回はこんぺではなく、以前美苑がライターとして仕事をしたケーキ屋さんから、パンフレットのデザインの依頼があって、という展開。
街頭インタビューもそうなんだけど、インタビューを受ける側やパンフレットを何気なく手に取る側ではなく、インタビューする側、パンフレットやDMを造る側の視点って、とても新鮮で面白いんですよねえ。いやまあ、面白いのはまったくもって作家さんの漫画力あってこそなんでしょうけど。
インタビューする側もあんだけ苦労や工夫があるんだなあ。やっぱり、声かけたのに素気無く逃げられるのって、ダメージあるんだ。だからと言って、こっちから気遣うのは違うと思うし、そういう忌避感を上手く引きはがしていく工夫こそが大事になってくるわけだ。
初日はまったく捕まえることが出来なかった美苑が、へこみながらもなんとか工夫を重ね、印象を良くし、通行人を捕まえていく姿がまた面白い。とはいえ、あくどい手段を使うんじゃなくて、元々も彼女の人柄があるんだろう、その努力の方向性や慣れて段々強かに口がまわっていくのも、好感度たっぷりに見てられるんですよね。

そして今回の大仕事であるケーキ屋大将の依頼も、前回の穀物トリオのコンペでの失敗も踏まえて、次々と襲い来るトラブルや予想外の事態を三人でガーガーとディスカッションを重ねながら飛び越えていくさまがまたまた面白い。大将、いい人なんだけどこういう依頼の内容が曖昧ではっきりしないってのが一番困るんですよねー。こういう点では大将がまずケーキ職人であって経営者としては徹底していないというのがよくわかる。そういう相手に地雷を踏まず、空の展望を当てにして猪突せず、堅実かつ慎重、しかし妥協は最小限に最上のものを追及していく姿は、ホント三人とも成長したなあ。そう、営業の粟ちゃんもまっすぐ突っ込むだけじゃなく、相手をその気にさせつつ、予算もしっかり掴んで離さないという営業の本分を尽くしてて、前はなかなか未熟を露呈していた分、今回はよく頑張っていたのが伝わってきてる。米ちゃんも、前は一人で一人でというのが前面に出てたけど、彼女はみんなでディスカッションを重ねて叩いて叩くことによってドンドンといい部分が出てくるというタイプなのが、自覚的にわかってきたみたいで、最初から最後までガガガガと止まらず掘り進んでたし、今回は間違いなく素晴らしい仕事っぷりでした、っと。
もちろん、何事も順調というままでは済まないんでしょう。これから先、また違う形での壁が三人の前には立ち塞がってくるんでしょうけど、それはそれでまた楽しみなんですよね。

ああああーーー、面白かったっと何度云ってもイイ足りない程度には面白かったです、はい。つまりは最高傑作っとw

葉桜の来た夏 5.オラトリオ5   

葉桜が来た夏 5 (電撃文庫 な 12-5)

【葉桜の来た夏 5.オラトリオ】 夏海公司/森井しづき 電撃文庫

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近未来ボーイミーツガール、完結編!

 水無瀬率いる<水車小屋>の暗躍により、一触即発の事態を迎えた日本とアポストリ。学は前評議長の娘である星祭を呼び寄せて<十字架>の評議会へ送り込み、アポストリ側からの開戦の引き延ばしを図る。そして自らは<水車小屋>を止めるべく東京へ向かう。一方、葉桜は学との関係について思い詰めた様子を見せるが──。
 人とアポストリ、学と葉桜、それぞれの関係の緊張が高まっていき、本格的な開戦まで猶予のない中、学はぎりぎりの決断と行動を求められる。はたしてその決着は!? 堂々の完結編!

MARVELOUS!!

素晴らしかった。もう完璧に近いくらいに最高でした。ボーイ・ミーツ・ガールとしても政治・軍事サスペンスとしても、見事なほど完ぺきにしあげてきましたよ。MARVELOUS!!

まったく、何度も瞠目させられてきた南方学の政治センスだけど、今回のカードの切り方には戦慄させられっぱなしだった。星祭の使い方が尋常じゃないよ、これ。まさか、以前の灯籠との交渉内容を、ここでこんな風にカードとして切ってくるとは。正直、前回こそ灯籠との駆け引きには押し切りという形で勝ったものの、あれは灯籠がわざわざ学の舞台にあちらもあがってくれたから、という印象だったんですよね。不用意に彼と交渉してしまったから、と思っていたので今回彼に会う事すら拒否して彼の舞台に乗らなかったことで彼女に関してはどうにもならないと思ってたんですが……。
主戦派である灯籠が勇躍するアポステルたちの開戦選択の会議場での、あの顛末。学の繰り出した一手は、灯籠ほどの人物を殆ど一蹴と言っていいほどに無力化してしまうのです。いやもう、このシーンは滅茶苦茶鳥肌立った。学が星祭に託した灯籠への伝言。
「話し合いの機会は与えたはずだ」
には、もう総毛立ったどころじゃないですよ。震え上がった。この会議が始まるまで、灯籠は各方面に根回しを進め、幾多の策謀を巡らせ、度肝を抜くような政治的軍事的切り札まで準備して、アポストリ氏族全体の向かう先の流れをほぼ完全に掌握しきっていた。対して、学はといえば全権大使の父親は死亡し、力を貸してくれるはずの評議長は今や政治力を喪ってしまった状態。そもそも学は何の背景も持たない学生という身分にすぎないはずだったのに。灯籠は圧倒的優位な、比べるのもおこがましい立場にいたはずなのに。
あの傑物、灯籠を完全に手玉に取ったわけですから。もちろん、その手管は薄氷を踏むようなもの。少しでも想定外の事態が起これば余計に状況を悪化させかねない賭けだったわけですけど、もとより戦争へのタイムリミットは迫り、手持ちの札はろくにない状態。
ここで、あんな一手を打てる学の凄まじさには、震え上がるしかないでしょう。
そりゃあ、ここまで鮮やかにグウの音も出ないほどの敗北をくらった灯籠が、学にのめり込むのも仕方ないわなあ。彼に夢中になっていく灯籠の歪んだ情熱を思うと、将来的にも学はまた厄介な相手に見込まれてしまったなあ。

ここで勝ち取った時間は72時間。たったこれだけの猶予を持って、学はアポストリの居留区を出て東京に向かい、水車小屋を打倒しなければならない、というどう考えても途方に暮れるしかない状況から、学は父親が準備していたシステムに食らいつき、星祭をはじめとした人脈を使い尽し、持ち合わせのカードを最適最良の場面で次々にこれ以上ない効果的な手段を持って開いていき、それこそ身を投げ出すように、全身でぶつかるようにして、絶望的な状況に希望の光が差し込むように覆していくのです。

はたしてそれは、葉桜と過ごした故郷を護るため。アポストリである彼女と居られる世界を護るため。そのはずだったのに。
居留区を出た後のふとした瞬間、二人は気付いてしまうわけです。
何もかもを投げ捨てて、このまま二人、外国にでも逃げだしてしまえば、二人はずっと一緒にいられる。共棲の期間が過ぎればいずれ離れなければならない今の世界よりも、それは確実に二人に訪れる安息の時間。
お互い、危地に相手を送り込むことを怖れ、もし相手が死んでしまえば自分もまた生きてはいけない、それほどの想いを学は葉桜に、葉桜は学に抱いている事をそれぞれ自覚していくのです。
特に、葉桜が学に対している想いの大きさには、圧倒すらされました。茉莉花に、学は自分のマエスタだから、と宣誓する葉桜。人間にはないマエスタという概念。星祭がそれを説明してくれるんですけど、これがまた凄まじいもので。その上で、葉桜は自分の想いを学に告げるわけです。
葉桜の告白に対して、学がはっきりと自分の想いを告げられなかったのも、この緊迫した状況かと葉桜の精神面を思えば仕方ないよなあ。
それでも、葉桜と自分の想いを理解し知った上で、その上でなおアポストリと日本政府との間に起こるであろう戦争を止めるために、自分たちの身を危険に晒す。自分たちの幸せと、自分たちの住まう世界の平和。その微妙な齟齬に苛まれながらも、この男はひるまず邁進していくのです。前々から思ってたけど、両想いになろうと結ばれようと、その果てにこの学くんは葉桜に、今と同じような、もしくは今よりももっと大きな苦しい想いをさせるんだろうなあ。なんだかんだと、よく父親の南方大使と似てますよ、この男は。でも、葉桜はそういう彼だからこそ好きになり、そんな彼を誇らしく思い、その彼を助けることに誇りを抱くわけだ。いいパートナーじゃないか。
今のこの二人を見ていると、一巻の時の険悪な関係が信じられない。母親の死に深く関与したアポストリという種族を深く憎悪していた南方学の前に現れた、頑固で気まじめで融通の利かないアポストリの少女。反発し、衝突しあい、いがみ合っていた二人が、自分の生死を、存在すべてを委ねあえるほどの信頼を結び、情愛によって繋がれることになろうとは。
葉桜の想いに対する、学の告白もまた、これ以上ない場面での直球ど真ん中、それでいて状況的にも葉桜の鬱屈も払拭するのにも最も効果的で意欲的、先だって書き連ねた二人の懊悩への答えも含めた、将来の展望もひっくるめて、最高の代物でしたよ、ええ。これほど力強く、カッコいい告白も滅多と見ない一品でした。

まー、あの人の再登場にも仰天しましたけど。学は普通の人間だって言ってたけど、学本人も含めて二人とも普通の人間というにはその人を動かし状況を掌握する力は尋常じゃないよな。


彼らの勝ちとった平和は、彼ら自身が自覚しているように束の間の平和なのでしょう。また、世界が元の姿を取り戻したとしても、アポストリと人間である二人の間には、社会の認知、アポストリの寿命の短さを含めて、様々な障害が横たわっています。ただ、それを乗り越えるだけの多大な力強さを、彼らはここで見事に証明してくれたわけで。凄惨にして過酷な現実の在り様を踏まえてなお、とてつもなく希望に満ちた未来が広がっている、素晴らしいボーイ・ミーツ・ガールの完結でした。
あとがきを読む限りでは、防衛庁にもしっかり取材しにいってたみたいだし、政治情勢の描き方や、各公的機関の描き方、細かい機械システムの描写やその使い方といい、ライトノベルレーベルでは屈指の、というか殆どお目にかかった事のないレベルでの政治・軍事サスペンスでもあり、読み応えの確かさがもうハンパなかったです。
まったくもって、最高傑作でした。最高傑作でした。大事な事なので二回言いました。
これほどのものを読まされては、次回作が楽しみとしか言いようがない。たいへんたいへん、ごちそうさまでございました。

逆理の魔女4   

逆理の魔女 (集英社スーパーダッシュ文庫 ゆ 6-1)

【逆理の魔女】 雪野静/石川沙絵 スーパーダッシュ文庫

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このタイトル、単純に【逆理】と呼ばれる特殊な魔術大系を操る魔女さんがヒロインだから、というものなんだけど、この作品の巻き込まれ型異能バトルもののテンプレートを真逆に反転したような内容をみると、色々とこのタイトルも意味深に思えてくる罠(笑

いや、もうなんというか、ひっくり返って笑いましたがな。
平凡な(ちょっと特殊な才能あり)一般人の主人公が、魔術師であるちょいとエキセントリックな性格のヒロインと出会う事で、異能の世界に巻き込まれる、というありがちな展開と見せかけて……実はどう見ても巻き込まれてしまったのはヒロインの魔女の側!!(笑
魔術師という特別な存在であり、異能の世界に身を置く人間でありつつも、あくまでそのパーソナリティはかなり普通の(まともというべきか)少女であり、しかもドジッ娘属性まで付与している魔女・逆月雨坏が、戦慄を覚えるほどのぶっとんだキャラクターである主人公姉弟(一般人)と知り合ってしまったのが運の尽き。
異界の存在が見える、という常人とは多少違う力を持っているけれども、主人公のマシロと姉のソラの力は本当にただ見えるだけ。なのだが、その性格がもう凄まじいまでに常軌を逸している。
特にお姉ちゃんのソラに至っては、奇人変人いったいどちらが一般人なのか分からなくなるくらいのエキセントリック。そんな彼女に気に入られてしまった雨坏は、徹底的に振り回され、弄り倒され、翻弄され、強引に引っ張りまわされと、その姿は、おいおいもう程々にしておいてやれよ、とそっと救いの手を差し伸べたくなるほど。
でも、これまで立場もあってまともに人付き合いもなかった雨坏さんは、なんだかんだと人間関係の距離感をスッ飛ばしてベタベタとひっついてくるソラや、飄々と傍らに立ってくれるマシロに、転げ落ちるように心を許してしまっていくわけです。飼い馴らされているようにも見えるんだけどw

にしても、ホントに、このお姉ちゃんは凄まじい。お姉ちゃん無双状態である。
途中、雨坏の持つ珍しい逆理の力を狙って、魔術師がつけ狙ってくる展開があるんだけど、そこでお姉ちゃんのとった行動が凄まじいの一言。異能とか、一般人の世界とは隔絶した魔術師の領域とか、普通の人間が手も足も出ない世界観、というこの手の作品の定番のルールをガン無視(笑
魔術とか超能力とか異能力とか全く使わず関係なしに、もはや蹂躙! としか言いようのない圧倒的なまでの容赦ないやり口で、魔術師をブチ倒すお姉さまの恐ろしい事恐ろしい事。
ハッキリ言ってこの人を一般人と言ってしまうのは大いなる間違いなんだろうけど。イカレた天才ってやつは、特別な能力があろうがなかろうが関係なし、ただソラはソラであるだけで、魔術師だろうが怪異だろうが関係なく、無敵に無双に踏みつけ蹴飛ばし吹き飛ばしていくわけだ。
そんな人間竜巻みたいなソラを、何だかんだと上手くコントロールしているマシロにとって、雨坏みたいな照れ屋で意地っ張りですぐ顔に考えてる事が出る素直な娘なんざ、簡単に手玉に取れるんだろうけど、その真っすぐさは好感度高かったんだろうなあ。いちいち言葉責めして弄って遊ぶくせに、彼女の事おそろしく優しくて手厚く扱ってるんですよね。
この姉と弟の雨坏への野放図なまでの親愛が妙に心地いいんですよね。傍若無人な振る舞いをしているように見せて、決して雨坏を傷つける言動はとらないし、何くれとなく彼女の事を庇護し光のあたる場所に導くように引っ張ってるし。そんな二人の親愛に戸惑い、半ば目を回しながらも、雨坏の寂しさに傷つき縮こまっていた心が解き解され、ときめきウキウキと弾んでいく様子がまた、実に微笑ましい作品でした。
うん、とにかくお姉ちゃんの存在そのものが痛快で、弟くんの飄々として性格の悪い言動が愉快で、そんな二人に振り回されて右往左往して顔を真っ赤にしている雨坏が愛い、なんとも気持ちの良いお話でした。
うんうん、面白かった!!

さよならの次にくる<新学期編>5   

さよならの次にくる<新学期編> (創元推理文庫)

【さよならの次にくる<新学期編>】 似鳥鶏/toi8 創元推理文庫

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三作目にして、これは最高傑作きただろう!?
二作目の<卒業式編>が日常の中のこじんまりとした事件を幾つか取り扱った短編集だったので、こうしてちっちゃくまとまったタイプの青春ミステリーで行くのかと思いきや、どうしてどうして。
この三作目も当初は同じような路線で行くのかと思いきや、事態が二転三転とまるで予想もしない方に転がっていき、そのたびに「なんとーっ!?」と驚愕に翻弄される。
その予想もつかぬ展開も、実のところ様々な細かい描写、さりげない仕草、それまで捉えていたのとは全く別の側面からスポットを当てることでまったく違う意味を持ってくるエピソードによって、入念かつ丁寧に伏線が仕込まれているので、唐突感はまったくなく「なんとっ! そういうことだったのか!?」という、心地よさのある驚愕なんですよね。
この巻に限らず、二巻でのキャラクターたちの何気ない行動にも三巻での展開に繋がるものがあり、おそらくは一巻の中にもそれらはちりばめられているはず。一巻で伊神さんが「僕は父親にはならないよ」といったたぐいの発言をしているのですが、その時は特になんとも思わなかったのですが、こうして伊神さんにまつわる謎の一端が明らかになった今となると、あの発言がどういう想いを持って発せられたかが色々と想像できてくるわけです。
特に二巻は、まさにこの三巻への仕込、という点があったんだなあ。卒業式での伊神さんのあまりにエキセントリックな行動は、単にこの人がエキセントリックな人だから、と言う点でなんの疑いも抱いていなかったのだけれど、あんな明確な理由があったとは。
伊神さん、卒業してしまってもう登場しないのかと思ったら、むしろ今まで以上に出張ってきたのはちょっと笑ったけど。伊神さん携帯って、葉山くん(笑
呼べばすぐに来てくれる伊神さんが、フットワーク軽すぎるw

今回は謎に満ちていた伊神さんという人間の中身がさらけ出されて、興味深かったなあ。この人は最初から最後まで普通の人間の範疇から逸脱した奇人の類いなのかと思う時もあったけど、というか大かたはその通りなんだけど、もっとシンプルに普通の人間の感性を持った人でもあったんだなあ。
それをよくわからせてくれたのは、まったくもって葉山くんの功績。
なんで伊神さんがこのどこか頼りなくも普通の少年に目をかけ、学校のみんなが何だかんだと彼に頼ってくるのかが、ものすごくよく分かった気がする。
大した奴、というか頼れる奴、というんじゃないんだけど、この子には全幅の信頼を寄せられて、自分の大事なものを預けられるような何かがあるんだよなあ。
柳瀬先輩が彼にちょっかいかけてくるのも、男の見る目があるということか。最後に、新入生のあの子が彼に向ってあんな事を言い出したのも、まあ無理からん。一連の事件における彼の対応、そして最後のあの気配り。まあ、ズキュンだわなあ。なるよ、なるなる。
いやあ、それにしてもあの新入生の子にはビックリさせられたなあ。一度じゃなく二度までもびっくりさせられたもんなあ。柳瀬先輩大勝利! かと思わせておいてアレだもんなあ(苦笑
思えば、表紙絵の彼女は柳瀬先輩じゃなくてこの子の方だったのか。いや、てっきりこのシリーズは葉山くんと柳瀬さんの二人が表紙だと思い込んでたので、新学期編のこの子も柳瀬先輩だと思い込んでたよ。ちょっとキャラデザインが安定しなさすぎだ、とか思っちゃってて全力ですみません!!
違うわけだよ。全然違うじゃないか。当り前だろう、はずかしいっ。
初登場のエピソードだとまだよくどんな子か分からなかったんだが、美術部に入り浸るようになってからの、言動が明晰かつ明瞭でハキハキとした態度。それでいて活発すぎずとても知的で思慮深そうな物腰。彼女の素性やらが明らかになっていくにつれて伝わってくるあの人と似た部分。まあ、無茶苦茶スペック高いよー。正直言って自分は柳瀬先輩派だったんですが、これはちょっと転向させられかねないキラーマイン。
ミノじゃないけど、柳瀬先輩、グズグズしてる暇ないっすよ、これは。完全に来年三月までのタイムリミット勝負じゃないっすか!
実のところ、この三巻を読むまでは柳瀬先輩の葉山君に対する真意が分からない部分があったんですが、ミノをはじめとした周りの人の発言や、実際の彼女の妙に挙動不審な態度を見ていると、これは間違いないかな、と思うようになった。ストーカー張り込みの時といい、合宿の時といい、真相解明編の時といい。いや、でも葉山くん視点だと確かに滅茶苦茶分かりにくいんですよ。これはよっぽど勘ぐらないとわかんないし、勘違いや思い込みの類と言われれば反論しにくいなんとでもとれる態度だしねえ。この人は、あまりに女優すぎるよなあ。
でも、ヒロインアピールとしては、今回の柳瀬先輩は八面六臂の活躍だったと思われ。いや、ヒロインアピールかどうかは怪しすぎる方向だけど。完全に演劇部の女首領だもんなあ。愉快な姐御すぎる。葉山くんが彼女を称して、モデル並みの美人だけれど、しゃべりだすとお笑い芸人にしか見えない、というのはあまりに的確すぎて、いやはや。ストーカーガツン、のシーンでの彼女の唐突なあれは、一瞬マジで信じかけたし。ああいうの、即興でやるんだから、普段の言動もどこまでが真実でどこまでが演技なのか、けっこう分からんぞ。

にしても、面白かった。一巻、二巻で描かれてきたキャラクターたちの個性や存在感をさらに昇華させ、大どんでん返しを何度も用意するあの一巻を彷彿とさせる構成。あくまで青春ミステリーの枠組みから逸脱しない日常の延長線上の、でもとてもエキサイティングで活発な、そして何より、友情や親子の想いといった人情がじんわりと包んでくれる優しい心地。
うん、素晴らしい傑作でした。

ピクシー・ワークス4   

ピクシー・ワークス (電撃文庫)

【ピクシー・ワークス】 南井大介/バーニア600 電撃文庫

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すっげええ。もう、これは凄いとしか言いようがない。この作者、何を考えてこんなとんでもない常軌を逸したキャラクターどもを造形したんだ!?
もう、メチャクチャ面白かった。何が面白かったって、コイツラのイカレっぷりですよ。
女子高生女子高生って、こいつらそんな【女子高生】なんて肩書きで語っていい存在じゃないでしょう!? 女子高生なんて甘酸っぱい響きによって結ばれるような人間じゃないよ、こいつらは。こいつらは偶々今高校生というだけで女子高校生という枠組みの範疇に入ってしまっているだけの、化け物どもですよ。こんなのを女子高生なんていったら、普通の女子高生に失礼だ。
女子高生が戦闘機を直して飛ばす青春モノ、なんて風に要約したらこの作品の姿形がまるで違うものになってしまう。
彼女らが優秀だから、尋常ならざる能力を持ってるからそう言ってるんじゃないですよ。能力の問題ではなく、彼女らの人間性とか内面の問題。
青春!? 青春!? 冗談じゃない。これがそんなお話か。
ハッキリ言って、これは頭のネジが二、三本抜けた狂人にして人格破綻者、社会不適合者にして紛うことなきマジもんの悪党、すなわちマッドサイエンティストどもが、己が趣味と好奇心と冒険心と享楽、欲望のままに踊り狂う、魔女の宴、ワルプルギスの夜の物語。

あまりに優秀でありすぎるが故に、彼女たちの視野は自分たちの見える範囲で完結してしまっている。そこには思想も俗欲も公共心も社会に対するモラルもなく、自分と手の届く範囲の仲間たちのためだけに、そのウルトラハイスペックな能力は発揮されるのだ。
彼女らのやってることは、否定しようのないテロルであり、犯罪そのものにも関わらず、彼女らの中に罪悪感というのは欠片もない。
信念や郷愁めいたものも皆無なんですよね。芹香がヴァルティに空に行こうとするのは、死んだ父を身近に感じたいためか、と問われて、一切そんな事を考えていなかった事に気がついて衝撃を受けるシーンがあるんですけど、それが特に象徴的かな。こういうシーンを挟んでくるあたり、彼女らの破綻した部分と言うのはかなり意図的に組まれている気配がうかがえる。
空恐ろしい事に、自らの身体的・社会的危険性をまったく考慮に入れないこの試みを、彼女らはまったくあっさりと娯楽のため、と明言してるですよね。
それがいっそ、痛快であるのが、この物語の面白い所。人によっては、耐えがたい嫌悪を覚えるかもしれないけど。
個人的には、決して無邪気に無思慮無自覚にこういう連中を書いているのではなく、自覚的にイカレ壊れた悪党として描いているようなので、気にはならないけど。
まあ、色々と舐めて生きてる連中であるのは確か。そのうち、痛烈に痛い目を見そうではある。実際、この作中でも痛い目見かけてるし。そうそう甘いもんじゃねえぞゴラァ、というのが怖ぁい大人の人たちによって爪先で鳩尾蹴りあげられるみたいに、一発食らってるし。
その程度で凝りそうにないのも、また確かなんだけど。悪い連中だねえ。悪党だねえ。

環太平洋戦争と呼ばれた戦争から15年。どうやら総力戦ではなかったものの、それに近い大戦争であったようで、インフラその他はほぼ回復しているようではあっても、まだ<戦後>がリアルタイムで進行しているような時代であるが故に、寄って立つべき国家という柱が威信をなくし、社会そのものが撹拌され希薄となり、枠組みとしての意義を取り戻すことがまだ出来ていないような時代だからこそ、このような子供たちが生まれてきたのかもしれないなあ。
なんにせよ、この子らがとてもじゃないけど平和な世界で平和に暮らしていけるような連中でない事は確かだ。この子らはあまりにナチュラルに社会の規範を踏み越えすぎている。秩序が崩壊した世界、それこそ乱世だとか世紀末だとか、そういう世界でこそ勇躍しそうなイカレた連中だもんな。

なんにせよ、面白かった。一言で言うなれば、痛快である。オーヴァー?

翼の帰る処 2.鏡の中の空(下)5   

翼の帰る処 2下 (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-4)

【翼の帰る処 2.鏡の中の空(下)】 妹尾ゆふ子/ことき 幻狼ファンタジアノベルス

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さわりだけ、とページ開いたのが運の尽き。気が付いたら、全部読んでたよ! 運じゃなくて、どう考えても自業自得だな。面白いと分かっているものを開いて、さわりで我慢できるはずがないと理解しているのに。それでも、さわりだけと言い訳をして開いてしまうのは、目前にモノがありながらそれを無視することが叶わないというだけのこと。
なんだ、単純に読まずに置いておく事が我慢できなかったというだけのことか。

何の因果か、単なる下級官吏だったヤエトが四代大公の一角であり、空席となっていた黒狼公の座に就く羽目になったのが上巻のお話。
国に引き上げとなった北領の相として、主の皇女を支える傍ら、自らも黒狼公の領地を治める事になったわけだけど、前回の最後で皇女が転がり込んできたんですよね。そのお陰で、このシリーズが始まって初めてじゃないかというくらいに、ヤエトと皇女が一緒に行動することに。事実、一巻まるまる、ほぼ行動を共にしてたのは今回が初めてだったはず。それまではなんだかんだとけっこう別行動が多かったしね。それに、まだ北領に居た最初の頃は、皇女とは本当に打ち解けた仲じゃなかったしね。これだけ親密な関係になったあとでは、はじめてだったはず。
おかげで、これまででも十分魅力的だった皇女様の魅力をさらに弥増すはめに。
ヤエトと皇女、それにルーギンを加えた三人組。この三人、ほんとに仲良いんですよね。これまで気づかなかったのは、この三人がプライベートな空間で一堂に会して顔を付きつけ合ってガヤガヤ言い合うシチュエーションが殆どなかったからだと思うんだけど、とにかく仲がいい。ルーギンが皇女をどう思ってるのか、微妙に分からないところがあったんで、いきなりチビ呼ばわりしだしたときは吹いたなあ。まさか、ここまで本気で「可愛がってる」とは思わなかった。
ヤエトもヤエトで、二人や三人で砕けた調子で話していると、皇女に対して主君や師として接するよりも、一人の女の子として扱うような素振りを見せる場合が出てきてるんですよね。
こうなってくると、この三人。なんだか兄妹のようにも見えてくる。それこそ、皇女の本当の兄弟たちよりもよほど。
随分、末妹に甘いお兄ちゃんたちですけど。
ただこの皇女さまは、女の子として、妹分として以上に、やはり皇女として、主君としての大きな器こそが魅力的なんですよね。
ルーギンにしてもヤエトにしても、彼女の口から放たれる言葉に我知らず己が内に押し込めていた真意を掬いあげられ、曇りかけた目を開かされること度々。また、倦んでいた心を晴れやかにし、頑なに凝り固まろうとしていた気持ちを解きほぐしてくれる事もあり、皇女がヤエトたちによって支え導かれる存在でありながら、同時にヤエトたちを包み込み力を湧き立たせてくれる大きな存在として立脚してるんですよね。それをして、ヤエトはいずれ彼女が独り立ちし自分など必要としなくなる、なんて思ってるみたいですけど……まったく、わかってないよなあ、この人は。彼女が彼女である限り、ヤエトを必要としなくなるなんて事、あるはずがないというのに。
まあ隠居したいそろそろ余生をゆっくり過ごしたい、死んでもいい頃だ、などと嘯いているヤエト師ですけど、実際のところまだ三十代の働き盛り。若く、まだまだ人生の機微について学ばねばならない歳の頃。ようやっと、皇女は遠くに離しておくのではなく、目の届く範囲に置いておくのが正解だ、と気づいたように、自分の在り様、他人との関わり方の妙についても、これから学んでいくのでしょう。

僕は友達が少ない4   

僕は友達が少ない (MF文庫J)

【僕は友達が少ない】 平坂読/ブリキ MF文庫J

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これ、タイトル詐称だろう。この場合、表現に正確を期すならば、タイトルは【僕は友達が少ない】じゃなくて、【僕は友達がいない】じゃないですか。「少ない」と「いない」とでは天と地ほど実像に違いがあるぞ!?
と、このように、いないものを少ないなどと言ってごまかしてしまう残念な小人物が主人公のお話である。ああ、タイトル詐称じゃないな。実に深くも端的で分かりやすい意味のこめられた見事なタイトルじゃないか。

でも、実のところこの友達のいない隣人部の面々。多少エキセントリックで残念な部分はあるものの、性格的にはそれほど突飛な人たちじゃないんですよね……などと言ってしまえる自分は相当ラノベ業界に毒されてしまっている気もするが。でも、漫画やラノベに出てくるキャラクターとしては小鷹にしても夜空にしても、星奈にしてもそれほど突出した変人というわけでもないのである……いや、エア友達とか作っちゃってる時点でも相当突出して残念な気もしてきたが。エア友達はヤバいよなあ、うんヤバいよなあ。
まあ兎も角、この連中が凡百の残念な人々と違う点は、なにより自分たちに友達がいない事を気にしてしまっている点なのだろう。なにしろ、他の作品に出てくる性格的にアレな連中は、性格がアレなせいか自分の周りに友達がいなくても気にしない場合が多かったり、なぜか親友がいたり、友達が多かったりするパターンが多いからな。
残念な性格なくせに友達がいないのを気にしてしまうというのは、なんとも残念な話である。
ちなみに主人公の小鷹はかなり普通の人間に見えるけどね。普通に見えてアレだったりするケースもあるけど、彼の場合は単純に間が悪かったとしか考えられない、まったくの常識人であり普通人。というか、周りのクラスメイトたちの方が少々おかしいんじゃないのか、これ。
まあ、第一印象は外見と言うのは大事なんだよね。身嗜みはきっちり整えておきましょう。ギャルゲプレイして、女の子の攻略無視して親友エンドに突っ込んで大満足してしまっているあたり、どれだけ寂しいんだ、とちょっとマジで泣けてきたけどな。

そんなこんなで友達のいない子たちが友達を作ろうと作った隣人部。そこに集った、現在三名の部員。羽瀬川小鷹、三日月夜空、柏崎星奈の三人。さらに、後後楠幸村を含めて何人か入ってくる事になるみたいだけど、とりあえずは前者三名がメインとなってくるみたい。なんともくだらなく、ばかばかしく、そして切実で一生懸命な三人のやり取りがなんとも笑えて、なんとも微笑ましい。彼らの友達づくり大作戦というのは、もう空回り以前に回ってすらいない状態で、いったい何やってんだこいつら、仲いいな、って感じなんだが、そのドタバタっぷりがなぜだかポカポカと温かいんですよね。賑やかさにぬくもりが感じられる。
私、この作者の作品はデビュー当初に何冊か手を出してるんですが、もっと小賢しさというか、筋立て、話の流れ、キャラクターの挙動に作者の計算高さが透けて見えて、どうにも楽しめなかった記憶があるんですよね。
それでしばらく遠ざかっていたのですが、ラノベ部の評判を聞いて再び手に取ってみて、これが以前までの印象とガラッと変わってて、凄く面白かった。その面白さが、より奔放に伸び伸びとした感じでこの作品からは伝わってくるんですよね。あとがき読むと、わりと趣味満載自由に描いてる、みたいなことを書いてらっしゃるんですが、私はこの人の場合、変にカッチリ考えて書くよりも、この作品みたいに伸び伸びと好き勝手に書いてる方が性に合うのかも。
ただ、あの変名。元ネタのまんま名前出すのは難しいかもしれないけど、ああいう安易な名前の変え方させられると、どうも、ねえ(苦笑
PSとかくらいなら、別にそのままの名前で出しても良さそうなもんなのに。
まあ、あれはマズそうだけどな。聖剣の刀鍛冶とか。いいんですか、あれ。同じレーベルの作品をエロゲにしてしまって。めっちゃ笑ったわw
しかもエロシーンのテキスト、朗読させられてるし。星奈と夜空ってガチンコで渡り合う関係かと思ったら、段々と夜空に好い様に弄られる星奈、という関係になってって、可哀想と言うか爆笑というか。
これで星奈さん、ひどいアダナで呼ばれるの、アダナで呼ばれるの初めてだからってひそかに喜んでたり、何気に夜空と喧嘩するの楽しんでたりと、高飛車な表面とは裏腹の素の顔が妙に初心っぽいのがやたら可愛らしいんですよね。
これで、プールのイベントとかでめっちゃ女の子の顔とか見せてくれてるし、ヒロインとして一気にポイント稼いできてるんだよなあ。
一方で、夜空の方は彼女の方でものすごいアドバンテージをひそかに抱えてるみたいだし。というか、あれ。実は最初から気づいてて小鷹のこと引っ張ったのか? エア友達を見られたのは偶然だろうけど、いやそれも偶然ではないという可能性もあるのか。
ただ、夜空や星奈との関係って、真の友達を手に入れるぜ、という皆の目的からすると、絶対どっかで相容れぬ形でぶつかるはずなんだよなあ。
仲良くなればなるほど、爆弾の導火線は短くなっていくわけだ。何気に、意地が悪いぞ、これ。


とはいえ、ワタクシ的に一番のクリティカルヒットだったのは、妹ちゃんだけどな!!
なにこの子、マジ可愛らしいんですけど! うわーーー、頭撫でてー。
普段の成り切り邪気眼中に病ですらも、一生懸命なりきってる、って感じで、うんうん頑張れー、と幼稚園でハンディカメラ持ってお遊戯撮影している親御さん的な気分で応援したくなる可愛らしさ。
出来れば、擦れずに育ってほしいねえ。くぅ、「あんちゃん!」の呼び方にこれほどクる瞬間がこようとは。
あんまり素の口調で喋るシーンないけど、これって大分か博多あたりの方言なんだろうか。
しかし、小鷹は妹と二人暮らしというのもあるんだろうけど、かなりしっかりお兄ちゃんしてるんだな。シスコンとは程遠い落ち着いた接し方だけど、よく面倒見てるし構いすぎず突き放さず、妹の奇行も変に弄らず、ムキになって治そうとせず、かといって真面目には取り合わず、でもそれなりには相手をしてやっているという、絶妙のバランス感覚。
なかなかスペック高いんだよなあ、小鷹って。いいじゃんもう、友達できなくったってw

鷲見ヶ原うぐいすの論証4   

鷲見ヶ原うぐいすの論証 (電撃文庫)

【鷲見ヶ原うぐいすの論証】 久住四季/カツキ 電撃文庫

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やっばいなあ。鷲見ヶ原うぐいすの可愛さが尋常ではない。性格もひねくれてなくて、主人公を虐めたり罵倒したり足蹴にしたりすることもなく、素直に「ゆずさんゆずさん」と懐いてくる。その様子は明らかに小動物系なんだけど、頭の中までお子様というのでは全然なく、むしろ理知的で礼儀正しく落ち着いた物腰で大人びてすらいる。
さすが探偵役だけあって頭脳明晰で知識も潤沢、主人公の足りないお頭では難易度の高い文言がスラスラと出てくる賢人なんだけど、それでいて主人公への態度は胡乱どころかとてもストレート。かといって強引でも押し付けがましくなく、控え目で慎ましくそっと指を絡めてくるような、服の裾をつまんで引っ張るような好意の見せ方が、それはもうとてつもなく可愛いんですよ。もう、メチャクチャ可愛い。
主人公は例にもれずの鈍感野郎なのですが、こうも素直に好きだよ、という態度を見せられたら気づかざるを得ないし、無視もできない。どころか、見事なくらいにパックリと心奪われてしまっているわけですから、いっそ絶妙な匙加減というべきかもしれない。

さて、肝心の本編ですが、これは見事なくらいに直球なミステリー。クローズドサークルにおける殺人事件。いや、ここまでしっかりとしたミステリーの格式を整えて書く人は、ライトノベルのレーベルで書いている人では滅多にいないし、その中でも久住さんはまさに筆頭格と言えるんじゃないだろうか。むしろ、メフィストの方で書いても全く見劣りしないんじゃないかとも思われる。
わりと小じんまりした印象を受けるのは、畳みかけるようなどんでん返しが次々と起こるような展開ではなく、一つの事件の発生とその解明にじっくりと手をかけているからで、むしろ構成の完成度という点を見れば非常に精緻に整えられているとも言えるだろう。
ただ、一度この人の手掛ける、とんでもない大事件、というのを読んでみたい気持ちもある。それには、よほど分厚いページ数を確保するか、それこそ新書の方に進出するか、しかないんだろうけど。



事件に巻き込まれても冷静で取り乱すことなく対処していくんだけれど、強引な行動に出る事も破天荒な奇行に及ぶこともなく、とにかく探偵役としては珍しいくらいに真人間。事件や関係者に対する態度も変にクールだったり厳しかったりするような冷徹さは微塵もなく、非常に柔らかく優しげな物腰なんですよね。

封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ 54   

封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ〈5〉 (ルルル文庫)

【封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ 5】 霜島ケイ/也 ルルル文庫

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桐子婆さまの若かりし頃。時代の闇が世に影を落とし始めた昭和の初めを舞台とした封殺鬼シリーズの番外【鵺子ドリ鳴イタ】もこの五巻でついに完結。
僅か10歳で神島家の当主を継ぎながら、その際の継承者争いで兄を喪い、深く心に傷を負っていた桐子も、聖と弓生に支えられ、宇和島夫妻の親愛を受け、なにより志郎との出会いによって、一巻の時とは見違えるようにその在り方を変えたように見える。
他人を寄せ付けず、全部一人で抱え込もうとしていた彼女が、兄や従兄の裏切りとその死の影響で、他人を信じられず、なにより自分のために誰かが傷つくことを過剰な位に怖れていた彼女が、今回神島の当主として乙夜の儀式を破壊する際に家人たちに出した命令には随分と驚かされた。
確かに、あの命令は酷薄にすら見えるけど、家人たちを信じていないと決して出せないものなんですよね。以前の彼女なら、絶対に口にしなかった令なのです。なにより、乙夜に神島家の者たちが馬鹿にされた時には、敢然とそれを否定して見せ、その力を誇って見せている。
いつもどこか張り詰めて、いつかひび割れて壊れてしまいそうな危うさの上に立っていた桐子だけど、今の彼女は名実ともに当主として相応しい在り方を身に付けたんじゃないだろうか。
それと同時に、宇和島の奥方の前や、志郎の前では歳相応の子供らしい顔、我儘で気位の高い年頃の女の子らしい顔を素直に……ではないけれど、隠しきれないほどあからさまに見せるようになってきた。
当主としての桐子と14歳の少女としての桐子。その二つの顔が矛盾なく両立するようになってきて、以前の不安定さはもう見えなくなっている。
桐子の傷は、信頼できる人々との出会いによってようやく癒えたのかもしれない。彼女の奈落のようだった洞は、埋まったのかもしれない。
そういえば、前の巻での感想で悠久の時を生き続ける聖と弓生の絶対に届かない絆にこそ、あれほど二人に大切にされながら彼女の空隙が埋まらなかった理由があると書いたけれど、ここで彼女は彼女だけの絆を、ついに手に入れたんだろう。
自分の友達は君だけだ、と言われてこっそりと喜び、幽玄の狭間で捨てた想い出を取り戻してもらい、さらに未来の約束を交わして……。
志郎は今まで、どうにも桐子の扱いがそっけない向きがあったけど、あの桐子の洞を目の当たりにして怒ったあたりから、明確に態度が変わってきた。それでも、まだあまり彼女を女の子として見ている素振りは少なかったんだけど……此方もちょっと変わってきたのかも。
少なくとも、とても大切な存在だと明言するほどには。
この巻の末に、二人がやがて結婚することが明示されている。二人の行く末がどうなっていくのか、【封殺鬼】シリーズを読破した方ならご存知の事だろう。桐子が言ったというあのセリフ、シリーズを通読していた時には神島桐子という人物の峻厳さを示すエピソードとして捉えていたのだけれど、実際にこうして彼女の少女時代、そして志郎という人との絆の在り様を知ってしまうと、どれほどの想いを抱えてあの言葉を発したのか、胸が震えて仕方がない。

二人の物語はまだ始まったばかりなのだという。二人のその後、それこそ結婚に至るまでのエピソードなんかも読みたいのは言うまでもなく。できれば、もう一シリーズ桐子様で行って欲しいなあ。
それこそ、桐子さま一六歳! とかで。
と、云いつつ、本編の方の後日譚あたりでも大歓迎なのだけれど。最近、佐穂子分が足りないんだもんね。


にしても、あの人の正体については、もうまったく最後までまるで気がつかなかっただけに、あっと言わされた。それこそ、見た通りの人だと思っていただけに。言われて振り返ってみると、確かに伏線らしきものはそこかしこにあったんだけど、いやもうさっぱり気がつかなかった。やられたなあ。どうにも軍人だけが一方的に時代の闇に蠢く悪役にされて微妙に違和感感じてたんだけど、見事にひっくり返された。
そのうえで、その彼の口から語られることによって、どうしようもない時代の流れ、妖怪や怪異とは全く別の、不気味で如何ともしがたい人間の社会の蠢き、というものを示されたみたいで、この時代の名状しがたい重たい雰囲気がひしひしと伝わってきたように思う。


この巻は短編のCDドラマが付属していたのですけど…また沢城さんかい! この人、最近はほんとに売れっ子だなあ。まあ、それだけの実力者だと言うことなんでしょう。毎回驚かされっぱなしだし。
聖の人はかなりぴったし。弓生は思ってたより渋いなあ。
話的には桐子さまをもう存分に堪能できたので、大満足。まあ、志郎はああいう怒り方はしない変人だと思うんだけど。


そういえば、作中で本物の鵺が鳴いてたけど……いいのか、あれで?(爆笑
仮にもシリーズタイトル【鵺子ドリ鳴イタ】なのに。志郎も呑気というか、わざわざ本物連れてこなくてもよかろうに。いや、でも実際あれは腹立つ。あの鳴き声はイラッとくる。源頼政の鵺退治・新説だなw
しかし、この封殺鬼に出てくる妖怪たちって、けっこうコミカルというか、天然というか。一反木綿なんか、けっこうヒドイ扱いだぞ、あれ。幾ら文字が書けるからって手紙扱いって。挙句、洗濯してOKなのか、一反木綿w

世界平和は一家団欒のあとに 8.恋する休日5   

世界平和は一家団欒のあとに〈8〉恋する休日 (電撃文庫)

【世界平和は一家団欒のあとに 8.恋する休日】 橋本和也/さめだ小判  電撃文庫

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ああ、もう否定はしないんだ柚っち。

このあいだ久し振りに三人で帰ったときなんかねー、あの二人ときたら『そういえばこの間のあれ、どうなったっけ?』『それなら昨日ちゃんと言っといたじゃない。しっかりしてよ』とか、もうアレとかコレだけで会話してるの。傍で聞いてる身としては、もうこれ、どこの熟年夫婦ぅー!? みたいな感じでね。もう香奈ちゃんが呆れながらお兄ちゃんに靴下の場所を教える光景まで目に浮かぶよ。


というわけで、毎回家族の一人にスポットを当てて物語が展開するこのシリーズも、遂に星弓さん家のお嫁さんこと、柚島香奈子のターンきたぁぁ!!
よっしゃ、テンションあがってきたッ。
とか言いつつ、実は妹・美智乃のターンでもあったわけなんですけどね。
星弓家のお婆ちゃん。随分と昔になくなっている織花と、祖父の腹心である煉次の若かりし頃のラブロマンスがまた、セピア色をして切ないんだ。
かつて、大切な存在を守ると誓ってその誓いを果たせなかった男の哀愁が、数十年の時を超えて、織花に瓜二つだという美智乃へと差し向けられるというお話。
こうして見ると、男と言うのはいつだって思いあがっていて、女の子の本当の気持ちになんか気づいていないのだ。それが優しさであれ、愛情であれ、ただ一方的なものでしかないのなら、女性はそれを受け入れない。その人の事を想っていてこそ、受け入れない。ただ守られることを良しとせず、支えあって生きていきたかったという願いを、男は大切に思うが故にわかってやれない。

「守るだの守られてるだの、たったそれだけの関係なんて、ちょっと寂しいじゃない?」
「私たちはお互い様よ。できれば対等な関係でいたいの」


そう考えると、尻に敷かれて頭が上がらない関係というのは、むしろ最適なのかもしれない。女は負い目に思わず、男は思い上がらず、素直な感謝で結びあう、それはきっと、素敵な絆。
改めて、香奈子と軋人の関係は見ていて気持ちいいなあ、と思わされた。香奈子は本当にいいやつと巡り合えたと思うし、軋人も勿体ないくらいの娘に引っかかったもんだ。
それにしても、香奈子が軋人の事を好きなのか、と問われて明確に否定とか誤魔化しとかせず、消極的にだけれど認めるそぶりを見せたのは驚きだった。柚っち、ちゃんと自分の気持ち認めてたのかー。
そうなると、二人の関係が進展しないのって、二人が不器用だから、というよりも、現状維持を二人ともが望んでるから、というべきなのかもしれないな。お互いはっきりとは言わないものの、自分が相手を好きで、相手も自分が好きだという感覚は伝わってる。だったら、それでいいじゃない、みたいな。これで軋人が無神経で鈍感でフラフラしがちな野郎だったら、香奈子ももうちょっと関係をはっきりさせてしっかり捕まえないと、という焦燥感に駆られるんだろうけど、軋人ってあれで結構気がきく所も多いんだよね。無精者ではあるんだけど、意外と香奈子のこと良く見てて、自分がまずい行動とって彼女の機嫌損ねたら、ちゃんとまめにフォローにかかるし。大雑把なようで、細かいところに気がついて、香奈子のことしっかり大切にしているし。そうなると、香奈子からすると今の状態でも安心しちゃって焦る必要感じないんだろうなあ。
包容力があると同時に、あいつは無茶しがちですぐ突っ走るから、自分がついていなきゃ、という母性本能を擽るところもあるんだろうし。
隣にいるのが、今の段階ですら自然な状態で、それはこれからもずっと続いていくだろうという感覚。それが、今の状態で二人の関係が遅滞してしまってる原因なんでしょう。
まあ焦らないでも、いい雰囲気にはたびたびなってるからなあ。美智乃が危惧するみたいに、このままなあなあで有耶無耶になっちゃう、って事はないように思う。でも、美智乃も今みたいにもっと二人の背中を押すようなちょっかいはドンドン掛けていいようにも思うな。二人ともあれで意固地なところ少ないし、案外美智乃の企みにひょいひょい乗りそうな所もあるし。余計なお世話ではなく、本当に進展のきっかけみたいな事になってもおかしくなさそうだからね。

とまあ、そんな二人の理想的な関係が、煉次の心に長年影を落としてきた呪縛を解きほぐし、辛く哀しい想い出を温かな想い出へと昇華させたという、終わってみればやっぱり素敵でハートフルなお話だったなあ。
美智乃も、今回はずいぶんといろんな顔を見せたな。普段は破天荒でアグレッシブすぎるくらいアグレッシブな娘だけど、年下なくせに姉さん女房全快な香奈子と違って、もしかしたら美智乃はわりとしおらしくなるタイプなのかもしれない。そういえば彩ねえもわりとそんな所あったような。
さらわれてる時の態度とか、香奈子にポツリと漏らした告白を聞くに、この娘なりに本気だったんじゃないだろうか。そうなると、最後に彼に告げた言葉というのが、けっこう切ない意味を以って聞こえてくる。

叶わぬ恋の、また麗しき哉。

翼の帰る処 2.鏡の中の空(上)5   

翼の帰る処〈2〉鏡の中の空〈上〉 (幻狼ファンタジアノベルス)

【翼の帰る処 2.鏡の中の空(上)】 妹尾ゆふ子/ことき 幻狼ファンタジアノベルス

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やっぱり面白いなあ、これ。まったく、べらぼうに面白い。
隠居して余生を過ごしてとっとと死んでしまうのが当面の夢です、希望です、と公然と口走り、その並外れた虚弱体質で事あるごとに熱を出してぶっ倒れる主人公のヤエト様。
その自らの生き死ににも頓着しない生き様から派閥争いに巻き込まれて、北領という帝国でも辺境の僻地に左遷されたのが運の尽き。左遷だ左遷だと喜んでいられたのも最初のうちだけ。ただの下級官吏だったのが、尚書官という文官の責任者に祭り上げられ早々に北領の未開人たちに振り回され、北領の太守として派遣されてきた皇女に見初められて、副官に任命されて、一心不乱に働かされる羽目に。
まー、それだけでも隠居から遠ざかり、ご愁傷さまというところだったのに、今回北領が国に格上げされたのをきっかけに、皇女からは相――首相・宰相的役職と考えていいだろう――に任命された挙句に、本国では貴族として召し上げられることに。その任命された貴族の位が、またえらいことになってしまい……と、とっとと隠居したいはずの男の転落人生の物語w
傍から見ると、ものすごい成り上がり、立身出世、栄達なんですよね、これ。にも関わらず、本人的にはまさに転落人生(笑
この一冊の中で、今回ヤエトは一体何回、面倒くさい、もういやだ、逃げ出したい、隠居したい、というかいっそ死にたい。死んでしまいたい。と内心で連呼してたか。数えるのも馬鹿らしいくらい、そればっかり考えてるんだから。
でも、自業自得なんですよね。この人、客観的にみるととてつもなく有能なんですもん。面倒くさいといいつつ、しっかり仕事こなしているし。本人自覚ないですけど、ルーギンがその自覚のなさに発狂しながら指摘しているように、まさにこの人一人の存在が北領を支え、後継者争いに紛糾しつつある宮廷闘争の中で皇女を守っていると言っても過言ではないくらい。彼がいなくなれば、それだけですべてが崩壊し、破綻してしまうくらいには、彼は重要人物になってしまっている。
実際、ヤエトって面倒くさいといいつつ、仕事に関してはどれほど立場があがり、変わっても、そりゃ難題には頭を悩ませますけど、戸惑う風もなくテキパキとこなしていくんですもん。はっきり言って、さすがに皇帝陛下から爵位を賜ったあとなんか、そんな位を頂いてはたしてやっていけるのかいな、と思ってたら、案外困った風もなくこなしちゃってるんですよね。これには正直驚いた。物怖じしない人だとは思っていたけれど、まさかこれほど適性を見せるとは。私も、皇帝が彼にあの位を与えたのはけっこう嫌がらせの向きもあったように思うけれど、ただそれだけではなかったのかもしれない、と彼の働きぶりを見るに思いましたね。
この人、ほんと面倒くさいとは言っても、無理ですとかできません、とは思う事すらしないんだからなあ。
だから、そんな手を抜かずに真面目に働いて有能さを知らしめるから、夢である隠居から遠ざかってしまうんだって(苦笑

さて、問題だった帝位の後継者争いは、各皇子たちの背景や人となり、現状の政治的立場などが詳しく情報を出してきてくれたお陰で、かなり現在の状況がクリアになってきた。なるほど、皇女殿下はかなり面倒くさい立場にあるんだな。それでいて、本人にはその危機意識がかなり薄いと。彼女の善良で真っすぐな人となりは、こうした状況では決してプラスには働かないということなんですね。それを補うのはヤエトやルーギンの役目でもあるのですけど、ヤエトは切れる割に自分の身の安全に対しては皇女殿下並みに無頓着ですし、ヤエトってわりと皇女のこと甘やかしてるんですよね。その意味では、ルーギンはかなり苦労しているのかも。
そう、今回読んでて改めて思ったけど、ヤエトって皇女に対してかなり甘いところがあるんですよね。普段は厳しく現実的な物言いで皇女を指導しているヤエトなんですけど、第三皇子の裏切りについて皇女の心が傷つくのを慮って言を控えたり、弱った皇女に対してスッっと甘い言葉をささやいて労わったりと、この男、時々、そう、本当に肝心な時に、無自覚にけっこう皇女の内面にズケズケ踏み込んで他人が触るべきでない部分まで、撫でていくような所があるんですよね。あの場面で名前呼ぶとか、反則でしょうに。ほんと、ヤエトはまるで自分が皇女をどのように扱ってるかわかってないんですけど。ただの臣下がするような事じゃない事をしてる自覚がまるでない。
そういうことをするから、段々と皇女が、自分を臣下や師という存在以上に見始めていることに、まったく気づいていないわけです。
まわりは、みんなわかってるのに、ねえ(苦笑
皇女本人にどれだけ自覚があるか、それはわからないけれど、今回の最後のシーンで、ああいう状態になった時にヤエトにだけは見られたくない、なんて口走っていたのを見ると、どうにもこうにも…ねえ?
それに、ルーギンはじめ、周りはみんな、そうなることを望んでいるみたいだし。幸か不幸か偶然か作為の結果か、そうした展開が決して不可能ではない立場に、ヤエトは立っちゃってるわけですしねえ。
はてさて、どうなることやら。

いやさ、この最後の展開はかなりニヤニヤさせられますけど、ルーギン兄さんはもうグッドジョブとしか言いようがない。


一方で存在感を増していたのが、ジェイサルド御大。何を考えているのかわからない不気味な所のあった人ですが、ようやくここで今の彼の目的が明らかに。こうなってくると、どうやら心底ヤエトに味方してくれるみたいだし、この上なく頼もしい存在だわなあ。
あと、シロバが鳥のくせになんかヤエトのお袋さんみたいなのが笑った笑った。

紫色のクオリア5   

紫色のクオリア (電撃文庫)

【紫色のクオリア】 うえお久光/綱島志朗 電撃文庫

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……言葉を失うという感慨を久々に味わわされた。
これはすごい。本当にすごい。
本物の傑作。紛う事なき傑作。完全に抜きん出た、卓抜した凄まじい傑作。
すごいものを読んだ。まったく、凄いものを読んでしまった。
これほど際立ったSF作品にも関わらず、同時にライトノベルとして一つもぶれていないのだから、もはや呆気にとられるしかない。
まいったな、これは。体の芯から揺さぶられたまま、未だにうまくこの作品を咀嚼し切れていない。
正直、これをネタバレなしに語るなど難易度が高すぎるんだが、いやネタバレをしたからといって小揺るぎもしないんじゃないのかとも思うんだが、だからと言ってどんな小さな瑕疵すらも付けることに怖れ慄いてしまうこの感覚を無視できようはずもない。

しかし【少女とロボット】というテーマから第一話「毬井についてのエトセトラ」へと至る時点でその発想のぶっ飛びっぷりはおかしいとしか言いようがないのに、そこからどうやったら第二話の「1/1,000,000,000のキス」に発想が至るのか、もはや常軌を逸しているとしか思えない。なんなんだ、この話の転がりっぷりは。
第二話が始まった途端、第一話のあらゆる要素が起爆剤となり、物語は尋常ならざる速度で加速していく。それは規定されたルールを飛び越え、常識を乗り越え、可能性という可能性を網羅し、人であることすらかなぐり捨て、ただ一つの目的を達成するためにあらゆる観測点を踏みにじり、世界の外へと飛び出していく。
その果ての果てに辿り着いた場所で遭遇したもの、それこそが彼女の誤謬であり到達点であり、回帰であったのだ。
ここで思うのだが、これほど遠大な探求を成し得ながら彼女が目的を達成できなかったのはなぜなんだろう。ここで目的の対象である彼女の言は、あまり全面的に信用できないように思う。なにより彼女は、対象以外の運命はほぼ完全に操作しきっていたからだ。
そして、果てでのあの邂逅。まるでお釈迦様の手のひらの上を彷徨っていたような感覚。
そう、万物理論へと至るまでのあれほどの段階に達した彼女ですら、結局あの子のいた地平には辿り着く事は叶わなかったという事になるんじゃないだろうか。
というよりも、そもそも回帰することで既に辿り着いていた同じ地平に戻ってきた、と言えるのか?
いや、でもそういうメンタル面の話ではなく、存在の階梯という意味ではやはり、ああなってすら辿り着けない断絶があったような気がする。
それでも、着地点としてこうなるのは、正しくライトノベルであったというべきか。でも、IFでのあれを考えると、色々と意味深に推測できることも多々あるわけで……まいったなあ。

とにかく、ものすごい作品である。このドライブ感に巻き込まれれば、それこそどこまでも、人が本来辿り着けるはずのない地平の先まで覗けてしまいそうな恐怖感と興奮に取りつかれることだろう。
繰り返す。紛うことなき、これは傑作である。
 
12月3日

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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(MFブックス)
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(KADOKAWA)
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11月22日

(MFC)
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(MFC)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスpixiv)
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11月20日

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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(GCN文庫)
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11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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11月18日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガブックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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