書籍感想(2011

キャットテイル・アウトプット! 24   

キャットテイル・アウトプット! 2 (MF文庫J)

【キャットテイル・アウトプット! 2】 神野オキナ/西E田 MF文庫J

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ネコミミ宇宙人の少女・メアリーを護衛しつつ“聖メラヴィア女学院”に女装して通うことになった次元捜査官・七文字綴。類い希な容姿のおかげで、他の女性徒から熱いアプローチをかけられるなど、なんだかんだ言って華の女学園生活を楽しんでいるかに見える(?)彼の前に、かつての同僚が現れる。彼女の名前は十見レイカ、同じ次元捜査官候補生の中でも1、2を争う戦闘力を持つレイカが女学院を訪れた理由とは…!?一方メアリーを狙う新たな敵が出現。オルティオート教授を利用し襲撃を企てるのだが―!?ネコミミ×猟犬の本格アクション第2弾登場。
粗筋では次元捜査官になってますけれど、これって時限特捜官の間違いじゃないかしら。本文中ではそうなってますし。ウェブサイト上だけの誤植じゃなく、本の裏表紙のあらすじでも同じ事になってるのですがこれ如何に。

さて、本編の方ですが、一巻に引き続きスパイアクション、謀略サスペンス、要人警護モノとして実に素晴らしい出来栄えになっている。面白い面白い♪ 今回から明確な敵役、それも明確に邪悪で奸智に長けた悪魔のような存在が、悪意たっぷりに陰謀を仕掛けてくるので、ハラハラしながら陰惨な謀に立ち向かうメアリーたちを手に汗握りながら見守ることになる。まさにエンターテインメントだ、これ。
一巻の感想でも言及しましたけれど、主人公の綴がライトノベルでは珍しく、アマチュアではなくプロフェッショナルであるために、色々と安心して見ていられるんですよね。いきなり突拍子も無いわけの分からない行動に走ったりしないですし、その適格で冷静な判断力には警護対象のメアリーだけでなく、読んでいるこちらも信頼を以て見ることが出来る。それでいて、歳相応の愛嬌もあるんですよね、この子。キャーティアからの技術提供によって、スパイ映画や小説、漫画などではよく見かけるようなアイテムをプレゼントされた時など、メチャメチャ喜んでましたし。あれは使える道具を貰ったからという実益に基づく喜びじゃなくて、どちらかというと趣味の領域とか玩具を貰った子供みたいな反応でしたもの。普段は常時ニュートラルに微笑んでます、みたいな綴が珍しくウキウキした様子だったのには、思わず微笑ましいような感情が(笑
そんな可愛げのある部分に加えて、今回はさらにイケメンな一面を見せてくれました。もし、プロならば冷徹な判断に徹しなければならないところを、決して妥協や甘い判断、願望よりの決断ではなく、キッチリとプロ意識を持ったまま、プロだからこそ身体だけではなく、クライアントの心も守るのも仕事だ、と決して見せる。無理をしているわけではない、あくまで自然体のスマートな言動には、惚れ惚れします、というか惚れるわw
いやあ、此処まで来るとイケメンすぎて、女装してるとかしてないとか、もうあんまり関係なくなってきてるんじゃないでしょうか。実のところ、綴ってあんまり女っ気感じないんですよねえ。逆の男っぽさもあんまり感じないのですけれど。なんかもう、性差を超えたところにかっこ良さがあるような。
一方の守られる側のメアリーことメルフィンも、守られているだけのお姫様なはずもなく。彼女がキャーティアの地球へのファーストコンタクトという重要な任務を与えられた船のナンバー2、副長の役職を任され、船長の不在時には一時的にとは言え総責任者としての責務を果たした人物だった、というのを改めて思い出させていただきました。普段は大人しいくらいで考えすぎるきらいのある娘ですけれど、ここぞという時の肝の据わり方はやっぱり小娘とは程遠いんですよね。このお嬢様学校に通う令嬢たちは、立場に絡んで多かれ少なかれ非常には慣れている凄い人達なのですが、それでもメルフィンの危地における土壇場の度胸と機転は輝いていました。
相変わらず、アシストロイドの可愛さは異常。レイカに正体バレたときの「みた?」には悶絶。その反応はかわいすぎて、もう凶器だww
戦力的にももう一人の時限特捜官候補であるレイカがガードに加わったことで、一先ずは息をつけそうか。今回だって彼女が付いててくれなければ、綴もかなり行動選択の幅が狭まってしまっていたでしょうし。まだキャラクター的には、今のメルフィンたちの人間関係に踏み込んでくる前段階ですけれど、スカーレットとも次くらいからはもっと関係深まりそうですしね。レイカ自身も、妹を失った傷に纏わる虚無が癒されるエピソードなんかも期待できそうですし……さても次巻からの盛り上がりがまた楽しみであります。

1巻感想

吟遊詩人に贈る歌4   

吟遊詩人に贈る歌 (集英社スーパーダッシュ文庫)

【吟遊詩人に贈る歌】  佐々之青々/COMTA スーパーダッシュ文庫

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歌は願いを叶え、想いを告げる。若き吟遊詩人と魔法人形が奏でるピュアファンタジー、開演!
「世界で一番の吟遊詩人になって、必ず戻ってくる」
十二歳のレントは、幼なじみのトルチにそう約束して街を出た。五年後、トルチに告げる言葉を胸に帰ってきたレントはしかし、再会する前に幽霊騒ぎに巻き込まれ、女警吏のテアに騒乱罪で捕らえられてしまう。テアに幽霊退治を押しつけられたレントは取調室でやっとトルチと再会するも、告げる言葉を言えずにいるうちに今度はトルチを想う青年デリックから決闘を申し込まれ――悲劇の吟遊詩人と悲恋の騎士を生んだ街ルネスでおこる、“約束”の物語。
おおっ、これは面白かった。抜群にストーリーの構成が上手かったんですよ、これ。しかも、その巧さが見事に物語の面白さに直結している。
幼馴染みとの約束を守れないことを告げに街に戻った少年が、その事を幼馴染みに告げられないでいるうちに、彼女を巡る決闘の当事者にまつり上げられる。幼馴染みを守るための力を手に入れるために、街に伝わる騎士の悲恋の物語を追う内に、少年は歴史の闇に葬り去られた、悲劇の真相を紐解いていくことになるのである。その歴史の真実は、ちょうど自分と幼馴染みの約束を通じた今の境遇に相通じるものがあり、少年は街の伝説に秘められた謎を解き明かすことで闇に囚われた過去の亡霊を解き放ち、現在の自分たちが伝説と同じ道を辿らないよう新たな道を切り開こうとするのであった。とまあ、全体のあらすじを捻り出すとこんな感じか。この過去と現在が巧妙に絡まりあい、伝説の悲劇の秘密を解き明かしていくことで同時に彼らが今直面している障害や、レントが受け入れてしまっていた諦めを打破するきっかけに繋がっていく。ちょうど、歴史ミステリーの要素も盛り込まれていて、物語にグイグイ引きこまれました。また、キャラの配置が上手いことミスリードを誘うものになってるんですよね。お陰で、伝説の真相をかなり終盤になるまで誤解していた。過去と現在が鏡合わせみたいになっていると思い込んでいたから、ついつい全部一緒なんだと思ってたんだよなあ。本来ならテアが負けてたシーンで気づくべきだったんだが、レントと同じ勘違いをしてしまったんですよね。さすがに完全な八百長だとは思わなかったけれど、あの人も周りの関係者絡みで優れた腕前の持ち主だったんだな、としか考えなかった。今になって振り返ってみると、メイドさんがそんなわけないんですよね。武装メイドじゃあるまいに。
他にも、ちゃんと謎解きできる情報は揃っていたはずなので、決して複雑に入り組んだ謎ではなかっただけに、かなり不覚を取った感覚を味わうはめになってしまった。この、しまったっ! 感がまたいいんですけどね。
キャラクターは、主人公のレントはなかなか前に進めず立ち止まってぐるぐる考えちゃうタイプのヘタレなのですが、相性だよなあ、幼馴染みのトルチはまさにそんな主人公にうってつけのヒロインでした。全然、待ってるだけのお姫様なヒロインじゃありませんでした。バイタリティといい自立性といい、深窓の令嬢とは程遠い生気や活力がピチピチ弾けているような女性。登場した当初はまだ五年ぶりという空白期間もあって、レントが成長したトルチのキャラクターをつかめていなかった上に、微妙に経年による美化も混じっていたようで、いまいちレントの眼を通してだと現実の言動と齟齬があって実像が掴めなかった上に、ストーリーの関係上あんまり目立たない立ち位置に居たので、後半に入るまであんまり印象強くなかったんですよね。むしろ、トリックスター的に動きまわってレントを引っ張りまわしたり手助けしてりしてくれるテアの方がよっぽど目立っていたくらい。
まあ、最後に全部トルチが持ってっちゃいましたけどね。いやあ、姐さん、あんた男前すぎるでしょう、それ(笑
レントがどうして別れ際の約束をちゃんと覚えていなかったのか、記憶力を疑うね。自分の決意表明をあんな約束で返されたら普通忘れたくても忘れられんだろうw もっとこう、純愛的なものを連想していただけに、あんまりにもかっこ良すぎる子供時代のトルチの約束に思わず爆笑した次第でした。こいつ、一生トルチには頭上がらんよ。
ファンタジーとは言え決して派手な内容でもなく、事件自体も街の伝説に纏わるものでありながら、実際は極々個人的な件に終始しているような小さなお話でしたが、思いの外読み応えのある良作で、楽しませて頂きました。これは次回作も注目ですよ。

ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり 5.冥門編3   

ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈5〉冥門編

【ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり 5.冥門編】 柳内たくみ アルファポリス

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20××年。東京銀座に突如現れた「異世界への門」。門の向こう側『特地』には、手付かずの潤沢な資源、そして、栄華を極める巨大帝国の存在があった。『門』の影響による天災を懸念し、『門』封鎖を決断した日本政府。ところが、諸外国陣営は『門』の管理権を巡り日本に圧力をかけ、『門』封鎖を阻止すべく銀座を占拠する。時を同じくして、『門』開閉の鍵を握るレレイが何者かに攫われてしまう。一方で、特地では、ゾルザル軍掃討まで後一歩のところまで迫った日本自衛隊に対し、まさかの撤退命令が下る。それは特地の治安維持を見棄て、直ちに帰国準備せよという非情な指令であった。それぞれの隊員達が下した決断は?『門』の行方は?そして、伊丹と異世界美少女達の運命は―?超スケールのエンタメファンタジー、ついに完結!狂瀾怒涛の最終章、開幕。
最終章、開幕! なんて書いてあるから、もしかしてまだ続くのか!? とビビったのだが、ちゃんとこれが最終巻でした。なのに、メインヒロインたちの陰が薄いこと薄いこと(苦笑
伊丹がはっきりしないところに、ゲートの歪みに纏わるバタバタで落ち着いて向き合う展開が叶わず、そのままなし崩しにラストまで行ってしまったのはややも残念。これは概ね全般の傾向でもあって、何となく全体的にバタバタしたまま、そうパニック映画的な勢いで最後まで行ってしまった感じである。何しろ、ゲート封鎖へのタイムリミットがいきなりはじまって、特地側も地球側もあわてふためきながら撤収に終始し海外の横槍にあたふた右往左往するばかりでしたからね。ゾルザル側の侵攻や第二王子の謀略など、どんどん畳み掛けて多重的に困難が襲いかかってくる展開は、緊迫感こそ煽りましたけれど、いかんせん余計にバタバタ感を増幅させる要因にもなっていましたし。
個人的にはもっと腰を落ち着けて話を進めてくれた方が楽しめたんだろうなあ。他のカップルたちも、落ち着いて向き合う機会なく別れ別れの危機と再会、というパターンになってしまいましたしね。特に、シェリーと菅原はもっとスポットを当てて生き別れと再会の約束のシーンをこね回せたでしょうに。
そんな中で、この完結編で見せ場をもっていったのはテューレと古田のカップルだったんじゃないでしょうか。テューレは結局、自分の罪業を踏みにじれなかったか。もしかして、全部振り捨てて幸せになれるか、とも思ったんですけどね。途中まではそのルートに入っていたものの、最後の最後で一族の憎悪と相対することに。彼女は、ちゃんと決着を付けることを選んでしまいました。でも、本当に彼女、幸せそうだったんですよね。何もかも失って、奪われて、零になり、自分を取り巻く世界すべてを憎悪して、破壊し尽くすことしか残されていなかった彼女が、あんなに満たされた顔で幸せに包まれて逝けたのは、きっとハッピーエンドだったのでしょう。報われたのでしょう。救われたのでしょう。
あんな最期だったにも関わらず、「良かったね」と思ったんですよね、あのシーン。同情や哀しさではなく、純粋に祝福を送りたくなった、そんな結末でした。
古田さんは、やるせなかっただろうけどなあ。

ちょっとバタバタしすぎた完結編でしたけれど、全般的にとかくエンタメが効いてて痛快な面白いシリーズでした。次回作があるのかはわかりませんが、ともかくその前に後日譚とか番外編とか、見たいっす。読みたいです。

シリーズ感想

恋物語4   

恋物語 (講談社BOX)

【恋物語】  西尾維新/VOFAN 講談社BOX

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これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異!

“片思いをずっと続けられたら――それは両想いよりも幸せだと思わない?”
阿良々木暦(あららぎこよみ)を守るため、神様と命の取引をした少女・戦場ヶ原ひたぎ。
約束の“命日”が迫る冬休み
彼女が選んだのは、真っ黒で、最悪の手段だった……。
<物語>はその重圧に軋み、捩れ、悲鳴を上げる――

青春は、きみに恋するためにある。
ほんとに大嘘ばっかりだな!! うん、まあわかってた。わかってたよ。わかってたよね? 一応確認。うんうん、囮物語の感想でも信用するなかれ、とちゃんと注意してあった。良かった、記憶違いじゃなかった。
という訳で、どうせあんなラストシーン、まんまやるはずないじゃない、とは思っていたものの、はてさてどうやって決着を付けるのかしら、とは首をクリクリ傾げていたのでした。ぶっちゃけ、撫子をどうにか出来る人って全然思い浮かばなかったんですよね。主人公とメインヒロインの阿良々木くんとガハラさん、そして忍ではどうしようもないどころか悪化させるしかないことは既に囮物語の方で明らかになっていました。ここで期待をかけるべきはバサ姉か、とも考えたのですが……この人ってあまりにも正しすぎて、逆に間違っちゃってる子を正すのって難しい立場に居るんですよね。微妙に言葉が届かない。撫子の方が聞きたがらないというのもあるだろうし。今になって思うと、バサ姉の前から脱兎のごとく彼女が逃げ出していたのは、本能的に彼女の正当性を忌避していたとも受け取れる。しかも、それらの不都合をバサ姉は恐ろしく正確に承知している節がある。
じゃあ誰なのか。今更忍野のおっさんが出てくるのも違うしなあ、という感触もありましたし、本当に全然思い浮かばなかったのでした。何かこう、思いも寄らない形で決着してしまうのだろうか、とすらも考えていたり。
だから、今回の語り部があの人。貝木泥舟になるなんて、予想の埒の外の外。正直、かなりびっくりしました。
しかも、その介入の原因がよりにもよって戦場ヶ原ひたぎによる千石撫子を騙してとの依頼から。偽物語においては、阿良々木くんを監禁してすら、貝木から遠ざけようとしたほどこの詐欺師を忌避していた彼女から、彼女の方から貝木に接触を図るなんて。
まったく、やってくれます。
しかも、今回はちゃんと戦場ヶ原ひたぎの物語になってるんですよね。ガハラさんについては阿良々木くん視点のこれまでの大半のシリーズに、バサ姉視点の猫物語から既に彼女のキャラクターは分かった気になってたつもりだったのですが、貝木という壁に隔てられしかし過去によって繋がった人物からの視点や、そんな貝木との二人きりの接触から浮かび上がるガハラさん像というのは、今までと違う側面も見えてきて、非常に興味をそそられるないようだったと言えます。
特に、貝木との関係はこれまで認識していたものと大きく異なっていたようで。いや、正式、というか公式には今まで通りの認識でいいのだろうけれど、表向きと真実と真相は全部異なっているものだし、見ている方向から浮かび上がってくるものも全然違ったりするもの。そういう意味では全部大嘘である、という最初の貝木の念押しは読了後にこそよく心に据え置いていた方がいいかもしれない。何事も、嘘にしておいた方がいいこともあるということで。平穏平和は決して真実によって構成されるものでもなく、嘘によって保たれることもある。
ならば、それでいいじゃない。
……こうなってくると、偽物語でガハラさんが阿良々木くんを監禁して貝木に接触させまいとした件も、別の側面が見えてくるんですよね。なんかこう、乙女心だよなあ。全部嘘だけど。
でも、そうかー、うん。ガハラさんと阿良々木くんとの間って、嘘や秘密や隠し事がたくさんあるわけだけれど、むしろその方がいいのかもしれないなあ。二人の関係って結構ゴタゴタしていて、結構気を使ったり、神経細やかにならなきゃいけないところが多かったりして、その点阿良々木くんが忍やなんかと築いている心身一体なベタベタすぎるくらいの関係に比べると、かなり難しい部分があるんですよね。お互いに努力し続けていかないと続けていけない面が大きい。多分、バサ姉やシスターズ、真宵や或いは神原ですらもしちゃんと付き合う段になれば楽な関係を築けたように思う。すごく続けていくのが簡単な、気負わずに済むような、そんな自然な関係。それに対してのガハラさんの難度というのは、段違いだ。
でも、だからこそこの二人の恋人関係というのは余人に代えがたいものがある。なぜ阿良々木くんが彼女を選んだのか、彼女でなければならなかったのか。ガハラさんがどうして阿良々木くんじゃ無きゃダメだったのか。その一番重要なポイントがそこにあるんじゃないだろうか。
ふぅん、なるほどなあ。今回の話を通して、なぜ二人がベストカップルであるかの所以が腑に落ちた感じだ。これまでは疑問を感じる余地もなく、前提として当然のごとく二人の関係は鉄板だ、という風に捉えていたのだけれど、二人の関係に対する信頼、信仰にしっかりとした足場、土台が出来たような印象だ。ドッシリと、ね。

あれ? そんな話じゃなかったような気もするな。貝木が撫子を、つまり大人が子供をちゃんと叱って導いてあげる、という単純化するとつまりはそんな話だったわけだが、視点変われば見えてくる人物像もまた変わってくるということで、それだけは抑えておいて間違いはないかと。阿良々木くんは柔軟な方なんだが、それでもまだまだ若い一個人となれば限界がある。本当のラスボスがついにその尻尾を覗かせてきたからには、最後は主人公が決めてくれると信じているが。でも、このシリーズはどう転ぶかわからないからなあ。
それでも、意外と最後は正当に締めてくれると思う。最後の最後は王道だって奇策になるものね。

西尾維新感想

豚は飛んでもただの豚?4   

豚は飛んでもただの豚? (MF文庫J)

【豚は飛んでもただの豚?】 涼木行/白身魚 MF文庫J

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元不良でこの春から高校生になる真宮逢人は、バイト先から逃走する食い逃げ犯を追いかけていた。逃げられそうになったところを、ポニーテールの美少女・藤室綾の純白の……――ではなく、ハイキックに助けられる。真宮はその日から、綾のことをなぜか忘れられずにいた。高校の入学式当日、真宮の席の目の前には、見覚えのあるポニーテールが揺れていて、思わぬ再会を果たす。さらに、バイト先には綾の妹・瑞姫までやってきて、新しい日々が始まる予感。そんなある日、真宮は瑞姫から「綾姉のこと気になるんでしょ?」と告げられ――。第7回新人賞〈最優秀賞〉受賞作・元不良の少年と美少女三姉妹が織り成す、青春×初恋×ぽんこつストーリー堂々開幕!!

青春、してますかーーー!!!

中盤からもう初々しいまでの青春っぷりに、ニヤニヤがとまらなくて表情筋が痛い! 今のこのご時世に、わざわざ新人の作品に白身魚さんを引っ張ってきた理由はよく分かった。今このご時世だからこそ、こんなド直球の青春モノにはこのイラストレーターさんを使いたくもなるってなものですわ。いやあ、ここまで清々しいストレートは滅多とないですよ。普通、ここまでド直球だと青臭さが鼻についたり、おじさん直視できませんみたいなこっ恥ずかしさが目に付くものですけれど、意外と人間関係の進展の転がし方がこなれていて、するすると引きこまれていったのも感心どころ。特にあらすじにも書かれている瑞姫が真宮に「綾姉のこと気になるんでしょ?」と告げた場面からの展開は、作中にのめり込むぐらいに一気に引きこまれました。この手の三角関係って、考えてみると別段珍しくもないものなんですけれど、流れが絶妙に自然すぎてびっくりするくらい新鮮で、当人たちも気づかないまま関係性がひっくり返ってしまっていた事に気づいたときには、ありきたりの展開だよなんて口が裂けてもいえないくらいにドキドキワクワクしてしまって、わっどうなるんだろう、これどうなっちゃうの!? と野次馬根性なのか何なのか、ともかく手に汗握って興奮状態。いやあなんかすみませんねえ。
うん、兎に角これバランスが絶妙なんですよね。ターニングポイントからこっち、どうもこれ、読者の感情移入の対象が真宮一人から瑞姫も含めたダブル主人公みたいな形になってるみたいだ。瑞姫が真宮の恋の応援をはじめた瞬間から、読者の注目は俄然と瑞姫の心境の方へとスライドするんですよね。彼女の真宮に対する純粋な好意や心配、ヤキモキとした気持ちがいつコロッと違うものへと変化するのか、そりゃもう気になって仕方なくて、あのぶっきら棒で人付き合い苦手そうで喋りも無骨で無愛想な真宮と瑞姫がどんどん仲良くなって親身になっていく様子にハラハラどきどきワクワクの連続。たまりませんよー。
この三角関係の味噌は、真宮とその初恋の相手である綾の関係がまんざらでもないって所なんでしょう。わりとこのパターンって、相手の女の子清楚でおとなしいタイプだったりするんだけれど、綾は悪友タイプで気遣い無用の姐御タイプ。とっつきにくい真宮とはかなり相性良さげなんですよね。ぶっちゃけ、序盤はもう二人、御似合いすぎて瑞姫たちなんか、入り込む余地ないんじゃないか、と思ってたくらい。最初は瑞姫のこと、完全に噛ませだと思ってたもんなあ。それが、瑞姫が見る見るうちに並んできたもんだから、テンションもあがりますよー。
真宮がふらふらせず、不器用に綾に恋しているというのも良かったかも。八方美人だと魅力も減じてしまいますしね。かと言って一途すぎると他の人が入り込む余地もありませんし。その点、初恋もこれまでしたことがなく、友達らしい友達もいなくて、人付き合いからして一から手取り足取り教えないといけないような初心者で下手くそもの、という主人公は傍で世話してあげないとどうしようもないって感じで介入の余地も大きいですしね。それに、不器用な分、この男、瑞姫に対して全幅の信頼を置いてしまってますし。
今のところ、瑞姫はまだ真宮のこと、三角関係に発展するような異性としての感情を抱いていませんし、純粋に応援してあげたいという気持ちで固まっているようですけれど、姉にあんな質問するあたり、実は意識し始めている、という可能性もナキニシモアラズ。
場合によっては、これから凄まじい修羅場もありそうな予感もありありで、正直ここでマテを食らわされたのは堪らんのですよ。欲求不満ですよ。綾が真宮の気持ちに気づき、瑞姫が恋に目覚めたとき、はたしてどういう関係が現出してしまうのか。ヤバイ、ワクワクが止まらない。すっごい続きが読みたい。
これは<最優秀賞>というのも納得の素晴らしい青春ものでした。もしこの一冊で行くところまで行ってたら文句なしに諸手を上げて大絶賛でしたよ、うん。ええい、焦らしおって焦らしおって(笑

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 34   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 3 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 3】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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テリトアールに陣を進めたティグルたち。そこに、ガヌロン公爵の配下、グレアスト侯爵が現れる。不躾な恭順命令を断るも、エレンへの執着を隠そうともしないグレアストに、ティグルは内心穏やかでない。間をおかずして、ティグル討伐の任を受けたナヴァール騎士団が出現し、事態は急変する。団長は、ブリューヌ最強の騎士ロラン。戦姫の技すら破る“不敗の剣”を前に、ティグル軍はかつてない危機に陥ってしまう。“光華の耀姫”ソフィーヤの助けで辛くも窮地を逃れるのだったが、エレンを庇った傷でティグルが倒れてしまい……!? 血風と光波が戦場を駆け抜ける刻、黒き魔弓は解き放たれる! 大人気美少女バトルファンタジー、心を射抜く第3弾!

なんと、ロランほどの人材をこんな風に使うのか。これほど巨大なキャラクター、それこそただ辺境に置いておいて何もさせなくても大きな影響力を発揮するはずなのに、大胆なことをするなあ。逆に言うと、それほどの大きな存在だからこそ、こういう形で片を付けてすら、今後に大きな影響を残し続ける、という風にも捉えられるのですが。
彼が置いていったものをどう扱うかも気になるところですし。これって主人公が使うようなものじゃないですし、戦姫たちも同様。と言うことは、これに相応しい人物が現れるということなのか、それとも既に傍に居る人が使うのか。居るとすればリムくらいなんだが、正直彼女じゃいくら何でも力不足だろうしなあ。どうするんだろう、これ。勿論、本来の用途ではなく御印として扱うには十分なのですが、それだけに限定してしまうにはあまりにももったいない代物ですもんねえ。
ということで、此処に来て辺境の最前線を守ってきた精鋭騎士団と対峙することになってしまったティグルたち。地味にこの時代(に限らないが)の軍隊が戦力を保持したまま駐屯し続けることの困難、さらには異国の軍勢との混成軍故のトラブルなど、本来なら避けては通れない難事をきっちり書いているあたり非常に好感高い。
たとえばドイツの三十年戦争なんかを見るとよく分かるのだけれど、中世から近世にかけての欧州の軍事活動というのは兵站関係がえらいことになってて、極言するとこの頃の軍勢はイナゴの群れみたいに補給物資を求めてさすらう集団みたいになってて、最終的には軍事的政治的な目標よりも軍の飢えを満たせる土地を優先して目指さなくちゃならなくなるという本末転倒な顛末まで繰り広げられたり。
そんなこんなで、略奪、というのは重要かつ正当な補給手段として認知されているのがこの文明レベルの時代背景なのですが、それでもそれが自国内で、となると話は違ってくるわけで。
それを自分の派閥の貴族の土地じゃないから、と遙々と大貴族たちが許可し、それどころか恩賞として与えようとするあたり、国内の乱れっぷりがよくわかるというものである。もはや王権が破綻しているという紛れのない証左ですよ。この点、同じ国内での争乱が平然と行われているジスタートの方がまだ、戦姫同士の衝突を逆に王権維持の為に利用しようとしている所でマシだと言える。まあ、国王の器量からして果たして御しきれるものかと疑問符がつくところだけれど。
ともあれ、そんな感じの部分も踏まえた上でちゃんと戦記ものやってるんですよね、これ。ナヴァール騎士団がこっちに出張してきたことによる大きな波及効果も、後々明らかになったりしていますし。
単純な戦場での戦術運動のみならず、もっと大きなグランドデザインに基づいて戦争を描いているあたり、相当にやる気ですよ、MF文庫なのに。

しっかし、これはまたどう決着つけるのかしら。ブリューヌ王国も今回明らかになった極秘情報からして、とてもまともな手段では落ち着かないだろうし、どうやらジスタートの方も戦姫全員がティグルに味方することはないっぽいのが明らかになったし。そも、ティグルがどういう立場に立てるか、というところが肝なんだよなあ。ラストの展開も、彼の行く先に大きく影響してくるんだろうか。一旦、彼女が離れたというのもティグルの存在がエレン抜きで世間に注目されるために必要なプロセスだったのだろうし。
さてさて、ブリューヌもジスタートも国内が纏まらず勢力図がわやくちゃになっているところに第三国も介入してきたことで、盛り上がって来ましたよっと。
恋愛模様の方も、もうリムさんが完全にデッレデレで。最近ティグルのこと甘やかしはじめたんじゃないか、この女w 周囲にも嫁候補と捉えられているみたいだし、でも噂知ってしまっても今となってはまんざらじゃない態度取りそうだなあ。そうだったら、もう末期ですけれど。
あとエレン、ディグルのこと自分のものだとちょっと主張しすぎです。手ぇ出したら噛み付きそうな勢いですし、それもあからさま過ぎますってw

1巻 2巻感想

101番目の百物語 53   

101番目の百物語 5 (MF文庫J)

【101番目の百物語 5】 サイトウケンジ/涼香 MF文庫J

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「わたしもモンジくん好きだよん♪」南の島で水着バカンス!?
一文字疾風、通称モンジは、ある日突然『百物語の主人公』になってしまった、ちょっと普通じゃない高校生。従姉妹の理亜を無事に自分の物語にしたモンジは、一之江やキリカたち女性陣と一緒に、テスト休みに詩穂先輩の紹介で南の島に遊びに来ていた。詩穂先輩への告白の返事待ちという状況を抱えつつも、楽しいひとときを過ごすモンジ。だが、単なる『主人公』からひとつの『勢力』になったモンジに、新たなロアが迫ってくる。さらに、『8番目のセカイ』の『管理人』の秘密も明らかに……!? サイトウケンジ×涼香が贈るノンストップ学園アクションラブコメ、水着回の第五弾!
あれ? あれれれ!? これは虚を突かれたぞ。てっきり、先輩こそが全部お見通しで裏から色々と画策していた黒幕だと思い込んで疑っていなかっただけに、この展開にはわりとビックリ。
ってか、前巻最後のモンジくんの告白に思いっきり動揺しまくってる先輩がちょっと可愛すぎるんですが。先輩なら自分がロアである事実をモンジくんに見抜かれていた事すらも織り込み済みで余裕かますと思ってたもんだから、「えええ!? なんでバレてるのぉ!?」と内心で慌てふためいてしまってる先輩の狼狽える様子が不意打ちすぎて物凄い威力に。
うははは、さすがだ。この冒頭のやり取りだけで一発でヒロイン戦線の最前線に転がりだしてきたぞ、詩穂先輩。
まあ、あとでモンジくんの説明を聞いていると、先輩がロアだと気づくだけの要素はちゃんとアンテナさえ立てておけば十分気付けるくらいの質量はあったといえばあったんだよなあ。ただ、脳天気なモンジくんがそれに気付けると思わなかっただけで。その点、読者であった自分も先輩もまだまだモンジくんという男の子の抜け目のなさを見誤っていたということなのだろう。純情一途の能天気だけじゃあ、主人公は務まらん、ということなのね。
そんな自分が想定していた主人公像を上回る思わぬ一面を見せられたことで、不覚にもときめいてしまう詩穂先輩。ああ、駄目だ。その時点で陥落しております。

ともあれ、先輩にまつわる三重にも及ぶ重ねがけのナイショの秘密は、先輩当人が自覚し忘却させられていた事もあって、完全に把握し損ねていた。そりゃそうだよなあ、てっきり一人の意志と行動に基づくものだと思っていたあれこれが、これほど重なって入り組んでいた上に、主体となる彼女に認識が欠けてたんだから。ダブルならまだ漠然と見通せたかもしれないけれど、トリプルだったとはさすがに予想外だった。
しかし、まさかの二千年問題かー。あれって都市伝説だったの!? と、大して気に求めておらず詳しいところを把握していなかったので、ロア扱いは意外な限り。そも、その伝説の発端が先輩だったというのは大技も大技ってなもんだけれど。
ついにラスボス登場、って事になったのかしらこれ。この調子だと倒すラスボスじゃなくて、目的が篭絡になりそうな勢いなんだが、そう言えばモンジくんってロアを倒すんじゃなくてこれまで篭絡し倒してきたんだから、別段やり方は何もかわらないのか。
此処に来て、【千夜一夜物語】の主人公たる妹ちゃんを取り込んだおかげで、一個の勢力として確立してきたらしいモンジくんたち。氷澄くんらも、ある意味強固な同盟関係と言っていい関係になってるし、確かにこれは巨大な勢力となってきた、のかもしれない。
戦闘単位としても、上手く住み分けが出来てきた感じですしね。理亜たちは同等の戦力を保持した別方面軍、鳴央も一人で戦局を左右できる独立軍。音央は逆にモンジくんの傍らで剣を振るう騎士の役で、魔女たるキリカは常に助言と支援を約束してくれる軍師兼相棒役。そして一之江は絶体絶命のピンチでもモンジくんを守り切る切り札中の切り札。上手く役柄が分担されて、機能していることが今回の戦いで証明されたんじゃないだろうか。
ここに先輩と管理人が加わって、どう発展するかは次の巻のお楽しみ、ってところでしょうが。
ところで、モンジくんの本命ってつまり先輩だった、みたいな流れに見えてうやむやになってるんだが、結局先輩からOK貰ってしまった以上、彼らの関係ってどうなるんですか? いや、何も変わりそうにない、というのは相変わらずなんだけれど、ここで何も変わらないとこのまま進展もなさそうなんですが。モンジくんが暴徒化でもしない限り。ちゃんと自分の気持をはっきりさせたんだから、あとは無茶苦茶やってもいいんじゃね? 具体的にはキリカさんの誘惑に負けちゃったり、先輩の色気に負けちゃったり、妹の懇願に屈してしまったり、一之江のツンを突破してしまったり。
そろそろキリカさんの魔女属性が炸裂してついつい裏切りスキルを発揮してしまいそうなウズウズ感が見えたり見えなかったりするので、程良く良い感じに裏切って戻ってきてもらえるように、もうちょっとドツボにハマるぐらいの男気は見せるべきだぞ、モンジくん。

1巻 2巻 3巻 4巻感想

双子と幼なじみの四人殺し3   

双子と幼なじみの四人殺し (GA文庫)

【双子と幼なじみの四人殺し】 森田陽一/saitom GA文庫

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 高校生、菱川迷悟は、双子の少女、新山一縷と朽縷と同居していた。美しい双子に翻弄されながら日常を送っていた迷悟だったが、ある日、三人は学校で飛び降り自殺の現場に遭遇する。
 その自殺に関して一縷は、突き落としたやつが見えたという。

 正義感の強い、いや、正義感が強過ぎる迷悟は、事件を傍観することができなかった。
――学校のアイドル、グッズ販売、そして交際を賭けた決闘……。愛憎が交錯する事件の果てにあるものは!?

 第3回GA文庫大賞《奨励賞》受賞の問題作が登場!

「幸せになる覚悟はある? 人を殺しておいてなお、幸せになりたいと思えるかってこと」
ああ、これは酷い。いっそ無残と言っていいほどの有様だ。この子達、もう一歩も前に進めなくなってる。朽縷がこぼした、自分たちはもうどこにも行けない、とまったままだ。という台詞は見事に彼らの関係を言い表している。その点、朽縷は自分たちの現状をよく承知しているんだろう。迷悟は、この度し難い愚か者はわかっていないようだが。自分が双子から離れた方があの二人は幸せになれるんじゃないか、などとチラリとでも頭の隅に思い浮かべてしまうあたり、こいつは何も理解していない。元凶のくせに、根源のくせに。そんな事をしたら、幸せすらも喪って破滅してしまうのに。自分たちがもう進んでも退いても別れても、もう奈落に落ちる断崖絶壁の上に居ることを全然わかっていない。他に行ける道があるだなんて考える愚か者だ。
哀れなことに、彼らの佇む断崖絶壁はいずれ崩れ去ってしまう場所でもある。脆くて頼りない小さな足場だ。もし上手くやり通せば、その足場は彼らが一生を終える程度まではもしかしたら持つかもしれないけれど、どうやら迷悟はどれだけ双子に指摘され叱られ懇願されても、自分の足元を省みることができない人間のようなので、たとえその場で停まり続けていても、いずれ自ら足場を踏み崩してしまうに違いない。
進んでも退いても別れても、そしてその場にとどまり続けてさえも、彼らは破滅から逃れられないのだ。そんな境遇を、この双子は絶望し呪い憎悪しながら幸福に満たされて諦めている。
この境遇は彼らがどうしようもなく幼く愚かな子供であったことから引き起こされた惨劇であり、今となってはもう彼らは子供のまま現実から逃避し続けるしか居られなくなってしまっている。どう足掻いても大人になることが出来なくなった、哀れで悲惨な、しかし自業自得の子供たちだ。すでに今は、末路である。
それらを踏まえて、もう一度彼らの名前を見返してみると、まさに三人の名前は体を表しているんだろう。その名前こそが、彼らそれぞれの在り方なのだろう。無残な話である。
その上で、敢えて言うなれば、彼ら三人は今、幸福なのだろう。本当の意味で未来への希望を失った状況は、逆手に見るなら今だけ見ていればいい、ということでもある。無論、多少の将来への算段はつけなきゃいけないから、先々のことも幾らか考えなきゃいけないだろうけど、それは作業に過ぎず心や思いを傾けなきゃいけないものでもない。ただただひたすら破滅するまでの今を享受し続けるだけでいい現実。破滅することさえ受け入れれば、既に自分たちが破滅してしまっている事さえ諦めれば、朽ちるまでの一時はきっと幸せに満たされているんだろう。
ちょうど、西尾維新【恋物語】を読み終えたところだったので、こんな言葉を置き添える事もできるけれど。
「……本人が幸せだと思っているから、幸せだということにはならないでしょう」(羽川翼)

知ったこっちゃあ、ないんですけどね。彼らにゃ共感も同情もわかないんだから。ほんとにどうでもいい。そのまま、そうやって溺れていけばいい。
尤も、この子らにとっても、全部知ったこっちゃないのかもしれませんがね。多かれ少なかれ、まわりで起こった破滅や惨劇は自分たちのせいにも関わらず、結局他人事のまま放り投げるんですから。この徹底した自分たちさえ良ければ、気持ちよければそれでよし、という無責任なガキの態度はいっそ清々しいくらいですけれど。清々しいくらい虫唾が走りますけれど。

とまあ、登場人物たちの好感度は底辺を突き抜けて嫌悪感で泥まみれなのですが、むしろ意図的にそういう風に描かれて拗らせている上で、話の筋立ての並べ方、進ませ方なんかを鑑みるなら、なかなか楽しめたんじゃないかと思います。不快だけれど、その不快さこそが面白かった、というようなお話。

Landreaall 19巻 限定版5   

Landreaall 19巻 限定版 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

【Landreaall 19巻 限定版】 おがきちか IDコミックス ZERO-SUMコミックス

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ついに女神杯が始まった。
順調に(?)勝っていくDXだったが、試合が進みレベルが上がっていく中で弱気になるDX。
今回の試合のためにお世話になった人たちに失礼じゃない負け方ができればいいとフィルに告げる。
はたしてDXの考えどおりに馬上槍試合は進むのか――?
ウマーー!! 馬すげえ、ランドリの世界だと馬は馬でもぜんぜん違うのか!!
てっきり、レディ・アプリだけが特別賢いのかと思ってましたが、表紙裏のランドリの世界での馬の解説を見て納得。この世界の馬は家畜じゃなく、人間と対等の社会性を持った知的生命体だったのです。人間以外では珍しい「信仰」を持つ生き物、というだけでも驚き、というか何か価値観からひっくり返ってしまう設定なんだが(他に犬やらクジラやらがそうなんだそうな)、人間のもとで働いている馬たちは飼われているのではなく、長期契約で雇われている、つまり就職しているというという事実には唖然としたものだけれど、そうと理解してから作中で描かれている馬と人間たちとの接し方を見るとなるほど、色々と腑に落ちる。
おっもしろいなあ!!
馬ひとつとっても、こんな設定があるなんて。このランドリの世界観って一般的なファンタジーと似ているようで、ところどころ根底から価値観違うところがあるんで、面白くって仕方がない。見たことない世界ですよ。

さて、その特性から馬と相対すると何故か馬のほうがカチンコチンに固まってしまうDX。お陰で今までろくに馬に乗ったことがなかった彼が、レディ・アプリのお陰で何とか馬上槍試合の予選は突破できたものの、本戦は最初から諦め気味。というところから19巻再開。ちょっと前回までの細かいところを忘れていたので、冒頭の「お兄が薄くなってる!?」というイオンの台詞の意味がわかんなくて戸惑ったのですが、読み進めて理解した。薄くなるってそういう意味かw 兎に角レディ・アプリにすべて任せて、DX自身は槍を構えた添え物として徹しているため、自己が薄くなってる、という意味だったんですな。このレディ・アプリがまた達人なんですよね。いや、達馬とでも言うべきか。見る人が見ればわかっているみたいだけれど、足さばきとか間合いの図り方とか、馬上のDXの動かし方とか、凄いのなんの。とは言え、本戦に入り上位に入るメンバーは練達揃い。幾らレディアプリが凄脚だとは言え、馬上のDXが素人な以上そうそう勝ち残れるわけがないのだが……悲喜交交ありまして、何故かDXが勝ち進むことにw
わりとこのへん、勝つ側のDXよりも、負ける側のレヴィとかワイアットの方がそれぞれの話の主役になってるんですけどね。DX、ある意味引き立て役(笑
それでも、結果として決勝に残ってしまったわけで……当人、勝ち進む気なかったから何も考えておらず直前まで忘れていた花冠の乙女の選出をいきなり迫られることになってしまうのでした。
と、ここで私も完璧に忘れていた、ディアに関する相談をしたためたリドへの手紙が、回りまわって今更のようにリドの手元に届き、しかもなぜかその手紙、竜葵を経由していて、DXへの返信がしたためられているという始末。
まさか、まさかあの相談の応えを竜葵が返してくるなんて。うおおおい、それってアリなのか!? しかも、内容がまたとんでもなくって、大爆笑ですよ、大爆笑。いやこれ、笑ってイイところなのか分からない場面なんだが、あれは笑うだろう。だって竜葵兄さんですよ!?
しかし……DXってばディアのこと、あんなふうに捉えてたのか。なるほどなあ。
それが、このタイミングで。わざわざこのタイミングで、ってのがまさに運命だ。言い切るのは難しいけれど、DXのこんな顔、久しぶりに見た気がする。真面目な、真剣な表情はこれまでもあったかもしれないけれど、あんな風にじっと誰かの面差しを見つめる表情は。
DX,本気だ。


それとは別に、王様の話も進行中。スレイファン卿とDXの対話はこれも興味深かったなあ。言うなれば、この国の大人たちの多くは、次の世代の子供達に王国の将来の選択を託したのだ。あくまで託したのであって、丸投げじゃないのが味噌。子供たちが選んだ道を、この大人たちはこぞって支え手助けしようとてぐすねひいて待っている。待ち望んでいる。待ち侘びている。
期待と希望に胸を膨らませて。そう、膨らませて心躍らせるくらい、次の世代を担う若者たちの姿が輝いてるんだろうなあ。きっと、継承権を放棄した時はまだ不安がいっぱいで、諦めも半分で、だからこそ荒んでいたんだろうけれど。王政反対派だというスレイファン卿から、あんな言葉を投げかけられた日にはね。一つ間違えれば背負わされる重荷になりそうなものだけれど、この大人たちはちゃんと一緒に背負ってくれる覚悟だもんな。頼もしいよ。
頑張れよー、フィル。

さあ、盛り上がりに盛り上がった所で次回への引き。毎度毎度、次の巻が楽しみすぎますってば、このイケズ。

おがきちか作品感想

ベン・トー 8.超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円4   

ベン・トー 8 超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円 (ベン・トーシリーズ)

【ベン・トー 8.超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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半額弁当争奪バトルに青春を賭けるHP同好会ではメンバーの白粉に元気がないことを気に掛けていた。佐藤たちは彼女を元に戻そうと奔走する一方、クリスマスに合わせるかのように、『最も最強に近い狼』と呼ばれる猛者、サラマンダーが徐々に街へと近づきつつあるのを警戒していた。そんな中、槍水はHP同好会のメンバーと伝統である聖夜のパーティをしようとしていたのだが、白粉、そして佐藤も著莪と別の予定を立ててしまっていて大変なことに―!?トナカイより多忙な「狼」たちの聖夜。庶民派シリアスギャグアクション、全国の同志へ贈るクリスマス・ギフト。
おおおおっ、ついに、ついに佐藤にまともな二つ名が付いた!? 毛玉がサラマンダーが名づけ、ウィザードが立ち会い、毛玉が聞き届けたとなるとちゃんと定着しそうだ。特に情報通の毛玉の前で命名されたとなると、確実だろうし。しかし、ちゃんと「変態」も意味に込められてる二つ名になったんだ。もっとも「HENTAI」じゃなくて「メタモルフォーゼ」の方みたいだが。ある程度ムラがある、というかモチベーションの差によって大きく強さが変わってくる佐藤のことをよく考えてくれた二つ名じゃありませんか。調べてみると、懐っこい「ワンコ」としての特性も強いみたいですし。
一方で、冒頭から我らが「茶髪」にも【シリーコート】なる二つ名がついに命名。これまでの戦歴や印象度からも、彼女に二つ名がないのは違和感を覚えるレベルになってきていたので、むしろようやくと言った感じである。立場が人を作る、じゃないけれど、二つ名が付いたことで茶髪の立ち振る舞いにも風格のようなものが出てきたのは興味深い。折角二つ名がついたのに、無様は見せられないものな。
もしかしたら、槍水先輩も【氷結の魔女】の二つ名が付いた時からこんな風に威風棚引かせるようになったのかもしれないな。よく考えてみると、茶髪と先輩は同学年。どうやらデビューの時期も同じくらいだったようで、今回ようやく同じ高みに辿り着いた茶髪と、並び立って背中合わせで戰う二人の姿には燃えました。以前のダンドーと猟犬群相手に、【オルトロス】を引き連れて立ち向かった時と同じくらい、有象無象の【アラシ】の群れに、たった二人で立ち向かう魔女と妖精。カッコいいなあ、もう。

そんないつもどおり、かっこいい姿を見せてくれつつも、今回の槍水先輩はやたらとみっともない姿を見せることに。以前からチラチラと垣間見せてはいましたけれど、この人本当に面倒くさい性格してるよなあ。この頑なさは、将来絶対に何度も付き合ってる男と揉める原因となりえる要素だぞ。このシリーズ、何気に女性陣の多くは多かれ少なかれ面倒くさい一面を持っている。恋人持ちの連中は元よりとして、その他でもあの広部さんや著莪なんか、その代表だ。でも、広部さんも著莪も、一時的に見境はなくしても、常に冷静に一歩退けるだけの冷めた部分は持ち続けている。
著莪なんかその最たるもので、この女ほど相手との距離感を冷静かつ大胆に弄んでいる女は珍しいだろう。と言っても、それは佐藤相手だけみたいだけれど。普通の男友達相手にはむしろ慎重なくらいだし。
其れに比べて、槍水先輩は根本的に男慣れしていない分、加減がさっぱりわかってないんですよね。鳥頭みことに子供だと嘲られ軽蔑されるのもまあ仕方ない。あんな下手くそな甘え方を目の前でされたら、人によっては生理的に受け付けないだろうし。
佐藤はある意味、著莪との付き合いから甘えられる事自体には並の男性よりも遥かに慣れていると言えるんですが、実際は著莪の甘え方って完全に佐藤に合わせたものなので、傍目から見ると度の過ぎた理不尽でひどい甘え方でも佐藤の許容範囲は絶対に超えず、彼に不快感を与えないように制御されきっている。
加えて、佐藤って大らかというか鈍いというか、理由が明快な理不尽に対しては全く気にもしないので、白梅梅の横暴なんかも肉体的ダメージにはなってもあれ、精神的なストレスには一切なっていなかったりするのが興味深い。案外あの二人、相性いいんだよなあ。白梅の親父さんが妙に佐藤のこと見込んでいるのもあながち節穴ってわけではない。まあ、相性がいいだけで愛情が生まれる余地がさっぱり見当たらないのだけれど。
ところがだ、こと槍水先輩の我儘に関しては、佐藤はまるで対応が取れないのである。著莪に甘えられているようで実は甘やかされている佐藤は、さらに鈍感で大らかである分、実際にストレスを受ける事に耐性が乏しかったりする可能性もあるんだが、とにかく拗ねる女性への対処能力にちょっと欠けてるところがあるっぽいのだ。その辺り得意そうな山乃守さんを見習えばいいんだろうけどさ。でもまあ、今の佐藤だと咄嗟に反応できない。上手く宥めたり、相手の期待する言葉を並べ立てたり、という器用な真似はまあ無理なのだ。広部さんみたいな計算ずくで拗ねられる女性なら、そんな下手糞相手でも上手いこと言って欲しい事、やって欲しい事に誘導していくものなんだけれど、「子供」である槍水先輩は計算度外視で本気で拗ねているだけなので、むしろムキになって余計に拗らせようとしてくるものだから、まあ佐藤はイライラとストレスを貯めることしかできないわけだ。
そりゃもう、うまくいくはずがない。
著莪はよくまあ黙って見てるもんだなあ、と感心するね。ほんとこの娘、佐藤には甘いよなあ。確かにこの辺の佐藤に好きにやらせているところは兄弟同然に育った血の繋がった身内だと思う。多分、幼馴染みでも此処まで許容は出来ないよ。こいつは絶対に自分のものなんだ、一心同体なんだ、自分の手元から離れないんだ、ぐらいの確信がないと。その点、著莪は余裕ある。確信、あるんだろうなあ。
まあ、男子トイレに一緒に入って佐藤が小用たしているのを見物するのも両方平気な関係なんだから、そりゃあ余裕だわなあ……ねえよなあ、こんな関係。どんな変態だよ!! ベッドの中でも乳繰り合ってるしさ。佐藤のやつ、関心ないふりして著莪の体触りまくってたのかよ、このやろうw

ベン・トーバトルの方は、サラマンダーの南下に合わせて最近出てなかったキャラクターたちの近況も交えつつ、オールスターキャストの賑わいで。ちらっとしか触れられてなかったけれど、サラリーマンレッド、脱サラしたのか、おい。というか、会社クビになって無職ですか!?(笑
パッドフットは完全に引退したと思っていたので、偶に狼活動しているとはちょっと驚き。

もはや弁当なのか、想像もつかないクリスマス限定の超大物「超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版」をめぐる攻防は、クライマックスに相応しい盛り上がりの末の、まさに大団円、クリスマスらしい結末で、ほんとこの作者は上手く締めてくれますよ。こんなにニコニコ満面の笑みで幸せに終われるとは思わなかった。奪い合い、しかし支え合う。まったくもって、いいライバルたちじゃないですか。

そして、相変わらずまったく脈絡なくSEGAのウンチクに突入して平然と数ページを浪費する作者の情熱には痺れた。この人のSEGAネタは単なるちょっとした遊びのネタじゃなくて、いつだって本気だというのが伝わってくる。アニメもさ、バーチャとはわかりやすいネタじゃなくて、もっと一般人にはまるで意味不明だけれど、SEGA魂の人ならば理解できるだろうと信じる事ができる、くらいのきわどいネタで攻めればよかったのに。ネタは突っ込まれてこそだ、というのがよくわかる今回のSEGAネタだった。いやあ、さっぱり何を言っているやらわかんなかったもんな♪

あと、最近ニワカに新人のウルフヘアが台頭してきた感じ。まだまだ未熟とはいえ、これは次の年中くらいには二つ名がついてもおかしくないんじゃないだろうか。
今回はオルトロスのお二人がこれでもかというくらい堪能できましたし、ともかく豪華特別版という感じでお腹いっぱいでした、はい。

シリーズ感想

煩悩寺 25   

煩悩寺  2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

【煩悩寺 2】 秋★枝 MFコミックス フラッパーシリーズ

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無事付き合い始めた小沢さんと小山田くん。せっかくだしカップルらしいことをしようとするが、そこはそれ、いつものように煩悩寺でマッタリ。そんな2人の仲も島ぽんのおかげ(?)もあって少しずつ進展していきます。他人の恋愛がホントに羨ましくなる第2巻!最後には、小沢さんプロデュースによる新生煩悩寺も誕生!?
うひょひょひょひょーー! なんぞこれなんぞこれ、完璧じゃないですか、一部の隙もあったもんじゃないですか。やばいこれ、ほのぼのラブストーリーの完成形だ。恋愛マスターの銘、伊達じゃないぞ、秋★枝さん。第一話なんて、殆ど完全無比な出来栄えですよ。恐るべし、恐るべし!
終始一貫して甘々で、初々しさと熟年夫婦のような穏やかな空気が同居した多幸空間に、幸せ感が感染拡大。いやあ素晴らしいわ、これはある意味「大人」でないと形成できない空間だよなあ。オトナになるとお互いの時間ってどうしてもすれ違いがちになっていくものだけれど、この作品の場合むしろ小沢さんの仕事とか一緒に居られない時間があるからこそ、ただただ二人で過ごす時間が楽しくて幸せで仕方ない、という気持ちが伝わってくる。元々はあの「煩悩寺」という奇天烈な部屋の愉快さに癒しを得ていた小沢さんだけれど、今や小山田くんとつながっていられる事こそが生きがいにして幸福になっている彼女の笑顔が、胸をかきむしらされそうなほどドキドキさせられてしまう。どうでもいいことをメールでついついやりとりしてしまうところなんて、ほんとねー、初々しいったらありゃしないんだけれど、あんなにウキウキされちゃあねえ。いいなあ。
今回の一番印象的なシーンは、やはりあれでしょう。小山田くんが珍しく外出から帰ってきたときに、部屋のベランダで小沢さんが洗濯物干してたシーン。もう、ここで極まりました。
結婚、結婚しましょう。
このぴったりとピースが収まったような、安心感。見事なことに、ちょうどこの次の話から煩悩寺のお色直しの話となって、小山田くんが一時的に小沢さんの部屋に泊まって擬似的な同棲生活に入ることになるんですが、これまで煩悩寺というある意味非日常的な空間の中で過ごしていた二人が、普通の生活空間である小沢さんの部屋に移動することで紛れのないただの日常空間の中に放り込まれる事になるのですが、二人の雰囲気、何も変わらないんですよね。煩悩寺は確かに二人にとって掛け替えのない空間で、お互いをつなぎあわせてくれた大切な場所なのですが、でももう今の二人にとってそこでないと繋がっていられない、という場所ではなくなってる。二人が一緒にいる理由からはもう卒業できている。勿論、お色直しによって煩悩寺は、小沢さんと小山田くんの二人の秘密基地へと進化し、新煩悩寺としてこのカップルの幸福空間として活躍し続けるのでありますが。
非日常も日常も、両方見事に手中に収め、手を繋いでくるくる回る人生を踊り始めたお二人さん。いやあもう見ているこっちも幸せいっぱい、お腹いっぱいです。一緒に遊ぶ島ぽんも辟易する間もなく楽しいんだろうなあ、これ。
究極のイチャラブ悶絶ラブコメ、最高でしたーー!! よし、もっとやれ!

1巻感想

犯人は夜須礼ありす4   

犯人は夜須礼ありす (MF文庫J)

【犯人は夜須礼ありす】 伊都工平/ろんど MF文庫J

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代わりに、私は葦人のものになる

悠木葦人はある日、自宅の前で倒れていた少女を拾う。彼女の名は夜須礼ありす。おとなしいクラスメイトだった彼女は、同級生を殺害し、逃亡しているところだった。「大声を出したりしないって約束できるかしら?」「どのみちあなたは、今日のうちに死ぬしかないもの」「運がなかったわね、悠木君」目覚めたありすに凶器で脅され、葦人はありすを匿うことに。奇妙な同居生活のかたわら、彼女の殺人が信じられず、葦人は事件を調べはじめる。だが二転三転する事件の姿は、全ての出来事を一つの形に繋いでいく――。伊都工平が贈るボーイミーツガールミステリー、ここに開幕!
うははははは、なんじゃこりゃ、わけわかんねえ!! おもしれぇーー!!
相変わらず伊都工平さんは、今まで食べたことのない味覚食感を味わわせてくれる、これを奇才と言わずして何というのか。作品を重ねるごとに、マイルドになるどころか先鋭化してないか? 何かと経年するほど角を落とされていく傾向のあるMF文庫にあって、此処までエッジを効かせ続けてる人は珍しいです。頼もしい。さすがは伊都さん、大好きすぎる。
作者の執筆コンセプトの訳のわからなさは、如実に作中に現れているのだけれど、今回に限ってはちゃんとそれを後書きで詳しくまとめて解説してくれてるんですが、ぶっちゃけ何言ってるかワケワカンネ(笑
なんか、論理帰結のルートが他の人と違うんだろうなあ。
ともあれこの話、異常者の狂気を堪能するものではなく、各々が置かれた環境の中で変質し破綻していく人間心理の在り様を客観的かつ論理的に説明できる形に細かく詳らかに細かく切り刻んで解体し、腑分けし、バラバラの微細な断片にまで切り開いて、人のあり方のすべてを覗き見るという悪趣味さに悪酔いするという類の代物と考えるべきなのだが、面白い事に存在意義(レゾンデートル)にまで踏み込んで、人心を切り開き単純な言語表現によってその人の在り方の全てを説明しようとすると、逆に深みにハマりすぎて本質を見失っているような気にさせられてくる。
解体の結果導き出された人物像は、おそらく紛い事無く正しいのだろう。だが、それで果たしてすべてなのか。ミクロを注視しすぎていて、ミクロの集合体であるマクロを見失ってはいまいか。
ミクロ視点では、多分ありすとはそのような人間なのだろう。だけれど、それでありすという少女の全てを分かった気になるのはずいぶんと的外れな気がするのだ。そのミクロを踏まえた上で、もっと大雑把に、大胆に、簡略的にその心情を捉えたならば、それはとても単純な単語で整理表現出来てしまうものなんじゃないだろうか。
顕微鏡で見たものがすべてではない。その物質が何出てきているかは顕微鏡で細かく観なきゃわからないかもしれないけれど、でも顕微鏡を覗く前にまず人間はそれを肉眼で捉えるのだ。
しかし、そうやってマクロを強く意識してしまうのは、ミクロな部分まで覗いたからとも言える。
本作を読み始めた前半では、そのマクロな部分こそが軽視すべきものだった。言うなレバ、愛だの恋だの、好いた惚れたといった浅はかで薄っぺらな分かりやすく実際は何も内実を語っていない空虚な単語だけで、すべてを説明しようとすると、つまり頭空っぽで何も語っていないのと同様の気にさせられてしまう、ってな感じで。
その薄っぺらで空虚な外殻の内側が見たかった、奥底を覗いて見たかった。その奥にあるものこそが真実で、外側の殻は何の説明にもなっていない記号に過ぎないと思えていた。
ところが、実際に奥底の底の更なる底までさらって覗いて解体しきって並べてみると、結局真理の一部を極々近視眼的に捉えているように思えてくる。ただの理屈で塗り固められた本物ではない違ったものに見えてくる。
それはつまり、結局のところ、薄っぺらで浅はかで記号にしか見えなかった、愛だの恋だの、好きだの惚れただのと言ったシロモノにこそ帰結し終着している在り様なんじゃないだろうか、と。
まったく。
なんて、愉快で面白い往還だろうか!!
きっと裏も表も、外も内も、表層も深層も、どちらもが真実で、どちらもが一部に過ぎず、両方纏めて見てすらも歪で納得の行かない、まったく理不尽で矛盾した、破綻の極み。まったくもって、人の心の在り様そのものである。それがここでは、余すことなく描かれている。ぶちまけられている。踊り狂っているのだ。
最高だ。

この座りの悪さ、理解の滞りこそが、快感になってくる。心地よくて仕方がない。それが伊都工平作品から受ける私の心象であり、自分の好みのドストライクであることを鑑みるなら、まさにこの作品、自分にとっての大当たりなのだと、改めて再認識した次第。

存在意義に基づく根源欲求の合致によって結びついたありすと葦人の信頼関係。それを何と名付けるかは、当人たちではなくむしろ何も知らない周りの人達が付けるべきなのかもしれない。
何しろ観測は、すべからく対象に影響を与えるものであり、状況は続けば当人たちの認識を超えて馴染んでしまうものなのだから。そして、理屈はあくまでどう転ぼうとも理屈にすぎないのである。さて、果たして人の心はどこまで理屈でねじ伏せられるのか。全くもって見物である。

千の魔剣と盾の乙女 53   

千の魔剣と盾の乙女5 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 5】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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ガーリャの戦いを生き延びたロックたちは、武器を喪い放心状態のナギの新たな魔槍を探すため、大図書館を擁する学術都市ベアルフェルを訪れていた。古代の文献を調べ、ガーリャで共に戦った魔剣使いファーディアの情報通り太陽神ルーの槍が実在すること、砂漠の廃墟都市ゴリアスに存在する可能性が高いことを知る。初めての砂漠に戸惑う一行は、砂漠案内のプロを雇うことにするのだが、紹介されたのはグラーニャというエリシアよりも豊満な胸と成熟した艶美さを併せ持った美女で、なぜか彼女はロックにときどき過剰なまでの好意を向けるため、エリシア、フィル、ナギは気が気ではなく…。正統派ファンタジーの気鋭、川口士が贈る魔剣ファンタジー、新展開の第五弾。
正妻枠は既にエリシア、フィル、ナギの三人で埋まっているので、現地妻始めました……間違ってないよね?
とまあ、パーティーはこれ以上加わる余地もなく、今の四人でほぼ完成しているので、今更新キャラがレギュラーの座を射止める事はまずないのだろうけれど、ゲストキャラの現地妻化は有り得ますなあ、という展開でありました……じゃなくて!
ハーレム事情はさておいて、何気に今回ガーリャ戦を超える大きなターニングポイントだったのではないだろうか。まだガーリャ戦での活躍の際は、ようやく一線級、トップクラスのパーティーになったなあ、というくらいの感触だったのだけれど、今回伝説上の武器であった「光の槍(ブリュナーク)」をナギが手に入れ、ロックもまた同じ呪いを受けた剣士の亡霊からの教授によって魔剣を喪う瘴気の呪いを逆手に取ったパワーアップを果たしたことで、一気に魔王を倒す最終目標が現実味を帯び始めたのだ。
リャナンシーと伍する金環、魔王配下の大幹部であろう魔物をロックたちだけで倒してのけたのだ。それは、彼らのパーティーが伝説に謳われるだけの実力を備えつつあるとみて間違いないだろう。
問題は、今回武器無しで引け目を感じて縮こまっていたナギがブリューナクを手に入れ、さらにロックもパワーアップしたことで、逆にエリシアとフィルの力が一歩遅れを取り始めてしまったことか。エリシアは戦い方次第でまだ全然戦力として見落としはしていないのだけれど、フィルが術使いな分ちょっとマズいんですよねえ。フィルって一流どころではあっても、まだまだ未熟で超一流って位置には達していないからなあ。こればっかりは一足飛びに実力アップできるものでもないわけですし、何とかバランスを取っていくしかないのか。
いや、でもナギがブリューナクをちゃんと賢者エスラスから受け取ったとなると、もしかして他の三人もトゥアハー・デ・ダナンの四至宝を手に入れる展開になるのかしら。でも、ヌアザの剣たるクラウ・ソラスや運命の石リア・ファルならともかく、ダグザの大釜とか手に入れてどうするんだ?
一応、ホルプなんかはあからさまにただのインテリジェンス・ソードではなく、曰くありげな魔剣ですし、それこそ伝説の武器っぽいからクラウ・ソラスという可能性もあるんだが、どうもホルプの正体は竜じゃないか、という伏線が出てきているのを考えると、逆にクロウ・クルワッハだったりする可能性もあるのか。そうだと面白い展開なんだがな。
ともあれ、思いの外早く状況が揃いつつあるので、クライマックスは近いのかもしれない。肝心のロックのハーレムも、推進派のフィルは元よりとして、エリシアも凹むナギにロックが優しくすることで急速に距離感が親密になっていくのを見ても大してヤキモチも焼かずに、ナギならいいか、と思っちゃってるあたり既に末期である。ナギも二号さん三号さんでオッケーです、みたいな心境だから、こりゃ後はロックが諦めるか、酔って既成事実を無してしまうまでのカウントダウン状態ですね、ご愁傷様です。酔ってセクハラ大魔神になってもあの程度のスキンシップで止まってしまうロックの初心さを見るかぎり、逆に女性陣から押し倒さないとこれ以上進展なかったりする可能性もあるが。
彼らの関係の方も、旅が終わる前にはっきりと決着して欲しいものである。いい加減じれったいぞ。もうちょっとフィル頑張れ。

しかし、なんでこのシリーズ、表紙をエリシアだけにしてるんだろう。印象も薄くなるばかりだし、勿体無いなあ。カラー口絵でのコメディ漫画や挿絵見てたら、絵師さんなんぼでもいろんなデザインやってくれそうなのに。

1巻 2巻 3巻 4巻感想

獅子は働かず 聖女は赤く 2.あいつも昔はイイ子だったのに4   

獅子は働かず 聖女は赤く 2 あいつも昔はイイ子だったのに (獅子は働かず 聖女は赤くシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 2.あいつも昔はイイ子だったのに】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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「あなたの命は、わたくしが護ります」
「お前の命は私が奪う!」
過去と現在、少女の決意が共鳴する!
中央教会の見習い聖職者であるアンナは、その身に秘められた謎により狙われていた。そんな彼女を、中央教会に追われる反逆者《裏切りの獅子》ユリウスと《竜の魔女》サロメは、半ば誘拐する形で、旅に連れ出した。旅路を進む一行の前に突如姿を現した、蛇のような体をした紫の禍竜。さらには拳を振るう蒼き禍竜までも出現する。だが、その遭遇はユリウスの過去を巡る戦いの始まりに過ぎなかった! 二頭の巨竜が、獅子の聖印をさげた鎧の少女が、ユリウスに迫る! 竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ第二弾!!
お師匠、あんたユリウスと出会う前からそんなチョロ弱キャラだったのか。てっきり昔はちゃんと偉くて偉そうで、それが戦中戦後の苦労を通じて色々と精神的に磨耗してしまった結果として、あんな風な可哀想な娘さんになってしまったかと思ってたのに。あ、でもその設定は無理があるよな、うん。あんなチョロ弱いキャラクター、後天的になれるはずもなく、明らかに生まれつきだし。でも、こんな性格でよくまあ【竜の魔女】なんて呼ばれるだけの実力を蓄えられたものだと逆に感心する。サロメちゃん、明らかに誰からも舐められそうだし。実際、既に亡くなった赤の聖女さまですら、お師匠様と呼びながら明らかにちょー舐めてたし。鼻であしらいちょろまかしてたし。聖女ちゃん、あんた性格悪いっすよね、それ。聖女というよりもむしろサロメよりも魔女っぽいというか悪女っぽいというか、性格悪いというか。まあ、概ねサロメ相手だけだったのかもしれないが……って、それもひどいよな、うん。

とまあ、上から下まで概ねぶっ飛んだキャラクターによってお送りされるファンタジー巨編。正直、このシリーズ作者の手がけた作品の中で一番好きかもしれん。なにが時々コメディだぃ。殆どコメディじゃないかい。なまじストーリーの根底部分が相変わらずの人間の悪意やらしがらみタップリのドロドロの内容なだけに、それを豪快にキャラの愉快さで押し割っていくパワフルなコメディーラインが楽しくって仕方がない。
そも、ヒロインのアンナからして、息をするように拷問をユリウスに仕掛けるような子だもんなあ。なんでこの娘は反射的に拷問するんだ!? 驚いた拍子に思わずユリウスを関節固めして沸騰した湯を耳に流し込もうとするとか、なぜ其れを反射的にやる! とユリウスじゃなくても突っ込むよな、うん。これがちゃんと意図した行動だったら、まだ拷問趣味の危ない子で済むんだけれど、全部条件反射なのが恐ろしい。条件反射でなんであんなに的確に拷問を仕掛け、もしくは暗殺に走るのか。もしかしてアンナって物心付く前から暗殺者の訓練でも受けてたんじゃないか、と疑いたくなるレベルである。マジ危ないんだが、この娘(笑
さすがに命の危機を感じだしたユリウスのキレっぷりがまた切実すぎて笑えてくる。ヒロインに対してマジギレっすよ。相変わらずニートのダメ人間だけれど、これはさすがに同情する。そこまでされるいわれはないよ、ないよ。よくまあ、これまでアンナさん、ひょいとした事で人殺しちゃったりしなかったものである。育ての親の苦労が忍ばれる。
そんな死の危険、というかアンナに殺戮される危機を何とか回避しながら彼ら三人が辿り着いた地域では、禍竜を伴った改革教会の反乱が村で起こっており、ユリウスが何故か普段のぐーたらさをかなぐり捨てて、反乱の鎮圧に首を突っ込もうとするのだった。

ここでようやく本格的に明らかになる、ユリウスがまだ裏切り者になる前の時代、そして赤の聖女と運命的な出会いを得る事になるエピソード。そして、過去の因縁を引き連れて現れたかつての同輩・コルネリア。
彼女、場合によっては仲間になるフラグ立ってるのかなあ、と思ってましたけれど、交戦中にユリウスに訴えかけたあの台詞で、ああこりゃダメだ、と確信しましたね。この娘、教会の信仰や正義で裏切ったユリウスを許せず憎み、殺そうとしているわけじゃないんだ。それなら、教会の不実を訴え、協力を求めることもやぶさかではなかったんだろうけれど、根本的な所でコルネリアは正義や信仰などどうでもいいんだ、これは。
もし、そこに拘ってるなら、一緒に死んでやる、なんて台詞が出てくるはずがない。
彼女がユリウスを憎んでいるのは、女の情念ゆえ。教会を裏切ったことではなく、自分を裏切って赤の聖女についていってしまった事をこそ憎んでいるのであり、だからこそ自分こそがユリウスを殺さないとと決め込んでいるのだ。赤の聖女が死んでしまった今となっては、本当の意味でユリウスを奪い返すことはかなわない以上、彼を殺して自分も一緒に死ぬしか赤の聖女から愛するユリウスを取り戻す事は叶わない。そう思っている以上、どれだけどちらに正義があるか、などを説いても通じるわけがない。
ドロドロの愛憎劇ですよーー! 修羅場らVANVANですよーー! さすが八薙玉造。能天気だけじゃ済ませませんね、最高ですw
これでコルネリア、決して情念に狂ってるだけじゃないのがまた素晴らしい。ちゃんとまともな理性を持ち、正義や倫理を重んずる騎士としての本分も忘れていないだけに、個人的な感情と公的な立場の摺り合わせに汲々としているあたりにも、揺さぶり甲斐のあるキャラクターっぷりがにじみ出ていて、実に魅力的だ。
今のところ、公的な任務と感情の向く方向を無理やり同一化されているから、精神的にもそれほどブレてないけれど、これが比重崩れてくるともう色々とむき出しになってくるぞ。
おそらく、むき出しになってきたときにそれとまともに相対するハメになるのは、ユリウスよりもヒロインであるアンナっぽい気がするが……はたしてこの天然娘とどこまで噛み合うか。合ったら合ったで修羅場だろうし、合わなかったら合わなかったでより悲惨な修羅場になりそうで、実に楽しみである。
アンナも、ちゃんとメンタル成長してますしねえ。何も出来ないと嘆いてうずくまるのではなく、何も出来ないなりに何とかしようというひたむきな姿勢。肝心な時に限って暴走ではなく、ちゃんと考えてユリウスの迷惑になる形での行動ではなく、ちゃんと益となる結果を求めて動こうとするあたりは、大した成長ですよ。
なぜそれが普段の行動の反省に繋がらないのかは不思議極まりないところでありますがw 反省しても、すぐに忘れるからなあ、これ。


このシリーズ、あんまり欝な方向には行かないつもりなのか、正直悲惨な結末になるかと思われた村の反乱の顛末も、救いや報いがちゃんとある形に収まって、作者の容赦無い残虐展開っぷりを思い知らされている身とすれば、ホッと一安心。あの暴走姉妹なんぞ、よっぽどひどい目にあったまま終わっちゃうかと危惧してましたしね。まさか、レギュラー化するとは。何故か旅の連れが増えたことでますますお師匠様が不憫と化しそうな気がするのは気のせいかしら?(w

1巻感想

黒の夜刀神 1.キミのために僕ができること4   

黒の夜刀神  1.キミのために僕ができること (富士見ファンタジア文庫)

【黒の夜刀神 1.キミのために僕ができること】 手島史詞/飯田のぎ 富士見ファンタジア文庫

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「シラキ、仕事か?お前出席日数危ないんじゃなかったか?」ストーンリバー学園に通う白毀廻は、悩んでいた。今日も伝聞社イーストウッド社から仕事を押しつけられ、授業を欠席しなければならない事態に陥っていたのだ。断ればいいだけの話だが、ヘタレな彼には到底無理な話。仕方なく仕事に出かけたのだが、そこで昔なじみの少女・月皎柊と運命の再会をする。美しく成長した柊にドキドキのカイ。しかし彼女は“契約者”たちに狙われていた。ピンチの少女を救うため、少年は勇気を奮い立たせる!異能者たちが暗躍する大陸を舞台に繰り広げられる、ボーイ・ミーツ・ガール・アドベンチャー開幕。
へえええ! いやはや、この試みは予想外、というよりもよく書くの許して貰えたなあ。しかし、これは面白い。前作【影執事マルク】シリーズに登場したキャラクター、さらには世界観そのものもそのまま流用した上での、パラレルワールド。それを、同じ作者が手がけるのだから、興味深い試みである。勿論、まったく同じだったら、わざわざパラレルワールドにした意味もない。主人公とヒロインは交代は大前提としても、作品の雰囲気そのものを意図して変化させてきてるんですよね、これ。前作がわりとアットホームで人間関係も緩く温かく、愉快なノリのラブコメ風味なところが強かったのに対して、此方は開拓時代の新大陸を模した世界という点をより重視して、どこか殺伐とした荒野の雰囲気濃いサスペンスタッチのものになっているのだ。
登場人物それぞれが抱えた心の傷や闇の部分にもより深く踏み込んでいる。心証としては、キャラ自身が備え持っている優しさや豊かな人間性なんかは前作とそれほど変わっていないようにも見えるのだけれど、より心を覆う殻が頑なになり、人格の破綻も強めに歪み、人と人との友情や愛情による繋がりがしっかりと結びつくための難易度がかなり上がっていて、なかなか打ち解けられなくなっているっぽいんですよね。
その点において、柔らかな交わりによって陽の当たるサイドからキャラクターやそれぞれの関係を掘り下げていった前作とはまた違ったアプローチ、より暗くジメジメとしたダークなサイドからの掘り下げが行われていきそうな感じで、これだと前作と同じキャラクター、たとえばカナメやジェノバなんかも殆ど性格も能力も変わらない造作にも関わらず、違った視点からその姿を追うことになるので、全然異なる印象で見る楽しみが出てくるのである。発端や立ち位置が違うから、前作とは異なる関係性を築くことになってたりもしますしね。カナメとジェノバ何かそのわかりやすい代表格になるのでは、と……ん? しかし、これをマルクの時の時系列に合わせて考えると、まだマルク本編から見て過去編というになるわけで、カナメがシュウと友人になったり、ジェノバの片目切ったり、というエピソードは確かマルクにも過去の話として話題に登ってたわけで……。あれ? 一概に完全に違う世界とも言えないのか。
それでも、四強のメンバーが入れ替わってたり(マルクがいなくなってる。もしかしたら、まだマルクが黒衣として名望を高める前の話なのかもしれないが)、アルス・マグナ(?)の所有者が変わってたりと、細かい部分での変更もあるので、違うといえば違うし。その点も追っていくと面白いんですよね。しかし、マルクの時についに出て来なかった四強の一角【夜刀神】。もしかして、マルクでも同じ人がそうだったんだろうか。
しかし、見事にこれ、ビジュアルがアニメ【黒の契約者】のそれになっちゃいましたね(笑 あとがきで作者自身が突っ込んでますが、そもそも契約者という作中の設定も何だかんだとアレに似てましたけど、ついにビジュル面までも。もっとも、性格の方は完全に此方の廻の方がヤバいです。臆病な小心者がむしろ戦場ではよく生き残る、とはよく言われますけれど、廻の場合は用法が全然違うよなあ。ビビるあまりに理性が飛んで狂化してしまうというのは、激昂して暴走するのとベクトルとして何も変わらないような……。ただ、彼の場合狂化しても技はむしろ冴え渡り、粗さもなく研ぎ澄まされる感じなので暴走とは違うのは、確かに恐ろしい。自分の能力を見事に技に昇華して自在に操りまくってるもんなあ。当人の身体能力や来歴もあってか、【東方不敗】とガチでやってもこれは間違いなく引けは取らない。あのカナメさんと正面切って互角って、どんだけなんだ。マルクだってまず無理だぞ。なるほど、これは【四強】の一角に相応しい。
当人はウルトラヘタレの臆病者ですが。それでも、その臆病の発端は自分の能力の破滅的な強さゆえのものですし、どうやら過去の事件も絡んでいる様子。
多くのトラウマを抱えながらも、勇気を出してシュウを助けようと奮起するあたりは、実に可愛げのある主人公としての振る舞いなんですけどねえ……やり方がエグすぎるw 手段を選ばないとかいうレベルでないし。完全に精神攻撃。それも摩滅型。圧壊型。ザクザクと切り刻むよりも、ゴリゴリと磨り潰していく破滅型。こえええw
それを悪意なく、どころか無邪気にやってのけるんだから、危ない人です。悪党です。邪悪ですw 世界の敵だw
確かに、あらゆる意味で「最恐」の名にふさわしい。いいのか、主人公こんなので。

とは言え、シュウからすれば何しでかすか分からないにしても、一心不乱に懐いてくるワンコみたいなものだから、何だかんだと悪い気はしないでしょうし、もうどうしようもないという場面で唯一手を差し伸べ、危険も顧みず全身全霊でたすけてくれた相手なのですから、幼い頃から何だかんだと気にしていた相手ともあってか、そりゃあ心も動かされるわなあ。その結果がアレ、というのはまたシュウにとってもカイにとってもご愁傷様というべきかご馳走様というべきか。まあ、両思いっぽいのだから、何とか経験値を増やして上手いこと行くようになっていけばなあ……と、思うのだけれど、何気にこの二人、まだ鉄板というわけじゃないので、どうやらもう一人の「四強」の一角【朧】の正体であるイーシャがどう動くのかは気になるところ。またぞろ、愉快な三角関係になっていきそうな気配が濃厚でございますぞ。

それはそれとして、シュウとカイの再会と合流という話の主題とはまた別に、物語の根底を担うだろう伏線が幾つもバラ撒かれて明らかにされてないのは、引っ張りますね。というか、もろにプロローグだった、と捉えるべきか。そも、二人がどうして家を出て新大陸に来なきゃいけなかったのか、の真相からして明らかにされてませんもんね。それぞれの家にトラブルがあり、シュウの家は一族根絶やしにされた、など断片情報はあがっていますが。だいたい、なんでシュウがあんな体になってしまったのか、からして当人も分からない状態じゃあなあ。
それに、この世界観では「精霊」の存在が否定されているとのこと。契約者の在り方、生まれ方も微妙にマルクシリーズとは捉え方が違っているようだし、果たしてどんな解がもたらされるのか。

うん、マルクと似たような世界観と知った時にはどうなることかと思いましたが、抱いた不安以上に面白かったです。これからも、マルクシリーズに登場したキャラクターもちらほら出てくるでしょうし、色々と見比べて楽しむことも叶うはずですし、これから始まりそうなシュウとカイとイーシャの三角関係も、前作のあのニヤニヤ満載だったラブコメを思い出せば、期待も膨らむばかりです。楽しみなシリーズが再びはじまりましたよっと。

手島史詞作品感想

フルメタル・パニック! アナザー 24   

フルメタル・パニック! アナザー2 (富士見ファンタジア文庫)

【フルメタル・パニック! アナザー 2】 大黒尚人/四季童子 富士見ファンタジア文庫

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家の借金返済のため、民間軍事会社D.O.M.S.へ所属することになった陣代高校3年生の市之瀬達哉。厳しい訓練を終え、日本へと戻り、いつもの高校生活が始まるはず、だったのだが―『仕事だ、タツヤ』ざわめく級友たちを尻目に教室へ乗り込んできたのは、金髪美少女で優秀なASオペレータでもあるアデリーナと、10歳の天才スナイパー・クララだった!またしても変質する達哉の日常。彼女たちが持ち込んできた新たな仕事とは、“蒼いASを運ぶこと”だけのはずが、輸送中のヘリにミサイルが撃ち込まれ―!?疾風怒涛のSFミリタリーアクション、垂直離陸。
原作者の賀東さんから、新人の大黒さんに執筆が移ってのフルメタ・アナザー第二弾。二作目もこの出来栄えなら偶然でもフロックでもない、こりゃあ本物だ。
面白い!!
こうしてみると、新シリーズと前作との違いの肝は、プロであるかそうでないかの立ち位置の違いなんでしょうな。プロの兵士か、インストラクターか。すなわち、人の血で自分の手を濡らしているか、否か。
物心ついた頃から兵士として戦場で生きることを余儀なくされてきた前作の主人公の宗介と違って、タツヤは帰る家もあるただの一般人。まだ後戻りできる余地のある場所に立っていて、そも人を殺す覚悟を持っているわけでもない。それでも、民間軍事会社という場所は戦場に片足を突っ込んでいるような職場でもあり、今のタツヤは境界線上に佇んでいると言ってもいい。本来、アグレッサーを務めるのが主だった任務であるD.O.M.S.では、一応その境界線上から外れる事無く努められる職場なはずであり、リーナやマオはだからこそタツヤをスカウトするのに躊躇いを抱かなかったのだし、マオが娘のクララがD.O.M.S.に出入りするのを黙認していたのであるが、どうもきな臭い陰謀がD.O.M.S.に絡んできた事でそうヌルいことも言っていられなくなってきた。
何だかんだ言っても民間軍事会社というのは戦場を商売のネタにしている仕事だ。建前はともかく、いざとなれば銃を手に取り人を殺すことを是とする兵士としての機能を求められる場面はどうしても出てくる。
タツヤの才能は、まさにそんな場面でこそ活かされるものだ。中東の王子との模擬戦を見ても、むしろインストラクターとしての業務よりも、実戦の方が向いている泥臭い才能なのだろう。だからこそ、もし敵兵を殺さなければ生き残れない場面に遭遇した時、タツヤは選択する暇も覚悟を決める余裕もなく、その才能を発揮して必要な犠牲を強る事になる。
二度、いや中東での模擬戦も含めれば三度か。タツヤの才能を目の当たりにして、リーナが今更のように抱いた恐れは、つまりかつて宗介がかなめに抱いたそれと同質のものだったりするんだろうなあ。違うのは、かなめはウィスパードとしての生まれから必然的に砲火の下をくぐらなければならない境遇だったのに対して、タツヤの場合は本来武器を取る必要など何処にもなかったのに、マオやリーナが引き込んでしまったところだろう。宗介はかなめを守るという使命感を持って、その任務とともに恐れを昇華出来たけれど、はたしてリーナはどうなのか。まだ決定的な場面に行きあっていないが故に、まだ迷走する余裕はあるけれども、それでも今回のような命のやり取りをする場面に遭遇している以上は、選択を迫る時がまだ早いわけでもない。さて、リーナの意思はどこに向かう? 厄介なのは、タツヤが自分の置かれている状況について、まるで無頓着で危機感がない所ではあるが。これはクララも同様のようだし、むしろ当事者たちの方が何も知らない無知な分、危機感を持ち認識を改めろ、と言う方が難しいのかもしれない。
それでも、タツヤは無意識なりに自分の立ち位置が平穏な日常から外れつつあることを認識しているようだけれど。夏休み明けて、普段通りの、しかしどこか関係に変化が見受けられる幼馴染みと親友の様子に動揺し、見慣れたはずの日常風景や学校での生活に現実感を欠いてしまう描写など、前作のフルメタの対比として捉えても面白いし、単体の心情描写としてみても丁寧に積み上げられていく物語においての大事な部分としてかなり強く意識して描かれていて、いいですねえ。

さて、メイン(?)とも言うべき、新世代のASたちの活躍。熱いなあ、これは熱い。特にサベージの後継機とか、胸熱じゃないですか。何気に前作でもサベージ、わりと厚遇されてましたもんね。あの武骨だけれど使い勝手のよい旧型量産機というのがまたいいんだわ。頑丈で壊れにくく平易で動かしやすい。スペック云々を抜きにして、ある意味兵器としての一つの到達点みたいなもんだもんなあ。
それはそれで良いものとしておいて、新型機いいなあ!! 燃えるなあ! 特に、日本独自の開発による新型機。それも、様々な思惑が転がった結果主人公の搭乗機となる最新鋭機。これまでのASとは明らかに開発コンセプトからひっくり返している特殊機能とか、なるほどこれ面白ぇ。しかも、サベージ系列とは真逆の、日本らしい異様な凝り性の国民性が出てますよ、うん。これは売れない(笑
しかしまあ、こんなASはなるほどイメージしたことなかったなあ。ただ、ゲームのロボットものだとむしろこっちのタイプの方がよく見かける気もするし、発想の死角をついた設計とも言えるのか。でもこれ、宗介とか嫌いそうだ。アーバレストでも文句言いまくってたし。

余談だが、クララの日本への馴染みっぷりには吹いた。魂の故郷呼ばわりしながらある意味エセっぽかった親父さんよりも、よほど下町江戸っ子として馴染んでた気がするぞ(笑

1巻感想

探偵失格 愛ト謂ウ病悪ノ罹患、故ニ我々ハ人ヲ殺ス4   

探偵失格―愛ト謂ウ病悪ノ罹患、故ニ我々ハ人ヲ殺ス (電撃文庫)

【探偵失格 愛ト謂ウ病悪ノ罹患、故ニ我々ハ人ヲ殺ス】 中維/ぜろきち 電撃文庫

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「もっと、ボクを楽しませて?」
奇妙で巧妙で軽妙な推理奇譚登場。

 黒塚音子といえば、ひとたび登場すればクラス内に警報が発され清めの塩が撒かれるという有様なのだけれど、僕・空野高にとっては愛の奴隷として信奉すべき「お姉ちゃん」。だがある日誘われた旅行にて、僕はその真の姿を見る。外法の象徴「不死姫」を擁し規格外の面子が集う「地獄檻」で発生する、館ものの必然の如き連続殺人事件。敵地の極みで起こる阿鼻叫喚の果て、「祟り神」と「探偵失格」とが見つけだすのは犯人か、それとも、百鬼外法(ひゃっきげほう)の成れ果てか?


うおおい! 超人神薙!? 【神々の蛮刀】なる異名まで引っさげて、鳴り物入りで登場したウルトラチートの切れ者軍人にも関わらず、その活躍はむしろ萌えキャラじゃないか、というくらいの役立たずっぷりに、吹いた。むしろエセエリートの望月執事の方がすごく役に立ってたぞ。あんた、カッコよく武器振り回してカッコつけて威風はためかせていたわりに、実際はお腹すいたって食ってたばかりじゃないか。しかも肝心なときにあれだし!! 
ただ、その役立たずっぷりがむしろ愛嬌になっているあたりに、彼の強みがあるんじゃないでしょうか。というか、この作品、館もので大正ゴシックホラー。魔女だの人体実験だの不老不死だの超人の軍人だの祟り神だの、というオカルト要素満載の上に探偵物ときて、そりゃもうほの暗く陰鬱で血なまぐさいドロドロの人間悪の極みを見るような気分の悪くなるような惨劇かと身構えて読みにかかれば、確かにストーリー仕立てや舞台設定、キャラクターの配置などはサイコミステリーそのものだったのだけれど……きゃ、キャラクターの性格がみんな愉快すぎる!!(笑
お陰で、コメディなんだかサイコなんだか、訳がわからない混乱をきたしながらも、そのネアカと言ってもイイ主人公とヒロインを始めとしたキャラのはじけっぷりは、困惑を通り越して段々と楽しくなってきた。
面白い。
そも、姉同然の人を殺人鬼に殺された、精神不安定なトラウマ持ちの主人公に、祟り神と忌み嫌われ呪われた性格破綻者の最終兵器というヒロインの組み合わせは、例えばGA文庫の【月見月理解の探偵殺人】みたいに、その交感もかなり弄れ捻くれ歪に折れ曲がった末の純愛になるのが常だったりするものだけれど、この二人、空野くんと音子先輩ときたら……お互いちょっとチョロすぎない?(笑
勿論、お互いの双方を必要とし、求める要素はちゃんとあり、その求める部分の食い違いに端を発したすれ違いなんかもあったりするのだけれど、この二人の場合、よくよく注視してみるとお互いのことが大好きという気持ちの方が色々とうっちゃって真理になっているものだから、もうお互いを求める必要性の論理的な帰結なんて、理性の縛りに過ぎなくて、言い訳の題材に過ぎなくなっているのだ。つまるところ、二人共からして青信号。好き好きと言って憚らないそれぞれの言葉が嘘偽りのない真意であり、歪みや誤解や代償行為なんかじゃない真実なのだと、信じるのを怖がっているだけ、だったりするだけなのである。だから、普通に好きだと言われたら、信じられなくても嬉しいし、信じたいと思って浮かれてしまう。相手から助けを求められたら、自分の領分を超えて突っ走ってしまう。時に、自分の使命すら二の次にして、相手との約束を至上の位置においてしまう。
なんてチョロいもの同士。ごちゃごちゃと寄り道してますが、ぶっちゃけ微笑ましいくらいに両思いのラブコメでございます、ご馳走様。特に音子先輩なんて、祟り神として表に裏に恐れられる怪物中の怪物であり、狂気の産物でありながら、その中身ときたら恋する乙女そのものじゃないですか。ネジ曲がっているどころか、無垢に素直ですらあり、中身を見たら、デレっデレでございます、ご馳走様。
幸いにも、悪意たっぷりの環境の中で生まれ育ち飼われているのかと思ってたら、思いの外先輩ったら普通に愛され恵まれているようで、ほっと安心一安心。いや、まさかあの人がそうだったとは、予想外にも程があったけどな!! ある意味、今回の事件の真相よりも吹いた!

ミステリーとしてはどうなのか、大したミステリー読みでもないので判断しにくいが、怪物化物人外妖怪の類に魔術妖術化け術似非科学というシロモノに彩られた物語としては、かなり真っ当にやってたんじゃないだろうか。少なくともズルはしていなかったはず。それに、事件の真相、ネタ明かしされるまでさっぱりわかりませんでしたし。何より、ネタ明かしされたときに「おおっ! なるほどそうだったのか!」と感じさせてくれたのなら、それで十分でありますよ。この事件の真相と、その見せ方にはちゃんとそれがありましたから、自分としては大変楽しめました、はい。神薙さん、大好きですw

音子先輩と空野くんの浮かれたチョロいもの同士の丁々発止は、とても楽しかったのでこれは続き読みたいなあ。
面白かったです、はい。

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) 43   

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト)〈4〉 (電撃文庫)

【アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) 4】 兎月山羊/笹森トモエ 電撃文庫

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もう、独りぼっちの“零”のままでは、いたくない。

 東京内戦の跡地で俺たちは、“零”の災厄の数、カラスと出会う。彼を見て動揺した安藤照子さん──アンデレはその晩、俺の家を突然訪ねてきた。
「……一緒に行ってくれたら、1つだけ何でも言う事聞くって言ったら……?」
 アンデレと来た地下には雪名もまた、出生の秘密を探るために来ていた。「誠一君は、どうしてアンデレさんと一緒に来たのかな?」モジモジする雪名と共に、俺は地下深くへと向かう。
“数”の異能力バトル、第4弾!
こ、この小動物はヤキモチの焼き方まで小動物ちっくで愛らしいなっ!! その内心の吐露は、殆ど告白「誠一くん大好き!!」と叫んでるのと変わらないという自覚と認識をもっとちゃんと持ちましょうウサギさん。ここまで愛くるしい告白をされてしまうと、同じ女性でも参りましたと言いたくなるわな。わりと、相談されてしまった加苗に同情したくなる。そんな風に相談されたら、幾ら雪名と誠一の関係に複雑な思いを抱いていても、ちゃんと応えてあげないと自己嫌悪で耐えれなくなってしまうがな。

実のところ、雪名に限らずこの作品の女性陣は多かれ少なかれちんまい可愛らしさで構成されているので油断できない。最初はえらく硬い雰囲気で登場した親父さんの後輩の女刑事も、打ち解けてしまうとお姉さん風を吹かせながらも妙に少女チックな所のある人だと発覚してしまったし、新登場のアンデレもつんつんと取っ付き悪いタイプかと思いきや、むしろ迂闊系のチョロい妹タイプだったりと、何気に庇護欲を掻き立てられるヒロインが揃えられているなかなか珍しい作品だったりする。とは言え、小動物タイプが揃っているとはいえ、足を引っ張られたり、此方の都合も考えずやたらつきまとってきたり、内罰的で鬱陶しかったり、という事はみんなないんですよね。それぞれがちゃんと自立した上で、思わず守ってあげたくなるようなオーラを発しているのである。つまり、上目遣いがよく似合うヒロインばかりなのだ。これは堪らん。
アンデレさんは特に傾向の違うタイプのヒロイン登場かと見ていただけに、まさか妹系だとは予想外だった。てか、誰だよこのダメっ娘を執行官に選出したのは! 戦闘能力が基準値満たしてても、さすがにこの迂闊でドジっ子で安直でリカバリー利かない性格の小娘では、執行官業務務まらんだろ。向いてないから、全然向いてないからw ディエゴの方が、あんな戦闘マシンで対人スキル皆無っぽい執行官だったから、てっきりアンデレが社交まわりの担当かとも登場時には思ったんだけれど、あの迂闊さじゃあいらんことまで口走って全部台無しにしてしまいそうだし。というか、今回見てたら普通にディエゴで外回り対応できてるっぽいんだが。強面で無口だけれど、むしろ交渉能力とかは普通にアンデレより出来るっぽいんだが。
……やっぱり、他に居なかったから仕方なくアンデレに選ばれたんじゃw

彼女の能力だけを見ると、走行中の電車を反動も何もなく簡単に静止させたのを見ても、使い方次第ではディエゴの能力よりもよほど応用が効いて使い勝手もよく、強力そうなんだが、果たしてアンデレさんでどこまで使いこなせているのか。
今回の敵であるカラスの「零」の能力は、殆ど反則近い能力なんだが、ようは使い方次第なんだよなあ。言うほど、カラスの能力自体がアンデレやディエゴ、そして雪名の力と比して飛び抜けているとは思わない。それが絶対的な力の差となって現れてしまっているのは、やはりカラス個人の力量なのだろう。数の災厄の力に目覚める前から、近代戦争の戦場において、単体で戦局を左右するまでに至る【パーフェクト・マーダー】の忌み名を冠するに至った戦闘センスこそが、彼の強みであるはずなのだ。でなければ、あれほど歴戦のディエゴがああも簡単にあしらわれるはずもない。雪名は殆ど無敵近い力を有しているけれど、彼女も決して戦闘経験が豊富だったり、相応の訓練を受けているわけではないから、差は大きいんだろうな。
ただ、それはでも誠一も変わらないっちゃ、変わらないわけで。今回はアンチリテラルとしての機能で不意打ちをつけたから撃退出来たけれども、果たしてそう何度もうまくいくものか。数の理論を応用して敵の能力を解体し、攻略法を見つけ出す、というスタイルが素で最強に近いカラス相手には通じないというのはなかなか辛い所。果たして、次回以降どう対処していくのか。誠一がアンチリテラルとして覚醒してしまったところが、逆に彼の智謀によって事態を打開する展開を崩してしまう形になりかねないので、結構判断が難しい所なんじゃないだろうかしら。

アンデレさん、順調にツンデレさんとなって誠一の方に寄りはじめているけれど、彼女、カラスに対してはあくまで身内という意識なんだろうか。過去のエピソードを見ていると、単純に兄への思慕とは言い切れない気もするんだが。カラスの方もちょっとわからんよなあ。裏切りの理由はともかく、彼なりにアンデレのことを考えていながら、わりと本気で殺しても構わない様子で攻撃仕掛けてきているし。根底で何を考えているのか見通せないというのは、カラスというキャラを判断しづらくしていて、うん面白いね。

今回は通してみると次への繋ぎの回、と言った風情で普段よりも盛り上がりには欠けた感もあるが、そのぶん次回以降には期待したい所ですね。

1巻 2巻 3巻感想

不完全神性機関イリス 154cmの最終兵器3   

不完全神性機関イリス  154cmの最終兵器 (富士見ファンタジア文庫)

【不完全神性機関イリス 154cmの最終兵器】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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世界の四分の三が死んだ世界―。宝条軍学校の傭兵科に通う貧乏生徒である俺・凪は、機械工学科への転科に悩む機械マニアだ。ある日、俺は廃材の山の中から少女の姿をした家政婦ロボを発見し、早速家で修理することに。「おはようございます凪」―そう言って目覚めた彼女・イリスは、だけど、家政婦ロボのくせに家事も何一つできないダメ家政婦で、しかもその正体は軍事用の人型機械体!?嘘だろ!?―トラブルだらけの同居生活&大暴走な学園生活。そして迫り来る正体不明の侵攻者『幽幻種』―。人類の最終兵器『神性機関』として覚醒したイリスに、世界の命運が委ねられる。
作者の長編シリーズ【氷結鏡界のエデン】のおそらくは前史にあたると思われるスピンオフの新シリーズ【不完全神性機関イリス】。エデンの主人公シェルティスの優秀な相棒にしてお茶目な相談役、場合よっては引っ掻き回すトリックスターとして活躍する機械水晶イリスが、まだ人型機械としての身体を持ち、機神として活躍していた時代を描いたお話として、えらい期待していたのです。何しろラブコメっていうじゃないですか。あの所謂『イイ性格』をしたイリスが男の子相手にラブってコメるんですよ? 散々相手を引っ掻き回し弄り倒しておきながら、時々猛烈な可愛さでデレる! そんなイリスが見られるとなりゃあ、そりゃあワクワクですよ。その上で、このシリーズが前史である以上、いずれ世界は【氷結鏡界のエデン】の世界へと至るわけで、別れは必定、そこに待ち受けているのは何らかの形での悲恋である事は間違いない。
時代を超えた壮大なラブストーリーを、あのイリスさんが主役となってやってくれるとなれば、それはもうそれはもう……。
とまあ、そんな感じで盛り上がっていたのですが、あれ? イリスさん? なんか……その、性格というか、キャラ違いません?
何やら健気で一途でひたむきで献身的で、愛くるしくて人懐っこい小動物みたいな『カワイイ性格』の女の子じゃないですか。カワが被ってますよ、カワ、カワ。カワを取り除かないと『イイ性格』にはなりませんよ?

とまあ、意外と言えば意外すぎるイリヤさんのお姿に、ややも呆気。やっぱり記憶か、記憶喪失が原因か。記憶を取り戻したら、ちゃんと『アレ』なイリヤさんになってくれるんか。それとも、これから『アレ』な性格へと成長、もしくは変貌してしまうのか。染められてしまうのか。いや、染めてくれるような『アレ』なキャラはとりあえず見当たらないので、明らかに自己進化の方向だと思われるが。
あ、いや、ここは性格面よりも、性能面に言及するべきなのか。

ポンコツだーーー!!

なんという無能w 所謂無能な働き者。不完全神性機関ってつまり、大迷惑機関、という意味だったのでしょうか。本人、悪気がないだけにたちが悪い。エデンのイリスみたいに悪気たっぷりの有能もたちが悪いが……って、どっちにしてもたちが悪いな!!
結構、彼女の大迷惑さは死活問題な気がするが、凪くんは甘いなあ。

世界観の方は、世界の四分の三が滅び去っているにも関わらず、なんとものんびりした空気。普通ならもう、日常が崩壊しているレベルのようにも思うんですけどね。氷結の方は、結界が機能していて曲がりなりにも平穏は保たれているから、というよりも閉鎖空間の中での自己サイクルが完成しているが為に、一般市民の日常も成り立っているのでしょうけれど、此方の世界では世界が滅びていく状況が現在進行形なわけで、難民流入や市民の不安感の増大に伴う治安の悪化。生存権の縮小に伴う生産体制の崩壊と物資供給の滞りなど、ちょっと考えただけでも世界は終わっちゃってるわけで、普通なら国家総動員体制だわな。のんびり学校生活送らせている余裕があるんだろうか、とちと疑問に思う。
まあ近い将来、なくなりそうだけれど。どう見ても破滅的な状況でありますし。何やらエデンの方でも見かけた重要なネームド・キャラクターの姿がチラホラ、と。さすがに教官どのは別人だろうけれど、明らかにあの二人は同一人物、というかあの人たちはエデンでも千年前から活躍していた、とちゃんと明記されているので、間違いなく当人なのだろうが……この頃のあの人とか、結構ヤバそうな性格してそうなんだが。やはり千年という月日は、それ相応に性格の門を丸くしたり、逆に棘を生やしたりとかしてしまうのか。

そして、相変わらず世界の要石にも関わらず、微妙に役立たずな禁断水晶さん出ましたーー! って、禁断水晶、既に千年前から燃料切れだったんかい!! あんた、全盛期何時だよ!! エデンでもうあかん、もう耐えきれへん、ギブギブ! と音をあげてたから、千年前はさぞブイブイ言わせてたんだろうな、と思ってたら、千年前からもうあかんねん、もうあかんねん、これ最後やからな、最後やからあんた自分で何とかしたってな、とギブアップ寸前だった件について。
いや、実際はアマリリス・ソフィネット、こんな態度じゃありませんけど、大丈夫か世界の守護者と思わざるをえない。……まあ、大丈夫じゃなかったから、エデンになっちゃうんだろうなあ、うんw

細音啓作品感想

カンピオーネ! 11.ふたつめの物語4   

カンピオーネ! 11 ふたつめの物語 (カンピオーネ! シリーズ)

【カンピオーネ! 11.ふたつめの物語】 丈月城/シコルスキー スーパーダッシュ文庫

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神殺しの物語、第二幕がついに上がる!!
待望のカンピオーネ!セカンドエピソード公開!!

草薙護堂は友であった軍神・ウルスラグナと相打ちとなり、神殺しの魔王・カンピオーネへと生まれ変わった。
かの神を殺す際、護堂に利用された神王・メルカルトは新たに誕生した王を次なる敵と定める。
さらにはイタリアの剣の王サルバトーレ・ドニも護堂に興味を示し、護堂との戦いを求めるが、それは彼の配下の魔術結社に所属するエリカの、護堂との別れを意味していた…!
魔王となったばかりの護堂の物語がついに明かされる!
いざキスをしなければならなくなったとき、受身でエリカにして貰うのではなく、あくまで自分から、という所が護堂さんの男前な所なのだ。
こうして改めて見ると、ファーストエピソードの時も強く思ったことだけれど、護堂さんって本当にエリカの事は特別なんですよね。こればっかりは、後でどれだけ周りに女性が増えても変わらない。むしろカンピオーネでなかったらすんなりと恋人同士になってたんじゃないかと思うくらいに、護堂はエリカのことを意識しまくっているのです。過去編はまさにエリカとの馴れ初め話で主だった女性が彼女しか登場しないだけに、より顕著に護堂さんの意識がエリカに向けられているので、その点非常にわかりやすい。特に、この頃のエリカはまだ護堂に対してツンデレさんなので、エリカの方からイチャイチャとくっついてくるわけじゃないので、余計に護堂が彼女を気にして気にして仕方ないのが傍目にもよくわかる。微笑ましいのは、エリカもエリカで護堂を意識しまくりながらも素直になれずにツンケンした態度をとってしまうところだ。今となっては、護堂を愛しているといって憚らず、熱烈なアプローチを常とするエリカの初々しい様子は、もう見ていて可愛いのなんの。あのエリカが、照れたり恥ずかしがったり、普通の女の子みたいにいじましい姿を見せてくれるんですよ。こりゃあもう、堪らん。
今でこそ清純派とは程遠い、いっそ艶美と言っていいほどの艶めいた色香で護堂を弄るエリカさんですが、この話を読んでしまうと本来は潔癖で身持ちのかたい乙女だったのがよく分かります。シチリアの熱い夜に貴方に純潔を奪われた、と度々護堂をこのネタでからかってたエリカですが、当時は決してからかい混じりに冗談で純潔を奪われたと言っていたわけじゃなく、本気でそう思ってたんですなあ。事後にベッドの中ですすり泣いているエリカの姿はなかなかショックでしたよ。もっとケロリとした顔で受け止めていると思っていただけに、彼女としても一大決心だったんだなあ。
結局のところ、エリカはあれだけ計算高く、賢明で抜け目がなく、常に客観性を失わない理性派なのに、護堂に関してはあれで一から十まで損得勘定は抜きなんですよね。まだ護堂のことを好きだと自覚してない頃から、自分の不利益も鑑みずに面白そうだからと理由をつけて護堂の世話にかまけて離れまいとしていましたし、いざ護堂が死地に飛び込んでしまった時には、今まで彼女が築きあげてきたものすべてを投げ捨てて彼のもとに駆けつけてしまっている。あとで上手いこと挽回して帳消しどころか自分の利益を確保しているあたりは、さすがエリカと言ったところですが、護堂のもとに駆けつけてきた時はそんな事頭になかったでしょうからね。
これほどの女性から、一生添い遂げる覚悟があると告げられて、痺れない男はいないでしょう。この時の護堂は、カンピオーネになったとはいえ、まだ成りたてで魔王の格なんてまだしっかりと持ちえていない段階。しかも、絶体絶命で自分の味方をしても損なだけ、という場面でしたしね。まあ、そういう彼我の状況と立場の軽重をわざわざ意識しなければならないような関係では、護堂とエリカはもうこの時点でなかったようですが。
実際、この二人は本当に良いコンビなんですよね。というよりも、護堂にとってエリカは既にかけがえのない存在、というべきか。あれほど絶対的で隔絶した強さを持つカンピオーネとなりながら、護堂にとってエリカが傍に居るのと居ないのとでは全然安定感が違うのだ。超越者は往々にして周りの追随を許さず付き従うものを添え者と化させ孤高を強いられるものだけれど、護堂に関してはむしろ独りでいるよりも、エリカが傍に居てこそ完成しているような雰囲気がある。なるほど、これは相棒であり伴侶である、としか言えない関係だ。エリカが、この人は自分が居ないとダメなのよ、というのもあながち自己アピールの一貫ではなく、客観的な一つの事実なのだろう。
しかし、一度自分の気持を素直に受け入れたあとの、エリカの積極性と情熱的なアプローチは、さすがはラテンの人である。二度目の教授の魔術シーンなんて、一度目とは全然雰囲気違ったもんなあ。あれほどエリカが我を失って恋に溺れ、官能と悦楽に浸ったのは、後の「少年」の権能を受けるまでなかったこと。まずもって理性をなくさないエリカが、素の感情をさらけ出して護堂に身を任せた本当に珍しい一例であり、それだけこの時のエリカが浮かれてた、と言うことなのでしょう。
可愛いじゃないですか。

肝心のバトルシーン。メルカルト神王との再戦と、因縁の間柄となるドニとの決闘が描かれるという、豪華二本立てなのだけれど、さすがにカンピオーネになったばかりで勝手がわからない新米の護堂さん。そりゃもう、死ぬわ死ぬわw
これほど短期間に雄羊の権能にこれだけお世話になったのは後々にも無いことで。それだけ危うい戦いだったんだよなあ。それでも死なずに、心も折れずに、カンピオーネとしての戦い方を身につけていく護堂さん。果たしてメキメキと魔王らしくなっていく、と見るべきかはたまた最初からこんなんだったんだよ、と見るべきか、なかなか難しい所である。
まあ、メルカルトは兎も角として、あのドニにこの時の護堂がよく勝てたよなあ。あれだけの死闘を繰り広げた直後に、普通に一緒に召し食ってるあたりに、護堂にしてもドニにしても、カンピオーネという存在が絶対的な強さによって成り立っているのではなく、その精神性、中身のハチャメチャさによってカンピオーネたるのだ、というのが如実ににじみ出ていたんではなかろうか。

これで護堂がカンピオーネになってからの一巻までのミッシングリンクはだいたい埋まったのかな。如何にしてあの自称平和主義者たる魔王・草薙護堂が形成され、エリカとの関係が築かれたのかが余すことなく描かれた過去編。どうやら後書きによると最初はこの前史については書く予定なかったようだけれど、読めて良かったですよ。ツンデレエリカという貴重な一品も見れましたね。
ついにアニメ化も決まりましたし、此方としては良き出来栄えを期待するばかり。やれば出来ると信じたい。あと、本編の続きもなるべく早く読みたいなあ(チラッチラッ

あと、さり気なくですけれど、序盤のほうでウルスラグナを神聖視する小さな魔術結社が使っていた魔術。ミトラの名前が出てましたね。ウルスラグナとの深い関係を考えるなら別段おかしくはないのですが、意味深ではある……。

シリーズ感想

断章のグリム 16.白雪姫(上)3   

断章のグリム〈16〉白雪姫〈上〉 (電撃文庫)

【断章のグリム 16.白雪姫(上)】 甲田学人/三日月かける 電撃文庫

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甲田学人が描く悪夢の幻想新奇譚! いよいよ最終幕に突入──!!

「『普通』なんて、いつか壊れて、ここに戻って来る。蒼衣ちゃんは『王国』の国民なんだから」
 握り拳を震わせて言いつのる葉耶。蒼衣を苦しめる、かつて蒼衣が破滅させた少女の幻影。だが、蒼衣は<泡禍>と出会うまで、葉耶の存在すら忘れていた。過去に本当に起きていたことも覚えてはいなかった──。
 そして、主の帰ることのない神狩屋の書斎で見つけたスクラップブック。そこに記されていたのは、葉耶にまつわる過去の真相。そして──。
バタバタと書き割りが倒れるように、これまで真実と思い込んでいたものが翻っていく。過去の報道などに記されていた葉耶の死の真相は、蒼衣が覚えていたそれとは全く違っていた。ならば、蒼衣の偽りの記憶はなんだったのか。それに、蒼衣の断章は葉耶の死のトラウマこそが力の根源だったはず。あの記憶が間違いだったというのなら、蒼衣の能力は一体何によって決定されてしまったのだろう。
おそらく、真相をかなり深い部分まで探り当てていただろう神狩屋は、もはや完全に狂気に呑まれ、己が死を願うがゆえに死を撒き散らすことを厭わない人の形をした災厄と化してしまっている。
自ら真相を探ろうにも、蒼衣も雪乃もバックアップしてくれる大人が居なくなってしまったが為に、ろくに情報も与えられず行動を取ろうにも動けない状態だ。特に、騎士としての能力を自負していた雪乃にとって、神狩屋が居なくなった途端に自分が大人の支援がなければ何もできない子供に過ぎなかったことを思い知らされて、切歯扼腕するハメになっている。
何もできない、何もさせてもらえない。放っておいても早晩破綻しかねない断章の暴走を抱えている蒼衣にとって、現状は破滅への直滑降だ。本来、彼の記憶を探る件についてはもっと慎重に行うべきだったんだろうし、暴挙の誹りを受けても仕方のない行動なのだろうけれど、今の二人にとって真相を追う事は最善にして唯一の出来る事だったんだろうな。暴挙が最善であるという時点で、二人の、特に蒼衣の置かれた状況がもはや救いようの無い段階にまで進んでいると言えるのだろう。
その結果、辿り着いた葉耶の実家で遭遇した<泡禍>と、ようやく浮かび上がってきた蒼衣の本当の記憶の中にあった光景は、事の真相がとめどなく根の深いものだったことを示していたと言えよう。おかしいのだ、明らかに。あの家で<泡禍>に遭遇するのも、蒼衣の記憶の中に「彼女」が存在している事も。
状況はこれ、蒼衣の問題だけじゃなくなったのかもしれない。<泡禍>という悪夢に纏わる事象の根底に、事は関わっている可能性が出てきてしまった。これ、場合によっては全滅エンドどころじゃなくなるかもしれないぞ。夢は何時か覚めるもの。泡のように消えるもの。世界を夢に例えるのなら、その世界は夢から覚めたときにどうなってしまうのか。全滅エンドで終わればまだマシ、なんて絶望どころの話じゃないですよね、うん。
神狩屋のロッジのもう一人のメンバー。前巻のラストに出てきた入谷さん。人格に問題のあるかのような印象を事前には見せていましたが、実際はどうやら本来かなりまともな人だったようで。かなり摩耗しているとはいえ、まだ人間性はちゃんと保っているようですし、彼なりにロッジの子供たちのことは気にしているようでしたし。
ただ、この作品の場合、まともな人程悲惨な方、悲惨な方へと転がり落ちていくのが常であり、それはこの入谷さんもその点においては何も変わらない。この人、断章がまた凄惨を通り越してホラーの極みですよ。無茶苦茶な断章じゃないですか。これは狂う。普通は頭おかしくなる。年単位でまず持たない。それを、壊れかけとは言え十年以上保ってるんだから、元々からして相当に精神的に頑強な人だったんだろう。でなきゃ、断章が発現してから普通に恋人を作ろうという気にすらならないでしょう。恋人作ってる時点でどこか壊れてたんじゃないかと疑いたくなるところですが。
前々からこれ、映像化したらすごい作品になるだろうな、とか言ってましたが、無理です。映像化無理。しても、モザイクばっかりで何が映ってるか見えないアバンギャルドな作品になること請け合いである。少なくとも地上波では無理だろうな。というか、見る気しないわ、これは。読んでるだけでも気分悪くなりそうなくらいなのに。
ウジ虫はやめれーーww

最後の主題は白雪姫。誰が王子で誰が継母で、誰が七人の小人で誰が白雪姫なのか。多分、最初から最後は白雪姫だと決めていたのだろうから、ヒロインが雪乃という名前であったのも何らかの意味が込められている、と考えるべきなのかしら。現状、どちらかというとヒロイン役は蒼衣の方が強かったりするのだけれど。

シリーズ感想

GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン きみとあさまで 1(上)4   

境界線上のホライゾン 〔Horizon on the Middle of Nowhere〕 1 (初回限定版) [Blu-ray]

【GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン きみとあさまで 1(上)】

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 遠い未来。狭くなった人の領域で、再現することになった歴史のお話。
 聖譜歴1647年、再現歴史のマニュアルである聖譜の更新が停まり、末世と呼ばれる時期が深まる中、極東では人々が不安や未来を案じつつも、自分たちの生活を過ごしていた。
 極東上を移動する航空都市艦・武蔵は、三河から大坂を過ぎ、次の寄港地として安芸、厳島に到着していた。安芸はK.P.A.Italiaの本拠である。そして瀬戸内海の空の上、学生達は、春期学園祭の一貫として、安芸と武蔵の協働による雅楽祭を開こうとしていた。
 武蔵の学生の一人、浅間神社の一人娘の浅間・智は、武蔵アリアダスト教導院の二年生で巫女である。オパイも背丈もデカいが、大概気にせず生きてきた。富める者は気にしない。そんな彼女はしかし、一つの思案を抱えていた。それはこの雅楽祭にて、神道の雅楽から離れた音楽活動を始めようかどうか、という事であった。
 浅間は真面目な娘である。オパイもデカく幼馴染みが大分問題あるが、ヒビを正しく生きてきた。しかしことの始まりとして、馬鹿の告げた小さな一言が、いつもの自分を変えてみようかという契機になった。
「バンド始めようって言ったら、どう反応されますかね……」
 何しろ今まで雅楽一本砲撃専念我が前に敵は無しという禊祓の巫女だ。流行歌? 愛とか好きとか唄ってみる? そんな無茶な、でも黒盤とか多量に持ってますけどねー……。
 どうしたものか。
 ゆえに、踊って歌える友人として、オパイの大きな葵・喜美と、薄型のネイト・ミトツダイラを巻き込んで、紆余曲折の始まる塩梅。
 47年度生徒会、総長連合の連中や、三河より乗り込んできた出所不明の記憶皆無な自動人形と、イレギュラーな存在とも交流しながら、浅間は、気がつけば射撃してたりもするが、これからの自分の舵取りを決めていく。筈。

境界線上のホライゾン。アニメ・ブルーレイ第一巻特典として付属していたのが、この原作者川上稔先生書きおろしの本編前日譚【きみとあさまで】なのでした。……タイトルに「1(上)」って付いてるよ。これ、全部トータルしたらもしかしたら1000ページ行くのか、もしかしてw
特典小説にも関わらず、この本、実に150ページ近くもある。普通はまあ精々その十分の一前後だ。それでも、箱から取り出した際に「薄いなあ」などと思ってしまうのは、原作が平気で800〜1000ページ近くある鈍器だからなのだろう。驚くべき事にこの冊子は川上氏の著作にも関わらず縦に直立しないのだ! その事実に驚くほうが驚くべきことなのだろうが、まあどうでもいい。
という訳で、薄いじゃーん、じゃああっという間に読み終えれるな、などと舐めていた時期が私にもありました。

……読み終えるまで一時間近く掛かったんですがw

あれぇ?
本体のアニメ本編の収録時間よりも時間がかかりましたよ?

注意点。この冊子。カバー裏にも掌編2ページ分が収録されていますので、お見逃しなき事のよう。ってか、普通舐めた特典ならその2ページでドヤ顔しそうなものなんだが。

内容は本編のおよそ一年前。みんなまだ二年生という、原作一巻で言うところのオリオトライ先生の髪の毛一本も台無しにできないほどの未熟者の時期時節。あ、さりげなくオリオトライ先生の出自に纏わるだろう情報がチラリと載ってましたよ! まだあれだけじゃ推測も何も出来ないのだけれど、先生、剣豪関係という筋も出てきたかも。何しろ最近、小野だの柳生だのという剣豪ネームも出張って来ましたしねー。可能性としては無くはないかも。
と、話がずれた。
お話、過去話ということで現在の主要人物のみならず、既に学生法に基づき引退してしまった先輩諸氏も今回大いに出張ってきている。具体的には先代の生徒会長兼総長などである。御存知の通り、武蔵の生徒会長兼総長は代々「無能」が就任する事が決まっており、先代となる鳥居元忠(女)も例に漏れず「無能」の名高き人だったようだ。
……あれか? この世界では「無能」とは=「キ◯ガイ」なんですか!?
あたしゃあ、葵・トーリという逸材は、アレ一個が世界で唯一無二の絶滅推奨種たるバカなのだと思ってたんだが、もしかして武蔵の生徒会長兼総長は毎年あのレベルだったのか!?
ガチでこの人、鳥居元忠さん、トーリと同レベルです。アウトです。ヒャッハー系ハイテンションアッパーバカです。本来の鳥居元忠と言えば、徳川家随一の忠臣として関ヶ原の前に散った人だというのに、なぜこうなったw
しかし、先代の生徒会・総長連合の幹部は、大久保忠世、大須賀康高、渡辺守綱と徳川配下の中でも四天王を除けば屈指といってもいい武辺者ばかり。逆に言うと、徳川の主力となる襲名者やそれに準じる者たちは概ね現役から退いてしまってる、ということになるんだなあ。

さて、バンドである。浅間が伝統じゃない流行りの音楽をバンドを組んでやっちゃおうかなあ、と悩んだり悶々としたりするのである。バンドしようかな、と思ったのがトーリの発言から、というあたりにこの娘のトーリ依存症の重症さ加減が伺える。悩んでいるふりをしておきながら、鳥居会長の一言の押しがあったとはいえどう見ても最初からやる気満々だったしねえ。愛とか好きとか唄っちゃう!?
そうしたアサマチのお悩み相談会が、どうして乳バンドの話になるのかは謎であるが、概ねこのシリーズでは通常運行である。

みなさん、浅間・智はノーブラです!!

この女、あの胸をしてノーブラかよ!! しかも、その理由がトーリに禁止されたから、って。彼女、今もノーブラだよな、これは。間違いなく。原作本編、ずーっとノーブラだったのな。アニメでもあれ、全部ノーブラだったのな。総員注目! 凝視凝視!!
なにしろ、つけようとしたらクラスの最高権力者たるベルさんがダメ出しなさるので、つけられないし。鈴さんにダメ、と禁止されたら逆らえる者は梅組にはいません。ベルさん、確かに偶にアクセルだw

まだまだ未熟な二年生、なみなさん。雅楽祭の準備をしてたら妖物が現れ暴れだすというデンジャラスゾーンな世界観。なんか戦闘はじまりましたよー!?
ネイトがこの頃は盾役だった、というのはなかなか新鮮な驚き。まあ機動殻を装着したアデーレを除けば、一番足が遅いのがネイトでしたからねえ。超鈍足!! まだまだ中学生の頃の荒れっぷり暴れっぷりの引け目が残っていて、狼さんちょっと萎縮しているようなところがある時期だったんですねえ。トーリから約束放置されて、ワンコ寂しかったんだな、うんうん。
ってか、アデーレですよ、アデーレ!! 何この娘。確かに脚力には自信がある、と以前からのたまっていましたが、ガチで足速かったのか! びっくりですよ、アデーレ、点蔵より速いとか! 忍者より俊足って、そりゃ自慢できるわ。相変わらずアデーレは昔から当たり判定対象だったご様子で、ポンポン吹っ飛び「あいたー」の可愛らしさ。くそっ、あざとい。アデーレあざとい!

とまあ、みんなして未熟を晒していらっしゃる中で、この頃から図抜けたものを見せているのが、浅間の射撃と、葵・喜美のお二人である。浅間はともかくとして、喜美はこの頃から既に現在と遜色のない実力を示している。あの術式とか、余裕でパないのですが。確か喜美って攻撃力は殆ど無いに等しいんだけれど、これだけやれてしまうとそういうの関係ないよなあ。
あ、それと賢姉さまってトーリが告白すると喚きだす前に、既にホライゾンのことちゃんと見抜いてたんだ。ああああー、そう言えば賢姉だけトーリが告ると言い出した時、ホライゾンの存在について疑問を見せなかった、どころか応援してたもんなあ。さすがは姉様だわ。気違いだけれどな!!

以前から、この世界での神社の機能は、携帯電話会社に当てはまると言われてましたけれど……ガチでそのまんまじゃないか!!(爆笑
排気量確保の為の浅間神社経由での代演契約。これが、まんま携帯電話の契約プランだったりする。長年契約してると、継続年数に応じてボーナスが付くとか、一般用の「らくらく約束代演プラン」とか。読んだ瞬間吹いたw
其れ以上に、代演契約の内容がまた凄まじいんですけどね。アサマチアサマチ、それ制約違う。自分を追い込むのと逆だから、それ。むしろ楽しみじゃないですか。というか、その歳にして酒飲みすぎるw
一方でトーリはもう、トーリとしか言いようがなく。こいつ、ガチで脱げば脱ぐほど増し増しだったのかw

つーわけで、特典用のおまけというにはあまりにも読み応えがありすぎて、アニメでは食い足りなかった外道スタイルも絶好調、ということでガッツリと堪能させていただきました。ああもう、面白なあ!!
まだバンド組むまでには至っておらず、これマジで何冊で完結するんだ!? もしかして、「1(上・中・下)」が第一期分で、二巻以降は第二期に続く、とか……あ、あり得る!?

原作シリーズ・川上稔作品感想

とある科学の超電磁砲 75   

とある科学の超電磁砲 7―とある魔術の禁書目録外伝 (電撃コミックス)

【とある科学の超電磁砲 7】 冬川基 電撃コミックス

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“戦い”は終結し、新しい“物語”が始まる ――!

一方通行との死闘を終えた美琴を待っていたもの。
それは上条当麻からの手作りクッキーのおねだりと、規格外のスケールの超運動会だった―― !!
毎回毎回おんなじ事ばっかり繰り返してしまって申し訳なくなるのだけれど、これ本当にすごいわ。純粋に「漫画」としてここまで表現出来る人、今どれだけ居るんだろう。
愕然としたのが、これほどにキャラの表情を迫真かつ豊かに描ききれる人が、この巻ではむしろ表情を見せないことで凄まじいまでに印象に残るコマやシーンを描き出してるんですよね。39話の最後のコマとか、その次の閑話とか、もはやあっけにとられるレベル。
婚后さんがあの湾内さんと泡浮さんと友だちになったシーンでの、遠くから美琴が三人に近づいていくのを足元から映しているコマとか。カメラアングルが神がかってるんですよね。一コマ一コマに、心引っ張られ鷲掴みにされるこの快感、この悦楽。いやあ、やっぱり最高ですわ、この人の描く漫画わ。

という訳で、シスターズ編の決着から婚后さんの新登場、美琴の天敵である食蜂の本格出場に伴っての大覇☆祭の開幕という形で本編も急展開。
いやあ、もうね、電磁砲での上条さんは、原作側と言動一緒のはずなのになんかもう別人ですよね、別人。男の魅力がパねえっすよ、この上条さん。
「俺の最弱は、ちっとばっか響くぞ」と嘯く上条さんのあの顔、何なんですか、あの表情!? 背筋泡立ちましたよ。すっげえわ、あの台詞を言うシーンで上条さんにあんな顔させるなんて。印象、まるで違うんですけど。
ここで挟まれる一方通行の心象風景もまた素晴らしい。これが在るお陰で、彼の最強を求める根源が一気に理解できました。いや、理解と言うより感覚的に伝わった、というべきか。
そしてあの『鉄橋は恋の合図』でのミサカさんですよ。もう、やべえって。ここでの御坂さんはヤバすぎる。恋ですよ、恋! この世で一番キラキラと輝いてるあの「女の子の恋」そのものですよ。
ここも最後のコマがもう最高すぎて、痺れた。

続いて、アニメで大人気の婚后光子さんが、漫画のほうではこれが初登場だったんですね。婚后さんはキャラが立ちすぎくらいに立ちまくって、世界観に馴染みすぎてたんで、もう漫画のほうでも登場済み、な気分だったのですが、そうか、まだだったんだ!! びっくり!!
いや、しかしこの婚后さん、素敵すぎじゃありません!? アニメだともうちょっと面倒くさい性格だったぞ!? 相変わらず人付き合いの下手くそなお嬢様ですけれど、この婚后さん無茶苦茶いい子じゃないですか! アニメでも仲良くなってた泡浮さんと湾内さんとの関係も、あちらでは二人が婚后さんに合わせてくれてる、みたいなところがありましたけれど、こちらではすっごく素直に婚后さんから「友達になってください」って申し込むのである。ちゃんと反省すべきところは反省するし、自分の至らない所に対する自覚も強い。変に意地もはらずに、美琴にも湾内さんたちにもすごく素直に接してますし……おーい、黒子。アニメじゃ似たり寄ったりのダメライバル同士だった気もするが、こちらだと婚后さん、真人間レベルが素晴らしく高いですぞ!?
大覇星祭で美琴と婚后さんがコンビくんで競技に出場してるのも納得。いやあ、むちゃくちゃ仲いいじゃないですか、お二人さん。息も合っててコンビネーションも抜群ですし。この婚后さんなら、佐天さんとも気が合いそうですし、こりゃあ本格的にレギュラーメンバー、というか美琴、黒子、初春、佐天のメインカルテットに入ってきそうな勢いですじゃん。むしろ歓迎のことですが。

人間力といえば、佐天さんですよ、佐天さん。相変わらず圧倒的なまでの人間性の高さ。この娘、つい先日まで小学生だった中学生のくせに、心配りが行き届き過ぎでしょう。友達甲斐がありすぎる。落ち込んでた初春を元気づけるために色々と画策して気を使っているのに、まるでそれを気取らせないのがまたすごい。傍から見てるから、佐天さんが初春の為に彼女を引っ張り回していたのはわかってたはずなのに、それをついつい忘れてしまうくらい、この娘気負いなく他意を見せず初春を連れて遊びまわっているのである。ごく自然に、ただ普通に遊んでいるとしか思えないくらいに。
佐天涙子は、絶対将来モテまくるに違いない。違わなければおかしいよ、うん。

それから、ついに以前から美琴が敵視しまくってた、どうやら人間性に問題がありまくるらしいレベル5の一角、食蜂操祈が登場。うわー、こいつはヤバイわ。この性格でこの能力って、やりたい放題じゃないのか? ってか、ダイエットしてる娘にケーキバイキングとか、鬼か、こいつ(笑

原作本編の方の大覇星祭の方は、上条さんがバタバタと走り回っているうちに適当に終ってしまったので、こちらではガッツリとお祭りやってるのをみたいところでありますなあ。
食蜂がどう絡んでくるか、なんだろうけど。というか、また佐天さんが知らず知らずに足突っ込んでそうだぞw

シリーズ感想


超能力者のいた夏3   

超能力者のいた夏 (メディアワークス文庫)

【超能力者のいた夏】 寺本耕也 メディアワークス文庫

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都内の高校で問題を起こし長野県の私立学園に転入した高校生、高那聡。番長と呼ばれる小柄な少女・翼と出会い、成り行きで入った山奥の寮で彼を待っていたのは揃いも揃って役に立たない、不思議な能力を持つ寮生たちだった。寮生たちの能力に翻弄されながらも高那は新たな生活をはじめるが、不吉な予言は彼が重傷を負うと告げ…。―誰もが知り誰も見たことのない力、超能力。なぜ我々はそれを見たことがないのか?傷つきながらも前向きに走る、少年と少女たちの物語。
美味しい食べ物は文明的な生活の基本中の基本です。食が満たされていなければ、心の余裕も生まれません。という訳で、主人公が料理を振舞ったらコロッと拒絶の態度をとっていた面々が態度を翻したのも当然っちゃー、当然なのです。どうやら寮では全くまともなものが食べれてなかったみたいですしね。まかり間違えれば半額弁当争奪戦にでも繰り出さなければ生き残れない状況だったのではなかろうか。そう言えば、弁当争奪戦で役立つ能力でも持ってなかったんだろうか、この人達……全然無いっぽいな。
持ち得た能力が自然消滅するまでの期間を穏やかな環境の中で過ごさせようという意図で作られた私立学園。そこには数多くの超能力者たちが集められているのだが、その中でも普通の生活を脅かしかねない能力の暴走を起こしてしまった超能力者の問題児たちが集められた寮こそが、高那が入寮することになった場所である。
と言っても、みんな人間性に問題があるわけではなく、件の暴走もみんな話を聞いてみればそりゃあ大迷惑でドエライ騒ぎになっているものの、被害も何事もなく終われば笑い話で終わるようなものばかりだ。幾人かの例外を除けば。
主人公の高那は、以前の学校で大きなトラウマを負った事で、いやトラウマというよりも自分を保つことのできないほどの後悔、というべきか。兎も角、前に進む勇気も気力も喪ってしまった彼にとって、その人生の多くの痛みや喪失を抱えて生きている超能力者たちは、決して他人事ではなかったのだろう。彼自身の性格は、どちらかというと軽薄でお調子者っぽい様子が垣間見えるくらいで、別に人間関係に生真面目だったり無闇に世話好きだったり、綺麗事が大好きなお行儀の良い優等生とは程遠い少年だ。
それでも彼は自分の痛みを忘れておらず、他人の痛みと向き合える。それだけで、十分なのだ。

超能力者だからと別の生き物だと捉えるのではなく、彼はあくまで周りで起こる問題を友達の事として向き合っていく。そして、一度逃げ出してしまった自分の後悔にもう二度と背を向けまいと、危険の中にがむしゃらに飛び込んでいくのだ。それは若気の至りではあるけれども、後悔に押し潰されないために必要な無理であり、同時に気になる女の子の為に頑張ってしまう男の子の可愛い、しかし覚悟を決めた意地なのだ。
カッコいいよ、高那くんは。こういう男の子は、好感度高いです。番長がコロッと行ってしまったのも、まあ仕方ないんじゃないだろうか。
ただ、翼と高那の仲が深まる過程には、もう1エピソードは欲しかったかなあ。お互いが気になる相手から、確かに好意を意識しあう関係になるまでの間が殆どなかったもので、いつの間にか高那がそこまで翼に傾倒していたのか気が付かずに、かなり居を突かれたものですから。もうワンシーンくらい、二人きりで交流を深める日常の場面があったらねえ。
ともあれ、直球勝負の青春劇としては、心すくような良作でした。この作者の作品はもっと追いかけてみようかな。

ココロコネクト 23   

ココロコネクト(2) (ファミ通クリアコミックス)

【ココロコネクト 2】 漫画:CUTEG/原作:庵田定夏 ファミ通クリアコミックス

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イレカワル、ココロ。ソノサキニハ…!?
「ふうせんかずら」という謎の存在の手により、人と人のココロが
入れ替わるという現象に襲われた、私立山星高校の文化研究部 部員一同――。
入れ替わり現象がもたらす影響が、ジワリと部員たちのココロの
中に広がって…!?

ファミ通文庫の人気作、コミカライズ単行本第2巻発売!
は、破壊力がやっべえ!! 今、多くの人気作品のイラストを担当して売出し中のイラストレーター「CUTEG」さんが手がける【ココロコネクト】のコミカライズ第二弾。
漫画、としてはやっぱりいささか物足りない部分も見受けられるのですが、それを補って余りあるほどにキャラクターの描写力が凄まじい。この二巻は、これまでみんなを理性の部分から支えてきた稲葉姫子の本音と崩落が起こり、太一と真正面から向き合うシーンに到達するのですが、これがもう破壊力満点。いやあもう、この一連のシーン、原作でも稲葉の思わぬ素顔に打ちのめされ、のちのち圧倒的な稲葉ん派へと傾倒する因果を此処で既に得ていたのですが、CUTEGさんの絵描く稲葉姫子の素の顔は、魅力的すぎてこの時点でメロメロですよっ。
「私まで惚れさせるつもりかよ」って、そりゃこっちの台詞です、姫子さん。あーた、そんな恋した乙女の表情で言っちゃってたら、そりゃあもうあからさまに手遅れじゃねーですか! 原作読んだ時は、あれこれ脈ありなんじゃ、と穿つ程度だったのに、これもう脈あり程度じゃないですよ。完全に落ちてます、落ちてます!!
こんなときめいた顔で、あたしもお前のことオカズにしてたんだぜ、みたいなことを言われた日には、太一の自家発電がエラいことになってたんじゃないだろうか。既にこの時点でエロばんの萌芽が出まくりですがなw
この段階でこれだけの破壊力って、それじゃあ原作二巻以降の物語に突入した日には、いったいどこまで到達してしまうんでしょう。恐ろしい、恐ろしすぎてヨダレが……w
とかく、CUTEGさんの絵を堪能できるという意味で、美味しすぎるコミカライズです、はい。これで連載続けることで漫画力も上昇していけば言うこと無いのですが。
 

12月7日

桑原太矩
(アフタヌーンKC)
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守野伊音/朱里
(ガンガンコミックスONLINE)
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望公太/浦稀えんや
(ガンガンコミックスUP!)
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佐伯さん/芝田わん
(ガンガンコミックスUP!)
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12月6日

ずいの/系山冏
(ヤンマガKCスペシャル)
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12月5日

比村奇石
(プレミアムKC)
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比村奇石
(ヤンマガKCスペシャル)
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小箱ハコ/白猫
(フロース コミック)
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iNA/Yuna
(フロース コミック)
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奥山エリー/仁科裕貴
(フロース コミック)
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白川蟻ん/六つ花えいこ
(フロース コミック)
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HASH/VISCACHA
(フロース コミック)
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Whale/Milcha
(フロース コミック)
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米田和佐/まめちょろ
(フロース コミック)
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ほしの総明/篠原皐月
(フロース コミック)
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12月2日

左高例
(カレヤマ文庫)
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芥見下々
(ジャンプコミックス)
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近藤憲一
(ジャンプコミックス)
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末永裕樹/馬上鷹将
(ジャンプコミックス)
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鈴木小波
(ジャンプコミックス)
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yatoyato
(ジャンプコミックス)
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三条陸/芝田優作
(ジャンプコミックス)
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天望良一
(ジャンプコミックス)
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猗笠怜司
(ジャンプコミックス)
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かっぴー/nifuni
(ジャンプコミックス)
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かっぴー/nifuni
(ジャンプコミックス)
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山崎将
(ジャンプコミックス)
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榊健滋
(ジャンプコミックス)
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三浦糀
(ジャンプコミックス)
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ソウイチロウ
(ジャンプコミックス)
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飛田ニキイチ/ELDEN RING(株式会社フロム・ソフトウェア)
(ヒューコミックス)
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松本渚/久部緑郎
(ヒューコミックス)
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成瀬乙彦
(ヒューコミックス)
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浅倉秋成/大沢形画
(角川コミックス・エース)
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長岡太一
(角川コミックス・エース)
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鹿島初
(角川コミックス・エース)
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12月1日

燦々SUN
(角川スニーカー文庫)
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すめらぎ ひよこ
(角川スニーカー文庫)
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明治 サブ
(角川スニーカー文庫)
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水鏡月 聖
(角川スニーカー文庫)
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花宮 拓夜
(角川スニーカー文庫)
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海山 蒼介
(角川スニーカー文庫)
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ナナシまる
(角川スニーカー文庫)
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はむばね
(角川スニーカー文庫)
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御宮 ゆう
(角川スニーカー文庫)
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鏑木 ハルカ
(角川スニーカー文庫)
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たすろう
(HJ文庫)
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空埜一樹
(HJ文庫)
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桟とび/依空まつり
(B's-LOG COMICS)
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槙島ギン/カンチェラーラ
(コロナ・コミックス)
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鳴原/軽井広
(コロナ・コミックス)
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七星郁斗/琴子
(コロナ・コミックス)
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北国良人/楢山幕府
(コロナ・コミックス)
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鈴華/香月美夜
(コロナ・コミックス)
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高瀬若弥/佐々木ラスト
(HJコミックス)
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渡辺つよし/北条新九郎
(HJコミックス)
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三本コヨリ
(FUZコミックス)
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ぎんもく
(FUZコミックス)
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11月30日

わるいおとこ
(ファミ通文庫)
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吉岡剛
(ファミ通文庫)
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吉岡剛
(ファミ通文庫)
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桜霧琥珀
(GCノベルズ)
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機織機
(GCノベルズ)
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力水
(モンスター文庫)
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11月29日

アトハ
(エンターブレイン)
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月汰元
(エンターブレイン)
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ながワサビ64
(エンターブレイン)
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11月28日

逢沢 大介
(エンターブレイン)
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11月26日

(宝島社)
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はまじあき
(まんがタイムKRコミックス)
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肉丸
(まんがタイムKRコミックス)
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MOTO
(まんがタイムKRコミックス)
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バニライタチ
(まんがタイムKRコミックス)
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芽々ノ圭/ほえ太郎
(電撃コミックスNEXT)
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綾村切人/ナフセ
(電撃コミックスNEXT)
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友麻碧/夏西七
(Gファンタジーコミックス)
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水口鷹志
(角川コミックス・エース)
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肉丸/ジョーさん。
(角川コミックス・エース)
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さびしうろあき
(角川コミックス・エース)
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11月25日

Schuld
(オーバーラップ文庫)
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熊乃げん骨
(オーバーラップ文庫)
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岸本和葉
(オーバーラップ文庫)
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御堂ユラギ
(オーバーラップ文庫)
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白河勇人
(オーバーラップ文庫)
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不手折家
(オーバーラップノベルス)
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たまごかけキャンディー
(オーバーラップノベルス)
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日之影ソラ
(オーバーラップノベルスf)
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森下りんご
(オーバーラップノベルスf)
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ムラサキアマリ
(MF文庫J)
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鵜飼有志
(MF文庫J)
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黒鍵 繭
(MF文庫J)
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志瑞 祐
(MF文庫J)
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久追遥希
(MF文庫J)
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ぶんころり
(MF文庫J)
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ぶんころり
(KADOKAWA)
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理不尽な孫の手
(MFブックス)
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理不尽な孫の手
(MFブックス)
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七沢 またり
(MFブックス)
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北川 ニキタ
(MFブックス)
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yokuu
(MFブックス)
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巴里の黒猫
(MFブックス)
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埴輪星人
(MFブックス)
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ネコクロ
(ブレイブ文庫)
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レオナールD
(ブレイブ文庫)
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とーわ
(ダッシュエックス文庫)
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すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
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すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
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東條チカ/カルロ・ゼン
(角川コミックス・エース)
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池野雅博/ざっぽん
(角川コミックス・エース)
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坂野杏梨/逢沢大介
(角川コミックス・エース)
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いわさきまさかず/矢立肇
(角川コミックス・エース)
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谷和也/鈴木小波
(角川コミックス・エース)
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騎羽こうじ/瀬尾優梨
(角川コミックス・エース)
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ユリシロ/紙城境介
(角川コミックス・エース)
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犬塚惇平/ヤミザワ
(角川コミックス・エース)
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福井晴敏/大森倖三
(角川コミックス・エース)
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雪仁/かがちさく
(角川コミックス・エース)
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葦尾乱平/涼樹悠樹
(ガルドコミックス)
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舘津テト/白青虎猫
(ガルドコミックス)
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霜月なごみ/瀬戸夏樹
(ガルドコミックス)
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しゅにち/友橋かめつ
(ガルドコミックス)
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しろいはくと/大崎アイル
(ガルドコミックス)
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びび/五示正司
(ガルドコミックス)
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七浦なりな/桜あげは
(ガルドコミックス)
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ちさかあや/大志充
(電撃コミックスNEXT)
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日之影ソラ/みつなり都
(電撃コミックスNEXT)
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紺矢ユキオ
(電撃コミックスNEXT)
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後藤羽矢子/玖珂ツニヤ
(電撃コミックスNEXT)
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竹葉久美子
(電撃コミックスNEXT)
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Byte
(電撃コミックスNEXT)
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仲谷鳰
(電撃コミックスNEXT)
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月見だしお/Ceez
(電撃コミックスNEXT)
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ぷらぱ
(電撃コミックスNEXT)
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緋呂河とも/ながワサビ64
(電撃コミックスNEXT)
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高村資本/OKARI
(電撃コミックスNEXT)
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蛇野らい/槻影
(電撃コミックスNEXT)
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ハンバーガー
(電撃コミックスNEXT)
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朱月十話/ROHGUN
(電撃コミックスNEXT)
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理不尽な孫の手/日崖タケ
(ガンガンコミックスONLINE)
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渡航/佳月玲茅
(ビッグガンガンコミックス)
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松浦/大堀ユタカ
(ビッグガンガンコミックス)
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初鹿野創/椎名くろ
(ビッグガンガンコミックス)
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深見真/真じろう
(ビッグガンガンコミックス)
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平坂読/さきだ咲紀
(ビッグガンガンコミックス)
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はっとりみつる
(ヤングガンガンコミックス)
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11月24日

甲田 学人
(メディアワークス文庫)
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冬馬倫
(メディアワークス文庫)
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紅玉 いづき
(メディアワークス文庫)
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久川 航璃
(メディアワークス文庫)
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11月22日

伊織ハル
(4コマKINGSぱれっとコミックス)
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カワバタヨシヒロ/羊太郎
(MFコミックス アライブシリーズ)
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La-na/南野海風
(MFコミックス アライブシリーズ)
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春野友矢
(MFコミックス アライブシリーズ)
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木城ゆきと
(KCデラックス)
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石黒正数/講談社
(KCデラックス)
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石黒正数
(アフタヌーンKC)
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皆川亮二
(アフタヌーンKC)
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山口つばさ
(アフタヌーンKC)
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藤田和日郎
(モーニング KC)
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榎本あかまる
(モーニング KC)
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田素弘
(モーニング KC)
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三原和人
(モーニング KC)
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栗田 あぐり
(モーニング KC)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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田代哲也
(ガンガンコミックスJOKER)
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11月21日

二上圭
(GCN文庫)
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11月19日

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ほのぼのる500
(TOブックス)
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佐々木鏡石
(TOブックス)
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弁当箱
(TOブックス)
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龍流
(TOブックス)
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11月18日

羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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理不尽な孫の手
(富士見ファンタジア文庫)
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いつきみずほ
(富士見ファンタジア文庫)
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阪田 咲話
(富士見ファンタジア文庫)
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七野 りく
(富士見ファンタジア文庫)
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日の原 裕光
(富士見ファンタジア文庫)
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戸塚 陸
(富士見ファンタジア文庫)
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七野 りく
(富士見ファンタジア文庫)
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水沢 夢
(ガガガ文庫)
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持崎湯葉
(ガガガ文庫)
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昏式龍也
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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shiryu
(ガガガ文庫)
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Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
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千明太郎
(チャンピオンREDコミックス)
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眞邊明人/藤村緋二
(ヤングチャンピオン・コミックス)
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カルロ・ゼン/フクダイクミ
(ヤングチャンピオン・コミックス)
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福地翼
(少年サンデーコミックス)
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田中モトユキ
(少年サンデーコミックス)
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ねこぐち
(少年サンデーコミックス)
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11月17日

西尾維新/大暮維人
(KCデラックス)
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西尾維新/大暮維人
(講談社コミックス)
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山本崇一朗
(KCデラックス)
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久世蘭
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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木南ユカ
(講談社コミックス)
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裏那圭/晏童秀吉
(講談社コミックス)
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稲葉みのり
(ヤングジャンプコミックス)
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二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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椎橋寛
(ヤングジャンプコミックス)
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すかいふぁーむ/ぺんたごん
(ヤングジャンプコミックス)
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三都慎司
(ヤングジャンプコミックス)
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戸塚たくす/西出ケンゴロー
(ヤングジャンプコミックス)
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日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
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麻生羽呂/高田康太郎
(サンデーGXコミックス)
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池澤真/津留崎優
(裏少年サンデーコミックス)
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田尾典丈
(電撃の新文芸)
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福留しゅん/天城望
(フロース コミック)
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廣本シヲリ/しきみ彰
(フロース コミック)
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11月16日

村枝賢一/石ノ森章太郎
(KCデラックス)
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古川五勢
(KCデラックス)
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小村あゆみ
(マガジンエッジKC)
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伊藤京介
(マガジンエッジKC)
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sigama
(マガジンエッジKC)
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片瀬茶柴/城平京
(講談社コミックス月刊マガジン)
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森下真
(講談社コミックス月刊マガジン)
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ひととせひるね
(講談社コミックス月刊マガジン)
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関口太郎
(講談社コミックス月刊マガジン
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加藤元浩
(講談社コミックス月刊マガジン)
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周藤蓮
(ハヤカワ文庫JA)
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逆井 卓馬
(星海社FICTIONS)
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11月15日

友麻碧
(富士見L文庫)
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しきみ 彰
(富士見L文庫)
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友麻 碧
(講談社タイガ)
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西尾 維新
(講談社文庫)
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夏原 エヰジ
(講談社文庫)
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水辺チカ/友麻碧
(KCx)
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勝木光/香月美夜
(コロナ・コミックス)
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蕗野冬/ほのぼのる500
(コロナ・コミックス)
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香守衿花/もちだもちこ
(コロナ・コミックス)
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東里桐子/ラチム
(コロナ・コミックス)
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墨天業/久宝忠
(コロナ・コミックス)
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螢子/あてきち
(コロナ・コミックス)
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11月12日

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大森藤ノ
(GA文庫)
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伊尾微
(GA文庫)
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ジャジャ丸
(GA文庫)
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11月11日

漆原玖/門司柿家
(アース・スター コミックス)
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成家慎一郎/ナハァト
(アース・スター コミックス)
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金井千咲貴
(ガンガンコミックス)
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顎木あくみ/高坂りと
(ガンガンコミックスONLINE)
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鉢谷くじら
(ガンガンコミックスONLINE)
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万野みずき/野営地
(ガンガンコミックスONLINE)
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山内泰延
(ガンガンコミックスONLINE)
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長岡マキ子/カルパッチョ野山
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/夏海ケイ
(ガンガンコミックスONLINE)
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11月10日

天野こずえ
(BLADEコミックス)
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川原 礫
(電撃文庫)
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佐島 勤
(電撃文庫)
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二丸修一
(電撃文庫)
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白金 透
(電撃文庫)
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東崎惟子
(電撃文庫)
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ひたき
(電撃文庫)
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鏡 遊
(電撃文庫)
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赤月ヤモリ
(電撃文庫)
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榊 一郎/木尾寿久(Elephante Ltd.)
(電撃文庫)
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岩田洋季
(電撃文庫)
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午鳥志季
(電撃文庫)
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烏丸 紫明
(カドカワBOOKS)
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巻村 螢
(カドカワBOOKS)
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ジャジャ丸
(カドカワBOOKS)
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壁首領大公
(カドカワBOOKS)
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神無月 紅
(カドカワBOOKS)
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古宮九時
(DREノベルス)
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わんた
(DREノベルス)
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小鳩子鈴
(DREノベルス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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ほのぼのる500
(TOブックス)
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内河弘児
(TOブックス)
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(TOブックス)
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あfろ
(まんがタイムKR フォワードコミックス)
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うちのまいこ
(まんがタイムKR フォワードコミックス)
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まめ猫
(まんがタイムKR フォワードコミックス)
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秋月壱葉/望月麻衣
(アクションコミックス)
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クール教信者
(アクションコミックス)
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碓井ツカサ
(サンデーうぇぶりコミックス)
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しょたん
(サンデーうぇぶりコミックス)
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野田宏/ふくしま正保
(ビッグコミックス)
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野田宏/若松卓宏
(ビッグコミックス)
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千月さかき/姫乃タカ
(角川コミックス・エース)
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斯波浅人/浅名ゆうな
(角川コミックス・エース)
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otakumi/ベキオ
(角川コミックス・エース)
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天海雪乃/タンバ
(角川コミックス・エース)
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岡叶/夏目純白
(角川コミックス・エース)
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由伊大輔/高橋びすい
(角川コミックス・エース)
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吾嬬竜孝/西崎義展
(角川コミックス・エース)
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吾嬬竜孝/西崎義展
(角川コミックス・エース)
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Crosis/松尾葉月
(角川コミックス・エース)
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内河弘児/よしまつめつ
(ヤングチャンピオン・コミックス)
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11月9日

さばねこ/ちゃつふさ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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渡真仁/三嶋くろね
(ドラゴンコミックスエイジ)
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カタセミナミ/千月さかき
(ドラゴンコミックスエイジ)
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MIGCHIP
(ドラゴンコミックスエイジ)
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天原/masha
(ドラゴンコミックスエイジ)
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車王
(ドラゴンコミックスエイジ)
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荒木佑輔/メソポ・たみあ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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石沢庸介/謙虚なサークル
(KCデラックス)
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横田卓馬
(シリウスKC)
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塀流通留/藤井ふじこ
(シリウスKC)
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内々けやき/あし
(シリウスKC)
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福田直叶/むらさきゆきや
(シリウスKC)
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冬葉つがる
(シリウスKC)
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志瑞祐/青桐良
(シリウスKC)
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松琴エア/はにゅう
(シリウスKC)
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西田拓矢/海空りく
(シリウスKC)
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カジカ航/伏瀬
(シリウスKC)
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真島ヒロ/上田敦夫
(講談社コミックス)
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藤栄道彦
(バンチコミックス)
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11月8日

安部真弘
(少年チャンピオン・コミックス)
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蛙田アメコ/冬野なべ
(少年チャンピオン・コミックス)
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