徒然雑記

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書籍感想(2012〜

一年十組の奮闘 2.その少女、神聖にして触れるべからず 3   

一年十組の奮闘2 ~その少女、神聖にして触れるべからず~ (MF文庫J)

【一年十組の奮闘 2.その少女、神聖にして触れるべからず】 十文字青/しらび MF文庫J

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学生のすべてが何らかの“能力"を有する特別な学校、私立天命学園。今日も一年十組の面々は、バカバカしい、だけど最高に楽しい日々を送っていた……のだったが。「にゃおにゃおー。十組のみんなー。あそびにきたよー♪」
いきなりやってきた八組の元気っ娘――“神聖積木崩し少女"、来見坂つみき。最初は楽しく遊ぶ十組メンバーだったが、「誰もさわることができない能力」を持つつみきの傍若無人なふるまいはどんどんエスカレート。しまいには、つみきの側に立つ皆人と、十組メンバーの間に微妙な不和が生まれ……? 本当の友達とは、仲間とはなんなのか? ハイテンション・クラスコメディ、“絆"を問う第2弾!
情けは人の為ならず、という諺もあるように、他人への善意は巡り巡って自分の元へと帰ってくるもの。そうでなくても、誰かに善意を傾けることで、善意を受けた人がまた他の人に助けの手を差し伸べる。そんな風にして善意の輪が循環していく、それが人の世を豊かなものにしていく理想の形なんだと思います。そして、細かな、小さな善意、善行が巡っていくことは、決して難しい事でも出来ないことでもないはず。人間というものは、善い事をしたら誰かに親切にしたら、困っている人を助けたら、心地よくなれる生き物なのですから。ほんの少しイイ事をして、心が軽くなる、ちょっと心が浮き立つ。そんな経験、ありますよね? そんな行為が積み重なり、循環していけば、それはとても幸せな事なのでしょう。

でも。

そんな親切を、誰か困っている人を助ける行為を、悲しんでいる人苦しんでいる人を救う行為を……自分自身に相当の負荷やストレスをかけながら出来る人がどれだけいるでしょう。
自分に負担をかけてまで、人を助けて回ることを一体どれだけ出来るでしょうか。
その人が、親しい人なら、友達なら、自分が嫌な思いをしてでも助けてあげたいと思える関係がある人なら、出来るでしょう。甲斐もあります。そうすることを自分自身を裏切らない行為だ、という人もいるかもしれません。

でも、でも。
さして親しくもない、それどころか一方的に迷惑ばかりかけてきて、嫌な思いばかりさせられるような、困った人を、嫌な人を、それでも自分を押し殺して、嫌な気分に耐えながら、ひどい目に遭いながら、それでも助ける事が出来るでしょうか。
その困った人が振りまく横暴で理不尽な行いには、哀しい理由がありました。その人は好き好んでそんなことをしているのではなく、そういう行動を取ることでしか自分の中の苦しみを発散する事が出来ないだけでした。悪い人ではなく、同情の余地があり、その人もつらい思いをしているのでした。
でも、それを一年十組の子には与り知らぬ事情でした。十組の子たちは、その子の事情など何も知らず、関係なく、そもそもその子が暴れこんでくるまでその子の存在自体知りませんでした。
その子と、十組の子たちには、なんの繋がりも関わりも因縁もなかったのです。十組の子たちにとって、その子はいきなり現れて、無茶苦茶な言動で自分たちを苦しめる理不尽な暴君でしかなかったのです。

それでも、苦しんでいる哀しい子を助けてあげる事は、その泣き叫んでいる傷ついた心を救ってあげる事は、正しい事なのでしょう。善き事なのでしょう。それが、心洗われるような世界の美しい姿、なのでしょう。
たとえ、十組の子たちが、一方的に痛い目を味わい、ひどい目に遭って、ボロボロになって負担を負わされても、最後にその子の心が救われ、横暴さや理不尽な言動がなくなれば、めでたしめでたし……なんでしょうか?
そんなことが出来るのは、殆ど聖人の域に達している皆人だけでしょう。そして、十組の連中が最後までこの一件に関わったのは、その子の為なんかじゃなく、ただ皆人への友情に寄るものでした。
そして、その子の決壊しかかった心を救ったのは、たまたま皆人の能力がその子の能力を中和できたからでした。勿論、皆人の献身さがなければその子の心は開かれなかったでしょうけれど、皆人の能力がその子の能力に適応していなかったら、すべてが破綻していたのも事実です。
運が良かった、という他ないでしょう。
私はね、彼女を何とかしてあげるべきだったのは、何の関係もない皆人や十組の子たちではなく、彼女の傍に自分の意志で佇んでいた少年だと思うのです。彼には彼女との関係があり、そうする理由があり、少なからず責任もあったはずなのに、それらすべてを理不尽な負担もろとも無関係な皆人と十組に丸投げして傍観に徹し、自分からは一切何もしませんでした。
それが、自分にはどうしても納得できなかったのです。憤りすら感じていたかもしれません。せめて、ダメでも彼から積極的に何かしてくれたらば、どうにかしようとしてくれていたら、まだ納得できたのかもしれませんが。

傷ついている子を助けることは善いことで正しいことではあるけれど、その為にどこまで損や痛みを被る事に耐えられるか。善きことを為すのに我慢や理不尽を強いられるのは、悪しき事ではないのか。
なかなか難しい問題であり、考えさせられるお話でもありました。

しかし、つみきの能力って、無差別で自動的である以上、彼女が病気に罹ったり大怪我を負ったり(これは能力でキャンセル出来るのか?)したら医者も触れられないわけで、誰もどうにもできないんですよね。
絶対無敵に見えて、孤独になる云々より前に非常に危うい、リスクの高い能力だよなあ。

十文字青作品感想

みそララ 6 4   

みそララ (6) (まんがタイムコミックス)

【みそララ 6】 宮原るり まんがタイムコミックス

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様々な業種、分野の人が集まってのイベント企画編。何気に、会社の全員が一同に会して一つの企画に協力して挑む、というのは初めてだったんじゃないかな。
殆どボランティアなんですけどね!(笑
仕事じゃ無いじゃん、という。自分が抱えている仕事とは別に、こうしたイベント企画に一心不乱に挑めるって、経営状態を抜きにしても、社員に精神的な余裕が無いと出来ないことですよね。それだけ、マーズの職場環境がイイって事なんだろうけれど、仕事的に見るならばこれだけ多種多様な分野の人と面識を得るというのは、それだけでツテ、人脈が広がるという事でもあり、これも一つの機会の拡大ってやつなんだろうか。
ともあれ、飲み会やキャンプなどの遊びとは違って、マースの面々が一致協力して一つのことにあたる機会はなかったことなので、みんながワイワイ言いながらどんどん形になり、大きなデザインを描いていくイベントを組み立てていく様子は、微妙な人間関係の進展や個々人の成長なんかも相まって、見ていても楽しかった。やってる本人たちが楽しそうなのは、見てるだけでこっちまでウキウキして来ますよね。他の業種の人たちも、こう目を血走らせて切羽詰まった感じでやるのではなく、文化祭みたいなノリでわいわいと大人数で盛り上がっていく感じなので、変に肩肘はって緊張せずに交流を眺めていられましたし。
それに、学生がやるイベントと違って、ここで企画されているイベントは社会人である大人たちがやっているせいか、手際が良くて熟れてるんですよね。いい意味で非常に余裕がある。みなが楽しんでやってるんです。勿論、場合によっては修羅場になったり、横車が入って利益優先になったり、汲々としてしまうイベント企画はなんぼでもあるんだろうけれど、ここで行われるイベントは純粋に面白ものを作っちゃおうという一生懸命さ、全力投球という感じが出ていて、ほんといい雰囲気だったなあ。
大人だからこそ、大人になったからこそ楽しめることもありし、盛り上げることのできることもあるんです。
ちょっと違うんですけれど、作中で穀物コンビが何気なく言い合ってた、学生時代ならタイプが全然違う自分たちこんなに仲良くなれなかった、という台詞なんか、その辺りを実に端的に集約してるんじゃないでしょうか。
営業バージョンとはまた別に、岩谷さんの言う開き直りもよく分かるんですよ。自分なんかはそういうのうまく出来ないタイプではあるんだけれど、それでも仕事してると多かれ少なかれ、自分の中でモード切り替えたり、開き直ってぐいっと前に出ていかないといけない場面が何度も出てきて、そういう自分に段々と慣れてくんですよね。慣れないけどね! ほんともうガラじゃないから慣れないんですけどね! それでも、慣れないなりに慣れてはいくんですよ、うん。こういう自分は、学生時代の頃の自分から見たらかなりあり得ない自分で、多分当時からすると想像も出来なかったんじゃないでしょうか。とは言え、性格が変わったとかじゃないんですよね。あの頃から、自分の性格だとかそういうのは殆ど変わってないし成長もしてないと思う(苦笑
 でも、変わらなくても成長しなくても、それでも出来ることは意外と増えていくものだ、というのは若い人たちも知っていてほしいな。
まあ、過去から見た現在の自分はともかく、現在の自分から見た現在の自分は全く足りてなくて何もできてなくて「キーーーッ!!」となってしまうんですがw
……って、今俺、素で若い人たちもうんたらかんたらとか書いちゃったぞ。えぇー、マジかよ、ショックだ(苦笑

女子中学生たちがメインの【恋愛ラボ】と違って、此方の大人たちはドラスティックに関係が変化していく事はないんだけれど、それでも徐々に意識していく部分は広がっていくわけで、梶さんと麦みそにもついにお互いを意識するような展開が。まさに、イベント発生!?

宮原るり作品感想

ノロワレ 人形呪詛4   

ノロワレ 人形呪詛 (電撃文庫)

【ノロワレ 人形呪詛】 甲田学人/三日月かける 電撃文庫

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双子の弟・真木現人は兄の夢人のことが嫌いだった。主人公の虐めと呪いをテーマにした小説『呪験』で十五歳にして作家になり、上京した夢人。そして、その内容に影響された殺人事件により帰郷するのだが、彼は七屋敷薫という婚約者を連れていた。―七屋敷は呪われている。七屋敷の花婿は、呪いによって、二年と経たず早死にするのだ。そんな『呪い』が噂される婚約だが、夢人は嘲り笑いを浮かべるだけだった。そして、夢人を尊敬し慕う妹の信乃歩に、彼らを蝕む呪いの物語が、静かに始まりを告げていた―。甲田学人が放つ呪いの物語、開幕。
うわぁ、ヤバイヤバイヤバイ。本邦屈指のホラー作家甲田学人の新シリーズは、もうのっけからヤバイ感じが荒れ狂っていて、もうやだ怖い。
前回が「童話」をテーマにした物語だとしたら、今回は「呪い」をテーマにしたお話なのでしょう。その導入というべき第一巻は、呪いの中でも最も有名でありましょう人形に纏わる呪詛。なにしろ、主人公(?)となる夢人からして、「呪い」を蒐集している人物であるからして、そりゃあわんさと呪いも集まるでしょうよ。
そんな呪詛に纏わる物品や逸話を集めたり関わったりして、夢人本人がノロワれないのか、呪いが恐ろしくないのか、と当然のように疑問に思い、その性格の破綻具合に戦々恐々としていたのですが……彼が呪いを求める理由の正当性を知ってしまって、頭を抱えることに。こりゃあいかん、呪いが効かないと確信していたり舐めてるわけじゃなく、むしろ相当に切実な理由があるじゃないですか。どんだけ切羽詰まってるんだ。あまりに切羽つまりすぎて、おかしくなってるとも言えるのですが、むしろ精神がおかしくなってないと耐えられないんじゃないかという状況でもあり、とにかくヤバい。
どう見ても性格破綻者、異常者の類か異端者かと思われた夢人のロジックが、真相が明らかになることによって完全に筋の通ったものだとわかった時には納得すると同時に背筋が震えました。そりゃあこんな事情を抱えていたら性格も歪むよ。
でも、考えてみると夢人が抱えている事情って、地獄が信じられていた時代にはすべての人間が置かれ抱えていたものでもあるんですよね。悪いことをすれば地獄に落ちるよ、という考え方を今の人は多分軽く捉えているけれど、かつて地獄や極楽といった死後の世界が本当に信じられていた時代においては、地獄に落ちるという末路がどれほど真剣に、深刻に恐れられていたか。地獄という世界の悲惨さ、無残さ、残酷さの描写は調べてみると想像を絶するものがあります。凄いですよ、マジで。よくまあ、こんな残虐な刑罰を思いつくな、と感心するくらい。これを死後、実際に味わうのだと信じていたら、とてもじゃないけど悪事なんて働けませんよ。
尤も、生前から地獄堕ちを決定づけられている人間なんて居ないわけで、それを思うと夢人が置かれている立場というのは悪夢どころじゃないんでしょうけれど。

しかし、いつ殺戮がはじまるかと震え上がっていたんですが……あれ? あれれれ!?
誰も死ななかったぞ!?
……誰も死んでませんよ!?
えええええええ!?
ちょっ、このパターンだと最低でも関係者は全滅。無関係な人が巻き込まれて死ななかったら御の字、という普通四、五人は死んでておかしくない展開だったのに。まあ、そのペースで人が死んでいくと、この村や学校から住人が居なくなってしまいかねないんですが、それでも誰も死ななかったことに安心を覚えるのではなく、むしろ不安を覚えてしまうのは、甲田作品に慣れ親しんでしまった証拠なんでしょうか。
だって、いつ地獄絵図がはじまるか、爆発寸前の爆弾が燻ってるようなものじゃないですか。しかも、ほぼ確実に爆発する予定のw

もう一つ以外というか虚を突かれたのが、夢人の婚約者である七屋敷薫が思いの外まともな人だった事。なにげに妹や現人と比べても、普通にまともな考え方の人だったんじゃないか? 勿論、あの夢人の理解者という時点でどう間違っても普通でもマトモでもないんですが。

甲田学人作品感想

のうりん 5 4   

のうりん 5 (GA文庫)

【のうりん 5】 白鳥士郎/切符 GA文庫

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現代動物調教研究同好会――通称『どうちょけん』。
それは私、良田胡蝶が新たに創部した、人と家畜の心を通わせるための部活である。

古来より人類は動物を伴侶とすることによって栄えてきた。
畜産なくして人類の繁栄はなく、 だからこそ……ん~? どうちたんでちゅか若旦那?
おなかペコりんでちゅかー? ママが食べさちてあげまちゅね~(ハート)

……そんな私の前に立ちはだかる黒い影! 飛騨高山のライバル校、過激な動物愛護団体、
そして……謎のサングラスの男!! 貴様は――!?

人は虚無の畜産にぬくもりを見つけられるか!?
おっぱい大増量で贈る農業高校ラブコメ、緊迫の第5弾!
――君は、牛の涙を見る。
【SHADOW SKILL】って、幾らなんでもネタが古いよ! わっちが高校生の時だぞ、連載していたの!! って、思って調べたら、ええっ、これ今も連載してるの!? 知らんかった! 全然知らんかった! なんかしらんうちに休載になってそのまま止まってるのかと思ってましたよ。たまに見かけていた販売タイトルはてっきり昔のを新装版にして出し直しているのだとばかり思ってた。
と、冒頭から話がこの作品とは全然違う所に言ってしまったが、今回はわりと全体的に真面目なお話でした。これで真面目なの!? とか言わない。真面目なんですよ。普段はもっと酷いんですよ!
考えてみれば、18歳以下の未成年において家業を除いてこうも日常的に生き物の生死に携わるのってまず畜産系の学校に通っている学生さんたちくらいなんですよね。他、なんかありますかね? 咄嗟に思いつかないんですが。動物に関わる部活などはあるかもしれないけれど、畜産というところは生き物を「生産」し、肉などにして「出荷」する、生かすだけではなく必然的に「殺す」事を求められる場所であります。勿論、慣れることによって日常的に起こる家畜の生死についていちいち考えなくなる、と言うことは当たり前のことなのでしょう。でも、大人ではなく多感な思春期の少年少女たちが、こうした人の都合によって生み出され、消費されていく動物たちに携わっていく、という経験はとても大きなものなんじゃないでしょうか。
登場人物の中でも非常に真面目で目の前で起こることから将来の展望に至るまできちんと向き合い、真剣に考えることをやめない、やめることのできない良田さんと過真鳥継は今回特に人間のエゴによって消費されていく家畜たちの姿に、畜産業の行く末に思いを馳せ、悩むことになる。
本作はもう頭おかしいんじゃないかというギャグが飛び交うとんでも無い作品なんだが(苦笑)、こと現在の農林畜産業というテーマについて語るときには非常に丁寧に今この業界では何が起こっているのかと解説してくれる。それも、一方的な視点によるものではなく、一つの事例についても何が正しいと言わずそれぞれ違う主張を並べて、公平に読み手に考える機会を与えてくれる事には大きな好感と信頼を抱いている。多かれ少なかれ自分の意見が混じりそうな所を、本当にフラットに偏向なく情報を発信してくれるのだから大したものです。こうしたバランス感覚はなかなか養えませんよ。
それでいて、ただ機械的に意見を並べ立てているだけじゃないんですよね。何が正しくて何が間違っているか、どの方法が将来この国を豊かにし、業界をもり立ててくれるか。そこには答えはないのかもしれません、でもそうした正解のない問題とはまた別に、揺るがない倫理観……純朴で誰もが共感できる一番シンプルな倫理観については、一切ブレず厳然と、これは蔑ろにしてはいけないんだよ、と主張して退かない、そうした毅然としたスタンスを貫く様には敬意と安心を覚えるのです。
今回のテーマである畜産というものに対して、最後に良田さんたちが見せてくれたものは、様々な問題に対しての答え、ではなく、最低限の基本的な在るべきスタンスというものでした。決して失ってはいけない姿勢というものでした。たとえ、どんな答えを出そうと、どんな道を辿ろうと、その姿勢さえ見失わなければ……そう思わせてくれる結末であったように思います。
普段にもまして色々と考えさせられるお話でしたけれど、うん……すごかった。そしてなにより面白かった! ほんと、いろんな意味でぶっ飛んだ作品ですよ。

白鳥士郎作品感想

聖断罪(アダムヘッド)ドロシー 02 魔神と少年とかわいそうな魔法使い3   

02    魔神と少年とかわい聖断罪ドロシーそうな魔法使い (角川スニーカー文庫)

【聖断罪(アダムヘッド)ドロシー 02 魔神と少年とかわいそうな魔法使い】 十文字青/すぶり 角川スニーカー文庫

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逃避行を続けるドロシーとカルアが行きついた村は、荒ぶる魔神の脅威にさらされていた。村を救おうとドロシーは一人息巻くが、その魔神こそ、暗黒期の戦闘兵器“虚神”であり、その巨体はカルアですら手に余るものだった。そこに、妙に色気を振りまく魔法使いエルチネが現れ、協力を申し出る。カルアは謎が多い彼女を警戒しつつ、共闘を決意するのだった。しかし、いざ魔神と対峙すると、今度はドロシーの魔王の血が覚醒してしまい!?
このかわいそうな魔法使いって、どう考えてもカルアのことですよね。エルチネさんはあんまりかわいそうでもなかったですし。いったいどういう意図を以てこのサブタイトルをつけたのかはわからないけれど、カルアの何が可哀想なのかを考えるとどうしてもドロシーの後先考えない善意の後始末の一切を彼が負わされている事と捉えざるを得ない。実際、彼が被っている苦労は傍から見ていても同情に値する。
が、わざわざそれをサブタイトルにどうしてするんだろう、という点を考えるとなかなか想像が広がるのである。思えば、第一巻のサブタイトル「絶対魔王少女は従わない」だ。この従わない、という言葉にかかるのは彼女たちを追う帝国に対して従わないという意味ではなく、カルアの指示や意図に全くドロシーが従ってくれないという方と捉えるほうが素直であろう。となると、わざわざ二巻に渡ってドロシーとカルアの関係における軋みを表題に掲げているとなると、まさにそれこそがこのシリーズの肝であり主題、ということになってくる、なんて風にも考えられるんですよね。
この巻において、カルアは初めて同じ魔法使いに出会います。たとえドロシーとであっても決して理解しあえない、魔法使いでしか到れない領域で共感しあえる初めての相手。それは、ドロシーとカルアの二人で完結していた、少なくともカルアにとってはドロシーしか存在しなかった自分を取り巻き形成する世界において、初めて自分と同じ場所に立ってくれる相手の出現。これは、ドロシーとカルアの関係をも揺り動かす大きな出会いになる可能性が非常に高い。
ドロシーのカルアの意見を無視した勝手な振る舞いは、実のところカルアへの絶大な信頼に寄ったものなのでは、という想起は前の巻の感想でも語ったところですけれど、カルアにとってそのドロシーからの信頼は結果として彼を可哀想な目に合わせ続けるものでもあるんですね。ドロシーが、カルアなら何とかしてくれると信じて行動し続ける限り、カルアはドロシーの尻拭いを行い続けなければならない。そんな可哀想な立場に、今のところカルアは散々愚痴りながらも仕方ないことだと諦め、それはもう当たり前になってしまったことなのだと受け入れることが常態となってしまっています。内心では愚痴り倒しながらも、何だかんだとドロシーには善意の塊であって欲しいと思っている部分もあるのかもしれませんし、自分が頑張ることで彼女には今のままであって欲しいと考えているところもあるのでしょう。現状、彼はかわいそうな自分にため息をついていても、可哀想でなくなりたい、とまでは思っていないようです。
ただ、そう彼が思うに至る要因の大きな部分を占めるのは、彼にとってドロシーの存在が世界の大半を担っているからとも言えるのです。また、ドロシーが全面的に自分に頼りきっているから、とも言えるでしょう。
もし、カルアにとっての世界の中で、ドロシーとはまた別の存在が割って入るようになり、相対的にドロシーの比重が少なくなってきたら、或いはドロシーに自分の他に頼みにする相手、心を預ける相手ができた場合、ドロシーが自分の意志を押し通すのに他の人の力を借りることが出来るようになった時、或いは自分の力で何とかできるようになりカルアを必要としなくなった時、はたしてカルアは今までのようにかわいそうである自分を享受し続けることが出来るのでしょうか。
二人きりでこそ維持でき、二人きりでなくなれば破綻してしまうであろう関係、というのはやはり歪なもののはず。はたして、二人の関係はこれから変わり、広がることが出来るのか。
ラストの展開は、逆にカルアを余計に二人きりの世界に拘り閉じこもろうとしかねない出来事だっただけに、これからの展開に色々と思いを巡らせるのでありました。

1巻感想

ノニアレ 3   

ノニアレ (ファミ通文庫)

【ノニアレ】 初心音コマ/ねりま ファミ通文庫

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少女に喰われ、少年は"人類の敵"になった--第13回えんため大賞最終候補作、衝撃のデビュー!

「きみを産んだんだよ。わたしお母さんになったの」月崎ルナは優しく告げた。
水乃ヒビキは同級生であるルナに喰われた。そして今、彼女の子として産まれたという。
戸惑う彼にルナはさらに語る。人間のように子供が欲しかったと。
神にも等しい力をもった少女の正体は、人類の敵 "破滅をもたらす者 "。
彼女を滅ぼそうと狙う人間を前にしてなお、人のように生きたいと願うルナのため、ヒビキは彼女を守る決意をする--新世代ヒロイック・ファンタジー登場!
まーた、ケッタイな。バトル物に走ったり家族モノ的な展開に転がって行ったりと、やってること自体はわりとありがちなベタな話ではあるんだけれど、根本のところで発想がぶっ飛んでる。授乳がシたかっただけじゃないですよね? 結局ヒビキとルナの関係がまったくラブコメ方面に流れること無く、本気で母子の関係に落ち着いていったのを見る限り、ラブコメを指向していたようではないみたいですし。ことラブコメについては、むしろマコトとの方が安定して進行していたきらいもありますしね。
ってか、ホントにこれ何が書きたかったんだろう。ルナとヒビキの関係を母子のものと書きましたけれど、実際はもっと共生的というか、人間以外の者が人間の擬態をして喜んでいるみたいな、超自然的な存在がエラーを起こしたような、ほんわかするよりもむしろいたまれないような、行き止まりに安息を見るような、ともかくやたらと不安定な気分にさせられる擬似家族なんですよね、これ。
バトルやラブコメや擬似家族モノという既存の外装で鎧っていますけれど、それをひっぺがして素肌かのそれを覗き見てみたい気持ちになった。実のところ、その中身はまだ定まっていない感じなんですよね。確固としたものとして立脚できないから、どろどろのスープみたいに凝り固まっていないから、よくある外枠に流し込んで格好をつけてみました、という感じを受けてしまう。その中身のドロドロの様子ときたら、恐らくひたすら無意識の海の底に潜っていくような、ある種わかりやすいライトノベルの枠組みを逸脱していくタイプのものにも思えるんだけれど、何れにしても形成に至る自己追求が現状殆どなされていない段階では、こういうわかりやすい枠で外装を整えるしかないんだろうなあ。
ともあれ、あの主人公の表明は恐ろしく表層的に過ぎていると思う。それが彼の本心であることは疑いないけれど、作品の本意だとすればいささか生温すぎる。
このまま特徴のない方に埋没していくか、それともひたすら尖っていくかはこれから次第なんだろうけれど、とりあえずもうちょっと語り口がこなれてこないことには、読んでる最中あっちこっちに引っかかって物語に集中できないので、頑張って欲しい。

黒鋼(くろ)の魔紋修復士(ヒエラ・グラフィコス) 4 3   

黒鋼の魔紋修復士4 (ファミ通文庫)

【黒鋼(くろ)の魔紋修復士(ヒエラ・グラフィコス) 4】 嬉野秋彦/ミユキルリア ファミ通文庫

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その牙は幼く、汚れなく。彼女こそ--“いつわりの神巫"

隠されていたディーの紋章魔法により辛くも危機を脱したヴァレリアたち一行は、ユールローグの手の者を追いハイデロータの都・オーリヤックへ向かう。一方、国王の命を受けたイサークも今回の内紛に乗り出していくことに。ハイデロータとの関係を優位に進めるため、イサークとともに仲裁役としてユールローグへ向かったヴァレリアたち一行だが、そこにはディ-と死闘を繰り広げたあの少女の姿が……! “神巫"の誇りを懸けた戦いが、いま幕を開ける!
えええ!? クロチルドってそうだったの!? 無能な王子に振り回されて、要らない苦労を強いてられている可哀想な子、と思っていたら、どうも自ら好んで苦労を買っていた模様。なんだ、ダメ男属性だったのか。なまじ出来る女だと、出来ない男の子を可愛く思ってしまうものなのか。
いやでも、シジュベールくん、イサーク王子と比べると頭の回転も遅いしプライドばかり高くて空回りしているし鈍くさいし、といいところ無しの無能王子に見えるんだけれど、実はヴァレリアたちが思っているほど無能じゃないんじゃないかな。少なくとも、クロチルドのサポートをキチンと受け入れて機能させているというだけでも完全な無能とは言いがたい。本当の無能は周りがどう頑張っても全部台無しにしてしまいますからね。その点、シジュベールは足りない所だらけだけれど、その足りない部分をクロチルドによって補えているし、目に見える形でクロチルドの足を引っ張るようなマネはしていない。結構頑張り屋な側面も見受けられるし、その頑張りが無能な働き者という無残な方向に向かっていないだけでも評価に値する。ハイデロータの王族貴族のレベルが総体的に低いことから見ても、シジュベールはそこそこイケてる方なんじゃないかな。そう考えると、クロチルドの男を見る目も趣味もそれほど悪くはない気がする。
だいたい、結果としてみると今回イサーク王子の方がやらかしちゃってるんですよね。彼がわざわざ独断でハイデロータとユールローグの内紛に首をツッコんだ理由を鑑みれば、むしろ彼がでしゃばったお陰でやぶ蛇になってしまってるんですよ。その口八丁手八丁に遠大な戦略眼や捻くれた謀才によってハイデロータとユールローグを引っ掻き回し、いいように振り回していいとこ取りをしたように見えるイサーク王子だけれど、最後に油揚げを掻っ攫ったのはとんだ間抜けを晒し続けていたシジュベールだった、というのが何とも面白い。
クロチルドの助言があったのかもしれないけれど、意外と抜け目なかったじゃないですか、シジュベール。正直、かなり見直した。

とまあ、国同士の影に日向にの激しい駆け引きが続く中、巫女であるヴァレリアやカリンたちは否応なくその渦中に取り込まれていく。巫女それ自体が政治的な象徴を担っている以上、戦力として以上に象徴として相応しい行動を取らなければならない、というものなんだけれど、大変なお仕事だなあと感心してしまう。その政治的な象徴に徹してもいいはずの巫女さんを、積極的に活用しまくるイサーク王子も王様もまあ強かな人たちである。まあ他の国の巫女たちも、見る限りは使えるだけ使い倒されているので、有能なものはそれだけ酷使される運命なのだろう。逆に言うと、これだけ良いように使い倒されているということは、ヴァレリアもそれだけ使える人材と認められているとも言えるんですよね。術だけはよく使えるけれど、実践力も見識も何もないだけの巫女さんだったらば、それこそお飾りにしか出来ない、というかお飾りにして安置しておかないと下手に失われてしまったら困ったことになりますからね。幾ら補佐につくディミタールが有能とはいえ、限界もあるでしょうから。
そのディミタールの嫌味と皮肉と罵倒と嘲りが入り混じったお小言も、ここ最近はめっきりなくなってしまいました。いくらディミタールの口が悪くても、無理やり粗をほじくりだして罵ってくるような人間ではないので、ちゃんとしてさえいれば何も言われないのです。実際、傍から見ててもヴァレリアは先立っての世間知らずなお嬢様が嘘みたいに、キチンとしだしていますし。まあ冒頭からこの子、向上心はたっぷりありましたし、ディーの悪口にもめげずナニクソと努力を欠かさない子でありましたから、この成長は当然といえば当然なのでしょうけれど、それでも大したものです。反発が少なくなりお互いを認める機会が増えてくるに連れて、ヴァレリアとディーの間にも段々ともにょもにょっとした空気が流れるようになってきましたし、これは進展も期待できる状況になってきたのかしら?
きな臭い国際情勢と合わせて、二人の関係にも要注目。

嬉野秋彦作品感想

戦国妖狐 10 5   

戦国妖狐 10 (BLADE COMICS)

【戦国妖狐 10】 水上悟志 ブレイドコミックス

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旅の終わり、冒頭から凄まじい描写をくれる。吹雪の中を歩む青年の姿をした千夜。彼が夢の間に見た光景が今の少年時代の千夜なのか、それともこの未来の千夜が傷つき眠る少年千夜の見る夢なのか。
時間の流れを度外視した発想に、自分を過去が見る夢かと思い描いた青年は微笑み、幼き自分に語りかける。この姿を見よ、自分は今、様々な人に与えられた温かなものを自覚し、どんな時にも笑わせてくれる。
だから、キミは今は泣け、と。いつか、自分の中に積み重なった温かなものに気づくまで。
いつか、再び笑える日まで。

正直、もうこのシーンだけで泣きそうになったんですけど。
正直、もうこのシーンだけで傑作と呼んでいいんじゃないかと。

先の巻の、将軍・義輝公の時空の先を超えてしまった剣の境地にも度肝を抜かれたけれど、凄いな、時間の積み重ねというものを蔑ろにせずむしろ重要視しながらも、過去から未来に流れるはずの時間の流れを超越したような領域を花吹雪のように散りばめている。
水上先生って、もう1シリーズ、人間の前世をテーマにしたお話を今立ち上げているけれど、先の【惑星のさみだれ】からこっち、漫画のテーマにおいてどんどん深遠に踏み込んでってるよな。最近、もういっそ「凄味」と言っていいくらいの切れ味と深みを感じて、慄くこともしばしば。

そして、現れる神を狂わす者ども。フードをかぶった謎のあやふやな存在たち。過去より来たりて祖国を救うとのたまう「無の民」を名乗る者ども。
それに立ち向かう千夜には、千の怪と将軍様の魂を宿した刀が。
将軍様は死んでも将軍様だったなあ。千夜とちゃんと別れをせず逝ってしまったことが何となく心残りだったのだけれど、泣けなかった千夜をちゃんと泣かせてくれたこの人は、本当の意味で千夜を人間にしてくれた大恩人なのだろう。真介が兄だとすれば、もう一人の父親と言っていいくらいの包容力と慈愛を持って千夜を導いてくれた人だった。

斯くして、無の民を一旦退けて8年後。
8年経てば、千夜も月湖もそれ相応の歳になるわけで……表紙はおっきくなった千夜でした。初見、あまりにこう、イイ表情をしていたので、一瞬千夜なのかわからなった。
そして当然のように千夜が成長すれば、月湖も成長するわけで……どわぁぁぁっ、なんちゅう美人に育ってもうたんやーー!!
幼女の時点ですでに水上作品屈指のヒロインだったのに、こんなに育ってしまって、たわわに育ってしまって。
超巨乳でござる!
しかも、衣装がチューブトップとか、健康的にエロすぎます!
おのれ、こんな娘にまだ手を出してないなんて、千夜のへたれ! へたれ!!
もともと天禀を見せていた剣の腕前は、完全に達人の領域へ。でも、それは否応なく人の領域での話に留まってしまう。月湖の願いは、千夜を守ること。その為に強くなったはずが、強くなればなるほど非力さを痛感し、彼女は苦しむことになる。そんな彼女に力を授ける誘惑を持ちかけてきたのが、あの黒月斎の亡霊だったというのは面白い因果だなあ。神を押し倒すために強くなろうとした、ある意味剣豪将軍よりも遥かにバカバカしく力を求め、手に入れた男の左道を受け継ぐことで、果たして月湖はどうなってしまうのか。
彼の弟子だった迅火ときたら、今や完全に暴走したバケモノとかして、タマさんを悲しませっぱなしだもんなあ。まあ別に黒月斎が悪いんじゃなくて、完全に迅火の自業自得と未熟さの賜物なんだけれど。
その点、千夜と月湖は常に自分の中に生じた矛盾と現実との齟齬、様々な障害や苦悩と向き合い、真正面から一つ一つ乗り越えてきた子たちだから、大丈夫だとは思うんだけれど。でも、月湖は常に力を求めてきた子でもあるからなあ……大丈夫だとは思うんだけれど。

にしても、今や千夜の中の千の闇たちは、完全に千夜の頼もしい友になってますよね。今となっては迷う千夜を叱咤激励するような関係になっていることが、なんとも嬉しい。月湖となうとこの千闇が居れば、千夜が道を誤ったり挫けたりしない、健全に強くなり続けられると信じられる。
まったく、いい主人公ですよ、千夜は。

水上悟志作品感想

天帝学院の侵奪魔術師<ドメインテイカー>  ~再臨の英雄~3   

天帝学院の侵奪魔術師<ドメインテイカー> ~再臨の英雄~ (HJ文庫)

【天帝学院の侵奪魔術師<ドメインテイカー>  ~再臨の英雄~】 藤春都/refeia HJ文庫

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<英雄>と呼ばれる大魔術師アストは、ある時、全く魔術が使えなくなった。そんなアストに、国皇セドリックから、妹姫リトフィアの護衛のため魔術師学院に潜入してくれと頼まれる。食堂で下働きをしつつ、生徒として編入されるアスト。魔法が使えなくなった原因を探りつつ、刺客と戦うアストは、やがて魔術の根源にも関わる、重大な秘密に近付いていく。
おおっ、英雄は英雄でも即席培養の能力だけとってつけたようなニワカと違って、下から叩き上げで這い上がってきた実践派は自分の最大の武器が奪われても頑として揺るがないなあ、強い強い。
魔術そのものが使えなくなっても、それまで実践を通じて研鑽を続けてきたものだから魔術に関する知識は抱負だし、応用や対抗法なども柔軟に扱える。最前線で戦ってきた以上、接近戦にも長けていて、斬った張ったの殺し合いにも慣れている、と来た。さらに言えば、魔術を失ってしまったのは乱戦のさなかに敵兵によって瀕死の重傷を負ってしまったからで、ずっと無敵で傷ひとつ受けたことがない、というキャラでもない。
一応、途中で学生という立場になるアストだけれど、彼の経験やキャラクターを見てるとむしろ教師という立場に立った方が似合っていたんじゃないかと思うくらい、自分の知識や経験をリトフィアたちに教え導く姿は様になっていた。魔術を失ってしまった人間に対する偏見さえなければ、人格的にも能力的にもセドリックの側近、どころか軍や政治に中枢に重臣として収まってもまったく違和感ないタイプだもんなあ彼。実のところ<英雄>と呼ばれる存在にしては、あんまり浮世離れしていないんですよね。単体で陰働きしているときも、腕のいい隠密といった感じで、身分を隠して云々、という雰囲気じゃなかったし。低い身分からの叩き上げだからだろうか、やっぱり。
それでいて、人の前に立ってグイグイと主導して行ったり、逆に自分は後ろに回って皆が力を発揮できるように手回ししたり、という正反対の人の上に立つタイプを兼ね備えているような側面もあり……いや、こいつ本気で万能タイプだな。最終的に彼が担うであろう多くの王を束ねる帝という立場を考えると、彼のキャラクターはまさにその方向に磨き上げられてるように見える。
問題は、その彼を担ぎ上げるだろう王権保持者たるヒロインたちに、まだそれほど魅力的な人材がいないというところなのだけれど。
むしろ、生徒会長の方が面白そうなんだよなあ。あの怪しい生徒会長、あんまりにも言動が妖しすぎて一連の事件で陰謀を巡らしていた黒幕だとあからさまなくらい匂わされていたんですけれど……ついに最後まで尻尾を出さなかったんですよね。これには驚いた。展開的に完全に彼が黒幕だという流れだったにも関わらず、言葉の端からも行動からも、まったく疑わしいところを見せないまま終わってしまったのです。今の状況だと、単に元英雄のアストをライバル視しているだけの、腹に一物持ってそうな天才くん、というだけなんだよなあ。これで本気で今回の事件とは無関係で、敵ではなかったとしたら、その方が面白いですよ。性格的には、敵の組織と関係なくても、味方になるよりも第三極的な立ち位置になってしまいかねないけれど、それでも単純に実は黒幕でした、というよりものちのちの動き方にも自由度ができますし、主人公との関係もトリッキーかつ流動的に面白く動かせそうな余地が多大に出てきそうだもんなあ。
引いては、王様というものは相応の独自性を持っているわけで、そういう連中の上に立ってこそ帝なんだから、アストには是非従順なだけの王だけじゃなく、縄をつけても言うことを聞かない危ない連中もまた従えるほどのカリスマを見せてほしいな。

魔王のしもべがあらわれた! 3 3   

魔王のしもべがあらわれた! III (電撃文庫)

【魔王のしもべがあらわれた! 3】 上野遊/一真 電撃文庫

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自称魔族のシュバルツリヒトに腹黒お嬢様・要、ロリっ娘エージェント・桜に虎耳娘の小虎…不幸体質な高校生・椎名明こと僕の家の居候は、ついに4人に増殖!しかも猫が苦手なシュバルツは、獣化能力を持った小虎を毛嫌いしているし、頭が痛い毎日を送っている。そんなある日、僕たち5人は要の提案で南の島へバカンスに行くことになる。海で遊んで温泉に入って…と一足早い夏を楽しむ僕らだけど、島に異変が起き始める。一人、また一人とメンバーが消え始めたのだ。その魔の手はついに僕にも襲いかかってきて!?魔王のしもべと贈る居候ラブコメ第3弾。
シュバルツはぺったんこー、なんだけれど決して幼児体型ではないんですね。この水着姿はスレンダーとして非常に良い色気を醸し出しているように思います。
そんなこんなで水着回。オチも含めて完全に幕間の回でありました。健気に懐いてくる小虎となかなか打ち解けないシュバルツをなんとか和解させたり、要がどうやら本気で明に好意を抱き出していたり、と改めてファミリーとなった五人の絆を深める方向に持って行きたかったんだろうし、その目論見は一定以上に達成はさせられているんだろうけれど、個人的にこの作品はもっと大きな戦争の後に訪れた平和の影に潜む社会的な歪みや悪意に、健全な善意や優しさで向き合いながら、一度引いた波が再び押し寄せてくるようにひたひたと近づく破滅、或いは再びの戦争の予感に備える、そんなそれなりの緊迫感や生真面目さが根底で佇み続けている事が特徴として生きているシリーズだと認識しているので、ここまで完全に弛緩しきってしまうと、他のゆるいラブコメとの差別化、或いは上野遊作品という色が薄れてしまいかねない、と危惧してしまう。
お遊び回として自体の質は標準以上に高く、普通におもしろいんですけどね。自分としてはこのシリーズには普通に面白い、以上のものを求めているだけに、少々物足りなくはありました。
とは言え、事故を通じて影響者としての能力を暴走させてしまい、今なお破綻し続けている要の妹や、自称魔族を名乗りながらその正体については結局不明なままだったシュバルツリヒトが初めて見せてしまった不穏な動き。など、先々の大きな展開に繋がる伏線となりそうなネタは随所に仕込まれているのです。特に、シュバルツの彼女自身無自覚な怪しい行動は、彼女の言動が実はかなり嘘偽りのない真実に近しいものだったのではないかと予感させてくれる。それに繋がり、幼い頃から明が常に不慮の事故に見舞われ続けてきた、という不幸体質にも人為の影がかいま見えてきた。
鍵は、椎名明の死、か。
次はデストロイの季節、と明言されてしまった以上、モラトリアムはここまでか。次に起こるだろう破綻の開始に期待したい。

しかし、桜ちゃんは見た目がロリっ子だというだけで、言動や普段の所作から内面描写は完全に大人の女性そのものなので、しかもロリバアアとか人外ロリと違って、普通に頼りになる社会人の女性なんで、あんまりちびっ子というイメージ湧かないんですよね。これが映像化されたらまた話は違うんでしょうけれど。
あと、小虎の健気さは完全に兵器レベルw ヤンチャそうに見えて、大人しい子猫みたな子だなあ。これで懐いているのが主人公だけならまだしも、要や桜、そしてシュバルツにもすごく懐いているので、愛玩レベルがたまらん領域に。これ、小虎に冷たいシュバルツが好感度ガタ落ちしてしまいますがなw

1巻 2巻感想

エスケヱプ・スピヰド 参 4   

エスケヱプ・スピヰド 参 (電撃文庫)

【エスケヱプ・スピヰド 参】 九岡望/吟 電撃文庫

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少年の運命を変える神風となるか!?
鬼虫シリーズ最高機密──“星鉄(ほしがね)”登場!

 量産型鬼虫たちが狙う第三皇女のクローン鴇子の記憶。それは、鬼虫の要を成す金属“星鉄”の存在だった。九曜たちが手にすれば、今は亡き鬼虫シリーズを復活させられるかもしれない。だが、量産型鬼虫たちが手にすれば、彼らの力は鬼虫と並ぶ。待ち受ける先にあるのは、闇か光か──。二つの側面を併せ持つ金属“星鉄”を巡り、新たな戦いが加速し始める。
 その頃尽天の町では、《蜂》と《蜻蛉》の機体、そして九曜の師であり好敵手である竜胆の体が、海から引き上げられようとしていた──。最強の兵器・鬼虫たちが繰り広げる神速アクション、シリーズ第3弾!
戦って戦って、その果てにこの国は廃墟と化した。
鬼虫シリーズは九曜が誇るように、正しく最強だった。にも関わらず、彼らは勝利をもぎ取ることは出来なかったのだ。鬼虫が最強だったなら、どうしてこの国はこんなふうになってしまったの? 無垢な子供たちの純粋な疑問に、九曜は答えを見つけられなかった。或いは、その問いの答えこそがこの物語の核心なのかもしれない。
かつての九曜と同じように、ただひたすらに戦争の勝利を願い、それ以外の何も顧みない「敵」の出現を前にふとそんな考えが頭をよぎる。虎杖と名乗る男が率いる黒塚部隊は、既に失われてしまったはずの勝利を今更のように掴み取ろうと蠢動する。現在に蘇り、竜胆との戦いと叶葉たちとの出会いによって、戦うために戦ってきた九曜は最強である鬼虫の力を何のために用いるか、何のために戦うか、その答えを掴みとり、今を生きようとしている、未来を見ようとしている。そんな九曜にとって、黒塚部隊の、虎杖たちの思想は、現在にも未来にも何ももたらさない過去の襲来だ。最強以外の何の意味も持たない、何者でもなかった頃の九曜との相対なのである。
そう考えると、様々な事が腑に落ちてくる。思えば、竜胆という男は過去に縛られているようで、彼はああやって常に未来を指し示していたのかもしれない。彼には戦う理由があり、最強を振るう意味を持ち、それを九曜に託すためにずっとあそこに居続けたのだから。
そんな誇り高く優しい兄であった男の亡骸と遺産が、勝利という未来を指向しているようでその実何の中身も持っていない空虚な連中に利用されようとしているなど、想像するだけで憤懣やるせなくなる。
それどころか、九曜の半身である蜂までが奪い去られてしまうとは。
思いの外、敵は強力であり、それ以上に相容れぬ相手だったと言えるだろう。もうしばらく、と言うよりも今後もずっと遊軍として潜伏し続けると思った蜘蛛と蟷螂が、早々に姿を表して中央政府に協力する判断をせざるを得ないほどだからよっぽどである。特に巴は、半ばラスボス的な立ち位置もあり得ると思っていただけに、彼女が出し抜かれる事になるとは思いもよらなかった。
つまるところ、現状の戦力では確実に厳しい、という現実を示したことになるのか。ということは、他の鬼虫シリーズの復活、というのも決して冗談ではなさそうだ。一方で、未だ蜂を取り戻せない九曜だけれど、彼個人の戦闘センスはメキメキと伸びている。明らかに、竜胆の後継者としてその能力を引き継ぎ発展させる展開を迎えつつある。あんまり強くなりすぎると、剣菱さんがウキウキしだすので、いろんな意味でハラハラさせられる。

さて、今回一番燃えたシーンは、実は鬼虫シリーズの活躍シーンじゃないんですよね。もう震えるほど燃えたぎったのは、菊丸を筆頭とした機械兵士と多脚戦車たちの勇戦でした。言語機能を持たない菊丸はもとより、他の機械兵士たちも、本来なら十把一絡げに扱われるような、単なる兵器であり、感情や心などといった上等なものは持たないはずの、冷徹な論理計算によって思考するだけの、ぶっちゃけ消耗品のはずなんですよ。
それを、本作は見事なくらいに、熱い存在として昇華しているのです。もう、護衛任務の移動中、菊丸が機械兵士たちと花札をはじめた時点で、こちとら感性を刺激されてビンビン状態。あれで、単なるモブという認識しかなかった機械兵士たちが、完全に魂持った存在に見えてしまいました。その上で、九曜がまた彼らを兵器としてではなく、戦友として扱うんですよ。それに対して、機械兵士たちは何も語らないし、反応らしい反応を示さないのですが……にも関わらず、九曜の心映えに対して彼らが意気を汲んでくれたように見えたんですよね。
そして黒塚部隊が襲撃してきた時の、彼ら機械兵士と多脚戦車たちの戦いぶりときたら……血の通わぬ機械とは思えぬ、凄まじいまでの猛戦なんですよ。めちゃくちゃ熱いんですよ。全身の毛穴がひらいたみたいな燃える展開。菊丸を除けば、モブ同士の戦闘にも関わらず、本作中でも一番熱かった。激燃え。
いやあ、これを味わえただけでも読んだ甲斐がありました。何も語らぬ沈黙の兵器に、これだけ血の通った心意気を見せつけられちゃあ、滾らずにはいられませんよ。存分に、堪能させていただきました。

物語は、結局黒塚部隊に事実上敗北し、星鉄の一部を除いて多くのものを奪われることに。そして、巴が示唆する内通者の存在。誰が、裏切り者か、という展開はこれがまた緊張感を高めてくれる。勿論、怪しい人物は簡単に順位を付けられそうなんですが……まさかこの人が!? という展開もなにげにありそうな気がして、油断はできませんよ、これ。

1巻 2巻感想

魔女の絶対道徳4   

魔女の絶対道徳 (ファミ通文庫)

【魔女の絶対道徳】 森田季節/NOCO ファミ通文庫

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目の前の正義はなまやさしいものじゃない。

「束縛のない人生が一番だ」連続殺人事件の犯人を追っていた俺、水主頼斗は、逆に縛り上げられてしまった……。
そのピンチを俺は「天狗」の少女、輪月に「天狗の血を引く」という理由で助けられた。
いや、むしろ改めて輪月に拘束された。ところで、お前の手伝いをするのはいいけど、事件って解決してるの?
俺、咒師っていう和製魔法使いで、事件が解決しなかったら実は死ぬんだけど……大丈夫?
正義の和製魔法使いと不純少女の青春怪奇ストーリー!
不純少女というか、このヒロイン思いっきり下ネタ好きなだけじゃないかw とにかく下ネタを挟まないと死ぬとでも言うかのように、事有るごとに下ネタを振ってくる天狗さん。この人がメインヒロインなのかー(笑
いや、これはある意味面白い関係ではあるんですよね。天狗に吸血鬼の少女たちは、この咒師の少年に粉かけてくるのだけれど、彼女たち自身が明言しているようにぶっちゃけそこには愛だとか恋だとか言う甘酸っぱい感情は皆無。じゃあ逆に冷徹な計算に基づく損得によって割り切られた関係なのかというと、そこまでキレキレに冴えた関係でもなく、かなり軽い感じで偶々条件にハマった頼斗くんを「とりあえずキープ!」みたいな感じで縄をつけているような状態なのである。見た感じ、照れ隠しなど本意を伏せている素振りもなく、本気で恋愛感情はなさそうなのだ。まあ、愛はないけど体だけどうだい? と迫られて男としてはどうなんだ、という話である……よろしくお願いします、とそれならそれで、という人がぶっちゃけ若人としては多い気もするんだが、純情青年で事情もあって現状自分の生命が失われるタイムリミットが迫ってかなり切羽詰まってる頼斗くんはそれどころではなく、あたふたと街の境界の均衡を乱している連続殺人事件の犯人を探しまわっている。何しろ、容疑者は自分にちょっかいをかけてくる輪月と吸血鬼の少女だ。オマケに、二人の少女はお互いを犯人扱いして一触即発。双方の言い分にはそれぞれうなずかされるところもあり、頼斗は自由極まる二人の少女の言動に振り回されることになる。
ウハウハと浮かれて喜んでいる場合ではない。
誰が連続殺人事件の犯人なのか、という真相追求編も、なにげに輪月が言動から振る舞いから怪しさ極まっているので、メインヒロインが犯人か!? という展開も充分あり得ただけに、まあ掛け合いが総じて軽妙で、輪月がとかくシリアスな場面でも下ネタを欠かさないものだから緊張感という点については全くなかったけれど、展開そのものはなかなか先を読めないこともあってか面白かった。
挿絵でのキャラクターの眼力が、折々に触れてなかなか凄みのあるゾクッと来るような絵が配置されてたのも大きい。輪月が血なまぐさい行為に忌避感がなく、また主人公も締める所ではいい意味で冷たく自分を大事にするタイプで、何だかんだと救えない展開が待っていたりと、軽妙なやり取りの割にダークで淀んだ雰囲気が漂っているのも、結構引き締まった空気になってて読み応えあったように思います。
森田さんって、変に全体的に緩くやろうとするよりも、根っこの部分がダークだったりシリアスだったりする展開の方が、軽い丁々発止な掛け合いが冴えてるような気がするんだが、気のせいだろうか。
いずれにしても、伝奇でダークなラブコメ? な本作、一冊で終わりというのはちょっと勿体無いと思わせてくれる面白さでした。続かないのかな?

森田季節作品感想

サイハテの聖衣(シュラウド) 2 3   

サイハテの聖衣2 (電撃文庫)

【サイハテの聖衣 2】 三雲岳斗/朱シオ 電撃文庫

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羽々姫、紗々羅、鳴々葉、音々―霊獣を封印した破魔の鎧、獣装戦闘服をまとい、賞金めあてに、謎の妖獣“禍憑妃”と戦い続ける極東自衛機構の傭兵たち。そんな彼女たちのもとにやってきた新入り隊員とは…。そしてある日、小隊長の紗々羅が突然「引退する」と言い出して…。本州最西端にある赤間関市を舞台に、民間軍事会社“極東自衛機構”所属の少女兵士たちの活躍と、コミカルな日々の生活を描いた新感覚・日常系戦場ファンタジー。
うおっ、日常系戦場ファンタジーと言いながらも、なんという緊迫感だ。崖っぷちのキワキワを命綱なしで歩かされるような、精神を削るようなギリギリの空気が否応なく作品の雰囲気を絞り上げていく。

恐るべし……金欠!!

いやあ、元々メインの羽々姫なんざ、とんでもない額の借金背負わされて、その返済のために金払いのイイ傭兵をやっているという筋金入りだったのですが、今回の金欠話は彼女個人の問題じゃなく彼女たちが所属する極東自衛機構という民間軍事会社の自転車操業についてのお話なので、かなり切羽詰まった話になっている。ぶっちゃけ、羽々姫個人がどれだけ借金が雪だるま式に増えようとも今の仕事を続けている限りはなんとか取り戻せる余地はあるんですよね。ところが、その返済計画の母体となるべき会社ごと潰れてしまった日には、完全に取り返しがつかないゲームオーヴァー状態になってしまうのです。

会社が突然倒産し、給料未払いのまま一文無し借金漬けで放り出されるこの途方も無い絶望感!!
ある意味、戦場で孤立し見渡す限りの怪物の群れに蹂躙されるしか無いという状況に匹敵するような悪夢!!
むしろ身近に容易に想像できるぶん、人類滅亡の危機よりも恐ろしい! というか、胃が痛い、キリキリ軋む!!
仮にも本土が“禍憑妃という妖獣に蹂躙され、今も多大な被害を出しながら侵攻を瀬戸際で防ぎ続けている、というデストロイな世界観で、これほど身につまされる絶望感を味わわされるとは、さすがは日常系と言うべきか。
……こんな日常系は嫌だw

ってか、どうやら業界全体が相当にカツカツな状態で回っているみたいだし、この軍事の民間委託って完全に失敗してないか? 会社の不渡りとか倒産で防衛線に穴があくとか、笑い事じゃないんですけどw

新キャラの聖天坂姉妹は、特に姉ちゃんの方が基本が高飛車お嬢様、素に戻ると貧乏くじ苦労性関西弁キャラという相反するキャラが上手いこと綯い交ぜになってて面白い!
レギュラー化しても上手いこと絡んできてくれそう。ぶっちゃけ、羽々姫と鳴々葉に加えてもう一人くらい不憫なキャラが欲しかったところなので、渡りに船であろうか。
出来れば中尉どのももっと出番欲しいところなんだけれどなあ、あのマスコットは。せっかく警備主任として着任してきてくれたわけですし、それなりに自然に登場しててもおかしくないと思うのだけれど。

問題児たちが異世界から来るそうですよ? ウロボロスの連盟旗 4   

問題児たちが異世界から来るそうですよ?    ウロボロスの連盟旗 (角川スニーカー文庫)

【問題児たちが異世界から来るそうですよ? ウロボロスの連盟旗】 竜ノ湖太郎/天之有 角川スニーカー文庫

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箱庭の下層が“魔王連盟”に襲われたことで、煌焔の都に“階層支配者”が集結することに。魔王を倒すコミュニティ“ノーネーム”も抜擢されるが、黒ウサギが休暇のため、問題児3人はフリーダムに遊び始める!そんななか主従関係を結んだジンとペストは、旧知の仲である北の“階層支配者”サンドラに出会う。だが彼女は顔をフードで隠し、黒ウサギもかつて負けたギフトを持つ、“魔王連盟”のリンと殿下と行動を共にしており!?
この作品のド凄いところは、とにかく誰も彼もが未だに「底」を見せてない所なんである。本来ならラスボスクラスであろう蛟龍に白夜叉といったその実力や一端を垣間見ただけで気が遠くなるようなレベルのメンツが味方側につき、レティシアや黒ウサギといった慮外のちからの持ち主が同じコミュニティの居り、さらには耀や飛鳥といった子らは現状こそ未熟なものの、信じられない並外れたスピードで成長を続けている。ネックと思われたノーネームのボスであるジンなど、その成長の筆頭かもしれない。彼の頭脳の切れ味は、今や十六夜のお墨付きだ。ジャック・オ・ランタンやウィラ、フェイスレスと言った同盟枠の連中だって、底知れない途方も無い力の持ち主ばかりである。今は力を失っているとはいえ、ペストだってあの8000万の怨霊を率いる黒死病の魔王。他にも未だ名前ほどしか出番のない斉天大聖や牛魔王をハジメとする面々や、まだ名も出てきてないだろう実力者が山ほど存在しているわけだ。
で、対する魔王連盟ときたら、それに増し増すラスボス揃いと来ただらーー!!

なんちゅうかもう、こんなんワクワクしっぱなしでどうにかなりそうに決まってるじゃん!!

そして、それらを置いて未だ「底」を見せていない筆頭こそが、我ら逆廻十六夜その人なのである。一気に燎原を焼きつくすように燃え上がった圧倒的なまでの絶望感を、その登場だけで一瞬だけで吹き飛ばすその頼もしさ。
いやあ、あの登場シーンの燃え滾りようは、飛鳥や耀が、彼が来たもう大丈夫だ、と安心する場面で最高潮に達しましたよ。そんじょそこらのヒロインじゃないんですよ、飛鳥も耀も。二人共負けず嫌いの塊で自分が絶対になんとかしてやるというプライドの塊みたいな誇り高い少女たちなのです。誰かに頼ったり任せきりにするのを良しとしない自立し、貪欲で在り続ける少女たち。その彼女たちをしてこれだけの信頼を寄せる逆廻十六夜という少年の絶大な存在感。
彼の自制心、自分を律し切る心の強さと賢者の如き聡明さの持ち主でありながら、此処ぞという場面、なんて言うんだろう、読者がこうして欲しいと思う場面で期待を裏切らずに、その感情を素直に爆発させてくれるところは本当に格好良いんですよ。彼の存在は鬱憤というものを見事なくらいになぎ払ってくれる。カッコいいったらありゃしない。それでまだまだ底の知れない限界が見通せない実力はワクワク感を否応なく高鳴らせてくれるわけです。
次回はついに魔王連盟を向こうに回した大決戦。際限知らずの大盤振る舞いが待っていそうで、もう今からたまらんですよ。

一方で問題児三人組の裏側ではジンたち年少組も精力的に動き回っていて、特にかつて最凶最悪の敵として立ちはだかったペストが、ここにきていい味出してきたんですよね。その胸に秘めた世界を敵に回しても叶えたい野望……いや、優しい夢。それを、臣従を誓った今なおジンたちに明かせず、野望を叶える方策に控えめな胸を悩ます日々。そんな彼女に再び魔王連盟の誘いが訪れ、野望とジンたちへの親愛に揺れ動く心。
そんなペストにジンが見せる、自身の可能性……そして、ペストの野望を飲み込む大きな器。
冷ややかな暗室で交わされた幼い少年と元魔王の少女の掛け替えのない誓いは、仄かで胸温まる温度ながら、それでもこれもまた熱い炎そのものでした。
十六夜という大きな渦巻きが在るとはいえ、本作って登場人物の一人ひとりが主人公を担っている物語でもあるんですよね。箱庭という言葉とは裏腹の世界観のスケールの半端無さとともに、その莫大なスケールを縦横に活用するだけの登場人物たちの活発で意欲的な動向、群像劇と呼んでもいいような拡充こそが、私がこのシリーズを特別大好きな要因なんだわなあ。
ある意味前哨戦もいいところだったにも関わらず、まったくもって盛り上がりっぱなしのこのシリーズ。ほんと、永遠にテンション斜め上に突っ走り続けてて、色んな意味でたまらんわー! 次回はさらに天元突破しそうで、今から鼻血でそうです、興奮し過ぎ!

シリーズ感想

ミスマルカ興国物語 エックス5   

ミスマルカ興国物語 エックス (角川スニーカー文庫)

【ミスマルカ興国物語 エックス】 林トモアキ/ともぞ 角川スニーカー文庫

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最後の紋章調査から戻ってきたマヒロにシャルロッテが下した新たな命令は、帝都を騒がせる謎の怪盗を捕まえること。夜な夜な現れては貴族を襲うその人物は、赤い仮面を、いや、赤い仮面しか身に付けていなかったという。そんな、まさか、ヤツが帰ってきたのかっ!?その者、全ての衣を纏わず暗黒の帝都に降り立つべし―すべてのミスマルカファンに贈る、禁断(?)の物語がついに登場。


その者、全ての衣を纏わず暗黒の帝都に降り立つべしすべてを見通す預言者が残した破滅を救う最後の希望の担い手である勇者。その者こそ奴であり、この物語こそヤツの勇姿を再び拝める禁断のエェェェェェクス!!

十じゃありません、エェェェェェェェェクス!!

未だかつて無いすげえ表紙絵にペンデュラムも奮い立……ちませんよ? アァーーーッ、ではないのでたちませんよ?
にしても、えらいムキムキだなー、と少々唖然としていたが、この人マヒロ王子じゃなかったのね。そうだよな、あの頑丈とはいえひ弱な王子がこんな筋肉質なわけないよな。
まったく新しいゼンラーマンの出現である。しかし、タイトルはエックスなのに当人はスーパーなのか。敢えてスーパーXと名乗らないのか。むしろ四番目のゼンラーマンの方が衝撃的だったけれど。あのセンスは、なにげに素晴らしい。まさに怪傑!!

って、とんでもない馬鹿話のようで、中身はというと凄まじく真面目な話だったんじゃないだろうか、これ。全裸こそフリーダムにして自由の象徴とたわけたことを言っているようで、その実一連の出来事はマヒロがかつて掲げていた非暴力という武器をこれまでにないほど十全に振るった、ある意味理想の体現であったわけで、帝国に下ったマヒロをして、もう一度ただ飲み込まれたのではなく、帝国というフィールドでかつての理想を取り戻す、いやさらにバージョンアップして、何というか小賢しさを脱ぎ捨てて裸一貫でやり直すだけの志の進化を手にしたような、なんとも痛快で気持ちのよい話だった。
それに伴い、なんか本当の意味でマヒロがこの帝国でやってけるように思えたわけで。これまではどれだけ臣従しているように見えても、どこかで蛇として獅子身中の虫という風情が漂っていたのだけれど、変わらず獅子身中の毒蛇となりつつも、どの毒は獅子やその娘たち、彼らが作り守ろうとしている帝国やひいてはこの世界を殺すような毒にはならないという確信が持てた気がする。もし、毒蛇が殺す毒を放つとしても、それは獅子たちを裏切る形にはならず、それどころかそれが彼女たちの意志でもある、という形になるんじゃないだろうか。
そう思えるくらいには、皇帝陛下や皇女たちに今やゾッコンです。
いや、今回はじめて、ルナスこそマヒロとお似合いだと思えましたわ。これまではむしろシャル姉の方がマヒロの相棒とは相応しいと思っていましたし、その考えは揺らいでいませんですけど、今回のルナスを見ていると思っていたよりもずっと「マヒロ」という奇怪なナマモノを受け止めるだけの器の持ち主なんじゃないかと。これまでは、ルナスって追いかけて捕まえる人だと思ってたんだけれど、もしかしたら想像以上にマヒロという放埒な魂の止り木となれるキャパがあるんじゃないかなあ、と誰もついていけないマヒロの在り様を、あるがままに受け止める姿にそう思った。振り回されまくっているようで、そのズレた慣性と天然な順応性は、段々とマヒロと合致しだしてるんだよなあ。今や、建前もなくなってマヒロにべったりなルナス……彼女がマヒロの嫁、という流れは皇帝親父の抵抗むなしくもはや定まりつつありますが、これ本気でくっついてもいいんじゃないか。
問題は、マヒロの気持ちなんですが……そっちに関しては容易に内側を見せないからなあ、こいつ。ただ、もう情にまみれているのは間違いないかと。
情というと、面白かったのがシャル姉。この人、ホントに本気でマヒロのこと可愛がってるんじゃね? 今回見せた彼女のマヒロへの心遣いというか優しさは、完全に可愛い弟へのお姉ちゃんのそれ、なんですよね。ビジネスライクな関係とはもう露にも思っていなかったけれど、もっと彼女らが口で言っている通りのペット扱いだと思ってたんだが、むしろあの接し方はダダ甘姉ちゃんの要素も色濃く感じるほどでして。幸か不幸か、恋愛感情だけはさっぱり見当たらず、完全に兄弟愛方面なんだけれど、ユリカは別口にフラグ立っている人がいるので別として、長女と三女、両方ゲットは今でもアリじゃないかと信じてる、信じてる。

身に寸鉄も帯びず、それどころか鎧う衣すら身につけず、すべてをさらけ出して社会を覆う不穏に立ち向かうゼンラーマンたち。真剣でありながらバカバカしく、であるからこそそのバカバカしさこそが大事なのだという主張にはイカヅチを身に受けたような衝撃でした。
皇帝がかつてからいささかも志を変えず善き行いをしようと突き進んだ結果、肥大化した国はいびつな負荷がかかり貧富の差や情勢の不安によって、アチラコチラに不穏が生じ、民の不満が溜まっていく。
だからその不備を訴えよう、世直しを訴えよう、世の間違いを正そう、歪みを整えよう、と叫ぶのはある意味簡単なのだ。でも、本作でゼンラーマンたちが取った方策は、なんていうんだろう、対処療法どころか根源治療ですらなく、物凄くシンプルで大事なことだったんですよね。
ゼンラーマン・スーパーが暴力を振るうこと無く様々な障害を乗り越え、警備の編みを突破し、無数の兵士や帝国有数の天魔将の壁を突き崩し、あの三皇女たちすら振り切って皇帝の元に辿り着いた末に、自分の中に導き出した答え、皇帝陛下に対して訴えた一言には……感動すら覚えたのでした。
ただ、その言葉だけを発したならば、何も伝わらなかったでしょう。それくらい、その一言は単純でとても今の帝国を揺るがしている軋みによって生じたものを具体的にどうこうするという言葉ではなかったのですから。
ゼンラーマンスーパー、彼自身、最初は何もわかっていなかった。それが、ゼンラーマンという自由を体現しながら、それを貫いた先に辿り着いた答えだからこそ、本来なら不可能である警備厳重な皇帝の城の玉座にたどり着くという難事を成し遂げた上で献上した一言だったからこそ、これ以上ない真となって聞く人の耳に届いたのだ。
これほど熱い物語があるだろうか。
繰り返すが……感動した!!
ユーモアって、素晴らしいっ!

大笑いさせられながら、これほど清々しい気持ちにさせられるとは、文句なしに降参です。殆ど番外編にも関わらず、この一冊でマヒロのみならず帝国全体が成長したんじゃないでしょうか。唯一不安があるとすれば、やはりあの宰相の動向なのですが、皇帝以下一丸になって南極が訪れようとも乗り越えてほしい。
最初は敵だったにも関わらず、今となってはこの帝国の面々大好きになっちゃったもんなあ。

久々の登場の預言者さまは、昔よりもさらに自由に過ごしていらっしゃるようで。でも、悪趣味だった前文明時代と違って、今の彼女はわりとマトモになってる気がする。みーこもそうだったけれど、自我が堕ちた状態から戻れたら、多少は澱が払えてマトモになるんだろうか。
引き続き、次回以降も出番がありそうなので、色々な意味で活躍を期待したい。

林トモアキ作品感想

紅炎のアシュカ 3   

紅炎のアシュカ (このライトノベルがすごい!文庫)

【紅炎のアシュカ】 紫藤ケイ/Nardack このライトノベルがすごい!文庫

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「私はアシュカ。魔王アシュバルドの右手の小指の爪の先の化身だ!」――かつてこの地上を荒らし回った《根絶者》アシュバルド。その化身を自称する少女アシュカは、《駆神人》の少年ラティス、《小妖精の》リルと共に、街から街へと旅を続けていた。他の化身たちと出会うために――。人と精霊が共存する世界で、アシュカの奔放な物語が幕を開ける! 第3回『このライトノベルがすごい!』大賞受賞作家、受賞後第2作スタート!
この世における、数少ない善人枠をあっさり消し去るあたりに作者の意識的か無意識的かわからないけれど、善は禍を以ってこそ引き立つもの、という思想を感じるなあ。
というわけで、前二作に比べるとややも明るい雰囲気で描かれるファンタジー、と見せかけて何だかんだとやっぱり黒い要素が多いあたり、ブレないというか何というか。
ただ、これまでの二作が一冊で完結という体裁をそれなりに整えていて読み終えた跡に一区切りついたという感を保っていたのに比べると、本作はストーリーにしてもキャラ立てにしても導入編という色が非常に濃いと思う。
シリーズの第一作目として捉えるなら、キャラクターそれぞれの性格や考え方を一通り浚いだし、この物語がどういう方向へと進んでいくかの向きを整えるという意味において、丁寧なデザインがなされていてここから物語や世界観が広がっていくスタート地点として十分な期待感を与えてくれる出来栄えである。
が、逆に言うとここで終わってしまうと完全に尻切れトンボなんですよね。これだけだと、現状何が起こっているか、その渦中にどんな人達が揃えられ、どういう流れが生じるのか、という最低限一通りの基礎部分をぱっと見で把握しただけで終わってしまう。
極端に言うと概要だけ見せられて、まだお話にしても登場人物にしても実感として感じられない形骸の段階なのである。ここから中身を詰め込み、或いは掘り下げて行ってこそ、歯応えあるいは色彩というものが生まれてくるのだろうけれど、これまでの傾向からすると本作もこの一冊で終わりかねないんだが、その辺りどうなんだろう。これはシリーズ化してこそ映える作品だと思うんだがなあ、これだけだと枠だけ作ってそれで満足して放り出してしまったようなものになってしまいかねない。
特に、アシュカがたどり着き掴みとった結論であるあの弱者ゆえに、という決意は難事であるからこそ彼女がどうやってそれを叶えていくか先々までみっちり追いかけていきたいテーマであるだけになおさらに。
それに、アシュカとラティスの関係からして、まだまだ何の掘り下げもされてないし、一緒に居る割にまだ繋がりとしてかなり弱いんですよね。全然足りない、書けてないまっさらな段階なのです。これはあまりにも勿体無い。まだ、キャラが与えた役割以外で動いてないんだろうなあ。
自分、あの親父さんのあの決定的な破綻を迎えたあとの、モノのわかったような物言いは感動どころか不気味で気持ち悪ったんですよね。この人、何言ってるんだ、と。
あのシーンでやりたいことはとても良くわかるんだが、生の言葉ではなく用意された脚本の台詞と見えちゃうようではもうちょっと、なあという感じでしたね。じっくり練り込み練り込み。

紫藤ケイ作品感想

魔法少女育成計画 restart(後) 4   

魔法少女育成計画 restart(後) (このライトノベルがすごい!文庫)

【魔法少女育成計画 restart(後)】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい! 文庫

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ひたすらに激化していく、囚われの魔法少女たちによる生き残りゲーム。残酷かつ一方的なルールの下で、少女たちは迷い、戦い、一人また一人と命を落としていく。警戒すべきは姿の見えぬ「マスター」か、それとも背後の仲間たちか。強力無比な魔法が互いに向けられる時、また一人新たな犠牲者が生まれる――。話題のマジカルサスペンスバトル、第二幕の完結編! 最後まで生き残る魔法少女は、いったい誰なのか!?
なるほどなあ、前回感じたこのゲーム全体に漂っていた違和感の正体はそういう事だったのか。

一応これ以上書くとネタバレになるので、収納しておこう。

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101番目の百物語 8 3   

101番目の百物語8 (MF文庫J)

【101番目の百物語 8】 サイトウケンジ/涼香 MF文庫J

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一文字疾風、通称モンジは、日々の平穏な学園生活を過ごす中、何故か胸の中にもやもやしたものを感じていた。そんな中、突如ある日出会った謎の少女を思い出す。その名は…『一之江』。徐々に蘇る共に歩んだあの日の記憶…。決して消え失せない強い想いが込み上げる! 「さあ、百物語を始めよう――! 」サイトウケンジ×涼香が贈るノンストップ学園アクションラブコメは遂にクライマックスへ! そして終わらない物語…そう、ハッピーエンドを紡ぐため――。
最終回を飾るのは、月隠のメリーズドールの一之江瑞江。満を持して、というに相応しい貫禄のメインヒロインでございました。
号外号外! 一之江がデレた! 一之江がデレました!!
もうデッレデレです、なにこれ最強じゃん。まさにこの時のためにこの作品はあったのだと言われても納得せざるを得ないほど、ベタベタのモンジと一之江。
シチュエーションも最高の場面でしたからね。あの鉄壁の一之江さんでもグラっと来るってもんですよ。モンジくんもここぞという時にはヘタレずに決めてくれましたし……だが、音央にヘタレたのは一生忘れないっ!
全裸まで剥いておきながら、何故そこですることしないんですかっ! もはやあそこは、音央、先輩、理亜と三連ちゃんでイケナイところまで行っちゃってもよろしかったのに。いくらオーラルモンジハーレムとは言え、メインの一之江とキリカが戻ってきたらこの二人に持っていかれちゃうのは自明の事だったので、三人ともこれまでにないくらいCOME ON状態だったのに。

ともあれ、キリカと一之江によって自分が【101番目の百物語】の主人公だった記憶も、ロアのことも、一之江のこともキリカのことも忘れさせられて日常に戻されてしまったモンジくんでしたが、無事に自力で記憶を取り戻して、ヤシロちゃんと永遠の戦いを繰り広げる一之江の元に駆けつけることに。
もともとデレデレだったキリカも、今度こそ含みも裏もなく完落ち状態でベチャベチャイチャイチャと、あんたたち粘度高すぎ。挙句にヤシロちゃんもハーレムに入れちゃうぜ宣言でもうモンジくんとどまるところを知らない見境なしのハーレム拡大計画発動である。
最終回ということもあってか、制限なしの総力戦大盤振る舞い。
【月隠のメリーズドール】【魔女喰いの魔女・ニトゥレスト】【妖精の女王(ティターニア)】【神隠し】【2000年問題(ロスト・ミレニリズム)】【8番目のセカイの管理人】【予兆の魔女アリシエル】【夜霞のロッソ・パルデモントゥム】 【人食い村(カーニヴァル)】【終わらない千夜一夜(エンドレス・シエラザード)】【海からの生還者(マリン・リザーバー)】【新旧・花子さん】という主だったメンバーが、フルドライブで大暴れする展開は壮観の一言。相手はノストラダムスの大予言だけあって、攻撃の規模も迫力も段違いなのに迎撃するこっちもまるで引けをとっていませんでしたからね。でも、一番感慨深かったのがいつも背中合わせだったモンジと一之江が、ようやく並んで立てたこと。モンジくんの相棒は、こればっかりは一之江以外に居ませんでしたからね。
しかし、理亜の千夜一夜の語り部の力はホントにデタラメな能力だったんだな。結局決め手になったのは理亜の物語だったわけですし、伊達に最強の主人公と謳われたわけではなかったのか。
そして、ヤシロちゃんの破滅のロアたちをも飲み込み、さらに氷澄たち他の主人公たちの力も借りて、モンジくんが揃えた都市伝説の数は、まさしくワンハンドレッド。名前を揃えて羅列するだけで9ページ(笑
ノストラダムスの大予言の次の破滅の予言であるマヤの終末歴すらも乗り越えて、見事にモンジハーレムの完成でハッピーエンド。最後まで飄々とした錘の無い軽妙なノリで突っ走ったハーレムラブコメディ、大変堪能させていただきました。純粋にひたすら楽しいお話でございました、ゴチ。

あ、あと氷澄はロリババアばっかり集めすぎ! こいつ、合法を気取ったロリコンか!

シリーズ感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。65   

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6 (ガガガ文庫)

【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6】 渡航/ぽんかん(8) ガガガ文庫

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慣れない役割、ぎこちない関係。

文化祭。面倒な仕事をスルーする方法は……呼ばれても返事をしない、なるべく面倒くさそうな気持ちを顔に出す!?
ぼっちのスキルをフル活用して文化祭の準備をサボる気満々の八幡。しかし、授業をサボっていたら、不在なのをいいことに文化祭の実行委員にさせられてしまう。
慣れない役割とぎこちない関係。
新学期が始まってからの八幡は、どこか調子がおかしい。クラスでも、部活でも。雪乃への疑問は消えないまま、そしてそれを問わないまま……学校中が祭の準備で浮かれた空気の中、取り残されているのが当たり前のはずの八幡なのに、居心地の悪さは消えない。
まちがえてしまった答えはきっとそのまま。
人生はいつだって取り返しがつかない。
前に進まず、後戻りも出来ない二人、雪ノ下雪乃と比企谷八幡。近づきも遠ざかりもしない不変の距離感に変化は訪れるのか。

アニメ化も決定、話題のシリーズ第6弾。
平塚先生の優しい言葉が骨の髄まで染みてくる。静ちゃんのこの時のセリフって、あんまり「先生」って感じはしないんですよね。教育的だったり上の立場から諭すように言うのとは、柔らかさが違っている。この人、前々から八幡との距離感に微妙に踏み込みすぎたような部分が見受けられたんだけれど、あの台詞は雪乃や結衣の事を語っているようでその実、静ちゃん自身の気持ちを語っているようにも見える。如何様にも取れるんだけれど、先生という立場を超えて踏み込んできた上で、こうやって真意を、自分がやったことの意味をちゃんと理解し、心配し、そして讃えてくれる人がいるというのは、幸せな事なのだろう。もっとも、八幡はそういう理解してくれる人たちの為だからこそ、自分を損なっても殉じてしまうメンタルの持ち主なんですよね。
今回の一件、彼がヒールに徹したのは決してみんなのため、ではありませんでした。ましてや、相模なんかのためではなかった。ただただ、雪ノ下雪乃の為に、彼女の頑張りに報いるために、彼女の孤高を、ボッチを肯定する為に、身を投げ打ったのです。
多くの人にとって、彼は不愉快な存在でしょう。理解不能で場の空気を悪くする存在でしょう。しかし、これほど、絶大な信頼を寄せられるニンゲンがいるだろうか。
とは言え、こういう社会から逸脱してしまう人間と親しく付き合うというのは、勇気が居ることなんですよね。どれだけ信頼出来る人間だろうと、周りから見ると排斥の対象となりはみ出し者として扱われる以上、それを付き合うということは同じようにはみ出し者として扱われてしまう危険がある。
由比ヶ浜結衣が本当に偉いのは、そのリスクを承知しながらも、そのリスクに怯えながらも、勇気を持って逃げずに八幡たちに関わろうとしているところでしょう。彼女の偉大さは、あの雪ノ下雪乃の凝り固まった心を解きほぐしたことでも明らかです。あの、雪乃が一番苦しかった時、雪乃が全部を拒絶せずついに結衣の差し伸べた手を握ったのは、これまでの彼女の努力があったからこそ。このシーンほど、胸打たれたシーンはありませんでした。この娘の善良さとひたむきさには、毎回毎回泣きそうなほど感動させられる。
一方で、結衣がマイノリティに追いやられてないのは、八幡のクラスのカースト最上位のメンツ、葉山や三浦、海老名という連中が何気に本気でイイ奴らであると同時に優秀な人間であるからなんですよね(三浦は多分に天然なところがあるようですが)。人間的な余裕、と言ってもいいのかもしれませんが、八幡たちの方にふらふらしている結衣を突き放さずに好きなようにさせつつ、抱擁している現状は彼らの人間性の現れなのでしょう。
ただ、今回の八幡の行為が生徒全体から悪印象を受けてしまった以上、葉山たちもこれまでみたいには容易に八幡には近づきがたくなるかもしれない。いや、葉山たち自体は露骨に態度に出さないかもしれませんが、八幡はその辺気にするだろうから、これまで以上に結衣と距離おこうとするんだろうなあ。結衣を大事に思っているからこそ、結衣が自分の為に自分と同類と観られることを嫌うはずですから。それを、結衣がどう思い、どう捉え、どう行動するか。彼女からさり気なく、自分から踏み込む宣言が折しも出ていた以上、もしかしたら次回以降は彼女の動向こそが物語の中心になっていくかもしれない。

もう一つ興味深いのが、葉山の動向である。今回の一件で一番その反応が興味深かったのが、この葉山なんですよね。恐らく、雪ノ下雪乃と陽乃、由比ヶ浜結衣と平塚静を除けば、八幡の真意とその行動の意味を一番正確に理解していたのが彼、葉山隼人なのでしょう。その彼が見せた、八幡の行為に対する怒り……というよりも、あれは苛立ちか。葉山の心情に思いを巡らすと、なかなかソソるものがあるんですよね。彼の複雑な内面と雪乃への気持ち、そしてどうしてもブレることのない善良性。それらを鑑みて、この時の葉山の心情を思うと、八幡の行為を否定し避難するような言動を残してはいるものの、葉山くん、この時かなり悔しかったんじゃないかな。自分では決して出来ない方法で、自分ではどうしようもなかった状況を救ってくれた。自分が助けられなかった雪乃を、彼はまた助けてしまった。八幡は葉山を認めながら、同時に自分とは人種が違う、と割りきっているけれど、善玉である葉山にとってヒールになれる八幡という存在は劣等感すら抱いてしまう相手なんじゃないだろうか。恐らく、これまでどんな人間だろうと受容してきた大きな器の持ち主である彼にとって、初めて現れた受け入れがたい、しかし誰よりも認めざるをえない相手、認めるどころか自分には出来ないことを自分には絶対できないやり方で成し遂げてしまう、敵わないと思わされた相手。それが、八幡だったんじゃないだろうか。夏休みのボランティア・キャンプで味わった敗北感、それが再び、より大きな波となって葉山くんを苛んだのではないだろうか。
それでいて、あの「どうしてそんなやり方しかできないんだ」という叫びには、否定だけではなく彼が非難されることへのやりきれなさがうかがえるのだ。なんかねー、このセリフには葉山くんの八幡はもっと認められるべき人間なのに、という悔しさすらも感じるのです。自分が八幡にどういう役割を負わされたのかも理解した上で、ある種の信頼を寄せられていた事を悟った上で、どうして自分がこんな役割を果たさなきゃいけないのだという苛立ち。自分ではなく雪乃を救ったのが彼だという嫉妬。静ちゃんの言う八幡が傷つくことで同じように傷ついた人間の中に、彼葉山くんもまた入っていたはず。
結衣に負けず劣らず、私はこの葉山くんという人は根っからの善人で良い奴なんだと思えて仕方がない。
この時、彼の中で渦巻いていた様々な感情に思いを馳せると、非常に心くすぐられるのです。当初からは予想外に、葉山くんというキャラクターが重みを増してきた気がするなあ。

そして、雪ノ下雪乃。彼女が、比企谷八幡という少年をどう思っているか、どう思うようになったかを示すような具体的な台詞は見当たらず、その様子からもなかなか窺い知る事はできない。
それでも、今回のターンは、恐らく決定的な一歩を担ったのではないだろうか。これまで、本当に全くと言っていいほど前にも後ろにも進まなかった二人。否、若干距離感のとり方を見失っていた二人の間に生じたものは、見えざるも確かな繋がりだったんじゃないだろうか。
すべてを置き去りにして突っ走ろうとして、躓いて膝をつきかけた彼女が見つけたのは、大切な2つのもの。こうなった以上、彼女のプライドにかけて、もう観ないふりなんて出来ないに違いない。
何も変わらないように見えて、何かが確かに変わったのだ。
ターニングポイント。
おそらくは、ここがそうだったに違いない。その瞬間の、あの陽乃が立ち会い見届けていた事がどう作用するのか。彼女の思惑が未だに見えていない以上、予断は許されない。正直、八幡が思い描いた陽乃の考えは、甘すぎると思うから。

しかし、アニメ化って……ここまで凄まじい圧巻の青春ドラマを見せつけられると、ハードル爆上げしてますよね。生半な心情描写じゃとてもじゃないけど表現しきれんぞ、これ。どれだけ八幡の地の文を演出し、引き出し、その表も裏も描ききれるか、なんだろうなあ。

シリーズ感想

六花の勇者 3 4   

六花の勇者 3 (六花の勇者シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【六花の勇者 3】 山形石雄/宮城 スーパーダッシュ文庫

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騎士か、叛徒か。
勇気か、暴走か。
テグネウの脅威にさらされたまま、魔哭領を奥へと進む六花の勇者たち。
その道中、ゴルドフが突如「姫を助けに行く」とだけ告げ、アドレットの制止を振り切って姿を消す。
不可解なゴルドフの行動に、六花は再び混乱に陥る。
ゴルドフが「七人目」なのか、それとも何かの策略にはめられているのか…!?
さらに、再び現れたテグネウは凶魔たちの内紛について語り、挙句に自分と手を組まないかと提案をしてくる。
果たしてその真意とは?
伝説に挑み、謎と戦う、圧倒的ファンタジー、第3幕!
敵地に突入してからもう三巻目になるというのに、さらに状況をシッチャカメッチャカにした挙句に謎を解いて真相にたどり着かないといけない、という所に放り込んでしまう舞台の整え方にはホントに感心してしまう。それも、今回に至っては「七人目はだれか」という問題とは一線を引いて、ナッシュタニアの再びの介入という一点から混乱を波及させていくのだから、もうワヤクチャである。
ナッシュタニアの裏切り以来、沈黙を保っていた、というかもう完全に魂が抜けた状態だったゴルドフの覚醒篇。個人的にはもっと早い段階でこの人は動いてもおかしくないと思ってたんだが、彼の出自と心情が回想によって明らかになってみると、やっぱり決断が遅すぎたんじゃないか、と思わざるをえない。だって、こいつどう考えてもニンゲンとか他の仲間よりも姫様優先、というよりももう姫様以外どうでも良い、と思っていてもおかしくない奴じゃないですか。それが、姫様の裏切りに対してショックを受けて今までグズグズしていた、という方がこうなってみると不思議に思えてくる。
とは言え、一度動き出しさえしてしまえば、一心不乱。アドレットさえたどり着けなかった真相に、我武者羅に突き進むことで強引にたどり着き、目的を達した彼こそ、騎士の鑑なのだろう。尤も、勇者としてはやはり落第なのだろうけれど。
さすがに、今回についてはアドレットは与えられていた情報が少なすぎる上に得ていた情報が殆ど誤っているか意図的に捻じ曲げられたものだったので、彼が負けてしまったのにも同情の余地がある。
最大の敗因は、前回と違ってアドレットがゴルドフを信じきれなかった点にあるのでしょうけれど。それもまあ仕方ないんですよね。アドレットは仲間であるゴルドフについては深く考察できても、ゴルドフの行動基準であるナッシュタニアについては、裏切り者である以上それ以上深くはその行動や考えを掘り下げようとは思わなかったわけです。アドレットは今回の一件について鍵となるのはゴルドフだ、といってましたけれど、正しくはナッシュタニアをこそ狙い定めて見極めなければならなかったわけです。とは言え、アドレットの立ち位置からナッシュタニアにターゲットを絞る発想はなかなか生まれないし、何より彼女について考察するための情報からして殆ど無かった以上、今回については無理ゲーに近かったと思われるのですが。もし今回、アドレットが勝利者となるためには、分析材料が足りない以上、根本的にアプローチから変えて行かなければならなかったのでしょうけれど、チャモのリミットがあったために、足を止めてちゃぶ台をひっくり返すために頭を働かせるよりも、釣り餌に食いつくことを選んじゃったんですよね。まあ、判断ミス、負けと言われても仕方ないか。

今回の一連の出来事は、ナッシュタニアの思惑通り、みたいに語られちゃってるけれど、どう考えてもなし崩しに一縷の望みにすがりついたようなものですよね。ハッキリ言ってそうなる前に、そうならないような方法を準備しておきなさいよ、と。覚悟している大前提が無茶苦茶すぎて、挙句解決方法が完全に丸投げじゃないですか。
こうしなければ、最後の状況に持って行け無かった、というのなら解らなくないのですが、リスク高すぎる上に結果論にしか見えないんだよなあ。
テグネウと比べると、やっぱり役者が違うように見えてしまう。
一方のテグネウも、こいつはこいつで遊びすぎですよね。やろうと思えば、いつでも仕留められる立場にいるくせに、獲物を目の前にくだを巻いている。余裕を見せすぎなんだが、現状ではその余裕に見合うだけの隙の無さに腹が立つ。

ともあれ、今回の一件を通じて、ナッシュタニアではない七人目はテグネウの手の者、というのが明らかになった。じゃあだれなんだ、という話なんだけれど、前回はだれも怪しく思えない、だったのになんでか今回終わってみると誰も彼もが怪しく見えてくる、という始末。辛うじて内面描写のあったモーラは大丈夫、に見えるんだけれど、それこそ油断を誘っていて、実はさらに嘘をついていた、とか語られていないことがあった、みたいな展開も無きにしもあらずなので、可能性を否定は出来ない。アドレットについても、テグネウに憎悪を抱いている、という点からしてむしろ伏線なんじゃないかと疑ってしまうし、アドレットの師匠がそもそも妙な点があるんだよなあ。
というわけで、いくら考えてもしかたがないので、次ね、次。

1巻 2巻感想
 
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11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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11月18日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガブックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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