書籍感想(2012〜

落ちてきた龍王〈ナーガ〉と滅びゆく魔女の国 23   

落ちてきた龍王〈ナーガ〉と滅びゆく魔女の国II (MF文庫J)

【落ちてきた龍王〈ナーガ〉と滅びゆく魔女の国 2】 舞阪洸/よう太 MF文庫J

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一の砦の戦いから十日。迫るカサンドラ王国軍二千に対し、ナーガ率いる二十人の魔女たちは二つの“秘策"をもって迎え撃つ。“黒い森"のもうひとつの魔女一族の長、ヴィータも見守るなか、戦線は切って落とされるのだったが……決め手となる“二の矢"が発動せず、ナーガたちは苦境に立たされる。一進一退の攻防と、ぎりぎりの戦いの果て、ついに明かされるナーガの真名とは――!? “聖龍王"が起つ刻、戦場に新たな風が吹く! はやくもコミカライズ決定の大人気戦乱ファンタジー第2弾、威風堂々推して参る!
おおっ、思いの外ガチンコで合戦してる。ガブリエラ戦記はあれで戦略と謀略、ミクロで見てもわりと小細工に終始していて、実はあんまりマトモに会戦という形で、少なくとも主事項たちが参加しての戦いは少ないので、まともに敵の軍勢と合戦するのは【火魅子伝】以来なんじゃないだろうか。あれもまあ、かなり小規模の局所戦でしたし、本作も味方側は魔女20人だけ、と決してまともな軍勢とは言えませんけれど。
しかし、策を弄し、魔女の魔法を駆使したとはいえ、お手本のような渡河を利用した誘引、分断、各個撃破戦術はお見事。この世界には戦術という概念がないという特殊な在りようになっているようだけれど、そんな縛りがなくてもこれまでの長きに渡る魔女が行なってきた戦い方とは全く違うスタイルで迎え撃たれたのだから、備えがなっていなかった、と責めるのは流石に厳しそう。面白いほど典型的な逐次投入になってしまっていますが、よっぽど軍法がしっかりしていて、司令部からの意思伝達がしっかりなされている上でよっぽど練度が高いならばともかく、この惨敗は仕方がないかと。
まあ出来れば、この合戦自体は一冊の中の半分までに収めてどんどんと話を進めて欲しかったところですけれど、今更作者にサクサクとした進捗など期待するほうが間違っていると諦めるしかないか。
キャラクターについては、私もまだ全然把握できず。少なくとも、まだデザインとキャラ名が合致しない。おおよそ、主軸を族長に力持ちのアイス、跳ねっ返りの空飛ぶ子、ナーガの世界の知識に興味を示している智者よりの子、くらいに絞ってきているようだけれど、他にも水を操る子とかを含めて20人近い魔女の一人ひとりにちゃんとキャラクターシートみたいに設定がついているようなので、これから覚えていけるかどうか。今のところ、アイスは覚えた。何気に力持ちなのにお説教キャラで、弄られ系のようなので、こういう子って嫁さんポジにハマるんだよなあ。
なにしろ、主人公が主人公なので、既に元の世界では嫁さんももらっている人のようなので、けっこう色っぽい展開もあるんじゃないだろうか、と期待したい。しかし、ノーブルナーガで聖龍王というのは飛ばしすぎだよなあ(笑

イラストのよう太さんは、中の挿絵の方で相当に暴走してます。なんか、ToLOVEるレベルの技巧を駆使しまくってるような気がするんですがw エロエロすぎるw

舞阪洸作品感想

盟約のリヴァイアサン 4   

盟約のリヴァイアサン (MF文庫J)

【盟約のリヴァイアサン】 丈月城/仁村有志 MF文庫J

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天空より飛来するドラゴンの襲撃に、人類が脅威にさらされている現代。人は魔術によって創造された蛇霊体《リヴァイアサン》を駆り、抗戦の日々を送っていた。“蛇”の契約者にして、竜を討ち滅ぼす救世の戦乙女――《魔女》。彼女たちの契約をプロデュースすることを生業とする少年、ハルこと春賀晴臣は、幼なじみで欧州屈指の魔女、アーシャの(強引な)要請で3年ぶりに「東京新都」に帰還する。妖精のような容姿の少女に連れ添って、高校転入に拠点確保と奔走するハルだったが、突如、上位種のドラゴン“ソス”の襲撃に遭い――!? いま、竜と竜殺しの新たな神話が息吹きを上げる! 至高の《新生》エンタメ、堂々開幕!
300ページoverって、MF文庫Jにしては結構厚い方なのかな。持った感触が他のよりもちと重く感じたのだけれど。
というわけで、スーパーダッシュ文庫のほうで【カンピオーネ!】シリーズを絶賛刊行中の丈月城さんが、レーベルを移動しての新シリーズをスタート。元々、【カンピオーネ!】もあれはゴジラとかガメラなどの一種の特撮怪獣モノだと認識していたのだけれど、此方の【盟約のリヴァイアサン】は、ドラゴンが復活し自然災害のように都市部を襲うのが常態となっているというガチで怪獣モノみたいな話に。
カンピオーネで培った神話体系の起源を深く掘り下げた思想はこっちでも充分反映されていて、龍と蛇、女神と魔女と捧げられた贄、というカンピオーネでも語られた神話構造は、この盟約のリヴァイアサンの根底となる魔女と蛇も契約、竜と竜殺しという枠組みに組み込まれているので、あちらの薀蓄を楽しんでいるとこっちのお話もちょっと違う観点からも楽しめて実に面白い。
主人公となる春賀晴臣は、さすがは丈月さんの描く主人公というべきか、全然流されずに我が道を行くタイプ。面倒くさがり屋で現実主義者のわりに行動する労を惜しまず、やるべき事をちゃんとやり遂げる、いい意味でプロフェッショナルなので、見ていて頼もしい限りである。幼少から親に連れられ、さらに早くに父親を無くして一人で家業をついで世界中を旅して回っていたせいか、少年特有の幼さは微塵もなく、むしろクレバーで甘い夢を見ない完全に精神的に成熟した大人である。このあたりのワールドワイドなフットワークと視野の広さは、その辺のヘタレ普通主人公とは最初から全然違いますねえ。というか、このハルが高校に通ってるのってえらい違和感を感じるくらい。大人が、というか社会人がいまさら高校に混じってるみたいな。

一方でヒロインの方はというと……織姫が裏表のない素直で真っ直ぐなエリカ、という感じで、これを癖が抜けてエリカよりもキャラが弱くなったと捉えるべきか、それとも歩留まりがなくなってより最強化したヒロイン、と捉えるべきかは今度の描写次第なのでしょうけれど、なんかもう凄いイイ子であり、男前で快活陽性、その上で空気も読めて気配り上手、と殆ど現段階で無敵なんですよね。変に意地っ張りなところもないし、これデレたら前置きなしで一気呵成に急所狙いしてきそうな恐ろしいヒロインだぞ。
そして、ダブルヒロインのもう一人の片割れ、アーシャは……幼馴染キャラであるのだけれど、なんか足元がもつれてる残念女子ですよね! いや、こういうの大好きなんですけど。自分の気持に素直になれない、というよりもお手玉してしまって手につかなくて、あわあわ言ってるうちにひっくり返っておでこにアザ作ってうずくまりながら呻いているような子である、ってどんなイメージだ、我ながらw
典型的な大食いキャラなのだけれど、この手の大食いキャラは太らない体質です! と主張してそれで何の問題も無し、という風にスルーされているのが常だったのですが……いろんな人から、いやいやそれは体質じゃなくて若いからだろう、油断してると将来やばいよ? と指摘されて青ざめる始末。
あかん、アーシャ、ヒロインのくせに将来太りそうだw
でもまあ、残念女子なりに一生懸命がんばろうとしているところは好印象。ハルも鈍くはなさそうなので、伝わらないのは多分にアーシャの残念力にありそうですが。

彼女たち魔女が、人類の対竜戦の切り札として呼び出す「蛇」は、意外なことに「蛇」という単語から思い描くイメージには捕らわれていない。特に、織姫のそれは蛇や竜というイメージからは完全に逸脱してますしね。面白い。蛇周りの設定といい、彼女たち魔女と深く関連することになる、ハルが迦具土から与えられることになった能力といい、バトル要素は充実の一途。うん、やっぱりこの人の書くものはとびっきりにエンタメしてて、すこぶる面白いわー。
キーパーソンであり、ハルに力を授けアドバイザー的に振る舞う迦具土は、完全に味方ではなく、むしろ何を企んでいるかわからない食わせ者。立ち位置としてはむしろ、カンピのアテナサイドに近いのかもしれない。協力してくれていても、本質的には敵に近いような匂いすら感じる。デレても、アテナみたいに殺し愛い、にまでは発展しないだろうけれど、嬉々として弄ってはきそうだよなあ、この娘。

ともあれ、導入掴みとしては充分以上のスタートじゃないでしょうか。まだまだエンジン温まっているとは言えませんが、というかまだまだこんなもんじゃないでしょうが、あとは加速していくのみ。カンピ共々、楽しみなシリーズです、期待。

丈月城作品感想

Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!! 14   

Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ! !  (1) (カドカワコミックス・エース)

【Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!! 1】 ひろやまひろし カドカワコミックス・エース

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絶望に飲み込まれた美遊を助けだしたのもつかの間、イリヤたちの前に現われたのは、クラスカードを使いこなす謎の姉妹! ? ネクストレベルへ踏み出した新世代型魔法少女に注目!
何者なんだ、田中さん!! プリズマ☆イリヤの第三期は、知ってるようで見知らぬ異なる平行世界。それは、美遊の元居た世界。そんな世界に仲間も居らずルビーも失った裸一貫の状態で放り出されてしまったイリヤ。頼る人もお金の持ち合わせも住むところも食べるものも何も持たず、いきなり寒風吹きすさぶ中でホームレスと化してしまったイリヤが出会ったのが、寒い中体操服でウロウロする田中さん。田中さん。体操服のワッペンについていた田中の名前以外、記憶も何も持たないフリーダム少女田中さん、爆誕!! だれなんだ田中さん! なにもん何だ田中さん!!
なんか、田中さんのインパクトが凄すぎて他の細かい所がかなりどうでも良くなってしまった!!
田中さん、脈絡為さすぎるけれど、これまで登場したことのある人なのか、それともFateかタイプムーン作品に名前でも登場したことのある人なのか。いずれにしても心当たりがなさすぎて、正体不明一直線。でも面白いから良し! ノリが若干龍子に似ている気がするが、豆腐メンタルなあれよりも精神的に強い、というか痛みを感知しないノーペインな人っぽい。というよりも、痛みという概念から知らないのか。まるで、生まれたてのホムンクルス。それとも、初期化された何者か? そのタフさといい、謎ばかりだけれど、彼女の正体については本編にて明かされるまで楽しみに保留っと。

訳の分からない状況を整理して導き出された結論は、エインズワースなる一族に囚われた姫、美遊を助け出す、という実にシンプルでわかりやすいもの。謎は突き進めば明かされていくもの。子供ギルという頼もしすぎる仲間と田中さんというわけの分からなすぎる楽しい仲間を従えて、突入するはエインズワース館。対する敵は、平行世界のサーヴァントのカードを携えた謎の少女たち。クラス名こそ、通常のものだけれど、その中身となる英霊についてはツヴァイの最後に出てきた二人の格好から予見できたように、やっぱり全く新しいものなんだ。
っていうか、その正体については度肝を抜かれたんですが。ちょっ、それもう英霊のレベルじゃないんじゃね!? 神様そのものじゃん!!
アーチャーのクラスがギルガメッシュというのも、英霊の格としては図抜けているわけだし、もしかしてエインズワースの揃えたサーヴァントは全部このクラスなのか?
イリヤのキャスター・スタイルは中々似合ってたけれど、紐パンはまだ早いよね!!

そして、ギルガメッシュの力をインストールしたアンジェリカという少女と、子ギルの同じ力を持ったモノ同士の真っ向対決。子ギルがキレキレで、かっこよすぎる。ギルガメッシュは、やっぱり子供時代の方が色々な意味でイイよなあ。

平行世界というだけあって、街の形はいろいろ変わってはいても、見知った町並みである事は違いなく、ならばそこに住む人もまたイリヤの世界と同じ人達が存在するはず。そう、イリヤがエインズワースの城の中で遭遇した牢に囚われた男、美遊の兄を名乗る男の正体は……。
なるほど、おそらくはそうなんだろうと思ってたけれど、美遊がイリヤの義兄の士郎を見た時のあの反応はそういう事だったのか。でも、具体的にどういう関係なんだろう。

オマケは、イリヤと美遊とクロエが、大河から出された夏休みの宿題に七転八倒する話。
小学生に出す宿題じゃねえ!! 倫理的に出しちゃいけない宿題です! 大河の行き遅れ感が酷いことに、酷いことに!! この世界の大河はまかり間違っても士郎からプロポーズとかされなさそうだな、うん。残念ながら。

聖剣使いの禁呪詠唱〈ワールドブレイク〉3   

聖剣使いの禁呪詠唱〈ワールドブレイク〉 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱〈ワールドブレイク〉】 あわむら赤光/refeia  GA文庫

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『剣聖×禁呪使い』の前世共鳴カタルシス!
1人の身体に最強の《前世》が2つ――つまり超最強!!! ってことだろ?
最愛の二人を救う、新・学園ソード&ソーサリィ、始動!!


「兄様に会える予感がしてたの! 」
前世で愛を誓った姫剣士にして、実の妹の記憶を持つ少女・サツキと、
「私の唇……覚えてないわよね」
別の前世で隣に寄り添い、冥府の魔女として共に戦った少女・静乃。
輪廻を越え、愛する二人と同時に再会してしまった少年・諸葉は、サツキと静乃に挟まれて大弱り!?
そして、前世の記憶を力に変える転生者達の学園で、史上初めて二つの前世《剣聖×禁呪使い》の力に覚醒めた諸葉は、
誰よりも特別な運命を歩み始めた!!
永遠の絆で結ばれた最愛の二人を救う、前世共鳴の学園ソード&ソーサリィ。
我が剣に宿れ魔焔――今、少年は波乱の現世を斬りひらくッ!!
厨二病全開の痛い妹の妄想が実体化してしまうというドタバタラブコメ【現在進行形の黒歴史】の方でシッチャカメッチャカに遊んでいた反動が内面で生じてしまったのか、突然ガチの厨二設定モノを初めてしまったあわむらさん。うん、何となく気持ちは分かる。ふざけて遊んでたネタでも、ずっとやってるとちょっとだけ本気で書いてしまいたくなる事ってありますよ、だって男の子だもんw
とは言え、痛々しさの酸いも甘いも噛み分けた作者なら、こんなド直球すぎるくらいの厨二設定も、痛々しさに身悶えする恍惚感を主題にするのではなく、純粋に物語の枠組みであり味付けである、という位置取りに整え直す事なんてお手の物、ということなのか、普通に面白い学園バトルファンタジーに昇華されている。そもそも、主人公の諸葉が力に溺れたり浮かれたり、そもそもスカしたりカッコつけたりやたらと女人に無自覚に粉かけるようなフラグを立てるプロではない、と言う所が大きいのだろう。彼の過去に大きな挫折となり自分の英雄性を根こそぎ否定してしまうような出来事があったからこそなのだろうけれど、家が貧乏で堅実な生活設計を嫌でも立てないといけないという境遇が、身の程を知り増長せず地に足のついたその姿勢ににじみ出ている。これを、精神的に大人として成熟していると見るべきか、若いくせに枯れていると見るかは人によるだろう。
一方で、一人残念を極めてしまっているのが、ヒロインの片割れ、サツキである。
……うん、アホだね、この娘! せっかく生まれ変わって兄妹という許されない関係から赤の他人として再会して今度こそ誰に憚ること無く恋愛関係を築くことができたはずなのに、サツキ当人も今世こそは添い遂げてみせる! と勇んでいたくせに、実際何をしたかというと、諸葉に自分を妹として見てもらうために奮闘する、という願いとは真逆の方向へ突っ走ってしまう、というアーパー振り。何故自分で恋愛フラグを遠ざける! しかも、サツキは自分が何をしてるか全く気づいていないという頭の悪さ。なまじ、諸葉が最初はサツキをちゃんと異性の女の子として見ていただけに、彼が じゃあ、これからは頑張ってサツキを妹として見れるように頑張るよ、と言い出した時には思わず頭を抱えてしまった。しかも、サツキときたら何か致命的に間違えている違和感を感じながら、それをスルーしてやったーとばかりに喜んでるし。アホだ、この娘アホだ。

さて、本作では多くの少年少女が前世持ちとして覚醒し、専門の学校に集められて外の世界から侵攻してくる謎の敵への唯一の対抗手段として育てられているのだけれど……、ちょっと残念だったのが多種多様な前世から転生してきたはずの転生者たちが、それこそ一人ひとりの前世の数だけ様々な形の異能力を持っていてもおかしくないのに、何故か共通した二種の大系に能力がまとめられてしまっているところ。わかりやすくはあるんだけれど、そこまで一括りに大別されてしまうのは多様性の欠片もなく、せっかく色んな前世持ちがいるはずなのに、何ともつまらないじゃあないですか。もっとごった煮のアナーキーに色々やってみても面白かったのになあ。

東京皇帝☆北条恋歌 10 3   

東京皇帝☆北条恋歌 10 (角川スニーカー文庫)

【東京皇帝☆北条恋歌 10】 竹井10日/要河オルカ 角川スニーカー文庫

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皇泉学園に新たな転校生がやってくる。北条恋歌、八田雪絵、エニグマ二式の3人である。制服姿で年甲斐もなくはしゃぐ雪絵(22)にツッコミつつ、新世界の謎を解くべく彼女たちと共に“進化の塔”に挑む一斗だったが、その前に一人の人物が立ちはだかる!一斗の恋人になったゆかり子である。他の女の子と仲良くする一斗に拗ねるゆかり子と、それに対抗する恋歌と雪絵。さらにそこに雫や魔界から帰ってきたリセエールまで加わって。
他のシリーズは順調に出ているのに、これだけ随分と間が空いているなあ、とは思っていたのですが、絵師の要河オルカさんの方が体調不良だったのですか。結局、これまで書き溜めていた分のイラストで本巻を凌ぎ、次回以降は高階@聖人さんがイラストを担当することに。この人、オルカさんのお兄さんなんですね。そう言えば、そんな話を以前にしていたような。このシリーズの絵はオルカさんというイメージがくっきりと焼き付いているので、下手な人選では作品のイメージ自体崩れかねないところですけれど、高階@聖人さんなら大丈夫か、とちょっと安心。オルカさんの復帰が叶えば一番なんですけどね。
というわけで、久々にしてついに二桁到達の十巻。久々なんで、話がどこまで進んでいたか若干忘れていて読み始めはいささか戸惑ってしまった。だって、あれだけ過去と未来が錯綜して居る上に時系列上の事実関係があれこれ食い違って、どうなってんの? という状況でさらに現代もおかしなことになっていて、という風に複雑に入り組んだ状況でしたからね。
どうも、このへんなことになってしまっている現代も、平行世界じゃないことがお母さんことリセエールの帰還や、一斗と同じ世界の記憶を取り戻す人たちが若干名ながら現れだしている状況から確定しつつあり、だからこそこれどうなってんの? という謎が謎を呼ぶ展開になっており、その上でそんなことはまあさておいて、と言わんばかりにゆかり子さんがガチ恋人として大暴れであり、新興勢力にして圧倒的な存在感を示す雪絵の二大巨頭の台頭によってラブコメ戦線異常あり? 恋歌さまは刺身のツマです……いや、マジで。
ガチ恋人になってしまったゆかり子さんの恋人力たるや、その面倒くささも含めて直球直球、ひたすらど真ん中めがけて放り込むストレートで、一斗があれだけ絆されてるのを見るのは初めてだ。挙句、これは愛だ! なんて事まで言い出す始末。一斗卿、はために見てもそれかなりデレデレですよ? 元々、ゆかり子元帥は一歩引いた立場のくせに、実際問題一斗との相性は抜群なところを見せていたので、この展開はアリアリなんですが……その前に敢然と立ちふさがるのが八田雪絵(22)である。
一斗の態度が、雪絵相手だけ全然違う、違いすぎる!! ゆかり子相手の時とはまた違う、完全に心を許した接し方で、この少年が他の女性相手には絶対に見せたことのなかった姿なんですよね。一斗卿、キャラ違う、雪絵相手の時だけキャラ違う!
まだ、この一斗の態度だけなら凄い差が開いてる! と驚愕するだけだったのですが、愕然とし戦慄させられたのが……あのヤンデレ妹である夕鶴が。兄に近づく女は皆殺しと書いて鏖殺! と言わんばかりの狂乱バーサークだったあの夕鶴が、雪絵に対してだけ、兄との関係を認める素振りを見せた上に、兄をよろしく、とまで言ってのけたのである。
世界の法則が乱れる!!
いや、ありえんでしょう。夕鶴が許す女が現れるなんて。
恐ろしいまでの別格。そして、いつの間にかその他扱いの恋歌さまに、もはや空気な来珠。そして、雪絵(22)が生徒になってるのに、此方は先生として隔離されてしまってる美文さん。あばばば。
もうゆかり子さんか雪絵(22)でファイナルアンサーでいいですよ、いいですよ。
と言っている間に、まさかのお母さんことリセが参戦フラグを立てている始末。リセまで入ってきたら、ますます皇帝と宰相の立場がなくなっていくな♪

世界の謎と恋愛関係があっちもこっちも混迷を深めるさなか、行方不明になっていた四菜がもたらした情報は核心となるかもしれない、しかしさらに謎と混乱を深める展開に。
わりと引きが凶悪なので、次回はなるべく早く送り出して欲しいところである。

竹井10日作品感想

幻國戦記 CROW 千の矢を射る娘 3   

幻國戦記 CROW -千の矢を射る娘- (GA文庫)

【幻國戦記 CROW 千の矢を射る娘】 五代ゆう/山本ヤマト GA文庫

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「鴉こそが最高の忍、最高の作品なり」
〈神器〉となるべき少女・千弦を巡り、闇夜に忍が駆けめぐる!


「〈神器〉と〈御禍戸〉、どちらも叛徒の手に渡すわけにはいかぬ。
ましてや〈忍〉、人ならぬ、人に作られしモノどもなどには……」

美須真留八州、ひいては豊葦原の地を汚れた魂喰や魍魎から守る高濃度霊子集積回路〈神無薙〉。
その〈神無薙〉を守る〈御禍戸〉が崩御した――。噂は瞬く間に八州を駆け回り、新たな火種となっていた。

葛木の里の生き残りの少女・千弦は、謎の怪人に追われ気を失う直前、黒鴉の面の〈忍〉に助けられる。
だが彼は、千弦の里を滅ぼした、彼女が仇と狙う憎き男・鴉で……! ?

真なる闇夜を〈忍〉が駆けめぐる。ニンジャ・スチームパンク開幕!
にょわーーっ、ガチだ、ガチンコで戦国和風サイバーパンクだ。しかも、ブラックロッド系統の、あの肉塊と機械が融合したような世界観。驚いたのが、それを手がけたのがこの五代ゆうという人だという所ですか。【機械じかけの神々】の時代から知っている身とすれば、まさかこの人がこの路線を描くなんて、しかも生半可ではないこだわりまくったサイバーパンクを、という驚きは否めません。この人が【パラケルススの娘】を描いた時も驚いたものでしたが……、いやでもあれはあれで後半どんどんこの人らしい話にはなって行きましたけど。もしかして、その後に書いていた【アバタールチューナー】という作品、読んでないけれど本作へと至るような話だったのかな。
ともあれ、本作の雰囲気を見てまず黒古橋、それも【蟲忍】を思い出した人は決して少なくないはず。一方で、基本的な所で古式ゆかしい時代劇風な気配を特に日常シーンあたりで色濃く残しているあたり、そして敵の忍者たちのドギツイまでの異能の忍術など、山田風太郎先生のテイストをこれでもかと感じさせて、ほんとに好きなモノを好き放題つぎ込んできたんだなあ、というのがビシバシと伝わってくる。こういうのって、楽しんで書いていらはるのがよく分かるんですよね。古豪ともいう人が好き勝手やりだすと、基本土台がしっかりしてるのに先っぽはやたらと切れ味たっぷりのビンビンに尖り出す、といういい意味でとんでも無い作品になる事が往々にあるので、本作もその傾向を大いに期待したいところであります。
設定に凝るばかりではなく、キャラクターの方にも力入れてますねえ。ヒロインの千弦がまた可愛いんだ。これはイラストに山本ヤマトさん持ってきたのも大きいです。彼女自身相当の手練で気も強く敵意に対しては真っ向から正論を以って噛み付いていくような、毛を逆立てた猫のような少女である。同時に、それは気を張っていて無理しているという事の側面でもあり、世間から隔絶した隠れ里で暮らしていたせいか、人里が物珍しくつんけんしながら浮かれていたり、と一皮むけると好奇心構成な、でも本当は臆病で優しい、でもそんな内面を一生懸命突っ張った態度で覆い隠しているような、実に可愛い女の子なのである。そんな彼女をよく回る口で手玉に取るはすっとぼけた二人の男、九郎と田之介。この二人も同じ穴の狢かと思いきや、片や操り人形の忍者でありとある組織の尖兵ながら、その真意が用意に読み取れない謎の主人公であり、片や所属する組織どころか何者かなのかすらわからない謎の支援者。まあ、田之介に関しては、恐らく作中に出てきた名前から推察もできようものですけれど。兎も角、何を考えているかわからない二人の男にその正体すらも気づかないまま守られる千弦という構図が、鴉という忍者が千弦の村を襲い、一族縁者皆殺しにした張本人、と言われている事も含めて、先々不明な部分が紐解かれていけばいくほど思いもよらぬ真実が待ち受けていそうで、これまた実に楽しみなのでありました。
まだまだ導入編でありますし、次回以降のさらなる盛り上がりに期待。

五代ゆう作品感想

スカイ・ワールド 3   

スカイ・ワールド (富士見ファンタジア文庫)

【スカイ・ワールド】 瀬尾つかさ/武藤此史 富士見ファンタジア文庫

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スカイワールド―それは魔法と科学技術が同居する世界で、無数に浮かぶ島から島へと飛空艇で旅をするオンラインRPG。運営開始から一週間、数万人ものプレイヤーがスカイワールドの中に閉じ込められる事件が発生する。プレイヤーたちがいまだ現実世界への出口を見つけられない中、ジュンこと三木盛淳一朗は誰ともチームを組むことなく、持ち前のゲームセンスを武器に単独で攻略を進めていた。しかしある日、迷子の初心者・かすみと白魔術師のエリに協力を求められてしまい、三人で難クエストに挑むことになるのだが―。天空に浮かぶ唯一の浮遊島、第一軌道『アイオーン』を目指す、オンライン冒険ファンタジー。
ついに瀬尾さんもMMORPGを書く時代になったのか、と不思議な気分。面白いことに、この作者が書くのならMMORPGの世界に閉じ込められるという状況に関して、哲学的なアプローチを仕掛けてくると思ってたんですよね。【クジラのソラ】再び、みたいな感じで。
ところが蓋を開けてみると、むしろMMORPGのゲームとしての在り様に重点を置いているという思っていたのとはまるで逆サイドを行く作品の構成である。けっこう驚いた。
それはそれとして、このゲームとしてのMMORPGというスタイルに重きをおいた描き方が存在に面白い、面白いのである。
ギルドの微妙な人間関係や、ゲームシステムへのアプローチ。隆盛を誇っているMMORPGものですけれど、ゲームとしてのMMORPGという観点を突き詰めて書いてる作品って意外なほど見かけないんですよね。MMO廃人ならではの視点からもたらされる攻略法や、プレイヤー同士の距離感の保ち方など、ゲームを馬鹿みたいにやりこんでいるからこそのもので、同時にゲームシステムを隅から隅まで把握しているからこそ、現実に落とし込まれたが故のゲームとの偏差にも気づき、探り当てることが出来るわけで……主人公はどちらかというと、裏ワザみたいに捉えているので、やっぱりゲーム的なのですけれど。
スキルやレベル、ステータスなどがあるだけで、結局に単なる異世界ファンタジーと変わらないようなMMORPGものと違って、こうカッチリとゲームシステムが定まっていて、それに則り、或いはその陥穽を突いてゲームらしく現実になった世界を乗り越えていく、というノリもちゃんとやればこれはこれで十分以上に面白いんだなあ、というのが実感できた。
何より、主人公当人がこの状況をゲームとして楽しんでいるのが大きいんだろうけれど。彼の、やり込み倒して明らかに現実に支障をきたしてたんだろうな、というヘヴィゲーマーらしい立ち振舞にはなんとも微苦笑を浮かべてしまうところでありますが。
ラストの対決のジュンの大盤振る舞いは、達人だとか英雄だとか言う型じゃなくて、これ以上無くゲーム廃人! という形でしたしねえw
一方で、かすみとエリというヒロイン間で、ガッチリと主人公ですら間に入れない絆が結ばれてしまうあたりは、さすがは【クジラのソラ】で果敢に百合かというくらいガチンコの女の子同士の友情を描いた瀬尾さんというべきか。恋愛と友情はまた別物、というのか、かすみのジュンへの恋心とエリへの無二のパートナーとしての絆、そしてリアルから続くサクヤとの複雑に絡まりあった友情、と思いの外彼女中心にも人間関係が錯綜していて、物語の中心点がジュンだけなく、かすみにも生じていて、双重点になっているのも先々の展開を鑑みてもこれは興味深い要素じゃないだろうか。

キミはぼっちじゃない! 2 3   

キミはぼっちじゃない! 2 (MF文庫J)

【キミはぼっちじゃない! 2】 小岩井蓮二/鳴瀬ひろふみ MF文庫J

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悠大にはロリコン疑惑があった。ロリコン疑惑の原因、平行世界から来た5歳の少女リリィの不思議な力のせいで、悠大は幼馴染みのしおりと「夫婦」になってしまった!
ある日、リリィの自転車を買うため、コスプレ有りのレストランでバイトをすることになった二人。そこで悠大は、しおりが失くしてしまった大切なカチューシャをくれた“青年”の思い出話を聞く。今までしおりの傍に自分以外の人間がいることを意識していなかった悠大だが、もやもやが止まらない。それはつまり……? 
自分の本当の気持はどこにある!? 新世代“ぼっち”ラブコメディ主成分は夫婦漫才、第二幕!
ガチで夫婦漫才です、ってか完全に若夫婦ですこの二人! ラブコメどころの話じゃない、ちっさな娘さんがいる若い夫婦の新婚生活、みたいなノリになってるし。いや、一巻から既に周りから夫婦扱いの新婚ラブコメという感じでしたが、二巻では年季も入って夫婦みたいな、の「みたいな」の部分が吹き飛んでしまってるんですよね。話の内容も、若い夫婦が幼い娘を育てる悪戦苦闘の、でも幸せ真っ盛りの日々! という感じですし。
ここまで他のヒロインが割って入る余地も、その意図も持たないラブコメというのもなかなか珍しい。最近、微妙にメインヒロイン一択固定のイチャラブものは増えてきていますけれど、この二人ときたら恋人関係すっ飛ばしてますもんね。リリィをお風呂に入れるためとは言え、素で一緒に入ろうとしてるし。
本来ならヒロイン扱いになるであろうエレナも、現状ではそれこそ文字通りの妹扱い……若夫婦の新居に居候してちょっと肩身の狭い思いをしながらもマメに姪っこの面倒を見ている若い叔母さん、みたいな感じですしねえ。
クラスメイトの百瀬ほのかと来たら、頼もしいのかそうじゃないのかわからないおちゃらけ相談役兼ドS芸人、になってますし。ドS芸人ってなんだよ! と言われそうですが、ドSを売りネタにしてウケを取る芸人のことです……いやいやマジでw 一巻ではあんまり目立って前に出てこなかった分、今回はおもしろキャラ+ご夫婦のお悩みに的確なアドバイスとサポートをくれる親友役として存分に暴れてくれていましたので、ヒロイン的な活動ではありませんけれど、主要キャラとしてだいぶ動いてきたんじゃないかなあ。

いずれにしても、若夫婦の周囲をはばからないイチャつきっぷりにニヤつき、リリィの幼い可愛らしさと健気さに若夫婦と一緒になって悶えたり、とこれでもかと多幸感を味わえる甘味でございました。甘い、実に甘甘だ!

一巻感想

ラストセイバー 救世の後継3   

ラストセイバー 救世の後継 (電撃文庫)

【ラストセイバー 救世の後継】 兎月山羊/荻pote 電撃文庫

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ときは西暦2140年。史上最悪の敵「天使」による容赦ない猛威にさらされ、人類はその数を極端に減らし、まさに絶滅の危機に瀕していた…。東京ビッグサイトで奇怪な事故に遭遇し、2015年の平和な世界から2140年に飛ばされてきた高校生・名薙綾月は、その過酷な境遇に動揺しながらも、自らの運命と人類の未来に希望を見出すべく、立ち上がる。その手に輝く剣を携えて―。
おじさんはクールに去るよ。
とばかりに、ほどけるように去っていってしまった英雄。早い、早すぎるよ、おじさん!
確かに、名薙という少年は充分に英雄たるの資質を持っていました。
彼は普通の少年らしく、突然放り込まれてしまった未来世界の只中で右往左往するばかり。無鉄砲さや勘違い、増長とは縁のない自分がこの環境では一人で生きていけない、助けて貰わなければ野垂れ死ぬだけだった、保護されてからも身の程を弁えていて英雄願望など持ちあわせていない、本当にただ途方に暮れた異邦人でした。むしろ、強かにこの未来世界で足場を作っていた自分と同じ過去からの来訪者である少女のバイタリティに圧倒されつつ尊敬を抱くくらいの心持ち。そんな彼ですけれど、それだけ拠り所もなく自分の力に自信も持っていないフワフワとした立場でありながら、彼は間違っていると思ったことを声を上げて間違っている、と言える子だったんですよね。それは、純朴な正義感。誰か弱い立場にある子が理不尽に虐げられているのを目の当たりにした時に、相手がどれほど強い立場、強い力を持った相手だろうと、自然と、しかし躊躇いなく身を呈して庇おうとする優しくも強い気持ち。それを、この名薙という少年は持っていました。彼の素晴らしいところは、その正義感が自分の強さを拠り所としているものじゃない所なのでしょう。力を振りかざすのではなく、理不尽から庇い守るための剣。そんな英雄の資質を、かの少年は確かに持っていました。
それはまさしく、人類の希望と讃えられた剣聖の後継者たるに相応しい心映え、でしょう。ですけれど、まだ早い。酸いも甘いも噛み分けて、人類の未来なんて重たいものを一手に背負って行くには、この少年少女たちはまだあまりにも幼すぎ、何も知らないままなのです。まだよちよち歩きの手を引かれ導かれて当然の英雄候補の幼子たち。まだまだ、おじさんに見守られ、庇護され、教え導かれて当然の未熟で独り立ちしていない子供たちだったのに、おじさんは去っていってしまいました。
このおじさん個人も、もっともっと掘り下げて見てきたかったという願望が尽きません。人類最強の剣聖と謳われながら、自分を「おじさん」と呼んで飄々として気取らず、暇さえあれば酒を喰らって管を巻く風来坊か根無し草の素浪人かという佇まい。それでいて、常に柔らかく優しげな空気をまとい、無辺の信頼感と頼もしさを醸し出すまさしく英雄の名に相応しいその姿。果たして、彼の人生はどのような歩みの上にあったのか。何を思い、どんな願いを抱いて、名薙たちに後を託していったのか。英雄と呼ばれ、その期待に相応しい振る舞いを絶やさない一方で、重圧に草臥れて酒に逃げるような一面を滲ませていたおじさん。彼に課せられていた重圧はいかほどのものだったのか。あの、子供たちに対する慈しみの眼差しは、どんな経験に寄ってもたらされていたものだったのか。そして、何の異能の力も持たないまま絶大な力を思うがままに振るった、最後まで不敗を貫いた最強の力はどのようにして培われたものだったのか。
どの側面から見ても、こんなに早く去ってしまうにはあまりに惜しい人でした。いやもうホントに、もうちょっと引っ張ってくれても良かったのに。
こんな人の、これほどの人の代わりを、いやそれ以上の役割を期待され背負わされる事になった名薙たちは、これから大変なんてものじゃなかろうに。もはや、ご愁傷様、と合掌したくなるレベルである。

人類を根絶やしにしようという悪意に満ちた敵に蹂躙され、荒廃する125年後の世界に迷い込み……否、送り込まれた現代の少年少女たち。過去と未来にどんな因果がめぐり結ばれているのか。こういう、滅亡の危機に貧した未来世界、という世界観はやはりどうしてもワクワクを抑えきれないし、その世界の成り立ちに様々な陰謀が絡み、主人公たちがいた時代にその根幹が横たわっていそう、という過去に立ち戻るような展開もありそうなこの流れは実に面白い。まずは、次の展開に期待したい。

兎月山羊作品感想

このライトノベルがすごい! 2013  

このライトノベルがすごい! 2013

今年も協力者サイトとして投票させていただきました。献本ありがとうございます。

上位はある意味安定の常連揃い、なのですが驚いたのが三位にあがっている【六花の勇者】でしょう。確かに面白いですし、私自身非常に高い評価を置いているのですが、まだシリーズとしては二巻しか出ていませんし、決して一般受けするようなお話ではありませんしね。キャラクターも、男女ともに人気三十位までに登場人物は一人もあがっていませんし。投票ポイントの内容を見てみると、協力者ポイントが非常に高いのですけれど、HPからの投票ポイントもそれなりに投じられてるんですよね。それだけ、このドライブの効いた話の内容そのものが評価されたのか。何はともあれ、興味深い結果でした。

【やはり俺の青春ラブコメは間違っている。】、これが6位にあがっていたのも注目点。アニメ化が決定したとは言え、まだ放映は先の話でありながら、この時点でここまであがってきているとは。実際本放映が始まった場合、一気にブレイクする可能性も高まってきたかもしれません。はがないみたいに、アニメの出来次第では萎んでしまう可能性もなきにしもあらずですが。

上位三十位以内で新興勢力として伸びてきそうなのが【ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデミラン】と【ノーゲーム・ノーライフ】、【問題児たちが異世界から来るそうですよ?】の二作でしょうか。いや、【ノーゲーム・ノーライフ】はまだ気配があったので驚きはなかったのですが、【天鏡のアルデミラン】がまだシリーズ一作目が出た段階で一三位という位置につけていたのにはびっくりしました。正直言って、上位に名前があがるようなタイプの作品だとは露にも思っていませんでしたから。かなりガチな戦争モノ、しかも戦場のロマンや華やかさよりも、泥臭く醜悪な戦争の形を描いていくタイプのお話だけに、決して一般受けするものではないと思っていたのですが。しかし、これが面白いのは確かな話。これはまずブレイクするに違いない、という手応えがある【ノーゲーム・ノーライフ】ともども、今後の展開は注視しておきたいですね。
まだシリーズはじまったばかりのこの二作と比べて、【問題児たちが異世界から来るそうですよ?】は既にシリーズとしては五巻まで、来月に六巻が出版されるという新規というには熟成が進んだシリーズなのですが、これは上の二作と違ってジリジリと着実に人気を上げてきた感覚がありますね。それだけ、確固とした足場を築いてきている感もあります。本作もアニメ化が予定されていますから、ますます上昇機運。個人的には本作はまだ本番に入ってない、というか本気を出していない助走段階というイメージなんですよね。それだけに、まだまだグングン面白くなってく余地を残していると思っているので、先々にかなり期待を置いています。

と、ここで今回私が投票した項目を記させていただきますと。

あなたの好きなライトノベル作品・シリーズを5作品まで挙げてください。
1位:【問題児たちが異世界から来るそうですよ?】 竜ノ湖太郎(角川スニーカー文庫)
2位:【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】 渡航(ガガガ文庫)
3位:【覇道鋼鉄テッカイオー】 八針来夏(スーパーダッシュ文庫)
4位:【子ひつじは迷わない】 玩具堂 (角川スニーカー文庫)
5位:【GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン】 川上稔(電撃文庫)

あなたの好きな(もしくは印象的な)女性キャラクターを3名挙げてください。
1位:『ロロット・ニエンテ・アートレア』 【スクリューマン&フェアリーロリポップス】 物草純平(電撃文庫)
2位:『神島桐子』 【封殺鬼シリーズ】 霜島ケイ(ルルル文庫)
3位:『マリーア・ハイライン』 【月花の歌姫と魔技の王】 翅田大介 (HJ文庫)

あなたの好きな(もしくは印象的な)男性キャラクターを3名挙げてください。
1位:『逆廻十六夜』 【問題児たちが異世界から来るそうですよ?】 竜ノ湖太郎(角川スニーカー文庫)
2位:『ティグルヴルムド=ヴォルン』 【魔弾の王と戦姫】 川口士(MF文庫J)
3位:『藤間大和』 【断罪のイクシード】 海空りく(GA文庫)

あなたの好きなイラストレーターを3名挙げてください。
1位:ぽんかん8 【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】
2位:籠目 【子ひつじは迷わない】
3位:切符 【のうりん】

斯くのごとく投票させてもらいました。作品については、今回は投票した作品全部が上位60位までに、一番下の【子ひつじは迷わない】が33位に入っていたので、比較的上の方にあがりましたね。
【覇道鋼鉄テッカイオー】が27位に入っていたのがかなり嬉しい。これもマイナー極まってると思っていただけに、同好の士は思いの外多かったのか。
それに比べて、キャラクター投票の方は完全にニッチ。唯一十六夜先生が11位に入ったくらいか。ロロットとマリーアは新シリーズのヒロインだけに推し推しなんだけどなあ。来年投票するなら、このままの調子ならば再び【ベン・トー】の佐藤洋を投票したいと思ってますけど。最近のあれは変態に磨きがかかって到達してはいけない所に至りかけてるしw

独創短編シリーズ 野まど劇場 3   

独創短編シリーズ 野まど劇場 (電撃文庫)

【独創短編シリーズ 野まど劇場】 野まど/森井しづき 電撃文庫

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「電撃文庫MAGAZINE」で好評連載中のユニークすぎる短編が文庫化。死体を探しに行く検死官、対局にペットを連れてくるプロ棋士、勇者を何とかしたい魔王、若頭、サンダーファルコン、ビームサーベル、ライオン、うげげげと喋る牛、電撃文庫の妖精等、変態的(?)な登場人物たちが繰り広げる抱腹絶倒の物語の数々。
こ、これはっ!! これはっ!? これは、何!?
メディアワークス文庫から出されている野崎まどの作品から知らない身の上からすると、これはまったくもって期待していたものとは似ても似つかぬ謎の物体! UMA? UMAなのか!? そう、期待していたのとは違うぅ、違うのだけれどっ!! く、悔しい、冒頭からいきなり爆笑してしまった。これはあかんやろ!! いや、あかんやろ!! まさかこの人がこんなん2年近くも連載してはったなんて知らんかったわ。完全にお遊び感覚で、そんじょそこらの人がやってまうとふざけとんのかっとシバかれてお仕舞いな仕様になっとります。実際、小説としては反則も反則、或いは固定観念をリフティングしてしまっているような代物で、これを許せるのが大人なら大人になんてならなくてもいいんじゃないかという……。
結構微妙に面白くもないっ、という話も散見していたりw
こればっかりはかなり読む人の好み趣向が左右するんじゃないだろうか。それくらい、右に左に上に下に斜めに四次元にと偏りまくったお話揃い。まあ騙されたと思って読んで騙された! と怒るのが一番イイんじゃないでしょうか。
私が面白かったのは、冒頭でぶん殴られた【Gunfight at the Deadman city】。
なんか物凄い無茶振りをイラストレーターの森井しづきさんに振っていた、というか話の内容よりもむしろ無茶振りするのが目的だったんじゃないかという【バスジャック】。
しょうもないんだけれど、本当にしょうもないんだけれど、地味に笑ってしまった【苛烈、ラーメン戦争】二編。
そして、もうなんかアレすぎるボツネタな【第二十回落雷小説大賞 選評】。
なんでこの中に混ざってるんだ? どこかに隠された意図が? と思わず本を逆さまにしてしまったしっとりとした情緒あふれる短編【魔法小料理屋女将 駒乃美すゞ】。
きっと科学技術が進んで極まれば、ヒッグス粒子もニュートリノもお茶を点てられる時代が来るに違いない【TP対称性の乱れ】。あれ? けっこう楽しんでるじゃないか、自分。
あと、著者近影は許さない! アニメ版は認められない!

野崎まど作品感想

下ネタという概念が存在しない退屈な世界4   

下ネタという概念が存在しない退屈な世界 (ガガガ文庫)

【下ネタという概念が存在しない退屈な世界】 赤城大空/霜月 えいと ガガガ文庫

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バナナは下ネタに入りますか?

「お●んぽおおおおおおおおおぉ!!」少女は叫びながら、駅の構内を走り出した。その瞬間、僕はすっころんだ。16年前の「公序良俗健全育成法」成立により、日本から性的な言葉が喪われた時代。憧れの先輩・アンナが生徒会長を務める国内有数の風紀優良校に入学した奥間狸吉は、《雪原の青》と名乗るペロリストに弱みを握られ、下ネタテロ組織「SOX」のメンバーとなってしまった……! そこはプリズン? それとも、ハーレム? 第6回小学館ライトノベル大賞・優秀賞を受賞したノンストップハイテンションYトークコメディ! よろしこしこ!
これは酷い暴走ギャグかと思いきや、その中身はというとこれがかなり真っ当な「凶悪な思想統制社会へのレジスタンス」ものでした。いや、表紙が表紙だけにどんな痴女がヒロインだよ! と戦々恐々としていたのですけれど、息をするように下ネタに興じる女ではありましたけれど、少なくとも全裸で大通りを疾走して大喜び、な変態ではなかったと思います。まとも、多分そこそこまとも、まとも……マトモ?
むしろ恐怖スべきはこの性的な知識を規制し完全に制限してしまっている社会でしょう。高校生になってすら、セックス――性交の意味どころか概念すら知らず、子供がどうやって生まれてくるか全く知らない子どもたち。それどころか、性にまつわる一切の知識が教えられていないために肉体から生じる自然な生理反応ですら「イケないこと」と思うことすら出来ない。自分の中に湧き上がる自然な「性欲」ですら、これが何か分からない。本当の無知がどれほど恐ろしいことか……いや、無知が恐ろしいのではなく無知であることを強制されることの恐ろしさをまざまざと見せつけられたような思いである。しかも、そうした強制は子供を、ひいては社会全体を不健全でイケないものから守らなければならない、という純然たる善意と正義からもたらされているのである。
世の中において、声の大きい正義ほど逆らい難いものはない。一般的な社会通念上において正しいとされる方向性に対しては、それが幾ら度を越し過剰になっていっても、それに反対するということは不適切だったり不健全とされる事を守り助長する者とされることになり、どうしても共感を得られにくい。それは主流足りえず、常に賊軍として錦の御旗を掲げる正義に負い目を背負わされ続ける立場を強いられてしまうのだ。結果として、確固とした思想を持たない層は、声の大きな社会通念の正しい方に「なんとなく」流されて、消極的だろうと無関心だろうとなんだろうと、そうした正義を認めて受け入れてしまう。
本作の性的な知識が規制され社会的な焚書を受けつつある世界は、それが極端に進んでしまった社会といえるだろう。社会はゆるやかな変化を迎えつつあり、法的に知識が規制される以前の大人たちはまだしも、それ以降に生まれた子供たちは知識的にも思想的にも去勢されてしまう形となり自然から外れた異様な生物へと変貌しようとしている。恐ろしいことに、健全であることを目指す正しい大人たちはさらにイカレた法整備を目指しており、どう考えてもそれは「人類は滅亡しました」へ一直線の道なのである。
一方で、思春期を迎えつつある子どもたちは、無知でありながらも自分たちの中に湧き上がってくる自然な性的生理反応を持て余し、知識がなくともこの湧き上がる衝動の正体を求め、無自覚に不自然に歪められた環境の中で足掻き、目隠しされた状態で概念すら知らないものを縋るように求めている。
自然に、生物としてあるがままの状態に戻ろうという、健全な欲求。それが、衝動として若者たちを駆り立てているのだ。これは、ターニングポイントなのである。もしここで、彼ら若者たちが求めるものを得られずに無知なまま、何も知らないまま、健全と言う名の自然として不健全な存在に固着してしまえば、このまま人類は衰亡の道を転げ落ちていくのだろう。ここで、ここで食い止めなければならない。今の社会で正しいとされている健全さがどれほど理不尽で歪んでいるかを知らしめなければ、これより後の世代はすべて変容したナニカとなり、もはや取り返しがつかなくなる。
まさにここ。ここが瀬戸際なのである。
そんな限界線の瀬戸際で、下ネタテロリストと唾棄されながら、規制され隠された情報をバラマキ、正しい知識を流布することで若者たちを無知という変容の檻の支配から解き放とうと戦い続けるレジスタンス。
それが、下ネタテロ組織「SOX」なのである!!

とまあ、舞台設定をちゃんと見るとこれが意外なほど質実な内容となっているんだけれども、肝心のレジスタンスの主戦力である華城綾女が、非常に残念な下ネタ狂いで嗜好が歪んでいる上に微妙に、というか彼女自身も大幅に情報規制されている若者らしく、変に知識がなかったり偏向していたりしているので、変態性と無知がブレンドされた結果、そのレジスタンス活動はどう見ても筆舌しがたいアレなものになってしまっているという始末w 
一方でもう一人のヒロインであり、風紀を守る側のアンナ先輩も偉いことになっている。この人は、性的な知識の規制による無知さの犠牲者と言ってもいいでしょう。正しい知識というものは、時として理性となって本能を制御するコントローラーであり、規範となるものなのです。知っているからこそ恥ずかしいと思い、理解しているからこそそれを制御し押しとどめようとする。しかし、知識のない無知である彼女は、自分の中から湧き上がる本能が一体どういうものなのか知らず、理解できず、概念として捉える事ができないが故に彼女は際限なく本能に任せて暴走していく事になります。表向きは清く正しく律せられた女性でありながら、その実完全に箍が外れたモンスターとかしていくのです。自分が、一体なにをやらかしているのか知らないままに。
なんと恐ろしい(笑

なんだかんだとやっぱりギャグなんですけれど、その下地、基礎となっている部分は斯くのごとく非常にシビアなもので、遺憾ながら中々に歯応えのある内容でした。なんでこんな下ネタ、猥談、変態講談ばかりの内容には歯応えを感じなきゃいけないのか、と身悶えさせられニントモカントモw
表紙から受けた印象とはまたひと味違いましたけれど、いずれにしろ「怪作」の名に相応しい一品でした。

選ばれすぎしもの! 23   

選ばれすぎしもの! 2 (電撃文庫)

【選ばれすぎしもの! 2】 峰守ひろかず/京極しん 電撃文庫

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ある日突然伝説の勇者に選ばれすぎた僕。6つの異世界の女の子たちから世界の平和のために戦って欲しいと頼まれ、週6シフトの日替わり勇者生活を送ることに。夢にまで見たハーレム生活…とは少し違うけど、こんな生活も悪くないかなと思っていたら、新たな女の子がやってきた!彼女は正真正銘高貴なお姫様で、白い肌に青い髪、上品な雰囲気満載!だけど家事ができない超絶ドジっ子で、さらに元の姿は恐ろしく巨大なドラゴンだった。

本来なら不動のセカンドヒロインになりそうな堅物侍(忍者?)ガールの叢雲さんが、他の男の人にもてもてだ!! フラウディアの所の騎士団長の軽いオッサンと、新登場のマヤのお兄さんのイケメン魔界元帥の二人に求愛される叢雲さん……って、この人も満更じゃなさそうだ(笑
前の巻からオッサンには粉かけられてましたけれど、叢雲さん迷惑してるのかと思ったらわりと嬉しかったのね。それぞれイイところがあるんでどっちと言われても困る、みたいなこと言ってますけれど、イイ男を両天秤にかけるなんざなかなかやるじゃないですか、堅物のくせにw
とまあ、こんな感じでハーレムものを装いつつ、中身はというと相変わらずの峰守さんらしく本命一人で他のヒロインにはまた別のお相手が、みたいな感じになっていく……のか? 本命はもう圧倒的にフラウディアで、護も明らかに他のヒロインたちとでは意識の仕方がフラウディアについては全然違う、あからさま。新登場の魔界の「本物の」お姫様であるマヤが、唯一フラウディアに対抗する意志を見せているけれど、護の態度があれだけ鉄板だと割って入る余地はなさそうだ。しかし、食堂の娘さんが本物のお姫様がこうも圧倒するかw
フラウディア、マヤ、叢雲さんについてはこのまま行きそうなのだけれど、他のヒロインたちはえらく流動的。ドクターは自分の世界の友人である書生さんみたいな人 ハリさんとイイ仲なのかと思ってたら、意外とキトラとハリさんが相性良さそうなのが発覚したり。アーニーはまだ子供なので、そういう色恋沙汰は関係なさそうだなあ。
お話の方は、護とは別のもう一人の勇者とかいうゴルディアスなる人物が現れて、地味にあちらこちらの世界で嫌がらせをしてくるという、結構ストレスの溜まる展開に。こまめに日常パートを挟んでほっこりできる個別エピソードを捲くってきているのでそれほど鬱屈はしなかったけれど、ゴルディアスの嫌がらせみたいな攻撃が本気で嫌がらせでバシーーっとやっつけられないものだから、かなり「キーーーッ!」ってなりましたよ。
それにあわせて、各世界での護の勇者としての活動も色々と阻害されるような事が起こりだし……実は護を勇者として招いたヒロインたちって、その多くがその世界を代表する人間ではなくて、<侵入界>に襲われだした地方・地域の地元の代表者でしかなかったんですよね。マヤなんかはお姫様ですし、国をあげて護を召喚したからいいのですけれど、逆にドクターなんかは特に殆ど個人、身近な学者グループと行動しているようなもので、公的権力なんて無きに等しいわけで。つまりは、護の勇者としての活動は決して世界全体の公認のものとして行われているものではないわけだ。しかも、<侵入界>の攻撃が国や中央政府に正しく把握されていないケースもあり、護は世界を守るために戦っているのに色々とややこしい事になって、なかなかすっきりしない展開でしたね。
でもそこはそれ、護って大人しい割に状況に対してクヨクヨしたりウジウジと凹んだりしないタフというかいい意味で鈍い男の子なので、このモヤモヤした状況もけっこうバッサリとした態度で渡り歩いてくれたので、改めて頼もしいやつじゃないかと見直した。
敵の正体も明らかになり、何故か次回から学園モノへと移行しそうな雰囲気で……いや、ヒロイン衆何気に年齢バラバラなので、学園ものにはならないか。ともあれ、賑やかな雰囲気のまま状況はバタバタと進んでいく模様。あとがきによると、とにかくどんどん詰め込んで捲いて捲いて、という感じで行くみたいなので、そんなに大長編にならずに4,5巻くらいを目処に一気に駆け抜けるつもりなのかなあ。

1巻感想

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン 24   

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンII (電撃文庫)

【ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン 2】 宇野朴人/さんば挿 電撃文庫

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実戦経験を積むため、北域へと遠征することになる帝国騎士イクタたち。目指すは、カトヴァーナ帝国九百年の歴史において、一度も外敵の侵入を許したことのない大アラファトラ山脈に守られた軍事拠点、北域鎮台。野盗の相手と山岳民族「シナーク族」の監視以外は総じて暇だと噂される、帝国最北の基地だった。しかし、どこか訓練気分の彼らを待ち受けていたものは、想像以上に過酷で壮絶な―そう、本物の戦場だった…。
本物の戦争にロマンなど存在しない。あるのはただただ反吐に似た現実だけだ。敵も味方も武器を持たない一般市民も等しく無残に死んでいく。そこに、人格は問われない。どれほど人間的に優れていようと、将来有望な才能を秘めていようと、死は平等に訪れる。否や、むしろ死は恐ろしく不平等に訪れているのかもしれない。運を持たないが故に死ぬ。権力を持たないから死ぬ。才能を持たないから死ぬ。無能だから死ぬ。判断が遅れたから死ぬ。
そんな理不尽の死の責任はどこに帰するのか、というのなら、それはこの戦いを主導した無能なる司令官のせいだろう。引いては、シナーク族に決起を決意させるほどの圧政を敷いたこの司令官の二重の責任でもある。だが、この司令官を北域に派遣し彼のやり方を黙認していたのは帝国本国だ。そもそも内政官を派遣せずに専門外の軍人に施政を任せた帝国の政治システム、共和国の反乱教唆に何の対策も取れなかった防諜体制の不備こそが事態を致命的な段階まで推し進め、山岳民族を弾圧しても構わない差別スべき劣等人種と見て疑わなかった帝国側の一般的な認識こそが今回の内乱の決定的な原因だったと言えるだろう。北域鎮台の事実上の実権を握っていたトァック少佐は、平時の軍隊を運営する手腕は間違いなく優秀でした。人間的にも非常にまともな部類でした。その彼をして、司令官のシナーク族への圧政を許容範囲のものとして黙認していた。この程度なら、まあ仕方がない、と。……良識を持つ彼をしてこれである。そんな彼の認識こそが、異民族相手の統治のやり方を知らない素人の、引いては一般的な帝国人の認識だった、と言って間違いはないはず。ハルグンスカ准尉のような騎士道精神の持ち主は稀有な例外と言っていい。
詰まるところ、皇女殿下が負けてでも、いや負けないと変えられない、と考えている帝国という国そのものが抱える病巣の根源とも言うべきところは、こういう部分なのでしょう。
そして、それを変えるために負ける、と言うことは変えるべき病巣に捕らわれていないハルグンスカ准尉や旧弊から自力で蒙を啓く英邁さを持ったカンナのような人物をも等しく、並べて、殺していくということでもある。戦争において、死んでいく存在を綺麗に選り分けることなど不可能なのだ。ましてや、勝利ではなく敗北においてなど。
この愚劣なる戦いは、現在の帝国の愚かしさの縮図であると同時にまた皇女殿下が歩こうとしている血塗られた道の縮図でもある。皇女殿下は、イクタを覚悟ができていないと罵るが、そんなもの当然だ。覚悟など、出来ようものか。それは、守るべき人達を、戦友たちを、民たちを、無力故に守れなかったというのではなく敢えて守らず見殺しにするのと同意なのだから。どれほど被害を最小に抑えようとしても、どこかで見殺しにしなければならない部分は必ず出てくる。勝つために、味方の被害を減らすために、そうした切り捨てる決断は必要不可欠なものだ。今回だってイクタはそれを実践している。しかし、それを負けるという目的で出来るのか? この戦いで、切り捨てた中に大切なものを含めてしまい、痛切にそうせざるを得なかった自らの足りなさを悔いるイクタに、それが出来るのか? 本物の戦争も、本物の敗北も知らない皇女殿下の覚悟とやらを、果たして信じられるのか? 結局、彼女は自ら手を汚す覚悟、敵に殺させる覚悟ではなく自ら殺す覚悟がないだけじゃないのだろうか。壊したいのなら、誰かに壊してもらうのではなく、自ら壊すのが筋ではないか。たとえ、後世に暴君の汚名を残そうが、人任せにするのと比べて果たしてどちらが誠実か、義務を果たしているというべきか。
正直、この戦いにおいて常に最善を尽くそうとしているイタクを見ていると、とてもじゃないけれど皇女の企みに乗るとは思えないし、彼女が言っている事がどれだけ戦争の現実を見ていない生っちょろい妄言かをこれでもかと見せつけられている気分である。
自分としては、イクタがどうやっても勝てない戦争をソフトランディングさせるために辣腕を振るう、くらいしかちょっとやりようが考えられないんですよねえ。勝てる戦いをわざと負ける、みたいなことを意思を持って出来るとは思えないし……やって欲しくはないなあ、そんな酷いこと。

にしてもまあ、よくここまでやったものだと感服する。戦争モノ、戦記モノの中でもライトノベルという枠組みの中で、これほど華のないひたすら劣悪な戦争を描いたものだ。これを英雄譚などとは口が裂けても語れないだろう。そこには、目を爛々と光らせる泥にまみれた軍人たちが居るだけだ。
しかし、英雄は作られる。
恐らく、この戦いを通じてイクタたちは飛躍的に出世するだろう。軒並み部隊を率いる士官クラスが歯抜けていく戦いで、篩から落とされずに残った上に優秀さを示し、さらに既に帝国騎士という名望を持っている彼らは必然的に英雄として扱われていくに違いない。思いの外早く、彼らは昇進の道を駆け上がっていく。それは、上の無能さに左右されず自らの力で助けられる範囲が広がっていく、ということでもあるが、同時に旧弊さの不具合に絡めとられ為すべき自由を失っていくという事でもある。
もっとも、そんな心配をする前にまず本国に無事に戻れるか、という話になっているのだが。宮崎繁三郎中将ばりの活躍が要求されるぞ、これ。

1巻感想

スクリューマン&フェアリーロリポップス 2 4   

スクリューマン&フェアリーロリポップス2 (電撃文庫)

【スクリューマン&フェアリーロリポップス 2】 物草純平/皆村春樹 電撃文庫

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玖堂卓巳の学校に転入した、“妖精郷”変革をめざす“翅族”の姫ロロット。卓巳の妹・優乃や、ややズレ気味な美少女・佐伯ネアラと早々に問題を起こしつつも、ロロットは持ち前の破天荒さとキュートさとを生かして、一躍時の人に!しかし楽しい日々も長くは続かない。ロロットそして卓巳を狙い、様々な思惑を持つ危険人物たちが街に集いはじめる。羽々根市長からロロットに告げられた突然の退去勧告、卓巳の近しい人々に牙をむき始めた新手の妖精使い達―改革をめざす者に訪れるべくして訪れた試練の中で、二人が下す決断とは。
読んでいて、背筋がビリビリと痺れるような戦慄を覚える物語というものは何気に希少だ。どれほど面白い傑作や名作であっても、このこみ上げてくる痺れを感じさせてくれるものは決して多いわけではない。ドライブ感、とでもいうのだろうか。此処ぞという時に、意識そのものをぶん回されるような疾走感をもたらしてくれる壮絶な展開、或いは登場人物の示す決意や意志、気宇壮大な世界観、そういったものが戦慄となって全身を駆け巡る。その興奮、その滾りの何と心地よいことか。そういった作品を、私はこよなく愛している。
そして、本作はまさしくそんな痺れる物語群の一枚だ。
そんなとびっきりを担うのは、勿論この二人、主人公とヒロインの卓巳とロロット。この二人はやばい、完全にメーターのレッドゾーンを振り切ってしまっている。特にロロットは前回の感想でも繰り返し強調しましたけれど、本当にヤバい危険人物だ。通常の物語ならば、主人公側じゃなくてむしろラスボスに収まっていてもおかしくない悪の朱天。傲慢なる無法の女王。無邪気なる享楽の権化。それは世界を愛するがゆえに思うがままに弄ぶ者。故にこそ、自分の思い描く世界を実現するために、手段を問わず被害も犠牲も厭わない。否や、その傲慢さは手段を自在に選びとり、被害も犠牲も認めない。悪党を自認する欲深な彼女は、自分のものが失われる事も奪われることも一切許さない。だからこそ、彼女は自らの行く手を塞ぐ者を、路傍の石だろうと決して許さず蹂躙する。
「ね、ぼくの騎士様? いつも通り無茶なお願いしてもいい?
――ぼくの道に唾を吐いてくれた小悪党たちに、片っ端から一泡吹かせてやって?」

そんな狂乱の姫君の切っ先を担う騎士もまた、それ相応に振り切っている。こういうケースで悪役が選ぶ手段で最も効果的なのは、当事者を直接狙うのではなく、その身内や友人、関係者を狙うことでターゲットを精神的に追い詰め、また社会的立場を崩し、人間関係を滅ぼすものだ。この手段は悪辣であるが、それだけ非常に対処が難しく、大概のケースにおいて狙われた側が妥協を強いられるか、狙った側がミスするか徹底を欠いたところを突かれるかしないと被害は免れない。これを防ぐには、関係者全員を守れるだけの、或いは敵の動きを完全に封殺するだけの莫大な組織力を動員するしかない。個人の力でこれを為すのは不可能に近い。だから、敵がこういう手段を取ってきた場合、殆どのケースで主人公サイドは躊躇を強いられる。迷い、悩み、立ち止まって慎重に動こうとする。決して敵の思惑に屈しないにしても、まず間違いなく一旦そこで前進を止められるのだ。
だが、玖堂卓巳は、この男は、この騎士は、敵の実行を伴う脅迫に対して刹那の停滞すら起こさなかった。一瞬の躊躇もなく、敵の脅迫を切って捨て、凄絶、とすら言っていい啖呵で逆にその喉に刃を突きつけて見せたのである。やるならやってみろ、その代わり覚悟しろ、相応の報いを受ける覚悟を、だ、と。
今回の敵はいい意味でゲス野郎で、甘さや情けや隙も無く徹底した外道働きが出来る相手でした。それこそ、過剰なくらいの攻撃性で無茶苦茶が出来るイカレた野郎でした。だからこそ、そんな相手の野放図なまでの残虐性を、野蛮さを、片っ端からねじ伏せて圧殺し強殺し蹂躙していく騎士の剣は痛快そのもの。圧倒的なまでの攻勢防御。小悪党の跳梁を許さない、これぞ大悪の覇道。姫と騎士の逆鱗に触れた小賢しい小物は、文字通りに木っ端微塵で、気持ちいくらいにすっきりした。すっきりした!!
主人公の能力は、作り上げた道具が五分間で崩壊してしまうので、使い方がかなり限定されるものだと思い込んでいたのだけれど……これって発想次第で際限なく何でもできそうじゃないですか。五分間なんて、考え方さえ変えれば制限でも何でもない事を見せつけられた感じである。
とまあ、盛り上がるところは際限なく盛り上がる本作なんですが、何気に普段の日常パートも非常に質が高いんですよね。なんでもない場面でも、地の文から自然と引き込まれていくのである。基本的な部分から上手い、というだけじゃなく、文章の一つ一つに花があって飽きさせない。これはなるほど、面白くならない方がおかしい文章だ。あとがきで反省していらっしゃるように、全体のストーリー構成の管理がまだ掴めていないっぽい部分が散見されるけれど、神は細部に宿る、の言葉もあるようにミクロと要所さえ捉えていれば、次第にマクロの感覚は整ってキます。逆に言えば、まだまだガンガン伸びてくる要素がそれだけあるってことですから、もっともっと面白くなるはず。必ず、必ず。
今回微妙に動ききれていなかったイングヴェイやシャノンも、ネアラも次回以降こっちサイドとして動くとなるとだいぶ面白そうなキャラになってるんですよね。妹の優乃が想像以上の逸材で、この娘も場合によってはネアラ以上に重要な働きをしそうな感じがひしひしと。主に弄られ役、としてでしょうがw

今回はある意味余計ないらんちょっかいをかけられたのをはたき落とすと同時に、味方戦力の充実と足場固め、という意味合いが強かったっぽいので、次回以降はラステルの件も絡んで妖精郷のフィクサー相手にロロットの革命的蹂躙劇を期待したい。ラステルの問題を持ち越したのは、もっと政治的なトラブルに格上げするためでしょうし。ロロットと卓巳のイチャイチャも堪能したいですけれど、それ以上にロロットの革命家としての無茶苦茶さをこそ味わいたいですからねえ。
……しかし、ロロットって年齢中学生相当だったのか。卓巳よりも年下なんだからそのくらいで当然だったんだけれど、実際に中学の方に転校してきたのを目の当たりにしてしまうと……ロリコン扱いされても仕方ないぞ、主人公w

1巻感想

スワロウテイル序章/人工処女受胎4   

スワロウテイル序章/人工処女受胎 (ハヤカワ文庫JA)

【スワロウテイル序章/人工処女受胎】 籘真千歳/竹岡美穂 ハヤカワ文庫JA

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男女別の自治区で性別の違う人間と共に暮らす人工妖精たち。その一体である揚羽は、全寮制の看護学園で同室の連理や義妹の雪柳らと学園生活を謳歌していた。人間に害をなす人工妖精を密かに殺処分する“青色機関”の一員という裏の顔を持つ揚羽は、学園内の連続事件に死んだはずの科学者・不言志津江の陰謀を見出す。それは揚羽の人生に今後降りかかる過酷な運命の予兆でもあった。人気シリーズの前日譚たる連作中篇集。
既に二巻出ているスワロウテイルシリーズの第三弾にして、序章の文字の通りに前二作の時系列的には前に当たる前日譚。なんと、揚羽がまだ学生時代の頃のお話である。揚羽、学生だった頃があったんか!! って、そう言えばそんな事を言及してましたし、真白も看護師になっていましたっけ。ただ、あの揚羽が学生だった。それも、由緒正しき【乙女はお姉さまに恋してる】の聖應女学院みたいなお嬢様学園に通っていたというのは、なんとも不思議な感覚。そもそも、人口妖精が学校に通っている、というイメージがまだ固着していなかったようだ。この人工島においては人口妖精はほぼ人と同じ扱いを受けている、という事実は認識していても、生み出されてから自立するまでにこんな風に学校で教育されている、なんて風に頭が行かなかったので、実際に人口妖精たちが普通の年頃の女の子たちのように活き活きと青春時代を送っている姿は、なんとも感慨深い。
そうか、あの揚羽にもこんな青春時代があったのか……はっちゃけてたんだなあw
この頃から青色機関の末梢抗体として活動しながらも、普通の学生として学業試験に追われ、後輩に振り回され、将来は看護師として働こうとしていたのか、この娘は。色々と外れていたとは言え、こんなお嬢様学校に通っていた娘さんが、一巻ではゴミゴミとした裏路地みたいな界隈であんなうらぶれた刑事のおっさんの相棒みたいな、生活圏に半歩踏み込んで奥さんの真似事をしてみたり、なんてしてたんだなあ、と思うと妙な背徳感がこうゾクゾクっと、ねえ(笑

しかし、これまでの二冊と比べてもこの短篇集はライトノベル寄りなんじゃないだろうか。表紙だけではなく、本巻には竹岡美穂さんの挿絵がところどころに入っていて、揚羽や周りの妖精たちの御姿が拝めます。こうして挿絵で見ると揚羽って完全に美人系なんですよね。これまでの表紙から受けていたイメージからちょっと違っていたのですけれど、むしろしっくり来ましたね。あの苦労性の性格は幼いカワイイ系よりも美人系の方がよく似合うw
逆に、そういう美人系だからこそ、あの黒猫の衣装が最高です! 最高です! 雪柳、あんた最高だよ!! もうあの猫耳尻尾姿をイラスト化するために、挿絵があったといって過言ナシ。
また、あのアクアノートとして活動するときの口上がやたらめったら格好良いんですよ。あの決め台詞は、中二病なハートを絶妙に擽ってくれます。
生体型自律機械の民間自浄駆逐免疫機構(Bio-figures self-Rating of unlimited automatic civil-Expelleres)――青色機関はあなたを悪性変異と断定し、人類、人工妖精間の相互不和はこれを防ぐため、今より切除を開始します。執刀は末梢抗体(アクアノート)襲名、詩藤之峨東晒井ヶ揚羽。お気構えは待てません。目下、お看取りを致しますゆえ、自ずから然らすば結びて果てられよ!
この口上が放たれるシチュエーションがまたしびれる場面なのです。特に、第三話における【蝶と夕桜とラウダーテのセミラミス】におけるラストシーンは、なまじその辺のバトル系のライトノベルでもなかなか拝めないレベルの「決闘」でした。
しかし、この口上、実に良い感じに見栄が切られて尖っているのですけれど、こういうタイプって殆ど巷では見たことないなあ。あんまり流行るタイプじゃないんだろうか。めがっさ格好良いのに、格好良いのに(笑
このタイプで記憶にあるのと言ったら、あれですよ、秋山瑞人さん。【鉄コミュニケーション】や【猫の地球儀】での前口上。SF的な未来機構と古色蒼然とした漢の字と話法のコラボレーションが実にソソるスタイルなのですけれど、使い手らしい使い手にはとんとお目にかかった事がなかっただけに、此処での揚羽にはキましたねえ。
前二巻までもそういう口上やシチュエーションはあったのですが、どちらかというと全体の大きな流れの中での一場面といった感じのシーンでの事だったので、そこまで印象に残らなかったのです。それに比べて、この短編連作集では、各話に事件の犯人がいて、揚羽がその正体を暴いてラストに対峙するというパターンを採っているので、決め台詞がきっちりクライマックスシーンの盛り上がりに懸かってくるので余計に引き立ったのでしょうね。

そんな青色機関としての働きとはまた別に、学生として過ごす学園生活もまた、これって学園コメディだったっけ!? と思うほどに日常シーンでのドタバタがはっちゃけていて楽しいのなんの。主に、その原因は揚羽の後輩にして「妹」である風気質の(マカライト)の雪柳の暴走に寄るのですけれど……いやもうホントに面白いのなんの。この揚羽の通う学校、まんま【マリア様がみてる】や【乙女はお姉さまに恋してる】みたいな、先輩と後輩で姉妹の絆を結ぶエルダー制を採用している上に、おとボクばりのエルダー選挙まである始末。そこで、なんと落ちこぼれの四等級予定の揚羽が、雪柳の暴走で候補にあがってしまい……という展開もあり、このあたりの雪柳関連のスチャラカネタにはもう笑った笑った。なんか、「ごきげんよう」が合言葉のお嬢様学校はどこへいった、と言わんばかりの60年代の学園紛争みたいな大騒ぎになってるし。
「よくぞ集まってくれた諸君! 君たちは一人ひとりが五稜郭全学生徒から選び抜かれた最強・最精鋭の一兵卒であると同時に、五稜郭の運命を背負った誇り高き勇士だ!」
「「「おおー!!」」」
「敵はこの学園に創立当初から巣くい、生徒(たみくさ)を飢えしめ苦しめながら既得権益の甘い蜜を貪り肥え太り続ける悪鬼亡者の壁蝨・虱蠅、他ならぬ鬼畜生徒会である! 奴らは間もなく思い知るだろう! 我らの軍靴が連中の血に濡れた放埒腐敗の生徒会室を踏み荒らし、子々孫々に至るまで我ら憂学志士の勝利の行進曲に恐怖し怯えることになるのだと!」
「「「おおー!!」」」
「ここで我らが盟主たる、詩藤之揚羽様より激励のお言葉を賜る! 総員踵を揃え刮目して静聴せよ! ……さ、お姉様(エルダー)、マイクをどうぞ」
「……ああ、えっと、コホン。皆さんまだ遅くはありません。一刻も早くこんな馬鹿な真似はやめて元の教室にお戻――」
「総員火の玉となりて玉砕突撃を敢行せよとのお心強いお言葉であった!」
「「「おおー!!」」」
「これより我々は二十四時間の臨戦態勢に入る! 襲撃に備えよ! 立ち塞がる者はたとえ上級生といえども一人残らず駆逐せよ! 我らの進軍を妨げるあらゆる障害はそのすべてが敵か雑草である! 区別なく公平に焼き払え! 学園全土を二度と緑湛えぬ焦土と化せ!」
「「「おおー!!」」」
「では、盟主・揚羽様よりの作戦号令に耳を傾けよ! ……ささ、お姉様(エルダー)、どうぞ」
「……えぇっと、その……い、『いのちをだいじに』」
「作戦名は『ガンガンいこうぜ』に決した!」
「「「おおー!!」」」
「怯むな! 臆するな! 後ろを振り向くな! 正義は我らにあり! 弾丸(チラシ)を手に取れ! 拡声器の撃鉄(でんげん)を上げよ! 戦旗(プラカード)を翻せ! 五稜郭の興廃はこの一戦にあり! 諸君勇者たちの凱歌を学園中に轟かせよ! 総員戦闘開始! これにて本日の決起集会は解散とし、順次作戦行動へ移行する! 各個に突撃せよ! 突貫!」
「「「おおー! 突貫!」」」
「……ゆ、雪柳、あの、あのですね、ちょっと私とあなたたちとの間に横たわる、目に見えない絶望的な溝を埋めるための大事なお話があるのですが……」
揚羽が何度も何度も繰り返し力説することになる風気質の人工妖精のぶっ飛んだ性格を聞いていると、どうやっても風気質って性格が破綻した享楽主義者で社会不適合者に思えてくるのだけれど、外の社会に出た風気質は、ちゃんとやってけてるんだろうか。これまでは、どちらかというと繊細で心か弱く優しい水気質の人工妖精に、より焦点が当てられて語られる事が多かっただけに、この風気質の娘さんたちの面白ければ何でもあり、という性質は傍から見てると楽しすぎです。そばにいると、揚羽みたいにひどい目に合いそうですが。
「まかせて。文句のつけようがないくらい完璧に、五稜郭史上最高の土下座を決めてくる」
のちに、自治区総督にして唯一の一等級人工妖精である椛子閣下に次ぐ、二番目の一等級候補であり、椛子閣下の後継者として指名されるはずだった人工妖精の残した名台詞である。
うん、まあ頑張れ。超頑張れw

とまあ、電撃文庫に戻ってきても全然イイんじゃないかというノリだった本作ですけれど、最終編における自我と意識の境界などにまつわる論談の長さと掘り下げを見ると、やっぱり本作は純然たるSF寄りの作品なんですよね。ここまでしっかりと思想や概念について語り尽くせるのは、ハヤカワ文庫ならではでしょうしね。ほかだと絶対に削らされるパートでしょう。此処こそが肝であるにも関わらず。と言うことは、やはりこの作者さんはこのハヤカワ文庫で書いているのが一番いいんだろうなあ。
個人的には、二巻目よりもこの短編連作形式の三巻の方がストーリーラインがブレずにしっかりと組まれていた印象がありますし、純粋に面白かった気がします。わりと、短く区切って一つ一つのポイントを積み重ねていって大きなデザインに仕上げていくほうが、一気にでっかいキャンバスに一枚絵を描くよりも合っているのかな、この人は。まだ、そう判断してしまえるほど作品も出ていませんから、なんとも言えないのですけれど……うん、だからつまりはもっとどんどんたくさん読みたいです、はい♪

追記:結局、鏡子さんというものぐさは、椛子についても揚羽についても、筆舌しがたいほど親バカなのね。ホント、面倒くさい人だなあw

1巻 2巻感想

千の剣の権能者(エクスシア) 3   

千の剣の権能者(エクスシア) (このライトノベルがすごい! 文庫)

【千の剣の権能者(エクスシア)】 紫藤ケイ/キムラダイスケ このライトノベルがすごい! 文庫

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人智を超えた力・権能を宿した〈権能兵〉の一人、クアディカ。
失われた魂を求め、彼女は千の剣を振るう――。

権能――それは、特定の事物を自在に操る力。世界は、権能を持つ代償として魂を抜き取られた〈権能兵〉を有する帝国によって統治されていた。“英雄”を求める青年クオンは、〈権能兵〉でありながら帝国の支配を受けない少女クアディカと出会う。流れぬ涙を流さんとするかのように、彼女は〈剣〉の権能を振るう。その手に、失われた魂を取り戻すため――。第3回『このライトノベルがすごい!』大賞受賞者、受賞後第1作。
デビュー作の【ロゥド・オブ・デュラハン】でもそうだったのだけれど、本作においても救いのない悲劇の果てに、悲劇を経たからこそたどり着ける救済と和解が眠っている。人々がそうした結論にたどり着くために、これほどの痛みと哀しみの中を突っ切らないといけないような流れになっているのはそりゃもう酷い話ではあるんだけれど、いずれも根底にあるのは善性の肯定なんですよね。甘えを許さず自ら痛みを背負わなければ救いを得られないというのは厳しいようにも見えるけれど、どれほどの絶望が待っていてもその先に救いや許しが待っていてくれる、というのならこれらはきっと「優しいお伽話」なのでしょう。
ヒロインの少女クアディカは、権能兵として奪われてしまった魂を追い求める少女。普通の権能兵が、意志のない人形のような有様であるのに対して、彼女だけは何故か自我を持ち決して無感情とはいえない意志の発露を見せている。しかし、それでも彼女には魂はなく、魂のないにも関わらず彼女は急き立てられるように、焦がれるように魂を求めている。その欲する心はどこから生まれているのか。心とは魂と不可分ではないのか。この魂に関する見地と描写がなかなかに面白く、同時に少女クアディカの動機と根源となるものを引き立たせていて、彼女の泣けない慟哭と共にグイグイと引き込んでいく。
面白い。
しかし、同時に性急でもあるように感じます。それぞれのキャラの掘り下げとなるエピソードや、物語の焦点や転機となるシーンが味わい感じ入る前にスタスタと過ぎ去って行ってしまうんですよね。ややも忙しない。話を膨らます余裕は、それぞれのエピソードにポテンシャルとして備わっていると思うのですが、そこを広げずに必要な分だけ残して素っ気ないほどにそぎ落としている。無駄がないのはいいけれど、噛み締めるべき余韻までもがなくなっているのは、ちょっと勿体無い気がしましたね。傾向として情感に訴えかける内容の物語だけに、ふっと立ち止まって染み込ませるだけの間が欲しかった。

オレと彼女の絶対領域<パンドラボックス>63   

オレと彼女の絶対領域<パンドラボックス> 6 (HJ文庫)

【オレと彼女の絶対領域<パンドラボックス>6】 鷹山誠一/伍長 HJ文庫

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修羅場の秋。ハーレムまだまだ拡大中!?

体育祭&文化祭シーズンを迎え、周囲から「この天然ハーレム体質! 」などと罵られつつ肝心の明日香先輩に誤解されまくる、穏やかでない日々を送るオレ。
なぜかそれを見透かしたようにオレに絡んでくるクラスメイトの薫。
そんな中、先輩やサヤ姉たちの超能力《オーバーライン》を狙う実業家・小鳥遊が送りこんだ「監視者」の情報が舞いこむが……?
これまでちょっと仲の良いクラスメイト扱いだった薫だけれど、スポットが当たった途端にここまで可愛くなるというのは、反則だろう反則! あざとい! あざとすぎる!
だがしかし、薫当人の目的を考えるとこれまでカーくんと本格的に絡まずに外枠で目立たないようにしていたのも、サヤと明日香が修学旅行で不在のタイミングを狙って関係を深め、体育祭などで一気呵成に畳み掛けてきたのも、薫の思惑通りではあるのだろう。お陰で、というワケじゃないけれど、ラプラスとして学内から忌み嫌われていた明日香よりも、今やハーレム野郎であるカーくんの方が四面楚歌というのは笑った。当人は明日香先輩一筋だと独白しているけれど、彼はあんまりそれを公言してないんですよね。幾ら内心で主張したって、誰も聞いてないよ、そんな心の声。外から見ると女の子の間でふらふらしているようにしか見えないし。それはいいんだけれど、ちょっと周りの女の子が多くなりすぎて、ラブコメとして散漫になっている部分は否めないとおもわれる。薫が絡んでくるにしても、サヤ姉と明日香にサトリがくっついての三人相手が一番スマートなんだけれどなあ。
さて、ここ数巻に渡って、小鳥遊に内通してカー君たちを監視しているピーピングトムの正体が薫だというのは嫌というほど示唆されてきたんですけれど……これまでのオーバーラインが発現する条件と、その能力の内容を鑑みれば、あの薫の友達という子が出てきた時点であからさまなくらい明らかだったのは間違いないんですよね。その上で、薫という人物の描写を重ねていけば、彼女の能力が覗き見だ、というのは違和感が生じてくる。まあ、違和感どころじゃなかったんですが。ミスリードにもならないミスリード。此処に来ては、隠すつもりもなかったのか。
それでも、妙な感じがしていたのは、彼女がピーピングトムである、という正体を明らかにしていた―もしくは主張していたシーンに登場していたのは、彼女が独白しているシーン以外では常に黒幕である小鳥遊社長その人だったからなのでしょう。
うん、変だなとは思っていても、誰が監視者か、という正体が判ったことに満足してしまって、それ以上踏み込んで考えるという発想が湧かなかった時点でラストシーンに驚かされてしまったのは仕方なかったのかも。これは、死体を隠すには、死体を埋めた穴の上に犬の死体を埋めておけ、というパターンか。
正直、あの人は言動からして底の浅そうな、黒幕としては役者不足な気がしていたので、この展開は面白いじゃないですか。
とは言え、こんな展開であのサヤ姉が黙って良いようにされているわけがないので、今回大人しかった分巻き返してくれるでしょう。

シリーズ感想

も女会の不適切(アイ・ド・ラ)な日常 3 3   

も女会の不適切な日常3 (ファミ通文庫)

【も女会の不適切(アイ・ド・ラ)な日常 3】 海冬レイジ/赤坂アカ ファミ通文庫

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無慈悲にエスカレートする否(≠非)日常系、終幕!!

も女会の日常が再び戻ってきた。“美少女"の僕は、愛とラブラブ交際中。
さらに先輩も繭も雛子も僕にベタ惚れのハーレム状態!
そこへ源ひかると名乗る“少女"が加入して……やっぱりこの世界、改変されてる!?
そんな矢先、嫉妬に病んだ愛が再び身投げしてしまう。そして絶望する僕の眉間に、ひかるは銃口を突きつけた!
――わかってる、世界は残酷だ。でも愛と、も女会の日常を取り戻すためなら、僕はこの世界よりも残酷になってみせる!!
そう言えば最初、まだ記憶が消されていた頃、リンネくんはちだね先輩に惚れている、という設定があったんだっけか。一巻の中途からどえらい展開に転がっていった上に二巻では殆どユーリが中心になって動いていたので、ちだね先輩については完全に忘れ去っていた。リンネくんを含めて皆が忘れていた事を、しかし愛は忘れていなかった訳だ。そんな細かいこともすべからく精算するべきだ、という観念を捨て去らないからこそ、愛は面倒臭い女であり、アイ・ド・ラ足らんとしているのだろう。
そう、詰まるところ今回は精算の回でもあるのです。二巻において、ユーリの助力によって愛はリンネと結ばれる事を、自分がリンネを好きなのだという事実を受け入れてくれたのですが、相思相愛になったからといってこれまでの事はなかったことにはしませんよ、ちゃんと片を付けないと自分たちの関係の方を無かった事にしちゃうから、と乱暴に解釈するならそんな感じで愛の意図は進行していきます。クーロ先生は色々と暗躍しているように見えますけれど、あの人って多少自分の都合の良い用に物事を動かしてはいますけれど、基本的には愛の意図を忠実に守っているに過ぎないんですよね。それはこの人の揺るがぬ強さではあるけれども、同時にこの人の弱みでもあり、彼の失敗の根幹でもあったんだろうな、とすべての正体が明らかになってみるとそんな風に思えてくる。
話を戻すと、愛がそうやって精算に拘るのはそれだけ自分に自信がなかったとも言えます。それだけ、ちだね先輩をはじめとするも女会の面々に対して好意と引け目を感じていたとも言えるんでしょうね。大好きなリンネは、自分なんかよりもちだね先輩みたいな人と付き合った方が幸せなんじゃないかという気持ちと不安が、リンネに結論を預けたり押し付けたり、という形になって現れている。結局のところ、愛の不安を解消する為にはリンネの無辺の愛だけでは足りなかった。二人の愛を、愛が認め好意を持っている人達全員に祝福してもらってこそ、愛は全部投げ出してしまうという誘惑に打ち勝つ事ができた。つまり、リンネがなりふり構わず、前回ユーリに助力を頼んだのはまさしく正解だったのでしょう。恐らく、それこそがリンネとクーロ先生のターニングポイントだったはず。まあ、お陰様で今回ユーリが一番割食ってましたけれど。もう一人で縁の下の力持ち的にサポートに走り回って、ひかるに対応し、リンネたちに振り回されて……と八面六臂の奮闘にも関わらず、まさに影働きで報われることもなく、ホントにご苦労様でしたと労いたくなるほどの放置っぷり。リンネよ、もうちょっと感謝しとこうぜ。ちょいと可哀想だw
ともあれ、ユーリの献身的なサポートと一切ブレないリンネくんの愛情が、愛とも女会の面々との繋がりを強め、リンネを介さない彼女らと愛との縁を浮き彫りにし、この面倒くささが次元を超えてしまった地雷女を何とか3次元に引っ張り戻す事が叶いました、めでたしめでたし。と
正直、一巻の衝撃的すぎる展開からすると、随分と大人しい結末ではあったと思いますが、収まるところには収まったのかな、と。二巻もあれでなかなかドギツい内容ではあっただけに、ラストもそれなりにハッチャけて欲しかった気もしますけれど、、まあこれで万事大団円、ということになったのでしょうか。皆さん、お疲れ様でした。
……あんまり二人、糖分過多なイチャイチャばっかりしてたら、誰か発狂して惨劇再び、みたいな流れもありそうなので、何事も程々にw

1巻 2巻感想

魔法少女育成計画 restart (前)3   

魔法少女育成計画 restart (前) (このライトノベルがすごい! 文庫)

【魔法少女育成計画 restart (前)】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい! 文庫

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「魔法の国」から力を与えられ、日々人助けに勤しむ魔法少女たち。そんな彼女たちに、見知らぬ差出人から『魔法少女育成計画』という名前のゲームへの招待状が届く。先に進むたびに大きな自己犠牲を要求する、理不尽なゲームに囚われた十六人の魔法少女は、自分が生き残るために策を巡らせ始める……。話題のマジカルサスペンスバトル『魔法少女育成計画』に続編が登場! 新たな魔法少女たちの生き様に刮目せよ!
……あれ? なんだこの違和感は。前回の魔法少女たちの殺し合いバトルロイヤルから参加者の魔法少女たちも一新されて始まってしまったのは、オンラインRPGに似た仮想世界におけるデスゲーム。とは言え、前回のように強制的に人死が出る仕様ではなく(少なくとも最初は)、まず四人パーティーを組んでクエストを進めていき、他のパーティーとも協力が可能、というゲームをクリアするにもわざわざ殺しあう必要はない設定になっている。
にも関わらず、何者かによって思わぬ形で命を落としていく魔法少女たち。形としてはデスゲームになっているけれど、状況はクローズドサークルにおける殺人ミステリーと言ってもいいだろう。一体この中の誰が犯人なのか。その犯人は一体どうやって被害者の魔法少女を殺したのか。このデスゲームを主催している謎の魔法少女「マスター」とは一体どういう関わりがあるのか。魔法少女の中に探偵タイプが居るように、今回の話は誰が犯人で、一体どんな動機が、という展開なのだと思われる……今のところは。
でも、なんか変なんだよな。凄い違和感が残ってる。というのも、どうも最初から正気を逸している節があった侍型魔法少女の言動である。彼女はどうも「音楽家」……そう、前回の黒幕だった魔法少女の存在を執拗に追いかけている素振りがあったのである。しかし、このアカネなる侍の魔法少女は、前回のバトルロイヤルには存在していなかった。この侍魔法少女は、その怪しい言動で謎を残したまま早々に脱落してしまう。幾らなんでも早すぎる脱落だ。この少女の存在は、意味がわからない。
そして、もう一人……@娘々という中華風の魔法少女である。この子もまた、途中までは普通にしていたにも関わらず、仲間を失って精神的に不安定になった時に、突然意味不明の発言をしているのである。その内容を鑑みると、@娘々という魔法少女は彼女のものではないような記憶を思い出しているのである。そして、その記憶はやはり前回のバトルロイヤルに関わりがあるようなのだ。
……今回参加している十六人の魔法少女のうち、既に何人かは変身を解いた後の日常での正体とその様子を描写されている。この子たちは、恐らく描かれた通りの素性なのだろう。しかし、未だ変身を解いた後の姿が描かれていない面々については……非常に強い疑惑が募っている。この内の何人かは、果たして「今も生きている魔法少女」なのか?
何やら、目に見えている範囲でのこと以上に、このデスゲームには裏側が存在しているような気配がして止まないのだ。となると、この前回に比べて微妙にヌルいような設定のデスゲームも、現状のままでは進むまいて。
その意味では、非常に美味しい所で止められてしまったと言える。これは続きはよお、と叫ばざるを得ない。
……車椅子少女は、あれ実は結構イイ子、という流れですよね、うん。
あと、前回の生き残りであるスノーホワイトがかなり精力的に正義の味方として活躍しているようで、通常ならゲームに巻き込まれて根幹に辿りつけない今回の魔法少女たちの代わりに、裏のシステムを攻略してくれる役、と見るのがいいんだろうけれど……果たして、素直に正義の味方として機能してくれるのかどうか。

1巻感想

ラブコメ圏外 4   

ラブコメ圏外 (HJ文庫)

【ラブコメ圏外】 内堀優一/かわいそうな子 HJ文庫

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普通の高校生になる方法=ラブコメを発生させること!?

「普通の高校生の共通点……それは、ラブコメをするということだ! 」
過去の自分に別れを告げ、普通の高校生デビューを狙う井口銀次朗。
そんな彼は同じクラスの真宮久奈が自分と似た野望の持ち主と知り、ならばと一緒に普通の高校生になるための方法を検討。
そこに転校生の美少女を巻き込んだ結果、銀次朗たちはラブコメ発生を目指すことに!?
再序盤だけいまいちテンポが悪かったのだけれど、カラオケの場面を過ぎてから、銀次朗と久奈がお互いの正体を察して腹を割った話し合いを交わしたところから、完全にブレイク。もう、こっから最後まで自分、ずーーーっと笑いっぱなしでした。冗談抜きでずっとケタケタ笑ってましたから。いやあ、面白れえぇ!! 誰もツッコミが居ないから、ボケにボケを重ねた挙句ボケたまんま突っ走っていくので、誰かこいつら止めろ状態。内部はダメでも外部なら、と本来なら微妙な空気とか雰囲気ですっとぼけた主人公たちを掣肘してくれそうな立場にあるはずの周りのクラスメイト達が……むしろコイツラが一番暴走を煽ってんじゃないのか、というくらいにノリが良すぎる。あかん、このクラスメイトたちが面白すぎる(爆笑
そもそも、【ラブコメ圏外】というタイトルからして題名詐称である。もう突端から圏内ですから! 凄く圏内ですから!!
今までの過去の自分から脱却し、普通の高校生になろう、と志すのはいいのですが、銀次朗にしても久奈にしてもまず普通の高校生なるものの定義からして理解していなかったので、高校デビューの段階で既に足を踏み外し、密かにクラスメイトたちからは注目、或いは畏敬の的になっているという有様(当人たちは自覚なし)。その上で、お互い全然普通じゃないからっ! と指摘し合った所で、じゃあ普通の高校生ってなんだ? と応談した結果導き出された答えが……自らを普通の主人公と称して揺るがないギャルゲの主人公みたいな高校生を目指そう! と間違いまくった結論にたどり着いて悦に浸る銀次郎と久奈。この時点で大いに外しまくっているわけだけれど、恐るべきことにこの二人の置かれた環境は、その結論に辿り着いた時点で既に目指しているギャルゲの主人公とヒロイン的な普通の高校生そのものなんですよね。
目標を設定した時点で既に目標を達成してゴールを通り過ぎてしまっているにも関わらず、その事実に気づかないまま更に突貫を続けるこやつらは、いったい何処へ向かってしまっているのか。どこまで行こうとしているのか。誰もこのボケ倒しをツッコまないので、やめられない止まらない。
その上、美人な転校生の到来である。完全に世界はラブコメ時空に突入しているにも関わらず、自分たちが既に普通の高校生のゴールテープをとっくの昔に切って通り過ぎてしまっている事に気がついていない銀ちゃんは、このイベントの意味も思いっきり履き違えた挙句に、クラス纏めて変な方向に。いや。このエピソードで解ったんだけれど、このクラスメイト達、めっちゃ良い奴らだわ。おまいら、まだ高校生になって初めて顔をあわせてなんぼも時間経っていないのに、息合い過ぎw いや、でも気持ちいい奴らですわ。
肝心の転校生は、まさかの方言少女。博多弁きたーー!! しかも、博多の人にすら伝わらない博多弁きたーー!! この子がまた、わりと良識人にもかかわらず天然がこじれていて、肝心の所で同じようにボケ倒してくれるお陰で、やっぱりツッコミ不在のまま混迷を深めていく普通の高校生を志向する会の面々。
うん、ここで部活を作ろう、という定番の流れになるのはよく分かる。よくわかるんだ。まずそれはありだよね。そうしないと始まらないし……。

部活作ろうとしてガチで失敗したのは初めて見たわ!!

そして、本作で特筆すべきは、まず何よりもあの担任の先生でありましょう。七浜小夏先生、通称【フェアリー】。
……マジで本物の妖精さんだ、この人w
妖精さんは、妖精さんは実在したんだよ、此処に現実に実在したんだよ! UMAなんかじゃなかったんだ。写真を、証拠写真を撮るのだ。撮っても映らなさそうだけど! よし、餌付けしてみよう。何を食べるんだろう。あれか? 花の蜜とかか? 加工食品は絶対食べられなさそうだな。お肉も無理だな。甘いもの、甘いもの。
……先生ですよ?
よくまあ妖精さんが先生なんか出来るなあ、と思うところだけれど、妖精さんの見える純真な生徒さんたちが全力でサポートしているので、万事大丈夫なのであります。なにこの自主的ネバーランドw

作者の内堀さんが現在手がけているもう一つのシリーズ。【吼える魔竜の捕喰作法】の方でも、現在ヒロインの娘がそれはもう甘酸っぱくて仕方のない素敵な恋をしている真っ最中、デビュー作のシリーズでもなかなかに乙女心が迸っている恋模様が描かれていたので、内堀さんがラブコメ描いたらかなり素晴らしいのが出来るんじゃないのか、と思ってましたし実際言及したこともあるのですが……いや、まだまだ全然見縊ってました。正直、ここまで笑えるノリノリでテンポの良い会話劇主体のラブコメを描かれるとは、あったくもって御見逸れしました。
久奈が芸能界を引退したきっかけと銀次朗との関係など、まだまだ掘り下げていけるところはたくさんありますし、もにょもにょっとなっている久奈の本当の気持が見え隠れしている部分など、ニマニマが留まるところを知らず、さらにラブコメ深度が深まっていく要素はこれでもかと詰まっているので、これはぜひ続編続けて欲しいですね。なんか、ラストではおよよ!? と思うような意外な展開が待っていましたし。正直、この作者さんは片方鈍感で片思いの空回りをしているよりも、お互い顔を突き合わせて赤面しあうような甘酸っぱいタイプのラブコメが絶妙な人だと思っているので、このラストの展開を大事にしてくれたら、とびっきりのが出てきそうで、滅茶苦茶楽しみですよ、はい。
繰り返しになりますが、どうもかなり笑いのツボに入ったみたいで、途中から最後まで笑いっぱなしでした。最高。面白かったです、オススメ。

B.A.D. 9.繭墨は人間の慟哭をただ眺める4   

B.A.D. 9 繭墨は人間の慟哭をただ眺める (ファミ通文庫)

【B.A.D. 9.繭墨は人間の慟哭をただ眺める】 綾里けいし/ kona
ファミ通文庫


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せめて、知る人間は幸せであれと望む――――たった、それだけのことが。

「嘆こうが悔やもうが、それが君という人間だよ」チョコレートを囓りながら繭墨あざかは言う。
唐繰舞姫の足を奪い、復讐を果たした嵯峨雄介は失踪した。
久々津は雄介を殺し、自身の死をもって主を守れなかった償いをするという。
この憎悪の連鎖を止めなければいけない。彼が死ねば僕は一生後悔する。
久々津の拷問から逃れた僕は、駆けつけた白雪の助けによって雄介の行方をつきとめるが--残酷で切なく、醜悪に美しいミステリアス・ファンタジー第9弾!
かつてこれほどの絶望があっただろうか、と思うまでに読んでいる此方までズタズタにされた前回。救いも何もあったもんじゃない。惨劇以上の悲劇が視界を真っ黒に塗り潰す勢いで見舞っていた。最期に残された雄介の遺言状は、もうその時点ですべて終わってしまったのだと思わざるをえない程に、信じざるをえない程に悲しくて痛々しくて疲れきったものでした。何故、誰もこの子を助けてやれなかったのか、と悲鳴をあげてしまいそうなほどに。
もはや、何もかもが取り返しの付かない所に行き着いてしまったのだと、信じて疑いもしませんでした。この9巻は、そんな終わってしまったところから始まる、どうしようもない諦めの先にある物語だとばかり、思っていたのでした。
【B.A.D.】という物語は、常にそんな差し伸ばした手で断崖から相手を突き落としてしまうような救いのないお話ばかりだったのです。
だからこそ、泣いた。諦めきっていたからこそ、ここに現れた優しい結末は、身を切るように全身を震え上がらせたのです。何度も何度も何度も何度も繰り返し繰り返し、助けようとして逆に余計な惨劇を招いてしまい続けた小田桐くん。それでも諦めずに、狂ったように諦めずに身を粉にして救いを求め続けた結果がこれだというのなら、報いはあったのでしょう。彼が諦めなかったからこそ、この救いが訪れたのなら、報いはあったのでしょう。
良かった。良かった。本当に良かった。思わず咽び泣いてしまうほどに、この結末には安堵させられた。
雄介というこの壊れきってしまったように見えてきた少年は、これほどまでに多くの人達に愛されていたのだ。絶望の淵から引き上げられるほどに。既に死んでこの世から居なくなってしまった人達からさえ祝がれるほどに。死者たちが生者たる雄介を同じ黄泉へと引きずり込もうとするのではなく、生きた世界に押し返そうとする現世に焼き付いていた彼への愛情の残滓に、ただただ涙する。
彼への愛情ばかりではない。今回は、人が人を愛する気持ちがどれほどの救いをもたらしたか。人を捨てて犬として生き、犬として侍ることで舞姫の傍にいようとして失敗した久々津。犬にも人にもなれずに復讐に狂いかけた彼を救ったのもまた、舞姫の純然たる愛情であり、破滅していく雄介や久々津を助けようとして傷つき打ちのめされ這いずるしか無かった小田桐くんを支え励まし自らも破滅しようとする彼を守り続けたのもまた、白雪さんの献身的な愛情でした。
舞姫が、久々津に向けていた気持ちがあれほど純然たる愛情だったと知った時、久々津の悲惨な過去と現在の苦悩を目の当たりにしていた中で、それがどれほど救われた気持ちをもたらしてくれたか。常に血迷う小田桐くんを、正しては支え叱咤しては守り続けてくれた白雪さんの存在がどれほど頼もしかったか。
特に白雪さんは、もう無くてはならない人ですよ。小田桐くんにとって、この人はもう掛け替え為さすぎる。どう考えても、小田桐くんを支えられるのはこの人だけですし、添い遂げられるのもこの人だけだ。この人が居なければ、小田桐くんはどうしたって破滅してしまうに違いない。決して幸福な普通の家庭は築けないかもしれません。白雪さんも小田桐くんも、幸薄すぎる人ですしとても長く生きれるような人にも思えません。それでも、この二人なら一時の安息を得られるのではないか、そう思えるほどに今回の白雪さんは強かった。本当に強い女性でした。
まさかまさかのBADEND回避。誰も不幸にならない結末は、【B.A.D.】史上初めてだったんじゃないでしょうか。それぐらいに予想外で、救われた心地にさせられた雄介編でした。
しかし、不穏な要素はなおも消えず。小田桐くんが幽冥の世界で遭遇した妖しの唐傘の女。彼女がもたらした奇跡と、未だ明かされぬその代償。すべてが丸く収まったようで、致命的な爆弾を飲み込んでしまったような不安感。そんな陰りを抱いたまま、次からはついに最終章―繭墨編。最期にして本当の、繭墨あざかの物語。

シリーズ感想

月花の歌姫と魔技の王 24   

月花の歌姫と魔技の王II (HJ文庫)

【月花の歌姫と魔技の王 2】 翅田大介/大場陽炎 HJ文庫

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秘書であるルーナリアに部屋を用意するために、新しく仕事を探していたライル。マリーアの仲介で家庭教師のアルバイトを始めたが、教え子のイルザは明らかに普通の少女では無かった。そんな中、マリーアは2人の王子と面会を果たし、ルーナリアは死んだはずの肉親に出会う。人と『幻想種』、王位を巡る陰謀、ライルは新たな争いに巻き込まれる。
うあああっ、面白いっ、面白いなあもう!! なんかもう隅から隅まで私の好みの琴線に触れまくってる。なにこれ、すっごい好き!! 大好き!!
このシリーズのみならず、前作、前前作シリーズからこれだけスマッシュヒットばっかりを食らうと、この作者さんの作風そのものが私のドストライクを突いている、と捉えてもう間違いないみたいだ。

さて本作は第一巻の表紙だったルーナリアと、今回表紙を飾るマリーアのダブルヒロイン制なんだけれど……これ、ルーナリアってマリーアに絶対頭あがんないですよ。元々、ライルたちに出会った段階では生きる屍のようなもので、彼女が自分を助けてくれたライルへの思慕を自覚したのはマリーアの導きによって、と言っても過言ではありません。その段階で既にスタートラインで差がかなりついているのですけれど、マリーアときたらこの娘、恋というものについてまるで解っておらず右往左往して迷走するばかりの彼女に対して、わざわざ手をとって自分の立っている場所まで引き上げた上に、シャンとしなさいとばかりに喝を入れるような真似さえしているのです。それは、当事者であるルーナリアすら呆然としてしまうほどの手厚い援助。恋敵として未熟過ぎるルーナリアを、自ら対等なライバルとして立たせようとするその所業は、まさに敵に塩を送るようなもののはずなんですが……このイイ女は自分がライバルの弱みを突いて蹴落として満足するような卑小な女である事に我慢がならなかったのでしょう。それよりも、ライバルと正々堂々張り合って愛する人を勝ち取る事を選んだわけです。同時に、自分の愛するライルを同じように愛する見る目のある女性が、無様を晒す事が我慢ならなかったのかもしれませんが。自分がライルに相応しい女であるように常に努力しているのと同じく、その恋敵にも相応の水準を求めずには居られない、という一種のライル至上主義(笑
まあ、ただ純粋にマリーアという女性がお人好しもいいところ、という理由が大半なのでしょうけれど、もし彼女が深慮遠謀神算鬼謀の策士だというのなら、こうやってルーナリアを厚遇することで彼女に引け目を負わせて自分を出し抜くことのないように楔を打った、と考えることもできるのですが、さすがにそこまでは考えすぎでしょう。繰り返しになりますが、何だかんだとこの娘はとてもイイ娘で、食わせ物の才女のくせに変な所で間の抜けた所のあるお人好しですから。
ともあれ、ルーナリアは大変です。恋のライバルは一から十までお世話になって頭が上がらず、恋の相手である主人はときたら、そんな完璧なイイ女がさらに努力を重ねてなお完璧さを高めないと釣り合わないと思い込んでいるほどのイイ男で、実際文句のつけようのない完璧超人ときた。しばらく迷走気味にツンデレをこじらせてウジウジしてしまったのも無理ない環境です。ルーナリアという娘は無表情系ではありますけれど、自他共に求める感情過多の負けず嫌い。意地を張ろうにも周りの高さは足がかりになるものもないほどで、寄って立つもののなかった彼女が困ってしまったのも仕方ないでしょう。それでも、自分なりのやり方で自信を得る方法を見つけて努力を重ねることを選び見つけ出したのだから、この子も大したものです。そこは、マリーアが対等の相手と見込んだだけの事はあるかもしれません。
それでも、なかなか厳しい道程ではあるのですけれど。
マリーアはまだ自分の恋愛は恋を射止める狩猟の段階で、同じ舞台に立たせてでの戦争には至っていないと考えていますけれど、実際はというとライルは完全にマリーアを特別扱いしていますからね。ここに本当の意味で割って入るには、マリーアの壁は生半じゃなく高い。幼少の頃から純粋にライルのためだけに自分を磨き続けた女に、途中から割って入るというのは本当に難しい。面白いことに、それが出来ると誰よりも見込んで、期待してすら居るように見えるのがマリーアというのがなんともはや。
話は戻ってライルのマリーアに対する感情ですけれど、これが発覚してみると何気に思いの外明確だったんですよね。マリーア本人には一切素振りを見せないくせに、彼女のいない所では彼女が他の男に粉かけられたと知って余人に隠せないくらいに感情を乱していたり、特に感心させられたのはマリーアの従者にして同じくライルとは幼馴染の関係にあるミラとのやり取りで見せた、「本当のただの幼馴染」との接し方、でしょうか。ここは死角を突かれた感がありましたね。幼馴染であるミラに対して、ライルは胸襟を開けて本音や愚痴を吐露しているのですが、それは気心の知れた幼馴染だからこそ、であると同時に幼馴染でしか無いからこそ、でもあったんですね。実は、ちゃんとマリーアとは明確に接し方を異にしていたわけです。ライルの事を巷にあふれる鈍感主人公とは一線を画しているとは思っていましたけれど、これほどはっきりしていたとは、マリーアは報われているのか居ないのか(苦笑
ただ、はっきりしているからこそわりと思想は頑固というか凝り固まった所があったこともわかってきたわけで……でも、家庭教師となった先の教え子である女の子イルザから、そんなちょっと独り善がりの入った思想に対してダメ出しを受けたことで、自分が意固地になっていた部分があると自覚したようですから、もしかしたら次あたりからその態度に違った面が出てくるかもしれませんね。そうなった時のマリーアのメロメロっぷりがどれおほどのものになるか……既に現段階でかなり骨抜きで目も当てられないことになっているので、えらいことになるかもしれませんが。にやにや。
なんて言うんだろう、このあたりの微妙かつ巧妙な男女関係の機微は、さすがは上質にして繊細な心理描写で鳴らした青春恋愛劇である【カッティング】シリーズを描いた翅田大介その人、と言ったところでしょうか。
それでいて、活劇らしい激しく感情をぶつけあい、盛り上がるシーンも多いわけで。ライルを泥沼の政治闘争の渦中に巻き込ませないために、これまでのライルと過ごした時間そのものを賭けて彼を引きとめようとしたマリーアとライルの対峙は、もう鳥肌が出るほどしびれました、うん。しびれた。
あとでマリーアが殆ど融解といって良いくらいにデレッデレに蕩けてたのも宜なるかな。女として男にそこまで言ってもらったら本懐でしょう。まあ、あそこまで崩れるとみっともないですが。この娘、この段階でそこまでデロデロになってたら、まともに付き合いだしたら体裁保てるのか?(苦笑
とまあ、語る話はついつい恋話ばかりになってしまいましたが、裏で進行する権力闘争や古き時代と新しい時代の相克から発生する軋轢など、時代の裏側の闇の部分にまつわる話もいい具合に盛り上がってきているんですよね。黒幕となる人が、どうも思っていた以上に大物、身分的にじゃなくてメンタル的に大物で、敵役に相応しい貫禄の片鱗を垣間見せてくれたことは、先々どんどんおもしろくなっていきそうな要素でもあるので嬉しい限り。何気に本作は敵も味方も小物、と呼んでしまえるような人物が居ないので非常に歯応えがあります。新しく登場した幼いイルザも、まだ十を幾つか超えただけの子供としては、その境遇や経験によってかなり鍛えられていますし、味方側となるであろう第一王子もまたちょっとやそっとでは微動だにしないであろう大物感あふれる人物ですし、そんな大物揃い相手にして一歩も引けをとらないのが、ライル、マリーア、ルーナリアの主人公サイド。誰も弱みや弱点になるような所がなく、三人とも頼もしい限りなので、焦れったさなどで歯噛みすることもなく、痛快で手応えばっちりのストーリーを安心して期待できます。出来れば、でっかい規模の長編シリーズになってくれればいいんですけれど、それに相応しい面白さであるだけに。少なくとも既に三巻は執筆中のようですので、非常に楽しみ。
オススメ、一押しです。よしなに。

1巻感想

ひきこもりの彼女は神なのです。74   

ひきこもりの彼女は神なのです。7 (HJ文庫)

【ひきこもりの彼女は神なのです。7】 すえばしけん/みえはる HJ文庫

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「天秤の会」崩壊の危機! 天人と亜夜花の選択は!?

亜夜花の父であり、「天秤の会」に敵対する神・氷室結から三本勝負の賭けを持ちかけられた天人。最初の賭けは「近いうちに羽村梨玖は寮を去る」という結の予言が当たるか否か。
梨玖との絆を信じる天人は、結が亜夜花たちから手を引くことを条件に勝負に応じるが、事態は彼の予想を大きく裏切って推移していく。
神に狙われた男、天人の運命は!?
戦いは、始まる前にすでに勝敗は決している。やってみなけりゃわからない、なんてのは人事をつくしていない言い訳に過ぎない。少なくとも、相手の用意した舞台に乗っかった時点で、勝つという結果は皆無だったわけだ。それだけ、氷室結が敷いていた状況設定は完璧だった。恐るべきことに、この巻において結は本当に何もしていません。ただ、状況が推移していくのを眺めていただけ。介入や手出しは一切していません。もはやゲームの舞台を整えた時点で、やるべき仕込みや心理操作は全部終えていて、あとは勝手に天人たちが自滅していって終わり。むしろ、結が果たしていた役割は敵対者というよりも、ゲーム攻略のためのアドバイザーと言っていいくらい。天人たちに残されていた可能性は、もはや自分たちにとって一番最良の結末を引き寄せられるか、に掛かっていました。それすらも、実は敗北であり最良と見せかけて実は等分以上のマイナスがあったのですが。
これ、無理ゲーですよ。ぶっちゃけ、役者が違いすぎる。神と人との違い、なんて区分での差じゃありません。どれだけ戦闘力が高かろうがそれは戦術によって封じられ、戦術なんてものは戦略によって意味を失わしめられる。プレイヤーとして立っている位置が違いすぎる。まともな戦いになってませんよ、これ。正直、これほど差があるとは思っていなかった。
考えてみれば、おそらくニュートラルハウスで最も知性派だったと思しき一二三さんが、為す術なく謀られて現身を失ってしまった、という時点で太刀打ちできる人材は存在しないんですよね。そう考えると、千那さんの問答無用で武力討伐、という選択はあながち間違いでもないんです。それすらも、結の想定内かもしれませんけれど、少なくとも結を討ち取れさえすれば、時限式の謀略はともかくとしてハカリゴトを仕掛けてくる結がいなくなれば、あとは何とでもなる。戦うことで失ったニュートラルハウスの信頼はあとで取り戻せても、天人を失ったら取り返しがつかない、という失っても取り戻せるものと取り戻せないものを秤にかけて、損害覚悟で片方を選択するという考え方は、おそらく正しい。正しいんだけれど、損害を思えば踏み切れない。結が巧妙だったのは、常に天人側に勝ち目がある、と思わせていた事でもあります。勝ち目があると思っていれば、尚更最悪の選択肢は選べない。その上、勝ったと思わせて、相手が意識していた失ってはいけないものとはまた違う、もう一種の失われてはいけないものを奪取していたのだから、真実の勝敗がどちらに掲げられていたかは自明でしょう。
ここまで縦横無尽に蜘蛛の糸が張り巡らされてたんじゃ、どこまで行っても相手の手のひらの上なんじゃないか、という疑惑から逃れられないじゃないですか。これ、勝利条件なんて存在するのか? 
辛うじて、この結と対等に立ち回れるであろう人は、おそらくてとらさんのみ。強いられたとはいえ、てとらさんもこの結末は想定内だったはずなんですよね。なればこそ、無策であるはずもなし。むしろこの人に起こった出来事は、彼女のくびきを解き放った、と言えなくもない。結はてとらさんを同じ舞台に引きずりおろして手出しの出来なかった彼女の首に手を掛ける事が叶ったわけですけれど、逆に言えばてとらさんもまた敵の首に手が届くところまで降りてきた、とも言えるわけで。ここからのてとらさんの手練手管に期待したい。でないと、ハッキリ言って勝負なんかにならないから。

そもそも、天人は結と勝負するという事について終始理解が及んでいなかった。いや、もうちょっと考えろよ! 警戒しろよ! と読んでいるこっちまで頭を抱える無警戒ぶり。本人はビンビンに警戒しているつもりでも、それは自信満々に紙の盾を構えて戦艦の主砲の前に立っているようなもの。いや、それどころか紙の盾を掲げて毒ガスの中に突っ込んでいっている、とでも表現するべきか。あまりに甘い認識に、或いは無知っぷりに、思わず誰か何とかしろよ、と呻いてしまった。いやでも仕方ないんですよ、元々天人はそういう智を尖らせるタイプじゃないんだから。
だから、良いように翻弄されてしまったのはもう仕方がない。褒めるべきは、あれだけ好き勝手に弄ばれてなお、心折れなかったところでしょう。半ば折れてた気もしますけど、自分で開き直れたのは素直に偉いとおもいます。今回はもう本気で綱渡りもいいところでしたけれど、最後の最後で選択を誤りませんでしたし……いやね、勝負を受けた時点でもう挽回のしようのないくらい選択誤ってたんで、本当に最悪の中の良を拾い上げる形にしかなっていなかったんですが……知らぬが仏、だなあ、これ。

とは言え、結との勝負という事を度外視すると、ここで行われた事というのは神と人との繋がりにおいて一つの革新ではあるんですよね。神が人の中に混じって生きていかなくなった時代において、ここで天人を中心に行われた事というのは、古き神話を一新する最新にして最高の神話の始まりでもあったわけだ。人が神を信仰するように、神が人を信じる時代に。……その結果として、新しい神が誕生するというのは前進なのか回帰なのかはまだ微妙に判断つかないけれど。
唯一の可能性は、最新であることが弱さではないということ。所詮古き神である結にとって、想定外があり得るとすればそこであり、神々が人の子を神とするまでに信じた、という意味をどれだけ履き違えていたか、という点にあるんだろうなあ。なるほど、梨玖の動きはそこに繋がってくるのか。どうやったって勝ち目ないだろうと思ったけれど、なるほどしっかりと下拵えは進んでいるのね。

しかし、まああれだ。今回の見所はやっぱりあれなんだろうな。怪物に捧げられた供物の女神は英雄神に救われて……奪われて、母体となる神話から、新たなに組み込まれ組み伏せられる、というお話。或いは、亜夜花はあれで神様だから未成年ではないので、親の同意を振り切って結婚できるという云々。親の同意より先に配偶者の同意を取り付けましょう、と思わないでもないですがw わかってないよ、こいつ亜夜花が何を言って何を誓って何を捧げて何をしたのか、絶対わかってないよ?
さて、それはつまり誰にとってのご愁傷様なのか(笑

すえばしけん作品感想

ベン・トー another Ripper's night4   

ベン・トー another Ripper's night (愛蔵版コミックス)

【ベン・トー another Ripper's night】 漫画:柴乃櫂人/原作:アサウラ 愛蔵版コミックス

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半額弁当を奪い合う戦場に雨の日にだけ現れ、他の狼たちに切り傷を残して誰にも見られずに弁当を奪って行く謎の『狼』、「ジャック・ザ・リッパー」。そんな噂を聞き、興味を持った著莪あやめはひとり調査をはじめる。不可視の狼の意外な正体とは…!? 一方、双子の狼「オルトロス」も「ジャック・ザ・リッパー」に目をつけ動き出していた――。コミックだけでしか読めない誇り高き『狼』たちの半額弁当争奪戦!!
半額弁当争奪戦【ベン・トー】のスピンオフストーリーを、原作のイラストレイターである柴乃櫂人さんが漫画として描いた第二弾。第一弾が、まだ漫画としてこなれていない部分が多々見受けられたのと比べても、この二巻はあれ?と思うような違和感が綺麗に消えていて、抜群にうまくなっていた。元々原作の挿絵も手がけているだけあって、描かれるキャラはそのままだし、長い付き合いでもあるのでキャラの特性も充分に掴んでいるため、ベン・トーの漫画化としては非常にスムーズかつ自然な出来栄えになっている。アニメはあれでちょっと独特の路線に進んでしまった分、この漫画の方はそれだけ原作に親しい映像化、とも言えるだろう。その上、この第二巻は元々アサウラさんが原作用のプロットとして仕上げた脚本を元にしているため、ボツネタとして日の目をみないはずだったお話を読める、ということで多重に美味しい話でございました。
主役は、本編では出ると鉄板ヒロイン過ぎて存在感がありすぎるために何気に出番を減らされている感のある著莪あやめ。そして新登場のゲストキャラは雨の日にだけ現れるという謎の切り裂き魔「ジャック・ザ・リッパー」。そこに、強者を付け狙うオルトロス姉妹も絡んできて、と狼という存在の孤高さと誇り高さ、そしてただひたすらに弁当を欲し、戦って勝ち取ったが故の、そして誰かと食べる美味しさをこれでもかと堪能できる実に【ベン・トー】らしいストーリー。著莪の何気に面倒見よくて好奇心旺盛なところや、最近シモネタ連発の変態さばかりが際立ってる沢桔梗のオルトロスらしい怖さと、オルトロス姉妹が常に求めていると同時に与えようとしているものが存分に描かれていて、実に満足でした。色んな二つ名持ちの狼が出てきてますけれど、そんな中でオルトロスは未だにキャラの濃さでも、過去のトラウマから現在に繋げ求めようとしている狼としての在り様も、頭ひとつ抜けて別格ですからね。ラスボスとしても頼もしい仲間としても火花散らすライバルとしても、どんな立場にでも立てるオールマイティさには瞠目するばかりです。あと、他の追随を許さない女子型変態性についてもw まあこれについては妹の鏡は完全に姉の煽りを食ってますが。妹は普通なのにw
ともあれ、一冊完結で大変おもしろかったです。ラスト近辺の著莪とジャックが同じ弁当の袋の持ち手と持ち手を持って、手をつなぐみたいにして歩いているシーンは出色でした。良かった良かった。
 
1月25日

(ガルドコミックス)
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1月21日

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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(ガンガンコミックスUP!)
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(ガンガンコミックスUP!)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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1月6日

(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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1月5日

(ヒーローズコミックス)
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(ヒーローズコミックス)
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1月4日

(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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12月28日

(GCノベルズ)
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(GCノベルズ)
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(GCノベルズ)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(講談社ラノベ文庫)
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(講談社ラノベ文庫)
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(一迅社ノベルス)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(ビッグ コミックス)
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12月27日

(ヒーロー文庫)
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(YKコミックス)
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(B's-LOG COMICS)
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(B's-LOG COMICS)
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(B's-LOG COMICS)
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(REXコミックス)
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(REXコミックス)
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12月26日

(モンスターコミックス)
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12月25日

(ZERO-SUMコミックス)
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(ZERO-SUMコミックス)
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(DNAメディアコミックス)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルスf)
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(ファミ通文庫)
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(PASH!ブックス)
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