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角川スニーカー文庫

ここから脱出たければ恋しあえっ 23   

ここから脱出たければ恋しあえっ2 (角川スニーカー文庫)

【ここから脱出たければ恋しあえっ 2】 竹井10日/かれい 角川スニーカー文庫

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巨大密室と化した学校から、やっとの思いで脱出した悠真と美少女4人(+美少年1人)。だが学校の外は、なぜか絶海の孤島だった!ムチャぶりしまくる謎の猫耳宇宙服・名無しさんが提示した、今度の脱出条件は…恋人をさらに増やすこと!?閉じ込められ少女も2人増え、素直クールな先輩からツンロリ天才少女、メイドに幼馴染み、実の妹までが悠真をめぐって大騒ぎ!あれ、この状況…別に脱出しなくてもよくね?の第2巻。
すでに二巻目にして、ここから脱出しなくてもいいじゃない、という前提から崩壊しかねない状況に。
リアル無人島生活にしてしまうと、生きるのに精一杯で恋愛している暇がなくなってしまうという悪循環。人間衣食住に充足してこそ精神の余裕が出来るものである、との言にも通じる話である。そこで、主催の猫耳宇宙服名無しによって、不足なく衣食住が供給されるという無人島生活と言うよりも楽園生活に突入した結果、やっぱり脱出しなくてもいいんじゃね? という重ね重ねの悪循環。
おい主催者、色々とグダグダすぎるぞ(苦笑
まあ、竹井作品は微に入り細に入り、概ねグダグダであることを旨としているんで、これはこれで平常運転とも言える。

んで、新たに加わったメンバーは悠真の異性の親友である奏と、紫苑の同性の親友である葵子。葵子、紫苑とキャラ被ってね? と思ったら、豆腐メンタル子さんでした。葵子さん、なんか気がついたら悠真にどっぷり依存してたんですが。あれ? いつの間にデレて堕ちた? というくらいの超早業。居眠りでもしてたっけか、私。
もう一人の親友、奏と来たら、こちらはこちらで親友親友、恋愛感情なんて全然ないよ! とあっけらかんと言いながら、一応恋人関係になった紫苑や美羽を鼻で笑うような凄まじいスキンシップを繰り返す。抱きつくなんざ平常運転。平気でチュッチュチュッチュとキスをして、ベタベタひっついたまま離れない。そうしながら、親友だからこれくらい普通だぜ、と平然としている奏と悠真。
こ・い・つ・ら〜〜。
この調子で、親友だからベロチューしてもどうってことない。親友だからお風呂で裸の付き合いをしても何の問題もない。親友だから、ちょっとセックスしてもいいんじゃね? 親友同士だし、子供とか作ってみた! と、全部親友だから、で押し通しそうな勢いである。
親友最強説。悠真もちょっとは疑問に思えよ(笑

そんな親友という関係にこだわる奏にも、相応の理由と信念があってそうしている、というのが事情に踏み込むことで明らかになっていく。この作者が書くシリアスパートって、ギャグパートと別世界か、と思うくらいにデロデロの生々しさがあるんですよね。正直、あんまり冷静にじっくりと向き合いたくない、人間の気持ち悪い側面がギトギトと脂ぎって波打ってるんですよ。それをうまくギャグパートでオブラートに包んでいるからこそ、ある程度落ち着いて見られるけれど、普通に見たら嫌悪感パないんだろうなあ。
椛なんかも、そんな悪意にさらされた犠牲者の一人。悠真は、敢えてあんな態度をとることで椛を守ってきたのか。子供なりの、最大限の庇護だったんだなあ。それも、椛がちゃんと信じて分かってくれてたから、保てた関係なんだろうけれど、通じ合っていたからこそ最終的に認定されたわけで……あれ? 順調に恋が成就しつつある?
そのうちラストには実った恋を収穫だー、とリアルバトロワがはじまりそうで怖いが、始まってしまうとどう考えても妹の独壇場になってしまうので、それはないか。

次の舞台は、定番とも言えるあれか。さすがに、ここからさらに新キャラ、というのはなさそうなので……あれ? だとすると千早ちゃんと妹の出番になってしまうのか? どちらもある意味バッドエンド直行じゃね?

竹井10日作品感想

聖断罪(アダムヘッド)ドロシー01 絶対魔王少女は従わない3   

聖断罪ドロシー01  絶対魔王少女は従わない (角川スニーカー文庫)

【聖断罪(アダムヘッド)ドロシー01 絶対魔王少女は従わない】  十文字青/すぶり 角川スニーカー文庫

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帝国に攻め込まれ、滅んだレベルデッド魔王国。間一髪逃げ出した王女のドロシーは、護衛の魔法使いカルアと共に、追っ手をかわしながら逃避行を続けていた。しかし、身を隠さねばならないはずのドロシーは、各地で目にする帝国によって苦しむ民を見過ごせず、すぐに助けに入ってしまう正義感の持ち主だった!ついには「“絶対魔王”になって帝国を倒し、善政をしく!」と言いだし!?魔王の血を引く聖なる少女の世直し旅が開幕。
一番尖ってた頃の十文字さんなら、このシチュエーション、ドロシーの正義感と善意が原因となって主人公のカルアが落命してしまい、愛する人を自分の独り善がりで殺してしまったドロシーが精神的にズタボロになり自分をズタズタに切り裂いて這いずりながら懊悩する、なんていうキャラクターを追い込みまくることで内面を浮き彫りにしていく、という展開に持って行きそうなものなんだけれど……実のところ、それは一度【いつも心に剣を】という作品で、極限までやり尽くしてるんですよね。私、好きなキャラクターは徹底的に追い込んでナンボ、という趣向も少なからずあるんですけれど、そんな私も、そこまでやるか、と青褪めるほど容赦も救いもない、ひたすらに主人公とヒロインの女の子を精神的に惨殺しながら追い詰めていくストーリーでした。
あれは、書く方も一度きりでもう十分、と思うような内容だったんじゃないかな。あれは、本当にもう書けるところまで書き切った、というような代物でしたし。
あんなバッドエンドをもう一度繰り返すくらいなら、今度はハッピーエンドを手繰り寄せたい、そう思うのが心情です。少なくとも、読み手側としてはドロシーたちがユユやレーレのような末路を辿るのは見たくない……と、流れで書きましたけれど、正直言うと、見てみたいという暗い愉悦も少なからずあったりして。
ただ、この子、ドロシーは愚かな子ではありますけれど、救いがたい愚鈍な人間ではないので、致命的な失敗……カルアを死なせてしまう、或いは再起不能かそれに準じる大きなキズを負わせてしまう、という事は無い気がします。
この子、自分がどれだけ現実を見ない世間知らずで無責任な綺麗事を口にしているか、ちゃんと自覚しています。それなのに、何故なおも綺麗事に突っ走ろうとするのかと言えば、決して平和思想に囚われているわけでも、人の善性を信じ込んでいるわけでもありません。
この子はただ、カルアなら自分の願いなら、どんなお願いだって絶対に叶えてくれる、と信じているだけなのです。自分がどれだけ夢みたいな非現実的な事を言っても、彼なら実現してくれる、と。
でも、それも盲信や信仰の領域までには至っていません。カルアへの無邪気な信頼は、同時に常に現実との折り合いを考慮に入れています。好き勝手しているように見えるドロシーですけれど、本当に自重を要求される場面では、カルアや協力者の言を絶対に無視しませんし、自分の願いが本当にカルアの命を奪いかねないシーンでは、確かに彼女はカルアを優先しようとしていました。
その意味では、彼女は王の器ではないように思えます。この子は、多分、大義や信念などよりも、身近な大切な人を選ぶ普通の女の子です。それで、幸せになれる子なんだと思うのです。
彼女の不幸は、それこそ素朴な善意を実際に世間に差し向けられるだけの権威を持った立場に生まれてしまった事なのでしょう。市井の子だったなら、そこまで大きな視点で善意を執行しようという意識すら生まれず、ただ身近な人に幸いを分け与え共有するだけの人生を歩めたでしょうに。
彼女は絶対に叶わないであろう広義の善を執行する意志を持ってしまった。後は、痛みと苦味を味わいながら、現実との折り合いをつけていくしかない。
カルアに求められるのは、彼女の期待に最大限応えながら、彼女の無邪気な理想を厳しい現実にどれだけソフトランディングさせるか。或いは、カルアと夢想のどちらかを選ばなくてはいけない、取捨選択の場面を起こさせないようにするか。何れにしても、彼に求められている要求はひたすらに高く、彼は男の矜持を以てそれを達成するつもりでいる。
不平屋のひねくれ者のくせに、なんて見えっ張りな男なんだろう(苦笑
こういう歪んで真っ直ぐな、純真な頑固者は、好きなタイプなんですよ。自分の語る言葉が夢物語と知っている女の子に、それでもなお胸を張って夢物語を語らせ続けるだけの甲斐性を見せようと頑張る男の子。幾重もの挫折がカルアを待っているのだろうけれど、それでもこの子には最後まで意地を張り通して貰いたいなあ。

十文字青作品感想

問題児たちが異世界から来るそうですよ? 降臨、蒼海の覇者4   

問題児たちが異世界から来るそうですよ?  降臨、蒼海の覇者 (角川スニーカー文庫)

【問題児たちが異世界から来るそうですよ? 降臨、蒼海の覇者】 竜ノ湖太郎/天之有 角川スニーカー文庫

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いよいよ始まったアンダーウッドの収穫祭!飛鳥と耀は狩猟祭に参加し、十六夜は縁日荒らしを、ジンは“ノーネーム”の連盟旗を作るために動き出す。そんななか黒ウサギは、神格を返上したことで最強の“階層支配者”を退くことになった白夜叉に連れられ、魔王“平天大聖”の元に向かうが…!そしてお待たせしました!「水着着用が義務!!」(by白夜叉)の“ヒッポカンプの騎手”のメインゲームが始まりますっ。
ああーー、やっぱりこの作品の世界観って、大好きだわ。十六夜たちが召喚された時に感じた感動、あの四方全周すべてが地平線の彼方まで広がっているような開放感を、未だに感じ続けてるんですよね。もう刊行数は5巻に至ったというのに、全然行き止まりを感じないこの世界観の広大さは、まったく留まる所を知らない。
今回なんて、西遊記ですよ。元々、中華の天界・仙人界、そこに仏門が習合された世界観って、馬鹿みたいに野放図な許容力を備え持ってて、何でもありであると同時に厨二的なクラス分けがコマ目に成されていると同時に、それぞれの神様や妖仙には民俗学的な由来の積み重ねが重厚に織り成されているという、そりゃあもう実に遊び甲斐のある世界観なんですよ。
そして、この物語の世界「箱庭の世界」は、そんな中華の世界観を仏門寄り、道教寄りという括りなくフラットなスタンスで、丸ごと飲み込んじゃって、修羅神仏が闊歩する世界観の一翼をして機能させてしまってる。
ほんと、凄いよこの世界は。世界各国の神話や伝説の神々や妖魔の類が並列に存在し、それだけじゃなくペストやハーメルン、マクスウェルといった現象や伝承、概念的な存在をも、神や魔王として同等に扱い、それらが十六夜たち人間も含めて、すべてが対等の「箱庭世界」という舞台で遊ぶゲームプレイヤーとして扱われてるんですよね。
勿論、その力に応じて立場も視点も権力も名声も何もかも変わってくるけれど、逆に言うと力量さえ示せば、誰でも神にも魔王にもなれる。そう、何にだってなれるし、何処にだって行けるという心湧き立つ世界なんですよ。
それでいて、力さえあれば何をやってもいい、というわけでもなく、その世界にいる住人のほとんどが、共通の信義と誇りを旗として掲げ、非常にルールというものを大事にしている。遊びってのは、ちゃんとルールを守らないと楽しくもなんとも無いですもんね。
でも、遊びだからと言って、真剣じゃないわけじゃない。命を担保に、人生を捧げ、生涯を賭し、信念を貫く遊びがあって、何がおかしいだろう。
十六夜たちが全力で遊ぶゲームとは、そんな本気すぎるほど真剣なゲームなんですよね。だからこそ、彼らの活躍は痛快で、その破天荒で思い切りの良すぎる暴れっぷりは雄叫びを上げたくなるほどスカッとさせてくれるのだ。
これまで、十六夜たちにおんぶに抱っこのところがあった「ノーネーム」のリーダーである少年ジンも、コミュニティの頭首として、六本傷の若きリーダー相手に同盟締結交渉で見事な手腕を見せてくれたし、明日香や耀の飛躍的な成長、帰ってきたレティシアに新たに加わったペストたち。そこに、六本傷やウィル・オ・ウィスプとの同盟に、サウザンドアイズとの協力関係など、三人の問題児頼り、特に十六夜頼りだった「ノーネーム」が、グッと充実してきた感があって、高揚感もいや増すばかり。
さらに仲間もどんどん増えてきて、賑やかになってきた。賑やかさが、そく楽しさに繋がっていく。面白いなあ、面白いなあ。

今まで階層支配者という最強の実力者の一人という肩書きは知っていたものの、ちとその実力に実感のなかった白夜叉様も、神格返上して自由を得て身近になったせいか、その空恐ろしい実力のほどがようやく伝わってきた感がある。この人、本当にべらぼうに凄かったんだ。
そんな彼女と対等以上と白夜叉さま自らが認める【平天大聖】牛魔王。この人も結局登場はしなかったんだけれど、登場してないくせに伝言一つで物凄い存在感残していったんだよなあ。普通の牛魔王のイメージと全然違うよ。いや、むしろこの方が原点には近いのかもしれない。
そんな孫悟空や牛魔王と同格の七妖王の一人、蛟魔王……この人も実に面白いキャラクターをしていると同時に、敵じゃないってのがまた素晴らしい! 十六夜との真っ向からのガチンコ対決は、どちらも桁違いなだけに読んでるこっちまで煽られる煽られる。なにより、当人たちがあんなに楽しそうなんだもの。そりゃ伝染っちゃうって。
これほどの人を味方に迎えて対抗しなきゃならない、襲来予定の魔王ってどれだけとんでもないんだよ、と震え上がると同時に期待も増すばかり。

しかし、この世界では【斉天大聖】孫悟空は姐御だったのか! 三蔵法師が女性というのは古来からよくある発想でしたけれど、こっちが女性というのは新鮮だ!! すっごく新鮮だ!!

一巻 二巻 三巻 四巻感想

ムシウタ 12.夢醒める迷宮(上)4   

ムシウタ  12.夢醒める迷宮(上) (角川スニーカー文庫)

【ムシウタ 12.夢醒める迷宮(上)】 岩井恭平/るろお 角川スニーカー文庫

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“始まりの三匹”を吸収、統合しつつある虫憑き超種一号“C”の殲滅作戦が、魅車八重子により発令された。“OPS1”霞王など戦闘力が高い虫憑きを集めた照を指揮官とする“C”殲滅。“OPS2”ハルキヨによる“眠り姫”の覚醒。“OPS3”ふゆほたるとむしばねによる“大喰い”の殲滅。48時間のタイムリミットのなかで、虫憑きたちの全勢力をもって決戦が始まる!そしてすべての力を使い果たした最悪の一号指定“かっこう”は―。

触れてはいけないものに触れやがったな、この女!!
彼女は禁忌だったのだ。不可侵の誰も触っちゃいけない眠り姫だったのだ。彼女を起こしていいのは、彼女自身か約束を果たした二人の男、薬屋大助とハルキヨだけだったのに。


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子ひつじは迷わない 騒ぐひつじが5ひき5   

子ひつじは迷わない  騒ぐひつじが5ひき (角川スニーカー文庫)

【子ひつじは迷わない 騒ぐひつじが5ひき】 玩具堂/籠目 角川スニーカー文庫

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“ひつじ”ならぬ“しつじ”喫茶で文化祭を盛り上げる「迷わない子ひつじの会」。会長の執事服姿やら佐々原のメイド服姿やらに浮かれる“なるたま”こと成田真一郎だったが、伝説の必殺剣の正体、『々人事件』なる奇妙な小説の謎など、隣部屋の“毒舌ツンダラ名探偵”仙波を巻き込んでのお悩み相談も相変わらずの大忙し。ワケあり女子たちに翻弄されまくる“なるたま”のおせっかいぶりに、佐々原がついに覚醒するって、何に!?―。
なるたまって、アレで独占欲結構強かったんだ。俺の女に色目使ってんじゃねえよ、と言わんばかりのガード捌きが微笑ましいやら呆れるやら。そのガード対象がご執心の仙波ならばともかく、岬会長と佐々原だもんなあ。だがしかし、サキ姉&佐々原押しのワタクシとしましては、無意識だろうとなんだろうとちゃんとなるたまにも二人に気があるというのがハッキリしてニヤニヤものでしたよ。まあ、サキ姉については異性云々じゃなくて単にシスコンを拗らせているだけかもしれませんが。でも、先の長編「館モノ」におけるサキ姉への暴挙は、少なからずなるたまにも多少なりとも意識の変革をもたらしているのかもしれない。サキ姉の方はというと、ほぼ完璧にあの一件がきっかけでなるたまへの見方は変わってしまったっぽいんですよね。前巻では、あれのお陰で精彩を欠いて、殆ど沈黙状態だっただけに、今回彼女がどういった行動に出るかは興味津々と言った所だったのですが……うはははは(笑
凄いなあ、会長のなるたまに関連する反応が、一巻の頃と全然違うよ。これについては、仙波のコメントが一番的確に状況を表しているかもしれません。なるほど、以前は首に縄つけてある程度自由にさせていたのが、この巻を見てたら、確かに囲いに入ってる。佐々原や仙波と違って、サキ姉は彼女視点の描写が無いのでその内心は推測するしか無いのですが、この人については無自覚とかなさそうだしなあ。前回大人しくしていた時に、相当自問自答していたっぽいし、ある程度自分の中で結論は出ているはず。
と、既刊の自分の感想見返してたら、三巻のサキ姉が自爆しまくった話の時に、『そこまで独占欲持て余しているなら、いっそ囲ってしまえばいいのに』とか書いてるよ、自分(笑
この時点ではまだこの会長さんはもっと自分のスタイルというか、立ち位置に固執するかと思ってたんですよね。まさか、本当に囲みに入ってくるとは流石に思ってなかったぞw

なるたまとの関係性については、佐々原の方も楓に要らんことを言われて混乱してたのを、自分なりに結論を見出したようなんだけれど、その結論の証明方法がまた佐々原らしいというか、普通とズレているというか、だからどうしてそうなる!? これは他人にどう説明しても理解してもらえないと思うぞ。でも、自分が解ってればいいのか、こういうのは。しかし、彼女も楓と絡むと恐ろしくキャラ変わりますよね。いやいや、あんたそんな毒舌キャラじゃないでしょうw わりと天然でヒドい事を言う一面はあるにせよ、楓相手だと意識的にかなり暴投気味な発言叩きつけるんだもんなあ。とは言え、普段は本当に可愛らしい。ややもずれた思考パターンからして、本当に可愛らしい。今回はメイド服姿という外見までも最強クラス。イラスト、ごちそうさまでした。


さて、今回は文化祭期間のお話ということで、全体的にお祭り騒ぎ的な賑やかさで、過去に相談者として登場した生徒たちも含めて、ほぼオールスターキャストが登場。そうそう、鹿野さんシリーズ居たなあ。鹿野と鹿野、名前の読み方が違うんでしたよね。最初は前に出た人なんて覚えてないよー、と思ってたんですが、その人がいざ登場すると、結構覚えてた自分にびっくり。覚えてたというより、思い出したというのが正確なのですが、どういう相談内容で、どういう結果の終わったのかとか、案外スルスルと記憶から蘇ってきたんですよね。うーん、やっぱり毎回5つ星クラスを付与しているだけあって、自分このシリーズやっぱり相当好きみたいですわ。なんでこんなに好きなんだろう、と首をかしげるところなんですが、いざ読み始めるとこれ満点だろう、としか思えなくなるんですよねー。あー、ハマってるなあ。
再登場組みで一番目立ってたであろう人は、間違いなくこの人、鹿野桃子さん。前々から、何気に一番ハッキリとなるたまに対して関心をあらわにしてたのがこの人なんだけど……なんか、桃子さんって数少ないなるたまの見せ場、というかカッコいい場面を目撃するケースが多い気がするんですよね。騙されてる騙されてるw
なんでメインヒロイン衆じゃなくてこの人なんだろう、と思う所なんだけれど、結構なダークホースなのかもしれない。もっとも、今のところは一方通行で可哀想な状態なんだけれど。

逆に、もうなるたまを毛嫌いしまくっているのが、楓さんであり、そしてメインヒロインであるはずの仙波女史。彼女の内心の声を聞いていると、本気でなるたまのこと嫌っているように見えてきて正直困るw 今回なんぞ、なるたまと最後まで顔を合わせる事がなかったのですが、強がってるんじゃなくて本気でなるたまの顔を見なかった事で機嫌良さそうにしてたもんなあw
ところが、肝心のなるたまがその仙波に一番ご執心なんですよね。あそこまで毛嫌いされて、よくまあめげずにつきまとうなあ、と思うけど……ストーカーの資質もあるんじゃないのか、こいつ。

前回の丸々一本の長編と異なり、今回は普段通りに戻っての連作形式だったのですが、これ、一話の「VS演劇部秘剣帖」、面白かったんですけれど、何が面白かったって作中作の時代劇ですよ。演劇の元ネタとなる時代小説の話がかなり面白くって、いやこれ普通に私も原作読みたいんですけどw

シリーズ感想

クロス×レガリア 嵐の王、来たる4   

クロス×レガリア  嵐の王、来たる (角川スニーカー文庫)

【クロス×レガリア 嵐の王、来たる】 三田誠/ゆーげん 角川スニーカー文庫

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人の氣を吸う「鬼仙」の少女ナタ。彼女を護ると決意した馳郎は、莫大な資産と権力の後継者となった。だが義妹のリコに言われて出席した白鳳六家との顔合わせの場で、第四家・空の家の次代当主である北斗がいきなり攻撃を仕掛けてきた。風を操る「おに」=異能者からリコを護るため、馳郎とナタがとる秘策とは?そして戦いの中で互いへの想いを意識し始めた2人の関係は…?さらにスケールアップ、興奮加速の第2巻。
なるほどなあ……いやね、第一巻を読んだ限りだと、まだ馳郎という主人公にどうしてわざわざ「ボディーガード」なる役割を担わせたのかよく分からなかったんですよね。正直言って、鬼仙や「おに」と呼ばれる異能者たちに比べると、馳郎って一段も二段も力落ちるじゃないですか。もちろん、弱者が強者をいてこますというのはカタルシスを得るに一番の展開ですけれども、それって結局どうしても最終局面での話になるじゃないですか。それがボディーガードという仕事だと、わりと冒頭から格上の敵の攻撃を凌いでいかないといけない展開を強いられるわけです。しかも、護衛対象が鬼仙やおにの関係者の場合、馳郎が守る相手の方が馳郎よりも強かったり、優秀だったりするケースが多発するわけですよ。それって、どうにもアンバランスじゃないですか。
そも、馳郎は無辜の一般市民というわけじゃなく、この度白翁という立ち位置に収まったわけですから、特殊な状況に置かれ、鬼仙やおにとトラブルになる理由付けなど探せば枚挙の暇もないですし、だいたい誰か大切な人を守る、という行為など、意志と決意の一つアレば行うに十分なもののはず。
なのに、なんで弱いのに、他に特別な地位を持っているのに、「守る」事を「仕事」としてこなそうとするのか。それも、千円なんて端金で。
その意味が、一巻を読んだ段階ではまだよくわかっていなかったんですよね。それが、この2巻を読み、新たな護衛対象との絡みを見て、ようやく理解できた気がします。何故、馳郎は「ボディーガード」でなけりゃならなかったのか。

一巻のナタも、そしてこの二巻で馳郎に守られる人も、自分の価値を極度に低く見ている、というよりも自分を諦めてしまっている人でした。そして、自分の価値を見失ったまま井戸の底のような暗闇から、ぼんやりと光の差し込む先を見上げているのです。何の価値もない自分と違う、眩しい光に憧れながら。
そして、彼女たちはその憧れのために、容易に自分を使い潰そうとするのです。価値のない自分を費やし尽くして。
そんな彼女たちだからこそ、「守られる」必要があったのです。
力や能力なら、間違いなく馳郎なんかよりも、ナタたちの方が上回っている。ただ、その身を守るなら、馳郎が守る必要なんて何処にもなかった。でも、たとえ弱かろうと、ナタたちには「守られる」必要があったんです。君たちは、誰かに守られてもいいんだよ、と言ってあげる必要があったんです。
無価値なんかじゃない、兵器だろうと関係ない、鬼仙でもおにでも関係ない、ただ一人の人間として、他の誰かに守ってもらってもいい存在なんだ、と伝える必要があったのです。
そのための、馳朗の「ボディーガード」なのでしょう。
つまるところ、彼の仕事の意味とは価値あるもの、大切なものを守るのではなく、守ることで価値を与えること、人としての尊厳を与える事だったんですな。それも、ただ与えるだけじゃない。一方的な強制じゃなく、仕事として依頼を受けるという形を保つことで、自分への諦めを自分の意志で覆すきっかけを与える、自分の心の奥底に眠らせていた、助けてほしいという思いを汲み上げる事が叶っている。
確かに、それは白翁という地位だけでは出来ないこと。ボディーガードという仕事をしてなきゃ無理だよなあ。

とはいえ、本当に弱いだけならボディーガードなんて成り立たないわけで。わりと前回は役立たず度の高かった馳朗だけれど、今回は頑張る頑張る。圧倒的なまでの強敵相手に、圧倒されながらもギリギリの瀬戸際で粘り、土俵際を割らせない。殆ど「カエアン」の機能のおかげとも言えますが、いやもうカエアン万能すぎ! とも思いますけれど、それでもうまいこと使いこなしてるんじゃないでしょうか。その粘り腰たるや、良かった良かった。
そして、此処ぞという場面での勝負強さ。能力が凄いとか、精神が強靭というのとはぜんぜん違う、発想に制限をつけない野放図さ、というべきか、あの馳朗の強味というのは。その上で、異様に徹底的な部分が際立ってるんだもんなあ。ラストのあれなんて、個人要塞(ワンマン・フォートレス)を通り越して、個人要塞都市の領域に達してませんか、あれ?w
ナタが今回、かなり力の行使に制限が付け加えられていた分、だいぶ馳朗は頑張ったんじゃないかと。ナタの強味とも言うべき、アンチ鬼仙戦能力が「おに」相手にはまったく意味が無いというのもあるんでしょうけれど、残りMPを計算しながら、みたいな戦い方だったもんなあ。それはそれで、より戦闘シーンでの戦術濃度が濃くなってテクニカルに面白くなるんですけれど。

先日、助手になったばかりのナタも、こうして見ると息がピッタリあったコンビネーションで。それ以上に、もう一緒にいる時の雰囲気が完全に夫婦レベルなんですがw ナタの気持ちはどうなんだろう、と穿ってたんですが、あのやり取りを見る限りは、もう本心は固まっちゃってるんだ。自分の立場などを鑑みて、押さえつけているようだけれど。三田さんは、わりとカップリングは鉄板で揺らさないので、リコはこのままだと自分で思っているとおりに気持ちは秘めたままになりそうだなあ。
その考えがあったせいか、てっきりリコには早めに別フラグが立てられているのかと思い込んで、全然その素性に疑いを持ちませんでしたよ。わずか二巻で妹キャラに相手できるのか、斬新だなー、と結構驚いてたのに!w
実は結構お似合いで、ニヤニヤできるカップルになるんじゃないかと思ってたのに!w
やられたw

1巻感想

ミスマルカ興国物語 10 4   

ミスマルカ興国物語 X (角川スニーカー文庫)

【ミスマルカ興国物語 10】 林トモアキ/ともぞ 角川スニーカー文庫

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最後の紋章を手に入れるべく、レンキスの遺跡へと向かったマヒロ。そこは冒険者たちから“帰らず神殿”と呼ばれる場所だった。先に訪れていたユリカと共に、早速遺跡の調査を開始したマヒロだったが、これが一筋縄ではいかず!?一方、ノエバ公の依頼によりパリエルたちも紋章を奪取すべく行動を起こすのだが、そこにはあの風牙衆まで加わっていて!?はたして最後の紋章を手に入れるのは誰なのか!?大人気シリーズ第10弾。
実は葉多恵さんもそうだったんだが、まるで昔から居るみたいに登場してくる新キャラって、マスラヲやレイセンではまだ登場してなかったりするんですよね。むしろ、先に此方で顔見せしておいて、それからあちらで出番を得る、みたいな法則になっているのかもしれない。というわけで、ケセランパサランのレイセンにおける登場はまさにこれから、と言うことになるのだろうけれど……旧世界で、いったいなにがあったんだ? と、唖然となるくらいに文明崩壊のひどい有様が、遺跡に残された記憶から明らかになる。
これまで、西の魔王という存在について、【お・り・が・み】や【マスラヲ】で描かれていた存在に基づいて想像をめぐらしていたんだが、もしかして根本的に何か間違っているんじゃないだろうか、という疑念に駆られるようになってしまったじゃないか。
それほど衝撃的な「黒歴史」!!
……決して、ユリカさまのブラック・ヒストリーとは一切関係ありません。
おのれ、まさか【闇の法王】が文字通り、闇の資質を備えていたとは。まさに禁断!! 触れてはいけない領域。そこに踏み込んでしまったマヒロは、闇の深淵を覗いてしまったといえよう。これは果たして、ユリカの弱みとなるのか、それともマヒロが揺さぶっただけで爆発しかねない焦熱爆雷を抱え込んでしまったのか。絶対後者だな。そして、これを姉上に知られてしまうと、あの人絶対面白がって爆発させようとするから、マヒロ・ジ・エンド確定w
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丘ルトロジック 4.風景男のデカダンス3   

丘ルトロジック4  風景男のデカダンス (角川スニーカー文庫)

【丘ルトロジック 4.風景男のデカダンス】 耳目口司/まごまご 角川スニーカー文庫

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唐突に世界が終わってしまう、という妄想をしたことはあるだろうか?―いつものように都市伝説“ビッグフット”を取り返す計画を立てていた丘研メンバーたち。だが江西陀は沈丁花桜の「世界を取り返す」という言葉に不安を感じ、オカルトとして彼女の正体を調べようと、桜丘に相談してきた。一方歓楽街オアシスではカルト集団“セントポーリア”が超巨大勢力として復活し、“黒ミサ”がおこなわれ!?最後の丘ルトが始まる―。
あれ? なんか、感想として書く事は三巻の感想記事でだいたい書いちゃった気がするぞ?
さすがに桜の「世界を取り戻す」という目的の真意と、それを叶えるための手段、非倫理性については思いもよらない形となって現れてきましたが、人間関係の帰結については大枠では三巻までで捉えていた通りの推移をたどってしまったかな、と。尤も、むしろ暴走するのは自分は桜の方じゃなくて咲丘の方だと思ってたんですよね。桜の「世界を取り戻す」という意味は独善ではあってももっと性善に類するものだと思っていたので、むしろ咲丘に桜の方がギタギタに裏切られた結果として健全な人間性を取り戻す、という展開を予想してたんですよね。ハッキリ言って、三巻までの描写だと人間性が破綻しているのは咲丘の方でしか見えませんでしたから。
ぶっちゃけて言うなら、桜の主張はワタシにはよー理解できませんでした。わりとバッサリ、最後に咲丘に弾劾されちゃったりしていますけれど、思春期特有の自我の肥大、という以前の幼稚な現実逃避だったのか。現実を否定するのに内側に篭るのではなく、外側を破壊してやろうという意気は大したものなんですけれど、その手段が神秘とは程遠い、生産性も創造性も皆無に等しいただのテロだったというのにはちょっと失望しましたね。彼女の行為の先に、果たして世界の価値観がひっくり返るような効果があったのか。果たして、「世界」が人間の手から取り戻せたのか、というと、とてもそうは思えませんでしたもの。テロと革命は、やはり異なるものなのですから。桜にはそうしなければならない動機があり、焦らなければならない理由があり、絶望に対して闘争を選ぶ決意があったのは十分に理解できるのですが、彼女には絶対的に希望と未来が存在していなかった。先につなげる意思がなく、彼女は行き止まりのまま完結していた。故にこそ、彼女には破綻と破滅しか残されていなかったのでしょう。残念な話です。
まあだからといって、彼女と相対する事になった咲丘に、何があったのか、と問われるとこちらもさっぱりわからないんですけどね。彼は彼で破綻しすぎていて、桜の裏切りが彼の何を裏切ったのか、正直な所よく分からないんですよ。江西陀や蜂須が、桜に裏切られた、というのはわかるんです。江西陀が丘研に求めていた拠り所、蜂須が抱いていた友情、親愛、信頼を桜が自分の為に裏切った、というのは理解できる。でも、咲丘については、彼が抱いている「風景」への概念がどうしても常識離れしているために、彼が望んでいた丘研の風景がこちらが捉えていた普遍的な風景と一致している気がしなくて、どうも彼の裏切りへの悲嘆に共感が抱けず、結局二人の対立については感情的に置いてけぼりになってしまった気がします。
その点、むしろ読者たる自分の感覚を背負ってくれたのは、ドM勇者たる蜂須の方だったかもしれません。彼が抱えていたトラウマ、過去の傷、そしてそれを踏まえての堅い決意とそれを実践する行動力は、むしろ咲丘よりも主人公らしかったんじゃないでしょうか。端的に言うと、彼については物凄くわかり易かった。理解できやすかった、とも言えます。
だから、蜂須が結果として二股野郎の蜂須ハーレムを築いたところで、むしろやんやと声援を送りたい。ってか、玲儀音と狭いアパートで同棲までしておきながら、萩に堂々と積年の想いを告白する度胸というか厚顔さは賞賛に値する! 挙句、三人で暮らし始めるとか、どんだけ勇者だよ。
なんかもう、蜂須さん勝ち越しってな感じの結末だったような印象さえ。いや、勝ちと言えば最初から最後まで一途に健気に、ひっそりと自分の恋を暖めていた江西陀が、ちゃんと報われたのが一番の勝利でしょう。そんな結末を導いたのですから、桜の闘争にもちゃんと価値があったのではないでしょうか。いやそれどころか、裏切り奪って孤独に世界を取り戻すよりも、与え育み未来へと繋げる事のかなった、よっぽど素敵な勝利だったように思います。
お疲れ様でした、会長。

1巻 2巻 3巻

薔薇のマリア 17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで4   

薔薇のマリア  17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

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エルデン浮上により古代九頭竜の呪いがとけ、地上に凶悪な悪魔と異界生物どもがあふれだし、ついに災厄の時代が幕を開ける。しかし絶望的な状況でも、人間たちは各地で悪魔たちに抵抗を続けるのだった。マリアもまた、不安と恐怖を抱えながらも、持ち前の能力を活かし、新たな仲間たちと日々を生き抜いていた。そんなある日、はぐれていたZOOメンバーの生存情報が!?地獄と化した世界へ踏み出すマリアを待ち受けるものとは!?―。

うわぁぁ、ルーシー……。かすかな希望に縋っていたのだけれど、蘇生術そのものが使えなくなってしまった、となればもう死んだらそれまで。どうあっても彼の死は覆らないことになってしまった。ショックなんてものじゃない、ついにZOOから死者が出てしまうなんて。
とまあ、ルーシーの死を発端にして、てっきり皆殺しショーが始まってしまうのか、と戦々恐々としながら新刊を手にとったのですが、みんな思いの外しぶとい!! かなり深刻に誰が死んで誰が生き残るのか、と構えていましたから、ZOOのメンバーのみならず、ランチタイムの面々をはじめとしてエルデンの主要なメンバーが軒並み生き残り、それだけでなく国家そのものが崩壊してしまうようなカタストロフの中で、か弱い人間たちの反抗の要として重きをなし、皆がバラバラになりながらもそれぞれの場所で戦っている姿には胸が熱くなりました。
特にファニー・フランク。あのホラ吹きのおっさんがここまで人類の明るい希望として輝くとはなあ。いや、前巻でも充分輝いていましたけれど、むしろ悪魔とフリークスによって人間が地上から根絶されようという絶望の中でこそ彼の存在はより輝きだしたように思います。これで色々勘違いしているやつだったら嫌な奴なんですが、このおっさんはちゃんと自分が運がいいだけという自覚があり、頭が悪くバカで弱くて何も出来ないという認識もあって、その上で脳天気にネアカに振舞って、難しいことはマリアや周りの人達に任せている。その上で、ちゃんと責任は自分が取ると明言してるんだから、どれだけバカに見えても大人物ですよ。マリアもバカバカいいながら、結構気に入ってるみたいだし。マリアってトマトクン相手でもそうだけれど、むしろ認めている男相手には悪態つくんですよねえ。まあ、憎まれ口を叩いても胸が痛まないようなキャラ相手だけですけれど。
そうそう、生き残ってて驚いたといえば、女豹の人ですよ。あの人、帝国軍に攻められた時、話の流れからして絶対に剣鬼ジジイとの戦いで死んだと思ってたのに、普通に生き残ってたし。ホントにしぶといなあ。

こういう時だからこそ、より恋の炎は燃え上がるのか、何やらあっちこっちでお熱い雰囲気が。もうユリカが完全にデレっデレで、どうするよこの娘。こんな状況なのに、飛燕と再会してからのイチャイチャしている様子はもう幸せ一直線である。まあ、飛燕もね、頼もしいんですよ。コイツがいたら、当人もユリカも大丈夫だな、という安心感があって、この二人のイチャイチャを見ているとそれだけで癒される。
なんかいい雰囲気になってしまっているといえば……なんか、ベアトリーチェとSIXがえらいことになってるんですが。ってか、誰だよこれ! 挿絵のSIXを見て唖然としてしまった。いや、ほんと誰だよこれw 完全に別人、というか憑物を落とされ浄化された? 或いは悟りでも開いてしまったかのような風貌に。そんな彼が、今やリーチェにベッタリですよ。リーチェはリーチェでなんか満更じゃないみたいだし。まあ、この二人がくっつくのなら、彼女がSIXに負わされた傷の意味も変えられようというものだけれど。 


文字通りの世紀末。悪魔やフリークスが闊歩する世界は、さながらトマトクンやSIXの回想の中で垣間見た、人類の文明が滅びたあとの世界そのものだ。文明が滅び、文化が潰え、歴史が一旦断絶したほどの絶滅期。そんな地獄のような時代を経て、ようやく今のような人間がまだ人間として生きられる世界に辿り着いたというのに、どうやらあの時代を生きていた不死の人間の中には、あの頃に戻りたい、という願望を持っていた輩が居た、と言うことなんだろうか。
ジョーカーやロム・フォウといった離れ離れになっていたZOOのメンバーとも合流でき、ジェードリのメンツまで加わって、ようやく集まれる面々は集まることが出来、これからみんな一緒になんとか出来る、そう思った途端に、肝心のトマトクンがあれですよ。
なんてこったい。
……希望が一気に暗転してしまった。
トマトクンがそれこそ全盛期の彼に戻れれば、これほど頼もしいこともないのだけれど、戻るためのフラグじゃないのか、という希望に今は縋るしかないのがつらい。
そう言えば、殆どオールスターキャストでこれまでシリーズで登場した面々の近況が描かれた中に、コロナとレニィの二人の様子が描かれてなかったんですよね。もしかしたら見逃したのかもしれないですが、描かれてないのだとしたら、心配で仕方がない。この二人は決して強くないもんなあ。頼むからモリーのところにでも無事で居てほしい。

十文字青作品感想

それがるうるの支配魔術 Game4:ロックドルーム・ゴッデス4   

それがるうるの支配魔術  Game4:ロックドルーム・ゴッデス (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術 Game4:ロックドルーム・ゴッデス】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

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夏休みに入り、欧文研のメンバーは合宿と称してタマキの田舎に遊びに行くことに。そこで彼らを出迎えたのは、妙な色気と雰囲気を持つインナミさん。なんと彼女は天候を操る“神様”として村で崇められていたのだ。しかも村祭りの儀式で、タマキさんはインナミさんと二人きりで一晩を共にすることになってしまう。さらに、激怒するるうるたちを尻目に始まった儀式で不可思議な盗難事件まで発生し―!?欧文研は夏合宿も非常識だらけ。
あれ? これって「るうる」? と困惑してしまったほどガラッと雰囲気を変えての第四弾。というのも、舞台がいつもの学校からタマキの田舎に移り、そこには当然のような顔をして「神様」であるインナミさんがふわふわと存在していたのでした。
田舎で「神様」というとすぐに「ゆのはな」とかを思い出してしまうのだが、わりとエロゲーでは定番ネタですよね。意外とライトノベルの方だと少ない気もするが。一迅社から出ていた【ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。】なんかがそれに該当するんでしょうけど、あの作者もシナリオライターでしたし。
とは言え、この「るうる」の世界観には「魔術」は存在しても「神様」なんて存在はいないはず。明らかにインナミさんの存在はイレギュラーなんですよね。でも、彼女の天真爛漫であでやかで、無垢と狡猾が合わさったような人の心の奥底まで見通すような佇まいは、どこか人智を超えた存在で、それ以上に神として奉られ、親しまれ、愛されている彼女の人柄は、そんな違和感を吹き飛ばすような明るい存在感を示しているのでした。
とても、自然なのです。インナミさんがニコニコと笑いながら村の人達と笑顔をかわして闊歩している姿が。その交流にまやかしや裏の思惑など存在していない事は明らかで、決して村人たちが騙され悪いことが起こっているようなことはありません。インナミさまは、ただ村を見守り、穏やかに村人たちを安んじているだけなのでした。
そんな彼女に疑念や粗探しを迫るというのはどうにも無粋な話でしかありません。

そこに嘘があるとして、誰が困っているのでしょう。誰が苦しむことがあるのでしょう。

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ストライクウィッチーズ アフリカの魔女 ケイズ・リポート4   

ストライクウィッチーズ アフリカの魔女  ケイズ・リポート (角川スニーカー文庫)

【ストライクウィッチーズ アフリカの魔女 ケイズ・リポート】 鈴木貴昭/島田フミカネ:本文イラスト:野上武志 角川スニーカー文庫

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灼熱の大地、アフリカ。正体不明の敵・ネウロイに対する人類の防衛拠点であり最前線のひとつ。扶桑皇国の従軍記者・加東圭子は、あるひとりのウィッチを取材するため、この地を訪れていた。そのウィッチこそ「アフリカの星」「黄の14」と呼ばれる稀代のスーパーエース、ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ。灼熱の大地を舞台に、今、新たな物語の幕が開く―。大人気アニメ『ストライクウィッチーズ』待望の外伝、堂々スタート。
どえええええ!? 連合軍第31統合戦闘飛行隊「アフリカ」の誕生って、こんなにグダグダだったの!? ある意味、スミオスの「いらん子中隊」よりもよっぽど酷いじゃないか。
いやあ、驚いた。漠然と見聞きしていた加東圭子が「アフリカ」の隊長になる経緯って、てっきり既にちゃんと成立した部隊の隊長をマルセイユに押し付けられたものだと思ってたんだが、これを読む限り扶桑陸軍のあんまりと言えばあんまりな不祥事のしわ寄せの結果、宙ぶらりんのままアフリカに送り込まれてきた、というよりも捨てられた? 放り出されてしまった整備中隊をおケイさんがゼロから引き受けて、一人で走りまわって各国の協力を取り付けて統合戦闘飛行隊に仕立てあげちゃったという、これ殆どおケイさんが一人で立ち上げたようなもんじゃない。そりゃ、マルセイユも丸投げするわ。そりゃ、事務仕事とか面倒くさいの押し付けたかったのもあるんだろうけど、あれよあれよとゼロから部隊作っちゃったような手際見せられて、しかも階級も上と来たらそりゃコイツに隊長やらせときゃ、事務から逃げられる以上に楽出来るぞ、と思うよなあ。
上にも顔が利く交渉上手と言えば、504のフェデリカ・N・ドッリオ少佐が思い浮かぶけど、どうしてどうして、おケイさんの口八丁手八丁は百戦錬磨じゃないですか。しかも、これ自分の扶桑海戦役でのスーパーエースとしての名望は一切使わず、主にマルセイユのプロマイドや写真を交渉材料に立ち回っていたというのだから面白い。彼女の写真、独自の市場価値が出始めて、戦国時代の茶器みたいな効果まで出始める始末、面白い面白い。
そんなおケイさんの目を通してみるマルセイユも、なかなか興味深い。付き合いが深まるに連れて、最初はどこか神秘的でどこか手を触れるのを躊躇ってしまうような深奥と儚さを併せ持ったような印象だったのが、歳相応のヤンチャでプライドが高くて気分屋で陽気で子供っぽくてお茶目なところのある、可愛い女の子としての一面が見えてくるのだ。おケイさんも、当初は多分に憧憬を含んでいたマルセイユのこと、段々とヤンチャな妹みたいに扱いだしてるんですよ。ああもう、可愛くて仕方ないんだろうなあ、というのがすごく伝わってくる。他のメンバーの稲垣真美も、素直で純朴な妹分でかわいがっているし、ライーサの事もあれで結構面白がってるのが透けて見える。現役時代には挫折を味わい、魔女として辛酸を舐めてきたおケイさんだけれど、この「アフリカ」の隊長職はすごく楽しそうで、充実しているように見えて、何ともよかったなあと思うばかりである。
姉御肌、ってわけじゃないんですけどね。わりと飄々としていて屈託がなく、国の境や階級の上下無くすッと懐に潜り込んでしまうようなところがあって、この時期のアフリカみたいにごちゃごちゃと国際色ゆたかで混沌としている戦場は、彼女には打って付けだったのかなあ。

また、彼女の口から回想として語られる他の魔女たちの話も、いいんですよね。プロフィールはみんなそれなりに知識として知っているものの、おケイさんの口から語られるそれは、ちゃんと生の魔女の人となりを感じさせてくれるのです。魔のクロエこと黒江綾香なんかも、台詞一つナイにも関わらず、ああこの人ってこういう人だったんだ、というのがエピソードから伝わってくる。
ストライクウィッチーズの世界観を、直に感じられたみたいで、ちょっとワクワクさせられました。

野上さんの漫画「アフリカの魔女」とも共通するところがあり、ってそりゃ当然か。あの主計中尉が何故送り込まれてきたのか、なんて裏事情もさらりと載ってたりして、両方比べて読むと新しい発見もあるかも。
そう言えば、ロンメル将軍、ストパン媒体ではここが初登場じゃないのかしら? モンティとパットンは漫画の方に出てましたけど、ロンメル将軍は姿見なかったもんなあ。

いやあ、想像以上に面白かったです。コレに乗じて「アフリカ」のみならず、他の統合戦闘団の話とかも小説で読んでみたいです、はい。

問題児たちが異世界から来るそうですよ? 十三番目の太陽を撃て5   

問題児たちが異世界から来るそうですよ?  十三番目の太陽を撃て (角川スニーカー文庫)

【問題児たちが異世界から来るそうですよ? 十三番目の太陽を撃て】 竜ノ湖太郎/天之有 角川スニーカー文庫

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レティシアが連れ去られたことで始まったギフトゲーム“SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING”。勝利条件がない最悪のゲームの開始とともに、地上では巨人族がアンダーウッドを襲い、天には最強種である龍の純血が雄叫びをあげる。絶対絶命のなか春日部耀は、レティシアがいる吸血鬼の古城に1人乗り込んでいった。十六夜も黒ウサギも手が届かない天上の城で、十三番目の太陽を撃ち、ゲームクリアは出来るのか―。
ちょっ、ちょっとちょっと、ちょっと待ってーーー!! え? なにこれ? いいの? この段階でこんなに面白くていいの!?

どうしよう、どうしよう、もう筆舌しがたいくらい面白いんですけど!?

明らかに物語の展開においてはヤマに至る前。精々、起承転結の起から承に足を踏み入れたくらいなんですよ。アンダーウッド編が始まってから入ってきた情報を鑑みる限り、この物語のスケールからすると明らかにまだ序盤を脱しきっていないんです。
にも拘らず、この段階でここまで盛り上がってここまで面白いって、どういう事なの?! や、ばい。これマジでヤバい。作品のポテンシャル、まじぱねえ。いやいや、はじまった当初からこれは凄い作品になる、スニーカー文庫の看板作品になる、と確信を抱いてはいたけれど、それどころじゃないかもしれない。
まだ過程に過ぎず、途中に過ぎず、場合によっては始まってすらいないのにここまで面白かったら、じゃあこれ以降本格的に話が山場に入ってきたら、どれだけ面白くなるって言うんだ!? 偶々今回が面白かったってんじゃないんですよ。確固とした上へと続いている階段が目の前にそそり立っている。絶対に話が進むにつれてさらに盛り上がっていくのが、もう目の前に道筋として完成している。確信どころじゃない、決定事項として成立している。不安を抱く余地もない、疑念を挟む隙間もない。期待すら抱く必要がない。規定の事実だ。ただただ、次が出てくるのを頭を真っ白にして受け入れるしかないよ、こりゃ。
こんな感覚、初めてだ。

「十三番目の太陽を撃て」
まず、このサブタイトルに引きこまれ、そして本文に入り、開示されたギフトゲーム「SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING」の契約書類の文面を見て全身に電流走る。
まさにここから。あのギアスロールの文面が記載された2ページを開いた瞬間から、読んでるこっちまで「カチリ」とスイッチが入ったのがわかった。ゲームスタート。ここから、際限なく感覚の疾走が始まる。
あとは、奔流に流されるままに!!
ああ、読み終わった今もなお、まだ心臓がドキドキ言ってるよ。一区切りついたとはいえ、まだアンダーウッド編は終わってないっていうのに。

何が起こったのか。誰が何を感じ、何を見つけ、何を成したのかは、是非にこれを読んで直接目撃して欲しい。
この悪辣無劫なギアスゲームの謎解きを。囚われのレティシアに秘められた過去と吸血鬼種族の歴史を、十六夜の活躍を、飛鳥の決意を、耀の見出だす結論を、黒兎の、ペストの、ジンの、グリーやジャック、サラたちの戦いを、殿下と呼ばれる少年とリンたち敵側の暗躍を、余すことなく目撃してほしい。
これほど独り占めにしておきたくて、一人にでも多く見て欲しい面白すぎる物語は久々だ。可能性が、ポテンシャルが、スケールが、間欠泉みたいに噴き出していやがる!!

箱庭世界。十六夜じゃないけれど、なんて素敵で楽しく広々として留まるところも壁もない、最高の世界なんだろう。広い、広い、とてつもなく大きくて高くて深くて天井も底も時間ですらも届かない、自由で揺るぎのない世界観。箱庭世界という名称に、最初に抱いた狭くて窮屈そうなイメージは、今や胡散霧消して何処にもない。
これはどこまでもいける、どこにでもいける、何にでもなれる、解き放たれた最高のフロンティアでの、最高の問題児たちの物語だ。
ああ、ホントに最高に、面白いぞーーーっ!!!!

1巻 2巻 3巻感想

クロス×レガリア 吸血姫の護りかた4   

クロス×レガリア  吸血姫の護りかた (角川スニーカー文庫)

【クロス×レガリア 吸血姫の護りかた】 三田誠/ゆーげん 角川スニーカー文庫

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中華街の片隅で2人は出会った。少年の名は戌見馳郎、トラブル解決を1回千円で請け負う学生ボディガード。少女の名はナタ、自称仙人。ナタを護ると決めた馳郎の、平和な日常はわずか一週間あまりで終わりを告げる。人の氣を喰らう吸血鬼、“鬼仙”と呼ばれる者たちの襲撃。彼らの目的は、鬼仙を無力化できる最強最悪の兵器―ナタを狩ることだった。「レンタルマギカ」の三田誠が描く圧倒的スケールの新シリーズ、開幕。

うははは、こりゃあいい。なんて主人公だ。ある意味、三田誠プロデュースの主人公らしい在り方で方向性としては【レンタル・マギカ】のお兄ちゃん社長の側で、目的を遂げるための手段の問わなさについてはイツキと同等なんだけれど、それにしても突き抜けてる!! 正直、主人公が本気になったあとのやり方には心底ぶったまげた。主人公が真の力に覚醒! という一般的パターンから想起された展開からするならば文字通り180度ベクトルが違ったんだから、あっけに取られてぽかーんと口を大開にしてしまったのも仕方がない。思わず馳郎と相対した敵さんとシンクロして度肝を抜かれてしまったと言っていい。
いやはや、ぶっ飛んでるにも程がある。一周回って大笑いして、あまりの痛快さに拍手喝采打ち上げてしまったよ。偉業の存在や異能の者たちに対して、少数を圧する大勢にして地上最大の繁栄を成立させた人類の力を、種としての力、集団としての力として語られるケースはいくつも見てきたけれど、それをこんな形で濫用するパターンは全く以て初めて見た!!
絶体絶命の閉塞を打ち破る展開は、いずれの場合も胸のすくようなカタルシスを感じるものだけれど、ここまで予想外のやり方でぶち破られると、不意を突かれた分通常よりもぶっ飛んだ気持ちにさせられて、いやはやたまらんね!!
しかし、この馳郎の持つ『真の力』は、滅茶苦茶に扱いが難しすぎて、よくまあ作者もこんなのに手を出したもんだと感心させられる。馳郎自身が直面する『力』の制御、取り扱いの困難さのみならず、物語を進行させる上でもこの『力』はいろいろな意味で便利すぎて、ピーキーすぎるんですよね。作者自身としてもこれは「魔手」すぎる力なんですよね。もっとも、この『力』の扱いについては【レンタルマギカ】を手がけた三田さんなら猛毒とせず劇薬として存分に使い倒してくれるに違いないという信頼感には揺るぎないものがございますが。

そう言えば、【レンタルマギカ】と言えば、あっちのあとがきで本作の紹介をしていた時に匂わせていたのでもしかして、と思っていましたが、何気にあちらと世界観、共通している?
本作に登場するのは主に「鬼仙」という仙人の一種なのですけれど、どうやらそれとは別に協会派の魔法使いなる存在も実在しているらしく、これって間違いなく【レンタルマギカ】サイドですよね? 今のところ何の関係もないとはいえ、世界観が共通しているならばいずれ何らかの形でクロスしてくることも可能性として準備できるわけで、なんだかワクワクしてきますよ!?
そんでもって、面白いのは世界観が共通しているにも関わらずあちらが純然とした魔法の世界に対して、此方のお話は中華の仙術道術であり現代科学と近未来技術のSFの混合/ハイブリッドの世界なんですよ。
ナタたち鬼仙たちが使う鬼宝という仙術兵器は、まさに「宝貝」そのもの。西遊記や封神演義で見たことのある仙具が当たり前のように飛び交うさまは、中華ファンタジー愛好者としては胸熱くなるばかり。
そもそも!! ヒロインのナタからして、その名前の由来となったのはあの中壇元帥・哪吒太子その人である。マジで本物の最終兵器じゃないかい!! こんな名前つけるって鬼仙たちがどれだけ本気でリーサルウェポンのつもりで作ったか理解できるというものである。「乾坤圏」とか「火尖槍」などを、小説の、しかも現代ファンタジーで見受ける機会に恵まれるとは、テンションもあがるわ!
その一方で主人公が身に付けている特殊な服の名前が「カエアン」……これ、SF者ならば即座に気がつくんじゃないでしょうか。ちなみに、私はまだこれ未読なんだよなあ。いや、多分ほんとに子供の頃に読んだかもしれないんだが、全然覚えてなかったw
しかし、わざわざこれに「カエアン」とか名前を付けるあたりに、終盤の展開も相まって、本作が中華ファンタジーとSFの並列混在を然としたお話にしてやるぜ、という強烈な意思表示を感じて、これまたテンションあがってしまいました。それが【レンタルマギカ】とつながっているとなると、さらにワクワクしてくるじゃないですか♪
仙人や吸血鬼の在り方が向こうと結構食い違って言うのもまた興味深い。
ってか、これが吸血鬼モノだったんですよね。全然そんなイメージなかったよ。三田さんが吸血鬼モノを書くとこうなるのか。ってか、血は吸わないもんなあ。ほっぺたペロペロ舐めてただけじゃないか。ぺろぺろぺろ。
ナタはかわいいなあ……。ゆーげんさんのイラストはなかなかに凶悪である。ヒロイン衆も揺るぎないメインのナタに加えて、蓮花に妹ちゃんと強力なのが一揃。蓮花あたりは明らかにヒロインとして強キャラなので、まさかアデリシアみたいにメインを食っちゃうことはなかろうけれど、三田さんはデレさせた後が滅茶苦茶可愛く書きなさるので、色々な意味で戦々恐々ですよ。
という訳で、期待の新シリーズは期待通りにスタートでした。

三田誠作品感想

カレイドメイズ 4.眠れる玉座と夢みる未来予測4   

カレイドメイズ4  眠れる玉座と夢みる未来予測 (角川スニーカー文庫)

【カレイドメイズ 4.眠れる玉座と夢みる未来予測】 湖山真/鵜飼沙樹 角川スニーカー文庫

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カイルたちは、ついにネーフェの失われた記憶を巡る終着点にたどり着く。現代では未踏となっていた、“世界の穴”ことサリストバール喪失遺跡。しかしそこに、“賢者の隻眼”に加え、ロナン帝国軍も介入してくるのだった。二千年前の古代魔法王国滅亡の真相に迫るとともに、それぞれの思惑が交錯しはじめる。そして、カイルとネーフェにも、究極の決断が迫られるのであった。はたして、魔法王国復興の夢と、ふたりの恋の決着は。
明るい国家計画から明るい家族計画に落ち着きまして、姫さま悲願成就おめでとう♪ エピローグ見る限り、ちゃんとやることはやっていらっしゃるようですし、本来の王国復興のための義務から解き放たれ、純粋に愛する男性と子作りに励むようになれて、よかったよかったw
まあここに至るまでに、カイルとネーフェは間に誰も割り込めない相思相愛の関係になっていたわけで、二人にとっての障害は2つ。ネーフェには王国復興を果たさなければならないという王女としての責任と、ネーフェとの関係が政治的な打算によって始まったというカイルのわだかまり、だけだったんですね。それも今回、直接的に王国が復活する可能性をつきつけられる事でネーフェには決断が迫られ、あくまで王女として王国に殉じるか、一人の娘として生きるかを選ぶことによって、決着することに。
これってなかなか酷な話だったんですよね。もし、ネーフェが未来に送られた事が必然であり、厳選された選別の結果だったとしたらともかく、ネーフェは本当にたまたま、偶然に選ばれただけで特に彼女でなければならない理由があったわけじゃなく、ほんの少し何か歯車が違っていたら他の王国民と同じように封印されていてもおかしくはなかったのです。そんなあやふやで心もとない立場で、王国の運命を決断しなければならないという境遇に追いやられた彼女が、結局最後まで心折れる事無く、逃げ出すこともなく、運命に立ち向かい続けたんですから、大したものですよ。おっとりとしてのんきな天然素材ですけれど、芯の強さについては折り紙つきのヒロインでした。そんな彼女に愛される主人公のカイルも、流されること無く自分の意志で大切な物を選択し、それを守るためにがむしゃらになれる、良い意味での頑固者でこれも芯の通った一端の主人公だったなあ。こうして見ると、実にお似合いの二人でした。
そんなメインの二人に比べて、レナートスの残念さはいったいどうしたらいいんだ、というレベルに(苦笑
この男の目先のことしか考えない視野の近眼さ、短絡さは、もう呆れを通り越して愛嬌の次元にまで達してるんですよね。ここまで馬鹿だと、憎らしさも湧いてこない。野心と欲望の塊のくせに、悪意や負の感情とは縁がないのも憎みきれないキャラの要因なんだろうけれど、それでもカイルが親友やめないのは充分心広いと思うぞ。ただ、ビアンカの相手はレナートスよりもヴェンヘルのほうがまだマシだと思う。ビアンカとレナートスがくっつくと、将来的にカイルの両親並みに悲惨な事になりそうだし。うまくいくはず無いじゃない! 絶対子供が苦労するぞw

ストーリーの方はどうやら打ち切り入ってしまったせいか、やや性急な展開で風呂敷まとめに入ってしまいましたね。軍の王弟殿下やミオの師匠なんかは本来なら最終巻よりも前に登場してキャラを掘り下げ、それぞれの目的を匂わせた上でカイルたちと因縁を絡めてから最終章の王国復活編に参戦してくる、という形が自然だったような感じでしたし。それぞれキャラが立っている割に、登場や目的の披露に唐突感があって、作中に気持ちが入っていく前に置いて行かれたみたいなところがありましたし。ちょっとでも前振りあったら、ついに来たな、と此方も居住まいを正せたんでしょうけれど。いきなり打ち切り決まってまとめに入らざるケースでは度々あるんですよね、こういうの。きっちりラストまで流れが組んである分、この手の準備不足は勿体無くて仕方がない。せめて打ち切るにしても二巻の余裕を与えてくれたら、と思わずには居られない。難しい話なんでしょうけどね。
でも、三巻のドタバタ劇のハチャメチャな楽しさを思えば、やっぱり勿体ないですよ。当初期待していた以上の良作へと順調に進化していただけに、なおさらに。
と、勿体ない勿体ないと連呼していますが、いささか最終局面へ突入することへの唐突感が否めない点だけが引っかかるだけで、ネーフェとカイルの関係にも王国の復活についても、ストーリー関係はきっちりと不足なく綺麗に決着に持って行っているので、お話としてはこの終わり方は大変満足でした。作品としてはもっと続いてくれtらうれしかったんですけれどね。
でも、この感じなら次回作も充分楽しませていただけそうです。次に改めて期待したいところです。完結、お疲れ様でした。

シリーズ感想

アリス・イン・ゴシックランド 3.吸血機ドラキュラ4   

アリス・イン・ゴシックランドIII  吸血機ドラキュラ (角川スニーカー文庫)

【アリス・イン・ゴシックランド 3.吸血機ドラキュラ】 南房秀久/植田亮 角川スニーカー文庫

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気晴らしに出かけた舞台の席で、アリスたちはワラキア公と名乗る一人の紳士と出会う。それと時を同じくして発生する連続不審死事件。捜査を始めたジェレミーとイグレインは、被害者が一様に全身の血を抜かれており、首筋に二つの傷がついていることを突き止める。一方、アリスの別人格であるジルは、自らの復讐を果たすべく残る二人の標的を狙っていた。そして、その復讐の刃は、彼女を止めようとしたジェレミーにも向かい―。
 ええええっ!? なんで!? この巻で終わっちゃうってどういう事なんですか!? これからもっと面白くなるってところだったのに。せっかく登場したモリアーティ教授とか、特に暗躍の場面なく終わっちゃったじゃないですか。
ビクトリア朝の霧の王都ロンドンを舞台にした、フィクション・ノンフィクション総ざらえのオールスターキャストで繰り広げられる大活劇もコレにて幕、ということで、さらなる新キャラに加えてこれまで登場したキャラクターも登場しての、文字通りのオールスターでのクライマックスは流石のお祭り騒ぎでしたけれど、この楽しい「遊園地」はもっと長く楽しみたかったなあ。
でも、最後の大活劇がここまでド派手な事になるとは、結構コレ、やりたい放題ですよね。新聞記者のH・G・ウェルズなる人物が意気揚々と登場したときはまさかと思いましたけれど、トライポッドまで出てきた日には、もう「宇宙戦争」どんとこい、である。さすがに火星人までは登場しませんでしたけれど、吸血鬼たちがトライポッド軍団を使うという発想は、収穫云々に絡めても思わずなるほどなあ、と感心してしまいました。トライポッドから触手が伸びて人間を捕獲していくシーンは、映画「宇宙戦争」の図が容易に思い浮かびましたよ。
そんな闇の者、ドラキュラ軍団のロンドン強襲に立ち向かうのは、映画に小説といったフィクションに、歴史上の人物たちを加えたこの時代における人類総連合。ネオ・ヘルファイアクラブの面々も加勢しての大立ち回りは、エンターテインメントの粋とも言えるんじゃないでしょうか。
しかし、ネオ・ヘルファイアクラブって、純粋悪の組織というわけでもなかったんだ。リーダーであるドリアンの見解を聞いている分には、むしろ帝国主義華やかなる時代において国家利益優先ではない世界平和の秩序を必要悪を以て築こうとする組織なんですよね。ドリアンの理想主義なところは、人材マニアっぽいところも含めてなかなか魅力的で、マイクロフトとは全く別の方向のカリスマであり、敵としても味方としてもまだまだ見続けたい人でした。

頑なにジェレミーが自分のテリトリーへ踏み込むのを拒絶していたジルも、思わぬ事からジェレミーに凶刃を振るってしまった事から、復讐と憎悪に凝り固まった信念にヒビが入り、その隙間から歳相応の少女の素顔が、救いを求めるか弱い少女の心が浮かび上がってくる事になります。
一方で、イグレインもまた数少ない気の置けない同性の親友を見舞った運命に打ちのめされることになるのですが、此方は良い意味でも悪い意味でも根性が据わっているというか、弱音を吐かない性格というか、他人に寄りかかるのではなく、首根っこ掴んで引きずり回さずには居られない性格なので、悲しんでも悔やんでもその場で動けなくなることはないんですよね。兎に角突き進む。感情のまま突っ走る。それくらいでないと、ジェレミーの相棒としてはやっていけないのかもしれません。ジェレミーもジェレミーで似た者同士で、常に悠々と余裕たっぷりに突き進むタイプですから、立ち止まっていると置いてかれちゃうんですよね。もっとも、ジェレミーは動けなくなってしまった子はきちんと迎えに行く人でもありますけれど。アリスやジルに対しては、常にそうした庇護者としての立ち振舞いでしたからね。あの過保護っぷりは、イグレインがちょっと拗ねるのもわからなくはない。でも、コンビであり、相棒であり、恋という名のゲームのプレイヤーは、対等以上に対等なイグレインでないといけないんだろうなあ、というジェレミーの気持ちは、あの皮肉交じりで遠慮なしの信頼と擽ったさが混じったような態度からも透けて見えるようでした。もうちょっと「きゃっきゃうふふ」してニヤニヤさせてくれても良かったんですけどねえw

きっと最後まで顔を見せてくれないんだろうなあ、と思っていたシャーロックとワトソンの二人もきっちり登場してくれてしまった時点で、残念ですけれど諦めもつきました。残念ですけどね。もっともっと遊びたかったですけれどね。でも、最後の最後まで見所盛りだくさんで楽しませていただけましたし、満足満足。
面白かったです。

1巻 2巻感想

レンタルマギカ 死線の魔法使いたち4   

レンタルマギカ  死線の魔法使いたち (角川スニーカー文庫)

【レンタルマギカ 死線の魔法使いたち】 三田誠/pako 角川スニーカー文庫

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ついに大魔術決闘が始まり、布留部市各地の戦闘は激化の一途を辿っていく。苦戦を強いられた穂波、アディリシアが、それぞれの決意を胸に切り札を切ろうとするなか、市内を巡る霊脈に異変が発生、戦闘中の魔術師たちの脳裏に、ある光景が映し出される。それは12年前―かつて、いつきが妖精眼と交わった記憶であり、それこそが、すべての“始まり”だったのだ!いつきを取り巻いてきた様々な因縁の謎が、いま明らかに。
うわあ、そうか、そういう事だったのか!!
いつきの邪魔をするかのように大魔術決闘に介入してきた伊庭司の目的がどうしてもわからなくて、その上なぜ隻蓮さんやユーダイクスが伊庭いつきを社長と認めながら伊庭司に従うのか。いつきと同じ、魔法使いが普通に幸せになる世界を目指していると広言しながら、いつきと違っていまいち彼が言う幸せの定義が見えてこない。兎に角、意図するところが霧に隠れたようで得体が知れなくて、不気味に思えてたんですよね。なにか、とんでもない事を企んでいるのでは。真の黒幕、裏のラスボスはこの人なんじゃないのか、とすら疑っていました。
なんでわからなかったんだろう。どうして気づかなかったんだろう、信じてあげられなかったんだろう。この人は、伊庭司という人は「アストラル」の社長だった人なのに。たとえ血が繋がっていなくても、伊庭いつきの父親だというのに。
彼の目的が明らかになったときには、思わず声を上げてしまった。ほんとに、なんでその事について思いが至らなかったんだろうか。いつきたちが言う、魔法使いは幸せになっていい、という範疇にはあの人だって入っていて当然だったというのに、彼の運命をもう無意識に諦めてしまっていたと言われても仕方がない。
そうだよなあ、助けないと嘘だよなあ。見過ごすはずがないもんなあ。
でも、それがいつきの考えだけじゃなく、伊庭司という人の目的であった事に、物凄い安堵を感じたのです。ああ、アストラルは、昔からアストラルのまま、本質的には何も変わっていなかったんだなあ、と。
でも、この時点ではまだ、伊庭司のあり方を意図せずいつきが継いでいた、という一方通行の感慨だったのです。胸打たれたのは、ヘイゼルさんが教えてくれた、伊庭司の本心を知った時。彼が、息子のことをどう思っていたのかが、初めて明かされた瞬間でした。
ああ、この二人。伊庭いつきと伊庭司は、ちゃんと親子だったんだ。考え方や生き方や人間性がソックリとか、似ているとかそういう意味じゃなく、双方向の、ちゃんと愛情が通い合った家族だったんだ。
ちょっと、泣きそうになった。
すべてを見通すいつきの聡明さが、この父親の感情だけをヘイゼルに教えてもらうまで見失っていたのは、多分微笑ましいと分類される事実なのだろう。だって、そんな所も父親と息子の関係らしいじゃないですか。誰の心にも敏感で聡いいつきが、父親が自分に向ける心だけは気がついていなかった、というのは。

これまでずっと、心の引っかかっていたものが拭い去られ、最終回を前にして随分とスッキリしました。思えば、あの人の行く末についても無意識に憂慮していたのかもしれません。何となく読んでいて心が重かったのも、伊庭司の動向や目的が読めないための居心地の悪さから来るものだけじゃなかったんでしょう。あの人がいなくなる事を前提としていたら、そりゃあ心も重くなるってもんです。でも、ちゃんと何とかしてくれると、少なくとも伊庭親子が何とかしようとしてくれているのなら、大丈夫と安心できます。哀しい結末なんてぶっ千切ってくれると、信頼できますから、心も軽くなるってもんです。
さらに、協会や螺旋の蛇の首領の正体。アストラルの竜の真実。いつきの目に赤い種が宿った真相など、これまで謎とされていた件もすべて明かされ、そしてアディが迷っていた魔法への代償の答えも出され、これでラストに向けて必要とされる扉の開放は、殆ど終わりあとは突っ走るだけになったのではないでしょうか。もう、イケイケドンドンです。
しかし、ニグレドとタブラ・ラサの正体についてはちょっと驚いた。そういう発想に基づく存在だったとはなあ。
黄金の夜明け系の魔術結社の位階制度において、サード・オーダー以上の位階は物質的な存在では到達できないとされています。なので、てっきり「魔法になった魔法使い」こそがこの第三団に至る方法だと思ってたんですが、ニグレドとラサの登場であれあれあれ? と首を傾げる事になったんですよね。ふたりとも、まあニグレドはまだ理知的で老成している所があるのでともかく、ラサはどこか幼い精神面も垣間見えて、とても「魔法になった魔法使い」の成功例には見えなかったわけで、じゃあ何なんだ? と頭を悩ませていたのですが、なるほどなあ、逆転の発想だったのか。それに、アディたちの説明によると、真なる意味で魔法使いが魔法になることには成功例が存在しないということになりますし。つまりは、第三団はなるじゃなく作るもの、と言う事だったんだ。いや、しかしそれだと、アディはどうなるんだ? 彼女の説明からすると、どうも抜け道があるような気がするけれど。魔法が誰かに使われなければ魔法足り得ないのなら、使う人が居てくれればいいってこと?

アディの選択は、もう彼女らしいとしか言いようがなく。そうだよなあ、この子なら想いを売り渡すくらいなら未来だけじゃなく自分そのものを対価にしちゃうよなあ。結局、この子は一番大切なものを守りぬいたわけだ。貴方に何の相談もなくこんな決断をしてしまって、ごめんなさい。と、謝ってしまうあたりに、アディがそれこそ身も心もいつきに捧げきってしまっている心底が窺い知れる。
以前からその傾向は強くあったけれど、どうやらいつきの想い人はアディの方で決定かな。なんか、わりと決定的な発言、ありましたしねえ。

さあ、次でこの壮大な魔法使いたちの物語も終結。皆が幸せである結末でありますように。うん、大丈夫大丈夫。

三田誠作品感想

レイセン File4:サマーウォー4   

レイセン  File4:サマーウォー (角川スニーカー文庫)

【レイセン File4:サマーウォー】  林トモアキ/上田夢人 角川スニーカー文庫

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お祓い専門の神霊班といえど、まぎれもなく役所の一部、お盆休みは与えられていた。しかし、社交性もなく、ろくな趣味も持たず、いまだひきこもり留年中のヒデオは、いつものごとくアパートで怠惰な時間を過ごすのみ。ところがある日、女性からかかってきた一本の電話が、ヒデオの人生に新たな契機をもたらすのだった―精霊、巫女、警察官、自衛官、ついでにAIの美少女も登場。ヒデオの長くて熱過ぎる、ひと夏のサバイバルが始まる。
お祓いが専門だとむしろお盆は忙しそうなものなのだが、さすがはお役所様である。いいじゃないか、休みは家でゴロゴロしてたって。引きこもりニートの端くれとしては、たとえ主人公だろうと、話がまったく盛り上がらなかろうが食料の買い出し以外家から一歩も出ないのが礼儀だろうに。この礼儀知らずめ。なに、女に誘われてほいほい温泉旅行なぞに旅立ってしまうんだ。見損なったぜ、ヒキニートの風上にも置けない男である。
という訳で、某映画のタイトルみたいなサブタイトルに、あははははと笑ってたら、中身も某映画みたいな展開に突入してAHAHAHAHA、と笑うしかない御座候。まあかの映画が田舎と電脳空間を舞台にしたものだったのに対して、こちらも電脳戦対決と見せかけてウィル子が盛大にやらかしてくれやがって、それでいいのか!? というある意味映画と真逆の有様に。まあ、ウイルスの方が主人公サイドという時点で逆も逆なのですが。しかし、ウィル子は伊達に電神という神様になったわけじゃなかったんだな。なんか、初めて彼女が神様に昇ったのを実感したハチャメチャな展開だった。さすがにあれは、以前のようなウイルスの時では叶わなかったはず。

しかし、今回はじめて神殺し四家の最後の一つ。既に業を失伝してしまったという天白の家が描かれましたけれど、意外なほどアットホームな家で驚きましたね。まあ、花果菜やアカネが何だかんだと温厚で良い人たちだったのを思えば意外ではないのかもしれませんが。でも天白というと、最初に【お・り・が・み】で出てきた木島キョウジが何しろイカレ狂ったテロリストだっただけに、第一印象が悪かったんですよ。
天白に限らず、こうして振り返ってみると神殺し四家は何だかんだと牧歌的……と、貴瀬家や名古屋河家を口が裂けてもそうは言えんかw でもまあ、大きなゴタゴタが無くなった今の四家はみんなわりと家庭も落ち着いていて平穏なんですよねえ。平和っちゃ平和なんだろうなあ。これも鈴蘭が頑張ったおかげなんでしょうが。

ハーレムハーレム言われますが、ヒデオ、実はちゃんと男の友達も事件を経るたびにゲットしているのです。さり気なく交友関係が偉いことになってる気もしますが。鈴蘭とはまた別の方向で着々と人脈築いているよなあ、ヒデオも。
これまでヒデオに対して胡乱な目で見ていた桃条さんも、見る目が変わってきたようですし。まだまだ本気じゃないでしょうが。その点、花果菜はわりと今回の一件を通じてマジになってきた気がするぞ。

そんな夏戦争の後日譚にて、妹来襲……妹!!? え? マジでそんなの居たの!? 実家から見捨てられて勘当同然の扱いだったヒデオでしたが、家族構成で妹居るって情報ありましたっけ?
しかも、普通の妹だー! このシリーズで普通の人を見るのって初めてじゃないのか? そんな普通の妹と、たまたま偶然同じタイミングでヒデオの家に遊びに来た四人の女性たち。
修羅場であるww
ヒデオも折角ニートを脱して、公務員になれたというのに、ちゃんと就職できました、と家族に伝えられないのは辛いよなあ。それが妹たちのために自分で選んだ結果だとしても。個人的には、ここで真実を伝えるかどうか悩むヒデオに、ノアレがきちんと真面目にアドバイスを送っていたのが印象的でした。ノアレって、普段はふざけているし、ヒデオがピンチに陥っても大概傍観者的な立場で事態を楽しんでいるのを広言して憚らないのだけれど、ヒデオが本気で困ったときや真剣に悩んでいるときには茶化さずに助言してくれたり、示唆をくれるのですよね。それを見ると、ノアレって結構ヒデオに親身になってるよなあ、と思うのです。まあこれって、ノアレに限らず彼に接する人は多かれ少なかれ、ヒデオに対して親身になっちゃうようですが。
今回だって、ヒデオのあの放言、絶対あとで全員にシバカれるかと思ってたのに、あっさり酒の席での発言と誰も咎めず水に流しちゃったくらいですし。あれは、みんなが大人だったと言われればそれまでなんですが、好いた惚れたを抜きにして、今回のみんなの対応はヒデオに親身で優しかったなあ、となんだかほんわかしてしまいました。

そう言えば、ついにタイトルの【レイセン】の意味が作中に出てきましたね。って、前にも出てましたっけ? 覚えてないや。ともあれ、レイセンの成立がこのシリーズの一区切りになるんでしょうか。もうしばらく続きそうな気もしますが。

林トモアキ作品感想

それがるうるの支配魔術 Game3:ファミリアル・リドル4   

それがるうるの支配魔術  Game3:ファミリアル・リドル (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術 Game3:ファミリアル・リドル】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

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学園内で最近語られる“三不思議”。中途半端な数字だが、実際に被害者も出ていて、ネット上の『噂屋』でも色々情報が出回っているらしい。「不思議=特別な魔術=兄への手がかり」という方程式を確立したるうるがその話を聞いたら、また面倒なことに「タマキ、調べにいくの!」…なっちまったようだ。しかし調査しているのが、欧文研を目の敵にしはじめたアイツのバレるとマズイのだが?不思議の中に巧妙に隠された真実とは!?―。
やっぱり面白いなあこれ。このお話では、相手との対決はゲームのルールを確認しあい、号令に寄って始まるものではなく、相手によって規定されたルールの中に取り込まれる事で既に始まっていて、主人公たちはまず自分たちが知らないルールを押し付けられている事に気づかなくてはならず、気づいても相手が規定したルールの内側から、一体何が現実を歪めた間違いなのか、を探り出し見つけ出さなければならない。この間違い探しが抜群に面白いんですよね。普通のまちがい探しと違うのは、範囲指定をしてくれないところ。一体どの段階から誤認が仕込まれているか、まるでわからない。場合によっては前提から既にひっくり返されていた、なんてことすらあるのだから油断も隙もあったものじゃない。
虚々実々入り混じる、何が嘘で何が本当かわからない日常の中で、タマキたちがこれだけは揺るぎない正答だと信じて拠り所にしているものが、欧文研の仲間同士の絆だ。もっとも、それとて幾つモノ上書きされたルールに寄って真実は覆い隠され、想いはすれ違い、正しいものであるからこそ背を向けなければという脅迫観念に突き動かされることもある。言わば、これが想いの間違いなのだろう。それを一つ一つ、それは違う、誤認である、と指摘して歪められたルールを打ち破り、真実を取り戻しているのがタマキであり、この作品の一巻一巻の物語の根幹なんだろうと思う。一巻のるうる。二巻の碓氷。そしてこの三巻の言乃といった風情に。実のところ、その想いの誤認を破ることについては、タマキの魔術の理を破る能力によるものじゃないんですよね。勿論、彼の能力は事態を打開するのに必要不可欠なものであり、切り札として作用しているものですが、言乃たちの想いの誤認を破ったのは決して能力による作用でもなんでもない事は、犬海丸という少年の魅力の理の一柱として覚えておいていいものだと思います。
特に、らしくない言乃の様子に苛立ちをあらわにしていたところは良かったなあ。もうね、彼の中には言乃という少女はこうあるべきだ、という理想像があるんですよ。それはある意味勝手なイメージの押し付けではあるんだけれど、時のその押し付けって大事だったりするんですよね。その人が、自分を見失っている時などは特に。
タマキは決して押し付けがましい人間じゃないんだけれど、ここぞという時に強引になれる、というのはなかなかカッコいい男だと思ったのでした。
そりゃ、深い付き合いの相手には、男女を問わず慕われるわ。盲信ではなく、全幅の信頼を寄せられる相手って、掛け替えのないものですもんね。

注意深く読んでいると、作中のあらゆるところに伏線やキーワードが仕込まれていて、ピースがハマると途端に大きな景色が広がるような……なんというか「ぶわっ!」と視界が広がる感覚が凄まじい解放感を得られて、気持ちいい作品なんですよね、これ。真相が明らかになった時の、すとんと腑に落ちるロジカルな充足感。まさに謎解きの醍醐味です。
あとは、もうちょっとラブコメ濃度が増えてくれるとなおよし。今回は言乃がメインだったことで逆に言乃さんがそれどころじゃなくいっぱいいっぱいだったので、いつもの言乃のエロ可愛さが堪能出来なかったからなあ。
ただ、今回で言乃のくびきがなくなったことで、より積極性が高まったのではないかと思われるフシがあるので、今後の攻勢が楽しみすぎるのですよ、はい。

1巻 2巻感想


ザ・スニーカーウェブにて、るうるの短編が掲載されている模様。今回は本編になかったルールザ・ルールのお話だそうですので、まずは一舐めしてみますか。

子ひつじは迷わない うつるひつじが4ひき4   

子ひつじは迷わない  うつるひつじが4ひき (角川スニーカー文庫)

【子ひつじは迷わない うつるひつじが4ひき】 玩具堂/籠目 角川スニーカー文庫

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“なるたま”こと成田真一郎と佐々原は、会長命令で一緒に泊まり込みアルバイトにやってきた。そこは“万鏡館”という名前とは裏腹に一切鏡がなく、中も外も全て白と黒で統一された不思議な世界。なぜかそこから仙波も現れ―!?館の主人である美少女が「鏡を見る」ことを禁じたワケは?そして彼女の不可解な言動に隠された一族の秘密とは!!抜け出せない館で次第に疑心暗鬼に陥る子ひつじたちを救うため、仙波が館の謎に挑む。
子ひつじ、まさかの長編館もの。学園日常ミステリーという体裁だっただけに、思い切った舞台転換だった。その甲斐あってか、思いの外じっくりとなるたまと三人のヒロインズ、仙波、佐々原、岬先輩との人間関係の距離感を掘り下げられたのではなかろうか。と言っても、一方的に外側から彼ら彼女らの関係を観察して捉えていく、という作業ではなく、あくまで彼女たち自身がなるたまと自分との関係や距離感を改めて見つめ直し、どこか感覚的、なんとなくで維持してきたものについて、自ら直視し考え、自覚的に彼との関係は今どうなっているのか、自分はどうしたいのか、これからどうしていくべきなんだろう、という具体的な見地や将来の方向性を見出す形として整えていたのは、この【子ひつじは迷わない】らしいアプローチだなあ、と感心させられた。
尤も、肝心のなるたまはその辺りまったく意識もしていないのはご愁傷様、というべきか何なのか。この子はもうちょっと周りの女の子に自分がどう見られているのかについて意識すべきだよね。深く考えていないものだから、例えば岬会長にあんな冗談かませちゃうわけで……。
なるたま、絶対自分がどれだけ特大の地雷踏みぬいたか、わかってないんだろうなあ。今回、佐々原と仙波の二人を中心に描かれていたので、岬姉については一先脇に置かれたままだったのですが、何気に一番とんでもない変化を迎えてしまったのって岬姉なんじゃないのかな。
あの一件以降のらしくない大人しさを鑑みると、ねえ。これまで、会長はなるたまを弟分としてしか見ていなくて、少なくとも異性としては全く意識していなかったはず。なるたまがエラいことになった時にめちゃくちゃ動揺してキャラ壊れまくってたのを思い返すと、無意識ではどうだったかはわからないけれど。
でも、あのなるたまの仕出かした一件は、岬姉に自分と彼が単なる男と女である事を意識させるには十分だったわけで……直後の無反応にすら見えた放心や、なるたまの言動へのマジギレ、その後の妙に距離を置いて伺うような、考えこむような様子を見てると……ねえ?
これ、本当に次回以降、とんでもない事になるかも。

と、竹田岬関係のお楽しみは次回以降に取っておくとして、今回の目玉は「ついに仙波、デレる!?」である……ねーよ!!
いや、まあうん、相対的に見たらこれ……デレた? と言っても良いのかもしれないけれど、あまりに微細すぎるよ!! ってか、これでデレって、これまでどんだけなるたま嫌われ排斥されてたんだよ、という話ですよね。
極端に言うと、仙波がやっと自分がなるたまに影響されてちょっと変わりつつ在る、というのと彼のケースによっての有用性を認めただけで、なるたまのことを意識したわけでも、彼と打ち解けたわけでも、彼に好意を抱いたわけでも見なおしたわけでもないという……やっぱり厳しいな、おい!
今更ながら、どうしてこんなキツい娘につきまとうのか、なるたまのM度が気になるところ。

一方で、佐々原の方はもうちょっと自分となるたまとの関係性の名付けについて深く悩んでいた様子。誰かさんが余計なことを言ったお陰で、万鏡館という精神を揺さぶる特殊な環境も相まって、なにやら思考が悪い方へ悪い方へと流れてしまう始末。あの子からしたら、別に意地悪なんかじゃなくてちゃんと考えなさいよ、という誠実な忠告だったのかもしれないけれど、タイミングが悪かったんだろうな。
それに、結果としてなんとなく維持してきたなるたまとの距離感について、自分を見つめ直してちゃんと答えを導き出そうとできたみたいだし。結論が出たかは、ちょっと判断しづらいですけどね。でも、あそこまで考えとらえてしまった以上、今まで通り、とはいかないんだろうなあ。佐々原ってあれでヘタレたところはなく、それどころか思い立ったら動いてしまうような行動力もあるので、気づいた以上ちゃんと確かめなくては気が済まない形になりそうな……。

会長の件もあるし、これ次回結構激しく動くのか、もしかして?

連続殺人事件が起こるわけでも、誰かの悪事が暴かれて破滅したりするわけでも、最後に館が炎上してしまうわけでもないのだけれど、人間の心理を一枚一枚薄皮をひっぺがし、別のところにはりつけるみたいな微細でとろけるような没頭感を得られる不思議なノリの話で、なんだかんだと普段と雰囲気違うけれど面白かったな。

会長がおとなしかった分、余計に怪しい雰囲気で進んだ館編でしたが、その分ひとりで妹メイドことサトウが孤軍奮闘で賑やかしてくれて、楽しかった。仙波との仲も思ったよりも悪くなかったんだな。というか、仙波が意外と妹に甘かったのには驚いた。わりと厳しい、辛辣なイメージあったので。サトウもまあ、お姉ちゃん好き好きだのう。

1巻 2巻 3巻感想

問題児たちが異世界から来るそうですよ? そう……巨龍召喚4   

問題児たちが異世界から来るそうですよ?  そう……巨龍召喚 (角川スニーカー文庫)

【問題児たちが異世界から来るそうですよ? そう……巨龍召喚】 竜ノ湖太郎/天之有 角川スニーカー文庫

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幻獣が多く住むという南の“龍角を持つ鷲獅子”連盟から届いた収穫祭への誘い。問題児たち3人は南へ何日行けるかの権利をかけ、ゲームで争うことに!ゲームの結果、南へ向かった黒ウサギ一行は、新種の植物ブラック★ラビットイーターに遭遇した。黒ウサギが触手に襲われる!?なんて遊んでいたら、南を一度滅ぼしかけた魔王の残党である巨人が襲ってきて!そしてノーネームに残った問題児(誰だ!?)の秘密が明かされる。

これは、参った。十六夜のこと、この時点でもとんでもない奴だと感嘆していたつもりだったんだが、まだまだ見縊ってた。
規格外の力を持ちながら、そのパワーに振り回されない理性と知性。ただ暴れたいだけの野卑たる暴君ではなく、相手を立てるような心配りまで出来る処世と甘やかさない優しさを持った隙の見当たらない大気者としての十六夜は、既に二巻までで理解していたつもりだったんですけどね。
彼の凄さは、その才そのものじゃなかったんですね。むしろ、その心栄えにあったことをこの間で目の当たりにしてしまった。
彼の過去語り、箱庭世界に来る前のエピソードで彼が語った言葉は衝撃的ですらあった。十六夜は、彼の存在を受け止めきれなかった世界を拒絶せず、厭わず、忌まず、憎まず、呪わず、倦まず、嫌わずに、愛していたのだ。美しいものとして愛しみ慈しんでいたのだ。それどころか、その途方も無い力を、笑って胸を張って埋もれさすつもりだったのだ。退屈に欠伸を漏らしながら、彼を受け止め切れない世界の中で静かに埋没していくつもりだったのだ。愛する世界を壊さないために。

シリーズ冒頭の、箱庭世界に来る引鉄になった手紙の内容と十六夜の反応から、てっきり十六夜は自分の器に収まらない世界に見切りをつけて、見捨てて、振り返るものもなく嬉々として飛び出してきたと思ってたんですよね。そこには、元いた世界に対する不満、倦怠、嫌悪を抱き、窮屈に自分を押し込めていた事に対する仄かな憎しみすら持っているものだと思っていた。元いた世界には、未練も後ろ髪惹かれるような相手も居らず、そこに残してきた過去は彼にとって膿んだ記憶でしかなかったのだと思っていた。
それなのに、この子は、一生涯を腐って過ごしてイイと言ってのけるほどにこの世界を好きだと言ったのだ。
参った。正直、痺れた。
この少年の心を、ここまでに育て上げた金糸雀という人は、本当にとんでもない人だったんだな。黒ウサギが尊崇し、十六夜が今なお敬愛し続けているのもよくわかる。
そして、この人は結局、十六夜とノーネーム両方に贈り物を与えた事になるのだろう。十六夜には、自分の限界を底の底まで楽しめる次の世界を。そしてノーネームには自分の代わりに新たな希望を。まさにギフト――贈り物であり、祝福だ。
大好きな世界と大切な人たちを残し、箱庭世界へと旅立った十六夜――そう、この少年は元居た世界を捨ててきたわけでも逃げ出してきたわけでもなく、ちゃんと別れを告げて旅立ってきたんだな。だからこそ、彼は強い。置いてきたものは良い思い出ばかりだから、彼の足取りに重石となるものは何も無いのだろう。
無敵だよ、この子は。

そんなある意味、もう金糸雀によって完成されている十六夜と比べて、飛鳥と耀はむしろこの箱庭世界に来てからこそがスタートラインだったのだろう。同じ位置からスタートしたんじゃなくて、きっと最初から差があったんだな。力の差ではなく、きっと心の置き方で。だから、彼女たちの成長はこれからであり、ずっと先をゆく十六夜を悔しさに歯を食いしばり、追いかけていくしかないのだ。負けたくないなら、追いかけるしかない。そして、この娘さんたちは、とっても負けず嫌いなのである。
耀に最後に示された彼女のギフトの可能性。それは多分、単純なパワーアップの要素じゃなくて、彼女の心のあり方が定まったときにこそ、その力の使い方がわかるような、そんな感じの代物のような気がする。
負けるな、女の子たち。

結局、サブタイトルの話は最後の最後に開陳。これって、ある意味前後編ってことじゃないのかしら?
いずれにしても、盛り上がってまいりましたーー!!

1巻 2巻感想
 
11月26日

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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(エンターブレイン)
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(ドラゴンノベルス)
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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11月4日

(ジャンプコミックス)
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(JUMP j books)
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(ジャンプコミックス)
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