角川スニーカー文庫

クロス×レガリア 嵐の王、来たる4   

クロス×レガリア  嵐の王、来たる (角川スニーカー文庫)

【クロス×レガリア 嵐の王、来たる】 三田誠/ゆーげん 角川スニーカー文庫

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人の氣を吸う「鬼仙」の少女ナタ。彼女を護ると決意した馳郎は、莫大な資産と権力の後継者となった。だが義妹のリコに言われて出席した白鳳六家との顔合わせの場で、第四家・空の家の次代当主である北斗がいきなり攻撃を仕掛けてきた。風を操る「おに」=異能者からリコを護るため、馳郎とナタがとる秘策とは?そして戦いの中で互いへの想いを意識し始めた2人の関係は…?さらにスケールアップ、興奮加速の第2巻。
なるほどなあ……いやね、第一巻を読んだ限りだと、まだ馳郎という主人公にどうしてわざわざ「ボディーガード」なる役割を担わせたのかよく分からなかったんですよね。正直言って、鬼仙や「おに」と呼ばれる異能者たちに比べると、馳郎って一段も二段も力落ちるじゃないですか。もちろん、弱者が強者をいてこますというのはカタルシスを得るに一番の展開ですけれども、それって結局どうしても最終局面での話になるじゃないですか。それがボディーガードという仕事だと、わりと冒頭から格上の敵の攻撃を凌いでいかないといけない展開を強いられるわけです。しかも、護衛対象が鬼仙やおにの関係者の場合、馳郎が守る相手の方が馳郎よりも強かったり、優秀だったりするケースが多発するわけですよ。それって、どうにもアンバランスじゃないですか。
そも、馳郎は無辜の一般市民というわけじゃなく、この度白翁という立ち位置に収まったわけですから、特殊な状況に置かれ、鬼仙やおにとトラブルになる理由付けなど探せば枚挙の暇もないですし、だいたい誰か大切な人を守る、という行為など、意志と決意の一つアレば行うに十分なもののはず。
なのに、なんで弱いのに、他に特別な地位を持っているのに、「守る」事を「仕事」としてこなそうとするのか。それも、千円なんて端金で。
その意味が、一巻を読んだ段階ではまだよくわかっていなかったんですよね。それが、この2巻を読み、新たな護衛対象との絡みを見て、ようやく理解できた気がします。何故、馳郎は「ボディーガード」でなけりゃならなかったのか。

一巻のナタも、そしてこの二巻で馳郎に守られる人も、自分の価値を極度に低く見ている、というよりも自分を諦めてしまっている人でした。そして、自分の価値を見失ったまま井戸の底のような暗闇から、ぼんやりと光の差し込む先を見上げているのです。何の価値もない自分と違う、眩しい光に憧れながら。
そして、彼女たちはその憧れのために、容易に自分を使い潰そうとするのです。価値のない自分を費やし尽くして。
そんな彼女たちだからこそ、「守られる」必要があったのです。
力や能力なら、間違いなく馳郎なんかよりも、ナタたちの方が上回っている。ただ、その身を守るなら、馳郎が守る必要なんて何処にもなかった。でも、たとえ弱かろうと、ナタたちには「守られる」必要があったんです。君たちは、誰かに守られてもいいんだよ、と言ってあげる必要があったんです。
無価値なんかじゃない、兵器だろうと関係ない、鬼仙でもおにでも関係ない、ただ一人の人間として、他の誰かに守ってもらってもいい存在なんだ、と伝える必要があったのです。
そのための、馳朗の「ボディーガード」なのでしょう。
つまるところ、彼の仕事の意味とは価値あるもの、大切なものを守るのではなく、守ることで価値を与えること、人としての尊厳を与える事だったんですな。それも、ただ与えるだけじゃない。一方的な強制じゃなく、仕事として依頼を受けるという形を保つことで、自分への諦めを自分の意志で覆すきっかけを与える、自分の心の奥底に眠らせていた、助けてほしいという思いを汲み上げる事が叶っている。
確かに、それは白翁という地位だけでは出来ないこと。ボディーガードという仕事をしてなきゃ無理だよなあ。

とはいえ、本当に弱いだけならボディーガードなんて成り立たないわけで。わりと前回は役立たず度の高かった馳朗だけれど、今回は頑張る頑張る。圧倒的なまでの強敵相手に、圧倒されながらもギリギリの瀬戸際で粘り、土俵際を割らせない。殆ど「カエアン」の機能のおかげとも言えますが、いやもうカエアン万能すぎ! とも思いますけれど、それでもうまいこと使いこなしてるんじゃないでしょうか。その粘り腰たるや、良かった良かった。
そして、此処ぞという場面での勝負強さ。能力が凄いとか、精神が強靭というのとはぜんぜん違う、発想に制限をつけない野放図さ、というべきか、あの馳朗の強味というのは。その上で、異様に徹底的な部分が際立ってるんだもんなあ。ラストのあれなんて、個人要塞(ワンマン・フォートレス)を通り越して、個人要塞都市の領域に達してませんか、あれ?w
ナタが今回、かなり力の行使に制限が付け加えられていた分、だいぶ馳朗は頑張ったんじゃないかと。ナタの強味とも言うべき、アンチ鬼仙戦能力が「おに」相手にはまったく意味が無いというのもあるんでしょうけれど、残りMPを計算しながら、みたいな戦い方だったもんなあ。それはそれで、より戦闘シーンでの戦術濃度が濃くなってテクニカルに面白くなるんですけれど。

先日、助手になったばかりのナタも、こうして見ると息がピッタリあったコンビネーションで。それ以上に、もう一緒にいる時の雰囲気が完全に夫婦レベルなんですがw ナタの気持ちはどうなんだろう、と穿ってたんですが、あのやり取りを見る限りは、もう本心は固まっちゃってるんだ。自分の立場などを鑑みて、押さえつけているようだけれど。三田さんは、わりとカップリングは鉄板で揺らさないので、リコはこのままだと自分で思っているとおりに気持ちは秘めたままになりそうだなあ。
その考えがあったせいか、てっきりリコには早めに別フラグが立てられているのかと思い込んで、全然その素性に疑いを持ちませんでしたよ。わずか二巻で妹キャラに相手できるのか、斬新だなー、と結構驚いてたのに!w
実は結構お似合いで、ニヤニヤできるカップルになるんじゃないかと思ってたのに!w
やられたw

1巻感想

ミスマルカ興国物語 10 4   

ミスマルカ興国物語 X (角川スニーカー文庫)

【ミスマルカ興国物語 10】 林トモアキ/ともぞ 角川スニーカー文庫

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最後の紋章を手に入れるべく、レンキスの遺跡へと向かったマヒロ。そこは冒険者たちから“帰らず神殿”と呼ばれる場所だった。先に訪れていたユリカと共に、早速遺跡の調査を開始したマヒロだったが、これが一筋縄ではいかず!?一方、ノエバ公の依頼によりパリエルたちも紋章を奪取すべく行動を起こすのだが、そこにはあの風牙衆まで加わっていて!?はたして最後の紋章を手に入れるのは誰なのか!?大人気シリーズ第10弾。
実は葉多恵さんもそうだったんだが、まるで昔から居るみたいに登場してくる新キャラって、マスラヲやレイセンではまだ登場してなかったりするんですよね。むしろ、先に此方で顔見せしておいて、それからあちらで出番を得る、みたいな法則になっているのかもしれない。というわけで、ケセランパサランのレイセンにおける登場はまさにこれから、と言うことになるのだろうけれど……旧世界で、いったいなにがあったんだ? と、唖然となるくらいに文明崩壊のひどい有様が、遺跡に残された記憶から明らかになる。
これまで、西の魔王という存在について、【お・り・が・み】や【マスラヲ】で描かれていた存在に基づいて想像をめぐらしていたんだが、もしかして根本的に何か間違っているんじゃないだろうか、という疑念に駆られるようになってしまったじゃないか。
それほど衝撃的な「黒歴史」!!
……決して、ユリカさまのブラック・ヒストリーとは一切関係ありません。
おのれ、まさか【闇の法王】が文字通り、闇の資質を備えていたとは。まさに禁断!! 触れてはいけない領域。そこに踏み込んでしまったマヒロは、闇の深淵を覗いてしまったといえよう。これは果たして、ユリカの弱みとなるのか、それともマヒロが揺さぶっただけで爆発しかねない焦熱爆雷を抱え込んでしまったのか。絶対後者だな。そして、これを姉上に知られてしまうと、あの人絶対面白がって爆発させようとするから、マヒロ・ジ・エンド確定w
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丘ルトロジック 4.風景男のデカダンス3   

丘ルトロジック4  風景男のデカダンス (角川スニーカー文庫)

【丘ルトロジック 4.風景男のデカダンス】 耳目口司/まごまご 角川スニーカー文庫

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唐突に世界が終わってしまう、という妄想をしたことはあるだろうか?―いつものように都市伝説“ビッグフット”を取り返す計画を立てていた丘研メンバーたち。だが江西陀は沈丁花桜の「世界を取り返す」という言葉に不安を感じ、オカルトとして彼女の正体を調べようと、桜丘に相談してきた。一方歓楽街オアシスではカルト集団“セントポーリア”が超巨大勢力として復活し、“黒ミサ”がおこなわれ!?最後の丘ルトが始まる―。
あれ? なんか、感想として書く事は三巻の感想記事でだいたい書いちゃった気がするぞ?
さすがに桜の「世界を取り戻す」という目的の真意と、それを叶えるための手段、非倫理性については思いもよらない形となって現れてきましたが、人間関係の帰結については大枠では三巻までで捉えていた通りの推移をたどってしまったかな、と。尤も、むしろ暴走するのは自分は桜の方じゃなくて咲丘の方だと思ってたんですよね。桜の「世界を取り戻す」という意味は独善ではあってももっと性善に類するものだと思っていたので、むしろ咲丘に桜の方がギタギタに裏切られた結果として健全な人間性を取り戻す、という展開を予想してたんですよね。ハッキリ言って、三巻までの描写だと人間性が破綻しているのは咲丘の方でしか見えませんでしたから。
ぶっちゃけて言うなら、桜の主張はワタシにはよー理解できませんでした。わりとバッサリ、最後に咲丘に弾劾されちゃったりしていますけれど、思春期特有の自我の肥大、という以前の幼稚な現実逃避だったのか。現実を否定するのに内側に篭るのではなく、外側を破壊してやろうという意気は大したものなんですけれど、その手段が神秘とは程遠い、生産性も創造性も皆無に等しいただのテロだったというのにはちょっと失望しましたね。彼女の行為の先に、果たして世界の価値観がひっくり返るような効果があったのか。果たして、「世界」が人間の手から取り戻せたのか、というと、とてもそうは思えませんでしたもの。テロと革命は、やはり異なるものなのですから。桜にはそうしなければならない動機があり、焦らなければならない理由があり、絶望に対して闘争を選ぶ決意があったのは十分に理解できるのですが、彼女には絶対的に希望と未来が存在していなかった。先につなげる意思がなく、彼女は行き止まりのまま完結していた。故にこそ、彼女には破綻と破滅しか残されていなかったのでしょう。残念な話です。
まあだからといって、彼女と相対する事になった咲丘に、何があったのか、と問われるとこちらもさっぱりわからないんですけどね。彼は彼で破綻しすぎていて、桜の裏切りが彼の何を裏切ったのか、正直な所よく分からないんですよ。江西陀や蜂須が、桜に裏切られた、というのはわかるんです。江西陀が丘研に求めていた拠り所、蜂須が抱いていた友情、親愛、信頼を桜が自分の為に裏切った、というのは理解できる。でも、咲丘については、彼が抱いている「風景」への概念がどうしても常識離れしているために、彼が望んでいた丘研の風景がこちらが捉えていた普遍的な風景と一致している気がしなくて、どうも彼の裏切りへの悲嘆に共感が抱けず、結局二人の対立については感情的に置いてけぼりになってしまった気がします。
その点、むしろ読者たる自分の感覚を背負ってくれたのは、ドM勇者たる蜂須の方だったかもしれません。彼が抱えていたトラウマ、過去の傷、そしてそれを踏まえての堅い決意とそれを実践する行動力は、むしろ咲丘よりも主人公らしかったんじゃないでしょうか。端的に言うと、彼については物凄くわかり易かった。理解できやすかった、とも言えます。
だから、蜂須が結果として二股野郎の蜂須ハーレムを築いたところで、むしろやんやと声援を送りたい。ってか、玲儀音と狭いアパートで同棲までしておきながら、萩に堂々と積年の想いを告白する度胸というか厚顔さは賞賛に値する! 挙句、三人で暮らし始めるとか、どんだけ勇者だよ。
なんかもう、蜂須さん勝ち越しってな感じの結末だったような印象さえ。いや、勝ちと言えば最初から最後まで一途に健気に、ひっそりと自分の恋を暖めていた江西陀が、ちゃんと報われたのが一番の勝利でしょう。そんな結末を導いたのですから、桜の闘争にもちゃんと価値があったのではないでしょうか。いやそれどころか、裏切り奪って孤独に世界を取り戻すよりも、与え育み未来へと繋げる事のかなった、よっぽど素敵な勝利だったように思います。
お疲れ様でした、会長。

1巻 2巻 3巻

薔薇のマリア 17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで4   

薔薇のマリア  17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

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エルデン浮上により古代九頭竜の呪いがとけ、地上に凶悪な悪魔と異界生物どもがあふれだし、ついに災厄の時代が幕を開ける。しかし絶望的な状況でも、人間たちは各地で悪魔たちに抵抗を続けるのだった。マリアもまた、不安と恐怖を抱えながらも、持ち前の能力を活かし、新たな仲間たちと日々を生き抜いていた。そんなある日、はぐれていたZOOメンバーの生存情報が!?地獄と化した世界へ踏み出すマリアを待ち受けるものとは!?―。

うわぁぁ、ルーシー……。かすかな希望に縋っていたのだけれど、蘇生術そのものが使えなくなってしまった、となればもう死んだらそれまで。どうあっても彼の死は覆らないことになってしまった。ショックなんてものじゃない、ついにZOOから死者が出てしまうなんて。
とまあ、ルーシーの死を発端にして、てっきり皆殺しショーが始まってしまうのか、と戦々恐々としながら新刊を手にとったのですが、みんな思いの外しぶとい!! かなり深刻に誰が死んで誰が生き残るのか、と構えていましたから、ZOOのメンバーのみならず、ランチタイムの面々をはじめとしてエルデンの主要なメンバーが軒並み生き残り、それだけでなく国家そのものが崩壊してしまうようなカタストロフの中で、か弱い人間たちの反抗の要として重きをなし、皆がバラバラになりながらもそれぞれの場所で戦っている姿には胸が熱くなりました。
特にファニー・フランク。あのホラ吹きのおっさんがここまで人類の明るい希望として輝くとはなあ。いや、前巻でも充分輝いていましたけれど、むしろ悪魔とフリークスによって人間が地上から根絶されようという絶望の中でこそ彼の存在はより輝きだしたように思います。これで色々勘違いしているやつだったら嫌な奴なんですが、このおっさんはちゃんと自分が運がいいだけという自覚があり、頭が悪くバカで弱くて何も出来ないという認識もあって、その上で脳天気にネアカに振舞って、難しいことはマリアや周りの人達に任せている。その上で、ちゃんと責任は自分が取ると明言してるんだから、どれだけバカに見えても大人物ですよ。マリアもバカバカいいながら、結構気に入ってるみたいだし。マリアってトマトクン相手でもそうだけれど、むしろ認めている男相手には悪態つくんですよねえ。まあ、憎まれ口を叩いても胸が痛まないようなキャラ相手だけですけれど。
そうそう、生き残ってて驚いたといえば、女豹の人ですよ。あの人、帝国軍に攻められた時、話の流れからして絶対に剣鬼ジジイとの戦いで死んだと思ってたのに、普通に生き残ってたし。ホントにしぶといなあ。

こういう時だからこそ、より恋の炎は燃え上がるのか、何やらあっちこっちでお熱い雰囲気が。もうユリカが完全にデレっデレで、どうするよこの娘。こんな状況なのに、飛燕と再会してからのイチャイチャしている様子はもう幸せ一直線である。まあ、飛燕もね、頼もしいんですよ。コイツがいたら、当人もユリカも大丈夫だな、という安心感があって、この二人のイチャイチャを見ているとそれだけで癒される。
なんかいい雰囲気になってしまっているといえば……なんか、ベアトリーチェとSIXがえらいことになってるんですが。ってか、誰だよこれ! 挿絵のSIXを見て唖然としてしまった。いや、ほんと誰だよこれw 完全に別人、というか憑物を落とされ浄化された? 或いは悟りでも開いてしまったかのような風貌に。そんな彼が、今やリーチェにベッタリですよ。リーチェはリーチェでなんか満更じゃないみたいだし。まあ、この二人がくっつくのなら、彼女がSIXに負わされた傷の意味も変えられようというものだけれど。 


文字通りの世紀末。悪魔やフリークスが闊歩する世界は、さながらトマトクンやSIXの回想の中で垣間見た、人類の文明が滅びたあとの世界そのものだ。文明が滅び、文化が潰え、歴史が一旦断絶したほどの絶滅期。そんな地獄のような時代を経て、ようやく今のような人間がまだ人間として生きられる世界に辿り着いたというのに、どうやらあの時代を生きていた不死の人間の中には、あの頃に戻りたい、という願望を持っていた輩が居た、と言うことなんだろうか。
ジョーカーやロム・フォウといった離れ離れになっていたZOOのメンバーとも合流でき、ジェードリのメンツまで加わって、ようやく集まれる面々は集まることが出来、これからみんな一緒になんとか出来る、そう思った途端に、肝心のトマトクンがあれですよ。
なんてこったい。
……希望が一気に暗転してしまった。
トマトクンがそれこそ全盛期の彼に戻れれば、これほど頼もしいこともないのだけれど、戻るためのフラグじゃないのか、という希望に今は縋るしかないのがつらい。
そう言えば、殆どオールスターキャストでこれまでシリーズで登場した面々の近況が描かれた中に、コロナとレニィの二人の様子が描かれてなかったんですよね。もしかしたら見逃したのかもしれないですが、描かれてないのだとしたら、心配で仕方がない。この二人は決して強くないもんなあ。頼むからモリーのところにでも無事で居てほしい。

十文字青作品感想

それがるうるの支配魔術 Game4:ロックドルーム・ゴッデス4   

それがるうるの支配魔術  Game4:ロックドルーム・ゴッデス (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術 Game4:ロックドルーム・ゴッデス】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

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夏休みに入り、欧文研のメンバーは合宿と称してタマキの田舎に遊びに行くことに。そこで彼らを出迎えたのは、妙な色気と雰囲気を持つインナミさん。なんと彼女は天候を操る“神様”として村で崇められていたのだ。しかも村祭りの儀式で、タマキさんはインナミさんと二人きりで一晩を共にすることになってしまう。さらに、激怒するるうるたちを尻目に始まった儀式で不可思議な盗難事件まで発生し―!?欧文研は夏合宿も非常識だらけ。
あれ? これって「るうる」? と困惑してしまったほどガラッと雰囲気を変えての第四弾。というのも、舞台がいつもの学校からタマキの田舎に移り、そこには当然のような顔をして「神様」であるインナミさんがふわふわと存在していたのでした。
田舎で「神様」というとすぐに「ゆのはな」とかを思い出してしまうのだが、わりとエロゲーでは定番ネタですよね。意外とライトノベルの方だと少ない気もするが。一迅社から出ていた【ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。】なんかがそれに該当するんでしょうけど、あの作者もシナリオライターでしたし。
とは言え、この「るうる」の世界観には「魔術」は存在しても「神様」なんて存在はいないはず。明らかにインナミさんの存在はイレギュラーなんですよね。でも、彼女の天真爛漫であでやかで、無垢と狡猾が合わさったような人の心の奥底まで見通すような佇まいは、どこか人智を超えた存在で、それ以上に神として奉られ、親しまれ、愛されている彼女の人柄は、そんな違和感を吹き飛ばすような明るい存在感を示しているのでした。
とても、自然なのです。インナミさんがニコニコと笑いながら村の人達と笑顔をかわして闊歩している姿が。その交流にまやかしや裏の思惑など存在していない事は明らかで、決して村人たちが騙され悪いことが起こっているようなことはありません。インナミさまは、ただ村を見守り、穏やかに村人たちを安んじているだけなのでした。
そんな彼女に疑念や粗探しを迫るというのはどうにも無粋な話でしかありません。

そこに嘘があるとして、誰が困っているのでしょう。誰が苦しむことがあるのでしょう。

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ストライクウィッチーズ アフリカの魔女 ケイズ・リポート4   

ストライクウィッチーズ アフリカの魔女  ケイズ・リポート (角川スニーカー文庫)

【ストライクウィッチーズ アフリカの魔女 ケイズ・リポート】 鈴木貴昭/島田フミカネ:本文イラスト:野上武志 角川スニーカー文庫

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灼熱の大地、アフリカ。正体不明の敵・ネウロイに対する人類の防衛拠点であり最前線のひとつ。扶桑皇国の従軍記者・加東圭子は、あるひとりのウィッチを取材するため、この地を訪れていた。そのウィッチこそ「アフリカの星」「黄の14」と呼ばれる稀代のスーパーエース、ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ。灼熱の大地を舞台に、今、新たな物語の幕が開く―。大人気アニメ『ストライクウィッチーズ』待望の外伝、堂々スタート。
どえええええ!? 連合軍第31統合戦闘飛行隊「アフリカ」の誕生って、こんなにグダグダだったの!? ある意味、スミオスの「いらん子中隊」よりもよっぽど酷いじゃないか。
いやあ、驚いた。漠然と見聞きしていた加東圭子が「アフリカ」の隊長になる経緯って、てっきり既にちゃんと成立した部隊の隊長をマルセイユに押し付けられたものだと思ってたんだが、これを読む限り扶桑陸軍のあんまりと言えばあんまりな不祥事のしわ寄せの結果、宙ぶらりんのままアフリカに送り込まれてきた、というよりも捨てられた? 放り出されてしまった整備中隊をおケイさんがゼロから引き受けて、一人で走りまわって各国の協力を取り付けて統合戦闘飛行隊に仕立てあげちゃったという、これ殆どおケイさんが一人で立ち上げたようなもんじゃない。そりゃ、マルセイユも丸投げするわ。そりゃ、事務仕事とか面倒くさいの押し付けたかったのもあるんだろうけど、あれよあれよとゼロから部隊作っちゃったような手際見せられて、しかも階級も上と来たらそりゃコイツに隊長やらせときゃ、事務から逃げられる以上に楽出来るぞ、と思うよなあ。
上にも顔が利く交渉上手と言えば、504のフェデリカ・N・ドッリオ少佐が思い浮かぶけど、どうしてどうして、おケイさんの口八丁手八丁は百戦錬磨じゃないですか。しかも、これ自分の扶桑海戦役でのスーパーエースとしての名望は一切使わず、主にマルセイユのプロマイドや写真を交渉材料に立ち回っていたというのだから面白い。彼女の写真、独自の市場価値が出始めて、戦国時代の茶器みたいな効果まで出始める始末、面白い面白い。
そんなおケイさんの目を通してみるマルセイユも、なかなか興味深い。付き合いが深まるに連れて、最初はどこか神秘的でどこか手を触れるのを躊躇ってしまうような深奥と儚さを併せ持ったような印象だったのが、歳相応のヤンチャでプライドが高くて気分屋で陽気で子供っぽくてお茶目なところのある、可愛い女の子としての一面が見えてくるのだ。おケイさんも、当初は多分に憧憬を含んでいたマルセイユのこと、段々とヤンチャな妹みたいに扱いだしてるんですよ。ああもう、可愛くて仕方ないんだろうなあ、というのがすごく伝わってくる。他のメンバーの稲垣真美も、素直で純朴な妹分でかわいがっているし、ライーサの事もあれで結構面白がってるのが透けて見える。現役時代には挫折を味わい、魔女として辛酸を舐めてきたおケイさんだけれど、この「アフリカ」の隊長職はすごく楽しそうで、充実しているように見えて、何ともよかったなあと思うばかりである。
姉御肌、ってわけじゃないんですけどね。わりと飄々としていて屈託がなく、国の境や階級の上下無くすッと懐に潜り込んでしまうようなところがあって、この時期のアフリカみたいにごちゃごちゃと国際色ゆたかで混沌としている戦場は、彼女には打って付けだったのかなあ。

また、彼女の口から回想として語られる他の魔女たちの話も、いいんですよね。プロフィールはみんなそれなりに知識として知っているものの、おケイさんの口から語られるそれは、ちゃんと生の魔女の人となりを感じさせてくれるのです。魔のクロエこと黒江綾香なんかも、台詞一つナイにも関わらず、ああこの人ってこういう人だったんだ、というのがエピソードから伝わってくる。
ストライクウィッチーズの世界観を、直に感じられたみたいで、ちょっとワクワクさせられました。

野上さんの漫画「アフリカの魔女」とも共通するところがあり、ってそりゃ当然か。あの主計中尉が何故送り込まれてきたのか、なんて裏事情もさらりと載ってたりして、両方比べて読むと新しい発見もあるかも。
そう言えば、ロンメル将軍、ストパン媒体ではここが初登場じゃないのかしら? モンティとパットンは漫画の方に出てましたけど、ロンメル将軍は姿見なかったもんなあ。

いやあ、想像以上に面白かったです。コレに乗じて「アフリカ」のみならず、他の統合戦闘団の話とかも小説で読んでみたいです、はい。

問題児たちが異世界から来るそうですよ? 十三番目の太陽を撃て5   

問題児たちが異世界から来るそうですよ?  十三番目の太陽を撃て (角川スニーカー文庫)

【問題児たちが異世界から来るそうですよ? 十三番目の太陽を撃て】 竜ノ湖太郎/天之有 角川スニーカー文庫

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レティシアが連れ去られたことで始まったギフトゲーム“SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING”。勝利条件がない最悪のゲームの開始とともに、地上では巨人族がアンダーウッドを襲い、天には最強種である龍の純血が雄叫びをあげる。絶対絶命のなか春日部耀は、レティシアがいる吸血鬼の古城に1人乗り込んでいった。十六夜も黒ウサギも手が届かない天上の城で、十三番目の太陽を撃ち、ゲームクリアは出来るのか―。
ちょっ、ちょっとちょっと、ちょっと待ってーーー!! え? なにこれ? いいの? この段階でこんなに面白くていいの!?

どうしよう、どうしよう、もう筆舌しがたいくらい面白いんですけど!?

明らかに物語の展開においてはヤマに至る前。精々、起承転結の起から承に足を踏み入れたくらいなんですよ。アンダーウッド編が始まってから入ってきた情報を鑑みる限り、この物語のスケールからすると明らかにまだ序盤を脱しきっていないんです。
にも拘らず、この段階でここまで盛り上がってここまで面白いって、どういう事なの?! や、ばい。これマジでヤバい。作品のポテンシャル、まじぱねえ。いやいや、はじまった当初からこれは凄い作品になる、スニーカー文庫の看板作品になる、と確信を抱いてはいたけれど、それどころじゃないかもしれない。
まだ過程に過ぎず、途中に過ぎず、場合によっては始まってすらいないのにここまで面白かったら、じゃあこれ以降本格的に話が山場に入ってきたら、どれだけ面白くなるって言うんだ!? 偶々今回が面白かったってんじゃないんですよ。確固とした上へと続いている階段が目の前にそそり立っている。絶対に話が進むにつれてさらに盛り上がっていくのが、もう目の前に道筋として完成している。確信どころじゃない、決定事項として成立している。不安を抱く余地もない、疑念を挟む隙間もない。期待すら抱く必要がない。規定の事実だ。ただただ、次が出てくるのを頭を真っ白にして受け入れるしかないよ、こりゃ。
こんな感覚、初めてだ。

「十三番目の太陽を撃て」
まず、このサブタイトルに引きこまれ、そして本文に入り、開示されたギフトゲーム「SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING」の契約書類の文面を見て全身に電流走る。
まさにここから。あのギアスロールの文面が記載された2ページを開いた瞬間から、読んでるこっちまで「カチリ」とスイッチが入ったのがわかった。ゲームスタート。ここから、際限なく感覚の疾走が始まる。
あとは、奔流に流されるままに!!
ああ、読み終わった今もなお、まだ心臓がドキドキ言ってるよ。一区切りついたとはいえ、まだアンダーウッド編は終わってないっていうのに。

何が起こったのか。誰が何を感じ、何を見つけ、何を成したのかは、是非にこれを読んで直接目撃して欲しい。
この悪辣無劫なギアスゲームの謎解きを。囚われのレティシアに秘められた過去と吸血鬼種族の歴史を、十六夜の活躍を、飛鳥の決意を、耀の見出だす結論を、黒兎の、ペストの、ジンの、グリーやジャック、サラたちの戦いを、殿下と呼ばれる少年とリンたち敵側の暗躍を、余すことなく目撃してほしい。
これほど独り占めにしておきたくて、一人にでも多く見て欲しい面白すぎる物語は久々だ。可能性が、ポテンシャルが、スケールが、間欠泉みたいに噴き出していやがる!!

箱庭世界。十六夜じゃないけれど、なんて素敵で楽しく広々として留まるところも壁もない、最高の世界なんだろう。広い、広い、とてつもなく大きくて高くて深くて天井も底も時間ですらも届かない、自由で揺るぎのない世界観。箱庭世界という名称に、最初に抱いた狭くて窮屈そうなイメージは、今や胡散霧消して何処にもない。
これはどこまでもいける、どこにでもいける、何にでもなれる、解き放たれた最高のフロンティアでの、最高の問題児たちの物語だ。
ああ、ホントに最高に、面白いぞーーーっ!!!!

1巻 2巻 3巻感想

クロス×レガリア 吸血姫の護りかた4   

クロス×レガリア  吸血姫の護りかた (角川スニーカー文庫)

【クロス×レガリア 吸血姫の護りかた】 三田誠/ゆーげん 角川スニーカー文庫

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中華街の片隅で2人は出会った。少年の名は戌見馳郎、トラブル解決を1回千円で請け負う学生ボディガード。少女の名はナタ、自称仙人。ナタを護ると決めた馳郎の、平和な日常はわずか一週間あまりで終わりを告げる。人の氣を喰らう吸血鬼、“鬼仙”と呼ばれる者たちの襲撃。彼らの目的は、鬼仙を無力化できる最強最悪の兵器―ナタを狩ることだった。「レンタルマギカ」の三田誠が描く圧倒的スケールの新シリーズ、開幕。

うははは、こりゃあいい。なんて主人公だ。ある意味、三田誠プロデュースの主人公らしい在り方で方向性としては【レンタル・マギカ】のお兄ちゃん社長の側で、目的を遂げるための手段の問わなさについてはイツキと同等なんだけれど、それにしても突き抜けてる!! 正直、主人公が本気になったあとのやり方には心底ぶったまげた。主人公が真の力に覚醒! という一般的パターンから想起された展開からするならば文字通り180度ベクトルが違ったんだから、あっけに取られてぽかーんと口を大開にしてしまったのも仕方がない。思わず馳郎と相対した敵さんとシンクロして度肝を抜かれてしまったと言っていい。
いやはや、ぶっ飛んでるにも程がある。一周回って大笑いして、あまりの痛快さに拍手喝采打ち上げてしまったよ。偉業の存在や異能の者たちに対して、少数を圧する大勢にして地上最大の繁栄を成立させた人類の力を、種としての力、集団としての力として語られるケースはいくつも見てきたけれど、それをこんな形で濫用するパターンは全く以て初めて見た!!
絶体絶命の閉塞を打ち破る展開は、いずれの場合も胸のすくようなカタルシスを感じるものだけれど、ここまで予想外のやり方でぶち破られると、不意を突かれた分通常よりもぶっ飛んだ気持ちにさせられて、いやはやたまらんね!!
しかし、この馳郎の持つ『真の力』は、滅茶苦茶に扱いが難しすぎて、よくまあ作者もこんなのに手を出したもんだと感心させられる。馳郎自身が直面する『力』の制御、取り扱いの困難さのみならず、物語を進行させる上でもこの『力』はいろいろな意味で便利すぎて、ピーキーすぎるんですよね。作者自身としてもこれは「魔手」すぎる力なんですよね。もっとも、この『力』の扱いについては【レンタルマギカ】を手がけた三田さんなら猛毒とせず劇薬として存分に使い倒してくれるに違いないという信頼感には揺るぎないものがございますが。

そう言えば、【レンタルマギカ】と言えば、あっちのあとがきで本作の紹介をしていた時に匂わせていたのでもしかして、と思っていましたが、何気にあちらと世界観、共通している?
本作に登場するのは主に「鬼仙」という仙人の一種なのですけれど、どうやらそれとは別に協会派の魔法使いなる存在も実在しているらしく、これって間違いなく【レンタルマギカ】サイドですよね? 今のところ何の関係もないとはいえ、世界観が共通しているならばいずれ何らかの形でクロスしてくることも可能性として準備できるわけで、なんだかワクワクしてきますよ!?
そんでもって、面白いのは世界観が共通しているにも関わらずあちらが純然とした魔法の世界に対して、此方のお話は中華の仙術道術であり現代科学と近未来技術のSFの混合/ハイブリッドの世界なんですよ。
ナタたち鬼仙たちが使う鬼宝という仙術兵器は、まさに「宝貝」そのもの。西遊記や封神演義で見たことのある仙具が当たり前のように飛び交うさまは、中華ファンタジー愛好者としては胸熱くなるばかり。
そもそも!! ヒロインのナタからして、その名前の由来となったのはあの中壇元帥・哪吒太子その人である。マジで本物の最終兵器じゃないかい!! こんな名前つけるって鬼仙たちがどれだけ本気でリーサルウェポンのつもりで作ったか理解できるというものである。「乾坤圏」とか「火尖槍」などを、小説の、しかも現代ファンタジーで見受ける機会に恵まれるとは、テンションもあがるわ!
その一方で主人公が身に付けている特殊な服の名前が「カエアン」……これ、SF者ならば即座に気がつくんじゃないでしょうか。ちなみに、私はまだこれ未読なんだよなあ。いや、多分ほんとに子供の頃に読んだかもしれないんだが、全然覚えてなかったw
しかし、わざわざこれに「カエアン」とか名前を付けるあたりに、終盤の展開も相まって、本作が中華ファンタジーとSFの並列混在を然としたお話にしてやるぜ、という強烈な意思表示を感じて、これまたテンションあがってしまいました。それが【レンタルマギカ】とつながっているとなると、さらにワクワクしてくるじゃないですか♪
仙人や吸血鬼の在り方が向こうと結構食い違って言うのもまた興味深い。
ってか、これが吸血鬼モノだったんですよね。全然そんなイメージなかったよ。三田さんが吸血鬼モノを書くとこうなるのか。ってか、血は吸わないもんなあ。ほっぺたペロペロ舐めてただけじゃないか。ぺろぺろぺろ。
ナタはかわいいなあ……。ゆーげんさんのイラストはなかなかに凶悪である。ヒロイン衆も揺るぎないメインのナタに加えて、蓮花に妹ちゃんと強力なのが一揃。蓮花あたりは明らかにヒロインとして強キャラなので、まさかアデリシアみたいにメインを食っちゃうことはなかろうけれど、三田さんはデレさせた後が滅茶苦茶可愛く書きなさるので、色々な意味で戦々恐々ですよ。
という訳で、期待の新シリーズは期待通りにスタートでした。

三田誠作品感想

カレイドメイズ 4.眠れる玉座と夢みる未来予測4   

カレイドメイズ4  眠れる玉座と夢みる未来予測 (角川スニーカー文庫)

【カレイドメイズ 4.眠れる玉座と夢みる未来予測】 湖山真/鵜飼沙樹 角川スニーカー文庫

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カイルたちは、ついにネーフェの失われた記憶を巡る終着点にたどり着く。現代では未踏となっていた、“世界の穴”ことサリストバール喪失遺跡。しかしそこに、“賢者の隻眼”に加え、ロナン帝国軍も介入してくるのだった。二千年前の古代魔法王国滅亡の真相に迫るとともに、それぞれの思惑が交錯しはじめる。そして、カイルとネーフェにも、究極の決断が迫られるのであった。はたして、魔法王国復興の夢と、ふたりの恋の決着は。
明るい国家計画から明るい家族計画に落ち着きまして、姫さま悲願成就おめでとう♪ エピローグ見る限り、ちゃんとやることはやっていらっしゃるようですし、本来の王国復興のための義務から解き放たれ、純粋に愛する男性と子作りに励むようになれて、よかったよかったw
まあここに至るまでに、カイルとネーフェは間に誰も割り込めない相思相愛の関係になっていたわけで、二人にとっての障害は2つ。ネーフェには王国復興を果たさなければならないという王女としての責任と、ネーフェとの関係が政治的な打算によって始まったというカイルのわだかまり、だけだったんですね。それも今回、直接的に王国が復活する可能性をつきつけられる事でネーフェには決断が迫られ、あくまで王女として王国に殉じるか、一人の娘として生きるかを選ぶことによって、決着することに。
これってなかなか酷な話だったんですよね。もし、ネーフェが未来に送られた事が必然であり、厳選された選別の結果だったとしたらともかく、ネーフェは本当にたまたま、偶然に選ばれただけで特に彼女でなければならない理由があったわけじゃなく、ほんの少し何か歯車が違っていたら他の王国民と同じように封印されていてもおかしくはなかったのです。そんなあやふやで心もとない立場で、王国の運命を決断しなければならないという境遇に追いやられた彼女が、結局最後まで心折れる事無く、逃げ出すこともなく、運命に立ち向かい続けたんですから、大したものですよ。おっとりとしてのんきな天然素材ですけれど、芯の強さについては折り紙つきのヒロインでした。そんな彼女に愛される主人公のカイルも、流されること無く自分の意志で大切な物を選択し、それを守るためにがむしゃらになれる、良い意味での頑固者でこれも芯の通った一端の主人公だったなあ。こうして見ると、実にお似合いの二人でした。
そんなメインの二人に比べて、レナートスの残念さはいったいどうしたらいいんだ、というレベルに(苦笑
この男の目先のことしか考えない視野の近眼さ、短絡さは、もう呆れを通り越して愛嬌の次元にまで達してるんですよね。ここまで馬鹿だと、憎らしさも湧いてこない。野心と欲望の塊のくせに、悪意や負の感情とは縁がないのも憎みきれないキャラの要因なんだろうけれど、それでもカイルが親友やめないのは充分心広いと思うぞ。ただ、ビアンカの相手はレナートスよりもヴェンヘルのほうがまだマシだと思う。ビアンカとレナートスがくっつくと、将来的にカイルの両親並みに悲惨な事になりそうだし。うまくいくはず無いじゃない! 絶対子供が苦労するぞw

ストーリーの方はどうやら打ち切り入ってしまったせいか、やや性急な展開で風呂敷まとめに入ってしまいましたね。軍の王弟殿下やミオの師匠なんかは本来なら最終巻よりも前に登場してキャラを掘り下げ、それぞれの目的を匂わせた上でカイルたちと因縁を絡めてから最終章の王国復活編に参戦してくる、という形が自然だったような感じでしたし。それぞれキャラが立っている割に、登場や目的の披露に唐突感があって、作中に気持ちが入っていく前に置いて行かれたみたいなところがありましたし。ちょっとでも前振りあったら、ついに来たな、と此方も居住まいを正せたんでしょうけれど。いきなり打ち切り決まってまとめに入らざるケースでは度々あるんですよね、こういうの。きっちりラストまで流れが組んである分、この手の準備不足は勿体無くて仕方がない。せめて打ち切るにしても二巻の余裕を与えてくれたら、と思わずには居られない。難しい話なんでしょうけどね。
でも、三巻のドタバタ劇のハチャメチャな楽しさを思えば、やっぱり勿体ないですよ。当初期待していた以上の良作へと順調に進化していただけに、なおさらに。
と、勿体ない勿体ないと連呼していますが、いささか最終局面へ突入することへの唐突感が否めない点だけが引っかかるだけで、ネーフェとカイルの関係にも王国の復活についても、ストーリー関係はきっちりと不足なく綺麗に決着に持って行っているので、お話としてはこの終わり方は大変満足でした。作品としてはもっと続いてくれtらうれしかったんですけれどね。
でも、この感じなら次回作も充分楽しませていただけそうです。次に改めて期待したいところです。完結、お疲れ様でした。

シリーズ感想

アリス・イン・ゴシックランド 3.吸血機ドラキュラ4   

アリス・イン・ゴシックランドIII  吸血機ドラキュラ (角川スニーカー文庫)

【アリス・イン・ゴシックランド 3.吸血機ドラキュラ】 南房秀久/植田亮 角川スニーカー文庫

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気晴らしに出かけた舞台の席で、アリスたちはワラキア公と名乗る一人の紳士と出会う。それと時を同じくして発生する連続不審死事件。捜査を始めたジェレミーとイグレインは、被害者が一様に全身の血を抜かれており、首筋に二つの傷がついていることを突き止める。一方、アリスの別人格であるジルは、自らの復讐を果たすべく残る二人の標的を狙っていた。そして、その復讐の刃は、彼女を止めようとしたジェレミーにも向かい―。
 ええええっ!? なんで!? この巻で終わっちゃうってどういう事なんですか!? これからもっと面白くなるってところだったのに。せっかく登場したモリアーティ教授とか、特に暗躍の場面なく終わっちゃったじゃないですか。
ビクトリア朝の霧の王都ロンドンを舞台にした、フィクション・ノンフィクション総ざらえのオールスターキャストで繰り広げられる大活劇もコレにて幕、ということで、さらなる新キャラに加えてこれまで登場したキャラクターも登場しての、文字通りのオールスターでのクライマックスは流石のお祭り騒ぎでしたけれど、この楽しい「遊園地」はもっと長く楽しみたかったなあ。
でも、最後の大活劇がここまでド派手な事になるとは、結構コレ、やりたい放題ですよね。新聞記者のH・G・ウェルズなる人物が意気揚々と登場したときはまさかと思いましたけれど、トライポッドまで出てきた日には、もう「宇宙戦争」どんとこい、である。さすがに火星人までは登場しませんでしたけれど、吸血鬼たちがトライポッド軍団を使うという発想は、収穫云々に絡めても思わずなるほどなあ、と感心してしまいました。トライポッドから触手が伸びて人間を捕獲していくシーンは、映画「宇宙戦争」の図が容易に思い浮かびましたよ。
そんな闇の者、ドラキュラ軍団のロンドン強襲に立ち向かうのは、映画に小説といったフィクションに、歴史上の人物たちを加えたこの時代における人類総連合。ネオ・ヘルファイアクラブの面々も加勢しての大立ち回りは、エンターテインメントの粋とも言えるんじゃないでしょうか。
しかし、ネオ・ヘルファイアクラブって、純粋悪の組織というわけでもなかったんだ。リーダーであるドリアンの見解を聞いている分には、むしろ帝国主義華やかなる時代において国家利益優先ではない世界平和の秩序を必要悪を以て築こうとする組織なんですよね。ドリアンの理想主義なところは、人材マニアっぽいところも含めてなかなか魅力的で、マイクロフトとは全く別の方向のカリスマであり、敵としても味方としてもまだまだ見続けたい人でした。

頑なにジェレミーが自分のテリトリーへ踏み込むのを拒絶していたジルも、思わぬ事からジェレミーに凶刃を振るってしまった事から、復讐と憎悪に凝り固まった信念にヒビが入り、その隙間から歳相応の少女の素顔が、救いを求めるか弱い少女の心が浮かび上がってくる事になります。
一方で、イグレインもまた数少ない気の置けない同性の親友を見舞った運命に打ちのめされることになるのですが、此方は良い意味でも悪い意味でも根性が据わっているというか、弱音を吐かない性格というか、他人に寄りかかるのではなく、首根っこ掴んで引きずり回さずには居られない性格なので、悲しんでも悔やんでもその場で動けなくなることはないんですよね。兎に角突き進む。感情のまま突っ走る。それくらいでないと、ジェレミーの相棒としてはやっていけないのかもしれません。ジェレミーもジェレミーで似た者同士で、常に悠々と余裕たっぷりに突き進むタイプですから、立ち止まっていると置いてかれちゃうんですよね。もっとも、ジェレミーは動けなくなってしまった子はきちんと迎えに行く人でもありますけれど。アリスやジルに対しては、常にそうした庇護者としての立ち振舞いでしたからね。あの過保護っぷりは、イグレインがちょっと拗ねるのもわからなくはない。でも、コンビであり、相棒であり、恋という名のゲームのプレイヤーは、対等以上に対等なイグレインでないといけないんだろうなあ、というジェレミーの気持ちは、あの皮肉交じりで遠慮なしの信頼と擽ったさが混じったような態度からも透けて見えるようでした。もうちょっと「きゃっきゃうふふ」してニヤニヤさせてくれても良かったんですけどねえw

きっと最後まで顔を見せてくれないんだろうなあ、と思っていたシャーロックとワトソンの二人もきっちり登場してくれてしまった時点で、残念ですけれど諦めもつきました。残念ですけどね。もっともっと遊びたかったですけれどね。でも、最後の最後まで見所盛りだくさんで楽しませていただけましたし、満足満足。
面白かったです。

1巻 2巻感想

レンタルマギカ 死線の魔法使いたち4   

レンタルマギカ  死線の魔法使いたち (角川スニーカー文庫)

【レンタルマギカ 死線の魔法使いたち】 三田誠/pako 角川スニーカー文庫

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ついに大魔術決闘が始まり、布留部市各地の戦闘は激化の一途を辿っていく。苦戦を強いられた穂波、アディリシアが、それぞれの決意を胸に切り札を切ろうとするなか、市内を巡る霊脈に異変が発生、戦闘中の魔術師たちの脳裏に、ある光景が映し出される。それは12年前―かつて、いつきが妖精眼と交わった記憶であり、それこそが、すべての“始まり”だったのだ!いつきを取り巻いてきた様々な因縁の謎が、いま明らかに。
うわあ、そうか、そういう事だったのか!!
いつきの邪魔をするかのように大魔術決闘に介入してきた伊庭司の目的がどうしてもわからなくて、その上なぜ隻蓮さんやユーダイクスが伊庭いつきを社長と認めながら伊庭司に従うのか。いつきと同じ、魔法使いが普通に幸せになる世界を目指していると広言しながら、いつきと違っていまいち彼が言う幸せの定義が見えてこない。兎に角、意図するところが霧に隠れたようで得体が知れなくて、不気味に思えてたんですよね。なにか、とんでもない事を企んでいるのでは。真の黒幕、裏のラスボスはこの人なんじゃないのか、とすら疑っていました。
なんでわからなかったんだろう。どうして気づかなかったんだろう、信じてあげられなかったんだろう。この人は、伊庭司という人は「アストラル」の社長だった人なのに。たとえ血が繋がっていなくても、伊庭いつきの父親だというのに。
彼の目的が明らかになったときには、思わず声を上げてしまった。ほんとに、なんでその事について思いが至らなかったんだろうか。いつきたちが言う、魔法使いは幸せになっていい、という範疇にはあの人だって入っていて当然だったというのに、彼の運命をもう無意識に諦めてしまっていたと言われても仕方がない。
そうだよなあ、助けないと嘘だよなあ。見過ごすはずがないもんなあ。
でも、それがいつきの考えだけじゃなく、伊庭司という人の目的であった事に、物凄い安堵を感じたのです。ああ、アストラルは、昔からアストラルのまま、本質的には何も変わっていなかったんだなあ、と。
でも、この時点ではまだ、伊庭司のあり方を意図せずいつきが継いでいた、という一方通行の感慨だったのです。胸打たれたのは、ヘイゼルさんが教えてくれた、伊庭司の本心を知った時。彼が、息子のことをどう思っていたのかが、初めて明かされた瞬間でした。
ああ、この二人。伊庭いつきと伊庭司は、ちゃんと親子だったんだ。考え方や生き方や人間性がソックリとか、似ているとかそういう意味じゃなく、双方向の、ちゃんと愛情が通い合った家族だったんだ。
ちょっと、泣きそうになった。
すべてを見通すいつきの聡明さが、この父親の感情だけをヘイゼルに教えてもらうまで見失っていたのは、多分微笑ましいと分類される事実なのだろう。だって、そんな所も父親と息子の関係らしいじゃないですか。誰の心にも敏感で聡いいつきが、父親が自分に向ける心だけは気がついていなかった、というのは。

これまでずっと、心の引っかかっていたものが拭い去られ、最終回を前にして随分とスッキリしました。思えば、あの人の行く末についても無意識に憂慮していたのかもしれません。何となく読んでいて心が重かったのも、伊庭司の動向や目的が読めないための居心地の悪さから来るものだけじゃなかったんでしょう。あの人がいなくなる事を前提としていたら、そりゃあ心も重くなるってもんです。でも、ちゃんと何とかしてくれると、少なくとも伊庭親子が何とかしようとしてくれているのなら、大丈夫と安心できます。哀しい結末なんてぶっ千切ってくれると、信頼できますから、心も軽くなるってもんです。
さらに、協会や螺旋の蛇の首領の正体。アストラルの竜の真実。いつきの目に赤い種が宿った真相など、これまで謎とされていた件もすべて明かされ、そしてアディが迷っていた魔法への代償の答えも出され、これでラストに向けて必要とされる扉の開放は、殆ど終わりあとは突っ走るだけになったのではないでしょうか。もう、イケイケドンドンです。
しかし、ニグレドとタブラ・ラサの正体についてはちょっと驚いた。そういう発想に基づく存在だったとはなあ。
黄金の夜明け系の魔術結社の位階制度において、サード・オーダー以上の位階は物質的な存在では到達できないとされています。なので、てっきり「魔法になった魔法使い」こそがこの第三団に至る方法だと思ってたんですが、ニグレドとラサの登場であれあれあれ? と首を傾げる事になったんですよね。ふたりとも、まあニグレドはまだ理知的で老成している所があるのでともかく、ラサはどこか幼い精神面も垣間見えて、とても「魔法になった魔法使い」の成功例には見えなかったわけで、じゃあ何なんだ? と頭を悩ませていたのですが、なるほどなあ、逆転の発想だったのか。それに、アディたちの説明によると、真なる意味で魔法使いが魔法になることには成功例が存在しないということになりますし。つまりは、第三団はなるじゃなく作るもの、と言う事だったんだ。いや、しかしそれだと、アディはどうなるんだ? 彼女の説明からすると、どうも抜け道があるような気がするけれど。魔法が誰かに使われなければ魔法足り得ないのなら、使う人が居てくれればいいってこと?

アディの選択は、もう彼女らしいとしか言いようがなく。そうだよなあ、この子なら想いを売り渡すくらいなら未来だけじゃなく自分そのものを対価にしちゃうよなあ。結局、この子は一番大切なものを守りぬいたわけだ。貴方に何の相談もなくこんな決断をしてしまって、ごめんなさい。と、謝ってしまうあたりに、アディがそれこそ身も心もいつきに捧げきってしまっている心底が窺い知れる。
以前からその傾向は強くあったけれど、どうやらいつきの想い人はアディの方で決定かな。なんか、わりと決定的な発言、ありましたしねえ。

さあ、次でこの壮大な魔法使いたちの物語も終結。皆が幸せである結末でありますように。うん、大丈夫大丈夫。

三田誠作品感想

レイセン File4:サマーウォー4   

レイセン  File4:サマーウォー (角川スニーカー文庫)

【レイセン File4:サマーウォー】  林トモアキ/上田夢人 角川スニーカー文庫

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お祓い専門の神霊班といえど、まぎれもなく役所の一部、お盆休みは与えられていた。しかし、社交性もなく、ろくな趣味も持たず、いまだひきこもり留年中のヒデオは、いつものごとくアパートで怠惰な時間を過ごすのみ。ところがある日、女性からかかってきた一本の電話が、ヒデオの人生に新たな契機をもたらすのだった―精霊、巫女、警察官、自衛官、ついでにAIの美少女も登場。ヒデオの長くて熱過ぎる、ひと夏のサバイバルが始まる。
お祓いが専門だとむしろお盆は忙しそうなものなのだが、さすがはお役所様である。いいじゃないか、休みは家でゴロゴロしてたって。引きこもりニートの端くれとしては、たとえ主人公だろうと、話がまったく盛り上がらなかろうが食料の買い出し以外家から一歩も出ないのが礼儀だろうに。この礼儀知らずめ。なに、女に誘われてほいほい温泉旅行なぞに旅立ってしまうんだ。見損なったぜ、ヒキニートの風上にも置けない男である。
という訳で、某映画のタイトルみたいなサブタイトルに、あははははと笑ってたら、中身も某映画みたいな展開に突入してAHAHAHAHA、と笑うしかない御座候。まあかの映画が田舎と電脳空間を舞台にしたものだったのに対して、こちらも電脳戦対決と見せかけてウィル子が盛大にやらかしてくれやがって、それでいいのか!? というある意味映画と真逆の有様に。まあ、ウイルスの方が主人公サイドという時点で逆も逆なのですが。しかし、ウィル子は伊達に電神という神様になったわけじゃなかったんだな。なんか、初めて彼女が神様に昇ったのを実感したハチャメチャな展開だった。さすがにあれは、以前のようなウイルスの時では叶わなかったはず。

しかし、今回はじめて神殺し四家の最後の一つ。既に業を失伝してしまったという天白の家が描かれましたけれど、意外なほどアットホームな家で驚きましたね。まあ、花果菜やアカネが何だかんだと温厚で良い人たちだったのを思えば意外ではないのかもしれませんが。でも天白というと、最初に【お・り・が・み】で出てきた木島キョウジが何しろイカレ狂ったテロリストだっただけに、第一印象が悪かったんですよ。
天白に限らず、こうして振り返ってみると神殺し四家は何だかんだと牧歌的……と、貴瀬家や名古屋河家を口が裂けてもそうは言えんかw でもまあ、大きなゴタゴタが無くなった今の四家はみんなわりと家庭も落ち着いていて平穏なんですよねえ。平和っちゃ平和なんだろうなあ。これも鈴蘭が頑張ったおかげなんでしょうが。

ハーレムハーレム言われますが、ヒデオ、実はちゃんと男の友達も事件を経るたびにゲットしているのです。さり気なく交友関係が偉いことになってる気もしますが。鈴蘭とはまた別の方向で着々と人脈築いているよなあ、ヒデオも。
これまでヒデオに対して胡乱な目で見ていた桃条さんも、見る目が変わってきたようですし。まだまだ本気じゃないでしょうが。その点、花果菜はわりと今回の一件を通じてマジになってきた気がするぞ。

そんな夏戦争の後日譚にて、妹来襲……妹!!? え? マジでそんなの居たの!? 実家から見捨てられて勘当同然の扱いだったヒデオでしたが、家族構成で妹居るって情報ありましたっけ?
しかも、普通の妹だー! このシリーズで普通の人を見るのって初めてじゃないのか? そんな普通の妹と、たまたま偶然同じタイミングでヒデオの家に遊びに来た四人の女性たち。
修羅場であるww
ヒデオも折角ニートを脱して、公務員になれたというのに、ちゃんと就職できました、と家族に伝えられないのは辛いよなあ。それが妹たちのために自分で選んだ結果だとしても。個人的には、ここで真実を伝えるかどうか悩むヒデオに、ノアレがきちんと真面目にアドバイスを送っていたのが印象的でした。ノアレって、普段はふざけているし、ヒデオがピンチに陥っても大概傍観者的な立場で事態を楽しんでいるのを広言して憚らないのだけれど、ヒデオが本気で困ったときや真剣に悩んでいるときには茶化さずに助言してくれたり、示唆をくれるのですよね。それを見ると、ノアレって結構ヒデオに親身になってるよなあ、と思うのです。まあこれって、ノアレに限らず彼に接する人は多かれ少なかれ、ヒデオに対して親身になっちゃうようですが。
今回だって、ヒデオのあの放言、絶対あとで全員にシバカれるかと思ってたのに、あっさり酒の席での発言と誰も咎めず水に流しちゃったくらいですし。あれは、みんなが大人だったと言われればそれまでなんですが、好いた惚れたを抜きにして、今回のみんなの対応はヒデオに親身で優しかったなあ、となんだかほんわかしてしまいました。

そう言えば、ついにタイトルの【レイセン】の意味が作中に出てきましたね。って、前にも出てましたっけ? 覚えてないや。ともあれ、レイセンの成立がこのシリーズの一区切りになるんでしょうか。もうしばらく続きそうな気もしますが。

林トモアキ作品感想

それがるうるの支配魔術 Game3:ファミリアル・リドル4   

それがるうるの支配魔術  Game3:ファミリアル・リドル (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術 Game3:ファミリアル・リドル】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

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学園内で最近語られる“三不思議”。中途半端な数字だが、実際に被害者も出ていて、ネット上の『噂屋』でも色々情報が出回っているらしい。「不思議=特別な魔術=兄への手がかり」という方程式を確立したるうるがその話を聞いたら、また面倒なことに「タマキ、調べにいくの!」…なっちまったようだ。しかし調査しているのが、欧文研を目の敵にしはじめたアイツのバレるとマズイのだが?不思議の中に巧妙に隠された真実とは!?―。
やっぱり面白いなあこれ。このお話では、相手との対決はゲームのルールを確認しあい、号令に寄って始まるものではなく、相手によって規定されたルールの中に取り込まれる事で既に始まっていて、主人公たちはまず自分たちが知らないルールを押し付けられている事に気づかなくてはならず、気づいても相手が規定したルールの内側から、一体何が現実を歪めた間違いなのか、を探り出し見つけ出さなければならない。この間違い探しが抜群に面白いんですよね。普通のまちがい探しと違うのは、範囲指定をしてくれないところ。一体どの段階から誤認が仕込まれているか、まるでわからない。場合によっては前提から既にひっくり返されていた、なんてことすらあるのだから油断も隙もあったものじゃない。
虚々実々入り混じる、何が嘘で何が本当かわからない日常の中で、タマキたちがこれだけは揺るぎない正答だと信じて拠り所にしているものが、欧文研の仲間同士の絆だ。もっとも、それとて幾つモノ上書きされたルールに寄って真実は覆い隠され、想いはすれ違い、正しいものであるからこそ背を向けなければという脅迫観念に突き動かされることもある。言わば、これが想いの間違いなのだろう。それを一つ一つ、それは違う、誤認である、と指摘して歪められたルールを打ち破り、真実を取り戻しているのがタマキであり、この作品の一巻一巻の物語の根幹なんだろうと思う。一巻のるうる。二巻の碓氷。そしてこの三巻の言乃といった風情に。実のところ、その想いの誤認を破ることについては、タマキの魔術の理を破る能力によるものじゃないんですよね。勿論、彼の能力は事態を打開するのに必要不可欠なものであり、切り札として作用しているものですが、言乃たちの想いの誤認を破ったのは決して能力による作用でもなんでもない事は、犬海丸という少年の魅力の理の一柱として覚えておいていいものだと思います。
特に、らしくない言乃の様子に苛立ちをあらわにしていたところは良かったなあ。もうね、彼の中には言乃という少女はこうあるべきだ、という理想像があるんですよ。それはある意味勝手なイメージの押し付けではあるんだけれど、時のその押し付けって大事だったりするんですよね。その人が、自分を見失っている時などは特に。
タマキは決して押し付けがましい人間じゃないんだけれど、ここぞという時に強引になれる、というのはなかなかカッコいい男だと思ったのでした。
そりゃ、深い付き合いの相手には、男女を問わず慕われるわ。盲信ではなく、全幅の信頼を寄せられる相手って、掛け替えのないものですもんね。

注意深く読んでいると、作中のあらゆるところに伏線やキーワードが仕込まれていて、ピースがハマると途端に大きな景色が広がるような……なんというか「ぶわっ!」と視界が広がる感覚が凄まじい解放感を得られて、気持ちいい作品なんですよね、これ。真相が明らかになった時の、すとんと腑に落ちるロジカルな充足感。まさに謎解きの醍醐味です。
あとは、もうちょっとラブコメ濃度が増えてくれるとなおよし。今回は言乃がメインだったことで逆に言乃さんがそれどころじゃなくいっぱいいっぱいだったので、いつもの言乃のエロ可愛さが堪能出来なかったからなあ。
ただ、今回で言乃のくびきがなくなったことで、より積極性が高まったのではないかと思われるフシがあるので、今後の攻勢が楽しみすぎるのですよ、はい。

1巻 2巻感想


ザ・スニーカーウェブにて、るうるの短編が掲載されている模様。今回は本編になかったルールザ・ルールのお話だそうですので、まずは一舐めしてみますか。

子ひつじは迷わない うつるひつじが4ひき4   

子ひつじは迷わない  うつるひつじが4ひき (角川スニーカー文庫)

【子ひつじは迷わない うつるひつじが4ひき】 玩具堂/籠目 角川スニーカー文庫

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“なるたま”こと成田真一郎と佐々原は、会長命令で一緒に泊まり込みアルバイトにやってきた。そこは“万鏡館”という名前とは裏腹に一切鏡がなく、中も外も全て白と黒で統一された不思議な世界。なぜかそこから仙波も現れ―!?館の主人である美少女が「鏡を見る」ことを禁じたワケは?そして彼女の不可解な言動に隠された一族の秘密とは!!抜け出せない館で次第に疑心暗鬼に陥る子ひつじたちを救うため、仙波が館の謎に挑む。
子ひつじ、まさかの長編館もの。学園日常ミステリーという体裁だっただけに、思い切った舞台転換だった。その甲斐あってか、思いの外じっくりとなるたまと三人のヒロインズ、仙波、佐々原、岬先輩との人間関係の距離感を掘り下げられたのではなかろうか。と言っても、一方的に外側から彼ら彼女らの関係を観察して捉えていく、という作業ではなく、あくまで彼女たち自身がなるたまと自分との関係や距離感を改めて見つめ直し、どこか感覚的、なんとなくで維持してきたものについて、自ら直視し考え、自覚的に彼との関係は今どうなっているのか、自分はどうしたいのか、これからどうしていくべきなんだろう、という具体的な見地や将来の方向性を見出す形として整えていたのは、この【子ひつじは迷わない】らしいアプローチだなあ、と感心させられた。
尤も、肝心のなるたまはその辺りまったく意識もしていないのはご愁傷様、というべきか何なのか。この子はもうちょっと周りの女の子に自分がどう見られているのかについて意識すべきだよね。深く考えていないものだから、例えば岬会長にあんな冗談かませちゃうわけで……。
なるたま、絶対自分がどれだけ特大の地雷踏みぬいたか、わかってないんだろうなあ。今回、佐々原と仙波の二人を中心に描かれていたので、岬姉については一先脇に置かれたままだったのですが、何気に一番とんでもない変化を迎えてしまったのって岬姉なんじゃないのかな。
あの一件以降のらしくない大人しさを鑑みると、ねえ。これまで、会長はなるたまを弟分としてしか見ていなくて、少なくとも異性としては全く意識していなかったはず。なるたまがエラいことになった時にめちゃくちゃ動揺してキャラ壊れまくってたのを思い返すと、無意識ではどうだったかはわからないけれど。
でも、あのなるたまの仕出かした一件は、岬姉に自分と彼が単なる男と女である事を意識させるには十分だったわけで……直後の無反応にすら見えた放心や、なるたまの言動へのマジギレ、その後の妙に距離を置いて伺うような、考えこむような様子を見てると……ねえ?
これ、本当に次回以降、とんでもない事になるかも。

と、竹田岬関係のお楽しみは次回以降に取っておくとして、今回の目玉は「ついに仙波、デレる!?」である……ねーよ!!
いや、まあうん、相対的に見たらこれ……デレた? と言っても良いのかもしれないけれど、あまりに微細すぎるよ!! ってか、これでデレって、これまでどんだけなるたま嫌われ排斥されてたんだよ、という話ですよね。
極端に言うと、仙波がやっと自分がなるたまに影響されてちょっと変わりつつ在る、というのと彼のケースによっての有用性を認めただけで、なるたまのことを意識したわけでも、彼と打ち解けたわけでも、彼に好意を抱いたわけでも見なおしたわけでもないという……やっぱり厳しいな、おい!
今更ながら、どうしてこんなキツい娘につきまとうのか、なるたまのM度が気になるところ。

一方で、佐々原の方はもうちょっと自分となるたまとの関係性の名付けについて深く悩んでいた様子。誰かさんが余計なことを言ったお陰で、万鏡館という精神を揺さぶる特殊な環境も相まって、なにやら思考が悪い方へ悪い方へと流れてしまう始末。あの子からしたら、別に意地悪なんかじゃなくてちゃんと考えなさいよ、という誠実な忠告だったのかもしれないけれど、タイミングが悪かったんだろうな。
それに、結果としてなんとなく維持してきたなるたまとの距離感について、自分を見つめ直してちゃんと答えを導き出そうとできたみたいだし。結論が出たかは、ちょっと判断しづらいですけどね。でも、あそこまで考えとらえてしまった以上、今まで通り、とはいかないんだろうなあ。佐々原ってあれでヘタレたところはなく、それどころか思い立ったら動いてしまうような行動力もあるので、気づいた以上ちゃんと確かめなくては気が済まない形になりそうな……。

会長の件もあるし、これ次回結構激しく動くのか、もしかして?

連続殺人事件が起こるわけでも、誰かの悪事が暴かれて破滅したりするわけでも、最後に館が炎上してしまうわけでもないのだけれど、人間の心理を一枚一枚薄皮をひっぺがし、別のところにはりつけるみたいな微細でとろけるような没頭感を得られる不思議なノリの話で、なんだかんだと普段と雰囲気違うけれど面白かったな。

会長がおとなしかった分、余計に怪しい雰囲気で進んだ館編でしたが、その分ひとりで妹メイドことサトウが孤軍奮闘で賑やかしてくれて、楽しかった。仙波との仲も思ったよりも悪くなかったんだな。というか、仙波が意外と妹に甘かったのには驚いた。わりと厳しい、辛辣なイメージあったので。サトウもまあ、お姉ちゃん好き好きだのう。

1巻 2巻 3巻感想

問題児たちが異世界から来るそうですよ? そう……巨龍召喚4   

問題児たちが異世界から来るそうですよ?  そう……巨龍召喚 (角川スニーカー文庫)

【問題児たちが異世界から来るそうですよ? そう……巨龍召喚】 竜ノ湖太郎/天之有 角川スニーカー文庫

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幻獣が多く住むという南の“龍角を持つ鷲獅子”連盟から届いた収穫祭への誘い。問題児たち3人は南へ何日行けるかの権利をかけ、ゲームで争うことに!ゲームの結果、南へ向かった黒ウサギ一行は、新種の植物ブラック★ラビットイーターに遭遇した。黒ウサギが触手に襲われる!?なんて遊んでいたら、南を一度滅ぼしかけた魔王の残党である巨人が襲ってきて!そしてノーネームに残った問題児(誰だ!?)の秘密が明かされる。

これは、参った。十六夜のこと、この時点でもとんでもない奴だと感嘆していたつもりだったんだが、まだまだ見縊ってた。
規格外の力を持ちながら、そのパワーに振り回されない理性と知性。ただ暴れたいだけの野卑たる暴君ではなく、相手を立てるような心配りまで出来る処世と甘やかさない優しさを持った隙の見当たらない大気者としての十六夜は、既に二巻までで理解していたつもりだったんですけどね。
彼の凄さは、その才そのものじゃなかったんですね。むしろ、その心栄えにあったことをこの間で目の当たりにしてしまった。
彼の過去語り、箱庭世界に来る前のエピソードで彼が語った言葉は衝撃的ですらあった。十六夜は、彼の存在を受け止めきれなかった世界を拒絶せず、厭わず、忌まず、憎まず、呪わず、倦まず、嫌わずに、愛していたのだ。美しいものとして愛しみ慈しんでいたのだ。それどころか、その途方も無い力を、笑って胸を張って埋もれさすつもりだったのだ。退屈に欠伸を漏らしながら、彼を受け止め切れない世界の中で静かに埋没していくつもりだったのだ。愛する世界を壊さないために。

シリーズ冒頭の、箱庭世界に来る引鉄になった手紙の内容と十六夜の反応から、てっきり十六夜は自分の器に収まらない世界に見切りをつけて、見捨てて、振り返るものもなく嬉々として飛び出してきたと思ってたんですよね。そこには、元いた世界に対する不満、倦怠、嫌悪を抱き、窮屈に自分を押し込めていた事に対する仄かな憎しみすら持っているものだと思っていた。元いた世界には、未練も後ろ髪惹かれるような相手も居らず、そこに残してきた過去は彼にとって膿んだ記憶でしかなかったのだと思っていた。
それなのに、この子は、一生涯を腐って過ごしてイイと言ってのけるほどにこの世界を好きだと言ったのだ。
参った。正直、痺れた。
この少年の心を、ここまでに育て上げた金糸雀という人は、本当にとんでもない人だったんだな。黒ウサギが尊崇し、十六夜が今なお敬愛し続けているのもよくわかる。
そして、この人は結局、十六夜とノーネーム両方に贈り物を与えた事になるのだろう。十六夜には、自分の限界を底の底まで楽しめる次の世界を。そしてノーネームには自分の代わりに新たな希望を。まさにギフト――贈り物であり、祝福だ。
大好きな世界と大切な人たちを残し、箱庭世界へと旅立った十六夜――そう、この少年は元居た世界を捨ててきたわけでも逃げ出してきたわけでもなく、ちゃんと別れを告げて旅立ってきたんだな。だからこそ、彼は強い。置いてきたものは良い思い出ばかりだから、彼の足取りに重石となるものは何も無いのだろう。
無敵だよ、この子は。

そんなある意味、もう金糸雀によって完成されている十六夜と比べて、飛鳥と耀はむしろこの箱庭世界に来てからこそがスタートラインだったのだろう。同じ位置からスタートしたんじゃなくて、きっと最初から差があったんだな。力の差ではなく、きっと心の置き方で。だから、彼女たちの成長はこれからであり、ずっと先をゆく十六夜を悔しさに歯を食いしばり、追いかけていくしかないのだ。負けたくないなら、追いかけるしかない。そして、この娘さんたちは、とっても負けず嫌いなのである。
耀に最後に示された彼女のギフトの可能性。それは多分、単純なパワーアップの要素じゃなくて、彼女の心のあり方が定まったときにこそ、その力の使い方がわかるような、そんな感じの代物のような気がする。
負けるな、女の子たち。

結局、サブタイトルの話は最後の最後に開陳。これって、ある意味前後編ってことじゃないのかしら?
いずれにしても、盛り上がってまいりましたーー!!

1巻 2巻感想

カレイドメイズ 3.魔法じかけの純情な感情4   

カレイドメイズ3  魔法じかけの純情な感情 (角川スニーカー文庫)

【カレイドメイズ 3.魔法じかけの純情な感情】 湖山真/鵜飼沙樹 角川スニーカー文庫

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学院の講師となったミオは、ことあるごとにカイルにちょっかいを出してネーフェを挑発、怒り心頭のネーフェは、不利を承知で魔導万華鏡での決闘(景品:カイル)を挑むのだった。そんな彼女の姿に、カイルはある決意を胸に秘めるのだが――。
その頃、街には闇の隊商が訪れていた。そこでは超越異物や結晶獣などの危険な商品も取引されており、さらにあの眼帯男の姿があった! 半熟王女の恋と王国復興ノ野望に、新たな局面が訪れる!!
おおっ、なんか二巻から更に抜群に面白くなってる!? なんかこう、作風の焦点が合ってきたという感じがする。作品のセールスポイント、売り、或いは特徴をしっかり掴む事が適って、武器として存分に揮えるようになったという印象。キャラ自体は既に二巻の段階で立ってたと思うんですよね。特段この三巻でさらにキャラクターが立ったという感じはしない。それがどうしてこんなに躍動感を持って映えるようになったのかはなかなか考えるに興味深いポイントじゃなかろうか。重要なポイントとも言える。多分、自分の中ではこれが境界線なのだ。勿論、他にも様々なファクターはあるのだが、この感触の有る無しはダイレクトに作品への満足度に関わってくると言っていい。
その意味では、デビュー作のシリーズ以来、面白いしなんか好きなんだけれど何かもう一味足りない感じがしてずっともどかしかった作者の作品においてついにこれだっ! という手応えを感じ取れて、実はかなり嬉しかったりして。

今回の話、起きている事件や騒ぎだけを客観的に羅列するならかなり深刻で大変な事になっているし、人間の感情もわりとドロドロの黒いものが混ざっている話なのだけれど、緩急と言ったらちょっと違う気がするのだが、緊張感を張り詰め過ぎずに小気味良いタイミングで肩の力を抜く様な、あるいは身も蓋もなさに腰砕けになってしまうような軽妙なノリが挟まってくるんですよね。総じて登場人物から街の気風から大らかというか楽天的というか全然深刻ぶらないところがあるので、お話の雰囲気は独特の惚けたノリに終始している。これがまた面白いと言うか味わい深いというか、なんかもう楽しい。思わず吹いてしまう場面に繰り返し遭遇してしまって、一巻通してニコニコしたまま読み終えてしまった。本人達はそれなりに一生懸命で必死ぶっこいていらっしゃるのだけれど、それすらもが面白可笑しい。
そんな中で微笑ましいのが、主人公のカイルとヒロインのネーフェの初々しい、あるいは辿々しいばかりの恋模様でしょう。父親へのトラウマから恋愛について一線を引いているカイルなんだけれど、もうさすがにこのネーフェの一途なアプローチには抗しきれなかったらしく、どうやら覚悟を決めた模様。流されずにきちんと決められたのはエラいよ。何だかんだと彼がネーフェの事が大好きだというのは、彼女の裸が別の男性に見られた時の氷の魔王のようなブチ切れっぷりを見れば一目瞭然でしょう。ってか、あのカイル怖すぎw
ネーフェの方も、ミオという余計なちょっかいを掛けてくる相手が出てきたことで焦りまくるのですが、やっぱり嫉妬する姿が可愛い女の子はヒロインとして飛びっきりだよなあ、うん。
巨大結晶獣が現れた時の学院の先生連中の登場シーンの格好よさと、その後のこすっからさには素晴らしく吹きました。あんたら教職のくせに色々と我欲強すぎw まあ教員というよりも研究職がメインなので分からなくもないのですけれど、揃いも揃って生徒に舌打ちするな(笑
レナートスは相変わらずの残念イケメンっぷり、ブレないなあ。というかブレなさすぎてこのキャラ、親友キャラとしては面白すぎる人になってるぞ。前回の魔剣に引き続き、今回の魔剣も凄まじいとすら言っていいものだったし。もう笑った笑った。威力の強力さに対する副作用がしょうもなさすぎるw しょうもないけれど、恐ろしすぎるw
未だかつてあれほど恐怖に戦慄を覚えながらしょうもないさに腰砕けになった名前の魔剣は見たこと無いぞ(爆笑
でも、最後はちょっと見なおした。アレなやつだけれど、あれでちゃんと親友なんだ、レナートス。作中で主人公、ガチに殺しに行ってるけどw まああれはキレても仕方ない、うん。
そういえば、主人公の短気さはわりと学内では有名なんだな。彼の二つ名というか異名が【起きやすい眠れる獅子】と呼ばれたのには笑った笑った。確かにわりと簡単に目を覚ますよ、このライオン。

1巻 2巻感想

アリス・イン・ゴシックランド 2.怪盗紳士と大聖堂の秘法4   

アリス・イン・ゴシックランドII  怪盗紳士と大聖堂の秘法 (角川スニーカー文庫)

【アリス・イン・ゴシックランド 2.怪盗紳士と大聖堂の秘法】 南房秀久/植田亮 角川スニーカー文庫

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魔都ロンドン(ゴシックランド)を騒がす”切り裂き魔”の正体は、アリスの別人格”ジル”だった! 無垢な天使と冷酷な殺人マシーンの二面性が同居するアリスの扱いに苦悩するジェレミー。そんなある日、彼はフランスの少年貴族ラウルと知り合う。巨大犯罪結社ネオ・ヘルファイア・クラブから狙われていると語るラウルは、ジェレミーに共闘を申し出るが、はたして、彼の真の姿とは……? 謎と冒険に満ちたビクトリアン・ゴシックファンタジー第二弾!
フランスの貴族にして怪盗紳士ときたら、勿論あの人しかいないでしょう! 詳しい人は、ラウルの名前を見ただけで判別できるんでしょうね。ちなみに私は知りませんでした。アルセーヌ・ルパンの本名がラウールだということは。
このラウル。少年貴族と表現されるだけあって、まだ十代の若者なんであれ? と思ってたんですが、そうかルパンとシャーロック・ホームズって同世代じゃなかったんだ。シャーロックの方が二回りくらい年上なんですね、なるほどなるほど。
そのシャーロック氏はというと、ベイカー街に居を構えていらっしゃるようですけれど、しばらくは上手いこと登場しなさそうだなあ。妹のイグレインに連れられて事務所まで訪ねて行っても不在ということは、彼は刑事コロンボのかみさんみたいに、登場人物からその人となりを何度も語られるにも関わらず本人は顔を出さないという存在感の出し方に終止すると思われる。まあ何しろあのシャーロック氏だ。ジェレミーたちの物語に顔は出さなくても、勝手に背景でうろついているだけで存在感は十分発揮してくれている。シャーロック・ホームズは居るだけでシャーロック・ホームズなのだ。
その点、まだラウルは若いな。才気迸り意気軒昂、強かでユーモアに溢れた実に魅力的な若者であるのは間違いないけれど、やっぱりアルセーヌ・ルパンはダンディな紳士というイメージがあるので、イメージにはかなわない部分がある。もっとも、ヤング・アルセーヌと考えれば十分以上のキャラクターなんだけれど。さりげなく大事な幼馴染としてクラリスの名前があがっていたのにはニヤニヤさせられてしまう。

さて、二巻に入ってもビクトリア朝のレトロな時代背景に遊び心たっぷりの軽妙洒脱な語り口によって語られる有名キャスト総ざらえのオールスター娯楽ムービーは健在で、読んでて楽しいったらありゃしない。ゴシックランドのタイトルの通り、これって「遊園地」なんですよね。ディズニーランドみたいに様々なキャラクターが一処にごっちゃに詰め込まれてお祭りしているみたいな感じで、この時代を舞台に活躍する古今東西の様々な著名なキャラクターたちがフィクション・ノンフィクションの境なく一同に介して走りまわるお祭り騒ぎ。その中心にいる貴族刑事のジェレミーと、ホームズの妹、自由奔放破天荒娘のイグレインのコンビがお互いにハメを外して振り回し合いながら丁々発止のコンビネーションで突っ走る、この痛快感、爽快感は気持いいことこの上なし。二人してポンポンと口喧嘩して気のない素振りを見せながら、実はお互い相思相愛。かと言って正直になるには二人共性格がひねくれていて、もどかしくも心憎い恋の駆け引きが繰り広げられるジェレミーとイグレインの恋模様も、まあ顔がほころぶやらニヤニヤが収まらないやら。くすぐり方が絶妙で素敵なんだわ。

定番と言っていい降霊会ネタにヴェアヴォルフ。ついにかのモリアーティ教授も登場し、盛り上がることこの上なし。いやあ、楽しかった。この調子で行ってくれるなら次回以降も期待膨らむばかり。
しかし、一番キャラクターが濃かったのが、あのオスカー・ワイルドというのは凄かった。でも、この人って実際こんな感じだったそうなんだよなあ。

1巻感想

丘ルトロジック3 女郎花萩のオラトリオ 3   

丘ルトロジック3    女郎花萩のオラトリオ (角川スニーカー文庫)

【丘ルトロジック 3.女郎花萩のオラトリオ】 耳目口司/まごまご 角川スニーカー文庫

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暴漢たちに襲われる少女・玲儀音(レギネ)をうっかり助けてしまった咲丘。少女はばっちり電波系。会長は怪しい里帰り中で不在、ならば自分たちでなんとかするしかない。咲丘は萩と玲儀音とマゾダチの蜂須と逃走開始!!
これ、登場人物は多かれ少なかれ異常性を内包した狂人であり、変態なのですけれど、わりと明快に段差がありますよね。
一番人間性がまともなのが、各巻でひとりずつ新登場する「本物の怪物」たちであるというのは随分と皮肉じゃないですか。一巻の篠崎さんや二巻のマスターに引き続き、今回登場した人造人間フランケンシュタインの怪物である彼もまた、一つの強迫観念に差し迫られているとはいえ、基本的に一番の良識人でありました。
また健全さでは、実は超ドMの蜂須や、今回登場した玲儀音も大体精神的に健全ちゃあ健全である。いささか人の道を踏み外し、自分を含めた様々なものを偽って歪んだ人生を歩んでしまっている彼らであるけれど、話を追っていくと彼らが今のこういう立場に立ってしまったのは、性格的に歪んでしまったのは人間性の奥に根ざしたまともさ、健全さ故にこそ耐え切れずに、今のような自分になって、自分を仕立て上げて、誤魔化す事にした結果なんじゃないだろうか。結局彼らは自分をねじ曲げ、偽り、人として落ちてさえ、自分の中のまともな部分を守りたかったのだ。
だからこそ、彼らは桜を許さないし認めない、絶対に受け入れないのだ。なぜなら彼女こそ、目的のために蜂須たちがしがみついた「まともさ」をかなぐり捨てて獰猛に失ったものを取り戻そうとした狂人であり獣だからだ。昔は仲が良かったという蜂須。あの様子だと、蜂須は今も桜に惚れているのでしょう。だからこそ、決別しなきゃいけなかったんだろう。今の桜とは絶対に対立しなきゃいけなかった、というのが蜂須・玲儀音と桜の対論を目の当たりにして透けて見えてきた。
しかし、同時にあの対論は、桜の狂気を浮かび上がらせるだけじゃなく、彼女の限界を示したと言える。彼女は確かに目的のために多くのものを投げ捨てた狂人なのだろう。がしかし、彼女の狂気の源泉である動機は、決して理解不能なものではないのだ。まだ多くが語られているわけじゃないけれど、何かを目的として動く、ということはどれほどそこに至るまでの過程が狂気じみていても、あくまで方法論が狂気の産物でしかなく、それさえ度外視すれば、概ね普通に理解の及ぶ範疇なんですよね。
桜は、あくまで理屈の論理の中で泳いでいる存在に過ぎない。それは出島も萩も同様だ。彼らも自分の失ったものを取り戻したいという理屈にしがみつき、それを叶えてくれるだろう桜にくっついているに過ぎない。

本当の狂人は、本当に爪先から頭のてっぺんまで意味が分からないのだ。
誰にも理解出来ない理由で動き、誰にも意味が分からない基準で判断し、誰にもわけがわからないルールで価値を決めてしまう。
玲儀音の予言をまるで理解できなかったのを見て、桜は誰が本当の怪物かわかっていないのだと確信した。彼女はまだ、自分が飼ってしまった本物の怪物を理解していない。全然理解していない。
クビに縄をつけて引っ張っているつもりで自分の首に縄がついているのも、ヨダレを垂らしながら大口をあけた怪物がすぐ真後ろで手ぐすねを引きながらついてきているのにも、すべてを取り戻した瞬間にパクリと頭から怪物に丸呑みに食べられてしまうのだろうことも、何も知らず、察せず、自分の狂気を信じて戦っているつもりなのだ、この人は。
自分が破壊者でも征服者でも復讐者でもなく、ただの「餌」だと気がついていないのだ。彼女は、玲儀音の予言を真剣に受け止め、考えるべきなのに。

ある意味、怪物に一番正しい対処をしているのは、江西陀なのかもしれないね。彼女こそが実に正しく、怪物じゃない彼に餌付けしてるんだから。清宮なんぞに負けるな、江西陀。あんたもう、普通に可愛いからっ!

1巻 2巻感想

レンタルマギカ 争乱の魔法使いたち4   

レンタルマギカ  争乱の魔法使いたち (角川スニーカー文庫)

【レンタルマギカ 争乱の魔法使いたち】 三田誠/piko スニーカー文庫

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世界を変える!
強大な2大組織がいよいよ激突!!
ジャッジを担う<アストラル>の勝利条件は――!?


魔術が世界を揺るがす『大魔術決闘(グラン・フェーデ)』の幕がきっておとされた! 穂波や猫屋敷ら魔法使いを罰する魔法使いによって編成された<協会>。そして彼らに仇なして来た<王冠(ケテル)>の座(セフィラー)タブラ・ラサ率いる<螺旋なる蛇(オビオン)>の血戦はもはや必然。しかしこの決闘を取り仕切る<アストラル>伊庭いつきにはどちらも勝たせるつもりはなかった。その秘策とは――!! いつきの『力』を信じる者たちも続々集結、波乱を含み魔術の時間(マギ・ナイト)は加速する!
仲介役として『大魔術決闘(グラン・フェーデ)』を取り仕切ることで、<協会>と<螺旋なる蛇(オビオン)>の全面戦争をコントロール可能な最小単位の決闘へと制限する事に成功した<アストラル>。とは言え、戦いの形が変わったとは言え勝敗を決する以上は、それぞれの目的を鑑みるに勝者が敗者を滅ぼすのは自明の理。結局、戦争の規模こそ制限できたものの、結果はこのままでは何も変わらない状況だったんですよね。これをいつきがどうするつもりなのか、<協会>とも<螺旋なる蛇(オビオン)>とも立場を異にする、魔術世界を動かすプレイヤーとして、彼が何を目論み、何を目指しているのか。それが開陳されるのをわくわくして待っていたのですが……そう来たかーー!! 決闘のジャッジとなった以上中立の立場でどうやって両者の戦いに介入するのか謎だったのだが、まさかそんなからくりで、ジャッジである<アストラル>が実質第三極としてこの決闘に参加する形に出来るとは……発想の転換だ。それと同時に、参加人数が絞られる決闘だからこそ、大組織とは比べるべくもない零細魔術結社に過ぎないアストラルが何とか渡り合える形になっているわけで、最初からそのつもりだったのか。
これは御見逸しました。
興味深いことに、この時点で<アストラル>って魔術世界の異端、ではなくなってるんですよね。図らずも、フェーデの前にいつきに会いに来た協会側の参戦者の夫婦が語ったように、新興勢力<アストラル>に注目が集まっているんですよね。その中にはおどろくべきことに好意的な形で彼らを見る向きが少なからず存在しているのです。魔法使いの中にはいつきの生み出した新しい流れに着目し、彼の言動に目を惹かれ、彼の考え方を支持する世論が着実に醸成されてはじめている。魔法使いたちの世論を代表する<協会><螺旋なる蛇(オビオン)>と並ぶかまではわからないけれど、確かに魔法使いの未来を担う第三の勢力として認知されつつあるわけです。
その支持者の代表とも言うべき人たちが、今回自然と集まり、いつきに手を差し伸べてくれた人たちなのでしょう。いつき社長率いる<アストラル>と関わり、彼の人柄に魅了され、彼の語る魔法使いの幸せに共感を抱いてくれた人たちが、この難局の渦中に頼まれずとも自らの意志で、みんないつきを助けるために続々と集まってきてくれたのです。
これは痺れたなあ。
それでも、いつきにとっては今回の決闘は<アストラル>の限界を超えることを求められた綱渡りの繰り返しのはずで、それこそ思惑や企みが全部うまく行かないとすぐさま破綻してしまいそうなギリギリの瀬戸際が続いていたはず。
それを、まさかあんな形で横から介入してきて、いつきの思惑を台無しにしかねない形でひっかきまわす人が出てくるなんて……思わず「なんなんだ、こいつは!」と唸ってしまいましたよ。
誰もが予期せぬ第四極の出現。<アストラル>にして今の<アストラル>とは考え方がまるで違うもう一つの<アストラル>。魔法が使えない魔法使い。先代<アストラル>社長「伊庭司」の登場。まさか、こんな嫌らしい形で、それもいつきと対立する形で現れるなんて。世界の片隅でこっそりと復活した時から不気味だ不気味だとは思っていたけれど、これはとびっきりに気持ち悪い。明らかに、伊庭いつきとは相容れない何かだ。
それなのに、隻蓮さんや旧アストラルの社員だった人たちが、何故か伊庭司と同調して動き出してるんですよね。どうも心情的にはいつき側に居てくれるようなのに、何らかの理由で前社長に理ありと彼の側に立って動き始めている。前社長の目論みの一端は、一部だけですが見えてきたわけですが……それでも底知れなさすぎるよ、この人は。
明らかに計算外の旧<アストラル>の介入によって、いつきの計算は大幅に狂いだしているはず。ただでさえ、<協会>も<螺旋なる蛇(オビオン)>も簡単にいつきに良いように振り回されるような甘い連中ではなく、普通にやっていても危ないにも関わらず、さらに状況が混沌化して、果たして大丈夫なんだろうか。此処に来てじりじりと不安ばかりが募っていく。
とりあえずダフネさん、とっとと因縁叩き伏せて、隻蓮さんを篭絡して取り込んでくださいよ。ユーダイクスはともかく、みんなの兄貴分であった隻蓮さんが敵対していると足元が覚束ない感じになって心細くて仕方ないんですから。

三田誠作品感想

薔薇のマリア 16.さよならはいわない4   

薔薇のマリア  16 さよならはいわない (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 16.さよならはいわない】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

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痛くても、泣きたくても、なにがあっても、負けない。
エルデン崩壊!?(※そしてサフィニアとトマトクン急接近!!)


幾度も侵略を退けたサンランドの魔導兵たちは、ラフレシア帝国軍の前に沈黙し、軍勢はエルデンに迫る。噂と混乱に満ちるエルデンで、あるものは逃げようと奔走し、あるものは絶望に身を投げ、あるものは喧騒に乗じて略奪と殺戮に走る――。 そんな中、マリアが、ユリカが、サフィニアが、皆それぞれの時を惜しむように、愛する人との時を紡いでいた。 そして圧倒的な破壊の先陣は疾り来たる!! それでもZOOは生き残るために戦う!!

……絶句。為す術なく絶句。超剣士同士の常識はずれの大決闘とか、大魔導師たちの常軌を逸した魔法大戦など、あまりにも途方も無い戦いにむしろ緊張感は解けてたんですよね。軍隊による蹂躙という、個の介在しない逆らいようの無い暴虐の到来によって何もかも叩き潰される、これまで積み重ねてきたもの、築きあげてきたものを巨大な力によって一顧だにされずすり潰されるという、圧殺するような恐怖感、どうしようもないという無力感、ただ逃げ出すことしか出来ない、立ち向かう事すら出来ないという為す術もない有様に慄いていただけに、むしろ剣鬼の爺さんや閃光の魔女マチルダの襲来は、その持ちたる力は未曾有の圧倒的な代物であるにも関わらず、戦争という現実と比べると何故かほっとしたところがあったんですよね。どれほど強大な相手だろうと、それが個人ならそれほど怖くないんですよ。実際、マリアたちも混乱し翻弄され彼らの戦闘が巻き起こす大破壊に逃げ惑っているのだけれど、エルデンから脱出することを決めて、アサイラムと行動をともにし出すまでと比べると、その緊張感は確かに緩んでたんですよね。
その戦闘のド派手さに、話としては大いに盛り上がりながらも、同時にここまで張り詰め続けていた緊張の糸はここで一旦緩みを帯びていたのです。それこそが油断です。
まさに、逆撃が一番効果的に決まる瞬間でした。
一度緩んだ緊張の糸は、一瞬では引き絞れないのです。心の身構えは、簡単には戻らないのです。
突然思わぬところから押し寄せてきたすべてを圧壊させる「戦争」に、マリアたちも読み手であるコチラでもすらも濁流に飲まれた木の葉のように、為す術無く翻弄され、慌てふためき、何も出来ないまま押し流されてしまったのです。
もし、南門についた時点でそのまま戦争に突入していたら、ここまで惑乱することもなかったでしょう。ある程度、どんな事が起ころうと、どんな展開が起こってしまおうと覚悟ができていたはずです。それが、無防備に足をすくわれ、「え? ええ? ええ!?」と落ち着く事もできないまま右往左往した挙句、ラストのあれですよ。もう、呆然です。絶句です。為す術なく言葉を失うばかりでした。完全に緩急にしてやられましたよ。これで次巻に続くって、凶悪にも程がある。しかも、どうやらある程度最後の場面から時間が経っているようだし……ほんとにどうなったんだよ、もう!!

とまあ、後半の怒涛の流れに圧倒された巻のあるこの16巻なのですが、前半は前半でまったり、とは違うのですけれど、刻々と近づいてくる破局を前に、いやだからこそやおら盛り上がる恋人たちの描写の数々がもう甘いような切ないような、どうしたもんですかこれ。いつの間にか、カップル増えたよなあ。ユリカと飛燕だけじゃなく、ヨハンと琺瑠も此処に来て結ばれちゃっているようだし、まさかのカタリ大成功。いや、カタリがそれっていいのかマジでw ダリエロとか、お前凶悪悪漢キャラじゃなかったのかと言いたくなるくらいの、子供好きのお父さんキャラになった挙句にベティといい雰囲気になりやがっておめでとう。本人たちは「はぁ?」という感じのようだけれど、傍目には完全にコンビだよね、この二人。何か得体のしれない関係になりつつあるのがSIXとリーチェなんだが、ここは一体どういう方向に行こうとしているんだろう。サフィニアはむしろ想いが届いてしまったことが逆に悲恋フラグ立ってしまった気がして怖い。
と、気になる純愛模様が幾つも幾つもあるはずなのに、それらが全部どうなってしまったのか、あの状況じゃわからないんだよなあ。楽観視するには、あのラストが見事に釘をさしている。十文字さんは偏執的に悲劇惨劇を演出するタイプじゃないし、どれほど悪夢的な展開でも希望を消したりしない人なんだけれど、やるとなればためらわずに幾らでもやってのける作家でもあるから、ホントに楽観は何も出来ないんですよね。なんかもう、磨り減るわー。
一応、脳や心臓は破損していないはずだから蘇生式は施術可能のはずなんだが、あの状況で遺体を回収して坊主呼んできて式を行えるだけの場を用意できるかというと、とてもじゃないが期待できようはずもなく……あー、あかん。こりゃあかん。あかんわ〜……。

十文字青作品感想

東京皇帝☆北条恋歌 93   

東京皇帝☆北条恋歌 9 (角川スニーカー文庫)

【東京皇帝☆北条恋歌 9】 竹井10日/要河オルカ 角川スニーカー文庫

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怪蟲との一大決戦から16年後。西園寺一斗と南徳原来珠の娘・璃々珠は、妹の衛梨珠や異母兄弟の愛斗、ゆりえ子らと共に平和な日常を過ごしていた。そんなある日、父・一斗が失踪するという大事件が起きて!?

どうも、東京こうていわ。
って、今回この挨拶誰もしてなかったよ。なんでだよ、裏切られた! せめて一六年後の東京帝国の公式な挨拶として流布されているのかと思ったら、カズちゃんの子供誰も東京こうていわって言ってくれなかった。ひどい話である。
そう、カズちゃんの子供である。いきなりの子だくさんに何事かと面食らう。だって、前巻確か現代から何十年か前にさかのぼった時代が舞台だったのに、新刊はじまったら一六年後ですよ。カズちゃん、何人と子供作ってんだよという話になっていて、そもそも過去とも現代とも話の辻褄が合わないという、かなりややこしい事になっていたのである。
……いや、マジでこれいったいどういう事になっているんだ? 少なくとも現状では過去・現在・未来はシュタゲ風に言うならば違う世界線、パラレルワールドにあるようにも見えるのだけれど、どうも私にはこれ一本線で繋がっているように思えるんですよね。
衛梨珠が帝国暦一年に時間遡行しようとしてトラブルから訪れてしまった現代では、未来では起こっていないはずの事象が幾つも起こっていて、その現代からでは衛梨珠が生まれる未来にはならないはずなんですよね、そのままでは。

ちょっとこれ以降は収納するとして

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それがるうるの支配魔術 Game2:リメンバランス・パズル4   

それがるうるの支配魔術    Game2:リメンバランス・パズル (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術(イレギュラー) Game2:リメンバランス・パズル】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

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水那斗るうる率いる我らが欧文研に、奇妙なオブジェが届いた。「私を捜して」というメッセージと"浮き世のオルカ”というヒントが添えられており、どうやら碓氷の初恋に関わるものらしい。碓氷よ、感傷に浸っているところ悪いが、こいつには妙な魔術がかかっているぞ?
「それなら、お兄ちゃんが作ったゲームかも!」
るうる、それは飛躍しすぎだろっ!? 魔術が仕掛けられた初恋パズルが導くのは、失踪中のるうるの兄へか、それとも!?

最初のルールズ・ルールはかなり早い段階で答え解かった!!
まああの挿絵はキャラを抑えてさえいたら違和感感じるだろうし、一度違和感の方向性さえ掴めば、描写をお浚いさえすればきっちり答えにたどり着けるようになっている。
今回の魔術発動による間違い探しは、明らかにおかしい状況が多発している為に、一巻の時のような一体何が間違っているのかを注意深く見極めて、それにたどり着いた時の痛快なカタルシスという意味ではやや乏しくなっているのだけれど、それでも細かい謎解きなど、実に理路整然としていて答えが明かされた時の「あっ、なるほど!!」という納得感が、やはり素晴らしく気持ちがいい。
答えを聞いてみると、確かにそれ以前にヒントとなる情報が描写されているんですよね。それも、よく探さないと見つからない、みたいな隠され方はされておらず、割と堂々と書かれている。ただそう思うのは後になって振り返ってみたからで、その時は普通の情景描写や何気ない会話の中の一言といった物語における自然の流れの中に紛れているのです。でも、完全に迷彩は掛かっていなくて、読み直していると結構「これはヒントですよっ」みたいな自己主張がさらっと為されてたりするんですよね。
その意味では、伏線・ヒントの仕込み方は巧妙でありながら読み手に対して優しい、あるいはサービスに富んでいると言えます。それがまた小気味良いんですわ。純粋に話の作り方、語り方が上手いとも言えるんじゃないでしょうか。
これは、今回の今回の依頼「オルカ・ゲーム」にまつわるものだけではなく、るうるの兄の失踪や、るうるを取り巻く状況といったこの作品の根幹を担う謎についても同様で、今は何を指しているか判断する情報が足りないものの、どうやら伏線・ヒントらしい情報があちらこちらに散りばめられていて、自然とこの物語そのものにグイグイと引き込まれていくのです。
うん、面白いっ!!

短篇集でも予定されているのか、どうやら一巻とこの二巻との間の時間軸に色々と事件やイベントがあったようで、結構人間関係も変わってますね。幼なじみとるうるがやたらと仲良くなっているのもそうですけど、小春さんもあんなに距離感近くなかったよなあ。
それから言乃ですよ、御剣言乃。この子、めちゃくちゃエロいんですけどっ! 別に色気タップリとか艶っぽいというキャラでもないし、性格もむしろ堅くて潔癖っぽい方で下ネタ好きという訳でもない。わざとエロい言動で主人公をからかおうというタイプでもない。
なんだけど……この子、凄い無防備なんですよ。男の視線というものに無頓着すぎる! いや、視線自体に気づいていないというわけでもなさそうなんだが、平気でブラチラしたりいきなり着替えだしたり。見られても気にしない、主人公を男とも思ってない、というのとも違うのだ。下着見られたら普通に怒るし、恥ずかしがる。恥辱心は人並み程度に持ってるようなんですよね。
なのにガードがゆるゆる。そういうのに頓着なさそうなるうるなんかと比べても、無防備にエロい言動を発してるんですよね。普通に「今、生理だから」とか言われたら、さすがに驚くわ! いや、過剰に反応するのもアホらしい話で、別に主人公も多少慌てたくらいで大して気にもしてなかったけれど、平然と男に対してそういう発言するキャラというのはなかなか見たことがなかったので、新鮮というかなんというか。そう言えば、一巻でもタマキに対して無防備な発言してたなあ。
……考えてみるとこの無防備さって、性格というよりも自分の価値を低く見ているから、のような気がしてきた。なんか、一巻で丸のことを真面目に誘っていた時もそう考えると当てはまるんだが、自分を大事にしてない感じなんですよね。とは言え、言乃が自分のどうも何らかの制約を受けているらしい立場について丸に言及したからこそ感じるに至った感想なのですが。
小春さんに仕込まれているネタといい、碓氷が気づいたうっすらとはびこる悪意といい、どうにも思ってた以上に【世界災厄の魔女】るうるにまとわりつくモノは粘っこく気持ちの悪いものらしい。
丸の主人公としての明晰さと頼もしさもさる事ながら、碓氷が主人公の友人キャラ、というパターン的に存在感薄い立ち位置のくせに、この作品ではハード面でもソフト面でもとてつもなく頼りになりそうで、さらに色々なところに仕込みやトラップが設置されている中では、唯一と言っていいくらいしがらみも何もなく友情と恩義でもって全幅の信頼をおける相手となってますからね、ひとりでもこういう味方が身近にいるというのは安心感が違いますわ。
本来頼りになりそうな言乃は、どうやらしばらくは味方や相棒というよりも「ヒロイン」として機能しそうですしね。

何にせよ、背後にうごめく影も動き出し、盛り上がってまいりました。実はマスターが○○なんじゃないの? と正解を見つけた気になっていい気になってたら、速攻でダメだしくらいました。うきゅー。

1巻感想

ダンタリアンの書架 83   

ダンタリアンの書架8 (角川スニーカー文庫)

【ダンタリアンの書架 8】 三雲岳斗/Gユウスケ 角川スニーカー文庫

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ある日、ダリアンとヒューイのもとを訪れたカミラ。持参したのは、クリームをたっぷり挟み込んで人気の、缶入りクッキー“ロゼッティ”。中にはカエルが主人公の小さな絵本が入っていた。その表紙の隅には「7」と数字が……クッキーのおまけ絵本は全部で8種類、開けてみないと何が出るかわからない。そしてダリアンとヒューイは“ロゼッティ”を求めて町を出た!  黒の読姫とその唯一人の鍵守の、幻書をめぐる冒険、第8弾!!
今回なんか読んでて違和感あるなあと思ったら、断章がないんだよなあ。あれがあるとないとでは結構読んだ感触が違ってくるんですねえ。何気にあの掌編、毎回面白いし。


第一話「王の幻書」
アフリカの奥地への探検行というと第一次世界大戦前後が一番時代背景的に映えるんだよなあ。
しかし、こうしてハルとヒューイが同時に出演するとハルが頭悪い分、ヒューイのクレバーさが目立つ。本来なら焚書官であるハルの方がダークヒーローのはずなんだけど、ヒューイに良いように利用されるんだよなあ、こいつ。まあ本を焼くような輩じゃ何されても仕方ないか。阿呆だし。傍目には振り回しているように見えるフランですが、あれでこの頑固なバカの扱いに苦労してるんですねえ。


第二話「最後の書」
冒頭の、何かに執着しまくった女の子の登場からまた人間の業の醜さを描いた怖い話になるのかと思ったら、まあ実際人間の業の醜さを描いた怖い話になったんだけど、思ってたのと全然方向性が違ったよ。怖いっちゃ怖いけど全然怖くないよ! というか、幻書じゃなかったよ!!
ダリアンは現代に来ちゃだめだよね、この子。今の時代だと容易にハマってしまうものが多すぎる。カミラもまた余計な物持ってきて。しかし、この絵本も書架に入れるんだろうかw


第三話「永き黄昏のヴィネット」
と、何だかんだと間抜けな話が二つ続いたところで、最後はやっぱりきっちりとダークで悲哀たっぷりな話に。
此処に来て、以前に登場したキャラクターが話をまたいで収斂しはじめましたね。あの女性記者はわりと不幸キャラな立ち位置なんだろうか。オチも彼女だけえらい目合ってたし。登場したどちらの話でも異空間に閉じ込められるというかなりオオゴトに巻き込まれてますしね。
ただ、ここで彼女にもダリアンの正体がバレるとは思わなかった。仮にもマスコミの人間だし、さすがにダリアンの情報をネタにすることはないだろうけど、幻書の情報を持ってくる役として今後も度々登場しそうだな。まさかの幻書泥棒のあの人も登場しましたし、そのうちオールスターキャストの話もあるんじゃないかと期待しちゃいそうだ。


いつもは4話構成のところが3話でちと薄い。やはりアニメ化にあわせて急いで出したんだろうなあ。

三雲岳斗作品感想

ミスマルカ興国物語 94   

ミスマルカ興国物語 IX (角川スニーカー文庫)

【ミスマルカ興国物語 9】  林トモアキ/ともぞ 角川スニーカー文庫

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白薔薇(シャルロッテ)&蛇(マヒロ)、本格スタート!
最強策略家コンビの暗躍が始まる!


ついにグランマーセナルの帝都・シューペリアに入ったマヒロ。早速第一皇女にして軍令本部長、“白薔薇姫”の異名をとるシャルロッテから、貴族たちの動向を探る指示を受ける。警戒すべきは帝国内でも広大な領域を誇り、国家基盤を揺るがしかねない四大大公。しかし彼らもまた、中原地域の信頼を集めるマヒロに注目し、利用しようと画策を始めていたのだ! 人類統一を掲げる巨大帝国が、マヒロの出現によって、密かに軋み出す!!
こ、こりゃあアカン! シャルロッテってマヒロが絶対に敵わないタイプのヒロインだ!! てっきり、先の秘密会談時の鮮烈な謀略家というのがシャルロッテのキャラクターだと思ってたんですよね。明らかにマヒロよりも上手の策略家で政治家で理想主義者。でも、ただマヒロよりも天才で優秀で強かってだけなら、マヒロは彼女に対抗出来たと思うんですよ。彼にはどんな場面からでも相手の意表をついて卓袱台をひっくり返して思惑を台無しにするフレキシブルで奔放なスタイルが身についている。だから、相手が常識的な思考の持ち主である以上、どれだけマヒロよりも優秀で有能でも対抗し逆転できる要素が残っているはずなのだ。
ところがーーー!
そのマヒロよりも優秀で賢明で強かで陰険で清廉なのに、マヒロよりも自由奔放でフレキシブルで非常識で横暴だったりした人が居たら、そんなもんマヒロじゃ絶対敵わないよ!!
これがルナスみたいにただ奔放で横暴なだけのアホの娘だったら、口八丁手八丁でいくらでも騙くらかせる。
これがユリカみたいな思慮深い知性的な娘だったら、奇想天外な手段でいくらでも出し抜ける。
でも、シャルロッテは駄目だ。どうやったって無理だ。彼女にだけはもうマヒロでは頭があがらない。
マヒロが敵わないのは、あらゆる面がマヒロを上回っているからってえだけじゃない。それを前提とした上で、マヒロとシャルロッテの関係が同志でも仲間でも共犯でも恋人でもなく、お姉ちゃんと弟、というそれにハマってしまった事が最大の要因だ。

弟は、お姉ちゃんの傍若無人には絶対に逆らえない!
これは世界の真理である。

いや、意外だったのはシャルロッテの暴虐姉ちゃんっぷりもそうだったのだけれど、彼女がマヒロを完全に身内扱いしだした所だったんですよね。どれだけ信頼しても信用しても、仮にも相手は【蛇】である。一定の警戒と用心は欠かさない、と思ったんだけれど、ちょっと無防備なくらいの距離感で接してるんですよね。それこそ、ルナスやユリカたち姉妹と接するのと同じように。まるで家族のような無造作さで。もしかしたら、一応の婚約者であるルナスよりも、マヒロに対して気安いようにすら見える。ルナスはあれでマヒロが【蛇】であるという意識を常に欠かしてませんしね。それを踏まえても、マヒロが気になって仕方ないというところが可愛らしいのですが。
そう考えると、ルナスが真剣にマヒロをシャルロッテに盗られるんじゃないかと心配してるのはあながち杞憂じゃないのかもなあ。完全にマヒロ、シャルロッテのお気に入りの玩具になってるし。
実際は、シャルロッテはマヒロのことをこれっぽっちも信頼も信用もしてないのかもしれないのでしょうし、根本的に利用し利用されるという関係なのでしょうけれど、それとお姉ちゃんとして弟をいたぶ……、振りまわ……、可愛がるのは別と分けて考えているのか合わせて考えているのか、いずれにしてもあのマヒロをほぼ完全に掌中に収めてしまったのだから尊敬に値する。
これ、今後どれだけマヒロが羽目外してムチャクチャやっても、手綱を引きちぎって制御下から離れてしまっても、仮にシャルロットの思惑を上回っても、一度築かれてしまったお姉ちゃんと弟という上下関係と親身な構図はもう崩れないぞ、これ。
まあ現段階でマヒロとシャルロットの描いている未来図はほぼ重なっているようですしね。
ジェスとなんやかんやと絡みのあるユリカは別としても、もしかしてマヒロの三姉妹まとめて嫁に寄越しやがれ、という要求はあながち的外れな話で終わらないかもしれない。マヒロとシャルロッテの予想外の息の合いっぷりは、ほんとにお似合いでしたし。
ルナス、超がんばらないと本気で盗られるぞ、これ。パパ皇帝のマヒロへの過剰なくらいの敵愾心も、野生のパパの本能が囁いているに違いありません。
個人的にはもう、ルナスとシャルロッテ両方いただきます、は大いにアリなんですけどね。二人とも逃すにゃ魅力的すぎでしょう。

林トモアキ作品感想

問題児たちが異世界から来るそうですよ? あら、魔王襲来のお知らせ?4   

問題児たちが異世界から来るそうですよ?  あら、魔王襲来のお知らせ? (角川スニーカー文庫)

【問題児たちが異世界から来るそうですよ? あら、魔王襲来のお知らせ?】 竜ノ湖太郎/天之有 角川スニーカー文庫

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【打倒!魔王!】を掲げた弱小チーム“ノーネーム”に届いたのは、北の“火龍誕生祭”への招待状。魔王襲来の予言があり、東のフロアマスターである白夜叉から参加を要請されたのだ。「それ、面白そう!」と黒ウサギを置いて北へ向かった問題児たちから「今日中に私達を捕まえられなかったら、3人ともノーネーム脱退するから!」という手紙が!?な、何を言っちゃってるんですかお馬鹿あああ――!!! どうする黒ウサギ!?
あれ!? あれれれ!? なにこれ、めちゃくちゃ面白いんですけど!? いえ、第一巻の段階から新人作品としては稀に見る、いや新人作だからこそか、パワフルにドライブをきかせまくった凄まじい勢いの面白い作品だったのですが、逆に言うと勢い重視すぎて物語をすすめる上での前提となる舞台装置の構造部分が果たしてこの勢いについてこれるのか、ややも不安な部分があったんですよね。どれだけスピードの出る車を用意しても、道路を整備していなかったらまともに走れないのと同じような意味で。
魅力的でエネルギッシュなキャラクターたちと、彼らが大暴れする舞台となる箱庭世界。これを如何に空転させずに走らせる事が出来るのか。滅多と見ないくらい突っ走りそうなキャラ揃いだけにどうなるかと思ってたんですが、まさかこれほど一瞬にしてインフラを整備してしまうとは、呆気に取られてしまうくらいでしたよ。
そういえば、一巻の感想を見返してみると、意外とこれ舞台設定は頑丈に出来ているのかも、という風に見てたんだな。どうやらその感触は間違いなかったらしい。それも、何となくの感覚で整えるのではなくちゃんと計画性に基づいたシステムとして整えていっているのが好感触。

そもそも、あれだけ十六夜たちにチートすぎる能力を持たせたにも関わらず、それに頼り切って力任せのパワーゲームで障害をぶち破っていく形式にせず、かと言ってせっかくの能力を活かすこと無く封印したり制限するでもなく、まずそのチートな能力を武器として実際に振るえる状況を作り出すところからはじめなければならないように話が進んでいくのです。そもそも、ゲームのルールを決めるところから、いやそれよりも前、ゲームが実際に行われると決められる前の段階から謀り事と駆け引きが始まっているのですから、相当に深度のある知略戦ですよ、これ。
一巻ではルールを問題にしない強力な力を持つ三人の大暴れが痛快感を醸しだしてた以上、ルール縛りを強化するのは窮屈さを感じさせるかと思ったら、全然そんな事ありませんでしたしね。これは、一方的にルールを押し付けられてそれに縛られるような展開じゃなく、相手との駆け引きでルールの内容を決めていく、という形が大きかったんだろうなあ。いや面白い面白い。実に面白い。

そして、相手に対する勝利条件を見つけるためには、まず相手の正体を見極めなければならない、と来た。一巻で敵陣営がペルセウスに連なるものだったり、他にも黒ウサギの神話や白夜叉の正体など、傾向はあったけれど、ここまではっきりとまず神話や伝承を手掛かりとして相手の正体を分析解体し、その氏素性を暴いていくスタイルのバトルになっていくのは予想外だった。こういうウンチク話が好きな身としては、【カンピオーネ!】もそうなんだけどハマるんですよね。
今回の相手はハーメルンの笛吹き男がキーワードとなるチームだったのですが、ハーメルンの伝説にそういった解釈の数々があるとは全然知らなかっただけに、大変面白かったです。
それにしても、十六夜の博識さには驚かされる。こいつの最大の強みって、野放図な力でもギフトブレイカーという特殊能力でもなく、この知識と知能と洞察力じゃないか。バトルジャンキーの野生児みたいなノリしてからに、ココぞという肝心な時にはこの子完全に理性派なんですよね。自分の欲求に忠実なのかと思ったら、状況を鑑みてちゃんと自分を抑えるところは抑えて立てる相手は立てるし。無邪気なヤンチャさと義理人情に厚いところが同居しているし、三人の異邦人の中では確かに頭ひとつ抜けている。

一方で、飛鳥や耀は能力的には一歩も二歩も十六夜には劣るんだけど、人間的には若いなりに非常に出来ているし、稚気や余裕もある。その上で、非常に貪欲な向上心もあり、心を正方向に保つ矜持と義侠心も持っている。今はまだ中途半端な強者だったとしても、この二人ってそりゃもうガシガシ伸びまくるタイプですよ。ある意味完成している十六夜よりも、その伸びっぷりは見てて楽しいと思うくらいになるかも。この巻でも、既に飛鳥は一つ大きな武器を手に入れますしね。

そして、今回の敵となるチームの連中も、このままドロップアウトしてしまうには惜しいと思うくらいにキャラ立ってましたよ。
惜しむらくは、まだ味方側のキャラを立てきれてないところか。特にサンドラあたりなんかかなり美味しい立ち位置だったのに、何か目立たないまま終わっちゃいましたしね。坊ちゃんも、彼の知識が打開策となる場面は幾つかあったのだけれど、いまいち目立てず。彼とサンドラの関係なんか扱い用によったらだいぶ華やかに出来ただろうに。ちょっち詰め込みすぎの弊害がこの辺に出てるのかなあ。元魔王の吸血姫も、その正体から伸縮自在の特性やら、見せ所は多かったはずなんだが、もうちょいインパクトに欠けた感もあったもんなあ。カノジョのキャラのキャパからしてもっと出来るはずという期待も大きいですから。

ともかく、期待していたものよりさらに発展した形の特上の品を二巻で見せてくれた以上、こりゃさらなる期待を膨らまさずには居られないですよ。でっかいの来ましたよ、これ。

1巻感想
 

6月30日

之 貫紀
(エンターブレイン)
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kawa.kei
(エンターブレイン)
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槻影
(エンターブレイン)
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白水 廉
(エンターブレイン)
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丸山 くがね
(エンターブレイン)
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鹿角フェフ
(GCノベルズ)
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力水
(モンスター文庫)
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蒼井美紗
(Mノベルス)
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よねちょ
(Mノベルス)
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あきさけ
(Mノベルス)
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唐澤 和希
(ヒーロー文庫)
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中野 在太
(ヒーロー文庫)
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新城一/海月崎まつり
(KCx)
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キダニエル/四葉夕卜
(KCx)
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6月29日

火事屋/蛙田アメコ
(ライドコミックス)
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真鍋譲治/すかいふぁーむ
(ライドコミックス)
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伊吹 亜門
(星海社FICTIONS)
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柴田 勝家
(星海社FICTIONS)
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6月28日

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6月27日

浦上ユウ
(電撃コミックスNEXT)
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猫夜叉/亀小屋サト
(電撃コミックスNEXT)
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たくま朋正/伊藤暖彦
(電撃コミックスNEXT)
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綾村切人/ナフセ
(電撃コミックスNEXT)
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結城鹿介/髭乃慎士
(電撃コミックスNEXT)
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幌田
(まんがタイムKRコミックス)
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6月25日

十文字青
(オーバーラップ文庫)
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鬼影スパナ
(オーバーラップ文庫)
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迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
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篠崎 芳
(オーバーラップ文庫)
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寺王
(オーバーラップ文庫)
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御鷹穂積
(オーバーラップ文庫)
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メグリくくる
(オーバーラップ文庫)
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雨川水海
(オーバーラップノベルス)
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江口 連
(オーバーラップノベルス)
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和島 逆
(オーバーラップノベルスf)
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KK
(オーバーラップノベルスf)
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雨川透子
(オーバーラップノベルスf)
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6月24日

芝村 裕吏
(MF文庫J)
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志瑞祐
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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月見 秋水
(MF文庫J)
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三月みどり
(MF文庫J)
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花間燈
(MF文庫J)
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衣笠彰梧
(MF文庫J)
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常世田健人
(ダッシュエックス文庫)
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ジルコ
(ダッシュエックス文庫)
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疎陀陽
(ダッシュエックス文庫)
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九十九弐式/すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
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甘岸久弥
(MFブックス)
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yokuu
(MFブックス)
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天ノ瀬
(MFブックス)
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ラチム
(MFブックス)
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櫻井 みこと
(MFブックス)
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御手々 ぽんた
(MFブックス)
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支援BIS
(KADOKAWA)
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藤也卓巳
(あすかコミックスDX)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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横田卓馬/伊瀬勝良
(角川コミックス・エース)
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ぶんころり/プレジ和尚
(角川コミックス・エース)
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蛍幻飛鳥/志瑞祐
(角川コミックス・エース)
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水無月すう
(角川コミックス・エース)
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鈴見敦/八又ナガト
(角川コミックス・エース)
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御宮ゆう/香澤陽平
(角川コミックス・エース)
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人生負組
(角川コミックス・エース)
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ZUN/水炊き
(角川単行本コミックス)
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神地あたる/白米良
(ガルドコミックス)
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黒杞よるの/雨川水海
(ガルドコミックス)
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村光/ベニガシラ
(ガルドコミックス)
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七六/鬼影スパナ
(ガルドコミックス)
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天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
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白砂/麻希くるみ
(ガルドコミックス)
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木乃ひのき/雨川透子
(ガルドコミックス)
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6月23日

日向夏/ねこクラゲ
(ビッグガンガンコミックス)
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押切蓮介
(ビッグガンガンコミックス)
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小林湖底/りいちゅ
(ビッグガンガンコミックス)
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深見真/真じろう
(ビッグガンガンコミックス)
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金田一蓮十郎
(ヤングガンガンコミックス)
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佐藤真登/三ツ谷亮
(ヤングガンガンコミックス)
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萱島雄太
(ヤングガンガンコミックス)
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優風
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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6月22日

浅草九十九/和ヶ原聡司
(MFコミックス アライブシリーズ) Amazon Kindle B☆W DMM


安里アサト/シンジョウタクヤ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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中山幸
(MFコミックス アライブシリーズ)
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三ツ矢だいふく
(MFコミックス アライブシリーズ)
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内藤隆/榎宮祐
(MFコミックス アライブシリーズ)
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花鶏ハルノ/相川有
(MFコミックス アライブシリーズ)
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久真やすひさ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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衣笠彰/紗々音シア
(MFコミックス アライブシリーズ)
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フジカワユカ/理不尽な孫の手
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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藍屋球/アネコユサギ
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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クマガエ/宮澤ひしを
(イブニングKC)
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カルロ・ゼン/石田点
(モーニングKC)
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泰三子
(モーニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニングKC)
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瀬下猛
(モーニングKC)
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NICOMICHIHIRO
(モーニングKC)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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藤近小梅
(ガンガンコミックスJOKER)
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田代哲也
(ガンガンコミックスJOKER)
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柊裕一
(ガンガンコミックスJOKER)
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村田真哉/速水時貞
(ガンガンコミックスJOKER)
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都月景/いふじシンセン
(ガンガンコミックスJOKER)
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殿ヶ谷美由記
(ガンガンコミックスpixiv)
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6月20日

風間レイ
(TOブックス)
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ほのぼのる500
(TOブックス)
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楢山幕府
(TOブックス)
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リッキー
(TOブックス)
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こりんさん
(GCN文庫)
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武田すん
(ヤンマガKCスペシャル)
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ペトス/橋本カヱ
(ヤンマガKCスペシャル)
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千田大輔
(ヤンマガKCスペシャル)
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Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
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小坂泰之
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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6月19日

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6月17日

上遠野浩平/カラスマタスク
(ジャンプコミックス)
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野田サトル
(ヤングジャンプコミックス)
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二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
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双龍
(ヤングジャンプコミックス)
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深川可純/広報広聴課ゾンビ係
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ
(ヤングジャンプコミックス)
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中山敦支
(ヤングジャンプコミックス)
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光永康則/入鹿良光
(ヤングジャンプコミックス)
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ソウマトウ
(ヤングジャンプコミックス)
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中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
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栗山ミヅキ
(少年サンデーコミックス)
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高橋留美子
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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福井セイ
(少年サンデーコミックス)
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安西信行
(少年サンデーコミックス)
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新井隆広/青山剛昌
(少年サンデーコミックススペシャル)
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日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
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麻生羽呂/高田康太郎
(サンデーGXコミックス)
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池澤真/津留崎優
(裏少年サンデーコミックス)
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山田 リツ
(裏少年サンデーコミックス)
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寺嶋裕二
(講談社コミックス)
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三宮宏太/西田征史
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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福留しゅん/天城望
(フロースコミック)
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伊吹有/葉山湊月
(フロースコミック)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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三河 ごーすと
(富士見ファンタジア文庫)
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桜生 懐
(富士見ファンタジア文庫)
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陸奥 こはる
(富士見ファンタジア文庫)
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高橋 びすい
(富士見ファンタジア文庫)
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恵比須 清司
(富士見ファンタジア文庫)
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三原 みつき
(富士見ファンタジア文庫)
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あボーン
(富士見ファンタジア文庫)
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白井 ムク
(富士見ファンタジア文庫)
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綾里けいし
(ガガガ文庫)
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カミツキレイニー
(ガガガ文庫)
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伊崎喬助
(ガガガ文庫)
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平坂 読
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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緒二葉
(ガガガ文庫)
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川上 稔
(電撃の新文芸)
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美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
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草薙 刃
(電撃の新文芸)
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時田 唯
(電撃の新文芸)
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6月16日

樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
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松岡健太
(マガジンエッジKC)
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さとうふみや/天樹征丸
(講談社コミックス)
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あだちとか
(講談社コミックス)
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和武はざの
(講談社コミックス月刊マガジン)
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6月15日

石田リンネ(富士見L文庫)
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猫田パナ(富士見L文庫)
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佐々木禎子(富士見L文庫)
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仲町鹿乃子(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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鍋敷(アース・スターノベル)
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LA軍(アース・スターノベル)
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天然水珈琲
(アース・スターノベル)
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西尾維新(講談社文庫)
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葛城阿高(ビーズログ文庫)
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ぷにちゃん(ビーズログ文庫)
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小田ヒロ(ビーズログ文庫)
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綾河ららら
(サーガフォレスト)
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バッド(サーガフォレスト)
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真安一(サーガフォレスト)
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カヤ(サーガフォレスト)
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コイシ/緑黄色野菜
(コロナ・コミックス)
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よこわけ/やしろ
(コロナ・コミックス)
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わかば/白露雪音
(コロナ・コミックス)
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小田山るすけ/たつきめいこ
(コロナ・コミックス)
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6月14日
ふか田さめたろう
(GA文庫)
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星奏なつめ(GA文庫)
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冬坂右折(GA文庫)
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白石定規(GAノベル)
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星崎崑(GAノベル)
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えぞぎんぎつね
(GAノベル)
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三木なずな
(GAノベル)
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カイシャイン36
(GAノベル)
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よっしゃあっ!
(GAノベル)
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6月13日


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6月12日

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6月10日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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天那光汰/梅津葉子
(ガンガンコミックス)
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おーしおゆたか
(角川コミックス・エース)
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猫田ゆかり
(角川コミックス・エース)
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リムコロ
(角川コミックス・エース)
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冥茶/萩鵜アキ
(角川コミックス・エース)
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浅野りん/ヤングエース編集部
(角川コミックス・エース)
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春花あや
(角川コミックス・エース)
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経験値/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
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佐島勤/おだまさる
(電撃コミックスNEXT)
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古宮九時/越水ナオキ
(電撃コミックスNEXT)
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ベキオ/ていか小鳩
(ガンガンコミックスONLINE)
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森田季節/シバユウスケ
(ガンガンコミックスONLINE)
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顎木あくみ/みまわがお
(ガンガンコミックスONLINE)
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加藤衣緒
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/夏海ケイ
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/刻夜セイゴ
(ビッグガンガンコミックス)
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飯島浩介/汐里
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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イノウエ
(サンデーうぇぶりSSC)
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こじまたけし
(サンデーうぇぶりSSC)
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白井もも吉
(サンデーうぇぶりSSC)
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オジロマコト
(ビッグ コミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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田村由美
(フラワーCアルファ)
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もこやま仁
(裏少年サンデーコミックス)
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影崎由那/川獺右端
(アース・スターコミックス)
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相模映/吉田杏
(アース・スターコミックス)
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となりける/shiryu
(アース・スターコミックス)
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ユンボ/風楼
(アース・スターコミックス)
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秋乃かかし/裂田
(アース・スターコミックス)
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東崎惟子(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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和ヶ原聡司(電撃文庫)
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白金透(電撃文庫)
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鎌池和馬/冬川基
(電撃文庫)
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佐島勤(電撃文庫)
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二月公(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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真代屋秀晃(電撃文庫)
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周藤蓮(電撃文庫)
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瀧岡 くるじ
(カドカワBOOKS)
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小田 ヒロ
(カドカワBOOKS)
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壁首領大公
(カドカワBOOKS)
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七夕 さとり
(カドカワBOOKS)
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KK(カドカワBOOKS)
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うみ(カドカワBOOKS)
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ふか田 さめたろう
(宝島社)
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魔石の硬さ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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地雷酒(TOブックス)
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サンボン
(TOブックス)
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蒼月海里(角川文庫)
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椹野道流(角川文庫)
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森見登美彦/原案:上田誠
(角川文庫)
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桑原水菜(角川文庫)
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仁木英之(角川文庫)
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6月9日

石塚千尋
(講談社コミックス)
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荒川弘/田中芳樹
(講談社コミックス)
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奈良一平
(講談社コミックス)
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小玉有起
(KCデラックス)
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横田卓馬
(シリウスKC)
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高田裕三
(シリウスKC)
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長谷川三時/七烏未奏
(シリウスKC)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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村上よしゆき/茨木野
(シリウスKC)
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K9/小林裕和/支援BIS
(シリウスKC)
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冬葉つがる
(シリウスKC)
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樋野友行/瀬戸メグル
(シリウスKC)
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刀坂アキラ/加茂セイ
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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西田拓矢/海空りく
(シリウスKC)
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松琴エア/はにゅう
(シリウスKC)
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原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
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山本やみー/門馬司
(KCデラックス)
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一二三
(KCデラックス)
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がしたに/MITA
(KCデラックス)
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うかみ
(KCデラックス)
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エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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桜野みねね
(BLADEコミックス)
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森野きこり
(BLADEコミックス)
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6月8日

かみはら(早川書房)
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西尾維新(講談社)
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ちんねん/能一ニェ
(BRIDGE COMICS)
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佐藤二葉
(星海社COMICS)
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山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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6月7日

泉光
(アフタヌーンKC)
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TNSK
(アフタヌーンKC)
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水瀬るるう
(まんがタイムコミックス)
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琴子/TCB
(ガンガンコミックスONLINE)
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枢呂紅/優月祥
(ガンガンコミックスUP!)
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雨後一陽/とちぼり木
(ガンガンコミックスUP!)
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西島ふみかる/白縫餡
(ガンガンコミックスUP!)
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雨沢もっけ
(ガンガンコミックスUP!)
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ふか田さめたろう/松元こみかん
(ガンガンコミックスUP!)
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えぞぎんぎつね/春夏冬アタル
(ガンガンコミックスUP!)
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リキタケ/三木なずな
(ガンガンコミックスUP!)
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琴子
(SQEXノベル)
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猫子
(SQEXノベル)
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平成オワリ
(SQEXノベル)
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榛名丼
(SQEXノベル)
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蝉川夏哉
(宝島社文庫)
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貴戸湊太
(宝島社文庫)
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6月6日

智弘カイ/カズタカ
(KCデラックス)
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ippatu
(ヤンマガKCスペシャル)
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6月5日

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6月3日

いつきみずほ
(ドラゴンノベルス)
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夢・風魔
(ドラゴンノベルス)
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矢吹健太朗
(ジャンプコミックス)
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助野嘉昭
(ジャンプコミックス)
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ONE/村田雄介
(ジャンプコミックス)
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松井優征
(ジャンプコミックス)
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伊科田海
(ジャンプコミックス)
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権平ひつじ
(ジャンプコミックス)
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鏡貴也/山本ヤマト
(ジャンプコミックス)
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水あさと
(ジャンプコミックス)
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篠原健太
(ジャンプコミックス)
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針川智也
(ジャンプコミックス)
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時田時雨
(ジャンプコミックス)
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猗笠怜司
(ジャンプコミックス)
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佐々木尚
(ジャンプコミックス)
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賀来ゆうじ
(ジャンプコミックス)
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末永裕樹/馬上鷹将
(ジャンプコミックス)
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大須賀玄
(ジャンプコミックス)
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バブル製作委員会/肘原えるぼ
(ジャンプコミックス)
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三部けい
(角川コミックス・エース)
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長岡太一
(角川コミックス・エース)
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佐茂すけ/竹村優希
(角川コミックス・エース)
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関崎俊三
(角川コミックス・エース)
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封宝/富樫聖夜
(フロース コミック)
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此匙/浜千鳥
(フロース コミック)
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神栖みか/シロヒ
(フロース コミック)
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武シノブ/江本マシメサ
(PASH!コミックス)
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柳矢真呂/ぷにちゃん
(PASH!コミックス)
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深山キリ/もり
(PASH!コミックス)
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さーもにずむ
(PASH!コミックス)
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