徒然雑記

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書籍感想(2014)

異界の軍師の救国奇譚(フェアリーテイル) 2 4   

異界の軍師の救国奇譚 (2) (角川スニーカー文庫)

【異界の軍師の救国奇譚(フェアリーテイル) 2】 語部マサユキ/明星かがよ 角川スニーカー文庫

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持ち前の『オカンスキル』を駆使して、なんとか昼食会を成功させた大地耕。これで一安心と思っていたのに、再び現れた女神ルーチェが新たな課題を言い渡す。
「今回のミッションは隣国の財政問題解決です!」「…は?」
隣国エクレア王国の財政破綻を解消できなければ、ティアの滅びの運命は変えられない!しかも今回はアリーシャ王女の運命にも影響が出るらしく…!?逆三冠王状態の主人公が挑む、異世界救国奇譚の第2弾!
相変わらず全然軍師していなくて、やってることはプロデューサーかはたまたコンサルティングアドバイザー、てなものなんだけれど、何の特殊な能力もなく元の世界で地道に築き上げ蓄積してきた知識と発想だけを武器として、まだまだ自信のモテないティアを盛り立てていく耕のプロデュース力の素晴らしい事素晴らしい事。彼の一番いいところは、ティアを含めて周りの人間たちみんなを巻き込んで気持ちを盛り上げていくその明るさなのかもしれない。彼の盛り立てによって、みんながこれなら出来るんじゃないかと前向きになり、また本来関係ない人たちもちょっとこれは手伝ってあげようか、力になってあげたいな、と思うようになり、次々と協力の輪が広がっていく。そして、そこには屈託のない笑顔が誰の顔にも浮かんでいる。この読み終えた時の、ほんわかと胸が暖かくなる多幸感は、パないです。思わずこっちまで相好を崩してニコニコしてしまうような、そんな幸せな気分にさせられる。
実際、起こっている問題はかなりシビアで際どいものばかりで、その内実を見ると民族問題や個々の人間関係のすれ違い、悪意に傾く寸前の負の感情の連鎖に権力のパワーゲームが絡んで、もうすぐにでも悲劇と惨劇が入り混じったハードモードの戦乱期に突入しようか、という瀬戸際であるんですよね、これ。
そして、本来の歴史では多くの人々が努力の甲斐なく犠牲となり、その結果としてティア王女は孤高の英雄として戦乱の世で血塗れていく姿が、幕間で描かれるのですけれど。その在り得たであろう血塗れの歴史が、尚更に耕たちが手繰り寄せたこの笑顔一杯の平和な世界の掛け替えのなさを痛感させてくれるのです。ただポワポワと脳天気な、お花畑な世界なんかじゃなく、一つ間違えればこんなに冷たく救いのない世界が手ぐすね引いて待っているのだ、という事実が突きつけられることで、ビシッと引き締まるものがあるし、またここで結ばれてい融和が、温かな感情が、素晴らしい人間関係がどれほどの珠玉の価値を持つものかを噛みしめる事が出来る。良い作り方してると思いますよ。
畏怖と共に語られてきた火竜の一族が、打ち解けてみると実は結構緩い人好きな付き合いやすい連中だったり、精強なはずの城の兵士たちが触手との戦いで見せた内訳が、なかなか良い根性wしてたり、とモブ連中がまたみんないい味を出していて、だからこそ彼らがいざという時、一致団結して一つの危難に立ち向かう事になった時の盛り上がりが、やっぱり違うんですよね、ただ中心となるティアやアリーシャたちだけが頑張るのと違って。みんなで頑張り、みんなでやり遂げた、という一体感や達成感があって、そこに広がる心からの笑顔に共感して、すっごい多幸感が沸き上がってくるわけです。
いやあ、面白かった。似たような傾向の作品はいっぱいあるはずなのですけれど、決して他の作品と違う特別な展開があるわけじゃないのだけれど、語り口の違いなんだろうか、表現の仕方の違いなんだろうか。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる作品は滅多ないんではないでしょうか。
キャラもみんな立っててイキイキしてるし、キリカさんとククールの脇を固める人たちも独自に話を広げてきてるし、さらにバックではまた蠢いている勢力あり、と大きな枠組での話も盛り上がってきてますし、これは作品として波に乗ってきてるんじゃないでしょうか。これからに大きく期待したい作品になってきました。オススメ。

1巻感想

グラウスタンディア皇国物語 4 3   

グラウスタンディア皇国物語4 (HJ文庫)

【グラウスタンディア皇国物語 4】 内堀優一/野崎つばた HJ文庫

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物語の舞台は皇国の外へ! 少数精鋭で月の港を攻略せよ!!

大国リジアによる30万の猛攻を辛くも退けた皇国。
それで一息つく間もなく、軍師クロムはたった千の兵で難攻不落と名高いゾラ港攻略に挑むことに。
その前準備として、クロムたちは西の大国ラトルグへと赴き、前代未聞の大博打に打って出る!!
一方、北方騎馬民族との内乱平定に動くコウソンもまた、自らの命を賭して単身、敵陣へと乗り込むが――。
ああ、これは問題が根深いなあ。てっきり神の暗躍は、国々の戦乱を煽る形でこっそりと行われていると思っていたのだけれど、今回明らかになった事実からすると、大陸における国々や民族の紛争そのものが神々の代理戦争という理由で行われている事になる。表向きは国益や安全保障を求めて起こっていると思われた戦乱だけれど、根本に神々の争いというものがあるのなら、多国間における交渉によって平和裏に戦乱が集結する、という可能性は皆無になってしまう。いずれにせよ、何らかの形でどこかの国、或いは民族が他国を支配下に置き、他国他民族の崇める神を自分たちの奉じる神の下に敷く、つまり唯一神が誕生しなければ戦乱はどうやったって終わらない、という構図になっているのだ、この大陸は。
なるほど、クロムが着々と喧嘩を売る準備を整えているのは、こうした神々の作り上げた代理戦争システムそのものか。果たして、この世界の仕組みについてちゃんと理解した上で動いている人物については、クロム以外にもう一人、ラトログ国のコウソンがその辺承知した上でラトログ国を勝ち残らせようと動いているみたいだけれど、果たしてそれがクロムと同じように神と敵対する道なのか、神に沿う形なのかはまだちょっとわからないんですよね。クロムが具体的にどうしようと目論んでいるのかがわからないと、果たしてコウソンが同志足りえるのか、それとも絶対に戦い勝負をつけざるをえない相手なのか見えてこないので、何ともいえないのですけれど。ただ少なくとも、クロムにはリュリュという鍵があり、コウソンの方にはリュリュに該当する切り札が見当たらない、という点は見逃せないかも。
二人の、自身が忠誠を捧げる姫に対するスタンスも結構違うんですよね。主従の関係でこそあっても、目的を同じくする同志として姫に対して遠慮もなく、時に厳しく時に親身に接するクロム対して、コウソンは彼自身が語っているようにレイリン姫に崇拝に近い忠誠を誓いつつ、一線を引いている。レイリン姫はコウソンをもっと身近な親身になって欲しい存在として欲しているのであるから、既にすれ違いが生じているとも言えるんですよね。
ただ、ラトログ国における女王の扱いというのは、聞いている分にはかなりとんでもない代物であるんで、コウソンがレイリン姫をどう扱うかが、彼が神威に従い国の要としての姫に忠誠を誓っているのか、それとも一人の少女としての姫を大切にしているかが明らかになるのでしょう。今のコウソンは潔癖すぎて、或いは背負わされたものがおもすぎて、果たして私情を優先できるのかちょっと危ういところがあるので、今から悲劇の種は撒かれているような気もするのであります。
その点、クロムは緩くて欲張りで欲するものに正直な部分がよく見えるので、逆に安心感があるんだ、特に姫様については。まあ安心感はあっても、ユースティナ姫はなんだか振り回されてえらい目にあいそうな気もするのだけれど。
むしろ、一番正しく姫とその騎士の関係を築いているのは、今回のガジェルとリリア皇女なんですよね。どう考えても幼女と野獣なのですが、あのクロムにも手綱を握りきれてない凶人ガジェルが、まだ一〇にも満たない幼さで既に苦労苦難を自分から背負い込みそうな生真面目な幼女姫の言うことだけはキッチリ聞くとか、何とも微笑ましいじゃないですか。ガジェルに肩車をして貰って心からの笑顔を浮かべるリリア姫の姿は、和ましい癒される光景でした。

一巻 二巻 三巻感想

フルメタル・パニック! アナザー 93   

フルメタル・パニック! アナザー (9) (富士見ファンタジア文庫)

【フルメタル・パニック! アナザー 9】 大黒尚人/四季童子 富士見ファンタジア文庫

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南カフカスの小国、コルキス共和国。ソ連崩壊と共に独立したこの国は当時、ロシアを後ろ楯とした少数民族との内戦に揺れており、その混乱の中に彼女―アデリーナ・アレクサンドロヴナ・ケレンスカヤは民兵として参加していた。そんな混沌とした政府軍への教導のため、コルキスに派遣された民間軍事会社D.O.M.S.の社長メリッサ・マオは戦場で反政府軍兵士の少女と、数奇な出会いを果たす。「わたしは勝てない相手だろうと、負けるわけにはいかない」今こそ語られる、彼女の知られざる根源とは―!?千変万化のSFミリタリーアクション、追憶挿話!
リーナの過去話はミハイロフに捕まったところで回想として行われると思っていたのだけれど、これを見ると挿入話として描くには密度が濃すぎるし、それ以上にミハイロフ自身の人生の転機もリーナのそれが関わっていて、回想だけで済ますわけには行かなかったというのがよく分かる。
しかし、この話を見ているとミハイロフって、リーナにとって思っていた以上に複雑な存在なのですよね。少女兵、民兵として民族紛争の渦中にあった彼女にとって、ミハイロフは裏切り者ではあるのだけれど、彼女自身自分が所属していた一派に必要以上に思い入れがあったわけではなく、またミハイロフの行為も国の命令によるもので彼の責任とはいえない部分もあり、その上で作戦上の機密を知ってしまって処分されかかった彼女を、軍を欺いて助けてくれたのはミハイロフ当人だったわけですしね。
勿論、ミハイロフにとってリーナを助けたのは矜持の問題の方が大きく、彼女への情だけが理由ではなかったはずなのですけれど、助けてもらった恩は恩ですし、また菊乃たち姉弟たちへの接し方を見るにミハイロフの人間性は子供に優しい部分もあるみたいだし、D.O.M.S.の件があったにせよリーナにとって憎みきれない複雑な相手であるのは間違いない様子。
なんでリーナをミハイロフたちに捕まる形にしたのか、ちょっとわからなかったのですけれど、敵意だけじゃない感情があるなら、一度ミハイロフやナタリアの側に置くというのも話の進展に必要だったのかなあ。
尤も、この民兵時代でのエピソードでマオがリーナに与えた多大な影響は、彼女のマオへの尊敬と忠誠心、親愛の根源となっているので、そのマオ社長を傷つけたジオトロン社サイドには絶対につかないはずなので、むしろこれ、ミハイロフたちへの揺さぶりになってしまうんじゃなかろうか。

【夕陽のサンクチュアリ】は、典型的な原作付き映画がダメになっていく変遷譚w
この徹底した原作者置き去りの改変改変の嵐の様子は、よく映画化のあとで原作者が発狂しているケースの典型なんだろうなあ、これ。表に発言が飛び出しているケースだけで度々あることを思うと、この話のようにグッと飲み込んでしまうケースを含めたら、さてどれだけの頻度になってしまうのかw
若手のアイドルだの大手事務所推しの女優俳優を使うなら覚悟せよ、ということで。それでも、実際のAS使ってるだけじゃなく、PMCまで動員して戦闘シーン撮ってるというだけで、邦画としては充分見所たっぷりなんじゃないでしょうか。

【砂塵の国】は、ユースフの里帰りと国内での意外と難しい立場のお話。ユースフは王位継承権やら、複雑な女性問題など、実は達哉よりも抱えている問題がはっきりしている上に性格がキッパリしているせいか、もう一人の主人公格として存在感を伸ばしてきているんですよね。本編でも彼にまつわる話が多い上に、短篇集でこんな風に彼の家の事情にまつわる深い話までつぎ込んできているのは、それだけユースフの価値があがっているのではないでしょうか。
達哉って、ちょっと主人公としては立ち位置がふわふわしすぎてるんですよね。未だ寄って立つものが見いだせていないまま、ここまで来てしまっている感がある。その定まらなさが物語の主軸だというのなら何の問題もないのかもしれませんけれど、あんまりそういう感じでもないからなあ。

シリーズ感想

神鎧猟機ブリガンド 3   

神鎧猟機ブリガンド (ダッシュエックス文庫)

【神鎧猟機ブリガンド】 榊一郎/柴乃櫂人 ダッシュエックス文庫

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きみに問う。ヒーローとは、なんだ?
若槻紫織は、正体不明の奇病〈悪魔憑き(デモノマニア)〉の患者であり、明日にもその命を終える運命にあった。
ある日、収容所に〈魔神態(ルシフェリオン)〉と化した〈悪魔憑き〉が進入し、紫織にも運命の時が迫る。
しかし、その時突如現れた鋼鉄の巨人が『悪魔』を殺し、紫織を救った。その事件後、紫織に〈悪魔憑き〉の
兆候が見られなくなり、退院して新たな高校に通うことになる。
そして登校初日、紫織は鋼鉄の巨人の中にいた少年・斯波連志郎と再会する。連志郎も〈悪魔憑き〉であると同時に、
『悪魔狩り』の特殊能力を持っていた。悪魔の力を御する鋼鉄の鎧〈ブリガンド〉を駆り、「悪魔」を狩っていて――。
鋼鉄の巨人が導く、ダークヒーローアクション、開幕!
ああ、これは思いっきり【ストレイト・ジャケット】の系譜だなあ。ただ、あちらに比べて少年少女が主人公で、舞台も日本のせいかダークさ、救いの無さは幾分かマイルドになっている……ような振りをして、実は絶望のどん底から希望を掴むに至る物語だった【ストジャ】に対して、こちらはまだ「堕ちる」余地が残っているとも言えるので、油断はできないんですよね。<悪魔憑き>になってしまった人に対する対応も、現状でかなりキツいようで世間的にはまだ噂レベルでとどまっているので、今後<悪魔憑き>にまつわる事件が頻発することで、世論が強圧的になり紫織や連志郎への当たりが酷くなる可能性もありますしね。実際、既にブリガンドが悪、ブレイバーが正義という一方的な認識による虐げの気配は出てきてますし。
もっとも、連志郎という少年はそもそも人間に対して何の期待も感情も向けておらず、正義の味方・ヒーローという存在についても隔意を抱いているので、世間の敵意をそのまま絶望として受け取る事はないのだろうけれど……本当に人間に何の期待もしておらず、ヒーローを憎んでいるわけではない、というのは紫織の視点からも透けて見えてきている要素なので、振れ幅は充分準備されていると考えてもいいのでしょう。
となると、やはり鍵となるのは連志郎の真実の姿を知っていて、自身<悪魔憑き>の因子を抱え持っている怪物であり虐げられる側でもある紫織という少女の存在になるのでしょう。誰にも理解されない事を前提としていたはずのブリガンドの活動に、初めて現れた外部からの理解者、受け入れてくれる人。そう、彼をヒーローとして見てくれる人。
私は、世界の、社会の、秩序の為の、無辜の一般市民の平和を守る正義の味方ではなく、ただ一人の少女の為のダークヒーロー、という路線も決して嫌いではないのですけれど、さすがにその路線はないか。紫織が、そんな孤高を認めないだろうし、連志郎自身学校の友人たちを含めて本当の意味で人と距離を置いているわけではなく、情をなくせるほどスレているようには見えないからなあ。ただただ、彼は幼いころに傷つけられた傷の痛みに苦しんでいる、とも言えそうだし。それに、ブレイバーの操縦者とオペのコンビの二人からして本当に良い子らなので、よっぽどの事がないと偏向した正義の味方にはならなさそうだし。まあ、よっぽどの事があればわかりませんけれどw
しかし、このブレイバーって、どうみてもパトレイバーっぽいんですけど(笑

異世界から帰ったら江戸なのである 第壱巻4   

異世界から帰ったら江戸なのである 第壱巻

【異世界から帰ったら江戸なのである 第壱巻】 左高例/ユウナラ エンターブレイン

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長年の異世界生活からついに日本へ帰還した九郎。しかし時代は想定外の、江戸。
閑古鳥が鳴く蕎麦屋の店主と出会い、そこで蕎麦づくりと飲食店経営の指導をしながら居候をすることに。

ときに挑戦金を賭け道場破りに臨んだり、ときに妖怪画家に連れられ飲み歩きしたり、ときに火付盗賊改と共に
悪漢を倒したり、ときに乳飲み子の世話を仲間とみたり。小さくも賑やかな九郎の世界を描く、珍奇な時代小説風日常コメディ第一弾。

異世界よ、これが江戸だ。
異世界もビックリのワンダーランド、それが大江戸八百八町! というと、江戸とは名ばかりの謎世界だと勘違いさせてしまうかもしれませんが、これがまたしっかりとした、ともすればそんじょそこらの時代劇なんかよりもよっぽどちゃんとした骨組みの江戸時代が描かれてるんですよね。情緒たっぷりの江戸の風情は、本格時代小説と言っても過言ではないほど。それはもはや【剣客商売】や【鬼平犯科帳】などの池波正太郎を彷彿とさせるほど。
ただし、登場する人物たちは川上稔クラスの奇人変人ばかりだけれどな!!
いやでも、カワカミンレベルのフリーダムなコメディタッチの【剣客商売】と表現しても、これあながち間違ってないんじゃないだろうか。さらっと語られる江戸の街の風景や土地の様子、生活に根付いた風俗の薀蓄なんかは、テレビの時代劇なんかをすっ飛ばす勢いで、あざやかに当時の江戸の人達が生活する日々の喧騒が目に映るかのよう、なんですよね。それを、どこかスットボケた愉快なキャラクターたちが縦横無尽に動き回る、この色彩のあざやかさ。コメディ押しばかりではなく、時にはしんみりと心に沁み入るような人情話や、切なさに思わず溜息が漏れてしまうようなエピソードもあり、また思わず腹の虫が鳴るような、口の中にヨダレが溜まってくるような、美味そうな料理の描写もあって、その意味でも池波正太郎テイストが盛りだくさん、て感じなんですよね。
そもそも主人公の九郎からして、見てくれこそ小僧なものの、中身は剣客商売の老剣士、秋山先生みたいな感じの悠々自適の老後を過ごす遊興老人なのです。
転生や若返り主人公というと、前世での年齢とプラスして実年齢はおっさんおばさん、既に老人で云々とうそぶく割にメンタルは別に若者となんら変わらなかったりするのですが、この九郎は異世界でキチンと一度ガチで定年退職して老後は魔法学校の用務員をしながら余生を過ごす、というところまで行っていたガチ老人経験者なんですよね。その後、紆余曲折あって魔女の保護者となって若返らされて不老の魔法をかけられ、ワールドエネミーの一人として駆けずり回ることになるのですが、肉体は若くてもその精神面は老人のまま。そして何より、九郎にとって今現在というのは、江戸にやってきてからも、「老後の余生」なのであります。その辺が、根本的に普通の主人公と違うところなのでしょう。
そのせいか、ヒロインとなり得る女性は結構登場するのですが、九郎当人が性に枯れちゃってるので相手を見る目はヤンチャな孫娘だったり、気のおけない飲み友達だったりして、女性サイドからすると暖簾に腕押しな調子にヤキモキするばかりなのですけれど、いわゆる鈍感主人公的な嫌な感じは全くしないのであります。だって、中身お爺ちゃんだし!
それに、九郎にはちゃんと人生のパートナー、というべき人が居たんですよね。この1巻では、彼女についてはちらりと魔女関連でそれと書かれるわけではなくさらりと触れられているくらいなのですが、彼女についてのエピソードは本当に切なくて胸が締め付けられるような話になるので、今から読むのが楽しみでもあるのです。
だから、巻末のキャラクター紹介の魔女イリシアの項目には泣かされたなあ。何も具体的には書いていないのですけれど、あれこそが魔女イリシアの根源なんですよねえ。

さて、どうやらウェブ公開版とはエピソードの順番を色々と入れ替えているようですけれど、元々一話完結の日常話を積み重ねていく構成ですので、多少順番が入れ替わっていても殆ど気にならない。それで話の筋が通らない、という事には全くなっていませんしね。それに、どうやら主だったメンツを先に登場させて一揃えしておく意図があるようで、登場そのものがまだもうちょっと先だった人も居ましたし。武芸者で道場主の録山晃之介さんなんかは本当はまだしばらく初登場は先でしたもんね。とはいえ、天爵堂のところの子供たちや同心二十四人衆、戦闘民族サツマ人など、異世界側でもまだまだ出てきてない人も多いのですけどね。それでも、概ねこの1巻で登場した人たちで話は繰り広げられていくのです。
うむ、それにしても改めて見てもイラストのユウナラさんは素晴らしいです。おそらくはメインヒロイン???な残念系アル中未亡人妖怪絵師の鳥山石燕なんて、びっくりするくらいイメージ通りだったもんなあ。逆に自分のイメージと全然違ったのが火盗改同心の中山影兵衛か。オンオフのスイッチがない脈絡のないヤバさから、もっとニヤケ顔の似合う細身の蛇っぽい感じなのかと思ってたのですが、なるほど髭面の豪傑風なのか。一度見てしまうと、もうこっちでしっくり来てしまった。いやあでも、ウェブ版での最近のこの人の充実ぶりを見てると、こんな髭面で胸毛もわっさーとしてる男のくせに、おのれー、となるじゃないですかw
それにしても、こうしてエピソードを通しで読んでると……九郎の呑兵衛ぶりが本当に目につくのです。爺ちゃん、毎度毎度酒ばっかり飲み過ぎ!! 昼間から酒ばかり飲んで泥酔しているというと、アル中の石燕姐さんが作中でもこき下ろされてるのですけれど、深酒こそしないものの暇さえあれば昼間から酒呑んでるのは九郎爺ちゃんも一緒じゃん!! ひたすら酒ばっかり呑んでるよ、この人!?
あらすじ見ても、九郎、江戸に来てから色んな事をやってるのがわかると思いますけれど、
閑古鳥が鳴く蕎麦屋の店主と出会い、そこで蕎麦づくりと飲食店経営の指導をしながら居候をすることに。
ときに挑戦金を賭け道場破りに臨んだり、ときに妖怪画家に連れられ飲み歩きしたり、ときに火付盗賊改と共に
悪漢を倒したり、ときに乳飲み子の世話を仲間とみたり。
これ、上記でのエピソードの後、いや後に限らず何がしかが起こる前だったり、その最中だったりもするのですが概ね酒呑んでます。一人でちびちびとやることもあれば、知り合った人と呑みに行ったり飲み明かしたり、とシチュエーションは様々なのですが、概ね呑んでます。
……そのツマミがまた美味しそうなんですけどね! 自分、酒呑まんのですが、これをつまみながら、或いはこの料理に箸をつけながら一杯やったら美味いだろうなあ、と思わず目を細めて思い描いてしまうほど、料理ネタは素晴らしいです。蕎麦食いてえ、特に天ぷらそば。
悠々自適の毎日を送ることになる九郎爺ちゃんですが、うん、まあ色々と巻き込まれて頼まれ仕事をしたり、フラフラしてるところを捕まえられて仕事を手伝わされたり、と決して働いていないわけじゃあないのですが、基本定年退職後の自由気ままな余生であります。しゃかりきになって何かをするということはなく、しかし見てくれはまだ小僧もいいところの若者なので、たとえばお金持ちの未亡人からお小遣いを貰って悪い友達と博打ですかんぴんになって戻ってきたりして、さらに追加で貰ったお小遣いでお酒なんか呑んでたりすると……完全に見た目「ヒモ」w
いや、まだ今のところはそんなにヒモっぽくないのですが、今後どんどん石燕姉さんがすごく良い顔で何も言わずにお小遣いをくれはじめるので、そうなるともう素晴らしく「ヒモ」っぽくなっていって、色々素敵です、九郎さんw いや、九郎本人全然お金困ってないんですけどね。なんやかんやとお金は手元に転がりこんでくるので。

「小説家になろう」からの書籍化作品も増えてきましたけれど、まさかこれが世にでるとは嬉しい限り。数あるなろう小説の中でも、一番「好きな」作品はどれか、と問われればこれを挙げたいくらいには大好きな作品であり、無茶苦茶楽しく面白いお話ですので、これを機会に手に取る人が増えてくれたら、と願うばかりです。
わたくし、超おすすめ♪

2014年11月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

月末発売のファミ通文庫、スニーカー文庫、コバルト文庫、HJ文庫、ビーンズ文庫などは来月送り。

読んだ本の数:28冊 うち漫画:2冊

今月はついに月間の日数よりも読書冊数が少ないという事態に。これほど読んだ本が少ないのは、この月まとめを開始してから初めてなんじゃないだろうか。これについては言い訳のしようがなく、忸怩たる思いである……なんて言ってしまうと、本を読むのが義務だのノルマだのみたいになってしまうので言わないし、思ってもいないのだけれど、読まなかった分いつもより積まれていく本の勢いが尋常でない点については、正直恐怖を感じている。マジ怖いです。これが、どっちを見ても読んでない本でいっぱいだぁ、と恍惚となれるくらいになりたいなあ。
ただ、読める数が少ない中で美味しいのを選んでつまみ食いしたせいか、打率は高めだった気がします。
今月の注目は、古豪復活の枯野瑛さんの新シリーズと、新鋭が真価を発揮しだした【ロクでなし魔術講師と禁忌教典】の第二巻。この2つのシリーズは来年以降がっつり食いついていくべきシリーズとなりそうです。
同じく玩具堂さん、丈月城さんの新シリーズも色んな意味でヨダレが我慢できない美味しいものになりそう。


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 4冊

終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?】 枯野瑛/ue 角川スニーカー文庫
エスケヱプ・スピヰド 七】 九岡望/吟 電撃文庫
東京レイヴンズ 12.Junction of STARs】 あざの耕平/ すみ兵 富士見ファンタジア文庫
ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード) 2】 羊太郎/三嶋くろね 富士見ファンタジア文庫


【終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?】 枯野瑛/ue 角川スニーカー文庫


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枯野さん復活の一作は、まさに渾身の終末譚。その物語の切なさと美しさに一切の衰えなし。


【エスケヱプ・スピヰド 七】 九岡望/吟 電撃文庫


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書くべきことを見事に全部書ききったパーフェクトエンディング。デビュー作でこれほどの完成度を見せられると、感嘆しかない。実に良質の「燃え」によって彩られた作品でした。


【東京レイヴンズ 12.Junction of STARs】 あざの耕平/ すみ兵 富士見ファンタジア文庫


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第二部、ついに着火!! さあさあさあ、これからが本番だ、これからがスタートだ。別れ別れになっていた仲間たちが今結集の時!


【ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード) 2】 羊太郎/三嶋くろね 富士見ファンタジア文庫


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この一作で、この作者は自分の中では次世代の富士見ファンタジア文庫における主力候補に躍り出た!

★★★★(四ツ星) 5冊

メサイア・クライベイビィ 3.永遠を捨てる者】 八針来夏/黒銀 スーパーダッシュ文庫
CtG ─ゼロから育てる電脳少女─ 】 玩具堂/bun150 角川スニーカー文庫
着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活】 はまだ語録/しゅがすく このライトノベルがすごい!文庫
聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>9】 あわむら赤光/ refeia  GA文庫
クロニクル・レギオン】 丈月城/BUNBUN  ダッシュエックス文庫

【メサイア・クライベイビィ 3.永遠を捨てる者】 八針来夏/黒銀 スーパーダッシュ文庫


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【CtG ─ゼロから育てる電脳少女─ 】 玩具堂/bun150 角川スニーカー文庫


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【着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活】 はまだ語録/しゅがすく このライトノベルがすごい!文庫


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【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>9】 あわむら赤光/ refeia  GA文庫


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【クロニクル・レギオン】 丈月城/BUNBUN  ダッシュエックス文庫


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今月のピックアップ・キャラクター

小槌冬風 (CtG ─ゼロから育てる電脳少女─)
釘宮美遥 (CtG ─ゼロから育てる電脳少女─)
アニキ (生ポアニキ)
藤宮志緒理 (クロニクル・レギオン)
ルミア=ティンジェル (ロクでなし魔術講師と禁忌教典)




以下に、読書メーター読録と一言感想。

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ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード) 2 4   

ロクでなし魔術講師と禁忌教典 (2) (富士見ファンタジア文庫)

【ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード) 2】 羊太郎/三嶋くろね 富士見ファンタジア文庫

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正式に魔術講師となったグレンは、アルザーノ魔術学院で例年行われる魔術競技祭に向け、生徒たちに指示を飛ばしていた。
「先生がやる気出してるんだし、私たちも頑張らなきゃね!」
システィーナたちもグレンのやる気に応えるべく、優勝を目指していたのだが―当のグレンは優勝で得られる特別賞与を使った、借金返済を目論んでいただけで…!?
そして訪れる競技祭。学院が熱気に包まれる中、女王を守る親衛隊に異変が…。女王を取り押さえた挙げ句、なぜかルミアを狙ってきて!?「処刑!?そんな勅命聞くか!馬鹿」拒絶された生徒を守るため、グレンの魔術が秩序を正す!
おおおっ、なにこれ凄い面白くなってるんですけど!? 一巻も新人作品としては標準を超えた高いレベルの良作だったんですが、この2巻はそれにもまして、これが二作目とは思えない完成度なんですよね。物語性、エンタテインメント性、キャラの魅力が抜群に輝いていて、その上で語り口が軽快で笑えるところは笑わせて、ワクワクさせてくれるところは盛り上げて、緊迫感を必要とするシーンでは引き締めて、と読んでいる間、夢中になって読んでました。
楽しかった!
うん、これに尽きる。
一巻ではまだ主人公のグレン先生がヒネちゃってて心象悪かった分、それを取り戻すのに一杯一杯だった部分があるのでしょう。その分、この2巻では最初から先生らしい所を……あれ、あんまり見せてないかな。まあ給料日よりもだいぶ前にギャンブルでお給金殆どスッちゃったり、おっちょこちょいで調子の乗ってポカやったりと、うん、そういう失敗談も親しみやすいんじゃないかな。一方で、ちゃんと生徒たちの事を考えて、一緒になってお祭りを楽しんでいるあたりは、すごくイイ先生してるんですよ。誰か特定の、少数の生徒の為の教官じゃなくて、一クラス二十人近い子供たちをしっかりと見てるあたりは、特に、ね。
それに合わせて、システィーナとルミア以外の同じクラスの面々もどんどん前に出てきて、わんさと作品上を動き回るキャラたちが増えたのは、作品そのものを賑やかにしてくれて、お陰で狭い範囲じゃなくこのクラスメイトの子たちみんな、ひいてはこの魔術学院、そして世界観そのものが好きになってきているように思えるのです。
読んでて、純粋に、ああこの「作品」大好きだなあ、とニコニコ笑いながら思えるようになってきた♪
一方で、裏では前回のテロにも通じる陰謀が進行しているのですが、前回の感想で危惧していた、一教師という立場で今後、どういう形で不自然ではなく国家規模の陰謀やテロリズムへのカウンターに首を突っ込む事になるのか、というのに見事に一つの応えを出してくれたのではないかと。勿論、これは今回限りではあるんでしょうけれど、ルミアの抱えていた事情と合わせて、本当に成り行きのまま上手いこと、クラスのお祭りでの優勝も含めて、表と裏の事情を話の本筋に収束させてくれたからなあ。このあたりの構成も文句なしでした。
グレン先生、軍隊時代はあんまりいい思い出ないみたいですけれど、任務があったとはいえあんな風に屈託なく力を貸してくれる仲間、同僚が居たのなら、決して悪いことばかりじゃなかったんでしょうか。ルミアを救い、約束を交わした時のように、何もかもが無駄で酷い事だけではなかったのでしょうし。過去を全否定するのではなく、ルミアとの約束のように、仲間たちとの出会いがあったように、そこに確かな光があったのなら、これからの教師生活にも、知識や経験だけではない糧としてグレン先生を成長させてくれるのではないでしょうか。
その意味では、教師と生徒たち、一緒になって成長していける物語なのかなあ、これは。そして、グレン先生の少年の頃からの夢と情熱を、一緒に共有していけるようになるのだろうか。
今回の黒幕は、国家の中枢にまで入り込んでいて、どうやら根っこは相当に根深いものであることが発覚したけれど、そこにはあの空飛ぶ幻影の城も関わってくるみたいですし、これからの話の展開が非常に楽しみ。
ともかく、これは先々の飛躍を非常に期待させてくれるシリーズになっていました。今後の注目株ですよ。

1巻感想

東京レイヴンズ 12.Junction of STARs4   

東京レイヴンズ (12) Junction of STARs (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 12.Junction of STARs】 あざの耕平/ すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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空を舞う『スワローウィップ』の群れ、くちばしからたなびくピンクのリボン―それは、天馬から夏目への“秘密の伝言”。そのメッセージは夏目だけでなく、決起の日を待つ仲間たちのもとにも届いていた。そして、都内にて潜伏する春虎にも。夏目が東京へ戻ってきたことを知った春虎は、焦燥を募らせる。夏目とは会えない事情があった。早く“捜し物”―『鴉羽』と対になる呪具を見つけなければいけないのだが、成果のないまま徒に時が過ぎていく。そんな春虎を追い詰めるように、夏目の危機を知らせる報がもたらされ…!?東京の闇の中、運命を背負う星々が瞬き、交錯する―!
おっおっおっおおおおおお、おおおおっ! かかか加速、ブーストが始まったぁ! こうなると止まらんよ、この振り落とされそうな疾走感。これこれ、あざのさんの作品はこれがたまらんのですわ。この質量があるかのような怒涛の展開。読み手の襟首を鷲掴みにされて、そのまま全力疾走で引きずり回されるかのような掌握力。ここまで圧倒的な展開力を持ってる作家さんは、まだまだ数少ないだけに、いざそれを食らってしまうと、構えていても「持って行かれ」てしまいます。
これから本巻を読む人は、是非余裕を持った読書時間の確保を。まさに火蓋が切られてからは、何があっても途中で読むのを中断するわけにはいかなくなりますから。
ついに、というべきなのでしょうか。蜘蛛丸と夜叉丸が動いたこの時こそ、皮肉なことに雛鳥たちが本当の意味で親鳥たちの庇護から離れる時だったんですなあ。すでにもう、旅立ちに対する心の準備は天馬があの花火を上げた時にできていたのでしょうけれど、夏目の危機の報が轟いた瞬間、あそこまで一気に何もかもが動き出すとは。籠の中の鳥たちまでもが、自力で飛び出してくるとは。
京子や鈴鹿はもっと面倒な展開を挟むのかとも思っていたので、あそこまで迷いなく檻をぶちぬいていかれたら、痛快以外のなにものでもありませんでした。いや、物理的な障害以上に、彼女たちの気持ちの問題としてもうちょっと回り道があるかな、と思ってたんですよね。見縊ってました、夏目のもとに駆けつけるのに、空白期間も置かれた立場も環境も、彼女たちにとって何も関係なかったことが、なんだかすごく嬉しかった。
こいつら、まったくもって最高ですわ。そして、最近の天馬くんが色々な意味で頼もしすぎる。みんな行き当たりばったりの中で、天馬が居なけりゃ何も成り立たないじゃない、これ。これほどの大重要人物をノーマークだった、というだけで敵さん大チョンボですよ。いつだって、此処一番で大仕事をやってのけたのは彼だったのに。上ばかり見ているから、こうなるのだ。ざまあw
しかし、今もって春虎の目的は定かじゃないんですよね。夜叉丸がだいぶ探り入れていましたけれど、いまいち的を絞れない。いや、春虎としては夏目の不具合を完治させるという目的は一貫しているのかもしれないけれど、夜光としてはどうなのか。
ぶっちゃけ、夜叉丸たち双角会は、というか世間の人たちは皆揃って、夜光が行った大儀式を「失敗」したと決めつけて疑いもしていないようだし、春虎も否定はしていないのだけれど……土御門夜光は、本当に「失敗」したのか?

一方で、ジョーカーとして動きまくっていた大友先生は、まさかまさかのダメ出しにここまで来て立ち止まってしまうことに。大友先生の危うさは、二期に入って強調されていたところではあったのですが、あそこまでキッパリと拒絶されるとはさすがに思わなかった。でも、今の大友先生ってべらぼうに強くはなっているのかもしれないのですが、一方で講師をやっていた頃の、誰と相対しても揺るがなかった安心感がなくなってるんですよね。あの頃は、負ける姿が想像できなかった、どんな相手展開でも最悪引き分けにまで持っていくような強かさやしぶとさが感じられたのに、今の大友先生は……鏡がまた張り切ってビンビン蓄えてるんだよなあ。
その意味では、ここで一度キッパリダメ出しされるのは良かったような、はたまた余計に不安定になってしまいそうな気配もあり、なんとも……。
そういえば、ようやく大友先生と木暮さん、そして涼が袂を分かった原因となる事件が見えてきましたね。その事件、あの女性記者の姉の、陰陽塾の講師だった人の死が、全く今の事態と関係のない独立した事件だった、とは考えにくいので、今後また深い所で絡んでくるのでしょうけれど、子供たちが独り立ちした分、ちょっと早めに三羽烏たちのエピソードも進展してほしいなあ。

と、状況は収まるどころかどんどんカードをつぎ込む形で留まる所を知らないまま盛り上がりはうなぎ登りの常態のままこの巻終わっちゃったので、次早く出ないと死にます。死にます。

シリーズ感想

クロニクル・レギオン 4   

クロニクル・レギオン (ダッシュエックス文庫)

【クロニクル・レギオン】 丈月城/BUNBUN  ダッシュエックス文庫

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皇女は少年と出会い、反逆を決意した――。
時は20世紀末。極東の島国『皇国日本』は古代ローマの世より甦った英雄カエサルの手で攻略され、隣国『東方ローマ帝国』によって事実上支配されていた! カエサルを最強の征服者たらしめる力の名は『レギオン』。それは列強諸国がこぞって主力兵器とする神秘の軍団、有翼巨人兵の軍勢である。
皇国日本の皇女・藤宮志緒理は日本の覇者になるという野心を胸に秘め、ついに行動を起こす。皇女が腹心の将として選ぶのは一見何の変哲も無い高校生・橘征継。しかし彼もまたいにしえの世より甦った武人、大英雄カエサルと同じ偉大なる復活者『レガトゥス・レギオニス』であった……!!
復活せし英雄達と美少女が奏でる極大ファンタジー戦記、開幕!!
相変わらず、グローバルで雄大な世界観にはワクワクさせられる。やっぱりこう、話のスケールが大きいと男の子としてはトキメキが違うんですよね。設定も盛りだくさんで、レギオンや復活者など、それ一つ一つでシリーズ一編作り上げられるであろう要素をこれでもか詰め込むこの山盛り感は、ヨダレが垂れてくるというもの。
そして肝心要のヒロインたちは、トビっきりに可愛いのは大前提として、それぞれがもう一廉の「人物」なんですよね。特に志緒理姫ときたら黒幕志望の野心家であり、威風堂々とした為政者であり、既に姫というより女王の風格の持ち主。そう、この娘、王様なんですよね。しかし、突っつくと初心なところもある姫でもある。政治や謀に関しては獰猛な狼のように鋭く猛々しい一方で、女の子としては隙も多く、結構容赦なくツッツいてくる征継に対してあたふたと翻弄されるあたりは、非常に可愛らしい人で、もう素晴らしい。動揺しながらも結構積極的だったりするところは、何気に甘え上手なのかもしれません。
その突っついてくる側の橘征継はというと……この人、丈月作品の主人公の中でも一番すけべえというか、女好きなんじゃないか? あまり熱を感じさせないクールな言動で、平然と女が好きみたいだ、と公言するあたりとか、わりと遠慮無く志緒理に迫ってるあたりとか。王様や竜殺しとはまた別のベクトルの助平さであります。
しかし、その征継の正体というと……これ、その国にはその国由来の復活者、という決まり事はちゃんとあるんだろうか。カエサルや、大英帝国の復活者を見ていると、一応その原則には沿っているようなのだけれど、となると征継の正体って既に名前が出てしまっているあの人、ということになるんだけれど、ちょっと露骨にすぎるんだよなあ。
さすがに土方歳三は、いくらこの世界では救国の英雄になっているみたいだけれど、カエサルや黒騎士レベルの偉人に対すると格落ちが否めないのでちょっとどうよ、と思ってたら、違ってて安心したようなちょっと残念なような。近現代の人間だと日本人に限らず、ちと時代的に近すぎて、威光が足りないんですよね。
とはいえ、日本人でこのレベルに対抗できる名前の格となると、やはり少ない。実力能力に関しては戦国時代や南北朝の騒乱期など、探せばなんぼでも化け物クラスはいるんだけれど。
明らかに大陸の騎馬民族か、或いは逆に騎馬民族を北伐などで下していった中華の名将のいずれか。中央・西アジアや中東、東欧州にも騎馬軍団の名将勇将は数知れずいるので、挙がる名前は尽きないわけですが。
それでも、かのカエサルや黒騎士卿を相手にするには生半な人物では太刀打ちできそうにないんだよなあ。これ、二人共本当に人類最高峰といって全く過言ではない英傑なわけですし。
しかし、この騎士侯はレギオンを召喚して軍団として運用出来る、というシステムは面白いなあ。いわゆる信長の野望とかのシミュレーション的な戦争形式を実地でやるようなものですし、レギオンにもそれぞれ呼び出した騎士侯の所属する国や、その個人にあわせた個性があるあたりも非常に面白い。
満を持して、というべきか、イラスト担当にBUNBUNを持ってきてくれたのは嬉しい限り。とにかく、とびっきりに楽しみなシリーズの開幕ということで、大盛り上がりに期待。

丈月城作品感想

かくて聖獣<ユニコーン>は乙女と謳う 1 3   

かくて聖獣<ユニコーン>は乙女と謳う 1 (オーバーラップ文庫)

【かくて聖獣<ユニコーン>は乙女と謳う 1】 陸理明/クロサワテツ  オーバーラップ文庫

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ユニコーンに呪われた青年が、汚れなき乙女と出逢った――。

〈雷霧〉――それは世界を侵蝕する自然現象。唯一の対抗手段は聖獣と汚れなき乙女による攻撃のみ。
劣勢に苦しむ「西方鎮守聖士女騎士団」に、世界で唯一聖獣との意思疎通が可能な<ユニコーンの少年騎士>セスシス・ハーレイシーが招聘される。
男子禁制の騎士団で彼が出会ったのは、万能型の天才美少女騎士、タナ・ユーカーだった。
「ここは男子禁制ですよ……あなた、変質者ですか! ! ?」
ユニコーンと乙女が戦場で舞う――『小説家になろう』とコラボした第1回オーバーラップ文庫WEB小説大賞“銀賞"受賞作。全編大幅改稿で書籍化!
ついにファンタジーでも絶滅戦争末期戦に特攻部隊というネタが来ましたか。生存率ほぼ一割以下、出撃すればほぼ間違いなく殉職するため、つけられた名前が自殺部隊。それでも、彼女らの雷霧への特攻による核の破壊がなされなければ、雷霧は拡大を続けて国土を飲み込んでしまうという行くも地獄、行かぬも地獄の阿鼻叫喚。当然、騎士団への志願者など皆無に等しく、人員は法による強制徴募。
よくまあ、これまでモラル崩壊してしまわなかったものです。ほとんど崩壊寸前だったみたいですけれど。
彼女らが騎乗するユニコーンの方は、魔力がなくならない限りは雷霧での落雷にも、内部の怪物たちにも傷つけられないようなのですけれど、それはつまり自分は無事なまま乗せた乙女たちばかり死なせ続ける、という経験をユニコーンたちもしているわけで、精神をやられてるユニコーンも少なからず居るという始末。
まあ、このユニコーンどもが清純無垢な乙女の守護者、という表向きとは裏腹に、中身は単なるスケベ親父どもなんですけれどね。昨今描かれるユニコーンって、わりとこの手の中身は残念系が多いよなあ。

さて、主人公の少年騎士セスシスなのですが、少年というのは外見だけで、中身の方はかなり草臥れてる。ユニコーンの王との契約によって経年劣化してないだけで、メンタルの方は長い後悔によって随分疲弊してるんですよね。正直、若々しさはあまりない。乙女たちに対する姿勢も完全に年長者のもので、彼女たちから向けられる好意についても、生徒から懐かれるのを嬉しく思いながらも決して対等には受け止めない教師のようなもので、とてもじゃないけれど異性の色めいたそれに発展する様子は皆無に等しいのです。
その意味では、セスシスは徹頭徹尾「西方鎮守聖士女騎士団」の団長であるオオタネア・ザンのモノにしか見えないんですよね。精神的には余人の介在する余地なく妹背として完成してしまっていて、少女の出る幕がどこにもないのです。それでありながら、二人がちゃんと夫婦として結ばれることは絶対に無いであろう、という空気感が物悲しくもより深い絆を感じさせて、沁み入るわけです。

しかし、絶滅戦争の末期戦と言えど、雷霧の脅威って決してそこまで恐ろしくは感じられないんですよね。特に、手長足長という怪物がそれほど怖い存在には思えないので、雷霧内の環境こそ危険極まりないものの、そこまで悲壮感、絶望感を感じさせるものでもないなあ……と、思ってたら、どうやらこの期に及んで真の脅威は、自然現象などではなく、やはり同じ人間の悪意と欲望のようで。
結局、人間どこでも、どんな時でも足の引っ張り合いに勤しむ勤勉な生き物でしかないのか。いい具合に胸糞悪い話になりそう。

生ポアニキ  3   

生ポアニキ (オーバーラップ文庫)

【生ポアニキ】 アサウラ/赤井てら オーバーラップ文庫

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鍛えろ……筋肉は裏切らない!

半不登校で孤独な生活を送る木村ユースケは、カウンセラーの勧めで新たに設けられた『恋愛生活保護』を申請した。
これで相性の良い自分好みの女の子が現れて、幸せになれる…はずだったのだが、約束の日、家に来たのは女の子ではなく、一糸まとわぬマッチョな爛▲縫瓩世辰!
一方で本来現れるはずの鳳来寺(ほうらいじ)ユリは転校生として現れるも、ユースケの好みとはことごとく違う。
家に住み着いたアニキ、ユースケを拒絶する転校生(ユリ)、そして秘密を抱えて近づくクラスメイト・松笠(まつかさ)アザミ…。
謎が謎を呼び、アニキの汗がほ とばしる! 果たしてユースケに恋人は出来るのか! ?
全ての答えは筋トレの先にある!
少年少女と一人のマッチョが織りなす健全なる物語。
ハイテンション・マッスル・ラブコメここに交付! !
マッチョ! マッチョ! 
一つの食卓を引きこもり少年と美少女と裸のマッチョと囲む生活。勿論、料理を作ってくれるのはアニキだぜ?
……これが美味そうなのが悔しいです。アットホームな雰囲気なのが狂気です。裸エプロンのマッチョがにこやかにマッスルポーズを決めている横で、健康的で美味しいご飯を綺麗な女の子とパクツク構図は、ベン・トーのそれを上回るカオスなのだけれど、アサウラさんのメシウマ描写はどんな状況でも関係なしだね。色んな意味ですごすぎる。
いや、正直あの白粉花さんご推薦ということで、もっとイケない感じの汗が飛び散り交じり合うような、サイトー刑事が括約筋で活躍するような話なのかと、戦々恐々ちょっとワクワクしていたのだけれど、意外に真っ当なノンケなストーリーで安心するやら何とやら。これをノンケで真っ当と感じる時点でちょっとヤバいのかもしれないけれど、ぶっちゃけ白粉花先生が手掛けるアレ以外は流石にウケツケませんから。
逆に言うと、白粉花先生の刑事サイトーシリーズはガチムチなのに本気で面白そうなのが、マジで怖いです。……怖いもの見たさ! という微妙な期待が、この作品に対してハラハラしてしまう要因だったのですが。
とはいえ、ノンケとはいえ本作のヒロインの一人がアニキである事は疑いようのない事実。その出会いはまさに運命。箱詰めで送られてくるアニキ。箱をあけると、そこには全裸のアニキが。アニキと筋トレが、少年の生き様を変貌させる。これこそ、まさにボーイ・ミーツ・マッチョ。筋肉は嘘をつかず裏切らないというのなら、筋肉の塊であるマッチョなアニキも嘘をつかず、裏切らないということ。そのマッチョなアニキの親身で愛情の篭った共同生活が、ぶよぶよに弛緩し腐り果てようとした少年の身と心に筋肉の繊維を通す、という真っ当な成長物語。
とはいえ、アニキだけではやはり潤いがかけるので、肌的にはつやつやするかもしれないけれど、メンタル的にはいけない方向へ突き進んでしまうかもしれないので、そこはそれ、ちゃんと女の子という潤いも。
このままじゃいけないのだと、今までの自分を変えるために自分で選び取った一歩。『恋愛生活保護』という選択は、ユースケにとってもユリにとっても、傷つき乾き途方に暮れたままどうしようもなかった二人にとって、すがりつく最後の希望であると同時に、勇気を以って掴みとった彼らの前進なのである。それは果たして、うまくいくものだったのかは、今となってはわからないけれど、ここに「アニキ」という要素が加わった事で、彼と彼女は最初の一歩を最後の一歩とすることなく、当初はわけのわからないままアニキに引っ張られ、煽られ、押されてのことだったかもしれないけれど、前へ前へと進んでいくのである。
自分を変えようとする行為と、それを芽生えさせ維持する意思は、やはり偉大だ。そして、見た目にもその成果が覿面にわかる筋トレは、その中でも一際輝いてる。筋肉が輝いてるんだよ!!

ただ、少しだけ物足りなかった点を指摘するなら……アサウラさんのメシウマ描写的に健康志向のローカロリー料理がほとんどだったので、脂っぽいギトギトしてカロリー高そうなものが食べたか……じゃなくて、読みたかった!! 幾ら素晴らしくて素敵でもアニキばかりだとうるおいが欠けてしまうように、どれだけ美味しそうでも健康的な料理だけじゃなく、たまには唐揚げとかカツ丼とかカップ麺とかもないと、やっぱり物足りなさが……。読んだ時の空腹感がやっぱり違うんですよね……。って、本に、読み物に、ライトノベルに何を望んでいるのか謎じゃ、とか言われそうだけれど、アサウラ作品についてはこれ、逃れられない業ですからっ。

アサウラ作品

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>94   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 9 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>9】 あわむら赤光/ refeia  GA文庫

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日英仏三大ランクS合同の大規模作戦決行!!

謎に包まれていた異端者発生地の特定に成功した白騎士機関。これを叩くべく、日英仏の三支部合同による史上最大の作戦が敢行される。

諸葉、エドワード、シャルルの三大ランクS、さらに初めてその姿を現した中国支部長・迭戈が一同に会し《群体要塞級》攻略の糸口を模索する。作戦の核を成す、最難関ミッションを一任される諸葉。気配を殺し、且つ迅速なる隠密行を要求される任務で、諸葉がパートナーに選んだのはなんと――モモ先輩!?
「もうアタシ……逃げないから! 」
往け、超神速のその先へ――!!

新たなる一歩への勇気と覚悟が試される、最大規模の総力バトル勃発な学園ソード&ソーサリィ第9弾!!
モモ先輩、アニメのキービジュアルではレーシャと並んでちゃんとサツキと静乃と同格の所にいるんですよね。静乃は、モモ先輩のことを周回遅れと言って余裕ぶってますけれど、彼女のスピードからすると周回遅れ程度で大丈夫なのかなあ、と。この人、走りだすまではモタモタとなかなか動き出さない人ですけれど、一端動く出したら思い切り良く全力で突っ走る人だからなあ。それは戦闘面だけじゃなく、恋愛関係でも同じなんじゃないかと。一途ですよ、この人。そりゃもう、ぐるぐると変な方向突っ走っているサツキや、微妙に落ち着いちゃってるレーシャと比べても、一度恋を自覚したらひたむきに前進してきそうで、周回遅れ程度じゃ全然遅くないんじゃないかなあ、と。静乃だって、いざとなるとヘタレそうなところあるし、余裕ぶってる場合じゃないですよ。
まあ、影ではちゃくちゃくとマーヤが侵略侵食洗脳を推し進めているので、気がつけばロリが大勝利、という危険性も。事実、若干既に手遅れ気味な事が発覚してますしw
しかし、この英仏との合同作戦という大舞台で、モモ先輩を引っ張ってくるとは思わなかった。彼女のポディションからして、ヒロインとして扱われるにしても、日常回を含めて、もっと余裕のある所で着々と彼女の実力や関係を積み立てて、という形になると思っていただけに、この場面でサツキや静乃を差し置いて彼女を持ってくるあたりは、モモ先輩の抜擢はかなり本気だと思われる。
実際、戦闘シーンを見てても、ことバトルの相棒という意味では黒魔の静乃や対人専門のレーシャ、そしてタンクのサツキと比べて、モモ先輩の諸葉との相性は抜群なんですよね。彼女のスピードは、諸葉の万能性に対して応用力が非常に高いのである。勿論、サツキや静乃も状況に寄るんだろうけれど……実はサツキはエドワード、静乃はシャルルの下位互換みたいな節もあり、本気で大物とガチで戦う場合にはエドワードたちと組む方が強そうなんだよなあ(苦笑
これまでの様子を見ていると、サツキは今やストライカーズのメインタンクの一人として、部隊に欠かせない一員となってるけれど、静乃の方は微妙に実力を存分に発揮できるポディションがまだ出来てないみたいなので、彼女の取り扱いどうなるのかは興味深いところなんですよね。

しかし、ストライカーズの石動隊長、前回ルー・ヂーシンに為すすべなく負けてしまったので、精神的に大丈夫か心配していたんだけれど、とりあえず大丈夫そうで安心した。この人、さり気なく闇堕ちしそうなフラグの気配があって心配なんですよねえ。精神的にもタフネスで気持ちのよい人でもあり余裕も懐の広さもバランス感覚も面白みもある人で、簡単に闇堕ちしそうな隙が見当たらないんですが、だからこその危うさがありそうな気もあり、でも逆に真っ当に強くなっていきそうでもあり、どっちにでも振りそうな可能性があって、この人も目が離せないんだよなあ。
やっとこ登場した日本支部のセイバーたちは、案の定イマイチパッとしない人たちで、もうちょい頑張れ、という感じなので、余計に石動隊長含めてストライカーズの面々には期待が膨らむのです。亀吉先輩が変な方向に才能を開眼させてしまったり、丈弦がえらく頼もしいポディションになってたり、とそろそろ副長の斎子さんがパワハラとセクハラしかしてない人みたいに見えてきたので、あんたもちょっと頑張れw

話の方は、要塞級三体との決戦に合わせて、囚われた人たちの潜入救出という、日本だけじゃなく英仏のセイバーたちも総動員したこれまでにない大規模戦闘なのだけれど(AJが荒ぶっておられる!)、色々倒す方法にも順番にも条件がある、というあたりは、大規模レイドバトルを連想させるシステムで面白かった。シャルルもエドワードも、単独自の戦闘スタイルと、パーティーリーダーとしての戦い方はそれぞれいつもとはまた違っているのねえ。
と、派手にバトルが進む一方で、物語はついにこの戦いそのものの核心へと踏み込みだす。ついに、真の敵の正体、その一部が明らかに……。
やっぱり、人間の敵は人間か。

シリーズ感想

天壌穿つ神魔の剣 3   

【Amazon.co.jp限定】天壌穿つ神魔の剣 書き下ろし4PリーフレットSS付き (GA文庫)

【天壌穿つ神魔の剣】 高木幸一/狐印  GA文庫

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呪われた最強魔剣士 × 純情天才神術士
喋る剣、ルガイアと旅する魔剣士アークが恋を夢見る神術士リリアと出会って、不死竜退治へ――。
王道ロマンティック・ファンタジー!


「私の欠片を集めてください」
千魔斬《サウザンド》と呼ばれる凄腕の傭兵、魔剣士アークは、言葉を話す傷だらけの剣、ルガイアに「余命五年」の呪いを受け、【ルガイアの欠片】を探す旅を続けていた。ある日、彼はマナラン王国から、不死の力がある目を持つと言われる「三眼竜《スリーアイズ》」討伐の依頼を受ける。しかし、王の推薦で、旅の同行者になった神術士の少女、リリアの体内には、ルガイアの欠片のひとつが眠っていた……。
「わ、私をいい女だと言うなら……キミがなんとかしてよっ! ! 」
高木幸一×狐印が贈る、呪われた魔剣士と、恋に不器用な神術士のロマンティック・ファンタジー開幕!
【俺はまだ恋に落ちていない】や【放課後四重奏】で思春期の少年少女の純真な恋模様を描いてきた青春小説の雄、高木幸一の最新作は、まさかのファンタジー。この業界にあってはジャンルの変更というのは珍しくも何ともないんだけれど、これだけガチンコの、内面描写と想いのぶつけ合いをメインに描いてきた青春小説畑の人がファンタジー書くとなると、どうなるのかやっぱり興味深くはあったんですが……いやこれはなるほど、面白いなあ。
何というかね、リリアとかヒロインの女の子たちのキャラクターの造形が微妙に違うんですよ、普通のファンタジーと。ロジックが異なっている、とでも言うのか。キャラクターがすごく普通の女子高生っぽいんですよ。異能学園モノに出てくるような女子高生とかでもなく。
まあ、これまで作者が描いてきた青春小説のヒロインの、あのピチピチと肌も心も弾けてるような女子高生像がそのままファンタジーになっても変わってなかった、というだけの事なのかもしれないのですけれど、何気にこの手の言動のロジックが違うヒロインのキャラクターは、ファンタジーではお目にかからないので、妙な新鮮さがあるんですよね。
これなら、たとえ舞台がファンタジーでもガッツリ恋愛モノにしてしまってもいいんじゃなかろうか、と思えて来るくらい。とはいえ、舞台設定もキッチリしっかり整えてきているので、ファンタジーものとしても全く遜色なく話は進められそうなのですけれど、その呪われた剣というのも、余命があまり残されていない、というのもひっくり返すともろに恋愛劇の種になりそうな要素にもなってるんですよねえ、これ。
剣は剣で、後半アークに女を目覚めさせられてしまったせいか、一気に「私ヒロインです!」と言わんばかりの存在感を示しだしてきやがりましたし……女性としてのビジュアル、まったく出てないのにも関わらずw
インテリジェンス・ソードという意思のある剣、という類は決して珍しくもないし、それが女性人格というのもよくある話なんだけれど、その場合だと往々にして人化出来る設定だったり、少なくとも女性としての姿を投影出来たりするものなのですけれど、この呪われた剣ときたら一切人としての姿を見せないんですよね。お陰で、女性人格なのかも後半まで不明だったくらいで。
しかし、一度女性としての自覚が芽生え、アークに対して単なる持ち主、宿主という以上の想いが生まれ始めている事に、アークに気付かされた途端にヒロインとして、それも恋愛模様に強烈な楔を打ち込むような位置取りで、存在感を示し始めたわけです。なるほど、ライトノベルには挿絵はとても重要だと私も強く思う所なのですが、無ければ無いでそれは構わないと言わしめるだけのキャラ、ヒロインも在るっちゃ在るのが、この剣を見てると頷けるものがあるというもの。まあ、このケースだと、いざ人化した時のインパクトのために「貯め」ているとも言えるのかもしれませんが。

王道楽土の聖堂騎士団(タンプリエ) 23   

王道楽土の聖堂騎士団2 (一迅社文庫)

【王道楽土の聖堂騎士団(タンプリエ) 2】 不動准/TwinBox 一迅社文庫

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いつものように騎士王の座を狙うクランに挑まれる壮馬たち“王道楽土の聖堂騎士団”の前に、皇女エピカと近衛騎士団長“不抜のシュタインハルト”ことレギーナが現れる。エピカの近侍である美少年オズグール公爵と一触即発の険悪な雰囲気になる壮馬たち。理事長となって神衛騎士学院を掌握したエピカは、かつての約束どおり、壮馬に近衛騎士団へ加わるよう命じるのだが―。“魔道鎧甲”をまとって戦う“神衛騎士”が躍動する学園騎士ファンタジー第2弾!!
うーん、これ結構面白いんだけどなあ。読書メーターとか見ると、全くというくらいに読んでる人が居ない。少なくとも、異世界ファンタジーで女の子とチーム組んで戦う学園モノとしては、他と比べても勝るとも劣らないと思うんだけれど。
特に、スットボケたノリで繰り広げられるコメディタッチのやりとりやイベントの数々は、その軽妙さ加減において瞠目すべきテンポの良さがある。この手の文章から溢れ出る軽妙さ、軽快さを伴うテンポの良さやリズム感というものに関しては、なかなか後天的には獲得できないその人特有のセンスや才能みたいなものなので、これが喪われない限りラブコメについてはまずある一定以上の面白さは安定して導き出せるんですよね。勿論、そのテンポに乗っかるキャラクターを、キッチリと作り上げないといけないのだけれど、主人公の壮馬をはじめ、アンジェや鎮西など、少なくとも状況に放り込めばある程度勝手に動いてくれるくらいの滑らかさで、キャラが立ってますし、いい意味で軽妙な緩さを備えている。
その上で、ストーリーの方はメリハリ良く、展開にピリリと刺激のある締まった筋立てが用意されていて、全体的に甘さや粗さはあるとはいえ、ここまでスルーされてしまう作品だとは思わんのだけれどなあ。
残念ながら、後書きを見るとどうやらこの2巻までで打ち切りみたいですし、壮馬を一度殺した騎士が誰なのか、など色んな伏線がそのまま置き去りにされる形になってしまったのは勿体無い限り。それでも、作者が出したかったというエピカ姫を登場させることが出来たのだから、幾らかでも未練は果たせたか。
周囲に信頼できるものが居らず孤独なまま野心を募らせていたエピカ姫が、剣として盾として、友として、王道楽土の聖堂騎士団の面々を召し上げて近衛にして、立ちふさがる様々な壁やしがらみに喧嘩を売り、一方で味方を増やし、どんどんとのし上がっていく、みたいな展開はぜひ見てみたかったんですけどね。
個人的に、次回作はすごく期待したいと思ってます。もっともっと、面白くて盛り上がる作品が出てきておかしくない人だと。

1巻感想

異世界魔法は遅れてる! 33   

異世界魔法は遅れてる! 3 (オーバーラップ文庫)

【異世界魔法は遅れてる! 3】 樋辻臥命/himesuz オーバーラップ文庫

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魔将・ラジャスをレフィールと共に倒した水明は、彼女を仲間に加えてネルフェリア帝国へ。
無事に到着した二人はそれぞれの目的のために行動を開始するが、帝国では原因不明の昏睡事件が起こっていた。そんな中、水明は帝国十二優傑の魔法使いであるリリアナ・ザンダイクと出会い、さらにフェルメニア・スティングレイとも再会を果たす。図らずも事件を解決するはめになった水明は、八属性の中でも異質とされる闇属性の魔法と対峙することになり――。
異世界魔法と現代魔術が交錯する大人気異世界ファンタジー、第3巻!
お前誰だよ!! 
ほぼウェブ連載と同時進行になってきたのですけれど、ウェブ版との一番の違いはやはり白炎の魔法使いフェルメニアさんのキャラの違いでしょう。いや本当に誰だよ、というくらいに別人になってます。ウェブ版のフェルメニアが凛々しく礼儀正しくテキパキと有能で、完全に味方となった今となっては頼もしい女性そのままなのですけれど、こちら単行本版のフェルメニアさんというと……どこか大事なネジが飛んじゃったんじゃ!? と本気で心配になるほど、ゆるゆるのグニャグニャになってしまっていて、水明の前だと精神の方もいささか幼児化しているんじゃないかと思えるほど茹だってしまっていて、王様王様、こんなのお供につけてくれてもあんまり役に立たなさそうなんですけど!
実際は、幾らネジが緩んでいても、世情に詳しく魔法使いの能力も高く頭も回る、と案内役としては変わらず有能なのですけれど、傍目にはお荷物が増えたようにしか見えない!
レフィールも精霊力を過度に消耗してしまったせいで、身体的に幼児化してしまって超一流の剣士としての威厳はどこへやら。肉体に精神が引っ張られているのか、こちらも言動が完全に幼児化してしまってるんですが。いや、子供扱いされて実際子供になってる現実に涙目になっていじけるレフィールはマジで可愛いんですが、可愛いんですが……あの凛々しいレフィールは何処へw
新登場となる新たなヒロイン候補と思しき闇の魔法使い、リリアナもこちらは実年齢も幼いお子様なので、水明の周辺はもはや幼女園と化しています。どうしてこうなったw
本来ならリリアナも含めて、ヒロイン三人共背筋がピッと真っ直ぐに立つような凛として言動にも鋭さがあるかっこいい系の女性揃いのはずなのですが……幼女幼女幼女、水明くん、ロリコン呼ばわりされてもこれは仕方ないぞ。

エピソードとしては、対ラジャス編の後始末から帝国編に導入へ、という橋渡し回、と見るべきか。リリアナとの話は後半に続く、みたいになっているし。
闇の属性については、他の属性魔法の使い方が現代魔術理論からすると大変に未熟で原始的で固定観念に囚われたもの、であったのに対して、コチラは未解明のまま間違った解釈を定着させてしまっていた、という類の話になるのか。その危険性を正しく理解できないまま扱っていた、と言うことで闇属性自体、このままだと取り扱い不可、になりそうな感じなのだけれど、となるとリリアナは戦力化にはならないのか。

もう一人の勇者戦は、ウェブ版では丸っと回避されていたのに対して、コチラでは水明の力の一端をひけらかすことに。あれだと、エリオットサイドからは完全に警戒されそうなものだけれど、水明を利用しようとした将軍に対してといい、意外と水明くん、喧嘩っぱやいというか誘い受けの卦がありますねえw
しかし、意外とこれ、女神の存在はキーワードになるのか。救世教会ベッタリのエリオットやそのおつきのシスターの居丈高な態度や、将軍の女神に対する考え方なんかを見ると、レフィールに度々くだされる神託の迷惑さも相まって、どうしても否定的な感情が湧いてくるのだけれど、シスタークラリッサみたいな人がいることも考えると一方的な見方も危険なんだよなあ。

黎二くんについては、今はただただ勉強の日々、か。勇者としての活動よりも、政治的な立ち位置に悩まされる方にリソースをとられるのはかわいそうにも思えるけれど、意外と姫様が政治的にも軍事的にもやり手みたいなので、彼女がついているなら下手な事にはならないか。もう文句なしに良い奴なので、順当に成長して水明くんと劇的な再会をする展開が素直に楽しみなのであります。

神楽剣舞のエアリアル 2 3   

神楽剣舞のエアリアル 2 (GA文庫)

【神楽剣舞のエアリアル 2】 千羽十訊/むつみまさと GA文庫

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「フラン、なんか実入りのいいバイト、ないか?」
ある理由でお金が必要な雪人たちに、フランの父が依頼したのは、幽霊船退治!?
フランの師匠グレンの航空帆船に乗り、捜索を開始する雪人たち。しかしそこには、二百年前の四英雄と魔王の大戦の生き残り――〈悪夢の眷属〉の暗躍が裏にあった。

「――俺は、フランを信じる」
かつての人類の希望が絶望に変わる時、雪人は想いの全てを刃と化す。
「東方退魔機関第三位、妖刀使い、甲斐雪人――最大の敬意をもって、斬らせてもらう! 」
天空の下、魔術と剣戟が加速する異世界バトルファンタジー第2弾!
風夕とルナがロリロリしているせいかマスコットキャラみたいな雰囲気になってて、自然とフランが正ヒロインみたいな雰囲気になってるけど、いいのかこれ。
うん、キャラ同士の掛け合いとか、ほんと面白いんですよね。フランの親父さんにお仕事貰いに行くまでの冒頭の話の持って行き方なんかも、天丼のやり方とか上手いんですよね。今回のお話の筋立てなんかも、紆余曲折からの二転三転して帰結に至るまでの流れも、プロット的には良く練られてる。アクションもエッセンスの効いた派手さがあり、見栄きりも盛り上がりどころを押さえていて、気合が篭もるに足るだけの理由もあり理屈あり想いもあり祈りもある。
こうしてみると、素材から料理法からほとんど文句なしなんですよね。実際面白い、面白いんだけれど……ここで、ちょいと一巻でいきなり最終決戦からぶっこんでしまった弊害が出ているような気がする。それとも、これは要点のみを押さえようとしてしまう作者の特性によるものなのか。
つまるところ、バックグラウンドがちと足りない気がするんですよね。背景となる世界観の説明が紹介が、いささか足りない。なまじ肝心の部分はちゃんと解説されてたり、話の遡上にのぼっていたりしているものだからそれで充分世界観を理解したような気になれるのかもしれないのだけれど、逆に言うと肝心な部分しか描かれてないとも言えるんですよね。国際情勢やフランの家が貴族として担っている国の様子、そこでのフランの家の立ち位置、〈悪夢の眷属〉が世界に及ぼしている脅威など、表面上はさらっと触れてはいても、実感として異世界を感じるだけの「細部」が物足りないんですよね。生活感を感じる日常風景、街の様子、かつての大戦が今に残している影響など、とかね。そのせいか、ルナが今回の一件で抱く悲痛な想いや、彼の人の裏切りの背景、〈悪夢の眷属〉の邪悪さなど、表面上では理解できても、実感として感じにくくなってて、物語を楽しむにおいてのめり込み内側から面白さを堪能する、という風にはいかなくなってるんですよね。表面をさわさわ撫でるに留まってるような、奥に入り込めないもどかしさがある。
これが、単に何も考えずに済むような本当に薄っぺらいだけの作品なら物足りなさを感じる以前に醒めてしまうのだけれど、そうじゃないからもどかしいんですよね。背景を感じられるからこそ、そこに手を付けない足を付けない感覚がもどかしい。
見当違いかもしれないけれど、もっと無駄と言っていい描写があってもいいんじゃないかな、と。
ゲオルグさんグレンさんとか、おっさんがいい味出してる上で、自然で肩をはらない雪人と、フランやルナや風夕とのやりとりなんか、凄い好きなんで、余計に盛り上がり切れてないのが勿体無いんですよねえ。

1巻感想

着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活 4   

着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活 (このライトノベルがすごい! 文庫)

【着ぐるみ最強魔術士の隠遁生活】 はまだ語録/しゅがすく このライトノベルがすごい!文庫

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魔術士の名家に生まれながら、魔力を持たない“黒髪”として蔑視されてきた夢野幸太郎。両親の死をきっかけに、彼は血の繋がらない双子の義妹二人をつれて、田舎で静かに暮らすことを決める。しかし、なぜか幸太郎は熊の着ぐるみ姿になっていた!戸惑う姉妹との奇妙な共同生活が始まる!強力な魔術士でもある姉妹と落ちこぼれの兄の暮らしはうまくいくのか?第5回『このライトノベルがすごい!』大賞・最優秀賞受賞作!
これって主人公、着ぐるみの方じゃなくて双子の姉妹の方じゃないですか。【着ぐるみと暮らす双子の隠遁生活】じゃないですか。タイトルやあらすじを見ていると、田舎に引きこもって義理の妹二人とのんびり過ごすゆるふわ系イチャラブ作品に見えるんですが、実際はこれかなりハードモードなんですよね。義理の妹二人との関係も、最初は極めて険悪ですし。疎遠どころか、不信と嫌悪を向けられている状態からのスタートですからね、正直面食らったくらいで。
社会性についてのアプローチやメッセージも非常に強い作品でもあり、差別意識、特権階級、貴賎の価値観などといったこの作品における社会の有り様が、姉妹と幸太郎の関係や考え方、ひいては物語の進む方向にも強く影響を与えていて、切っても切れない物語の中の重要なキーワードにもなってるんですね。その上で、単純かつ安易にみんな平等なのが正義、みたいな幼稚な帰結に収まらず、厳然とした格差の存在を認めた上でそこから生じる大きな責任をどう果たすべきか、また大きすぎる責任ゆえの負担から生まれる「不幸」を、「絶望」を……つまり、弱者の救済のみならず、強者であるが故に生じる悲劇をどう救うのか。強い者は弱い人のように救われてはいけないのか。誰よりも強い人は誰によって、何によって救われるべきなのかを、真っ向から真剣に、真摯に取り扱っている作品でした。
強いことは悪いことじゃないし、どんな人間にだって幸せになる権利がある。その人が、愛されているなら尚更に。誰かの幸せを願えるというのは、とても幸せな事なのだろう。そんな人が居るというのは、とても幸せな事なのだろう。そんな家族が居てくれるというのなら、そこにもう幸せの萌芽は存在する。
幸太郎が姉妹に注いだ愛情が、姉妹によって幸太郎に返ってくる。そうして照らされた幸太郎の周りには、彼の幸せを願った両親や祖父の愛情がちゃんと残って輝いていたのでした。
家族ってのは、やっぱり掛け替えないものだわなあ。
歯ごたえのある、じわじわと心に沁み込んでくる良作でありました。

エスケヱプ・スピヰド 七4   

エスケヱプ・スピヰド 七 (電撃文庫)

【エスケヱプ・スピヰド 七】 九岡望/吟 電撃文庫

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戦う、守りたいものがあるから――。
神速アクション、本編ついに完結!

雪解けの始まった落地では、鬼虫と甲虫の最後の戦いが始まった。剣菱の前に立ちふさがるのは戦闘狂の烏帽子。
上空では、竜胆が虎杖と兄弟の因縁の戦いを繰り広げていた。叶葉達も、神鯨の乗組員の説得に当たろうと艦橋へと赴く。そして、九曜と朧の戦いもまた――。
人間から兵器になった鬼虫達の、戦中から続く長い戦いがついに終わりを告げる。譲れない信念を掲げた鬼虫と甲虫、果たして生き残るのはどちらか――。
最強の兵器達の神速アクション、本編感動の完結!

お見事!!
素晴らしい映画を見終えた後に、自然とスタンディングオベーションが発生するように、思わず拍手してしまいたくなるような、見事な締めでありました。一つのエピソードとして、ここまで過不足無く完成度が高い作品も珍しいんじゃないだろうか。それも余裕のないぴっちりとした完成度ではなく、優雅で実に美しい余韻を与えてくれる、気持ちのよい完成度、それはもう機能美と言っていいくらいの。
兎にも角にも、この物語の根源である「戦争を終える」というテーマを、全体の物語としてもひとりひとりの個人としても完膚なきまでに描き切った事が、この見事なまでの幕引きに繋がっているのでしょう。なかなか、ここまで行き届かせて書けないですよ。
実のところ、前回に鬼虫の何人かが潰えてしまったことで、未来へと引き継ぐために過去に引きずられている人な根こそぎ「託す」という形で切り捨てるんじゃないかと、恐々としていたんですね。具体的には、九曜と叶葉たち若者や幼い子どもたちを除いた大人たちは、特に鬼虫や姉姫様などは軒並み退場するはめになるんじゃないかと。
それはそれで、戦後も続く「戦争」の決着だし、次世代に想いを繋いでいく、という意味では一つの正しい形でもあって、作品の形としては間違っていないのだけれど、それは美しくとも哀しい結末になってしまうなあ、と痛みを噛みしめる用意はしていました。逝ってしまった柊たちの在り方なんか見てるとねえ、どうしてもそんな予感は否めなかったわけですけれど……。
いい意味で、予想を覆してくれました。悪しき怨念は黒塚が、未練と哀しい想いは伍長が、全部持っていてくれました。結局、敵側の敵役としての格については、黒塚は小人物の域を脱せなかったのですけれど。小物というには、御大尽なんで小物、器が小さいというのは違うと思うんだけれど、思想といい過去から現在までやっている事といい同志に対する容量にしても、お世辞にも敵としてもボスとしても、多くを受け止める器の持ち主ではなかったんですよね。所詮は遺物に過ぎなかった。はじめから、何も背負えていなかった、とも言えるのですけれど。結局、彼自身何も変われず、得ることもなく潰えてしまったわけですし。
正直、弟の竜胆とは格が違ったなあ。
戦う敵として、痛みも後悔も受け止めて、先へ進むための壁であり踏み台であってくれたのは、やはり伍長一人であったと言えるのでしょう。
実は最後の最後まで、巴姐さん、ラスボスなんじゃないかとハラハラして見てたんですけれど、違ったみたいで、良かったです。いやあ、絶対何か企んでると思ったんだがなあ。精神的にもちょっと狂気入った人だったし、家族である鬼虫たちの為なら何しでかしてもおかしくない雰囲気あったし。逆に言うと、もしラスボスにならないのならまず途中で消されるキャラなんだという予想もあったんですよね。それは、竜胆兄さんも同じだったんだけれど、だからこそこの二人が残ってくれたのは実に心健やかにしてくれる展開でした。
生真面目で遊びのない堅苦しい人だと思ってた竜胆が、実は結構スットボケた天然っぽいところもある人だと知れたのは嬉しいところでしたし。
最後の旅立ちのシーンに至るまで、これ以上ない「見事」さでありました。デビュー作のシリーズとしては出色の出来だったんじゃないでしょうか。これからの活躍にも期待が募るばかりです。
完結、お疲れ様でした。

シリーズ感想

CtG ─ゼロから育てる電脳少女─4   

CtG ─ゼロから育てる電脳少女─ (角川スニーカー文庫)

【CtG ─ゼロから育てる電脳少女─ 】 玩具堂/bun150 角川スニーカー文庫

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VRMMOゲーム「CtG」で、春日井遊は初対面のミーファと気楽に“結婚”する。でも娘のハルハが生まれて、まさかの子育てスタート!?しかも
「きたよ、おとーさん!」
「く、釘宮です」
なんと現実世界にも、実物のハルハとミーファの中の人・釘宮美遥が登場!実はハルハは秘密の計画で創られた“新しい人類”だったのだ!!遊と美遥は、現実とゲームの両方で、人類の未来に関わる(?)壮大な少女育成に巻き込まれて!?

これはガチ修羅場の予感!!
あらすじだけ見てると、ネットゲームで知り合った女の子とリアルで生活するようになって一緒に子育て、とまあ緩い感じのラブコメみたいに見えるんだけれど、そこはそれ【子ひつじは迷わない】の玩具堂さんである。コミカルでありながら、その心理描写はさながら「なだらかに斬る」という風な切れ味の青春小説の雄。とてもじゃないけれど、頭を空っぽにしてドタバタラブコメを楽しむ、なんて気楽に構えては居られない。
相変わらず、語らずしてその内なる心を表現する、という手練手管は健在で、釘宮美遥と春日井遊の急接近に動揺する小槌冬風と、遊と冬風の微妙な気持ちの交感に気づいていき複雑な心境を募らせていく美遥の、この想いの醸成が実に素晴らしいんですよね。
遊のVRMMOゲーム「CtG」との関係も一筋縄では行かなくて、この主人公は唐突に訪れてしまった家庭の大きな変化に、未だ適応出来ないまま必死に決着をつけようと足掻いているさなかで、今回の一件に遭遇してしまった訳ですが……彼自身が思っている自分のことと、冬風から見た彼の母親への感情から今の状態に至る様々な事情の認識の差異。これは冬風との今の距離感にも繋がっていて、実は遊は冬風に対して……という感情の向きも含めて、この二人の間だけでも話を作れるに十分なくらいに絡み合っているところに、さらに複雑な家庭の事情を背景に持つ美遥が、本来ありえないベクトルからこの二人の間に割り込んでくる事になるわけです。美遥は最初、割り込んでいたという事実認識すらない状態からはじまったお陰で、ハルハの件も含めて心情的にシッチャカメッチャカに引っ掻き回されることにもなるんですが……いやあ、この三人のまだ何も始まっていないが故にこれ以上無くこんがらがってしまった三角関係が、もう素晴らしいの何の。
と、ここにVRMMOゲーム「CtG」が深く深く絡んでくるんですよね。ハルハの存在の重要性は此処にある。遊にとって「CtG」はもはや逃れられない因果であり、そこに秘められた自分との因縁を解き明かさなくては前にも後ろにも進めない。そこに、ハルハという「娘」の存在によって、美遥との関係ももはや精算出来ないものになっている。いずれにせよ、「CtG」は間違いなくこの青春劇の要となっているわけです。国家が絡む陰謀も、そのヘヴィーさに拍車を駆けているわけですが、冬風もまた遊と「CtG」の関わりの深さと重さを知るからこそ、今までそれを忌避し、そして今自分から飛び込まざるを得なくなっているわけで……。
面白い……。
ぶっちゃけ、ゲーム内でのバトルは程々程度の味付けでいいと思うので、それ以上に濃厚に少年少女たちの気持ちのぶつけあいにスポットを当ててほしいなあ。やっぱり、この玩具堂さんはこの辺りの機微にこそ、その図抜けた筆力を発揮する人だと思うので。

このライトノベルがすごい! 2015   

このライトノベルがすごい! 2015

【このライトノベルがすごい! 2015】 

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この肝心な部分を隠した書影は発売日になっても変わらないのか。
今年も協力者サイトとして投票に参加させていただきました。作品部門の一位は表紙を雪ノ下さんが飾っているように【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】が二連覇、という事で勢いがまったく衰えなかったのがよくわかります。他にキラータイトルが出なかった、というのもあるのでしょうけれど。
かの「流石です、お兄様」は如何せん、二段目以降のブースターが思ったよりも威力を発揮しなかった感もありますし。
しかし、個人的に痛恨なのは、【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】をちょっと読むの後回しにしていたら、流れに乗り遅れて積んじゃった事ですね。本作と【とある飛行士の誓約】そして【この恋と、その未来】という作品部門の上位にも来ているこれらの作品は、面白いとわかっているだけに読むのにも気合を入れて万全の機会を、と伺っていたら、その機会そのものを見失ってそのままどんどん後回しになってしまうという悪循環に陥ってしまって。社会人、辛いです。
うむむ、さすがにちょっと幾らなんでも積み過ぎなので、崩していかないと。

さて、今年の作品部門ですけれど、特筆すべきはやはり【絶深海のソラリス】でしょう。パニックホラーもの、というライトノベルでも珍しいジャンル、というだけにとどまらない衝撃作。いや、本気でこれはブッタマゲましたから。
読破直後だけではなくその後数日間、精神的に影響が残るほどのシロモノでした。これは多分、このランキングでも名前があがるだろう、とは思っていましたけれど案の定でしたね。今のところまだ一冊しか出ていませんし、おすすめです。後悔するかもしれませんがw
30位までにあがったタイトルの中で個人的に注目したいのが【灰と幻想のグリムガル】と【スチームヘヴン・フリークス】。前者は、もうそろそろ中堅からベテランの域に入りつつある十文字青さんのファンタジー作品なのですが、デビュー作である【薔薇のマリア】が完結した今、その後継ともいうべき代表作になってきそうな勢いなんですよね、これ。
そしてもう一方の【スチームヘヴン・フリークス】。新人さんの作品で30位以内に入ったのはこれ以外に【絶深海のソラリス】に【きんいろカルテット!】、そして【Re:ゼロから始める異世界生活】の四作品だけだと思うのですが、中でもこれはスチームパンクにマーベルヒーローズの要素を加味した上で実に本邦らしい話の味付けがなされたすこぶる多彩で盛りだくさん、かつ渋みもあるという実に濃厚な作品となってます。正直、これが上位に食い込んでくるとは思わなかっただけに、嬉しい限り。
も一つの【Re:ゼロから始める異世界生活】も、これかなりジリジリと焦らされて鬱屈した展開が長く続くのですけれど、その溜めが解放された時の劇的かつ絡まった糸が美しいまでに新たな景色を描き出す展開の凄まじさたるや、間違いなく傑作の域に達しています。これはじっくり腰を据えて追いかけてほしい作品ですね。

ところで、私が何に投票したかと言いますと、

1位 月花の歌姫と魔技の王 翅田大介(HJ文庫) 56位
2位 ミス・ファーブルの蟲ノ荒園 物草純平(電撃文庫) 55位 
3位 メサイア・クライベイビィ 八針来夏(スーパーダッシュ文庫) ランク外
4位 俺、ツインテールになります。 水沢夢(ガガガ文庫) 40位
5位 問題児たちが異世界から来るそうですよ? 竜ノ湖太郎(スニーカー文庫) 35位

とまあ見事に本流から外れました。いや、【メサイアクライベイビィ】以外60位以内に入っているのですから、そこまで極端に外れているわけでもないのでしょうか。
こうしてみると、自分の基準はどうも「熱さ」にあるような気がします。それも単純な「熱血」ではなく切ないまでの必死さの篭った「燃え」とでもいうのでしょうか。
これは少なからずキャラ投票にも傾向が出ている気がします。
女性キャラ1位 マリーア・ハイライン(月花の歌姫と魔技の王)
女性キャラ2位 アンジェラ・ジョンソン(聖剣使いの禁呪詠唱)
女性キャラ3位 七曜ななな(踊る星降るレネシクル)

男性キャラ1位 アジ=ダカーハ(問題児たちが異世界から来るそうですよ?)
男性キャラ2位 小田桐勤(B.A.D.)
男性キャラ3位 プテラギルティ(俺、ツインテールになります。)
ものの見事に、ランキングにまったく寄与しないラインナップですけれど、これ以上無く悩みぬいた末での人選ですので、後悔は一切なく…。

ちなみにイラストレーター投票は春日歩さん、キムラダイスケさん、konaさんでいきました。これも、悩んだんですけどねえ。特にしらびさん、nauribonさんとで。

特集で、ネット小説…特になろう発について取り上げられていますけれど、数年前から徐々に増えてはいましたけれど、今年に関しては本当に「小説家になろう」からのデビューが、もう一部のレーベルだけではなく全体からタケノコのようにポコポコと湧き出すかのように大量に発生した年でありました。
これが有象無象ばかりならともかく、良作以上の作品、多いんですよね。そう考えると、この新開拓されつつある新たなデビュールートは、決して悪いものではなく、今後定着していく可能性も高いのかもしれません。
尤も、ルートとして開拓固定化されることによって、その草刈り場となっているネット小説という「場」が徐々に変質していく事も考え得るのですが。まあそれが、どの方向にかは今はまだわかりませんけれど。
私もまあ毎日、小説家になろうで色々読んでるんですけどねえ。その結果少なからず、積み本の消化に影響が出ているのは何ともかんとも。
その理由として、スマホで気軽に読めるという点が大きいのを鑑みると、ちょいと電子書籍に手を出すべきか考慮しだしている今日この頃です。本、という媒体が好きなだけに迷うんですけどね。

 
12月2日

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11月28日

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11月27日

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11月26日

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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(エンターブレイン)
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(ドラゴンノベルス)
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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