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書籍感想(2015)

2015年12月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

月末発売のファミ通文庫、スニーカー文庫、コバルト文庫、HJ文庫、ビーンズ文庫などは来月送り。

読んだ本の数:51冊 うち漫画:28冊

今月はだいぶ読んだぞー、と思ったら半分以上漫画だった!! いや、漫画、掘り出し物多くって面白かったっす。【ガヴリールドロップアウト】と【現代魔女図鑑】は大当たり、面白かったーー。
いやいや、肝心のライトノベルの方ですけれどあれですね、これだけ積んでしまうとどれから読んでいいかわからなくって、どれから手を付けたらいいかわからなくって、ちょっと呆然としてしまうんですよね!!

最近、感想書くときに読んだ時の新鮮な感触が失われている気がするので、何しろ読んでから記事にとりかかるのに3日から長いと5日6日過ぎていることも多くなってしまっていたので、一旦読書ペースを落として読んだらすぐに感想書けるように月末辺りにかけてバランス調整していたのですが、そのせいもあってか今月は後半の読了ペースが随分落ちてしまった気がします。
ただ、読んですぐ感想書くようにしたら記事を書くペースがだいぶ回復したので、今後は何とか読了・記事制作ペースをあげていければと思っているのですが、単に連休で時間があるからかもしれないので、仕事が始まってからが本番と気を抜かないようにしましょう。


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 2冊

エイルン・ラストコード 〜架空世界より戦場へ〜 2】 東龍乃助/みことあけみ MF文庫J
転生従者の悪政改革録(ブラッククロニクル)】 語部マサユキ/ 遠坂あさぎ 角川スニーカー文庫

【エイルン・ラストコード 〜架空世界より戦場へ〜 2】 東龍乃助/みことあけみ MF文庫J

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このライトノベルがすごい!で上位入選を果たしたのは伊達ではない。一巻よりもエンタメとしても燃え作品としても遥かにクオリティと完成度を上げてきてる!燃える! 面白い!!


【転生従者の悪政改革録(ブラッククロニクル)】 語部マサユキ/ 遠坂あさぎ 角川スニーカー文庫

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新シリーズは、先輩と後輩二人で悪役令嬢とその執事に異世界憑依。体育会系の二人が巻き起こす脳筋力押しな状況打開が面白いやら痛快やら。



★★★★(四ツ星) 7冊

横浜ダンジョン 2.英雄姉妹の挑戦】 瀬尾つかさ/やむ茶 角川スニーカー文庫
甘城ブリリアントパーク 7】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫
りゅうおうのおしごと!】 白鳥士郎/しらび GA文庫
サ法使いの師匠ちゃん】  春原煙/狐印 GA文庫
俺、ツインテールになります。10】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫
VRMMOをカネの力で無双する 6】 鰤/牙/桑島黎音 HJ文庫
黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 2.amorosamente】 久遠侑/ はねこと ファミ通文庫

【横浜ダンジョン 2.英雄姉妹の挑戦】 瀬尾つかさ/やむ茶 角川スニーカー文庫

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【甘城ブリリアントパーク 7】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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【りゅうおうのおしごと!】 白鳥士郎/しらび GA文庫

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【サ法使いの師匠ちゃん】  春原煙/狐印 GA文庫

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【俺、ツインテールになります。10】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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【VRMMOをカネの力で無双する 6】 鰤/牙/桑島黎音 HJ文庫

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【黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 2.amorosamente】 久遠侑/ はねこと ファミ通文庫

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今月のピックアップ・キャラクター

七海先輩 (転生従者の悪政改革録)
二亜 (デート・ア・ライブ)
七罪 (デート・ア・ライブ)
四一七 (運命に愛されてごめんなさい。)
皐月純 (運命に愛されてごめんなさい。)
空銀子 (りゅうおうのおしごと!)
雛鶴あい (りゅうおうのおしごと!)
システィーナ (ロクでなし魔術講師と禁忌教典)
師匠ちゃん (サ法使いの師匠ちゃん)
ティラノギルディ (俺、ツインテールになります。10)
桜川尊 (俺、ツインテールになります。)
アイリス (VRMMOをカネの力で無双する)
黒崎麻由 (黒崎麻由の瞳に映る美しい世界)


以下に、読書メーター読録と一言感想。

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黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 2.amorosamente ★★★★  

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界2 amorosamente (ファミ通文庫)

【黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 2.amorosamente】 久遠侑/ はねこと ファミ通文庫

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……本当にやっと、生きることが楽しく思えてきたから。

文化祭、そしてノギハラとの件を経て、少しずつ変わってきた黒崎。本格的にピアノを習いたいと言う彼女を、僕は入谷市で行われるコンサートに誘うことにした。その奏者である青島未華子さんは、黒崎のお母さん、奏さんの教え子であることがわかり、黒崎との出会いを喜んでくれるのだけど、彼女は黒崎の両親の過去、そして二十年前の事件にも深く関係していたようで――。
第16回えんため大賞優秀賞受賞作、ドラマティック青春ストーリー第2巻、登場。
綺麗だなあ。
美しい世界、なんてタイトルにあげるからには相応の美麗たるものを、物語として示さないといけない心積もりはあったんだろうけれど、うん、このタイトルも納得の「美しい」純愛ストーリーだった。
主人公とヒロインの二人共が物静かな性格をしているから、凄く落ち着いた静かな雰囲気で物語は流れていく。静謐と言っていいくらいの雰囲気は、透明な情景描写や深々と丁寧に塗り重ねられていく内面描写と相まって、思わず目を閉じて情景を思い浮かべて浸ってしまうような美しさをそこに描き出していくのです。
かと言って、二人が浮世離れしている、というのではないんですよね。そこにある美しさは、人智を超えた手の届かない場所に描き出される美しさではなく、何気ない日常の中でふと目を留めた瞬間にそこにある手に届く美しさなんですよね。
人から外れた、神懸った美しさはそこにはもう無いのです。前巻、黒井くんとの交流にとって黒崎麻由を取り巻いていた神性は剥がれ落ち、今ここにある彼女は無垢で純粋な一人の女の子に過ぎず、誠実で生真面目な少年と紡ぐ純愛は、ちゃんと地に足がついたものだから、そんな彼ら二人が織りなす日常だからこそ、その美しさは静謐でありながら、どこか安心できる温もりを宿しているのでした。
二人は世界から孤立せず、仲の良い友人たちに囲まれ、そうした交流は新たな友人の誕生や、黒崎の母のピアノの弟子であるピアニストとの師弟関係、或いは姉妹と言っていいだろう関係の芽生えによって、ゆっくりと外へと広がっていく。
それは、過去に閉じこもろうとして今を閉ざした彼女が、生きたいと願って歩き出した彼女が、自分が望む未来の絵図をしっかりと描き始めた、その証左であるのだろう。一巻で、生を取り戻した少女が、大切な人たちと未来へと歩き出すのが、この二巻の役割だったのだろう。
そのために、もう一度彼女は自分の過去と向き合うことになる。図らずも、過去を今も引きずり続けていたピアニストとの出会いが、黒崎に彼女の知らない母の素顔を教えるきっかけとなり、もう一つの、もう一人の彼女たちの交錯点である、若くして亡くなった詩人の若者、幽霊として黒崎を見守ってきた青年の真実に触れることになる。過去と向き合う痛み、真実を知る息苦しさ、目の前に立ち塞がる現実。生きる勇気を得た黒崎に、それらは止めどなく降り注いでいくのを、黒井くんは自分に何が出来るのかを常に思い悩み煩悶しながらも、じっと見守り、支え、勇気づける。真摯な、想いだ。それはとても純粋で、懸命で、一途な想いだ。
静謐で決して言葉を多く費やさない、しかし万感の想いが往還するとても情熱的な純なる愛情。眩しくも、ずっと見守っていたいような、とても綺麗で美しいラブストーリー。ある程度、一巻で物語は形を得ていたのかもしれないけれど、めでたしめでたしではなく、これからも彼らの歩みがいつまでも続いていくために、この二巻は必要だったのでしょう。そう思わせてくれる、終わりとはじまりの物語でした。

1巻感想

神楽剣舞のエアリアル 5 ★★★☆  

神楽剣舞のエアリアル 5 (GA文庫)

【神楽剣舞のエアリアル 5】 千羽十訊/むつみまさと GA文庫

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決戦、フォルクヴァング島上空!

「奇跡は一度だよ。今度は、自力で勝たねばならん。勝てねえってんなら、なんのために救われたんだ?」
魔王と化した灯護は、学院のある島で、向こうの世界との〈門〉を開き、攻め入るという。それを阻止するため戦艦〈ナグルファル〉を追う雪人たち。そして、侵攻する魔王軍を迎え撃つために、騎士団や冒険者たちも自らの信念に基づき、行動を開始していた。

魔王の無尽蔵の魔力を持つ灯護に勝つ術のない雪人へ、風夕は告げる。
「ずっとずっと、キサマと一緒に戦いたかった。キサマの力になれるなら、私は、私の全てを賭けられる」

魔術と剣戟が加速する異世界バトルファンタジー、断魔の第5弾!
あらすじにはちゃんと書いていないけれど、これが完結巻。結局、最初から崩れていた構成バランスは最後まで復旧できなかったかー。浮遊島がいくつも浮かび飛翔船が飛び交う異世界、それと現代異能の退魔師が異世界転移してくる世界観のドッキング、性格も色鮮やかで内面描写も丁寧なキャラクター同士の人間関係をじっくり描いていくスタイル、単体の要素を見ると、全部水準以上に出来上がっていて何よりどれもワクワクさせてくれる魅力があるんですよね。それこそが、本作をきちんと五巻まで続かせた要因ではあるんだろうけれど、その単体の戦闘力を連携して乗算出来なかった、というのが最後までつきまとった印象でした。
今回の最終決戦でも、総力戦ということでこれまで出てきたキャラクターに加えて、現代日本からの来援など盛り上がる様子はたくさんあったにも関わらず、それを有機的に運用出来たかというと……。雪人が現代日本ときっちり別れを済ませてこの異世界の住人として生きていく姿勢を決め、これまでの生き方も改めてヒロインたちみんなと生きていく覚悟を決める、というこれまでの5巻で積み重ねてきたものの集大成をちゃんとしているんですけれど……うん、スポットスポットは凄くきっちりと出来てるんですよね。盛り上がりもある。でも、もったいないなあ、焦点絞りすぎなんだよなあ。今回は特に全体的に盛り上げなければならないにも関わらず、どうしても雪人と風夕の内面描写と熟成した関係の整理に終止していて、ルナはともかくとしてフランが完全に放ったらかしだったんですよね。トリプルヒロインの一角だぜ。恩師との決着、というところはきっちりやっているにも関わらず、この蚊帳の外感は……。フラン回の時はみっちりフラン尽くしだったんですけどね、その分ほかを放置していた揺り返しが……。前回登場した歌澄さんについても、今回は全然存在感なかったし。雪人の戦友にして歌澄さんの婚約者の人に全部持ってかれちゃってるんですよね。
何より、肝心のラスボスである灯護の放ったらかされ方と来たら……。彼に能力的に太刀打ちできない、という点で随分と苦悩することになるのですが、あくまで焦点があたっているのは彼との能力差であって、彼の内面的な部分についてはもうバッサリと相手にしてなくて、戦うしか無いと割り切っているからでしょうけれど、好敵手としても怨敵としてもラスボスとしても、単なる障害としてしか扱われてなかったんですよね。焦点はほんとに、雪人と風夕、ルナあたりとのそれに定まってしまっていたんですよね。人間関係の熟成とその決着は、物語の結末において大切は大切なんですけれど、総力戦の最終決戦となるとやっぱりみんなが主役のような活躍をして欲しいじゃないですか。
実際、そういう描写はなされてるんですよ。みんなが活躍する展開にはなっている。にも関わらず、これだけ存在感のバランスが偏ってしまっているのは、これはもうどうしようもないのか。あれですよ、艦長として個艦戦闘を指揮するのは上手くても、司令官として戦域を指揮するのは苦手、みたいな。決して、ヘタではなく形としてはちゃんと仕上がっているんですけれど、物足りなさが付きまとってしまうんですよね。
物語としては水準以上に仕上がっているだけに、もし配分調整をもっと上手いことやれたら、その面白さと完成度はびっくりするくらい跳ね上がりそうな感触が伺える作品でした。でも、曖昧で具体的な指摘のしにくい難しい部分なだけに、いや困難なことを言ってるなあと思うんですけれどね。だからこそ、次回作が楽しみです。

シリーズ感想

VRMMOをカネの力で無双する 6 ★★★★  

VRMMOをカネの力で無双する6 (HJ文庫)

【VRMMOをカネの力で無双する 6】 鰤/牙/桑島黎音 HJ文庫

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ナロファン存続の危機に、全プレイヤーが立ち上がる!
パチロー事件がいち段落つき、落ち着きを見せ始めたプレイヤーたちの目に飛び込んできたのは、我らが石蕗一朗が逮捕されたというニュースだった。
再び大混乱の渦にぶち込まれたナロファンだが、同時にその裏ではゲーム自体の存続すら危ぶまれる事件が進行していて――。
全てのゲーマーたちよ立ち上がれ! 大人気課金バトルファンタジー第6巻!!
つ、ついにアイリスまで金の力で大暴れを!?(物理)
いやいや、御曹司や暗黒落ち桜子さんと違って、資金力に物を言わせての課金地獄というカネの力無双じゃなくて、アイリスの場合は金の力(物理)だったんだが……物理ってなんだよ(笑
というわけで、この御曹司が活躍……好き勝手する【VRMMOをカネの力で無双する】もこれにて最終巻。ウェブ版の方も本編はここで締めてるのか。まだまだ他にも後日談や外伝があるみたいなので、あとでチェックするつもりです。アイリスの「邪神」の異名はまだ出てきてませんしねえ。既に、その萌芽というか、もはや凶器に等しい舌鋒の鋭さは垣間見えているのですけれど。
そのアイリスと、御曹司が今回初のリアルでの対面を果たすことになるのですけれど……、御曹司、ゲームでも素の姿を晒しているので、アイリスに限らず全然初めましてな感じはしないんですよねw 唯一楽しみだったのは、キルシュヴァッサー卿の中の人である桜子さんとのリアル対面だったのですが、あれやこれやでトラブル続きで結局ちゃんとしたオフ会出来なかったからなあ。それ以前に、もうこの段階ではキルシュヴァッサー卿の中の人が女性(しかも結構美人)という事が知れ渡ってしまっていたので、サプライズイベントのインパクトとしては薄れてしまっていたのですが。
しかし、VRMMOの中に限らず、アイリスのあの行動力には瞠目するものがある。御曹司逮捕の一報に一番真っ先に駆けつけてきたのは彼女だったわけですし、御曹司が保釈されたあとアイリスを連れて回ったのも決して気まぐれだけじゃあないと思うんですよね。尤も、彼女の行動力は御曹司の予想を超えて爆裂していくわけですけれど。御曹司がVRMMOの何を面白がっていたのか、なかなか余人にはわかりにくい部分があったと思うんですけれど、なるほど彼にとっての予想の範囲を安々と逸脱して楽しいイベントをぶちあげていくナロファンの参加者と「遊ぶ」のが本当に楽しかったんだなあ。今回の「御曹司が出し抜かれた一件」は、それを思いの外じんわりと実感させる形で教えてくれたように思う。何もかも思い通りになってしまう世界で、だからこそ世界を自分の思う通りにしないように振る舞う御曹司にとって、世界は不自由であると同時に退屈で、世界と自分を切り離すということは孤独を自ら受け入れるようなものだから、桜子さんが言うところの寂しがり屋な御曹司は随分とつまらない思いをしていたんでしょうね。桜子さんは、その慰めになっていたと思うんだけれど、やっぱり彼女だけだと寂しかったんでしょう。そんな中、遊んでみたVRMMOはやっぱり思い通りに何でも出来る世界だったけれど、その中には彼の思惑を乗り越えて自由に振る舞う儘ならない、しかし自分と笑って遊んでくれる、遠慮無く怒って突っかかってくる連中が居て、一緒に遊んでくれていたわけだ。そりゃ、楽しかっただろう。そんな無二の遊び場に、余計な茶々を入れられたら、そりゃあ怒る。御曹司激怒する、のも当然だ。しかも、その相手と来たら結局予想の範囲内でしか動かず、しかもその範疇における一番最低でつまらない下卑たる退屈なやり口でイラんことをしてきたわけだか。しかも桜子さんを泣かせたわけですから。万死に値する。
本当なら、もっとこのおっさん、けちょんけちょんに死滅させられていたんじゃなかろうか、と思うんだけれど、最低で最悪でクソツマラナイ状況にして結末だったものを、アイリスをはじめとするナロファンのゲーマや運営スタッフが、一丸となって御曹司の手のひらの上から飛び出して、自分たちで一矢報いて最悪の事態を回避してみせたのですから、一番いいところは御曹司が持って行ったとはいえ、御曹司からするとやっぱり結構イイトコロ持ってかれた、という気分だったんじゃないでしょうか。それは、嬉しい悔しさであるわけで……そんな楽しい遊び場から去らなければならないのは変わらなかったにしろ、彼なりにかっこ良く去れたのはナロファンのみんなのお陰だったんですよねえ。
今回の一連の事態の中心に居たのはやっぱり御曹司だったのですけれど、坂道を転がり落ちていくように悪化する状況の中で、一番奮闘し、声を上げ、走り回った、主人公だったのはアイリスだったような気がします。主役交代じゃないけれど、一番頑張ってたのは彼女だもんなあ……。いや、御曹司は特に肩肘張って頑張らないので、いつもアイリスの方が何につけても頑張ってた気がしますが。
それでも、彼女あいりがカネの力(物理)を振るって、その舌鋒とともに暴れまわる姿は一番痛快でしたよ。さすが、さすがアイリス!
冷静に考えると、アイリス全然何にも当事者でも何でもなかった気がしないでもないのですけれど、どうしてこの娘こんなに駆けずり回ってるのか、と思う部分も後になってみると無いではなかったのですけれど、こうやって首を突っ込んじゃうあたり、十分主人公の資質ありですよ。
彼女メインの話が書籍化しても、多分買うなあ。絶対、面白いでしょうから。まあそれ以前にウェブ連載分、呼んじゃうと思いますけどね。

これで完結というのが残念ですけれど、いやはや楽しい楽しい作品でした。あー、面白かった♪

シリーズ感想

俺、ツインテールになります。10 ★★★★   

俺、ツインテールになります。 10 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。10】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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<死の二菱>隊長・ティラノギルディに、自らのツインテール属性を奪われてしまった総二。彼は、無気力になるだけでなく、激しい苦痛に襲われる。奪われた属性力は、ある程度の時間が経ってしまうと、持ち主の元に戻せなくなる。そして、ツインテール属性と総二とのつながりが完全に切れてしまったら、この世に存在するテイルレッドの写真や動画は、一斉に総二の姿と入れ替わり正体が露見してしまう……!? 愛香たちは、思い思いに総二を誘惑して気力を保たせようとするが、はたしてその効果は? そんなツインテイルズたちの苦悩をよそに、<死の二菱>は残る戦力を結集し総攻撃を開始する。それを迎え撃つ愛香たちだが、総二という心の支えを失い、彼女たちにもまた異変が……。テイルレッドに変身できず無力さを噛みしめる総二。想像を絶する全力を解放するティラノギルディ。果たしてツインテイルズは、この最大の危機を乗り越えることができるのか!!

宇宙一のツインテール馬鹿、観束総二よ。属性力を失った今、お前は何を心に結ぶ――!?
『俺ツイ』史上最高に熱い戦いを見逃すな!!
そうか、そうだったんだ。そうだよね、そりゃそうだ。ずっとあの変身の掛け声「テイルオン!」には違和感じゃないけれど、バチッと火花が走るような痺れを感じられてなかったんですよね。変身ヒーロー、変身ヒロインの掛け声ってやっぱり燃えるものじゃないですか。それが、本作では変身シーンそのものには燃えても、掛け声に触発されてこっちも燃える、というのとはタイミングが少しずれてたんだ。そう、物足りなかったんだよ。気づいてなかったけれど、テイルオン!じゃあ足りてなかったんだ。
よくぞ、よくぞここまで温存しきったものである。そんな、二桁巻数に達するまで大切に守り続け、温存し続けたそれを、ここで使うほどの、使って然るべきの、最大の激戦だったのだ、これは。
今まで、あのドラグギルディしか成し得なかった最強属性を降誕させたのだから、ティラノギルディはやはり……。敵であろうと、簡単にパワーアップさせないのがこの物語なのである。敵もまた、主人公サイドと同じように苦しみ悩みのたうち回って壁を乗り越え、壁をぶち破り、今までの自分を脱ぎ捨てて、真の誇りを手に入れる、自分の中の真理にたどり着く、戦うための理由を勝ち取る、そうしてやっとパワーアップするのだ。最強の存在へと至るのだ。それを、敵と味方、ツインテールズとアルティメギル双方がやり遂げた末に、お互いの全力を振り絞り、引き出し合って矛を交えるのである。そこにあるのは、憎しみでも怒りでもない、お互いへの尊敬であり理解であり、それはいっそ友情と言っていいほどの深い交感なのである。
さながらツインテールのように、双方がリスペクトしあい、全力を発揮できる何かを手にしてこそ、物語は最高潮に達するのだ。不器用で臆病な孤高の最強ティラノギルディ。彼が最も望み求めたものが得られた時、テイルレッドはその前に立ちふさがるのではなく、ティラノギルディが手に入れたものの価値を証明するように彼の前に立つ。そして、観束総二もまた、己をツインテールそのものにしてしまうほどの一心不乱の狂奔を振り返り、手放して、ようやく見出した自分が愛したツインテールが己や周りにもたらすものの真の意味を見出した時に、ツインテールの本当の素晴らしさを示すように立ったのはティラノギルディだったのだ。その佇立は立ち塞がるためではなかった、妨げるためでもなかった。お互いの進む先にお互いが居て、そうして向き合い戦うことで、お互いが求めたものを真に理解しようとしたのだ。それは、問いかけ合う問答のようなもの。戦いは血を流すためでも魂を消費するためでもない、その手に愛を掴むために、その胸に愛を抱くために、その髪に真の愛を結ぶために。
だからこそ、最期のティラノギルディの嘆息に共感してしまうのだ。違う、そうじゃない。こいつ、全然わかってないw
百合属性に諭されてなお及ばない理解度。さて、ツインテールに極振りのこの男に、どうやって色を教えたものかしら。

あと、台無しな言い草だけれど……。みんな、ツインテール解いた髪型の方が美人ですね!!
特に桜川先生は……いやこの人も最近なんで結婚できないんだろう、というレベルのイイ女になってきてるなあ。

シリーズ感想

サ法使いの師匠ちゃん ★★★★   

サ法使いの師匠ちゃん (GA文庫)

【サ法使いの師匠ちゃん】  春原煙/狐印 GA文庫

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胡散くさカワイイ!? 新・外道ヒロイン爆誕

魔法使いを凌駕する伝説の救世主、『サ法使い』。
だが、落ちこぼれ魔法使いジェラールが召喚できたのは――

「何なのそれ? あたし可愛すぎるだけの普通の高校生なんだけど?」

なんだか胡散臭い女子高生・鷺坂詩子だった!?

「あたしの自己啓発セミナーで、ハッピーライフにステップアップしちゃおうよ。
新しい自分を見つけられたら、心のパワーで魔法とかジャンジャンバリバリになっちゃうから
(※あくまで個人の感想です)。乗るしかない、このビッグウェーブに! 」

ナンパにセクハラ、怪しげな精神論などテキトーな修行で、
弟子のジェラールを鍛えたら、ついでに世界も救っとく?
第7回GA文庫大賞優秀賞作。異世界ファンタジー魔法コメディ型詐欺!!
師匠ちゃん、面白えぇ!!
というわけで、粗筋に速攻で詐欺とか書いてますけれど、サ法とは人呼んで詐法。召喚された胡散臭い女子高生は、高名な詐欺師の一族の血を引く娘さんだったのです。母親が自己啓発セミナーをやってる、という時点でかなりライン跨いじゃってますw
でも、詐法と言っても師匠ちゃん、殆ど人を騙すようなことはしてないんですよね。心理学や詐欺師の手法、弁論術などをやりたい放題駆使して面白おかしく色々とやらかすわりには、変な嘘は付かないし何かを誤魔化したり騙したり、他者に被害やダメージを与えるような真似はしないのである。なので、享楽的に好き勝手している胡散臭い人物なのに、凄く信頼感を抱かせてくれるんですよね。師匠と呼ばれるだけあって、実に頼もしい。いや、詐欺師というのはまず信頼されないといけないので、誠実さや明るさ、人懐っこさが大きな武器だというのはわかるんだけれど、彼女の気持ちいい人誑しっぷりは本気で詐欺師として騙しに掛かったらそれこそ手に負えない凄まじさなんだろうなあ。でも、彼女は決してその一線を超えないので自由奔放なその陽性の魅力だけが残るわけで、彼女を召喚したジェラールと仲良くなったゴブリンの戦士、ゴブ子ことロザリアを引っ掻き回し弄り倒し、と忙しないけれど笑顔の絶えない日々が続くのである。
この三人で暮らしている頃が一番楽しそうだったんですけどね。別に、この三人の閉じた世界を続けても良かったんじゃないか、と思ってしまうくらい。
とはいえ、当初の目的通り御前試合に出場することになったのだけれど、相手の魔法使いに対する師匠ちゃんの精神攻撃、口撃のひどいことひどいことw
特にあの某朝○新聞ネタには、不覚にも思いっきり爆笑してしまいましたがな。あれはもう、なんというか禁呪扱いでいいんじゃないだろうか。天の声を人が語るような超上から目線の精神をささくれ立たせるイラッと攻撃。色々と最強すぎるw
一方で、味方のジェラールやロザリアにはメンタルケアを思わせる心理カウンセリングで精神面から支えて、と縦横無尽の大活躍。いや、この人本当にベラベラと喋っているだけなのに、場も物語も全部彼女中心にぶん回していたわけで、なんだかんだと凄い存在感でした。あと、可愛い。超自信満々に振る舞いながら、所々にドキッとするような乙女らしい素振りを垣間見せてくれたりして、普段セクハラ上等の積極的な振る舞いしながらそんなチラリズムをされると……あかん、この人結婚詐欺も多分、得意だw
でも、何気にジェラールの方も天然でジゴロな資質があるようなので、相殺はされてるみたいなんだけれど、こんな二人の間に挟まれた素人でも簡単に騙せそうなほどチョロいロザリアが、もう好き放題二人に転がされてる感があって、でもこれはこれで天国にいるかのような幸せ具合なんだろうかw

物語を引っ張る師匠ちゃんが、何しろノンストップでイケイケガンガンな娘さんなので、作品のテンポも実にリズムよくぐんぐん進んでいくのだけれど、彼女の明るく淀みをふっ飛ばすような痛快な振る舞いがそのイケイケドンドンっぷりに拍車をかけて、実に後腐れなく楽しい、すっきり笑える気持ちの良い良質のコメディでした。
あー、面白かった!
これは、まだまだ師匠ちゃんとジェラール、ロザリアの三人トリオのドタバタコメディを追っかけたいなあ。

雛菊こころのブレイクタイム 1 ★★★☆  

雛菊こころのブレイクタイム1 (講談社ラノベ文庫)

【雛菊こころのブレイクタイム 1】 ひなた華月/笹森トモエ 講談社ラノベ文庫

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伊莉也は実家の喫茶店に現れた美少女に思いを馳せていたが、再び会う事も叶わずにいた。進学した高校では勉学に追われ友人作りに乗り遅れたりと、少々ブルーな毎日…。そんな時、生徒の悩みを聞いてくれる“お雛様”の噂を耳にする。その人物こそ、伊莉也が思い焦がれていた少女・雛菊こころだったのだ。
不思議な縁から相談事にやってきた生徒にコーヒーを入れる役目を仰せ付かった伊莉也。バレー部の部長や恋に悩む上級生、こころのライバルや生徒会長まで!様々な相談事をこころはちょっとした心理学を用いて解決していく。しかし、こころが相談室を開いた理由にはある過去が関係していた!?

こころさん、本格的に心理学を学んだというわけでもなく、あらすじの通り本当にちょっとした心理学の応用でのお悩み相談で、持ち込まれる悩みも深刻な事件性のあるものではなく、学生生活の中で生じる少年少女たちの行き詰まり、という等身大のものなんですが、変に背伸びしないことで「お雛様」と呼ばれる雛菊こころをハジメとして、お悩み相談室の面々に特別感を持たせずに年頃の子どもたちの奔走を描けてたんじゃないでしょうか。と、言ってもこころさんの洞察力は大人顔負けなのですけれど、小難しいことを言わず自分のできる範囲にとどめているのは好感が持てます。逆に言うと、複雑怪奇な因果が絡まった事件や人間の暗黒面に踏み込むような、悪路を踏破できるようなパワーや技術があるかは怪しい所なのですけれど、人の悩みを解決する話なのに底が浅いという印象を持たせないラインを維持して、さわやかな青春モノに仕立てているあたりに、作者の絶妙なバランス感覚が伺えます。最終話で、これまでこころさんを訪れてきた相談者たちが自然に手を貸してくれる展開など、人と人との繋がりに関してなかなか考えさせてくれましたし。あれって、安易とも取れるんだけれど、人との縁というのはそんな難しく簡単に繋がるもので、それは案外と強固だったり親身だったり運命的だったりするものなんだとすると、友達が出来ないと軽く悩んでいた主人公の伊莉也をはじめ、人間関係で頭を悩ませていた当の相談者たちのことも照らしあわせて考えると、なんだか面白いものだなあ、と思うわけです。
まあ、友達できないとか悩んでるこの主人公、ちゃっかりクラスメイトの女の子と仲良くなって一緒にお昼食べてたり、こころさんの所に積極的に居座ったりとその行動力見ると、友達できないとか信じられない人間力なんですけどね!!
そして、他人のことには色々と気が回るくせに、お互いに関してはさっぱり見えていない主人公とこころさんのメインの二人。これだけ一生懸命サインを出し合っているくせに、それをお互い綺麗にスルーしまくっている、というのも微苦笑してしまうのだけれど、これも若さかw

ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード) 5 ★★★☆   

ロクでなし魔術講師と禁忌教典 (5) (ファンタジア文庫)

【ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード) 5】 羊太郎/ 三嶋くろね 富士見ファンタジア文庫

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「先生と私は、将来を誓い合った恋人同士だから」学修旅行後、アルザーノ魔術学院に招かれた特別講師レオス=クライトス。彼から婚約者として突然の求婚を受けたシスティーナは、グレンを言い訳に断ろうとするのだが…。「お前とくっつけば、俺、もう働かなくていいじゃんッ!」グレンは夢の無職引きこもり生活ゲットのため『逆玉』を本気で狙うロクでもない行動に出始め―。システィーナを賭けて、レオスと担当クラス同士の魔導兵団戦で決闘をすることに。決闘の裏に潜む最凶の『正義』、そして魔導士を辞めることになった過去の事件と向き合う時、グレンの下す決断とは…。
うん、わかる。グレンの過去がどうだろうと、彼が本当はどんな人間だろうと、全部受け止め受け入れる覚悟を持っているルミアと比べて、システィーナはあまりにも覚悟据わってないんですよね。ルミア自身、その人生は常に非常の只中にあり、陽の光の下に曝け出せない後ろ暗い部分を抱え持っているだけに、いつ如何なる時も覚悟を決めて生きているし、その中で何が大切なのか、何を守らなければならないのか、というのを決して見失わない強さを備えている。それに対して、システィーナはあまりにも弱い。危急の時、自分がこれだ、と思ったことを貫けないし、こうしなきゃと思ったことさえすぐに揺らいで取りこぼしてしまう。普段の気の強さ、背筋をまっすぐ伸ばしたような正道を歩む姿とは裏腹に、命の危機に見舞われた時や人の悪意を目の当たりにした時、この世の闇の部分を覗いてしまった時、彼女は脆く崩れてしまう。怯え、怖がり、自分を保つ芯を持てない臆病者。好きな人を信じきることすら出来ない弱虫だ。
でもね、私はそんな彼女が、システィーナが愛おしい。誰よりも、自分の弱さに打ちのめされ、失望しているのが彼女だから。ルミアに対して敗北感を痛感し劣等感を感じているのが、彼女だから。
みっともないし、無様だし、情けない有様を晒しまくっているけれど、自分に絶望しかねないレベルでこれまで積み上げてきたものをボロボロと取りこぼし、剥がれ落としてしまった彼女だけれど、でも本当に最後の最後で、一番見失ってはいけないものだけは、諦めてしまってはいけないものだけは、死守してみせたから。
この娘は、とても弱くて臆病なこの娘は、それでもなけなしの勇気を振り絞ることが出来たのだ。弱い彼女だからこそ、恐ろしいもの怖いもの悍ましいものを受け入れられない、受け止められない弱いシスティーナだからこそ、言えるワガママがあったのだから。
諦められず、捨てられず、無様を晒してしがみついて守り通した、好きという気持ち。そして、怖いグレンを受け入れられない弱さが、振り絞った勇気によって振るわれて、きっとグレンを引き戻したのではないだろうか。
ルミアやリィエルならどうだっただろう。ここまで必死になって、グレンの回帰を止めることが出来ただろうか。パーフェクトヒロインの貫禄すらある、ルミアの愛の深さ器の大きさを考えると、たとえグレンが昔に戻っても、彼が抱える苦悩ごとまるっと包み込んでしまいそうな懐の深さがあるんですよね。ルミアのポテンシャルだと、グレンがどうなっても、その心の傷ごと癒やして救ってくれそうな趣きすら感じられるのです。でも、その大きさはグレンのこの時の非情の決意を引き止める役割を担えただろうか、とふと考えてしまうのです。
グレンは、先生のままで居られたかな、と。
それに、あの時、あの瞬間、グレンが過去と直面させられた時、その場に居たのはシスティーナだけだった。彼女しか居なかったのである。だから、彼女は頑張ったし、彼女にしか出来ないことをやってのけた。
無様でもみっともなくても、ちゃんと、システィーナはメインヒロインの看板、立てて居られていますよ。
勇気を持って、奮い立っているじゃないですか。

グレンにとっても、この娘はほんと可愛いんだろうなあ。でも、この一件はグレンにとってもシスティーナへの見方を大きく揺るがすものだったように思います。グレンを先生として引き止めたシスティーナですけれど、はからずもグレンにとってもシスティーナにとっても、お互いの関係を先生と生徒、という枠に収まらないものにする転機となったのではないでしょうか。

一方で、肝心の禁忌教典についてはひたすらと真実へと至るまでの道程の基礎固めを進めている感じ。なかなか核心へと踏み込まずに、周辺を入念に埋めてる感じだけれど、だからこそ一度核心へと事態が進むと一気にクライマックスまで行きそうな溜めが感じられるなあ。

シリーズ感想

りゅうおうのおしごと! ★★★★  

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

【りゅうおうのおしごと!】 白鳥士郎/しらび GA文庫

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玄関を開けると、JSがいた――
「やくそくどおり、弟子にしてもらいにきました! 」
16歳にして将棋界の最強タイトル保持者『竜王』となった九頭竜八一の自宅に
押しかけてきたのは、小学三年生の雛鶴あい。きゅうさい。
「え? ……弟子? え?」
「……おぼえてません?」
憶えてなかったが始まってしまったJSとの同居生活。ストレートなあいの情熱に、
八一も失いかけていた熱いモノを取り戻していく――

『のうりん』の白鳥士郎最新作! 監修に関西若手棋士ユニット『西遊棋』を迎え
最強の布陣で贈るガチ将棋押しかけ内弟子コメディ、今世紀最強の熱さでこれより対局開始!!
9歳ではじめるのが遅い、と言われてしまう将棋界。世の中、現実世界上において様々な想像を絶するプロフェッショナルな世界があるものだけれど、この棋界というやつだけはちょっと頭一つ図抜けている。話に聞くだけでも人外魔境である。ハッキリ言って同じ人間、人類なのか? というエピソードがゴロゴロと転がっている。文字通り、人間を辞めた人だけが成れるリアル修羅道、てな具合なのである。
将棋将棋、朝起きて夜眠るまで二十四時間三百六十五日、すべて将棋で埋め尽くされる人生。将棋のことだけ考えて、エネルギーを燃焼させ、脳髄をフル回転させ、棋譜の沼へと沈んでいく。それを当然とし、それを
至上とし、それを楽園と捉え、七転八倒しながら悶え苦しみ続けるを法悦とするよう己を改造し尽くした、文字通りの修羅たちの世界。
これは、そこで生きるを自ら望み、自ら選び、自らの手で勝ち取ろうとする若者たちの物語である。故に、熱い。生活のすべてに将棋があり、人生の前提に将棋があるゆえに、その将棋に情熱を、執念を、魂を捧げ燃やし尽くしている彼らの日常は、だからこそ一分一秒に至るまで炎のように燃え盛っている。
だから、これは端から端まで火傷してしまいそうなほど、地獄の熱さに炙られている。その熱の質は、決して清々しいものではない。どこか、妄執じみていて狂奔に暮れていて、肉を焦がし骨を崩すようなじっとりとした粘り気のある炎なのだ。
それが、この業界で戦い続けることへの、苛酷さ、凄絶さ、凄味を肌で感じさせてくれる。
年齢など関係ない、高校生だろうと中学生だろうと小学生だろうと、子供扱いしてくれない、戦うものへの敬意と殺意に満ちている。
同時に、同じ将棋という魔境で戦う物同士、棋士同士の間で紡がれる人間関係は濃密で柔らかいんですよね。彼らは対戦相手であると同時に、同じ将棋という沼の底を探りあう同志でもあるわけです。向かい合い将棋を指し合うというのは、自分の奥底を掘り出しえぐり出して導き出したものを曝け出し合い交え合う、という対話を繰り返すということでもあり、勝敗を奪い合う関係であると同時に、戦友でもある。同門の兄弟弟子なら尚更に、毎日何回も何回も指しあって来たわけで……それこそ幼少の頃からそれを続けてきた八一と銀子の二人の間に流れる時間の濃密さ、というのはどれほど尋常ならざるものか。
でも、だからと言って気持ちが通じ合う、というわけでもないのが不可思議であり、人間の底のない複雑怪奇さの証左であるのかもしれない。

わずか一六歳にして、将棋界の頂点の一つである竜王のタイトルを取ってしまった九頭竜八一。しかし、竜王座の重圧は、彼にスランプに引き込み、彼は将棋に対する情熱……いや、将棋という魔に身も心も染め尽くすための執念の熱量を見失ってしまっていた、そんな時に純粋に将棋の深淵に一心不乱に飛び込もうとしている小学生の少女と出会うことで、見失っていたものを取り戻していくのである。
しかし、わずか16歳にして人生の曲がり角を体験し、また9歳にして人生の行く先を自ら必死に齧りついて、他の可能性をかなぐり捨てるようにたぐり寄せる姿は、やはり凄絶ですらある。その歳で、そこまでの決断を強いられるのか、と。そこまで、自分自身全部を賭けなければならないのか、と。
そうしなきゃ、居てもたってもいられなくなるほどの、魅入る魔性が、将棋というものにはあるのか、と。ゾクゾク、震えが来るんですよね。
その辺の狂熱を、さすがは白鳥さん、実に魅力的に描いているわけですよ。魅入られる。
一方で、深遠に落ちるを孤独ではなく、兄弟弟子のそれやライバル同士の高め合い、そして何より師弟関係という、導きあい導かれあい、高め合う、可能性に手を差し伸べる温かさも、しっかり描いてるんですよね。
他者の際限のない才能を目の当たりにしたとき、善意や親切ではなく、ただ自らのうちから湧き上がる衝動として、その才能が芽吹く瞬間を目にしたい、その可能性を花咲かせたい、自らの手で導き高みへと押しあげたい、という欲求。自分の手で育てる、という快感。こうして、道というのは先へ先へと繋がっていくもんなんだなあ。
うん、いい具合に濃いキャラばかりで相変わらずというべきかもしれませんけれど、期待したとおりに面白かったです。

白鳥士郎作品感想

甘城ブリリアントパーク 7 ★★★★   

甘城ブリリアントパーク (7) (ファンタジア文庫)

【甘城ブリリアントパーク 7】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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みんな元気~!?どうもです。水の精霊ミュースです。可児江さんはなんだかぴりぴりしてるけど、最近甘ブリには活気が出てきています!けど…エレメンタリオの信じられない秘密が明らかになってちょっとへこみ気味です。サーラマのお家は燃えちゃうし、コボリーの動きは怪しいし、シルフィーは相変わらずだし。あたしもモッフルさんたちとの突発飲み会で、大胆な告白させられちゃうし…。ダメです!これは、あくまでプライベートのこと…パークの未来はあたしたちキャストのがんばりにかかってるんだから!今日もエレメンタリオで、ゲストのみなさんをお待ちしてます!!

今回は短編集、それもエレメンタリオの精霊四人組が主人公。今となっては信じられないんですけれど、ミュースたちってアニメ化の企画がはじまるまでは小説ではまともに出番なかったんですよねえ。むしろ、バイト三人娘のABCの方がそれぞれ当番回があって優遇されているくらいで。ほんと、今となっては主人公とメインヒロインのいすずと姫さま、いや場合によっては姫様よりも存在感あるキャラクターになっているんですよねえ、なんともはや。
この子たちって、シルフィーはアレとしても、ミュースもサーラマもコボリーも言わば「普通の娘」なんですよ。或いは、特異なキャラクター付されているえーこ、びーの、しーなのバイト三人娘よりも普通の年頃の女の子かもしれない。女子高生ではなくて、社会人として働いている若い女性、という括りになるけれど内面の心の動きなんて、すごく普通なわけですよ。これは、主人公の西也やいすずたちにはないアドバンテージなんですよね。あのメインの連中って、そりゃもう七面倒臭い性格や条件付けがされていて一般庶民の範疇から随分外れているわけですよ。それに対して、ミュースたちはほんと、精霊のくせに庶民で、生活感を背負っているわけである。それも、随分と生々しいのを。
だから、彼女らにスポットを当てて、しかも日常シーンを切り取ってくると、背伸びしていない等身大の面白い話が転がり込んでくるわけだ。賀東さん、フルメタの頃から短編は変に突拍子もないキャラぶっこむよりも、こういう日常の延長線上で生々しいやり取りしてる話の方が、けっこう面白かったりするパターン多かったんですけれど、この甘ブリだとミュースたちがその辺、一番ぴったり合致してるのよねえ。

「火の精霊なんだけど仕事から帰ってきたら自宅が炎上してた件」
家の近所が火事になった経験はあるけれど、さすがに水は被らなかったなあ。ってか、火の粉が凄くて熱も凄くて、ウチの方まで延焼しないかでハラハラしながら見守っていたので、それどころではなかったですけれど。
部屋が焼けてしまったので、しばらく知り合いの家に止めてもらうことになったサーラマが、色んな人の部屋に泊まり歩くというお話なわけだけれど、初っ端で親友であるはずのミュースに宿泊を断られてしまった、あのショックな感覚。断られるなんて夢にも思っていなかっただけに、サーラマのあの怒ったり拗ねたりも出来ずにもろに落ち込んでしまう感覚は、なんだか沁みてくる。この後、色んな人から自分のところに泊まりなさい、と声かけて貰い渡り歩くのですけれど、サーラマこの最初のショックをずっと引きずってるんですよね。
もちろん、ミュースには相応の理由があって、サーラマのことを放置していたわけでもないのですけれど、サーラマの心の浮沈具合がなかなか繊細な描写がなされていて、面白かったですねえ。一番大雑把っぽいけれど、サーラマが一番繊細なんだよなあ、メンタル。
あと、結局ミュースとサーラマがラブラブすぎるんですけれどw

「腐ってばっかりじゃないんですよ?」
……これって、ちゃんと申請すればちゃんとお手当出るんじゃないですか? というレベルで色々とこっそり仕事してるんじゃないですか、コボリーさん。
知らないうちに仕事を片付けてくれている妖精さんがいる、という噂が広がる甘ブリ。なまじマジモノの妖精さんや精霊さんが働いている職場で、ただで働いてくれる妖精さんとか、なんてご都合よろしいのか。
あー、でも総支配人の西也があの薄給だもんなあ。


「普段ない組み合わせ」
ワニピー……。あー、この、飲み会に参加しつつ、会話にも加わらず、という人には身につまされるものがある。自分はさすがに気配消せないですし、喋るようにしてるし大概楽しく話せるんだけれど、飲み会ってのは結構な頻度で面倒くさい話ばっかりになる時があるので、そうなるともう端っこでじっと食べてたくなる。話こっち振らなくていいから、という気分になるよね。気を使って話しかけてくれるのが、もういいから、という感じで。
そういう人はむしろ放っておいてあげましょうって。しばらく安静にさせておくと、元気というか気力が戻ってくる場合もありますしw
さて、ワニピーくんは置いておくとして、注目はやはりアーシェとモッフルのチクチクとお互いを針で突くような、時々本気でぶっ刺してるようなアレな会話なわけで……これ、酔ってるからなのか正気でやりあってるのか、どっちにしろ酒の席だから、というのもあるんでしょうけれど、参るよなあ(苦笑
大半、ミュースに聞かせて反応楽しんでるんじゃ、という感じでもありますけれどw
ミュースからすると、自分が遠慮してなるべく触らないようにしている部分にズカズカ踏み込んできて、それをえらく乱暴に扱われた挙句に、あんなこと聞かれたら……そりゃ痛いって。
アーシェもモッフルも、果たしてどこまで分かって聞いたのか。いずれにしても、泣かせたのは間違いないわけだから、その無神経さは反省するべし。ある程度、これが無神経な質問だ、と理解しながら言ってるあたり、たちが悪いけど。


「しるふぃー・ちゃんねる!わくわくレビュー」
シルフィーが主役で彼女の視点の話だけに、執筆のノリからして随分とはっちゃけているというかイカれてるなあ、と若干引きながら読んでたんだけれど、あとがき読むとわざとグデングデンに酩酊してる状態で書いたらしくて、さもあらんと納得したというか、なんかすげえと感嘆したというか。ある意味、あの変人シルフィーの難解なメンタリティが生々しく感じられるエラいお話でした。


次回は、こちら渦中の只中にある本編の方に話が戻るようで。激動真っ最中なだけに、すぐに本編戻ってくれるのはありがたい。

シリーズ感想

メイキュー! 1.ダンジョン科がある高校って本当ですか ★★★   

メイキュー! (1) ダンジョン科がある高校って本当ですか (角川スニーカー文庫)

【メイキュー! 1.ダンジョン科がある高校って本当ですか】 森崎亮人/希望つばめ 角川スニーカー文庫


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世界で唯一ダンジョン科のある迷宮学園に入学したゲーマーの赤坂怜也。しかし彼が出会った加藤椎奈は、「合法的に刀を振り回すために入学した」辻斬り志望の女子だった!椎奈を筆頭に物理殴打系新人アイドルや、猶予期間満喫中のエリートなど個性豊か(すぎる)仲間に振り回されつつ、夢にまで見たリアル迷宮攻略に挑む怜也だが、職業選択の段階で術師になる夢を絶たれてしまい!?世界一キボウとキケンの詰まった授業開始!
ううーん。なんだろう、このスケールの小ささは。他のダンジョンものに比べて、本作のダンジョンって謎の技術がふんだんに使われているとは言っても、どうも手作り感が漂ってるんですよね。本物の遊園地のアトラクションで散々遊んだ後で、いきなり高校の学園祭のお化け屋敷とかアスレチックアトラクションとかに放り込まれても、それが幾らよく出来てたって「あ、うん、よく出来てるね」と感動とか興奮とかは無縁な感じになっちゃいますよね。そんな感じ。
だって、あの術などの発動形式とか当たり判定とか、凄まじく原始的じゃないですか? なんかこう、発動している事にしよう、当たった事にしよう、という空虚な感覚? しかも、技術の上達や工夫でうまくなる余地がないような感じですし。
ダンジョン自体も上限が既に決まっている上に、つくり手がダンジョンに反映させているイメージが凄くショボい感じがして……使われている技術も未来的なわりに、全体に風雲たけし城の延長戦上にあるみたいな使い方だし。もう全体的になんかショボいんですよねえ。ダンジョンものにあるワクワク感、未知に対するドキドキ感がさっぱり感じられない。
こんな遊園地のアトラクションみたいなダンジョンに三年かけて挑んで、ほんとなんか得るものがあるんだろうか。作中でもこの学校を目指すのは物好きばかりで、世間的には価値が疑問視されてる、みたいな話があるけれど、読んでて自分も思わず同感、と思ってしまった。仲間と協力して、考え努力して何かを成し遂げる、というのは尊い経験だと思うけれど、その対象というにはこのダンジョン、素人の手作り感が満載で、こんなショボいダンジョンでええんかい? と思っちゃったのでした。
だいたいクリア賞金の10億円だって、一人ひとりにくれるんじゃなくてパーティーの人数で割らないといけないとか、貰えても2億円くらいじゃないですか。いや、大金ですよ。生涯賃金に親しい大金ですよ? 人生が変わる金額です。でも、宝くじで当たる程度とか、成功を収めた人なら普通に稼げる金額、と思えば、世界で唯一のダンジョンクリアの報酬としてはショボいんじゃね? と思っちゃうんですよね。
あと、全体把握し戦況や味方の状態など細かな部分を全部掌握して指揮しなきゃいけないコマンダーが、前衛の戦士がやるのが前提とか、ちょっと理解が及ばなかった部分なんですけど……。え? これ、敵とガシガシぶつかりながら把握して指揮するのって、無茶ぶりなんじゃね? と思いながら見てたんですけれど、このダンジョンだと戦士がやるものらしくて……はぁ、そうなんだ。
キャラクターとかは悪くはないと思うんですけれど、生き物が斬りたいから、というヤバイ志望動機で登場シーンを掻っ攫った椎奈からして、あんまり突飛なキャラじゃないし、アイドルの子も色々と撲殺とか属性をつけはじめているけれど、全体的に地味というかなんというか。登場人物同士の交流、人間関係、それぞれの思惑や個性の衝突、というところを蔑ろにせず重視はしていると思うんですけれど、ビリビリ来るような魂や意思のぶつかり合いや、共感って感じでもないですしねえ。
ともかく、ワクワク感、ゾクゾクするもの、ドキドキが自分の中でなかったのは、ウィークポイントかなあ。

運命に愛されてごめんなさい。 3 ★★★☆  

運命に愛されてごめんなさい。 (3) (電撃文庫)

【運命に愛されてごめんなさい。 3】 うわみくるま/智弘カイ 電撃文庫

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軍縮政策で(僕の)シイナが拉致られる!?
予言の秘密に迫る学園運命録第3幕!!

予言により朝倉会長失脚!! ついに僕が政権へ復帰する時だ!!
……と思ったのに、次の会長はその予言をもたらした転校生本人だった!? しかも彼女・オリヴィアの軍縮政策によって、シイナが生徒会に連れ去られるだって!? これは僕とシイナを別れさせようとする陰謀に違いない!! ゆるせん!! 僕は必ずや、シイナを権力の横暴から守りぬくぞ!!
そのためにも、まずはオリヴィアの足を舐めてくる! ……何でかって? かわいいからさ!!
結局、最後まで訳の分からない設定部分はそういうものだ、という前提として全力で放置して、バカに徹して突っ走ってしまったけれど、その勢いや良し!
一巻の感想からして、勢いだけだけれどその勢いだけで最後まで見事に突っ走ってみせた、というものでしたけれど、遂に2巻、3巻と巻を重ねてもまるで減速する様子すら見せず、日和らず迷走せずブレずに一貫して勢いに任せ、しかし話を取っ散らかさずまとめてみせたんだから、本当に大したもんです。主人公の純くんも、一切ブレずにゲスっぽい小悪党のまんまでしたしねえ。最後の最後までまったく改心しなかったもんなあ。野心家で権力欲に塗れていて自分に正直すぎて、それでいて、全然憎めない愛嬌のあるキャラクターがまた小憎いというかなんというか。シイナも男の見る目が無いのか何なのか。口では悪態をつきながらも、態度だけ見るとデレデレなんですよね、シイナって。これぞクーデレってやつなのか。いや、ツンツンはしてるからツンデレなのか? そっけない態度のようでいて、ずーっとベッタリでしたしね、純に対して。結局、シリーズの最初から最後までずっと張り付きっぱなしだったんじゃないだろうか。二人が離れてるシーンって殆ど思い出せないくらい。
さて、これまでの1巻、2巻は純くんが無駄なのかそれとも彼が好き放題動きまくったことで定まったのかはわからないけれど、結局予言の通りに運命は決着していたのだけれど、ついにこの3巻では本気で運命を、予言を打破することが最大目標となって物語は動いていきます。これまでは、目的を達成することが結果として予言を覆すことになるものだったのだけれど、今回は運命を打破することそのものが目的でしたしね。次々と繰り出される予言は、オリヴィアに好都合なものばかり。予言は偽物であると証明し、打破しなければいけない、という話が、ついには本物の予言を、定められた運命を本当にぶち壊す、そういう激動の展開へと突入していく本編。なかなかカッコいい主題にも関わらず、純くんの言動たるや一貫して目先の欲に全力で流されていく小悪党プレイ。まあ毎度のことであるが、この小悪党の行動力と実行力と口八丁手八丁による扇動力は大したもので、場当たり的にしか動いていないのにどうしてこうも周りごとシッチャカメッチャカになっていくのか。
その混沌としたハチャメチャっぷりこそが、本作の魅力だったんだろうけれど、うん確かにそれこそが楽しかったんだろうなあ。
結局、この3巻で締められてしまいましたけれど、ぶれない勢いが実に楽しく面白い作品でした。次作も変に沈滞せずに、この勢いの良さを失わないで欲しいものです。

シリーズ感想

デート・ア・ライブ 13.二亜クリエイション ★★★☆  

デート・ア・ライブ (13) 二亜クリエイション (ファンタジア文庫)

【デート・ア・ライブ 13.二亜クリエイション】 橘公司/つなこ 富士見ファンタジア文庫

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クリスマスも過ぎた一二月末。五河士道は空腹で道ばたに倒れていた第9の精霊、二亜と出会う。「このままじゃ次の原稿を落としちゃいそうなのよ…」二亜の自宅でなぜか漫画作業を手伝うことになった士道は、彼女がDEMに囚われていた精霊だということを知り―。封印するため、二亜リクエストの秋葉原デートをするのだが…。「実はあたし…二次元にしか恋したこと、ないんだよね…」そのデート中、二亜から衝撃の発言を聞いてしまい!?二次元の世界に没入する、オタクで漫画家の精霊を次元のハードルを乗り越え、デートして、デレさせろ!?
DEMに囚われていた第9精霊って、精霊に纏わる物語の核心に最初から居た精霊なのかと思っていたけれど、そうじゃなくて精霊に関する情報源という意味合いの存在だったのか。第9精霊の登場そのものが、物語をもうストップすることなくクライマックスへと走らせるイグニッションキーだと思っていたので、悠長にいつもどおりのデートがはじまるような粗筋にあれ?と首をひねっていたのですけれど、なるほど納得。
あくまで、核心に関わる存在は限定されているのね。どうやら、その中には士道もいるみたいなのだけれど。
いずれにしても、これまでの精霊の中で「お姉さん」タイプというのは初めてだったので、何気に新鮮。二次元オタクというわりには非常に社交的でコミュニケーション能力も高いタイプだったので、これなら七罪の方がよっぽど面倒くさかったですよね。実際、七罪の攻略には2巻かかりましたし。
ただ大人ということは、それだけしっかり割り切りがハッキリしちゃっているわけで、初心な少年が攻略するのって不安定な年頃の少女たちと比べると圧倒的に難易度高いんですよね。むしろ、二次元しか愛せない、という突破口があるだけマシだったんじゃないだろうか。これ、普通の感性の女性漫画家だったら士道ではちょっと太刀打ち不可能だったんじゃなかろうか。その能力を原因とする人間に対する不信感と、その奥底で燻っている本当に信頼できる人間は居る、という期待感。士道の一番の武器は何はなくともその誠実さだっただけに、実のところ士道との相性という意味では二亜姉さんって精霊全員の中でもトップクラスなんじゃなかろうか。まあ、精霊達みんな士道の誠実さにやられているわけですけれど。
最初の頃は精霊の攻略というと、ラタトクスのサポートがあったとはいえ士道が一人で頑張っていたものですけれど、仲間になった精霊が増えだした最近ではみんなが一丸となって協力して精霊の攻略に当たる展開になっているのが、何気に面白い。その中で、特に目立つのが内気で最初は尻込みしているのにいざ事が始まると一番頑張り屋さんな七罪と、姉妹勝負であらゆる事に精通している八舞姉妹なんですよね。七罪は、なんかこの頃は十香にも増して、士道に救われたことでこれまでの生き方を一変して、自分を好きなろうと頑張っている、成長しているキャラになってるんですよねえ。今、一番輝いてるんだよなあ、この子。
そして、万能すぎるのが八舞姉妹。いや、本当にこの娘ら出来ないことはないんじゃないか、というくらい何でも出来るんですよね。どんな状況に直面しても、この二人はとりあえずある程度以上にその事柄に修熟しているので、そこを突破口として事態を打開していけるのである。戦闘面じゃないくても、この二人が切り込み隊長
なんだよなあ。それが、地味に頼もしい。

さて、二亜がDEMに囚われていた時に行われていたことが、想像以上にえげつなかった件については、そろそろいい加減このDEMに対してガツンとやってほしいなあ、という欲求が高まっている。半封印状態の精霊たちでは全力が震えず、どうしても連中に遅れを取ってしまうのがだいぶストレス溜まってるんですよね。
もう予想以上に外道で邪悪であることが徐々にわかってきている連中なだけに、そろそろ反撃のターンが欲しいよなあ。
そして、二亜がもたらした精霊の真実。これは、おおよそ想像がついていたことでもあるけれど、こうして明言されてしまうと思うところもあるわけで。出自が完全に不明な精霊達も、こうなると帰る所や家族がある、かもしれないわけで。そのあたりも突っついてくるのかな。

橘公司作品感想

横浜ダンジョン 2.英雄姉妹の挑戦 ★★★★   

横浜ダンジョン (2) 英雄姉妹の挑戦 (角川スニーカー文庫)

【横浜ダンジョン 2.英雄姉妹の挑戦】 瀬尾つかさ/やむ茶 角川スニーカー文庫

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世界各地にダンジョンが出現した世界―。前世で白き賢者と呼ばれた少年・黒鉄響は、無詠唱で魔法を使える特殊な力を持ちながらも、それを隠して日々を過ごしていた。クラスメイトの真藤春菜とその相棒である坂霧彩に戦い方を教えながら、夏休みもダンジョン攻略を進める響。そんなある日、大剣使いのクレアと魔術師シンシアの姉妹に突然春菜が決闘を申し込まれて―。戻らない探索部隊、そして姉妹に課せられた重き使命とは!?
危機感、というのは得てして共有されにくいもので、こればっかりは仕方ないんだよなあ。現状、ダンジョンの奥に潜む脅威について知識・情報として持っているか否か、から危機感は変わってくるし、たとえ知っていてもその脅威を「実感」として得ているか、正しく理解出来ているか、によっても差は出てくる。ぶっちゃけ、響が感じている危機感、切迫感をこの現代の地球で共有できるのはそれこそ、その脅威を目の当たりにした春菜の姉たちだけであり、そして彼女はその脅威に抗うためにダンジョンの奥に姿を消してしまったわけで、わりと響って現状行き詰まりがあったと思うんですよね。色々と、星繰り人強化の為に手は打っていたものの、かなり地道な活動で影響力としてはそこまで劇的に及ぼせたかどうか。
先進国間の星繰り人のレベルの上昇が停滞していたのも無理からぬ話で、「敵」の存在がちゃんと把握されていない現状では、先進国が星繰り人の「安全」を重視するのは当然の話で、なりふり構わぬやり方をした結果犠牲が大量に出てしまうと、世論としてなんで安全性を無視してそんな無茶をやらせるのか、許すのか、という論調が出てきてまあ当然だし、当の星繰り人たちも「無茶」をする理由も今はないわけですよ。
その意味では、数々の世界滅亡の脅威を描いてきた瀬尾さんの作品の中でも、本作はトップクラスに危なっかしい世界観なのかもしれない。何しろ、敵の勢力とまともにやりあえる戦力が現状殆ど皆無に等しいわけですし、その戦力を生み出すのに必要な危機感が、世界の中で全く共有されていないわけですから。
だからこそ、夢見で正しい知識と実感として敵の脅威に対する危機感を得ている上に、うん初動が遅かろう日本政府ではなく、英国中枢に多大な影響力を及ぼす力を持っているシンシアの登場は、非常に大事なものなんですよね。星繰り人として超一流、というのはこの際添え物なのかもしれない。彼女の重要性とは、世界に対する影響力そのもの、と言って良いのでしょう。その彼女が、この危機を打開する鍵こそが、黒鉄響という少年である、というのを正確に捉えている。鍵である響に対して、シンシアこそが扉、とすら言えるかもしれない。
この扉を台無しにしようとしたわけですから、政府はヘタを打ったもんですわ。事情を鑑みると、クレアの横槍のせいとも取れるので、一概に政府攻めるわけにもいかんのでしょうけれど、おかげで「ザ・ブラック」が誕生してしまい、響の繊細な心に消えないダメージが刻まれてしまったじゃないですか、どうするんだ。仮にも白の賢者と呼ばれたホワイトイメージが、黒くなっちゃうのは如何なものかw
でも、こっちでの名前も黒鉄なんですよね。何気に、シンシアがラストに見た新たな夢見も絡んで、この白と黒の相克は何らかの意味がコメられてるんだろうか。

しかし、これだけ正直に自身の持つ秘密をあけっぴろげに公言しているのに、まるで信じてもらえない主人公、というのも苦笑してしまう。本人、別に信じてもらうつもりもなくて、持ちネタみたいに使っちゃってるけれど、そりゃあ出処不明の革新的すぎる知識や怪しげなネタを全部、前世の記憶です、と言っても信じてもらえないか。

1巻感想

転生従者の悪政改革録(ブラック・クロニクル) ★★★★☆  

転生従者の悪政改革録 (角川スニーカー文庫)

【転生従者の悪政改革録(ブラッククロニクル)】 語部マサユキ/ 遠坂あさぎ 角川スニーカー文庫

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大好きな七海先輩との下校中、異世界転生してしまった勇利。没落貴族の跡取りとして、仕えるワガママ令嬢に会いに行くと―「申し訳ありませんでした!」と華麗な土下座をキメられた。普段と様子の違う令嬢に戸惑う勇利は、ふとした仕草から彼女が同じく転生した七海先輩だと気づく。元の世界に戻るには令嬢(=先輩)が婚約or悪徳貴族がはびこる王宮での成り上がり!?先輩の婚約回避のため、悪役令嬢とはじめる異世界改革!!
おおっ、これは面白いなあ! 一人で異世界に転生してしまうのではなく、好きな先輩と一緒に転生しちゃうのか。でもこれって、転生じゃなくて厳密に言うと憑依になるんじゃないだろうか。肝心の悪役令嬢とその執事の中身も、現代の七海と勇利の中に入っちゃっているわけで、入れ替わっちゃってるわけですから。
ともあれ、この二人で、というのがポイントでお互い気心の知れた先輩後輩同士、息のあったコンビネーションでこれまでの公爵令嬢の悪評をガンガンひっくり返していくパワフルさは、見ていて痛快。うん、パワフルなんですよね。二人共現役水泳部、それも先輩の方はインターハイでもトップを狙える位置でオリンピックにも足をかけようか、という高いレベルのアスリートなだけに……基本体育会系。さっぱり姉御肌の体育会系悪役令嬢の誕生であるw
面白いのが主人公の勇利の方で、選手としては実力不足ながらその観察眼と分析力によるコーチングの才能には図抜けたものがあり、当人よくわかってないようだけれど、選手間での評判は上々、顧問の先生もわざわざ出場選手じゃない彼を大会まで引っ張っていくあたり、彼の才能は周知のものなんでしょうね。彼にアドバイスを貰えば、それだけでタイムがぐんぐん上昇する、という折り紙つきの指導力の持ち主なのであります。
でもこれって、軍師や策謀家というタイプじゃないんで別段悪辣な作戦や緻密な戦略を立てて計画的に目的を達成していく、という感じじゃあないんですよね。彼が一番得意とするのは、やはりコーチング。自分の才能や特徴をちゃんとわかっていない人たちに確実な方向性を授け、細かい修正を行い、効率的で着実な練習メニューを構築し、一流のアスリートへと仕上げていく手腕こそが、彼の得意技なんですね。試合における勝利への道筋を組み立てているのを見ると、コーチングだけではなく監督としても行けそうですけれど。
結果として、魔法の力も練習に活用して、モンスターアスリートを量産していく怪物執事と、その気風の良さとリーダーシップ、太陽のようなカリスマ性で執事が鍛え上げたみなをまとめ上げ、旧弊然とした階級社会にガンガン風穴を開けていくパワフル令嬢。
二人共、お互いに一番信頼できて一番傍に居て欲しい相手がちゃんと居てくれるお陰か、憂いも何もなくとにかく陽性の明るい雰囲気で、澱を吹き飛ばしていく話で、いやあスカッとしましたわ。
しかし、この二人の場合、ニブチンなのは主人公ではなくヒロインの先輩の方なのね。勇利の方があれだけ好き好き光線出しているのに。先輩の方だって、勇利への全幅の信頼の置き方とか心の拠り所にしてるみたいな反応といい、完全に好きっぽいんだけれど。
どうやら、この二人の恋愛模様に関しては、現代の方に飛ばされた異世界の二人の動きがジョーカーとなって作用してくる風向きも感じられるので、何気にそっちの方も要注目なんですよね。
なんにせよ、これは面白いシリーズはじまりました。

英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ ★★★☆  

英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (ファンタジア文庫)

【英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~】 アサウラ/だぶ竜 富士見ファンタジア文庫

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かつて戦乱から街を守り切った英雄たちの末裔が住む辺境都市・リキュール。その血は、今も脈々と受け継がれていた。身の丈ほどの大剣を操る無双のシスコン自警団長、誰にもそのお尻を触らせない眩惑の看板娘、鋼のごとき硬さの絶品パンを焼く職人、大岩を軽々と担ぐ剛力の大工(手抜き)…。そんな、毎日がお祭り騒ぎのこの街に暮らす、ワケありビンボー何でも屋モルト。彼のもとに、祖国を追われた王女が逃げ込んできた!彼女を追う帝国は、圧倒的大軍で街を包囲する。窮地のリキュールだが、可憐な少女を見捨てるなんて選択肢は、英雄の血を引くバカどもの頭にはもちろん存在せず―!?
バカだ、バカ過ぎるww
凄いなあ、このバカが敷き詰められたかのようなバカの密集感。普通は、底抜けのバカがたくさん登場すると言っても、主要人物周りが中心であって周辺のモブの人たちはそんな「バカ」の馬鹿げたなさりように振り回され、慄き、逃げ惑うものなのですが、この作品と来たら、一つの都市丸ごとが無名の住人一人ひとりに至るまで手遅れのバカばっかり! 上は政治家から下は一般庶民に至るまで総じてバカ。その辺を歩いているモブさんの反応からして、もうなんというか「あかんやろう」というようなトチ狂いっぷりで、この街ヤバイ感がパないのである。むしろ、細密に描かれる個々人のキャラの方が若干まともに見えるんじゃないだろうか。あくまで若干ですけどね!!
でも、ホントに馬鹿ばっかりなんだけれど、決して考えなしの愚か者ではないんですよね。いや、考えなしはみんな考えなしのような気もするのですけれど、刹那的に暴走して好き勝手やらかすようなどうしようもない連中はいないんですよ。帝国から送られてきた軍隊に街を包囲され、厳重な封鎖下に置かれ、兵士たちに傍若無人な振る舞いをされても、脊髄反射的に反応するのではなく、じっと堪えて耐え忍ぼうと市民一人ひとりが選択しているあたりなど、とても理性的で忍耐強い対応なんですよ。
その奥底でふつふつと滾らせている「モノ」が極めて馬鹿っぽい方向性で、ベクトルがマイナス向いてなくて痛快な方向なのが、本当に「バカ」なんですけどねえ。なんて気持ちの良いバカっぷりだろう。陰鬱なものを抱え込まず、スカッと吹き飛ばしてくれる。
いやね、でもそれにしても、その我慢に我慢を重ねた末に爆発させたものが、完全に「ヒャッハー」系なのはイカンともしがたいw いや、ヒャッハーなノリだけならまだしも、なぜ脱ぐ。いやもう本当になぜ脱ぐ!!

なぜ脱ぐ!?

一人ならまだしも、集団だとインパクトが。ビジュアルがww
個々にスポットをアテても濃いし、じゃあと俯瞰的に街を見渡してもやっぱり濃いし、こんな濃度の濃すぎる街に普通のメンタルで何の構えも備えも覚悟もなく、無防備に突っかかっていく帝国軍の哀れな生け贄の人たちのなさりようは、パンパンに膨らんだ風船をキャッキャと尖った枝でつついて遊んでいるようにしか見えず、もうあかん、それはあかん、と顔を覆うしかありませんでした。

案の定!

はい、ご愁傷様です。見事に頭のオカシイことになって振る舞わされ、戦慄し、逃げ惑うマトモな愚か者たちの末路には、両手を合わせて南無南無と冥福を祈るしかございません。

なんか表紙はサシャが飾っているし、ウェブ版でメインヒロインしているのは下宿の娘さんのリッツらしいのですが、本編のヒロインはサブタイトルにもなっている王女さまのディア。ゲストヒロインという扱いなんだろうけれど、これがまた「ルパン三世カリオストロの城」のクラリス並にガチンコのお姫様ヒロインしてるんですよね。あれ? こんなに本気でモルトに惚れていいの? というくらい、しっとりと恋愛モードに入っちゃってるんですよね。天然でぽわぽわした性格からして、モルトの積極的なアプローチを無自覚に受け流すのかと思ったら、しっかりと受け止めて本気になっちゃってますし。しかし、一方で王女としての自覚に目覚め、己の責任を果たすためにこの恋は道ならぬものとして割りきっていってしまうのですけれど、ゲストヒロインとして一話で去っていくにはもったいないくらいの人だったなあ。なんかこれだけガチになりながら後腐れなく距離を置いていってしまうのは、作者の作品【ベン・トー】のアイドル広部さんをちと連想してしまいました。
ベン・トーと言えば、作者お得意の飯テロ描写は本作でも健在。端からあれだけガツンと美味しそうな描写されちゃうと、困るから。お腹減っちゃうから。減ってなくても、なんか食べたくて仕方なくなるから!
これだから、アサウラさんの作品は構えて読まないといけないんだよなあ。

次巻も1月には出るみたいですし、ウェブ連載している話の方もいずれ出てくるでしょうし、楽しみなシリーズがスタートしましたねえ。

アサウラ作品感想

エイルン・ラストコード 〜架空世界より戦場へ〜 2 ★★★★☆  

エイルン・ラストコード 〜架空世界より戦場へ〜 2 (MF文庫J)

【エイルン・ラストコード 〜架空世界より戦場へ〜 2】 東龍乃助/みことあけみ MF文庫J

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ロボットアニメの世界から西暦2070年の世界へと召喚されたエイルン=バザッド。虚構の存在である自分の存在を認めてくれたセレンと、この世界を救うため立ち上がるエイルンだが、騎兵部の部員は独断専行、心に爆弾を抱えた生徒が多数と、人類反抗の先鋒たる氷室義塾の崩壊寸前な状況が判明する。何よりセレンにまつわる悲しい過去『機兵部初代部長・神無木緑の喪失』が呪縛のように多くの生徒を苦しめていた。「一ノ瀬…誰かが誰かに成り替わるなんて、出来はしないんだ」だが、エイルンの言葉と行動が、多くの人の心を動かしていき―!?爆発する爽快感!とにかく熱くて、火傷する、新世代ロボットライトノベル第二弾!
そうか、そういう事だったのか。いやね、一巻でも目に余るものがあったのだけれど、氷室義塾の戦闘部隊である機兵部の連中が軍部隊としてはお粗末にすぎるという以前の問題で、もう組織として成り立ってないんじゃないか、というくらい無茶苦茶ひどい有様だったんですよ。これまでどうやってマリスの侵攻に立ち向かってきたのか想像できないレベルで。こんな連中、一度でもマリスが相応の規模で攻め込んできたらその一撃で粉砕されてもおかしくない素人以下の命令も聞かず反抗的で判断力もなく好き勝手に動きまわって何の反省もなく現状認識もしていないような、筆舌に尽くしがたい本当に酷い連中だったんですよ。
エイルンが無双する前提にしても、味方となる部隊がこれというのは、幾らなんでも無いんじゃないかなあ……と、呆れを通り越してドン引きしていたのですが、この2巻でようやくエイルンの周りが落ち着いてきて、氷室義塾が置かれた現状と、此処に至るまでの過程が明らかになることによって、ようやくこの無茶苦茶な有様が腑に落ちたのでした。
なるほど、エイルンが来た時の氷室義塾は、実際もう後がない崖っぷちなところまで破綻しかけてたのか。本来はまとも以上に精鋭部隊として成立していたのが、セレンの乗るロボットの暴走によって一旦壊滅した挙句、カリスマ指導者を失ったことで士気も崩壊、中隊長以上の中核となる人物も櫛の歯が欠けたよう抜け落ち、残った連中も少なからず精神的に傷を負い、部隊立て直しにも失敗して迷走した結果、もはや精鋭部隊の面影どころか通常運用も出来ないレベルで組織崩壊していたのが、今の機兵部だったわけですか。
そりゃ、あかんわ。
放っておいても、あと一戦でどうやっても全滅する段階、最終末期状態じゃないですか。
エイルンが現れたのって、セレンの絶体絶命の危機という以上に機兵部が文字通り物理的にも組織的にも完全に壊滅してしまう寸前の、本当にギリギリ瀬戸際崖っぷちだったわけだ。
セレンがどうしてあれほど嫌われているのか。差別意識が意図的に向けられている立場である、というのを加味しても、義塾のあの生徒たちの反応はクズにすぎるし、葵たち元々仲の良かった娘たちまで心ならずも距離を置かないといけなかった理由がわからなかったし、セレンのあの凄まじい怯えようはもうPTSDと言って過言ではない有様だったのが、なんでここまで無茶苦茶な状態になってるんだろうと若干疑問ではあったのですが、ちゃんと相応の理由があったわけか。
ただ、理由がハッキリしたならば改善の方向性もまた見えてくるわけで。
やるべきことを把握したエイルンが、個人的な武勇による無双ではなく、最前線で戦い続けた軍人として、今度は訓練教官として鬼軍曹と化し、一度崩壊してしまった部隊の立て直しを行いはじめる展開は、機兵部の惨状に、そこに所属している連中の酷い有様に、凄まじいストレスを受けていただけに、それがバキバキと音を立てるように見事に矯正され、修復されていく様子は、これがまた痛快なのである。屑の集まりでしかなかった連中が、意気と気合の入った漢の顔となり、捨鉢だった在りように覇気が漲り、戦士として人間として背筋の伸びた、未来を見据えて戦うことの出来る連中へと戻っていく、新生していくのは、燃えた。うん、燃えたよ。
そして、あの未来も希望も何もかもを全てを喪ってしまった戦いで、大きな心の傷を負い、戦いから逃げてしまった者、自分の本来の姿を見失って迷走していた者たち、それらも燻らせていた熱い魂を揺さぶり起こされ、かつて以上の自分を取り戻していく、この熱い展開よ。
ややも演出過剰に、さあ燃えなよ、滾りなよ、とお膳立てされたような展開なんだけれど、悔しい、ここまで見事にお膳立てされてしまえば、乗るっきゃないじゃない。興奮するよ、手に汗握るよ、ああもう燃えたよ、熱くなったよ、どうしようもなく面白かったよ!!
まいった、全面降伏。これは抗いようがない。溜めて溜めて爆発させて解放する、痛快さというのを如何に感じさせるか、という勘所を実に心得た話の仕立て方でした。
ややセリフや演出がくどかったりするのは、これは好み次第かなあ。それも、エイルンがこの世界ではアニメの登場人物、という要素ならではなんだろうけれど。

1巻感想

盟約のリヴァイアサン 7 ★★★☆  

盟約のリヴァイアサン (7) (MF文庫J)

【盟約のリヴァイアサン 7】 丈月城/仁村有志 MF文庫J

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竜の力を使いすぎた結果、ハルの身体のドラゴン化は進行の一途を辿っていた。事態を重く捉えた織姫たち魔女は、ハルに人間としての強い充足感を与えることで、どうにか症状を回復させることに成功していた。しかしその脅威はやがてハルの記憶さえも蝕んでいくことになり…。時を同じくして東京湾に突如、小島が出現する。直ちに調査を開始するハルたちだったがそこで出会ったのは、「ひさしいな、春賀晴臣。弓の竜弑しを継承した者よ」人間界に潜伏し続け、傷を癒したパヴェル・ガラドだった。そんな最中、ガラドに続き雪風の姫も現れ、東京湾上に嵐が吹き荒れる―!至高のドラゴン・エンタテイメント、決戦の第7弾!
こ・い・つ・はー! 丈月作品の主人公は多かれ少なかれ女好きだけれど、このハルはその中でも一番すけべえだよなあ。しかも、ムッツリスケベ。一見、淡白そうに振る舞っておきながら、その実一番エロスへの執着心が強いというのは……。ドラゴン化によって完全に人間としての理性を喪ってその本性が剥き出しになった時に、ひたすら女の子の裸体に興味津々になって鼻息荒くしているのを見てしまった時は、さすがに力が抜けてしまった。でかい図体して、その仕草が小動物チックで何となく可愛らしく保護欲抱かせるあたりが、なんかむかつく(笑
にしても、本当にこいつはー。完全正統派ヒロインにして清純の極みであり貞淑で本来ならエッチな事には遠慮がちで縁遠いであろう十條地織姫に、なんつー事をさせるのか。元より羞恥心に難がある肉食系のルナや、従順で何でも言うこと聞いてくれそうな妹系の羽純だと、ここまで唆られないのですけれど、織姫がああいうことをしてくれると価値が違うというか、あの恥ずかしさを我慢して頑張ってる感が素晴らしい。ガードが固い子が無防備に全部受け入れてくれる態勢に入ってる時ほどソソられるものはありませんなあ。

さて、ドラゴン化の進行が早まり、人間としての記憶を失いつつあるハルに対して、パヴェル・ガラドからの再戦要求。正々堂々の真っ向勝負、という脳筋勇者プレイを一旦畳み、ハルを見習ってなりふりも手段も選ばぬ戦術と作戦と小細工を練りに練って挑んでくるガラドは、これまでの力押しの面々と違う手強さで、でもある意味ハルと噛みあう戦闘が繰り広げられた、と言えるんじゃないだろうか。これまで圧倒的に力で上回る相手に対して、手を変え品を変えて主導権を握り、翻弄し、勝利をもぎ取ってきたハルだけれど、こうして相手の手を読み合い、策を潰し合い、という作戦面での攻防はこれまであまりなかったシチュエーションでしたからね。これはこれで、今までになく噛み合った戦いだったんじゃないでしょうか。それだけに、人間としての智を喪った時のハルの弱体化は目を覆わんばかりでしたが。いかに迦具土の竜体をベースにしているとは言っても、ハルが人間としての狡っ辛さを失ってしまうと途端に並以下のドラゴンになってしまうんですよねえ。怒りや魔獣化によってパワーアップを果たすシチュエーションは山程ありますけれど、本作に関してはそちらの強化は逆に弱体化になってしまう、というのが今回の一件でハッキリしてしまったわけで、ハルのドラゴン化はぶっちゃけ良いこと何もない、という事になってしまうんですよねえ。
だからこそ、女の子たちには頑張ってエッチい刺激をハルに与え続けることで、ハルのムッツリスケベ心を満足させて、人間側に引き止めて貰わないといけないわけで、よしもっとどんどん殺り給え。

と、そんな女の子同盟から見事にはじき出されていたアーシャ。昨今の急激な女子力アップが、ヤバイドーピングの結果というのが明らかになってしまい、ヒロインたちが女の子として頑張ると同時に魔女としてもメキメキ力を伸ばしている一方で、このダメっ子は真逆の方向に進んでいたわけかw
魔女としてもダメになってちゃ、本当にダメじゃないかw

挙句に、一人でさらに軽々と飛び越えてはいけないところを飛び越えて、女の子どころか人間辞めちゃうし。これも一つのやりたい放題、ということになるんだろうか。まあ、アーシャは女子力高いよりはこのどうしようもない残念感をまとっていた方が、存在感は全然高いんですけれど。女子力の向上とともに「こいつだれ?」的に存在感が薄まってたもんなあ(苦笑

女子力じゃなくて、魔女力の方だけれど以前から心の闇や暗黒面が殆どない為に魔女としての資質に欠ける、と言われていた織姫と羽純。一応、ハルからのフィールドバックで一流の線上に乗っかっていたけれど、このままだと魔女としての成長に何らかの支障が出るのか、と危惧していたら土壇場でまさかの展開に。なるほど、織姫たちを黒化させるのは彼女たちの清純な魅力を損ないかねないからどうするんだろう、と思っていたんだけれど、魔女としての短所をそのまま反転させて長所にする形でのパワーアップがあったか。でも、これってもう魔女じゃなくて、聖女様ですよね!

シリーズ感想

紙透トオルの汚れなき世界 ★★★   

紙透トオルの汚れなき世界 (講談社ラノベ文庫)

【紙透トオルの汚れなき世界】 石川ノボロヲ/ののの 講談社ラノベ文庫

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「ちょっと世界を滅ぼしに行ってくる」そういってヒートテッ…いや魔装服に身を包んだ兄を送り数時間後。いろいろ心理的ダメージを受けた俺、里谷リトは奇妙な少女と出会う。少女の名は紙透トオル。彼女は差別と偏見に満ちたこの世界を作り替えようとしている少女だ。そんなバカなと笑う俺に、彼女は『奇源』と呼ばれる超能力を見せてくれた。そして世界を変えることのできる『夢の木』という神木が、この街のどこかにあるらしい。確かにこの世界は汚れているかもしれない。でも本当にそれでいいのか?俺は彼女の願いを叶えてあげたいのか、それともいったいどうしたら…!?恋と未熟と不思議が交差する第4回ラノベ文庫新人賞大賞受賞作品!
なるほどねえ、里谷リトは主人公であると同時に、みんなにとってのヒロインでもあったのか。いや、主人公であるよりもヒロインであることの方が物語においては核心となっている、というべきなのか。本作では主人公として彼の視点から物語は描かれていますけれど、なーんか妙な感触があったんですよね。誰からもすぐに好かれ、信頼される信義に基づいたコミュニケーション能力。どれほど落ち込んでいる時でも、困っている人を見かけたら心から笑顔を浮かべながら手を差し伸べることの出来る善性。そうやって関わりを増やしていく様子は、実に主人公らしくはあるんですけれど、面白いことにグイグイと相手に対する関心、興味、好意などを押し込んでくるのは、むしろリトではなく、リトに関わる人たちの方なんですよね。リトも適度に相手側に踏み込んでいってはいるのですけれど、食い付きという点では相手側のほうが圧倒的に強いわけです。その押しの熱量のギャップが、リトを面白い主人公だな、という印象に導いていたのですけれど、なるほど彼をヒロインとして捉えるとこの人間関係の矢印の方向と大きさと勢いの偏差にも納得がいくというもの。
そして興味深いことに、彼に食いついていく人たちはそれぞれに、結構な浅ましさを曝け出して行ってしまってるんですよね。リトって子は、まあ良い子なんですよ。誰も彼に悪い印象を持たないであろうくらいには。もちろん、ズルい部分やちょいと軽々しすぎるところなどもあるのだけれど、そういうも人間味がある、という意味で無菌の善人ではない、濃淡のある鮮やかな綺麗さを持つ子なんですよね。
小夜子さんが、予防線引いて一歩引いちゃったのはそのあたり、なのかなあ。こういう子を前にしてしまうと、普通の子はやっぱり汚れが目についちゃうんでしょうね。その能力から人間分析に長け、自分に対する評価も辛い小夜子さんからすると、尚更に。
他の人達はわりとそのへんの自覚症状は薄いか無いに等しいんだけれど、自分で気づいてないだけで登場人物みんな、少しずつ汚いモノを曝け出してしまってる。他人に対する無神経さとか、世の中に絶望しているくせにその世の中舐めてるところとか、他にも様々、他人を傷つけ痛めつけている部分がにじみ出てるんですよね。それが、何とも生々しい。リトは、そういうのを怒った上で引っくるめて受け入れてくれるんで、他人にとっては心地いいのかもしれません。同時に、無責任に何でもまるっと受け入れてくれるほど適当でもないので、信頼も出来るのです。
小夜子さん、本気でリトくんに惚れてるんでしょうね。無責任でないからこそ、一度、なし崩しにでも負わせてしまえば最後まで背負ってくれただろうに、わざわざ事前に前置きを挟んじゃうんですから。それとも、女心としてはそこは無責任でいて欲しかったのか。いや、ガチで惚れているからこそ、恋情愛情好意が全部磨り切れて責任感だけになってしまってほしくなかったのか。
二人のラブラブっぷりは、見ていてニマニマと相好が緩んでしまう甘やかで微笑ましいものだっただけに、小夜子さんの逃走とリトの傍観は口惜しいものがあったんだけれど、重い女って自分にも重いのねえ。
次の主役はどうやらその肝心な小夜子さんらしいので、是非にこの一度ぶった切ってしまった赤い糸を繋ぎ直してほしいものです。そう、主役はトオルちゃんみたいな小娘じゃあなく、あんただよサヨコさん。

天牢都市〈セフィロト〉 ★★★☆  

天牢都市〈セフィロト〉 (MF文庫J)

【天牢都市〈セフィロト〉】 秋月煌介/ぴょん吉 MF文庫J

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「世界は概ねクソったれであると理解している」
十の浮遊する都市、セフィラが人々にとっての世界の全てだった。かつて親友のリアと共に自作飛行機の事故で空から落ちた少年、カイル。彼は下層セフィラ、イェソドにある酒場の用心棒として生計を立てていた。そんな彼の前に、空から一人の少女、ヴィータが落ちてくる。世界の本質に干渉しその在り方を《再定戯》する力“定戯式"を駆使して少女を救ったその時、彼の日常は一変する! 第11回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作受賞作、世界を賭して空を翔けるボーイミーツガール、堂々開幕!
「カイはなにをしたい? なにを手に入れるために飛ぶ?」
自らが犯した罪、それによって大切な人を傷つけてしまった後悔、何よりその人の夢を壊してしまったことへの罪悪感。それらと向き合うことが出来ずに生きたまま停滞してしまっていたのが、この作品の主人公のカイルである。挫折から立ち直れず、かつて輝くように胸に抱いていた夢や理想、希望といったものを燻らせてしまっている彼は、言わば見るに耐えない敗残者である。が、見方を変えるなら、彼…カイルの折れた心の底で燻っている炎は、未だに消えることなく火を残していたんでしょうね。それは浅ましい未練なのかもしれませんが、捨てられないそれを抱え込んでいたからこそ、彼は今のような有様に成り果てながらも、周りの人たちから見捨てられなかったのでしょう。見捨てないだけで、見守るだけでお節介に手を差し伸べず、自分で立ち上がるのを待っていてくれるあたり、なかなかに厳しい気もしますけれど。特にリア、カイルが挫折する要因になった彼女なんぞ、徹底してカイルに対して自分で考え自分で向き合い、自分で答えを得て自分で立ち上がれ、とばかりに手を差し伸ばさなかったくせに、いつまでもいつまでも諦めず見捨てずに、カイルがいつでも夢を取り戻していいように準備万端整えて待ち続けていたんだから、大した幼馴染ですし、これだけ途方も無い信頼を寄せ続けていてくれた、というのは男としては恐れおののくところではあるんですよねえ。果たして、それだけの信頼に応えることが出来るのか。それが出来るようになったからこそ、挫折を乗り越えリアの前に立つことが出来た、とも言えるんだけれど。
でも結局カイルと、もう一人の対をなす「彼」にここまで決定的な差が出てしまったのは、その大切な人を喪ったかそうでなかったか、の僅かな違いだったんだろうなあ、とも思うのです。あの人は、挫折や後悔が向かう先が自分だけでは収まりきらず、憎しみや絶望にまで到達してしまったがゆえの、破滅だったのでしょう。もし、彼女が生きてさえいてくれたら、果たして「彼」もまたカイルと同じようにもう一度夢を輝かせることが出来たのでしょうか。
一度取りこぼしてしまった「キラキラ」したものを、皆一人ひとりがもう一度、自分以外の誰かと一緒に取り戻していく、これはそんなお話で、燻っていた火がもう一度炎となり、輝くように燃え盛る姿はみんな眩しいばかりで、そんな初々しいまでの真っ直ぐな「夢」へと進める若者たちが存分に描かれた、実に清々しい、若々しいお話でした。
なかなかね、空々しさを感じさせず本当にキラキラしたものを描いてみせるのは難しいものだから、尚更それを感じさせてくれた本作は感慨深かったです。

 
8月3日

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7月29日

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7月26日

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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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7月19日

(HJ NOVELS)
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(HJ NOVELS)
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(HJ NOVELS)
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(HJ NOVELS)
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(HJ NOVELS)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(チャンピオンREDコミックス)
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7月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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7月16日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(KCデラックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(角川文庫)
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7月15日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(マガジンエッジKC)
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(コロナ・コミックス)
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(コロナ・コミックス)
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(コロナ・コミックス)
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7月14日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GAノベルス)
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(GAノベルス)
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(ハヤカワ文庫JA)
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(ハヤカワ文庫JA)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(モーニングKC) Amazon Kindle B☆W

7月13日

(リュウコミックス)
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7月12日

(アクションコミックス)
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(アクションコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグ コミックス)
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(YKコミックス)
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(YKコミックス)
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(YKコミックス)
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(ガンガンコミックスONLINE)
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(アース・スターコミックス)
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(アース・スターコミックス)
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(メテオCOMICS)
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7月10日

(TOブックス)
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(TOブックス)
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(モーニングスターブックス)
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7月9日

(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(講談社)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(電撃コミックスNEXT)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(KCデラックス)
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(星海社COMICS)
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(ブレイドコミックス)
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7月8日

(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC
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(宝島社)
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7月7日

(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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(幻冬舎文庫)
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(アフタヌーンKC)
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(ガンガンコミックスUP!)
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