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書籍感想(2015)

宇宙人の村へようこそ 四之村農業高校探偵部は見た! ★★★☆  

宇宙人の村へようこそ 四之村農業高校探偵部は見た! (電撃文庫)

【宇宙人の村へようこそ 四之村農業高校探偵部は見た!】 松屋大好/霜月えいと 電撃文庫

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四之村を知っている人は少ない。ネットで検索をしても、まずヒットしない。まるで意図的に隠ぺいされているように。ぼくが母の都合でこの村に引っ越してきて、初めてその理由がわかった気がする。あまりにも独特なのだ。現代科学から百年は進んでいる数学理論が、高校の中間テストに出るのだから。探偵部の部長ハコさんは言う。この村の人間は宇宙人なのよ、と。この美人な先輩が言うことが、あながち笑えないと気づいたときにはすでに遅い。ぼくはいやおうなくこの村のすごさを思い知るのだった。超古代ミステリからオカルトまで、なんでもござれの村へようこそ!
なんじゃこりゃあ(笑
ものすごく胡散臭いトンデモ科学や非常識がまかり通り、自分たちを宇宙人の子孫と事情して独自の社会システムを構築し、古代文明からオカルトに纏わる話が当たり前のように日常の中に組み込まれている現代の隠れ里「四之村」。川口浩探検隊が毎週探検してもネタが尽きないような村である。これが、トンデモなネタの数々を笑ったり、胡散臭さを茶化すような内容ならベタなコメディ作品に落ち着いていたんだろうけれど、本作の恐るべきはこれらのスットコどっこいなネタの数々がこの村では真面目に実在していて、その存在に疑いを抱く余地がない、というところである。東京育ちで外部から引っ越してきた主人公神室圭治は、これらの雑誌「ムー」に掲載されているようなネタの数々から巻き起こる事件に、自分の持つ常識がガラガラと崩れていくのをわりとアッサリ受け入れて、目の前の非常識な現実に取りも直さず探偵部の一員として挑んでいく。
なるほど、ヤラセでもでっち上げでもない本物のトンデモのごった煮に真剣にシリアスで取り組んでしまうと、こういう頓狂な内容になってしまうのか。
言うなれば、ヤラセ抜きのガチ「川口浩探検隊」である。あかん、面白い(笑
いやもう、全部胡散臭いにも関わらず、みんな真剣なんですよね。そして、実際に胡散臭いけれど全部真実で事実で現実であったりする。だから、読んでいるこっちも真剣に、本気で圭治たちが陥るピンチにハラハラして、彼らが迫るミステリーに手に汗握り、想像を絶する超理論の実在に歓声をあげなければならないのだ。
「川口浩探検隊」とは、そうして楽しむエンターテイメントであったり、易しいことに本作はヤラセ抜きを実演してくれているので、こんなん作り物だろう、と心に冷めた棚を作るような無駄なリソースを割かずに済む仕様になっている。さあ、存分にオカルトミステリーを、超古代文明の残した謎を、怪生物の襲来を楽しむが良い!! ここは、それらを余すことなくなんでも節操ないくらいに取り揃えて提供してくれる、万国博覧会場だ。

 ……もうちょっと自重しような、宇宙人村w

それにしても、この真面目に頓狂な雰囲気は素晴らしいですわ。クローズドサークル的な山奥の村という舞台設定は、田舎の長閑な日常モノとしての要素も併存して取り込んでいますし。なに、この村の「農業推し」はw
あと、普通に殺人事件が多すぎる。なんか、話を聞く限り相当の頻度で殺人事件やそれに類する事件が起こっているようですし。でも、殺人事件程度じゃあ村に非常の雰囲気は漂わないんですよね。思いっきり、日常風景の中に組み込まれてしまっている。怖いよ、この村。あまりにアッサリと道端で怪死してるんで、あとで普通に生き返るのかしらと疑ってしまったくらいだし。普通に死んだままでしたけど。だから怖いよ!

社会システム的にも、人間の生態的にももはや地球上というよりも、異星の上のような常識という平衡感覚が完全に斜めに歪んてしまったような環境にも関わらず、この東京出身の主人公は意外と適応能力が高いのか、それとも早々に洗脳されてしまったのか、せいぜい都会と田舎の違い程度でこのギャップを受け入れてしまっているのが、こいつもややオカしいよね、と首肯させてくれる。
普通は、もっと精神的に摩耗して精神の均衡の方を崩してしまいそうなのだけれど、ずっと普通のままなのが逆にアレな感じなんですよね。
母親が村の名士の家柄なせいか、外部からの移入者にも関わらず結構尊重される立場にある、というのもあるんでしょうけれど、わりと女性受けがいい主人公ですけれど、概ねここの村人は人類の範疇から逸脱しているので、さほど羨ましくはないな、うん。
登場時はぶっ飛んだ人に見えた探偵部部長のハコさんが後半に行くに連れて、この人すごくマトモな部類なんじゃないだろうか、と思えてくるくらいだし。
なんにせよ、この独特な作風は他に類を見ないエッセンスに溢れているので、まだまだ続きを堪能したいなあ。怪作である。

2015年11月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

月末発売のファミ通文庫、スニーカー文庫、コバルト文庫、HJ文庫、ビーンズ文庫などは来月送り。

読んだ本の数:32冊 うち漫画:6冊

年末も近づいてきたので、新人作品の集中消化を開始。ただめぼしい作品はまだ見当たらず。【 ギルド〈白き盾〉の夜明譚】などは、着眼点の新鮮さなどもあってよかったけれど。
【ドラゴンストライク】は、ライトノベルで怪獣映画をやってのけた、という意味で面白かった。いや、エンタメとしても非常に燃える展開もあり、内容としても面白かったですよ。
ひたすら熱量をアップさせているのは、アニメ絶賛放映中の【落第騎士の英雄譚】。アニメのクオリティに負けず、こっちも燃え盛っております。
要注目の【その無限の先へ】は2巻でようやく序幕が終了。次回からが本番、と言ったところなのだけれどちょっと間隔開くのか、もったいない。


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 1冊

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 8】 海空りく/をん GA文庫

【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 8】 海空りく/をん GA文庫

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大怪獣ステラ爆誕!

★★★★(四ツ星) 8冊

天空監獄の魔術画廊 3】 永菜葉一/八坂ミナト 角川スニーカー文庫
ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.8】 聴猫芝居/Hisasi 電撃文庫
東京ドラゴンストライク】  長田信織/緒原博綺 電撃文庫
灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって】 十文字青/白井鋭利 オーバーラップ文庫
吸血鬼に彼女役を頼んだ結果→とんでもないことになりました】 すえばしけん/LENA[A-7] 一迅社文庫
聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 14】 あわむら赤光/refeia GA文庫
その無限の先へ 2】 二ツ樹五輪/赤井てら MFブックス
ファング・オブ・アンダードッグ 3.沈没の空】 アサウラ/晩杯あきら ダッシュエックス文庫

【天空監獄の魔術画廊 3】 永菜葉一/八坂ミナト 角川スニーカー文庫

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【ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.8】 聴猫芝居/Hisasi 電撃文庫

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【東京ドラゴンストライク】  長田信織/緒原博綺 電撃文庫

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【灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって】 十文字青/白井鋭利 オーバーラップ文庫

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【吸血鬼に彼女役を頼んだ結果→とんでもないことになりました】 すえばしけん/LENA[A-7] 一迅社文庫

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【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 14】 あわむら赤光/refeia GA文庫

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【その無限の先へ 2】 二ツ樹五輪/赤井てら MFブックス

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【ファング・オブ・アンダードッグ 3.沈没の空】 アサウラ/晩杯あきら ダッシュエックス文庫

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今月のピックアップ・キャラクター

アネット (天空監獄の魔術画廊)
ハイジ・バラン (サクラ×サク)
ステラ・ヴァーミリオン (落第騎士の英雄譚)
黒鉄一騎 (落第騎士の英雄譚)
リーゼロッテ (吸血鬼に彼女役を頼んだ結果)
渡辺綱 (その無限の先へ)
リリオン (カボチャ頭のランタン)
ティキタカ (あやかし露天商ティキタカ)
ソラ (ファング・オブ・アンダードッグ)



以下に、読書メーター読録と一言感想。
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ファング・オブ・アンダードッグ 3.沈没の空 ★★★★  

ファング・オブ・アンダードッグ3 沈没の空 (ダッシュエックス文庫)

【ファング・オブ・アンダードッグ 3.沈没の空】 アサウラ/晩杯あきら ダッシュエックス文庫

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世界を巡る任務の合間に湖畔の村ヤン・バーミを訪れたアルクとユニ。そこはソラの故郷であり、紫苑という、彼と結婚の約束をした女性がいた。最近二人の文通が滞っていることから代わりに様子を見に来たのだが、そこでアルク達は思わぬ事実を知ってしまう。一方、総本山では罌粟が「睡眠期」に入り、その時をはかったかのように謎の巨大飛翔体、八体が現れ、総本山を包囲する。イリスの指揮の下、陣士総動員で撃破に向かうことになり、アルク達もその最前線へ赴くのだが、リベルテンの手は総本山内部にすら深く入り込んでいて―!?陣士として、友として、アルクは極限の空中戦に挑む!無頼派和風バトルアクション第3幕!
陣士として着実に成熟し成長しつつあるアルクだけれど、人として男としてはまだ幼く純粋なんですよね。でも、その純粋さがずっと虐げられ傷ついてきた男にとっては眩しいものだったんだろうなあ。その純粋さがまっすぐ自分に向けられ、その未成熟さが自分のために憤ってくれるのは、ソラにとって嬉しいことだったんだろうなあ。
でもその痛いくらいの好意は、ソラにとって決して心地よいだけのものではなかったはず。放っておいてくれ、余計なことを、お前の知ったことではない、そう思う部分がなかったわけではないだろう。アルク自身も純粋であってもバカではない、察しが悪いわけでもない。自分の行為や感情が、決して相手に喜ばれるだけのものではないものだと理解し、恐れていたのも事実である。しかし、ソラは一切そうした反駁を見せなかった。全部飲み込んで見せて、自分にとってありがたく嬉しかった部分だけを救い上げて汲みとって、心から笑ってくれた。器だろう。そういう男なのだ。アルクだけに対してではない、自分が愛した女性にも自分が友だと信じた男にも、彼は苦しく痛みを感じる部分を全部飲み込んで、自分の中の輝かしい姿の彼らを一切穢さなかった。相手の幸せを、本当に心から願い喜べる男であったのだ。
良い男である。この男こそ、得難い友である。だからこそ、彼には、ソラには……。いや、言うまい。それは、彼の覚悟にとって無粋ですらある。その結末に、彼は一抹の不満も抱いてはいなかったのだから。彼は、やり遂げていったのだから。
戦友であり親友でありもう一人の兄でもあった男の生き様を見届け、その姿を目に焼き付け、その魂を託されたアルクは、また一つ人生の歩みを進める。少年は男になっていく。アルクは、幸いなのだろう。いつまでも追い続ける事のできる偉大な背中を持つ兄貴分を、二人も身近に得ていたのだから。

……あの二人は、幸せになれるだろうか。なって欲しいな。ソラは、それを心から望んで願っていたのだから。彼の祝福を、呪いにはしないで欲しい。痛みも苦しみも悲しみも乗り越えて、幸せになって欲しい。そう思う。

物語は、激動の展開を経てクライマックスへ。かつて陣士となるための試練でライバルとして競い合ったあのコンビの再登場が、頼もしい仲間としての再会となったのは嬉しい限り。いやあ、あの人達がこれだけ命がけで一緒に戦ってくれて、口や態度ではなんやかんや言いながら、本気でアルクたちを心配して助けてくれたのは嬉しかったなあ。しかも、めっちゃパワーアップしていたし。
あの烏たちもどうやら次回登場するみたいだし、楽しみ楽しみ……ところで烏のお嬢さん、なぜ耳かき棒を用意している?w

シリーズ感想

レオ・アッティール伝 首なし公の肖像 1 ★★★☆  

レオ・アッティール伝 (1) 首なし公の肖像 (電撃文庫)

【レオ・アッティール伝 首なし公の肖像 1】 杉原智則/岡谷 電撃文庫

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西のアリオン王国、東の聖ディティアーヌ連盟と二つの列強に挟まれたアトール公国。その公子レオ・アッティールはアリオンへ人質同然で送り出され、辺境の太守のもとで武芸と学問に励んでいた。そして時代は転換点を迎える。アトールと接する中立勢力・コンスコン寺院とアリオンの関係が悪化したのだ。アトールからの援軍パーシー、コンスコンの僧兵カミュ、僻地から来た傭兵クオンは協力して迫りくるアリオンの軍勢に対抗しようとする。その戦いの最中、三人とレオは運命の出会いを果たす―。若き主従が戦乱の世を駆け抜ける本格戦記ファンタジー、開幕!
ああ! これって作者が電撃文庫で手がけていた本格戦記【烙印の紋章】と同じ世界観の話だったのか。舞台となるアリオン王国というのは、烙印の紋章のラストに東から襲来してきた大国でしたしね。となると、冒頭で語り部が首なし公レオ・アッティールの伝記を語りかける皇帝と皇后ってもしかして、あの二人、なんでしょうか。この世界観において、皇帝と呼ばれる人物が国主となっているって、メフィウス帝朝だけですしね。それに思い至っただけで、ちょっとワクワクしてきてしまいました。特に本筋に関わる部分ではないのですが、なかなかに想像の翼を羽ばたかせてくれる掴みの部分でありました。
さて、本編はのちに英傑として名を馳せるレオ・アッティールが未だ歴史の表舞台に立つ前の、うだつのあがらない無力な人質でしかなかった時代からはじまります。かの人物が如何にして戦乱の渦中に立つのか。そして、一体何を成し遂げて勇名を、或いは悪名を轟かせ、そして歴史の闇に消えていったのか。どうにも、冒頭の語りを聞いていると、一体彼が何をやってのけて、そしてどんな結末を迎えたのかが想像の余地がありすぎるんですよね。レオ・アッティールの伝を残していたという名前が出てきたクロードやパーシーといった人物も、彼らの未来での立ち位置と現在でのレオとの関わり方を見ると、あれ? と首を傾げるような断裂がありますし。最初に種を撒き、それがまずは事が起こる前の序章というべきこの一巻を読み進めるうちに芽吹いて、この後の展開がどうなっていくのかの想像を羽ばたかせる材料となる。決して派手なストーリーじゃなく、それどころか人物も展開も渋めのものにも関わらず、ワクワクさせてくれる要素が上手いこと散りばめられているのが、さすがファンタジー戦記のベテランといったところでしょうか。
この作者の描く主人公の特徴として、絶対的な孤独、というものがあるのですけれど、本作のレオも彼を慕う少女や彼に傾倒していく仲間たち、という存在はありながらも、その心の中は他者とどこか隔たりを抱いていてその歩む道に孤独を付きまとわせているんですよね。レオが人質として預かられていた将軍家の末娘で、兄妹同然に育ってきたフロリーが、ヒロインだと思うんですけれど、うむむ、彼女が果たしてメインヒロイン足り続けることが出来るのか、少々不安でもあるんですよね。この娘、良くも悪くも善良で純真な乙女に過ぎず、レオのような人間の心の闇に踏み込んでいけるような強さがある娘なのか……。自分の痛みや辛さを我慢し耐えて、恋い慕う相手のために献身できる健気な強さを持つ娘だとは思うんですけれどね。レオにとっても、フロリーは大切な妹であり自身にとって重要な位置づけにある人物のはずなんですけれど、あのラストでの扱いを見ると、フロリーを愛し大事に扱うのと彼女の気持ちを考慮せず蔑ろにすることを、駒として利用することを平然と並列でやってしまいそうな所があるんですよねえ、この主人公。

と、最終盤でようやく主人公らしい出番を獲得するレオですけれど、実際の所この一巻で主だった部分を担っているのは、アリオン王国とコンスコン寺院の間で起こった小規模の紛争に参加しているパーシー・リィガンであり、彼がこの戦場で知り合い戦友としてともに戦い、運命を交錯させることになった僧兵の兄妹と傭兵の少年の四人なんですよね。相変わらずというか、烙印の紋章と同じ世界観なだけあって、出てくる人物は能力的にも人格的にも微妙な人たちばかりなのが、思わず微苦笑してしまう懐かしさでありまして。わかりやすく超優秀、というような戦記モノには必ずたくさん出てくるようなキャラがほとんど出てこないんですよね。でも、それがむしろ折々のキャラの判断や行動の是非、それがもたらす結果にヒリヒリとした危うさや生々しい息遣いを感じさせてくれるわけです。だからこそ、地味っぽい、派手さがない、キャラクターの華に欠ける、という部分もあるのかもしれませんけれど、杉原さんの作品だとむしろこれが味なんだよなあ。

ともあれ、本格的な動乱が訪れるのはまさにここから。レオ・アッティールがここから何を為していくのか、その残された数々の異名悪名に対して、その足跡はまだ何一つ明らかにされていないだけに、期待は高まるばかりです。

杉原智則作品感想

あやかし露天商ティキタカ ★★★  

あやかし露天商ティキタカ (GA文庫)

【あやかし露天商ティキタカ】 井上樹/ゆらん GA文庫

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「――ウイ●レ。それ一番新しい奴ですか?」
「え? ……あ、あぁ、そうだけど」
ある日突然江口海人の机の引き出しから現れたのは、ウイ●レ好きのティキタカと名乗る美少女だった。
ティキタカはあやかし相手の商売をしていて、店を開くために海人の部屋を借りたいと言うのだが……!?
部屋を貸すメリットが無いと渋る海人に、賃料代わりにモテ薬を渡すと告げるティキタカ。
露骨な買収に対し、海人は毅然と言うのだった。
「まず、一カ月だけ契約してみるわ」
果たしてモテ薬に釣られた海人を待ちうけるさまざまな運命とは!?
猗少女畛々爐△笋し瓩福第7回GA文庫大賞《奨励賞》受賞作。
これ引き出しから出てくるってのはやっぱりドラえもんなんだろうか。大山のぶ代声も水田わさび声も似せて喋れるらしいですけれど、ティキタカさん。でも、一話一話がティキタカが扱う道具が主題になる話、ではないんですよね。道具自体も、不思議な代物ではあっても、ファンタジーや伝奇モノなどのフィクションでは何の珍しさもないモノばかりですし。では、彼女が開く店を訪れるあやかしたちが一話一話の主体になっていくのか、というとそういうわけでもなく……。ちょっとねえ、キャラクターも物語もぼんやりと焦点が合っていなくて芯が通っていない感じなのかな。ティキタカの掴みどころのない飄々とした、しかし胡散臭さよりもどこか信頼できる感じのするふんわりと据わったキャラクターは面白いなあと思ったんですけれどね、それ以外がどうも……。主人公からして、まずキャラ定まってないんですよねえ。ボッチで友達も少ないタイプ、というわりには普通にコミュニケーション能力も高くて積極性もあり、好奇心も旺盛、と。話によって人物像もフラフラと揺らいでるんですよね。え、この子ってそんなタイプだったっけ? とシチュエーションによって言動が変わってくる感じで。局面の変化によって行動や考え方に変化が生まれた、というのならいいんですけれどねえ。脚本がないと動き出さないタイプ、とまでは言わないんだけれど、もう少しイメージ固めて来ないとなあ。
ティキタカの常連客として海人の部屋に入り浸ることになる竜の娘や女騎士も、なんかいつの間にか現れていて、何の背景も素性も明らかにされないまま普通に仲間みたいに居座っていて、キャラの投入の仕方としては雑極まっていたような気がします。幼馴染と相思相愛ってのは、幼馴染ストとしてはバッチこいなシチュエーションではあるんですけれど、疎遠だった彼女との寄りの戻し方や想いのリスタートも、もうちょっと丁寧に構築して欲しかったかなあ。とりあえず、脚本上の結果への持って行き方が全体的に雑というか、過程を適当にすっ飛ばしている感が随所に見受けられて、まだまだ書き慣れていないのか、それともそのへんの丁寧さに欠けるのか、首を傾げるシーンが多かったです。
とまあ、基本的な部分から色々と未熟さや物足りなさが見受けられる作品なのですが、メインとなるティキタカの存在感と、彼女を中心に醸しだされる飄々とした雰囲気がなんとも好みでねえ。読んでて引っかかりながらも、結構読み心地よかったんですよ。だからこそ、余計にもったいない感が強かったのかもしれません。
ともあれ、もうちょい全体的に上手くなってから、かなあ。

ギルド〈白き盾〉の夜明譚(オーバード) ★★★☆  

ギルド〈白き盾〉の夜明譚 (MF文庫J)

【ギルド〈白き盾〉の夜明譚(オーバード)】 方波見咲/白井秀実 MF文庫J

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凶暴な魔獣犇めき、血気盛んな傭兵達が活躍する最後のフロンティア――新大陸。伝説の傭兵『魔眼の騎士カール』に憧れる少年レイ・ブラウンは、傭兵になるために新大陸を訪れた。到着直後にカールの子孫・マリールイズと運命的な出会いを果たしたレイは、なんとカールの作った伝説のギルド〈白き盾〉との契約を持ちかけられる。ところが、レイに任された仕事はギルドの経営・兵站管理を行う『運営職』だった! ? しかもギルドは伝説の面影も無く、今や経営破綻目前で――。第11回MF文庫Jライトノベル新人賞最優秀賞受賞作、夢と希望と赤字が織り成す本格派ギルド経営ファンタジー!
「ご安心ください! 借金してでも、依頼は達成して見せます! 」
これは面白いところに着目したなあ。傭兵ギルドも組織である以上、それも営利団体である以上は組織運営のための業務を行う人員は絶対に必要になってくる。戦闘の最前線で無双する戦う人ではなく、後方でまず戦闘という仕事を行える環境を整えるホワイトカラーの悪戦苦闘を話のメインに持ってくるとは。でも、これは個人的な趣味かもしれないけれど、何の取っ掛かりもないところから仕事を作り出し、物資を確保し、作戦計画を整え、必要なものを必要なだけ必要な場所へ届けて万全の体制を整えてみせる、後方無双も滅茶苦茶燃えるタチなんですよねえ。だから、銀河英雄伝説のキャゼルヌや皇国の守護者の駒城保胤なんていう、兵站や補給のスペシャリストは大好きだったりします。
でも、本作の主人公のレイは士官学校で伝説になるほどのロジスティックスへの才能を保持しながら、どうも組織運営においてそれがどれほど重要かを認識してないっぽいんですよね。自分のやってきた仕事を卑賤なものと捉えて、前線で剣を振り回すことを望んでいるわけです。なんで彼が士官学校を放校されたのかも訳がわからないんですが、当人がこの認識と言うのもなあ。これだけ認識不足にも関わらず、正しくロジスティクスを制御し掌握し創造し構築し展開することが出来るんだろうか。
ともあれ、レイがとっ捕まり強引に加入させられることになったギルド<白い盾>は、凄まじい自転車操業を行い仕事をすればするほど収入より支出が上回る、という破綻寸前の壊滅的経営状態のギルドだったのです。恐ろしいのは、ギルドのメンバーが当のギルドマスターのマリーを含めて自分たちの置かれた状況をさっぱり理解していなかったところでしょうか。経営状態の実態を把握しているのがマリーだけとはいえ、三人のギルドメンバーも自分たちが凄まじい金食い虫であることを承知しながら、平然と浪費と言っていい経費要求を行い続けていたわけで、頭沸いてんじゃないだろうか、こいつら。
マリーはマリーで経営というものをさっぱり理解していなくて、依頼の契約の仕方から支援要員の確保の交渉のやり方まで目を覆わんばかりの酷い有様。
まあね、マリーはまずギルドというものに対する捉え方が他のギルドと根本的に異なってるんですよね。他のギルドが営利団体として利益をあげるために仕事をしているのに対して、マリーは新大陸の人々を危機から守るのが目的であって、傭兵ギルドはその手段なんですね。つまり、私財を投じて行っている慈善事業、と言っていいわけです。だから、利益は度外視だし、なるべく自分以外の関係者に便宜を図ろうとしている。負債や負担は全部自分が負うことにして。
財産らしい財産も持たないくせに、こんなもん、長く続くもんじゃありませんがな。
どれだけ慈善を志すとしても、ある程度利益を出さないと組織の維持ができず、それで組織が破綻してしまったら結局、人々を守るという目的を果たすことすらできなくなるわけで、それじゃあ何の意味もない。志だけでは飯は食えないし、飯が食えなかったら志を保つことも出来ない。その最低限の保持すらも意図せず意識せず無視して、現実から目を背けて目の前の自分の綺麗な志にばかり傾倒していった結果が、この経営破綻だったわけである。まあ経営能力や認識に欠いた人、畑違いの分野に居た人がいきなり会社や工場の最高責任者なんかに就いてしまったりすると、よくなってしまうパターンでもある。
こういうの、わからないのに自分で全部やろうとするからこうなるわけで、一番大事な基本理念と大方針を堅持して、それを実現する為のプランニングは専門家に任せればいいんですよ。
というわけで、専門家の登場である。輜重車の悪魔と呼ばれたレイ・ブラウンその人であります。
剣を振るって戦うことをを志しながら、しかしマリーの苦境を、そしてどんな苦しい場面でも決して失わない彼女のまばゆい理想を前にして、そして新大陸を見舞う災厄の襲来を前にして、ついにレイはみっともなくて毛嫌いしていた自身のその能力を解放するのである。
彼が七面六臂の大活躍をやってのけた仕事って、昨今だと「倍返しだ!」で有名な半沢直樹シリーズとか、いま放映中の下町ロケットなど池井戸潤作品でドラマなんかでも見るようになった、経理や財務部のそれなんですよね。綿密かつ説得力のあるプランニングで各所から融資を引き出し、その資金で信用を確保してさらに必要な人員と資産を獲得し、その実績を持って入札を成功させ同業者の同意と協力を取り付ける。
これまで二進も三進も行かない行き詰った展開からの、痛快な中央正面突破の事態の打開である。まあ、あくまで停滞を打破して風穴をあける展開であって、誰か悪いやつがこれで痛い目を見てざまあみろ、みたいな話ではないので、その意味でのスカッとするような気分は得られないかもしれませんが、それでもここは気分良かったなあ。

しかし、一巻としてはこの展開で見せ場はありますけれど、シリーズ化するとなるとさて、どれだけ毎回「運営職」としての見せ場を作り出しひねり出せるか。なかなかハードルは高いと思うんですよね。強い敵、困難な状況を持ってきて、それをパワーで吹っ飛ばす、或いは神算鬼謀で覆すのとは、また一味違うシチュエーションが要求されるでしょうし。でもだからこそ、次回以降の展開はちょいと期待したいところですねえ。

双剣使いの封呪結界(ロストマギカ) ★★★  

双剣使いの封呪結界 (一迅社文庫)

【双剣使いの封呪結界(ロストマギカ)】 瀬尾つかさ/ 美弥月いつか 一迅社文庫

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若者たちが異世界に勇者として召喚されては、ちからを手に入れたまま帰還することが頻発するようになった地球。あるとき、東京は謎の黒い霧に覆われ異世界とつながり、強大な怪物たちが現れるようになり東京は閉鎖された。高い戦闘力を保持した異世界帰還者たちは、霧を発生させている謎の黒い柱を破壊することで霧から東京を解放できることを発見するが、黒い柱の数は膨大で……。帰還者たちの中でも最強と呼ばれる一輝と遙、特殊な魔術を行使する理沙の三人組は、激しい戦いの中、黒い霧の奧に潜む途方もない何かの存在に巻き込まれていく……。スカイワールド、銀閃シリーズを完結させた瀬尾つかさが挑むバトルファンタジーの新境地!
相変わらずどこでも出てくるな、このマッド小人族。黒い霧が無数の異世界を侵食していく、という危機的状況だけれど、侵食具合なら作品の枠を超えてどこにでも登場するこの自爆系小人族の方がよっぽど侵食してますよね!?
多数の次元世界を滅ぼした勢力が、現代地球にも侵略の手を及ぼしてくる、というのは瀬尾さんの得意のツールなんだけれど、本作は最初期に東京の中枢部がやられてしまっているために、優秀かつ指導力を持った層が根こそぎいなくなっているので大人側の指揮系統が完全に劣化してるんですよね。割りと他の作品では後方支援組織やバックアップ体制は中身が真っ黒であろうとかなり頼りがいはあったんですよね。人類の存亡を賭けた総力戦、に相応しい体制だったのですが、こっちはバックアップがしっかりしているどころか、足を引っ張られている状況なので前線戦力となる帰還者たちは精神的にも肉体的にも疲弊する一方。かなりストレスの溜まる状況なんですなあ。
そんな中で世界を救うよりも個人的な事情を優先して動いているのが、主人公となる一輝と遙。政府の紐付から離れて独自に動いているのですが、この子たちも目的に向かってひたすら脇目もふらずに邁進していたが為に、気付かずかなりメンタルがヘタって先鋭化していたようなんですよね。
そんな中で、召喚された異世界で仲間たちをすべて殺されて自身もその世界の侵略者のボス相手に潰えようとしていたところを一輝たちに助けられた理沙。彼女の参入と地球への帰還が、思えばすべての変化の起点になってるんですよね。彼女自身、共に召喚されて辛い戦いをくぐり抜けてきた仲間たちを失い、大きな心の傷を負っているにも関わらず、微妙に三下っぽい、しかし意図された陽気さと前向きさによって、徐々に一輝たちの凝り固まったメンタルを解きほぐして、彼らを人間に戻していくんですね。また、帰還者たちのリーダーとしてこの世界の盾となり、無能なバックとの調整や一輝たちに便宜を図るなど組織運営や防衛戦略についてもほぼ一人で奮闘していた小学生戦士かなたの孤高にして孤独な心を本当の意味で救い支えようとしているのも彼女、理沙ですし……もうこれ、理沙が主人公でいいんじゃないだろうかw
理沙は決して強い子じゃないんですよね。戻った学校ではうまく馴染めず、失敗を繰り返してはへこんで落ち込んでいるし。それでも、この娘だけはひたすら目的に向かって邁進する、突き進まなければもう二度と進めないくらいにボロボロになっている帰還者たちの中で、周りの人たちを支えようとしている。かつて、自分が居世界で仲間たちに支えられ助けられ、最期まで守られたことを。彼女の能力が、誰かに守られることを前提としているからこそ、当たり前のように自分を費やして周りの人たちを身も心も守ろうとしている。それこそ、自分を使い尽くすのを望んでいるように。その意味では、彼女もまたいい具合に壊れているんだけれど、その壊れ方が他人を癒やすことに費やされているのは、何とも健気だなあ、と遠い目になってしまう。これに関しては、かなたも似たようなものなんですけどね。かつて喪われた仲間たちが自分に託したものを、目いっぱいに背負い込んで、世界を守るために全力全壊で使い尽くそうとしている。小学生の幼女が背負うには、あまりにも酷じゃあないですか。でも、優秀すぎるが故にみんな、彼女自身も含めて彼女を決して歳相応の小学生の子供としては扱わない。それを、理沙がするりと滑り込んで誰もやらなかったことをやっているわけですけれど……。
いずれにしても、惨い世界観だなあ。ただでさええげつない状況下で、さらに悪意を持った謀略が帰還者たちを陥れ、屠ろうと手を伸ばしてくる。さて、いったいどの段階で痛快にこの行き場のないどん詰まりのような状況をふっ飛ばしてくれる展開になってくれるのか。

瀬尾つかさ作品感想

その無限の先へ 2 ★★★★  

その無限の先へ (2) (MFブックス)

【その無限の先へ 2】 二ツ樹五輪/赤井てら MFブックス

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ありとあらゆる願いが叶うといわれる『迷宮都市』に辿り付いたツナとユキ。冒険者としての登竜門『トライアルダンジョン』に挑む二人に“冒険者の洗礼"が降りかかる。そして――最下層。直後現れたのは、一目でボス部屋と分かる巨大な扉。
「成る程、ここでこのまま突入して死ぬのがパターンというわけだね」
いきなり目の前の扉に飛び込むほど馬鹿でも、無謀でもない。探索とレベルアップを重ね、万全の準備を整えボスへと挑むことに。ボスとのバトルを通して、二人は相棒としての絆を徐々に芽生えさせていく。しかし、扉の奥、さらにその先に待っていたのは――!?
ギャグもバトルも予想外! 無限に続くバトルコメディー第二弾!!
あれ、カラー口絵のユキの表記って、今ユキトになってるけれど、これって今後あのイベントに伴って変わってくるんだろうか。あれって、別にそのくらい構わないじゃない、と軽く考えてたんだけれど、口絵にこうして名前の表記がされるとなると凄く可哀想に思えてきて、爆笑してしまった。想像だけで笑えてしまうとか。うん、そりゃユキも憤怒するよね! って、まだ起きていないイベントはイイとして、この2巻は導入編の後編。トライアルダンジョン攻略編である。ボス部屋を前にしてレベリング、とかこの頃は普通のダンジョン攻略みたいなことしてたんだなあ……って、ぶっちゃけこういうダンジョンって、ほんとこのトライアルダンジョンだけなんですよね。もう次からは常識ぶっ飛んだようなハチャメチャなダンジョンに突っ込んでいくことになるし。
まずは定番とも言える序盤の大物ミノタウロス。これが、最下層のボス部屋に出てくることになるのですが、そういえばミノタウロスの名前の由来であるミノス島の大牛という意味にツッコまれたのは初めてみたなあ。他の異世界ファンタジーで出てくるミノタウロスもミノス島関係ないのにミノタウロスなんですよねえ。しかし、ほんとどうでもイイこと駄弁ってるよなあ、と思うんだけれど、何気にミノのタウロスさんは今後も引っ張っられるネタなのでここで流してしまうわけにはいかないのです。この段階までは、この作品に出てくるモンスターについて完全に思い違いしてたんですよねえ。ある意味、この迷宮都市のハチャメチャ具合を実感するのは、このトライアルダンジョンを戦い終えて、迷宮都市の実態を知ることになるこれ以降の話なんですけれど、ミノタウロスについてもあれはなんかもう笑い倒したもんなあ。いや、モンスターに留まらなくってあまりといえばあまりのことにひっくり返ったものですけれど。おかしい、もう全部おかしい、この都市!
それにわりと即座に馴染んでるツナって……。ツナって口では驚いたように言ってるんですけれど、どんな事でもわりと鷹揚に受け止めてるので、傍から見ると全然動じない風に見えてるんじゃないだろうか。状況に対しての適応力が尋常じゃないというか、驚きツッコミを入れながらもどんなふざけた事態、とんでもない状況、ぶっとんだ出来事でも、わりとそういうモノか、という風に馴染んじゃうんですよね。いや、それに馴染むなよ! というような事にまで。これは前世の学生時代からの事のようで、こいつは生身で紛争地帯に放り込んでも平気で生き残りそう、というか傭兵にでもなって馴染んでそう、とか言われてる始末ですしね。実際、彼がこの世界で生まれ変わったところは、日々の糧にも事欠くような限界村落で、転生者とか関係なく普通に死にそうな過酷な環境で、平然と適応してましたからね。チートとかではなく、ナチュラルに頭オカしいタイプなんですよねえ。とはいえ倫理観に欠けてたり常識がなかったり無神経だったり腹黒だったりコミュ障だったりするわけではなく、鷹揚で許容範囲も大きく付き合いやすいタイプなので、キャラ的にもホントに面白いばっかりの主人公で、見てて愉快なんです。でも、頭オカしいんですけどね!
ユキもあれで、相当ぶっ飛んでるというか、性格悪いところあると思うんだけれど、ツナとはよっぽど歯車合ったんだろうなあ、という噛み合いっぷりで。今後も仲間や知人友人は増えていくのですけれど、バディ的な相性の良さはやはりユキがずっと一番のような気がします。
で、最下層のボス戦を突破したツナとユキが直面するのは、この作品の特徴でもあり、この迷宮都市の特性でもある、「死んでも生き返れる」というシステム。
そもそも、迷宮都市の冒険者たちがクリアを目指す無限回廊は、死ぬのが前提とされている難易度のダンジョン。何度も死んでみることで内部を調べていくスタイルなんですよね。
でも、死ぬんですよ? ゲームで死んでやり直す、というのとは決定的に違う。血を流し、肉が削がれ、骨が砕け、眼球が潰れ、脳漿がこぼれ、ハラワタがぶちまけられる。グシャリと潰されたり、上半身と下半身を真っ二つにぶった切られたり、強酸でデロデロに溶かされたり、溺れ死することもこんがりと全身を焼かれて焼殺されることも、生きながら食い殺されることすらある。そうした普通なら一度経験して終わり、という救いがある絶望が、このダンジョンでは何度も何度も繰り返し経験しなければならない。死ぬとわかっていて、死ぬほどの苦痛を味わうと知りながらそれでも自分から進んでいかなければならない。
死んでも大丈夫、というのは決してヌルゲーの条件じゃないんですよね。死んで死んで死にまくらなければならない、というのもそれはそれで凄まじいまでの苛酷さなのである。
それに耐えられる人間だけが、この迷宮都市で冒険者で居られるのである。その洗礼を、ツナたちも無理矢理に強制されることになるわけだけれど……。

その絶対的な結末を、ボロボロになりながらごく自然に踏み潰していくツナがバケモノすぎるのである。この主人公の異常性というのは、メンタルが強いという表現に当てはまらない、巌のような揺るぎなさ、なのでしょう。絶望的な状況に対して、それをそもそも絶望的、と感じてないっぽいんですよね。限界村落でオークの群れと戦った時も、そこに英雄的な考え方も村を救わねばならないという信念があったわけでもない、絶望を覆してやる、という反発心や奮い立たせる意気があったわけでもない。
内心どれだけキツいキツいとこぼしながらも、黙々と、一つ一つ目の前の絶望を踏み潰し、握りつぶし、一歩一歩掻き分け、止まることなく突き進んでくるのである。どれほど傷めつけても、ボロボロに叩き潰しても、堪えた様子もなく、何も感じていないかのように、突き進んでくるのである。
絶対的な優位の上に居て、絶望を与える側だった者が、その止まらぬ進軍に逆に段々と追い詰められ、何をしても倒れないという事実に恐れおののき、逆さまに絶望を恐怖を味わわされるのである。
最終戦の相手、途中から逆に可哀想になりましたもんね。どっちが襲われている側か、わからなくなるほどに。トラウマです、もうトラウマ与える側です。

最後の目を覚ましたユキとのやり取りって、書きおろしだったのかしら。二人だけのささやかな祝勝会。ここは、二人の相棒としての雰囲気の良さが出てて、凄い好きなシーンでした。


で、書きおろしのオマケ話は、ユキが蹴っ飛ばしてきたお見合い相手のお嬢さんのお話。普通の娘さんかと思ったら……ちょっ、もしかして最新話近くでこっそりルーキーたちの間で話題になってた新人の子って、この娘のことだったのか!!
うははは、またぶっ飛んだ娘さんの登場である。これはまた、メンバーの候補だなあ、これ。

さて、導入編とも言うべきトライアルダンジョン編も終わり、ダンジョンマスターとのお話でこの都市で目指すべきところも把握し、次からこそはこの迷宮都市のぶっ飛びっぷりをこれでもか、と味わえるのでこっからが真骨頂なんですよね、楽しみ楽しみ。そして、本作最強のネタキャラがついに登場であるw

1巻感想

イレギュラーズ・リベリオン 1.王者の紋章 ★★★☆  

イレギュラーズ・リベリオン 1.王者の紋章 (GA文庫)
イレギュラーズ・リベリオン 1.王者の紋章 (GA文庫)

【イレギュラーズ・リベリオン 1.王者の紋章】 尾地雫/おちゃう GA文庫

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超自然の力を操る紋章騎士の養成学校――マーテリア騎士学院。そこに歴代最高成績で入学し、最強部隊で活躍していたハンティス=ハーミリオン。ところが、
「せんぱい、起きてくださいよぉ……」
「……なんでそんなに俺に構うわけ?」
今は落第生としてドジっ子のマロンを筆頭に、問題児ばかりが揃う落ちこぼれ部隊の隊長となっていた。しかしある日、学院を揺るがす事件が勃発し、ハンティスの前に忌まわしい過去の因縁が再び姿を現す。
「俺はもう逃げないって決めたんだ」
元エリートと落ちこぼれたちの反撃が、いま始まる!
なるほど、才能のきらめきはあるけれどそれぞれ大きな欠点がある落ちこぼれたち。それに対して、かつて歴代最強と謳われた天才たちでありながら、大きな挫折を経験して停滞してしまったエリートたち。それぞれ別枠で一つの物語を形成出来そうなチームを思い切って一緒にしてみるとこうなるのか。実に優等生的な内容でこうすれば盛り上がる、こうすれば面白くなる、という定型パターンを丁寧に踏襲しているんだけれど、上辺だけなぞるのでは決して出てこないキャラクターの熱量がちゃんとノッてるんですよね。残念ながら落ちこぼれ組はそれほどでもないのだけれど、大きな傷みを抱え込んでいる主人公たちエリート組は、抱え込んだものの重さとそれを振り払おうと足掻く必死さが熱量となり、厚みとなり、キャラクターの息遣いに力が宿ってる。だからこそ、彼らの走っていく後にちゃんと実のある物語が形成されていってるのではないでしょうか。キャラがこうして流れに乗って動いてくれてる作品は、その流れをうまく維持できればどんどん伸びていきますからね。その意味でも先は楽しみな作品なのですが、如何せんちょっとまとめすぎたかなあ。
まず現在の落ちこぼれ部隊第29部隊の他の面々が見ててイラッとするタイプばっかりであんまり魅力ないんですよね。彼らが落ちこぼれている理由って、不遇とか力の使い方が間違ってるとかそういうのじゃなくて、本人たちが好き勝手してるだけで真剣にやるべきことをやってない、という面が大きいんですよ。ちゃんと頑張ってるのに報われない子はそりゃ応援したくなりますけれど、この子らは自業自得の側面が大きいからなあ。むしろ、かつてのイレギュラーズの方がエリートで天才たちの集まりでありながら、みんな努力家でひたむきでお互いを思いやり足りない部分を支えあい、と人格面でも優れていてついつい肩入れしたくなるようなチームだっただけに、こう対比してしまうと尚更に、うーん……と。
そのイレギュラーズでも、もうちっとお互いの距離感やどう思い合っているのかを想像できるエピソードが多くあったら、それが喪われていく時の悲劇性にも感情が乗ったのですけれど、特に隊長のリースがどういう人物だったのか、人となりや考え方。表面的にはともかく、中身をもう一味実感できる要素が足りなかった気がします。彼が、仲間を一人ひとりどう思っていたのか、についても。
残念ながら、今後彼については掘り下げられていく機会もなさそうで、このままものすごい勢いで過去の人になっていきそうですし。
ともあれ、一度壊れてしまったものの一部でももう一度繋がることが出来、今の仲間たちに加えて此処からが再びの、過去を一つ乗り越えたイレギュラーズの再出発。こっからが本番なのでしょう、物語としても。
あれだけ直球で告白しながら、シスリーの横槍でひどいことになってしまったハンティスは可哀想だと思いますけれど、いやそこでバタつかずに粘りなさいよ。告白したんだから、サヤ一筋でいいじゃない。頑張れよw
個人的には00部隊のアルレナとムスリアの二人組の関係の方が気になるなあ。


聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 14 ★★★★  

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 14 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 14】 あわむら赤光/refeia GA文庫

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"いざ、剣と魔術の乱舞。日本支局攻防戦!!

「ただいま、エリカ叔母さん」
春休みに入った亜鐘学園を後にし、久々に実家に帰省した諸葉。マヤ&レーシャ同伴の家族団欒や、静乃の祖父から「彼氏の呼び出し」を受けるなど束の間の休暇を味わう。
だがその陰で、六翼会議が次なる一手に動きはじめる――日本支部長駿河安東の拉致。白騎士機関最大の急所を狙い、遂に《炎王》熾場自らが作戦の渦中に現れた。
迎え撃つは日・仏連合の最強チーム!
かつて敵対した二国が手を取り合い、奇策、鬼謀、超次元の防衛戦を繰り広げる。
綴れ、常識を突き破りし連理の秘術!!
剣と炎が入り乱れる緊迫の学園ソード&ソーサリィ第14弾!!"
そういえば諸葉の叔父さんと叔母さん、ずっと諸葉の話には出てきていたものの、実際に登場した事がなかったのか。
そりゃあ、諸葉をこれだけ出来た子に育てた人たちなのだから、立派な人たちなんだろうとは思ってたけれど……叔母さんが外人だってのは予想外すぎるよ!! この二人の来歴については作中では一切話題にはのぼらなかったのだけれど、多分裏設定、というか二人の半生の激動のストーリーみたいなのがちゃんとあるんだろうなあ。決して裕福な暮らしではない、というのは普通の日本人の夫婦ならそういう事もあるんだろうな、と思うだけなんだけれど、片割れが外国人だとよっぽどの紆余曲折の末にここに落ち着いたんじゃないだろうか、と想像が羽ばたいてしまう。まあ過去はどうあれ、今はただの一般人。そして諸葉によっては尊敬する叔父夫婦であるだけなのだけれど。
しかし、最初に親代わりの叔父夫婦の元に連れていったのが、いつもの二人じゃなくてまーやとレーシャの二人だったというのはなかなかの変化球である。でも、レーシャは特に、ナチュラルに場を和ませてくれる存在なので、こういう日常パートではけっこう重宝するんですよねえ。どんな相手でもレーシャは弄りやすいというか。サツキや静乃だと、このケースだと諸葉の親代わりの面前だと色々と畏まっちゃうし、意識し過ぎちゃう場面であろうから、家族の団らんという意味では自然体のまーやとレーシャの方が、馴染むんですよね。諸葉も、久々の帰省ということでリラックスしたいところだったでしょうし。

さて、肝心の六翼会議との抗争だけれど、事此処に至っても未だアドバンテージは向こうに持って行かれたまんまかー。まーやの覚醒など、着実に相手に奪われた主導権を取り返すための手は打ってるのだけれど、それでも追っつかないのはそれだけ相手が上手なんだろうけれど、それでも苦しいなあ。
ぶっちゃけ、今の白騎士機関って中国の師父は前線に立てないしアメリカも戦闘向きじゃなし。ぶっちゃけ、諸葉とエドワードとシャルルの三人で何とかしないと行けなかったわけで、ここでシャルルが痛手を受けたのはちょっと辛すぎる。六翼のうち一人も落とせてない、というのもなあ。よっぽどの大逆転劇が待っていないと、この展開はストレスが溜まるばかりですよ。
そして、目に見える形で白騎士機関と六翼会議がぶつかり合う一方で、のそりと鎌首をもたげるようにどうやら本筋の、本当の黒幕が浮上してきたじゃありませんか。なるほど、熾場さんが敵のボスというには、理性的だし突き抜けた感じがしなかったのはこういうことだったのか。

にしても、あのシャルルの面倒臭さはむしろ仲良くなってきた時のほうがより一層面倒くさいんじゃないだろうか。諸葉、いい加減慣れたのかと思ったら、まだ自在にあしらえるほどではなかったか。いや、可哀想だからもうちょっとかまってあげなよ、というのは他人事だからか。フランス支部のシャルルの部下たちが、慣れきった様子でシャルルを弄って遊んでいるのを見ると、慣れたら扱いやすい人なんだろうなあ、とは思うんだけれど。あれで、食事に誘われて実はめっちゃ嬉しがってた、とかわかんねえよ! 可愛げの塊みたいな人ではあるんだけれど、やっぱり面倒くさいよ!!

シリーズ感想

「地下鉄に乗るっ」シリーズ 京・ガールズデイズ 1.太秦萌の九十九戯曲 ★★★☆  

「地下鉄に乗るっ」シリーズ 京・ガールズデイズ1 ~太秦萌の九十九戯曲~ (講談社ラノベ文庫)

【「地下鉄に乗るっ」シリーズ 京・ガールズデイズ 1.太秦萌の九十九戯】 幹/賀茂川 講談社ラノベ文庫

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連休直前に送られてきた『京都・パワースポット巡り』の案内。写真撮影が好きな太秦萌は幼馴染みの松賀咲と小野ミサと、このイベントで思い出作りをしようと考えた。パワースポットを巡りきると願い事が叶うというのにも心惹かれていたが、今まで三人で市内観光をしたことがなかったのだ。張り切る萌の前に、イベントの案内役だという自称“精霊”の都くんが現れた。萌たちは都くんに色々な意味合いで妖しい巫女の元へと連れて行かれる。巫女はイベントの本当の目的を語り始めた。これはいくつかの試練を乗り越えなければならない神聖な祭なのだと。果たしてどんな苦難が待ち受けているのか…!?元気ハツラツ★ガールズストーリー!!
作者の幹さんと言えば、【神様のお仕事】シリーズなどを良作を手がけてきた人なのだけれど、その人がノベライズ。しかも「地下鉄に乗るっ」シリーズって……聞いたことないんだけれど、なにこれ? と、思ったら、本作に出てくる幼馴染三人娘が京都市営地下鉄PRキャラクターなんですか。そりゃあ知らんわ。読み終わってあとがき読むまで、これが企画物という背景も知らなかったのですが、まずキャラクターありきで、バックストーリーとかもなかったと思うんだけれど、そういう所が引っかからずに素直に物語に入っていけたので、改めて振り返ると上手いこと作品世界を構築してたんだなあ、とちょいと感心してしまいました。太秦萌と、他の二人の関係からして何もなかったはずですしね。制服からして違うのだから、同じ学校の生徒にも出来ず、どうやって一緒に動かすのか、というところから考えねばならなかったはずなのですけれど、バラバラの学校に通う幼馴染同士、というところからスタートさせて、そこから三人が一緒に京都巡りをする理由とこの物語の着地地点までうまいこと繋げてるんですよねええ。オリジナルキャラとなる白河澄の存在も、彼女らの京都巡りのコンセプトに上手いこと合致させて、自然に流れの中に加わる形になってましたしねえ。
神様の領域に片足をつっこみ、普通の人が見えない八百万の世界が混じり入った現実の京都で様々な賑やかなイベントに巻き込まれながら、京都各所の著名なスポット、或いは穴場の名所、地元の名物なんかをめぐっていくわけだけれど、話を読み進めていくと自然に京都の情報が頭のなかに滑り込んでくる。物語は添え物で観光案内の情報を羅列するのがメイン、というのでは全然なくて、あくまで物語が主眼であり、それを楽しんでいたら自然と……という風に出来ているんで、観光案内としても実にお見事。観光情報ばっかり強調されて目の前に押し出されてもつまらないですし、読み飽きちゃいますもんね。その点、本作は観光案内というコンセプトを意識せずに、純粋に最後まで物語として面白かったですし。
でも、地下鉄にはそんなに乗ってなかったような…(笑
ちなみに、世界観についてはやはり幹さんの一連のシリーズと共通しているようで、八百万の神様や妖怪たちも一般人には見えないながら、ちゃんと地元に根を張って存在している世界のようで、その点でも入って行きやすかったのかな。多分、この作品内では神務省とかもあるんだろうなあ。狐面の巫女さんも、そっち関係の人だろうし。

幹作品感想

このライトノベルがすごい!2016   



このライトノベルがすごい! 2016

この書影、発売日になっても変わらないのか(苦笑

今年も協力者枠で参加させていただきました。今年に関しては例年に比べて取りこぼしが多くて、手を伸ばせる範囲を網羅してそこから選び抜いた、という手応えにいささか欠けた感があり、ちと悔いが残ってるんですよね。
せめて月30は最低限読んでおかないと。歳なのかなあ、仕事から帰ってから一冊読んで感想一つ、というペースがなかなか保てなくなりました。疲れて起きてらんないのよさ。
と、愚痴はともかくとして、今年も第一位は俺ガイル。これで三年連続ということで殿堂入りらしいんですけれど、殿堂入りってもうランキング除外ということですか。凄いなあ。
この作品、然るべき時に読むぜー、と6巻あたりから大事に置いておいたら然るべき時が来なくて
今まで最新刊まで読まずに積んじゃってるんですよね。完全にタイミングを逃してしまってるのです。読もう読もうと思うのですが、暇があって余裕があってガッツリ読みふけって浸れる時間を図ってたら、来ないんですよそんな時間(苦笑
同じように大事にしすぎて抱え込んじゃってるシリーズが他にもけっこうありまして、気合入れて読みたいと思う作品ほど積んじゃってるんですよね。【とある飛行士】シリーズなんか、そのままついに完結しちゃいましたよ、あわわっわ。
出た時にこそ読むべき、とわかってるんですけどねえ。あれもこれも、とどんどん積み本が溜まってきてしまっていて、今となってはどれから読んでいいものか途方に暮れてる次第です。
俺ガイル、結局アニメ第二期は内容知りたくないから一切見なかったもんなあ。

今年のランキング、やはり目立つのは新作部門の【エイルン・ラストコード】と【終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?】の2タイトルでしょう。【エイルン・ラストコード】に関しては完全に予想外で、この名前を見た時は驚きました。私、一巻しかまだ読んでないんですよね、これ。かなりハードな世界観で歯応えある内容だったのですが、これも読まないとなあ。
終末こと「すかすか」については、私も二位で投票していました。20位以内くらいは食い込むかなあ、と期待していたのですけれど、これも想像以上の位置で。
本作の打ち切り予定からの復活劇は、私も感激した口です。今まで、どれだけ打ち切りにしないでっ、と願っても覆った試しなんてなかったですからね。いつだって、続きを見ないまま去っていく名作、傑作を歯を食いしばって見送ってきたか。そんな中で、こうして打ち切りから蘇った作品の存在は、言わば希望の種。【魔法遣いに大切なこと】【echo 夜踊る羊たち】以来の枯野さんファンとして、本作の続きが読めることも然ることながら、こうして復活の前例が出来たことは嬉しい限りです。

さて、今回私が投票した作品は【異世界から帰ったら江戸なのである】【終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?】【はたらく魔王さま!】【ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン】【問題児たちが異世界から来るそうですよ?】でしたが、ガンゲイルとはたらく魔王さまがそれぞれ36位と41位。他はランク外。江戸はまあ個人的趣向に走りまくってたんですが、問題児はあれ発売時期的なのかな。

ランキングを見ていて、ふと感じたことなのですが今年猛威を奮っているなろう出身小説なのですが、意外なほどランキングには姿を見せてないんですよね。いや8位の「ダンまち」、11位に劣等生。ソードアートも含めれば上位にちゃんと顔を出しているといえるのですけれど、これらはもう数年前から既に地位を築いているタイトルばかり。明確に新顔と呼べるのは、【異世界食堂】くらいなんですよね。さり気なく、ランク外からにょきにょき上にあがってきている【薬屋のひとりごと】もありますけれど。あとは【Reゼロ】と【オーバーロード】くらいか。60位以内でわずかこれだけ、というのはちょっと意外な結果でしたね。

ともあれ、ランキングにあがっている中でも積んでいる作品がこれでもか、と散見されてあうあうとなってしまいました。エイルンは早く読まないとなあ。

コメントはガンゲイルで採用されてるの、一つ発見w

カボチャ頭のランタン 03 ★★★☆  

カボチャ頭のランタン03  (ダッシュエックス文庫)

【カボチャ頭のランタン 03】  mm/kyo ダッシュエックス文庫

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迷宮から無事帰還したランタン一行は、敵襲を誘い出そうと一計を案じる。ランタンに強い執着を見せる射手・バラクロフ。狂乱する麻薬密売組織の頭首・カルレロ。そして背後に控える巨大な黒幕…。探索者ギルド職員テス、傭兵探索者ルーと共に、ランタンとリリオンは激化する戦いに身を投じる。そして明かされるランタンの、リリオンの過去。出会うべくして少年と少女は出会い、独りと独りはやがて二人になった…。圧倒的な描写力で綴る本格迷宮ファンタジー、WEB版からの大幅改稿を経てさらなる魅力で贈る待望の第三巻!!
テスさんの、あの犬頭にも関わらず色気と美人さが伝わってくるデザインはやはり素晴らしいなあ、と表紙を眺めながらしみじみと実感してみたり。
見目も然ることながら、生き様がすごいシャープなんですよね。わりと好き勝手奔放に振舞っているあたり、周りの人たちは大変な思いをしているだろうことは、弟や同輩、司書さんからの反応からも窺い知れるのだけれど、迷惑や厄介事を押し付けられ引っ掻き回されながらもテスを嫌う様子だけは誰も見せない、というのは人徳なのかねえ、これ。嫌いになれない愛嬌みたいのがあるんだろうか。ふと一瞬、テスさんが垣間見せる弟への愛情や司書さんへの友情なんかを目の当たりにしてしまうと、その気持ちもわかるんですけどね。でも、基本的に近づくな危険、というヤバイ系ではあるんだよなあ。
しかし、仮にもこの人に手綱つけて組織に所属させている、というのは探索者ギルドって結構懐の深い組織なんだろうか。受付のお姉さんもいい人だし、テスさんの同輩の隊長さんも、有能であれ結構人格者っぽいしねえ。
正直探索者稼業というのはどうしたって血生臭く世間からドロップアウトしがちな人間が多いもので、スラムの様子や探索者崩れと呼ばれる者たちの堕ちっぷりを見れば際どい業界だと言わざるをえないのだけれど、少なくとも後ろ盾となるギルドがしっかりしている、というのは頼もしい。図らずも、ランタンとリリオンはそんな組織と知遇を得られたわけで、今回の襲撃の一件がもろにランタンやリリオン個人を狙ってきているものだと判明した以上、ギルドに頼れるというのは無視できない大きな要素のはず。
というわけで、今回はダンジョン攻略戦ではなく徹底して対人戦。それも、市街戦での多人数戦闘と相成ったわけだけれど……敵さん、その殆どがヤク中か薬漬けで洗脳されてる相手、ということで強さはともかく戦う意思に関しては人形みたいなもので、覚悟や欲望がぶつかり合うような戦いではなかっただけに熱いものにはいささか欠けたかなあ。確固として剣を交え命のやり取りをしあう理由がお互いになかった感じなので。暗く欲望に爛れた薄汚い意思、大敵となり得る相手は背後の闇に隠れたまま戦いの最中は姿を表さなかったわけですしね。出てきたら出てきたで、あまりのおぞましい悪臭に顔をしかめざるを得なかったのですが。
まあ相手に強さとしての歯ごたえは兎も角、敵としての手応えがなかった分、ひたすら戦いながらもランタンとリリオンがイチャイチャしていた気もしますが。頑張って猛威をふるうリリオンを、ランタンが愛でるや愛でるや。その成長に目を細め、慈しみを絶やさないその可愛がりような、もう目に入れても痛くない、というレベルで。
まあわかるんですけどね。体つきこそ大きいけれど、中身はまだ年齢ひとケタ台の幼気な子供にすぎないリリオンは、その言動、反応、全部が可愛い盛りでねえ。でかい図体で幼女ぶられても、と思われるかもしれませんが、これが殊の外良くて。うん、大きいのも愛嬌さぁ。
そんな無邪気で無垢で健気で純真なリリオンだけれど、彼女の陰惨な過去を知るとよくまあそんな綺麗な心のままで入られたものだ、と重たい気分にさせられる。そして、穢れの一つもないように振る舞う彼女だけれど、はっきりと彼女の口から自分の中には怨がある、と明言されてるんですよね。恨み、憎しみ、怒り、そういったものが源泉として彼女の中にある。そして、この街に来るまでに彼女が味わった辛酸は、深い傷として今なお血を流し続けている。それでありながら、今のリリオンがあれだけ明るく天真爛漫に振る舞えるというのは、それだけランタンと過ごす時間が彼女の心を守ってるということなのだろう。傷つき血を流し暗い炎に焼かれ続けている心から、痛みも負の感情も消し去ってしまうほどの安らぎを、安心を、幸福を、この小さい少年は大きな幼女に与え続けているわけだ。リリオンのランタンへの態度も健気だけれど、ランタンのそれも献身だよなあ。
そんな二人を、身も心も尊厳も自由もすべてを脅かそうとするおぞましい悪意の塊が、黒幕として敵として浮かび上がってきた今回のお話。徹底してやりあうには十分な邪悪である。

1巻 2巻感想

世界の終わりの世界録(アンコール) 5.降魔の大皇3   

世界の終わりの世界録(アンコール) (5) 降魔の大皇 (MF文庫J)

【世界の終わりの世界録(アンコール) 5.降魔の大皇】 細音啓/ふゆの春秋 MF文庫J

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伝説の英勇エルラインが遺した至宝「世界録」。その在り処を世界中の国や旅団が探し求める時代―覇都エルメキアを舞台とした三大姫の大暴れで「再来の騎士」の名声が高まる一方、レンは騎士王ゼルブライトとの激闘の末、新たな「英勇」としての可能性を顕示。そして一行は最後の封印を解くために冥界へと歩みを進める。危険すぎる道中の先に待ち構えるのは、エリーゼの弟である現魔王ヴェルサレム、五大災、正体不明の沈黙機関。過去と因縁に囚われし者たちが鎮魂曲を奏でる中、現在と未来を切り拓く偽英勇の熱き叫びがこだまする。「太古を誇るだけの獣が、現在を生きる人間を舐めるんじゃねえ!」―いま、最も王道を行くファンタジー、怒濤の第5弾!
三大姫の一人として最初からずっとレギュラーで頑張ってたのに、何故か五巻になるまで表紙を飾らして貰えなかった元魔王のエリーゼさん。ようやくトップを飾りましたよ、良かったね。というわけで、色々と世界を巡ってきたレンたちだけれど、ついに魔界……じゃなくてエリーゼたちの世界である冥界を悪魔法印を求めて訪れることに。気分は、ドラクエ3のアレフガル突入である。冥界はイメージ通りの毒々ワンダーランドっぽくて良かったんだけれど、魔王城までの道程、レンがひどい目にあっているのに概ね端折られちゃってて、可哀想というかなんというか。苦労したのにw
現魔王のヴェルサレム、エリーゼの弟で話題にのぼる時もあの愚弟扱いばかりだったので逆にエリーゼが過小評価しているか、可愛がっているけれどわざとキツい言い方しているのじゃないか、とちょっとだけ期待してあげたんだけれど……あかん、わりとガチで姉ちゃんに頭あがらん弱弟だw 見た目はイラストになってなかったんだけれど、どうやら厳つい見るからに魔王っぽい容姿なんだけれど、言動の端々から理不尽なお姉ちゃんに振り回されても文句ひとつ言えずに半泣きになりながらヘコヘコしてるのが透けて見える残念さw わりと威厳もあると思うんだけれどなあ、滲み出ちゃってる、威厳の隅っこからにじみ出ちゃってるよー。
まあエリーゼのことを姉上とか姉者とかじゃなく「姉ちゃん」と呼んでる時点で推して知るべしなんだけれど。一人称が「余」な分、ギャップが萌えるのです。竜の谷の妹竜カルラとか、天界の女神様とかわりと格好ついてたんだけれどなあ。レスフレーゼさまも大概だったんだけれど、愚弟魔王と比べるとまだ……魔王、頑張れ魔王w
魔王の座を競い合ったという冥界の大幹部五大災たちも久々に登場すると、あれただの愉快な変人たちですよね。人間サイドの実力者たちがみんな真面目、シリアスモードなのに対して、この悪魔たちと来たら……。
特に魅亜さん。旅団のおっちゃんにおもいっきり籠絡されて、嬉々と仲間になろうとしているのには吹いた。五大災、仮にも五大災の一人だというのを、この娘普通に忘れてるんじゃなかろうかw とはいえ、あの「黄金の夜明け」の団長、何気に人物なんだよなあ。人族と決して仲良いというわけじゃない異種族のメンバーたちにあれだけ慕われてるのだし、魅亜にしたってアホの娘とは言えああも安々と「団長♪」と慕われるようになるとは、尋常じゃないですよ。その上、同じく冥界に迷い込んだ「あの娘」についても、団長については完全に特別扱いでしたしね。
この団長、弱いとはいえ多種族から慕われ、注目されているという点ではレンと似てるんですよね。今後、けっこう重要な立ち位置になってくるのかもしれない。

さて、ついに三大姫と英勇エルラインが戦ったという謎の存在の正体、少なくともどういう連中なのか、というのが明らかに。もうちょっと引っ張るかと思ったけれど、ここらはサクサクっと進めてきましたね。どうして、レンにその敵のことを積極的に語ろうとしなかったのか。レンが持つ特別な力と覇都エルメキアで繰り広げられている陰謀も絡んで、なるほど焦点はそこだったのかー。
実のところ、エルラインたちが戦った相手は意思疎通不可能な絶対敵なのだと思っていたので、意思の疎通が不可能だった理由の一旦が明らかになると同時に、その性が悪ではなかったのはインパクトでありましたね。ただ、敵を倒せばいい物語じゃないのか、やはり。エルメキアで暗躍している連中のほうがよっぽど質悪そうだし。ああいう意味深に悪ぶって見下して自分たち超つおい、という態度取ってる連中は、バチコーンとぶっ飛ばしてほしいなあ、早々に。その意味では、あのディスカントもそういうタイプだったので、一発イワしてくれたのは大変結構だったのですが、どうせなら泣きべそかかせて「くちゅじょきゅだ!」ってなるくらいにはきっちりやっつけてほしくもあったのでした。いや、そういうキャラじゃないのは承知の上で。

シリーズ感想

吸血鬼に彼女役を頼んだ結果→とんでもないことになりました4   

吸血鬼に彼女役を頼んだ結果→とんでもないことになりました (一迅社文庫)

【吸血鬼に彼女役を頼んだ結果→とんでもないことになりました】 すえばしけん/LENA[A-7] 一迅社文庫

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異世界に続くゲートが開いたことにより、異種族と人間が共存する現代日本。何故かやたらと女性(人外限定)にモテる体質のため、トラブルに巻き込まれがちな俺・真城大河は、ひょんなことから、行き倒れていた密入界者で吸血鬼の美少女・リーゼロッテを助けることになる。彼女をかくまう代わりに、形だけの恋人になってもらうことで女難を避けようと、偽の彼女役をお願いすることにしたのだが、それがさらなるトラブルの引き金に―!?モンスター娘にモテモテ!?人外ハーレムラブコメ!
すえばしさんの作品としては【ひきこもりの彼女は神なのです。】寄りの世界観だなあ、これ。しかも、この作者特有のああこれはヤバイとゾクゾクさせられるような黒かったり壊れてたり、という部分が見受けられない久々のマイルド路線。かと言って味気なくなっているわけではないのは、さすがというべきか。ハーレムラブコメというには独特の渋みといいますか、キャラクターに味わいがあるんですよねえ。特にリーゼロッテと日和子さん。リーゼロッテは庶民的な生活の知識を殆ど経験していないまさにお姫様で態度も偉そう、という記号的になりそうなキャラクターにも関わらず、これが妙に面白いというかシットリとした雰囲気のあるキャラに仕上がってるんですよね。偉そうだけれど素直でクール。無愛想だけれど人付き合いが良く、世間知らずなのに世知に長けている。誤解されがちな大河という少年に対する深い理解者、それも大河当人が自覚していない部分まで短い付き合いの中でよく読み取り、彼の在りようを定義づけていたりもするんですよね。そういった点から見ても、彼女の性質が崇め持て囃されるお姫様というよりも……なるほど、彼女が異世界において与えられていた特殊な役割に相応しい在り方を培っていたのが何となくわかるなあ。観察し、把握し、価値を見抜き、在りようを捉え、その真贋を見極める。
必要に迫られて、緊急措置的にあの最後の選択をしたわけではなく、リーゼロッテはしっかりと選定を行っていたんですよね、これ。
さて、そんなお姫様にしっかりじっくり見られていたことに、この主人公の大河はどれだけ気づいていたのか。全然気づいていなさそうだな、うん。この大河って子、体質によるこれまでの不遇な人生の影響によるものなんだろうけれど、他人に自分がどう見られているか、という点について恐ろしく鈍感なんですよね。まあ自分の出すフェロモンによって、正気を逸しかけてる人外によるトラブルに遭い続けた、というのは相手から向けられる意思や感情が常に変な状態であり、普通の人間もちゃんと彼の人となりや言動を見てくれずに一方的な思い込みから来る決め付けで判断され続けたのだから、むしろ他者からどう思われているか、については鈍感にならないとやっていけなかったのかもしれないけれど。
ただ彼の偉いところは、他者から何も与えられず理不尽に見まわれ続けながらも、自分からは礼節を喪わず信義を重んじ、他者が見舞われる理不尽に正しい怒りを示す人品を保ち続けたところなのでしょう。これだけ心を叩かれ続けながら、歪むことがなかったというのは果たしてどれほど強靱だったのか。
いや、冗談抜きでリーゼロッテの見る目というのは、まさに選定の側に立つに相応しかったんじゃないでしょうか。惜しむらくは、主人公の大河が鈍感故に基本一方通行であることとリーゼロッテが物語の核心としては能動的でありながら、内面の問題に関しては基本観察者モードで積極的に相手に干渉してくるタイプ、或いは時期ではなかったせいか、肝心の主人公とメインヒロインの関係の醸成がひどく大人しかった、というところでしょうか。いや、あんまりバンバンぶつかり合うことも干渉しあうこともなく、静々と熟成されて行ってたんですよね。わりと物語の進行が捲いてるのか早かったんで、微妙に二人の関係の修熟のスピードと合ってなかった気が……。これが長期シリーズでゆっくり進行していくなら、この二人の関係のスピードもちょうどよい丁寧さなんですけれど。
あと、面白かったのが日和子さん。大河のTシャツの匂いかいでハアハアしてる変態さん、と定義付けてしまうと可哀想か。でも、この人の立ち位置もヒロインとしてあるまじき苦労人的なポディションで。主人公たちが関知しないところでひたすら公務員としての立場と大河たちの隣人としての情に挟まれて、あたふたと苦悩しストレス溜め続けるという、一人で何をしてるんだろう、と思わず涙誘われる人だったんですよね。この人、ヒロイン枠にちゃんと入ってるんだろうか(苦笑
いやでも、一番感情移入してしまうのがこのいい人すぎる日和子さんだったわけで。もう少し良い目見させてあげてください。

すえばしけん作品感想

ガーリー・エアフォース 3 3   

ガーリー・エアフォース (3) (電撃文庫)

【ガーリー・エアフォース 3】 夏海公司/遠坂あさぎ 電撃文庫

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お待ちかね、艦載機のアニマが初登場!米軍所属で明るく気さく、だけどどこか謎めいたスーパーホーネットのアニマ、ライノがグリペンたちの前に現れる!
そんな彼女も加えて、ついにザイへの反攻作戦が発動する。東シナ海洋上の空母ジェラルド・R・フォードより発艦、目指すは大陸への足がかり、上海奪還!
「ではお先に」ファントムは今日もクールにテイクオフ。「撃墜数勝負ね!」イーグルは今日も無邪気に士気軒昂。
「慧、行こう」そしてグリペンは慧の手を携えて、いざ蒼穹の戦場へ!
さあさあ、どんどんきな臭くなってきましたよ。国同士の国際関係も、ザイの正体と人間の関係についても。
こう、何を信じていいのかわからない状況になってくると、腹に一物抱えているファントムが逆に頼もしくなってくるんですよね。天真爛漫なイーグルにしても、無垢なグリペンにしても、いい意味でも悪い意味でも純粋で彼女のたちの場合、それが人間味に通じているのと同時にアニマとしての本能に無造作に親しいとも言えるのである。特に、グリペンは今回の話を見ていると、彼女自身理解しきれていない本能の部分で、ザイの真実を把握している節がある。彼女はその「真実」を人類の側の自分に言語化して持ってこれずに、ただあるがままそこに置いてしまっている感じなんですよね。彼女の無垢さは、その状態をあるがままに受け止めている、というべきか。多分、イーグルもあの性格からして対応は似たようなものだと思うのだけれど、ファントムに関しては、あの捻くれつつも戦闘機として人類側の戦力のアニマとしての自分に忠実であり、人格として理知に重きを置いている彼女なら、もしその自分の中の「真実」に気づいた場合、そのまま置物にしておくことが出来ない性格だと思うんですよね。ファントムは、色んな意味であれ、人間寄りなんですよ。だからこそ、真実の探求においては慧の相棒足りえるわけだ。ファントムが自分の搭乗者として慧を欲しているのも、彼女自身が口にしている理由には実際は留まらないんじゃなかろうか。彼女自身の自覚の有無はわからないけれど。勿論、ごくごくシンプルに、慧という人間のもたらす効果じゃなく、彼自身に対する興味や関心、秘めやかな好意からくる彼を独占するグリペンへの嫉妬や羨ましさがあるのはあるんだろうけれど。
いずれにしても、こうしてみると日本のアニマたちは複雑な内面を抱えていることがよくわかる。ややこしいファントムに限らず、グリペンやイーグルだって自然に芽生えたものを今までずっと培ってきたわけだ。その点において、ライノと一体どれだけの差があったのか。
アメリカのアニマの扱い方が一体どれほどのものだったのか、触りくらいのレポートだけでしかわからないのだけれど、あちらのアニマは記号として扱われ、徹底してそう振る舞わなければならなかったんだろうなあ。日本側のアニマへの態度だって、慧が来るまでの様子を見ていると決して良いものではなかったと思うんだけれど、その点については八代さんの見識によるものが大きかったのだろう。彼がどうして、こうも多くのアニマを生み出せたのか。ライノへのアメリカの待遇と八代さんの姿勢の差は、何気にアニマの秘密に直結している気がするんだが、どうだろう。ここにきて、対比するようにこういう展開を持ってきた上で、ライノの顛末ですもんね。
正直言って、一個人にはどうにも出来ない国家間の駆け引きなんてものは、その綱引きの上に乗っかった上でそこで出来る僅かな範囲の中でどうにかするしかないわけで、さらに何の権限もない一般人の延長にすぎない慧に出来ることなんて、本当に微小にすぎないんですよね。まだ成人もしていない一人の少年に負わせるには過酷すぎる状況ではあると思うんだけれど、国同士のパワーゲームも未知との衝突もそんな矮小な事実は欠片も考慮してくれないわけで、このへんのそっけない冷徹さは何気に好みなんだよなあ。
幼馴染の明華への、あのそっけなさすぎる冷徹な物語上の扱いにも、ゾクゾクさせられますけれどw 殆ど彼女の存在って、日常側における嫁も同然なんですけどねえ。嫁だからこそ、旦那の仕事に口を出せないのかw

1巻 2巻感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 8 4   

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)8 (GA文庫)

【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 8】 海空りく/をん GA文庫

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《紅蓮の皇女》vs《風の剣帝》、《無冠の剣王》vs《凶運》因縁に終止符を打つ準決勝開始!

無数の剣で磔にされた珠雫と、その前で哄笑する天音――一輝の対戦相手を決める準々決勝の戦いは、
開始前の惨劇で幕を閉じた。
そして迎えた七星剣武祭準決勝戦。《紅蓮の皇女》と《風の剣帝》、
二人のAランク騎士は、かつてない規模で会場全体を蹂躙しつくす、埒外の戦いを繰り広げる。
さらにもう一つの準決勝、《無冠の剣王》と《凶運》の戦いは――
「僕、――この試合を棄権しようと思うんです」
天音の思わぬ発言で波乱の幕開けとなった! どこまでも翻弄してくる天音に、揺るがぬ覚悟で対峙する一輝。
最愛の恋人と約束した、決勝の舞台に向けて突き進む第八弾!
もうステラさんが、人間辞めちゃってるんですけど、これ! 人外とか化け物とか超人とか怪物とか悪魔とか魔獣とか神様とか、そんな方向ならこれまで覚醒してなっちゃう人たちはたくさん居ましたけどさ……これってもう『怪獣』ですよね、怪獣。ゴジラとかガメラとかキングコングとか、そっち方面の『KAIJU』。
わかってます、次は巨大化するんですよね!? 口からブレス吐くんですよね!? よし、スーパーXを呼べ! イェーガーを召喚しろ! ウルトラマンはまだかー!
メインヒロイン、メインヒロインと幾ら連呼しても、目の前にいるのは大怪獣ステラ・ヴァーミリオン。ヒロインとはいったいなんだったっけ? と遠い目になってるところに聞こえてくるのは、怪獣の雄叫びと破壊音。
「がぁおおーーっ!!」と吠えていた6巻の頃はまだ可愛らしかったんですね。もう人間の発声器官では出せない咆哮とか言われてるし。
これからは紅蓮の皇女改め、怪獣皇女でいいですね? よろしいんですね?
ああなるほど、黒乃理事長や西京先生たちはあれ、「出てくる漫画が違んじゃね?」と思ってしまうくらい頭のおかしい能力の持ち主だったけれど、ステラも無事にあっち側のアレになっちゃったんだなあ(遠い目)
ただでさえ取り返しのつかない変態というヒロインにあるまじきキャラクターでありながら、さらに怪獣みたくなってしまったステラさん。よくまあこんなのを恋人にしてやってけるなあ、と今更ながら一騎の器の大きさにはため息が漏れてしまいます。恋人としても大丈夫か、と思うところですけれど、それ以前にこんなのとどうやって戦うつもりなんだ、一騎は。一巻で戦った時と文字通り桁が7つほど違うぞこれ。

と、それ以前に決勝に進むためにはまずあの『凶運』紫乃宮天音に勝たなければならない。勝つ以前にこの相手とは、戦いの舞台に立てるのか、というところから高いハードルが待っていたわけだ。
それを何とかするために無茶をしたのが、珠雫とアリス。前巻の終わりの衝撃的なシーン、アリスは一体何をしてたんだ? と思っていたのですが、ちゃんと一緒に襲撃仕掛けてたのね。
もう無茶苦茶もいい所な天音の能力に、手も足も出ない珠雫とアリス。むしろたちが悪いのは天音の能力よりも、その能力がもたらした影響によって歪められた天音の性格でした。うん、ここまで性根が歪みきったキャラも久しぶりだ。相手の尊厳の踏みにじり方、大事にしているものを弄ぶやり方がそれはもう嫌らしくて、いっそ素晴らしく思えてくるほど。よくもまあ、そこまでピンポイントに人を貶められるものだと感心すらしてしまう。
あの珠雫がガチ泣きしたのってよっぽどですよ。それで怒髪天突いて激怒してきたのがステラだった、というのが嬉しいところでしたけれど。この二人、今となってはホントに仲良いんだよなあ。

ともあれ、凄まじいまでの邪悪な本性を露わにした天音に対して、これはもう気持ちよくスカッと痛快にぶちのめす展開だよね、と期待して手ぐすね引いていたら、待っていたのは期待以上の展開でした。うん、天音にこうなってしまう理由があり同情の余地があるのはわかっていたけれど、ここまで歪んでしまったらどうしようもない、と多くの人が思っていたのでしょうけれど、なるほどなあ、一騎がなりたいと理想に思い描いていた騎士というのは、こういう子をこそ見捨てない騎士だったのか。天音のあの能力を、無効化するとか攻略するというのじゃなく、真正面から乗り越えて、その絶対性を否定してみせ、潰すのではなく終わらせるのではなく、叩いて叩いて叩きのめした上で立ち上がらせる、という……自分だけ絶対を乗り越えるのではなく、諦めてしまっていた天音当人をも、戦いを通じて一緒に、彼を縛り付けていた彼自身の能力を乗り越えさせる、という熱い熱い展開が待っていたわけだ。正直、天音戦でここまで胸が熱くなるとは思ってなかったです。天音が無様を晒し、惨めにのたうちまわり、それでも諦めきっていた彼がどれだけ格好悪くても諦めずに立ち上がり抗い戦い抜こうとする姿には、それを引っ張りだした一騎の騎士としての志に、胸打たれたよ。格好良かった、熱かった。その痛快さは、胸のすくような爽快な痛快さだった。
かつて、あの一巻で一騎がステラに語った夢が、ここで一つ実現するとはなあ。あのセリフが一騎の口から贈られ、それがちゃんと相手に伝わり受け継がれていくシーンには、素直に感動してしまいました。

あと、さり気なく『白衣の騎士』のキリコさんが、やたらかっこよくいい所持ってったんですけどw この人、戦闘シーンこそ出番ないけれど、登場する度にいちいち言動がカッコいいんだよなあ。惚れる。

さあ、次はついに長きに渡って待ちに待った、一騎とステラの決勝戦だ。

シリーズ感想

灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって4   

灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって (オーバーラップ文庫)

【灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって】 

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「目標はもう決まったわけだろ? それなのに、帰るってどういうこと?」
ハルヒロたちとトッキーズが発見した「黄昏世界」は新たな狩場として注目を集めていた。
ハルヒロたちも、以前は逃げるしかできなかった白い巨人を撃退し、安定した稼ぎを得られるまでになっていた。
しかし、あるクランの行動がきっかけで「黄昏世界」の危険度が跳ね上がってしまう。
そんななか、以前に加入した「暁連隊」のリーダーであるソウマと再会したハルヒロたちは、なし崩しに複数のクランが参加する、大規模なミッションに加わることになる。
精強な義勇兵たちと共に戦うことで、ハルヒロは何を見て、何を思うのか――

ララ&ノノのキャラクターが想像と違いすぎててひっくり返ったよ!! いや、十文字青キャラらしいといえばらしいんだけれど、もっとキューティーというかリリカルというか、そっち方向のちょこまかとフットワーク軽そうな可愛らしいコンビを思い描いていただけに、思わず悲鳴あげちゃいましたがな。
「黄昏世界」、とてもマトモに活動できそうにないフィールドだと思ってたのに、慣れるとこんなものなのか。それだけ、初見が危険だということでもあるんだろうけれど、結構ハルヒロたちも順応性高いよねえ。歩みは遅くても、着実に出来ることを増やしていっている気がする。
それでも、周りのハイレベルなクランたちが凄すぎるので、決して目立っていないのだけれど。でも、ハルヒロの意識というか心境が、そんなハイレベルのクランに対しても徐々に変わってきてるんですよね。昔は見上げるだけで遠い存在にしか感じていなかった彼らに対して、どうにかして近づけないか、と考えるようになってきている。おこがましいとか腰が引けたり凄すぎるとか圧倒されながらも、心の奥底、本音の本音では負けん気みたいなのが徐々ににじみ出てるんですよねえ。ハルヒロは常に現実を直視し続けて、自分を戒め続け、身の程を知り、浮ついた気持ちにならないように抑制し続けているのだけれど、それでもなお、心の奥底とは言えそういう気持ちが生まれ始めている、というのはそれだけ何かしらの手応えがあるんだろうなあ。モグゾーをはじめとする、多くの喪失、数えきれない失敗を経た上での成長だからこそ、重みを感じるのである。成長の実感に対して喜色よりも、ハルヒロのそれには哀切を感じてしまうんですよねえ。頑張ってる、君は頑張ってるよッ!
そして今回も十文字さんお得意の対大群戦闘である。このグリンガムシリーズでこれだけ大規模の雲霞のごとき敵群との戦闘は流石に初めてだったんじゃなかったか。ゲームの無双シリーズみたいな戦いは、それこそ一騎当千の連中でこそ形になるもので、モブキャラサイドであるハルヒロたちにとってこんな倒しても倒しても湧いてくるようなモンスターの津波は、それこそ押し流されるしかないもので、いやいやもういつ誰がやられるかわからない切羽詰まった撤退戦にハラハラしっぱなし。作者さんは、いきなしサクっと誰でも殺りかねない引き金の軽さがあるので、こういう時の緊張感はたまらんものがあるんですよね。一旦、クランのメンバーが散り散りになってしまった時なんぞ、本気で肝が冷えた。本当にピンチに陥った時には、強力なクランが援護に入ってくれたり、と運のよさもあるんだろうけれど、この引きの強さはハルヒロたちがそれだけ縁を繋いできた証拠とも言えるので運のよさだけじゃないんだよなあ。少なくとも、強キャラたちの目に入った時に助けてやろう、と思うだけの印象を、与えているわけなんだから。
決して器用な性格じゃないはずなんだけれど、ハルヒロってわりといろんな方面の人に気に入られてるんですよねえ。とはいえ、それは人間性だったりクランのリーダーとしてだったり、という方面であって信頼は寄せられても異性としては誰からもあんまり反応がなかったのだけれど、此処に来てついにミモリンというハルヒロに熱烈な好意を寄せてくれる女の子が登場……したわけですけれど、明らかになんかヤバイ系で捕食されそうだし、大女だしこれはあかんやつやー、と思っていたのですが、今回じっくり話してみると、す、凄くいい子じゃないですかー。一途で情熱的でしかし強引すぎずちゃんと乙女していて……。いい子なんですよー。でも、ハルヒロの気持ちもわかるんですよ。友達としては全然オッケーで一緒に遊んだりしても楽しいのだけれど、お付き合いするとなるとなんか違うなー、そういう気持ちにはなれないなー、というの。そんな気持ちをごまかさずきっぱりと告げるハルヒロは、やっぱり誠実なんですよねえ。クザクといい雰囲気を通り越してもうあれ付き合ってるんじゃないの? という素振りを見せるメリィに対して、ショックを受けてようやく自分の恋心に気づいて、それが既に終わってしまってる可能性が高いことにも連続して気づいてへこみまくってるハルヒロは、いわば攻め時だったはずでミモリンの告白と攻勢のタイミングは最良と言って良かったはずなんだけれど、ディフェンス固いなあこの主人公。ただ、ミモリンも粘って今後の可能性を繋いだのはよくやった、と言いたいんだけれど、ミモリン報われなさそうなんだよなあ。

ここにきて、ついに「元の世界」に戻る情報が現れるという激動の展開。そもそも、元の世界の記憶を持たない義勇兵たちにとっては、自分たちが異世界から来たという自覚すらないのだから、これはいきなり爆弾みたいな情報なんだよなあ。

シリーズ感想

東京ドラゴンストライク4   

東京ドラゴンストライク (電撃文庫)

【東京ドラゴンストライク】  長田信織/緒原博綺 電撃文庫

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現代日本に《ドラゴン》襲来。その日、東京は戦場になった。

東京・池袋を訪れていた少年・結城景人は、突如現れた灰色の《竜》の襲撃に遭う。それは、飛行機や車など『動くあらゆるモノ』を竜と化す力を持った異世界の竜族・ニズレグの尖兵だった。重傷を負った景人を救ったのは、同じ竜族でニズレグを止めにやってきた少女・クウクル。自衛隊や米軍をも巻き込んだ未曾有の事態に発展する中、渦中に立つこととなった景人は――!?
日本国民1億3000万の命運を賭けた戦いが今、始まる。

おひょーーっ、これは紛うことなき怪獣映画じゃないですかっ!
 話の筋立てが完全に怪獣映画のノリ。しかも、これは平成ガメラ的な日常風景の中に突如天から厄災としての怪物が降ってくる、という臨場感タップリな作りなんですよね。政府や軍、マスコミの対応や一般市民の反応がまたいいんですよ。
突如現れた非現実的な光景に空白が生じ、真空に空気が流れこむように一気に切迫感が行き渡り、日本全体が非常事態という緊張感の中に包まれ、姿を現したドラゴンたちに対して対決姿勢が整っていく。この空気感の流れ方が見事に怪獣映画のそれで、劇場版らしい爆発力に漲っている。
主人公とヒロインは、その目まぐるしく動く空気感の中核に常に位置していて物語をリードしていってくれるのは、怪獣が主役の作品とはまたちゃんと違ったライトノベルらしい話になっているのも頼もしい。ちゃんと国家機関や自衛隊なんかが、主人公たちのサポートに徹して、彼らの活躍をお膳立てしてくれるんですよ。変に足を引っ張ることなく、主人公たちが持つ情報をちゃんと受け取って、最大限活かしてくれますしね。ぶっちゃけ、景人とクウクルの二人だけだったら出来ることはかなり少なかったはず。ちゃんと国家機関がバックアップしてくれることの有り難みが感じられます。
自衛隊をハジメとした各国の軍が、決してやられ役ではなく相応に現代兵器で活躍してくれるのも、ある意味平成ガメラ的と言えるのかもしれない。ちゃんと、カッコいいんですよー。敵の制空権下にある基地に乗り込むために、景人たちが乗る特殊装備を、F15Jイーグルで送ってもらわないといけない状況でこれですよ。
「一人乗りの回天だが、軽装備で私と君なら、どうにか入る。あとはイーグルのパイロットの選定に難航中だ。五分五分で撃墜されるだろう、危険な任務だからな」
「誰も乗りたがらない?」
「逆だ。『自分なら絶対に成功させる』と息巻くパイロットが何人もいる」
おいおいおい、熱すぎるよ、イーグルドライバー!
最終決戦は、海上から首都に迫る敵の群れに、陸海空の自衛隊に在日米軍が総力戦を挑む大盤振る舞い。うんうん、これは燃えますよ。

一方で怪獣側となる「ドラゴン」も、これが面白い設定で異世界の竜族の術により、機械類がドラゴン化するんですね。これは、敵側だけではなくて、味方のクウクルも同じなので、味方側のドラゴンもいるわけですけれど、まるでトランスフォーマーみたく、漠然とした「機械」じゃなくて、F15Jイーグルのドラゴンとか、F/A-18E/F スーパーホーネットのドラゴンなど、それぞれ差別化がなされてるんですよね。これが面白い。ちゃんと、元の兵器や機械の性能がドラゴンの性能に反映されていて、結構味方側のドラゴンには個性みたいなのも感じられて、愛着も湧いてくるんですよね。悪のドラゴン軍団対クウクルのドラゴンたち、というちゃんと怪獣対怪獣、しかも集団戦みたいな要素もあり、そこに自衛隊が共闘する展開が加わるわけである。さらに、主人公の景人には機械に対する特殊な能力があり、さらにクウクルと出会った時に致命的な傷を負い、緊急措置で半身を機械化ドラゴン化されて命を取り留めた、という生身でドラゴン相手に何とか渡り合える力を手に入れている、というヒーロー的な要素もあるわけですよ。さすがは劇場版、という盛りだくさんっぷりである。
それでいて、ちゃんと景人の悲劇的な過去にしっかりと因縁が絡まったクウクルとのボーイ・ミーツ・ガールとしてもすっきり筋立てが最初から最後まで通っていて、景人が抱えていた心の傷を見事にヒロインが癒やし救う展開になっている、見せるべきを余すことなく見せてるなかなか卒のない構成なんですよね。
さすがに一巻で片付けるために、やや駆け足気味ではあるんだけれど、個人的にはこの速さは疾走感として捉えられて、むしろ好ましいくらいでした。劇場版、堪能しました、燃えた燃えた面白かったっ!

封神演戯 2 3   

封神演戯  2 (ダッシュエックス文庫)

【封神演戯 2】 森田季節/むつみまさと ダッシュエックス文庫

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殷(いん)は滅ばない――聞仲(ぶんちゅう)によってもたらされた情報の真偽を確かめるために一度崑崙(こんろん)に戻った太公望(たいこうぼう)。そこで、聞仲の強すぎる殷への執着によって歴史に変動が起きうる可能性を元始天尊(げんしてんそん)に語られる。どちらの歴史を選択するか、殷の存亡をかけて崑崙と金鰲(きんごう)による仙界大戦が勃発!! 聞仲は幹部の呂岳(りょがく)、趙公明(ちょうこうめい)と共に崑崙を急襲! 太公望もまた崑崙に残っていた太乙真人(たいいつしんじん)、竜吉公主(りゅうきつこうしゅ)たちと策を考える。だが、そのころナタが応援に向かった人間界では、妲己(だっき)姉妹と紂王(ちゅうおう)がなにやら妖しい動きを見せていて……!? 楊センと太上老君(たいじょうろうくん)の太公望をめぐる恋のバトルも勃発!? 宝貝(パオペエ)と美少女が入り乱れる新解釈「封神演義」待望の第二巻!
これ、太公望の根本のやる気が全然ないにも関わらず、責任背負い込んで死にそうになるまで頑張ってしまう所って元日本人っぽいなあ。これが変に前向きになると、スープーみたくうざくなってしまうのでどっちもどっちなんだけれど、嫌だ嫌だと思いながら手を抜けない、というのは小心者の特徴でもあるんですよね。もし手を抜いたり適当にやってしまった時に起こってしまうあれこれを想像してしまうと、もう不安で仕方なくて耐えられなくなるわけですよ。がっつりストレスが溜まってしまう。そんな精神状態で、サボって遊んでなんていられないのです。遊ぶなら、ダラダラするなら憂いも懸案も全部片付けてからでないと、心から安らげない。この太公望は、さらに関わった人間たちに対しての責任感も感じているから、輪をかけちゃってるんですよねえ。損を引き受けてることは誰よりも自分が理解しているにも関わらず、それを投げ出せない。それこそ、そんな性格なんだよねえ。幸いなのは、そんな太公望の在りようを周りの人達が利用しようとしていないことか。いや、利用はしてるんだけれどね、元始天尊も楊センも彼を踏み台にして使い潰そうというつもりだけは一切ないですし。楊センとは価値観こそ違えど、彼女は太公望のそんな損してる部分をこそ、愛おしんでいる節もありますし。だからこそ、彼には損だけじゃなく、もっとその働きに応じた相応しい得るべきものを得て欲しい、と思ってもどかしい思いをしてるんでしょうけれど、その彼女が得るべきと思ってるものを太公望は全然欲しがってないわけで、その食い違いにやきもきしてるんだよなあ、楊センは。
彼女の苛立ちは、その理由からして実に可愛らしくて好きなんだけれど、なかなか解消は難しそうなのよねえ。その点、太上老君の方が太公望の理解者ではあるんですけれど、でも応援したいのは楊センの方なのです。
自分の置かれた立場に対する苦悩、という点では紂王のそれも、面白いと思うんですよね。ただの善人にすぎない姫昌などよりも、ずっと王としての資質に優れていた紂王。だが、その優秀さに時代や人間がついてこれず、国を創造ではなく破壊へと傾けてしまうが故に、故意に愚者たらんとする彼の苦悩、もどかしさ、悔しさ。そんな彼が出会ったのは、出会ってしまったのは国の行く末など眼中に無く、ひたすら音楽に傾倒してオンリーワンの誰も聞いたことのない最高の音を探し続け、王としてではなく音を奏でる奏者としての紂王の才能を欲する妲己であったわけで。
真面目に世界の、歴史の、国家の行く末、未来を思い、様々な立場から自分の守るべきものを守ろうと、果たすべき役割を果たそうとしている崑崙と金鰲、殷と周の人々の中で、妲己たちだけが完全に違う方向向いちゃってるのが、なんともはや。妲己たちの第三勢力の動向がちょっと読めないんですよね、これ。目的ははっきりしているのだけれど、そこに至る過程をどう突き進むつもりなのか、さっぱりわからない。何しろ、妲己がその辺まったく考えてないんだもんなあ。妹分で実務面を担当している胡喜媚が、ある程度常識的に対応しているんでまだわかりやすい金鰲と妲己勢力がゆるい協力状態にある、という形に収束しているものの、妲己の気まぐれ次第ではどうなるものか。何しろ、紂王からしてえらいことになってるわけで、これ聞仲が知ったらどうなるのやら。

1巻感想
 
11月26日

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11月25日

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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスpixiv)
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11月20日

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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(GCN文庫)
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11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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11月18日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガブックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(エンターブレイン)
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(ドラゴンノベルス)
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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11月4日

(ジャンプコミックス)
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(JUMP j books)
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(ジャンプコミックス)
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