書籍感想2019

2019年12月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

読んだ本の数:33冊 うち漫画:5冊

年末進行中。もう少し積み崩ししたかったのですけれど、仕事納めが29日ともなるとなかなかそうも行かず。年度分のまとめ記事などにも掛かっていただけに思うようには読破できなかったのですが、それでも先月よりは安定して読めた気がします。

師走はなにはともあれ、紙城境介さんの両作品がラブコメとして至高すぎました。八岐史上でも指折りの好みドストライクなんですよね、この人の描く甘酸っぱいラブコメって。

思わぬ拾い物だったのが【勇者の剣の〈贋作〉をつかまされた男の話】。これに関しては全くマークしていなかったので、全然構えていない所にとんでもない面白いものを突っ込まれてきて度肝を抜かれました。こういうのがホイっとこぼれてるから油断できんのだよ。
【おひとり様】は残念ながらここで終わってしまいましたが、順当に面白さを加速していっている【聖剣学院の魔剣使い】に、芝村先生の新作【やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい】が素晴らしく面白くて、先々期待が募るばかりです。

★★★★★(五ツ星) 2冊

継母の連れ子が元カノだった 3.幼馴染みはやめておけ】 紙城 境介/たかやKi 角川スニーカー文庫(2019/12/1)
最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ 温泉旅行編:繋いだ手だけがここにある】 紙城 境介/きただ りょうま ダッシュエックス文庫(2019/12/20)


【継母の連れ子が元カノだった 3.幼馴染みはやめておけ】 紙城 境介/たかやKi 角川スニーカー文庫

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幼馴染という関係は因縁でもある。良縁であり悪縁であり、いずれにしても容易には引きちぎれない……なんてものでもない。実のところ、あっさり消え去ることの出来る程度の縁だ。所詮は他人、どれだけ家族のように過ごしていても、避ければ遠ざけられる関係だ。それでも離れられないのなら、腐れ縁が続くのなら。それはきっと……。
これはそんな最高に因果な話である。


【最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ 温泉旅行編:繋いだ手だけがここにある】 紙城 境介/きただ りょうま ダッシュエックス文庫

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恋人よりも彼氏彼女よりも特別で唯一の関係をお互いに求め課した一組のカップルは、だから普通にしているだけでイチャイチャしてることになるんだぜ、たまらんね。
あと、謎の光だけで大事な所が隠された状態って、全裸よりもえちぃくね? そんな状態で混浴旅行とか、なにしてんでしょうねこのお二人。

★★★★☆彡(四ツ星Dash) 3冊

迷宮の王 3.神と獣と人と】 支援BIS/かとろく レジェンドノベルス(2019/12/7)
勇者の剣の〈贋作〉をつかまされた男の話 1】 書店ゾンビ/赤ミソ オーバーラップ文庫(2019/4/24)
異世界迷宮の最深部を目指そう 12】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫(2019/7/24)


【迷宮の王 3.神と獣と人と】 支援BIS/かとろく レジェンドノベルス

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かれは魔物にして王であり、勇者であった。人の勇者の血族と魔物の勇者、その背中合わせの関係は神話とも伝説とも言えるだろう結末へと至り、そしてそのさきへ。そのミライへ。
まさに現代に描かれた最新のヒロイックサーガでありました。


【勇者の剣の〈贋作〉をつかまされた男の話 1】 書店ゾンビ/赤ミソ オーバーラップ文庫

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神や王や剣に選ばれた選定の勇者ではない、自ら勇者を名乗り世界を覆おうとする絶望の魔に立ち向かった男の話であり、人々に勇気と希望を与え続けた男とその仲間たちの物語である。


【異世界迷宮の最深部を目指そう 12】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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それは永く永く一緒にいることの出来なかった姉と弟の結末。それはきっと完全無欠の大団円。
それはきっと別れではなく再会の物語。帰郷の物語。祝たる果ての物語。


★★★★(四ツ星) 4冊

聖なる騎士の暗黒道 2】 坂石遊作 /へいろー HJ文庫(2019/11/29)
やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい】 芝村 裕吏/ 片桐 雛太 MF文庫J(2019/9/25)
聖剣学院の魔剣使い 2】 志瑞祐/ 遠坂 あさぎ MF文庫J(2019/9/25)
お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。4】 凪木 エコ/あゆま紗由 富士見ファンタジア文庫(2019/12/20)

【聖なる騎士の暗黒道 2】 坂石遊作 /へいろー HJ文庫

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【やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい】 芝村 裕吏/ 片桐 雛太 MF文庫J

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【聖剣学院の魔剣使い 2】 志瑞祐/ 遠坂 あさぎ MF文庫J

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【お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。4】 凪木 エコ/あゆま紗由 富士見ファンタジア文庫

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以下に、読書メーター読録と一言感想
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容姿端麗、文武両道な生徒会長は俺のストーカーではない(願望) ★★★   



【容姿端麗、文武両道な生徒会長は俺のストーカーではない(願望)】 恵/ぎうにう ダッシュエックス文庫

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全生徒憧れの生徒会長、東雲綾先輩のピンチを救った俺、守谷廉は、彼女にひと目惚れされ、告白を受けてしまう。しかし、黒歴史を理由に交際を断る俺に、諦めきれない綾先輩はストーカーと化し!?お弁当作りに始まり、家に押しかけられ、子作りを迫られ、いつでもどこでも綾先輩の気配が!?しかも、半強制的に生徒会メンバーの一員になることに!?お嬢様な姫華先輩に、小動物系の小毬先輩。唯一の常識人である雫。俺は、平穏な学園生活を望んでいたはずなのに…。綾先輩の暴走が止まらない!ストーカー系ラブコメ開幕!!
これ、相当ガチ目の洒落にならないタイプのストーカーじゃないかしら!?
東雲綾会長、それまで一切ストーカー的な気質を見せておらず、偏執的執着的な性向があったわけではなかったにも関わらず、廉くんに助けられて恋という感情を芽生えさせた途端に、アレですよ。元々そういうタイプだった、というのなら加減もわかってるだろうし(?)、なんだかんだとラインをわかっていそうだけれど、この突然目覚めてしまったあたりがヤバい。恋は盲目じゃないけれど、自分の明らかにヤバい行動に一切疑問を抱いていないし、はっきり言って怖い! 
これは男の側としても美人の先輩にアプローチされて嬉しいというよりも、なにこれ怖い、という感情が先立ってしまうのではないだろうか。実際、廉くんドン引きである。
生徒会長としての綾は尊敬に値する人物だし、その優秀さや人格も含めて廉も敬意を抱いているんだけれど、女性としてはドン引きしっぱなしで結局彼女に女性として好意を抱く瞬間はなかったんじゃないだろうか、これ。うん、会長として尊敬したり信頼したりする機会はあったかもしれないけれど、それ以外の通常の廉への接し方がアウトすぎて、好意を抱くよりもストレスで胃に穴があきそうな感じになってるし。副会長のサディストな性格もストレスに拍車をかけているし、顧問の松本先生は放任を通り越して無責任に推してくるし。
正直小毬ちゃん先輩の毒舌も笑ってられないくらい舌鋒尖すぎて普通に傷つくレベルだと思うのだけれど、この娘は口が悪いだけでそれ以外は無害だし悪意も少ないので、廉くんとしても癒やし枠の方に入ってる気がする。小毬先輩で癒やされているあたりに、彼の境遇の瀬戸際さがにわかに感じられてしまうのだけれど。
こんな環境なものだから、唯一の真人間で会長を制止してくれる唯一の存在で、なにくれとなく助けてくれてサポートしてくれる松本先生の妹で綾会長の従妹という肉親でもあり、唯一のストッパー役でもある雫が、完全に廉にとって救いになってるんですよね。むしろ、相対的に綾会長に迫られるたびに助けてくれる雫への好感度がぐんぐん上がってるんじゃないだろうか。
真面目だけれど堅物じゃなくて物腰も柔らかくて、と傍から見てても雫の方が断然優良物件に思えてしまう。
ただ……正気の状態だったら綾会長も雫にも増して穏やかで真面目でかっこいい女性で、あの酷いありさまを見てなかったら学校のアイドルなのも当然な女神っぷりなんですよね。これ同じ血族である雫も、恋をしてしまうと同じ状態になっちゃうとかじゃないだろうか。だとするとやっぱり怖いw

これはもう、普通に可愛いだけな水原さんが安牌なんじゃないだろうか。ギャル仲間に無理やり引っ張り回されてたり、廉とのやり取りでも何気に押しとか圧に弱いところがあるだけに、とても綾会長なんかと修羅場できないだろうけど、この人じゃあw
しかし漫研の一件での廉くんの動き方は、あんまり納得行かない。話の都合上動かされたというような不自然さを感じさせられたんですよね。あの写真取られて脅されたとき。あそこでただただ黙って言いなりになるのって、展開的にも廉というキャラがこれまで見せていた姿からしても「!??」って感じでしたからね。あそこで若干テンション落ちてしまったところがある。他の時には空気も読まずにグイグイストーカーらしく絡みまくっていた会長が、このときだけは妙に動き鈍かったのも違和感だらけでしたし。
そういうのも含めて、話の転がし方に不自然というかぎこちなさというか、ちゃんと舗装してレールしかないで未整備のまま無理やり押し込んでいくような所が若干見受けられたのだけれど、キャラ同士のやり取りなどギャグ寄りのラブコメのテンポの良さは非常に心地よく読みやすいものがありました。いやでも、ヒロインとして綾会長は自分としてはホントにガチなストーカーすぎてちょっと無理かもしらん(苦笑

異世界迷宮の最深部を目指そう 12 ★★★★☆   



【異世界迷宮の最深部を目指そう 12】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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ディアと陽滝を取り戻し、『風の理を盗むもの』ティティーを故郷へ送るべく、ヴィアイシア国へ向かうカナミたち。
一方、『木の理を盗むもの』アイドは、その王都にて着々とカナミとの決闘に備えていた。
――すべては『統べる王(ロード)』のために。記憶の最果てにある『代償』が何かを知らずに。
……そして童は、その瞳の中に答えを知る。
「――姉様。よかった、今度は間に合いました」
千年より長い一瞬の『いま』『ここ』に、寄り道は終わる。
白桜に満ちた『第四十の試練』の帰り道を、童二人が歩いていく。
ティティーとはアイドとの決着がつけばお別れ。それがわかっていたから彼女がはしゃいでいる姿が楽しくもどこか寂しい思いを抱いていた。きっと彼女が消える時は悲しくて仕方ないだろうと感じていた。
どうにも人は、かつて抱いた思いを忘れてしまう。ローウェンのときだってそうだったじゃないか。
その別れは寂しく辛く悲しくとも、未練を果たして帰っていく「理を盗むもの」たちはみんな幸せそうに笑っていたじゃないか。
だから今回も、ティティーとアイドにはこう言葉を送るのだ。
おめでとう、良かったね。


そう、今回はカナミの試練じゃなかったんですよね。アイドが司り守護する『第四十の試練』の挑戦者は……。
この物語の途方も無いところはこういう所なんだろう。階層を守護するものを打倒して、さらなるダンジョンの深層に潜っていく。そんな本来あるべきダンジョン攻略の概念を、根底からひっくり返してきた本作だけれど、此度もまたとびっきりの前提の抹消だったのではないだろうか。
今までの理を盗む者たちに比べたら、アイドは随分と素直な迷い方をしていた。他の連中のドツボのハマりっぷりときたら目を覆わんばかりだったけれど、アイドの優しい気質ゆえだろう。相変わらず話を聞かずに自己完結してしまっているという意味では他の連中と変わらなかったけれど、彼の本来の未練の見失い方はこう言ってはなんだけれど、迷走して蛇行してどこを走っているのかさっぱりわからなくなっているような酷いものではなく、まっすぐにUターンしているようなもので、お姉ちゃんのウザったいくらいのグダグダっぷりと比べたら、いっそ清々しいくらいに真っ直ぐ間違っていてくれて、戸惑いようがなかったとも言える。
でも、話は聞こうね、ほんと。
使徒シスみたいに話がまったく通じない本当の意味で自己完結してしまっているような輩もいるので、何事も話し合いでなんては言えないけれど、アイドくんは分かりやすく聞かない振りしすぎである。だからこそ、耳かっぽじって聞こえるように言ったらすぐに理解して受け入れてくれたという意味でまったくもってやりやすかったのですが。
使徒シスは自己完結している分、考え方の拡張性が全然なってなくて、やらかしまくっていたわりに何も出来ない奴だった。パリンクロン・レガシィを見習いなさいよ。あの難敵は未だにトラウマだもの。アイドが本来の在り方に立ち戻り、千年前に果たせなかった未練を取り戻すためについにティティーと通じ合い、ありえない決着を引き寄せようとテンションあげまくってもう勝ったよし風呂入って来よう、くらいのクライマックスに入っても、ここまで上げてると逆に落としてくるのでは!? もしかして負けちゃうのでは!? と、本気で心配になったのはおおむねパリンクロンの影響に違いない。彼のおかげで、この物語にはあげたら落とすんじゃないか。上げてなくても落とすんじゃないか。落としておいてさらに落とすんじゃないか、という不信感が常につきまとっているんですよね。もうパリンクロンを打倒して以降はカナミも成長し、ヒロインたちも病んでれているのを除けば概ねマトモな思考になっているはずなので、シリーズ後半に入ってからはそうそう酷い意味でのちゃぶ台返しはなくなっているのですが、それでも未だに戦々恐々としてしまうのは十分トラウマだと思うのですよw
これはもう、作品が完結するまでは拭えないキズだと思われる。それくらいどれだけ調子に乗ってても構えて精神的に備えていないと不安で仕方ないし、それくらいの警戒は常に絶やさない方が安全安心なのである。ひどいお話もあったものだ。
全然ひどくない、とても美しい終端の物語だったんですけどね。本当に何事もなく順当にティティーとアイドの姉弟の絆が取り戻せて、二人の未練が果たされた安堵感が、余計に二人の結末を透明に彩ったように思います。
心の焼き付かれるような美しい情景を残して帰っていった、文句なしのハッピーエンドでした。
千年前の英雄たちが、今に顕現してかつての夢の名残を叶えて残していってくれた贈り物は、正しくルージュたちに引き継がれる。それは場所であり想いであり、姉弟の祖父母から引き継がれた精神であり……。多くが失われても、無くされないまま継がれていくものがここにある。
ディアもようやく戻ってきてくれて、彼女の中のシスと決着をつけた事もあって、ようやくディアがいだき続けていた不安や怯えを解消できて、本当の意味で最初に仲間になった時にやり直しが出来た。何かを押し殺し隠すことのない、様々な側面を内包したあるがままのディアとカナミ/ジークとして一緒になれた。初めて、ここから始められる事が出来たのではないでしょうか。
そして、ようやく妹陽滝を取り戻したカナミ。未だ目覚めぬ彼女だけれど……寝てる割に動き回れるわ戦えるわ、なにこの便利睡眠女子w
これほど汎用性機動性稼働性能に長けた眠り姫は見たことないんですけど。

しかして次回は……ライナーが主人公!?

シリーズ感想

大魔法師の息子 Lesson1 最強の愛弟子と復讐に囚われる少女 ★★★☆   



【大魔法師の息子 Lesson1 最強の愛弟子と復讐に囚われる少女】 大菩薩/ねめ猫6 オーバーラップ文庫

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魔法――かつて第三次世界大戦の中で《大魔法師》によりもたらされた新技術。
そんな魔法の研究機関が集う人工島《武蔵》の魔法師養成のためのエリート校・武蔵学園に、ある少年が入学する。
名門・焔魔(えんま)家に生まれながら捨てられた“無能"であり、《大魔法師》アリアに育てられた最愛の“息子"――無道袮音(むどうねいん)。
アリアの教育の甲斐あって、袮音は学園でめきめきと頭角を現していく。
しかし順風満帆と思われた彼の学園生活は、かつて自分を捨てた焔魔家との因縁や、家族の仇を追う少女・暗条冥(あんじょうめい)との出会いにより波乱万丈なものとなっていき……!?
「第5回オーバーラップWEB小説大賞」奨励賞受賞の新英雄譚、堂々開幕!!

非常にオーソドックスな作りなのだけれど、それで退屈というわけではなくスルスルと読める面白味がある作品でした。こういうのって、同じような展開でありながら教科書的な味気ない読み応えになってる作品とどういう所が違うんですかねえ。これでも結構な数読み散らしてはいるのですけれど、そのあたりの差異をどうしても具体的に出来なくて難しい。本作なんかも決して文章が上手いタイプではないんですよね。それどころか地の文とか説明的になってしまっている部分が多々見受けられてテンポを崩されるところも多いし、決して地に足がついている洗練された文章というわけではない。でも、そういう部分をあんまり気にしなくて済んでいて、ぎこちなさがあまりストレスにならない。長年読んでいても未だに不思議だなあ、と思うところであります。
本作は敢えていうなら、登場人物の描き方に人間味が感じられるという所かもしれません。個性的なキャラ付けはされていないのだけれど、それぞれに丁寧にキャラクターが描かれている。その人の性格、行動原理、そこから発生する感情表現や他の人との接し方、相手の行動に対しての心の動き。そういうのが朴訥として丁寧であるからこそ、読み易さが安さにならずに済んでいるというべきか。
入学早々から、お調子者ながら信頼できる親友が出来るというのも良かったのかも。こいつがまたイイ奴なんですよね。浮ついているけれど怒るべき所で怒ってくれるし、袮音の境遇を知ってもまったく動じないで居てくれる。ヒロインじゃなくて男キャラにこういう奴が居てくれると、それだけ主人公の方にもキャラに幅が出ますし、何よりこういう友人キャラがいて気安いやり取りをしているということが主人公にも親しみを感じさせる要因になる。

一方でヒロインの暗条冥の方はというと、刺々しいキャラで取っつきにくいのですけれど、ある意味袮音が既に通り過ぎたダークサイドにはまり込んでいる復讐者という立ち位置で、袮音が他人事に思えず気にかけてしまうという人間関係の紐付けにもなっていて、登場人物同士の関係を成り立たせるための筋道をきっちり整えてるんですよね。
魔法師界隈では欠陥者として扱われる袮音の要素を踏まえつつ、それを吹き飛ばすだけの痛快さもちゃんとこの手の作品として備えているし、一方で彼への理解者も普通に多く変に孤立させていないあたりも、袮音を人間外に追いやらずに年相応の男の子らしい主人公として成り立たせているのではないでしょうか。
彼が家族から捨てられる事になった出来事も、どうやら外部からの悪意が介在しているようで謀略の陰が見えるのですが、しかし今回登場した敵役には袮音に関して知っている様子もなく、果たしてまったく関係がないのかどうなのか。記憶を操る云々の操作をしているあたり無関係ではなさそうなんだけれど、世間的に特別でも何でもなかったただの無能力者の袮音をあのような形で強引に放逐する理由が、今の所全く見えないだけにここは話が進まないと展開も見えてこないか。
少なくとも、袮音の家族は現状加害者だけれど実は彼らも被害者でそもそも袮音に対して害意も隔意もなく、普通に愛情を抱いていたようなので仲直りできそうな余地があってよかった。まあ今の所は、捨てられた方の袮音がどうしても拒絶感、憎しみを捨てられないのも当然なので、今の関係は仕方ないのだろうけど。
しかしこれ、ヒロインは普通に冥で良いんだろうか。義母のアリアさんがめっちゃ唾つけまくってて、色んな意味でダメ女なアリアさん相手だととてもじゃないけど手を出したら火傷ですまなさそうなんだけどw

魔法少女育成計画「黒(ブラック)」 ★★★☆  



【魔法少女育成計画「黒(ブラック)」】 遠藤 浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい! 文庫

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市立梅見崎中学校、2年F組。女子ばかり、わずか15人だけで構成された奇妙な学級だが――
その実態は「正しい魔法少女」を育成するために作られた「魔法の国」肝煎りの特別クラスだった!
選ばれたエリート魔法少女たちは未来への希望に顔を輝かせるが、その陰には邪悪な意思が蠢いており……。
魔法少女スノーホワイトのサーガも、ついに佳境へ。「魔法少女狩り」の新たな獲物とは!?
スノーホワイトは健在なり!
正直、前回彼女が受けた仕打ちは修羅とかしたスノーホワイトをして、耐えられるもんじゃない。ラ・ピュセルやハードゴアアリスが願い思い描いた魔法少女を決定的に逸脱してしまった。罪を犯した、それは致命傷に等しい傷になってしまった、と思ったのですが。
それでもスノーホワイトは屈しなかったのか。
ただ前にも増して陰は濃くなっている感じはあるんですよね。小雪としての普通の少女としての日常生活は完全にドロップアウトしてしまいましたし、「魔法少女狩り」としてさらにダークヒーロー化が進んでしまった感がある。でも健気に本来の魔法少女、初めの頃の志を忘れずにその在り方を続けようという姿勢も保っているわけで、スノーホワイトの心は未だ折れていないのが伝わってくる。
一方で以前のようなほぼリップルだけと連絡を取り合ってた活動と違って、ある種のグループを作って徒党を組んでるんですね。フレデリカの企みの阻止やリップルの救出という大きな目的がある以上、協力者がいるに越した事はないですし一種のスノーホワイト派のようなものが出来上がりつつあるのが興味深い。デリュージが合流しているのもなかなか驚きだったけれど、まさかのシャドウゲールが一緒にいるのは仰天した。本来ならスノーホワイトは仇になっちゃいますもんね。ただ、シャドウゲールの今の状態がそれを許しているのか。正気に戻ってしまったときが怖いんだけど。スノーホワイトの方もよく彼女を傍に置いているもんだと思う所だけれど、彼女としてはシャドウゲールは罪の象徴なんだろうなあ。

さて、またぞろ何のつもりかわからない迂遠きわまる回りくどい暗躍をみせるピティ・フレデリカ。彼女が牢獄から出したカナは本人は何の目的で牢を出されて魔法少女学園に入学させられたか知らないし、本人としては普通に馴染もうとしているのだけれど、それこそがフレデリカの目的のような気もするし、本当に何を企んでいるのか。カナが魔法少女の変身状態を解かないのも随分と意味深な理由があるみたいだし。
折角の学園ものにも関わらず、誰も彼もがギスギスしていて胃を痛めている連中が多すぎるw それでいて大半が事なかれ主義に徹しようとしているのがなんともはや。魔法の国の派閥争いがそのままクラス内に持ち込まれている、と思われている事がこのギスギス感に拍車を掛けているのだけれど、校長や先生が考えているただの派閥争いというわけじゃなさそうなのも複雑怪奇な状況になってるんですよね。派閥の意向を汲んで動いている人は案外少なそうなわりに個人的に、或いは誰かの思惑で動いている者は結構居そう。実際、スノーホワイトが送り込んで情報を流して貰っている娘なんかもいるわけで。
一方でそういう後ろ盾に対して何の知識も感心も持たずにいる権力抗争とは関係ないド素人の魔法少女なんかもいるわけで、でもそういう娘たちも蚊帳の外に置かれているわけじゃなくて、フレデリカのような連中の思惑の中に取り込まれているのではないか、という様子もあって……。
と、権力抗争だけが問題ならそれはそれでシンプルではあるんだけれど、それ以上に人間性に問題があるやつが……メピスあんたのことだよ! 人間的にダメだったりおかしかったりイカレてたりという輩は今までも山程いたけれど、こいつの場合イキってる考えなしの乱暴者で無法者の狂犬というだけで、その上ド素人枠の方だし、こいつが居ないかおとなしくしているだけでこの学園ちゃんと纏まっちゃうんじゃないか、というくらい学級崩壊の特異点になっているように見える。そのわりに、みんなこの娘のこと庇うし当たり障りのないように接してるんですよね。そのおかげで余計に調子乗っている感じもあるし。気を使いまくってるテティがかわいそうすぎる。
カナのマイペースがうまいことメピスの懐に入り込む要素になっているけれど、どれほど怒ってない姿を見せても全然好感度は上昇しないよな、これ。

魔王塾関係者はある意味シンプルで人間的にも信用できそうなんだけど、どうもフレデリカの紐付きの可能性もあるので本人たちの意図しない所で、謀略の駒になっている可能性もあるし、兎にも角にもフレデリカの思惑が見えてこないとどうにも何がどうなっているのか見えてこないというのがもどかしい。ラストの戦闘用ホムンクルスの暴走も意図がわからないし。
その意味では、まさかのスノーホワイトご本人の介入というのは、友好な斬り込みになるかもしれないけれど、フレデリカの用意した盤上に乗ったとも言えるわけで、果たして彼女がゲームマスターなプランニングを盤上から破壊できるのか。なんにせよ、主役たる「魔法少女狩り」の堂々見参である。次巻がどう動くのか楽しみ。本編の続編は数年ぶりの久々だっただけに、次は早めにお願いしたいなあ。

シリーズ感想

覇逆のドラグーン 1 ~落伍竜機士は運命の姫と、暁の極光世界を翔け上がる~ ★★★☆   



【覇逆のドラグーン 1 ~落伍竜機士は運命の姫と、暁の極光世界を翔け上がる~】 榊 一郎/もねてぃ HJ文庫

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16歳の竜機士たちの反逆英雄譚!

科学と竜の力が共存する世界。竜機士を育成する軍学校に通う少年・クロウは、ある日突然、異常事態に遭遇する。空を覆うオーロラの下、大人たちが突如、劣等世代とみなされていた「16歳」の少年少女を虐殺し始めたのだ。
学内随一の戦闘力を持ちながらも、反抗的態度から落伍者扱いされていたクロウは、混乱の中、同じく16歳の王国の姫・ルティエと出会い、軍の浮走艦を奪取。仲間とともに謎の敵と戦いつつ、一団を結成し空に旅立つ……!
若き竜機士たちが「世界」を取り戻すべく牙を剥く、反逆の英雄譚!

群像劇、群像劇ですぞ。今までとはアプローチを変えて、敢えて難しい多数の登場人物を描こうという意欲作。さすがはベテラン榊先生というべきで、短い描写やシチュエーションで見事にメインの登場人物たちのキャラを立てることに成功している。むしろこれ、脇の連中の方に力入ってないだろうか、と思うくらいに。
男性キャラも三人いるのだけれど、何気にそれぞれが今までの榊作品の主人公っぽいキャラ立てがされてるような気がするぞ。ヤサグレ系に真面目な優等生タイプにうらぶれた退廃系という三点セット。その中でもうらぶれた三十路のおっさんが委員長キャラな娘とガッツリフラグ立ててしまっていたのには唆られてしまいましたがな。生真面目系のお嬢様が頼りになるけどだらし無い大人の男性に絆されてハマってくというのは、こう、うん、いいね!!
いやまだ、フラグがたったくらいでなにも始まってもいないのだけれど、心折れて立ち直れなくなりそうになっていた所に、そっと背中を支えられて大人の包容力にキュンと来て、みたいな展開があったらそりゃあねえw
今回は群像劇ということで、これまで培ってきたストックを惜しげもなく投入するかのように、最近得意の無感情に見えて感情豊かな我道をゆくタイプのヒロイン、しかも幼馴染というキャラも登場。この娘、完全に【棺姫のチャイカ】のアカリタイプだよなあ。

さて肝心のストーリーですけれど、生まれて来る子を祝福するのに年に一度輝くオーロラの光をお腹に赤ちゃんがいる妊婦に浴びさせる、という世界で気候変動によりオーロラの光を浴びることの出来なかった世代、祝福されざる者たち16歳の男女が主人公となるわけですが、ある祭りの日を境に突然、この16歳の子どもたちをそれ以外の年代の人間たちが無慈悲に、というか無感情に殺戮しはじめるのが、物語のはじまりとなります。
差別感情とか信仰とかによる個々の意志や社会の雰囲気によるものではなくて、この世代の子たちを殺そうとしている時の人間たちは、まるで意志を失った人形かロボットかみたいな感じになってるんですね。そこに意志や感情はなく、まるで原理原則に基づくように機械的に殺戮が行われていくのである。元は仲の良かった親子や知り合いであっても、突然無感情にゴミを廃棄するように殺しにかかってくるのですから、これもうホラーである。
そんな、世界中の人間が敵に回ったような、自分たち以外が全部怪物と化してしまったかのような悪夢の中で、必死に集い身を守りあい生き抜くために戦う少年少女たち。
異世界ファンタジーでありつつも、どこかコズミックホラーかゾンビパニックものの様相もていしている本作。この惑星外からの光とか電波を定期的に浴び続けていた人間たちがおかしくなって、世界が狂ってしまう中でその光だかを浴びることがなかった人たちだけが正気を保っていて、その原因を探りながら生き延びようと抗うサバイバルもの、って前にも似たようなのを読んだような気がするのだけれど、なんだったかなあ、思い出せない。
ともあれ、孤立した少年少女の集団が生き残るために結束して集団を作り、というサバイバルなシチュエーションはやはり燃えるものがあるんですよね。カップル厨的にも色々とくっつきそうなカップルが既に幾つも見受けられるし、メリダ、シビル、カトリーナの三人トリオがまたいい味出してるんですよね。何気に、全員修羅場潜ったのが良い方に作用して、覚悟も決まってて、無闇に暴走する方向に走っていないのも好印象。覚悟が理知に繋がってるんですよね。主人公のクロウも、粗野に見えて非常に気遣い上手な方ですし、この凄惨な状況に一番ダメージ受けていた委員長なクラリッサもアラサーなおっさんのカイルのおかげで立ち直っていますし、メリダたち含めてみんないい意味で自立した優秀さを兼ね備えているので、よく纏まったグループになってるんですよね。
まあこのシチュエーションだと、誰かが馬鹿やってしまった途端に全体がデッドエンドになってしまいかねない過酷さなので、みんなが最善を尽くさないとどうしようもないのですが。
取り敢えず、この絶望的な状況を打破するための糸口が見つかって、そこへと進むことに。でも、この段階で姫を中心に建国を宣言するあたり、最悪自分たちだけで生きていくという覚悟も決まっているんですよね。これは次回以降の展開が非常に楽しみ。

榊一郎作品感想

氷川先生はオタク彼氏がほしい。1時間目 ★★★☆   



【氷川先生はオタク彼氏がほしい。1時間目】 篠宮 夕/西沢5ミリ 富士見ファンタジア文庫

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オタクでつながる男子高校生×先生の禁断甘々ラブコメ!

「可愛くて優しいオタク彼女がほしい」
儚い願望を抱くオタク高校生の俺、霧島拓也は春休み――理想の彼女に、出会った。
「そ、その、もう少し君と話せたらなって思ってて……」
オタク美少女、氷川真白さんに!
趣味も相性抜群な俺たちはすぐに仲良くなって、氷川さんの手料理をご馳走になったり、オタクデートを重ね、晴れて恋人になったんだけど……新学期。

「私が皆さんの担任となりました……えっ?」
「……はっ?」

彼女の正体は、学校の鬼教師“雪姫”こと氷川先生だった!?
ちょ、え……生徒と教師って絶対アウトなやつじゃねぇか!

これは俺と氷川先生の、禁じられた二人の、秘密の恋物語だ。

先生、可愛いです可愛いです。25歳はまだ美少女だよ、うん。高校生から見ると、先生なんてのは若かろうが凄く大人に見えるものなんですけど、当の25歳からすると中身はそう簡単に社会人になったからといって大人になってるわけじゃないんですよね。まだこのくらいだったら、気分的には高校生たちとそんな変わってないつもりなんじゃないだろうか。
中身が大人になるって、経年によるものじゃないもんなあ。いい年した自分だってとてもまだ中身大人になってるとは思わんもんね。
しかし、中身がどうだろうと二人の関係は先生と生徒という禁断の関係なのである。でも、この二人の場合珍しいことに教師と生徒という関係から恋愛に発展したのではなくて、お互い自分の立場を知らない間に関係を育み恋人になってから、自分たちが同じ学校の先生と生徒であったと知ってしまうパターンなんですよね。
不思議なことに、こうなると社会的立場によって理不尽に引き裂かれてしまう恋、という観念が芽生えてくるのである。まあ、未成年にちょっかい出してしまっている時点で昨今では十分アウトなのですが。付き合いだした時には二人ともお互いの年齢とか知らなかったんですよねえ。拓也くんは先生が持っていた参考書から女子大生と勘違いしていたわけですし。先生は若干怪しいけどw いや、まさか高校生とは思ってなかったんだろうけど、年下彼氏ーとはしゃいでいた節はあるw
ともあれ、いけないとわかっていて結ばれた関係ではなく、最初にまず恋があっただけにそれが外部要因によって遮断されるというのはやっぱり納得がいかないものがあるんですよね。
それでも、この関係が発覚した場合自分も失職してしまうし、それ以上に未来ある高校生の拓也の将来に傷がつく、という事で一線を引こうとする先生のそれは、それで立派な覚悟であったと思います。
その上でお互い悩み、好きという感情が本物同士であることを確認しあって、それを貫く覚悟を決めるのもまた立派な決意だったんじゃないでしょうか。決して軽く考えていたわけではないし、浮ついた気持ちのまま先走ってしまったわけじゃない。二人とも、身近に建前じゃなくて本音を後押ししてくれるような人たちがいたのも大きいのでしょうけど。禁断の関係である以上、二人きりの孤立した世界となるのは本当に危ういことです。そこに味方になってくれる人がいるというのは、無視できない影響があったでしょう。
それでも、拓也が高校生の間はちゃんと節制したプラトニックな関係を堅持しようというのは、先生なりのケジメではあるんでしょうけれど……卒業まで待ってたらアラサーになっちゃうけど大丈夫ですか先生!?w

とはいえ、先生と生徒の恋人関係というのは難しいものです。秘められた関係であるからこそ、おおっぴらに出来ない関係であるからこそ、拓也には高校生らしい恋愛を経験させてあげたい、という先生の気持ちは……こういうの、大人な部分なんだろうなあ。ただそれは恋人としての責任感とはまた違うわけで。
禁断の関係という重大事に先生も拓也も意識を囚われ、引っ張られていた、と言えるのでしょう。自ら、そういう枠組みに自分たちを当てはめてしまおうという強迫観念に囚われていたのかもしれません。でも、そりゃそうですよね。二人の関係の最大の特徴で特異性は、自分たちから見てもよそから見ても、先生と生徒の恋愛という点がどうしたって目玉になってしまっているのですから。
まず、自分たちの関係は禁断の恋愛関係なのだ、と思ってしまうのも仕方ない。
でも思い出してみてください。最初の二人には、そんな先生だの生徒だのといった立場なんてなかったわけです。氷川真白が好きになったのは、同じ趣味の話が合う男の子で、霧島拓也が恋をしたのはオタク趣味の優しいお姉さんだったのですから。
目の前のどうしようもないくらい厳然とした障害から意識を引き剥がし、原点に立ち戻ることが出来た拓也くん。まずもって自分たちはオタクカップルだったじゃないか、という事に気づいてみせた拓也くんはホント大したものです。
この作品自体も、決して先生と生徒の禁断の恋がメインじゃないんだぞ。オタク趣味の年の差カップルのラブコメであって、先生と生徒であることだけに縛られた話じゃないんだぞ、というところまで引き戻して見せたと思うんですよね、最後の拓也の告白は。あれは、拓也と恋人であり続けると決意し覚悟を決めながら、そこに縛られ先生である自分に自縄自縛になっていた真白先生を文字通り解き放ったんじゃないでしょうか。
恋愛ってのは、苦しむもんじゃないですよね。どんな形の関係であろうと、楽しくないと。
この二人は、今の関係をちゃんと楽しみ続けていくことが出来るカップルに、最後になれたんじゃないでしょうか。うん、よいラブコメです。

篠宮夕作品感想

お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。4 ★★★★   



【お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。4】 凪木 エコ/あゆま紗由 富士見ファンタジア文庫

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文化祭。当日は何処で何をしてひとりで過ごそうか胸を弾ませていた春一を襲うテンプレ展開…実行委員に抜擢される。面倒くさいことは迅速に、の精神でおひとり様スキルフル活用で仕事を完璧にこなす春一へ華梨の余計な一言が炸裂する!
「私、姫宮君に勝ってみたい!姫宮君っ、私と勝負しよう!」
強制戦闘イベントを華麗にスルーし続ける春一のもう一つの悩みの種、「い、今は恥ずかし過ぎて姫宮の顔もまともに見れないから…」キャンプでの告白で英玲奈とは妙にギクシャク。華梨と英玲奈、二人との関係は確実に変化しているようで―。ひねくれボッチートな青春ラブコメ、文化祭はひとりに限る。

いやこいつ凄えわ。なにこの姫宮くんてば、完璧超人? ただでさえ文化祭の実行委員としていい仕事してるのに、トラブルは片っ端から解決していくはトラブルになる前にうまいこと収めるわ、なんだかんだとクラスはうまいことまとめるわ。それを必死に駆けずり回って、ではなく無理なく自分のペースでちょいちょいっと手を入れて調整していく感じなんですよね。暴走する美咲にストップかけるタイミングまで絶妙でしたし。アフターフォローの気遣いというか観察力まで言うことなし。
美咲華梨が対抗心むき出しにして勝負しにかかってきたものの、見事に返り討ちにあって心折れてしまうのも無理ないですわ。いや太刀打ちできんてこれ。美咲も本来なら超ハイスペックのなんでも出来る少女なんだけれど、今回は常にがむしゃらに全力、で行き過ぎてしまったところもあるのでしょう。競馬で言う所のかかった状態、とでも言うのか。
正直な所、なんで美咲がこんなに姫宮に対抗心むき出しにしてきたのかちょっとわからない部分もあったんですよね。姫宮のおひとり様好きについては理解を示しているものの、それはそれとして彼がみんなと関わる方向で動くことを喜びはすれど、こうやって張り合ってくる理由については彼女の明るいキャラクターを込みにしても微妙に変だなあ、と思う真剣さがあったんで。
その疑問が紐解かれたのが、実のところ本作じゃなくて「小説家になろう」で作者の凪木さんが公開している美咲視点の後日談の短編なんですよね。
これ読んで、彼女の心中を目の当たりにして、ようやく「そうだったのかー」と納得した次第。これは本文中になんとかして付与していくべき内容だったんじゃないかな。思いっきり美咲の動機であり原動力である「こたえ」がそこにあったわけですし。
うん、そうかー。そうだよなあ。彼女がそうなってしまうのも無理ないよなあ、姫宮のそれとあれだけ向き合ってたら。むしろ、一番影響受けてるのが美咲ですよね。
美咲華梨という少女は色んな意味で意識高い系なんですよね。姫宮春一という青年のおひとり様ライフに対しても良き理解者となっている事を加味してみると、彼女としてはここで何としてでも姫宮くんと対等となれる自分を自分自身に証明したかったのではないでしょうか。彼のおひとり様ライフを邪魔することなく、しかしその隣に立てる自分を。そうでもしないと、彼女としてはスタート地点に立てなかった、とするならまあ何という自立意識の高さというべきで。

これは英玲奈もそうなんだけれど、本来ならもっととっつきにくいだろう姫宮春一のおひとり様ライフをちゃんと理解して凄く尊重してくれる稀有な人物なんですよね、この二人。まあ彼女らに限らず、ここのクラスメイトたちや学校の人たちもなんだかんだと許容範囲の広い器の大きい人物揃いの気もしますけど。対人能力が異常に高い姫宮だけれど端から異端を理解しようともせず見下してきたり自分たちの価値観を押し付けてこようとするような連中に対して、わざわざ理解を求めて歩み寄ろうなんて真似をするようなタイプではないでしょう。
そんな彼がこうして歩み寄っているのは、間違いなく彼の生き方を尊重してくれる美咲と英玲奈たちが居たからなんですよね。だから、姫宮も特にこの二人に対しては口には出さないけど、随分と敬意と親愛を抱いているのがよく分かる。他のクラスメイトたちにも自分からあれこれ動いてあげようと思うだけの、親しみを持ってるみたいですし。
今回、文化祭実行委員として働くためにいつものようなおひとり様ライフはあんまりしていなかったし、みんなとあれこれ作業することを素直に楽しい、と感じていましたけれど、それは決して彼のおひとり様好きな生き方から妥協したり変節したりしたわけではないのです。
姫宮のみならず、この文化祭では様々な階層の、グループの人たちが分け隔てなく盛り上がることが出来ていました。相互になかなか理解し合えない、価値観を共有できない断絶のある人種が、歩み寄れた日。ちょっとした理解と尊重が、それぞれの在り方をそのままの形で受け入れあえる。共存と融和が成せた楽しい日、という趣きだったんじゃないでしょうか。
まあこれ、普通は無理でしょうけどね。こういう自分の知らない価値観を拒絶しない、拒否しない、無視しない、否定しない、忌避感を抱かない、という子たちが揃うなんて難しいことでしょうし。
それだけ、ここに登場する子どもたちは良い子で聡明な子たちで優しい子たちだった、ということなのでしょう。
しかし姫宮は、ホントに英玲奈と華梨の二人は大事にせんといかんと思うよ。果たして彼の人生でこれほど自分の生き方に理解を示し尊重してくれながら、同時に好意を抱いてくれる女性なんて滅多現れないだろうし。これだけ自立していて、自分も相手も殺さないで楽しくしようとしてくれる人もいないでしょうから。姫宮はこの二人となら、おひとり様ライフを存分に堪能し楽しみながら、そこにプラスして違う楽しさも味わうことが叶うことになるのでしょうから。
残念ながら、売上の関係もありこのシリーズはここで終了。恋愛編の方の結論も見てみたかったんですけどねえ。着実に一歩一歩寄り添ってくる英玲奈に対して、美咲華梨の怒涛の逆襲編とか、姫宮のおひとり様ライフを踏まえての恋愛観なんかも実に興味あるところでしたし。
ぼっちとは異なる毅然敢然としたおひとり様ライフをこよなく愛する姫宮春一という特異な主人公はホントに見応えあるキャラで面白かった。ぜひ次回作でも、彼に負けない主人公を引っ張り出してきてほしいものです。

1巻 2巻 3巻感想

お直し処猫庵 お困りの貴方へ肉球貸します ★★★☆   



【お直し処猫庵 お困りの貴方へ肉球貸します】 尼野 ゆたか/ おぷうの兄さん(おぷうのきょうだい) 富士見L文庫

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口下手なOL・由奈はへこんでいた。お気に入りでいつもぶらさげていた猫のストラップ。それを彼氏に幼稚だとダメ出しされた上、道ばたで盛大に転んだ拍子に壊してしまったのだ。すると目の前を二足歩行の猫がすたこら通り過ぎていく。顔を上げると、そこは「なんでもお直しします」と書かれた店『猫庵』。「猫の手を貸してやろう」猫は短い前足で腕を組み(?)由奈を覗き込む。その瞳はまるで彼女の胸の内を見透かしているようで―!?猫店長にその悩み明かしてみては?にゃあんが紡ぐ小さな奇跡。

これって現代のマヨイガの一つなんだろうなあ。悩みを抱える人の前にしか現れない小さな修繕屋。なんでもなおすと看板たてるその店には喋る猫の店長(庵主)とその弟子だという青年の一匹と一人がかしましく丁丁発止を繰り広げていて……。
この猫、喋るもの立って歩くのも一切隠そうとしねえ。しかも妙におっさん臭い! いや、年嵩の年季の入った化け猫だかの類なんだろうから、そりゃ腰の据わったふてぶてしい態度もおかしくはないのだけれど。
それに、人がうちに抱えた悩みをスルッと引き出して、向き合わせるような語り口は愛嬌ばかりのにゃんこではなかなか難しい仕事でしょうしねえ。思わず胸の内を喋ってしまうような泰然として柔らかくも頼もしい猫店長の姿勢は、その手先の器用さもあいまった職人的な気風も相まって話しやすい老店主という感じなんですよね。口の減らない青年見習いとの気のおけないやり取りもまた、猫が喋っているし立ってウロウロと歩き回ってる、という異常事態を忘れさせてくれるぽややんとした光景で、凄く居心地が良いのである。
にしても、あの猫の手で細かい作業をちょちょいとこなすのはホントどうやってるんだろう。ってか、小道具の類どうやって持ってるんだろうw
オムニバス形式となっているのですけれど、話のたびにお客さんに茶菓子が出されるのですが、これが各地の名産のお菓子になっていて、これがまた美味しそうなんだ。特に、浅草は亀十のどら焼きとかメチャクチャ美味しそうに食べやがって、こんちくしょうw
にしても、わりと日本全国各地のお菓子が出されてるのですけれど、誰が買って来てるんですかねー? なんか仕入れの類はパンダの上野さんがしているらしいのですけれど……パンダ? いや、喋って歩いてうろつくパンダとか、「らんま1/2」世代の自分としては看板で会話するよりも馴染みやすいよね、という感覚なのですが、だからといって買い出し!?
まあ今どきは通販でいくらでも買えますけど、配送業者はちゃんと店まで来られるのだろうか。地味に住所不定店舗っぽいぞ、ここ。
そんなお店の名前「猫庵」。自分は普通に「ねこあん」と読んでいたのだけれど、猫店長……自称では店長ではなくて「庵主」らしいのだけれど、猫店長が主張するのは猫庵と書いて「にゃあん」なんだそうで……読めねえっすよ! いやでも、読めないけどこれはこれでいい読み方だとは思いますよ、センスあるよ猫店長。これが若い女性の店長だったり、シュッとした愛らしい系の猫の店長が言っているのなら「あざとい!」とか思ってしまうところかもしれませんけど、おっさん系猫だもんなあ猫店長。

ともあれ、そんな猫の店長とイケメンの弟子が迷い込んできたお客さんに促すのは、持ち込まれたそれぞれの人の大切な品の修理のみならず、様々な理由で傷ついたり行き詰まったりしているお客たちの心の内を紐解くことでもあったわけです。お茶と茶菓子でリラックス、そうして苦しくも喉に詰まったものを吐き出させる。そうして、ほんのちょっとの後押し。少し不思議な肉球印の落款が、お客たちの背中を少しだけ押してくれる。本当に少しだけ、そこから先はその人次第だけれど、貸してくれた猫の手の温かな人情は、彼らに今まで見えていなかった周りを見渡す余裕を与えてくれるんですね。それは勇気だったり、元気だったり、後悔の解消だったり。
その少しが、掛け替えのないものだったのだ。
明日からはもう少し頑張れる、今までと違った気持ちで進んでいける。過去を思い出に昇華して、受け取った優しさを燃料にして、次の日をより良い日に。これはそんな少し不思議ないい話。

最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ 温泉旅行編:繋いだ手だけがここにある ★★★★★   



【最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ 温泉旅行編:繋いだ手だけがここにある】 紙城 境介/きただ りょうま ダッシュエックス文庫

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孤高のゲーマー、古霧坂里央。
学校一の完璧美少女、真理峰桜。
現実世界では何の関わりもない2人だったが──VRゲーム《マギックエイジ・オンライン》では最強コンビとして名を馳せていた。
そんなある日、二人は秘境の温泉クエストの攻略へ。しかし見つけた旅館は廃墟と化しており――「どうしたんですかぁ、先輩? もしかして怖いんですかぁ~?」「はっ……はなれちゃだめって、言ったじゃないですかぁ……!」「人前で裸になるのって……思ったより、ずっと恥ずかしいですね」お化け屋敷気分の廃墟探索。混浴イベントに超大型ボスとの激戦。最強カップルの日常はすべてがデート! ……なのにこの二人、付き合っているつもりはないらしい。

ぎゃあああああ! もうめっちゃ面白れぇぇ! もう好きぃぃ!!

今一躍ラブコメ界の旗手の一角に名乗りを上げた【継母の連れ子が元カノだった】の紙城境介さんの新シリーズ。小説家になろうで発表してきた作品の中では代表作と言ってもいいのがこれ、【最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ】である。自分もこれ、めちゃくちゃ好きでねえ。いやだってもう面白いもん。
これはゲームであって、遊びである。そう語られたのは、本作の前身でもある【遊者戦記 #君とリアルを取り戻すRPG】でありましたが、本作でもこの目一杯全力で遊ぼうという精神が進化しつつ体現されています。
本作の主人公であるケージとチェリーの最強カップル。ひたすらイチャコラしている二人ですけれど、その根底にあるのは心から楽しく遊びたい、という思い。それを一緒に成し遂げられる相棒であり相方であるのが、お互いであるという認識、或いは誓約。それこそが、二人をこの上なく結びつけているのです。
そして、それこそが。余りにもお互いを特別だと思っているが故に、カップルだとか彼氏彼女という目に見える、形のある枠組みに自分たちを当てはめたくない、という暗黙の了解につなげている節もあるのですけれど。
ケージもチェリーも、人付き合いにおいて脛に傷持つ身。彼と彼女はあまりにも周りから突出していたが故に孤独に追い込まれ、傷ついてきた子供たちでした。そんな二人にとって、この先輩は、この後輩は自分の全部を全力を全開を微塵の取り零しもなく受け止めてくれる唯一の相手。自分についてこれる、なんてレベルじゃない。常に自分の傍らに寄り添ってくれる、それどころかふと気を抜けば置いていかれてしまうような、全身全霊を尽くしてなお余りある無二の人。
古霧坂里央にとって真理峰桜は、真理峰桜にとって古霧坂里央は、唯一無二の連理比翼な特別な人なのだ。
だから、彼らが付き合っていないのは現状維持で満足しているとか関係をはっきりさせる勇気がない、という停滞した想いゆえではないのだろう。それよりももっと特殊で重たいものなのだ。
……そう、重たいんですよ、この子らの人間関係に対するスタンスって。愛が重たい者同士なんだ。
自分が相手のことを好きという自覚もある。相手が自分を好きという確信もある。でも、お互い約束しあったようにその関係を既存の枠組みに当てはめる事をシャットダウンしている。カップルじゃない、と周りからの指摘を否定しながら二人の間にあるものは絶対に否定しようとしないのだから。
なので、この二人の間に割って入ろうとするには、とても軽々な感情では無理なんですよね。その点、たびたびこの1巻でも名前だけ出ていたUO姫はチェリーに負けず劣らず、というか結構似たもの同士なんじゃね? という中身は面倒で重たい女性なのでかなりの勢いで切り込んでくる事になるのですが。
ともあれ、関係性だけははっきりさせていないけれども、お互いに好き同士だからケージとチェリーのやり取りは傍から見てて呼吸するようにイチャイチャしているのである。ちなみに、本人たちは普通にしているだけのつもりなので、まったく無意識である。無意識でこれである。
場合によっては、意識し合って本気でイチャイチャしだす時があるので、その時は当人たちも本気なのでイチャコラ糖度がさらに跳ね上がるという、イチャイチャの基準がバグってる仕様w
いやもうね、【継母の連れ子が元カノだった】も読んでくれればわかるだろうけど、作者の紙城さんのラブコメ手腕、特に自然にカップルがイチャイチャする描写力に関してははっきり言って化け物級である。正直、尋常ではない。果たして読んでてここまで切れ目なくニヤニヤさせられ続けて顔面の筋肉が痙攣しそうになるレベルのラブコメ描写は、今まで読んできたものの中でもどれだけの数あったか。
ヤバいです、ほんとに。
お化け屋敷編とか、あれもうズルいですよ。最強ですよ。お化け屋敷なんかでカップルで入ると急接近できる、みたいなネタってあくまでネタであって実際にライトノベルでもマンガでもそのシチュエーションをやると大概、余計な邪魔が入ったりカップルの片方が居なくなっちゃったりと本来の趣旨通りに展開する試しがないものですけれど、今回のケージとチェリーのそれとかもう完璧にお化け屋敷ネタをコンプリートしてるんですよね。ってか、ここのケージ君が可愛すぎてたまらん! なにこのビビリまくる男の子の可愛さ。チェリーが調子乗るのもめちゃ分かりますもん。それはそれとして、チェリー主導で最後までいかないあたりが素晴らしすぎて。同時に、コメディとしても最高領域に達していてお互い生贄にしだす所なんか笑い倒しましたがな。それでいて、傍からみたらひたすらイチャイチャしてるわけですから、色んな意味でたまんねー。
チェリーってやたら攻めるくせに防御力は紙仕様なんですよね。あまりに防御力が低すぎて、ケージの事イジろうとして自分にもダメージ食らって自爆攻撃となることも度々ですからねえ。
可愛いなあ、もうほんとチェリー可愛い。これでイイ女・カッコいい女要素も目一杯詰まっているのだから、たまらんヒロインであります。自分の後輩属性って、このチェリーに大いに発掘された感すらあるのです。
ケージ視点だけじゃなく、チェリー視点も並行して描かれているあたりで、イチャイチャっぷりが一方向からではなく双方向から眺められるのもお得感満載なんですってば。

と、本作がこうしてケージとチェリーがイチャコラしているだけの物語だったらただのラブコメになってしまうのですが、これは同時にこの上なく「ゲームで遊ぶ」作品なのでした。
彼らが遊んでいる舞台であるVRゲーム《マギックエイジ・オンライン》。これがまた、本当に素晴らしく面白いのです。ただのVRゲームではない、運営が用意したシナリオをクリアしていくだけのものではない、プレイヤーたちが本当に世界の歴史を作っていく、紡いでいくゲームなのである。
そして、プレイヤー同士の一体感。自分たちが歴史を作っていっているという一体感が本当に凄い。あのやり直しのきかない、ゲーム上で起こった事は決して覆らない、NPCが死んでも生き返らないし地形や気候の変化も戻らない、という設定なんかは他のゲームを舞台にした小説でも決して珍しいものではないのですけれど……本作はなんかそこに凄い特別感があり緊迫感があり迫真性があるんですよね。この実感は、巻を重ね話が進むごとにより確かなものになっていくと思う。プレイヤーたちが抱いている感覚に追いついていくと思う。
これはゲームであって遊びではあっても、みんな本気で真剣で全力なのだ。それはケージとチェリーだけではなく、多くのプレイヤーたちが共通して宿している認識でもある。
VS.神造炭成獣フェンコール戦なんかは、導入から本当に素晴らしかったもんなあ。あの配信者プレイヤーのセツナやろねりあたちが配信している映像を共有して、万を越える視聴者たちが同じ戦いを、同じ歴史が作られる瞬間を共有する、あの熱狂、一体感。そこに、読んでいる此方まで飲み込まれる。自分もまた、一視聴者となり、共有している感覚に引きずり込まれる。
ああ、みんな無茶苦茶楽しそうだ! という傍観者的な感覚を超えた、自分も今この瞬間、めちゃくちゃ楽しい! という感覚。この盛り上がり。テンション上がりっぱなしになりましたよ、フェンコール戦は。
ってか、ウェブ版でも既に読んでいるはずなんですけどね。そういう関係なしに、テンションあがってしまった。楽しかったッ!
とはいえ、これでまだまだフェンコール戦は序の口。このあとに繰り広げられるだろうさらなる大規模レイド戦なんぞ、ちょっとやべえレベルの大会戦になるのでほんと楽しみ。チェリーのクロニクルでもちらっと描かれていた指揮官としての力量も見られますし。
それ以上に、日常でのイチャコラとはまた別の形での戦闘シーンでのケージとチェリーの息のあった以心伝心、を通り越したもう二人で一人なんじゃないか、という神業コンビネーションは見どころたっぷりすぎて、いやもうたまらん。そりゃ、ゲーム内でこの二人が最強カップルなどと呼ばれるのも当然で仕方ないですよ。あんなシーン、万単位の視聴者の前でやらかしまくってたらなあ。
章タイトルのひとつ「カップルの人間離れ」にはワラタ。

この世界はゲームだけれど、本物である。
章間に記載されているこの《マギックエイジ・オンライン》の解説でちらっと書かれているのだけれど、AI搭載のNPCの中にはこの世界がゲームである事に気づき理解する人も出てきていてそういうNPCは電子人類と呼ばれ、明らかにただのプログラムを逸脱しだすんですよね。はたして、このゲームって本当にただのゲームなの? というバックグラウンドまで見えてきて、物語のスケールも途方も無い事になってきて、ワクワク感が止まらないのです。
この楽しさをぜひ共有してほしい。メインのケージとチェリーのみならず、脇を固める無数の登場人物たちも個性的でイキイキと躍動していて、カップルの小さな閉じた世界の話ではないこのぐんぐん広がっていく世界の痛快さを。そのうえで、もう顔がにやけて仕方ない最強カップルの糖度致死量のイチャイチャを、存分に堪能されたし。そして、これからももっともっと堪能したい。がんがん、続き出てほしいヨ。

ああ、楽しかったッ!!

紙城 境介作品感想

新米錬金術師の店舗経営01 お店を手に入れた! ★★★☆   



【新米錬金術師の店舗経営01 お店を手に入れた!】 いつきみずほ/ふーみ 富士見ファンタジア文庫

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天涯孤独な孤児にとって、ほぼ唯一とも言える成り上がりへのキャリアパス。それは錬金術師の国家資格を得ること!能力以外何も求められない王立錬金術師養成学校を卒業した少女のサラサは、師匠から一軒のお店をプレゼントされる。気前の良い師匠に見送られ、錬金術師としてのちょっぴり優雅な生活を夢みて旅立ったサラサは、到着早々、想像以上の田舎っぷりに愕然とすることになる。しかし、そんな場所でも何とかお店を経営しないと、生活は成り立たないわけで―可愛いアルバイトや優しい村の人たちに囲まれて、目指すは一人前の国家錬金術師!お仕事スローライフここに開店です!

ゲームのアトリエシリーズみたーい、って実のところ自分、「○○のアトリエ」というタイプのゲームはやった事ないんだよなあ。まあ自分、PS3すら触った事無いままいつの間にかPS4の時代に入ってしまっていたような人間なので、アトリエシリーズに限らず多くのゲームシリーズやったことないんですけどね。ただ、話聞く限りではこういうタイプのゲームって結構好きなはずなんですよ。
なので、近年のその手のゲームをやった事がないからこそこういう店舗経営だったり錬金術で道具作ったり、という一国一城の主となって生産やら商売に勤しむ話って読んでて楽しいのです。
もちろん、面白い作品に限りますけど。
本作の主人公サラサは平民の出身でしかも両親も既に無い天涯孤独、という身の上ながら師事してた師匠はマスタークラスの世界有数の錬金術師の一人であり、自身も学校で首席を取り続けたという筋金入りのエリートなのです。どうも本人にその自覚はなさそうなのですけど。学校でも勉学と節約に勤しみすぎて同年代の友だちが一人もいなかった、という残念娘なので周囲との比較とかしてなかったんじゃなかろうか。独立したあとのコミュニケーション能力の高さを見てたら自然と友だち出来そうな明るい人柄なので、学校ではよっぽど根詰めてたのかしら。一応、先輩と後輩には親しい人居たみたいだけれど。
ともあれ、これだけのエリートともなると各方面から引く手あまたになりそうなのに、さっぱりこれといった勧誘がなかったのは、さて師匠の手でも回ってたんですかね。本人自己評価あんまり高くないみたいだけど、サラサの場合比較対象が師匠みたいなので基準がおかしいことになっているみたいだし。あのお師匠さんから見てもサラサは相当可愛い愛弟子みたいだもんなあ。手放す気は毛頭なかったと見える。
いや、自分の店で働かずに外に出る、とサラサが宣言して随分と辺境の方に店をもたせてあげた時は、そのまま放流してしばらく様子を見るのかなー、と思ってたら速攻様子見に来たり、とめっちゃ気にかけてましたもんねえ。直通の搬送ゲートとかまで設置しちゃってるし。けっこう過保護じゃね!?
しかし、それにしてもなんでこんな田舎の方に店を持たせたのやら。都会に近い方だとヘッドハンティングじゃないけど、ちょっかい掛けられるかとでも思ったんだろうか。田舎とはいえ、それなりに錬金術師の需要があると同時に、売家の錬金術用の設備の充実度を見るとあれ師匠適当に物件決めたんじゃなくて、相当調査して事前に確認してたんじゃなかろうか、と思える部分がチラホラと。
そこまでしなくても、サラサはだいぶ逞しい子のようなので普通に放流しても自力で生活基盤打ち立ててた気もしますけどね。でも、幾ら自立できそうと言ってもあれこれと世話焼きたくなるのも可愛い弟子を持ってしまった師のサガというもので。

でもホント、サラサほどの腕前だとこの田舎街でそれにふさわしい能力を振るう機会があるのだろうか。とか言っているうちに、早速ラストでは来てしまったわけですけど、それは新人錬金術師が遭遇する事件としてはヘヴィーすぎませんかね? 普通は死んでてもおかしくないぞ、この規模の事件。インドア派です、というとぼけた顔をしながらこの娘、ゴリゴリに戦闘職こなせるじゃないか。これだから無自覚エリートはw
とりあえず、ベッドはただでもらうもんじゃないと思うぞ、うん。新参の錬金術師にも大変親切で優しい村の人たち。なくてはならない医師や薬師も兼任する錬金術師という必須の職業の相手とはいえ、田舎特有の排他的なところが全く見られないあたり、師匠土地柄もそうとう調べたんじゃね、これ?

世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ)2 ★★★   



【世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ)2】 黒留ハガネ/カット オーバーラップ文庫

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平和すぎる日常に逆ギレし、世界の闇と戦う秘密結社・天照を作った佐護杵光(さごきねみつ)。
東京を救う自作自演イベントを終えた佐護のもとに異世界からの刺客が現れる。
彼女はロナリア・リナリア・ババァニャン(905歳)。
魔王が絶滅危惧種になり、手厚い保護を受けるほのぼの世界から、胸躍る巨悪との戦いを求めやってきた。
ところが佐護の世界にも巨悪は存在せず、巻き起こる「世界の闇」と秘密結社の戦いは全て自作自演。
世界が違っても平和すぎる日常は何一つ変わらなかった。
そこでババァニャンは、秘密結社の根本を揺るがす、ある極秘計画を企て……?
最強の超能力者が紡ぐ、圧倒的マッチポンプギャグコメディ、第2幕!!

未だに魔法少女に未練たらたらな鏑木さん、カワユス。
今の所、世界に存在するオカルトは佐護の超能力だけだった中に唐突に現れた異世界転移者ババァニャン。なぜババァと略そうとしてしまったw いやリアルロリババァだけどさ! ロナリアとかリナリアの方でよくない? それよりも、誰もババァ呼ばわりにツッコミ入れずに馴染んじゃってるのが面白いのだけれど。
そのババァニャン、彼女もまた佐護や鏑木と同類の大人になっても子供の頃の夢を捨てきれなかった人ではあるのだけれど、その夢を叶えるために異世界にまで跳んでくる、というのは果たして佐護とどっちがイカレているのか。
だって、行って帰れる行き来できる方法があるのならともかく、一方通行の二度と戻れぬ旅路だったわけですよ、異世界転移。
まあそのあたりは本人の覚悟と趣味次第なんだけど、送り出す方の人たちがみんな引き止めもせず行きたいなら頑張って行ってきてねーという塩梅だったの、もしかしてババァニャン嫌われてた? と、ふと脳裏をよぎるほどにあっさりしてたんですよね。もう二度と会えないのに……。本当に嫌われてたという様子は実際は全然なかったんだけど、それにしてもババァの方も送り出す側の人たちも淡白だなあ、と思ったり。
ここらへんのババァの人間関係の淡白さが、その後の裏切りネタにも微妙に引っかかった所もあるんですよね。ババァがもっと元の世界の人たちとの別れに強い感情を示していたら、佐護への裏切り展開にももっと深刻味があったような気がするし、翔太と燈華に人間関係のひずみを見せることで精神的な成長を促すのだ、という主張にも説得力があったようにも思ったんですけどね。
実際の所、今回の裏切り者マッチポンプネタについてはそこまでやるの? と感じる所ありましたからねえ。佐護と鏑木さんが最初に主張してた、翔太くんと燈華ちゃんには楽しんでほしい、というコンセプトはうなずける所なのですけど、二人の今後のために精神的にもタフになるために鍛えてあげよう、なんてのは上からの一方的な押し付けで二人はそんな事頼んじゃいないしなんにも知らない所で勝手にそういうの決められて翻弄されるのって相応にひどい話だなー、と思っちゃったんですよねえ。まあ前巻で翔太の腕を折るような事までしているだけに、今更の話ではあるんですけどね。
図らずもババァニャンの運命を捻じ曲げて夢も果たせないありさまにしてしまった事に罪悪感に苛まれているように、佐護には悪気はないのはよくわかる所なのでキャラクターの性格の話ではなく、作品の感性そのものに自分のそれと微妙なズレを感じているのかもしてませんが。
刑事さんの方も何気に人生踏み外させちゃってるしなあ。ただ、こっちは当人の意志もあっての事ですけど。でも、そういう選択肢を選ばせるシチュエーションに追いやっているのも確かなだけ、結構悪の組織してるのかもしれないんじゃないですか、これ。

しかし鏑木さんは、ひたすら有能&可愛いムーブ続けてるなあ。これだけ出来た美人さんに傍に居てもらいながら佐護は食指が動かないんだろうか。今の所同好の士であり同志という念が強いんだろうかねえ。
残念ながら、この2巻で打ち切りが決まってしまったみたいでこれにて店仕舞いだそうで。鏑木さんとの関係については決着つかずかー。どうやら、ウェブ版の方では続いている先の方で進展あるみたいなので、そっちで追いかける事にします。

1巻感想

公女殿下の家庭教師 4.氷炎の姫君と夏休みに王国を救います ★★★☆   



【公女殿下の家庭教師 4.氷炎の姫君と夏休みに王国を救います】 七野りく/cura 富士見ファンタジア文庫

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王立学校の前期試験で成績上位となったティナたち。そんな彼女たちがおねだりした試験のご褒美は、アレンの夏期休暇の帰省に同行すること。そこに、第一王女付きの護衛官へと栄転したリディヤも加わり、いざ、大樹がそびえ立つ東都へ!ティナ一行は、アレンの実家にお泊まりしながら、浴衣でお祭り、水着で湖にと夏休みを思いっきり大満喫!しかしその陰で、オルグレン公爵家の監視下で軟禁状態だったジェラルドに謀反の動きがあり!?―「すぐに解決して帰ってきます。僕は約束を破ったことはないですから」無自覚規格外な教師が世界を救う魔法革命ファンタジー!

アレン、実家に帰るの巻。ってか、リディア既にアレンのご両親にも挨拶済みなんですかよ! もう完全に嫁扱いじゃないですか。リディアも実家に帰ってきたかのような寛ぎ方であり、アレンの両親にも畏まっている感じはなくお姑さんみたいな距離感もなく、お義母さまと呼んで慕っている風なのがゴール済みを感じさせる貫禄で。
他の獣人族の町の人達にもアレンとリディアセット販売みたいな扱いされてるし。もうこれはもう、ねえ。
しかし、義妹のカレンとの関係からも透けて見えていましたけれど、狼族の両親からアレンはもう目いっぱいに愛されているのが伝わってくる帰郷編でした。王国騎士になれなかったから、と言って面目ないと故郷に帰るのを避けていたアレンですけど、こんなに愛されているのにちゃんと顔見せないとか、それこそが親不孝じゃないですか。リディアに対してもそういう所ありましたけれど、アレンは申し訳ないと思うポイントがどうしてもズレてる感じなんですよね。愛されていること、慕われていることへの自覚が足りていないせいか、どうしても注いでくれる愛情の価値を蔑ろにしてしまっている節がある。自己評価が低かったり、出自に対する引け目、注がれる愛情に見合う何かを成せていないという焦燥など、色々と理由があるんだろうけれど、こんな風に受け止め方をズレさせてしまっているとどうしても相手に悲しい思いをさせてしまうんですよね。みんな、彼を決して責めたりはしないだろうし、アレンが悪いというわけではないのだけれど、やっぱり足りない部分はあると思う。
リディアの絶大な愛情に対してきちんと向き合えていないんじゃないか、という所もちと誠実さに欠けるんじゃないか、と思えてしまう所なんですよね。まあアレンの場合、不誠実に見えるのはリディアに対してじゃなくて、自分自身を見つめ直すこと他人からどう見られているか、どんな風に思って貰えているかについて、いささか誠実さが足りないように見える、というべきなのかもしれないけれど。
彼からは、リディアにしても家族にしても、幼い生徒たちにしてもとても大切に大切にしていることは伝わってきますからね。でも、一方的に与えるだけが愛情ではないというのも確かな話。アレンの姿勢を見ていると、リディアのガンガンいく姿勢は正解なんだろうし、ティナたちのグイグイ行く姿勢も間違っていないんだろうなあ。

ストーリーの方も進行はしているのだけれど、どうも微妙に具体的に何が起こっているかわかりにくいんですよね。オルグレン公爵の動向やら、4つの公爵家の立ち位置、意志ある魔法の秘密などそれぞれちゃんと説明はなされているし、あれこれと情勢が動いているのはわかるのですけれど、いまいち焦点があっていないというか説明や解説や明かされる話が中途半端なまま進んでしまっているというか。主要な登場人物たちはそれぞれの立場などから、知り得る範囲予想できる範囲で何が起こっているか、起ころうとしているかちゃんと把握して、緊張感を高めているのですけど……。読んでるこっちは、それがわかんないんです。大抵なら、具体的な話がなくても色々と状況やら既出の情報から推察考察して大体の展開は予想や想像も出来て、多少説明不足でも補えるのですが。
これに関しては本当に置いてけぼりになってる感。そんな雑に読んでるつもり、ないんだけどなあ。アレンのリディアたちや家族とのプライベートなシーンと比べて、なんか全体像とか背景とか動勢がほんとよくわからん!?

1巻

2巻

3巻


勇者の剣の〈贋作〉をつかまされた男の話 1 ★★★★☆   



【勇者の剣の〈贋作〉をつかまされた男の話 1】 書店ゾンビ/赤ミソ オーバーラップ文庫

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絶望を笑い、絶望を晴らし、絶望を乗り越え――最強へ至れ

「人が心に絶望を抱いた時、その者は人に仇なす怪物に変貌する」
異形の怪物に母を殺された青年・ジュールは、詐欺師に騙されて購入した「贋作の勇者の剣」で怪物を打倒する。
怪物が元はただの人であることを知った彼は、その元凶を探るため旅に出ることに。
剣は偽りであっても、その胸には紛うことない勇者の心を持つジュール。
邪神の奸計により、仲間には裏切られ、無二の友を亡くすもしかし、彼は決して絶望に屈しなかった。
なぜならば――
「人よ希望を抱け。俺は勇者のジュール。絶望を晴らす勇者なのだから! 」
贋作の剣から始まる、本物の勇者の物語。それを今、語ろう。

これは傑作、傑作ですよ。心震え、胸熱くなる物語だった。
タイトルからして、偽物の勇者の剣を騙されて手にしてしまい、でもそれを本物と信じ込んで自分が選ばれし勇者だと思い込みに、本当に勇者になってしまった男の話、みたいなコメディタッチの勘違いモノだと思ってたんですよね。
全然違ったよ。
明言はされていないけれど、ジュールは騙されて買った剣の事を本当の勇者の剣だと信じていたわけではなかっただろう。決して、自分が選ばれた勇者だと思い込んだわけではなかったはずだ。
彼は自分で選んだのだ。勇者と名乗ることを自ら決めたのだ。神だの運命だの剣自身だのに選ばれた存在としてではなく、自らそうだと決めたのである。
勇者とは、どういう存在なのだろう。魔王やこの世を覆う闇を払うために選ばれし存在として予め定められた者だったり、例えば名前の通り勇気あるものなどと描かれる事が多い。
しかし、このジュールは。勇者ジュールはそんな勇者たちとは少し違っていた。彼は選ばれし者でもなく勇気ある者とも異なっていた。かの勇者は、まさに人々に勇気を与える者だったのだ。
絶望が心を覆い尽くす事で人が怪物へと変貌してしまうようになった世界で、彼の存在はその絶望を払う希望になっていった。諦めてしまいそうになる心に、勇気を与えてくれる存在だったのだ。

ジュール自身、絶望に飲み込まれそうになるような有様から立ち上がった男である。底抜けの馬鹿と言われるほどに朴訥で難しい事を考えず悩まない男だけれど、何も考えてない馬鹿ではないんですよね。むしろ、思慮深く朴訥故に物事の核心に踏み込むことの出来る優しい好漢なのである。そんな男の旅する歩みの後には惨劇に見舞われながら痛みを乗り越えた笑顔が広がっていく。彼と共に歩んでくれるもの、肩を組んで一緒に戦ってくれる仲間たちが集っていく。それは、闇に覆われていく世界を切り開いていくような光の歩みだったのです。

だから、その途中で突き落とされたさらなる真の絶望は、辛いなんてもんじゃなかった。
あれは、読んでるこっちも本当にショックだった。それでも、あの男は最後まで笑っていたんですよね。一度絶望しかけた男が抱いた希望。折れかけた心が救われて、灯された笑顔は決して失われることなく、絶望しようとしていた勇者を救ってみせた。
もしジュールが勇者として選ばれたとするならば、きっとこの時なのでしょう。かの親友が、かの大僧正がジュールを勇者に選んだ、そういう事なのでしょう。そうして、彼はもう一度勇者になる事を決めたのである。

そして再び、勇者の歩みがはじまる。絶望に包まれた冬の時代を、勇者が踏破していく。その歩みのあとに、希望の光が広がっていく光景が本当に胸熱くなる光景なのだ。
この二度目の怪物退治の旅。辞書乙女のエルンとの馬鹿騒ぎな巡行はラーズとの時みたくもうちょっとだけ詳しく描いてほしくもあったのですけれど、物語のテンポとしてはここはサクッと進めてしまう方が良かったのかな。でも、エルンはもう一人の相棒とも言える存在になるわけですから、もうちょっとこのコンビのエピソードを見てみたかった。それは、次巻以降に期待でしょうか。
でも、話としてはこの1巻でキレイに終わってはいるんですよね。ウェブ版では続いているみたいですし、書籍の方も「1」と数字がタイトルについているので、続きが出る前提ではあるようですがどんな展開になるんだろう。
蛇足にならないだろうかと心配になると同時に、やっぱり楽しみでもあるんですよね。この好漢ジュールの物語はもっともっと見てみたいじゃないですか。
本来ならもっと陰鬱になるようなハードなストーリーでありましたが、そんな絶望を笑い飛ばすというコンセプトを担うジュールの優しくも痛快な在り方が素晴らしく気持ちの良い、熱い作品でありました。文句なしの傑作でした。

迷宮の王 3.神と獣と人と ★★★★☆   



【迷宮の王 3.神と獣と人と】 支援BIS/かとろく レジェンドノベルス

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迷宮の王となったミノタウロスに勝つため、英雄パンゼルの息子・ザーラは修行の旅に出た。山の民の娘やラミア、水の巫女らとの出会いと幾多の冒険を経て成長するザーラ。道中ザーラは、赤い甲冑に身を包んだ女騎士ラウラの一団と出会い、冒険を共にすることになるが、ラウラの故郷である城塞都市ビア=ダルラでかつてないほどのすさまじい戦いに巻き込まれることになる。
果たして、ザーラはサザードン迷宮に帰りつき、迷宮の王であるミノタウロスの首級を挙げることができるのか!?
史上最高のダンジョンファンタジー三部作、感動と驚愕のクライマックス!

最も新しい英雄詩篇の完結編。ザーラの冒険譚の終幕であり、長きにわたる迷宮の王と英雄の系譜の因縁の決着である。
パーシヴァルとミノタウロスとの決闘から始まったかの系譜との運命は、パンゼルとの引き分けを経てザーラへと引き継がれた。でも、これは倒すものと倒されるもの、魔物と英雄の物語ではないんですよね。ミノタウロスもまた、英雄であり勇者であった。本来与えられたエリアボスとしての軛を、その闘争本能で打ち破り、自力で迷宮最下層へと到達してそこに棲まう迷宮の主を下して自らの意志と力によって迷宮の王へと成った者。ただ本能のままに暴れるのではなく、迷宮に潜り自分を倒そうとする人間たちとの戦いを通じて、その技術を習得し貪欲に戦う術を身に着けていった者。そして何より、強き者への敬意を惜しまない存在であった。
だからこそ、人もまた彼を恐れるのではなく、畏れ憧れ偉大なる迷宮の主として讃えたのである。ザーラがいずれ彼と戦う運命にあったのも、父パンゼルが成し得なかった偉業であり打倒を果たすためではあったけれど、それだけではなかったんですよね。
でも、そんな迷宮の王に抱くべき想いは実際に迷宮を踏破して彼の前に立つまで湧き上がるモノではなかったはずだったのだけれど。
運命はそんな約束された対決よりも先に、二人により芳醇な出会いを与えてくれた。
第20話「二人の勇者」は、なんというべきか……美しいと表現出来てしまうような戦いだったんですよね。生まれ落ちた邪神たちに対して、神に導かれた二人の勇者が出会い、そしてお互いに背中を合わせて剣を振るう。お互いに見知らぬ者同士でありながら、言葉もかわさず振るわれる剣を見て、戦いの身のこなしを見て驚嘆しあい、意を通じ合わせ、敬意を抱いて、燃える意志を共有する。
その正体をお互いは知らなくても、読んでる読者は知っている。運命の一人と一匹が共に戦う姿は、ただただ美しく、それ以上に胸が熱くなる場面でありました。
戦い終わったあとの、ミノ閣下の独白がまたいいんですよね。これまで無数の人間の振るう技を見て、武技を磨いてきた。闘うすべを学んできた。でもこれまであれは良い技だと思いながら真似できないものがあった。それは「連携」。その素晴らしさを実感しながら、仲間のいないミノタウロスには決して実践できなかったもの。やってみたいと思いながらどうしてもできなかったもの。それを、最高の形で体現できたことに心すくような思いを抱いて、満足するミノタウロスが本当に素敵なんですよ。
この邪神との戦いの時のザーラの姿が、とある要因からミノタウロスの目にはコボルトに見えていたのですけど、ザーラに匹敵するコボルトの強者を探して迷宮の上層部へあがってきて、10日間も居座った挙げ句に多分ガッカリして帰っていっただろうミノさま、ちょっとかわいくないですか?w

そして、約束された最後の戦い。ザーラが本来の名であるアルスに戻り、外の世界では大陸から訪れた異人たちとの大戦が繰り広げられ、そこで中心的な活躍を示し剣士としても凄まじい経験を積んだザーラことアルスが、肉体的にも精神的にも最盛期を迎えた時に、ようやく挑むことになった迷宮の王との決戦。
それは、でもアルスの視点ではなく、ミノタウロスの視点によって描かれるのである。恐るべき、若き人間の剣士。迷宮の魔物では理解できない人間の父と子という受け継がれる関係。かつて自分に打ち勝ったパンゼルという人間の剣士に似た、あの邪神との戦いで共に戦ったコボルトの戦士と同じ、ミノタウロスが求めた最高の対戦相手。
その凄まじい強さに歓喜しながら、自らが鍛え続け磨き抜いた武技と闘争本能を存分にぶつける迷宮の王。それを見事に受け止め真っ向から向かってくる若き剣士。
それは、人間の英雄と怪物の戦いではなく、誉れたる英雄同士の決闘でありました。まさに最後の戦いに相応しい、勇者たちの戦いでありました。

そのエピローグは、迷宮の時代の終わりを告げ、新たな世界に広がる航海の時代のはじまりを告げるものでしたが……惜しむらくは、あれなんですよね。ウェブ版の外伝にあるエピローグというべき後日談の【春の山辺に降る雪は】が掲載されてなかった事が少々残念で。
異人戦争の簡単な顛末と、ザーラが旅先で出会い縁を結んだ人々とのその後の話が載っているのですけれど、そのラストシーンが滅茶苦茶美しいんですよ。それは再会の物語であると同時に、ザーラへと引き継がれた英雄の系譜が、その先へ、新たな世代へと引き継がれ幕開く……終わりにして始まりを告げる話でもあって、この作品のラストシーンとしてはコチラの方が好きだったりします。

あと、この外伝でアルスの巡礼の旅にこっそりついてこようとしていたエッセルレイア様はあれですよね、「冒険について来ようとするお母さん」の先駆けじゃないですかね!? 
ラミアのナーリリアも相変わらずの天然おバカさんが炸裂してて可愛いのなんの、個人的にこの人主役の話が見てみたいくらいでした。


1巻感想


2巻感想

綾瀬さんは貢ぎたい! ★★★   



【綾瀬さんは貢ぎたい!】 空上タツタ/かとろく GA文庫

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ATM系美少女ヒロイン・綾瀬さんをはじめ、ヒロイン全員残念すぎる、こじらせ青春ラブコメディ! !
普通の美少女はいないのか! ? いません! !

高校一年最初の日。新生活に希望膨らませる俺は、可愛さの化身のような巨乳の同級生・綾瀬小雨から
「あたしの想い(おかね)、受け取ってくださいっ」
と百万円を渡された。え。どういうこと?
戸惑う俺に対し彼女は――
「同伴登校ですから」
と頬を染め、断っても――
「想いを受け取ってもらえないと、つらい…」
とひたすら貢ぎたがる。お金持ちって怖いのな! !
さらには、美人な黒髪先輩の独占欲が日ごとに増し、大人しいはずのうちの干物妹が夜這いをかけてきて――! ?

頼むから普通の生活をさせてくれ。
普通の彼女が欲しい俺とポンコツすぎる美少女たちとの、こじらせ青春ラブコメディ!
変態までなら、可愛ければまだ何とか受け付けられるかもしれないけど、変態どころじゃないアウトラインを悠々と超えてくる危ない性癖の人たちはちょっと……ちょっとぉ。
ぶっちゃけ、これみんな「病んでる」のレベルじゃないかしら? 何かと課金したがる綾瀬さんが一番比較的にマシに見えるという恐怖。ホラーかな?
ちなみに、個人に対して課金するというビジネスシステムに関しては徐々にその萌芽が生まれつつあり、それをテーマにしたラノベなんかもチラホラ見受ける事もあるのですがその場合の課金って、投資と言い換えてもいいものなので、好きだから推しに課金します! と、いう類の話じゃないんですよね。
別に何かを作ったり開発したり、将来的にスポーツ頑張ったりビジネスで成功するという目的があるわけじゃないのに、好きなのでこれあげます、と札束を渡されるのって冷静に考えると怖いですよね、怖いです。ホラーかな?
それでも、綾瀬さんの場合は一応落ち着いて話も聞いてくれて、こちらの言い分も聞き分けてくれて、それで親から貰ったお金じゃなくてバイトして自分で稼いだお金を貢いでくるというのは、ホントにわかってんの? と言いたくなる行動の改め方ではあるんですけれど、あとの三人のヤバさを思うとなぜか可愛らしく話の通じる人に思えてくる不思議。
せめてこう、課金じゃなくてこのお金で生活しなさい、みたいな態度だったら主人公も立派なヒモになれると思うのですが。課金じゃなくて財布になってください、という嗜みが主人公にあれば、もっとこう全体的にダメな感じになったのですが。
わりと、ヒモになれそうな資質がありそうなんだけどな、この主人公。
あの自分の行動から交友関係から、付き合ってもいないのに勝手に掌握して独占して縛ってコントロールしようとする危ない先輩の、まず本能的生理的にごめんなさいしてしまいそうな性癖に対してめげることなく妥協ラインを探し出して、あわよくばお付き合い出来るんじゃないか、と期待してしまう主人公のバイタリティ、貪欲さはさすがにちょっと並のレベルを超えているのでヤンデレの彼氏としては結構適正あるんじゃなかろうか。
逆に言うと、この主人公をしてドン引きさせてしまうヒロインたちのヤバさが逆に引き立ってしまうのですが。ちとせ先輩も、妹のヒロも、そしてクラスメイトの彼奴もわりと主人公の人権とかには興味なさそうで自分のいいようにしたい、という欲望がガンガンにあふれているだけに、綾瀬がまだマシに見えてくるんですよね。いやもう、ラブコメにするにはもうちょっとヒロインに恐怖じゃなくて可愛げを感じるようにした方がいいんじゃないですかね? ガチに怖いんですけど。ホラーかな?

空上タツタ作品感想

女賢者の明智光秀だが、女勇者の信長がパーティーにいて気まずい ★★★☆   



【女賢者の明智光秀だが、女勇者の信長がパーティーにいて気まずい】 森田季節/ yaman** LINE文庫エッジ

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前世で殺した相手とパーティーを組む!?それってめちゃくちゃ気まずいんですけど!

明智光秀です。
なぜか転生を繰り返していたら、異世界で女賢者になっていました。
そこまではいいんですけど、賢者ひとりで戦うのは大変なのでパーティーに応募してみたら、信長様が女勇者として目の前にいました。

……いや、ムリ。
前世で殺した相手とパーティー組むとかムリムリ。
ほら、なんかすっごい目でこっちを見ているし。絶対うまくいくわけないですって!

「サルもパーティーに入ります~♪」(秀吉)
「わらわも入ってあげるわ」(義昭)
信長様だけでも気まずいのに、秀吉さんや義昭様も参加しちゃったんですけど!
心の平穏はどこー!?

前世でとっても因縁のあるパーティーメンバーたちの異世界冒険(日常)?物語。
このパーティーは今日も気まずいです。


じゃあ組むなよ! とまずは言いたくなる所ではあるんでしょうけど、敢えて光秀と信長がパーティー組むことにした理由がまた生々しいんですよね。
曰く、自分を殺したやつが他のパーティーにいるの、怖い!
そりゃそうだよね、自分の殺害実績あるやつが自分の手の届かない所で何してるかわかんない状態で野放しにされてたら、影で何されてるかわからないし何仕掛けてこられるかわからないから怖いよね。
でも、だからって身内に入れてたらもっと怖いって思うんだけど、そのへん自分ちゃんと監視してたらなんとかならあな、という自信家な所が流石のノッブである。
もう先に予防措置的に殺しておけよ、と思うのは鎌倉武士風に毒されているのだろうか。

というわけで、かの勇名な戦国武将である所の織田信長と明智光秀と豊臣秀吉と足利義昭が生まれ変わって冒険者となり、一緒にパーティー組んでダンジョン攻略するぞ、というどうしてそのメンツで組むことにした、というお話である。
一応、戦国時代から直で異世界、ではなく一度現代日本に転生してそこで死んでからまた転生して異世界に、というワンクッション置いているのが味噌である。さすがに戦国時代から直だと感情的にも相容れないものがあったんだろうけど、一度別の人生、それも女のものを挟んでいるせいか、感情的にも一旦落ち着いて怒りや憎しみというものは収まってるんですね。さらに、現代でみんな相応に自分の辿った生涯やその後の歴史についても勉強しているので、それぞれに思う所あるわけですよ。
ただ、光秀とノブの関係だとやはり殺った殺られたという事実があるし、秀吉なんかも光秀ぶっ殺した上に織田家乗っ取っちゃってるわけですから、信長からすると素直に昔みたいに可愛い臣下としては扱えないんですよね、微妙なんですよ、複雑だしコイツなに考えてるか実際の所わかんねー、って怖いわけですよ。
感情的には収まっているけれど、お互いにやらかしあった事実が厳然とある身同士としては、やはりどうしても気まずい! なんか、空気がぎこちない! 心から打ち解けられない! 
このどうしようもない空気感の表現がまた、なんというか絶妙なんですよね。
しかも、それぞれ個性も違う。うちに引っ込めて中々思うところを口にできない光秀に対して、信長はこうズケズケ言っちゃう。言いたい事ははっきり言うし言いにくい事も聞きにくい事も敢えて聞く! 秀吉なんかは愛想ばかり良くて何考えてるか実際わからない得体の知れない腹黒さを感じさせるギャルで、なんかこう信用できない。そして、足利義昭はなんにも考えてない!
わりとノッブがこう気まずさに停滞しそうな空気感を、敢えてそれ聞いちゃう!?みたいな感じで切り込んで行くことでどうしようもないくらいぶっちゃけた話になっちゃうわけですが、ぶっちゃけてしまえばしまったでそれはそれで気まずい話になってしまうわけでw

ちなみに、この四人ともが転生した現代日本で女性として生まれ変わり、それぞれに人生を送ったものの若いうちに盛大に人生失敗し若いうちに死んじゃっているので、わりとアカン方へと転がり落ちてる皆さんですw

面白いのがこれ、何気に信長を初めとして戦国武将の皆さん、わりと新しい方の説に基づいたと思われるキャラ造形されてるっぽい所なんですよね。
特に織田信長、実際は革新的というよりも保守的な傾向があり、横暴に見えて何気に気遣いの人、というのが結構透けて見えるキャラクターになってるのである。
めちゃくちゃズケズケ言いたいことを言っているようで、言うべき事聞くべき事を聞かずお互い本心を明かさずにいることで危うくなるだろうパーティーの関係を回避するために、あえて空気を読んでお互いをさらけ出し合うために自分から地雷を踏んでまわっている節もありますし、好き放題する足利義昭を叱りながら何くれとなく気遣って一生懸命面倒見ている所とか、なんかもうすごい織田信長っぽいんですよね。
やんやとお互いぶつけ合う歴史ネタも、使い古された過去のものは殆ど見当たらずに、結構最近のものでまとめられているようですし。長宗我部説も、原因の一旦くらいの比重で済ましてますしね。
秀吉の人物分析なんかも非常に興味深い所で、わざわざ秀吉をなんで媚媚なギャルにしたのかというのもわかって頷くところであったのですけど、秀吉の「友だち少ない」という人格面を安易に非難したり否定しない信長様が、なるほどと思わせられる「人物」っぷりだったんですよねえ。そういう所がカリスマだったんだろうなあ。
まさか、ここからイイ話になるとは思わなかったので、尚更に「おおっ」と思わせてくれるところであったのですけれど。
しかしイイ話になった所でそこでスッキリ気持ちの良い終わり方なぞするはずもなく、お互いのどうしようもない部分、どうしても神経に触る部分、噛み合わない部分、ムカつく部分というものはあるわけで。
立場も冒険者として対等という建前になり、お互いどういう人間かというのも前世を通じて理解し合い、今世でも曝け出しあったという事で、主従だったり時代背景もあり殺伐とした情勢もあり損得に縛られた関係だった前前世と違って、言いたいことを言い合える関係であり妥協しあい許し合い受け入れあえる仲間となった今だけど、でも気まずくなった時はどうしようもないよね! というこの微妙極まる空気感は、ここまでやってもらえるともうなんかひたすら楽しかったです。
当人たちは気まずいんでしょうけど、傍から見てて居た堪れなくなるような辛く痛々しい空気感ではなく、素直に苦笑できるあたりは実に良質の、人間関係にスポットを当てたコメディだったと思いますよこれ。こういう繊細な人と人との感情の機微を描かせるとやっぱり絶妙なんですよね、森田さんて。
期待していた以上に、面白かった♪ しかし、このメンツだとやっぱり家康は必要不可欠ですよなあ。次回があるなら、まず間違いなく参戦かしら。

森田季節作品感想

マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる ★★★   



【マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる】 入栖/神奈月 昇 角川スニーカー文庫

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ヒロイン攻略×魔術無双――憧れのゲーム世界で誰よりも自由に!

"伝説の美少女ゲーム"『マジカル★エクスプローラー』。 俺はこのゲームでチートなスキルを持つモテモテの主人公!……の横でへらへらと笑う不遇な友人キャラに転生していた。
だけど俺にはこのゲームをやり込んだ知識があるから、完璧な立ち回りをすればヒロイン達の好感度をMAXにすることだって出来る筈!
更にこのキャラには"世界最高の魔力量"という隠れチート性能や唯一無二の特殊能力も備えていて――。
「それなら友人キャラなんて役割放棄して、好き勝手に生きてやるか!」
前世のゲーム知識使って、新たな人生を完全攻略! エロゲ世界を自由気ままに謳歌する転生魔術学園譚!!
友人キャラ?
いや、友人キャラという不遇なポディション(エロゲの友人キャラが一概に不遇キャラという訳ではないと思うのだけれど)から脱却するためにあれこれ頑張る、というのは実際にそのキャラに憑依だか転生してしまった身としては当然の行動指針ではあると思うのだけれど、結果としてこの音瀧幸助がやってる事ってまんまエロゲの主人公キャラの境遇そのものなんですよね。女性だけしかいない家に養子で入って家族になる一方で、メインヒロインと同棲する事になるわ、先輩キャラと一緒に修行する事になるわ。まんまエロゲの主人公そのままの立場に立っちゃうわけですよ。それって、わざわざ友人キャラなんてポディションで始まる意味があるんだろうか、とちと首を傾げてしまった。スタート地点から主人公キャラの境遇に収まってしまったので、幸助が語る本来の友人キャラ幸助の不遇さをどれだけ力説されても、本来はそういう設定だったのね、というだけで終わってしまって、今この作品の主人公である幸助が不遇な友人キャラという立場から努力を重ねて脱却した、というわけではないので何とも実感が湧かないんですよね。
それなら、最初から主人公キャラに転生した、というのでも何も変わらなかったんじゃ、と思えてしまうわけです。彼のピーキーな能力も決して主人公らしくない、というようなものでもないですしね。むしろ、そのピーキーさこそが主人公キャラらしくないですか?
そうした折角の友人キャラという立ち位置を何ら活かすことなく主人公キャラムーブをはじめてしまった点を除けば、オーソドックスなノベルゲーム的な異能力ものハーレムバトルものという感じで堅実な面白さを備えていると思うのです。メインのリュディなんか、そもそもメインヒロインだったのもあって気の強いお姫様キャラとして貫禄の存在感を示していますし、幸助のあのストールを使った自在な攻撃法はシンプルに面白いですし。
でも、元々のゲームがバトルシステムの方も充実したアクション系のゲームであった事からキャラそれぞれに特徴的な戦闘力が備えられているわりに、肝心の戦闘シーンが幸助の単独の戦闘シーンばっかりでヒロインとの連携なども殆どなかったのは、ちと面白味に欠けたかなあ。結局、幸助ばっかりでしたし。エロゲらしい、欲望全開のイベントはコメディタッチもあってなかなか笑えましたけど。

ともあれ、普通のエロゲ主人公に転生モノ、という風情の現状ですけれど、これも本来の主人公である伊織の登場で流れが変わってくるのでしょうか。一見して伊織くん、優しい風貌のいいヤツそうなので上手いこと二人主人公の相乗効果になったら面白そうなんですけどね。

浮気は恥だが役に立つ ハイエルフ嫁の嫉妬は100年単位  



【浮気は恥だが役に立つ ハイエルフ嫁の嫉妬は100年単位】 早矢塚 かつや/八坂 ミナト ダッシュエックス文庫

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世界を救いし英雄に迫る美少女たちの浮気の魔の手! 強大な力を持つ叛逆の妖精ヴィースを倒し英雄となったライオは相思相愛のハイエルフの王女リアーシュと婚約するが、ヴィースにより異性からの求愛を拒めぬ呪いをかけられていた。 心ではリアーシュを一途に想っているにもかかわらず、義姉で放蕩ハイエルフのミージュ、昔なじみの美少女商人セリン、偶然助けた王国の要人と、成り行きまかせで淫行を重ねていくライオ。「たしかに下半身は途方もなく喜んでるけど――ちがうんだっ!」 キスで子供ができるなんて信じている純情なリアーシュにバレれば、確実にすべてが終わる。 色を拒めない大英雄のファンタジーラブコメ、ここに開幕!

エルフが日焼けして褐色になったのがダークエルフ説は稀に見るけど、結構好きw
そのエセダークエルフなお姉ちゃんのミージュだけれど、初っ端からなんか一発目は誤射かもしれない、で死んじゃってるのだけれど、いいのかあれ!? わりとガチであれ殺人だと思うんだけど、たまたま化け猫みたいな能力に目覚めてたから良かったものの、普通はアウトでしょうに。
殺された本人があっけらかんとしているのはまあいいんだけど、勢い余って殺っちゃったリアーシュと目撃者なライオがそのままスルーして尊い犠牲だったで誤魔化して済まそうとしたの、これが探偵ものだったら犯人役であっさり退場だよ? ギャグにしてもちょっと酷かったような。
浮気の件も、呪いのせいなので不可抗力なのは間違いないのだけれど、その後の対応がひたすら誤魔化しに走っているあたりが否応なくゲスである、ライオくん。一度の過ちならともかく、その後も何度もやらかしてしまうわけですし。
寄ってたかって浮気に拍車をかける他の女連中も大概と言えば大概なのですけど。
それに比べて、ライオに呪いをかけることになった妖精ヴァースたちの方が、段々と事件の真相が明らかになっていくうちに、あっちのカップルの方がよっぽど誠実に恋愛していた事がわかってしまって、なんともはや。
好意を拒めない呪いに掛かってしまったという境遇自体は一緒のはずなのに、あちらさんはどちらも純愛を貫いているとも言えるんですよね。まあその結果があの悲劇だとしたら、いい加減にやらかしていたこっちの方が確かに役に立っていたかもしれないと思うと、いささかげんなりしてしまう。
しかしリアーシュの方がイジられキャラとしてのヒロインだとすると、ミージュの方が完全にネタキャラ扱いされていて、いいのだろうかこの扱い。本人その手の深刻さが全然なくて面白ければオッケーみたいな性格なので、それこそ殺されても気にしないくらいだからどうでもいいのかもしれないけど。
パロディ自体は決して嫌いじゃないのだけれど、本作のはちょっと品がないというか工夫がないというか、ネタの使い方にしても捻りがなくてあのドラゴンボールネタは本当にちょっとどうかと思う。自分はああいうのは好きじゃないや。
敵キャラの方の事情とかなかなか捻ってあって良かったと思うのだけれど、さすがに全体的に雑が過ぎたように思う。エロネタだけで引っ張るのはさすがに辛いと思いますよ。

ダンジョン・ザ・ステーション ★★★  



【ダンジョン・ザ・ステーション】 大泉貴/ 紅緒 LINE文庫エッジ

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迷宮主(イニシエーター)を名乗る謎の人物の宣言により、突如新宿駅は、底の見えない巨大迷宮と化した。
そこには駅員(ガーディアン)と呼ばれる危険な怪物も出現。
国は迷宮駅攻略のために探索員制度を制定するが、どうにも個性的な強者ばかりが集うように。
最強の殺し屋聖女、常に眠い魔法使い幼女、元救世主のステゴロヤクザ、謎多きアイテムコレクター。
そしていま、行方不明になった妹を探す少年が一人、混沌とした物語に足を踏み入れる。
迷宮駅の大いなる秘密をその手に携えて。
新宿駅で繰り広げられる果てしなき冒険譚が––ここに始まる。

現代人にとっては、いきなり洞窟型ダンジョンが現代日本に出来ました、というよりも梅田駅や新宿駅が迷宮化しました、と言われたほうが具体的なイメージは湧くんだろうな、というくらいには昨今、ハブステーションのダンジョン化が描かれる機会がある。本作はそんな中でも直球というべき、新宿駅がダンジョン化してしまった世界のお話なのだけれど、何気に新宿のダンジョン化というのはメインではあっても全てではないっぽいんですよね。そもそも、なぜか探索員の中に現れる異能の持ち主とか、ダンジョンに潜るようになってから発現したものではなくて、元々そういう能力を持っていた者たちが……という展開みたいだし。
あらすじにもあるような殺し屋聖女、魔法使い幼女、ヤクザの兄貴とみんな実のところそれぞれに主人公張れるような独自の世界観とバックグラウンドストーリーを有している。様々な設定群が盛りだくさんに詰め込まれてるんですよね、本作って。
惜しむらくは、その詰め込んだ設定を突っ込んだ奥から表までろくに引っ張り出せなかった、というところか。無計画に押し入れに突っ込んだモノは、取捨選択して好きなものだけ取り出すということは出来ない。せっかくの設定なのに、みんなそういう背景を持っている、という話だけでそれぞれ全然掘り下げるだけの物語的な余裕がなかったもんだから、場合によっては異種格闘技戦的なごった煮の戦闘シーンが見れたかも知れないのに、大した特徴ある展開もなくそのまま押し流されてしまった感がある。ストーリー全体が急ぎ足だったせいか、個々の掘り下げも結局大してないままだったし。
そして肝心の新宿ダンジョンについても、主人公が持っていた情報の価値が殆ど活かされないまま潰されちゃったんですよね。せっかくの、未知の戦闘法だったラッシュも、ただ肉体強化の倍率をあげていくだけでひどく単純なパワーアップでしかなかったんですよね。これで、様々な方向に能力を拡張してけたりしたら、色んな事が出来るようになって面白かったんだろうけど、これだと単にステータスの数値があがるだけで、発展性が全然なかったもんなあ。
主人公の目的である妹の捜索も、思わぬ形で決着ついちゃったし、シスターと妹の関係というか因縁も思ってたよりもかなり拗れてた割にこうねちっこい関係性は見当たらなくて、さっくりしちゃってたからなあ。
とにかく、一通り起承転結を形作って一先ずの決着を、という意識が強かったのか全体的に急ぎすぎて、腰を据えた形でのじっくりと描かれるべき部分がおおむね急かされてしまっているので、ほとんどのところが中途半端で終わってしまった感がある。
あれこれと詰め込んだ設定が、練られているぶんひどく勿体ないと感じさせられてしまう作品でした。

大泉貴作品感想

ティアムーン帝国物語 2~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~ ★★★☆   



【ティアムーン帝国物語 2~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~】 餅月望/Gilse TOブックス

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「――来てますわ、波が!」
処刑台から12歳に逆転転生【タイムリープ】した元わがまま姫ミーアは、調子に乗っていた。
かつての記憶と周囲の深読みで、飢饉時の小麦確保や内戦回避に成功し、ついに前世の日記帳ごと「処刑」の二文字が消えたからだ。だが、呪縛から解き放たれて小躍りする彼女の下に、凶報が舞い込む。想い人である王子アベルの国で革命が勃発したというのだ。危険を冒して救助に向かうべきか、我が身の保身か……?変わり始める未来を前に、彼女が下す「最初の選択」とは?ポンコツ姫よ行け、 ギロチン回避のその先へ!運命に抗う一世一代の歴史改変ファンタジー第2巻!

相変わらず、天井知らずの周囲の過大評価と対象的にキレッキレにこき下ろしていく地の文とのコントラストがホント面白いミーア姫奮闘記の第二弾。
あらすじで最大の目的だった処刑回避が達成されちゃったの暴露しちゃってるけどいいんだろうか。それこそが、ミーア姫の原動力でもあったわけなのですが。
ともあれ、それを達成したことからミーアの自分ファースト主義もただ死にたくない助かりたい、という方向性からもう一つワンステップステージをあげていくことになるのである。
しかしミーア四天王なる存在が登場してしまうのか。これってまさか侍女のアンヌは入ってないですよね。ミーアが勝手に呼んでいるのではなくて、ちゃんと世間様から呼ばれるようになった名称みたいですし。あの帝国最強を名乗ってるディオンさん、どう見てもただの危険人物ですよね。考え方が尖りすぎてて、この人正史ではミーアの首切り落とした後どうなったんだろうか、とちょっと興味深くある。
どうやらミーア姫を処刑へと追い込んだ革命は、帝室や貴族階級の横暴や不見識によって起こった必然のものではなく、仕組まれたものであった以上、正史の行く末というのはミーア姫のみならず多くの人にとって決してハッピーエンドで終わらなかった歴史である、というのはシオンの辿った生涯を見ると明らかなんですよね。
てか、シオンってティオーナと結ばれるわけじゃあないのか。革命の旗手となるティオーナだけど、本編の方でもシオンとは特に何のフラグもたってないみたいだし。自分でも一連の出来事に対してあんまり役に立ってない、と悔しい想いを噛み締めてるティオーナさん、実際ほんとにあんまり出番らしい出番がなくてちょっとかわいそうですらある。
一方でシオンと行動をともにするケースが増えてきたミーアだけど、こちらはこちらでアベル王子とは揺るがぬ相思相愛なものだから、微妙に中途半端に浮いた感じになってるシオン王子。彼自身、ミーアに惹かれながらもはっきり恋愛感情を抱いているわけではない、仄かな思慕を芽生えさせながらも気づかない、或いはアベルとの仲を見てるので気づかないようにしてるのか。有能完璧超人んであるが故に便利使いされてる気もする今日このごろ。ただ、ミーア姫と行動しているおかげで一皮剥けているのも確かなので、成長の糧にはなってるんですよねえ。
まあミーア何もしてないので、勝手に成長されてるだけとも言えるのですが。
アベル王子の国元での危機もうまいこと解決されて、そこで確定された歴史は結構なハッピーエンドだったと思うのですけれど、あれで満足しないとはなかなか欲張りなミーア姫。でも、それだけアベル王子を大切にしているとも言えるので、このお調子者の根底にある優しさはやっぱり憎めない所だなあと思うのでした。しかし、この見た目に叡智の欠片もないポンコツさがにじみ出てるキャラデザインはほんと秀逸だと思いますよ、うん。

1巻感想

賭博師は祈らない 4 ★★★☆   



【賭博師は祈らない 4】 周藤 蓮/ニリツ 電撃文庫

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バースでの長逗留を終え、ようやくロンドンに帰還したラザルス。リーラは徐々に感情豊かになり、観光がてらついてきたエディス達との交流も続く。賭場の馴染みからは、そんな関係を冷やかされる始末。ラザルスは賭博師として日銭を稼ぐいつもの生活へと回帰していく。だが幸福そうに見えるラザルスの心を陰らせるひとつの懸念―。リーラという守るべき大切なものを得たが故に、彼の賭博師としての冷徹さには確実に鈍りが生じていた。裏社会の大物や警察組織にも目を付けられつつも、毎日を凌いでいたラザルスだったが…。そしてかつての恋人である賭博師・フランセスとの因縁が、ラザルスに決定的な破滅をもたらすことになる。

師であり義父であった男から引き継いだ「賭博師」としての在り方に殉じて来たラザルス。そのために、これまで手に入れてきた大切な関係を切り捨ててきた。自身の賭博師としての在り方を守るために、友人を見捨て、恋人となっていたフランセスと決別してまで。
しかし、その在り方はリーラを守るために失われてしまった。賭博に対するスタンスに不純物が混じってしまった今のラザルスには、今まで通りの打ち筋はもはや制御できないほどにバランスを崩してしまっている。それでも、今まで通りを続けようとして無理を続けた結果の破綻であった。
それを決定的にしたのが、ラザルスの兄弟弟子とも言える存在であり賭博師として同じ在り方を続け、そうであるが故に決別せざるを得なかったフランセスであった、というのが皮肉なのか因果なのか。
フランセスとしては、引導を渡すつもりだったのかもしれないけど。この女性、ラザルスと同じく冷徹に見えるのはあくまでブラフで、根っこのところは情に厚い人なのよね。だからこそ、既に賭博師としておかしくなっていたラザルスが致命的な失敗を犯す前に、足を洗わせるつもりだったんじゃないかと思う。それをまあ、ラザルスは台無しにしてしまい、自分から本当に致命的な失敗にしてしまうのだけれど。
それでも、彼の生存を信じて、彼が戻ってくるのを賭場で待っている、というのはなんかこうこの女性も不器用に健気だと思うのですけど、どうなんでしょう。
場合によっては、自分の引導を渡してもらう事すらも受け入れて、ですからね。自分の身をチップに乗せるというのはラザルスの弱点をついているのですけれど、彼が賭博師として再生するのなら祖の身を犠牲にしても良い、という考えだったと思うのは考えすぎでしょうか。

甘いだけ、優しいだけではもう賭博師としては死んでいる。でも、果たして義父が残した教え通りの賭博師が、正解の終着点なのか。
ラザルスは逃亡生活でボロボロになる中で、義父が残した一文からようやく師たる彼の本当の苦悩に気づくことになる。たとえ今はやり過ごせても、いつか必ず破滅する賭博師としての生き様。それをかつて義父は体現し、しかし果たして息子たるラザルスにもそうなる果てを望んだだろうか。
こだわり殉じ続けた義父の教えを乗り越えて、今までのやり方とは全く違う新しい自分に相応しい賭博師としての在り方を掴み取ろうとするラザルスの姿は、なんというか今までにない希望を背負っていて眩しいものがあった。これまで、彼の背中には煤けた儚さがどうしてもつきまとっていたものだから。
彼を変えたのはリーラだったけれど、元々ラザルスはそういう人間だったとも言えるんですよね。しかし、そんな自分を認めて受け入れて、立ち上がるのに誰の力も借りずに、リーラも関わらせずに自分一人でやってしまうのが、ラザルスの大人な所ということなのかしら。いや、ジョン・ブロートンという損得関係なしに助けてくれる友人が居てくれて、自分が傷ついても助けてくれるようなクーリィのような人が居てこそ、ラザルス・カインドが粉々に砕け散ってもそこから立ち直る猶予が出来たのだろうけど。自分が思っている以上に、彼は孤独などではなかったわけだ。昔から、今に至るまで。
そして、自分が孤独ではない事に気づき受け入れ、それを力にする事に躊躇う事がなくなった新しい賭博師像を手に入れようとしているラザルスにとって、フランセスもまた切り捨てるべき過去じゃなくなったのか。
てっきり、フランセスの事はかつての自分の賭博師としての在り方を体現するもう一人の自分としてケリをつけ、過去に置いていくものだと想像していたんですけどね。彼のこれからの生き方は、フランセスを捨て置くようなものではなかったわけだ。正直、ラザルスを見縊っていたと言っていいだろう。ここまで器の大きい男として立ち上がるとは思っていなかった。

でもさ。

その方法は良かったの!? と、正直問い詰めたいんですけどね!! 本気で、ブワッ、と奇声を漏らしてしまいましたがな。予想外にもほどがありすぎる方法だわ、それは! いいのかよ、ほんとにいいのかよ!?
どう言い訳するの、それ!?  でも、お似合いの夫婦であることには間違いないので複雑すぎる。あらゆる意味で過去の決別の原因をまるっと乗り越えちゃったわけですし。
街の対立構造をどう捌くかも大変でしょうけど、リーラにどう言い訳するのかが想像つかなくて、ほんとえらいこっちゃやでw

シリーズ感想

継母の連れ子が元カノだった 3.幼馴染みはやめておけ ★★★★★   



【継母の連れ子が元カノだった 3.幼馴染みはやめておけ】 紙城 境介/たかやKi 角川スニーカー文庫

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まだ覚えてるよ、 好きだったこと。元恋人たちが大いに悶える勉強合宿編!

いさなの告白叶わずも、すんなりと親友同士に戻った水斗といさな。相変わらず近い二人の距離感に、心がざわつく結女だったが――そんな彼ら以上に、理解できない二人がいた。
南暁月と川波小暮である。幼馴染み同士なのに、顔を見る度にいがみ合い……。
暁月たちの仲直りを望む結女、そして二人の過去を察した水斗は、いさなを巻き込んで一役買うことに!?
きたる勉強合宿。かくして暁月と川波は、黒歴史《おもいで》に向き合うことになる。
あの頃のあだ名で呼び合い、恋人ごっこをさせられて。
それはただの“罰ゲーム”なのに、どうしてもお互いを意識してしまうこの二人も――元恋人同士なのである!!

凄えな、ホント凄えな。幼馴染という関係をここまで多面的に掘り下げて解体して見せた物語が果たしてどれだけあるだろうか。幼馴染の光と闇、功罪、清濁正邪にメリット・デメリット、その精髄を極めつけたようなある幼馴染カップルの顛末である。

幼馴染とは、すなわち距離感だ。兄弟姉妹と違って他人にも関わらず、家族同然或いはそれ以上の密接な距離感。同時に、他人である以上兄弟と違って本当に何の関わり合いもない他人の関係になってしまえる儚い関係性とも言える。
川波小暮と南暁月はその幼馴染としての距離感で致命的にやらかしてしまった失敗カップルだ。その原因は概ね、暁月が生来のメンヘラ女であった事とその事実に暁月本人と小暮自身が破綻するまで無自覚であった事に求められるのだろうけれど、二人の話を見ているとそれだけじゃあないんですよね。
よくある幼馴染が恋人同士になって破綻してしまう理由として、関係の変化。恋人という関係にどうしても馴染まなかった、というものが多いけれど果たしてこの二人の場合はどうだったのだろう。少なくとも、その変化に違和感を感じていなかったのは確かなんですよね。むしろ、ドハマリしたとも言えるのでは。一方で、元々幼馴染であったが故に……最初から彼氏彼女の関係なんかよりもよほど一心同体の関係であったが故に、その距離感はより悲惨にグチャグチャになってしまったと言える。
南暁月は、カノジョなんかよりもずっと面白い、という彼の言葉に芽生えてしまった彼女は、彼氏彼女よりももっともっと濃密な幼馴染としての関係にのめり込み、生来何かを演じ続けていた小暮は何も演じず頑張らず言わずに素の自分をそのまま受け入れてくれる、幼馴染や彼氏彼女という周囲がこういうものだとレッテルを張る枠組みではないただの暁月に傾倒し、すれ違った。
ここらへんの二人の食い違いと破綻については一概にこうだとは言えなくて、読めば読むほど言葉にできる範疇よりも奥底に渦巻くものがあって、いくらでも覗き込んでいけそうなのが色々とたまらんのですよね。幼馴染という複雑にして紐解けない関係の深奥を垣間見えることに、興奮が否めないのだ。
そうして破綻してしまい、恋人でも幼馴染でも居られなかった暁月と小暮はお互いのハイスペックなコミュニケーション能力を駆使して、他人同士という関係を演じるようになる。それは周りに見せつけるための演技ではなく、そうやって人工的に距離感を製作しなくてはどうやって顔を合わせて付き合えばいいのかわからなくなってしまったからだ。人生の殆ど大半、全部と言っていい時間を費やしてきた関係だ。それが圧潰してしまったのだ。小暮のPTSDも相まって、それは修復不可能なものになってしまった。もう、元の関係にはどうやっても戻れない。今までずっと続けてきた距離感では、もう何も出来なくなってしまうまでに破綻したのだ。だから他人を演じなければ、本当に距離を置かないといけなくなる。真の意味で疎遠になってしまう。
……そうなんですよね。家が隣同士とか同じ学校でクラスメイトとか親同士は今も仲の良い幼馴染同士と思ってるとか、そういう理由で実のところ理由にはなってないんだろうな。
やろうと思えば、ホントの意味で他人同士になる事は出来たはずなのだ。スッパリと、幼馴染という過去を上書きしてなくしてしまう事は出来るのだ。人間、出来てしまうのだ。それは暁月と小暮も変わらない。実際、そう成りかけてた。多分、二人の繕っていた外面は、破綻した距離感を誤魔化して適切さを維持するためのコミュニケーションという技術によって維持されていたバランスは、時間の経過によって本物に成りかけていた。
そして自然消滅ではなく選択としても、それは出来ただろう。合宿の途中で、それは示された。
本当の他人同士になることは、出来たのだ。

それがそうならなかったのは。出来なかったのは。
出来ないのは、嫌だからだよ!!
なんでわざわざ嫌ってるはずの幼馴染の家にマメに掃除に行くのさ、小暮くん。別れて登校するのに、なんで家を出るタイミングはそんなに重なるのさ。たまに一緒に飯作って食ってるだろ!? すんげえ、抵抗してるじゃないか。自然消滅、過去が解消されちゃうだろう時間経過による摩耗にさぁ!

幼馴染じゃ居られない、だからといって恋人にはもう慣れない、だからといってホントの他人になるのは嫌だ。絶対に嫌だ。
だからこそ、そんな地獄のような有様で口を揃えてこういうのだ。
「幼馴染みはやめておけ」


でもだからこそ、観察者たる読者の立場としてはこう叫ぶ他ないのだ。

「幼馴染って、最高じゃん!!」



いやもう、幼馴染の恋愛話としてとんでもねー位階まで掘り下げてみせた、そして繊細かつ縦横無尽に描ききってみせたラブコメでした。読めば読むほど凄えわ、これ。サブキャラの話とか、完全に忘れる。
しかしこれ、小暮くんてばまさかあそこまで酷いPTSDを患ってるとはついぞ想像もしてなかったんだけど、取り敢えず一度伊里戸兄妹のお節介によってグチャグチャになった後になんとか修復された後の関係って、生理的には受け付けないけど感情的には実のところ……って奴なんですよね、これ。暁月に関しては、険悪な態度とは裏腹に内心は最初っから昔と変わってなかった節もあるし。ってか、あの態度は適切な距離を保つためだけではなくて、小暮の症状を鑑みてのものという可能性もあるのか。
あれ、PTSDが治れば障害はなくなるとも言えるし、たとえ治らなくても……治らないなら小暮には絶対に他の虫は寄りつけないという事でもあるので、もうこの二人あの幼い頃の約束破る気ないですよ、きっと。かぁーー、もうたまんねえなあ、幼馴染って。
知っていますか? お互いベタベタ好意を寄せ合わなくても、熟練したカップルは無自覚自然にイチャイチャ出来てしまうのだ。なのでこの幼馴染ども、小暮に蕁麻疹がわかないレベルでも普通に濃密なイチャイチャをしはじめそうである。


……そんな暁月と小暮の幼馴染話の最中、基本的にずっと背景側でナイスアシストを続けていた支援組の伊里戸兄妹ですけれど。
こいつら、背景の方でずっとイチャイチャしてやがったぞ!? 
なにこの、呼吸するように自然にイチャイチャしてる水斗と結女のお二人さん。しかも、まったく無自覚に! 今回の話では、伊里戸兄妹が混迷する幼馴染カップルの間で奔走する形にはなっているんですけれど、特別なイベントなくても普通の実生活の中でこいつら当たり前のようにイチャイチャしてるんですよね。本人たち普通に生活しているつもりなのかもしれないけど、傍から見るととんでもねーレベルでイチャついてるから! 本人たちにそのつもりがないのだけれど、二人が色々と画策して暁月たちにちょっかいかけるために相談したり動き回ってる時も、ナチュラルにイチャついてるから。普通、イチャイチャするのって二人だけの世界に入っちゃっての事のはずなんだけれど、この兄妹の場合普通にしてるだけでイチャイチャしてるのと変わらない塩梅になってしまっているので、元幼馴染カップルの話が進行している背景でやたらと伊里戸兄妹のイチャイチャが目に入ってくる始末。
君ら、メインの話じゃなくても関係なしに見せつけてくるなあ、ほんとさ!

そして、伊里戸兄妹を上回る勢いで背景で暴れまわるフリーダム東頭いさな。こいつ、やりたい放題ってレベルじゃねえぞ!www
確か前巻で振られてラブコメ的には終了したはずのヒロイン。そのままフェイドアウトならずとも、存在感のオーラは減少して主軸から外れるタイプの立ち位置なキャラだったはずなのに、この作品の場合むしろ振られて繋がれた首輪から解き放たれた凶獣の如く、自由に大暴れですよ。物語の大筋が一本の横線だとしたら、この女蛇行しながら度々大筋の横線に横から突撃してきてぶちかましてはそのまま去っていき、行ったと思ったら帰ってきて横線ぶち抜いていく、という迷走する台風か上陸して暴れまわる怪獣か、の如きやりたい放題である。
凄いな、ラブコメでこんな野放しに放たれたキャラ、早々見たこと無いぞw
ちょっといさなさんが色んな意味で面白すぎて、色んな意味で目が離せない。どうするんだ、この娘!?

ともあれ、今回はメインの二人の話ではなかったとはいえ、ずっと気になっていた幼馴染の元カップルの話を期待以上に掘り下げ料理しきってくれたので、満足どころじゃない大満足の堪能具合でありました。この巻のパートからウェブ上での連載は読まずに、初見で味わうことが出来ましたし。
もうほんと好き。
シメのあとがきの最後の一文は、サブタイトルの意味合いをきっちり仕上げていてくれて、実に最高でした。


1巻感想


2巻感想

ワールドエンドの探索指南 ★★★  



【ワールドエンドの探索指南】 夏海 公司/ぼや野 電撃文庫

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ボクたちが生き延びるには『地図』が必要だ。安全な場所が記され、『ミサキ』と呼ばれる怪物たちを見つける道標となるものが。丘の上に立つ謎の“学園”で目覚めたボクは、今日も仲間たちと探索に出かける。6人でチームを組み、無人の街を調べ、力を合わせてミサキを倒す。貢献に応じて支払われるポイントで装備を新調し、更なる奥地を目指す。これがボクらの毎日。いつ終わるとも知れない冒険の中、ある時、ボクはこの世界への違和感を訴える女の子と出会い―。

そう言えば、なんであの怪物たちが「ミサキ」なんて名前つけられているのか説明ありましたっけ。なかったよな。いきなりミサキという単語が出てきて、なんだそれはと思っているうちにそれが怪物全体につけられた名前だと話の展開から理解して……という感じで。
やっぱり、7人ミサキが原典なんだろうか。だとすると、随分な皮肉が込められた命名である。
冒頭から中々に壮絶な展開。カラー口絵を見て素直に読み始めてたら、そりゃ一撃食らうだろうなこれは。それだけイラストを贅沢に使っているとも言えるわけで、ほぼレギュラークラスで出演しているにも関わらず、なかなか挿絵で描いてもらえないキャラとか羨ましいんじゃなかろうか。
同時に最初のスタッカートの面々、個々を面影までイメージできるわけですから強烈さも増すというもので、これ以上なく効果的とも言えるのでしょう。
自分の場合、ちらっとネタバレされてたからなあ。それがどういう形かは知らなかったものの、心構えだけは出来てしまっていただけに。
でもまああれ、タイキの方にも大いに問題ありなんでしょうね。正論が正論だから、正しい結論だから受け入れられるというものではない。正確な分析を導き出すのと、それが正確だ、極めて確率の高い可能性だ、と認めさせる事、物事を納得させる能力は全く別物なんですよねえ。
一概に、彼らが無理解だったとは思えません。最初の方はちゃんと意見を聞き入れていたわけですしね。当然、責の大半は情報を信じなかった面々にあるのは間違いないのですけれど、会話を聞いている限りあれは無理だろうなあ。それが正しいとわかっていてもイラッとする物言いですしw
それ以上に話を聞いてもらうための、話す内容を信じてもらうための説得力を付与する前フリ、あるいは餌撒きがないんですよね。いきなり「A」が正しい、だからそうするべきだ、と結論だけ述べて採択を迫る。これをするなら、よほど強権を有するリーダー格でないと容易にチームとしては破綻してしまうでしょう。それか、よほどリーダーにその能力を信頼されるか。
それですら、彼の言うとおりにするリーダーも含めて不満や不和が募っていくでしょうから……なるほどなあトモヤスのあのやり方というのは、タイキというピースの扱い方としては最上にして最適だったと言えるのでしょう。正直、タイキの悪評があそこまで天井に達していなかったら、もっと簡単に彼をチームに組み込めたかもしれない。あそこまで周囲から敵意を集める状態になってしまっていたタイキを、あのままチームの一員としてうまく活用できたかについては、凄まじい綱渡りを要求されそうな難易度だったと思うのだけれど、トモヤスのあの腹芸はちょっと並外れたものがあっただけに、普通に話が転がっていけばトモヤスをリーダーとするあのチームで、タイキも順調にやっていけたのかもしれないと思うんですよね。

まあ、「学園」の中で常識とされていた事が大前提から「アレ」だった時点でどう転がってもそうなる未来は無理だったのですけれど。
しかし、あの執行部の。リンのやり方は振り返っても何がしたかったのかわからない。あのやり方だと損耗が増えるだけで探索速度があがるとは思えないですもんね。無駄に腕の立つチームを消していくだけで、ノウハウも加速度的に失われていくし、どんどんジリ貧になっていくばかりでしょうに。合理的じゃないんだよなあ。一応、彼らのバックの存在とその暗躍が明らかになったけれど、基本的な目的に関しては最初からリンが言っていた通りだったのだとしたら、やっぱり無駄が多すぎて何やってんだコイツラ、と思うばかりで。結局、無理を押した所から破綻して情報が漏れて、全部おじゃんになってしまったのですから、とてもあのリンという人有能だったとは思えないなあ。サイコパスの類だったのは間違いないのでしょうけど。
トモヤスなんか見てたら、彼をうまく活用してたら劇的に探索進むようになってたんじゃないか、と思えてならない。ラストでの展開を見ても、滅茶苦茶有能だもんなあこの人。

色々とリンを通じて、この世界の仕組みについて明らかになってきたわけだけれど、まだタイキたちを含めた「子供」たちの正体。彼らの失われた記憶や世界の謎は定かではないのだけれど……少なくとも出揃った情報から鑑みるに、これって異世界ファンタジーじゃなくてやっぱりSFの部類ですよね? 夏海さんは、やはり徹底してSF者だぞ、これw

夏海公司作品感想

聖剣学院の魔剣使い 2 ★★★★   



【聖剣学院の魔剣使い 2】 志瑞祐/ 遠坂 あさぎ MF文庫J

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1000年の時を越えて転生した最強の魔王レオニス(10歳)は年上の美少女リーセリアに保護され、〈聖剣学院〉に入学した。〈第〇七戦術都市〉を襲った〈ヴォイド・ロード〉を圧倒的な力で蹂躙し、魔王群復活の狼煙を上げたレオニス。そんな矢先、帝国の第四王女が来訪するとの情報を手に入れる。世界征服の布石を打つため向かった先には、なぜか同じ寮で暮らすメイドお姉さんがいて──。「レギーナさん、どうしてここに?」「少年、お姉さんがお菓子を買ってあげますよ。それとも胸を揉みますか?」「露骨に誤魔化した!?」軍港を襲撃する〈ヴォイド〉、暗躍するテロ組織、その裏では〈魔剣使い〉の恐るべき計画が動き始めていた──!

リーセリアってば、レオニスくんにダダ甘というかもうすげえ過保護というか。お姉ちゃん属性が爆発してるぜ!!
レオニスの方はリーセリアの方を将来有望な眷属だ、右腕候補だ、と上から目線で見てるつもりなんだけど、セリアさんの方は完全に弟扱いだよね。セリアの方も頭ではわかってるんだろうけど、レオニスの詳しい素性についてはまだ明かされてないんだっけか。そのお陰で年下の手のかかる可愛い男の子という認識がしつこい油汚れのようにこびりついているようで、ダダ甘お姉ちゃん全開なのである。
これでレオニスの方が度々子供らしくない魔王としての顔を見せるならともかく、内心で色々と冷徹な魔王として考え巡らせてはいるのだけれど、それを表には一切出さないでその言動は丁寧で礼儀正しい少年というスタイルは崩さないので、読んでるこっちもショタっ子なのが基本認識になってしまって、おのれ主人公のくせに可愛げがありすぎるw
何気に魔王時代からの仲間であるメイドとワンコも、今の所食いしん坊に方向音痴のコンボを決めてたり、速攻で女の子に飼われる飼い犬プレイに勤しんでたり、とポンコツ面の方が強調されていて魔王勢が愉快な人たち、になってたりw
いやしかしホントに面白いなあ。なんだろう、特別ここが凄いという特徴は見受けられないし、話の筋立てそのものもオーソドックスの部類だと思うのだけれど、とにかく読んでてすこぶる面白い。
エンタメとして盛り上げどころの緩急が実に巧妙に仕上げている上に、そこに個々のキャラのアクションとしての活躍とキャラクターそのものの掘り下げがバランス良く繰り広げられてるんですよね。今回メインとなるレギーナのみならず、咲耶やエルフィーネの方も出番自体は少ないにも関わらず、彼女らのバックグラウンドが気になって仕方なくなる展開が盛り込まれてるし。
順調にヴァンパイアクイーンとして成長する様子がダイナミックに描かれるセリアに、その素性から今回のゲストヒロインである王女さまへの複雑な思いを抱くレギーナさんといい、様々なアプローチで見せ場が用意されているし、締めるところはちゃんとレオニスが締めるしと、構成が巧いんだろうな、これ。
さらに、レオニスが魔王になった事情に絡めるように、謎の女神を崇拝する敵集団の登場にそれらが「魔剣」を有するという物語の根幹をなすストーリーもグイグイと進展させていく推進力。
第一巻でも随分驚かされましたけれど、2巻でこれはガッチリとその面白さがハマった感がありました。これは本格的に躍進しそうなシリーズになりそうですよ、期待大。

1巻感想
 

9月28日

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9月27日

異識
(まんがタイムKRコミックス)
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ひさまくまこ
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Koi
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相崎うたう
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セトユーキ
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こめつぶ
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福きつね
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メイス
(まんがタイムKRコミックス)
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9月26日

えすのサカエ/宇野朴人
(角川コミックス・エース)
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相野仁/市倉とかげ
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平未夜/之貫紀
(角川コミックス・エース)
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大和田秀樹/矢立肇
(角川コミックス・エース)
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今ノ夜きよし/イノノブヨシ
(角川コミックス・エース)
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Ark Performance
(角川コミックス・エース)
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石田あきら/東出祐一郎
(角川コミックス・エース)
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前田理想/沢村治太郎
(角川コミックス・エース)
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鏡/丘野優
(角川コミックス・エース)
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東方Project/芦山
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笹倉綾人
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苗川采
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Dormicum
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山路新
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宝乃あいらんど/震電みひろ
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小早川ハルヨシ/金斬児狐
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くろの/永島ひろあき
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9月25日

涼樹悠樹
(オーバーラップ文庫)
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迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
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友橋かめつ
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ネコクロ
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ネコ光一
(オーバーラップ文庫)
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白米 良
(オーバーラップ文庫)
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白米 良
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でんすけ
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出井 啓
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一分 咲
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筧千里
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カヤ
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波多ヒロ/あまなっとう
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やもりちゃん/じゃき
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もちろんさん/猫子
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吉川英朗/月夜涙
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吉乃そら/ネコ光一
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天羽銀/迷井豆腐
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卯乃米/桜あげは
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綾北まご/冬月光輝
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9月24日

棚架ユウ/丸山朝ヲ
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天乃咲哉
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洋介犬
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かくろう/石神一威
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小林立/五十嵐あぐり
(ガンガンコミックス)
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小林立/五十嵐あぐり
(ビッグガンガンコミックス)
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小林立/めきめき
(ビッグガンガンコミックス)
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長田悠幸/町田一八
(ビッグガンガンコミックス)
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小林立
(ヤングガンガンコミックス)
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小林立/めきめき
(ヤングガンガンコミックス)
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福田晋一
(ヤングガンガンコミックス)
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田尾典丈/三雲ジョージ
(ヤングガンガンコミックス)
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戌森四朗
(ヤングガンガンコミックス)
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六本順
(ヤングガンガンコミックス)
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田澤裕/友井太郎
(ヤングガンガンコミックス)
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9月22日

十文字 青/原作・プロデュース:Eve
(MF文庫J)
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総夜ムカイ/原作・監修:みきとP
(MF文庫J)
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両生類 かえる
(MF文庫J)
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木緒 なち
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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川口士
(ダッシュエックス文庫)
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川口士
(ダッシュエックス文庫DIGITAL)
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川口士
(ダッシュエックス文庫DIGITAL)
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赤金武蔵
(ダッシュエックス文庫)
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河本ほむら/尚村透
(ガンガンコミックスJOKER)
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河本ほむら/斎木桂
(ガンガンコミックスJOKER)
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昆布わかめ
(ガンガンコミックスJOKER)
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サラ イネス
(イブニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニング KC)
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江口夏実
(モーニング KC)
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瀧下信英/津田彷徨
(モーニング KC)
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藤本正二/Juan Albarran
(モーニング KC)
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千嶌オワリ/津田彷徨
(モーニング KC)
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森高夕次/足立金太郎
(モーニング KC)
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一乃ゆゆ/佐島勤
(MFコミックス アライブシリーズ)
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杉井光/篠アキサト
(MFコミックス アライブシリーズ)
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ぐう/水無瀬
(MFC)
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柏木郁乃
(MFC)
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倭ヒナ/ぷにちゃん
(MFC)
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9月21日

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9月20日

大和田秀樹
(ヤングチャンピオン・コミックス)
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クール教信者
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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いとうえい
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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小宮地千々
(GCN文庫)
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一色一凛
(GCN文庫)
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風間レイ
(TOブックス)
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やしろ
(TOブックス)
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もちもち物質
(TOブックス)
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夕立悠理
(TOブックス)
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鳴沢明人
(HJ NOVELS)
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はぐれメタボ
(HJ NOVELS)
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9月19日

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9月16日

橘 公司
(富士見ファンタジア文庫)
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長岡 マキ子
(富士見ファンタジア文庫)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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七斗 七
(富士見ファンタジア文庫)
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いつきみずほ
(富士見ファンタジア文庫)
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ラマンおいどん
(富士見ファンタジア文庫)
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ラチム
(富士見ファンタジア文庫)
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紫大悟
(富士見ファンタジア文庫)
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朝陽千早
(富士見ファンタジア文庫)
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コイル
(電撃の新文芸)
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相原あきら
(電撃の新文芸)
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イダタツヒコ/広江礼威
(サンデーGXコミックス)
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やまむらはじめ/広江礼威
(サンデーGXコミックス)
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坂崎ふれでぃ
(サンデーGXコミックス)
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了子
(裏少年サンデーコミックス)
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神内アキラ
(裏少年サンデーコミックス)
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柊一葉/じろあるば
(裏少年サンデーコミックス)
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内藤マーシー
(講談社コミックス)
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宮島礼吏
(講談社コミックス)
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久世蘭
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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裏那圭/晏童秀吉
(講談社コミックス)
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むちまろ
(KCデラックス)
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硬梨菜/不二涼介
(KCデラックス)
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さゆこ
(フロース コミック)
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あるてぃ/染井由乃
(フロース コミック)
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原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
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中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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雪森寧々
(ヤングジャンプコミックス)
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小瀬木麻美/宮田ダム
(ヤングジャンプコミックス)
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キナミブンタ
(ヤングジャンプコミックス)
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大河原遁
(ヤングジャンプコミックス)
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武田綾乃/むっしゅ
(ヤングジャンプコミックス)
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子新唯一
(ヤングジャンプコミックス)
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グレゴリウス山田
(ヤングジャンプコミックス)
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ヤマザキマリ
(ヤングジャンプコミックス)
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スガワラエスコ
(ヤングジャンプコミックス)
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スガワラエスコ
(ヤングジャンプコミックス)
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瀬尾つかさ/bomi
(ヤングジャンプコミックス)
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川口士/的良みらん
(ヤングジャンプコミックス)
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9月15日

コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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福地翼
(少年サンデーコミックス)
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青山剛昌
(少年サンデーコミックス)
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青山剛昌/阿部ゆたか
(少年サンデーコミックス)
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かんばまゆこ/青山剛昌
(少年サンデーコミックス)
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田中現兎
(マガジンエッジKC)
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川田暁生
(マガジンエッジKC)
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ひな姫/猫又ぬこ
(マガジンエッジKC)
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水森崇史
(講談社コミックス)
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ひととせひるね
(講談社コミックス月刊マガジン)
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杜乃ミズ/餅月望
(コロナ・コミックス)
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中島鯛/ほのぼのる500
(コロナ・コミックス)
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まいたけ/生咲日月
(コロナ・コミックス)
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わかさこばと/春の日びより
(コロナ・コミックス)
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羽尻伊織/鉄人じゅす
(コロナ・コミックス)
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ハム男
(アース・スターノベル)
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友麻碧
(富士見L文庫)
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柚原 テイル
(富士見L文庫)
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七沢 ゆきの
(富士見L文庫)
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9月14日

鳥羽徹
(GA文庫)
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神田暁一郎
(GA文庫)
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佐伯さん
(GA文庫)
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佐伯さん
(GA文庫)
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海空りく
(GA文庫)
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海月くらげ
(GA文庫)
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柚本悠斗
(GA文庫)
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白石定規
(GAノベル)
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白石定規
(GAノベル)
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守雨
(GAノベル)
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金明豪×KJ
(アフタヌーンKC)
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こだまはつみ
(モーニング KC)
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9月13日

横島日記
(リュウコミックス)
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わらいなく
(リュウコミックス)
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9月12日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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河添太一
(ガンガンコミックス)
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宮澤伊織/水野英多
(ガンガンコミックス)
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南海遊/村山なちよ
(ガンガンコミックス)
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高津カリノ
(ガンガンコミックス)
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オジロマコト
(ビッグコミックス)
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ゆうきまさみ
(ビッグコミックス)
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田岡りき
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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源素水
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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七尾ナナキ
(裏少年サンデーコミックス)
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空谷玲奈/昴カズサ
(ガンガンコミックスONLINE)
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高野裕也
(ガンガンコミックスONLINE)
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礼島れいあ
(ガンガンコミックスONLINE)
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長岡マキ子/カルパッチョ野山
(ガンガンコミックスONLINE)
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森貴夕貴
(アース・スター コミックス)
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咲メギコ/師裏剣
(アース・スター コミックス)
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瑚澄遊智/漂月
(アース・スター コミックス)
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しろ
(アース・スター コミックス)
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檜山大輔
(アクションコミックス)
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浜田よしかづ
(アクションコミックス)
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ピロヤ
(メテオCOMICS)
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火曜
(まんがタイムKRコミックス)
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カエルDX
(まんがタイムKRコミックス)
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霜月絹鯊
(まんがタイムKRコミックス)
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そめちめ
(まんがタイムKRコミックス)
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9月10日

餅月望
(TOブックス)
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もちだもちこ
(TOブックス)
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岡崎マサムネ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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榛名丼
(TOブックス)
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9月9日

アサウラ/Spider Lily
(電撃文庫)
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アサウラ
(電撃文庫)
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佐伯庸介
(電撃文庫)
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西 条陽
(電撃文庫)
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宇野朴人
(電撃文庫)
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三河ごーすと
(電撃文庫)
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佐島 勤
(電撃文庫)
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鎌池和馬
(電撃文庫)
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駒居未鳥
(電撃文庫)
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逢縁奇演
(電撃文庫)
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ミサキナギ
(電撃文庫)
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丸深まろやか
(電撃文庫)
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岬 鷺宮
(電撃文庫)
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夏 みのる
(カドカワBOOKS)
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遠野 九重
(カドカワBOOKS)
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明。
(カドカワBOOKS)
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流優
(カドカワBOOKS)
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愛七 ひろ
(カドカワBOOKS)
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ヤマザキコレ
(BLADEコミックス)
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ツクモイスオ/三田誠
(BLADEコミックス)
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住川惠/甘岸久弥
(BLADEコミックス)
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yoruhashi
(BLADEコミックス)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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横山コウヂ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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福原蓮士/つちせ八十八
(ドラゴンコミックスエイジ)
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稲葉白
(ドラゴンコミックスエイジ)
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二式恭介
(ドラゴンコミックスエイジ)
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遠野ノオト/流優
(ドラゴンコミックスエイジ)
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はっとりまさき
(ドラゴンコミックスエイジ)
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神谷ユウ/桜木桜
(角川コミックス・エース)
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吉岡剛/菊池政治
(角川コミックス・エース)
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唐澤和希/藤本れもち
(角川コミックス・エース)
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皇ハマオ/月夜涙
(角川コミックス・エース)
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緒原博綺
(角川コミックス・エース)
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げしゅまろ
(角川コミックス・エース)
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ヨシラギ
(角川コミックス・エース)
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RYOMA/カンブリア爆発太郎
(角川コミックス・エース)
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レフトハンド/伽藍堂
(角川コミックス・エース)
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窪茶/涼暮皐
(角川コミックス・エース)
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ゼロキ/雪村ゆに
(角川コミックス・エース)
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蟹丹/トネ・コーケン
(角川コミックス・エース)
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TYPE−MOON/中谷
(角川コミックス・エース)
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Team RWBY Project/スエカネクミコ
(電撃コミックスNEXT)
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コトバノリアキ
(KCデラックス)
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吉村英明/木嶋隆太
(KCデラックス)
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金田陽介
(講談社コミックス)
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大森藤ノ/青井聖
(講談社コミックス)
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中丸洋介
(講談社コミックス)
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9月8日

エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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ヤチモト/resn
(KCデラックス)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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茅田丸/丁々発止
(シリウスKC)
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内々けやき/あし
(シリウスKC)
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マツモトケンゴ
(シリウスKC)
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くうねりん
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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芳橋アツシ/延野正行
(シリウスKC)
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亜希乃千紗
(シリウスKC)
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9月7日

赤堀君
(アフタヌーンKC)
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伊口紺/保志レンジ
(アフタヌーンKC)
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LEN[Aー7]
(アフタヌーンKC)
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深山鈴/茂村モト
(ガンガンコミックスUP!)
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森田季節/出水高軌
(ガンガンコミックスUP!)
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ケンノジ/松浦はこ
(ガンガンコミックスUP!)
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羽柴実里/zinbei
(ガンガンコミックスUP!)
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常磐くじら/桃山ひなせ
(ガンガンコミックスUP!)
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串木野たんぼ/ぽんこつわーくす
(ガンガンコミックスUP!)
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鈴木竜一
(SQEXノベル)
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初枝れんげ
(SQEXノベル)
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十夜
(SQEXノベル)
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9月6日

西尾 維新
(講談社)
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智弘カイ/カズタカ
(KCデラックス)
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二階堂 幸
(KCデラックス)
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9月5日

和成 ソウイチ
(ドラゴンノベルス)
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白水 廉
(ドラゴンノベルス)
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釜田/六つ花えいこ
(フロース コミック)
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御守リツヒロ/柚原テイル
(フロース コミック)
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轟斗ソラ/柏てん
(フロース コミック)
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ORKA/Spice&Kitty
(フロース コミック)
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Kindle B☆W

9月2日

(TYPE-MOONBOOKS)
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浅野りん
(角川コミックス・エース)
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ナカノ/八木羊
(角川コミックス・エース)
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日月ネコ/渡辺恒彦
(角川コミックス・エース)
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バラ子
(角川コミックス・エース)
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赤羽ぜろ
(角川コミックス・エース)
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三部けい
(角川コミックス・エース)
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縞野やえ/MB
(角川単行本コミックス)
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葦原大介
(ジャンプコミックス)
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マポロ3号
(ジャンプコミックス)
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権平ひつじ
(ジャンプコミックス)
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タカヒロ/竹村洋平
(ジャンプコミックス)
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助野嘉昭
(ジャンプコミックス)
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空もずく/十森ひごろ
(ジャンプコミックス)
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猗笠怜司
(ジャンプコミックス)
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横山左
(ジャンプコミックス)
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岩田雪花/青木裕
(ジャンプコミックス)
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矢吹健太朗
(ジャンプコミックス)
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稲岡和佐
(ジャンプコミックス)
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叶恭弘
(ジャンプコミックス)
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大@nani/吉緒もこもこ丸まさお
(ジャンプコミックス)
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LINK/宵野コタロー
(ジャンプコミックス)
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LINK/SAVAN
(ヤングジャンプコミックス)
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桂イチホ/ふか田さめたろう
(PASH!コミックス)
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むらさきゆきや/春日秋人
(講談社ラノベ文庫)
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空埜 一樹
(講談社ラノベ文庫)
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延野 正行
(Kラノベブックス)
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都神 樹
(Kラノベブックス)
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天宮暁
(Kラノベブックス)
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カラユミ
(Kラノベブックス)
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9月1日

枯野 瑛
(角川スニーカー文庫)
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桜木桜
(角川スニーカー文庫)
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入栖
(角川スニーカー文庫)
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ケンノジ
(角川スニーカー文庫)
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穂積 潜
(角川スニーカー文庫)
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海道左近
(HJ文庫)
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藤木わしろ
(HJ文庫)
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榊一郎
(HJ文庫)
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結石
(HJ文庫)
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坂石遊作
(HJ文庫)
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海野アロイ
(アース・スター ルナ)
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井上みつる
(アース・スター ルナ)
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長谷川哲也
(YKコミックス)
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塩野干支郎次
(YKコミックス)
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保志あかり/大木戸いずみ
(B’s-LOG COMICS)
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白川祐/チョコカレー
(コロナ・コミックス)
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森野眠子/みたらし団子
(コロナ・コミックス)
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浅葱洋/ニシキギ・カエデ
(コロナ・コミックス)
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きららファンタジア製作委員会/鴻巣覚
(FUZコミックス)
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白尾こじょ
(FUZコミックス)
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ミナミト/六升六郎太
(HJコミックス)
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8月30日

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佐遊樹
(エンターブレイン)
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