書籍感想2019

終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#08 ★★★★☆   



【終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#08】 枯野 瑛/ue 角川スニーカー文庫

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――さあ。目を開きなさい。いずれ訪れる終末と妖精兵たちの物語、最終章へ

パニバルたちが〈十一番目の獣(クロワイヤンス)〉を討ち、38番島は歓喜の騒乱にあった。
しかし水面下に隠されていた最後の危機を前に、護翼軍、貴翼帝国、そしてオデットが相対する。
そこで示された“滅びを避けられる手順”は、浮遊大陸群(レグル・エレ)を自分たちの手で破壊するというもので――

「“俺達”はどうやら揃って、そういう無私の聖人ってやつが心底気にいらない性分らしい」

あの二人の代わりにはなれないが。
幽遠から目覚めた青年は夢想する。
継がれた結末の、その先を。
ちょぉーーっとびっくりなんですけどー!?
え? 戻ってきたヴィレムの状態、あれなんなの? 地獄?
いや、元のヴィレムではないというのは分かっていたのですけれど、ヴィレムとフェオドールが入り混じった新しい人格か、もしくはフェオドールが会話していた「獣」としてのブラックアゲートの方の人格なのかと思ってたんですよね?
黒燭公との戦いで石化した時までの記憶しかない状態ってなに? 浮遊大陸での記憶がないってなに? クトリの事とか覚えてないって!?
目覚めて人類が滅び去ってもう大切な人が誰もいなくなっていたという想像を絶する孤独に突きとされた時の一番どん底の頃のヴィレムって、それもう地獄じゃないですかー。
石化から解けた当時、救出された時のヴィレムってグリックとナイグラートに随分と助けられて世話されて、世捨て人同然だったとはいえそれでも底の底からは彼らが必死にすくい上げてたんですよ。そこから妖精倉庫で働く仕事を紹介されて、黄金妖精たちという生きる目的を手に入れるわけですけれど。今のヴィレムは妖精倉庫に来る前どころかグリックたちと出会ってすらいない状態で、そりゃもう捨て鉢の無気力という酷い有様なのも仕方ないよこれ。唯一生きてたはずの大賢者スウォンですら、つい最近どうも生存絶望状態になってしまったというのをフェオドールの記憶から目の当たりにしているわけですから。
ナイグラート、やらかしちゃったよなあ。ヴィレムが一番弱ってたところに追い打ちかけちゃったのですから。そこは逆だろう、気持ちは痛いほどわかるけど。クトリを覚えていない、というのは全方向に辛すぎる。
思えば当時、ティアットたちはまだまだちびっ子でヴィレムの存在はお父さんというにもお兄さんというにも曖昧でしっかり根付いてはいなかったんですよね。やはり、彼の存在が大きく根ざしたのはクトリでありネフレンであり、アイセアだったんですよね。そして、ここにはもうクトリは居なくて、ネフレンは戻ってこれない所に追いやられてしまっていて、居るのはアイセアだけ。
正直、アイセアがあそこまでヴィレムとの再会にグチャグチャになっちゃうとは思わなかった。あのヴィレムに一番親しかった妖精三人の中でアイセアだけがちょっとだけわざと心の距離を置いていたのだけれど、それをあんなに後悔して未練に思っていたとはほんと思わなかったんですよね。元からかつて潰えた妖精の記憶を持ち、他の妖精たちとは違った大人びた部分を持っていたアイセア。自分を偽り色んな意味で大人のふりをしていた彼女は、成人となり本当に大人となり他の小さい妖精たちを守る側の立場になっていて、そのしっかりとした頼りがいのある頼もしさはポンコツ天然な部分の多分にあるナイグラートやラーントルクなどよりもよほど大人びていたんですけどね。
今、浮遊大陸は滅びの危機の只中にありその対処の中核近くにいる人間として彼女はとてつもない重圧のもとにいたのでしょう。さらに、自分の妹たちである妖精たちを守らなきゃならない、でもラキシュはさっさと逝ってしまい、今ネフレンもまた自分たちの手の届かないところで力尽きようとしている。色々と限界に近い部分はあったと思うんですよ。そこで、かつて自分は遠くから見ているだけで寄りかかる事をしなかった「お父さん」が戻ってきた。記憶もなく前よりももっと愛想もなく、それでも根本の所では変わっていないヴィレムが、今ネフレンもクトリもいないまま自分たちの前に居る。
これ絶対やばいって、とアイセア自身が自覚しちゃってるあたりがなんともはや。それでなるべく近づかないようにしていたくせに、自分で言ってたくせにちょっとだけ昔のアイセアに戻って、前に出来なかったちょっとだけの甘えを見せているあたりが、ほんとちょっとだけなのがアイセアらしくて、この娘らしくて愛おしいんですよね。もっとも、甘えを見せる今のアイセアは昔と違ってもう一端の女性なのですけど。うん、でもそれでも成人になってからのアイセアはずっと一人で頑張ってきた所があったので、こうしてちょっとでも寄りかかる姿が見れたのは良かった、本当に良かった。

でもアイセアをはじめとして、ヴィレムをよく知っている人たちの目があるからこそ、今の極めて後ろ向きなヴィレムの姿はなかなかつらいものがある。まあ、後ろ向きであろうとこの男、じっと蹲っていられず動いてしまうことについては定評があるのだけれど。なんでそこまで空虚で、絶望に心縛られているのに、黙って力尽きていられないんだろう。それでこそ、それでこそヴィレムなんだろうけど、それで何かが取り戻せているわけではないのが本当に辛い。

しかし、あの最後の獣(ヘリテイエ)が見せた過去の人たち。あの再現された過去は過ぎ去って喪われたもの。だから、自分の中から失われていないものは現れない、というのなら。
どうして「彼女」は現れなかったんだろう。大賢者として生き残っていたスウォンはともかくとして、「彼女」については他の仲間達と同列だったはずなのに。アルですら、現れたのに。
リィエルの方もなんか一人でとんでもないことを仕出かしているようで。なんなんだこの幼女は。まだろくに思考もまとまらないぼんやりとした幼子のくせに、根性極まってるだろう。この娘は、いったい何になるんだろう、どうなるんだろう。セニオリスが共鳴したのは、果たして戻ってきたヴィレムなのか、それともこの娘なのか。
そしてオデットですよ。あれ、事実なのか。フェオドールと同じ方法をとったということ? 結局それって、無私の聖人の所業じゃないですか。それとも、戻ってこれる余地があるんだろうか。あとでネフレンが眼帯しているのを見ると、まず間違いなく弟と同じやり方をしてしまったということなのか。でもどうやって?

ともあれともあれ、タイトルに有るあの「もう一度だけ、会えますか?」。ネフレンについてだけは間違いなく成就したんですよね、これ。ネフレンにとってのヴィレムがどういう存在なのか、嫌というほどわかるあのワンシーン。ネフレンって、ヴィレムに寄り添うという意味では何気にクトリに全然負けてなかったんだよなあ、というのをよく思い出してしまいました。
もう泣くことすら出来ないくらいに擦り切れた、とでもいうような表紙絵のネフレンがそのまま消えてしまわなくてよかった、本当に良かった。
ラストシーンはあれ、期限一杯の時期ということになるんだろうか、リィエルの年齢からして。ネフレンが戻ってこれた、というだけでちょっともういっぱいいっぱいなのですけれど、どうにも不穏な状況は続くもので。そこで「ごめんなさい」なんて言われるとねえ。

シリーズ感想

疎遠な幼馴染と異世界で結婚した夢を見たが、それから幼馴染の様子がおかしいんだが? ★★★★  



【疎遠な幼馴染と異世界で結婚した夢を見たが、それから幼馴染の様子がおかしいんだが?】 語部 マサユキ/胡麻乃 りお 角川スニーカー文庫

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幼馴染。この言葉を聞けば、甘酸っぱい青春の1ページを想像するだろう。
俺にも幼馴染はいる。話すどころか目も合わせられない関係だけどな!
でも『夢を操る方法』という怪しげな本を拾って――異世界で幼馴染と暮らす夢を見るように!?
しかも「いいよ……私が貴方のお嫁さんになってあげる」と結婚までする関係!
抱きしめたら「……大好きだよ」と嬉しそうに応えてくれる、そんないちゃラブ新婚生活を堪能できた!
とはいえ、しょせんは夢の出来事と考えていたが、登校途中に出くわした幼馴染は――なぜか顔を真っ赤にして走り去り!?
疎遠になった幼馴染との、ちょっぴり不思議な学園ラブコメ!

おおっ、なんか予想していたのはもっとシンプルな構図のラブコメだったのですが、思いの外入り組んだ構造のストーリーになってるぞ、これ。
疎遠だった幼馴染と、異世界で結婚するという同じ夢を見てしまった事をきっかけにして段々と離れていた距離が縮まっていく話、だと思ってたんですよね。さて、問題はその夢がただの空想の果ての夢なのか、それとも実際に夢の中で一緒に別の人間として過ごしているある意味実際に起こっている事なのか、そのどちらかなんだろうかなんて風に想像していたのですが。
実際にその夢ときたら連続ものであり、しかも夢の中では結構な年月を過ごしていて二人ともちゃんとした大人にまで成長しているわけですよ。しかも、夢の中での冒険はシリアスかつ過酷なものであり異世界に突然放り出された二人が必死に生き延びようと足掻いた結果寄り添い合いお互いを頼りに求め合い、そうしてやがてお互いをかけがえのない愛する人として堅く結ばれるようになった、その結果として結婚へと至っているわけである。
夢の中でひょいひょい結婚しちゃって新婚生活キャッキャウフフなお手軽な妄想空想の話どころじゃないじゃないですかー。ガチ結婚じゃないですかー!?
この段階で、あれ? この夢ってもしかして本当にあった事じゃないの? という疑惑が湧き上がってくるわけです。しかも、どうも夢の中で最終決戦に勝つことが出来たら元の世界に戻る事が出来る上に時間も巻き戻ってしまう、みたいな話も匂わされているのですよ。
確定じゃないですかー!
と、思ったわけですけれどそこからも一筋縄ではいかないんですよね。二人の喪われた記憶が取り戻されてもう一度愛を取り戻すのに、過去を夢として二人で追想しながら現実世界でも徐々に距離が詰まっていく、というある意味落ち着いたラブコメなのか、とこの時点くらいでは思ったわけですよ。
ところが。
うん、まずもって夢次が手に入れた『夢を操る方法』という本。これを誰が用意したのか。そしてこの本、ただ見る夢を操るだけという単純な内容じゃなくて色々な夢を様々な形で操作するための多岐に渡った内容になってるんですよね。
そして、本のタイトルに偽りなく、幼馴染二人が異世界に転移して冒険する話、だけではなく本当に望む夢をみたりすることが出来て、異世界の冒険譚が唯一無二の夢ではなくて、たくさん好きなように見ることの出来る夢の中の一つ、という立ち位置へとするすると移動してしまうわけです。
おまけに、ギリギリまでばれないと思った夢次と天音が同じ夢を見ているという事実が、わりと早々に天音の方にもバレてしまうんですね。
ここから、徐々に詰まれていくと思われた二人の距離感が、一気に昔の仲の良かった頃の気のおけないものに戻ってしまうのです。この時点で想像していたラブコメの形と方向がググッと変わってきて、二人が共犯関係というか距離感ゼロの幼馴染に戻ってこの夢にまつわる「冒険」を繰り広げていくのであります。
ってかね、新婚生活の夢見ていたということはガッツリ夜も若さに任せてヤりまくっていたわけですよ。その夢の記憶を共有してる、自分も見てて相手も見てた、というのを分かってて天音さんてばもう豹変というくらいの勢いで、どういう態度取っていいかわからないという恐る恐るな距離感だったのが、ベタベタひっつくのが当たり前な感じに変わってしまったわけで。いやあの夜の記憶がありながらその距離感って、もう全部許しちゃってるというのと同じだと思うんだけどなあ。
元の仲の良さに戻れた嬉しさに浮かれている、という部分もあるのでしょうけれど、テンションあがりすぎて若干距離感見失っている節もあるだけに、もう一度改めて二人の間に恋が成立するまでにはもう少し紆余曲折がありそうなのです。尤も、夢次の方がむしろ腰を据えて天音との関係をちゃんとして正々堂々想いを通じあわせたい、と考えているのでその点安心感があるのですが。
一方で、あの異世界の記憶がただの夢の中の出来事ではないこと。さらにこの世界でも得体の知れない存在から襲われる危険があるということ。そして、二人の喪った記憶の中にまだ大切な何かがあり、夢を操る本を用意した誰かは夢次と天音のために何がしかの準備を整えていて、何かがまだ起ころうとしている、というまだまだ何か大事が起こりそうな気配があるんですよね。
あと、ちょっと気にかかっているのがクラスメイトで天音の親友としていつも傍らにくっついている二人の女生徒。今の所、完全にただの仲良しな女子高生にしか見えないんですけど……。二人の名前が一人ひとりならともかくとして、二人揃ってると明らかにチョイスとしておかしい。幼馴染二人の共通の姉貴分なスズ姉もまあなんかあからさまに怪しいのですけど、ちょいと話の展開が想像以上に一筋縄では行かなさそうで、なかなかワクワクさせてくれるものになりそうなんですよね。
一方で、幼馴染がよりを戻すお話としても秀逸で、変わってしまったと思っていたものが変わっていなかったという感触。これ夢次と天音二人の間だけで完結していなくて、二人が一緒にいる姿を見て近所の人や昔から誼にしていた商店街の人たちなんかが、口々に声をかけてきてくれるんですね。また二人で仲良く一緒に連れ立っているんだね、って嬉しそうに。そうやって掛けられる声に周りを見回してみると、自分たちの成長に伴って多くが変わってしまっていたと思っていたものが、実は変わらないままずっと見守ってくれていたものも多いのだ、と気づかせてくれるきっかけになってて、疎遠になっていた間取り零してしまっていたものを取り戻せた、空白になっていた部分を埋めることが出来た、という気にさせてくれたのです。ああいうさりげない描写、大切だと思うんですよねえ。

ラスト、天音の中に消えていたものが戻ってきたような描写もあり、先の展開がなかなか読みづらい構成にもなっていて、続きが非常に楽しみな新シリーズの開幕となりました。これは期待しちゃいますよ?

語部 マサユキ作品感想

2019年10月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

読んだ本の数:38冊 うち漫画:10冊

漫画の方が積本増えていっているので、ちょこちょこ消化中。一方でライトノベルの方はもうちょっと崩して置きたかったかなあ。もうそろそろ年末も近くなるので、良作傑作の類は本年度のベストでもチョイスしたいのでなるべく読んでおきたいのだけど。
何気に傑作って読むのにパワーがいるのよねえ。古宮さんのUMも買って直後に読むつもりだったのに、ついついこう万全の時に満を持して読みたいと思ってたら翌月になっちゃいましたし。
というわけで、満を持しての【Unnamed Memory III】がもう万感であります。ウェブ版読んだ時も万感だったけど、改めて読んでも気持ち色褪せず。
【異世界拷問姫】と【天才王子の赤字国家再生術】【七つの魔剣が支配する】はもう万全ですね。クライマックス間近の拷問姫を除いても、後の2作は今後ますます業界のトップランナーとして引っ張っていくことは間違いなさそうですし。



★★★★★(五ツ星) 0冊

Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て】 古宮 九時/chibi  電撃の新文芸(2019/9/17)

【Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て】 古宮 九時/chibi  電撃の新文芸

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ついにお披露目、純白のドレスを来たティナーシャ。幸せを自ら遠くへと追いやっていた魔女の、ついにたどり着いた幸せの終着駅。誰しもが望むハッピーエンド、そのはずだったのに。


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 3冊

異世界拷問姫 8】 綾里 けいし/鵜飼 沙樹  MF文庫J(2019/9/25)
天才王子の赤字国家再生術 5~そうだ、売国しよう~】 鳥羽 徹/ファルまろ  GA文庫(2019/10/12)
七つの魔剣が支配する IV】 宇野 朴人/ミユキ ルリア  電撃文庫(2019/10/10)

【異世界拷問姫 8】 綾里 けいし/鵜飼 沙樹  MF文庫J

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愛している、その言葉をこれほど透明に口にする人がどれほどいるだろう。そして、それを口端にのせたのは我らが拷問姫エリザベートなのだ。報われることを望まず、ただ与え捧げる無償の愛。彼ら三人はきっとずっと前からそれを体現していたのだ、と。


【天才王子の赤字国家再生術 5~そうだ、売国しよう~】 鳥羽 徹/ファルまろ  GA文庫

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各地に跋扈する英傑、妖怪、才女に怪人。その誰もが一廉の人外であり、化け物だ。しかし誰よりも何よりもまずこの主人公こそが最たる怪物なのだと、誰よりもまず一番恐ろしいやつだというのを久々に思い出させてもらった第5巻。


【七つの魔剣が支配する IV】 宇野 朴人/ミユキ ルリア  電撃文庫

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2年生になり、キンバリーでの生活にも慣れてきた剣花団のメンバー。しかしここに慣れるという事はすなわちまともから遠ざかるということ。そしてまた、彼らの間の人間関係もまた徐々に変化の時を迎えていた。蕾から花開くように咲き始めるヒロインたち。今はまだ、そこに毒は見当たらず、今はまだ。

★★★★(四ツ星) 7冊

白魔法クラスの大忍術師】 藤木 わしろ/紅緒  MF文庫J(2019/8/24)
戦国昼寝姫、いざ参らぬ】 尼野 ゆたか/鈴ノ助  富士見L文庫(2019/7/13)
デート・ア・ライブ 21.十香グッドエンド(上)】 橘公司/つなこ  富士見ファンタジア文庫(2019/10/19)
メイデーア転生物語 1.この世界で一番悪い魔女】 友麻碧/雨壱 絵穹 富士見L文庫(2019/10/15)
デート・ア・ライブ アンコール 9】 橘 公司/ つなこ 富士見ファンタジア文庫(2019/7/20)
ウィッチクラフトアカデミア 〜ティノと箒と魔女たちの学院〜】 逢空万太/bun150 LINE文庫エッジ(2019/8/5)
失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 1】 樋辻臥命/ふしみ彩香 GCノベルズ(2019/8/30)


【白魔法クラスの大忍術師】 藤木 わしろ/紅緒  MF文庫J

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【戦国昼寝姫、いざ参らぬ】 尼野 ゆたか/鈴ノ助  富士見L文庫

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【デート・ア・ライブ 21.十香グッドエンド(上)】 橘公司/つなこ  富士見ファンタジア文庫

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【メイデーア転生物語 1.この世界で一番悪い魔女】 友麻碧/雨壱 絵穹 富士見L文庫

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【デート・ア・ライブ アンコール 9】 橘 公司/ つなこ 富士見ファンタジア文庫

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【ウィッチクラフトアカデミア 〜ティノと箒と魔女たちの学院〜】 逢空万太/bun150 LINE文庫エッジ

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【失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 1】 樋辻臥命/ふしみ彩香 GCノベルズ

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以下に、読書メーター読録と一言感想続きを読む

航宙軍士官、冒険者になる 3 ★★★☆   



【航宙軍士官、冒険者になる 3】 伊藤 暖彦/himesuz エンターブレイン

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帝国航宙軍兵士のアラン・コリントは航宙艦が不時着した先の"剣と魔法の惑星"を滅びの運命から救うため、星ごと接収し支配者となることを決意した。
クレリアの忠臣たちと合流しクランを立ち上げ、目的に徐々に近づいていくアラン。
そして、さらなる力をつけるため貴族になろうとする彼だったが、そのためにはドラゴンを狩るのが一番の近道だと知り……!?
異星ファンタジー超大作、第三弾!

アランが運用する探知システムが便利すぎる。個人の戦闘力云々よりも自立ドローンによる索敵によって近隣の動体反応が丸裸なのが強すぎる。常に主導権を握れるし、相手の数から素性から詳細に把握できるし地形状況も全部わかる。戦場の霧というのが此方だけ存在しない一方的な有利さなんですよね。
そりゃ、魔物も盗賊団も狩り放題ですわ。獲物がどこにいるか、出発する前から把握しているから行程にムダもないし、情報支援が潤沢すぎる。
まあそんな索敵システムもあって、盗賊に襲われていた商業ギルドの御令嬢を助けたのをきっかけに、商業ギルドのギルドマスターと懇意になり、魔物討伐や盗賊団撃滅を頻繁に行った結果、冒険者ギルドからも信用を得て、盗賊団相手に壊滅した冒険者パーティーの亡骸と遺品を丁重に扱い盗賊団を討って結果的に仇討ちをしたことをきっかけに街の有力クランのリーダーと仲良くなり、とまあトントン拍子で街の有力勢力と友好を結ぶことに成功するアラン。
ちょうど、クレリアの臣下たちを呼び寄せて彼らを冒険者にして大きなクランを立ち上げようとしていた所だっただけに渡りに船ではあったんですよね。明らかに新興勢力となるだろうアランのクラン、いきなり現れたのではよほど警戒もされただろうし、利害関係に基づく対立も発生していたでしょう。でも、アランたちが先に来て信用を築いていたお陰ですんなりと入り込めた、とも言えるんですよね。
いやだって、あとから来たクライアの臣下たちってもろに軍人なんですもん。規律正しく統制された全員が一定以上の実力を持つ男たちが退去として百人近くいきなり街に現れるんですよ? 普通はなんだこいつらは、ってなるし、見る人が見たらこいつら軍隊だ、というのも一目瞭然でしょう。いきなりどこのものともしれない軍隊が街に入ってきてクランを形成するって、怖いなんてもんじゃないですよ。彼らがその気になれば突然内部から街を占領、とかだって容易にできそうなものですし。
ってか、パーティー登録するときに1班、2班とかいう無味乾燥な名前つけるのなんて軍隊以外の何物でもないじゃないですか。隠そうともしてないし。
これ、アランが自分たちが有用で害意なく信用に値する人間である、というのをよほど浸透させる事に成功していた、ということでもあるんですよね。アランくん、決して街の有力者たちだけではなく、下働きの人たちは浮浪者同然だった孤児の兄弟なんかとも分け隔てなく仲良くなってて、特に意識しているようにも見えないのだけれど、わざわざ敵を作るような真似は一切していないのです。
アランの一番の特徴って、この誰とでも友好関係を結ぶことの出来るコミュニケーション能力なのかもしれない。勿論、基盤となる財力と武力があってこそ、相手に信用してもらえるだけの余裕を持てているのでしょうけれど。
これはドラゴンとの相対にも如実に出ていて、ドラゴン相手に無闇に突っかからないし小難しく理屈をこね回しもしない。わかりやすい基準を立てて、それに沿って行動することで攻撃と対話の使い分けが非常にはっきりとしている。何気に難しかったりするんですよね、このあたり。飄々としているようで、即断即決という面も垣間見えるのがアランくんの側面だったりします。
このあたり、まだセリーナとシャロンでは判断が遅かったり迷いがあったりする様子が見受けられるんですよね。経験の差、でもあるのでしょうけれど。クライアはそこにさらにまだ自信の欠如という要素が介在していたので、今回クランの大規模行動の時に一つの集団のリーダーを任せられて、それをしっかり務められたのは自信を得るのに良い経験になったのではないでしょうか。
リーダーシップを発揮しなければならない、という意味ではクライアは早々にそれを求められている立場でもありますしね。
さて、しかしこのドラゴン一等兵、どういう扱いで物語の中に組み込んでいくんだろう。この場合は人化なんて展開はつまらないことこの上ないだろうし。
ドラゴン、意思疎通は出来るけれど人間の言葉を話すことは出来ない、という状態が逆に妙に可愛げというか愛嬌のあるコミュニケーションになってて、なかなか可愛いです。喋れない、というのはこの場合アドバンテージでもあるんだよなあ。

幕間は、イーリス准将のオリジナルが二階級特進となるバグズとの絶望な戦いの勇戦のお話。ドラゴンと違い、意思疎通のかなわないしかし知性のあるバグズという存在との生存をかけた殲滅宇宙戦争という凄惨な様子と、人間の戦い抜く意思が伝わってくる壮絶な話でもありました。人類、きっつい戦いを続けてるんだなあ。

1巻  2巻感想

最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する ★★★☆  



【最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する】 タンバ/夕薙 角川スニーカー文庫

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無能で無気力な底辺皇子・アルノルト。気ままに過ごす彼は「優秀な双子の弟に良い所を吸い取られた『出涸らし皇子』」と、帝国中から馬鹿にされていた。しかし、皇子達の帝位争いが激化し危機が迫ったことで、遂に"本気を出す"ことを決意する。
「皇帝になる気は無いが、負けて殺される気もさらさら無いな」
隠していた類まれな才覚による策略や交渉術、そして「禁忌の古代魔法を操る、最強のSS級冒険者」という真の力とその地位――全てを駆使し、正体を隠して暗躍する出涸らし皇子は、彼に尽くす国一番の美姫を従え、帝位争いを影から支配する!
最強皇子による縦横無尽の暗躍ファンタジー、ここに開幕!

あらすじだけだと自分が皇帝になる勢いだけど、双子の弟であるレオナルトを守り立てていこうという話なんですね。何気に皇子皇女の数が多くて同母兄弟以外は全部敵というハードモード。いや、実際はそこまで厳選して厳しくはないのだけれど、後継者候補上位の連中が自分が皇帝に即位したら政治的に取って代わる危険性を持つ不穏分子は係累まとめて族滅よー、というバッサリした奴らなので必然的に生き残りたかったら穏当な人物か自分が皇帝にならないといけないよ、という追い詰められた状況になっちゃってるのである。
そんでもって皇族としての役割を半ば放棄して自由気ままに過ごしてきたアルノルトにはそんな人徳もなく、しかし弟のレオナルトにはそれだけの人望と才能とカリスマがあったので彼を神輿にして守り立てていくことに、というお話なのである。
ただのお神輿ではなく、ちゃんと弟のレオには才能があり人を惹きつける魅力があり、と上に立つに相応しいものを持ち人物である、というのは良かった。肝心の弟の方に魅力がなかったら、面倒くさいことしてないでアルがとっとと皇帝になりゃいいのに、なんていう興ざめな状況になってしまいますし。
しかし、一方でレオは性格的に優しく裏で画策して政敵と争ったり損得で駆け引きをしたり、という分野については苦手な人間である。元々他人と争うのも嫌う性分なので、誰かを陥れたりとか利用したりというのがどうしても出来ないし、発想が湧かないタイプなんですよね。それが必要であるというのはわかっているので、潔癖とかではなくちゃんと濁を飲める人物ではあると思うのだけれど、それを自分で出来るかどうかはまた別の話なんですよね。
なので、その分野を担うのがアルノルトの役割、という事になってくる。実際、彼が全部筋書きをかき、交渉をまとめ、謀略を仕掛けて逆に相手が仕掛けてきた仕手を防ぎ迎え撃つ、と裏方仕事をほぼ全部引き受けているんですよね。それどころではなく、派閥を作るために中立貴族と交渉を持ったり表の方にも手を出しているので、参謀役と言った方がいいかもしれない。
いやこれ、わりと表立っても動き出しているのでちゃんと見る人が見ていたら、調べていたら誰がレオナルト陣営の手綱を握っているのか簡単にわかりそうなものなので、出涸らし王子とバカにしてる連中はそれだけ見識がない、と見なされても仕方ないと思うぞ。
狩りの際には元々アルノルト贔屓な勇者エルナだけじゃなく、アルの陣営に配置された騎士たちも肝心な時にこの皇子が器を示すことが出来る忠誠を傾けるに不足のない人物であると受け取った事はその時の彼らの反応からも明らかですし。
完全に影に徹するのではなく、徐々にこうして才覚を見せて評判とは異なる一廉の人物である、というのを露わにしていく、というのはなかなかに面白い。
でも、これは必要なことでもあると思うんですよね。本当にぼんくらに徹してしまうと、同じレオナルト陣営に所属するようになった派閥の構成貴族からレオの足を引っ張る邪魔な存在として排除対象になってしまい兼ねないですし。
アルが性格上、或いは性質上多くの人の上に立つタイプではなさそうなのは間違いなく、同時にレオが人の上に立つ、というよりも多くの人から支持され期待され手を差し伸べられる君主の器であるのは確かなようですし。上に立つ弟を兄が影から支える、という今の構図は一番最適な形に思えるのも確か。目指せオーベルシュタインw いやマジでレオが皇帝になったとしても、アルが宰相くらいになって政治的にちゃんと支えてあげないと結構辛い気もするぞ。

ただアルの場合、レオと同じ立場をやってやれない訳ではなさそうなのが微妙に不穏ではあるんですよね。図らずも、あるワンシーンでレオのふりを完璧にやってしまったシーンがあったのですけど、あれってアルがレオになれる、という意味でもありますしねえ。
今の所、アルが超有名冒険者のシルバーであるという正体を偶然知ってしまい、色々合ってアルに潜伏の信頼を抱いている国一番の美姫フィーネも、表向きにはレオと恋仲という噂が立っちゃっているわけですし。フィーネのヒロイン振りには眼を見張るものがありましたけど、あれだけアルの傍らにぴったり寄り添っていると、果たして周りからはどう見られることになるのか。

あと、もう一人のヒロインである勇者の家系の今代エルナ嬢。一応、国の貴族であるけれど政治的には特別枠で隔離されてきたせいか、貴族令嬢でありながらあの政治センスの致命的欠如はなんかもう色々と通り越して素晴らしいとすら思えるくらいでw
幼馴染のアルの評判に憤懣を抱いているせいか、文句小言を言いながらもできるだけアルの評判をあげようとしてくれるのはいいのだけれど、その行為が尽くアルの企みを台無しにしたり政治的に足を引っ張ったり、と逆張りになってしまっているのが何とも苦笑を誘われるところで。いや、ほんと悪気ないんですけどね。今、レオを守り立ててアルが前に出て目立つのはマズイ、というのが騎士として純真なエルナにはわからない世界なんですよね。少しでも隙を見せれば踏みにじられる激烈な政争や暗殺すらいとわない後継者争いの闇、というのはまあ関わらずに済むのならそれに越したことはないのでしょうけど。いや、ほんとイイ子なんですけどね。今なおアルのために本気で怒ってくれる子なわけですし。むしろ、あれだけピンポイントにやらかされていながら、悪い印象があんまりないというのは得難いヒロイン力じゃあないでしょうか。単純に戦力としてはこの上なく頼もしいですし。
ともあれ、ここからこそが面白くなってきそうな楽しいなシリーズの開幕でありました。

失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 1 ★★★★   



【失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 1】 樋辻臥命/ふしみ彩香 GCノベルズ

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生まれ持った魔力の少なさが故に廃嫡された少年アークス。
失意のある日、夢の中で「違う世界の男の人生」を追体験したアークスは、そこから得た知識がこの世界では不可能とされていた数々の魔法や技術を実現するための鍵となることに気がつく。
自らを無能と蔑んだ人々を見返すため――一度はすべてを失った少年が、異世界知識を武器に立ち上がる!
オーバーラップ文庫【異世界魔法は遅れてる!】の樋辻臥命さんの新シリーズ。今回は完全に異世界です。序盤は生まれ持った能力の低さから実家から虐げられて、とオーソドックスな展開なのですが、それを踏まえても面白い。こういうところに如実に腕前が出るんだよなあ。
アークスの場合は実はチートでした、という展開ではなく魔力の低さを努力と発想で補っていくパターンなんですね。それも、我流だけではなくちゃんと国でも有数の実力者である伯父さんに師事する事で魔導師としての土台となる部分を鍛えて貰っているわけですから、堅実でもあるんですよね。
しかし、廃嫡されながらも家を追い出されずに実家ぐらし、というのはこれ辛い環境なのかそれとも家追い出されないで幸いなのか判断しづらい所ですよね。両親のアークスへの態度が本当に酷いので、それをずっと味わわなくてはいけないというのは辛いは辛いのですけれど、衣食住は保証されていますしねー。伯父さんが引き取ってくれるのかとも思ったのですが。
ただあの親父さん、偏狭なろくでなしなのかと思ったら武官としては本当に優秀らしく一角の人物であるのは間違いないようなので、どうしてああなってしまったのか。伯父さんの話でも昔はもうちょっと違ったみたいなのですけど。
それに、新たに後継者に選んだ妹のリーシャ。この娘は本当は戦死した叔父の娘で従妹にあたるので両親からすると実の子ではないのだけど、ちゃんと実の娘のように愛情込めて育ててるんですよね。家の後継者だからと機械的に、或いは高圧的に、子は親の道具と見なして、みたいな感じで育成している様子もないですし。
リーシャが危ない目にあった時も本気で心配して怒ってましたしねー。いや、なんでこういう親御さんが、アークスに対しての態度があれほど豹変してしまったのか。ちょっと謎ですらある。
そういうちゃんと愛情を持っている相手から捨てられる、悪感情ばかり向けられるようになるというのは子供心に傷つかないはずもなく、絶望と哀しみの果てに見返してやると反発心を糧にアークスは奮起するわけですけれど、それでも完全と決別できないまま憎み切る事も恨み切る事も出来ないまま引きずり続け、時々胸を痛めている姿がまたけっこう来るんですよね。
そういう複雑な想いを抱えている子だからこそ、主人公としても色々と思い入れが出来るのでしょう。

さらに面白いことに本作では主人公の右腕左腕となる人物がキャッキャウフフなヒロインではなくて、頼りになるなかなかいい性格をした兄貴分二人なんですよね。いやこれが二人とも個性的で愉快なキャラで、アークスとのコンビあるいはトリオでのやり取りがホントにノリよくいい感じなので凄い好きな組み合わせになったのですけれど、なかなか珍しいのも確かだよなあ、と。
一応は主従という関係に当たるしその辺尊重はしてくれているのですけれど、それ以上にこう二人ともイイ性格してるんですよね。特に執事の兄ちゃんはかなりぶっ飛んでてトリックスターな側面も持っているようで。巻末の幕間を読むと一筋縄ではいかない来歴の持ち主のようで、あれだけネガティブだった人がどうしてああなってるんだ?と思うところもあるのですけれど。
もうひとりの方も強かと言うか世慣れしているというか、あれで相当に苦労性っぽくもあるので破天荒な主人と執事の後始末役に回りそうで今から可愛そうな気もするのですが。
でも、二人とも従者というよりも年上の兄貴分という雰囲気を持ってるのがなんか好きなんですよねー。
ヒロインは妹のリーシャを含めて、許嫁だった貴族令嬢の子と同じ魔導の同好の士であるスウの三人が基本路線でしょうか。何気に全員、性格イケメンな気がするぞ。リーシャも穏やかで優しい貴族の娘さんになってるけれど、あれで武官の娘として凛として悪意に屈しないシャープな強さを持っているみたいだし、許嫁の子はあれもう武士みたいだしw
最後のスウに至っては色んな意味で怖いものを抱えているみたいで、食わせ者どころでないヤバいアレでしょうアレw

伯父さんを筆頭に、大人連中も何気に面白そうな要素をたくさん抱えていて一筋縄ではいかなさそうなんですよね。固定魔導師、ちゃんと全員設定があるようでこういうの私も大好物です、はい。
ただ、主人公にしてもヒロインにしても年齢もうちょっと上、中学生相当でも特に話の進行上不都合なかった気もするんですよねえ。これから作中でも何年も費やす予定があるから今から低めに見積もっている、という事なのかも知れませんけど。
ともあれ、色々と盛りだくさんな要素がたっぷりでこれはシリーズ進めば進むほどもっと面白くなるタイプの作品であるのがひしひしと伝わるだけに、これからが実に楽しみです。

樋辻臥命作品感想

ウィッチクラフトアカデミア 〜ティノと箒と魔女たちの学院〜 ★★★★   



【ウィッチクラフトアカデミア 〜ティノと箒と魔女たちの学院〜】 逢空万太/bun150 LINE文庫エッジ

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「ぼくは、ウィッチクラフトが好きです」

ブルームという箒状の道具に跨って飛行する競技、通称"ウイッチクラフト"は、世界的に有名な競技である。競技者は"魔女"と呼ばれ、そのほぼすべてが女性。しかし主人公、ティノ・アレッタは男子にも関わらず、子供の頃に見た魔女に憧れ、魔女を養成する女生徒ばかりの学院、"アウティスタ飛箒学院"に入学を果たす。そこでティノと親しくなる少女たちもいれば、上手く飛ぶことが出来ないティノに、出て行って欲しいと願う少女たちもいて……。

「ティノくん、君が強く望めば、きっとブルームは応えてくれるはずだよ」

退学をかけた定期選抜試験。同じ部屋で暮らすことになった少女ウルスラや、クラスメイトたちの応援を背中に受けながら、ティノは《氷の女王(リリティア)》とも呼ばれる天才少女、グリゼルダとのレースに臨む!

人気作家、逢空万太が描く、宙(そら)を駆ける少年少女たちの物語、ここに開幕!!

女性が殆どの魔女の中で希少な男なのに箒を飛ばせる少年ティノ。希少ではあっても皆無ではなく、過去にも男のウイッチクラフト競技者が居た、という実績があるのはティノに不必要な特異性を持たせないという意味でも良い背景なのかも。彼の特殊さというのは、男だからというのとはまた違うものでしたからね。
しかし、現在は男の競技者は不在。そしてウイッチクラフトを学ぶ学校は全員女子。そんな中に男一人だけ、というのは当然ウハウハなはずなのですけれど、なにしろティノくん、まだちびっ子なんですよね、なにで周りはみんなお姉さん。というわけで、これはショタっ子がお姉さまたちにキャッキャとっ可愛がられる話なのですー、とはまあそう簡単にもいかないわけで。
まだまだ男社会な世界の中で、唯一女性だけのテリトリーだったウイッチクラフトに男がズケズケと入ってきたら、そりゃあ面白くないですわなあ。なので、ティノくんが可愛がられて人気者、とはいかないのですけれど、それでも構ってくれる娘たちはいるわけで、その中でも特別なのが同室となるウルスラであり、ティノくんにちょっかいをかけてくるマルタの二人なのであります。
学院に初めて訪れる前に偶然出会うことになったウルスラ。寮では同室となり、お姉さんを気取りながら全面的にティノくんを応援してくれる味方となってくれる女性なのですが……この娘がまた実質メインヒロインという立ち位置にも関わらず、メインヒロインとは思えない得体の知れない側面を話が進むにつれて見せてくるのである。
これは氷の女王(リリティア)という異名を持ち他の追随を許さないトップの成績を残しながら周りと一切交流しようとせず孤高を保っている少女グリゼルダが、その頑なな姿勢とは裏腹に接しているうちにかなりわかりやすいオモテウラのない性格をしているのがわかってくるのと対比されるように、ウルスラの方がニコニコと笑っている顔の裏側で何を考えているのかわからない底知れない不気味さを滲ませてくるあたり、ヒロイン衆の立ち位置というか位置関係もなかなか油断ならない構成になってたのがまた面白い。ウルスラは一応ティノくんの味方であるというのは最初から一貫して変わっていないとは思うのですけれど、それを加味しても謎めいたキャラクターになっていて非常に興味深い。
そんなウルスラとは裏腹に、登場当初は徹底してマウント取りに来て、ティノくんを下僕扱いするマルタちゃん様の方はというと、その言動にポンコツっぷり、短慮や忙しなさをもろに露呈しながらも、全力でティノくんを気遣い、庇ってくれて、フルスロットルで味方になってくれてるイイ子だったんですよね。ご主人様を気取って偉そうにしようとしてるのはこちらも一貫して変わらないんですけどね、そんなはた迷惑な態度を加味してなお、ティノくんを想っての行動がわかり易すぎてもうたまらんくらい可愛らしいのである。考えなしのようで、実際はかなり頭脳派で聡明でもあり、ウルスラの事を一番に危険視しだしたのも彼女なんですよね。ともあれ、ティノくんにとって絶対的な味方となって、甘やかさずに実際はめっちゃ世話焼いてくれそうなのがこのマルタちゃんなのである。

ティノくんは大変素直で純真な子なので、ウルスラの得体の知れない部分とかは気づきもしないし、マルタちゃんのマウントポディションにもはいはいと笑顔で付き合って、と実に年上のお姉さま方に可愛がられやすい性格をしているのだけれど、まだ幼いからなのか元々メンタルリソースが足りないのか、一つのことが気になるとほかが途端に疎かになってしまう傾向があるんですよね。
グリゼルダの信念と自分のウィッチクラフト愛が相容れぬものとして食い違ってしまっている事を知ってしまった時、自分を心配してくれているお姉さま方への対応が上の空になるわ、肝心の授業も集中力を欠いて疎かになってしまうわ、同時に複数のことに気が回らないにしてもあれは結構酷い有様だったんですよね。ちょっと気になることがあるだけで、外に影響が出てしまうというのは選手となるには結構致命的な欠点なんじゃないだろうか。その代わり、集中する一点が肝心のウィッチクラフトに向かった時の爆発力が半端なくなる、ということなのかも知れないけど。

メインとなる箒での飛行競技。このラストでのレースでの盛り上がりは、大変に熱いものでスポーツものに相応しい熱量を持つものでした。いやあ、テンションあがるあがる。競争ものに相応しいスピード感もありましたし、作品としていちばん大事な肝の部分であるウィッチクラフトがこれだけ盛り上がるものなら、今後の展開にも不安はないのではないでしょうか。
しかし、ティノくんの抱えていた不具合、本来なら先生が気がついて修正してくれて然るべきなんじゃないのだろうか。そう言えば練習なんかを監督はしても一人ひとり個別に指導とかもしている様子ないし、先生とはいっても単なる管理者なんだろうか。結構、退学の基準厳しいし生徒の自己責任になってるんでしょうかね。プロを輩出するための学校と考えるならありえる話なのかもしれませんが、結構厳しいなあ。

逢空万太作品感想

そして黄昏の終末世界<トワイライト>2 ★★★☆   



【そして黄昏の終末世界<トワイライト>2】 樋辻臥命/夕薙 オーバーラップ文庫

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シスカ社へ潜入し、信頼を勝ち取れ!

東雲冬夜は『刻の黄昏』に巻き込まれ、如月御姫と共に魔人『ペイガン』を退けた。
そして冬夜は、御姫が発症した吸精病を隠しつつ、シスカ日本支社の終末化特別対策室の面々と接触を果たす。
そこでクラスメイトの古道いつきも対策室に所属していることが判明。
自身の目的と御姫の発症を隠し通すために、対策室への加入を申し出た冬夜は、御姫と同じ第一隊へ編入されることに。
すぐに非凡な力を示し始める冬夜だが、加入に納得できないといつきに勝負を挑まれてしまい――!?
「異世界魔法は遅れてる! 」に通ずる現代神秘ファンタジー、第2巻!

対策室に加入しようという冬夜の文言が、何も知らない一般人が正義感とか義侠心だけで突っ走ってる危なっかしい輩のそれとだいたい一緒になってしまっている件について。
いやいや、見過ごせない、自分に出来る事があるなら手伝いたい、って無知で自分が置かれている現況をちゃんと理解していない思い込みの激しい男の子が言うとこっ恥ずかしいくらい青い主張なんですけど、冬夜ってばこれ自覚して言ってるのかしら。対策室の人から見たら、まんまこれなんですよね。一瞬みんな何言ってんだこいつ、となるのも無理はないでしょう。
いつきが後々まで突っかかってくるのって、冬夜という人間の実情と傍から見た時の齟齬から来てるとも取れるんですよね。
冬夜としては、対策室に入るのは御姫の吸精病をカバーするためと、自分の仇がシスカ社にいるらしいのを調査するため、という確固とした理由がありつつそれを説明できないが故の表向きの理由という体であり、同時に本心も混じっているという主張なんだろうけど、上記の通り変に青い主張になっててしまってて、いやいやもう少しこう何か良い言い訳があったんじゃあ、とついつい苦笑してしまいました。
これ、作者側としてはわざとなんでしょうけどね。
本来ならド素人の一般人が色々やらかしてしまったり、または思わぬ才能を見せて云々という展開なのが、冬夜自身が『刻の黄昏』という現象にまつわる話は全く知らなかったものの、神秘に携わる側の人間でありなおかつ歴戦の騎士という来歴の持ち主であるために、定番の展開となるはずのところに妙なエッセンスが加わって常とは異なるノリと味わいの展開になってくんですよね。そのへんのギャップが妙に楽しくて。そういうところが狙い目だったのかな、と。
冬夜くんてば、自身がオリジナルのサクラメントを保有している事や出自なんかは隠そうとしているくせに、神秘側の人間であることとかサクラメントが使えることとか素人じゃないの、全然隠そうとしないんだもんなあ。素人だと思って採用したら一流のプロでした、てなもんだから上司の人たちが嬉しい悲鳴をあげるのもよくわかります。ただでさえ人員不足でのたうち回ってて、苦肉の策で自分売り込んできたやつ使ってみたら、バリバリ第一線のヤツだった、とか色んな意味でたまらんでしょうに。
戦場帰りとも知らずに素人が粋がって死ぬかも知れない戦場で戦う覚悟を問うてやる、とつっかかってくるいつきくんが、この場合的外れすぎてちょっとかわいそうですらあるんですが。
いや、いつきからすると冬夜はクラスメイトだし『刻の黄昏』についてなんにも知らないし、ド素人が粋がって、となるの当たり前じゃないですか。冬夜はあれ、どこか天然でわかってないところもあるので仕方ないかも知れないけど、御姫あたりが教えてあげたらいいのに、とか思ったのですが御姫は御姫で自分と冬夜の事で色々と一杯でそういう余裕なかったか。ポンコツと思い込みの強さという意味では、御姫は追随許さないことになってるからなあ。この女、エロ妄想が激しすぎる。
それでも、冬夜が自分を助けた事で自分が想像していた以上のものを背負い、責任を請け負う覚悟を持っていた事に気づいてしまったら、平静では居られなかったのでしょう。ただ命を助けた、吸精病の事を秘密にしてくれた、だけでは済まない事になってしまっていましたからね。
しかし、冬夜の方もこれだけ運命共同体として御姫に対して責任を請け負ってしまって大丈夫だったのだろうか。冒頭の回想にもあったように、彼もまた敵討ちという所業に正義ではなく業を背負ってしまってる。その果てにあるのは自分もまた仇討ちという名の殺戮の報いを受ける末路だという覚悟もしているわけだけれど、彼の死がそのまま御姫の死となってしまった中で粛々と報いを受け入れることが出来るのか。まあ、御姫の方は何があろうとどうなろうと、冬夜の報いに喜んで付き合うのだろうけど。
一日の時間が24時間から23時間になり、冬夜を除いて誰もがその事を忘れてしまっている、という設定、これが今後最重要のポイントとなりそう。秘跡狩りなど次回へ続く伏線もぶっこんできたし、立場も確立できたので次回以降ガンガン動いていきそう、楽しみ楽しみ。

1巻感想

剣と魔法とセーラー服 ~ときどき女神にアイアンクロー~ ★★★☆   



【剣と魔法とセーラー服 ~ときどき女神にアイアンクロー~】 三条ツバメ/ごれ HJ文庫

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最強の始末屋と呼ばれながらも日常系アニメをこよなく愛する男、常守聖悟(つねもりしょうご)。彼の元にある日、女神が現れ「あなたをあなたの見合う世界に転移します。あと日常系って退屈ですよね」と告げた。
余計な一言で宗教戦争が勃発したが「日常系アニメの世界に行けるのなら」と聖悟は折れた。しかし、願い空しく転移した先は剣と魔法の世界。
何故か付いてきた女神にアイアンクローを極めながら旅をしていると、村を襲うゴブリンに一人立ち向かう女剣士エマと出会う。その美しさと優しさに心打たれた聖悟は決意する。
「この世界をエマを中心にした日常系アニメの世界に変える」
表紙絵バックの見事なアイアンクロー吊り。【このすば】のアクア様の出現以来、ポンコツ駄女神の供給は高まるばかりですけれど、その中でも本作の女神「花子」は逸材ですよ。ここまで酷いのは早々居ないから、出せないから、書けないから!
アイアンクローされて頭握りつぶされるのも当然の女神さまである。まあ反省も懲りることもないのですけれど。ただ花子神は存在しているだけでシリアスブレイカーなんですよね。その言動全てがシリアスに喧嘩売ってる存在なので、何気に主人公のシリアス撲滅主義とは波長があってるんですけどね。ただその過激なボケツッコミは常守氏が愛する日常系アニメからするとギャグ度が強すぎるきらいもあるのですけれど。
日常系アニメをこよなく愛する男・常守聖悟はその強すぎる力によって現代地球での活動を制止され、代わりに彼の力に見合うファンタジー世界へと送り込まれてしまう。暴力と冒険と魔法の世界という望んだ日常系アニメ世界とは全く様相を異にするファンタジー世界に絶望する常守であったが、そこで出会った心優しき剣士の少女エマの存在が、彼に希望をもたせる。そうだ、自分がこの世界を日常系アニメの世界を築けばいいのだ、と。
アホである。
しかし、彼の凄まじく逸脱した能力と鉄の意思とシリアスブレイカーたる女神の存在感があれば、とりあえず作風はギャグになるので大丈夫だったのだ。わりと女神役に立ってる気がするぞ。
ただ、女神の存在が濃すぎて強すぎてあらかた持ってってしまうのがネックではあるのですが。
それに、常守氏はファンタジー世界は日常系アニメにはそぐわない、と絶望していたけれど、別にファンタジー世界が舞台の日常系は普通にあるんですよね。決して相性が悪いわけではないので、そのへん日常系をこよなく愛しているわりに見識が低いぞ、主人公。あと、男も場合によっては居ても良しというのが私の中ではアリアリ範疇内。幼女先生とか普通に居るでしょう。最近はキャラ的に三番目とか四番目あたりのポディションに入るだろうヒロインキャラがメイン張るのも珍しくはない。
こうしてみると、常守氏好みの王道は外しつつも抑えるところは全部押さえてるんだよなあ。
まあ本作は日常系四コマにはどうしたってなれないのだけれど。
それでも、何だかんだと日常系スタイルを押し付けてくる常守氏に毒されてそれっぽい雰囲気をまとい始めてしまう押しに弱いエマと、いきなり中二病全開で現れて初めての女友だちにあわあわしている静香の加入でなんだかんだと幼女先生も加えて女子連中の間では日常系っぽい空気になっていくあたりはなんというかさすがである。
いや、ほんとにそれっぽくなってきたぞ。常守氏と花子も言うたらメインの女子グループの周りでワイワイ騒いで引っ掻き回している脇キャラとしてみると、なかなか馴染んでいるし。
あれ? ギャグ度がコクて男が主人公というのを除けば、わりとイケるのかもしかして?
日常系としてはあと一人か二人は女子グループに入って然るべきなので、次回はさらなるキャラの新登場に期待できるんだろうか。

三条ツバメ作品感想

解術師アーベントの禁術講義 ★★★☆   



【解術師アーベントの禁術講義】 川石 折夫/ HxxG 電撃文庫

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待ち受けるのは生か死か――異端の魔術医が石化の呪いに挑む!

魂に直接メスを入れ患者を蝕む『呪い』を除去する異端の解術師(げじゅつし)・アーベント。
通常の治癒魔術では治せない呪いでさえも解いてみせるその奇跡の施術は、失敗すれば死亡率100%の禁忌の術だった。
闇医者と疎まれながらも、魔術講師として神学校に勤め、とある目的のために『解術』に取り組む日々。
そんな中、天才魔術師・レイミュの襲撃に次ぎ、校内で生徒が石化される事件が発生。アーベントの手腕をもってしても一筋縄ではいかない呪いの魔の手は、ついに彼の教え子にも及んでしまい――。
外道魔術医の戦いが今、幕をあける!

ファンタジーで医者を主役として取り上げる作品自体は少ないとは言え相応に在るのですけど、テレビドラマなどでよく見かける「医療現場」を舞台とした作品はなるほど珍しいんではないかと。
犯人の動機や主人公のアーベントが異端者として扱われているのも、ライバルとなる名医との軋轢も、その本質的なところにあるのは医療現場における旧弊に根ざす問題だったわけですし。
主人公のアーベントは解術と呼ばれる異端の医療を扱うことから、同業者からも蔑まれ疎まれていて、本人も斜に構えた態度に終始していてアウトローを気取っている、気取っているというと言葉が悪いけれど、あまり柄の良い人間ではないという風に振る舞っている。なので、腕は良いけれど人間的に問題が在る人物なのか、と思いきや……。
いや、なんかね、見てれば見てるほどこのアーベントって言ってしまうと「立派」な人物なんですよね。医者としては何よりも患者第一で病巣を駆逐して患者を救う事に情熱を傾ける熱い人物であり、教師として生徒たちには熱心に技術と医者としての精神を教え導いてて非常に生徒思いであり、ただの人間としても迷いを抱えている人を見過ごせずに何くれとなく手を差し伸べる人間性の持ち主なんですよ。
真っ当を通り過ぎて、これ立派としか言いようがないじゃないですか。
とはいえ、彼が扱う解術と呼ばれるものは異端呼ばわりされるのも無理ない危険性を有していて、失敗すれば100%患者が死亡するという危ういもの。しかし、その解術でなければ救えない患者がいるのなら果たして見過ごすことが出来るのか。
彼が闇医師として要求する報酬は、あまり風聞の良いものではないのは確かで、彼がその報酬を必要としているのは間違いない話では在るのですけれど、彼が手術を執刀するのはやはり患者を救うため、なんですよね。その本質がブレさせない事こそ人間性を喪わないことこそがアーベントの目的にも叶うわけですけれど、彼の場合はそれこそが素でもあるっぽいのがまたいいんですよね。
闇を背負いながらも、その本質はあまりにも人、というのは実に真っ当な主人公らしさじゃないですか。

肝心の手術シーンもなかなか他に類型が見られない独特なものではあるんですけれど、現実の外科手術らしさと魔術を用いた特殊な医療という2つの特性を見事に併せ持った映えるものなんですよね。それだけ独特なものにも関わらず、その解説説明がわかりやすく伝わるものでこれがイメージしやすかった。おかげで、手術シーンの臨場感も十分であり本作の見せ場となる手術のシーンがちゃんと緊迫感ある盛り上がる展開になっていて見応えあるものでした。
一方でストーリー展開の方はちょっと容易に先が見通せるもの過ぎたでしょうか。あまりに見え見えすぎたんで実のところ解明編になるまで裏があるのではと疑ってたんですよね。でも、結果はそのままその通りでちょっと拍子抜けしてしまいました。
ヒロイン?になるのか、レイミュはラストの展開にも欠かすことの出来ない非常に重要な役割を担うキャラではあったんですけど、微妙に立ち位置がふわふわして定まってなかった気がするなあ。いや、立場としては弟子入りすることからもはっきりしてるわけですしキャラもパリッと立ってるのですけれど、微妙に存在感を示しきれていない感があった感じがして。まだ彼女自身自分の存在意義、レゾンデートルをはっきりとさせられていないままだったのもあるでしょうか。だからこそ、あっさりと転向してしまったわけでもありますし。最後の選択が彼女なりに芯を通すものであればよいのですが。
まだ字の文章も微細なぎこちなさ硬さみたいなものを感じさせられて、文字を追う目がリズムに乗り切れなかったというのも確か。ただこれは書いているうちにこなれてくるものなので、あまり気にするようなものでもないですけれど。
好敵手となる若き魔術医とのお互いを認め合う関係なんかも良かったですし、次回はさらなる飛躍を期待したい新人作品でありました。

ソード・ワールド 蛮王の烙印 古の冒険者と捨てられた姫騎士 ★★★☆  



【ソード・ワールド 蛮王の烙印 古の冒険者と捨てられた姫騎士】 北沢慶/グループSNE/黒井 ススム ドラゴンノベルス

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世界を救って300年。目覚めたら戦乱の世でした――なので、ぶっ潰します

文明を破壊した蛮族大侵攻〈大破局〉に抗い、その身を捨てて世界を救おうとした冒険者エルヴィン。後の世に“破界の魔王”と呼ばれる彼を、小国の姫が蘇らせた。
文明は衰退し、未だ蛮族と争う世界。
身内に捨てられ、魔王にすら縋る彼女のため、古の英雄は嗤う。

「さあ――冒険を始めようぜ」

最古最強の冒険者はその力で覇道を為す。今度こそ、平和を創るために。
何気にソードワールドが2.0以降になって以来長編小説として世に出たのって、同じ北沢慶さんの手掛けた【剣をつぐもの】以来になるんじゃなかろうか。短編集なんかはちょこちょこと出てたみたいですけれど。
ちなみに本作はバージョン2.5だそうで。いずれにしても、蛮族の設定などソードワールド2.0以降の世界観を把握した前提での話になっているのでその辺わからないとちょっと混乱するかも。
主人公のエルヴィンは300年前の大破局の只中で蛮王と直接対決した英雄の一人。そこで相打ちとなり死の眠りについたものの、それが姫騎士ヘドウィカの手によって現代に蘇り、ってこれ確かに異世界転生じゃないけれど、過去の英雄が復活してという主人公最強モノですねえ。だってこれソードワールドのロードス島戦記で例えるなら、魔神討伐の六英雄のひとり、例えば暗黒皇帝ベルドとかを復活させて仲間にしました、みたいなもんじゃないですか?
強いよ、そりゃ!
姫騎士ヘドウィカとそのパーティーが挑まないといけないクエストは、そりゃ初心者パーティーが挑戦するような簡単なものではなく、なかなかのハードモードなわけですけれどそれでも主人公がこれだと頼もしさがありすぎるw
しかし肝心の主人公エドウィンは、蘇生の影響でほとんど記憶がなく自分が何を成しどんな人生を歩んでいたかも覚えていない状態。なぜか、世界を崩壊させた【破界の魔王】呼ばわりされてるんですよね。かつて勇者エドウィンと呼ばれ、実際大破局のラスボスと思しき相手と戦って相打ちになっている様子が冒頭で描かれているのだけれど、それがどうして魔王と呼ばれ忌み嫌われる羽目になったのか。そのへんがさっぱりわからないので若干もやもや。いや、伝承でも何でも何があったのか語ってくれればいいのに、魔王と呼ばれているという話だけで具体的な話はさっぱりなくて触れられないままだったものですから。リカントのガイの居た集落ではまた別の伝承が残っていたみたいだけれど、魔王扱いは一緒だしやっぱり具体的な話はなんにも語ってくれないので、せめてもうちょっとエドウィンの過去については踏み込んで描いてくれたほうが嬉しかった。
でないと、ヘドウィカの血筋やどうして彼女が追い詰められていたとしても世界を崩壊させたとされる魔王を復活させたのか、その彼女の秘めた憧れのもっと強く感じ入ることが出来たのではないかと。
ともあれ、エドウィンってば魔王呼ばわりされるのだけれど、その性根と来たら元冒険者らしいあらっぽさこそあるものの、悪行に憤り善行に笑みを浮かべ、結構温厚で穢れものとして理不尽な扱いを受けてもまあそういうものか、とあんまり怒らないですし、物の道理というものを弁えてて、どちらかというと理性知性の人物なんですよね。基本いい人。
なので、どこが魔王なのかと。まあ魔王云々はどこかで情報がねじ曲がって伝わった結果に過ぎないので本人関係ないのですけれど。
とはいえ、魔王本人がそういう理知的な人物なので警戒バリバリな姫様のそれ、ほぼほぼ空回りなんですよね。まあ姫様も自分の家に伝わる伝承から、魔王というのが偽りで本当は勇者という話を信じていたからこそ復活させたわけですから、どう接したらいいかわからないと空回りしていた部分もあるのかもしれませんが。それこそ、毛を逆立てて警戒していいのか受け入れていいのか迷ってる猫、みたいな感じでしょうか。そんな姫様を鷹揚に受け入れて、言う通りしたがってあげているエルヴィンがこの場合、大人だなあ、と思ってしまうわけです。本人、記憶喪失なのに能力的のみならずメンタルの方も余裕たっぷりじゃないですか。
嫡流にも関わらず父王に嫌われて、死ねと言わんばかりの難題を突きつけられて自暴自棄になりかけていた姫様。捨て鉢になっていたからこそ、魔王復活なんて手を選んだわけですけれど、復活してきた魔王は記憶こそ喪っていたもののその人柄は密かに自分の血筋に伝えられてきた憧れの人その通りで、荒み諦観におかされていた姫様にとってそれはどれだけの救いであり希望であったか。俄に受け入れられなかった、というのもわかるところであり、傷ついてきたからこそその懐に潜り込むのも恐る恐る、というのもよくわかるんですよね。
捨て姫さまが拾われる話、と見ればこの姫様の初々しいまでの頑張りも実に可愛げがあって、姫と魔王のある因縁に結ばれた関係が徐々に進展していく様子も、パーティーでの冒険も素直に面白く、堅実といっていいくらいの良作ファンタジーだったんじゃないでしょうか。
パーティーの行動、ちゃんとTRPGでちゃんと実際にセッションしてみてる、というのはさすがです。

北沢慶作品感想

わたしの知らない、先輩の100コのこと 1 ★★★☆   



【わたしの知らない、先輩の100コのこと 1】 兎谷 あおい/ ふーみ MF文庫J

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わたし、せんぱいのこと知りたいです。1日1問ずつ――教えてくれますか?

“最寄り駅が同じ”以外接点がなく、毎朝顔を合わせるだけだった先輩と後輩。そんな二人がある日、約束を交わしました。その内容は『1日1問だけ、どんな質問にも絶対正直に答える』というもの。
「わたしはせんぱいのことが知りたいですし、せんぱいも知らないことを知るのが好き。だからお互い、1日1問ずつ──100コの質問をできることにしましょう」
これは、1日1問ずつお互いの距離を縮めていく、二人のお話――早く付き合っちゃえよ!と思わず言いたくなる、Web発のイチャイチャ青春ラブコメ、待望の書籍化でお届けしちゃいます!

たまたま話すようになって仲良くなっていく、というのじゃなくて後輩ちゃんの真春からグイグイとアプローチしかけてきたのか。慶太が落とし物をしたから、というきっかけはあったにしても真春の側は話しかける機会を伺っていたわけですからね。
しかし、最初の頃は慶太のほうがあんまり気乗りしなかったようであんまり愛想もなかったのだけれど、顔見知り程度とは言っても女の子が話しかけてきているにも関わらず、適当にあしらって本を読もうとする慶太先輩、何気に古強者である。明らかに面倒だな、と思われてる態度を取られているにも関わらず、めげない真春が凄いと言えば凄いのですけれど。普通は腰が引けてしまうものだけれど、そもそもこうやって仲良くなろうと話しかけるというだけで勇気がいるものです。こればっかりはいくらコミュ力があっても、一つのハードルではあるんですよね。ホントに気にしないのなら、落とし物なんてきっかけ必要とせずに無造作に近づいてきて話しかけてくるでしょうし。
まあハードルがあっても彼女にとっては低いものだったのかもしれませんが。あのグイグイくる性格を考えるとねえ。
ただ自分でもそのグイグイ行き過ぎる性格、或いは特性については思うところがあったのかもしれません。あとで元カレだった子から、真春の性格については忠告と助言をもらうのですけれど彼女自身が自覚あったからこそ、あんな『1日1問だけ』なんて制約をつけたのではないでしょうか。
あれ、慶太には応対を強いる約束になっていますけれど、真春からすると一日に一問だけ、という制限をつける約束になってますものね。
焦らずじっくりと。
何気ない日常会話から浮かび上がってくる慶太と真春の共通点は知りたがり、という事。慶太のそれは、なんでもかんでも、というがっつくようなそれではないのだけれど、結構知的好奇心を擽られる所には食いついてるんですよね。そこらへんを早々に見抜いて謎解きゲームのイベントにデートで誘う真春の眼力は大したものなんですが、それだけよく観察している、観察して分析している、慶太先輩のことをずっと考えてる、って事なんでしょうねえ、これ。知る、というのは直接相手からプロフィールを聞くだけじゃない、というのがこの娘のこれまでの反省の結果、なんでしょうか。
そして、そんな彼女の姿勢、スタイルは慶太に米山真春という小悪魔めいた後輩への興味と好奇心、この娘は一体何なんだろう、という知りたいという気持ちを掻き立てることになっている。
なるほど、噛み合ってるんだろうなあ。
無理やり休日に連れ出したり、いきなりアポ無しで家に押しかけたり。真春の行動って一歩間違えると相手からウザがられる結構危なっかしいものでもあるんですよね。慶太という男は決してそのあたりのプライベートスペースが広いタイプにも見えないし、拒絶はきっぱりする方に見えるし。
果たして、そのギリギリのラインを彼女が見極めていたかどうか怪しい所ではあるのですけれど、慶太の真春への好感度の上がり具合と彼女の側の踏み込む範囲がちょうど以上に釣り合っていた、噛み合っていたのは確かなのでしょう。こういうの、まさに順調な交際へと至る道だよなあ、と感心してしまうくらいに。通学中のあのイチャイチャなんぞ、傍目にはどう見ても付き合ってるようにしか見えなくて少々目に毒でありましょう。同時に、学生時代ならではの恋愛模様、という風情もあって妙な感慨もあるんですよね。果たして、これは大人になっても継続するようなものなんだろうか、と。まあまだ付き合ってもいない今から心配することでもないでしょうけれどね。

デート・ア・ライブ アンコール 9 ★★★★   



【デート・ア・ライブ アンコール 9】 橘 公司/ つなこ 富士見ファンタジア文庫

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「あなたたちは何者?」
士道不在の五河家で精霊たちと両親が邂逅!?「そろそろ将来を見据えて、あたしたちの愛の巣を買おうと思うっちゃ」漫画家の二亜がマイホーム購入計画!?「…求人情報誌とかリクルートサイトとか見てみたけど、何なのあれ。なんでみんなあんなにコミュ力求めるの?」学校に行きたくない七罪が就職活動!?「―『塔』への挑戦を希望する」士道の未来の伴侶(自称)折紙が花嫁修業!?変わろうとしていく精霊たち。「なんと…!これが船だというのか!?」そんな精霊たちと士道が乗った豪華客船で何も起こらないはずもなく!?さあ―変わらない賑やかな日常を楽しみましょう。
表紙は二亜。歳を考えろ、とか言ってはいけない。
いやでも、実際二亜って精霊たちの中では唯一の大人なんですよね。なのでか、精霊たちに対しては庇護者として振る舞う士道がただ一人甘えた姿勢を見せるのも彼女だけなのである。あのキツイ当たりを甘えてるというのか、と疑問を覚えるかもしれないけれど、士道が塩対応してみせるの二亜だけなんですよね。それって、つまるところ二亜に対して全然遠慮していないという事であり、不満や不平を隠さずぶつけられる相手、それを笑って許してくれる人、と士道が無意識下でも思ってるということなんじゃないでしょうか。まあ、塩対応される理由の殆どは二亜の自業自得ではあるのですけれど。でも、いつもおちゃらけた態度ばかりとってる人ですけれど、肝心な時にいつも士道を庇護し支えて導く姿を見せてくれるのも彼女なんですよね。
大人のキャラは幾人も居ますけれど、そこまで踏み込んだ関係の人はいないですし、二亜が来て馴染むまでは令音さんがそのへんの役割を担ってたとも言えるのでしょうけれど、彼女の士道への感情は非常に特殊なものだったわけですしね。
あの二亜のズボラで自堕落でお世話しがいのある生活スタイルは、実のところ世話好きで結構家事好きな士道とは相性バッチリだと思うんだけどなあ。
ともあれ、二亜の士道のみならずみんなのお姉さんというスタイルはほんと好きです。橘先生もよっぽど二亜の事好きなのか動かしやすいのか、シリーズ終盤は何気に二亜と七罪の二枚看板だったような気がします。
にしても、二亜の短編で出てきた不動産屋の青木女史、モブなのにやたらキャラ立ってたなあw

作中でちゃんと出るのは初めてでしたか、士道と琴里の両親である竜雄・遥子夫婦。いやあ黒リボンの琴里ってお母さん似なのか。サプライズ帰宅した二人を待ち受けていたのは、折紙を筆頭とした精霊少女たち。もはや魔境である。いや、普通なら四糸乃とか十香とか七罪とかならそんな拗れるメンツではないはずなのだけれど、そこに折紙がいるだけで大惨事である。こいつはほんとにーw
そこに暴走しがちな美九やら八舞姉妹が絡めば目を覆わんばかりのことに。
いやうん、あっさり受け入れないでちゃんとビビってくれる五河夫婦、常識人らしくてよかった。でも、常識人とは言ってもこの二人って過去を遡れば、士道の前身だった崇宮 真士と真那の友人だったんですよね。そんな彼らがラタトクスに入り士道を引き取ることを決意するに至ったのには、かつての友人の死と失踪にそれだけ思うところあったから、なんでしょうけれど軽々に決断できることではないだけに、生半可な人たちじゃないんですよねえ。
しかし、五河のお父さん。何気にラッキースケベ体質だったりするの若かりし頃が気になりますなあ。相手、奥さん限定だったのか。

七罪チャレンジ、後発となる本編21巻での一年後のエピローグでは、ちゃんと学校に通い出してる七罪だけれど、そうかその間に挟まるのがこの話なわけか。以前に出来た友達ともう一度縁を結ぶお話なのだけれど、何気に七罪、文化系創作スキルではジャンルを問わない超天才だった、という。いや、七罪ちゃんマジすごいんでないのこれ? 引きこもりでも十分やってけるレベルじゃないですか。二亜のアシやってるのって単に器用だからという問題じゃなかったのか。
残念ながら七罪本人は自分の才能にさっぱり気づいていなくて、どうやら将来にもまったく寄与しそうにないのが勿体ないのか、本人はそれで良かったのか。

折紙、花嫁修業に勤しもうとしたら花嫁修行になってた件について。普通にこう、『魁!!男塾』の驚邏大四凶殺みたいな花嫁修業場がある世界とかやだなー。ってか、折紙は花嫁修業するならまずこう常識を学ぶことから…って書いてて折紙鳶一にそれを仕込む無為さをひしひしと感じて虚しくなってきたのでやめとこう。


美九ってもはや存在自体がスキャンダルみたいなもん、というかマジでアイドルちゃんとやってたのかこの子。自重を全くシない知らないそのスタイルからして、番組前の楽屋挨拶ぐらいから可愛い共演者とか居たら粗相してそうなんだけど。というか、本番中でも構わず、というのが容易に想像できてしまうのだけれど、今までそういうのって噂レベルで留まってて発覚とかしてないのかー、そうかー。
てか、普通に張ってたら士道の家に入り浸ってるのすぐにバレそうだけれど。


今回、珍しくアンコール常連な狂三さん、出番少なかったんだけど、少ないなりにその少ない出番で存在感示しまくって色々持ってってしまうの、さすがです。この人、暇なときはひたすら猫追っかけてるのか? なんか、猫狂いなの信者層にまで周知されてしまってるっぽいのだけれど。
オールスターキャストなクルージング編では、当人最後の方まで登場しないにも関わらず、シージャックに現れたアレな人たちのせいで風評被害的な意味も含めてえらいことに。あと、アレな人たちはともかく狂三の猫耳スタイルはお目にかかって見たかった。


シリーズ感想

メイデーア転生物語 1.この世界で一番悪い魔女 ★★★★   



【メイデーア転生物語 1.この世界で一番悪い魔女】 友麻碧/雨壱 絵穹 富士見L文庫

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魔法の息づく世界“メイデーア”。辺境貴族の令嬢マキアは、騎士の少年トールとともに、魔法を学ぶ日々を過ごし、強い絆を育んできた。ところがトールが異世界から来た“救世主の少女”の守護者に選ばれたことで、二人は引き離されてしまう。トールの不在に動揺するマキア。だが王都の魔法学校に行けば、再びトールに会う機会がある。彼に抱いた想いの正体を知るため、マキアは最高峰の魔法学校を目指す!これは“世界で一番悪い魔女”の末裔マキアが、自身の想いを伝えるための、長い物語のはじまり。
かつてこの作者さん、「かっぱ同盟」という名義にて富士見ファンタジア文庫から【メイデーア魔王転生記】というシリーズを出してらっしゃったんですよね。結局全2巻しか出なかったのですけれど、ウェブ版では元々【俺たちの魔王はこれからだ。】というタイトルで大長編としてすでに完結しているのですが、それはもう壮大な物語だったわけですよ。
なので、本作は新装版として改めてシリーズ化されたのかと思っていたのですが、あらすじ見るとなんか違うんですよ。F文庫版の【メイデーア魔王転生記】もウェブ版からトール視点でだいぶ改稿がされてたんですが、なんかそれどころじゃない展開の変化があらすじから伺えて、あれもしかしてこれただの新装版じゃない? と思ってた所で実際内容を読んでみて、度肝を抜かれたわけですよ。
あれ? なんか全然ストーリー違うよ!? キャラの立ち位置もなんか全然違うよ!? というかこれもう殆ど新作じゃね!?
というわけで、おそらく基幹となる設定や過去の歴史とかは共通しているであろうけれど、それ以外の大部分をザラッと総浚えして改めたと思しき、全く新たなメイデーアワールドのはじまりなのでした。
ってか、マキちゃん主人公じゃないですかー!
紅の魔女本人ではなく、あくまで紅の魔女の末裔という意識のマキアさんですが、そのとりあえずはガンガン行こうぜな生き様は変わることなく、その方向性も離れ離れになってしまったトールに再び会う、という一点に絞られてしまったためにそのパワフルさが目標に向けて集約されてしまうことに。
凄いぞマキちゃん、初っ端から恋する乙女全開じゃーないですか。理不尽な理由で引き離されてしまった想い人、そんな境遇に打ちひしがれるのではなく、自力で彼のもとに辿り着いてやる、と俄然やる気を出してガンガン頑張ってしまうあたりがこの娘の可愛らしさなのですが、少なくとも儚さとか薄幸さとは実に縁がなさそうな生き様である。今のところは。
本来ならトールがその制御役というか手綱役として機能していたのだろうけれど、その当人が傍らにいないのなら止める人はいないわなー。
ただ彼女の前世となる現代日本の様子からしても、マキちゃんが決してパワフルなだけの少女でなかったことはわかるんですよね。この娘は、色んな意味で一番大切なものを掴むことの出来なかった、掴もうと手を伸ばすことが出来ずに少し離れたところからじっと見つめる娘だったのだ。それをずっと後悔したままで、うちに抱えこんでしまい込む娘だった、というのを忘れないようにしてあげたい。それは、前世の女子高生だった頃だけの特質なのか、それともそれとも。
ともあれ、今のマキナは一貫している。トールに会いたい、という願いに一途でいられている。その願いに迷いはなく、だからマキナは一心不乱にガンガン突き抜けられる。そのパワフルさについていける人はそうそういなくて、紅の魔女の悪名を引き継ぐ家名もあってか彼女に近づく者も早々いない。それができるのは、結局訳ありな面々だけなんですよね。
というわけで、マキナを中心に揃ったパーティーは曲者ぞろい、或いははぐれ者揃いというべきか。
ここで早々にレピス嬢が出てきてマキナの傍らに寄り添うとは思わなかったけど。あの義肢の設定や空間魔法についてのあれこれからしても、彼女の基本的な設定も変わっていないっぽいけれど、留学生なんかやってるからには裏方ではないんだよなあ、多分。

まだ魔王も魔女も目覚めることはなく、賢者だけがすべてを知っていて見守っている、という状態か。それでも、徐々に紐解かれていく伝説となっている過去の物語。叶わなかった恋の物語。
今、こうしてマキナもトールもお互いを求め合い恋い焦がれている。再会なって今まで溜め込んでいたモノがようやく「恋」という名の想いであると確信するマキナ。でも、運命はその想いを伝え合うことをまだ許しはしないのだ。
すっごいラブストーリーしてるよなあ、濃度半端ないよなあ。まだ、前前前世な要素も殆ど出てきてないにも関わらず、現段階でこの熱量である。
しかし救世主なアイリさん、えらい邪魔者なポディションに収まっちゃって。夢見がちで現実ではなく自分の願望を直視するような在り方は随分ヘイトを集めそうなキャラになっちゃってるけど。ウェブ版でも同じく日本から召喚された救世主の女の子が登場するのですが、ほぼ別キャラになってますね。これは、背負っているバックグラウンドも全然違ってくるんだろうか。

なんにせよ、本当に元の作品と全然展開が異なっているだけに、果たして話がどう転がっていくのか全然見通しがつかないのがこうなるとワクワク感を後押ししてくれる。この段階ですでにメインの二人に恋の自覚がある、というのもラブストーリーとして強力な牽引力になりそう。今後の展開が実に楽しみな新シリーズと相成りました。

友麻碧作品感想

八大種族の最弱血統者 ~規格外の少年は全種族最強を目指すようです~ ★★★   



【八大種族の最弱血統者 ~規格外の少年は全種族最強を目指すようです~】 藤木わしろ/児玉 酉  HJ文庫

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「決闘に勝利した者がすべて正しい」という理念のもと、八つの種族が闘いを楽しむ決闘都市にやって来た少年ユーリ。師匠譲りの戦闘技術で到着初日に高ランク決闘者に勝利するなど、新人離れした活躍をみせるユーリだが…その血統には誰もが認める最弱の烙印が押されていた!!だが最強を目指すユーリは決して諦めず、仲良くなった獣人族の少女アティナと精霊族の少女フラムの協力を得て、唯一無二の決闘者へと成長していく―!!最弱血統が全ての最強を凌駕する圧倒的バトルファンタジー!

スプラッター!! 主人公が血まみれすぎる。しかも、相手の血じゃなくて自分の血で。いい具合に頭おかしい主人公だなあ。
決闘都市の特徴として、決闘が行われる際に使われるフィールドは試合が終るとダメージも死もなかった事にされるという便利設定なのですが、そのお陰でユーリくんが本来再起不能の大怪我を気楽に負えるどころか死になれるために練習相手に対戦の後は必ず殺してください、とか言う始末。もちろん、仮とは言え死んだらそれだけ痛みやショックも受けますし、元に戻っても3日ほどは動けなくなるという有様になってしまうので、決闘者と言えど死ぬのは避けるし嫌がるものなのですが、平然とどころか嬉々として死んじゃうユーリくん。
挙げ句に、混血という決闘者としてのハンデを挽回するために、自分の肉体の自損自壊を前提とした攻撃方法を確立するために、練習の段階からグチャグチャのデロデロに。生グロ動画発生装置になってやがる。これ、当人は楽しんでるんだろうけど、練習相手になってたアティナとフラムからするとちょっと拷問入ってたんじゃないだろうか。なまじユーリくん、天真爛漫なくらい明るくてその上礼儀正しいいい子なので、傍目には。それが満面の笑みで血ぶしゃー、開放骨折ぐしゃー、内臓散乱でろでろー、あべしあべしってなってたらお肉たべられなくなりますわー。
それでも熱心に付き合ってあげるのだから、アティナとフラムもいい子である。惜しむらくは、そのヒロインに当たるだろう二人の掘り下げがあんまりなかったことか。それぞれちゃんとキャラ立ってはいるのだけれど、今回は支援役に徹していましたし話の本筋はユーリくんと、その師匠である混血の人と昔仲間だった獣人のお兄さんとの対立がメインで、獣人のお兄さんが師匠との友情を拗らせてたのをユーリくんが戦うことで解消するような話であったので、ヒロイン二人はずっと脇に回らざるを得なかった、というのもあるのですが。
というか、ユーリくんのスプラッタな有様とそのキャラのインパクトが強すぎてw
今回は参加資格を得るための段階で、次回以降はチーム戦もあるようなので本格的に動き出すのはそこからになりそう。

藤木わしろ作品感想

デート・ア・ライブ 21.十香グッドエンド(上) ★★★★   



【デート・ア・ライブ 21.十香グッドエンド(上)】 橘公司/つなこ  富士見ファンタジア文庫

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DEMとの最終決戦。始原の精霊―崇宮澪との戦いから一年。そして夜刀神十香が消えてしまってから一年。元精霊の少女たちは過去と向き合いながら未来へと進み始めていた。五河士道もまた喪失感を抱えながら精霊が消滅した世界でのいつも通りの日常が始まると思っていた。存在しない精霊の少女と出会うまでは―。「―君、は…」「…名、か。…そんなものは、忘れた―」世界を否定するかのように世界を壊す少女を前に琴里は士道に言う。「あなたの出撃は認められないわ」さあ―私たちの最後の戦争を始めましょう。

グッドエンドとは!

ジャケットデザイン、グッドのgの字も見えないくらい「死ぬがよい」なんですけど! 作者も思わずサブタイ変える?と聞いてしまったくらいにはグッドエンドテイストなんですよねー。タイトルの文字に罅入ってるのは作者のコメントではじめて気が付きました。
ってか、あとがきでネタバレしてません、これ!? いや、目次で思いっきり書いていると言えば書いているのですけど。
最終巻ということで、精霊たち一人ひとりのエピローグが丁寧に描かれているんですよね。上下巻構成になったことで、より一人ひとりを掘り下げて描けているというのは実にありがたいことです。
今回は折紙から二亜、狂三、四糸乃、琴里と実は初めてなんじゃないか、という数字一から五の並びに。精霊たちの名前に数字が入っているのは自明のことですけれど、これまでこの数字が特に意識して扱われたことはなかったはずなんですよね。登場順とかも全然バラバラでしたし。でも、今回最後となるところで数字順、というのがまた考えさせられます。この順番だとラストはまさにあの子になるんですよねえ。
で、この個別エピローグが本当にしみじみとしていていいんですよ。これで終わり、エンドというのじゃなくて、過去に思いを馳せ未来へと進んでいく過程であり、しかし一区切りとして確かに自分の中の何かを終わらせ、何かを始めようという一歩を描いたエピローグになっているのです。
そこでいきなり、結婚式しようとする折紙はさすがとしか言いようがないけれど、ガチのではなくイベントごとで押さえているあたりにこの子の成長が伺えます。最初の頃の折紙なら問答無用で本物の結婚式に持ち込もうとしていたに違いないのにw
そして、大人として士道を見守り導こうという二亜。この人ダメ人間なんだけれど、精霊たちの中で唯一ちゃんとした大人でもあり、士道が甘えられる人でもある事を思い出させてくれます。
士道もまた、十香を喪って一年が経とうとしているこの時期に、自分の進むべき道を見定めていくのですけれど、それをこうしたヒロインが一区切り打つ話であるエピローグの中で彼女たちの姿を通して掴んでいくわけですけれど、その中でも二亜は意図的にはっきりと士道を促し彼の動き出すきっかけを、背中を押してるんですよね。こういうところ、ほんと頼りになるお姉さんでこの人が加わってくれた事は大きいんだな、と思うんですよねえ。

で、このまま何事もなく穏やかに日常が続いていくわけがない、というのを示唆しているのが狂三なわけで。狂三が企図していた、始原の精霊を倒してすべてをなかったことにするという計画は結局達成できないまま精霊のちからが消えてしまったわけですけれど、そうなるとこれまで狂三が殺した人間は蘇ることなく、そのままという事実が残ってしまうんですよね。いつか時間を巻き戻してなかったことにするという決意があったからこそ、躊躇なく人を手にかけてきた狂三にとってこの結末は罪だけが残ってしまったエンドになってしまう。果たしてこの壮絶な覚悟を抱き続けた少女がこのまま結末を受け入れるのか。一瞬垣間見せた狂三の顔がすべてを物語っているのではないだろうか。いずれにしても、このままでは済まないし済まさない、という可能性を彼女の意思と語られた推論によってこの時点で示唆していたわけだ。

一番今回の話で胸を打ったのは、やはり四糸乃の話でしょう。登場当初から名字もなくただの四糸乃として現れ、生まれながらの精霊のように描かれていた彼女。それが純粋な精霊は十香だけ、それ以外は元人間という事実が明らかになったことで四糸乃もまた元は人間だった事が証明されたのだけれど、その素性については全く明らかにされてこなかったんですよね。ラタトクスの調査力がそれを調べられないはずがないよなあ。
というわけで、この氷の精霊の本名が氷芽川四糸乃という少女だった事が判明。その喪われた過去を辿るために四糸乃が仲良しの七罪と士道と一緒に氷芽川四糸乃が生きていた街を訪れる。そこで明らかになる彼女の右手のパペット「よしのん」の正体。四糸乃という人間の少女が受けいていた目一杯の愛情を知ることになるのである。
本編終盤で一番人間的にも女性的にも成長したのが四糸乃だと自分は思っているのだけれど、この過去を取り戻す物語によって四糸乃という少女はヒロインとして見事に完成したようにすら思うのです。

そして、妹という立場でありながら兄に恋してしまった琴里の物語。彼女の人格転換のきっかけとしているアイテムの白黒リボン。ラタトクス司令として振る舞うための強さを自らに暗示するための黒いリボンに、自分を奮いたたせる以外にそんな恋する女の子としての健気な想いを捧げていたとか、この子はほんと年季は折紙以上に長年に渡って一途に想い続けてたんですよね。
そんな彼女の勇気ある告白と新たな決意。四糸乃もそうだったけど、中学生組の女性としての羽化が目覚ましいばかりです。

そんな中でありえないはずの新たな精霊の登場。ビーストと名付けられた謎の精霊の正体とは。今は力を喪ったみんなの精霊としての能力を、一人で使っているような節もあって一体なんなんだ、こいつ、とイイたいところなんだけれど、その正体は示唆されてるんですよね。いや、そっちか!?と驚きはあったのですが。
それに、折紙と二亜。この二人に一体何が起こったのか、起こってるのか。こっちはほんとにわかんねえ。どうなってるんだ、この二人!?

と、新たな生活を送っている元精霊の子たちに加えてもうひとり、エレン・ミラ・メイザースもまた一部の記憶と魔術師としての能力を喪ってラタトクスに保護されて、自活させられてるんですが……おいおい、エレンって短編とかで滅茶苦茶イジられてたように、エレンから魔術師の部分を取り除いてしまうと、ポンコツしか残らないんですけど。この世界最強の魔術師てば、世界最強の無能ポンコツに成り果ててしまうんですけど!
ウッドマンとカレン、この姉引き取った方がいいんじゃあ……。

シリーズ感想

七つの魔剣が支配する IV ★★★★☆   



【七つの魔剣が支配する IV】 宇野 朴人/ミユキ ルリア  電撃文庫

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再び春を迎えたキンバリー魔法学校。オリバーたちは二年生に進級し、新入生たちの世話に新たな科目、それぞれの修行と、目まぐるしい日々を送っていく。そんな中、ひとときの休息を魔法都市ガラテアで過ごすことにした6人。空飛ぶ絨毯に乗り、買い物や名物料理を楽しみ、魔法生物のお店を覗く。が、穏やかな時もつかの間。夕食の席でキンバリーの校風を嫌うフェザーストン魔術学舎の生徒たちと揉めてしまい―。一方、シェラの父であり、ナナオをキンバリーに招いた教師・セオドールにも接触を受ける。暗い夜道を歩きながら、彼は突然「この街には人斬りが出る」などと不穏なことを言い出し―。

これ、ほんとにベースとなっているのはハリーポッター的な魔法学園ものなんだけど、同時に比較にならないくらいダークでディープでアダルティな世界観というのを思い知らされる巻でした。2年生に進級して一応大きな事件もなく穏やかな日常の風景が広がる話であっただけに、なおさらキンバリーでの「平穏」が通常の感覚と全く異なる危険で殺伐としたものであることが浮き上がってくるんですよね。かつての自分たちと同じように様々な想いを抱きながら不安を胸に入学式を迎える新一年生たち、そんな彼らを優しく迎え入れる一方でほぼ時を同じくしてその裏ではこの一年間で死んだ生徒たちの合同葬儀、なんてものを行うこの対比ですよ。しかも、死者数がまた生々しい数でキンバリーの危険性というものをよりリアルに感じさせるのである。
オマケに、2年生に進級したことで授業内容もより危険なものに。一応死なないように配慮しているみたいだけど、ほんとに死なないだけ、なんですよね。場合によっては死ぬし、死ぬより酷いことになるような内容が散見されるわけで。これ、授業中居眠りとかお喋りとかしてる余裕絶対にないですからね。死ぬから。ガチで死ぬから。普通に下半身グシャ!って潰れてる人もいるんですけどー!?
授業なので、逃げられずに毎日続くわけで、精神的に死ぬ。これを受け続けられているだけで、キンバリーに染まっていると言えるでしょう。そりゃ、イカレるわ。頭おかしくなるわ。魔法使いが人外になるのも当然だわ。日常風景なんだぜ、これ?
ここまでイカレた日常が続くと、同じ生徒たちの間は徹底的に破綻するか、或いは結束が深まるか。少なくともオリバーたちは、剣花団の五人のみならず、ロッシ、リチャード、ステイシー、フェイ、ジョセフと言った一年時には揉めることもあった実力者たちともある種の信頼関係を結べるようになってるんですよね。彼ら彼女らとこうして認め会える関係になれた、というのは随分とこう……頼もしいんだけど、同時に死なれたときのダメージががが。
そして、今回一番度肝を抜かれたのが、キンバリーのというよりも魔法使いの性事情、というところでしょうか。なんだよ、三年になったら妊娠出産が解禁!って!? そう言えばお腹おっきくした上級生がけっこう歩いてるって!?
びっくりですよ!!
魔法使いとしては、何より血統を残し継がせることが推奨されるというのは理解できるけれど、学生のうちからここまで積極的に優秀な血を取り込もうという活動が行われているとは。
これ、性に緩いとか奔放とかではなく、徹底して魔法使いとしての在り方に則った厳格ですらある実情と言えるのでしょう。でも、性行為に対してタブーとされるどころか推奨されるような環境ですから、貞淑であることや恋人になってから結婚してからという考え方は珍しい方ですらある。
こうなってくると、剣花団のグループ内の人間関係も違って見えてくるわけで。
とはいっても、名家であるシエラも含めてそこまで魔法使いとしての価値観にはみんな囚われているわけではないのだけれど、それでもキンバリーでの常識は上記した性行為を推奨するようなものだけに、どうしたって影響を無視できないんですよねえ。
正直、パヒュームの影響残っていたオリバーへのシエラの医療行為とか、具体的な行為としては大したことしてないはずなのに、尋常じゃなくエッチすぎてヤバかったくらいですし、ってかヤバいヤバい。
それだけ、体の関係というものを意識させられてしまうと、異性として相手をどう思うか、という点についてもどうしたって強く意識の上に登ってきてしまう。その意味でも、今回は剣花団のメンバーの恋する気持ち、という所にもスポットが当たっていたのではないでしょうか。
その最たるものが、ナナオの恋と狂気の撹拌でありましょう。元々純粋で、オリバーになついていた彼女ですけれど、この2巻になって彼女の様子と来たらただ懐いているのとは隔絶した、一途なくらい慕い寄り添おうとする健気なくらいのワンコな姿なんですよねえ。いやもう、誰が見てもオリバーの事好きだろう、というような。オリバーはオリバーでナナオの事誰から見てもわかるくらいに大切にしてるし、彼女にちょっかい掛けられた時の脊髄反射的な過剰反応ももうアレなわけで、オリバーの嫁呼ばわりも当然な二人なんですよねえ。
しかし、一方で一巻の時に剣を交えあった時のように、ナナオの深層にはオリバーと死合い、彼を斬り殺したい、彼に斬り殺されたい、という魂に根ざした欲求が今もなお絶え間なく胎動している。それを自覚しているナナオは、果たして自分の気持ちが恋と言えるのか自信が持てずにいたわけだけれど、カティがナナオの問いかけに咄嗟に答えられなかった沈黙は、ある意味致命的な錯誤をナナオに与えてしまったんですよね。でも、これカティがあそこでナナオの恋を肯定していた所で行き着く先は「殺し愛」なわけで、どっちにしても行き止まりなんですよねえ。いずれにしても、デッドエンド。ハッピーデッドエンドになるかどうか、の違いでしかないのか。
ナナオの魔を、誰よりも深く理解してしまったカティ。彼女が、果たしてオリバーとナナオの顛末のキープレイヤーになるのか。カティ自身、自分の沈黙がナナオに与えてしまった誤解を理解しているわけだし、それをそのままにしておけるような性格でもないんだよなあ。
一方で、カティ自身もオリバーに惹かれている事実が混沌に拍車をかけている。まあ、なんか女性陣みんなオリバーに惹かれているっぽいのだけれど。シェラも、自分にもっとも親しい魔法使いとしての価値観を有する、波長が合うオリバーに惹かれているようだし。まあ、その波長が合う部分こそがやがて二人を、魔法使いであるからこそ敵対へと導きそうでもあるのだけれど。
そんでもって、ピートもまた両極往来者(リバーシ)、男性と女性の性別を行き来する特殊体質の影響もあるのか、なんかオリバーにべったりなところありますし。
ガイくんも滅茶苦茶イイ男なんだけどなあ。こればっかりは今のところ仕方ないのか。

そんなみんなに惹かれているオリバーだけれど、彼こそが魔法使いの闇をすでに体現している一人。仲間たちという光に目を細め、安らぎを得てこの上なく彼らに惹かれながら、背を向けざるを得ないもの。ついに、二人目のターゲットに狙いを定める。最も、次の標的を仕留めるのは、仲間を守るためという意義もあるので今のところは後押しする要素しかないのだけれど。

シリーズ感想

いつか仮面を脱ぐ為に ~嗤う鬼神と夢見る奴隷~ ★★★☆   



【いつか仮面を脱ぐ為に ~嗤う鬼神と夢見る奴隷~】 榊一郎/茨乃  角川スニーカー文庫

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戦場にて、英雄の少年は奴隷の少女に一目惚れをする―。ウォルトン王国の最終防衛用兵器―“護国鬼神”の異名を持つ少年・レオ。敵国ネプツニスの使い捨て魔力供給源として、特攻魔導兵器に組み込まれていた少女・フェルミ。二人は出会う。が、露わになる敵は―美少女妖精で!?大層な二つ名とは裏腹に、兵器として引き籠もり生活を送っていたレオは、あっさりとその可愛さに心奪われ―!?英雄と奴隷が紡ぐ、歯がゆくて不器用な恋の物語。

本作、敵の外道さやレオを始めとする登場人物たちの過去、人種間の差別意識やネプツニスとの戦争の残酷さ、護国鬼神に求められる冷酷残虐さなど、舞台設定はダークな要素で敷き詰められているいわば「黒榊」作品なのですけれど、面白いことにキャラ同士の掛け合いや騎士たちなど一般市民のノリは徹底したコメディ寄りなんですよね。これほどコメディなノリ全振りなのって、「まかでみ」や「アウトブレイク・カンパニー」以来なんじゃなかろうか。それでいてストーリー展開そのものはやっぱりダークそのものだったりするので、そのダークさとコメディがブレンドされて何とも不可思議な空気感になってて面白いんですよね。
珍しく、榊作品の主人公としては感情豊かでドタバタノリに自分から相乗りしていくタイプの男の子、というのも作品全体のリズム感に躍動を与えている気がします。榊作品の主人公、特に男の子はどこか面白味のない真面目な子が多くて、どうにもノリにノレない子が多かっただけに。それに、マリエルのセリフじゃないですけれど、とても可愛げのある男の子なんですよね、レオって。なれない人間関係にあたふたどたばたする姿、ハリエットにイジられてる姿とか、色々と擽られてしまうのもよくわかる。彼の執事として幼い頃から付き従ってるハリエットも、あれ性格がSというよりもレオの反応の良さについついイジってしまうのが習慣習性になってしまったんじゃなかろうか。
生真面目だった騎士のマリエルも、なんか速攻で影響受けつつありますし。
まあマリエルの場合、ただの生真面目騎士じゃなくてやたらと押しが強くてグイグイくる礼儀正しい傍若無人さが面白キャラになってる所があるのですが。護国鬼神という国の機密にして禁忌の存在に政略結婚することになって、その在り方に対してどう解釈するべきか理解するべきか受け止めるべきか、もっと迷って恐る恐る接してくるかと思ったら、びっくりするくらいガンガンいこうぜとグイグイくるところとか、なかなか新鮮でヒロインとしても存在感示してたんじゃないでしょうか。
むしろ、メインのフェルミの方がそのバックグラウンドからしても仕方ないのですけれど、キャラ的にもまっさらな所からはじめたので出遅れ感があったり。
いや実際、敵の黒幕さんってば急ぎすぎじゃなかったですかね? レオがフェルミに入れ込むまでは実のところもう少し時間があっても然るべきだったんじゃないだろうか、というくらいには二人の仲が深まる期間がちと短かった気がしますし。まあレオは実質一目惚れみたいなものですし、フェルミも真っ白な分塗りつぶされるのは早かったとも言えるのでしょうけれど、フェルミがあれだけ頑張れるだけの積み重ねはもう少しだけ欲しかったかなあ、と。このへんは好みかしら。二人のエピソード、十分と言えば十分とも言えなくもないですし。
しかし、最近先生R元服な作品の方手掛けたせいか、えっちい展開に今までよりも妙に雰囲気というか艶というか色気があった気がします。さすがだ。

榊一郎作品感想

神域のカンピオーネス 5.黙示録の時 ★★★☆  



【神域のカンピオーネス 5.黙示録の時】 丈月 城/ BUNBUN ダッシュエックス文庫

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ヒューペルボレアで繰り広げた太陽神アポロンとの戦いによってカサンドラを奪還した蓮たちは、芙実花と厩戸皇子を羅濠教主の下に残し、地球へ帰還の途につく。しかし、その際に「聖ヨハネの魂」に出会う。聖ヨハネは蓮たちに、地球滅亡の兆しがある、と告げる。聖ヨハネの警告を受け、地球に戻った蓮たち。地球はかつて無い程の異常気象に直面し滅亡の一途を辿っていた。その時、蓮の目の前に女神アテナが姿を現す―!!彼女は蓮に宣戦布告をし、地球に終末の時を迎えさせるべく、世界各地を駆け巡る!!蓮は、アテナと終末の時を阻止することが出来るのか…!?地球滅亡を懸け、「神殺し」とアテナとの決戦が始まる―!!

蓮とカサンドラ、こそこそチュッチュしすぎ! 梨於奈がいるところでも構わず、彼女が見てない後ろでじっと見つめ合ったり、ハグしたり、チュッチュしたりとイチャイチャイチャイチャ。
完全に二人の雰囲気作っているにも関わらず、全くその空気に気がついていない婚約者(笑)の梨於奈さん。後ろでチュッチュしているのにも全く気がついていない梨於奈さん。さすがです、さすがの恋愛リテラシーの低さに定評のある梨於奈さんである。
一方で、これ蓮とカサンドラはそんな梨於奈を出汁にして楽しんでますよね、これ。バレてはいけないというスリルを味付けにして、背徳感をスパイスにして、コソコソイチャイチャ。バレたらバレたで全然気が引けた様子もなく、むしろ堂々と見せつけてさらにイチャイチャ。
そんなのを見せつけられて、婚約者(笑)であることも論破されて、色んな意味でメタメタにされてしまう梨於奈さんが不憫、に対して思えないのがこのお嬢様のイジられ上手なところなのでしょうか。怒るよりも動転してしまってあたふたしているところが可愛らしくもあります。以前みたいに、蓮に対してサバサバした関係でいられたのなら、別に蓮とカサンドラがどうこうしようが関係なく動じる必要もなかったのにねえ。
あのチャラ男くんにまんまと落とされてしまっていたお嬢様キャラなのでした。

とかやってるうちに、アテナによって着々と滅亡の一途をたどる世界。物理的な破壊ではなく、これってもう神話的終末なものだから、人類にどうこう出来るたぐいの話じゃないんだよなあ。わざわざヨハネ黙示録の著者とされる聖ヨハネさんご本人が登場して、終末のはじまりじゃー! と宣言してもらうほどでしたし。
ここまでくるとアテナをどうこうする他ないのだけれど、ぶっちゃけここまで世界の破壊神にして新たな世界の創造神となるまで発展しきっちゃった神様相手だと、蓮じゃあ役不足感は否めないところがありました。彼、やっぱり歴代のカンピオーネと比べるといささかデタラメさというか無茶苦茶さというか、理不尽さや生き汚さが足りない感じだったんですよね。実際、死にかけた時もあっさり受け入れて死にそうになってましたし。蓮くんってどうも責任感とか使命感とか好奇心とか独善性とか、ガツガツした意志力や強い動機、目的意識に欠けるところがありましたから。その何物にも囚われない飄々とした流転の生き様こそが、チャラ男を自認する彼の特徴であり長所でもあったのでしょうけれど、果たしてカンピオーネとしてはどうだったのか。
おかげさまで、よりにもよってアイーシャ夫人なんていう決して触れてはいけない最終兵器に神殺し殺しの剣に修正力さんに運命力さん、という厄災そのものだったりカンピにとっての天敵、或いはカンピが天敵!な存在に総掛かりで支援してもらって戦うことに。
特に歴史の修正力さんとか、カンピオーネにいつも泣かされてガン泣きしながらシッチャカメッチャカにされた歴史を必死に修正してまわって、片っ端から台無しにされるという酷い目にあってるにも関わらず、今回は手を貸してくれたという器の大きさには敬意を抱いてしまいました。
しかし、よりにもよってアイーシャ夫人に手伝ってもらうとか、いくら切羽詰まってたからって。とはいえ、蓮のキャラってアイーシャさんとは何気に波長合うんですよね。彼女が何やらかしても蓮の場合気にしなさそうだし。
ただ、ラスボスがアテナだったのはなあ。アテナについてはどうしても護堂さんの好敵手というイメージが強いだけに、最後まで微妙にしっくり来ないなあ、という感覚がつきまとったような気がします。
さて、これで終わりかと思いきや、いや蓮が主人公のストーリーはこれで終わりみたいですが、さらにカンピオーネたちを総浚えしての新展開がある模様。
どう転んでも元凶がアイーシャさんになりそうなのは、色んな意味で流石すぎる。今回のシリーズで起こった事件もみんな根本を遡ると全部アイーシャさんに行き着くわけですし。とんでもないキャラを生み出してしまったものである。

シリーズ感想

最強の傭兵少女の学園生活 ―少女と少女、邂逅する― ★★★   



【最強の傭兵少女の学園生活 ―少女と少女、邂逅する―】 笹 塔五郎/ Enji  ダッシュエックス文庫

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伝説の傭兵エインズ・ワーカー。彼には、拾い育てた娘同然の傭兵少女―シエラという子がいた。…なのだが―、「俺は傭兵を引退する」エインズの突然の引退宣言。戦場以外の世界を知らないシエラは、エインズの言いつけで王都の学園に単身通うことになる。傭兵の経歴を隠す生活は窮屈だったが、シエラは孤独な貴族令嬢のアルナと出会い、友情を育む。しかし王位継承争いにアルナが巻き込まれ、暗殺者の手が迫ったことで事態は一変。アルナを守るため、シエラはエインズ譲りの最強の力を振るうことを決意する。世間知らずの最強傭兵少女が繰り広げる、ガールズバトルファンタジー!堂々開幕!!

空気を読まない・読めないというのは良し悪しがあるのだけれど、場の空気に気づくことなくあるがままを押し通せる強さというのは、時にその空気そのものに縛られ雁字搦めになっている人を空気から救ってくれるんですよね。
アルナという子は周囲によって縛られているというよりも自縄自縛に陥っていたと言えるのでしょうけれど、シエラの空気を読まずあるがままを、身分やしがらみに囚われずにその人を見て思った事をそのまま口にすること、考えをそのまま行動に移すあり方はアルナのどこにも行けなかった自身への捉え方をひっくり返してくれるのである。というよりも、シエラの自由な言動に振り回され引っ張り回され、一方で放っておけずに世話を焼いているうちにそれどころではなくなった、というべきか。
シエラもあれで決して無神経に好き勝手やっているわけではなくて、彼女なりに一生懸命気を使ってはいるんですよね。父親がくれた凡人ノートという一般生活に必要な知識が記されたマニュアルを頼りに、自分を一般人に合わせようと努力しているのがその証左で。本当に全く空気も読まず自分の好き勝手するだけの子なら、そもそも周りに合わせようという努力すら発想もしないのでしょうけれど。最も、シエラの場合は最初は父親にそうしろと言われたから、という理由であるあたり真剣度はいまいち足らなかったのだけれど、途中からアルナのため、という彼女個人の理由であり原動力が生まれることで、真剣度がまた変わってくるのですが。
しかし、パパさんもちゃんとマニュアルを用意してくれているのは素晴らしい配慮なのですけれど、そういうマニュアルが必要な娘であるという正しい認識を持ってるにも関わらず、肝心のマニュアルである凡人ノートの中身が、対象であるシエラに内容の意図が殆ど伝わらない仕様になっていたのは失敗なんじゃね?と思うんですが。シエラがそういう子だというのは、パパさんが一番誰よりも分かっていただろうに。まあ、わかっていてもそれに対応できるマニュアルを書けるかどうかは能力四次第であって……文筆力なかったんだろうな、うん。脳筋タイプの傭兵っぽかったもんな、うん。
とはいえ、本当に大事なことについては過不足なくちゃんと伝わっていて、それがシエルという少女の人生を決定づけ、運命の人と出会い道行きを同じくする一番重要な要となったのだから、なんか苦手そうなのに頑張って書いたっぽいノートは無駄ではなかったのでしょう、良かった良かった。

個人的にはアルナの方にもうちょっとシエラの人生を一変させるだけの存在感を見せて欲しかったかな、と。伝説の傭兵の娘であるシエラの、その能力に対して下心を持っていたのは全然構わないのだけれど、全体的にウジウジとした陰に籠もったところのある子でシエラの世話を焼くわりに面倒見が良いという印象もなく、もう一つ百合ヒロインとしての魅力に物足りなさを感じてしまった所があったので。
ここからもっと仲を深めていって、自身を輝かせていってほしいものです。


天才王子の赤字国家再生術 5~そうだ、売国しよう~ ★★★★☆   



【天才王子の赤字国家再生術 5~そうだ、売国しよう~】 鳥羽 徹/ファルまろ  GA文庫

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『やはり手を組むべきは、グリュエールだな、間違いない! 』
ミールタースでの騒動を機に、大いに知名度を上げたナトラ王国は、空前の好景気を迎えていた。
追い風に上機嫌なウェインにとって気がかりなのは、西側への玄関口として成長著しいマーデン領の存在。
国内のパワーバランスを調整するため、ウェインはグリュエール王が治めるソルジェスト王国と手を結び国全体を底上げすることを画策する。
折しもグリュエールからの招待を受け、意気込んで外交に向かうウェインだったが、
そこでは予想外の展開が待ち受けていた! 戦雲垂れ込める、弱小国家運営譚第五弾!

この作品、傑物怪物妖怪と呼ぶに相応しい国主、政治家、聖職者と幾人も登場してウェインの前に立ち塞がり、もしくは手を差し伸べてくるのだけれど……忘れていたわけじゃないけれど、主人公のウェイン王子こそがそんな人中の怪物の中でも屈指の化物なんだよなあ、というのを改めて思い知らされた感がある。人前で見せる理知的で切れ者な有能王子の顔も、プライベートでの剽げて戯けた間抜けな顔も、彼の一面でしかなく、その本質は……。
そして、その本質に気づき覗き込んだ者ほど、彼に惹かれてしまうんですよね。
今回、ウェインの前に立ちふさがるのは前巻で不穏な事をのたまっていたグリュエール王。完全にウェインにターゲティング決め込んでいただけに、すぐに戦争でも吹っ掛けてくるかと思ったのですがこの人そういう単純なバトルジャンキーなんかじゃなかったんですよね。ただの戦争屋ではなく、政治謀略外交戦略も含めて相手を陥れ、徹底的に弄ぶ万能の人なんですよね。この人、いろんな方面に圧倒的すぎるだろう。そりゃ、敵になれる相手がいなかったのもよくわかる。自分に抗し得る相手として、ウェインに目をつけたのはそれこそ目の付け所が際立っている、と言っていいのかもしれない。
ウェインからすると、大迷惑極まりないのだけれど、わざわざ自分の国に一度招いてから、というのがたち悪いですよね、これ。しかも、訪れて直接対面してみれば、どこからどう見ても名君ですし。そのくせ、大食感でブクブクに太りきった肉塊というキャラの濃さ。いや、ただ太っているだけならともかく、この人の場合「太っているにも関わらず」という冠がつくあれこれが多すぎるくらいなんだよなあ。その太っているという姿にも様々な意味が込められているし。そのうちの料理に関する件については、ウェイン完全敗北、完落ちアヘ顔ダブルピース状態だったじゃないですか、いやだもうw
宴で供される料理は外交交渉における最も偉大な武器の一つ、という事実をグリュエール王はまざまざと見せつけてくれたわけで。いや実際、この料理だけでこれまでも様々な外交交渉を有利にまとめてきた実績もあるんだろう、と思わせてくれるくらいのパーフェクトゲームでありました。
それ以上に、これまでの歴史や現状から見えているはずの国際情勢を全く無為にしてくる外交戦略が凄まじすぎたのですが。
そんでもって、相変わらずどう考えても詰んでるだろう、という状況から相手を根絶やしにする勢いで状況をひっくり返してしまうウェイン王子の得意技がまたも炸裂するわけである。
いや今回は特にすごかった。最近忘れられガチだけれど、このウェイン王子は真性の売国奴であるんですよね。国を売ることに、自分の立場を失うことに何らの忌避も抱いていない人間でなければ、絶対に繰り出せない策でありました。ってか、脅し方が勝利を後ろ盾に、じゃないどころか逆張りなのがもうとんでもねーんですよね。なにその発想。
「――俺はやるよ?」
このセリフに、ここまで凄絶さを、おぞましさをまとわせる主人公の化物っぷりよ。そう、こいつはヤるヤツなんだよ。
あれを目の前で見せつけられて、むしろ彼の眼鏡に適いたいと思うようになるゼノは見込みありますよ。或いは、アテられた、とも言えるのかも知れませんが。
そして、ウェインの才気以上の制御された狂気とも言える部分に今回もっともアテられたと言えるのがグリュエール王なのでしょう。いや、この展開は予想外だった。このグリュエール王、前回の様子からどう転んでも味方にはならず、ライバルか場合によってはラスボス級にウェインの前に立ち塞がりつづけるキャラクターになるかと思ったのですが……。うん、今後も決して味方とは言えないでしょうし仲間とも言えないでしょうけれど、絶対に信頼できないけれどこの上なく信用できる最大の同盟者……いや、この場合は共犯者と言うべきか、になってくれるんじゃないでしょうか。ウェインがその狂気を抱き続ける限り、この人は絶対に裏切らなさそう。裏切らなくても、常に試しいらんちょっかい掛けてきても、おかしくはなさそうでもあるのですけれど。
さてこれで、周辺国いつの間にかある程度掌握してしまった、ということになるのでしょうか。一旦どこかで整理したいくらいだけど。
次回は日常回という話ですが、さて「日常回とは!?」という内容にならなければよいのですが。わりと緩い話も多い作品なので、その危惧は杞憂でしょうけど。

シリーズ感想

聖剣学院の魔剣使い ★★★☆   



【聖剣学院の魔剣使い】 志瑞祐/遠坂 あさぎ  MF文庫J

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最強の魔王レオニスは、来たるべき決戦に備え自らの存在を封印した。だが、1000年の時を超えて目覚めたとき、彼はなんと10歳の少年の姿に戻っていた!「なんでだ!?」「君、どうしてここに閉じ込められていたの?もう大丈夫よ。お姉さんが守ってあげる」。“聖剣学院”に所属する美少女リーセリアに保護されたレオニスは、変わり果てた世界に愕然。未知なる敵“ヴォイド”、“第〇七戦術都市”、武器の形をとる異能の力―“聖剣”。聞き慣れない言葉に戸惑いつつも、彼は“聖剣学院”に入学することに。魔術の失われた未来世界で、最強魔王と美少女たちの織りなす聖剣と魔剣の学園ソード・ファンタジーが幕を開ける!
ショタだ! ショタだよ! あらすじちゃんと読まずに本編読んだので、主人公が10歳の男の子のままお姉さんたちに保護されておねショタがはじまったことにテンションがあがってしまったぜ、危ない危ない。
なるほど、期せずしての遭遇の場合、同世代よりも完全に見た目子供の方がヒロインたちとの関係も保護者ということで関係も結びやすいのか。
ただ、これが平時で舞台が学校ものだと年齢が違いすぎる、しかも発見されたのが子供だと、その後一緒にいることが難しくなるのだけれど、本作の場合人類種の生存をかけた殲滅戦争の戦時下で、聖剣学院なんて学校みたいな名前になっているけれど、その実態と来たらこれ決戦機動要塞都市、なんですよね。なので、たとえ10歳であろうと戦力として数えられるのなら容赦なく人員として編入されるという、考えようによったらかなり殺伐とした世界観なのである。
しかし、レオニスの生きていた(?)時代が魔法とファンタジーの世界なら、千年経って目覚めた世界は科学技術の発達したマブラブとかスターシップ・トゥルーパーズとか、いやこれだと【GOD EATER】みたいな感じか、そんな世界観なんですよね、これ。
そりゃ、魔王様もなんじゃこりゃー!? と、混乱しますわ。昨今、遥か悠久の時間を眠って過ごして目覚めた超常の存在が主人公、未来に置いても無双します、みたいな展開は珍しくもないのだけれど、何百年とか千年以上の時間を隔てているにも関わらず、あんまり文明レベルとしては変わってないケースが結構多い気がするんですよね。場合によっては衰退すらしている事もあるわけで。
そんな中で、完全に魔法から科学へと文明のルールそのものが変わって発展しているケースはあんまりみなかっただけに、それだけでも結構面白かったんですよね。
話の展開自体はオーソドックスかもしれませんが、エンタメ作品としてキャラも話の見せ方にも実が籠もってて、よく出来ているんですよね。志瑞さん、前作の【精霊使いの剣舞】は長期シリーズになりましたけれど、ちと味気ないパサパサした感覚があったのですけれど、【ゼロの使い魔】のエンディングまでを代筆されたあとのこの新作シリーズ、全体にじんわりと味が染みたようなコクが出てて、一皮剥けたような妙味があったんですよね。これは、ちょいといい感じに跳ねそうな感触がありますぞ。
なによりも、おねショタはいいものであります、あります。レオニスくん、10歳なので君づけしてしまいますが、傍目には物腰丁寧で言葉遣いも穏やかな感じのいい子になってて、お姉さま受けしそうな子なんですよね。実際可愛い、うん主人公なんだけど、内心はちゃんと沈着冷静な魔王にして元勇者なんて経歴の青年なんだけれど、ちゃんと小さな男の子らしくしてるのはいいですよ、可愛いですよ。
そして、魔王時代から付き従っていた魔狼の王子と暗殺者のメイドがある意味レオくんよりも速攻で現代に馴染んでて、イイ性格してるのがツボでした。特にメイドのシャーリー。この子かなり愉快だぞw


志瑞祐作品感想

信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 2.災害指定の転生少女 ★★★☆   



【信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 2.災害指定の転生少女】 大崎アイル/Tam-U  オーバーラップ文庫

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クラスメイトと共に異世界転移したゲーム中毒者(ジャンキー)の高校生・高月マコト。
巨神が封印されたダンジョンをクリアしたマコトは、女神ノアの神命で大陸最大のダンジョン・大迷宮ラビュリントスに潜入する。首尾よく大迷宮を攻略するマコトだが、突如現れたドラゴンに追われ、危険地帯の迷宮中層へ落下してしまい!?
殺到する魔物の群れに苦戦するマコト。さらに危険度・災害指定級の蛇女(ラミア)の出現で窮地に立たされるが――
「た、高月……くん……?」
蛇女(ラミア)の正体がクラスメイトの佐々木アヤと判明したことで事態は急転し――!?
クラスメイト最弱がマイナー女神と最強へ至る異世界攻略ファンタジー、第2巻!
さーさんこと佐々木アヤ。一巻で異世界転移した際に他のクラスメイトと違って行方不明になってしまってたんですよね。メインヒロインの一人っぽい雰囲気を醸し出していたのに、ほんとにキッパリ音沙汰なくなってしまったものだから割と本気で心配していたのだけれど、こうしてちゃんと再登場してくれてよかった。
適当に違う所に飛ばされた、くらいにしか思っていなかったのが想像を絶するハードモードだったのが驚きでしたが。ただモンスターのラミアに転生してしまっていた、だけなら良かったのですけれど、そのラミアに転生してからがかなり酷い展開に巻き込まれてしまってるんですよね。話を聞いたマコトが、てっきり自分が異世界に飛ばされてから最低クラスの境遇に見舞われていたと思ってたのに、さーさんの方がよっぽどひどい目にあってたじゃないか、とショックを受けてたのが印象的でした。
意外と、さーさんの方はラミアに転生してしまったこと自体にはケロッとしてるっぽかったんですけどね。ラミアの母親や姉妹たちがみんな愛情深い本物の家族として過ごせたから、というのも大きいのでしょうけれど。
あんまり境遇自体は気にしていないの、マコトとよく似てるんですよね。引きずらないというか、負の感情を拗らせない、というあたりが。さーさんの場合は復讐心をがっつりと溜め込んではいるものの、そのマイナスが普段の自分に影響を及ぼしていないっぽいのが、割り切ってるなーと感心するところなのです。
まー、結構モンスターとして生まれ変わって、性格変わっているところもあるみたいですけれど。性格というよりも、価値観とか倫理観というべきか。あのグイグイいく性格は元からみたいですしねえ。
中学生の女の子が、ほいほいとゲームオタの男の子の家に乗り込んでくるとか、結構とんでもない行動力っですよ? ただのゲーム友達かと思ってたら、マコトと彼女相当に深い仲じゃないですか。いや、深いというと勘違いしてしまうかもしれませんけど、普段から家に招いて一緒にゲームして遊んでる、それも中学生の頃から高校に至った今でもずっと、とかなかなか簡単な仲じゃないですからね。それも、グループで遊んでたのじゃなくて、二人でですからねえ。
どう見てもメインヒロインです。ルーシーが危機感抱くのも無理ないよなあ、これ。詳しい事情知らなくても、ただならぬ仲なのは見てりゃわかるし、さーさん隠しもしてないし。
まあ、ルーシーの方もこれまでの命がけの付き合いからして、こっちも簡単な仲じゃないのはさーさんも丸わかりでしょうし。それに、ルーシーがいい子すぎるんですよね。あれだけバリバリにさーさんの事ライバルとして警戒していながら、その境遇には本心から共感してくれて親身になってくれるんですから、そりゃ嫌いにとか距離をおいて、とかできんですって。というわけで、鞘当しながら同時に仲良くなっていく、という複雑な行程を踏んでいく二人なのでありました。

ふじやんも、なんかニナさんだけじゃなくて、王女さまからも粉かけられているみたいで、あっちも良い雰囲気になってるみたいで。彼は彼でほんとに良いやつで、ニナさんもいい子なのであちらも上手くいってほしいものです。光の勇者なるものになっていた桜井くんも、なんか想像以上にいいヤツだったなあ。性格がいいだけじゃなくて、他人から評価されづらいマコトのことをちゃんと理解して、信頼してくれてる言動だったんですよね。実際ステータスは低いし色眼鏡で見られるのも仕方ないマコトに、ああいう期待と信頼を向けてくれるというのはそれだけちゃんと相手のことを見てるということですからね。なんか、男友達がこういう性格も良くて信頼できる相手である事が多い、というのは嬉しくなるものです。女神ノアさまのちゃぶ台返しに付き合うとなると、他の神様とは険悪なことになりそうなだけに、桜井くんとはどうなるかわからないのですけれど、この様子だと問答無用で敵対、ということにはならなさそうでその点はちょっと安心かも。
各国の王族連中も一筋縄ではいかないみたいですし、ノアさまって今の所邪神とか言われてるけれど、すでに終わったその他大勢の有象無象の一人、みたいなもんなので、今の敵との相手に忙しいだろう現行の神様たちがどう反応するのか。王族連中も問答無用で、とはならないだろうし。今回は水の巫女さまも歩み寄ってきたわけですし。
というか、あそこでマコトがあんなに怒るとは思わなかった。今まで結構酷い扱いを受けながらもキレたりせずに飲み込んでいた温厚な主人公だっただけに、びっくりはしたけれど、あれだけ理不尽な目に合わしておきながら、それを覚えてすらなくて今の頑張って努力して昇華させた力だけ見てすり寄って来られたら、そりゃ怒るべきですよね。怒るべき所でちゃんと怒るこの子は、その意味でもとてもまっとうな子なのでしょう。ほんと、いい子なんで応援したくなりますわー。

1巻感想

幼なじみが絶対に負けないラブコメ 2 ★★★☆   



【幼なじみが絶対に負けないラブコメ 2】 二丸 修一/しぐれうい  電撃文庫

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幼なじみはやっぱり負けない!? まだまだ続く予測不能なヒロインレース!

幼なじみの黒羽に告白し、見事玉砕した俺。死にたい。フラれるってこんなに辛かったのか……っていうか、あそこまでいったら普通OKするだろ! 笑顔で「ヤダ!」ってなんだよ! マジで女子の気持ちわかんねー。でもまてよ、白草は俺のことが好きなんだよな……今ならイケる……?のか……いやいやいや、ダメでしょ。もしまたフラれたらと思うと怖すぎるし。
そんなモヤモヤ爆発の俺のもとに、子役時代の後輩にして理想の妹、桃坂真理愛が襲来! 玄関開けたら1秒で「おかえりなさいお兄ちゃん!!」っていったいどこのラブコメだよ!?
末晴に芸能界復帰の話が持ち上がり、ヒロインたちの思惑が交差する、先の読めないヒロインレース第2弾!

まさかの記憶喪失によって、シッチャカメッチャカになってしまった末晴との関係を一旦リセットしようとする黒羽に、そんな強引ででたらめな話が通じるはずないだろうがーー! と思ったら通じたよ、末晴信じちゃったよ!
うん、そうだよね。そういえば、こいつこの主人公、バカだった。びっくりするくらいバカだった。
さすが黒羽、幼馴染のことよく分かってる。他の人には絶対に信じてもらえないだろう、一連のドタバタ全部忘れちゃいました、なんて話を臆面もなく堂々と押し切る面の皮が厚さたるや。
これで、ほんとに告白を思わずバッサリ公衆の面前でぶった切ってしまった、という大失態をなかった事にしてしまったんだから、大したものである。実際、末晴ってば完全にあれがトラウマになっててクロに対してまともに受け答えできないどころか、野生化してしまうほど精神的外傷を負ってしまっていて、正直あそこから二人の関係取り返すこと難しいというところまでいってましたからね。だいたい、あそこまでキッパリ振っておきながら、やっぱりなし、ほんとは好き、とか出来るわけないじゃん、という意味でももう取り返しつかない状態だったのをなんとかゼロベースまで戻してしまったのですから、よくぞまあ。
それに比べて、シロの方ですよ。いやあんた、あそこまで圧倒的な優位を得ていながらどうして巻き返せなかったw いやまあ、あれ何気にシロもばっさり振られてる場面だったわけで、それ以上に末晴がひどい振られ方したのであんまり目立ってなかったですけれど、好きだったと過去形にされてしまったんですから、まあきっついことはきついのですけれど、でもほんのちょっと前までは自分のこと好きだったのは確かですし、ほんといいところまでは行ってたんですから、巻き返しには十分だったんですよね。
実際、あれ言い間違いにせずに、付き合ってください発言そのまま押し切ってたらそこでゴールテープ切れてたんじゃないか?
ところが、シロってば自分の脚本で末晴に演じてもらうという夢を目先で人参よろしく釣られて、それに夢中になってしまったおかげで、いつの間にか圧倒的アドバンテージを失ってしまっていることに。シロ自身、気づいてないっぽいし。これ、クロが負ける気しねえ、と言ってるのもわかる気がする。この娘、相手に意味深に捉えられている間はいいけれど、真正面から向き合うとどうしてもポンコツで足元が定まらない子だ。肝心の部分を見逃してしまう子だ。
その意味では、目的を達成するためには手段を問わない、という以前にどう転んでも目的を達成する道筋を立ててしまっている「理想の妹」こと桃坂真理愛の方がヤバそう。ただ彼女の場合まだ演者・末晴に執着はあっても男の子としての彼にはまだそれほど意識を持っていかれていないこと。末晴の方がまったく真理愛の事を異性として意識していない、という点が大きなハードルとして横たわっている。のだけれど、そういう異性への意識というのがあっさりとひっくり返ってしまうというのはすでに一巻で末晴自身が証明してしまっているのだから、ハードルではあっても壁ではないんだよなあ。

とはいえ、本作この第2巻。序盤早々からら話が末晴の芸能界復帰問題の方へと比重が傾き、彼ら若人が青春をどう過ごすか、みたいな話になっていくんですよね。ラブコメはどうした!?
いや、青春劇が繰り広げられるのはいいんですけれど、ちょっと方向転換しすぎじゃないですかね? ラブコメはどうした!?
クロがやらかしてしまった分、それを一旦リセットして人間関係整理しなおさないとラブコメ再開できない、というのもあって、この2巻はそのための仕切り直しの回、とも取れるのですけれど、さすがにあのCM勝負の話は記憶喪失以上に強引だったんじゃないでしょうか。いや、なんでそうなるの?という感覚でしたし。
そして、一巻での最大の見どころだった、幼馴染同士でのあの駆け引き。心理戦というべきか、あの末晴もクロもシロも全員がむき出しにしていた、人間としての醜さ、卑小さ、器の小ささ、人としてちっちゃすぎるという暗黒面の拗らせっぷりが、今回は殆ど見受けられなかったんですよね。
あのエゴむき出しのぶつかり合いがとてつもなく面白くて、あの人間のちっちゃさが彼らをとても愛しく感じさせてくれるコメディ要素だったのですが、そういう心の引っ張り合いがあんまり見られなくて個人的には盛り上がりにかけてしまったのでした。あの芸能事務所の社長のろくでなしさは、笑いどころも可愛げもないただのゲスでしかなかったですし。
次回こそは、仕切り直しも済んだところでもう一回ちゃんとラブコメを見せてほしいなあ、というところでした。

1巻感想

戦国昼寝姫、いざ参らぬ ★★★★   



【戦国昼寝姫、いざ参らぬ】 尼野 ゆたか/鈴ノ助  富士見L文庫

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時は乱世。昼寝を愛する公家の娘・鴻子へ、正室として嫁ぐように若殿・次郎左から声が掛かる。
「面倒だけど、ゴロゴロしていれば離縁だろう」と考えていたところ、次郎左から「我が右腕になってくれ」と命じられ、ぶったまげる鴻子。しかし、ふかふかの寝台の誘惑に、つい頷いてしまう。武家屋敷の生活では、家臣には馬鹿にされ、馬に乗れば筋肉痛で、正室としてもギクシャク。無謀にみえる嫁と軍師の二つの顔だが、実は彼女には秘策があった―?気楽に昼寝ができる世を目指し、ぐうたら戦国時代を駆け抜けろ!
これは面白い。ときは戦国。異世界ではなく、ちゃんと日本の戦国時代なのですが、主人公の鴻子の実家の公家・鷹峯家や次郎左の音浜家。地元の冬松や家臣たちも架空の人物なんですね。でも、彼らの主家は三好筑前守長慶という畿内を一時実効支配した戦国大名。冬松という架空の土地も、同じく隣地に飯丹という土地が出てくるのですがこれどう見ても伊丹なので、その近隣というと尼崎あたりのことかしら、と思って調べたら尼崎市と伊丹市の境あたりを作中でも語られている飯丹街道ならぬ伊丹街道が走ってて、富松城なる城跡があり、ここを三好長慶の勢力が押さえていた、とあるのでおそらくここがモデルで間違いないのでしょう。
というわけで、大きな大名家の話ではなく小さな小さな地方領主の物語なんですよね。いや、もうちょっと大きい土地なのかと思ってたんだけど、ほんとに小さかった。そんでもって、主君の音浜次郎左衛門は土着の国衆ではなく、三好家から派遣されてきた落下傘君主であるものだから、元の滅んだ旧主の配下だった地侍たちと、次郎左に三好家がつけてくれた家臣たちの間で微妙な軋轢があったりするわけです。しかも、次郎左衛門もどうも小姓からの出世者らしくて自分の家の郎党がいるわけでもなく、三好家からついてきてくれた家臣たちも腹心、というわけではないんですよね。彼らは、音浜家の家臣ではなく厳密に言うと三好家の家臣なわけだ。
これが、鴻子を股肱の臣として求めた最大の理由だったのではないかと。鴻子を正室として娶りながら、彼女に男装させて福田大炊介弘茂と名乗らせて仕えさせるわけである。おかげで、姫様正室と側近の二役を務めなくてはならなくなったので、全然昼寝できない羽目に。
でも、やれと言われてやるのではなくて、南蛮から取り寄せた西洋式ベッドを餌にされたり、次郎左自らが風呂焚きした風呂を褒美代わりに、とか結構次郎左ってば手を変え品を変え姫様のこと持て成しているというか、手ずから釣り上げているというか、自分の嫁さんに手をかけ労っているんですよね。
良い心がけである、と姫様も思ったのかどうなのか、結構マメに姫様働くのである。実際、姫様は過去に色々とあって智慧を絞ってあれやこれやと策を練り、人を動かすのが好きなんですよね。ぐーたら昼寝するのも、風呂でじわじわ疲れを癒やすのも好きなのですが、なんだかんだと動き回るのも好きなのじゃないかと。活発なのか引きこもりなのかよくわからない人なのです。いずれにしても、公家の姫様としては規格外なのでしょうけれど。
こうして鴻姫様こと福田大炊介は主君音浜次郎左衛門の肝いりの臣下として参画するのですが、決して天才軍師とか名宰相というような目覚ましい働きをするわけじゃないんですよ。そりゃそうです、ここは本当に小さな土地でやれることにも限界があるし、そもそも姫様はチートな能力を持っているわけでもない。ただ、小さくでも出来る範囲で自分のできることをやってみせることで、どこか行き詰まっていた現状に、家臣同士の関係に変化をもたらし、次郎左にも主君としての自覚を促していくのである。
実際、隣地の伊丹氏、じゃなかった飯丹勢と合戦になるのですが、そこでも姫様は将として参加するものの、戦術自体は結構堅くて決して奇抜な奇策で大軍を蹴散らして、みたいなことにはならず、ある意味すごく戦国時代的な立ち回りで危機を脱するのがまたいいんですよなあ。
ほんと決して派手ではなく地味とすら言える立ち回りが、むしろ堅実に戦国時代を描写していてこれがすこぶる面白いんですよね。何年か前にやっていた大河ドラマ「おんな城主直虎」を思い出してしまいました。あれも、戦国大名のせめぎ合う狭間で生き残りを図る小さな領地の国衆の生き様が舞台でしたもんねえ。
何だかんだと、冬松勢の幹部である武将たち、みんな一癖あるものの優秀なんですよ。微妙な軋轢があった、というもののこれが微妙な軋轢で済んでいた、というのが彼らの分別を物語っていて胸襟を開けて打ち解けてみると、みんな物の通りがわかる信頼できる人物ばかりだったんですよね。これ、姫様以上に次郎左にとっての幸いなんだよなあ。自分の一族郎党がいない次郎左は本来もっと孤立しててもおかしくないのですけれど、三好家から派遣された者たちも元からこの土地の侍だったものたちもちゃんと次郎左を主君としてもり立てていく気概を持っていてくれたのですから。それをうまいこと繋いで表に引っ張り出してみせたことこそ、姫様の功績だったのでしょうけれど。
これ、今の所姫様正体隠して臣下たちと付き合っているけれど、ある程度以上実績積んで信頼を得たらいつまでも正体隠しているつもりが姫様にも次郎左にもないので、これ話が続いたら正体バレのときが実に楽しみだったりする。
なんで次郎左が昼寝姫を正室として求め、何より自分の右腕として求めたのか、については姫様が気づいていないけれど、さらっと語られはするんですよね。ただ、もう少し彼が姫様に惚れ込んだ話については掘り下げた描写があってほしかったかも。
でも、姫様が主さまのことを次郎左次郎左と呼び捨てにする距離感の近さとか、働いた姫様を次郎左がせっせと風呂炊いて世話しているあたりが、まだちゃんとした夫婦生活送ってないのだけれど、いい雰囲気醸し出してるのであります。特に風呂入っているときのくつろいだ会話なんかは、姫様も次郎左のこと結構気に入ってるよなあ、というのが伝わってきてニマニマさせられたり。
ラストの猫将軍のくだりはほんと吹いた。次郎左、ちょっと可愛すぎないですか? それを目撃してしまった監物と木工助の反応が主君への親愛にあふれていて、あれは実によい幕引きでありました。
これは、姫様の正体バレも含めて色々と先が楽しみすぎるので、シリーズ続いてほしいなあ。
 

8月19日

三田誠
(TYPE-MOON BOOKS)
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久住太陽/杉浦理史
(ヤングジャンプコミックス)
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サンカクヘッド
(ヤングジャンプコミックス)
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ふなつかずき
(ヤングジャンプコミックス)
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紙魚丸
(ヤングジャンプコミックス)
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千田浩之
(ヤングジャンプコミックス)
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 【銀河英雄伝説 24】 田中芳樹/藤崎竜(ヤングジャンプコミックス) Amazon Kindle B☆W


二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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三都 慎司
(ヤングジャンプコミックス)
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こうじ/鳴瀬 ひろふみ
(ヤングジャンプコミックス)
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サイトウケンジ/波多ヒロ
(チャンピオンREDコミックス)
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野上武志
(チャンピオンREDコミックス)
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limlim
(ヤンマガKCスペシャル)
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高田裕三
(ヤンマガKCスペシャル)
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千田大輔
(ヤンマガKCスペシャル)
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戸崎映
(ヤンマガKCスペシャル)
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佐竹幸典
(ヤンマガKCスペシャル)
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えのあきら
(サンデーGXコミックス)
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宮下裕樹/夏原武
(サンデーGXコミックス)
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飯沼ゆうき
(サンデーGXコミックス)
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クリスタルな洋介
(サンデーGXコミックス)
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結月さくら
(サンデーGXコミックス)
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高遠るい
(ニチブン・コミックス)
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8月18日

裕夢
(ガガガ文庫)
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立川浦々
(ガガガ文庫)
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八目 迷
(ガガガ文庫)
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吉野 憂
(ガガガ文庫)
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澱介エイド
(ガガガ文庫)
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玉兎
(アース・スターノベル)
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十夜
(アース・スターノベル)
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九頭七尾
(アース・スターノベル)
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風楼
(アース・スターノベル)
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田中モトユキ
(少年サンデーコミックス)
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福井セイ
(少年サンデーコミックス)
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福地翼
(少年サンデーコミックス)
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ねこぐち
(少年サンデーコミックス)
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8月17日

西尾維新/大暮維人
(KCデラックス)
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西尾維新/大暮維人
(KCデラックス)
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古川五勢
(KCデラックス)
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曽田正人/冨山玖呂
(KCデラックス)
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村枝賢一/石ノ森章太郎
(KCデラックス)
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多喜れい
(マガジンエッジKC)
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月野和青
(マガジンエッジKC)
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志水アキ/京極夏彦
(マガジンエッジKC)
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ロケット商会
(電撃の新文芸)
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RYOMA
(電撃の新文芸)
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左リュウ
(電撃の新文芸)
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高野ケイ
(電撃の新文芸)
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結城涼
(電撃の新文芸)
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夏海公司
(ハヤカワ文庫JA)
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山口優
(ハヤカワ文庫JA)
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8月16日

飯田せりこ/古流望
(コロナ・コミックス)
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秋咲りお/三木なずな
(コロナ・コミックス)
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すがはら竜/二宮敦人
(コロナ・コミックス)
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苫ゆぎまる/木口なん
(コロナ・コミックス)
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8月12日

このえ/田口ケンジ
(サンデーうぇぶりSSC)
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堂本裕貴
(サンデーうぇぶりSSC)
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ヨウハ/SCRAP
(サンデーうぇぶりSSC)
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浅井蓮次/沢田新
(ビッグ コミックス)
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朝比奈希夜/榊空也
(ビッグ コミックス)
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田井ノエル/カズアキ
(ビッグ コミックス)
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宮野美嘉/碧風羽
(ビッグ コミックス)
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Y.A/すざく
(ビッグ コミックス)
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大井昌和
(夜サンデーSSC)
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大井昌和/いのまる
(夜サンデーSSC)
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8月11日

千羽十訊
(GA文庫)
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kimimaro
(GA文庫)
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完菜
(GA文庫)
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ゆいレギナ
(GA文庫)
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えぞぎんぎつね
(GA文庫)
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森田季節
(GAノベル)
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8月10日

支倉凍砂
(電撃文庫)
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伏見つかさ
(電撃文庫)
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七菜なな
(電撃文庫)
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榛名千紘
(電撃文庫)
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佐島 勤
(電撃文庫)
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岬 鷺宮
(電撃文庫)
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蒼井祐人
(電撃文庫)
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杉井 光
(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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雪仁
(電撃文庫)
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鏡銀鉢
(電撃文庫)
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新 八角
(電撃文庫)
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依空 まつり
(カドカワBOOKS)
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しののめすぴこ
(カドカワBOOKS)
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あるくひと
(カドカワBOOKS)
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可換 環
(カドカワBOOKS)
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犬魔人
(カドカワBOOKS)
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リュート
(カドカワBOOKS)
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夕蜜柑
(カドカワBOOKS)
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猫神信仰研究会
(サーガフォレスト)
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香月美夜
(TOブックス)
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古流望
(TOブックス)
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早瀬黒絵
(TOブックス)
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ダイヤモンド
(TOブックス)
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阿井りいあ
(TOブックス)
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乙野四方字
(ハヤカワ文庫JA)
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西尾維新
(講談社文庫)
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九井諒子
(ハルタコミックス)
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青木潤太朗/森山慎
(単行本コミックス)
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月夜涙/長尾件
(角川コミックス・エース)
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たかた/吉野宗助
(角川コミックス・エース)
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岡沢六十四/倉橋ユウス
(角川コミックス・エース)
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雪仁/かがちさく
(角川コミックス・エース)
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studio HEADLINE
(角川コミックス・エース)
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かたやままこと
(角川コミックス・エース)
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さわむらリョウ
(角川コミックス・エース)
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島本和彦
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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七尾ナナキ
(裏少年サンデーコミックス)
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武者サブ
(裏少年サンデーコミックス)
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丸戸史明/武者サブ
(裏少年サンデーコミックス)
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朝倉亮介
(ガンガンコミックス)
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新木伸/岸田こあら
(ガンガンコミックス)
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日之影ソラ/明日かかん
(ガンガンコミックス)
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天野ハザマ/月島さと
(ガンガンコミックスONLINE)
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椿いづみ
(ガンガンコミックスONLINE)
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丸美甘
(ガンガンコミックスONLINE)
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わるいおとこ/彭傑&奈栩
(ガンガンコミックスUP!)
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浜田よしかづ
(アクションコミックス)
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Magica Quartet/富士フジノ
(まんがタイムKRコミックス)
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牛木義隆
(まんがタイムKRコミックス)
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一七八ハチ
(ハルタコミックス)
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namo
(ハルタコミックス)
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宮本伶美
(ハルタコミックス)
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大上明久利
(ハルタコミックス)
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竹澤香介
(アース・スター コミックス)
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目黒三吉/一色孝太郎
(アース・スター コミックス)
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幾夜大黒堂/天然水珈琲
(アース・スター コミックス)
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鉄田猿児/ハム男
(アース・スター コミックス)
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咲良/ちょきんぎょ。
(アース・スター コミックス)
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深山じお/花波薫歩
(アース・スター コミックス)
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木虎こん/みわかず
(アース・スター コミックス)
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8月9日

佐藤ショウジ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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石田彩/CK
(ドラゴンコミックスエイジ)
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つむみ/愛七ひろ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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いつむ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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奇仙
(ドラゴンコミックスエイジ)
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Bcoca/保住圭
(ドラゴンコミックスエイジ)
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山口ミコト/D.P
(ドラゴンコミックスエイジ)
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三簾真也
(KCデラックス)
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門司雪/アルト
(KCデラックス)
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原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
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石沢庸介/謙虚なサークル
(KCデラックス)
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シンジョウタクヤ
(KCデラックス)
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井上菜摘/未来人A
(KCデラックス)
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大前貴史/明鏡シスイ
(KCデラックス)
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外ノ/秋
(KCデラックス)
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筒井テツ/菅原こゆび
(モーニングKC)
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井上まち
(モーニングKC)
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白井三二朗
(モーニングKC)
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栗田あぐり
(モーニングKC)
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カワグチタケシ
(講談社コミックス)
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中村なん
(講談社コミックス)
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ナナシ
(講談社コミックス)
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西岡知三/鏑木カヅキ
(BLADEコミックス)
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穂高歩/しゅうきち
(BLADEコミックス)
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朱子すず/日之影ソラ
(BLADEコミックス)
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8月8日

中島豊
(シリウスKC)
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冬葉つがる
(シリウスKC)
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モトエ恵介/FUNA
(シリウスKC)
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加古山寿/朱月十話
(シリウスKC)
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町田とし子
(シリウスKC)
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タイジロウ/青山有
(シリウスKC)
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蒼井万里
(ワイドKC)
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品佳直/カルロ・ゼン
(バンチコミックス)
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たかとうすずのすけ/花果唯
(メテオCOMICS)
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ねこ末端
(メテオCOMICS)
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水崎弘明
(メテオCOMICS)
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8月5日

しげ・フォン・ニーダーサイタマ
(ドラゴンノベルス)
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藤浪 保
(ドラゴンノベルス)
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かずなし のなめ
(ドラゴンノベルス)
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音無砂月
(PASH!ブックス)
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月夜乃古狸
(PASH!ブックス)
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下城米雪
(PASH!ブックス)
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櫓刃鉄火
(アフタヌーンKC)
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井上堅二/吉岡公威
(アフタヌーンKC)
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吉岡公威
(アフタヌーンKC)
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イシイ渡
(アフタヌーンKC)
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新井春巻
(ヤンマガKCスペシャル)
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山田恵庸
(ヤンマガKCスペシャル)
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藤本ケンシ/井出圭亮
(ヤンマガKCスペシャル)
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植野メグル
(ヤンマガKCスペシャル)
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南勝久
(ヤンマガKCスペシャル)
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筧千里/堂島ノリオ
(ガンガンコミックスUP!)
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秋澤えで/桐野壱
(ガンガンコミックスUP!)
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ふか田さめたろう/ニシカワ醇
(ガンガンコミックスUP!)
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quiet/ムロコウイチ
(ガンガンコミックスUP!)
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こおりあめ/ひだかなみ
(フロース コミック)
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杉町のこ/柚原テイル
(フロース コミック)
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RINO/YUNSUL
(フロース コミック)
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鳥生ちのり/なまくら
(フロース コミック)
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SUOL/ Gwon Gyeoeul
(フロース コミック)
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8月4日

西出ケンゴロー
(角川コミックス・エース)
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芥見下々
(ジャンプコミックス)
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内藤泰弘
(ジャンプコミックス)
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尾田栄一郎
(ジャンプコミックス)
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Boichi/石山諒
(ジャンプコミックス)
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Boichi/石山諒
(ジャンプコミックス)
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鈴木祐斗
(ジャンプコミックス)
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三浦糀
(ジャンプコミックス)
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末永裕樹/馬上鷹将
(ジャンプコミックス)
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神海英雄
(ジャンプコミックス)
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附田祐斗/佐伯俊
(ジャンプコミックス)
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松井優征
(ジャンプコミックス)
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賀来ゆうじ
(ジャンプコミックス)
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近藤憲一
(ジャンプコミックス)
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天野明
(ジャンプコミックス)
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龍幸伸
(ジャンプコミックス)
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かっぴー/nifuni
(ジャンプコミックス)
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高口楊
(ジャンプコミックス)
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静脈/依田瑞稀
(ジャンプコミックス)
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河本ほむら/羽田豊隆
(ジャンプコミックス)
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鳥山明/とよたろう
(ジャンプコミックス)
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篠原健太
(ジャンプコミックス)
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ちると
(ジャンプコミックス)
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8月2日

裕時 悠示
(講談社ラノベ文庫)
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歩く魚
(講談社ラノベ文庫)
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FUNA
(Kラノベブックス)
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FUNA
(Kラノベブックス)
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鬱沢色素
(Kラノベブックスf)
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琴子
(Kラノベブックスf)
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水仙あきら
(Kラノベブックスf)
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8月1日

逆木ルミヲ/恵ノ島すず
(B’s-LOG COMICS)
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比村奇石
(プレミアムKC)
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比村奇石
(ヤンマガKCスペシャル)
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森小太郎
(HJコミックス)
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あび/上村夏樹
(HJコミックス)
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佐々木マサヒト/綿涙粉緒
(HJコミックス)
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文ノ梛/水城正太郎
(HJコミックス)
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羊思尚生
(HJ文庫)
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軽井広
(HJ文庫)
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農民ヤズー
(HJ文庫)
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叶田キズ
(HJ文庫)
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おけまる
(HJ文庫)
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ハヤケン
(HJ文庫)
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北山結莉
(HJ文庫)
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北山結莉
(HJ文庫)
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7月29日

雲雀湯
(角川スニーカー文庫)
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燦々SUN
(角川スニーカー文庫)
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斎藤ニコ
(角川スニーカー文庫)
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たかた
(角川スニーカー文庫)
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はむばね
(角川スニーカー文庫)
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月夜涙
(角川スニーカー文庫)
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日向夏
(ヒーロー文庫)
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百黒 雅
(エンターブレイン)
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木の芽
(エンターブレイン)
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矢御 あやせ
(エンターブレイン)
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日之影 ソラ
(エンターブレイン)
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gulu
(エンターブレイン)
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小鳥屋エム
(エンターブレイン)
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櫂末高彰
(ファミ通文庫)
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棚架ユウ
(GCノベルズ)
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ジャジャ丸
(GCノベルズ)
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小鈴危一
(モンスター文庫)
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どまどま
(モンスター文庫)
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水月穹
(Mノベルス)
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ふつうのにーちゃん
(Mノベルス)
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赤金武蔵
(Mノベルス)
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つたの葉/Project シンフォギアXV
(バンブーコミックス)
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藤川よつ葉/あづま笙子
(バンブーコミックス)
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ミト
(バンブーコミックス)
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つくしあきひと
(バンブーコミックス)
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佐藤夕子/三嶋イソ
(バンブーコミックス)
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重野なおき
(バンブーコミックス)
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鳴見なる
(バンブーコミックス)
Amazon


さぬいゆう/伊丹澄一
(バンブーコミックス)
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重野なおき
(ヤングアニマルコミックス)
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7月28日

SASAYUKi/リュート
(ライドコミックス)
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一花ハナ/龍央
(ライドコミックス)
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7月27日

英貴
(REXコミックス)
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フライ/竹岡葉月
(REXコミックス)
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中田ゆみ
(REXコミックス)
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久慈 マサムネ/Mika Pikazo(REXコミックス) Amazon


空地大乃/黒山メッキ
(REXコミックス)
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長野文三郎/結城心一
(REXコミックス)
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上海散爆網絡科技有限公司/Ling
(REXコミックス)
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あずまあや
(電撃コミックスEX)
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五十嵐正邦
(電撃コミックスNEXT)
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秋奈つかこ/鴨志田一
(電撃コミックスNEXT)
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みなみ/逆井卓馬
(電撃コミックスNEXT)
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〇線(まるせん)
(電撃コミックスNEXT)
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リーフィ
(電撃コミックスNEXT)
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藤松盟
(電撃コミックスNEXT)
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加藤陽一/スメラギ
(電撃コミックスNEXT)
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ノッツ
(電撃コミックスNEXT)
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野人/小林嵩人
(電撃コミックスNEXT)
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松風水蓮/彩峰舞人
(電撃コミックスNEXT)
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戦上まい子
(電撃コミックスNEXT)
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夏川そぞろ/御鷹穂積
(電撃コミックスNEXT)
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隆原ヒロタ/青山有
(電撃コミックスNEXT)
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ちくわ。
(電撃コミックスNEXT)
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宇崎うそ
(まんがタイムKRコミックス)
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かきふらい
(まんがタイムKRコミックス)
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みくるん
(まんがタイムKRコミックス)
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むらさき*
(まんがタイムKRコミックス)
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カヅホ
(まんがタイムKRコミックス)
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7月26日

円城 塔
(ジャンプジェイブックス)
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TYPE-MOON(TYPE-MOON BOOKS)
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TYPE-MOON
(TYPE-MOON BOOKS)
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東條チカ/カルロ・ゼン
(角川コミックス・エース)
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池野雅博/ざっぽん
(角川コミックス・エース)
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東大路 ムツキ/ざっぽん
(角川コミックス・エース)
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植野メグル
(角川コミックス・エース)
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草下シンヤ/マルヤマ
(角川コミックス・エース)
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そと/冬原パトラ
(角川コミックス・エース)
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kanco/坂石遊作
(角川コミックス・エース)
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内田健/鈴羅木かりん
(角川コミックス・エース)
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矢野トシノリ
(角川コミックス・エース)
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高木秀栄/矢立肇
(角川コミックス・エース)
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浅川 圭司/花黒子
(角川コミックス・エース)
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7月25日

おがきちか
(ZERO-SUMコミックス)
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おがきちか
(ZERO-SUMコミックス)
Amazon


サワノアキラ/秤猿鬼
(ガルドコミックス)
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合鴨ひろゆき/赤井まつり
(ガルドコミックス)
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蒼和伸/篠崎冬馬
(ガルドコミックス)
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かせい/猫子
(ガルドコミックス)
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長頼/シゲ
(ガルドコミックス)
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ばう/小野崎えいじ
(ガルドコミックス)
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七浦なりな/桜あげは
(ガルドコミックス)
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藤谷一帆/瀬尾優梨
(ガルドコミックス)
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くずしろ
(ヤングガンガンコミックス)
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山崎夏軌
(ヤングガンガンコミックス)
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水城水城/Ko-dai
(ヤングガンガンコミックス)
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実倉なる
(ヤングガンガンコミックス)
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星河だんぱ
(ヤングガンガンコミックス)
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鮭no.マリネ/日本サぱ協会
(ヤングガンガンコミックス)
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咲竹ちひろ
(ビッグガンガンコミックス)
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Schuld
(オーバーラップ文庫)
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どぜう丸
(オーバーラップ文庫)
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みわもひ
(オーバーラップ文庫)
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甘木智彬
(オーバーラップ文庫)
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常陸之介寛浩
(オーバーラップ文庫)
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岸本和葉
(オーバーラップ文庫)
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鬼ノ城ミヤ
(オーバーラップノベルス)
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シゲ
(オーバーラップノベルス)
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上野夕陽
(オーバーラップノベルス)
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桜あげは
(オーバーラップノベルスf)
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日之影ソラ
(オーバーラップノベルスf)
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涼暮 皐
(MF文庫J)
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森林 梢
(MF文庫J)
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城崎/かいりきベア
(MF文庫J)
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マリパラ
(MF文庫J)
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壱日千次/Plott、biki
(MF文庫J)
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久追遥希
(MF文庫J)
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守雨
(MFブックス)
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新巻 へもん
(MFブックス)
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福寿草 真
(MFブックス)
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虎戸 リア
(MFブックス)
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7月23日

むらかわみちお/才谷屋龍一
(MFC)
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石見翔子/理不尽な孫の手
(MFC)
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村市/千月さかき
(MFC)
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松井俊壱/リュート
(MFC)
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Usonan/Wookjakga
(MFC)
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一智和智/桝田省治
(MFC)
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盧恩&雪笠/早秋
(MFC)
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牛乳のみお
(MFコミックス アライブシリーズ)
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雨水龍/細音啓
(MFコミックス アライブシリーズ)
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森野カスミ/暁なつめ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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かわせみまきこ/駱駝
(MFコミックス アライブシリーズ)
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浅草九十九/和ヶ原聡司
(MFコミックス アライブシリーズ)
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えかきびと/長田信織
(MFコミックス アライブシリーズ)
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甲田 学人
(メディアワークス文庫)
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仲町 六絵
(メディアワークス文庫)
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7月22日

ネコクロ
(ダッシュエックス文庫)
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持崎湯葉
(ダッシュエックス文庫)
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新木伸
(ダッシュエックス文庫)
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磨伸映一郎
(REXコミックス)
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はるまれ/世界一
(4コマKINGSぱれっとコミックス)
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赤人義一
(ブシロードコミックス)
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藤近小梅/漆原雪人
(ブシロードコミックス)
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つるまいかだ
(アフタヌーンKC)
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出端祐大
(イブニングKC)
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華鳥ジロー
(イブニングKC)
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藤田和日郎
(モーニングKC)
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須賀達郎
(モーニングKC)
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蛇蔵/鈴木ツタ
(モーニングKC)
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ツジトモ/綱本将也
(モーニングKC)
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山田芳裕
(モーニングKC)
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中村光
(モーニングKC)
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大森藤ノ/矢樹貴
(ガンガンコミックスJOKER)
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嶋水えけ
(ガンガンコミックスJOKER)
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大森藤ノ/桃山ひなせ
(ガンガンコミックスUP!)
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大森藤ノ/汐村友
(ガンガンコミックスUP!)
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