前回の5月上半期の記事です。
以降は5月下半期に発売のライトノベルから、注目作品をピックアップしていきたいと思います。
【因習村クライマックス 事案01:踏み込んだ時には既に滅亡寸前であった中国地方某村】 佐伯庸介(ガガガ文庫)

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この因習村ほぼ滅びて るけど、どうする?最近、因習村ってジャンル流行ってるんですかね? 微妙にちらほらと因習村をネタにした作品を見かけるような見かけないような。
周囲を囲む緑山、それを遥か越える高さの真っ白な入道雲、青い晴天――。
「良いところだな~、伊転村」
ここは晩夏の片田舎。山村の原風景。誰もが帰ってきたくなるような場所。
――村が大怨霊によって滅びかけてさえいなければ。
崩れる山裾! 倒壊する民家! 鳴り響く悲鳴! 転がる死体! 地から湧き出る地霊雑霊!
さらに遠くに目を転じれば、激しく衝突を繰り返す二体の巨大怨霊までがいる。
そう、この村は今まさに滅びかけている。
ていうかもう9割方滅んでる。
まさにクライマックス。
来たばっかなのに。
そう、来たばっかなのである。
この村がこんな状態であるとは知らされず派遣されてきた陰陽師の少年、滋丘道人。
彼はまんまと、呪わしい風習が暴走し、どうにもならなくなっているこの因習村を走り回る羽目になる。
巻き込まれた宅配便のお姉さん、居合わせてしまった女性記者、何かを知っている美しい村の娘――そして、大怨霊になってしまった女。
ヒロインなのかも定かでない彼女たちと関わりながら、この因習村をなんとかするしか道はない。
迫りくるバッドエンドを回避できるか?
入った瞬間もうクライマックスな因習村を駆ける、逆転退魔RTAが始まる!
ただ面白いのは、本来因習村にまつわるお話というものは「この村ってなにかおかしくないか?」という訪れた先からの微妙な違和感から、どんどんと異様な体験、どうにもおかしい村人たちの反応、奇妙で正気が削がれていくような風習、そして常識や理性、倫理といったものが泡のように弾けていく、順序だってSAN値が削られていくような展開が定番と言えば定番であり、王道と言えば王道のはずなのですが。
なんかもう、到着した途端違和感どころではない因習村クライマックス、ってタイトル通りすぎるひでえ展開に、もうあらすじから面白すぎるんですがw
作者は【昔勇者で今は骨】など数々の名作快作を送り出している佐伯庸介先生。こんなん面白くないはずがないよなあ?
【カラテ魔女地獄変 雷の章】 昏式龍也(ガガガ文庫)

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魔法、否。今度の魔女は殴る!魔女っていったいどういう意味だったっけ。
ある日、一人の魔女によって魔王は討ち果たされた。だが、その力を恐れた支配者は魔女たちを地下監獄へと封じ込める。救いなき地獄、そこに突如誰も知らない謎の魔女が現れる。
その名はライカ・ホムラ。
謎多きライカの熱にあてられ、竜をも倒す神秘の異世界武術『カラテ』の使い手たちが一人また一人と集う。血で血を洗う狂騒の歯車は回り出し、戦いの中で失われた真実が浮かび上がる。
魔王を倒した魔女は誰だ? ライカの正体とは?
「さあ喰らい合え、罪深き〈カラテ〉魔女どもよ!」
かくて監獄内で、八人の〈カラテ〉魔女最強を決める『魔女獄門淘汰戦』が幕を開ける。
闘技者の誇りと最強の座を賭けて、カラテ魔女たちが拳と拳をぶつけ合う――百花繚乱の格闘浪漫譚!
【編集担当からのおすすめ情報】
魔法武術を駆使する魔女たちによる最強流派決定戦です!
「カラテ」であって「空手」にあらず!
ファンタジーならでは魔法武術〈カラテ〉による熱いバトルと、
過酷な運命を背負った少女達が、仕合を通して結ばれる友情の物語をぜひ味わってください!
格闘系魔法少女という系統もあるっちゃあるんだろうけれど、本作のそれは血で血を洗う罪人どもの地下暗黒格闘技大会ってノリで、カオスがすぎる。いったいどういうノリのライトノベルなんだろう。こういう一体どこのベクトルに向かってるんだろう、という混沌属性の作品が出るのはガガガ文庫というレーベルの特徴ですよねえ。独自路線は歓迎ではありますけれど。
書いている作者さんは自分的には大ウケだった【ここでは猫の言葉で話せ】の昏式龍也さん。非日常の住人だった若きエージェントが辿り着いた猫という癒しと優しい隣人に迎えられた穏やかな日常、暗がりの世界と日のあたる世界の境界とお猫さまと少女の世界を手掛けた作家さんだけに、ここも独特の少女の世界が繰り広げられそう。
【幕末エルフ 2】 鞘童子(富士見ファンタジア文庫)

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人造エルフと化した柳生十兵衛たちを前にメスティーたちは――ファンタジア文庫大賞<大賞>受賞作【幕末メスガキエルフ】の続編が早くも登場。いや、思ったより早かったですホントに。このまま順調に出続ければ、長期シリーズになれそうなんですけどね。しかし、もうエルフとつけばなんでもいいと思ってないかい、これ? 幕末という時代設定なんて放り投げる勢いで、この時代関係ない偉人がわんさかと出てきそうなんですがw
京都での戦いを経て、共に生きると誓った己道とメスティーは魔術を取り戻すべく旅に出る。さらに天才剣士・沖田総司も加わり三人で旅をする中、異国より漂流した女性と出会い――
「あの島にいる……お母さんに会いに行くんです」
ミルトリア・フランケンシュタインと名乗るエルフとの邂逅、そして『黄金の魔術師』サンジェルマン伯爵の襲来から新たな戦いが幕を上げる。
立ち塞がるのは“人造エルフ”として現世に蘇った死者――ジャンヌ・ダルク、柳生十兵衛、上杉謙信。
戦いの中、秘められた悲しい過去に己道とメスティーは相対する――新時代のボーイ・ミーツ・ガール第二弾!
どういう脈絡で上杉謙信なんだ!?
【魔術漁りは選び取る 3】 らむなべ(MFブックス)

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賭けろ。他の誰でもない自分の意思に。その成長を、その出世を、その生き方を応援したくなる主人公、という意味ではこのカナタくんはトップクラスで見ていてほんと気持ちい作品なんですよ。その第三巻。彼のその人から好感を持たれる高潔で誠実な生き方というのは、作中でも猛威を奮っていて、周りの人達がほんと良い人たちが多いというのもあるのでしょうけれど、お互いのリスペクトが素晴らしく好循環してるんだよなあ。一方で、自分たちの周りの人達を脅かす悪意に対しては、カナタくんは怪物感すら感じる空恐ろしさで対決するので、そういう意味での頼もしさ、恐ろしさがまた魅力なわけです。今回荒事多いみたいだし、カナタのモンスター感を味わえそう。
公女ルミナの側近として、ラクトラル魔術学院に入学したカナタ。宮廷魔術師を倒した怪物は特級クラス配属という名目のもと、教師陣の監視下に置かれ、魔術を学ぶ異才の巣窟は渦中のカナタを中心に動き出していた。
そんな中、留学生エイミーから、国内に流出した違法魔道具――感情を排し、人の意思を無視して操れる煽動魔道具リーベ回収任務への協力を持ち掛けられる。
手掛かりを追ってカナタ達が辿り着いた地下決闘場。しかし、そこは裏の欲望を満たす貴族達のために魔術師達が命を懸けて戦う、血塗られた賭博場だった。観客達の影が蠢く都市の裏。カナタ達は違法魔道具を奪還すべく地下決闘場に乗り込むが――。
自分の在り方を選ぶため、全ての者達は抗い続ける。
【兵站将校は休みたい】 しろうるり(KADOKAWA)

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「中尉殿、仕事が増えました」――戦場で最強の武器は、補給線。おおっ!? レフノール中尉、なんかイメージしてたよりだいぶゴンブトだな! 顎がぶっといな! 勝手にもっと中肉中背かひょろっとした体型の参謀だと思ってた。というか、イラストの野上先生、今回ちょっとタッチを変えてるのかしら。口絵のサンプル見てると頭身がいつもより低めのデザインに見える気がするけど。
「大尉殿は戦死されました」兵站総監部から戦場へ派遣されたレフノール中尉は部下の第一声に困惑する。副官も戦死、物資は大半焼けてしまった。とりあえず損害を確認するが、そこで大尉の不祥事を見つけてしまう――
作者さんは、悪役令嬢ものであると同時に硬派の政略戦略ものとして話題にもなった【侯爵令嬢アリアレインの追放】の人。そして、タイトル通り兵站将校が主役ということで、戦争の屋台骨である兵站業務の苦労と理不尽とそれに対する決断と手配りをこれでもかと描いていく、戦争もの戦記物であると同時にこれお仕事ものの側面強い気がするなあ。
兵站が主題ということで、そこ繋がりでオルクセンの漫画書いてる野上先生が絵師として依頼されたんだろうなあ、というのは容易に想像がつくところであります。





















































































































































































































































































































































































































































































































































































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