書籍感想2020

この素晴らしい世界に祝福を! よりみち2回目! ★★★☆  



【この素晴らしい世界に祝福を! よりみち2回目!】 暁なつめ/ 三嶋 くろね 角川スニーカー文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

短編集第2弾! 新規書き下ろし豪華2本収録!!

今回は異世界にもよりみち!? エピソードたっぷり全10編!!

ウィズが仕入れた魔道具で転移した先には、見慣れた日本の風景が広がっていた!?
――『そうだ、異世界へ行こう!』

暴走した嵐の大精霊を相手にアクセルの冒険者たちが【水着】で大暴れ!!
――『レッドストリーム・エクスプロージョン!』

「私……! 私……!! カズマさんのコミュ力が欲しいっ!」カズマとゆんゆんがついに!?
――『ぼっちをプロデュース!』

入手困難だった限定特典に、カズマたちの日常の一幕や本編では明かされなかった
ダクネスとクリスの出会いなどを描く、スペシャル書き下ろしが詰まった、豪華短編集第二弾が登場!

現在では手に入れられない各種特典としてつけられた短編小説を中心に集めた「よりみち編」の第二弾。というわけで、結構作中での時系列的にどのあたりの話なのかわからないものも多いんですよね。序盤の方が多いのかな、作中で語っている内容からして。
ただ、まああんまり時系列わかんなくても支障がない話だったりする。

「拝啓、紅魔の里の皆様へ」
めぐみんがカズマたちのパーティーに加わって、ダクネスも参加してしばらくの頃のお話。ふるさとの紅魔の里の面々へのお手紙という形式で、うちのパーティーの連中ちょっと頭おかしいんですけど、という内容を書き綴っているが、めぐみんがそんな手紙里に送っても、お前が言うな、で終わってしまうと思われるので、まだ序盤も序盤、紅魔の里とか描写されてない頃の作品だったのだろう。カズマたちもマメに冒険しているし。アクアも文句言わず被害を出して泣いてるし。
あ、でももう「ちょむすけ」がいるので、ちゃんとめぐみん主役の外伝が出たあとの話になるのか。


「そうだ、異世界に行こう」
「そうだ、京都へ行こう」とかのキャンペーンってどれくらい昔になるんだろう。このフレーズって今でも通じるんだろうか。
日本に転移する話を神様関係なく、ウィズの謎アイテムでやれてしまう、というのがさすがこのすばというべきなのか。お手軽である。
しかし、折角この面々で日本に行ったのにエクスプロージョンの一発も打たないとは随分とおとなしい話ではあった。アクアも別にやらかして泣き出さないし。アクアが日本に行ったらとりあえず警察のお世話になって留置場に入るくらいは普通にしてくれると思ったのだが。それにこの駄女神、日本担当だったくせに根本的に近代科学文明まったく理解してないやんw


「この過酷な世界に祝福を」

この世界って農作物を相手にする農家の人とか、野生動物を相手にする猟師の人とかって、モンスターを相手にする冒険者と対して難易度というか修羅度変わらないんじゃないだろうか。
特に農作物の凶暴性が段違いなんだが。普通の野生動物の鹿なんかでも、兵器でそこらのモンスターと変わらない凶暴度出しなあ。雑草にも負けるカズマさんw 自宅の周りの草抜きまで命がけかよ。


「白虎に加護を」

白虎の子供をアクアが親から預けられるの巻き。子猫かわいい、のお話。まあ猫派は問答無用で陥落するよね。白虎って結局神獣なの? モンスターなの? とりあえずアクアは相手がなんであろうとナメられてるのは変わらないみたいだが。


「レッドストリーム・エクスプロージョン!」
めぐみんの新技か、進化必殺技か!? というタイトルであるが、あんまりエクスプロージョン関係ないよね。
そしてまさかの水着回である。そう言えば本作って水着になるような回ってなかったんだったっけ。そもそも、海に行く機会がないもんなー。アクセルの街に引きこもり、が基本だし。湖とか言ってもアクアが漬けられるだけだったし。水の女神の癖に水着を着ないとかどういう了見だい。まあ、エリスさまならともかく、アクアの水着とかまあどうでも、だしなあ。
そして空気を読まぬ駄女神である。わりとあのラストのあとアクアってば男冒険者たちからガチ泣きさせられたんじゃないだろうか。

「○○料理をめしあがれ」
クリスって案外出番ないのよねえ。というわけで、今回はがっつりクリスが参加して、ご禁制の品を使った料理会が催されているのではないか、という宴へと潜入捜査。いや、ダクネスはララティーナ様として出席しているので潜入ではないのだけれど、クリスの男装姿が見られるまさに特典回。三嶋くろねさんのイラストも相まって、超絶イケメンのクリスが見られてしまう。これガチで今まで出たキャラの中で一番イケメンなんじゃないだろうか、クリスってば。
カズマと出会うまではパーティーを組んでいたというダクネスとクリスの出会いの話もあって、そこは前から気になっていただけにありがたかった。でも、クリスってばダクネスにまで財布盗んで勝負挑んでいたのか。まともに勝負してもらえないという意味で、クリスのこの財布のパーティーイベント成功した試しないんじゃないだろうか。


「ぼっちをプロデュース」
ゆんゆんが思い余ってカズマにコミュ力をあげてもらう相談をしてしまう話。言われてみると確かにカズマ、男友達多いし結構男同士で飲み歩いたりしている印象あるね。引きこもっているとき以外の遊び歩いている時はけっこう男連中と管巻いていることもあるし。目の付け所は悪くないのか?
むしろ問題はやはりゆんゆんの方にあるわけで、あと余計なちょっかいかけてくるめぐみんと。
既にカズマパーティーの面々とは普通に友達だよね、という爽やかな結末は爽やかすぎてむしろこのすばとしては違和感がw


このすば完結あともこうして彼らのドタバタを堪能できるのは嬉しいことですが、やっぱりちょっと物足りなくもあり、本編完結が惜しまれるところであります。まだよりみち編やるネタは残っているのかしら。


終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#09 ★★★★   



【終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#09】 枯野 瑛/ue 角川スニーカー文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

憧れに届かなくても、 それぞれの明日のために。シリーズ最終章その第二幕

39番浮遊島の〈最後の獣〉を退け、浮遊大陸群の滅びに猶予を勝ち取ったあの日から、五年。
「オルランドリ商会第四倉庫に、『鏃(やじり)』の提供を要請する」
未だ2番浮遊島に神々を囚える〈最後の獣〉を排除するほか、世界を守る術はなく――
最後の決戦を前に、妖精兵たちはつかの間の日常を過ごす。
「アルミタはさ、今でも、ティアット先輩みたいになりたい?」
かつて憧れていた景色に手が届く今、幼き妖精兵に訪れる葛藤――そして迫る決意のとき。
五年という歳月はそれだけで十分長い。15歳だったティアットは20歳を越えた大人になり、憧れていたクトリよりもずっと「女性」になった。周りからはあの頃と全然見た目変わらないとからかわれて拗ねたりしているみたいだけれど、そんなことはないよ。貴女は十分魅力的な大人の女性になってる。10年前、あの小さくてころころして無邪気に走り回っていた10歳のチビ助が、今や立派な英雄様だ。相変わらずの乙女脳で、若干エージェントみたくなっているけれど。
というか、マルゴと組んで見事に工作員紛いの影働きをやってますよね。ある意味お神輿にされた英雄じゃあないって証明になるのかもしれません。
そうやって、自分の信じた道をひた走っている。フェオドールとの対立を未だに思い悩んでいるけれど、それに引きずられているわけではなく、それを拠り所にしているわけでもなく、彼のやり方を認めない事をうまく消化して自分の在り方に溶け込ませているように見える。悩みながらももう迷ってはいない、心に余裕を持って定めているティアットは一つの完成を見たようにも見える。
フェオドールのような思想と兵器だった黄金妖精と同じ自分を費やす事に疑いを抱いていない定めを抱えた翼人の娘を、その意思を否定せず認めながらしかしそのまま潰える事を許さずに救ってみせたティアット、そしてマルゴ。それは象徴の一つなのだろう。過去を繰り返させず乗り越えた。
彼女達は大人に、なったのだ。
対して今17歳。ただコロコロしていた幼児であった頃から、一廉の少女になったアルミタは今まさに悩み迷い己の在り方を見出そうと必死にあがいている少女真っ盛りだ。妖精倉庫で屋上から無鉄砲に転がり落ちて、クトリに危機一髪助けられたあのチビ助が一端の小娘である。
彼女の世代は、旧式の調整を受けたアルミタとユーディアを除いて、既に兵器としては成り立っていない。二人とて聖剣との適合は済ませているものの、戦闘訓練などは殆ど行っていなくて、本当にただの小娘だ。
本来なら不要となって廃されるはずだった、幼体のまま消え去る運命の黄金妖精。その未来を繋いだのは、ティアットたちの世代だ。妖精が兵器として必要とされないだけの未来を作ったのはクトリたちの世代だ。そうして繋いできた世代を、今アルミタたちはどう受け取ろうか試行錯誤している。どう、次に繋げていこうか、そう考える段階に来ていると言っていいかもしれない。
そうやって、未来に繋いでいっている。
五年という歳月と世代の進展は、そんな思いを馳せるに十分な月日だ。

この世界はいつも終わりと背中合わせだった。いつ、様々な要因で潰えてもおかしくないほど不安定で脆い代物だった。妖精たちと同じく、いつ儚く消えても不思議ではない世界だった。
ただしく終末であり続けていたと言える。
今もまさにそうだ。浮遊大陸の存続そのものが、もはや終わろうとしている。一年を持たずして、今世界は滅びようとしている。
それなのに不思議と、今までよりも随分と遠くが見えている。
今、世界の未来に途絶も終わりも感じない。
それは、この世界で最も儚く脆く、終わりを遠ざける最終兵器でありながら一番その存在が終末に近似していた黄金妖精たちから、泡と消えゆく儚さが見えなくなったからではないだろうか。
少女のまま大人になること無く消えていくはずだったティアットやコロン、パニバルは今成年を越えて大人の女性として充実期を迎えている。
二十歳を超えていつ終わりを迎えても不思議ではなかったアイセア、ラーントルク、ノフトたちもそれぞれの人生を歩みながら今なおそこに終わりの影は見えない。それぞれが見つけた人生の上をしっかりと踏みしめて進んでいっている。
そして、フェオドールやラキシュ、そしてティアットたちの尽力によって、そもそも未来が与えられていなかった妖精の幼体たちは兵器としての役割すら課せられないまま、ただ生きることを許された。今の彼女達は、ただの普通の子供たちだ。戦う必要のない、未来を自分で選べる子供たちだ。
自分で、戦うと決めることの出来る妖精たちだ。
ヴィレムとクトリからはじまった、いやずっと昔の黄金妖精たちから紡がれてきた、託されてきた未来は今、アルミタたちの世代で結実しようとしている。終わりを前提としない、ただ生き続ける事を認められた妖精たち。そのもう消え去る事無く続いていくだろう妖精たちの姿が、不思議とこの世界そのものと重なるのだ。
ヴィレムやフェオドールたちが守って繋いだ未来は、それだけ太く逞しく確かなものとなって結実した。
今はまさに終末で、最終決戦は目の前だけれど、そこに不安はない。
そんな風に感じさせてくれる五年後の世界であり、最後の戦いを前にしたお話でありました。

グリックは、この物語がはじまった当初から短命種の緑鬼族という事でひときわ早いサイクルで歳を重ねていて、五年前の段階で既にもう結構イイ歳みたいな言い方をされていたので、今回前の巻から五年後ということで覚悟はしていたのですけれど、やっぱりそうだったか。もう見送られていたんですね。
見送ったのがノフト、というのは妙にグリックの事気に入っていた素振りを見せていた事もあって不思議ではなかったのですけど……わりと真面目にこの五年の間で懇ろな仲になったんじゃないですかこれ。引き取った孤児や事情あって両親と離れた緑鬼族の子供たちに母ちゃんと呼ばれて奔走しているノフト。若くしてオッカサンという貫禄まで身に纏っちゃってる彼女ですけれど、グリック健在だった頃はこれ二人して夫婦めいた格好で父ちゃん母ちゃんと慕われてたんじゃないだろうか。
……やたらと未亡人感出しまくってたアイセアに引き続いて、こっちはガチで未亡人? なんかこう、恋愛とか恋人とかの段階をぶち抜いてノフトが一番、こう、大人になっちゃった感があって感慨深いというかなんというか。
……未だにちびっ子たちに「お姉さん」呼びさせているナイグラートさん、いかがですか? ノフトはかーちゃんですよ、母ちゃんw
ラーントルクも、大賢者の後始末やら何やらで彼女自身が大賢者の後継みたいな貫禄を持ち始めていて、出来る女を越えた雰囲気出し始めてますし(でもまだポンコツなんだろうけど)。
体壊して引退して余計に深窓っぽくなってしまったアイセアと合わせて、三人とも色んな意味で大人の女性をさらに越えた妙齢の女性になっちゃったなあ。
もう変わらないクトリと違って、みんな随分と変わってしまった。
そして、もう一人の変わらない少女、ネフレン。うん、色々と「もし大人になっていたら」を想像してしまうクトリと違って、ネフレンは色んな意味で想像が働かないまま今のママ固定されてしまっている。現実にも、あの頃のままもう変わらなくなって、でもまあこの娘はそのまま成長していてもあまり変わらなかったような気もするなあ。
半分神様になってしまったネフレン。ただ、危惧していたほど世界を担う負担にボロボロになっていなかったのはちょっと安心した。
ヴィレムが……そうだ、ヴィレムの野郎、こいつシレッと……本当にシレっと記憶元に戻ってるじゃんw フェオドールと同化していたのもいつの間にか解消されちゃってるし。いや、フェオドール成分どこに出てったんだよw
それはともかくとして、ヴィレムの現状、今度こそ人間じゃなくなった、という事なんですよね。生きていなくて実質ちゃんと死んだ、みたいな言い方しているけれど、それはもう変わらなくなった、という事でもあって……。うん、そうかー。ネフレンとしてはもう離れる心配をせずにずっと一緒に居られる、という事なのかも知れない。
それもまた、このあともずっと続いていく事を連想させられる事柄の一つだ。
その一方で、終わりを迎えようとしているものもある。
ヴィレムの、長い長い戦いの人生も、ようやく終わろうとしてるんじゃないだろうか。いや人生が終わり、というわけじゃなくてね。ずっと守るため救うため剣を振るって戦っていた準勇者としての彼。人類が亡びる前も、滅びてしまったこの世界でも、彼はボロボロになりながら時として自分自身を失いながらでも戦い続けていた。強さをもって、救おうとしてきた。
でも、この巻で一つの否定が提示されてるんですね。最終決戦において、彼が戦力として必要ではないと判断したアルミタたちが、最後の獣との決戦において彼女達が必要とされる場面には、強さは必要とされないかもしれない。強くはないアルミタたちこそが、鍵になるかも知れない。
それはヴィレムの今までの人生の価値観にはなかったもので、それが証明されたとき、ようやくヴィレムは剣をおけるんじゃないだろうか。それを語ったのが、彼を一番傍で見続けていたネフレンだった、というのもまた、色々と考えさせてくれる。
いずれにせよ、次こそがこの物語の終わりとなる。それが、この世界とそこに生きる人たちの終わりではない事を信じている。


枯野瑛・作品感想

聖剣士さまの魔剣ちゃん 1~孤独で健気な魔剣の主になったので全力で愛でていこうと思います~ ★★★☆   



【聖剣士さまの魔剣ちゃん 1~孤独で健気な魔剣の主になったので全力で愛でていこうと思います~】 藤木わしろ/さくらねこ HJ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

聖剣士ですが最強にかわいい魔剣の主になりました。

国家を守護する誉れ高き聖剣士に任命された青年ケイル。
そんな彼は自らの聖剣を選ぶ儀式で聖剣ではなく、人の姿になれる聖剣を超えた伝説の存在――魔剣を目覚めさせてしまった!
強大すぎる魔剣の力が周囲から危険視される中、自分を主と呼ぶ可憐な魔剣美少女リーシュを前に、ケイルはただただ、思った。

「かわいい」「えっと、主様」「?かわいい。すごくかわいい」

かくしてケイルは孤独な魔剣ちゃんを幸せにするべく全力を尽くした結果、王都を離れて辺境で冒険者を始めることに!?

魔剣ちゃんはかわいい、とにかくかわいい。それである意味話は完結している。可愛い女の子を幸せにしてあげたい、という欲求は世界の真理の一つだ。とても純真で素直で健気で主さまとなったケイルを慕ってくる魔剣ちゃんリーシュ、彼女がただの女の子なら幸せにするなんて簡単だっただろう。何しろ聖剣士ケイルは性格も能力もパーフェクトイケメンなのだから。
問題はただひとつ、彼女が人ではなく魔剣であったということ。戦争など遠い昔のことになった平和な時代、魔獣災害という危機はあるもののそれも冒険者を中心とした対処するシステムが安定的に構築され、人々は平穏に健やかに暮らしている。
そんな中に突如強大な、それこそ一撃で都市を吹き飛ばすような、森を一薙ぎで切り払うような戦略兵器モドキが現れたらどうなるか。当然のように危険視され、封印されかかった魔剣ちゃんを救うため、彼女の行動と使用に全責任を負って監視のもとに国を追われることになったケイルであった。
これで、魔剣ちゃんがその優しい性格通りに自分の力についても抑制的であったのなら、或いは強い自制を持っていたならさほどの問題はなかったのだろうけれど。
彼女は自分を女の子ではなく、魔剣として自認していて、剣である事に強い自負を抱いていた。プライドであり生き方として、剣であったのだ。
そして何より、価値観として荒ぶる魔剣そのものであり、血に飢えた妖刀のそれであったのである。
つまり、切り裂くのが大好きで血を見るのが大好きでぶっ殺すのが大好きな女の子であったのだ、やばい。
可愛い子猫や子犬を愛でるように、とても純真な目でキラキラ輝く笑顔で斬りましょう殺しましょう、と訴えてくる魔剣ちゃん。……それもまたかわいい。
歴代の魔剣の持ち主が、魔に魅入られて人類の敵に成り果ててしまった理由も、こうしてみるとわからなくはない。なにしろ、かわいいのだから。
かつて賢人は語ったものである。「かわいいは正義!」
しかし、そこで可愛いのみに屈しなかったのが聖剣士ケイルであった、よっ主人公! 彼女を幸せにするということは彼女の望むままに魔剣として振るって上げる、というのも一つの道だろう。しかし、人々を守り世界を平和に保つことを至上の命題としてきた聖剣士として、その道はどうしたって選べない。かと言って、魔剣ちゃんに剣としての自分を捨てろ、ただの女の子として生きろ、というのもまた彼女の生きる理由そのものを踏みにじる事。お前はいらない存在だ、と突きつけることになる。世界の平和と魔剣ちゃんの幸せ、その矛盾する双方を両立するために男ケイルは奮闘するのである。これぞ、パーフェクトイケメンにのみ許される崖っぷちの綱渡り。若干転げ落ちても猛スピードで崖を這い上がってこれるスペックと根性の持ち主だからこそ頑張れるインポッシブルミッション。
というわけで、つい気を抜くと斬殺を強請ってくる(それ以外はとても善良で穏やかで健気な少女なのだ)魔剣ちゃんを言い包めてその力の開放を防ぎつつ、途中「性癖・犬」と化したハイエルフや監視役として姿を隠したまま矢文でしかコミュニケーションを取ってこない矢文ちゃん(通称)を仲間?に加えつつ、冒険者稼業(魔剣ちゃんが仕えなくて他の剣や武器を使うと魔剣ちゃんが拗ねるので素手で)で無双しながら、魔剣ちゃんをその呪縛から解き放つために駆けずり回る聖剣士のハイテンションコメディ。
この畳み掛けるようなギャグとコメディにノれて、ひたすら可愛い魔剣ちゃん(&矢文ちゃん)を愛でられたら結構楽しい作品でした。
いや、ケイルくんいい具合に乱心してて、結構繊細な行動を求められる立場のはずなんだけれど、かなり豪腕で物事を解決するのがまたイカしているというか頭おかしくなってるなあ、と。魔剣ちゃんの可愛さに完全にヤラレながら正気でもあるというある意味複雑なキャラがかなり面白おかしく成り立ってるのが地味に凄い。魔剣ちゃんの事となると脊髄反射でとんでもねー行動に打って出てそれをスペックで押し切りやがるし。
また完全汚れ役の変態ハイエルフがいい味出していて、色々便利な上にオチ的にもだいたいコイツが悪い、で収まってくれるので、ある意味美味しいところを一人で請け負っているキャラである。
あと、矢文ちゃんもこれわりと魔剣ちゃんに匹敵するひたすら可愛い枠なんですよね。屋内でどうやって矢文してたのかについては追求しない。あと、どれだけ矢を持ち歩いているのか無限錬成か、というところも追求してはいけないし、途中で我慢できなくなって監視役にも関わらずさらっと合流してきたのも追求してはいけない。だってかわいいし。
おおむね、可愛いから、で解決できるし許してくれる平和で優しい世界である。まあそれで押し切るケイルくんの豪腕唸ってこそだけれど。


失格から始める成り上がり魔導師道! 〜呪文開発ときどき戦記〜 3 ★★★☆  



【失格から始める成り上がり魔導師道! 〜呪文開発ときどき戦記〜 3】 樋辻臥命/ふしみさいか GCノベルズ

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

アークスが発明した「魔力計」はライノール王国の各所で大きな成果を上げ始めていた。
しかし魔力計の増産に必要な物資「魔法銀」――その原料となる「銀」が不足してるという。
事態を解決するため、アークスはノア、カズィと共に王国の西に位置するラスティネル領を目指し旅立つのだが――

待ち受けるのは新たなる出会い、
張り巡らされた策謀で……?
魔力計の生産、国家機密の塊でその存在も伏せられ、製造についても秘されている以上、その秘匿にはよほど気を使わないといけないとはいえ、原材料不足を作成者のアークス自ら調達しないといけない、というのは大変というか負担大きすぎやしないですかね? と、思ってしまう。まあ国家事業とは言え、余計な横槍なしにアークスが魔力計関連については一切を取り仕切っているからこそ、なんだろうけど。
これまでも、諸外国の諜報の手は伸びていたものの、魔力計の存在についてもその詳細についてもなんとか防諜は出来ていたものの、ここに来て国境地帯が不穏になってきたか。
アークスが自ら調達に動かなくならなくなった国内における銀の流通の不安定化に加えて、小麦や塩といった必需物資までが各地領主の介入を越えて値上がりし、とここまで市場が不自然に動いていたらよっぽどぼんくらでなかったら王国中枢も絶対気づいているでしょう。一般生活に支障が出るくらい急激に市場を動かしてしまったら、拡声器使ってなにかやってます、て言ってるようなものですし。
一応、その動きの根本については隠していたようだけれど、それまでに某伯爵家が銀をかき集めていた、という事実がある以上はまず疑いはそこに向けられるのは自然なわけで。
実際、セイラン王太子による査察が入ろうとしていたわけですしね。ただ、伯爵側が戦争も辞さず、という覚悟で物資を掻き集めていただけに、王太子が領内に入るのは飛んで火に入る夏の虫だったとも言えるので、ちょっと危うい状況でもあったのか。
でも、伯爵が表で買い集められなく為った銀を、謀略使ってさらに集積しようとした際に雇ったメンツの質の悪さを考えると、伯爵もぼんくらではないんだろうけれど指し手としては脇が甘すぎて、所詮使う側じゃなくて使われる側だよなあ、これは。
ただ、ラスティネル側も本来この伯爵を監視する立場にある以上、彼の裏切りを見逃していたのみならず、領内での活動を許してしまっていた、というのは失態ではあるんですよね、確かに。
流通や相場の動きの不自然さには気づいてもその目的や根本まで辿れずにいた、というのはさすがに辺境領主に求めすぎだろうか。ルイーズさんは、見た目からしてまずぶん殴るタイプだしなあ。文治に疎いわけではなく、領内の経済をちゃんと把握し領主として統治もしっかりしているようなので、脳筋一辺倒というわけではないのでしょうけれど、それでも情報戦や諜報戦が得意なタイプとは間違っても言えないでしょうし。
しかし、ルイーズ・ラスティネル。ほんと見た目が凄い。ここまで歴然と女山賊然とした格好してる女領主はここまで来ると逆に珍しいぞ。しかもお母ちゃん。旦那さん、どんな人なんだろうと逆に気になってしまうくらい。
いや、こうしてみると全然貴族っぽくないんですよね。彼女だけではなく、領内の領主格の殆どが最前線を担う武門の豪壮さを垣間見せている。まあ、王都の貴族もあんまり貴族貴族していなくて、軍人や官僚という側面を強く見せていただけに、ライノール王国の貴族というのは貴種というよりも代々続く武家の一門、などという専門職の気風が強いんでしょうね。アークスの家も軍家として名高いわけですし。
さても、辺境の騒乱、ひいては国境地帯でせめぎ合う帝国との不穏な情勢の最前線に飛び込むことになったアークス。まさにここでタイトルの「ときどき戦記」のパートに入ったわけですな。
巻き込まれただけ、と言いたい所だけれど、この自体が起こる遠因となったのはアークスの魔力計の開発が深く関わっている上に、今起こってる激しいアンダーグラウンドでの鬩ぎ合いの中心はまさに魔力計の情報に関することだけに、アークスが無関係に巻き込まれたとは言えないんですよねえ。
まあ魔力計の開発者がアークスだという事は未だほぼ秘匿されているだけに、巻き込まれたのは偶然は偶然なのでしょうけれど。
しかしここで国王陛下と師である伯父と深い因縁を持つ歴戦の魔導師と出会うことで、アークスは今までで最大の敵と対決する事になるのである。
ノアとカズィと三人がかりですら圧倒できず、という格上と戦ったのはこれが初めてだったんじゃないだろうか。威力と革新性を、技量と経験値で払われたという感じで、本物の歴戦の魔導師相手の魔術戦はここまで深い読み合いと捌きあいになるのか。今までここまである意味噛み合った魔術戦が成立することがなかっただけに、彼との一戦は非常に見応えのあるものでした。
でも、お互いまだ命がけでの殺意コメての戦い、というわけではなく様子見の段階でもあっただけに、さてお互い退けない状態での戦いとなればどこまでのものになったのやら。

ここに来て、アークスも初めて同世代の男の子の友人、みたいなものと出会ったわけですけれど……男ですよね? 見た目じゃわかんないんだよなあ。性格的にも快活でわんぱく真っ盛りといった元気な男の子なのですけれど、その母親があの女山賊だけにわっかんないんだよなあw


2020年10月読了ライトノベルのおすすめ  

読んだ本の数:25冊 うち漫画:1冊


ちょっと読破冊数は息切れ気味。だけれど今月は大量に傑作良作に巡り合うことができて、質的には大満足でした。
完結とともに大傑作となった【エリスの聖杯】に、青春日常ミステリーとして彩られる【探偵くんと鋭い山田さん】の二大巨頭に、瑠奈お嬢様の日本再生計画【現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変】の待望の書籍化。
また10月刊行ではなく積んでしまっていたのですが、【あなたのことならなんでも知ってる私が彼女になるべきだよね】と【ホラー女優が天才子役に転生しました】というべらぼうに面白くてテンション上がりまくってしまった新作二作と、実に大満足な月でした。
他にも★4級の良作もわんさかと読めましたし、充実はしていたなあ。もっとガンガン読めればよかったのだけれど。


★★★★★(五ツ星) 2冊

エリスの聖杯 3】 常磐くじら/ 夕薙 GAノベル(2020/10/14)
探偵くんと鋭い山田さん 2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる】 玩具堂/悠理なゆた  MF文庫J(2020/10/24)


【エリスの聖杯 3】 常磐くじら/ 夕薙 GAノベル

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら

ファンタジー・クライム・サスペンス・ミステリーの金字塔。十年という時間を経て次々に明らかになるとある貴族令嬢の処刑に纏わる驚愕の真実と、再び繰り返されようとする宮廷の闇に纏わる陰謀。それに立ち向かう、かつて処刑された令嬢の幽霊と彼女に取り憑かれた地味令嬢のコンビによる究明劇。文句なしに大傑作でした。


【探偵くんと鋭い山田さん 2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる】 玩具堂/悠理なゆた  MF文庫J

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら

双子の山田姉妹と繰り広げる日常の中の探偵劇。証拠にもならない僅かな手がかりから真相を手繰り寄せる謎解きを、姉妹と顔を突き合わせて喧々諤々わいわいと騒ぎながら解いていく様子は、その流麗な情景描写力と相まって涼やかな青春劇として見事に彩られている。
彼女達の心の動きが映し出される仕草や表情の変化にドキドキしてしまう。まさに細部に神は宿るを体現している一作である。



★★★★☆彡(四ツ星Dash) 3冊

あなたのことならなんでも知ってる私が彼女になるべきだよね】 藍月 要/Aちき ファミ通文庫(2020/8/28)
ホラー女優が天才子役に転生しました 〜今度こそハリウッドを目指します!〜】 鉄箱/きのこ姫 ガガガ文庫(2020/8/20)
現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変 1】 二日市とふろう/ 景 オーバーラップノベルス(2020/10/25)

【あなたのことならなんでも知ってる私が彼女になるべきだよね】 藍月 要/Aちき ファミ通文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら

自分の生命を塗り込めたような凄まじい絵を描く天才画家の少年は、それが故に儚く病弱でふとした瞬間消え去ってしまいそうな脆さを持つ。愛を求めながら愛を与えられなかった彼に、浮世から片足を踏み出してしまった彼に生半可な愛情は届かない。だからこそ、常人なら耐えられないヒロインたちの凄絶なほど重い妄執の愛が彼には必要だったのだ。これは昏き執着の愛情が、確かに救いとなるラブストーリー。


【ホラー女優が天才子役に転生しました 〜今度こそハリウッドを目指します!〜】 鉄箱/きのこ姫 ガガガ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら

事故で早世した天才ホラー女優が20年後に幼子として転生し、20年後の芸能界に子役として殴り込む天才女優の再臨譚。並み居る名優たちが、その天才少女の再誕に刺激され奮い立つ姿に痺れてしまう。未だ発展途上の彼女がたどり着く領域とは。見どころタップリの新シリーズであります。


【現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変 1】 二日市とふろう/ 景 オーバーラップノベルス

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら

「北海道開拓銀行を買収するわ」。その一言によって、彼女の進撃は開始された。
億万長者なんて木っ端に等しい規模の、ITバブルを踏み台にして稼ぎ続ける兆を超える資金を駆使して、バブル崩壊後に壊滅していく日本経済を救済し、かつて惨めに踏みにじられた自分たちを救うべく悪役令嬢桂華院瑠奈さまは立ち上がる。【征途】世界に近似する日本を舞台に、平成以降の近代政治経済史の上を踊るライトノベルの皮を被った超本格政経架空戦記の幕開けである。



★★★★(四ツ星) 9冊

ナイツ&マジック 10】 天酒之瓢/黒銀 ヒーロー文庫(2020/9/30)
Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 02】 之 貫紀/ttl KADOKAWA(2020/8/5)
転生したらスライムだった件 17】 伏瀬/みっつばー GCノベルズ(2020/9/30)
インフィニット・デンドログラム- 14.<物理最強>】 海道左近/タイキ HJ文庫(2020/10/1)
ゴブリンスレイヤー 13】 蝸牛くも/神奈月昇 GA文庫(2020/10/14 )
フシノカミ 2〜辺境から始める文明再生記〜】 雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス(2020/3/25)
フシノカミ 3〜辺境から始める文明再生記〜】 雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス(2020/6/25)
魔女と猟犬】 カミツキレイニー/LAM   ガガガ文庫(2020/10/21)
やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく】 ふか田さめたろう/ ふーみ   GA文庫(2020/7/14)


【ナイツ&マジック 10】 天酒之瓢/黒銀 ヒーロー文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら



【Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 02】 之 貫紀/ttl KADOKAWA

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら



【転生したらスライムだった件 17】 伏瀬/みっつばー GCノベルズ

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら



【インフィニット・デンドログラム- 14.<物理最強>】 海道左近/タイキ HJ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら



【ゴブリンスレイヤー 13】 蝸牛くも/神奈月昇 GA文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら



【フシノカミ 2〜辺境から始める文明再生記〜】 雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら



【フシノカミ 3〜辺境から始める文明再生記〜】 雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら



【魔女と猟犬】 カミツキレイニー/LAM   ガガガ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら



【やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく】 ふか田さめたろう/ ふーみ   GA文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
感想はこちら



以下に、読書メーター読録と一言感想

続きを読む

わたし以外とのラブコメは許さないんだからね ★★★  



【わたし以外とのラブコメは許さないんだからね】 羽場 楽人/イコモチ 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

戦いは恋人になってからが本番。 告白で幕開けるラブコメ戦線!

冷たい態度に負けずアプローチを続けて一年、晴れて想い人に振り向いてもらえた俺。クラスの誰をも寄せ付けようとしなかった孤高の美人、有坂ヨルカと彼氏彼女の関係になったのだ! しかもあれだけツンケンしていたくせに、本当は俺のことが大好きだったらしい!
「わたしの方が好きに決まっているのに、それが伝わってない気がする」
え、このカワイイ存在ヤバくない? 強気なくせに恋愛防御力0な彼女にイチャコラ欲求はもう限界! だけど人前でベタベタするのは禁止? さらに秘密の両想いなのに恋敵まで現れて……?
恋人から始まるラブコメ爆誕!

主人公がコミュニケーション強者すぎる。そもそも、孤立しているヨルカと親しくなってくれと神崎先生に頼まれた時点で、それだけ希墨なら仲良くなれるとそのコミュニケーション能力を先生にも見込まれていた、という事ですからね。
一方でヨルカの方は深刻なコミュ障。でも、ハリネズミの棘で自分を守っているタイプでキツい言動で周りを遠ざけ、そもそもコミュニケーションを極力取らないという手段で他人との壁を築いてきた娘なので、直接的な防御力は決して高くはなかったと思われる。その棘を無視され、壁を越えられてきたら直接向き合わなければならない。
家族のスペックが異様に高いため、物心ついてからこの方常にそれと比較して自分を卑下してきたために、異様に自己評価が低く自己肯定力がないヨルカさんである。希墨みたいな巧みな陽キャラに全力で来られたら、そりゃあイチコロだわ。
さすがと思うのが希墨くん、釣った魚には餌を上げまくるタイプだった事でしょう。いや、彼自身ヨルカに夢中なので彼の口から出る言葉は全部本心なのですから餌やっているなんて自覚もないのでしょうけれど。
ほんと、恥ずかしくなるくらい甘い言葉を引っ切り無しに囁くんですよね。愛している、好きだ、と告げる事を全く惜しまない。勿体ぶらない。思ったとおりに口に出し、伝える。多少気障でも関係ない。相手を喜ばせるためじゃなくて、シンプルに自分の気持ちを素直に伝えているだけだから余計に強力なのである。相手が、素直になれないヨルカだからこそ尚更に、率直で真っ直ぐな気持ちをぶつけられるとどうしようもない。
ここまでベタベタと優しい言葉甘い言葉を口ずさんでいるとチャラ男かよ、とも思うのだけれど、むしろ少女漫画とかで主人公の女の子を口説いてくるイケメン男子系統なのかもしれない。本人口説いているつもりなくても、思わず女の子がドキドキしてしまうような言動を素で垂れ流してくるような。女の子の理想像の一つだ。

そりゃ、ヨルカじゃなくても、女の子にモテるだろう。

彼氏彼女になる。男女のお付き合いをはじめる、というのは言わば独占契約、お互いがお互いだけと恋愛関係を結びますという契約みたいなものだ。勿論、それを当人同士の間だけで結ぶのもお互いの気持ちの上でとても大切なことだろうけれど、その関係を公然とするというのは他人に対しても、二人の関係を周知してそこに首突っ込んでくることは不義である、と知らしめる意味を持つ。
虫除け、とまで言ってしまうのはちょっとあれだけれど、周知徹底することで事前に余計なトラブルを回避する効果は大いにあると言っていい。
その意味では、ヨルカが希墨との関係を秘密にしてしまったのは、自分への自信の無さが原因なんだろうけれど、悪手だった事には違いない。幾ら、希墨が断ってくれるにしても希墨にアプローチする自由を野放図に開放してしまったのだから。公には瀬名希墨はフリーであり、どれだけアタックしても誰からも文句は言われないわけですからね。
まあ、彼に告白することになる他の娘たちは、ヨルカの存在を認知していなかったわけではないので、交際を秘密云々はあんまり関係なかったかもしれませんが。でも、自分の守り方と同様に、希墨との恋の守り方もヨルカのそれは不器用極まっていた、と言えるのかも知れません。
隠したり遠ざけたりするだけじゃあ、強引に突っ込まれてきたとき案外にも脆いものなのですから。
その意味では、ヨルカがひなかから叱咤されて本音をさらけ出してぶつかったことも、希墨がみんなに全部ぶちまけたのも、ヨルカと希墨のお互いの好きすぎる関係にこそ必要で相応しいものだったのではないでしょうか。隠しておくには二人共目立ちすぎるし存在感がありすぎるものあるわけですから。
朝姫がわり食ってると思うのだけれど、大人な対応だったなあ。大人な対応を取ってしまった時点で割って入るのは難しかったとも言えるのかも知れませんが。まあそれが普通の反応だわね。


http://yamata14.web.fc2.com/turezure/ha/haba_rakuto.html

魔界帰りの劣等能力者 4.偽善と酔狂の劣等能力者 ★★★☆   



【魔界帰りの劣等能力者 4.偽善と酔狂の劣等能力者】 たすろう/かる HJ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

最強のランクDがスルトの剣をぶっ潰す!!

『スルトの剣』の首領ロキアルムによる最悪なショーは開始された。召喚された万を超える妖魔の軍勢が、ミレマーの七つの主要都市に襲いかかる。
家族が夢見た祖国、その未来が壊されるのを前に、自らの無力に涙するニイナ。
その姿は祐人が本気を出すには十分すぎるほどの理由だった!!

「お前の計画はこの劣等能力者の……このたかがランクDの偽善と酔狂で! 跡形もなくぶっ潰してやる! 」

最弱劣等の魔神殺しが無双する、大人気異能アクション第4弾!!


伊達と酔狂で戦争をやっていたのは【銀河英雄伝説】のダスティ・アッテンボローでしたか。対して、この堂杜祐人は偽善と酔狂で戦うのだという。でも、彼のそれを偽善と自嘲するのは流石に卑下が過ぎるだろう。彼のそれを酔狂というにはあまりに真摯で直向きすぎる。
義を見てせざるは勇なきなり。
ミレマーという国を救うために、多くを費やし自らの人生を焚べた二人の男の戦いは、彼らの戦いに共感し臥薪嘗胆耐え続けた同志たちの忍耐は、胸打たれる尊さでした。これを義と言わずして何という。でも、これがこの国の中だけの事で完結していたのなら、余計な手助けは必要なかったでしょう。彼らの戦いは彼らのものでもあったのですから。
でも、スルトの剣というよそ者が、この国の人達の思いも事情も何も汲まず、徹底的に無視した上ですべてを踏み躙ろうとしたことは、まさに彼らの戦いを穢すものでした。理不尽で、悪意にまみれた醜い欲望の発露でしかありませんでした。
彼らの悪意に、志半ばに無念に倒れる人が居て、本来流すはずではなかった悲しい涙を流す娘がいました。いつか、別れ離れた行道が交わり、少女には実の父と育ての父という尊敬できる二人の父親が出来て、二人に共に可愛がられ慈しまれるときが来るはずだったのです。
辛い思いを乗り越えて、悔しい気持ちを克服し、約束を遂げて、報われるべきときが、彼らには来るはずだったのです。
それを、あまりにも一方的で自分本意な正義で虫けらのように踏み躙った。それを怒るのに、理由が必要でしょうか。当たり前に抱くであろう当たり前の義憤であり、怒り。これこそ、正しき怒りというやつなのでしょう。
尤も、祐人が自分の行為を偽善と酔狂と称したのは、そんなツマラナイ理由で虫けらのように踏みにじられる無念さを、黒幕に味わわせてやりたい、という想いからのようにも見えたので、決して本気で言っているわけではなかったのかもしれませんが。
でも、あれだけ怒り心頭で激高しきっている姿を見て、偽善や酔狂と思う輩はそうはいないんじゃないだろうか。
怒りという感情は、それだけ火のように激しいものだけにその生々しい激烈さを文章に乗せるのは、案外と難しかったりする。言葉の上では怒っているのはわかっても、その声色を、声の震えを、怒りのあまりの抑揚の欠如を、言葉の中から感じさせるような「生の感情を乗せる」というのは、絶妙なニュアンスを台詞をはじめとする文章に込めることが必要なんですよね。
どうしてそんな感情を抱くに至ったのか、というバックグラウンドをそれまでに積み重ねて起爆剤として溜め込む、というのも勿論必要なんだけれど、それだけではやっぱり爆発の火力が足りなくなってしまうのである。
だからこそ、怒りの表現は、特にこいつは絶対に許さない、という頭が真っ白になるような凄まじい感情を溢れさせた描き方は、描き切られた時にその熱量は読み手にまで火を付けるのである。
そしてその怒りが正しく振るわれ、相手がこれ以上無く徹底的に無様にやられるカタルシス、痛快さ。黒幕のロキアルムがまた、見事なくらいのやられ役というのもあったわけですけれど、今回の祐人の戦いには実に良い「怒り」がノッていました。
神獣連中はせっかくの出陣だったのですけれど、相手が数多いとはいえ雑魚妖魔というのもあってか、こっちはちょっと思ったよりも目立たなくてちょっと勿体なかったかも。驚き役が異能を知らない普通の将兵だと、彼らがどれだけ隔絶しているかというのがわかんないですしねえ。戦闘シーンもあんまりなかったですし。

しかし、またぞろ祐人があの自分の存在が忘れられてしまう、人との縁を消費する力を使ってしまったわけですけれど、縁深い人はもう忘れる事無く覚えていてくれるので、むしろ祐人の正体が他に知られないようになる助けになってるみたいなんですよね。機関にも忘れられているし、今回の大事件を解決した人物が誰なのか、捜査の手もこの場合かなり強引に絶たれてしまう事になるでしょうし。祐人自身は特に工作しているわけではないのに、彼の存在が秘されていくという。
一方で、誰もがその存在を忘れ去り覚えていないにも関わらず、ミレマーで共に彼と戦った人たちの心のなかには、確かに掛け替えのない戦友として顔の見えない誰かの姿が心に焼き付いている。忘れていても、決して忘れられない英雄の雄姿。図らずもそれが裕人のヒーロー性を色濃くしている一因にも見えるんですよねえ。

にしても、なんか、この祐人忘れられ事件の一番の被害者が、本人の祐人じゃなくて彼の日常パートをサポートしてくれている親友の一悟というのがかわいそうと言うかなんというか。純粋に友情から、彼の無断欠席をフォローしてくれていただけなのに、この扱いはちょっとかわいそうだぞw
彼、マリオンと瑞穂が襲来してきたときも、幼馴染の茉莉との間に仲裁に入らされて場合によっては祐人よりもひどい目に合いそうなんですよねえw なんか、そういう星の下に生まれてそう。
ってか、祐人はマリオンと瑞穂が自力で思い出してくれたの嬉しかったのはわかるけれど、唯一祐人の事を忘れずにいる茉莉が起点に思い出してくれた一悟や静香とはまた別に、茉莉関係なく起点なく思い出してくれたから特別!みたいな言い方をしてしまったら、そりゃ彼女らいい気分なっちゃうじゃないですか。この微妙に口がうまいというか無意識にノセてしまうところは禍の元ですよ、うん。
しかし、瑞穂とマリオンはともかく、ニィナまで引き続きヒロインとして参戦というのは予想外でした。そこまで深い付き合いでもなかったですし、現地のゲストヒロインという立場かと思ったのに。ここまで片っ端から出てくるヒロイン拾って落とさないようにしてたら、ちょっとヒロインの数がえらいことになりそうなんですけど。同居の神獣たちだってたくさんいるのにねえ。
次回以降、瑞穂たちに学校と住所を教えてしまった以上、襲来してくるのは間違いないでしょうし、そうなると今まできっぱりと分けられていた異能者パート、学校パート、自宅パートがついに合流することになるのでしょうか。どう顔を合わせても修羅場になりそうw


フシノカミ 3〜辺境から始める文明再生記〜 ★★★★   



【フシノカミ 3〜辺境から始める文明再生記〜】 雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

失われし航空技術を取り戻す!

『古代文明の伝説にあるような便利で豊かな生活』を今世に取り戻すため、領都イツツに留学したアッシュは、堆肥とトマトの食用化問題に一区切りをつけていた。
さらに、人狼との戦いで負った傷も癒え、アッシュは再び都市全体の生活水準向上を目指す。
そのさなか、アッシュが所属する軍子会では、少年ヘルメスの夢が嗤われていた。騒ぎの原因は、ヘルメスが手にしていた歪で不格好で――
しかし、精緻な細工物。それは、紛れもない航空機の模型だった。
自動車どころか内燃機関すら存在せず、絶対に空を飛べないと口々に嗤われる中で、ヘルメスはただ一人、諦めることなく空飛ぶことを夢見ていた。
空へ思いを馳せるヘルメスに感銘を受けたアッシュは、彼を嗤う人を見返すため、そして自身の夢のためにも、ヘルメスとともに航空技術の再現に挑む――!
理想の暮らしを手にするため、世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚、第三幕!

さらっと触れられているだけでまだ突っ込んだ問題にまで取り上げられてはいないけれど、地下資源の類が古代文明時代にほとんど取り尽くされてしまっているのではないか、という推論はこれアッシュの高度な文明水準を取り戻すという目標に相当な障害になっていまうのではないだろうか、これ。石炭や石油などの燃料資源もそうだけど、鉱石のたぐいも殆どないとなると、なるほどなあ。石材が重要視されるのも無理ないのか。
ともあれまずは一歩一歩……その一歩の幅がやたら大きくて超大型人型決戦兵器並の一歩な気がするし、歩く速度も競歩だろうそれ、という速度なのだけれど、それでも一歩一歩、ちゃんと足場を確かめ固めつつ進めるアッシュ。まずは煉瓦関係を進めようとしていた所に、独自に航空機の研究を行いこの時代に古代文明時代の伝説であり実在すら疑われていた飛行機械の再生を目指すヘルメスと出会い、彼を応援するためにまず人の手で空を飛ぶ飛行機模型を作成することに。
目に見える形での伝説の再現。そして、同世代の同じ古代文明の再現を目指す同志を仲間に加え、様々な分野の人の協力を仰ぐことで、領都全体が新たな時代へとステージを進めることへの熱量、機運が盛り上がっていく。
アーサーにもアッシュが強調して言っていたことだけれど、彼は本当に何でも一人でやっているようで、協力者を見つけること、手伝ってくれる人を集めることをいとわないどころか、むしろそれを重視しているんですよね。自分の目指す夢が、決して一人では出来ないことを知っているのである。
この何もかも乏しく足りなく生きるだけで精一杯な時代に、ただ生きること以外の事にかまける事、夢を見て夢を追いかける事がどれだけ難しいか、彼自身ユイカさんの読書会に招かれるまで死んだようにこの時代を生きていたからこそ、身に沁みて分かっているから。
無力感も絶望も諦観も、ずっとずっと抱えていたからこそ、その苦しさ辛さ、悔しさを知っている。
だから、彼は夢追い人であると同時に自分と同じように、夢を追おうとして挫折しようとしている人、理不尽に膝を屈しようとしている人、無理解に悔し涙を流している人に、手を差し伸べる事を惜しまない。そこでうつむいている人たちは、かつての自分だからこそ。
そして、そんな夢追い人たちは皆総じて、アッシュが抱く夢の助けになる人だからこそ、彼は人情と打算を全開にして、全力で彼らを自分の夢に巻き込んでいくのである。
それも、無責任に巻き込むのではなく、アフターケアまでびっしり揃えた上で万全の体制を用意した上で、なので居たせり尽くせりである。それに、一方的じゃないんですよね。何も考えずに自分について来い、という牽引型でもない。
自分で考え、自分で立ち、自分で歩き、その上で自分を助けてくれたら嬉しいな、と後ろではなく横に立って一緒に歩いてくれる人に惜しみない笑顔を向けるのだ。
だいたい、その笑顔にやられるのである、どいつもこいつも。
だから、誰も彼も手を尽くしてアッシュに協力するけれど、それはアッシュの案件という他人事じゃないんですよね。みんな、自分のこと、自分がやりたいこと、自分がやりがいを感じていること、自分が成し遂げたいこと、自分がたどり着きたいこと、そんな風に自分のことだと胸に抱いて、志して、アッシュを手伝うのである。だから、みんな笑顔なのだ。充実した顔をしているのだ。楽しそうに、ウキウキと、目の前に積み上がっていく課題だの問題だのに悲鳴をあげながらも、そこに挑んでいくのだ。
領都イツツそのものが、明るい笑顔で溢れていく。

しかし、アッシュ論については今回の領主代行のイツキ様の見解が実にわかりやすく簡潔で納得の行くものでしたね。起承転結ぜんぶアッシュが担っていると。アッシュが問題を起こし、アッシュが問題を承り、アッシュが問題を転がして、アッシュが問題を解決している。ある程度その問題が周知され例えばイツキの元にまで報告が上がってくる頃には、もう問題は完結してしまっているわけだ。だから、信頼できる部下たちからは、問題ありません、という報告しか来ない。もう意味不明の混沌としか言いようがないわけわからない出来事があったにも関わらず、だ。
なんかもうドッタンバッタン大騒ぎで目が回りそうな大事に振り回されたはずなのに、なんかもう何事もなかったかのように安定して落ち着いた結果が一緒についてきて、なんかもうナニゴトー!? と目を白黒させるしかないんですよね。
イツキ様が毎度、報告を聞く度に「ひらがな」でしか喋らなくなるのも、うんわかるわかる。
これだけなら、トラブルメーカーという事でアッシュの事はちょっとコイツどうなの? と成果をいくら上げたってドン引きしてしまう所もあるのだけれど、同時にこの少年は粋と侠気を兼ね備えた気持ちのいい男でもあるんですよね。
この少年がアーサーの事を実は最初から察していて、でも何も聞かず問わず受け入れてくれていた事。そして今、アーサーのもとの危機が訪れようとしているときにも、何も聞かずあの子の事を助けようとしてくれている事、そしてそれをイツキにも知らせて安心させようとしてくれたのに気づいた時の、あのイツキさまの感動は、この少年の心意気への痺れるような感慨は、読者である自分のそれでもありました。
アーサー自身へのアッシュの言葉も、この娘が感じていた負い目を全部無しにして、前を向かせてくれる事で、この娘が必要としていた言葉や思い、全部満たしてくれたものだったんですよね。アッシュに語らせたイツキさま、グッドジョブである。
んでもって、アーサーの女の子としての部分、恋する少女としての気持ちまでは今のアッシュは受け止められないものだったけれど、それをきちんと整理して封じさせてしまわず大切に宝箱にしまわせたのがマイカだった、というのが……色んな意味でマイカはアッシュのパートナーだよなあ、と思わせてくれました。アッシュじゃどうしても出来ないことを、マイカが全部フォローしてくれるのですから。
この幼馴染、最初はそこまで出来なかったのにねえ。領都に来てからマイカは、本当に努力してアッシュをどんな風に助けられるかを考えて考えて、自分の成長する方向を完全にしてみせたんですよねえ。その方向性が、母親のユイカさんそっくりだった、というのは実に面白いところでありますけれど。
あのアッシュを見事にコントロールして、同時に彼が欲したものをあらゆる手を尽くして用意してみせた手腕は、本気で領主位引き継いでも不思議でないくらいのクオリティに、既に現状で至りつつあるんですよねえ。この娘、本気で自分をアッシュに釣り合うまでの高みに駆け上がるつもりだ。

恩師でもあるフォルケ神官が王都に戻り、アーサーもまた王都へと帰ったことで、次回以降王都関連の話になってきそうな予感。この領都イツツはいる人みんなイイ人で、同時に有能で聡く気持ちの良い人たちばかりだったので、楽しかったのだけれど、さていつまでここを舞台に遊んでいられるのか。マイカは、どこまでもついていけるのか。なんにせよ、どうやったってアッシュの行く所大騒ぎになるわけですから、ある意味安心して楽しみに出来ます。



現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変 1 ★★★★☆   



【現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変 1】 二日市とふろう/ 景 オーバーラップノベルス

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

「北海道開拓銀行を買収するわ」

2008年9月15日、リーマンショック勃発。
ある女性もまた時代の敗者となり――現代を舞台にした乙女ゲームの悪役令嬢・桂華院瑠奈に転生!?
時はバブル崩壊後の金融機関連鎖破綻前。
少し違う歴史を歩んだ世界で過ごす瑠奈は、大学進学に悩むメイドをきっかけに桂華グループの財政状況を知る。
このままでは破滅の一途を辿るばかり。
身内を救うべく執事の橘と向かった極東銀行で一条支店長を巻き込み、瑠奈は前世の知識を元にハイテク関連の投資を行う。
そうして得た莫大な利益で、これからの生活に安堵したのもつかの間――。
「助けてください。お嬢様」
北海道開拓銀行に勤める銀行員の土下座から訪れた日本経済最大の試練――不良債権による連鎖破綻の悪夢が襲いかかる。
「ならば、手は一つしかないわ」
報われないかつての『時代』の流れに抗うため、瑠奈が打つ起死回生の一手とは……!?
「小説家になろう」発、現代悪役令嬢日本再生譚!

ライトノベルの皮を被った歴史のIFを辿る架空戦記、ここに爆誕!
いやまさか、書籍化なるにしてもオーバーラップから出なさるとは思わなんだ。あらすじ読んでご覧なさいよ、冒頭から最後までそこらのライトノベル、悪役令嬢もののあらすじとは書いてある事が全然違うから。少なくとも、リーマンショックとか金融破綻とかの単語を悪役令嬢もので聞いた事はなかったなあ。
所謂ところの内政モノの一種でありますが、それを現代日本でやってやろうという途方も無い挑戦。異世界じゃないですよ? 歴史の彼方にある中世じゃないんですよ?
戦国時代でも幕末でも日露戦争でもない、第一次世界大戦でも第二次世界大戦でも戦後昭和の時代ですらない。
平成! 平成です! あのバブル崩壊後の失われた20年を舞台にした、これは政経シミュレーションノベルなのです。出来るのか、そんな事!? 現代を舞台に政経架空戦記なんか出来るのか!? と、本作がウェブ上ではじまった時には目を疑ったものです。
何しろ、情報が桁違いに多い。ある程度、パターンが構築され資料が集約され評価が固まりだしている戦国時代やWW兇里修譴箸呂錣韻違う。正直、今まで自分たちが生きて歩いてきた平成という時代を、自分たちは正確に把握しているのだろうか。あの時、あの時代、平成のあの頃、何が起こっていたのかすら、知らないし分かっちゃいない。でも、そういうものでしょう? だって、まだ平成は自分たちにとって「歴史」ではなく、「過去」だったのですから。
それがひっくり返されるわけですよ。過去が改変されるのです。それを、この作品で、この物語で目の当たりにしてしまった衝撃、今なお忘れられません。
知らなかった、過去になった時間はもういつだって「歴史」足り得るのです。

本作を手掛ける「二日市とふろう」さん。これはデビューを期に定めた新しいペンネームで、以前は「北部九州在住」を名乗ってウェブ上に作品を発表している方でした。この名前ならご存じの方も少なくないでしょう。
戦国系架空戦記の傑作中の傑作【大友の姫巫女】の作者さんです。この作品、鎌倉時代から続く九州地方の地縁血縁の闇を描いたり、日本の戦国時代を世界史の中での重要な地域と位置づけて描いた先駆の一つだったり、と他の戦国モノと一線を画する要素は多々あるのですが、特に印象的だったのが経済感、戦国時代の中で金融というものを極めて大きな要素として描いていた点だったんですね。実際の合戦の裏で債権が飛び交う仕手戦を描いてみせた人はこの人しか知りません。
思えば、この頃から既にこの作者さんのワザマエはここにあったんですなあ。「銭」に対する価値観が普通の人とまるで違っていた。
それがそのまま、膨大博識な現代の経済史・金融史・政治史へと繋がり、この現代日本、ひいては世界経済と国際政治が激動する時代の流れに挑むこの作品へとたどり着くに至ったのだ。

ちなみに、この物語の舞台となる「世界」はちょっと本来の史実と流れが変わっております。WW兇任硫そ戦線ノルマンディー上陸戦が失敗に終わったことで、バタフライエフェクトが起こり、日本は史実のイタリアさながらに「降伏」し、世界大戦最終盤に連合国側へと鞍替え。その後のバタバタで華族制度がしぶとく残り、財閥解体はなされず、樺太を首都にした東側国家として北日本共和国が分裂立国。朝鮮戦争ならぬ満州戦争が勃発、と紆余曲折をたどり、近年北日本の崩壊によって統一がなされたものの、北日本の経済難民が流れ込み、ロシアと繋がったアングラマネーが政財界に食い込み、と北の負の遺産が今なお日本を蝕む状況。
主人公である桂華院瑠奈もまたロシアの血を引き、華族制度と北側との闇によって実父が不慮の死を遂げ、というその生まれから闇を抱えた存在。その生まれの業、蒼き血の呪縛は自力で金と地盤を確立した彼女をなおも長く苛み続けることになるのですが、この一巻ではまだそれも入り口くらいまで。うん、これで入り口くらいまで。
彼女の生まれに纏わる業は、もう少し彼女が成長してから本格的に襲ってくることになるので、まだ幼稚舎から小学生に入学、という頃はそこまでは、そこまでは。
誘拐、とかそれ関係でされかかったりもしていますが。
そして、小学生にしてこの娘、数千億のマネーを右に左にと動かしまくっているのですが。
でも、桂華院瑠奈のアイデンティティというのがまた壮絶にしてかっこいいんですよね。彼女は金の亡者ではない。金銭欲や権力欲とは程遠い存在である。でも、彼女の前世の記憶にある、時代の流れという個人では抗いようのない暴力によって儚く押しつぶされた、人生を破滅させられた敗北者、敗残者としての記憶が、悔しさが、理不尽に対する怒りが、彼女の原動力なのだ。
自分ひとりの復讐ではなく、かつて自分と同じように時代の流れに無慈悲に、誰にも助けられる事無く潰されていった無数の人々。そう、みんな自分と一緒、かつての自分と同じ。
自分ひとりが勝ち上がっても、それは果たして勝利なのだろうか。自分を踏み躙ったモノ、時代そのものに対する勝利なのか。
自分の遠縁に当たる女性で、自分を支えるメイドさん、その息子が。コネを嫌って自分の力で努力し就職した銀行で頑張った末に、母のコネを頼りに破綻を免れるために小学生にもならない自分のような小娘に土下座して、助けを求める青年の姿に。かつての自分の惨めな最期を幻視して。
彼女は、瑠奈は怒りに奮い立つのだ。この人はかつての自分だ。時代に破れたかつての自分だ。努力しても報われない社会を生み出した時代の流れに、彼女は怒るのだ。
悪役令嬢として、正しく主人公に破れて破滅する。それは幾らでも受け入れよう。でも、こんな光景を見たくて悪役令嬢の役を引き受けたんじゃない。
「私が負けるのは主人公だけだ!」
「時代なんてどうしようもないものに負けたくない!」

かくして彼女は立ち上がる。かつての自分たちを救うため。
日本経済を救うため。

「北海道開拓銀行を買収するわ」

このフレーズを、この台詞をこの作品の代名詞として抽出したのは、文句なしにスマッシュヒットだと思う。この作品、この物語の肝を、実に的確に捉えたからこそのセレクションだったと思う。
まさにここから、小さな女王・桂華院瑠奈の戦いははじまったのだから。


しかし、あの悪夢の金融機関連鎖破綻で一番有名というか、マスメディアでも名前が取りざたされ飛び交ったのは山一證券だと思うんだけど。門外漢で特にそっちに関心があったわけでもない自分でも山一證券を巡る一連の報道は印象に強く残ってますし。
いや、本作では「一山証券」ってなってますけどね。
その不良債権の額が2600億円なのに対して、北海道拓殖銀行……本作では北海道開拓銀行、はその額なんと2兆3000億円。
……これ、破裂したんでしょ? したんですよ。そりゃ、北海道頓死するわ。
というか、本作においてさえこれって序の口、はじまりに過ぎないんですよね。
このあとも、これでもかこれでもか、と様々な金融機関、大企業の不良債権問題が持ち上がり、それを瑠奈さまが快刀乱麻、というには色々と泥臭かったりもするのですけれど、片っ端から片付け、救済し、合併し、とやっていくわけですけれど。やってもやっても、全然なくならないんですよ。幾らでも出てくる、まだまだ出てくる。
これ、本作では瑠奈さまがなんとか辛うじてセーフティゾーンに蹴り込んでいるんですけど、史実においてはこれらの爆弾、全部炸裂したんですよね。全部、イッちゃったんですよね……。

……むしろ、なんで日本まだ生き残ってんの?
と、言いたくなるんですけど。いやマジでこれ、読めば読むほど青ざめていくというか、日本失われて当然と言いたくなるというか、そりゃ大蔵省がなくなるよね。
ここから日本のみならず、アジア通貨危機にロシア金融危機に、と世界経済そのものがつんのめり出すわけで。うん、こと現代においては経済は一国で完結しているものではなく、密接に世界中と繋がっているわけで、日本経済にこれだけ深くコミットすれば、必然的に世界と、アメリカとも関わることになる。当然、官庁は黙ってみていないし、生き馬の目を抜く政治家たちもこれを見逃さない。
政治の季節の到来であり、謀略の糸も絡みだす。
尤も、良いように振る舞わされるお嬢様ではなく、むしろ何を相手にしようと主導権を握り続ける彼女が「小さな女王」と呼ばれるのは必然だったのでしょう。
当代の政治家たちが絡みだすことでまた、面白くなってくるんですよねえ。後に彼女の最大の壁となる政界のトリックスター、恋住総一郎。末尾にて満を持しての登場である。
その前に、渕上さんが登場するのですけど、この人も見逃せないんだよなあ。平成オジサン。

ちなみに、さすがに舞台となる時代が近すぎるせいか、登場する人物にしても企業にしても、本来のそれからは名前変えられています。でも人名の方は大体見たらわかるようになっていますし、企業の方もマメに本社の所在地とか一緒に描写されているので、それも踏まえて検索すると大体すぐわかるようになってるんですよね、これ。岩崎財閥なんかは、わりとまんまでしょう。創業者の名前ですし。

個々のエピソードとしては、やはり資源調達部の藤堂社長と、図書館の魔女高宮晴香さんのお話が、人物の深みと人に歴史ありという味わいを感じさせてくれるもので、良かったなあ、と。
一発で終わらずに、度々同じ人でも違う角度から掘り下げてくれると、より人物に味が出るんですけどね。

平成時代の日本を舞台にした日本経済再生譚。当時を詳しく知らなくても経済だの政治だのに興味がなくても、瑠奈お嬢様を起点とする数千億、兆にも至る金が飛び交い、国際情勢の闇がせめぎ合う、あまりにもダイナミックで、想像の範疇を越えていく展開は、手に汗握る熱量でワクワクが止まらなくなるでしょう。
失われたはずの可能性が、小さな少女の手によって掬われ取り戻されていく怒涛の展開は、胸をすく痛快さでしょう。
魑魅魍魎が跋扈する政界、財界、官界と真っ向から対峙する火花飛び散る駆け引きは、痺れることこの上なし。

さあお読みあれ、ここにはあり得ざる平成日本が顕在している。とびっきりの面白さだ!



PS:一巻発売記念SSが特設サイトにて公開されているようです。これもまた一人の女性の人生を通じて時代の流れを感じさせる情緒的なお話で、染み入りました。


探偵くんと鋭い山田さん 2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる ★★★★★  



【探偵くんと鋭い山田さん 2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる】 玩具堂/悠理なゆた  MF文庫J

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

可愛くて鋭い山田さんの学園ミステリー、第二幕!

山田姉妹と戸村に今日も奇妙な事件(相談事)が寄せられる。我が校の卒業生でもある副担任のさぁや先生の依頼は、彼女が高校生のときに起きた「原稿消失事件」。文芸部の部誌に載るはずだった直前に消えた状況は、確かに不可解で……?あいかわらず平常運転で絡んでくる雨恵と雪音の山田姉妹につつかれながら、またも俺は矢面に立たされるのだった。
だんだん雨恵と雪音の性格も把握してきた2人の距離感は……やっぱ、近すぎるよね!? そして赤面してるよね!? 可愛くて鋭い2人の山田さんと俺とで解き明かす、ちょっと甘めの学園ミステリーラブコメ、第二幕!「よし! プールで推理しよう!」ええっ!?

この作者さんって、ほんと女の子の「素足」好きですよねえ。玩具堂さんの描く作品の歴代ヒロイン、みんな学校でも靴下脱いで素足で足ブラブラさせてるんですから。この二巻ではカラー口絵で机の上に素足で腰掛ける雨恵のイラストが。戸村くん、結構がっつり生足見てるのですけど、たしかにこれは思わず目が言ってしまう脚線美。
さて、今回探偵三人組に持ち込まれてきた3件の事件。ネットゲームの中の人を特定して欲しいという依頼。先生が高校生の文学部時代に消えてしまった小説原稿消失事件の真相を探れという依頼。そして、SNS上での素性も知らない友人を現実で見つけてくれ、という依頼。
どれも、手がかりらしい手がかりもない所から、僅かな情報を頼りに山田姉妹と戸村くんとで顔を突き合わせてワイワイガヤガヤと大騒ぎしながら真相を解き明かしていく、これがまた面白い。いや本当に面白い。
どれもこれも、あるのは断片的な情報だけなんですよね。
ネットゲームの中の人当てなんか、オフ会で実際に顔を合わしているものの、そのオフ会の様子も依頼者からの又聞きな上に大した情報なんて全然ないように見えるんですよね。
先生の原稿探しも、事件自体はもう何年も前に終わってしまっていて、原稿がなくなった状況とその失われた短編小説について書かれた先輩方の評論しか手がかりがない。
最後のSNSの依頼に至っては、SNSにアップされた風景写真くらいが手がかりだ。
これを三人協力して、というよりも役割分担なんですよね。雨恵、雪音、戸村と三人ともこなす役割が違っていて、それが謎をとき、説いた謎をもとに事件を解決して、大団円という所まで持っていく形になっている。ろくに情報もない所からジグソーパズルを組み上げるみたいに真実を見出すこと自体は天才肌の雨恵が拾い上げるのだけれど、その説いた謎をもとにちゃんと関係者みんなが納得する形で事件を解決する、或いは着地させるのって戸村くんであり、その筋道を準備するのが雪音なんですよね。これ、1人でも欠けると事件が解決しました、ってことにはならないんだよなあ。
うん、この三人というのがいいんですよね。
山田姉妹が両隣の席にいて、戸村くんは挟まれた二人の間の席にいる。ただそれだけなら、仲の良い姉妹はどちらかの席まで回って移動しておしゃべりしてればいいのです。でも、この双子は間に戸村くんを挟んだまま喧々諤々喧嘩したり仲良く会話したり、と戸村くんの頭越しに、或いはその目の前でコミュニケーションを取って、その中に自然と戸村くんを巻き込んでいくのである。
間に挟まれて喧嘩されて、困り顔で仰け反る戸村くんの顔が容易に思い浮かぶほどに毎度のごとく。
ついでに、この二人、わりと遠慮なしに戸村くんと距離詰めるんですよね。近い近い、と言いたくなるほど。特に顕著なのが雨恵の方で、靴下脱いだ素足で戸村くんの膝をグリグリと踏んでみたり、肩の上にぽんと顎を乗っけてみたり、人が喋ってる間に顔を突っ込んできて間近で覗き込んできたり。距離が、近い!
一方の雪音こと雪さんも雨恵ほど露骨でないけれど、むしろ余計無自覚な所があって無防備にグイグイと顔を近づけてきたり、雨恵と掴み合い取っ組み合いしてる最中に身体押し付けてきたり、とだから距離近いってw
年頃の男の子からすると、この二人の物理的距離感の近さはなんかもう仰け反ってしまうものがあると思うんですよね。片方は言うと余計に面白がりそうだし、もう片方は言ってしまうと赤面してでもしばらくするとさっぱり忘れて同じことを繰り返しそうな無防備さだし。悩ましい、嬉しいけど悩ましい、という感じになっている戸村くんが何とも微笑ましいばかりなのです。
決して明確な台詞で語られることはないのだけれど、うんこれ毎回玩具堂さんの作品では語ってしまうのだけれど、言葉ではなくて仕草で心の動き、心理描写、その時の感情が伝わってくるんですよね。一話目なんかでも、PC画面を見るのにこの双子、同じ椅子に仲良くちょこんと二人で座ったりするのですけれど、話が進んでいく過程で会話内容とは別に最初は仲良く寄り添ってたのが、途中からお互い尻を押し合って相手押しのけようと押し合ってたり、とほんと落ち着かないわけですよ。特に雨恵なんかいつもグデーっとしてるのだけれど、一瞬たりとも落ち着いていなくて、いろんな動きを会話とは別の所でしているわけです。それは同時に、その瞬間瞬間の彼女の気分も示していて、それが雪音たち他の人たちも同様に細かく仕草とか態度が描写されているものだから、台詞なくても掛け合いがなくても、その場の空気感の変化がリアルタイムで感じ取れる。
まさに、目に浮かぶように彼らの姿が見えるんですよね。
これだけ細かく、ただのおしゃべりのシーンで個々の人物の仕草とか表情の変化とか些細な動き、目線なんかを描写する作品というのは決して多くはないのではないでしょうか。少なくない作品が、会話は会話だけでそのシーンを描写しきろうとしてしまう。情景描写は舞台というだけで、登場人物の内面まで表現するものではないからでしょう。
でも、本作はまさに細部に神が宿っている。ほんの小さな表情の変化や、雨恵の突拍子もない動きや、雪さんの何気ない仕草が、キャラに生気を帯びさせるのである。その場の空気に風を感じさせてくれるのである。そうして伝わる心の動きが、この子たちをより生き生きとさせてくれて、そこから伝わってくる彼ら自身言葉にし切れない感情の弾みが、たまらなく彼らを可愛らしくみせてくれる。
ほんと、瞬間瞬間にたまんねー、と悶絶してしまうシーンがあるんですよねえ。
そうして浮かび上がってくるのは、山田姉妹が戸村くんに抱く彼女ら自身がまだ理解していない特別な気持ちである。それは姉妹への対抗心も相まって、複雑怪奇に入り組んで、思わぬ仕草となって発露するのである。それを実に細かく鮮やかに、でも囁かにさり気なく描いてくれるから、すぅっと空気感として染み込んでくるんですよねえ。
いや、ほんと好きだなあ、この作品は。
雪さん、たけのこを戸村くんの口に押し込んだ雨恵に対抗心燃やすのはいいけど、手ずからキノコチョコをあーんと彼の口に放り込むのは、相当に大胆だと思いますよ。
プールで三人、熱い夏に頭を冷やして推理するためと称して水被せ合いながら遊んでるのなんて、そりゃまあ三人でイチャイチャしてるようにしか見えんわなあ。山田姉妹、水着にシャツという凶悪装備でしたし。
でも、そんな山田姉妹にもそれぞれ抱えているコンプレックスみたいなものがあり、周りと馴染めないものを抱えている。そういう自覚しているウィークポイントを、この戸村くんはさり気なく包み込んでくれるわけですから、双子ともこの隣の席の男の子に対してなんかこう言いようのない特別感を抱いてしまうのも無理ないわなあ。
雪さんの方はこれ、わりとストレートに男の子として意識しだしているようにも見えるけれど、雨恵の方だって特殊な性癖……と言ってしまうとあれだけれど、お気に入りと言って憚らないようですし。
その戸村くんも、探偵というお仕事に対して思う所ありながら、いや嫌悪に近いものを感じていたものの、山田姉妹と探偵をやっているうちにそれを楽しいと思い始めていたことへのもやもやをずっと抱えていたわけですけれど、三件目の事件、あれはだいぶセンシティブ、繊細な心の機微に踏み込む事件であったけれど、それを通じて仕事としての誰かの秘密を暴き出す探偵業ではなく、知恵を出し合い人の複雑な関係が織りなす謎を楽しむ、さぁや先生が保障してくれた言葉をもとに、そしてこれまでの探偵してきた体験を胸に、彼なりに探偵するということへの答えが出たことは、さて、さて、うん、うん。

さても、偶然席替えによって成立した双子と戸村の奇妙な共有空間、共有時間。でもそれは次の席替えによって必然的に終わってしまうもの。偶然は続かない。
もし、それでもその席が、この構図が続くのなら、それは必然だ。みんなが望み、本人たちが望んだものだから。
皆が探偵を欲し、本人たちも探偵を楽しむことを選んだから。
三人一緒に、三人で。双子と彼で探偵だから。



やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく ★★★★   



【やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく】 ふか田さめたろう/ ふーみ   GA文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

白金小雪。美少女だが毒舌家で「猛毒の白雪姫」と呼ばれる彼女をナンパから救った笹原直哉は、彼女が強がりと嘘で武装しただけのか弱い少女に過ぎないことを知る。
颯爽と助けてくれた直哉に一目惚れした小雪と、小雪のいじらしい態度に一目惚れした直哉。素直になりきれない二人は、お互いの「好き」を確かめるために少しずつ心を通わせていく。
WEB小説発、ハッピーエンドが約束された、甘々ラブコメディ。
帯での小雪さんの発言は明らかに強がりですね。
速攻でめっちゃ好きになってるじゃん!! チョロい。これはチョロい。
ただ、察しの良いを通り越してこいつ読心能力か異世界言語翻訳能力かニュータイプなんじゃないか、というくらい本当の気持ちを察する事の出来る主人公、直哉の方も最初はキツい言動とは裏腹に本当は優しくて恥ずかしがり屋な小雪を微笑ましく見守っているのだけれど、ある時に彼女へ向けられる自分の温かい気持ちが庇護欲や友情とは一線を画した、恋心だと気づくんですね。
他人にはやたらと察しがいいのに自分の感情には鈍感だったと言えばいいのか、それとも些細な自分の反応や彼女が他の男性と話しているのを見て焦る感情を抱いていることから、あれ?自分これ彼女のことを異性として好きだぞ!?と気づいた事にやっぱり察しがいいと言うべきなのか。
ともあれ、小雪の事好きだと認識した途端からの直哉の反応がまた、可愛いんですよ。
強がりを片っ端から直哉に笑顔で叩き潰されて本心指摘されて、ボロ出しまくってあわあわとすぐにポンコツになって赤面してしまう小雪も凄く可愛いのですけれど、好きと自覚した途端冷静さも何もかも吹っ飛んで、情熱のまま勢いで好きだー!!と告白してしまう直哉もこれ、男の子として非常に「かわいい」んですよね。
他人に対して察しがいい、というのはある意味上から目線にもなりがちになってしまう特技だと思うんですよね。本人がどれだけ善人だったとしても、先回りして相手の本意を掴んでそれに基づいて言葉を投げかけたり動いたり、というのはどうしたってマウントを取る、という事に繋がってしまいますしね。だからこそ、この直哉くんは温厚で控え目でありいつもにこにことしてあまりプレッシャーを与えないように心がけた態度をしていたように思うのだけれど、好きを自覚した途端、ほんとに年相応の余裕のない男の子になってしまったんですね。
まあ余裕なくなった、と言っても決して相手に対して暴走して無理やり押し通すみたいな余裕の無さではないのだけれど、いやもう小雪のこと好きすぎるだろう、というくらいに好き好き光線を出しまくって彼女の言動に一喜一憂して浮かれている姿が本当にいい男の子だなあ、と。
察しがいいものだから、小雪のキツい発言についても本意を絶対に間違えないから、喜ぶばかりだし。テンションずっと高いままだったぞ、この子。
そして、本当に遠慮なくグイグイ行きだすのである、この野郎w
まあ、友人であった頃も遠慮なくグイグイ行ってたのだけれど、好きを自覚した時に初っ端衝動のままに怒涛の告白で迫ってしまった為に、ただでさえキャパ無い小雪は速攻でHPがゼロになってパニックになって逃げ出してしまった挙げ句にしばらく恥ずかしさのあまり引きこもってしまったので、それはそれは反省して無理矢理の告白はせずに、グイグイ行きながらも感情任せに押しすぎない、という絶妙の塩梅で加減するようになるのですが、それでもグイグイ行くもんなあ。
そして、まんざらでもない小雪さん。というか、嬉しくてたまらない小雪さん。告白とかされると精神が虚弱すぎて死ぬけれど、それでもグイグイ来られてあわあわしながらもそれが嬉しい小雪さん。
完全に傍目、ラブラブカップルである。犬も食わないカップルである。もうまだ付き合っていない、という以外完全にカップルである。お互い、ちょっと好きすぎやしませんかね、この二人。

だがしかし、本作において最高にチョロいチョロインは小雪ではなかったのである。
何故かほぼ小雪と同じシチュエーションで直哉に助けられてしまった小雪パパ。彼が娘と付き合っている(付き合ってない)彼氏だと知らないまま、直哉の好青年っぷりに一目惚れし、喋れば喋るほど好感度が鯉の滝登り。そして彼が娘の彼氏(彼氏ではない)だと知った途端に、テンションMAX。
即落ち攻略完了である。
いや、完全に娘よりも堕ちるの早かったですよ、このお義父さん。小雪のチョロさは明らかにパパ譲りである。ママさん、わりとこのパパ落とすの簡単だったんじゃないだろうか。
妹ちゃんの方も、姉のチョロさを危惧していたため、仲良くなったという直哉の本性を危惧してちょっかいかけてきましたけれど、彼女の場合はチョロいというよりも物分りが良い、というタイプでしたし、シスコン気味だけれど決して独占欲が強いわけではなくて、むしろ姉が幸せになれば嬉しいというタイプなんですよね。というよりも、間近でラブラブしているのを見物しているのが楽しいタイプというべきか、ポップコーン片手に囃しながら観戦するタイプというべきか。
ともあれ、白金家に反対勢力は皆無、どころか既にパパさんは「お義父さんと呼びなさい(対面初日)」状態で、結婚前提のお付き合いという認識である(付き合っていない)。
まだ付き合っても居ないけれど、近々結婚予定という認識で家族友人関係者が一致してしまっているんですが、この二人。そして、当人同士もそれでまんざらではなく、毎日ほぼほぼ恋人さながらのイチャイチャっぷり。常に一緒だし、デートもするし、小雪の家には通うし、お互い下の名前で呼び合って悶てるし。
まだ付き合っていないだけで。
……お付き合いするって、なんだろう? 意味がゲシュタルト崩壊起こしそう。
なにはともあれ、この初々しくて素直になれないようで二人共思いっきり感情素直なラブラブカップル、見ていてほっこりする温かさで幸せのおすそ分けを頂いたような心地でありました。
これ、続いたとしてもひたすらラブラブイチャイチャしてるのを見せつけられるんだろうなあ。でもまあ、それが良し。

魔女と猟犬 ★★★★   



【魔女と猟犬】 カミツキレイニー/LAM   ガガガ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

使命は、厄災の魔女たちを味方につけること

農園と鍛冶で栄える小国キャンパスフェロー。そこに暮らす人々は貧しくとも心豊かに暮らしていた。だが、その小国に侵略の戦火が迫りつつあった。闘争と魔法の王国アメリアは、女王アメリアの指揮のもと、多くの魔術師を独占し超常の力をもって領土を拡大し続けていたのだ。
このままではキャンパスフェローは滅びてしまう。そこで領主のバド・グレースは起死回生の奇策に出る。それは、大陸全土に散らばる凶悪な魔女たちを集め、王国アメリアに対抗するというものだった――。
時を同じくして、キャンパスフェローの隣国である騎士の国レーヴェにて“鏡の魔女”が拘束されたとの報せが入る。レーヴェの王を誘惑し、王妃の座に就こうとしていた魔女が婚礼の日にその正体を暴かれ、参列者たちを虐殺したのだという。
領主のバドは “鏡の魔女”の身柄を譲り受けるべく、従者たちを引き連れてレーヴェへと旅立つ。その一行の中に、ロロはいた。通称“黒犬”と呼ばれる彼は、ありとあらゆる殺しの技術を叩き込まれ、キャンパスフェローの暗殺者として育てられた少年だった……。
まだ誰も見たことのない、壮大かつ凶悪なダークファンタジーがその幕を開ける。

初っ端からハードモードすぎる!
いや、ハードモードを攻略するために魔女を集めようとしたら、結局ルナティックモードに入ってしまった、というべきか。
最初から実は詰んでいたのを、現実のものとして突きつけられたというべきか。
表紙の魔女は、明らかに見るからに見た目からして危険極まりない危険人物である。そもそも話が通じるかどうかも怪しい風貌をしている、正気とは思えない目をしている、まともな言葉を弄するのかも信じられない舌をしている。
こんなのを、味方につけるという時点で困難は予想されていた。実際、この魔女を集めて対アメリア王国の決戦戦力とする、という領主バドの案は臣下からも多くの反対を受けていたのをバドが押し切った形となる。
或いは、表紙の魔女はそのまま世間のイメージを具象化したものだったのかもしれない。人々にとって、噂される魔女とはまさにこのような見てくれの、狂気の、魔性の存在だったのだ。
しかし、バドだけはそうは見ていなかった。魔女を評判通りの邪悪で人心を持たぬイカレた魔物だとは思わなかった。
集めた直接魔女を見聞きして実際に目の当たりにした人の証言を聞き、その評判通りの残虐な行動の中に彼だけが違う真実を見出していた。
そういう人だったのだ、バド・グレースという人は。

隣国騎士の国レーヴェにて捕らわれたという鏡の魔女を、交渉で引き取るために領主バド自らとキャンパスフェローの重鎮たちと騎士団精鋭を引き連れて向かう使節団の中に、彼は居た。
通称【黒犬】。代々キャンパスフェローに仕える暗殺者の一族。その当代ロロ・デュベルである。
代々語り継がれる【黒犬】の威名は諸外国まで響き、国内でも畏怖される血まみれの血族。冷酷非情の殺し屋一族の結晶たる魔刃。そうした風評、評判を背に、彼は一族の長としてバドとその一族に仕えている。
彼が背負うのもまた評判だ。口さがない者たちが語るうわさ話であり、独り歩きしている詩である。バドが特にお気に入りとして傍に置き、遇しているのロロの真実はまた違う。バドが彼を好み可愛がっている理由こそ、彼が備える真実だ。
バドが持っていたのは、そういう評判に惑わされない人の真実を見極める目だったのだろう。善き部分を見逃さない目だったのだろう。
そういう人だったのだ。
だからこそ、彼は多くの人の支持を集め、尊敬を勝ち得、忠誠を捧げられていた。
思えば、レーヴェ王もまたそうだったのだろう。彼もまた、目の前の真実を見逃さない人だった。人を人のまま愛せる人だった。
こういう人たちだからこそ、逆に人の「悪意」や秘められた「邪」を見抜けなかったのかもしれない。

レーヴェへと赴いたバドたちは、そこで魔女とされる女性のよる結婚式での国王以下列席した国の重鎮たちの虐殺事件の決着と次期国王を巡る混乱に巻き込まれる。
そこで直面するのは、魔女を処刑せよという世論の要求に対して、事前の交渉どおりに魔女が引き渡されるか、という問題であり、虐殺事件に際して行方不明になっているレーヴェ王国の姫スノーホワイトの行方であり、魔女とされる虐殺事件の犯人、新たな王妃となるはずだったテリサリサは果たして本物の魔女なのか、という問題だった。
そして何より、虐殺事件の真相が話が進むにつれてどんどんと曖昧模糊となっていく。
物語は、サスペンス・ミステリーの様相を呈していく。
はたして、虐殺事件は本当に魔女の仕業だったのか。犯人は王妃なのか。これは、実はクーデターではなかったのか。
そもそも、本当の魔女は誰なのか。

バドの命で影に潜み、囚われている王妃テレサリサに接触し、またスノーホワイトの探索を行ってたロロは、徐々にこの国を覆う悪意へとたどり着いていく。
影に覆われた真実を、一つ一つ紐解いていく。
そうして、何もかもが最初から詰んでいたという最悪の真実に気づいたときには、すべてが手遅れであり、しかし最後の希望だけは辛うじてつま先に引っ掛けることが出来た。

魔女は居たのだ。

これ、本当に何もかもを取りこぼしていく、全部が無残に崩れ去っていくクライマックスの展開は辛かった。ロロは黒犬の名に相応しい辣腕だったけれど一線をまだ越えられない甘さを抱えた子であったし、何より作中屈指の凄腕である事は事実でも、何もかもを単騎で覆せるような無双の騎士、みたいな無敵キャラとは程遠く、そして何よりその時その場に居られなかった以上、彼の腕前は何の意味もなさなかったんですよね。いや、無意味ではなかった。ハートランド団長をはじめとしたキャンパスフェローの意地を、そのまま潰えさせずに希望を持ち帰ることが出来たのだから。
ハートランド隊長は、まさに騎士の鑑でござった。
一度は助けたカプチノを、一緒に連れていけなかったというだけでも、彼らがあまりにもギリギリだった事が伝わってくる。あの子、どうなるんだろう。

この作品に出てくる魔女のモチーフはどうやら童話に出てくる魔女たちらしい。この鏡の魔女はまさに「白雪姫」に出てくる真実の鏡を操る王妃様だ。もっとも、話の内容は白雪姫とは何の関係もない波乱の様相を呈するのだけれど。スノーホワイトと王妃様の関係も全然違ってきているし、獅子王と彼に見初められたメイドの愛の物語は、多くの人々に祝福されるはずのものだった。
童話とは異なる悲劇が、これからも繰り返されるのか。それとも、悲劇をねじ伏せる結集された魔女たちのワルプルギスがはじまるのか。
ともあれ、タイトルの【魔女と猟犬】。そして表紙絵から受けるタイトルへのダークな印象は、読み終えたあと見事に反転しているだろう。
これは魔女と猟犬という人ならざる化け物の物語ではない。託された希望を胸に、どうしようもない絶望と理不尽に敢然と抗う、真っ向から立ち向かう「人間たち」の物語だ。

カミツキレイニー・作品感想

フシノカミ 2〜辺境から始める文明再生記〜 ★★★★   



【フシノカミ 2〜辺境から始める文明再生記〜】 雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

前世の記憶らしきものを持つ少年・アッシュは、『古代文明の伝説にあるような便利で豊かな生活』を今世に取り戻そうと寒村で奮闘していた。
その成果によって村の発展に貢献したアッシュは、都会である領都イツツへの留学の権利を手にする。
まだ見ぬ神殿の数多の蔵書へと思いを馳せるアッシュを迎え入れたのは、領主代行の好青年・イツキと、その弟を称する男装少女・アーサー――だけではない。
期待を下回る水準の技術力に、不足気味な資源など、山積した問題たちだった!
アッシュは、共に留学してきた村長家の一人娘・マイカに加え、アーサーすらも巻き込んで、危険とされる堆肥の利用、さらには毒とされている作物の食用化へと乗り出し、食糧事情の改善、ひいては都市全体の生活水準向上を目指していく!
しかし、そんなアッシュたちに、人類衰退の原因である“魔物"の足音が迫っていて――!?
理想の暮らしを手にするため、世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚、第二幕!

リソースが極めて限られていた辺境地域のさらに開拓地の農村部という寒村を、見事に活性化させてみせたアッシュ。その功績もあって、村長家の娘にしてサキュラ辺境伯の領主家の血筋でもあるマイカの領都イツツへの留学に同行する事になるわけだが、ノスキュラ村とはキャパシティが段違いな都市部が舞台、となればアッシュもやれる事が全然違ってくるわけだ。
あれもこれも、とやりたいことが山程頭の中で唸っているにも関わらず、今まではどうしたって実現に至るまでの手段がなかった。技術も技術を生み出すための体制も、社会システムそのものも、それらを実行する教育を受けた人材も。
領都と言っても辺境部の都市なだけあって、決してアッシュの満足できる文明レベルではなかったものの、やはり村とは設備やら人材の層やらが全然違うんですよね。
とは言え、アッシュはマイカの母にして領主家の長女でもあるユイカさんの推薦があったものの、身の上はただの農民。ユイカさんの有能さをよく知っている彼女の弟にして領主代行のイツキさんや領主家の人間たちは十分以上にアッシュにも好意的ではあったんだけれど、それでも彼に対する認識は良識の範囲内であり、年の割には優秀、農民の割にはちゃんとしている、くらいの認識だったわけですよ、最初は。それでは、アッシュが目論んでいる文明向上計画なんて到底話も聞いて貰えない。
と、ここで一足飛びに無茶をしないのがアッシュである。この少年、わけの分からん勢いで皆を巻き込んで激走突進するわけだけれど、意外なほど段階を踏んで着実に物事を進めるんですよね。一歩一歩堅実に足場を固めて次の一歩へと進むのだ。その一歩がやたらと早いわ、歩幅が意味不明なほど広いわ、と巻き込まれた人たちが濁流に飲まれたみたいに正体をなくすはめになるのだけれど、それでも工程を見ると決して横紙破りとか不正とか独断専行はしないんですよね。
そこがまた彼の一番恐ろしいところでもある。
絶対に筋を通すんですよ、彼。関係各所に筋を通し、面通しをして、責任者各位にはちゃんと同意と協力を取り付けて、各種計画、稟議、プランにもちゃんと根拠となる前例や証拠資料を揃えた上で、ちゃんと許可を取り付けた上で計画を発動させる。
ここまでガッチリと正当な手段でゴーサインを貰ったなら、もう許可を出した方だって生半可なことでは計画を止められなくなる、というのをよく分かっているのだろう。
正当な手段、というのは遠回りに見えるかも知れないけれど、その強度においては途方もなくあらゆる横やりを跳ね飛ばす。一度始まってしまえば、用意には止められなくなる。つまるところ、変にショートカットしたり、勝手に物事を進めて既成事実化したり、という事をするよりも、何気に最短距離を突っ走ることになるのだ。そして、一度始まってしまえば、可能な範疇でやりたい放題行けるところまで突っ走れる。それこそ、許可を出したほうが想像もしていないレベルまで突っ走ってしまおうとも、何しろゴーサインは出ている訳だから止められる理由がなく、根拠がなく、手段がないわけだ。関係各所にもちゃんと協力を取り付けて、要となる人物も片っ端から懐に抱え込んでしまっているから、まず邪魔しようという勢力が存在しない。
アッシュくんがほとんどノンストップで周りの人達が目を白黒している間にわけの分からんスピードで物事を変革していけるのは、彼の前に障害がないからではなく、障害をぶっ壊しているわけでもなく、障害が障害足り得る前にそうでなくしてしまっているから、というのが一番近いのではないだろうか。
巻き込まれた人は大変だろうけれど、それが楽しくて仕方なくなるのは、最初彼のやることなすことに白目をむいて放心状態となりながら、いつの間にか同じように目をキラキラさせて、笑顔で彼のやることを手伝い、後押しし、自分の地位や能力の限りを尽くして喜んで彼に協力することからも明らかだろう。
楽しいのだ、アッシュと色々となにかやることは。大変だけれど、毎日がピカピカ輝いて、楽しくて仕方なくなるのだ。
あれほど鬱屈と憂いを抱えて日々を過ごしていたアーサーが、見違えるように明るくなったのはまさしくアッシュにアテられたからだろう。充実した日々が、この子にうつむいている暇を与えなかったのだ。前を向いてさえいれば、明るい光はいくらでも目に飛び込んでくる。見たこともない世界、いくらでもアッシュが見せてくれる。
しかし、光あれば影あり、勢いに邁進する彼についていけない人々はやはり一定数出てきてしまう。出る杭に我慢できなくなる層はどうしたって存在する。
アッシュは、理屈ではなく感情で突っかかってくるやつ、理不尽を押し付けてくるような相手は、眼中になく、無視しているけれど、そういった層が無視していればいなくなるわけじゃないんですよね。
強かなアッシュだから、決して油断しているわけじゃないし、理不尽を強要された場合やばい系の満面の笑みで裏から手を伸ばしてガッツリヤッてしまいそうな所あるけれど、まずもってそういう連中に邪魔させないことが最良ではあるんですよね。
そういう、アッシュの脇を突いてくるだろう勢力に対して、何気にマイカがアンテナを張り巡らせて警戒をビシビシ飛ばしているのがなかなか興味深いところでした。
都市部に入ってバージョンアップしたアッシュに対して、マイカも農村から都市部に一緒に出てきてアッシュのパートナーとして必要な部分をバージョンアップさせようとしている風なんですよね。
前回の熊に襲われた一件で、マイカは自分自身が強くなって騎士のようにアッシュを守るのだ、とユイカさんがドン引きするくらい夢中になって自分の役割を規定しようとしていましたけれど、今回人狼に襲われた件も相まって、直接的な武力を向上させてもいつも傍にアッシュが居て、彼を守っていなるシチュエーションでなければ、そうした力は意味をなさない、というのを思い知ってしまったわけです。今回、マイカはアッシュと同行してませんでしたからね。都市部での仕事の増大は必然的にアッシュをあっちこっちに走り回らせる羽目になり、マイカもマイカで色々とやることが増えて常に一緒に行動、という村での時みたいにはいかなくなりましたからね。
そんな異なる環境に置かれるようになった二人。それでもなお、自分がアッシュのために力を尽くすとしたら、彼の激走についていくには、彼の突進を助けるためにはどうしたら良いのか。
そうして、明らかに自分自身のスケール自体を格上げしようとしているマイカさん。自分ひとりでどうこうするのではなく、人の手を使い、立場を使い、彼に環境そのものを用意して、彼のもとに邪魔が入らないように手を尽くす。見ているステージ、立っているステージを階梯ごと上にあげないとたどり着けない結論へと至った彼女の、マイカの躍進が見事にアッシュから離れずについていっていて、この子もある種の化け物だよなあ、と思うのでした。
走っているスピードが、完全に周りの人と違うんですよね。アッシュと同じスピードで走ろうとしている。尤も、彼と深く関わることになった人たちは多かれ少なかれ、今まで歩いてきたスピードとは段違いの速度を要求され、本人も意図せずに突っ走りはじめているわけですけれど。
その点、理解者であるはずなのだけれどアッシュと常に接しているわけではない領主代行のイツキさんなんかは、アッシュを中心に加速していっている時代の速度に追いついていないどころか、加速そのものにまだよく気づいていない、というべきなのかもしれない。その辺のギャップは、マイカが一番よく理解してそう、というのも彼女がアッシュの脇を固め、或いは鎹となるだろう立ち位置に至る重要な要因なのかもしれません。何にせよ、アッシュ見ているのも面白いけど、マイカも同じくらい面白いなあ。アーサーはかなり色々と深い事情を抱えていて、重要人物かつヒロインとして食い込んできましたけれど、マイカも自力で同じ深度、同じ階位に自分から駆け上がってきた感があるんですよね。アーサーの正体が何であれ、マイカも対等のところまで自分であがってきそう。
うん、この怒涛怒涛の様々な登場人物を巻き込んでいく奔流の勢い、一巻に引き続きジェットコースターに乗っているみたいで、面白かったという以上に楽しかった!


ロクでなし魔術講師と追想日誌 7 ★★★☆  



【ロクでなし魔術講師と追想日誌 7】 羊太郎/ 三嶋 くろね 富士見ファンタジア文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

グレンと結婚した相手は――教え子たちの花嫁の座・争奪戦!?

突如セリカが開催したグレンの花嫁コンテスト。さらに、未来でグレンの子供をチェック!? ドキドキなシスティーナ、気合が入るルミア、食い気優先リィエル。結婚相手は誰に!? 特務分室の絆を描く書き下ろしも!

『最強ヒロイン決定戦』
セリカが主催で行われたグレンの嫁選抜戦のお話。強制招集じゃなくて希望者のみにも関わらず、数十人もの参加者が集まるあたり、グレン先生ってそんなに人気あったの!? と、白猫じゃないけれどちょっとびっくり。というか、セリカお母さんは息子に対して過保護すぎである。
このイベントに対して入れ込んでたのが、白猫じゃなくてルミアというあたりが興味深い。最近、イヴの台頭もあってかなりガチ目にヒロインレースで劣勢に立たされている自覚もあるのだろうか。
初期はわりと余裕を持ってたはずなんですけどねえ。
ルミアがこれだけ必死に見境なくして暴走するのは珍しくて、かなり面白かった。てか、銀の鍵をこんなしょうもないイベントで使うなし! ナムルスまで呼び出すし! 


『さらば愛しの苺タルト』
もうただの苺タルト中毒じゃん、リィエル。それは薬物依存症の症状と変わらんからw
ただ忙しいのに追試の準備やらするの、先生ほんとに大変らしいのでリィエルはもうちょっと恐縮するべき。まあハーレイ先生、私怨絡みで自分から首突っ込んでいるので自業自得と言えば自業自得なのだけれど。
というか、この短編集でみんな最終決戦とか満を持して使うべき切り札をポンポン繰り出しちゃってるの、奥義の無駄遣いなんですけど。ってか、それら減りますからね、色々と。


『秘密の夜のシンデレラ』
イヴ先生、実家を勘当されたのに生活レベルを下げられずに極貧に陥って、バイトをはじめるの巻。
わりとやってることがグレン先生と同レベルなんですけど、イヴさん。
本業の傍ら、こっそりと水商売でバイトとかガチであかんルートに入ってるんですけどー。衣食住のうち、衣の部分身だしなみだけはレベル落とせずに、住居と食生活で極貧を極めるイヴのソースなし塩パスタ生活が色々不憫すぎるw
いや、イヴってイグナイトに引き取られるまでは庶民生活送ってたんじゃなかったっけ。そこで見栄を捨てられないのは、なんともはや。振り幅大きいなあ。
んでもって、同じく魔術で変装してバイトしていたグレンとお互いに正体知らずコンビを組んで上級クラブで働くことに。
イヴはなんというか、もう彼女のエピソードあるたびにヒロイン度があがっていきますなあ。グレンと相性ヨすぎるんですよね、彼女。色々とリズムが合いすぎているというか。これって、お互い正体を知らないまま惹かれていく、という王道パターンだし。そして、実はその気になった相手がグレンだったとわかってときめいてしまうという。
この二人のカップルだと、貧乏暮らしで所帯じみたわりと地に足のついた生活になりそうなんですよねえ。
ガチで大番狂わせあっても不思議とは思わんぞ。


『未来の私へ』

オーウェル教授が天才便利すぎて、この人ならタイムマシン作っても全然おかしくないよね、という認識になってしまう。いやマジでどんな突拍子のない展開になっても、オーウェル教授なら出来るよね、となっているのがなんかもう凄い。異世界転生でも地獄門を開くでも何でもできそうだぞ。
というわけで、システィーナとルミアとリィエルの三人がいつものオーウェル教授の実験に巻き込まれて、いや普段巻き込まれるのはグレン先生なんだが、代わりにこの三人娘が巻き込まれて……未来に飛ばされてしまった、というシチュエーション。
当然のようにそこで出会ってしまうのは、彼女達三人に似ているようで全然似ていない三人娘。いや、さすがに白猫たちからこの娘たちが生まれるのはちょっと信じがたいぞw
いくら何でもキャラが濃すぎるw 白猫とルミア、完全に子育て失敗しているじゃないですか。リィエルはどう考えても血が繋がってないだろw
最初の嫁選抜戦もそうなんだけど、セリカはグレンが嫁を迎えることはむしろ積極的に推してるんですねえ。嫁いびりとか絶対にしないで、むしろ家族が増えたと喜んでて、グレンと一緒に猫可愛がりしている感じで、この人はほんと息子を独占したいとかは全然なくて、彼が幸せになるのが嬉しいんだろうなあ、と思うとほっこりとしてしまうのでした。
なんでイヴだけでないんだろー、とちびっと不満に思っていたのですが、あとがきでバッサリ出番がカットされてしまった理由が書かれていて、それはうん、出ないほうが良かったですね。


『特務分室のロクでなし達』
最新話相当での特務分室って、こうしてみるとほぼほぼ瓦解してるという他ないですよね。残ってるの、クリストフにバーナードにアルベルトの三人だけなんですから。って、そう言えばエルザが「運命の輪」で新加入してたんだったか。
ともあれ、特務分室全盛期だった頃に学生だったクリストフが、卒業を期に特務分室に配属を希望する、そのきっかけとなった彼が特務分室の面々と遭遇するお話。
前々から思ってたんですけれど、色々とおかしい人間しかいない特務分室の中でクリストフってあんまりこう人格に破綻した部分のない普通の人だなあ、と思うところ大きかったのですけれど、こうしてみると確かにメンバーの中で突出してまともな常識人だ。
そんな彼から見た頭のおかしい特務分室のメンバーの活躍は、やっぱり頭おかしいというほかなく、いやこんな事件しょっちゅう解決してたの? 帝国の治安ヤバくない? どれだけ国家に致命的なダメージ与えそうな事件頻発してたんだ?
ともあれ、グレンが現役でイヴが室長で、セラが健在で、ジャティスがまだ在籍していた頃の話。こうしてみると、軒並み分室から居なくなっちゃったわけですからねえ。途中加入してた連中は中途半端も良いところだったし。その意味でもエルザには期待大か。
……そう言えば、忘れてたけどリィエルも一応あれ現役の執行官メンバーだったっけか。


ホラー女優が天才子役に転生しました 〜今度こそハリウッドを目指します!〜 ★★★★☆   



【ホラー女優が天才子役に転生しました 〜今度こそハリウッドを目指します!〜】 鉄箱/きのこ姫 ガガガ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

ホラー女優が碧眼ハーフの天才子役に転生!

貧乏育ちの苦労人ホラー女優の鶫(30歳。努力の甲斐あって演技力はピカイチ)が、自動車事故で即死。
転生した先は碧眼ハーフの超美少女つぐみ(5歳)で、ドのつくお金持ち令嬢だった!!
つぐみの両親はつぐみに「注入された」演技の才能をすぐさま見抜き、テレビドラマの子役オーディションへ飛び入り参加させる。
天使そのもののつぐみの身体を得た実力派ホラー女優鶫は、その奇跡に感謝し、そして誓った。

「今度こそハリウッドを目指します!」

3人の仲良し子役美少女、凛、珠里阿、美海と出会い、幼女の友情を育む。信じられない演技力でドラマの監督、脚本家、大ベテラン俳優を、驚愕させる。
妖艶すぎる5歳の演技で、大の男を骨抜きに。
世界がひれ伏す大天才女優(5歳)がここに誕生!!
おおおっ、面白かった! これは滅茶苦茶面白かっったッ!
面白すぎて、途中で止められずに寝る時間削りまくってしまった。おかげで今日は死にそうになってたわけですけれど。もう若くないんだから。
しかしてこちらは若すぎる肉体に転生してしまったホラー女優の桐王鶫さんである。
あまりに怖すぎる演技から、観客視聴者のみならず共演者たちをすら阿鼻叫喚へと叩き込んだ稀代のホラー女優、恐怖の申し子。
その彼女が事故死のあと20年後に生まれ変わって、もう一度俳優の世界を目指すお話。いや、目指すというよりも、蹂躙するというべきか、或いは降臨するというべきか。
はまり役ということでホラー映画やドラマなどを中心に活躍していた鶫だけれど、それが不本意というわけではなく、元々ホラー好きだし好んでホラー女優やってたんですね。
ホラー作品にばかり呼ばれる事に不満を感じていたり、不自由を感じていてもっと違う役をやりたい、なんて思っていて生まれ変わったのを期に本当にやりたかった主役ヒロインを演じるのだ、なんて事は毛頭考えていなかったわけだ。
それどころか、忌避される悪役を、そんなおもしろそうな役、やらないなんてもったいない、と嬉々として挑む、或いはかぶりつく演じるという事を何よりも好み、飢え餓えた役者だった。
そんな彼女だからこそ、生まれ変わっても望んで役者の世界に飛び込んでいく。何よりも、演じることに魅入られているから。まさに文字通り、彼女は生まれながらの女優だったのだ。
彼女の中には、前世で培われた経験がある、感性がある。並々ならぬ努力で身につけたそれは、才能というのだろう。彼女が生まれながらに持っていた才は、叩き上げで最低の環境から這い上がり積み上げてきた鍛造の才能だ。演じることの出来る喜びを知る才能だ。その場に立つまでの困難を知る才能だ。苦労を知らぬ挫折を知らぬ脆いガラスの才能とはわけが違う。
そうして培われた人造の天才だ。人々の心を恐怖で震え上がらせ、同じ役者たちの、ドラマ映画に本気で関わる人間たちの魂を鷲掴みにした、人造にして本物へと至った天才女優のそれである。
そして、死んでも治らなかった女優魂の塊だ。

尋常ならざる天才子役の出現、その演技を目撃した、或いは実際に演じてみて彼女の「世界」に飲み込まれた現役の役者たちに衝撃を与え、その衝撃は波紋となって界隈へと音速で広がっていく。
ここに出てくる名優と呼ばれる人たちは「本物」である。役者という職業に人生を賭け、生き様として刻んでいる人たちだ。ドラマの番組プロデューサーも、監督も、より良い作品を作らんと気を吐く「本物」だ。だからこそ、彼女の、つぐみの存在に衝撃を受け、刺激を与えられ、彼女が紛れもない本物で、なおかつ「怪物」である事を否応なく肌で感じ取り、歓喜する。
役に入り込んだつぐみの演技は、まさに「世界の降臨」である。ただの練習でも、オーディションでも演技テストでも、その場限りの即興劇ですら、相手の共演者まで現実と演技の境目を見失って自分の役へと没入してしまう。まさに魔性の演技、と言わんばかりの演出に、背筋がゾクゾクしてしまった。さらに外側に居る読者であるはずの自分まで魅入られてしまうような、圧巻の存在感。一瞬にして塗り替わる世界。
いやあ、すごかった。

一方でつぐみという子はプロ魂こそキマっているものの、かつてホラー女優であったと言っても性格は温厚で孤高というわけでもなく、共演者や制作スタッフにもよく気を遣って結構親しまれ、尊敬されていたようなんですよね。
両親から半ば捨てられたような家庭環境で、下積み時代には極まった貧乏生活に耐えながら役者を志し、底辺から這い上がってきた苦労人。だからこそ、人にも優しく出来る、というタイプの人だったのだろう。
それは今世にも引き継がれていて、オーディションを通じて知り合い友達になった同じ世代の子役たちとも、前世の分の経験があるからと上から目線にならず、あくまで役者仲間として対等の視点で見ているようなんですよね。逆に言うと年長だろうと先輩だろうと、役者として対等に、尊重はしても譲りはしない、という穏やかながらプロらしいふてぶてしさを兼ね備えているのですが。
この前世で事故死してから二十年後に生まれ変わった、という二十年という年月が結構重要なキーポイントでもあるようで。
二十年、って充分知り合いが亡くなったりせず業界で現役で居続けているけれど、立場やなんかがそれぞれ変わっていたりする年月なんですよね。かつて自分よりも年下の子役だった人たちも、それなりの年齢になっていたりする。かつての役者仲間たちの現在に思いを馳せ、思わぬ再会が待っていたり、という展開もあり、また新たな世代が台頭してきていたり、と。
そんな中で二十年前に夭折した天才ホラー女優の存在感は、今業界の重鎮となっているかつての同世代の仲間たちの中でしっかりと根づいていて、だからこそ余計にその天才女優の面影を演技から彷彿とさせる新たな天才の出現に、誰も彼もが平静で居られなかったのでしょう。
とまあ、二十年のギャップというのは他にも色々あって。うん、二十年前にはスマホなんて想像しなかったよね。あんなん、二十年前だとSFのアイテムですもん。まさかパソコンと同等の機能を持つ機材が携帯電話の中に集約されるとか、100年後の世界の超科学アイテムでしたもんね。
VHSもビデオデッキ連結して一生懸命ダビングして。うんうん、わかるわかる、わかってしまう。
まだ連続して時代の変化の中にいたからこそついていけてるけど(ついていけてるか?)、二十年の空白があって現代に降り立ったら、ちょっと技術レベルのギャップは訳わからんことになってるよなあ。
というわけで、5歳にしてなんかおばさんくさい、と同世代の幼女に評されるつぐみちゃんでありました。
ってか、今どきって5,6歳の小学生にあがるかという子にまでスマホ持たせてるの珍しくないんですよねえ。
早速両親から与えて貰ったスマホを扱いきれてないつぐみちゃん。それ、5歳の幼児だからではなくて、おばさんだから謎機械にあっぷあっぷ、なんですよね、つぐみさん。スマホを買い与えた際のうちの母(70)の反応とよく似ているぞ、つぐみさんw

とまあ、この時代に生まれ変わったつぐみちゃんは、頼めばスマホを買ってもらえる、どころか演じる事が好きだと知ればすぐにオーディションに参加させてくれたり、付き人も自前で用意してくれたり、というか所属事務所まで自分たちの会社で立ち上げたり、と超お金持ちの家で美男美女、パパの方は外国人という両親にこの上なく愛情を注がれる、衣食住全てに満たされている幸せ一杯の環境にある。望めば、すべて与えて貰える環境だ。
それは、前世の何も持ち得なくて自分ですべて掴み取っていった環境とは真反対の、恵まれたとしか言いようがない環境。光だけに包まれた世界だ。
それが、つぐみの中でわずかに齟齬をうみだしている。
これに気づいているのが、同じ天才子役と謳われている夜旗虹、というのがまた面白い。この生意気兄ちゃんもまた、本物の天才なのか。
同じ天才だからこそ気づいた、つぐみの中のちぐはぐさ。ハングリー精神など全く必要とされない現在の環境と、つぐみの中で息づいている鶫の時代から培われた役者魂のあの獰猛なほどの情熱は、どこかで噛み合っていないのだという。
愛を知らず、だからこそ恋い焦がれるように狂的に愛を演じる事ができた前世と違って、今のつぐみは本当の愛を与えられている。だからこそ、今の自分がどうやって愛に甘えるやり方が分からない。今の自分が鶫のように演じることが出来るのか。鶫のように演じるのが正しいのか。
まだ、彼女の演技は未完成、なのだろう。
今の段階でなお、未完成なのだ。ということは、さらにこの上があるということ。これよりももっと高みが、彼女の前には存在しているということなのだ。
その事実に気づいた時、残念どころかゾクゾクしてしまった。背筋がブルブルと震えてしまった。これより凄いものを見れる可能性がある、という事実に恍惚となってしまったじゃないですか。
この子にはまだ先がある、まだ上がある! 
それに、まだドラマははじまったばかり。彼女の舞台はまだ一度たりとも幕を上げていない。本番ははじまっていないのだ。まだこの段階で前座の前座でしかない。
これはもう本当に、楽しみで仕方ない。続きを読みたくて仕方ない。またぞろ、とんでもねー作品が出てきましたよッ!


家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね? 2 ★★★☆   



【家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね? 2】 高木幸一/YuzuKi GA文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

文化祭でシンデレラの王子役をやることになった、真。奇しくも姫芽の学校でもクラスで演劇を予定し、シンデレラ役を姫芽がするという。
ならば一緒に練習せよという長女、宙子の提案に戸惑う姫芽。
また町内の運動会に草原家も参加することを宙子は宣言、二人三脚の練習を真と波月に命じた。
近づく真と姫芽、そして真と波月。姫芽の真への想いに気づいた波月は、三人で出かけることを提案する。
姫芽と波月の新たな魅力に触れ、真の胸にはある想いが過ぎる……。

「魔法は解ける。たぶん、どんなものでも。でも俺の気持ちは――」

高木幸一×YuzuKiが贈る甘く、もどかしい青春ラブコメ第2弾!

そりゃ近所の人にも怒られるよ、というくらい家の中が騒がしい草原家。ボリュームが、声のボリュームが大きい! というか、この子たちひたすら叫んでるでしょう、みんな絶叫するように怒鳴り合っているわけで、そりゃうるさいよ。美星ちゃんなんか、この子セリフの語尾みんな「!」ついてますよ!? ひたすらフルボリュームで声張り上げてますよ、この子。
でも美星ちゃんって不思議とセリフ読むと同時に声が聞こえてくるんですよね。これだけ明瞭に声をイメージしてしまったのは美星だけだったなあ。
それだけ自分の中の存在感も美星は際立っていたのですけれど、不思議とあれだけきゃいきゃい全力で突っ走るような騒がしさの塊みたいな娘だったのに、お子様という感じはしなかったんですよね。いや、お子様なんですけど。小学生丸出しの感情任せの勢いだったのですけれど。
でも美星って既に心映えは子供という括りをはみ出した「女の子」だったと思うんですよね。言動はまだまだ小学生というランクに甘んじていましたけれど、心意気は本気だった。真への気持ちは掛け値なしに女の子として本気だったんじゃないでしょうか。
その点、まだ真の方は見損なっているというか、侮っているというか、小学生としてしか見れていない気もするけれど、姫芽と波月の方はどうだろう。真にまとわりつく美星にまで噛み付いていたのは、彼女達のメンタルの余裕の無さなのか、それとも美星に対して潜在的な脅威を感じ取っていたのか。
いやマジな話、真打ちは遅れてやってくる、じゃないですけどさ。この子大人になったらどころじゃなく、中学生、思春期迎えたくらいで既にとんでもねー女になりそうなんですよね。波月も姫芽もグズグズしてたら、ガチで後ろから追いついてきてそのまま勢いよく真のハート奪い取って、姉二人を置き去りにしてぶち抜いて行きかねない「モノ」を持ってそうなんですよね。
パワフルさというか、とにかくロケット噴射し続けてるような勢いとスケールがものが違うのよね。まあ思春期を迎えてなお、このパワーを維持できるのか、という所もあるのですが。
話を聞く限り、姫芽も小さい頃はわんぱくを通り越したパワーファイターだったみたいなのが、今みたいにやたらと遠回りしたがる娘さんになってますし。
いやでも、姫芽ってちゃんと告ってきたり、キスしてきたり、と遠巻きにグズグズしていると思ったらいきなり突っ込んでくる所もあるので、決して引っ込み思案タイプではないと思うのですけれど。
むしろ、波月の方が姉妹を優先して自分は引っ込んでしまう、という性質を今回露骨にぶちまけることになってしまいました。むしろ、その動きがあからさますぎて、メインヒロインのストリームに乗ってしまったのは予想外だったんですよね。
真は決して鈍い方ではなく、むしろ家庭環境もあって他人の顔色を伺うこと、人心の細部まで見抜く観察力に秀でているので、彼女の抑えきれない好意には当然気づいていて、その気持ちに反応して自分の中でもそぞろに動く感情というか感覚があったはずなのですけど。
うーむ、真という男の子はどうも理屈っぽいというか、自分の中の感情にも他人からの感情にも反応が鈍い、というよりも感覚のままに動けなくて立ち止まってしまう所があるようなんですよね。
長年、自分を泥人形と規定してしまって、意図的に感性を鈍らせていたのを引きずってしまっている所もあったのでしょうか。
わりと敏感に他人からの感情を察知して受け取り、一方で自分の中でも反応良く感覚を感じ取っている様子が見受けられるのに、それをどうにも持て余しているように見えたんですよね。
生じた感覚をロジカルに具体的な言語化をせしめないと、それに基づいた行動を取れない、というのでしょうか。はっきりと理屈にしないと、固まって行き詰まってしまって取りあえずの反応対応を取れないという感じで。こういうの、不器用って言うんでしょうね。
なので、文化祭直前の時期に煮詰まっていた真に、加賀くんがしたアドバイスというのは真にとって実はかなり助かったんじゃないでしょうか。あの割り切り方の助言がなかったら、真の不器用さからして劇の本番に多大な影響を出してしまったでしょうし。
出番は決して多くはなかったですけれど、クラスメイトの加賀くん、何気に相当の「人物」だったんじゃないでしょうか。あの対人能力と観察眼はべらぼうだと思うよなあ。真に対してあれだけ踏み込んだように、他の人にも敢えて奥まで踏み込むようになれば、大失敗もするようになるかもしれないけれど、相当の出来物になるんじゃと感じさせるキャラでえらく興味深いと思わせてくれる子でした。
と、話を戻すと真ですよ。感情とか感性とか感覚って、究極的にはやっぱり言葉にし切れないものでもあると思うんですよね。それを無理矢理にでも言語化してしまうからでしょうか、真の言葉にはちと仰々しい面がある。クドいくらいあざとい側面がある。気持ちをそのままとりとめもなく言葉にして吐き出す事をせず、喋り言葉の域を逸脱して「台詞」めいた畏まった所があるというのか。
ちゃんとした形作りした言葉にしようとする所があるんですよね。
で、それに理屈という形に押し込めて結論を出そうとするからか、無理が出る。
自分の中に芽生えた感情を素直に受け止めた結果として、気持ちを消し去るなんて感じて生み出して今現在自分の中を駆け巡っている衝動を、そして波月と姫芽がその心の中でバチバチに弾けさせているものを無視した、出来るはずのない、出来ないからこそどうにもならなくなって気持ちがわやくちゃになって自分自身のコントロールを失ってかけてしまったものを、消し去るなんて言ってしまえるのだろう。
むちゃくちゃ言ってる自覚、あっただろうか。
傷つけまいとして、ひどく傷つける言葉だったんじゃないだろうか。好きという気持ちを消すとか、そのために家を出るとか。
不器用にもほどがある。誠実であり真面目であることは、果たして相手に寄り添っていると言えるのだろうか。
こういう相手には理屈じゃないのだ。気の感情をぶつけないと、有無を言わさずぶつけてぶつけて、感覚でわからせないとダメなのだ。だから、波月の大爆発は大正解で、多分このどうしようもなく愚直で感情を持て余してうまく反応できない男の子には、溢れんばかりの感情を常に波立たせ爆発させぶん回している草原家の四姉妹が、絶対に必要なのだろう。最適なのだ。最良の相手なのだ。だからこそ、寄り添える人たちなのだ。
思えば、真にとっての唯一の親友であった三島も、無軌道で理屈なんか欠片もない感情任せの男だった。
つまりは、そういう事なのだろう。

居場所を得て、家族を得て、好きな人が出来て、そうして彼の孤独は消え去った。
この先、家族の形や関係は変わっていくかもしれないけれど、姫芽が希ったように家族であるという事だけは決してなくならないのだろう。
草原家四姉妹の四人掛かりなら、この不器用ゆえにともすれば自己完結してどこかに行ってしまいそうな男を引っ捕まえていられるはずだ。
ぜひ、そうであって欲しいものです、うん。


エリスの聖杯 3 ★★★★★   



【エリスの聖杯 3】 常磐くじら/ 夕薙 GAノベル

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

「ごめんね、スカーレット。本当に、ごめん」

希代の悪女の亡霊スカーレットと、その復讐につきあうことになった地味令嬢のコンスタンス。
奇縁で結ばれた令嬢コンビはついに、十年前の処刑の真相へと辿りつく。
あとは順に復讐相手を見つけ出していくだけ、と気炎をあげるスカーレット。だが、王国内で
暗躍を続ける組織【暁の鶏】は、コニーやランドルフを『エリスの聖杯』の邪魔者であると認識し、
その排除のために動き出していた。
敵の意図を看破したコニーは、あえて冤罪を被って収監されることで、ランドルフの行動の自由を
確保する。しかし、そんな彼女に下された王命は『十年ぶりの公開処刑』だった――!
十年前のサン・マルクス広場、処刑場での邂逅から始まった二人の少女の物語。その果てに待つ
運命とは!? 感動の第三弾!!

はぁぁーーーー…………。素晴らしかった。うん、これを傑作、これを名作と言わずして何という、というレベルのお話でした。感動した。泣いた(語彙力
スカーレットを処刑した犯人、と言ってしまうのは語弊なのだけれど、彼女を死なせる決断をした当事者があまりにも衝撃的だった2巻のそれを引き摺りつつのこの三巻、この完結編。
スカーレットの処刑にまつわる真相はほぼ明らかになった以上、待っているのは解決編であり決着であったのだけれど、スカーレットの処刑の真相がああであった以上悲劇は既に起こってしまっている。これをどうスッキリ終わらせるのか。スカーレットの望む復讐をどう成し遂げるのか。
ちょっと途方に暮れてすらいたのだけれど、冒頭からそのまず最大の壁をスカーレットとコニーはひょいっと越えていってくれたんですよね。ランドルフ閣下が口ごもり躊躇するほどにその真相は残酷だったのに、この娘二人と来たら……強いなあ。
あれ、スカーレットパパを引っ叩いたのはスカーレットじゃなくて、コニーの方なんですよね。引っ叩いておきながら、あれだけビビってるのはこの娘らしいんだけど、あれだけ叩いたあとにビビるくせに衝動的にぶっ叩いたんじゃなくて、ちゃんと考えた上でぶっ叩くのがコニーらしいというべきかなんというか。
スカーレットの処刑を、果たしてアドルファスはどのように受け止めたのか。それをスカーレットの母と出会い、愛を育む所から描いてからあのスカーレット処刑後の様子を克明に描いた上での、あのボロボロに崩れ去った慟哭ですよ、あの遺骨を胸に抱いて咽び泣く挿絵ですよ。
彼の後悔が、絶望がどれほどのものだったのか、有無を言わさず刷り込んでくる。だからこそ、だからこその救いである。
この時点で、いつのまにかスカーレットの復讐って意味が変わってしまっているんですね。まだコニーとスカーレットの中では捉えきれていないけれど、物語上では見事に意味合いが変転している。
それは、コニーがハメられてスカーレットの処刑の再現に当てはめられた時を境に、スカーレットの中でも彼女の復讐、つまり執着、現世にしがみつく祈りは実際の形へと疾走して追いついていく。
自分が何のために、この世に幽霊として顕在しているのか。どうして、コニーなんて小娘にくっついているのか。
彼女にとって、幽霊となってコニーに復讐の手伝いをさせていたのは、過去の精算とはまた少し違っていたのだと、最後まで読むとわかるんですよね。
心残りを晴らすためではなく、過去の後始末をつけるわけでもなく、かつて自分を陥れたものたちに思い知らせてやる……つもりは勿論多分あるけれど、まあそれは落とし前というやつだ。きっちりしっかりミッチリとやっておかなきゃならないことだけれど、それだけを目的にそれだけに執着して現世にしがみつく、というのはツマラナイし、みっともない。スカーレットの名が廃るってなもんである。
ならば、スカーレットらしい幽霊になろうとも現世に降臨し続ける理由とは。君臨し続けるに足る動機とは。そう考えると、彼女のホントのラストシーンは全くもって「らしい」と思うんですよね。
未練、心残りを晴らしてキレイに成仏、なんてらしくないし、そもそも幽霊になった理由とは食い違っている。
スカーレットの記憶に残っていなかった処刑直線からその時の瞬間。それが明らかになる回想、いや時間が戻ってのスカーレット処刑のその時に、彼女が何を思っていたかが明らかになるあのシーンが全部物語ってるんですね。
それは悲劇ではあったけれど、スカーレット・カスティエルがその瞬間抱いていたのは絶望でも恐怖でも怒りでも憎しみでもなく、ああそうだ。
彼女の中にあったのは希望だったのだ。彼女は自分が勝利する事を知っていた。スカーレット・カスティエルが望むべき「未来」を手に入れることを。
そして幽霊になったスカーレットにとって、コニーと共に歩む時間はリミットのある猶予でも、過去の残り香としてこびりついているのでもなく、「今」だったのだろう。「現在」だったのだ。それを、彼女は「過去」で知った。自分が死ぬそのときに理解した。
彼女は、コニーに出会いに来たのだ。つまりは、そういう事だったのだ。
スカーレットがとっておきの秘密をコニーに明かしたシーン、あれこそが最高の本音で、本当の気持ちだったのだから。

ならばこそ、最後のスカーレットの選択は必然なんですよね。殊勝に身を引くなんて、あったもんじゃない。何しろ彼女は強欲傲慢なる悪の令嬢スカーレット・カスティエルなのだから。

そして、一身にその煽りを食らうランドルフ閣下であったw
いやほんとに、一番の被害者になってるじゃないか、ランドルフ。
そりゃね、ずっと闇の中を歩むはずだった人生を光の下に引っ張り出してくれた少女に本当の愛を捧げる事が出来て、ましてやお嫁さんになって貰えるし、一生一緒にいるという約束も交わしたし、万々歳のハッピーエンド!
だったのに、一生離れないにプラス1ですからね。いや、一生を共に、という約束を交わしたのはプラス1発覚後ですから覚悟の上かー。
朝起きたときから夜寝るときまでずっと一緒という状況に既に疑問を感じていないコニーさんが色んな意味で幸せすぎるw

この3巻は文句なしにスカーレットとコニーの物語だったわけですけれど、同時に他の幾人もの登場人物が己の人生の主人公たるを全うする話でもあったように思います。
パメラの方に完全に破滅へと突き進んだ者もあり、セリシア王太子妃のように闇の中を歩き続けた末に最期に自分の人生を取り戻した人も居た。ショシャンナのように一からやり直すためにもう一度歩き始めた子もいれば、ルチアのように絶体絶命の死地をその魂の輝きを以て突破して、ユリシーズ王子というヒロインゲットしてヒーロー道へと突き進みだすもう貴女もう一人の主人公だろう!?という勇躍を示す子もいる。
スカーレットの処刑という大事を境に終わり、はじまった様々な人たちの人生の迷い路。かの陰謀に関わった人も、コニーと共に新たに関わることになった新しい世代の子たちも、それぞれに一区切り、登場人物全員に一つの決着を迎えさせた、という意味でも凄い作品であり、凄い物語であったように思います。
個人的に、国王陛下やアドルファスパパの歩んだ十年も凄惨だったんだろうけど、エンリケ王子の歩んだ人生こそ壮絶の一言だったと思うんですよね。彼のセリシアへの想いの複雑さは、途方に暮れるほどに言葉にし得ないもののように感じるのです。彼のこれから歩むだろう静かな人生の中に、小さくとも心慰められる幸いがあらんことを。
そして、アドルファスパパが、心から笑うシーンが見られただけで、なんかもう万感でした。

あとは、ほんとルチアは次回主人公狙ってます、と言わんばかりの大活躍というか凄えカリスマで。
同じく囚われの身となったコニーが、これまでのエリスの聖杯をめぐる人との関わりから、その人柄でコニーを助けようという大きな動きがうねりとなって世間を動かしていく展開もなかなか胸に来るものがあったのですが、ルチアの方も同じ囚われの身になりながら、片っ端から顔を合わせる人をその魅力で落としていって、同じ囚われの身だったユリシーズ王子を守って大活躍、とか完全にヒーローでしたからね。早々に、自分が彼女を守るのではなくてヒロインの方だと受け入れて大人しくなるユリシーズ王子、なんかもう流石ですw

しかし、ほんと章の間に挟まれる登場人物紹介という名の尖すぎるツッコミと煽り文が面白すぎました。ここでわけの分からんけど的を射すぎてるキャラ付けされてしまった登場人物も多いんでなかろうか。というか、ほとんどの登場人物ここで変な固定印象つけられちゃってるぞw
黒幕のクリシュナへの、実はこいつ失敗ばかりでうまくいった試しがないみたいな煽りは、ちょっと笑いすぎてお腹痛くなりましたがな。

ともあれ、これ以上なく見事に物語にもそれぞれの登場人物にも決着を付けた上で、文句の言いようのないハッピーエンド。超本格サスペンス・ミステリーというジャンルを縦横無尽に走り尽くしてみせたあの緊張感、謎が解けていく時の驚愕、真相への衝撃、話自体のとてつもない凝縮された面白さ、何もかもが素晴らしかった。
これぞ傑作、不朽の名作でありました。



ゴブリンスレイヤー 13 ★★★★  



【ゴブリンスレイヤー 13】 蝸牛くも/神奈月昇 GA文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

「迷宮の主、してみませんか」?
迷宮探険競技??それは至高神の大司教をはじめとした六英雄の逸話として有名な、死の罠の地下迷宮から続く試練。それをギルドは冒険者志望の者への訓練としたいという。
そしてその監修者として、銀等級の冒険者へと協力を依頼した。

(??悪辣だ)
受付嬢が驚くほどの罠が仕掛けられ、準備は進められていく。??

そんな中、またひとり、冒険者志望の少女は剣を取る。??
そこに忍びよるは混沌の影……。

「小鬼どもになぞ、好き勝手させてたまるものかよ」
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第13弾!
TRPGするの!? 作中で!?
ゴブスレさんが槍使いと重戦士の兄ちゃん二人を誘って、飲み屋の卓でシート広げてTRPGはじめるシーンは、あの素晴らしい挿絵と相まってなんか感動すらしてしまいました。いやこの挿絵ほんと良かったんですよ。ゴブスレさんの前の衝立に貼り付けられたデータシートに、彼の手にはサイコロ。傍らにはルールブックが置いてあって、脇には注文して置かれた食べ物の類が寄せられていて、向かいでは平服の槍使いと重戦士が飲み物とペンシルを手に自分が動かすキャラクターを談笑しながら作っていっているシーン。シーンがギューッと凝縮されたような絵で、実に良かった。今回は他にも神奈月さんの挿絵、印象的なのが多かったなあ。特に好きなのが冒険者志望の女の子が、初々しい格好で不釣り合いな剣を引っさげながら、迷宮探検競技開催のお知らせが貼られた掲示板を見上げているシーン。
まだ冒険者じゃないけれど、でもいつ冒険が始まったかというのなら、この瞬間、というのを切り取ったような絵がねえ……良い。
つまるところ、ゴブリンスレイヤーが一生懸命になってプロデュースしようとしたものこそ、夢と希望を胸に冒険者を志す若者たちの、まさにその「機会」だったんですよね。
ゴブスレさんが得られなかったもの、いつか夢見ていたもの、だからこそ何よりも掛け替えのないものだと知っているもの。
ギルドが主催する迷宮探検競技のプロデュース、いわばダンジョンマスター役を依頼されて引き受けたゴブスレさん。ただの仕事という義務感などではない、彼の思い入れや意気込みが伝わってくる真剣さが、何というか受付嬢さんがハートに羽つけて羽ばたかせちゃうのもわかるくらいの、人らしさ、男の子の可愛らしさでありかっこよさだったんですよね。
ちょいちょい暴走して仕掛ける罠に凝りすぎてしまうのもご愛嬌。女神官ちゃんがすっかりゴブスレさんの思考仕様に染まっちゃっているのもご愛嬌。
より良きものを、これに挑戦する冒険者になりたい若者たちに実りある経験を与えられるものになるように、とただただ自分の価値観を詰め込むのではなく、受付嬢の意見をしっかりと聞き、また信頼するベテラン冒険者である槍使いと重戦士の二人にTRPGという形で机上演習での検証を手伝ってもらい、と彼の意気込みの強さ、言葉を変えるなら夢中になっている姿には、かつての妄執に捕らわれた気配は伺えない。
しかし、この作品のギルドって未熟な冒険者やそれ未満、それ以前の人たちも本当に優しいなあとしみじみ思う。その優しさは甘やかすとかじゃなくて、自立を促し生き残る手助けをする、という意味で。手取り足取り、手を引いて引っ張るものじゃない見守る強い優しさだ。
それはベテラン冒険者たちも同様で、彼らの若者たちを見守る視線の温かさには、見ていてこちらも心がホカホカしてしまう。そんなベテランたちにも駆け出しの頃があったのを、さらに年長古参のものたちは見知っているわけで、はじめて武器屋の暖簾をくぐってきた頃の駆け出しの槍使いや魔女の姿が回想の中でちらりと触れられるシーンは、味わいぶかいものがありました。あの妖艶な魔女にも小娘だった頃があったんだなあ。
だからこそ、あの嵐の名を冠する冒険者志望の女の子の将来が楽しみになるんですよね。
知らず、冒険者になる前に大冒険を繰り広げていた彼女。結局、彼女自身気付かないまま、自分は競技に参加しているだけと思い込んだまま、凄い冒険をくぐり抜けてしまった彼女。
ぼんやりとして鈍くさくて落ち着きのない素人丸出しの彼女だけれど、でも将来勇者に引けを取らない大物になりそうだなあ、と思わせてくれる勇姿、とも言えないへっぴり腰の大冒険でありました。
そして、そんな彼女の冒険を台無しにしないように奮闘し続けたゴブスレさん。不意のイレギュラー、競技そのものをぶち壊しにしかねないゴブリン要素の介入に、いつになくブチ切れ、ゴブリンを殺す事を優先するのではなく、競技の進行を守ること、競技に参加する若者たちの将来を守ることを優先して、1人ゴブリンを殺すゴブスレさん。
やってることはいつもの事なのかもしれないけれど、ゴブスレさんの心持ちが今回は全く違ったんですよね。ゴブリンを殺すために殺すのではなく、あの嵐の少女の冒険を守るために戦っていたゴブスレさん。良き、良き戦いでした。それもまた、ゴブリンスレイでありつつも、冒険を守るための冒険でした。
良い、生き方をするようになったなあ、ゴブスレさんは、本当に。
ラストで、次のお仕事についての話になって、いつもなら当然のようにゴブリンを殺す仕事を求めるゴブスレさんが、妖精弓手の誘いに素直に応えて、「冒険に、行こう」と。あのゴブスレさんが自分からそう言うラストシーンに、これ以上無い感慨を覚えるのでした。
ゴブスレさんだけじゃなく、王妹といい、受付嬢といい、ニュービーを脱しつつある若い冒険者たちといい、冒険者の道を歩き出したあの嵐の子といい、うん登場人物みんながイイ顔して、目に力強い光を宿して、良い生き方をしている、それがほんとに温かくも清々しい。


魔女に育てられた少年、魔女殺しの英雄となる ★★★   



【魔女に育てられた少年、魔女殺しの英雄となる】 クボタロウ/ ファルまろ 角川スニーカー文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
異世界に『忌み子』として転生してしまった少年アルは両親に捨てられてしまい、拾ってくれたのは『禍事を歌う魔女』と世界から忌み嫌われる女性であった。愛情を与えてもらった少年は【魔女】を殺すことを誓う――。

タイトルからすると、随分と悲劇的な顛末を予想させるものでしたけれど、もっと穏やかな内容でしたね。と、油断させておいてどうなるかはわかったものじゃないのですが。
何しろ、話が全然進まなかったからなあ。
タイトルでいうところの【魔女に育てられた少年、魔女殺しの英雄となる】のうちの【魔女に育てられた少年】までで終わってしまった感じで。
魔女メーディと狼のヴェルフに拾われて育てられた少年アル。本当に赤ん坊だった頃に捨てられたアルにとって、メーディはお母さん以外の何者でもないはずなので、お姉さんを主張する魔女さまには多分に無理があると思われる。と、イイたい所なのだけれど、転生者として赤子の頃から意識があったアルにとって、メーディは家族であってもそれほど「母」を意識させるような存在とは認識していないみたいなんですよね、彼の様子を見ていると。
そもそも、魔女のことを名前で読んでいる時点で、母親とは思ってないですよねこれ。メーディとしてはそのあたりでおかしいなあ、と気づいていてもおかしくはないと思うのだけれど、本当に気づいていなかったのか、アルの事を可愛がるのに目いっぱいでそれ以外に意識が向かなかったのか。
ともあれ、メーディは拾った赤子に情を移しまくりヴェルフと共に過保護なくらいに愛を注ぎまくってアルのことを育てていく。この赤子が忌み子であった事が彼女の罪悪感を掻き立てた、という事もあるのかもしれない。何しろ、この国で忌み子という概念が生まれてしまったのは魔女のせいでもあったようだから。
そうして彼らはお互いに秘密を抱えたまま、それでも家族として暮らしていく。アルは自分が転生者で赤子の頃から明晰な意識があり、前世の記憶があることを。メーディは自分が魔女であることを。
もっとも、それがこの家族のすれ違いの発端になる、という訳ではなかったのだけれど。
アルは転生者であることが知られることで忌避される事を恐れていたけれど、秘密にしている事自体に罪悪感に苛まれ、結局決壊するようにとある事件をきっかけに告白してしまうわけですけれど、それが家族の絆に罅を入れるなんてことは全然ありませんでしたし。
ふむ、こうしてみるとアルって素直で善良な子なんですけど、素直でいい子すぎてダークサイドがなさすぎるんですよね。もうちょっと性格悪い部分とか、癖があった方が自分にとってはとっつき良かったかもしれない。比べてメーディの方はわりとショタ好き面のダークサイドがだだ漏れで欲望に素直というか逆らえない面が続出するので……うん、これはこれでダメな人ですね。
ともあれ、アルの人となりにまつわるエピソードは純真なものが多くて、逆に起伏が少なく感じるんですよね。旅先で出会う冒険者のアランや、商人の娘のソフィアなんかもとてもいい人なんで、上積みの部分で噛み合ってしまってアッサリと良い形で話が転がっていきます。それ自体、爽やかで穏やかで苦い部分のない良い話ではあるのですけれど、同時に味気ない盛り上がりにいささか欠けるように感じるもので、自分にとってはちょっと薄味だったかなあ、と。
彼がメーディが実は昔話で忌まれる魔女その人だった事を知り、その災厄の逸話が誤解でありメーディの人となりが当時から変わっていない愛すべき人だと確信した上で、魔女メーディその人を殺すのではなく、自分はその魔女の逸話を、信じられている魔女の伝説を殺して、メーディを苛む記憶を消し去ろう、そう決意するわけですけれど、そこに至る過程もアルが素直で純真で善良であるが故に悩みも葛藤も迷いもせず即座に決心するんですね。いや、愛する家族の、大事な人のことだから迷いもしない、というのはそれはそれで大切な事なのかもしれませんけど、溜めらしい溜めもなく、ストンとあっさり決めてしまったなあ、と。
それに、彼女の過去については実際何が起こったのか、何が原因なのか、何もかもさっぱりわからないのです。メーディの意図したものではなかった、というのは彼女の寝言から推察されるくらいで、本当に何も情報がない。その段階で走り出してしまうのは、それもメーディに相談とか話もせずに自分の目標を決めてしまうのは、この子の道はその素直さそのままに真っ直ぐで逸れる分かれ道も、思わず立ち止まってしまうような所も先の見えない曲道も、あまり無いのかなあと思ってしまった。
と、この一巻がちょうどそのアルが自分の歩む道を決めてしまったところで終わってしまったので、え?そこで終わるの!? と、面食らう羽目に。
プロローグにしても、もうちょっと舞台設定とか登場人物の配置が揃えられてから、なんじゃないだろうか。だいぶスロースターターというか、話始まらなかったですよ?
とりあえず、テーマというか話の前提となる「魔女を殺す」の意味が明らかになったので、それをどうやって成すかも全く決まって無くて、方法についても随分とフワッとしたものしか考えてないみたいでちょっと不安。兎にも角にも次回以降はどういう話になっていくか、はわかってくると思うのですけれど。

バケモノたちが嘯く頃に ~バケモノ姫の家庭教師~ ★★★☆   



【バケモノたちが嘯く頃に ~バケモノ姫の家庭教師~】 竜騎士07/ はましま薫夫 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

『ひぐらしのなく頃に』の竜騎士07最新作、新たな鮮血の物語の幕が上がる

「磊一よ、私からの持て成しと、同じバケモノ同士への親愛の証じゃ。食え」
そう言って彼女が突き出したそれは、人間の“はらわた”だった――。
昭和25年晩夏。名家の令嬢の家庭教師として、村を訪れた青年・塩沢磊一。そこで彼が目にしたものは、死体のはらわたを貪る美しき“バケモノ”、御首茉莉花の姿であった。淑やかな令嬢の変貌は病か、それとも祟りによるものか……?
時を同じくして起こる少女の連続失踪事件。失踪者の特徴は、茉莉花の部屋で見た“それ”と一致していて……。
バケモノ姫の家庭教師・塩沢磊一がすべての謎を解き明かす――!!

ひぐらしの新アニメがはじまるのに合わせて、竜騎士07さんの最新作が小説で読めるということで早速手にとってみました。
ゲームのシナリオや漫画原作では幾つもの作品を手掛けている竜騎士07さんですけど、小説という媒体で見ると【ひぐらしのなく頃に】のノベライズが星海社から出ている以外では、本当のオリジナル作品はこれまで出していなかったんですよね。出てないですよね? 
【ひぐらしのなく頃に】は同人ゲームとして世に出た当時からハマった口でしたから、何だかんだと影響は大いに受けているはず。
しかし、読み始めてみるとなかなかしんどかったんですよね。
まずもって塩沢磊一のバケモノ論というかバケモノ語りがしっくりこない。うん、言っている事はオーソドックスと言っていいくらいの話だったんだけれど、どうにも飲み込みづらい。納得しづらかったのだと思うのです。それは、バケモノたちの間でだけ通るルールじゃないのか、と。一方的で、犠牲になる「人間」にとっては何の意味もないものなんじゃないかと。「人間」を踏みにじっておきながら、捕食される「人間」たちの事は一顧だにしないにも関わらず、自分たちは苦しみ藻掻いているのだ、と。ただささやかに自分たちが在る事を認めて欲しいだけなのだと主張しているかのようで。
随分と自分たちにばかり都合の良い、自分本位の、それこそバケモノみたいなロジックに見えて、胃の中が重くなるような感覚だったわけです。
でもその一方で、果たして本当にそういうことを主張しようとしているのか、と違和感みたいなものがこびりついていたんですよね。上記のように主張しているにしては、どうにも言がちぐはぐというかしっくりこないというか、読んでいてむしろわからなくなってくるというか、そもそも何を言いたいのかよく分からん! と、もやもやが募るばかりだったわけです。
いっそ、本当に独りよがりのバケモノ論を押し付けてくるのであれば、分かりやすいし反発にしろ様子見にしろ、物事が明瞭になるのですが、言いたいことの不鮮明さが作品そのものに霧がかかったように不明瞭な代物になってきたのでした。
それが、なんとも気持ち悪い。居心地が悪い。ちゃんと見て聞いて読んでいるのに、なんだかはっきりしない、何が繰り広げられているのかわからない。

で、はたと思い出すわけです。これ、ひぐらしのなく頃にを作った人の作品だった、と。

そうかー、そういう話だったのかー!
と、具体的に何が起こっていたのか、というのが明らかになった時、面白いほどにこれまで不明瞭であやふやだったものが、いっぺんにパーッと開けて霧が晴れて、もやもやしていた部分が振り払われたのでした。何が言いたいのか、意味不明だった部分に電気が通るように意味が通っていく。塩沢磊一の語るバケモノ論の本意が、そのただ一事が明瞭になったことで実にわかりやすく理解できる論へとひっくり返ったのでした。
まさに、なるほど! そうだったのかー! と、パンと手を打ってしまうように。
ああ、このどんでん返しはこの作者さんのおなじみの手管でありましたわ。
そもそも、登場人物の五感から得たと思しき情報をそのまま信じてはいけない、というのが大前提であるべきだったのかもしれません。今回は、本当に素直に見たまま聞いたままの情景をあるがままに受け取っていたものですから、それが全ての前提になっていたんだよなあ。
バケモノ姫のバケモノたる部分を完全に誤解したまま、すべてをそれ前提で解釈してしまっていたが故に、実際の世界と解釈を通して見ていた世界の齟齬が、そのまま気持ち悪さとなって何もかもを不鮮明にしていたのだろう。そしてそれが、この竜騎士07さんの特徴的な手法でもあるんだよなあ。ひぐらしのなく頃にを振り返ってみると、余計にそう感じるわけで。
でも、小説でこれをやられると全部がひっくり返るまでが本当にしんどかったんですけど。そもそも、塩沢磊一と御首茉莉花にまったく共感ができない状態でしたからね。
逆に齟齬が解消されると、塩沢磊一と御首茉莉花への共感が大爆発してしまうのですが。彼らバケモノたちの苦悩と、ルールを遵守しようと懸命に自己を律する姿に健気さ以上に敬意すら抱いてしまうほどでした。
全部が明らかになると、茉莉花という少女がどれだけ絶望し苦しんでいたかもよくわかるし、彼女のうちに希望が戻り人としての体裁を取り戻していく過程も、そこに健気なほどの初々しさが垣間見えるのも、しごく当然の姿だったんですよね。
何もかもをさらけ出しているようで、実際は心のうちのバケモノを、本当の意味で解き放たずじっと
抑え込んでいた、ずっと堪えていた我慢、克己心はむしろ立派と言えるほどで、だからこそ最後の外の世界に1人で踏み出していく、女性の自立など思いもよらぬ時代の中で、想い人を自分の力で追いかけていく勇敢さは、ほんとうの意味で強い女性である事と可愛らしい女の子である事を見事に両立させていて、実にヒロインしていたんじゃないでしょうか。

時代的に存在自体が許されず否定され踏みにじられ無かったことにされて消し去られようとするもの、いや現代だとて全否定しようという意思は無視できないでしょう。社会からは大手を振って受け入れられるものではないでしょう。
しかし、内なるバケモノが生じてしまえば、それはもう在るわけです。無かったことには出来ない。心は縛れない。それはもう、その人自身なのですから、それを否定されると、心の中まで否定されてしまえば、存在自体を否定されてしまう。
かと言って、内側からバケモノをはみ出させてしまえば、自由に野放しにしてしまえば、勝手な理屈をつけて表に出せば、それは人の営みを踏みにじる害悪となってしまう。
それを律することが出来るか、制御も出来ずに暴走させるか。
でもそれって、ただの普通の人が持つ欲望や感情も変わらないはずなんですよね。制御を失って、野放しに解き放ってしまえば、どんな欲望も感情も容易に他人を傷つけ、社会に害をなすことは何も変わらないはず。
昔ながらに心の中の自由すら許さないという主張する人たちの存在が目にとまる事が多くなったこのご時世、色々と考えさせられる話でもありました。

にしても最近よく漫画などで狩猟などで鹿など捕獲した動物を捌いて解体する場面を見ていただけに、ハラワタはアカン! 内臓のうちでも特に腸は傷つけるとエラいことになってしまう! という意識付けがされていたんでしょう。茉莉花ちゃんがハラワタをはむはむしはじめたのを見て、グロい云々とはまた違った意味でうぎゃーー、となってしまったんですよね。思えば、あれが「気持ち悪い」の発端でもあったのかもしれません。思えば、あれもまた茉莉花が名家の深窓のお嬢様であるが故の知識不足、という側面もあったのかもしれません。現代と違って、生き物の解体についてなんかも簡単に情報を手に入れる事は出来ないでしょうし、想像にも限界あるだろうしなあ。

あなたのことならなんでも知ってる私が彼女になるべきだよね ★★★★☆   



【あなたのことならなんでも知ってる私が彼女になるべきだよね】 藍月 要/Aちき ファミ通文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

なんて――「好き」って言えるわけないじゃない!!!

「好きな男の子の心拍に合わせてスマホが震えるの最高」
全国模試1位、高校生ながらその腕で荒稼ぎしている凄腕プログラマー。けど人間嫌いで誰とも喋らない久城紅は、隣の席の宮代空也が大好きだった。初めての感情に戸惑う紅は、その高い技術で空也の情報を集めることが趣味になっていた。集めた情報をもとに十日に一回、空也に話しかけるせつない日々。しかし空也は“人の感情が色で見える”という特殊能力の持ち主で、紅のひそかな好意に気づいており――! 気持ちが言えないハイスぺ女子×恋に不信な特殊能力男子のすれ違いラブコメ!

これは、タイトルにうまいこと視点を誘導されたなあ。久城紅という明確な見せ札とタイトルによって完全に意識の死角を作られてしまった。途中からあからさまに怪しい動きをはじめていて、それが偶然ではなく意図的なものであるのは明白でわかってはいたのだけれど、それを直接タイトルとつなげて考えることが出来なかったんですよね。意識の死角に入り込んでいたから。タイトルが物語っているのは久城紅のことだと思いこんでいたから。
それは狂的な妄愛に囚われた女性たちの物語。
これ、ヒロインって紅や翠香じゃなくて空也の方なんですよね、どう見ても。
天才的な絵描きとして既に全国に知られる宮代空也は、その鮮烈な見る人の心を捕らえて離さない魔性とも神聖とも言える人外の領域の絵をこの世に描き出す代償のように、そうその生命を絵に塗り込めているかのように病弱で繊細で儚い。
精神的に弱いとかではないのだけれど、肉体的に明らかに薄弱でなにかあるとすぐに倒れてしまう。それはそこか生命そのものが細く薄いかのように。薄命、そう言う他ないふとした瞬間に消えてしまいそうな儚さを身に纏っているのだ。一方で、彼が描き出す絵は絵画に興味がない人にも、ただの高校生たちが見ても心奪われて仕方ない強烈な存在感をまとっている。
絵に対する具体的な描写はないのだけれど、代わりに絵を見た人たちの凄まじい衝撃と感動、揺れ動く情動を生々しいほど激しく描き出すことで、絵を見た彼らの口から飛び出す心からの感想、熱量、放心とも夢中とも取れる言葉を語らせることで、空也の絵が持つ凄味、ただの絵ではないという異次元さを引き立たせているんですね。
同時にこうも思わせるわけだ。こんな絵を描く人物は、果たしてどれほどの代償を絵に注ぎ込んでいるのだろう。一体、その身の、その魂の何を削り出して絵に塗り込めているのだろう、と。
特に、久城紅がはじめて空也の絵に遭遇してしまった時のあの衝撃は、世界が変わり果ててしまった様子は、壮烈ですらあった。
他人を必要としない、孤高であることに充足していた紅が自分もまた人間であるという事実に引きずり落とされてしまうほどに、自分そのものをグチャグチャにされてしまった、えぐり出されてしまったショック。あの彼女の狂乱は、憎悪は迫真であり、だからこそそれをこの世に生み出した空也に強烈な感情を抱かざるを得ず、それがどうしようもない恋へと昇華、いやそれとも朽ち果てていったというべきか。いずれにせよ、自分でも制御できないほどの感情を空也に抱かざるを得なくなる、その過程としては充分ほどに納得させられるものでした。
その挙げ句が、新世代電子ネットワーク型ストーカーの爆誕である。
これだけ強烈な愛情を自分の中で飼ってしまいながら、そのコミュ障さ故にそれを解き放つことが出来ず、明後日の方向で自分の才能を爆発させてそっち側で大いに解き放ちすぎてしまった、うんダメ人間ですね。
凡百のストーカーやヤンデレと違うのは、彼女・紅が自分のストーカー行為について凄まじい罪悪感を抱いているということか。いささかも、自分の行為に正当性を感じていないんですよね、彼女。自分のそれがどう言い繕っても犯罪以外のなにものでもないと認識しているし、それを自虐し恥じ入っている。それをやめることの出来ない自分の異常性を自覚していて、それを嫌悪している。
分かっちゃいるけど止められない、という言葉はどの時代のどんな人間にも相通じる一つの真理である。
だから、彼女は紛れもなく正気だ。正気のまま逸脱してしまっている。そうさせるほどに、彼女の飼っている愛は深い。
そして、それはそのまま裏返しでもう一人の彼女、吾道翠香にも当てはまる。いや、彼女の愛の深さはより一層常軌を逸している。
人を、人間の領域を、踏み外していると言っていいほどの逸脱だ。
そして、その逸脱した全てを彼女は宮代空也という人として半壊した少年を庇護するために費やしていた。愛は与えるものだとするのなら、彼女は自分の全てを捧げていたと言っていい。
翠香も、そして紅もストーカーという自分本位で我欲を抑えきれずに逆らえずに暴走させた行為に自分自身引きずり回されながら、しかし究極自分の幸せよりも空也の幸せをこそ優先する娘たちだったのだ。
宮代空也という人間は、人間として半壊している。物語の最初の方では身体こそ弱いものの精神は健全でちゃんとした真っ当な人間に見える。しかし、後半に差し掛かり、空也の才能と彼が体験してきた破滅が彼という人間を徹底的に壊してしまっていた事が明らかになってくる。
彼は半ば、彼岸に足を突っ込んでいる人間だ。まともに生きているのが不思議になるほど、彼の心はボロボロでナニカに取り憑かれたように絵に自分自身を刻み込んでいる。いつ、現実世界から消えてしまっても不思議でないほど、朧で空虚でふわりと浮かんで大気の中に溶け込んでしまいそうな希薄な存在だった。
そんな彼を現世にとどめていたのは、間違いなく翠香の存在だろう。いや、存在そのものではなく、彼女の献身が、形振り構わず自分自身を決定的に不可逆に、ただ空也の為にだけ生きる存在に自己改造し、自己鍛造して支えたからこそ、彼は生きてこられた。辛うじて。
このままなら、いずれ遠からずこの翠香でも支えきれなく消えゆく彼を掴めなくなっていただろう。破綻は、崩壊は、時間の問題だった。
母親に愛情を踏みじられてそれを因果として父親を文字通り喪った空也は、愛を喪った。愛情に恐怖するようになった、愛を感じ取れなくなった、愛情を虚しいものとしか認識できなくなった彼にとって、世界はもう温度のない冷たい棺でしかなかった。それでも世界を、周りの人たちを愛していた彼は、絵を通して自分自身を焚べることで、自分の生命を切り取って与えること愛の価値を証明する他なかったのだ。
こうしてみるとよく分かる。宮代空也という人間にとって、並の愛ではまるで足りなかったのだ。
人の身で抱えきれないほどの、人ならざるものにならないと抱えきれないほどの、深い深い奈落のような愛。底のない深淵のような愛でなければ、到底彼を繋ぎ止める事も守ることも出来なかったのだろう。そして、彼には奪い取れるようなものは何も残っていなかった、空っぽだった。だから、注ぎ込まなければならなかった、奪うよりも与えなければならなかった。自分たちの異常性をも燃料として焚べて、熱を与えなければ凍ってしまうほどに、彼はもう限界だったのだ。
そして、彼女達ほどの昏く消せない質量のある炎のような愛情でなければ、劇薬めいたショックを与える事は出来なかっただろう。
そうした愛情の発露が、むき出しの人間性の描写が、こみ上げて身体からも心からも溢れ出してしまった感情の表現が、ビリビリと痺れるほどに生々しく鮮烈な物語でした。妄執の愛というべき、女達の情動。泣きじゃくる紅の姿は、心は、みっともない程無様でありながら、これ以上無く綺麗に見えた光景でした。
ああ、良いものを観た。
素晴らしく心奪われ、引き込まれるラブストーリーで、愛の讃歌でありました。面白かった!



『レベル』があるなら上げるでしょ? モブキャラに転生した俺はゲーム知識を活かし、ひたすらレベルを上げ続ける ★★★   



【『レベル』があるなら上げるでしょ? モブキャラに転生した俺はゲーム知識を活かし、ひたすらレベルを上げ続ける】 珠城 真/八重樫 南 富士見ファンタジア文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

レベル上げが大好きな俺は、ゲームのモブキャラに転生してしまった。モブキャラに転生してしまったんだから、ゲーム攻略は二の次。プレイヤー時代の知識を活かし、効率の良いやり方でレベルアップに励んでやる!

レベルを上げて強くなることが好きなんじゃなくて、レベル上げという行為そのものにハマってしまったのか、この主人公・桜井は。
つまり、筋肉を鍛え上げることではなく筋トレすることそのものにハマったり、ソシャゲなんかで素材を得てキャラを強化するためじゃなく、周回そのものが楽しくなってしまった、というようなものですか。
その結果として筋肉が美しく仕上がったり腕力が上がったり、キャラが強くなったり、というのはあくまで結果であってそこまで興味あるものではない、と。
桜井の場合は、効率的にレベルが上がるために実は剣聖だったオッサンに修行つけてもらう事が大事で、その結果として使えるようになった剣聖の奥義なんかはそんなに重要視するものではなかったんだなあ。
キャラビルドとしても、桜井の強化はイビツなんですよね。あくまでレベル上げしやすいように強化されて行っているだけで、戦う強さとしては酷くバランスを欠いたものになっている。だから、レベル差は圧倒的に桜井が上だったにも関わらず、不意打ち気味だったとはいえ檜垣にあっさり打ちのめされてしまっているし。
だからといって、それで方針を変えたりするわけではなく、彼の中ではあくまでレベルを上げるという行為そのものが人生の中で最優先であって、それ以外の事は優先順位が下、というか興味関心そのものがないと言っていい。
かなり、人としてはダメ、というか終わってるのではないだろうか。
一応最初の方は他人に迷惑をかけないように、という心がけはあったものの、途中からそれすらも優先度が下がっていっているし。これは直向きというのではなく、取り憑かれているというべきなのだろう。両親からも勘当に近い扱いを受けているし。いや、子供としてマトモな接し方を家族ともしていなかったようだし。
このあまりにもレベル上げしか考えていない自分本位な生き方は、あまりに無分別であるが故に檜垣という激烈な敵対者を生み出してしまった事に代表されるように、逆に彼自身のレベル上げを阻害する邪魔を多く生むことになってしまう。
仮にも社会の中で生きるからには、あまりに自分本位すぎるとその行動を掣肘するような動きが自然と社会の中から発生してしまうのだろう。まあ、檜垣は檜垣で大いに問題あり。というか、彼女は彼女で気に入らない、我慢できないという理由だけで桜井の事を抹殺しにかかるという、ぶっちゃけ殺人犯以外の何者でもない行為をやらかしてしまっている危険人物なのだが。
桜井も檜垣も、自分たちが陥ってしまった陥穽についてお互い自分のレベル上げを邪魔する、或いは自分の人生の目標を踏みにじる相手を排除すべく殺し合って、実際死んでしまっても気付かないし治らないし、死後の世界で第二ラウンドはじめてしまうほどのアレだったわけで、そこでアイリスという冥府の管理者の1人に叱られ教え諭されるまで全く気付かなかったんだよなあ。
このアイリスのお説教が、なかなか突き刺さる内容だったんですよね。普通、お説教なんて上から目線で相手の立場なんか考慮していなくて、たとえ正しい事でも上っ面で滑って心に届かないものなんだけど、彼女のお説教というのはかなりグサグサくるもので、思わずそうだよなあ、とかなるほどと深くうなずいてしまうものであり、その上で相手の価値観に合わせて今までの自分の行為ややり方がどれだけ自分自身に不利益を与えていたのかを指摘してくれるもので、これはさすがの桜井も無視出来なかったんですよね。
それこそ、あなたのやり方生き方は敵を生みすぎてレベル上げのやり方として非効率的である、と言われたようなもんでしたしねえ。
檜垣の方への指摘もそうなんだけれど、二人へのアイリスの痛烈な非難と鋭い指摘と適切な改善方法というのは、それだけ作者がこの桜井と檜垣というキャラクターをちゃんと細かいところまで解体して掌握しきっていないとなかなか出てこない言葉だと思うんですよね。何となくとか勢いで書いてるだけじゃ出てこない分析でもあったのです。それこそ自分のキャラを掘り下げて掘り下げて、具体的に言語化できるまでに解釈しきるほどでないと。
そして、そこまで詳細に掌握しているからこそ、登場人物の在り方を次の段階に進める、それは成長でも変化でもいいのですけれど、そのキャラの根幹を変えないままに、もう一つ上積み出来るとも言えるんですね。
実際、桜井という人物はこれ以降もその価値観の最上位はレベル上げであることはゆるぎません。彼にとって大事なことはレベル上げ。それ以外は二の次なのですけれど、彼なりに反省して人との接し方を考えるようになります。
また、アイリスに叱られなかった桜井の行く先の一つとして、自分本位の塊のような人間として今回のボスキャラを対比として出してくることで、ああはなりたくないという形で桜井の在り方の方向性を修正していったように思えるんですね。
まあそれでも、それで人に好かれるようなキャラになったかというと、まだまだだと思うのですが。というか、こいつがヒロインに好かれる事があるんだろうか。檜垣とは和解出来たと言っても、親しむには程遠いというか未だにやっぱり嫌いという感情はこびりついているだろうし。アイリスはその世話好きの性格から、厄介な桜井と檜垣の面倒を見なければという気持ちを抱いているけれど、それを好意と呼べるのか。まあホントいい人なので知人友人としての好意は多分に持ってくれているのだろうけど。
いやほんと、問題児どころじゃないハズレた人物ばかりの中でアイリスは全くもって人間の出来た人だったなあ……いや、問題児は桜井と檜垣とラスボスだけでそれ以外の人は概ねちゃんとした人だったような気もするけど。メイン級の登場人物の大半がアレだったので、それだけアイリスのマトモさが目立つし清涼だし癒やしだった気がします。それ以上にしっかりした人でちゃんと悪い所を叱れる人で、叱ったあとで放置せずに熱心に世話焼いてくれるような人だったので。
アイリスがいれば、桜井たちも道を踏み外さないでしょうけれど、さりとてどうやったってマトモにはならない人間なだけに、さて次回以降があるとしてどういう道を歩んでいくのか。

クラスで一番の彼女、実はボッチの俺の彼女です ★★★☆   



【クラスで一番の彼女、実はボッチの俺の彼女です】 七星 蛍/万冬 しま 角川スニーカー文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

私たちの関係は、みんなには内緒。甘酸っぱいドキドキのカレカノラブコメ!

「青春」なんて面倒くさい、自称・選択ボッチの篠宮誠司と、学年トップの成績で現役モデルの高嶺の花・神崎琴音。教室の中では絶対に交わらない2人は、クラスの誰も知らない秘密を持っている。
――この2人、実は皆に隠れた恋人同士なのだ。
頼り方を知らない甘え下手な彼氏と甘えたがりな彼女は、2人きりになった途端、素直な自分になることができる。
文芸部の部室で一緒にお昼を食べたり、豪雨を言い訳に家でお泊まりデートしたり、体育館裏でこっそり抱き合ったり……。

クラスでは遠いのに、2人だとこんなにも近い距離。
もどかしくて焦れったい、内緒のカレカノラブコメディ!
いや、良いよこれ、イイんじゃない!?
この二人、篠宮と神崎琴音の二人って普通のカップルなんですよ。ほんと、この年頃の高校生の彼氏彼女。お互いの事が好きで、一緒に過ごすのが楽しくて、居心地が良くて、まだまだ付き合いはじめて時間も経っていないからお互いの知らない面や趣味嗜好を知っていくのが嬉しくて仕方なくて。まさに彼氏彼女の関係を謳歌していて、浮かれている真っ盛り。かと言って、浮かれて暴走したりもせず、一方的に突っ走ったりもせず、等身大の自分のまま距離感として手を繋いで肩を寄せ合っているような穏やかな甘酸っぱさなんですよね。
これがいいんだ。
なんかタイトル的にも身分違いの秘密の恋、みたいに見えるんだけど、篠宮もボッチとは言え別にコミュ障というわけじゃなく、独りで居るのが平気で楽だからそうしているだけで孤立しているという訳じゃないし、神埼の方も学校の人気者とは言え化け物じみたスペックしてる訳でもカリスマがあるわけでもなく、メンタルお化けというわけでもない。美人で明るくて社交的だけど、普通の女の子だ。だから、二人の様子見ていても普通の彼氏彼女なんですよね。どちらかに比重が偏っているようなバランスの悪いカップルなんかじゃなく。
学校の友達には内緒にしている関係、というのもさほど珍しいものではないだろう。周囲の人間関係に煩わされないように、こっそり付き合っているというケースは良く聞くじゃないですか。彼らの場合、二人の関係は篠宮の妹には知られていて、琴音が篠宮の家に遊びに行く事もあって妹ちゃんとはもう別枠で連絡取り合ってるような仲良しですし、学校でも実のところそこまで神経を尖らせて真剣に隠しているようには見えない。昼休みのたびに、部室で一緒にお昼食べているし、みんなの見ている前では話したりしないけれど、携帯でメッセージは送り合っているし、何かあったら人気のない所で会ったりもしている。学校の行き帰りも、相応の頻度で一緒にしてますしねえ。
こうやってこっそりバレないようにという素振りで仲睦まじくするのが、楽しいというのもあるのだろう。わかります。
当然、他の同級生とあんまり交流を持っていない男子と、琴音が付き合っていると知れ渡ると彼女の広い交友関係から色々と面倒くさい事になるので隠している、という意図もわかるんですけどね。
公の関係になってしまうと、否応なく篠宮の方も琴音の人気者故の交友関係の方に関わることを要求されることになるでしょうし。そうすると、二人だけの関係に集中している訳にいかなくなるだろうし、煩わしいおつきあいも増える事になってしまうだろう。
それが原因で、今の気負いなく等身大で付き合えている関係に余計な負担が増えてしまうのは嫌だろうしねえ。二人の関係を内緒にしておきたいというのは、篠宮の方の希望みたいだけれど、琴音の方の気遣いも多分にあると思われる。ただ、篠宮からするといざ自身の煩わしさか琴音との関係か、と問われたら特に迷うことなく琴音の方を選ぶだろう事は、琴音が見舞われたトラブルで彼が積極的に介入した事からも自明のことだろう。
自分が見舞われたトラブルのお陰で篠宮まで面倒事に巻き込まれる事を嫌った琴音は、自分から距離を置こうとしていたけど、それは篠宮に気遣いすぎというか、あらすじでは篠宮の方が頼り方を知らないとか書いてあるけど、こうして見ると琴音の方が知らないしこういうときこそ甘えればいいのに、と思ってしまう。いや、本当に篠宮の事好きだからこそ、というのが伝わってくるのでありますけど。篠宮の方も、琴音が好きだからこそ此処ぞというときにはあれだけ身を挺して積極的に動き回れるのだろうし。自分が部活のイケメン男子と話していて、それがお似合いに見えた事で嫉妬してしまった、なんて篠宮から正直に吐露された時の琴音の、あの相好を崩すドコロじゃないはしゃぎようは可愛かったしなあ。お互いにホント夢中なんですよねえ。いい雰囲気のカップルなんだよなあ。

だからこそ、中学時代の篠宮の後輩であり、今年改めて入学してきた姫島はご愁傷様ですとしか言いようがない。これ、必死に勉強して篠宮のこと追いかけてきたんだろうしなあ。篠宮と琴音が関係を秘密にしているおかげで、後輩ちゃんは篠宮のことフリーだと思ってるんですよね。おまけに、ボッチだし周りに人もいないし、まさかこの先輩のことを好きになる人がいるわけないだろうと油断じゃないけど、余裕を持っているようにも見える。
まさか、出遅れているどころか既に試合終了しているなんてことは夢にも思うまい。かわいそうに。
ただ、このままだと付き合っているの内緒にしている事自体が、拗れる要因になりそうなんだよなあ。琴音の方は、むしろ人気者であるが故にある種キッパリと交際申し込まれても断れる立ち位置で、なあなあで変に距離感詰められてきたりというのも少ないでしょうし。まあ、今回のようにやたら悪質な手段で絡まれたりする事もあるわけですが。

何にせよ、篠宮と琴音のカップルはまさに等身大の普通の高校生カップルさが、むしろ新鮮で地に足がついているが故の派手じゃないけど力強い仲睦まじさ、甘酸っぱさを感じられて、良かった、実に良かったです。

インフィニット・デンドログラム- 14.<物理最強> ★★★★   



 インフィニット・デンドログラム- 14.<物理最強>】 海道左近/タイキ HJ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

対するは、<最強>

二国間による講和会議も決裂し、戦闘状態へと移行する両陣営。
レイvs<.物理最強>【獣王】ベヘモット。
アズライトvs【衝神】クラウディア
シュウvs【怪獣女王】レヴィアタン
お互いに譲れないもののため、各々全ての力をかけて衝突するこの戦いの行方は果たして――。
レイがゲームを始めて以来、最も過酷な戦いの幕が今上がる!
大人気VRMMOバトルファンタジー、決死の第14巻! !

クラウディアの抱えていた真実、そういう事だったのか。いや場合によっては、兄貴と合体とか融合なんていう可能性も想像していたんですよね。アズライトなどの回想からして、クラウディアの双子の兄というのは実在してアズライトと交遊もあったようですし。それが、現状一つの身体に同居しているのを示唆するような描写が続いたとなるとねえ。
ドライフ皇国はただでさえ、機械帝国! って感じで生体改造とかもガシガシやっている以上、二人の人間の精神を移植して、とかもっと物理的に合体融合して、みたいなのもやっても不思議でない印象がありましたし。【衝神】と【機皇】の二重取得とか、どう考えても普通の人間じゃないじゃないですか。
さすがにそこまでの最悪の予想通りとはなってなくて安心した、というべきかむしろクラウディア一人でこれ賄っていたと考えるとこれはこれで最悪なんじゃ、と思わないでもない。
いや、それもう天才すぎるを通り越して、バケモノじゃないですかー。ともあれ、アズライトへの愛は紛うことなき彼女独りのものだったわけですな。アズライトに一目惚れしてしまったが故に、今の性格を瞬時に構築してしまった、とか凄いは凄いんだけど、重いわー!
ただ、アズライトはその重さに平然と耐えれてしまう、というか重いとか感じないタイプだよなあ。きっぱりと友情までで線引きしちゃってますが。
二人の決闘は辛うじてアズライトに軍配があがりましたけれど、終わってみるとクラウディア、このときの全力ではあったけれど、まだ余力はあったんだよなあ。というか、月夜先輩の治療でパーフェクトクラウディアになってしまったのでは。
対獣王戦は、まさにこれぞジャイアントキリングというような、圧倒的強者の攻略戦になっていて燃えました。ここまで差があると、もはや詰将棋並に一手一手最善を尽くし、振り絞れるだけの全力を発揮して、ミスも無駄も一切なくして、ようやく届かないはずの頂きに指を引っ掛ける、くらいなんですよね。いやほんとに、まさに一手一手を時間を凝縮したようななかで打っていくんですよね。それも場当たり的にその時効果あるものではなく、先々のための積み重ねであり、伏線であり、埋伏であり、仕掛けであり。後々になって決定的な効果を発する手を瞬間瞬間打ち放っていく。一方で、その場その場も凌がないと、まさに瞬殺されてしまいますから、綱渡りの綱を全員で全力疾走するようなものだよなあ。
しかし、これぞジャイアントキリング、という見どころたっぷりの熱い戦いでありました。
てか、地味に月影先輩の影に潜る能力、これ自分だけでなく味方のユニットも、というあたりで実質MVPだったんじゃないでしょうか。これのお陰で、圧倒的弱者側だったこっちが主導権を握り続けられたようなものですし。
ここに来て、ネメシスによってレイのあの不屈の名前の由来ともなった、諦めず体中ボロボロになりながらも決して倒れず屈せず不可能に手を届かせるあの意志力の根源が語られていましたけれど、やっぱりあの「後味が悪い」というセリフは決め台詞なんかじゃなくて、本音も本音、精神の負荷をこぼしたものでもあったんですなあ。ネメシスがあれだけ深くレイの内面のことを理解している、というのも実に恋女房らしくて良いのですけれど、この娘はこうしてみると献身の娘よなあ。

そして、皆がディスペナも加味して、全員の力でなんとか獣王の身に致命の一撃を届けたところで、最後に月夜先輩の出番である。月夜先輩も、最善と全力を尽くしました。尽くしてしまいました。この人、頑張るとクソ外道の卑しんぼムーブになってしまうの、どうにかできませんかねw
獣王も自分事よりもクラウディアのことで追い詰められているの、あからさまだったのも悪いんですけれど、実際問題イーブンか月夜先輩の方が分が悪い状況だったと思うのですけれど、そこから平然と倍プッシュするこの強欲さ。いや、そこで素直に言い分を聞くのではなくさらに奪えるものは奪ってしまう強かさはまさにタフネゴシエーターなんですけど、ちゃっかり自分の懐にも利益を忍ばせるこの守銭奴っぷりたるや! こういう所カルト教団の教祖というより悪徳商人だぎゃ。いや、正しく現代のカルト教団の教祖らしい、というべきなんだろうか、これ。みんなの力で勝ち取った判定勝ちだったにも関わらず、自分だけこっそり金巻き上げるあたりが流石としか言いようがない。

しかし、辛うじて判定勝ちを勝ち取れましたけど、そのままやってたらアウトでしたでしょうし、獣王もこの戦いでは随分と自分に制約をつけていましたし、それ以前に本来ならば獣王はレヴィアタンとセット、コンビで戦ってこそ、なわけですから、実際問題半分の力で戦ってたようなもんだよなあ、これ。
改めて交渉で、今度こそ戦争で決着。それもティアン抜きのマスターだけで、という形になりましたけど、まだまだクライフ皇国余力あり、ですよねえ。まあまだ王国側も今回参戦出来なかったマスターも結構居ますから、挽回の余地はあるのでしょうけど。
と、その前にまだ王都強襲の方が正式に決着ついていないみたいですし、むしろあっちでの出来事の方がこの世界にとっては本命みたいなんですよね。管理者側にえらい不穏な動きを、この王都襲来に合わせて見せてきていますし。次回にもまだ動乱続く、か。


皇女殿下の召喚士 2 ★★★☆   



【皇女殿下の召喚士 2】 長野 文三郎/はるのいぶき ヒーロー文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
「異界からの召喚」というギフトを手に入れたレオは、召喚した不思議なアイテムを用いて活躍し、皇女フィリシアのプリンセスガードという役職についた。恋仲のフィリシアとの婚約を皇帝に認めてもらうため、辺境のカルバンシアの地を開拓していく。ある日、故郷の友人から召喚した果物が収穫できそうだという手紙が届き、レオたちは里帰りも兼ねてラゴウ村に向かうことになる。旧友たちはレオの変化に驚きつつ、秘密のお楽しみを共有したりして、楽しいひと時を過ごす。そして、レオが召喚したマスクメロンの種はしっかり実を付けていた。その味と効能の高さを実感し、皇帝に献上しようと決めるのだが―。

皇帝陛下がアグレッシブでパワフルで精力的すぎるw そりゃ、こんなスケジュールで働きまくってたら帝国発展するし、その上でこれだけハッスルしてたら子供もわんさかできますわい。
ヒロインのフィリシア様からして皇女は皇女でも第十八皇女ですからね。これだけ下の方だと、政治的にもそれほど重要な立ち位置じゃないので、だからこそレオにも婚約者となるチャンスがあったわけですけど。
でもフィルが末妹の方、というわけでもなさそうなんだよなあ。現役でなおあれだけ励んでるとなると、多分フィルで真ん中かちょっと上の方になるんじゃないだろうか。それだけ皇族が増えるとなると、お金も掛かりそうだし権力争いもえらいことになりそうだけれど、フィルの姉のメダリアのように成人の儀で宮廷から離れる子供も少なくないようなので、変に権力を持たせる事無く皇帝陛下がうまいこと皇室を統制しているのがなんとなくわかる。
後継者の皇太子もしっかりと定めているみたいだし。この皇太子も、直接登場はしていないもののかなり優秀かつ温厚な人物みたいで、さらっとレオが皇太子のことを尊敬しているとのたまっているのは印象的だった。
レオ自身、皇帝陛下のお気に入りであり、功績も多々あって目をみはるような出世を果たしているある意味皇帝の子飼いみたいなところのある新貴族だけれど、この様子だと皇太子とも良い関係でいそうなんですよね。まあ、彼自身性格の良さと同時に立ち回りも上手くて人好きする性格なので敵を作りにくい人物なのですけれど。アリスがハーレムルートハーレムルートと拳を振り上げているように、彼を慕う女性も多いのですけれどそれに負けないくらい男友達も多いですしね。
何気にこの2巻の新登場キャラでヒロインはいなくて、異国の同じプリンセスガードのイケメン騎士と意気投合して仲良くなってるくらいですし。田舎の親友たちとは今なお得難い交流を続けていますし、その中からまさかの出世、貴族にまでなる人も出てきてますし、メダリア姉さまの恋人であるレレベル準爵ともかなり親密な友達付き合いしてますしねえ。
こういう男相手の関係も疎かにしてなくて、気持ちの通じ合った人間関係を欠かしていない主人公というのはやっぱり好感を抱いてしまいます。
ヒロイン相手の方も順調で、フィルとはついに一線を越えてしまうほど仲睦まじいですし、陛下から押し付けられた殺し愛がモットーなアニタの方も、ある意味再度落としなおして図らずも真っ当な愛情の方も獲得してしまいましたし。レオの方は別に節操がないわけじゃなく、フィルに対して一途なのですけれど、皇帝陛下の肝いりとかアリスがマメに唆して攻略ルートにレオを蹴り込むので、どんどん各ヒロインのルートが進展していっているという風情で。その中でも初めの方から片思い風味に恋情を募らせているレベッカがいじましくてねえ。レオとフィルの関係を一番近くで見ていてわかっているからこそ、無理には踏み込まないのだけれど、あれだけ好き好き光線出してたらねえ。アリスも煽るし。このオートマタ娘、本当に煽るよなあ。それでいて、わりと自分自身も遠慮せずにグイグイ押し込んでいきますし。
この未来型オートマタメイドのイイ性格したアグレッシブさが、ただでさえテンポのよいこの作品の回転力をアップさせている気がします。どんどん回転させて勢いつけてるもんなあ。
何にせよ人間関係にギスギスしたところがなく、どの方面でも思わず微笑んでしまいそうな温かい関係や篤い友情、淡い愛情が育まれててて、心地の良いお話でした。その上で軽快でリズムテンポ良くてグイグイ引っ張っていってくれますし、うん楽しかった。


 

8月12日

このえ/田口ケンジ
(サンデーうぇぶりSSC)
Amazon Kindle B☆W


堂本裕貴
(サンデーうぇぶりSSC)
Amazon Kindle B☆W


ヨウハ/SCRAP
(サンデーうぇぶりSSC)
Amazon Kindle B☆W


浅井蓮次/沢田新
(ビッグ コミックス)
Amazon Kindle B☆W


朝比奈希夜/榊空也
(ビッグ コミックス)
Amazon Kindle B☆W


田井ノエル/カズアキ
(ビッグ コミックス)
Amazon Kindle B☆W


宮野美嘉/碧風羽
(ビッグ コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Y.A/すざく
(ビッグ コミックス)
Amazon Kindle B☆W


大井昌和
(夜サンデーSSC)
Amazon Kindle B☆W


大井昌和/いのまる
(夜サンデーSSC)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

8月11日

千羽十訊
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


kimimaro
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


完菜
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


ゆいレギナ
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


えぞぎんぎつね
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


森田季節
(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W

8月10日

支倉凍砂
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


伏見つかさ
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


七菜なな
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


榛名千紘
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


佐島 勤
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


岬 鷺宮
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


蒼井祐人
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


杉井 光
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W



(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W



(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


雪仁
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


鏡銀鉢
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


新 八角
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


依空 まつり
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


しののめすぴこ
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


あるくひと
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


可換 環
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


犬魔人
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


リュート
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


夕蜜柑
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


猫神信仰研究会
(サーガフォレスト)
Amazon Kindle B☆W


香月美夜
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


古流望
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


早瀬黒絵
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


ダイヤモンド
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


阿井りいあ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


乙野四方字
(ハヤカワ文庫JA)
Amazon Kindle B☆W


西尾維新
(講談社文庫)
Amazon Kindle B☆W


九井諒子
(ハルタコミックス)
Amazon Kindle B☆W


青木潤太朗/森山慎
(単行本コミックス)
Amazon Kindle B☆W


月夜涙/長尾件
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


たかた/吉野宗助
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


岡沢六十四/倉橋ユウス
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


雪仁/かがちさく
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


studio HEADLINE
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


かたやままこと
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


さわむらリョウ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


島本和彦
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


七尾ナナキ
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


武者サブ
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


丸戸史明/武者サブ
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


朝倉亮介
(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


新木伸/岸田こあら
(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


日之影ソラ/明日かかん
(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


天野ハザマ/月島さと
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W


椿いづみ
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W


丸美甘
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W


わるいおとこ/彭傑&奈栩
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


浜田よしかづ
(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Magica Quartet/富士フジノ
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


牛木義隆
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


一七八ハチ
(ハルタコミックス)
Amazon Kindle B☆W


namo
(ハルタコミックス)
Amazon Kindle B☆W


宮本伶美
(ハルタコミックス)
Amazon Kindle B☆W


大上明久利
(ハルタコミックス)
Amazon Kindle B☆W



竹澤香介
(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


目黒三吉/一色孝太郎
(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


幾夜大黒堂/天然水珈琲
(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


鉄田猿児/ハム男
(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


咲良/ちょきんぎょ。
(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


深山じお/花波薫歩
(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


木虎こん/みわかず
(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W

8月9日

佐藤ショウジ
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


石田彩/CK
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


つむみ/愛七ひろ
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


いつむ
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


奇仙
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


Bcoca/保住圭
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


山口ミコト/D.P
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


三簾真也
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


門司雪/アルト
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


石沢庸介/謙虚なサークル
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


シンジョウタクヤ
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


井上菜摘/未来人A
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


大前貴史/明鏡シスイ
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


外ノ/秋
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


筒井テツ/菅原こゆび
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


井上まち
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


白井三二朗
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


栗田あぐり
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


カワグチタケシ
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


中村なん
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


ナナシ
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


西岡知三/鏑木カヅキ
(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


穂高歩/しゅうきち
(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


朱子すず/日之影ソラ
(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W
8月8日

中島豊
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


冬葉つがる
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


モトエ恵介/FUNA
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


加古山寿/朱月十話
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


町田とし子
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


タイジロウ/青山有
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


蒼井万里
(ワイドKC)
Amazon Kindle B☆W


品佳直/カルロ・ゼン
(バンチコミックス)
Amazon Kindle B☆W


たかとうすずのすけ/花果唯
(メテオCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


ねこ末端
(メテオCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


水崎弘明
(メテオCOMICS)
Amazon Kindle B☆W

8月5日

しげ・フォン・ニーダーサイタマ
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


藤浪 保
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


かずなし のなめ
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


音無砂月
(PASH!ブックス)
Amazon Kindle B☆W


月夜乃古狸
(PASH!ブックス)
Amazon Kindle B☆W


下城米雪
(PASH!ブックス)
Amazon Kindle B☆W


櫓刃鉄火
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


井上堅二/吉岡公威
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


吉岡公威
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


イシイ渡
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


新井春巻
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


山田恵庸
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


藤本ケンシ/井出圭亮
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


植野メグル
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


南勝久
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


筧千里/堂島ノリオ
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


秋澤えで/桐野壱
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


ふか田さめたろう/ニシカワ醇
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


quiet/ムロコウイチ
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


こおりあめ/ひだかなみ
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


杉町のこ/柚原テイル
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


RINO/YUNSUL
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


鳥生ちのり/なまくら
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


SUOL/ Gwon Gyeoeul
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


Kindle B☆W

8月4日

西出ケンゴロー
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


芥見下々
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


内藤泰弘
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


尾田栄一郎
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Boichi/石山諒
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Boichi/石山諒
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


鈴木祐斗
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


三浦糀
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


末永裕樹/馬上鷹将
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


神海英雄
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


附田祐斗/佐伯俊
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


松井優征
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


賀来ゆうじ
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


近藤憲一
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


天野明
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


龍幸伸
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


かっぴー/nifuni
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


高口楊
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


静脈/依田瑞稀
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


河本ほむら/羽田豊隆
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


鳥山明/とよたろう
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


篠原健太
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ちると
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

8月2日

裕時 悠示
(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W


歩く魚
(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W


FUNA
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


FUNA
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


鬱沢色素
(Kラノベブックスf)
Amazon Kindle B☆W


琴子
(Kラノベブックスf)
Amazon Kindle B☆W


水仙あきら
(Kラノベブックスf)
Amazon Kindle B☆W

8月1日

逆木ルミヲ/恵ノ島すず
(B’s-LOG COMICS)
Amazon Kindle B☆W


比村奇石
(プレミアムKC)
Amazon Kindle B☆W


比村奇石
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


森小太郎
(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W


あび/上村夏樹
(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W


佐々木マサヒト/綿涙粉緒
(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W


文ノ梛/水城正太郎
(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W


羊思尚生
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


軽井広
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


農民ヤズー
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


叶田キズ
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


おけまる
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


ハヤケン
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


北山結莉
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


北山結莉
(HJ文庫)
Amazon B☆W

7月29日

雲雀湯
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


燦々SUN
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


斎藤ニコ
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


たかた
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


はむばね
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


月夜涙
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


日向夏
(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


百黒 雅
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


木の芽
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


矢御 あやせ
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


日之影 ソラ
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


gulu
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


小鳥屋エム
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


櫂末高彰
(ファミ通文庫)
Amazon Kindle B☆W


棚架ユウ
(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


ジャジャ丸
(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


小鈴危一
(モンスター文庫)
Amazon Kindle B☆W


どまどま
(モンスター文庫)
Amazon Kindle B☆W


水月穹
(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W


ふつうのにーちゃん
(Mノベルス)
Amazon B☆W


赤金武蔵
(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W


つたの葉/Project シンフォギアXV
(バンブーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


藤川よつ葉/あづま笙子
(バンブーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ミト
(バンブーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


つくしあきひと
(バンブーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


佐藤夕子/三嶋イソ
(バンブーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


重野なおき
(バンブーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


鳴見なる
(バンブーコミックス)
Amazon


さぬいゆう/伊丹澄一
(バンブーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


重野なおき
(ヤングアニマルコミックス)
Amazon Kindle B☆W

7月28日

SASAYUKi/リュート
(ライドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


一花ハナ/龍央
(ライドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

7月27日

英貴
(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


フライ/竹岡葉月
(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


中田ゆみ
(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


久慈 マサムネ/Mika Pikazo(REXコミックス) Amazon


空地大乃/黒山メッキ
(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


長野文三郎/結城心一
(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


上海散爆網絡科技有限公司/Ling
(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


あずまあや
(電撃コミックスEX)
Amazon Kindle B☆W


五十嵐正邦
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


秋奈つかこ/鴨志田一
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


みなみ/逆井卓馬
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


〇線(まるせん)
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


リーフィ
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


藤松盟
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


加藤陽一/スメラギ
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


ノッツ
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


野人/小林嵩人
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


松風水蓮/彩峰舞人
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


戦上まい子
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


夏川そぞろ/御鷹穂積
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


隆原ヒロタ/青山有
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


ちくわ。
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


宇崎うそ
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


かきふらい
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


みくるん
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


むらさき*
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


カヅホ
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0B791FFRS/turedurezak0e-22/ref=nosim/" target="_blank">
Amazon Kindle B☆W

7月26日

円城 塔
(ジャンプジェイブックス)
Amazon Kindle B☆W


TYPE-MOON(TYPE-MOON BOOKS)
Kindle B☆W


TYPE-MOON
(TYPE-MOON BOOKS)
Kindle B☆W


東條チカ/カルロ・ゼン
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


池野雅博/ざっぽん
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


東大路 ムツキ/ざっぽん
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


植野メグル
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


草下シンヤ/マルヤマ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


そと/冬原パトラ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


kanco/坂石遊作
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


内田健/鈴羅木かりん
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


矢野トシノリ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


高木秀栄/矢立肇
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


浅川 圭司/花黒子
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W

7月25日

おがきちか
(ZERO-SUMコミックス)
Amazon Kindle B☆W


おがきちか
(ZERO-SUMコミックス)
Amazon


サワノアキラ/秤猿鬼
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


合鴨ひろゆき/赤井まつり
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


蒼和伸/篠崎冬馬
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


かせい/猫子
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


長頼/シゲ
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ばう/小野崎えいじ
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


七浦なりな/桜あげは
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


藤谷一帆/瀬尾優梨
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


くずしろ
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


山崎夏軌
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


水城水城/Ko-dai
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


実倉なる
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


星河だんぱ
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


鮭no.マリネ/日本サぱ協会
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


咲竹ちひろ
(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Schuld
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


どぜう丸
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


みわもひ
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


甘木智彬
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


常陸之介寛浩
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


岸本和葉
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


鬼ノ城ミヤ
(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


シゲ
(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


上野夕陽
(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


桜あげは
(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W


日之影ソラ
(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W


涼暮 皐
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


森林 梢
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


城崎/かいりきベア
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


マリパラ
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


壱日千次/Plott、biki
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


久追遥希
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


守雨
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


新巻 へもん
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


福寿草 真
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


虎戸 リア
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W

7月23日

むらかわみちお/才谷屋龍一
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


石見翔子/理不尽な孫の手
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


村市/千月さかき
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


松井俊壱/リュート
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


Usonan/Wookjakga
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


一智和智/桝田省治
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


盧恩&雪笠/早秋
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


牛乳のみお
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


雨水龍/細音啓
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


森野カスミ/暁なつめ
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


かわせみまきこ/駱駝
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


浅草九十九/和ヶ原聡司
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


えかきびと/長田信織
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


甲田 学人
(メディアワークス文庫)
Amazon Kindle B☆W


仲町 六絵
(メディアワークス文庫)
Amazon Kindle B☆W

7月22日

ネコクロ
(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


持崎湯葉
(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


新木伸
(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


磨伸映一郎
(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


はるまれ/世界一
(4コマKINGSぱれっとコミックス)
Amazon Kindle B☆W


赤人義一
(ブシロードコミックス)
Amazon Kindle B☆W


藤近小梅/漆原雪人
(ブシロードコミックス)
Amazon Kindle B☆W


つるまいかだ
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


出端祐大
(イブニングKC)
Amazon Kindle B☆W


華鳥ジロー
(イブニングKC)
Amazon Kindle B☆W


藤田和日郎
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


須賀達郎
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


蛇蔵/鈴木ツタ
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


ツジトモ/綱本将也
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


山田芳裕
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


中村光
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


大森藤ノ/矢樹貴
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


嶋水えけ
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


大森藤ノ/桃山ひなせ
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


大森藤ノ/汐村友
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

7月21日

伊達 康
(ガガガブックス)
Amazon Kindle B☆W


春間 タツキ
(角川文庫)
Amazon Kindle B☆W

7月20日

竹町
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


木の芽
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


サンボン
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


神里 大和
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


平成オワリ
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


小狐 ミナト
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


七野りく
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


七野りく
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


なめこ印
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


四季大雅
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


新馬場 新
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


初鹿野 創
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


鶴城 東
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


真白ゆに
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


ハマカズシ
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


手代木正太郎
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


イスラーフィール
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


華宮ルキ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


春の日びより
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


木嶋隆太
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


星畑旭
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


林譲治
(ハヤカワ文庫JA)
Amazon Kindle B☆W


八神鏡
(GCN文庫)
Amazon Kindle B☆W


竹林七草
(集英社文庫)
Amazon


せうかなめ/竹町
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


甜米らくれ
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


御池慧/桂あいり
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


鳴見なる
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Kindle B☆W

7月19日

Sin Guilty
(HJ NOVELS)
Amazon Kindle B☆W


かたなかじ
(HJ NOVELS)
Amazon Kindle B☆W


保利亮太
(HJ NOVELS)
Amazon Kindle B☆W


あずまたま
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


野田サトル
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


奥浩哉/花月仁
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


松原利光
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


稲葉みのり
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


朝倉亮介
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


茶菓山しん太
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


川西ノブヒロ
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


椎橋寛
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


まめおじたん/Qruppo
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


妹尾尻尾/そら蒼
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


高橋慶太郎
(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


サンドロビッチ・ヤバ子/MAAM
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W
7月15日

川上 稔
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W DMM


珪素
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W DMM


茨木野
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W DMM


Y.A
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W DMM


しまねこ
(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


虎戸リア
(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


長野文三郎
(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


一色孝太郎
(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


十夜
(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


三上康明
(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


顎木 あくみ
(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


sora/柚原テイル
(フロースコミック)
Amazon Kindle B☆W


硬梨菜/不二涼介
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


山本崇一朗
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


内藤マーシー
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


宮島礼吏
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


久世蘭
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


金城宗幸/ノ村優介
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


吉河美希
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


ひらかわあや
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


西森博之
(少年サンデーコミックス スペシャル)
Amazon Kindle B☆W


百地/岬
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


いづみやおとは/玉梨ネコ
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


藤屋いずこ/古波萩子
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


こばみそ/岸若まみず
(モンスターコミックス)
Amazon Kindle B☆W


身ノ丈あまる/神埼黒音
(モンスターコミックス)
Amazon Kindle B☆W


宮島 礼吏
(ヤングアニマルコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W



Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索