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★★★★

サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと ★★★★   



【サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと】  依空 まつり/藤実 なんな カドカワBOOKS

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奇跡に詠唱は要らない――気弱で臆病だけど最強な魔女の物語、書籍で新生!

〈沈黙の魔女〉モニカ・エヴァレット。無詠唱魔術を使える世界唯一の魔術師で、伝説の黒竜を一人で退けた若き英雄。
だがその本性は――超がつく人見知り!? 無詠唱魔術を練習したのも人前で喋らなくて良いようにするためだった。
才能に無自覚なまま“七賢人”に選ばれてしまったモニカは、第二王子を護衛する極秘任務を押しつけられ……?
気弱で臆病だけど最強。引きこもり天才魔女が正体を隠し、王子に迫る悪をこっそり裁く痛快ファンタジー!

コミュ障ッ!! いやもう筆舌に尽くしがたいコミュ障ッ!!
ってかこれもう対人恐怖症の域じゃないですか? 人見知りとかいう段階じゃないんですけど。人混みとかで死んじゃいそうなんですけど!?
人見知りとか内気とかコミュ障を標榜するキャラクターというのは珍しくないですけど、ここまでガチに他人とコミュニケーション取れないレベルで怯えてキョドってアバババ、となってるキャラはそうそういないと思いますよ。だって、コミュできないもん! それが況してや主人公て!
これは同じ七賢人のルイス氏のあのパワハラ紛いの上からガンガン命じて叱って怒って、というのがある意味正解なのかもしれない。やりすぎるとストレスで死んじゃいそうだけど。
何かと問題はあるけれど実は最強、というキャラクターは大体能力を発揮するときはキリッとなるものなんですけど、モニカの場合はそれすらもないですからね。
世界で唯一無詠唱魔法を使えるようになった、というのも人前でマトモに喋れないから、喋らなくていいように、という理由があるように、キョドって狼狽えている時でも魔術使えるようしてるだけで、魔術使うときだけ冷静になるとか意識が切り替わる、という事もありません。ひたすら、アババババとなりながら魔術使ってます、この娘。
しかも、無詠唱なものだからナニカ起こってもこの娘が魔術使っているとは一切疑われないし、本人は本気で怯えてビクついているのも確かなので、確かに完璧なサイレントだなあ、これ。

こんな娘を、人が一杯居て他人と嫌でもコミュニケーションを取らなければならない学園に放り込んで、さらに王子の護衛だか監視だかをやれ、と命じて放り込むルイス氏、ガチ鬼畜である。わりと真面目にモニカのストレス死を望んでるんじゃないだろうか。
とはいえ、モニカの実力を一番理解しているのも同僚であり同期でもある彼なわけで、本人の臆病な性格をして諸共しない、そんな状態ですらしっかりと成果をあげてしまう、結果を伴ってしまうモニカのスペックの高さ、能力の際立ちを、ルイス氏が一番わかってるんですねえ、これ。
ルイス氏自身は本気で不本意みたいですけれど。

というわけで、同僚に無茶振りされて無理やり学園に放り込まれたモニカ。任務とか言われても何も出来るはずもなく、周りに絡まれ鈍臭さからトラブルに巻き込まれ、怯え慌てて逃げ惑っているうちに、強引に無茶振りされた問題解決を半泣きになりながらサクッと成し遂げてしまったために、なぜだかトントン拍子に王子に近づき生徒会の役員に就任してしまうことに。
本人意図せず、右往左往してたり、現実逃避して得意な数学に没頭してたら、なんでか上手く行ってただよ、というなかなかに意味不明なムーブである。
この娘、本気で能力は抜群に高いだけに、無茶振りされるのが一番イイんだろうか。ビビリだから、命じられたら逆らえないし。七賢人という魔術師として最高峰の地位にあり、一代ながら貴族位も貰っているだけに本来なら学園でも王族以外なら誰にも謙らなくていい地位にあるはずなのに、徹底したパシリ根性、何かあったら這いつくばってごめんなさい、してしまう卑屈さがこびりついちゃってる娘なだけに、言われたら逆らえないという所がありありと。
なんか、ギャップがほんと面白いなあ、モニカは。

どうやら、彼女の対人恐怖症気味な性格には過去に受けたDVの影がまとわりついていて、ある種の精神的外傷がもとになっているっぽいんですよね。さすがに原因が原因なだけに、簡単に他人に慣れろ、とは言えないですし早々変わることは無理でしょう。数少ない友人とも決裂してしまった、という傷も抱えているみたいで、誰かと仲良くなる事自体怯えている節がありますし。
それでも、当たりこそキツいものの率直に物言ってくれて色々とかまって世話してくれるクラスメイトがいたり、厳しいものイイながら誠実に対応してくれる生徒会の先輩がいて、と……なんか当たりキツい人ばっかりだなあw
ただ、こういうキツい人は正直な人とも言えるので、むしろ当たりが柔らかかったり親切で優しかったりする人の方がどうにも怪しい気配がプンプンするんですよね。顔は笑っているけれど目は笑っていない的な。その筆頭が第二王子で、明らかに闇深そうな何を企んでいるのかわからない怪しい人物なんですが、この人が一応のヒロインになるんですかねえ。
他にも何を考えているかわからない怪しそうな人がわんさかと居て、モニカに心休まる暇なさそう。いやまあ、相手が怪しかろうがそうでなかろうが、誰だろうと人である以上心休まらないっぽいのですが、モニカさんは。
でも、ナニカ助けられたり好意で何かしてくれたりしたとき、その時は慌てふためき何も言えなかったとしても、ちゃんと後でも「ありがとう」と必死にどもる口を動かしてお礼を言う勇気を持ち、それを果たすことが出来るだけ、モニカは臆病なだけな心の弱い娘じゃないんだなあ、というのがわかって、あのシーンは何気にくるものがありました。
ありがとうと言われた方は特に響くものはなかったのかもしれませんけれど、モニカ本人は大変に勇気を振り絞って発した一言だったんですよねえ。

さても、言動はポンコツを通り越してもう不審人物なモニカが、そのくせやってる事を見るとテキパキと眼の前の問題を解決して、陰の任務も着々と成功させるための立ち位置を確保している、という本人まったく意識していなくて半泣きでもうやめたい帰りたいと嘆き呻いてやっぱり泣いているのに、結果だけみると有能極まる動きしている、というギャップの面白さ。
ストーリーとしては、まだ導入編。あれ?こんな途中で終わってしまうの?と驚いてしまったほど、話のキリもつかないところで終わってしまった1巻ですが、これシリーズ通して大きな一つの話を終わらせるロングスパンな作品なのか。ともあれ、続き気になります!

フシノカミ 5 ~辺境から始める文明再生記~  



【フシノカミ 5 ~辺境から始める文明再生記~】  雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス

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『古代文明の伝説にあるような便利で豊かな生活』を今世に取り戻すため、領地改革推進室にて文明の復旧を続けるアッシュ。
アジョル村にてトレント討伐の事後処理を終えたアッシュたち領地改革推進室の一行は、休暇も兼ねて温泉地があるスクナ子爵領へ。
そこで思いを伝えると意気込んでいたマイカは、先んじてアッシュから告白を受けてしまう。
『私はあなたのことが好きですが――あなた以上に好きなものがあるんです』
振られてしまったマイカだったが、アッシュを絶対に振り向かせるべく、優勝すればどんな要望も聞き入れてもらえる武芸王杯大会へ参加することを決める。かつて父親が優勝し、婚姻を果たして歴史に名を刻んだ大会。
一世一代の告白をするため、マイカは伝説の再演に挑む――!
理想の暮らしを手にするため、世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚、第五幕!
うはははははっ! ワハハハハッ! やった! やった! マイカがやった!
マイカ嬢、大勝利だーー!!
いやー、痛快だった。気持ちよかった。スゲえわマイカ。めちゃくちゃとんでもねー女ですわ。アッシュがもう人並み外れているだけで、マイカの方もその成長の仕方がハチャメチャの領域にあるとは思っていたのですが、ずっとアッシュの背中を追いかけていたマイカがついについに、誰も追いつけないと思われたアッシュの所に追いついてみせてくれたのは、感無量でもあり愉快痛快でもあり、一言で言って最高でした。
ここまで気持ちよく、惚れた男のために突っ走り、一途に想い続け、その想いを叶えるために努力しまくって成長してみせた女性を、カッコいいと言わずしてなんというのか。
女性として自分を磨きまくり、武人として途方も無い領域に達し、未来の領主として政治力交渉力問題解決力を余人に及ばないくらい叩き上げ、あらゆる方面で人並み外れた域を収めたマイカ。
前に、アッシュが次期領主候補である自分に相応しいかじゃなく、自分がアッシュという前人未到の人外に相応しくなれるかだ、みたいな事をぶちあげてましたけれど、文字通り有言実行してみせたんですよね。もう両親や、領主である祖父や叔父もこれ以上無く納得させ(というか、この人たちもアッシュの価値を誰よりも理解しているために押し押しだったわけですけれど)、外堀を埋め、環境を整え、誰にも文句を言わせない状況を作り上げた上で、それでもアッシュ自身を納得させられなかったとなるや。
落ち込む暇もなく、足を止めることもなく、次の瞬間から次の手段を模索して突っ走りはじめるの、ほんとアッシュに誰よりも相応しくて、お似合いの爆発的な行動力で思わずニコニコしてしまいましたよ。
そして、アッシュをすら有無を言わせない、アッシュをして思わず黙って首根っこ掴まれて振り回されるような……いつも周りの人間を有無を言わせず盛大に引っ張り回し振り回しぶん回していたアッシュが、もう何も言えずにマイカを見守り、彼女の行動の果てを見守るつもりにしかなれないくらいに、ド派手にやってくれたんですよね。
ここまでかっこよく、惚れろ! とやられたら、さすがのアッシュですらもう完堕ちですよ。元々、マイカの事は唯一無二で惚れ抜いていることは、彼自身が明言していた事ですけれど。それでも、彼の文明を再誕させるという夢は、他に比べられない無二であり、マイカですら押しのけられない不動のナンバーワンだった事はこれまでのアッシュの言動を見ていれば、よくわかることでしょう。
その一番の理解者がマイカだったのですけれど、その絶対に勝てないはずだった恋敵に、この女の子は真っ向勝負でぶち抜いてみせたのである。絶対にアッシュの一番にはなれないはずだったのを、マイカはそのありえない一番を自力で、勝ち取ってみせたのである。奪い取ってみせたのです。
これほど、痛快なことはないでしょう。アッシュが、もう魂から惚れ抜いてしまう瞬間は、なんか胸にくるものすらありました。
あれほど追いかけ続けたアッシュの背中に、この子はついに追いついたのです。ついに、隣に立ったのです。アッシュと対等になってみせた。さすがは、女神ユイカの娘。女神の娘はやっぱり女神だった。
マイカ、大勝利! それに尽きる回でありました。

再誕させた古代文明の様々な知識や技術を実用化させ、領内で運用させはじめたアッシュ。そのお陰で領地は空前の上昇気流にのり始めたわけですけれど、その波を領内のみに留めることなく、今度は近隣の交流のある親交の深い、或いはこの波に乗るだけの見識と好奇心を持つ他領の責任者たちともコンタクトを取って、同盟というよりも共犯者……いや、この文明復興という楽しい楽しい遊戯を一緒に遊ぶプレイヤーとして、多くを巻き込んでいくのでありました。
ほんと、これは共通しているんだけれど、アッシュによって巻き込まれた、いや振り回されはするものの最後は自分の意志で巻き込まれに行く、波に乗ってくる、自分たちも混ぜてくれーと飛び込んでくる奇矯な人達なんだけど、みんな共通して楽しそうなんですよね。アッシュの言葉に乗せられて、目をキラキラさせて、ワクワクを抑えきれずに、一緒にはしゃいで騒いで盛り上がってくれる人達。
そんなバカモノたちの輪がどんどん広がっていく。それがもう、楽しくて仕方ない。皆が見ていた未来の色が、まったく違うものに変わっていくことに、ワクワクが止まらない。
このワクワク感こそが、その広がりこそが、この作品の醍醐味だなあ、と再認識。
王都に帰った姫様ことアーサーが、当地で彼女なりにそのワクワクを広げていることが、今回の再会でわかって思わずニッコリ。マイカとの恋敵という友情物語はマイカの突出を許してしまったけれど、さて姫様も全力でマイカを応援しつつ黙って見てばかりもいないだろうし、王家との関わり方はどうなってくるのだろう。
姫様も、自分を傀儡化しようとしている後ろ盾の公爵家相手に、まだ雌伏しているみたいだけれど、なんか着々と自分の勢力は広げているみたいですしね。今回の一件で辺境勢力はこぞって姫様の親衛となるだろうし、彼女の侍女団があれほど姫様の思想に足並み揃えてくれているとは思わなかっただけに、足元は万全だろうし。
さて、今度はどんな規模の大騒ぎになるのやら。楽しみで、ワクワクしますよ。


五人一役でも君が好き ★★★★   



【五人一役でも君が好き】 壱日千次/うなさか MF文庫J

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好きな人が五人で一人のフリをしていたので、全員カノジョにしようと思う。

(あ、高校生活、終わった……)
入学早々に肥だめに落ちて死にかけ、絶望していた僕を救ってくれたのは、誰もが憧れる完璧な生徒会長、近衛・R・知佳さん。
当然のように恋に落ちた僕は、彼女の隣に並ぶため、そこから猛烈な努力を始める。
学校底辺の成績から学校トップへ。死に物狂いの勉強のすえ、なんとか会長の補佐になることができた。
だが、僕はそこで知ってしまう──完璧な会長の姿は、実は特技の違う五つ子が五人一役で演じていた虚像だったのだ!
僕が好きだった彼女は存在しないのだろうか?
そうじゃない。好きな人が、五人に別れただけだ。だったら──

好きな人が五人で一人のフリをしていたけど、気づかないふりをして全員彼女にしようと思う。

これ全然同一人物に似せようとかしてないだろう!! 五人ともキャラ立ち過ぎているのはともかくとして、そのキャラクターを一切隠そうとしてないし! なんでこれバレないんだ!?w
双子の入れ替わり展開はまあわりとよくあるネタだと思うんだけれど、まさかの五人姉妹で一人を演じるという大技をかましてきて、いやあんまりと言えばあんまりの力技な展開に大ウケなんですけど!
それだけならまだ普通のコメディと言えたのかもしれませんが、ここから凄いのが主人公のアグレッシブさである。
中学で野球で名を馳せた牧原大河はスポーツ推薦で入学を決めた直後に事故で腕を怪我してしまい、野球選手として再起不能になってしまう。将来はプロ野球選手確実と言われた才能を潰され、挫折を味わった彼は、しかしそこで運命と出会う。
元々ストイックに自分を鍛えるスポーツ選手だったせいか、大河って努力を厭わないんですよね。恋を原動力に、スポ選故に学力最底辺だったのをわずか数ヶ月で学年2位まで駆け上るという尋常でない奮起を見せている。
その努力の方向性を、この男とんでもない方向へと差し向けてしまうのである。
生徒会に入るために学力を爆上げしてみせた大河(学則で成績優良者が生徒会メンバーに推薦される仕組みになってる)。その過程で知佳さんとも幾度も接触するのだけれど、その度に彼女の違う側面に触れて、その度に惚れ直していくのだが……その違う側面ってつまるところ別の姉妹に入れ替わってる時の近衛さんだったわけですね。つまり、大河はちゃんと全員に惚れて心奪われているのである。
そして、偶然近衛さんが五人の姉妹間で入れ替わり立ち代わりして一人の近衛・R・知佳という人物を演じている(いやあんまり演じてはいないけど!)事を知ってしまうのだ。
そこからが大河の凄い所で、五人のことそれぞれ好きになったのだから、これはもう五人全員と付き合って、最終的には五人とも結婚してハーレム作ってやるんだ、と決意するのである。
ハーレム展開というのは大概、なし崩しや八方美人に振る舞っているうちに何となく許されて、という展開が多いのだけれど、牧原大河という男は積極的に五人全員と付き合うために策を練りだすのである。
と言っても、近衛姉妹の弱みを握って陥れて、みたいな卑怯な真似をするのではなく、わりと正攻法なんですよね、彼のやり方って。
ごくごくまっとうに、彼女たち全員に自分に惚れてもらえるように、好感度が上がるような振る舞いを心がける、という女性へのアプローチとしてはこれ以上無い正攻法なのである。
また、五人全員と付き合うためにはフィジカルは重要、収入も五人分養えないといけないから高収入の仕事を目指さないといけない、さらに五人と正式に結婚するためには奥さん複数持っても大丈夫な国に移住しないといけないから、海外でもつぶしの効く仕事を選ばないと、ということで医者を目指し、さらに中東付近で通用するようにアラビア語を学び、と肉体と学力をビシバシ鍛え始めるのだ。
五人全員と付き合うために、小賢しい小細工をするのではなく、まず自分を鍛え上げるという発想に至るのが何とも面白く、それでいて五人全員と組んず解れつえっちい事もしたいから、と亜鉛の摂取を心がけたり、五人まとめて相手できるように体力つけようとしたり、下心も満載なんですよね。
この主人公ほど一途で純真にストイックに純情に、欲望に忠実かつ誠実な男はなかなか見たことないよ!?
これで、近衛姉妹の全員にべた惚れ、というのは本当に間違いなく、その恋心はまっすぐでキラキラと輝いているくらいなので、その誠実なくらいの純真な恋心がなぜかダイレクトに五人全員と付き合うという下卑びた方に全振りしているのが、なんかもう面白くて仕方ない。
それに、単に好感度を稼ぐために心にもない事をしているというわけではなく、大河という青年が根っからの善人であるのは、折に触れて何の思惑もなしに赤の他人を助けたり、誰かのために真剣に怒ったり、体を張って他の人の努力を守ったり、という振る舞いが彼が本物の好青年である事を伝えてくれるのである。
そんな彼が夜神月ばりの悪い顔して「計画通り!」と、ハーレムを作るためのあれこれを成功させてほくそ笑むの、そのギャップがなんとも面白いと言うか可愛げがある主人公なんですよね。
実のところ、大河がやってた事って近衛姉妹が五人一役をやっていたのを前から知っていた、というのを黙っていただけで、ほかは本当に正攻法に誠実に彼女たち一人ひとりに接してまっとうに惚れて貰ったので、別にそれほど後ろ暗いことはないんですよね。
彼女たちの秘密の入れ替わりしているのを知っているのを利用して、上手いこと好感度アップのためのアピールをしていたけれど、そもそも近衛姉妹が嘘ついていたことも、覗き見していたことも、彼女たちにも後ろ暗いところはあるわけですしねえ。その嘘を巧妙に罪悪感として利用してハーレムオッケーに持ってこうとしたのは、まあズルいと言えばズルいのかもしれませんけれど、ある意味ここはお互い様でもありますしね。
大河の下心がバレてしまったときも、実はそれほど彼女たちの好感度には影響しなかったと思うんですよね、これ。卑怯なやり方で好感度あげてたら、そりゃ幻滅されたかもしれないけれど、彼女たちが大河に惚れた所に大河の嘘はなかったのですもの。
いや、さすがにあのバレる展開は予想外もいいところでしたが。これはまさかまさかの展開でした。伏線もちゃんと仕込んであったのかー、あれは気が付かなかったぞ。
そして、大きな人生の挫折を経験した、そしてそこから文字通り這い上がった、その這い上がる奮起の、一度心そのものが死んだも同然だった大河の心を生き返らせてくれた、再誕させてくれた近衛・R・知佳という女性への恋を前にして、もう彼は二度と心折れたりしない。
彼は不屈の男。そしてその怪物級な欲望に一途で忠実な男。
牧原大河は諦めない。
近衛姉妹ハーレムを、諦めない。
何気にマジに好感度下がってないっぽいので、あとはホントにハーレム願望を受け入れて貰えるかどうかっぽいんですよね。なんか争奪戦がはじまりそうな勢いですし。
いやー、こっからどんな展開になっていくのか。衝撃的なラストと相まって、続き、めっちゃ読みたいぞッ!!

壱日千次・作品感想

終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#10 ★★★★   



【終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#10】 枯野 瑛/ue 角川スニーカー文庫

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終わりゆく世界を救うために、この幸せな楽園を[壊す/護る]。

浮遊大陸群を救う、最後の戦いが始まった。〈最後の獣〉の結界内に広がるのは、在りし日の地上を模した風景。散り散りになる妖精兵たち、ティアットの前にはエマと名乗る女性と、白いマントの少年が現れて――。

これもまた世界、か。
〈いずれ訪れる最後の獣(ヘリテイエ)〉が創り出した世界というのは、言わば再演だ。核となった存在から抽出した思い出から形作られる世界。揺籃の世界と章タイトルにもあるように、それは夢のまどろみ、揺りかごの中で見る夢。の、はずだった。
でも、最後の獣が取り込んだのは星神エリクと地神たち。かつて、人類種が地上に反映していた頃、旧世界を文字通り形作ってた神たちだ。
思えば、かつての旧世界もまた揺籃の世界だったじゃないか。あれは、神の夢見る世界だった。だからこそ、神が目をさますことで夢の住人だった人は滅びた。
かつての旧世界と、最後の獣の結界の中に広がる世界にどれほどの違いがあるのだろうか。
もちろん、最後の獣の世界は繰り返される過去の情景だ。そこに生きる人達は、再現された存在であり、その果ては行き詰まってる……はずだったのに。

モーントシャインの存在がその前提を崩し去っている。本来なら、外から取り込んだ核となる人物をもって形成されるはずの世界が、その世界の中から新たな核を自ら生み出してしまった。
それって、仮初の夢の世界で命が生まれたという事じゃないのか。それは、旧世界と同じように仮初めの夢の中であっても、人が生まれ世界は続き未来へと繋がっていく、そんな可能性が生まれたという事ではないのか?
モーントシャインの誕生は、黄金妖精たちの誕生と、何が違うのだろう。
かつて、兵器として消費されていた彼女たちは、様々な事柄を経て生命として生きていく権利を得ている。まだ命の価値というものに対してあやふやな感性しか持たない黄金妖精たちだけど、それでも彼女たちは生きている。生きていく意思を持ってここにある。
ならば、モーントシャインは。
ああなるほど、パニバルがどうしてモーントシャインに育成を施し、彼に自ら行く末を選択するように促しているのか、その理由が何となくわかってきた気がする。いや、どうかな。わからないな。まだわからない。パニバルという不思議な女性の本質は、7巻で大いに語られ、その中でティアットというパニバルにとっての英雄の誕生と共にほんの少しの変化を迎えたはずだ。
未来を守りたいわけじゃない。未来に焦がれているわけでもない。ただパニバルは、新たに生まれた命に自ら選択する機会を与えたかった。それが幸福な終わりに焦がれた彼女の、役割だとでも言うように。その願いの在り処がどこにあるのかは、まだわからない。やっぱり不思議ちゃんだよ、パニバルは。
見てくれは、すっごい美人になったのにね。いつのまにか、大人の女性になってるじゃないですか。挿絵に描かれる彼女はもう少女の殻を破り捨てている。どこぞで黒幕でも気取っていそうな貫目のある雰囲気を醸し出している。謎めいた美女感マシマシである。
パニバルに限らず、コロンもティアットももう少女とは呼べない妙齢の女性への階を登りだしている。アルミタとユーディアが一端の少女になろうとしているのを横目に見ているから、なおさらだ。あの小玉みたいだったアルミタが、こんなに大きくなっちゃって。
と、そんな感慨を抱いたのはこれが初めてではなく、このシリーズ。【終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?】がはじまった時にティアットたちに感じていた事なんですよね。
幼女だったちびっ子だったあのラキシュを含めた四人組のお子様カルテットが、一端の少女となってはじまった新シリーズ。そこに、世代の移り変わりを、継承を、引き継がれていくものを強く感じたものですけれど、ここに来てティアットたちが先輩として振る舞う時期になってたんですね。
実戦を知らずまだ右往左往しているアルミタたちを、なんだかんだとしっかり導いていくティアットたちの姿はちゃんと先輩していて、そこにクトリ世代の黄金妖精たちがかつてこの娘たちに見せていた背中を、今ちゃんと後輩たちに見せられているんだなあ、と思うと感慨深いものがあります。

ラキシュも、きっと美人になったんだろうな。

大人になった彼女たちは、もう自らが歩く道を選んでいる。ティアットも、パニバルも、コロンも、自分の道を進んでいる。ならば、その道が離れることもあるだろう。お互いに道を譲らずぶち当たることもあるだろう。それもまた、生きるということだ。彼女たちは、死霊として発生した彼女たちは、今こうして間違いなく生きている。世界が滅びるその時まで。
かつて、リーリァたちがそうであったように。

ならば、エルクは? 永遠の幼子である彼女は? 紅湖伯は文字通り、この世界を彼女の揺り籠としたいみたいだけれど、リーリァ・アスプレイに憧れたこの子は、クトリの恋を応援したこの子は、黄金妖精たちの夢を見続けた彼女は、モーントシャインと並んだエルクは。
いつまで幼子で居続けるだろうか。

長き長き物語の終わりが近づいている。最終巻は来月すぐに。待ち遠しくもいつまでもこのまま微睡んでいたい気にもなる。この世界も、物語も、一人ひとりも、好きであるが故に。


枯野瑛・作品感想

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 2 ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 2】  森田季節/紅緒 GAノベル

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300年スライムを倒し続けていたら、いつのまにか世界最強になってました。
おかげで面倒ごとに巻き込まれはしたものの、
最終的には新しく家族になった4人の娘たちとスローライフを始められそう、だったのですが……。

ええっ、エルフのハルカラが経営する工場で幽霊騒動? 収まったと思ったら今度は違法操業とかで逮捕されちゃうし! さらには私の活躍(?)が魔族に評価されて、魔王の城へご招待!?
――って、今回もトラブルの予感しかしません!

それでも私は負けずにスローライフを目指すからね!!


ハルカラには意外な一面が!?
本書だけの書き下ろし短編「迷い猫が来た」も収録でお届けです。

お祭りでの喫茶店話はアニメでは最終回だったのですが、なるほどアニメで最後に回したのはグッドでした。この段階ではロザリーもフラットルテも家族に加わってなかったですもんね。彼女たちの給仕服姿はまさにガンプクでしたから。
ちょうどお話としても、家族が出来て家族と一緒に旅行して、と外に出る機会が増えてきたところで、家族みんなで外とつながるナニカのイベントをしよう、というタイミングだったのでしょう。
家族の中だけで完結しているのもいいのですけれど、外とつながることでより深く家族同士の繋がりを感じる事もありますから。
それにしても、ライカは美少女ですなー! ドラゴン娘ってわりとワイルドだったり美人系の傾向があると思うのですけれど、ライカはむしろ可憐系なんですよね。性格的にもお淑やかだし、清楚可憐系なんですよ。この娘が最初、最強を名乗って襲ってきたのが不思議なくらいお淑やかなんですよ。
同性をも魅了してしまう絶世の美少女っぷり、どうも元々お洒落で衣装のセンスも抜群みたいですし、家事能力も高いのだから女子力も抜群だし。
マジ可愛いです。
そして、いつもなんだかんだと助けてくれるベルゼブブ。ほんま、この人お姉ちゃんやなあ。アズサがお姉ちゃんと呼ぶのも良く分かる。しょっちゅう様子見に来てくれるママのお姉ちゃん、つまり伯母さんって感じなんですよね。居る居る、こういう親戚のオバちゃん。いや、年齢的にお姉さんと呼ばないと怒られますが、いや年齢を言い出すとオバちゃんどころじゃないのですが。
普段偉そうな喋り方してるのに、給仕役に回った途端にちゃんとTPOに合わせた丁寧な言葉遣いできるの、ほんと社会人レベル高くて好き。
そもそも、このベルゼブブさん、魔族国家でも偉い人は偉い人なんだけど、宰相とか国務長官とかじゃなくて農相なのが結構ツボなんですよねw

というわけで、この巻から新たに幽霊のロザリーと、ブルードラゴンのフラットルテが家族に加わることに。ロザリーは世界一元気な幽霊と呼ぶに相応しい快活な娘でハルカラとは別の意味でムードメーカーなんだけど、元々地縛霊だけあって闇は持ち合わせてるんですよね。
まあアズサも過労死して転生してるくらいなので、そっち系の闇は深いのですけれど、かつてをちゃんと反面教師にして、家族にも自分の限界を越えて無理とか無茶しそうになると、きっぱり止める所はアズサ自身のトラウマ感じると共に、自分自身の体験談も交えているので非常に説得力があります。
ゆるく軽くをモットーにしているような物語ではあるのですけれど、時折挟まれる人間社会の中で生きていく中で押し付けられる圧力や圧迫、強制力への戒めや、心の負担や精神的な疲労といった人が抱えがちになってしまうものへの真摯な手の差し伸べ方、言葉の選び方は時に鋭く貫くように時に優しく包み込むようで、ふと考えさせられたり感じるものがあったり、じわりと染みたりするものがあり、決して薄っぺらいお話ではないんですよね。
そして、家族を取り巻く愛情に癒やされる、ヒーリングされるのであります。
あのシャルシャとファルファの双子への愛情を伝えるためのほっぺたへのキス。そして娘たちからのお返しのキスのシーンは、ほっこりを通り越して尊さに解脱しそうになりました。
アズサって独身のはずなのに、かなりママレベルが高いんだよなあ。あとのフラットルテにもバブ味で陥落させちゃってるし。若い身空で小さな双子の娘を抱えて笑顔で頑張るお母さん味が強すぎる。
この物語に出てくる登場人物はみんな、アズサの事大好きなんですけれど、その好きってホントに家族への好きなんですよねえ。温かくて瑞々しい家族愛。
いや、ベル姐さんはまたちょっと違うんでしょうし、魔王ペコラがお姉さまと慕ってくるのも、あれ家族愛とはちょっち違っていますけれどさ。

こうして家族として加わってくるメンバーを見ると、全員寿命とか一切考慮しなくていい人外メンツばかりなので、この家族の時間はずっと続く、というのもなんかほっこりしてしまいます。
そう考えると巻末の描き下ろしの猫拾ってくる話は、そのまま飼うことになると将来色々と辛い想いをすることになるだけに、ああいう展開で良かったのかもしれません。
永遠に変わらない家族、となるとファルファとシャルシャがずっとお子様で居続ける、という所に引っかかるものがあるかもしれませんけれど、何気にこの二人、社会性は高くてそれぞれ趣味が高じて分野の研究者として認知されはじめているので、家族の家では可愛い娘たちですけれど、外との繋がりでみると会社社長なハルカラ並みに広く深くいろんな人脈を広げているのは、ハルカラが逮捕された一件で各分野の学者たちにアポ取りまくったことからも明らかなので、実は社会人としては何百年も一所にとどまってて世間が狭いアズサよりも大人だったりするあたり、こうバランス取れてるなあと感心したり。
なにはともあれ、面白かった!




Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 04 ★★★★   



【Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 04】  之 貫紀/ttl エンターブレイン

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Dパワーズが記者会見!?新たに入手した碑文とUSのスキャンダルとは!?

新たに「さまよえる館」をダンジョン1層に出現させた三好と芳村のDパワーズ。
そこで入手した碑文には、ダンジョンで行方知れずとなった人物のサインが!?
サインの謎を探るうちにDパワーズは
始まりのダンジョン「ザ・リング」に隠されたUSのスキャンダルを知ることに――。

スライムを効率的に倒すのにも四苦八苦している既存の冒険者と対比して、サクサクっといつもみたいにスライム連続討伐、ってそれどころかアルスルズの能力使ってさらに効率化しちゃってるじゃないか。
この両者を比べると、Dパワーズがいかに無茶苦茶やってるのが具体的によくわかるなあ。箱作ってそこにスライム押し込んで押しつぶす、とか試行錯誤してるテレビ制作に雇われた冒険者たちの努力は面白いんだけど、DIY​レベルの工夫じゃあそりゃどうにもならんよなあ。
というわけで、気軽に一階にもう一度館を出現させてしまうDパワーズの二人。もすこし、もう少し慎重にやりませんか、アナタたち。結構勢いだけでやってません? いや、もう一度さまよう館の探索をやった方が良かった状況なのはわかるんですが、せめて同じフロアにどれだけ他の冒険者が活動してるか、とか。実際館に突入することになった場合の事前の入念な準備とか、あんまりしてなかったですよね!?
おかげで、結構なピンチに陥ってたじゃないですか。破壊不能オブジェクトのお陰で脱出不能にも成りかけてて、実際マジの命の危機になってましたし。芳村さんの何気ない善意が発動してなかったらヤバかったですよ、今回は。
いや、今回に限らず前回のVS神についても、あそこヤベえ所だと事前に聞き及んでいたにも関わらず、わりとホイホイと気軽に突入してしまっていたような。そこでいきなり神と戦闘、という事態になってしまったわけで。
このDパワーズの二人。今や自分たちが持つ技術や知識が人類の行く末に大きく関わっている、という自覚とかあんまりないんじゃないんだろうか。もう洒落にならない規模の叡智を、独占してしまっているのに。それが人類全体の財産と言ってイイ代物であり、彼らが死んでしまって喪われる事がどれだけ巨大な損失につながるか……まあ、わかってはいるんだろうなあ。わかっているけど、そんな大仰な話は知ったことじゃありません、と気にしなさそうなのがこの二人なのは、うんわかってるわかってる。
かと言って、無思慮無分別に混乱を広げるのを良しとしているような人たちでもない事は、ダンジョン管理課に事前にあれこれと連絡報告相談はしている事と、アメリカなどの国家中枢にあるホントにやべえ虎の尾は踏まないように立ち回っている事からも伝わってくる。
とはいえ、自分たちを蔑ろにしようとするやつ、利用して使い潰そうとするやつ、利益を掠め取ろうとするやつらに対しては、実にクレバーに立ち回るのですが。おもに三好が。
この自称他称共通の近江商人娘、よくこんなイイ性格した爆弾娘が市井に転がっていたなあ、と。普通、かどうかは知らないけれど、少なくとも数ヶ月前までは芳村と同じくそのへんの企業に務めていたまだ入社したばかりのOLだったんですぜ。いや、ねえよこんな初々しさの欠片もない新入社員w
マスコミ相手に人を食ったような記者会見を切り盛りして、記者どもの鼻面を引っ掻き回すのですから、今まで本当に普通の女の子の人生送ってきたのか何だか怪しくなってきたぞ。
すでに人生踏み外すような大金を懐に収めているにも関わらず、多少贅沢というか金銭感覚を上流階級よりにシフトしたとはいえ、その金遣いって成金というような不細工なものではないし、そもそも金に振り回されていませんし、それでいてちゃんと金にがめつく近江商人らしくがっぽり取れるところからはせしめているわけですし。
ほんと、何者なんだろうこの娘。
Dパワーズの代表としては十分以上の個性の持ち主であり存在感の塊であることは間違いなく……そりゃ、注目は彼女の方へと集まるわなあ。
ただ、一定以上ちゃんと付き合いを深めると代表である近江、じゃなくて三好が芳村の方を立てている事は如実に理解できるわけで……見る人が見れば、Dパワーズの中心人物がどちらなのかというのは一目瞭然とも言える。
それなのに、芳村さんってぶっちゃけ何してるのかさっぱりわからんのですよね、傍から見たら。三好があらゆる方面に積極的に動いているのに比べたら、芳村さんは動きがさっぱり見えない。目立たないし三好のオマケみたいにしか見えない。いや、目立たないことはないのか。妙な人変なおじさんとして有名ではあるみたいだし。
ちゃんと迷彩になってるんだなあ。
それでも、彼こそがヤバいのではないか。彼こそがあのファントムなのではないか、と想定する人達は段々と出てきているわけで……そんな想像をするくらい付き合い深くなってきている相手にはあんまり隠すつもりもなさそうですけど、そもそもこの二人。
大体、あのアルスルズだって最近もうあんまり隠してないじゃないですか。区にちゃんと飼い犬として登録できたからって、出来たからって犬って公共に認められたからって、わりと衆目のあるところに出しちゃってるけど、いいんですかあれ!?
なんか騒動になっているの、収めなきゃならないダンジョン管理課、特に斎賀さん、仕事が立て込みすぎて過労死しないだろうか。
微妙に覚醒というか、組織内で必要に駆られてだろうけれど、その役職に与えられている職分以上に権力と権限を掌握してふるいだしているような気もするのですが。
いつも、Dパワーズから鳴瀬さん通して無茶振りとか、情報の爆弾投げつけてこられて頭抱えているイメージしかない人なのに……この人、頭抱えて動かなくなるんじゃなくて、ため息つきながら絶対になんとかしてしまうの、考えてみると意味不明なくらい超絶有能なんだよなあ。不思議と往々にして、こういう人の上役は同じくらいの規模の無能になったりするのですけれど。

さて、ダンジョン発生の原因となった人物の情報とか、ダンジョン発生時の事件の状況とかの話も出てきて、ストーリーも徐々に進んでいるんだろうかこれ。芸能界というかテレビ番組制作関係の話もチョロチョロDパワーズに絡んできているし、さてまたぞろ世間をあっと言わせる盛大な花火が打ち上がるのか、楽しみ楽しみ。



婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む~美味しいものを食べさせておしゃれをさせて、世界一幸せな少女にプロデュース! ~ ★★★★   



【婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む~美味しいものを食べさせておしゃれをさせて、世界一幸せな少女にプロデュース! ~】  ふか田 さめたろう/みわべ さくら PASH! ブックス

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森の奥に住まう人嫌いの魔法使い・アレンは、「魔王」と呼ばれ周囲の人々から恐れられていた。
隠遁生活を送る彼はある日、行き倒れた令嬢・シャーロットを拾う。
彼女は無実の罪で婚約破棄され、祖国から逃げてきたのだという。
それを聞いたアレンは、かつて仲間と信じていたパーティに裏切られた苦い経験を思い出す。
17歳、搾取されっぱなしの彼女の話を聞いて、アレンは決意する。
自分の屋敷に住まわせて、……イケナイことを教え込む、と。


この娘はほんと、絶対に幸せにしてあげなければならない!!
と、思わず使命感にかられてしまうほど、シャーロットという娘の不憫さと純粋無垢な健気さ、幼気なさが極まっていて、なんかもう全力で過保護にしてあげないと。甘やかしてあげないと。この世界には素敵なものがいっぱいあるんだと教えてあげないと、という気になってしまう。
べらぼうにかわいい、かわいい、ひたすらに可愛い。
こんな可愛くて優しくてイイ娘が、天使のように女神のように素直でイイ娘が、これまで筆舌しがたい境遇の中で虐げられてきたというのが信じられない。搾取され、踏みにじられ、苛められ、人扱いされなくて、何の楽しいことも幸せなことも経験せずに生きてきたんですよ。
自由にしていろ、と言われたら何をしていいかわからなくてひたすら床の木目を数えているような娘なんですよ?
どれだけこれまでの人生、自由与えられていなかったんですか。
そんな娘が、酷使され続けた果てに政略結婚の駒にさせられた挙げ句に冤罪で毒婦に仕立て上げられて処刑されそうになったわけです。
何の自由意志も許されていなかった、何も判断させてもらえなかった娘が、このときはじめて自分の意思で行動したのでした。自分の意思で決断し、思い切って逃げ出して、生きたいと願ってボロボロになりながら国外まで脱出して、追手に追われながらも空腹に擦り切れながらも、諦めずに逃げ続けて、アレンの住まう森の奥の屋敷の近くに行き倒れるまで逃げ延びたのである。
シャーロットは、アレンに出会った時点でちゃんともう選択はしていたのです。ただ無抵抗にしていて横から勝手に救われたのではなく、ちゃんと自分の力で逃げ出した、自分の意思で生きたいと願った。ここまで諦めずに、頑張った。
アレンが助けるのに、十分なものを最初の時点でこの娘は示していたんですね。

もっとも、最初はアレンも捨て猫を拾った、くらいの感覚だったのでしょう。自分が嫌われ者、という自覚はあっただけに、ある程度世話をして元気を取り戻せばすぐに出ていくだろう、と必要以上にかまうつもりもなく……まあ、捨て猫をあれだけせっせと世話して面倒見て心身充実せさて出ていけるようにしようとしている時点で、この男根っからの世話好きという事が暴露されてしまっているのですが。
ともあれ、最初はそっけない態度でいようとしたアレンですが、シャーロットがこれまで過ごしていた境遇を、虐待され続けた過去を、どこか不均衡で不安定で常識を知らないシャーロットの様子から伺い知り、また彼女の口から詳しく聞くことで、怒涛のごとく前のめりになっていくのである。
その不憫さと裏腹に、シャーロットがあまりにもいい子でありすぎるのも拍車をかけて、

「あかん、この娘は幸せにならんとあかん!!」

というスイッチが入ってしまうことに。
まあこれ、アレンが特別、というわけではなく、以降登場する人物の殆どが、シャーロットの人柄を知り親しくなった途端に、この娘は幸せにならなあかん!モードに突入するので、むしろシャーロットの方が筋金入り、というべきなのでしょう。
あまりにも影響が周辺に及びすぎて、若干シャーロットをご本尊とした宗教法人が誕生しそうな勢いもあるのですが。

ともあれ、この幸せというものを全く知らず触れたこともなく経験したこともない少女に、とにかく贅沢をさせて美味しいものを食べさせてお洒落させて遊ばせてあげて、世間一般ではちょっと背徳的な夜中にこってりした夜食を食べてみたり、一日中ごろごろ時間を浪費したり、アイスクリームを大きな器でこそぎ取りながら好きなだけ食べてみたり、という悪いことを、イケナイことをさせて堕落というものを体験させてやりたい、という欲求に素直に驀進する主人公アレンは実にこう……良い魔王っぷりでありました。
若干、そのままやりすぎるとシャーロット、ぷくぷく際限なくふくよかになっていかないか!?という心配もあったのですけれど、元々アレンのもとに現れた時のシャーロットは長年の虐待もあってそもそももっと太らないと、肉が足りない!という状態だったのでこれはこれでよし。

そうして、溺愛と言っていいほどシャーロットを猫可愛がりして彼女のために、様々な幸せな体験を味わわせていくアレン。途中から乱入してきた妹も加わって兄妹揃って、さらに街で親しくなった面々も参加して、シャーロットが幸せを感じてくれるイベント盛りだくさんでお送りします、という風になっていくのだけれど、そんな中で段々とアレンのスタンスも変わってくるんですね。
他の誰でもない、自分がこの娘を、シャーロットを幸せにしてあげたい、という気持ちが知らず知らず彼の魔王の言動を侵食していくのである。
最初は拾った猫を扱うように、やがて過保護なくらい溺愛して囲い込んで、いったい何目線だよ、と妹たちに突っ込まれるくらい、保護者目線だったのがいつのまにか、掛け替えのない大切な人への接し方へと変わっていってるんですよ。本人はまだ自覚ないようなんだけど。
また、シャーロットの方も自分を助けてくれた、という以上に虐待されてきた人生から自分自身に価値を感じる事が出来なくなっていた自分の心をすくい上げてくれて、幸せって何かを教えてくれたアレンに対して、そりゃただの恩人なんて思いで済むはずもなく。
二人の想いの交錯が、また甘酸っぱくてキュンキュンさせられるわけですよ。アレン以外の面々もシャーロットを幸せにしなくては教団の面々である以上、彼女の初めての恋は当然彼女の幸せにも通じるわけですから、全力で応援体制ですからね。
アレンも自覚あんまりないくせに、こちらも全力で臆面もなくお前は自分が絶対守るから安心しろ!みたいな事を言っちゃえる、さすがは魔王様というべき傲岸不遜のイケイケっぷりなので、色んな意味で頼もしい人なので、この揺るぎない幸せ空間に安心して浸ってられそうです。
またシャーロットを不幸にしようという何かが現れたら、アレン筆頭に街中総出でタコ殴りだろうからなあ、安心安心w
もうひたすらイチャイチャしててください。


オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど! ★★★★   



【オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!】  コイル/雪子 電撃の新文芸

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同人女子とドルオタ男子の、偽装結婚から始まる楽しすぎる結婚生活。

同人作家という秘密以外は普通のOL・相沢咲月は、ある日イベント会場で突然プロポーズされた。相手はメガネ姿のドルオタ……じゃなくて、イケメン同僚の滝本さんで!? 偽装結婚から始まる幸せ結婚生活物語。

これは面白いなあ! 面白かった!
偽装結婚というタイトルになっているけれど、作中で自分たちで言っているように「シェアハウス婚」と表現した方がしっくりくるような関係なんですよね。
相沢さんも滝本くんも、二人共仕事ではバリバリのやり手ビジネスマンでありながら、プライベートではそれぞれどっぷりとハマったオタクでもあるという、公私を見事に使い分けている社会人。ビジネスマンとして非常に優秀な人らしく、二人共コミュニケーション強者と言っていい人種ではあるんだけれど、同時に他人を必要としない独りで居ることを全く寂しく思わない人種でもあるんですよね。だから、決して恋人とか結婚相手なんかを必要とはしていないんだけれど、同時に他人と一緒に過ごす事に苦痛を覚えるというタイプでもない。友人も少なくないし、他人との距離感のとり方が抜群に上手いんですよね、だからこういう人種って、最強なんだよなあ。
おまけにこの二人って、かなり強度の高いオタクなんだけれど、自分のテリトリーであるジャンル以外でも好奇心を抱き楽しめるタイプなんですよね。だから、自分の知らない未知のジャンルの話をされても、むしろ目をキラキラさせてそれは面白そう!と食指を伸ばせるのである。
だから、相沢さんも滝本くんも自分のテリトリーの話を相手にしても、疎ましがられるどころか本当に心の底から楽しそうに話を聞いて一緒に面白がってくれるものだから、話が弾む弾む。
おまけに二人共距離感のとり方がべらぼうに上手いから、変に強引に自分の好きなものを押し付けたりしないし、かと言って遠慮して遠ざけたりもしない。ごく自然に、自分の興味あることを話題に出して盛り上がり、また相手の興味あることを訪ねて盛り上がり、未知のジャンルに知見は広がり思わぬ見地から自分のジャンルへの考察が深まったり、と独りで楽しんでいた事が二倍三倍になっていくかのような生活がはじまってしまったのだ。
そりゃ楽しい!
それ以外の普通の生活空間の共有も、お互いまったくストレスを感じない距離感をごく自然に取れているんですよね。相手が忙しそうなら邪魔せず、そうかと思うとちょっとした気遣いでかゆい所に手が届く手助けをさり気なく行き届かせることで、ああこの人と一緒に暮らしてて良かった、という想いがふつふつと湧いてくる。楽しいだけじゃなく、嬉しいと思うことが毎日の中に増えてくる。

人生、充実してる! 毎日が楽しい! なんかもう、ハッピー! という風になっているのが伝わってきて、思わず読んでいるこっちにも多幸感のおすそ分け。なんかもう本当に楽しそうで、人生にハリがあって、素敵だなあと思わず微笑んでしまいました。

そんでもって、実は滝本くんの方が前から相沢さんの事が密かに好きだった、というあたりがまた絶妙なんですよね。好きだし異性として恋はしているけれど、今の生活が想定以上に楽しすぎて、大好きな相沢さんが自分と一緒に暮らしていることで滅茶苦茶楽しそうにしていてくれることが嬉しくて、そんな時間と空間を壊したくなくて、現状維持に満足している滝本くんが何ともいじらしいのです。
彼としては、今の所今以上を望んではいないんですよね。今の段階で幸せ過ぎる、というのもあるのでしょうけれど、彼女のほうがとても楽しそうでいるのにそれを壊したくない、と思っているあたりが健気でいいんですよ。それでいて、問題を抱えている相沢さんと実家の家族との関係に、一石を投じるつもりでいるあたり、ちゃんと「結婚した」という事実を彼はともすれば相沢さんが想像している以上にしっかりと背負っているんじゃないかな、これは。責任云々じゃなくて、もっと相沢さんには幸せになってほしい楽しく居て欲しい、という気持ちから生じているようにも見えるのだけれど。
これってでも、十分以上に「愛情」ですよねえ。そう思ってしまいます。
思わぬところから突然お付き合いとかを経ずに結婚からはじまった関係だけれど、最初から楽しいで満ち満ちた関係になってしまったわけで、そこからさらに二人は本当の意味での家族になるのか。このサキの進展が色んな意味で楽しみな、そして現状ですでになんかもう見てて楽しいオタク夫婦のスターティングでした。

しかし、イケメンくんのドルオタというのはなかなか今まで見たことなかったカテゴリーで興味深かった。相沢さんみたいな、クリエイター方のオタクではないんだけれど、本格ドルオタって凄まじくアグレッシブで行動的でパワフルなんだなあ、と感心するばかりでした。
どんなジャンルでも、突端を行くオタクの人はやっぱりスゲえなあ。

魔女と猟犬 2 ★★★★   



【魔女と猟犬 2】  カミツキレイニー/LAM ガガガ文庫

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静寂に包まれた“氷の城”で巻き起こる殺戮

“鏡の魔女”テレサリサと共にレーヴェを脱出したロロは、魔力の影響で眠り続けるデリリウムを連れてキャンパスフェローへと戻ってくる。だが、王国アメリアによって陥落された故郷は、流血と破壊に蹂躙され見る影もなかった……。

ロロとテレサリサは城下町に作られた隠れ処にて、城から逃げ延びた者たちと合流する。領主バド・グレースの留守を預かる宰相ブラッセリ―と、<鉄火の騎士団>の副団長であり、ハートランドの妻であるヴィクトリアをはじめとする九十二名の者たち。

彼らは隠れ処を捨て、<北の国>へ向かうことを決断する。そこには、バドが生前に同盟を結んだ雪王ホーリオが治める<入り江の集落ギオ>がある。きっと助けになってくれるはずとの目算からだった。そして、ロロには<北の国>へ行くもうひとつの目的があった。それは、氷の城に住むという“雪の魔女”を味方につけること――。

その頃、王国アメリアの王都にあるルーシー教の総本山“ティンクル大聖堂”には、魔術師の最高位を冠する九人の者――“九使徒”が集められていた。

これはッ、マジかーー!
いやあ、これは驚いた、マジかロロよ。一巻のあの怒涛すぎる展開もあまりにも予想外で驚愕させられたけれど、今回のそれも常道からは大いに外れていって、まさかそんな事に!? と、唸らされる事になってしまった。
容赦ないと言えば容赦全然ないよなあ。というよりも、主人公であるロロに優しくないというべきか、或いはロロにとって彼に背負わされてしまったものが重すぎた、という事なのかもしれない。
当代黒犬。殺す覚悟を決めた彼の実力は、それこそ比類なきものなのは疑いようもありません。アメリアに対抗するために魔女を集める旅ですが、ぶっちゃけ黒犬ロロはその魔女に引けを取らない「戦力」でもあるんですよね。魔法という未知すぎる力に惑わされ苦境に立たされますけれど、テレサリサが丁寧に魔法について講義してくれたお陰で、何もわからない意味不明の存在ではなく、ちゃんと戦う前から相手を考察する余地ができた。それは黒犬にとってゼロからとてつもないアドバンテージを得たも同然のことで、歴戦に魔術師を相手にしても一方的にやられてしまう可能性は大いに減じたのではないだろうか。
とはいえ、九使徒に連なるアメリアの魔術師たちは、謎多く対峙して相手の必殺を躱しながらその正体を見極めなければならないというハードルの高さなのですが。
突然、首が90度捻られる、とか完全に初見殺しじゃないですかー、怖いなんてもんじゃねえ。ホラー映画かよ。
そういうのを相手に出来るだけでも、化け物じみた戦力なんですよね、黒犬。
でも、戦闘力が高いこととロロという人間が強いことは、また別の話だったんですよね。真面目で責任感が強く、忠誠心も高く……それでもまだ十代の幼さが拭いきれない若者だったのだ、このロロという少年は。
そんな彼に、王の遺命が背負わされた。王が殺され使節団は全滅し、生き残った姫も目を覚まさず、それでもなお姫を守り、魔女を集めろ、という王の遺命に従い、アメリアの追手と戦いながら蹂躙された故郷を後に戦い続ける日々。
そんな素振り、一切見せていなかったけれど、見せていなかったことこそがロロがどれだけ張り詰めきり、限界に達していたかの証左だったのか。
我武者羅に必死に限界を踏み越えて頑張り続け……でもその重さに苦しさに辛さに、どこかで楽になりたいという願望が鈴を鳴らし続けていたのだ。
稀代の暗殺者、その後継であろうとも。この子は思いの外、普通の子だったのだ、きっと。

テレサリサにとっては、これはしごを外されたようなものなんだろうか。でも、ロロが本当はもう疲れ切り心折れて死にたがっていた事に気づいたテレサリサは、そのまま彼を死なせてあげたほうがいいんじゃないだろうか、と思ってしまうんですよね。そう考えてしまうところが、この魔女の優しさなんでしょうね。
それでも、彼女は雪の魔女ファンネルと共に彼の生命をつなぐことになる。それは、ロロがテレサリサの目的に必要な人間である、ということも理由なのだろうけれど。
それ以上の想いも、ロロに抱きつつあるのだろうか。ファンネルもそうだけれど、ロロへの「よすが」が感じられるんですよね。そこまで深く心交わらせるような関係はまだ無いはずなのだけれど、魔女となり人との交わりを絶たれていたテレサリサにとって、ファンネルにとって、ロロは魔女を恐れず怯えず人として接してくれた数少ない一人。それが使命ゆえであったとしても、ロロは常に誠実だった。そんな彼によすがを感じてしまう。心を幾ばくかでも寄せてしまう。それは、とても人間らしい情動なんじゃないだろうか。

魔女とはなんなのか。
同じ人と隔絶した存在として、アメリアの九使徒たちがいるけれど、あれらは本当に不気味で人として完全にハズレきってしまっているのがよくわかるんですよね。異常者たちであり異端であり、人の心を感じさせない、或いは人としての心を修復不可能なまでに歪めてしまっているかのような、異なる者ども。
それに比べて魔女たちは……その心根が人としてあまりに情深かったが故に魔女になった、そんな存在にも見えるんですよね。あまりにも人らしいからこそ人でなくなってしまった者たち。
その壮絶さは、美しさとなって容貌に映し出されている。表紙絵に描かれた一巻のテレサリサ、この二巻のファンネル。ともに、目に焼き付くような強烈な存在感であり、息を呑むような凄絶なまでの美しさだ。
そこに垣間見えるのは、一心不乱の生き様か。
こうして読み終えてみると、タイトルの魔女と猟犬というそれがすごくしっくり来る。確かに、この物語は魔女と猟犬が主人公の物語だ。彼と彼女らの切々とした在り方を書き記した物語だ。

個人的には、あの雪の国の姉と弟には、もう一歩踏み込んだ再会が欲しかった。別れも、再会も、弟はついに姉と向き合うことが出来ないままだったのだから。姉は、弱虫だからべつにいい、と言うのかもしれないけれど。この姉弟のお互いに対して抱いているだろう複雑な情念を、ぶつけることも交わすこともなく、通り過ぎていってしまったから。願わくば、もう一度何らかの形で再会と決着があれば、と思わずにいられない。

そして、まさかのカプチノ一人旅。しぶとい、このメイドしぶとい!


董白伝~魔王令嬢から始める三国志~ 4 ★★★★   



【董白伝~魔王令嬢から始める三国志~ 4】  伊崎 喬助/ カンザリン ガガガ文庫

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孫家の姫、現る!

拉致された董白は、曹操の根拠地である許昌に連れてこられる。
そこに現れたのは、孫家の姫、孫尚香だった。
「ここから出て自由になりたいなら、わたしと来い」
曹操は、袁術と呂布が手を組んだ“長江同盟”と対立しており、そこには彼女の父、孫堅も参加しているらしい。
しかし、その同盟も一枚岩とはいかないようで……?
董白の身柄を押さえた曹操、袁紹軍の客将となった劉備、そして長江同盟で機を窺う孫堅――形を変えた“三者鼎立”は、歴史に新たな風を吹かせるか。

打擲幼女の覇道ファンタジー、動乱の第4幕!

主君である劉協陛下もあちらこちらにお持ち帰りされた人だけれど、董白ちゃんはさらにミニマムで持ち運びしやすいせいか、単体で軽々と携帯されてお持ち帰りされること度々。
確かになんかこう、持って帰りやすそうな体型してたけどさ。あんまりデカくないとはいえ男の曹操はともかくとして、同じ幼女っぽい孫尚香にもお持ち帰りされてしまうとは。
こんな事なら劉協くんも遠慮してないで、さっさと董白ちゃんお持ち帰りしておけばよかったのに。

というわけで、本拠である長安から強制的に引っ剥がされ、群雄たちが割拠する中原へと引っ張り出されてしまった董白ちゃん。人材マニアな曹操が董白ちゃんをただの人質なんて扱いをするはずもなく、彼女の才覚を試すように様々な難題を突きつけてくる。突きつけてくるだけならまだマシで、取り敢えずなんかやれ、とばかりに渦中に放り込んでくるのだからたまらない。いきなり戦場に放り込まれて部隊を率いさせられるわ、先日反董白連合で盛大に戦った相手の頭目であるところの袁紹の前に連れてこられた日には、董白ちゃん白目である。
凡人らしく目まぐるしすぎる上に過酷過ぎる状況に狼狽えてるばかりだと、曹操ってば露骨に白けた様子を見せだして、飽きたらポイするぞ、とばかりに強制的に才を示せ、な状況に追い込まれて、これってどう考えてもブラックですよね?
曹操陣営、こんな主君に仕えて常に試されているのだとしたら、相当に過酷である。精神病みそう。
況してや、仕えたつもりなんかない董白ちゃんである。ってか拉致られて無理やり連れて来られた挙げ句にいきなり最前線送りですもんね。董白ちゃん、少女なのに。さらにいうと漢の相国なのにw

このまま曹操陣営に抑留されていたら、それこそ絞りカスが出ないところまで絞られ尽くされそうだったので、孫尚香ちゃんが目ざとく董白ちゃん、掻っ攫っていってくれたのは結果だけみたら幸いだったのかもしれない。
少なくとも孫尚香はアホの娘で人の言うことをまったく聞かなくても、コントロールは出来る娘だったし、その親の孫堅はというと野獣みたいな男ではあるが狡猾な獣らしく話は出来るし交渉も効くタイプだったんですよね。いやあ、孫堅もその荒さやずる賢さは奸雄と言っていいヤバい人だったのかもしれないけれど、人を限界まで追い込むような狡猾さは曹操以上にヤバいやつはいないし、暴力の権化としては呂布以上の凶暴な輩はいないだけに、相対的にまともに見えるんですよね、孫堅は。
義理堅く、身内家族に対しては情が厚い、というまっとうな感性の持ち主ですし。
不義即斬、という関羽みたいなホントの意味でまったく人の話聞かないし、自分の正義だけしか見ていないようなヤバい奴に比べれば、ほんとにマトモな人だった、孫堅は。
でも、逆にここまで突き抜けた輩が跋扈する三国志の世界においては、まともであるというのはむしろハンデだったのかもしれないが。
それでも、董白ちゃんの唯一の武器であった口撃が、前みたいにコントロールできない自爆技だった頃に比べると、ある程度制御できる上に自力で発動させるようになってきたのはちょっとした安心感である。口八丁で切り抜けるだけでなく、相手を騙す云々ではなくその鋭い舌鋒で相手の精神を切って捨てる武器なだけに、痛快でもありますし。

さても、中原の戦況は群雄割拠の様相を呈しつつ、袁紹を中心とした華北連合と、袁術・呂布・孫堅による長江同盟という二大勢力が成り立ち、対立を深めつつあるという董白ちゃんの未来知識が通用しない展開に!?
と、思ったら、その内実はなかなか混沌としていて、完全に史実ルートから外れた、というわけでもなさそうなんですよね。というよりも、皮だけは妙なことになっているけれど、中身に関しては思いの外ルートこそ紆余曲折経ているけれど、結果として史実通りに進んでいるのかもしれない。

それでも、趙雲・馬超・甘寧という三人が董白ちゃんについてくれているのは、明確に史実と異なっている部分なので、そこが頼りといえば頼りだよねえ。
特に趙雲はある意味本作のもう一人の主人公、みたいな展開になっていているし。
今回も、ついに天下無双・人中の呂布という三国最強の武将と直接槍を交えることで、もう自分の才能の乏しさというものを嫌というほど痛感させられ、悔しさに惨めさに半泣きになりながら、それでも自身の乏しい才にしがみつき圧倒的すぎる呂布に、犬猿だった馬超と協力して立ち向かう姿は、ちゃんと英傑の一人に相応しい勇姿だったじゃないですか。
うまいこと董白ちゃんが退けた呂布ですけれど、こと暴力、こと戦闘に関しては今まで無双無敵無敗でありつづけ、その驕慢な余裕自信は揺るぎないものがあっただけに、ここでようやく呂布に武で勝利した、痛めつけてやれた、というのは大きいなんてものじゃなかった。どれだけ強くても、こいつチンピラなんだよなあ。それに比べれば、趙雲はどれだけ雑魚で弱くて情けない性格していても、その根底は見事な武人なんだよなあ。
ようやく馬超がそれを認めてくれたのはちょっとうれしい。ってか、馬超と趙雲にフラグ立った?

無事孫堅を助けることが出来、袁術ともなんとか対等に結べ、傍若無人の呂布を退け、東に追いやられていた長安勢力として、南側と盟を結ぶことが出来てよかったよかった、希望が湧いてきた! と、なったところでラストの「ゴンッ」である。
よ、容赦ねぇーッ!! うわー、そう来たか。本作、全然ゆるゆる三国志してくれないじゃないですか。曹操、打つ手打つ手が詰め手すぎて、こいつホントにやっばいわー。
これ、董白ちゃんどうやって生き残れるんだ? 


ユア・フォルマ II 電索官エチカと女王の三つ子 ★★★★   



【ユア・フォルマ II 電索官エチカと女王の三つ子】  菊石 まれほ/ 野崎つばた 電撃文庫

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謎のアミクスによる連続襲撃事件。鍵を握るのは女王の三つ子、最後の一人!

★第27回電撃大賞《大賞》受賞のSFクライムドラマ★
哀切怒濤の第2弾開幕――!!

再び電索官として。歩み出したエチカに新たな事件が立ちはだかる。RFモデル関係者連続襲撃事件――被害者の証言から容疑者として浮上したのは、他ならぬ〈相棒〉ハロルドの名前だった。

「きみの思考に入り込めたらいいのに」
「あなたに潜れたらどんなにいいか」

ままならない状況に焦るほど、浮き彫りになる<人>と<機械>の絶対的違い。埋められない溝に苦しみながらも捜査を続ける二人を待ち受ける衝撃の真相、そしてエチカが迫られる苦渋の選択とは――!

前回の事件を通じて、心から通じ合い認めあったパートナーとなれたエリカとハロルド……と、思ってたらいきなりぶっこんでくる「アミクス」には心なんてないよ、というRFモデルに携わる技術者の発現。いや、開発者であるレクシー博士の態度はまた違うんだけれど、アミクスに携わる科学者たちの見解は、等しくアミクスというロボットが行っているのはあくまで状況に合わせた言葉を用意された「辞書」から引き出しているに過ぎず、そこに思考や意思は介在しない。「中国人の部屋」というロボットSFで良く語られる設問を引き合いに出して語られるそれは、アミクスに心は存在しない、という大前提に基づくものであったのです。
いや、あるだろう心。ハロルドにも、前回登場したRFモデルにおけるハロルドの兄であるスティーブにも確かに心は存在した。エチカは、それと間違いなく繋がったのだ。だから、彼らRFモデルに心があるのは自明の理なのだ。
でも、RFモデルが通常のアミクスと同じ延長線上にあると考えているアミクスの専門家たちには、そんな見解は端からない。
面白いことに、専門家じゃない素人である捜査関係者たちやAI倫理委員会(素人か?)の人たちにはその絶対の大前提が理解できないんですよね。だから、外部からの干渉によってRFモデルが起こした事件を引き合いに出して、不具合がない他のRFモデルも危険視して停止させるべきだと主張する。
技術者たちは、ちゃんと技術的チェックをして不具合の有無を確認し科学的根拠をもって、RFモデル全体の危険性を否定する。そこにはハロルドへの個人的な信頼とかはなく技術的科学的根拠に基づくものしかない。一方で倫理委員会などの面々たちは、漠然と根拠なくあっちがダメだったんだからこっちもヤバいだろ、と危険視してくる。話がそもそも噛み合ってないんですよね。
でも、ハロルドがアミクスというただのロボット、ただの道具、という見解については一致している。だから、ハロルドを心ある存在と認識しているエチカにとっては、両者とも何をわけわからない事言ってるんだ? と、話の噛み合わなさ理解出来なさに苛立つはめになる。
三者三様、相手が何を言っているか全然理解できていないんですよね。
ロンドン警察の捜査部は、さらにアミクスに人権が認められてるせいか、システムチェックじゃなくハロルド当人と拘束して尋問、という人間にするみたいな事を平気でしながら、一方でRFモデル全体の問題トラブル危険性なんじゃないか、とハロルド個人を認めるでなくロボット扱いしているわけで、いやなんか端から端まで矛盾してませんか?と思うんだけれど、彼らとしては一貫してるんですよね。

人間同士ですら、同じ言葉を喋りながら会話を交わしながら、どこかで根本的に意思疎通すら出来ていない、理解が噛み合わないのに。
そもそも、根本的に違う存在であるアミクスと人間が理解し合えるのか。
そもそも、アミクスであるハロルドに意思がある、心がある、という科学的技術的根拠が存在するのか。

RFモデルが引き起こしつづけている連続傷害事件の捜査を通じて、エチカはほんとうの意味でのハロルドという存在そのものへの理解を迫られる事になる。
一旦はハロルド自身が事件の犯人なのでは、という疑いをかけられ任意同行を求められたものの、その容疑は別の事件が発生したことで早々に拭われるのですが、RFモデルそのものへの危険視は増すことでかなり面倒くさいことになってしまうんですね。
ハロルドの容疑を晴らすため、さらに巻き添えになったハロルドの「家族」のために、真相究明のため捜査を行うエチカなんだけど、その過程でRFモデルそのものの誕生の秘密に踏み込むことになる。
そもそも人を遠ざけてきたエチカにとって、他者への理解は避け続けてきたものだった。人の記憶に潜りその感情そのものを体験する電索官でありながら、彼女は人間そのものへの理解が遠い。
だからこそ、結婚詐欺じみたやり方で近づいてきたハロルドに、なんだかんだと心許してしまったわけだけれど、本当の意味でハロルドの心のうちを理解する事は難しく、でも理解したいと願った、願ってしまった。
電索官として捜査官として以上に、私情でハロルドの心を追いかけてしまった。彼の心が誕生した起源に踏み込んでしまった。いやほんとに私情込み込みで、捜査官としての在り方よりもハロルドを優先してしまうほどに。
ある意味彼女、一線を越えてしまっているとも言えるんだけれど、一線を守ろうとするとハロルドの停止は余儀ないんですよね。彼の在り方を世間は許容出来ないことは、一連の各方面の対応からも明らかなわけで。でも、こうなるとハロルド自身が一線を越えようとしたとき、それに干渉できるのはエチカだけになってしまった、という事でもあり、エチカの葛藤はその時が来るまで止まないことになってしまったわけだ。
アミクスに備わっているはずの大前提が、あそこまで徹底して皆無であることがわかった以上は、もうハロルドの心ひとつ、心ひとつなんですよねえ。
結局、彼の「心」に訴えるしかない、という事なのか。
そのハロルドの心はというと、揺れに揺れまくっているのですが。エチカが片っ端から揺り動かしている、と言えるのですが。グチャグチャじゃないか、ハロルドの心。グチャグチャすぎて、処理落ちしてるじゃないか。エラーが出てるじゃないか。
ハロルドもまた、理解したいと乞い願っている。切ないほどに、心引き裂かれんばかりに、切に切に、求めてる。彼女の辛そうな顔を見たくないと願ってる。
それが心でなくて、何なのか。それが人の心と何が違うのか。ハロルド自身が、その存在を頑として認められなくても。

二人のお互いを想い合う切なる気持ち。それは本来とてもシンプルなものなのかもしれないけれど、それを人と機械の相互理解というSFのテーマとして丁寧に描くことでこんなにも深い沼としてズブズブにしてしまえるのか。
シトシトとした雨に降られるような読後感に、しばし染み入るのでした。





虚ろなるレガリア Corpse Reviver ★★★★   



【虚ろなるレガリア Corpse Reviver】  三雲 岳斗/深遊 電撃文庫

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少女は龍。少年は龍殺し。 日本人の死に絶えた世界で、二人は出会う!

その日、東京上空に現れた巨大な龍が、日本という国家の崩壊の始まりだった。
魍獣と呼ばれる怪物たちの出現と、世界各地で巻き起こった“大殺戮”によって日本人は死に絶え、日本全土は各国の軍隊と犯罪組織に占領された無法地帯と化してしまう。
ヤヒロは数少ない日本人の生き残り。龍の血を浴びたことで不死の肉体を手に入れた彼は、無人の廃墟となった東京から美術品を運び出す“回収屋”として孤独な日々を過ごしている。
そんなヤヒロを訪ねてきたのは美術商を名乗る双子の少女ジュリとロゼ。二人がヤヒロに依頼したのは、魍獣を従える能力を持つという謎の存在“クシナダ”の回収だった。
廃墟の街で出会った少年と少女が紡ぐ、新たなる龍と龍殺しの物語、堂々開幕!


ドラゴンものはデビュー作以来って、【コールド・ゲヘナ】のことかー! 懐かしいなあ。って、あれはファンタジーじゃなくてガッツリSFでしたけどね。それ以上に人型ロボットものだったじゃないか。ド派手で何よりスピーディーな高速戦闘は読み応えたっぷりでのめり込んだのを覚えています。まさか20年以上経ってもこうして第一線で活躍し続けているとはさすがに思いもしませんでしたが。というか、そんな先のこと考えもしなかったんだけど。

さても今度の新シリーズは、前作の吸血鬼モノだった【ストライク・ザ・ブラッド】から、龍と龍殺しの物語。ドラゴンスレイヤーというのは本邦でもファンタジー小説やゲームの黎明期から活躍するある意味勇者の代名詞。かのドラゴンクエストからして竜王殺しの話でしたし、それよりも前、ファミコンのアクションゲームでも黎明期からドラゴンスレイヤー的な作品は山程ありました。ライトノベルでも、ロードス島戦記や海外から翻訳されたファンタジー小説なんかでもドラゴンスレイヤーとは最強の戦士、みたいな感じで常に最上位に位置し続けたジョブなのではないでしょうか。
吸血鬼に並ぶ、王道とも言えるでしょう。
しかも、本作の主人公ヤヒロのそれは現代に合わせて様々な形にアレンジやら改造やらされた龍殺しのそれらと比べると、むしろ原典に近いんですよね。古典的と言っていいくらい正統派な形で誕生した竜殺し、と言えるのかもしれません。

魍獣と呼ばれる謎の化け物たちの出現に加えて、世界中の国家、組織、個々の人々からの虐殺によって国家として日本は滅び、民族として日本人は絶滅した。
日本列島は都市の廃墟に魍獣が跋扈し、その縁側で世界各国の軍隊が基地を置く滅びの地と化していた。という、ポストアポカリプスものと言えなくもないけど日本限定終末後、というなかなか類をみない壮絶な世界観である。
でもこれだと、世界中が滅びてしまった後に比べて、他の世界の国々は健在なので物資の面では不足がないので、ガンガンとフルスペックの軍隊をアクションの中に放り込めるんですよね。その上で住民の被害を考えないで、日本の各地各都市各名所を戦場にして吹っ飛ばせるという自由度の高さ。なにしろ無人ですからー。日本人絶滅してますからー。文句はどこからも出ませんね、善き哉。

そんな根絶やしにされたはずの日本人の生き残り、主人公の鳴沢八尋には目的がある。死んでも成し遂げなければならない目的だ。死なないけど。
その死なない身体になった原因と、目的がまた覚悟決まりまくっていて壮絶極まりないんですよね。
まだ十代の若者にも関わらず、背負っている業が重すぎる。彼にとってはこれまでの人と関わらない、関われない孤独ですら、禊だったのかもしれない。
でも、彼はここで出会ってしまうのである。さて、その運命の相手がクシナダヒメであったのか、それとも悪魔(ベリト)の双子の方だったのか。
何もかもが双子の目論見通り、ではあったものの、なにげに双子との邂逅こそがヤヒロにとっての転換点だったのは確かなんですよね。それを運命と呼ぶのは恣意が介在しすぎているか。
でも彼女たちに目的と企みはあり利用する気満々でも、扱いとしては誠実であり好意的であり、駒とか道具扱いじゃなく、ちゃんと同じ人として、共犯者として、仲間としてベリトの双子のみならず、ベリト隊のなかなかに個性的な面々は接してきてくれてるんですよね。
孤独のまま走り抜けるつもりだったヤヒロにとっての、初めての仲間というべき人たち。
日本人の生き残りとして迫害され続けてきたヤヒロにとって、経験のない好意的な交友は戸惑い狼狽えるしかないものだったのだけれど、それでも仄かに嬉しそうで、ついつい警戒を緩めてしまう姿はチョロいとは言うまい。可愛らしいくらいじゃないですか。
憤怒と罪悪感にだけ塗れて生きて死ぬには、まだまだ若すぎるんだから。
にしても、ジュリエットとロゼッタの双子のキャラクターは良かったですねえ。半分マフィアみたいな連中ですけど、天真爛漫でどこか喰えないジュリに、クールでそっけないようでイイ性格しているロゼと、強烈な存在感を残してくれた二人でした。まさに天使のような小悪魔、といった周りを翻弄するジュリの明るさもとらえどころのなさも魅力的なのですが、クールなロゼみたいな子がデレるのは是非見てみたいなあ。
この二人に比べると、メインヒロインの彩葉は裏表のない真っ直ぐな性格していて、色んな意味で汚れていないなあ、とw
ただ行動力というかパワフルさは全然負けてないんですよね。結構グイグイくるタイプだぞ、この娘。こういうブレのないストレートにまっすぐ進める子でないと、超ヤベえレベルの凶悪なヤンデレには対抗できないのかもしれない。

初っ端からしっかりと強烈な世界観を叩きつけると同時に、そこで躍動するメインとなる登場人物たちの存在感を確立し、壮大なストーリーの始まりを強く意識させる。一巻目としては文句なしの、長期シリーズの開始を確信させる盛大な号砲でありました。このあらゆる意味でも面白さと安定感は、さすがとしか言いようがない期待の新シリーズでありました。


ウマ娘 シンデレラグレイ 3 ★★★★   



【ウマ娘 シンデレラグレイ 3】   久住 太陽/杉浦理史 ヤングジャンプコミックス

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いよいよ舞台はカサマツから中央へ。慣れない地と新たな出会い、伝説への一歩を踏み出すためにもここで多くを学ぶ――…。そんな中、早くもアクシデントが発生!? 果たしてオグリキャップはこの試練を乗り越えられるのか…!?


表紙は皇帝シンボリルドルフ。どこかで三冠ウマ娘ならぬ三巻ウマ娘シンボリルドルフとか書かれててクスっとなりました。ルドルフ会長より上手い。

さて、中央に移籍したオグリはそこで同世代のライバルとなるウマ娘たちと顔を合わせることになる。
その前に、たずなさんと出会った際にオグリが妙な反応をしているのは、やはりたずなさんウマ娘説に準じたものなんだろうか。

ともあれ、オグリの同級生たちとの初対面。って、ディクタストライカーって誰だよ!? とはならずにすぐに「サッカーボーイ」だろ、こいつ! とわかってしまう不思議。
まあサッカーボーイは父親がディクタスというのもあるのですが。ってか、サッカーボーイってもっと前の世代と思っていたのですが、オグリと同世代だったのか、知らんかった。加えて、社台のウマだったというのも知らんかったー。サッカーボーイって、栗毛の映えるすげえカッコいいウマなんですよねえ。ウマ娘の彼女のデザインもイカしているだけに、変名での登場だけというのは勿体ないよなあ。
オグリ世代のレースはリアルでは見ていないのですが、この中ではヤエノムテキが小さい頃は好きだったんですよね、なんでなんだろう、よく覚えてないんですよ。ただ、オグリ世代のクラシックはほんと全然知らなくて、メジロアルダンもサクラチヨノオーも記憶には残ってなかったのです。だからヤエノムテキの印象が残っているのは、天皇賞秋のものなのかなあ。
まさか、武道少女となって出てくるとは思いませんでしたが。
それ以上に、サクラチヨノオーが勝負服一番イイですよね、これ。桜一族に求めていた勝負服イメージそのままですわー。
ちなみに、この教室に居る面々はクラシックに参戦したメンバーで揃えているらしくて、晩成で戦績振るわなかったりデビュー遅かったり、といった面々は居ないっぽいんですよね。バンブーメモリーなんかもオグリと同世代のはずなのですが。
あと、ちなみにダイユウサク。あの有馬記念でメジロマックイーン相手に大金星をあげたダイユウサク。アニメで妙なオーラを発していたあのダイユウサクも、オグリと同世代だったんですって! 知らんかった!
ダイユウサクが重賞戦線で台頭してくるのは、ほんとオグリが引退したあとの年からなので、このシンデレラグレイではなかなか絡みはなさそう。一度だけ一緒のレースを走っているのでもしかしたらダイユウサクことウマ娘ではダイサンゲンちゃんか、漫画でも登場するかも。

さて、せっかく中央に転籍したものの、北原と共に目指した東海ダービーの代わりに取るつもりだった日本ダービーは、クラシックレースに参戦するための事前登録を行っていなかったために、オグリキャップには参加資格がない、ということに。
これをなんとか特例で参加させてもらえないか、と頼みにいったのがトレセン学園の生徒会長であるシンボリルドルフだったのだけれど。
そりゃ、地方からやってきてまだ何も成していないポッと出のウマ娘が、その世代の頂点を決める最高峰のレースである日本ダービーに出させてよ、とか言ってきてもそりゃふざけるな、って話ですよね。何千というウマ娘たちが一生に一度、望んでも頑張っても手が届かない、僅か18人しか……って、この当時は24頭まで枠あったのか。ともかく、参加資格をもぎ取った二十余人しか参戦出来ないレースにちょっと出させてよ、なんて言ってこられたら温厚な皇帝陛下でも「無礼るなよ」と凄むのも仕方ない。ダービーの価値を誰よりもわかっている一人でもあるのだから。
でも、そんな威圧に一切動じることなく、ガンつけながら実力で、この脚で覆す。常識もルールも。
そう言ってのけるオグリの目に宿るのは、狂気か覇気か。
いつも天然でぽややんとして穏やかなオグリだけれど、レースに関することでは時折、このように豹変する。凄味を、鬼を、その奥に宿している。

そして、次々と中央の強豪ウマ娘たちを有言実行、その脚で薙ぎ払っていくオグリ。そこにはクラシック候補たちの姿も。毎日杯では、最有力の一人だったヤエノムテキをすら、彼女が完璧なレースをしたにも関わらず、完膚なきまでに圧倒する。
そして、そのヤエノムテキがクラシックの一冠目である皐月賞を勝利したとき、世論は沸騰する。ヤエノムテキに買ったオグリがなぜ、クラシックに参加できないのだ、と。

当時、史実でもオグリキャップがクラシックに参戦できなかった件は大いに問題となって持ち上がった。後年、ルールが変更されクラシック登録していなくても、追加登録費を払えば参戦できるようになったのはこのときのオグリ問題が引き金になっている。このルール変更で救済され、実際にクラシックレースを取った馬は決して少なくない。テイエムオペラオーやキタサンブラック、ヒシミラクルやトーホウジャッカルといった面々がそうだ。
とはいえ、史実では急遽のルール変更は結局認められなかった。実際問題、一頭の馬のために制度を捻じ曲げるというのは難しいだろう。
ただ、このウマ娘の世界では正史の競走馬の世界と違い、金の問題が絡まないウマ娘という少女たちの純粋なスポーツ精神に基づく競技の話になってくる。一人の少女が実力を示しているにも関わらず、既存の制度のために公平な機会を与えられない、という事態は柔軟な対応を求められてもいい案件だと思うんですよね。
世論の後押しもあり、ルドルフ会長もスター不在のウマ娘界を憂いていたこともあり、またオグリが実績を示したが故に、この件に関しては積極的に動いてくれることになる。
実際の所、史実では走れなかった以上、結局オグリはクラシックとは縁がないまま、と思ったんですが……え!? 走れるの!?
これはちょっと予想外の展開だぞ!? チヨちゃんどうなるの!?

失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 4 ★★★★   



【失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 4】  樋辻臥命/ えいひ GCノベルズ

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ライノール王国内の銀の流れを追う中でポルク・ナダール伯爵の陰謀を突き止め、王太子セイランの危機を救ったアークス。
その功もありセイランへ謁見することになったのだが、なんとそのまま王太子が興したナダール伯討伐軍への参加を命じられてしまう。意図しない初陣に戸惑うアークスだが……?

〈麒麟(チーリン)〉と謳われる王太子と廃嫡された少年――
二人の出会いが戦場(せかい)を変える。

セイラン殿下、正体隠す気ありますかー!? いや、アークスに謁見許した当初から戦場に到着したはじめくらいまでは、厳しい態度を崩さずに王族としての威厳を示していて、アークスにも現状では正体を明かす気はない、ちゃんと隠しますよ、というつもりがあったのはわかるんですが。
だんだん油断してきて、素の顔が出始めるんですよね。
自分で設置したはずの彼我を隔てる立て付けの壁を、ついつい自分で乗り越え気味に身を乗り出してしまうわ、思わず壁押しのけて「いつもの」距離感で接してしまうわ……。色々自分で台無しにしていましたよ、この子w
まあ戦場のさなかで戦況も佳境、色々切羽詰まった状況にもなっていて、セイラン王子としての仮面を被っている余裕もなくなっていた、というのもあるんでしょうけれど。いや、戦況そっちのけでアークスの見せた新魔法に、普段の魔法オタクっぷりを刺激されまくって場を弁えずに魔法論議を仕掛けてしまいそうになったり、と戦場の緊迫感とかは関係ないかもしれない。
でも、このポロポロとセイラン王子としての立ち居振る舞いを取り落していく、そこの微妙な止めどのない変化が良かったんですよね。ちょっとずつ、本来のこの子の顔になっていく、このちょっとずつの変化量が丁寧に見えたんですよねえ。
アークスの方も初陣ということで、殺し合いなんかは経験済みでも数千の兵士たちが激突する戦場の空気に当てられている状態では、普段の洞察力なんか発揮できるはずもなく、セイラン王子の違和感についてはまったく気づいている様子もなかったのですが。
次期王として、神子として、思わず膝を屈してしまうような王者としての威風、威圧感を纏うセイラン王子も、風格あるし大器を感じさせる佇まいでこれはこれでカリスマなのでしょうけれど、どこか非人間的な存在感が徐々に人間味を溢れさせてきて、見知らぬ魔法にはしゃいでしまったり自分の身を呈してアークスや近衛の兵を守ろうとする姿は、それが本来の彼女らしさでもあり、セイラン王子としての姿とは違う人を惹きつける魅力に溢れていて、これはこれでカリスマなんですよね。あの王にしてこの王子あり、というべきか。良く似た親子じゃないですか。
アークスが、心の底から忠誠を誓い、この人のために生涯を尽くそうと奮い立ったのは、そんな人間味溢れた方のセイラン王子だったわけですしね。
これまで、自分を出来損ないだと、失格者という烙印を押して排斥した両親を見返すため、ある種のネガティブな感情を原動力として頑張ってきたアークス。勿論、これまでの間に彼を支えてくれた人、信じてくれた人、共に戦ってくれた人、様々な人の助けや好意がアークスを奮い立たせ、彼らのためにという想いも育ち、決して仄暗い感情だけを燃料にくべて原動力としてきたわけじゃないのだけれど。それでも根底には、見返してやる、という想いがあったわけです。
でも今、そんな彼自身にとっての根源を塗りつぶす、上回る、光が灯ったのでした。それはまさしく、アークスにとっての人生の岐路だったのではないでしょうか。
この初陣で彼が手にした武勲は、彼の廃嫡の評判を今度こそ覆す大きなもので、あの魔道具開発に比肩する、いや功績を表沙汰になかなか出来ない魔力計よりも、誰しもが認める武勲である以上、それは彼の人生の岐路となるものだったのでしょうけれど、それ以上にアークスの心の赴く先が定まったことこそ、彼の人生を決定づけるものになったのではないでしょうか。
まあ、その対象となるセイラン王子の正体を知った時のアークスの反応がまた楽しみなのですが。

しかし、味方側の国定魔術師たちも、帝国側の最高幹部たちも、純粋な戦力としてはまだまだアークスが及びもつかない強大な存在である、というのが伝わってくる戦争パートでありました。
問答無用でアークスに自分の死を実感させる存在もさることながら、作戦面で王国側を手球に取る指し手もおり、今回はアークスもセイラン王子も崖っぷちを綱渡りするはめに。本気で命の危機を感じさせる連続王手の展開は、文字通りギリギリの瀬戸際で緊張感たっぷりでありました。
それでも、頼もしい人が味方に加わってくれたり、王子の股肱の臣として出世が約束されたような面もありつつ、やたら怪しい人に目をつけられたり、精霊チェインに面倒事を頼まれたり、と厄介の種は尽きぬようで、物語としての大筋でも結構ターニングポイントと成り得る巻だったんじゃないでしょうか。ともあれ、動きの激しい巻でもあり、面白いという感情を大いに揺さぶってもらえました。


ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん [Disc 2] ★★★★   



【ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん [Disc 2]】  恵ノ島すず/ えいひ カドカワBOOKS

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破滅の元凶と直接対決! ゲーム実況が導くエンディングの行方は……!?
 現実世界のゲーム実況が神々の声として聞こえるようになったジーク。神託を通じ婚約者リーゼロッテが【ツンデレ】だと知った彼は、その可愛さに悶え、誓った。
 ——彼女の命を奪う元凶【古の魔女】を許さない。
 しかしその討伐のため、神託に従い国の最高戦力を集めたはいいが、婚約者本人まで戦う気満々なのはなぜなんだ……?
 遂にバッドエンドの黒幕と直接対決! ゲーム実況が導く先に不遇な悪役令嬢のハッピーエンドは訪れるのか……!?

「はー、かわいい」
ジーク、しみじみ堪能しすぎであるw
リーゼロッテがもう何を言っても何をしても可愛いしかない存在であることを実況解説神によって知ってしまい、いちいち遠藤くんと小林さんの解説を待たずして彼女のツンデレ、発言とは裏腹の本心を理解できるようになったジークくん、もう毎日毎時リーゼのこと堪能しすぎである。ひたすら、リーゼを愛でて可愛いなー、可愛いなー、と悶える日々。
幸せか!
この娘、私の婚約者なんだぜ!? と内心絶叫し、もういいから早く結婚しよ! と出来る限り早く結婚してしまいたい気分で浮かれている王子様。
だいぶ頭の中、春真っ盛りになってきてお花畑が咲き誇ってるなー、と思っていたのだけれど、実際はリーゼの方も大概だったみたいなんですよね。リーゼの方の内心については、その言動から推察するしかなかったのだけれど、彼女の本心というか意図は理解できていたものの、頭の中でどんな精神状態だったのかについてはわからなかったんだけど、リーゼと繋がっていたあの神様が暴露してくれた話によると、相当こっちもお花畑満開でジークに対して黄色い声を張り上げて、ジーク様素敵! ジーク様かっこよすぎ! とか悶絶しまくっていたらしい。
わりと似たもの夫婦なのかもしれない、この二人。
まあジークの方も結構嫉妬深いところが見えましたしねえ。フィーネと姉妹になって仲睦まじくしている様子にすら嫉妬するくらいですし、さらにショタっ子に姉さまと呼ばれて慕われるようになった際には、小林さんたちに未だ嘗てない表情と評されるくらいの独占欲をたぎらせていましたし。
古き魔女による呪詛でネガティブな感情を掻き立てられていたのをずっと耐えていたリーゼですけど、ジークの方にこの呪詛がキてたら一発で闇落ちしてストーカー化してたんじゃないだろうかw
でも、変に溜め込まずに、自分の嫉妬心を曝け出してリーゼに自分の醜さを見せつつ甘えて見せるあたり、ジークたんはやり手なのである。リーゼに関してはもう手段選ばなくなってたよなあ、コヤツ。
バルの方もフィーネ愛を自覚して以降、完全に開き直ってグイグイ押してくる困ったちゃんになってたし。ラスボスも含めて、この作品の男連中はわりとみんなダメ夫の資質が垣間見せるんですけどw
女性陣の甲斐性を期待するしかないよなあ。幸いにして、女性陣の方は色んな意味で女傑ばかりでいい意味で男連中を尻に敷ける逸材ばかりなので、そっち方面の心配はそれほどしなくて良さそう。
いや、そういう甲斐性を持ち得ていなかったばかりに、痴情のもつれの果てに世界滅ぼしかけるわ、リーゼ破滅させかけるわ、という迷惑極まりないことをしでかしてしまった女性もいるのですが。

……女神様、土下座似合いすぎなんですけどw
開幕、土下座登場した創世神はさすがに初めて見た。なんかもう腰の低さというか、謝罪の堂の入りっぷりは見事というほかなく、このまま宗教図として描き残すか世界中の御神像を土下座ポーズに作り直すの、マジでありなんじゃないだろうか、と思えるくらい彼女の象徴的なポーズになっていました。
いや、この展開はさすがに予想外でしたけれど、元々オーバーキルすぎる陣容! だっただけに、変にバトルにならずにこういう形で収まったのは作品の雰囲気的にも良かったんじゃないでしょうか。
女神も大概でしたけれど、元凶となった輩のどうしようもなさは目を覆わんばかりでしたが。
でも、遠藤くんと小林さん側からの一方通行の力関係で終わらず、双方向で小林さんたちをリーゼたちが助ける展開になったおかげで、両者が本当の意味で心通じ合った友達になれたという形に至ることが出来たのは、とても素敵な結末でした。
これ以上なく素晴らしい文句なしのハッピーエンドでございました。色んな意味でごちそうさま♪






男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 1. じゃあ、30になっても独身だったらアタシにしときなよ? ★★★★   



【男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 1. じゃあ、30になっても独身だったらアタシにしときなよ?】  七菜 なな/Parum 電撃文庫

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永遠の友情を誓った親友ふたりが――ふとしたきっかけで〈両片想い〉に!?

 とある田舎の中学校で、ある男女が永遠の友情を誓い合った。1つの夢に向かい運命共同体となった二人の仲は――特に進展しないまま2年の歳月が過ぎる……!
 未だに初恋がこない陽キャ女子・犬塚日葵と、花を愛する植物男子・夏目悠宇は、高校2年生になっても変わらず、二人だけの園芸部で平和に親友やっていた。
「悠宇が結婚できなかったら、アタシが責任取ってやんなきゃねー」「日葵がそれ口走ってから、おまえの兄さんが『義弟くん!』って呼んできて辛いんだけど」
 ところが、悠宇が過去の初恋相手と再会したことで、突如二人の歯車が狂い出す!? 果たして恋を知った日葵は「理想の友だち」脱却なるか?

それはそもそもから恋だよ!
惹かれ惚れ込み独占しようとする。恋愛という枠組みに押し込むことで形にしてしまうことを恐れ、友情という雛壇で飾ることで何時までも変質させることなく、維持しようとする心は純情の粋じゃないですか。
あまりにも大切なものは、はっきりと形にしないほうがいいんですよね。形質を得てしまうと、それははっきりと明晰になるけれど、同時に形を失うというリスクを負うことになる。
これを日葵は非常に自覚的にやっている。彼氏を作って即座に別れる、というアレだ。人間関係を、一度付き合う、彼氏彼女になるという「形」を現出させることで、否応なく誰にでも分かるように破壊しているのだ。そうして、人間関係を終わらせている。
こういうことをしている娘だ。尚更、壊れてなくなってしまう可能性のある「恋愛」の成立を怖がる事も理解できる。曖昧模糊にしておくことで、友情という枠組みにおさめておくことで、彼女は大切に悠宇との関係を護っている。
でも、それはもう最初から恋だよ。
若者の時ほど、人は衝動的で十代でのお付き合いなんて続かないのが当然(その考え方には頷けないものがあるけれど。人間、どれほど年取ったって衝動的だよ)、という意識があるからこそ、30になってもお互い独身なら結婚しようぜー、なんて言い回しで婚活期間ゴール地点(近年ではもう三十路程度若い若いまだ折り返し地点になっている気がするが)での目標確保を狙っているのかもしれないけれど、この日葵さん……やや俗欲に堕している節がある。わりと、我慢が効かないタイプなのだ。友情という枠組みの方に自分を隔離して悠宇との関係を維持しようとしていながら、他の誰かが悠宇の恋愛圏に入ってくるとそれに全然耐えられなかった。耐えられなくて、友情枠から転げ落ちんばかりに身を乗り出して恋愛圏に割って入ろうとしだしたのだ。
覚悟も何も決まっていない。
そりゃ、だいたい見通している次兄は怒る。この人はどちらかというと狂気サイドの人に見える。線を引っ張ったアチラ側だ。
そんなアチラ側からの理屈なら。本気で勝ち逃げを狙うなら、日葵は決して恋愛圏に首を突っ込んではいけないのだ。友情枠、それも親友枠で居続けないといけない。恋愛圏とは交わらない、しかし恋愛圏よりも上位の、不可侵の、唯一絶対の、一番で居続けないといけない。
恋愛圏なんていう、同じ土俵で戦おうとしてはいけないのだ。それでは、恋敵と勝負になってしまう。そもそも勝負にならない高みを掴み続けないといけない。達観して悟りを開き、何もかもを覚悟して受け入れて受け入れなければならない。最後には、自分の所に戻ってくるのだから、という確信を、一切の疑念のない確信を抱き続けなければいけない。
まあそこまで来ると、狂気の領域で、その狂気を親友同士で共有しないといけない、なんて感じなんだろうけどさ。
あんまり達し尽くしてしまうと、いい加減恋とか愛とか友情とか、分けるのが不可能なくらい溶け合ってしまうのですけれど。定義なんて、どうでもよくなっていくのだけれど。

その点、日葵は至るには俗すぎるんですよね。目の前の欲望に弱すぎる。だから、容易に自覚してしまった恋心に振り回される。自分こそが悠宇にとっての唯一無二だと確信できない。彼氏彼女という関係の形がないことを不安に思ってしまう。キスや肉体関係を証として求めてしまう。
その意味でも、この娘は普通の女の子なのだろう。
ところが、悠宇の方は日葵よりもよほど覚悟決まってたんですよね。日葵のことが唯一無二である事について一切ブレなかった。自分の人生を、生涯を、一生を、この娘に捧げるのだと決め込んでいた。悠宇も日葵ほど俗じゃないけれど、頭がおかしいわけでもイッちゃっているわけでも、果てに達しているわけでもない普通の子だ。でも、覚悟は決め込んでいたんですよね。
おかげで、二人の友情という枠は続いてしまった。彼らは親友であり続けることになった。最後の最後に確実に勝ちを掴むために。
日葵にとってはなかなかの修羅の道だけど、果たして安易に目の前の餌に食いつかずに、最後まで我慢できるのか……この娘本気で目の前の欲望に弱そうだからなあ。
悠宇が日葵とも関係を大切に思っているからこそ、安易にセフレみたいな関係になるのに抵抗を覚えているのが案外とネックで、もう大親友だし莫逆の友なんだし子供でも作っちゃう? くらいの摩擦係数がゼロの関係になれば日葵の欲も安定しそうなんですけどね。
ただ、悠宇も覚悟決めている一方で、達観しているわけじゃなく普通に日葵の事を女の子として好き、という恋愛感情があるので、彼らの親友関係って表と裏が存在しているだけに、何がどうなっても、キスしてもセックスしても子供作っても結婚しちゃっても、二人は無二の親友なのは変わらないなんていう行き着く所に至っちゃった関係じゃないだけに、決して強固な関係じゃないんですよね。
今回、日葵が自覚しブレた途端にレッドゾーンに突入してしまったみたいに。だから、悠宇が下手に日葵と一線超えるようなスキンシップは避けているのは、間違いじゃないのでしょう。
でも、それだけ薄氷の上を歩いているとなると、決着は思いの外早いのかもしれない。少なくとも、30までは全然持たんでしょう。どこにでもある男女の当たり前の関係に落ち着くのか。
男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) とタイトルで反語で断言してるくらいですしねえ。

何にせよ、陽キャの完璧超人に見えて、メンタル弱々な日葵が果たして完走できるのか。二人の決着がどういう形でつくことになるのか。先がめちゃくちゃ楽しみなラブコメのスタートでした。うむ、面白いぞ!!

七菜なな・作品感想

薬屋のひとりごと 8 ★★★★   



【薬屋のひとりごと 8】 日向 夏/しのとうこ ヒーロー文庫

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毒で体調を崩した姚が医局勤めに戻れるようになった頃、猫猫のもとに大量の書物が届いた。
送り主は、変人軍師こと羅漢。碁の教本を大量に作ったからと、猫猫に押し付けてきたらしい。
興味がないので売り飛ばそうかと考える猫猫の考えとは裏腹に、羅漢の本によって、宮中では碁の流行が広がっていくことになる。
一方、壬氏はただでさえ忙しい身の上に加えて、砂欧の巫女の毒殺騒ぎや蝗害の報告も重なり、多忙を極めていた。
そんな中、宮廷内で碁の大会が企画されていることを知った壬氏は、羅漢のもとに直接交渉をしかけに行く。
開催場所を壬氏の名前で提供する代わりに、さぼっている仕事をこなすように説得するのだが――。

変人軍師、酷い言われようだし(一番酷い言い草しているのは娘の猫猫なんだが)、実際まともに仕事もせずにフラフラしているろくでなしなんですよね。そもそも、頭の中身が常人と違いすぎるので、これに通常の仕事を期待するほうが間違っているのでしょうけれど。
というか、なんでそんな人を「太尉」になんかしてるんだ!?
太尉と言えば、古代中国では軍事を司る大臣みたいなもので、三公の一つにも数えられた王朝もある役職だ。偉いのである。超・偉いのである。
まあこの人、その偉さを活用するタイプではなく、派閥にも属さず中立らしいのだけれど、決して影響力が皆無ってわけじゃないんですよね。むしろ、影響力はワケワカランほどある、というべきなのかもしれない。だからこそ、太尉に祭り上げられているのかもしれないが。
そんなのが親父なのですから、猫猫も妓楼育ちのどこの馬の骨とも分からない下民出身の女官、というわけにはいかなくなっちゃってるんですよね。中立であろうと太尉の娘である。それも変人軍師の娘である。必然的に派閥争いと無関係とはいかなくなってしまっている。
身分としては、皇弟である壬氏さまとも釣り合いが取れなくない、という所ではあるんですけどね。ただこうなると、気楽に后の女官にする、という訳にはいかなくなったのか。玉葉様は猫猫をもう一度自分の所の侍女にしたかったみたいだけれど、猫猫をつけるということは必然的に中立である羅一族がその后の派閥についた、と見做される可能性が高くなってしまう、となるとそりゃ難しいよなあ。
玉葉さま、精神的にもタフで鷹揚としていてどんな難事にも堪えず物事を楽しめる、という大物感をずっと漂わせていましたけれど、今回彼女に迫っている危機というか圧迫は彼女をして相当にキツいものがあるみたいでかなりへこたれていただけに、猫猫を側に置きたいという気持ちはわりと切実なものがあったと思うのですけれど、さすがにこうなると難しそうだなあ。
まあ猫猫も、今は医局の手伝いに充実感を感じているようですし、それを途中で放り出して、というのは気持ちも進まないでしょう。玉葉后のことは結構好きみたいですし、あそこの侍女たちとも仲良くて居心地も良かったとは思うのですけれど、今回の医局の仕事はちゃんと正式に試験通って就いたものですしね。同僚の姚と燕燕ともここで離れ離れになるには惜しい関係を築いていますし。
て、猫猫とちゃんと友達になったのってこの二人が初めてなんじゃないだろうか。友人と呼ぶに足る相手は今までもいましたけれど、猫猫自身も認めていますけれど、一人はああなっちゃいましたし、もう一人も仕事の合間に顔を合わせるくらいの頻度でしか会えなかったですし、今は宮廷離れちゃってますしね。これだけいつも一緒に行動して、休みの日もたまに一緒に遊んだり、みたいな本格的な友人関係って姚と燕燕がはじめてと言っても過言ではないはず。
猫猫本人も、この淡白な娘が意外なほどこの二人を気にかけてますし、わりと素直に友達と思っているみたいですし。希少な関係だ。

とまあ、女三人寄れば姦しい、というにはちょっとあれな個性の三人ですけれど、猫猫が同世代の女の子と一緒に働き一緒に休み一緒に遊ぶ姿はなかなか眼福でありました。出会いから事件を経て関係も落ち着いたのがこの巻だっただけに、そのへんの三人の描写も多かったような気がします。
大きな事件もなく、囲碁大会の開催にまつわる諸事がメインでしたし。いや、三つ子兄弟の事件とかちょっとしたミステリーっぽい事件簿はありましたけれど。これ、羅門叔父さんがだいたい解決しちゃっているのを見ると、確かに羅一族ってみんな優秀なのなー。

羅漢軍師は別格にしても……あれは天才という以上にバカの方に一線越えてる気がするし……秀でた才覚の持ち主はあちらこちらに見受けられるわけで。
そういう際立った人物たちが目立ち始めると、確かに壬氏さまって有能では在るんだけれど柔軟さが足りてない所はありそうなんですよね。顔の良さが並外れて魔性の域に達しているだけに、人外魔境の一人のように見られてしまうけれど、中身は凡人という自己評価は間違っていない気がする。仕事の割り振りとかできなくて自分一人で抱え込んでパンクしかけてたり、かなり間が悪くて肝心なものは手に入れられないとか、結構ぽんこつな所も多いんですよね。当初から猫猫を振り回そうとして、逆にいつも振り回されてましたしw
さて、そんな壬氏さまもそろそろ形振り構わなくなってきたわけで。この囲碁大会で大人気なく策を弄しまくって盤外戦術に全身全霊注ぎ込んでしまっていたのには、なんとも微苦笑ものでしたわ。
それも、一見すると政治的な利益を得るための深慮遠謀に見えるんだけど、実質は一人の女性をゲットするための完全な私利私欲に全振りしてた、という残念っぷりは何とも壬氏さまだなあ、と。
それでうまくいくどころか、目的だった羅漢に娘さんをください、というお願いを聞いてもらう件については全く叶わなかった、というあたりなんぞは特に。
ラストの、あの自分の体を傷つけても、という周到かつ自分を追い詰め後に引けない事までして、皇族から離脱するという政治的決断も、難しい皇弟という立場での振る舞いや後継争いに関するスタンス、兄である主上に自分のことを諦めてもらう、など様々な思惑あってのことでしょうけれど……結局あれって、それら全部建前なんですよね。本当の目的は、猫猫を嫁にするための外堀を埋めることだったんですよね。
あそこまでどえらいことしでかしておいて、全部猫猫がどうやっても逃げられないように囲い込むため、というあたり、壬氏さま必死過ぎるw
いやもう完全に開き直ったというべきか。色んな意味で袖にされすぎて限界突破してしまったというべきか。ちょっと変なスイッチ入ってますよね!?
これはそろそろ猫猫も観念のし時、年貢の納め時じゃなかろうか。
やたらいい笑顔で猫猫を抱え込んでいる表紙絵、まさにこの巻を表している絵だったように思いますぞw


グリモアレファレンス 2.貸出延滞はほどほどに ★★★★  



【グリモアレファレンス 2.貸出延滞はほどほどに】 佐伯 庸介/花ヶ田 電撃文庫

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図書委員の仕事は迷宮探索だけじゃない!? 未返却の魔書を回収せよ!

図書館の地下に広がる迷宮を探索する一方、通常のレファレンスもこなす図書隊のメンバーたち。
そんな中、守砂は大学教授の紙珠から地下に収められた魔導書の貸出を依頼される。初めて直接受けたレファレンスに張り切るものの、探索はトラブルの連続で……!?
「無いん! です! けどぉぉぉぉ!!」
未返却の図書の回収や男子の夢が詰まった隠し部屋の攻略など、図書委員として順調に探索をこなしていく守砂隊だが、迷宮のすべてを解き明かそうとする彼らに対し魔書生物たちが明確な敵意を持ち襲い来る――!!

紙珠櫛子教授、という守砂くんと過去に繋がりのある先生が登場してきましたけれど、名前の櫛からはついつい櫛名田姫が思い浮かんでしまって、すわメインヒロイン登場か! とざわついたのですけれど、むしろ紙珠……かむたま、と読むのだそうですけれど、そこから連想される神魂命―神産巣日神の方がモデルになるのかな。この神様は祖神として援助者としての側面を持っているそうで、紙珠教授も学者という立場から色々と知恵を貸してくれたり、直接勉強を教えてくれたり、と守砂くんたちのパーティーを熱心に手助けしてくれるんですよね。面倒見の良いお姉さん、といういい感じの人でねえ。
同時に、この人が守砂くんたちに初めてレファレンスの依頼を出してくれた人でもあり、ってフブルさん通して回ってきたのでありますけど、探索だけじゃない図書委員としてのお仕事を体験させてくれるきっかけになったわけです。書庫から目的の本を見つけてくる、というレファレンスのお仕事はその場所が図書館迷宮ということで中々に大変なのだけれど、苦労して見つけてきた本を直接依頼人に手渡しして、喜んでもらえるという体験は図書委員ならではの充実感なんですよねえ。いや、普通の図書委員でそんな体験することじたい少ないでしょうけれど。
迷宮探索云々じゃなくても、そもそも図書委員でレファレンスを体験するような本格的な図書館を擁した学校で図書委員を本格的にやる、なんて経験する人は少ないでしょうしねえ。
ともあれ、これはこれで学生らしい、委員としての体験の一つでもあるわけだ。
今回はちょっとした短編集的な体裁なんだけれど、迷宮探索者としての図書委員としてよりも、学生、生徒という立場としての登場人物たちの日常の様子を垣間見るような構成だったんですよねえ。
ちゃんと、学生として青春を謳歌しているなー! 毎日、充実した時間を過ごしてるなあ。というのが伝わってくる内容で。図書館迷宮の探索って、お仕事ではあるんだけれど、社会人という立場からのお仕事とはまた違って、ちゃんと学生としてのお仕事……なんていうんだろう、学校業務を補完するためのお仕事というんじゃなくて、学生として学びを充実させるためのお仕事って感じがするんですよねえ。知識を得たりとかのお勉強としての学びじゃなくて、学生の時しか出来ない体験としての学び、という風に言えばいいのかな。
ミカ姉との二人での延滞督促を兼ねた迷宮探索も、改めて二人の関係がどんなものなのかを実感させてくれる、ミカ姉的にはデート回と強弁してもまあ否定出来ない内容でしたし、エロ本を巡る男子と女子の攻防(一方的)なんかはもう、もろに若いなあと微笑ましくなってしまうものでしたし。男の子たちの熱の入れようといい、女子たちの激烈な拒否反応といい、思春期だからこその溌剌さなんですよねえ。
加来くんとの仲悪いにも関わらず、なんだかんだと協力してしまうエロへの欲求よw
加来くんとのあの複雑な関係は、単純に仲が悪い、で表現しきれないものがあるんですけどね。守砂くんサイドからは加来くんには別に思う所なかったり、加来くん自身過去の守砂くんには深い嫌悪めいた感情があるものの、現状の守砂くんはかつてとは違うという理解もあって、でもやっぱり嫌い、でも誰よりも認めている、認めているからこそ信用できなくて、でも信頼もしていて、という無関心では居られない複雑な思いが絡みついてる所は、ほんと好きですわーw

こういうのを見せられると、青春してるなあ、とやっぱり目を細くしてしまいますよ。こういう温かい熱がじんわりと伝わってくる生き生きとした描写は、ほんと好きですわー。
しかし、ミカ姉さんは本気で色んな意味でヤバい人だったのかw
この人、魔書のバフ抜きでも化け物なんじゃないだろうか。迷宮の外でも人外魔境出来そうなんだけど。その分、ポンコツさも残念なことになっていますが。
守砂くんの好みがモロにミカ姉さんだったのはちょっと笑ってしまいましたけど。いや、マジでストライクに好みが見た目から性格に至るまで彼女のことを指しているのに、未だ女性として意識されてないのって、完全にミカ姉の接し方の問題なんだろうなあ、これw
いやでも、ちゃんとメインヒロインがミカ姉っぽくて良かったですよ。

そんなメインヒロインの座を、ある意味脅かす人も出てきましたけれど。そうだよなー、中学時代からの友人、という文句を最初は普通にそうなんだー、と流してましたけれど、守砂くんの中学時代に友人とか明らかに厄ネタじゃないですかw あのひでえ中学時代に友人やっているという時点でちょっとおかしいですし。
最後にちらっと見せてくれた本心は、ミカ姉に引けを取らない守砂くんへの執心を見せながら、同時に方向性がまったく逆だという事実が、彼の妖しさを引き立たせてくれる。
生中な暗躍では、あのクレバーの塊のような守砂くんを引きずり回す姿は想像もできないのだけれど、本質的に守砂くんが中学時代のあの魔王のような在り方を失っていなければ、理解者であればあるほど、その本質を引き出す妙手を見つけることができるだろうしなあ。
本当に守砂くんは昔と何も変わっていないのか。それとも、今仲間を得て、新たな楽しい時間を得て、確かな変化を内側で芽生えさせているのか。その真価が、友人であるという彼……八十間雅の活動を通して見えてくるかもしれない。
でも、八十間って元ネタは八十神になるのかな。元ネタ的にはむしろ、大国後輩の敵役っぽいんだけどなあ。でも、守砂の天秤を自分の方に傾けるために対決する、綱引きする、取り合いする、という意味ではミカ姉じゃなくて大国後輩との方が噛み合うのかしらこれ。


聖剣士さまの魔剣ちゃん 3 ~魔剣ちゃんは常にかわいいので、今回はハイエルフに注目していきます~ ★★★★   



【聖剣士さまの魔剣ちゃん 3 ~魔剣ちゃんは常にかわいいので、今回はハイエルフに注目していきます~】 藤木わしろ/さくらねこ HJ文庫

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魔剣ちゃん大好き仲間を求め、いざ行楽都市へ!?

折れた魔剣ちゃん=セレスタの復活を目指すケイルたち。
そこで心強い味方を増やすべく、かつては魔剣の所持者であった謎多き幽霊(?)美女ハワワさんに会うため、ケイルたちは行楽都市ヴェルミアへの遠征を決める。
海に温泉にとレジャーを楽しむ傍ら、金欠から魔獣絡みの依頼を受けるケイルだが――

「それじゃリーシュはどうしたいんだい」
『とりあえずわたしの気が済むまでボコボコにして欲しいです』

コミカライズも絶好調な魔剣ファンタジーラブコメ、第3弾!
ハト! ハトがズルいよ!! ハト頭のムキムキ男出現のビジュアルイメージのあまりのキモさに爆笑してしまったんですけど! 殆ど一発ネタだけでも面白いのに、そこからヨロイ騎士化ハトにフルアーマー・ハトの畳み掛けるようなコンボはギャグのテンポが良すぎて、ちょっともうお腹痛いw
いやー、ほんとこのコメディのノリといい間といい、自分にはどストライクでめっちゃ好きですわー。
何気に根幹となっているストーリーラインは緩いどころかむしろ一直線にシリアスなんですよね、これ。そもそも魔剣という存在自体が少女たちを生贄にして生まれているようなもので、それを聖剣という殻の中に押し込めて使っていたようなものですしね。
そして、魔剣というものが世の中で忌み嫌われているのも、その戦略兵器並の強力さよりも印象操作の方が原因としては強いようですし、世に生まれてしまった魔剣とその使い手は影で処理されてしまっている、というかなり残酷な歴史が遙かな過去から続いているという。悪意と悲劇が連綿と今に至るまで続いているような、なかなか極悪な状況だったりするんですよね。
件のハワワさんとその魔剣であるセレスタが殺され、封印され、ハイエルフ(犬)が永きに渡って流離うことになったのもそれが理由ですし。
もちろん、その悪意は今も健在でリーシュとケイルにもいつ襲いかかってきてもおかしくないのが現状。なので、ふと気を抜くと途端に話はシリアス方面へと傾いていってしまう。

それを自らテコ入れして、シリアスには行かせない、と頑張る主人公たち……w
いやこの、魔剣ちゃんの顔を曇らせないために、とにかく何があろうと緩く行くぞ! という気合入りまくったコメディ路線堅持には、そこまでやられるとちょっとした感動まで芽生えてくるね!
口だけではなく、ちゃんと身体も張ってるし。

シリアスな空気を出すと装着者に骨が透けて見えるほどのビリビリ電撃を食らわせてくれる腕輪! とかいう、どうしたらそんなものを発想するんだ、という魔道具まで自分たちで作って自分たちで装着するケイルたち。引っ張り出してきたケイルだけじゃなく、渦中の当事者であるハイエルフ(犬)まで流れで一緒になって装着するの、さすがは歴戦の(犬)だよなあ、セリスw
おかげでどんなシリアスな展開になっても、ケイルとセリスがビリビリしてるもんだから、どうやってもシリアスにならない! 超無理やりコメディ路線を堅持するその気合っぷりは、もうお見事としか。
元魔剣所持者であるハワワさんと、件の折れた魔剣セレスタを見る限り、歴代の魔剣使いは全員が魔剣ちゃんダダ甘路線の変態みたいだし、魔剣ってわりと全員ナチュラルドSなのか。
魔剣サイドの登場人物たちが濃ゆすぎて、黒幕サイドがシリアス感を目一杯だしながら真面目に悪者ムーブしようとすればするほど、シリアス殺されるという悲劇。
敵側、コメディに乗るようなキャラじゃなくほんとに真面目に悪者なので、もうコメディ展開に蹂躙されてメタメタにされるの可哀想なくらいなんだけど、元々がゲス野郎なので悪党ムーブをギャグで潰されるという屈辱がざまぁ感出てて素晴らしいですもっとやれw

ともあれ、濃ゆいキャラばかりとはいえ、女の子はみんな可愛く、仲良く、ギャグでコメディではあっても永きに渡り離れ離れになっていた大切なモノ同士が再会するという感動展開はいささかも減じないのでありました。ひたすら尊い、てぇてぇ、てぇてぇ。
こういう温かい空気を守るために体張ってシリアス潰すケイルくんは、多少ヤバい人だろうとちゃんと主人公してると思いますよ。ヤバいやつだけど。


やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく 3 ★★★★   



【やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく 3】 ふか田さめたろう/ふーみ GA文庫

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小雪の思いも寄らないキスに、大いに動揺する直哉だが、そのことを小雪は全く覚えていない様子。素直になりつつある小雪の無自覚な触れ合いに、直哉は今までのような調子を出せなくなってしまう。
そんなとき、直哉と小雪、ふたつの家族で一緒に旅行に出かけることになる。
不甲斐なさを払拭するため、旅行中の特別な計画を立てる直哉。首尾よく計画通りに進み、小雪との仲もより深まっていくのだが、思いがけない出来事によって、ふたりの関係に転機が訪れる――
「好き」同士が織りなす、すれ違いゼロの甘々ラブコメディ、第3弾!

だだ甘すぎやしませんかーーっ!? いやもう、前巻から付き合っていないにも関わらずイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャ、ひたすらイチャイチャしかしてなかったような気がするのですけれど、以前にも増してイチャイチャイチャイチャイチャイチャ。
これでまだ付き合っていないんですよ? 正式に付き合ってないってだけで実質付き合っている以外ないのですけれど。事実婚ならぬ事実恋人なのですけど。
直哉の方からはもう告白しているので、あとは小雪のほうが返事をくれればOKという状態にも関わらず、好きが一杯一杯になりすぎててこれ以上好きになると死んでしまいかねないので告白を保留しているというような状態、ってどんな状態だよ!
もうあとはもっと好きになるしかないような状態にも関わらず、ここで溜めをつくってしまうと余計に大変なことになりそうなのですが、辛うじて耐性というか慣れが出てくるという勘定なのだろうか。
しまいには、直哉の方にも事故でのキスをきっかけに小雪と同じ症状が発症してしまい、小雪が好きすぎてまともに顔も見れなくなってしまう、というオーバーフロー状態に。あれだけイケイケドンドンでぐいぐい行ってたくせにこの男案外キャパ小せえなあ!!
おまけに友人たちからアドバイスを受けた小雪が、逆にぐいぐいと意識的にセクシーアピールしだした上に無意識でもぐいぐい攻め立てはじめて、いつもと逆に直哉のほうがぐいぐい来られてあたふたするという逆転状態に。
動転しまくる直哉の様子は、普段の隙なく余裕で逃げ道潰して詰めてくる姿と裏腹で、これはこれで可愛げあるよねえ、という有様に。小雪さんの変な性癖が目覚めなければいいのですけれど、これ。
ともあれグイグイ行くついでに、今度はこっちから告白し返してやるんだから! と、なぜか告白する相手当人に宣言布告する小雪さん。それもうその布告自体が告白になってやしませんかね!? しかし、二人の間では「告白する」という行為はどうやら必定のもののようで。気持ち自体はお互いに好きというのはもう確かめあっているようなものなので、あとは儀式として告白することでやっと次のステップに進むのだ、という共通認識でいるということなのだろう。
まだ付き合っていないにも関わらず、ここまでだだ甘状態な二人が本当に付き合いだしてしまうと、これタガが外れてしまうんじゃないか、となんだか心配になってくるんだけれど大丈夫なんだろうか、これ。これ以上イチャイチャされてしまうと日常生活に支障が出てこないだろうか、周りにハザード的な悪影響が出やしないだろうか。
まあ今から心配しても仕方ないのだけれど。

ついでに、海外に出てた直哉の両親が返ってきて、これで完全に小雪と直哉の両方の両親のお墨付きの関係になってしまいました。しかしこの直哉パパ、完全に息子の上位互換なのか……いやこれもう化け物じゃね!?
現代に蘇ったシャーロック・ホームズかなにかか。推理する必要もなく、見れば全てがわかってしまう、というこれもう読心というレベルじゃないですよね。心を読む以上にその人の周りで起こっている状況から展開からすべて見えちゃってますよね。もはや千里眼か何かなんじゃないだろうか。
そして、その眼力を惜しみなくつかって、目につく人のトラブルを片っ端から解決しまくるという世界を股にかける屈指のトラブルメーカーっぷりたるや……。
なんか、小雪のパパが偶然直哉パパと巡り合った挙げ句にワトソンくんのポディションに収まっちゃってるんですが。ひっきりなしにトラブルや事件、大騒動に巻き込まれて今回絶叫絶叫を繰り返している小雪パパ、ご愁傷さまである。でもなんか良いコンビになっちゃってるんですよね。
まさかここに来て、直哉パパ、生涯の相棒を見つけてしまったのではないだろうか。
直哉パパと息子の会話が、完全に過程すっ飛ばして顔を合わせた瞬間結論だけで会話してるの、普通に怖いわw 動じないママが大物すぎるw
そしてこんな直哉にベタぼれで、心も行動も何もかも読まれきっているのに好き好き大好きで染め上がってる小雪さん、ある意味踏み外してしまっているのかもしれない、これw

エピローグで、次回小雪の婚約者が登場するという情報が出てきたのですけれど、速攻登場人物全員が婚約者くんが直哉に速攻ぼろくそに処刑される前提でえらいこっちゃー! と騒いでるの、草生えますわw 
それはそれでほんと、楽しそうなのですけど。


 
8月3日

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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(マガジンエッジKC)
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(コロナ・コミックス)
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(コロナ・コミックス)
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(コロナ・コミックス)
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7月14日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GAノベルス)
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(GAノベルス)
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(ハヤカワ文庫JA)
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(ハヤカワ文庫JA)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(モーニングKC) Amazon Kindle B☆W

7月13日

(リュウコミックス)
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7月12日

(アクションコミックス)
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(アクションコミックス)
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(アクションコミックス)
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(アクションコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグ コミックス)
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(ビッグ コミックス)
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(YKコミックス)
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(YKコミックス)
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(YKコミックス)
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(ガンガンコミックスONLINE)
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(アース・スターコミックス)
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(アース・スターコミックス)
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(アース・スターコミックス)
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(メテオCOMICS)
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(メテオCOMICS)
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(メテオCOMICS)
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(メテオCOMICS)
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7月10日

(TOブックス)
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(TOブックス)
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(モーニングスターブックス)
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7月9日

(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(講談社)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(電撃コミックスNEXT)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(KCデラックス)
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(星海社COMICS)
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(ブレイドコミックス)
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7月8日

(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC
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(宝島社)
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7月7日

(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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(幻冬舎文庫)
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(アフタヌーンKC)
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(ガンガンコミックスUP!)
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