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わたし、二番目の彼女でいいから。4 ★★★★★   



【わたし、二番目の彼女でいいから。4】 西 条陽/Re岳 電撃文庫

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危険で、甘美で、不健全な三角関係恋物語。高校生編・完結。

共有のルールにおけるペナルティ。それは破った方が俺と別れることだった。
だけど……。

「今すぐ、桐島君と別れてよ」
「……ごめん、できない」

これ以上はいけないと分かっていても、過熱していく感情は誰にも止められなくて。
傷つくと、傷つけると分かっていても、取れない選択こそが愛で。
もう引き返せない、泥沼の三角関係の行方は――。

100%危険で、甘美で、不健全な三角関係恋物語。高校生編・完結。

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継母の連れ子が元カノだった 9.プロポーズじゃ物足りない ★★★★★   



【継母の連れ子が元カノだった 9.プロポーズじゃ物足りない】  紙城 境介/ たかやKi 角川スニーカー文庫

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季節はクリスマス直前――いさなのイラストの才能に魅せられた水斗は、彼女のプロデュースに熱中していた。
気分転換に訪れたゲームクリエイターの講演会で登壇していたのは……結女の実父・慶光院で!?
「きみは、自分の幸せの形がどういうものか、すでに気付いてしまっているのではないかな?」
膨らむ結女への想いを自覚しながらも、二人が再び恋人同士になれば、それは家族の問題で。
そんな恋心と現実に揺れる水斗に、
「私と、一緒にいてくれないと……やだ」
結女は好意を隠さずぐいぐい攻めていき――!?
再び両想いとなった結女との未来か、いさなの才能を世に示す夢か。
今“きょうだい会議”を開くとき!

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ロクでなし魔術講師と禁忌教典 21 ★★★★★   



【ロクでなし魔術講師と禁忌教典 21】  羊太郎/三嶋 くろね 富士見ファンタジア文庫

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絶体絶命のフェジテ決戦。そして、訪れる衝撃の幕切れ……!?

長きに渡って繰り広げられた死闘が、ここに決着を迎える。
「今からボクが、キミの”余計”を削ぎ落としてあげる」
全てを捨てた《剣の姫》と、捨てなかったリィエルの結末。
「貴方、まさか…殺したの……? アレは貴方の… !?」
パウエルの悪魔の所業に、アルベルトの頬をつたう一閃の跡。
「できるかどうかじゃない! やるのよ! 私はイグナイトだ!」
最強の魔術師・エレノアの闇を振り払う、最高の炎の輝き。
そして、彼らは帰還する。勝利を担う最後の鍵、希望を載せた一陣の風、すべての絶望を撃ち抜く光とともに。
フェジテを巡る戦いの舞台は衝撃のクライマックスへ――!

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わたし、二番目の彼女でいいから。3 ★★★★★  



【わたし、二番目の彼女でいいから。3】 西 条陽/Re岳 電撃文庫

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桐島くんを二人で共有しよ? 加速する歪な三角関係が堕ちる先は……。

「ねえ、私たちで桐島くんを共有するの、ダメかな……?」

俺は今、橘さんと付き合いながら、早坂さんとも付き合っている。
共有のルール。それは互いに抜け駆けしないこと。「一番目」になれない方が傷つくなら、それは優しい関係とすら言えるだろう。
たとえそれが、歪で、甘美な延命措置に過ぎないとしても。

だけど……。

二番目でよかったはずなのに。
それでも一番目になりたくて。
互いにエスカレートする好意と行為。
その果てに、俺らの関係はやがて軋みを上げ始め……。
もがいて、すがりついて、大事だった何かを摩耗させながら。
どこまでも深みに堕ちていく。


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転生ごときで逃げられるとでも、兄さん? 3 ★★★★★   



【転生ごときで逃げられるとでも、兄さん? 3】 紙城 境介/木鈴カケル MF文庫J

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――彼女の愛は、神の筋書きさえ殺す。

最強の精霊術師、トゥーラ・クリーズの引退。それはラエス王国中に衝撃をもたらした。
王国の実権を握るべく貴族たちが暗躍する中、ジャックは王太子・エルヴィスと共に闇のブローカー『ビフロンス』との繋がりが疑われる女侯爵ラヴィニア・フィッツヘルベルトの調査を試みる。
しかし彼女の居館『臥人館』では想像を絶する光景が待ち受けており──!
王都に蠢く闇。『九段』の段位を持つ精霊術士たちの胎動。学院を舞台にしたサバイバル戦。
それでも、転生してから培ってきた力を手に勝ち抜いてやる。大切な存在と共に生きるために。
最強が集い、最恐が目覚める、「覚醒点」の第3巻。
――彼女の愛は、神の筋書きさえ殺す。
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ロード・エルメロイII世の冒険 3.彷徨海の魔人(下) ★★★★★   



【ロード・エルメロイII世の冒険 3.彷徨海の魔人(下)】  三田誠/坂本 みねぢ TYPE-MOON BOOKS

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「変わりたい、っていう顔だ。面はそういう人間のためにある」

 両儀幹也から、夜劫アキラという少女の救助を依頼されたエルメロイII世。
 しかし、事件は彼らを弄ぶように展開する。密やかな罠を仕掛ける日本の魔術組織・夜劫。夜劫アキラを攫い、神を喰らったエルゴを親友と呼ぶ、彷徨海の弟子・白若瓏(バイ・ルォロン)。
 彼らの対立の裏にあるものは、いかなる陰謀か。
 そして、極東の地を舞台に、エルメロイII世が解き明かす神の名は――?

 過去最大級のボリュームで、神秘と謎が暴かれる『ロード・エルメロイII世の冒険』第三巻!

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恋は双子で割り切れない 3 ★★★★★   



【恋は双子で割り切れない 3】 高村 資本/あるみっく 電撃文庫

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私だけを見て――。こじれた恋は、もうほどけない。

三人の関係が再びうまい具合に収まればと、大人な私は二人のほつれをほどいてあげた。自分の本音に蓋をして――そのつもりだった。だけど、二人はそんな私の想いを汲んではくれなくて、胸のうちを曝け出してなるものかと思っていたけれど、無理だった。耐え切れなかった。
もう我慢なんてしない。私は私のやり方で純君の時間を拘束する。手始めに、部活を作る。うん、悪くない。だから、これからは今までみたいに優しくしてあげないからね、お姉ちゃん。
なんて考えていたら、琉実がバスケ部の男友達に告白されたとかなんとかで、また純君の気持ちをかき乱すような厄介事を持ち込んできて……だるっ。
私の邪魔したら、許さないからね。


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わたし、二番目の彼女でいいから。2 ★★★★★  



【わたし、二番目の彼女でいいから。2】  西 条陽/Re岳 電撃文庫

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「二番目」が二人いても、いいでしょ? 危うい関係は崩壊し、そして――。

「私、二番目の彼女でいいから」

彼女のその言葉に甘えて、俺はみんなに隠れていまも、悪いことを重ねている。
早坂さんと夜の教室で二人、いけないことをして。橘さんと真夜中、こっそり見知らぬ駅でキスを交わす。そんな早坂さんと俺と橘さんの甘い泥沼は、けれど。

「今度、私の全部をあげるね。だから、ちゃんと受け止めてね。逃げないでね」

大胆になっていく好意の果てで、もう、落としどころを見つけられない。
一番目じゃなくて、いいはずなのに。
二番目のままでも、いいはずなのに。
互いに言い訳をしながら、競うように壊れていく俺たちの関係。100%危険で、甘美で、嫉妬にまみれた恋の挙句の果てに、彼女が口にする言葉は――。


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魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 14 ★★★★★   



【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 14】  手島史詞/COMTA HJ文庫

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愛で力1000%で贈る至高のラブストーリー!

遂にシアカーンと決着をつけたザガン一派は、祝勝&ザガンの誕生日を祝うためにパーティを開く。
お祝いムード一色で次第に高まる雰囲気の中、魔女ゴメリは突如言い放った。

「――ここに愛で力定例会を開始する! 」

定例会で語られるストーリーはどれも高すぎる「愛で力」を秘めていて――!?
シリーズ史上最高濃度の甘々成分でお届けする、至高のハートフルファンタジーラブコメ第14巻!


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ここでは猫の言葉で話せ ★★★★★   



【ここでは猫の言葉で話せ】  昏式 龍也/塩かずのこ ガガガ文庫

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命懸けの猫ミッションをクリアせよ!

日本のひなびた地方都市の女子高校。
寒い国からやってきた小さな転校生アーニャことアンナ・グラツカヤには、誰も知らない二つの秘密があった。
一つは、ロシアの犯罪組織に属した殺人マシーンであったこと。
もう一つは、猫アレルギーの猫嫌いなのに、その猫をモフらなければ自分が死ぬ……という、他人から見れば謎だが本人だけは必死な使命を帯びていること。

猫好きの同級生・小花や謎多き年上の女・明良たちに囲まれた、平和で少し奇妙な毎日の中、ひたすら猫を追いかけるアーニャのインポッシブルなミッションは始まった!
猫が導く少女達の出会いと喧騒――コミカルでデンジャラスな新感覚ガールミーツガール開幕!

ううっ……か、感動した。感動したぞ。なんてこった、これは傑作だ。傑作だ。

猫とはすなわち人生である。

いや、別に猫礼賛の作品じゃないんだ、これは。猫を崇め奉る話ではない。ここに出てくる猫たちは、ただ猫に過ぎない。猫たちはただあるがままに猫であるだけで、それ以上でもそれ以下でもない。
だからこそ、素晴らしい。これ以上無い猫小説だ。

これ、コメディじゃないんですよね。むしろ、ハードボイルドだ。日の当たる世界に迷い出てきた殺人マシーンの物語だ。
彼女、アーニャが生きてきた、今も囚われているその世界は、仄暗く冷たい心に澱が積もる夜の世界だ。ただ機械のように与えられた任務をこなし、淡々と人を殺してきた殺し屋、それがアンナ・グラツカヤである。
それが何の因果か、日の当たる世界に迷い出てきた。いや、導き送り出されてきた。親友である、姉のような人の願いによって、彼女は機械から人になるべく日本という平和な国にたった一人、ただの女学生として生きることになった。アーニャ自身、そこに何の意義も見いだせないまま。
殺し屋の物語、その世界観というのはニトロプラスの傑作ゲーム【PHANTOM OF INFERNO】の頃から、哀愁と惜別という切々とした空気に彩られたものだと思ってる。絶望するほどの感情もなく、希望を抱くほどの未来もなく、淡々と寒さに身を震わせて、僅かな温もりを無意識に求めて人恋しさに身を寄せ合う。その僅かな温もりもすぐに遠ざかり、消え失せて、そうして胸の奥から産まれてくるのは虚無の空白。
そんな無常に囚われながら、硝煙の中を刹那的に駆け抜ける殺し屋たちの生き様に、どうしようもなく惹かれてしまう。
そんな世界観を、このアーニャもまた生きてるんですよね。いや、彼女はまだ生きてすらいなかった。ただ、囚われたまま義務的に存在しているだけだった。
それでも、彼女はユキという友と組織を抜けて行くことを選び、彼女が死んだあともその願いに従って、この日本まで逃げてきた。そこにはもう、萌芽はあったのだろう。

アーニャにとって、猫とは単なる生存を伸ばすための手段に過ぎなかった。彼女に投与されている毒薬は、定期的に解毒薬を摂取しないと宿主を殺す、裏切り防止の抹殺薬だ。ユキは研究の末に、どの毒を無効化する効果が、猫アレルギー物質にあることを発見し、彼女らが組織から逃げ出す大きな要因の一つとなった。
つまり、猫にむしゃぶりついてアレルギー症状になると、発症した毒薬が無毒化されるという仕組みである。
だから、別にアーニャは猫が好きではない。その気ままで何も束縛されない在り方を不愉快にすら感じている。それでも猫に触れなければならない彼女は、必然的に猫という生物の生態に近づくことになる。猫に触れ、猫を知り、猫を感じることになる。
「猫がきっと、君の失ったものを取り戻してくれるだろう」

マインドコントロールによって不要な感情を封印され、戦闘機械として完成されたアーニャにとって、平和な日本での学生生活は戸惑いの連続だ。猫を追いかけるアーニャを、猫好きと勘違いした学友達はすぐにアーニャと親しくなり、特に家で猫カフェを営む小花はアーニャに猫成分を提供してくれる欠かせない友人となり、アーニャに猫の知識を、猫との付き合い方を、猫と共に寄り添う生き方を教えてくれることになる。
他にも、猫を通じて、アーニャの他者との交流は増えてくる。また、ユキの協力者としてアーニャの逃亡を手助けしてくれた子が直接尋ねてきて、同じ部屋に暮らすようになる。いつしか、我が物顔で部屋に入り込むようになった野良猫も、一匹同居するようになった。二人と一匹の共同生活である。
アーニャにとって、猫との繋がりが、人との繋がりとなっていく。
疎んでいた猫の自由さが、彼女の心を解きほぐしていく。猫の姿に、いつしか安らぎを抱くようになってくる。なついてくる猫に動揺し、そっけない猫の一挙手一投足に身体をこわばらせ、それは解毒のためという必要性ゆえではない、猫と共にある日々がアーニャにとって当たり前になっていく。
それは同時に、誰かと一緒に過ごす日々、それを温かく心地よいと感じる日々のはじまりだった。

重ねていうが、これは猫を過剰に持て囃す物語ではない。猫たちは、それぞれ思うがままに振る舞っているだけだ。生きるも死ぬも、猫たちは何にも縛られず在るが儘にただ猫として在るのみ。
そこに自由だの不遜さだの、何かを見出し当てはめ感じ入るのはいつだって人間の勝手である。
猫に癒やされるのも、猫に救われるのも、猫を愛するのも愛されるのも、人の勝手な思い込みだ。勝手に猫に投影しているだけだ。
猫は、ただただ猫である。
でもその猫こそが、アーニャに他者と繋がるカスガイだった。猫を通じて、猫を介して、アーニャは人を感じることが出来た。人の感情に触れることが出来た。人の愛情に自分を重ねることが出来たのだ。
小花の友情も、明良の好意も、コーシカの親愛も、そしてユキの切なる想いも。
アーニャは猫を通して、実感することになる。それが、眠っていたアーニャの根源を目覚めさせることになる。
アーニャがあの日流せなかった涙を流せたとき、猫との別れが彼女を再び人間として生まれ変わらせたのである。
哀愁も惜別も、哀切も諦観も、猫と人の温もりが洗い流してくれたのだ。そうして、これは殺し屋の物語ではなく、猫を愛する人々の物語になっていく。
その仄暗い寒色の空気感が柔らかな暖色の世界へと移り変わっていくその行程が、アーニャの感情が目覚めていく様子が、猫とともにある姿が、美しいほどに自然で見惚れるほどに綺麗だったのでした。
ああ、猫こそが人生なる哉、人生哉。
【ここでは猫の言葉で話せ】、見事な一作でありました。




ちなみに、私は犬派である。悪しからず。

転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件 3 ★★★★★   



【転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件 3】  雲雀湯/シソ 角川スニーカー文庫

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待望の夏休みが到来し、隼人と春希はバイトに遊びに忙しい日々がスタートした。月野瀬の幼馴染・沙紀が隼人に恋心を抱いていると気づいた春希は、胸がざわざわとして落ち着かなくなって……。

ああ、いいなあ! もう、素晴らしくいいなあ! 今回、ほんとに隼人がめちゃくちゃ春希の事大切にしてるんですよ。もちろん、今までも再会した幼馴染に対して隼人はこれ以上なく大切に扱い、宝物のように接してはいたんです。彼女のことを本当に大事にしていた。
でもそこには大切にしていたからこそ踏み込まないようにしていた部分があったんですよね。春希の気持ちを慮って、彼女のセンシティブな部分には触れないようにしていた。
それはさながら、箱の中にしまい込んだ宝物、とでも言うのでしょうか。
でも、再会してからこっち、春希も隼人も相手に新しい顔を見つけるようになった。成長して、高校生になって、男と女になって、どうしても過去と同じでは居られない部分が目につくようになった。
過去のままでは居られない。同時に、過去と同じままで居られる部分もある。そうした過去と現在、そして周囲との関係も含めて、隼人と春希の幼馴染関係は次の段階へと進みはじめていたわけです。
それは、触れても壊れない関係になったと言ってもいい。隼人は宝箱の中から、大事な大事な宝物を取り出して、その手の内に包み込んだのでした。
それは「掌中の珠」と呼ぶのが相応しいでしょう。
いやもう、隼人くん大事にしすぎだろう!? と、思わず唸ってしまうくらい、春希のことメチャクチャ大切にしてるんですよね。もうギュッと包み込んで一瞬たりとも離さないようにしているかのように。春希が、壊れてしまわないように。見失ってしまわないように。
もうその様子が、尊い。エモい。
こんなに大切に扱われるヒロインも中々いないんじゃないだろうか、というくらい。お姫様のようにじゃない、本当に宝物のように、大切に大切に。
春希は、そんな隼人にどれだけ安心を、安らぎを与えられているのだろう。今、とても大きな不安を抱えている彼女である。未だ癒えない傷に苛まれている春希である。そんな怯えを、凍えるような不安を抱え込んでいる春希にとって、隼人のそれはどれほど温かいものなんだろう。
彼が許してくれるのは、春希の全てなんですよね。過去も現在も、その生まれも何もかもを受け入れてくれている。男だろうと女だろうと関係なく、春希であろうとハルキであろうと区別なく、過去も現在もそしてこれからの未来ですらも彼は受け入れてくれようとしてくれている。それどころか、宝物みたいに大切にしてくれている、傷つけまいと壊すまいと包み込んでくれている。
この彼女の安堵感を、感じている温もりを、その掛け替えのなさを、文章の行間からどれほど感じ取れるだろうか。それこそ、目一杯伝わってくる。春希の、溢れ出す想いがこれ以上無く伝わってくる!
彼女がそこに、恋を重ねたい、愛を注ぎたいと思うことは当然で自然のことだろう。欲張りなんかじゃないよ、当たり前の感情だ。とても尊い恋のはじまりだ。
隼人の方も、幼馴染を大切に思う感情の中に、異性を意識してしまうことは当然のことで、なんら否定されるものではない。たとえ恋がなくても、お互いのことは唯一無二の大切な宝物で、でもそこにさらに恋や愛が加わり育まれていくならばそれはとても素敵なことなのでしょう。
とても素敵な、恋物語なのです。
甘やかという以上に、甘酸っぱいという以上に、眠気を誘うほどの温かで安らぎを感じさせてくれる幼馴染同士の恋。
一巻一巻、進むごとに恋模様が昇華していくのが本当に素晴らしい。心情描写から伝わってくる色彩が、感情の色鮮やかさが、豊潤さが、どんどん輝きを増しているかのようです。
これは本当に素晴らしい作品になりそう。

不穏と言えば、春希に「演技」の才能が誰の予想する以上に開花しはじめていることでしょう。母絡みの因縁から芸能界に嫌悪以上に生理的な拒否感を抱えている春希にとって、それは不安要素でしかないのだけれど、母との因縁に決着をつけるためには逃れられない障害なのか。

また、良いエッセンスとなっているのが隼人の妹の姫子なんですよね。彼女独りでどれだけのシーンで登場人物の感情を救ってくれたか。本人は自然体で振る舞ってるだけなのに、それが癒やしとなってるんですよね。その影響を一番受けたのが、人との距離感を見失って苦しんでいる、救いを求めていた一輝だった、というのが面白いところ。
そして、何も考えていない天然であるからこそ空気を変えてくれる存在だ、と見せていた姫子が不意に見せた失恋を乗り越えた大人びた顔。
姫子の存在って、単なるサブキャラじゃなくて作品の雰囲気そのものを一変させ、また下支えするほどの存在感を見せてると思うんですよね。色んな局面で主役の二人に匹敵するほどの重要なキャラとなっているような気がします。
そして、春希と隼人にとって先達というか見習うべき相手というか、参考書代わりになっている友人でありもうひとつの幼馴染カップル、それも正式にちゃんと彼氏彼女として付き合いだしている伊織と恵麻の二人も今回は非常に重要な役回りだったと同時に、彼ら自身とても初々しい幼馴染カップルでこっちこそ甘酸っぺー!の鑑でしたよ。

一輝の元カノにして芸能人でもある愛梨、彼女もまた一筋縄ではいかないキャラクターで単純なレッテルを貼ることの出来ない掘り下げ甲斐のありそうな人物の登場は、春希、隼人、一輝のこれからに深く関わってきそうで、今からハラハラしてしまっています。
でもまずはその前に、春希にとっての久々の田舎帰り。自分の居場所になれなかった故郷への帰郷、そして姫子を通じて友人となり、そして恋敵である少女沙紀との対面。それは春希にとって自分の中に芽生えた恋という感情に向き合う覚悟でもあり……
次巻もまた盛り沢山の内容になりそうで、うん絶対面白いなこれ。



わたし、二番目の彼女でいいから。 ★★★★★   



【わたし、二番目の彼女でいいから。】  西 条陽/Re岳 電撃文庫

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俺たちは「二番目」同士で付き合っている――危険な三角関係の行方は?

「私も桐島くんのこと、二番目に好き」

俺と早坂さんは互いに一番好きな人がいるのに、二番目同士で付き合っている。
それでも、確かに俺と早坂さんは恋人だ。一緒に帰って、こっそり逢って、人には言えないことをする。
だけど二番目はやっぱり二番目だから、もし一番好きな人と両想いになれたときは、この関係は解消する。そんな約束をしていた。
そのはずだったのに――

「ごめんね。私、バカだから、どんどん好きになっちゃうんだ」

お互いに一番好きな人に近づけたのに、それでも俺たちはどんどん深みにはまって、歯止めがきかなくて、どうしても、お互いを手放せなくなって……。
もう取り返しがつかない、100%危険で、不純で、不健全な、こじれた恋の結末は。

これは凄いっ、凄い作品が来たぞッ!
タイトルやあらすじから、爽やかな青春モノとは裏腹のドロドロの男女関係をねっとりと描いてくれそうなラブストーリーとして期待を募らせていたのですが……。

期待を遥かに上回る不純で倒錯的で不健全な恋物語だったっ! これは本気で凄いし、それ以上にやべえよ、やべえよ、不健全だよ、倒錯してるよ!
でも、恋物語なんです。ドロドロの泥沼のような話でありながら、予想外に青春の物語でした。恋に盲目的なほど全力な若者たちの物語でした。
でも、性癖歪んじゃってるよこれーー!!

二番目だけれど恋は恋。早坂も桐島も、二番目の恋を決して疎かにはしていない。たとえ一番ではなくても、その好きは本気の好きだから。みんなには秘密にしているとは言え、二人は彼氏彼女の関係だから。
この時点で倒錯しまくっているのだけれど、主人公の桐島くんがまた性癖歪んでるんですよ、こいつやばいよ。彼が密かに思いを寄せている橘ひかりにはもう既に彼氏がいるという。その彼氏と思しき男の人と一緒の親密そうな写真を、橘は毎日のようにSNSにあげているのだけれど、桐島はマメにそれをチェックしているのだ。好きな人が自分以外の男と仲良くしている、という胸が掻き毟られそうな写真を食い入るように見入って嫉妬に血を吐きそうになって悶えながら……この男、その狂おしいまでの嫉妬心に恍惚となっているフシがあるんですよね。
……それ、寝取られ属性だよ!!
もう趣味習慣になっていると思しき桐島のその行為を、もちろん早坂あかねは知っていて、同時に嫉妬もしている。二番目の好きな彼が自分以外の女に夢中になっている姿に、いずれもし彼がうまく言って一番目に好きな彼女と上手く行ったとしたら、喜んで送り出してあげると決めておきながら、心定めておきながら、早坂あかねは嫉妬に狂うのだ。脳髄を、焼け付くような妬心に湯だたせるのだ。
そしていずれ、橘ひかりもまた、桐島のそんな性癖を、自分のSNSを偏執的にチェックして嫉妬心を募らせている実情を知ってしまうのだが、この娘は……橘ひかりはドン引きするどころか、むしろ前のめりにその事実を利用して、彼の嫉妬心をかき乱すことになる。
彼女の過去、そして現状が徐々に明らかになっていくことによって、この娘もまた倒錯と執着に囚われまくって歪んでいる娘だとわかってくる。

早坂あかねも、橘ひかりもイラストデザインからすると小悪魔的というか自己主張の強そうな娘に見えるのですが、早坂の方は大人しくて引っ込み思案でクラスのマスコットみたいな可愛い系。橘ひかりの方は無表情で感情的にならない人形のようなクールな美少女。と、決して押しの強いタイプの少女ではないんですよね。
それは、基本的に桐島と二人きりになっても変わるわけじゃない。二人共、猫をかぶっているわけじゃなくて、それが決して器用ではない彼女たちが表で出せる顔だから。
でも、桐島相手には心許せる相手だからこそ、隙を見せてくれて緊張を解した顔を見せてくれる。でも、それ以上に恋という感情が彼女たちを急き立てるのだ。冷静さを、理性を、取り繕うべき外面を、恥ずかしさを、何もかもが引き剥がされていく。
でももし、その恋がお互いを見つめるばかりの落ち着いたものだったら、彼女たちはもっと冷静に穏やかに自分の中に芽生えてくる恋心を制御できただろう。
でも、桐島を含めて早坂あかねも橘ひかりも、その根源に在るのは好きな人が絶対に自分のものにならない、という焦燥であり、狂おしいまでの嫉妬心だ。
それでいて、その恋は届かない所にあるわけじゃない。恋する人は、触れられる近さに居てくれる。その身体を捕まえていられる、抱きしめていられる場所にいてくれる。なんなら、心だって寄せてくれている。一番目だろうと二番目だろうと恋は恋だ、好きは本当の好きなのだ。でも、独占だけはできない。その人の心は、自分だけのものじゃない。いつだって、自分と違うあの人に向けられている。それが正気を発狂させる。なまじ、触れられるだけに抱きしめられるだけに、夢中になって求めてしまう。
そうなると、容易に理性は剥がれていく。夏の外気にさらされたアイスクリームのように、とろとろと溶けていくのだ。そうなれば、現れるのは剥き出しの欲望だ。独占欲だ。この人を自分のものにしてしまいという、原初の欲望だ。
この作品が倒錯しているのは、そうした溶け切った理性の果ての感情が誰か一人の一方的なものではなく、少なくとも桐島くんと早坂あかね、そして橘ひかりの三人の間で完全に共有されてしまっているところなんですよね。そして何より、その狂おしい感情を抱え込んでいる事を三人共が認めあっている、知っている、わかっている、という所なんですよ!
そして、お互いに彼氏彼女という関係を見せつけることで、一番目に好かれているという事を見せつけることで、決して結ばれないという現実を見せつけることで、見せつけ合うことで恋敵を、恋する人を嫉妬で悶え苦しませて、悦に浸るのである。
もう、倒錯してる以外のなにものでもないよ、これ。
そしてその倒錯は、四人目の当事者。早坂あかねが一番に好きな人、橘ひかりの付き合っている人、そして桐島くんが最も信頼し信頼されている人物が、同一人物であることがわかった時に、そしてその人と橘ひかりとの本当の関係が明らかになった時に、圧倒的なまでに加速していくことになる。

改めて見ても、もうむちゃくちゃエロいんですよね、この話。あらゆる場面にエロスが充満している。でも、決して直接的なエロがあるわけじゃないんですよ。誰も裸になんてならないし、肉体的接触もせいぜいキスが一番上。
でも、死ぬほどエロい。好きという気持ちが募りすぎて、理性がポロポロと剥離していく早坂あかりのエロスが、果たしてどれほど突き抜けているか、これは見てもらわないとわからないだろう。理性が吹き飛んでしまった時の男女が、どれほど獣のようになってしまうのか。頭から冷静に考える機能がなくなってしまうのだ。目の前に好きな人が居て、その人に触れるという事実だけが体中を支配する。その甘くてとろけていくような快感が、天上にも登るような心地が、ここには余すこと無く描かれている。
そして、橘ひかりとの逢瀬はそれにも勝る官能だ。部室の奥に眠っていた恋愛ノートと呼ばれるかつてのOBが書いたという、女の子と仲良くなれるという頭の悪いゲームを、橘ひかりに請われて二人きりでプレイしはじめたときの、あの頭が茹だっていくような時間と空間。ねっとりと、理性が蛇のようなものに絡め取られ動けなくなっていく空気感。
甘く囁かれる声が吐息が、全身を痺れさせていく。触れる指先が、唇が、舌先が、理性をドロドロに溶かしていく。体温が際限なくあがっていくのが、目の前にモヤがかかって目の前にいる人のことしか見えなくなっていく様子が、目に浮かぶようだ。ただ、目の前の人を求める原始の感情。
これを、官能と言わずしてなんというのだろう。
ってかこれもう、官能小説だろう!?

そして、それだけ理性を蕩かせながら、その相手を彼も彼女も独占できないのだ。自分だけのものに出来ないのだ。三人とも、人並み以上に独占欲が高く深いにも関わらず、心も体も手に入れられるのにそれを別の人に分け与えなければならないのだ。その狂いそうな感情を、この子たちは甘く苦い飴玉のように舐り尽くしている。苦しみながら、悦んでいる。
なんて、不健全!! 不純! 倒錯的!! 

ラストシーンの橘ひかりのあの台詞は、その極地でもあり、同時にタイトルに多重層の意味を持たせる構成の凄まじい妙を見せつけるすごすぎる台詞でもあって、あれを見せつけられたときには思わず放心してしまった。全身が痺れて震えるほどに、キてしまった。完全にヤられてしまったと言ってイイ。
うわああああ! もう、うわああああ! ですよ。叫ぶしかねえ!

なんかもう脳内物質がぶっ飛んだ。ヤバいですよ、これ。やばいやばい。すげえラブストーリーが来た!! 来たぞーー!!

筺底のエルピス 7.継続の繋ぎ手 ★★★★★   



【筺底のエルピス 7.継続の繋ぎ手】  オキシ タケヒコ/ toi8 ガガガ文庫

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終わりを拒み、未来を繋げ。

殺戮因果連鎖憑依体――
古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきた、殺意の媒介者を狩る三つのゲート組織が、突如陥落した。月に鎮座する異星知性体によって、三体の地上端末が一斉に掌握されてしまったのだ。彼らのネットワーク攻撃によって、ローマの祓魔師たちと全世界の不死者が瞬時に制圧されてしまうという危機の中、同様に沈黙した《門部》本部の地下聖域では、阿黍宗佑が第二心臓を埋め込まれ、無敵の刺客として復活しようとしていた。

異星知性体の目的は、悠久の時と歴史を使い捨ててまでして求め続けた宝――白鬼の奪取。
超人と化した阿黍が復活し、朋之浦結の確保に動き出せば、すべてが終わる。白鬼である彼女が星の彼方に連れ去られてしまうことになれば、三つのワームホールゲートも地上から撤去され、残された人類は鬼への対抗手段を失い、滅亡が確定するのだ。

打開のために残されたタイムリミットは、わずか数十分。すべてを託された百刈圭と、彼が率いる狩人たちは、断ち切られた希望の糸を繋ぎ直すべく、伏魔殿と化した《門部》本部の攻略戦に、いかに挑むのか――。
人類の存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩。終焉を拒絶する、反撃の第7弾。


この娘にしてこの親あり。朋之浦結という娘は、その立場上悲劇のヒロインでありあらゆる意味で守護される存在であり、薄幸のお姫様的な立ち位置にあるはずの娘なんですよね、本来なら。
でもこの娘と来たら、いざとなればポイッと生命を捨てるだけの覚悟完了キメちゃっているにも関わらず、自分の境遇に対して悲壮感を持たず、むしろどんとこいとばかりに腕組んで仁王立ちしているような娘であり、それどころか自分が関わることになった超宇宙的な現象や存在に対して好奇心を剥き出しにして目をキラキラさせている始末。現実逃避しているわけじゃないのだけれど、現実と夢を一緒に見られる娘なんですね。或いは現状現在現実を取り敢えず棚に上げておいて、自分の好きなことに夢中になれる変人のたぐいというべきか。
こんな娘を生み出してしまった両親ってのはどんな人なんだろう、という疑問に答えるのがプロローグにおける朋之浦夫妻のアメリカ珍道中である。半ば巻き込まれたとはいえ、諸手を挙げてわーいとばかりに目をキラキラさせてやべえ案件に突っ込んでいくこの夫妻、確かに結の両親以外のなにものでもない。
でもこのバイタリティの塊みたいな所といい、人並みにビビるしやべえ事に首を突っ込んだ事に怯えているのだけれど、いざ好奇心を刺激されたら大概のことはスルーして夢中になっちゃう所とか、なんかもう楽しそうでねえ。娘置き去りにして好き勝手やってるだけあるなあ、と思うんだけど、ここまで人生と仕事を心の底から楽しんでたら、もうなんも言えないですわ。
それは人の業かもしれないけれど、人間という種の幸でもあるのでしょう。人ってこういうハッピーな生き物なんだよね、と改めて教わった気がします。こうしてハッピーでいられるってのは、絶望に負けない強さなんだよなあ。なんとかなる、なんて楽観持ちようがないはずなんだけど、この夫妻の明るさというか生命力の強さは、ネガティブを吹き飛ばすものがありました。
この二人が元気なら、なんか今回は負ける気がしなかった。

というわけで、前回提示された現状は控えめに言って無理ゲーであり、詰みであったはずなんですよね。
全面核戦争が起こる核ミサイルの発射スイッチが押されてしまったのと大して変わらない状況だぞ、これ!?
と、前回の記事では自分こんな風に書いちゃってますけれど。
人類滅亡確定までの残り時間、一年とか数ヶ月とか数週間とかじゃなく、いきなりあと数時間……でしたからね。おまけに、今まで人類史を支え続けていた人類最強の男が敵に回るわ、戦力となるはずの能力者の殆どが一斉に機能停止するわ、青鬼の一本角が出現してリーゼント兄ちゃんを乗っ取るわ、いやこれどないしてもどうにもならんやん!
という意味不明なデッドラインを突きつけての幕でしたからね、前巻。

前提条件が最初から鬼畜すぎる。

ただ、この作品、その前提条件が常に鬼畜なので、登場人物たち今更動じたり絶望しないのが、安心材料というかいい加減ぶっ壊れてるなあ、と思わされるところで。
このどう考えても詰んでるしかない状況を次々にひっくり返していく百刈圭さんが、もうとんでもねーです。
今回実質、圭さん無双。作戦面でも個人戦闘でも、ほぼ全部彼の手のひらの上。むしろ状況が状況だけに、これを片っ端からひっくり返していく圭さんの意味不明さが引き立つぐらいで。
ほぼ最初から最後まで彼の思惑通りにコロコロと事が進んで転がっていったんじゃないだろうか。指し手としても理想的な筋である。さすがは太公望の孫弟子、というべきか。

問題は、にも関わらずなぜか圭さんが肉体面でも精神面でもフルボッコになっているあたりですが。
……いや、なんで無双してるのに、圭さんが一番ボコボコにされてるんだ?
奥菜パパが文字通りグロゲチョに一度死んじゃってるのを除けば、一番ボロカスにされて死にかけてたのも圭さんですし、半分以上死にかけてましたよね、これ。場合によっては後遺症がバーゲンセールなみに残りそうな塩梅ですらありそうですし。
なんでほぼ想定通りに事が進んで、死にかけてるんでしょうねこの人。想定通りに死にかけてる、というべきなんだろうけど、なんでこうそう簡単にポンポンと死にかけるの前提の作戦立てるかなあ、それしかなかったとしても。
まあ、当然怒られます、叱られます。
登場人物のほぼ全員から、片っ端から怒られて叱られて怒鳴られて正座させられて説教されてる主人公。こいつ、別の世界線の自分からすら「クソ童貞」と罵られてる始末ですもんね。自分からすら!
違う組織だろうと敵だろうと味方だろうと生命を救った相手だろうと年上だろうと年下だろうと関係なしに、片っ端から叱られてボロクソに罵られてやんの。
フルボッコである。
まあ、当然なのですが。叱られて然るべきなのですが。
人類の破滅を瀬戸際で回避せしめた英雄のはずなんですが、まあ叱られるよね。

そんなあらゆる人から詰められて正座してるところを囲まれて説教の嵐くらってるようなダメな人からすら、クソミソに貶せれてアホ呼ばわりされてるようなアホが一人いるんですけどね。
百刈燈という、世界を裏から支える三大組織の一つのボスなのですが。圭さんの妹なのですが。

別世界線の圭さん、どうやら結局、燈が本当は変わっていなくて人間だった頃と変わらない心と愛情を持っていた、と気づかずに終わってしまった、このシリーズの1巻で叶と会わなかった圭さんらしいのですが……人形に成り果てたと思っていた妹と別の世界とはいえ再会したと思ったら、こんなアホの娘だった、と知った日にはそりゃ……引きこもるわな。
ちょっとショックが大きすぎてえらいことになってしまった別世界線の圭さんこと「V」には同情を禁じえない。いやこう、突き放して見捨ててしまった妹に虚無を得て行き着くところまで行き着いてしまったのが「V」の末路だったのに、その妹の本性がこれ、だったと見せられたら、もうなんか世界の終わりみたいな絶望だよね。うん、これも絶望絶望。

と、思わず絶望探しをしてしまうほどに、今回の一連の話は何から何まで上手く行った、犠牲もなく助かるわけがないと思っていた人まで救ってしまったわけですから、白昼夢でも見ているのかと疑いたくなるほど理想的な展開だったんですよ。大丈夫なのか、と逆に心配になるのも無理ないよね。
今までのどうしようもない絶望具合を覚えていれば。
でも、そんな奈落の底のように何も見通せぬ、救われる世界が存在しない深い深い絶望の暗闇を、これまで諦めず諦めず突き抜けて突っ切ってきたからこそ、たどり着けたこの最適解とも言えるのです。
いわば、此処こそが希望の切っ先。突端。一番深い闇を突き破ったからこそ、一番明るい光の場所に到達した、と言えるのではないでしょうか。
どれだけ絶望させられたでしょう。どれだけ深淵に突き落とされたでしょう。こんなんどうしようもないじゃないか! と、何度叫ばされたことか。もうダメだ! もう無理だ。こんなの耐えられない、と何度嘆かされたか。
それを、彼らは何度も何度も諦めずに打ち破ってきました。切り裂いてきました。乗り越えてきました。落として無くして喪われたと思ったものを、全部拾い集めながら、無くさずに辿り着いてきたからこそ。
此処なのです。
終わりの見えない無明の絶望は、しかし今どれだけ遠く遥かはてにあるのだとしても、目標が生まれました。先延ばしにするしかなかった終焉に、どれだけ無理で無謀だとしても、ケリをつける可能性が芽生えました。これほどの希望はありません。無・ゼロに比べれば、どんなに僅かな可能性でも「在る」ことがどれほど救いになるか。

……在るんですよね?

盛り上がっといてなんですが、次回最終章のタイトルが「絶望時空」ってなんかもう「わははーぃ♪」て感じになりません? 1巻以来の絶望タイトル。これ希望の切っ先、ペキッって折れちゃいません? 大丈夫?
ここまで来ても不安に心ひしゃげそうなの、これまでのトラウマって感じがして引きつった笑いがこみ上げてくる感じです。 
もうギス猊下に癒してもらわないと。


継母の連れ子が元カノだった 6.あのとき言えなかった六つのこと ★★★★★   



【継母の連れ子が元カノだった 6.あのとき言えなかった六つのこと】  紙城 境介/ たかやKi 角川スニーカー文庫

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「なぁ。『好き』って、なんなんだ?」お互いの気持ちに向き合う文化祭編!

親の再婚できょうだいになった水斗と結女は、元恋人同士。
水斗といさなが付き合っているという噂で校内が色めく一方、結女は水斗との距離を縮められないままで……。
そんな初秋、きょうだい揃って文化祭の実行委員に選ばれる!
衣装選びに放課後の準備作業……長くなる二人きりの時間に、夏祭りのキスの真意を確かめようとする水斗。
そして水斗に自分の好意を気付かせたい結女。
探り合いながら迎えた、文化祭当日――二人は展示の見回りを任されるが、これってもうデートでは!?
「なぁ。『好き』って、なんなんだ?」
元カップルが、お互いの気持ちに向き合う文化祭編!


いさな、この子ほんと凄えわ。この物語上における怪物なんじゃないだろうか。正直、この子みたいなタイプの登場人物ってその立ち位置を含めて見たことがないんですよね。なんなんだ、この未知の怪物は。
登場した時からそうだったのですけれど、いさなって結女の恋敵、ライバルキャラ、ヒロインの一人、では一貫して無いんですよね。じゃあなんなんだ? と、言われるとこの巻を読んでるともう「親友」としか言えないわけですよ。でも、男女の仲を越えた親友、というカテゴリーでもないんですよね。だって、男女の仲越えてないんだもの。いさなの方は未だに水斗の事好き好きですしねえ。
ただ、究極的には恋人になるとかあんまり欲してるわけでもない。
普通の人が考える男女の関係の範疇にどうしても収まらない。独立独歩というべきか、いさなはいさなの価値観の中で生きている。
世間の当たり前にどうしても適合できない自分にずっと悩んでいた彼女だけれど、前巻でおおむねその辺吹っ切っちゃったんですよね。
いさなに比べると、水斗の方は常識的と言える。いや、いさなと比べるなよ、て話かもしれないけれど、水斗みたいな他人と関わることを億劫に感じる人種って、みんなでわいわいとやるのが楽しいと思う人種からはびっくりするくらい認識されないんですよね。そういう人との関わりを避ける人の事は、本当はもっと周りの人と仲良くなりたいけれど性格的に不器用だったりしてうまく出来ない人、と思っちゃう事が多いんですよね。だから、善意で関わろうとするし関わらせようとしてくる。違う価値観の存在を認めない、というんじゃなくて認識出来ないわけだ。
水斗は、接客や委員会の取りまとめなどやろうと思えばできる人間である。でも、できるからってっやりたいわけじゃない。できるからってそれが別に楽しいってわけでもない。
そういう人間なのだ。そういう自分であることに、水斗は別に悩んでいたわけではないんですよね。
この巻においての主題は、あとがきでさらっと美しいぐらいシンプルに纏められてあって、ちょっと唖然としてしまうほどでした。いや、ここまで明確な指針を以て水斗という人間を掘り下げていっていたのか、と感嘆してしまって。本作って、キャラクターを解体してバラしきった後にもう一度そのバラした要素を組み上げていく行程がメチャクチャ綺麗なんですよね。ストーリーとしてでこぼこが一切ないなめらかすぎるほどの曲線を描いている。ラブストーリーとして「美しい」としか言いようのない情景が、心情が奏でられることになる。
いさなが導き出した、「好きってなんなんだ!?」という水斗の苦悶に満ちた問いかけへの答え。その前後に描かれていく、幾つものシーンがとても綺麗なんですよ。ドラマティックで神秘的で情熱的で、答えを聞いた水斗が衝撃を受けると共に自分の中に厳然として在った「好き」という感情が色を帯びて熱くなっていく瞬間が。二人のやり取りを知らないまま、後夜祭の独特の雰囲気の中でセリフもないままその眼差しを以て答えを示していく男女たちの情景。そして、一人歩く結女の脳裏の過ぎっていく水斗の横顔。
クライマックスは、決して盛り上がるわけではなく、熱がほとばしるわけではない。むしろ地味ですらあるのでしょう。それは静かで、ざわめきもなく、落ち着いた空気の中でそっと置かれたものでした。
劇的、とは程遠かったのかもしれません。感動というような震えるものを起こされたわけでもなかったでしょう。
でも、美しかった。こんなに胸に、心にふわりと熱をおびるシーンは経験がないほどに。
綺麗でした。きっとずっと先まで、忘れられないくらいに。
これが二人の恋のリスタート。勇気を出して踏み出したもう一歩。そのままの自分を許し肯定し認められたがゆえの、君を欲する我儘。
物語においても間違いなくここが転換点。こここそが最も大事なターニングポイントでした。
なんかもう、何度も読み返したくなります。読めば読むほど、色んなものが染み込んでくる。

あと、大正時代風の書生衣装をまとった水斗を目撃した女性たちが片っ端から聖闘士星矢の車田飛びみたいにぶっ飛ばされていくのは、なんかもう笑ってしまった、面白かったよw





TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 3 ~ヘンダーソン氏の福音を~ ★★★★★   



【TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 3 ~ヘンダーソン氏の福音を~】  Schuld/ランサネ オーバーラップ文庫

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妖精にまつわる悲しい事件を経て、魔導院のある帝都へとたどり着いたデータマンチ転生者エーリヒ。
魔導師(マギア)アグリッピナの丁稚として、今度は魔導院で働く生活が始まった。
危険人物に目を付けられたりもしたけれど、半妖精の妹エリザの学費のため、エーリヒは丁稚の仕事と魔導院のクエストでお金を稼ぐのだった。
そんな中、友人となった魔導院の聴講生ミカと共にアグリッピナの「お遣い」で旅に出たエーリヒ。
しかしダイスの女神の悪戯か、安全な旅のはずが命懸けのダンジョン攻略(アドベンチャー)に変貌し……!?
ヘンダーソンスケール行方不明のデータマンチ冒険譚、ダイスが荒ぶる第3幕!

ライゼニッツ卿、分類がエネミーになってますよ!? エーリヒ、完全に敵認定してるのか。あれだけお世話になってるのに。どれだけ苦手なんだこの人のこと。人柄としてはアグリッピナと比べるべくもなく善良な人……死霊のはずなんだけど、生命礼賛主義者(ロリショタコン)の餌食とされた事でトラウマ化してしまったか。いい人なんだけどなあ。
というか、この場合はエーリヒを生贄に長期休暇もぎ取っていったアグリッピナ師がどう考えても邪悪でしょうに。そもそも、絶対エーリヒそのために連れてきたでしょ。ライゼニッツ卿の前に人参よろしくぶら下げるために丁稚として連れてきたでしょうw
望外にエーリヒが出来る子だったから重宝してるけど、最初は見た目容姿がライゼニッツ卿のどストライクだったから丁稚で同行するの同意したようにしか思えん、この人の邪悪さを思えば。
というか、エリザを弟子にしたのだって、フィールドワークから戻る理由付のためだったわけですし。

というわけで、やってきました帝都ですよ、帝都編。シティアドベンチャーのはじまり、とはいきなりは突入しませんけれど、ここから風景が一気に変わるんですよね。
この作品の特色は、舞台となる土地や街、場所によって漂ってくる空気感がまったく異なってくるところでしょう。特にこの「帝都」が凄いんですよね。
辺境の村から国の首都まで出てきて、その発展具合に驚く、というのは定番も定番の展開なのですけれど、この帝都の異様はひと味もふた味も違ってくる。現代の地球を知っているエーリヒをして、圧倒される帝都のスケール、凄まじい威容。それを如実に伝えてくれる左を見ても右を見ても視点を縫い留められるような圧倒的な情報量が、情景描写に込められているんですね。視覚情報のみならず、そこに建造物や土地の来歴や歴史的エピソードを挟みつつ、目の裏にすげえディティールで浮かんでこらせられる緻密な描写と、その景色の中に実際にいる登場人物たちの受けている感覚、空気感がダイレクトに伝わってくるのである。そりゃもう圧巻ですよ、なんかもうすげえ、としか言えなくなる。
ライン三重帝国と呼ばれる重厚な歴史と多様な異民族を内包する巨大国家の中枢たる帝都。いやこの帝国という国家の内実を聞いてるだけでも楽しいんですよね。これもうリアルタイムで続いている古代魔法帝国じゃねえの!? という魔法文明そのものですし、国の構造からして面白いのなんの。まだここでは帝室周辺の話はまだ持ち上がってないのか。あれは次巻になるんですか。いやでも、この国、皇帝周りの体制がちょっと面白すぎてすごすぎて。
それでなくても、多民族国家の粋みたいなところがあって、国の拡張に従って取り込まれたあらゆる種族が貴族として国家の運営に携わってる、ってなんかもうそれだけでワクワクしてきませんか? そもそも、皇族からして人間じゃねえし。いや、そう言えば現状、エーリヒの周りって妹含めて普通の人間種っていないんでしたっけ。妹は半妖精だし、アグリッピナ師は長命種で魔導院の五大閥の長たるライゼニッツ卿ときたら死霊ときた。この国、ちゃんと死人にも自我があって動いてたら財産権とか法律で認められてるんだぜ。相続権の方、ちょっとややこしい事になってるの、法律が制定されるまでに結構色々トラブルあったんだろうな、というのが伺いしれてこれはこれで面白い。

さてもそんな混沌たる国の魔法文化の核である魔導院だ。国中の多種多様な種族から魔導を志すものたちが集った魔法版虎の穴。その内実を聞いたエーリヒの、過激派とカルトしかいないんですが? というお言葉にそうだね、と満面の笑みで応じてしまえるマッドたちの巣窟にして楽園である。
学園編、と言ってもいいかもしれないけれど、エーリヒは丁稚というなの従僕であり学生……ここでは聴講生と表現されていますか、ではないのだけれど、アグリッピナ師やライゼニッツ卿のツテで学んで魔法使いから魔導師と呼ばれる存在になっていくわけですが。
この魔導院、魔法学校と言っても中学高校みたいなタイプの学校ではなく、大学に近いものと捉えるべきでしょう。なので学園編と言ってもそこから連想されるものとはだいぶ様相が異なっているし、その日常風景もある種大学的な自由さとわやくちゃさに溢れている。探求の場、としてのみならず、貧乏聴講生たちがそれぞれ四苦八苦して努力と工夫を重ねて生活と学ぶための資金や伝手を手に入れるために駆けずり回っている様子や、学校周辺にそんな聴講生や教授方を対象とした様々な店や職種が軒を連ねていて、独特の学園都市風味な風景にさらに魔法的なエッセンスが加わった光景が、エーリヒの物語の背景にごくごく自然に流れてるんですよね、これがまたいいんだ。雰囲気最高なのですよ。
たとえば、エーリヒの何気ない普段の朝の風景からして、凄まじく絵になるんですよ。
下宿で朝起きたら、家事妖精によって準備された朝餉が湯気を立てている。彼が曰く付きの下宿になぜ住まうようになったか、シルキーという妖精の在り方に触れながら、そのシルキーとの不可思議で温かいコミュニケーションを挟みつつ、仕事のために魔導院に向かえば、彼が駆ける街角では貧乏聴講生たちがバイトとして窓越しに目覚ましの魔法をかけてまわっている様子が、朝の町並みの当たり前の風景として流れていくんですね。
このワンシーンだけでも、魔法文化の結晶のような濃密な描写なんですよ。もうここだけで酩酊してしまいそうな、見たこともない異文化の、でも目の裏にありありと浮かぶように描かれていて、それがそれがさらっと章の導入として触れられるだけで、流れていくのです。

密度が濃すぎて、濃厚すぎて、ちょっともうたまんないッ!!

背景だけでもやたらと濃厚濃密にも関わらず、登場人物たちときたらさらに濃い人ばかり。個人が濃いだけではなく、人間関係そのものがやたらと濃いものになってくるわけですよ。
郷を出てはじめて得た同世代の友人。北方出身の中性的な黒髪の麗人ミカとの出会い。
このミカとエーリヒとのやり取り、というか掛け合いが最初遊びまじりだったんですけど、お互いオペラか演劇のセリフみたいな言葉遣いで会話するんですよね。大仰もいいところで、エーリヒてば絶対TRPGの演技というかロール? あれが楽しさのあまり捗りすぎて、ちょっと酔っ払ってね? という具合にノリノリでやっちゃってて、彼自身あとで恥ずかしさのあまり枕に顔を埋めてジタバタするに違いない、などと述懐しつつ、やめないんですよねえ。
エーリヒもミカもまだ13歳という、それはそううん、お年頃なんですから、この特別感ある友達関係にウカレてしまっているのも仕方ないんでしょうけれど、それにしても「ねっとり」というのがふさわしいような距離感にどんどんハマっていくんですよね、彼ら。ちなみにこれ、少年期特有の距離感、で終わらずに青年期になってもこの調子のままなので、君等結局全然恥ずかしがってないだろう、とw
ミカなんて、自分の秘密がエーリヒにバレてなお受け入れられたあとなんぞ、もうべったべたですからね。エーリヒのこと、名前で呼ばずに普通に「友よ」と呼ぶのがデフォルトになってたり。
なんかもう波長があってしまった上に、コンプレックスを解消するきっかけにもなり、距離感がズブズブになっちゃったんですよね。これにはミカの特殊なありようも大きいのでしょう。これ、ミカが単にヒロインだったらこうはならなかったでしょう。ミカだからこその、同性同士にしては妖しすぎ、異性間としては気安すぎる、中性的なミカ相手特有の特殊にして特異な関係が成り立ってしまった。「おお友よ!」と実際に口にしながら、肩を組み、髪に顔を埋め、頬を寄せ合ってクスクスと笑みを交わすような近すぎる距離で睦み合う距離感の、なんかもう凄さたるやすごいよ?

そして、エーリヒの戦闘力が手がつけられなくなってくるのがちょうどこのあたり。
いや、あの「見えざる手」が強力すぎるでしょう、これ。本来なら日常生活の補助に使うのが通常の簡単な魔法、とされているけれど、エーリヒの手にかかるとちょっとこれ尋常じゃないものになってしまってるんですよね。
これって、いわゆるところの「念動力」にあたる能力のはずなのですけれど、無形の漠然としたサイコキネシスではなく「手」という具体的なイメージを固めて使っているせいで、汎用性と応用性がわけわからんレベルになっちゃってるんですよね。使い手本人のイメージとしてもそうなんだろうけど、読んでる読者側も「手」というイメージ付をしてくれているせいで、その異常さが具体的によく認識できるんですよ。いやもう、これ強すぎませんか? 魔法を使わなくても、戦場刀法が神域にまで達しているエーリヒは剣士として尋常ならざる領域に達しているのに、ここからさらに「見えざる手」の多重同時使用をマルチタスクで運用することで、意味不明わけわからん強さを発揮することになっちゃってるんですよね。攻撃にも防御にも特殊機動にも応用が聞きすぎだろう、この「手」。あげくにアグリッピナ師に教えてもらった空間転移魔法の応用で防御の方に絶対的なアドバンテージが手に入って……。
正直、これエーリヒに正面からぶつかって勝てる方法がさっぱり思いつかないんですけど!

とか思ってたら、エーリヒに正面からぶつかって、ぶち転がしまくる敵がひょいっと出てきて、もう笑うしかねえんですけど!?
いやこれどうやっても負けるはずがないだろう、とばかりに見せた途端にこれですよ。だからといってエーリヒの方が弱体化したわけじゃなく、格が下がったわけじゃなく、それどころか描写の方もエーリヒの凄まじさが死地に突入したことでより磨かれ研がれ叩かれて、ガンガン凄み増すわ鋭さ増すわやべえくらい強者的オーラを纏っていくのですよ。
それをさらにその大上段からばっさりと叩き潰していくようなとんでもねーボスキャラのとんでもねー事とんでもねー事。つ、強すぎる、なんじゃこりゃーー! てなもんである。
いやこれ、どうやったら勝てるんだよ!? と、思わず悲鳴。ついさっき、エーリヒどうやったら負けるんだよ! と言ってた時点から秒である。
ちなみに、わりとたまたま遭遇しただけのエリアボスであるよ。因縁ある怨敵とか先々まで対決し続けることになるライバルキャラ登場、てなもんでは全然ない。

TRPGだよなーー! こういうのTRPGならではだよなーー!! わははは!!

GMの殺意さまである。それ以前のエーリヒとミカが全然準備してないのに巻き込まれるはめになった魔宮ダンジョンの、あの正統派だけど難易度ヤバすぎで、どんどん順番に強力なエネミーが出てくる展開も、あるあるなんだけど、それにしても殺意が高すぎw
13歳の子供たちが挑むには、あまりに殺意が高すぎる。それを、なんかもう拗らせ過ぎて昇華してしまった運命共同体か比翼の鳥のような一心同体親友ムーブで、死にかけながらもクリアしていくエーリヒとミカ。激闘激闘、あまりにも凄まじい激闘すぎて、密度が濃すぎるーー!!
いやほんとに、シリーズ通しても最高潮の戦闘パートだったんじゃないだろうか。熱量がほんと凄かった。熱は熱でも、これ圧縮熱だろう!? と言いたくなる濃度密度濃厚さで。
いやもう、これあらゆる方向に満足度が高すぎて、ちょっと読み終えた時いっぱいいっぱいになってしまいました。しばらくクール時間をおかなくてはならなくなった。酩酊状態よ。
ウェブ版から大量加筆されていた、というのもあるのでしょうけれど、書籍として一気に読むとほんと凄えですわ。濃密さにアテられる。
しかししかししかし、おっもしろかったー! 面白い面白い面白すぎて、もうわけわかんねえ、あははは!!
クールタイム一日置いたはずなのですが、感想書いてたらテンションがまたぞろあがってしまった。
でもだって面白いんだもの。いやあ、好きすぎですわ、これ。もう大好き。

そして、3巻のヘンダーソンスケール1.0。いわゆるIFルートの未来編は、エーリヒくんそのまま魔導院で教授になったよ編!
いやあひどい(爆笑
なにがひどいって、周りからの評価評判と本人の意識が180度異なっている件について。周りからはやりたい放題好き勝手にやりまくって魔導院全体を振り回している超問題児扱いなのに、本人は振り回されて苦労して窮屈な思いをしている側だと信じ込んでいるこのギャップw
漂泊卿とまで呼ばれて自由に世界中を飛び回って帰ってこない、と呆れ嘆かれ怒られているのに、本人気楽に冒険もいけなくて好きに遊びにもいけない、と嘆息しているあたり、こいつ本気で解き放ったらどうなるんだ? おまけに、気が向いたら同僚や派閥問わず若い連中を冒険に引っ張って連れ去っていくものだから、半ば妖精扱いされてるしw
めっちゃ冒険行きまくってるやん! ほぼほぼ冒険者やん! これで、当人不満しか無いって、彼の持つ冒険者のイメージはいったいどこまでイッてしまっているのかしら。
そして、あまりの問題児っぷりに集まって謀殺を企んだものたちが、意味不明な壊れ性能の戦闘能力に「何をどうすりゃ殺せるんだこれ?」とふと冷静になって解散してしまった、というくだりとか、ちょっと大好きすぎるんですけどw

しばらく出番のない幼馴染のマルギットがここで短いながらも登場してくれていて、ちょっとうれしい。こうしてみても、エーリヒの本命ってマルギットで揺るぎないのは間違いないんだよなあ。
ちょうとウェブ版の連載ではマルギットとミカがはじめて対面、或いは対決? しているところなので、この未来での二人の仲の良さは興味深い。
あと、名前の出てこないお弟子ちゃん。年齢的には一回りは違うんですよね。なので、本編には登場しづらいでしょうし、多分エーリヒが魔導院に残るルートでないとなかなか関わるチャンスなさそうなんだけど、いいキャラなだけにチャンスはあって欲しいなあ。
しかし、アラサーになってもライゼニッツ卿に着せかえ人形にされかけてるのか、エーリヒ。そりゃ、エネミー認定してまうわなあw

しかし、毎回毎回、IFルートがどれも面白そうすぎて、それぞれで1シリーズできそうなんですよね。もう各ヘンダーソンスケール1.0のバージョンごとに一冊ずつでも本書いてくれないかしらw



Babel III 鳥籠より出ずる妖姫 ★★★★★   



【Babel III 鳥籠より出ずる妖姫】  古宮 九時/ 森沢 晴行 電撃の新文芸

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大国キスクを訪れた雫。妖姫と謳われる王妹オルティアとの対決へ。

この大陸の在り方にまつわる秘匿された真実を、ファルサス王から知らされた雫とエリク。その情報の中から日本帰還への糸口を見いだした二人は、再び旅に出ようとしていた。
だがその時、突如現れた使者に雫は選択を突きつけられる。招かれた先はかねてよりきな臭い噂が絶えなかった大国キスク。彼女に求められた役割は、残忍で知られる王妹オルティアの遊び相手だという。

「それで? お前は何ができる? 自らの口で述べてみよ」

成り行きから雫は、流行り病とされる言語障害の対処法を確立するという大役を負うことに。失敗すれば待つのは無残なる死。旅の庇護者であったエリクのいない中、雫は一人手探りで解決策を探す。
そして孤独の姫オルティアとの対峙を重ねるうちに彼女の心根を知り、二人の間柄にも変化が生まれていくのだが……。
ああ、凄い一冊だった。
この一冊のなかで、幾人の運命が変わってしまったか。そして、雫とオルティア。二人の女性の人生の歩みは根底から変わってしまった。果たして、この巻がはじまった時の雫とオルティアと、キスクでの物語がひとまずの終わりを迎えた時の二人とでは、紛れもなく同一人物にも関わらず同じ彼女たちには見えない。別人のように、とは言うまい。彼女らの芯の部分は最初から最後まで何一つ変わっていない、それでもこれだけ変わって見えるのはそれだけ彼女らが成長した、という事なのだろう。
いや、成長というのもそぐわない。背が伸びるような、体が大きくなるような、そんな成長とはわけが違う。
これは羽化だ、
同じ存在でありながら、まったく別の存在に進化する。それは、羽化と呼ぶに相応しい。
幼さを脱ぎ捨てて、彼女たちは大人になったのだ。

ウェブ版でも、このキスク編は一番好きなお話でありました。雫を主人公とするこのシリーズにおいて、紛れもなくメインヒロインはこの妖姫オルティアだと、読んだ当時は強く思ったものですけれど、改めて一冊の本として彼女たちの物語を見た時、その思いは一層強固になったのでした。
彼女たちの関係の変化は一冊という枠組みに収められたが故により鮮やかに浮き彫りになったように見えます。初めてまみえた時の、あの暴君と玩ばれる哀れな生贄に過ぎなかった二人が、その別れの際には……あの挿絵には感極まってしまいました。尊い、尊い! 
ある時を境にして、雫もオルティアもお互いへの想いが器を越えて溢れるほどになっていて、一瞬も気を抜けない中で二人とも全力疾走していたから、読んでいるこっちも夢中になっていたのですけれど、すべてが終わってふっと落ち着いた時に、そしていつの間にか同じ道を手を握り合って進んでいた、もうこれからいつまでもずっと続くように感じられていた道が、それぞれ自分の道を歩くために別れていくのを目の当たりにした時。それを、二人が穏やかに受け入れた時。
見つめ合う二人の姿に。そっと抱き合う二人の姿に。はじまった時のあの残忍な妖姫と決然と睨み合う雫の姿が思い浮かび、この数ヶ月のあまりに濃い時間の中で無関心と敵意がこんなにもお互いを大切に、掛け替えのなく想い合えるようになっていく変遷が過ぎっていき、その果てにこの光景に辿り着いたことに。あの二人が、貴女と出会えて良かった、と心の底から思い別れを惜しむことが出来たことに、なんかもう感極まっちゃったんですよね。
泣いた。
……と、感じ入ってたのにラルスが後ろでワケワカランことしてやがるから、余韻が台無しだったけどな! このファルサス王、いくらなんでも酷すぎるw 相対的にオスカーが超真面目に思えてしまうじゃないですか!
ぴょんぴょん跳ねるオルティアがやたら可愛くもあったのですが。ラルス相手だと、オルティアも形無しだ。

しかし本当にこの巻における雫は別格でした。最初にオルティア相手に堂々と自分の使いみちを主張するくそ度胸! くそ度胸!!
そして殺されるかもしれないという状況にも関わらず、オルティア相手に一歩も引かず、不退転の覚悟で詰め寄った姿。自分の無実を証明するためにファルサスで塔から飛び降りた時もまー、むちゃくちゃでしたけれど、今度のそれはあの時を上回るある意味イッちゃってる様子で怖いくらいの迫力だったんですよね。激高しながら頭の芯が完全に冷めきってるような、勢いに任せているようで思考の方はフル回転しているような。目が据わっていて、あれはヤバかった。
このときのオルティアは、まだ暴君そのものだった時でしたし触れれば切れる剥き出しの刃のような状態と言っても良かったのに、まったく気にせずに掴みかかったようなもので。
命知らず、と言われても仕方ないですよね。でも、こういう時の雫って別に自分の命を捨ててでも、というふうには考えているわけではないように見える。そもそも、そういうの頭からすっ飛んでいて、兎に角退かない譲らないという所に自分の全リソースを注ぎ込んじゃっているように見える。だからこそ、あんまり危機意識を持ち得ないし、あとで後悔してるようにも見えない。
でも、ここらへんまでは以前までの雫でも見られた部分だと思うのだけれど、言語習得実験が終わってオルティアの元で働くようになって以降から徐々に変わってくるんですよね。
自分が容易に殺されない立場にある、という事情を利用して、オルティアに言いたいこと言うべきことを率直に諫言するようになってから、雫は暴君オルティアの内側にある歪みに、孤独に気づき、また側近のファニートやニケを通じてどうして彼女が今のようになったのか、その過去の一旦を知ることになります。
オルティアの心に近づき始めたときから、そしてオルティアが徐々に心を許してその内側を見せてくれるようになった時から、雫の在り方が劇的に変わっていくのである。
端的に言うと、オルティアにめちゃくちゃ入れ込んでいくんですよね。いつしか、オルティアのために全身全霊を注いで彼女の未来を切り開こうとしはじめるのである。
エリクがピンチに陥った時など、雫のバイタリティはほんと凄まじい勢いでアップしてもう尋常でない働きを見せたりしましたけれど、あれって実は瞬間的な強化加速ではなかったという事なんでしょうね。
いざ、オルティアのためにやったるぞー、となって以降の雫のあのポテンシャルの爆発的な増大は、上がりに上がり切ったところから一切落ちることなく、いつの間にかオルティアの側近中の側近として、腹心として、股肱の臣として、十年来ずっと使えてきた重臣としてオルティアを支え、ついには現王を追い落としてオルティアを女王として即位させるクーデターの牽引役として主君を叱咤激励し、支持を取り付けるために貴族たちを口説き落とす切り込み役となり、ひいては戦場に立つオルティアに全権を預けられその命運を託される代理人にまでなりおおせるのである。
その堂々としたオルティアの片腕としての姿には、貫禄すら伺えて……暴君だった姫を多くの貴族が国を託すだけの忠誠を捧げ、軍の将兵が喝采をあげて支持する偉大なる名君へと変えた名臣以外の何者でもありませんでした。
もうどこにも普通の目立たない女子大生の皮なんて残ってないですよ。
あと、普通の女子大生はスライディング土下座とかしませんから!
折角の感動の再会シーンにも関わらず、この娘さんときたらなんでこうドラマティックに出来ないんだ!? ほんと、そういうとこだよ!?
あのどうしようもない絵面から、わりとじんわりと染み入る再会シーンまで持ち直させるエリクさん、マジ尊敬します。この人、色んな意味で顔に出さなさすぎますよ。彼が雫のためにどれだけの事をしてきたか。雫さん、キュンとしましたか? しましたよね?
ある意味、ニケの奇襲は一番効果的なタイミングだったのかもしれませんね。彼にとっての失恋は、でも最後に一矢報いた、というべきなのでしょう。エリクじゃなくて、雫の方に全ダメージが入ってしまったようですがw

生得言語の問題については、子供の失語症の回復実験がなんとか成功を収めたあと、雫とオルティアの二人の物語、キスクの国内問題とファルサスとの紛争へと深く進行してしまったために、一旦脇に置かれる形になりましたけど、さらっと一文、重要な伏線が敷かれてたんですよね。
雫が一から言葉を教えた幼子リオ。この子の雫の呼び方を、なぜかニケはちょっとおかしな認識の仕方をしているのである。この違和が大事になってくる。それに、なぜか本来雫が知らないはずの、喪われた記録や情報がまるで最初から備わっていたように雫の知識、記憶の中に存在していた不可解さ。
【Babel】の本当の意味が問われる最終巻、今からすごく楽しみです。
でも今は、蛹から蝶になるように羽化した雫とオルティアの間で育まれた友情の尊さを、しばし噛み締めて反芻していたいと思います。


探偵くんと鋭い山田さん 2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる ★★★★★  



【探偵くんと鋭い山田さん 2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる】 玩具堂/悠理なゆた  MF文庫J

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可愛くて鋭い山田さんの学園ミステリー、第二幕!

山田姉妹と戸村に今日も奇妙な事件(相談事)が寄せられる。我が校の卒業生でもある副担任のさぁや先生の依頼は、彼女が高校生のときに起きた「原稿消失事件」。文芸部の部誌に載るはずだった直前に消えた状況は、確かに不可解で……?あいかわらず平常運転で絡んでくる雨恵と雪音の山田姉妹につつかれながら、またも俺は矢面に立たされるのだった。
だんだん雨恵と雪音の性格も把握してきた2人の距離感は……やっぱ、近すぎるよね!? そして赤面してるよね!? 可愛くて鋭い2人の山田さんと俺とで解き明かす、ちょっと甘めの学園ミステリーラブコメ、第二幕!「よし! プールで推理しよう!」ええっ!?

この作者さんって、ほんと女の子の「素足」好きですよねえ。玩具堂さんの描く作品の歴代ヒロイン、みんな学校でも靴下脱いで素足で足ブラブラさせてるんですから。この二巻ではカラー口絵で机の上に素足で腰掛ける雨恵のイラストが。戸村くん、結構がっつり生足見てるのですけど、たしかにこれは思わず目が言ってしまう脚線美。
さて、今回探偵三人組に持ち込まれてきた3件の事件。ネットゲームの中の人を特定して欲しいという依頼。先生が高校生の文学部時代に消えてしまった小説原稿消失事件の真相を探れという依頼。そして、SNS上での素性も知らない友人を現実で見つけてくれ、という依頼。
どれも、手がかりらしい手がかりもない所から、僅かな情報を頼りに山田姉妹と戸村くんとで顔を突き合わせてワイワイガヤガヤと大騒ぎしながら真相を解き明かしていく、これがまた面白い。いや本当に面白い。
どれもこれも、あるのは断片的な情報だけなんですよね。
ネットゲームの中の人当てなんか、オフ会で実際に顔を合わしているものの、そのオフ会の様子も依頼者からの又聞きな上に大した情報なんて全然ないように見えるんですよね。
先生の原稿探しも、事件自体はもう何年も前に終わってしまっていて、原稿がなくなった状況とその失われた短編小説について書かれた先輩方の評論しか手がかりがない。
最後のSNSの依頼に至っては、SNSにアップされた風景写真くらいが手がかりだ。
これを三人協力して、というよりも役割分担なんですよね。雨恵、雪音、戸村と三人ともこなす役割が違っていて、それが謎をとき、説いた謎をもとに事件を解決して、大団円という所まで持っていく形になっている。ろくに情報もない所からジグソーパズルを組み上げるみたいに真実を見出すこと自体は天才肌の雨恵が拾い上げるのだけれど、その説いた謎をもとにちゃんと関係者みんなが納得する形で事件を解決する、或いは着地させるのって戸村くんであり、その筋道を準備するのが雪音なんですよね。これ、1人でも欠けると事件が解決しました、ってことにはならないんだよなあ。
うん、この三人というのがいいんですよね。
山田姉妹が両隣の席にいて、戸村くんは挟まれた二人の間の席にいる。ただそれだけなら、仲の良い姉妹はどちらかの席まで回って移動しておしゃべりしてればいいのです。でも、この双子は間に戸村くんを挟んだまま喧々諤々喧嘩したり仲良く会話したり、と戸村くんの頭越しに、或いはその目の前でコミュニケーションを取って、その中に自然と戸村くんを巻き込んでいくのである。
間に挟まれて喧嘩されて、困り顔で仰け反る戸村くんの顔が容易に思い浮かぶほどに毎度のごとく。
ついでに、この二人、わりと遠慮なしに戸村くんと距離詰めるんですよね。近い近い、と言いたくなるほど。特に顕著なのが雨恵の方で、靴下脱いだ素足で戸村くんの膝をグリグリと踏んでみたり、肩の上にぽんと顎を乗っけてみたり、人が喋ってる間に顔を突っ込んできて間近で覗き込んできたり。距離が、近い!
一方の雪音こと雪さんも雨恵ほど露骨でないけれど、むしろ余計無自覚な所があって無防備にグイグイと顔を近づけてきたり、雨恵と掴み合い取っ組み合いしてる最中に身体押し付けてきたり、とだから距離近いってw
年頃の男の子からすると、この二人の物理的距離感の近さはなんかもう仰け反ってしまうものがあると思うんですよね。片方は言うと余計に面白がりそうだし、もう片方は言ってしまうと赤面してでもしばらくするとさっぱり忘れて同じことを繰り返しそうな無防備さだし。悩ましい、嬉しいけど悩ましい、という感じになっている戸村くんが何とも微笑ましいばかりなのです。
決して明確な台詞で語られることはないのだけれど、うんこれ毎回玩具堂さんの作品では語ってしまうのだけれど、言葉ではなくて仕草で心の動き、心理描写、その時の感情が伝わってくるんですよね。一話目なんかでも、PC画面を見るのにこの双子、同じ椅子に仲良くちょこんと二人で座ったりするのですけれど、話が進んでいく過程で会話内容とは別に最初は仲良く寄り添ってたのが、途中からお互い尻を押し合って相手押しのけようと押し合ってたり、とほんと落ち着かないわけですよ。特に雨恵なんかいつもグデーっとしてるのだけれど、一瞬たりとも落ち着いていなくて、いろんな動きを会話とは別の所でしているわけです。それは同時に、その瞬間瞬間の彼女の気分も示していて、それが雪音たち他の人たちも同様に細かく仕草とか態度が描写されているものだから、台詞なくても掛け合いがなくても、その場の空気感の変化がリアルタイムで感じ取れる。
まさに、目に浮かぶように彼らの姿が見えるんですよね。
これだけ細かく、ただのおしゃべりのシーンで個々の人物の仕草とか表情の変化とか些細な動き、目線なんかを描写する作品というのは決して多くはないのではないでしょうか。少なくない作品が、会話は会話だけでそのシーンを描写しきろうとしてしまう。情景描写は舞台というだけで、登場人物の内面まで表現するものではないからでしょう。
でも、本作はまさに細部に神が宿っている。ほんの小さな表情の変化や、雨恵の突拍子もない動きや、雪さんの何気ない仕草が、キャラに生気を帯びさせるのである。その場の空気に風を感じさせてくれるのである。そうして伝わる心の動きが、この子たちをより生き生きとさせてくれて、そこから伝わってくる彼ら自身言葉にし切れない感情の弾みが、たまらなく彼らを可愛らしくみせてくれる。
ほんと、瞬間瞬間にたまんねー、と悶絶してしまうシーンがあるんですよねえ。
そうして浮かび上がってくるのは、山田姉妹が戸村くんに抱く彼女ら自身がまだ理解していない特別な気持ちである。それは姉妹への対抗心も相まって、複雑怪奇に入り組んで、思わぬ仕草となって発露するのである。それを実に細かく鮮やかに、でも囁かにさり気なく描いてくれるから、すぅっと空気感として染み込んでくるんですよねえ。
いや、ほんと好きだなあ、この作品は。
雪さん、たけのこを戸村くんの口に押し込んだ雨恵に対抗心燃やすのはいいけど、手ずからキノコチョコをあーんと彼の口に放り込むのは、相当に大胆だと思いますよ。
プールで三人、熱い夏に頭を冷やして推理するためと称して水被せ合いながら遊んでるのなんて、そりゃまあ三人でイチャイチャしてるようにしか見えんわなあ。山田姉妹、水着にシャツという凶悪装備でしたし。
でも、そんな山田姉妹にもそれぞれ抱えているコンプレックスみたいなものがあり、周りと馴染めないものを抱えている。そういう自覚しているウィークポイントを、この戸村くんはさり気なく包み込んでくれるわけですから、双子ともこの隣の席の男の子に対してなんかこう言いようのない特別感を抱いてしまうのも無理ないわなあ。
雪さんの方はこれ、わりとストレートに男の子として意識しだしているようにも見えるけれど、雨恵の方だって特殊な性癖……と言ってしまうとあれだけれど、お気に入りと言って憚らないようですし。
その戸村くんも、探偵というお仕事に対して思う所ありながら、いや嫌悪に近いものを感じていたものの、山田姉妹と探偵をやっているうちにそれを楽しいと思い始めていたことへのもやもやをずっと抱えていたわけですけれど、三件目の事件、あれはだいぶセンシティブ、繊細な心の機微に踏み込む事件であったけれど、それを通じて仕事としての誰かの秘密を暴き出す探偵業ではなく、知恵を出し合い人の複雑な関係が織りなす謎を楽しむ、さぁや先生が保障してくれた言葉をもとに、そしてこれまでの探偵してきた体験を胸に、彼なりに探偵するということへの答えが出たことは、さて、さて、うん、うん。

さても、偶然席替えによって成立した双子と戸村の奇妙な共有空間、共有時間。でもそれは次の席替えによって必然的に終わってしまうもの。偶然は続かない。
もし、それでもその席が、この構図が続くのなら、それは必然だ。みんなが望み、本人たちが望んだものだから。
皆が探偵を欲し、本人たちも探偵を楽しむことを選んだから。
三人一緒に、三人で。双子と彼で探偵だから。



エリスの聖杯 3 ★★★★★   



【エリスの聖杯 3】 常磐くじら/ 夕薙 GAノベル

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「ごめんね、スカーレット。本当に、ごめん」

希代の悪女の亡霊スカーレットと、その復讐につきあうことになった地味令嬢のコンスタンス。
奇縁で結ばれた令嬢コンビはついに、十年前の処刑の真相へと辿りつく。
あとは順に復讐相手を見つけ出していくだけ、と気炎をあげるスカーレット。だが、王国内で
暗躍を続ける組織【暁の鶏】は、コニーやランドルフを『エリスの聖杯』の邪魔者であると認識し、
その排除のために動き出していた。
敵の意図を看破したコニーは、あえて冤罪を被って収監されることで、ランドルフの行動の自由を
確保する。しかし、そんな彼女に下された王命は『十年ぶりの公開処刑』だった――!
十年前のサン・マルクス広場、処刑場での邂逅から始まった二人の少女の物語。その果てに待つ
運命とは!? 感動の第三弾!!

はぁぁーーーー…………。素晴らしかった。うん、これを傑作、これを名作と言わずして何という、というレベルのお話でした。感動した。泣いた(語彙力
スカーレットを処刑した犯人、と言ってしまうのは語弊なのだけれど、彼女を死なせる決断をした当事者があまりにも衝撃的だった2巻のそれを引き摺りつつのこの三巻、この完結編。
スカーレットの処刑にまつわる真相はほぼ明らかになった以上、待っているのは解決編であり決着であったのだけれど、スカーレットの処刑の真相がああであった以上悲劇は既に起こってしまっている。これをどうスッキリ終わらせるのか。スカーレットの望む復讐をどう成し遂げるのか。
ちょっと途方に暮れてすらいたのだけれど、冒頭からそのまず最大の壁をスカーレットとコニーはひょいっと越えていってくれたんですよね。ランドルフ閣下が口ごもり躊躇するほどにその真相は残酷だったのに、この娘二人と来たら……強いなあ。
あれ、スカーレットパパを引っ叩いたのはスカーレットじゃなくて、コニーの方なんですよね。引っ叩いておきながら、あれだけビビってるのはこの娘らしいんだけど、あれだけ叩いたあとにビビるくせに衝動的にぶっ叩いたんじゃなくて、ちゃんと考えた上でぶっ叩くのがコニーらしいというべきかなんというか。
スカーレットの処刑を、果たしてアドルファスはどのように受け止めたのか。それをスカーレットの母と出会い、愛を育む所から描いてからあのスカーレット処刑後の様子を克明に描いた上での、あのボロボロに崩れ去った慟哭ですよ、あの遺骨を胸に抱いて咽び泣く挿絵ですよ。
彼の後悔が、絶望がどれほどのものだったのか、有無を言わさず刷り込んでくる。だからこそ、だからこその救いである。
この時点で、いつのまにかスカーレットの復讐って意味が変わってしまっているんですね。まだコニーとスカーレットの中では捉えきれていないけれど、物語上では見事に意味合いが変転している。
それは、コニーがハメられてスカーレットの処刑の再現に当てはめられた時を境に、スカーレットの中でも彼女の復讐、つまり執着、現世にしがみつく祈りは実際の形へと疾走して追いついていく。
自分が何のために、この世に幽霊として顕在しているのか。どうして、コニーなんて小娘にくっついているのか。
彼女にとって、幽霊となってコニーに復讐の手伝いをさせていたのは、過去の精算とはまた少し違っていたのだと、最後まで読むとわかるんですよね。
心残りを晴らすためではなく、過去の後始末をつけるわけでもなく、かつて自分を陥れたものたちに思い知らせてやる……つもりは勿論多分あるけれど、まあそれは落とし前というやつだ。きっちりしっかりミッチリとやっておかなきゃならないことだけれど、それだけを目的にそれだけに執着して現世にしがみつく、というのはツマラナイし、みっともない。スカーレットの名が廃るってなもんである。
ならば、スカーレットらしい幽霊になろうとも現世に降臨し続ける理由とは。君臨し続けるに足る動機とは。そう考えると、彼女のホントのラストシーンは全くもって「らしい」と思うんですよね。
未練、心残りを晴らしてキレイに成仏、なんてらしくないし、そもそも幽霊になった理由とは食い違っている。
スカーレットの記憶に残っていなかった処刑直線からその時の瞬間。それが明らかになる回想、いや時間が戻ってのスカーレット処刑のその時に、彼女が何を思っていたかが明らかになるあのシーンが全部物語ってるんですね。
それは悲劇ではあったけれど、スカーレット・カスティエルがその瞬間抱いていたのは絶望でも恐怖でも怒りでも憎しみでもなく、ああそうだ。
彼女の中にあったのは希望だったのだ。彼女は自分が勝利する事を知っていた。スカーレット・カスティエルが望むべき「未来」を手に入れることを。
そして幽霊になったスカーレットにとって、コニーと共に歩む時間はリミットのある猶予でも、過去の残り香としてこびりついているのでもなく、「今」だったのだろう。「現在」だったのだ。それを、彼女は「過去」で知った。自分が死ぬそのときに理解した。
彼女は、コニーに出会いに来たのだ。つまりは、そういう事だったのだ。
スカーレットがとっておきの秘密をコニーに明かしたシーン、あれこそが最高の本音で、本当の気持ちだったのだから。

ならばこそ、最後のスカーレットの選択は必然なんですよね。殊勝に身を引くなんて、あったもんじゃない。何しろ彼女は強欲傲慢なる悪の令嬢スカーレット・カスティエルなのだから。

そして、一身にその煽りを食らうランドルフ閣下であったw
いやほんとに、一番の被害者になってるじゃないか、ランドルフ。
そりゃね、ずっと闇の中を歩むはずだった人生を光の下に引っ張り出してくれた少女に本当の愛を捧げる事が出来て、ましてやお嫁さんになって貰えるし、一生一緒にいるという約束も交わしたし、万々歳のハッピーエンド!
だったのに、一生離れないにプラス1ですからね。いや、一生を共に、という約束を交わしたのはプラス1発覚後ですから覚悟の上かー。
朝起きたときから夜寝るときまでずっと一緒という状況に既に疑問を感じていないコニーさんが色んな意味で幸せすぎるw

この3巻は文句なしにスカーレットとコニーの物語だったわけですけれど、同時に他の幾人もの登場人物が己の人生の主人公たるを全うする話でもあったように思います。
パメラの方に完全に破滅へと突き進んだ者もあり、セリシア王太子妃のように闇の中を歩き続けた末に最期に自分の人生を取り戻した人も居た。ショシャンナのように一からやり直すためにもう一度歩き始めた子もいれば、ルチアのように絶体絶命の死地をその魂の輝きを以て突破して、ユリシーズ王子というヒロインゲットしてヒーロー道へと突き進みだすもう貴女もう一人の主人公だろう!?という勇躍を示す子もいる。
スカーレットの処刑という大事を境に終わり、はじまった様々な人たちの人生の迷い路。かの陰謀に関わった人も、コニーと共に新たに関わることになった新しい世代の子たちも、それぞれに一区切り、登場人物全員に一つの決着を迎えさせた、という意味でも凄い作品であり、凄い物語であったように思います。
個人的に、国王陛下やアドルファスパパの歩んだ十年も凄惨だったんだろうけど、エンリケ王子の歩んだ人生こそ壮絶の一言だったと思うんですよね。彼のセリシアへの想いの複雑さは、途方に暮れるほどに言葉にし得ないもののように感じるのです。彼のこれから歩むだろう静かな人生の中に、小さくとも心慰められる幸いがあらんことを。
そして、アドルファスパパが、心から笑うシーンが見られただけで、なんかもう万感でした。

あとは、ほんとルチアは次回主人公狙ってます、と言わんばかりの大活躍というか凄えカリスマで。
同じく囚われの身となったコニーが、これまでのエリスの聖杯をめぐる人との関わりから、その人柄でコニーを助けようという大きな動きがうねりとなって世間を動かしていく展開もなかなか胸に来るものがあったのですが、ルチアの方も同じ囚われの身になりながら、片っ端から顔を合わせる人をその魅力で落としていって、同じ囚われの身だったユリシーズ王子を守って大活躍、とか完全にヒーローでしたからね。早々に、自分が彼女を守るのではなくてヒロインの方だと受け入れて大人しくなるユリシーズ王子、なんかもう流石ですw

しかし、ほんと章の間に挟まれる登場人物紹介という名の尖すぎるツッコミと煽り文が面白すぎました。ここでわけの分からんけど的を射すぎてるキャラ付けされてしまった登場人物も多いんでなかろうか。というか、ほとんどの登場人物ここで変な固定印象つけられちゃってるぞw
黒幕のクリシュナへの、実はこいつ失敗ばかりでうまくいった試しがないみたいな煽りは、ちょっと笑いすぎてお腹痛くなりましたがな。

ともあれ、これ以上なく見事に物語にもそれぞれの登場人物にも決着を付けた上で、文句の言いようのないハッピーエンド。超本格サスペンス・ミステリーというジャンルを縦横無尽に走り尽くしてみせたあの緊張感、謎が解けていく時の驚愕、真相への衝撃、話自体のとてつもない凝縮された面白さ、何もかもが素晴らしかった。
これぞ傑作、不朽の名作でありました。



継母の連れ子が元カノだった 5.あなたはこの世にただ一人 ★★★★★   



【継母の連れ子が元カノだった 5.あなたはこの世にただ一人】 紙城 境介/たかやKi 角川スニーカー文庫

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親の再婚できょうだいになった水斗と結女は、元恋人同士。
結女が気持ちを決めたあの夏祭り以降、余計にお互いが気になる日々で――。
そんな夏休みも終盤、いつも通り水斗の部屋に入り浸っていたいさなは、水斗とのじゃれ合いを結女の母に見られてしまい、
「東頭さんが、水斗の彼女になっちゃった」
いさな=水斗の元カノという勘違いが、『今カノ』へとランクアップし!?
さらに、いさなの母には結婚しろとまで言われ、結女が攻めあぐねるなか着々と外堀は埋まっていく!
そして、いさなと水斗の噂は、新学期の高校にも伝わって……。
純真健気な片想いと、再び萌ゆる初恋の行方は――!?
こ、このヘタレがーー!! あの女、あそこまでキメ顔でキスして宣戦布告しておきながら、速攻で日和りやがったw ヘタレすぎる、根性なしすぎる、ポンコツすぎる!
普通、あそこまで心に確信を得て、二度目の恋をして、覚悟を決めて、キスという行動にまで打って出ておきながら、そこまで行っておきながらどうして腰砕けになるんだよっ!
おかげで水斗くんが訳わからなくなって混乱してるじゃないですか。当て逃げか! そりゃ、当たりも厳しくなりますわな。それでダメージ受けてるんだから世話ないよなあ、結女さんは。この娘さんは本当に、本当にダメだなあ……(しみじみ)。
うん、忘れてた。伊理戸結女という娘はこういう娘だったのでした。あんまりにも覚醒したみたいな言動してるから、見違えたのかと思っちゃったじゃないですか。
むしろ、義理の兄妹という関係で一旦落ち着いて意地はってた時の方が体裁を保てていた気がするぞ。今は、情緒不安定そのもので浮き沈みが激しいことになってて、それが余計に水斗を振り回す羽目になってるのがなんともはや。妙に小悪魔ちっくにいたずら仕掛けてきてマウント取るかと思ったら、自爆して自分から沈んでいったり。これを水斗くん、結構場面場面で真面目に受け止めているので傍目にはわかりにくいんだろうけど、結女の浮き沈みに思いっきり引きずられてるんですよね。イタズラにはかなりダメージ食らってるし。結女が意図しないところで、熱で臥せった時の結女の何の思惑もなく心配して看病する様子にもそれ以前の態度との違いに訳わからなくなって、動揺してるんですよね。
ここに来て、水斗くん結女が何考えてるのかさっぱり読めなくなって、結構パニックになっている。そりゃそうだ、結女自身がメンタルのコントロールミスって暴れ馬よろしく振り幅の大きい態度になってしまっているわけで、結女本人も自分が何やってるかよくわからなくなってるわけだし。それをちゃんとした意図の元に結女がなにかしようとしている、と見ている水斗くんである。訳わからなくなるのもしょうがない面がある。
そのお陰で警戒心でガチガチになって表面上、固い殻をかぶって様子を窺うモードに入ってしまったものだから、その水斗のそっけない当たりの強さに結女がさらにダメージ受けてさらに情緒不安定になって、とスパイラル入ってるし。
いやほんとに、前回の宣戦布告したときはカッコよかったのになあ、結女は。決意に実体がまったく付いてこなかったんだなあ、なんて残念な。

そんな義理の兄妹で妙な攻防をしているうちに、いさながスルッと入ってくるんですね。いや、以前と変わらぬスタンスではあったはずなのですが、警戒心を募らせている水斗にとってはフラットに接する事のできるいさなは癒やしになったのかもしれない。
お互い気を許しすぎるほどに許しあったじゃれ合いを、結女の母に見られてしまった事からトントン拍子で二人が付き合っている、という話が広まっていってしまう。
それで二人が改めて意識しあって、なんて単純な展開にならないのが本作なんですよね。水斗といさなの二人はお互い変わらないし、結女なんかも不安になって穿ったりもしつつも、二人のことを良く知っているから、川波・暁月の幼馴染組と二人に近しい人間はその関係を勘違いはしないものの、周りの環境が二人の関係を付き合っていると思いこむことで、徐々に変化してくるのである。
その環境の変化が、東雲いさなという少女の本質を浮かび上がらせてくる。
改めて思うのだけれど、今、紙城 境介さんという人ほど登場人物の内面を徹底的に掘り下げて掘り下げて、細部に至るまで解体してバラして隅から隅まで暴き立てるライトノベル作家は数少ないのではないだろうか。作者自身にも把握しきれていない人物像を、書いて描いて書き出していくことで鮮明にしていく、形にしていく、言葉にしていく、そうやってキャラクターを一から再構築していく作業ってのは、いわば深い深い海の底に息継ぎなしで潜り続けていくようなものだ。
自分が生み出したはずのキャラクター。でも、それがどんな人物なのか、というのは実のところ完全な未知なのである。作者の押し付けや決めつけ思い込みを拝していき、脳内でシミュレーションを繰り返し、何度も何度も問いかけて、違和感を吟味し、しっくり来る言動を見出していく。彼ら彼女らの言葉を、思いを、考えを、感情を聞き取り汲み取り捉えて捕まえて、それを言葉に、文章に再変換していく作業というのは、永遠のように途方もなく、脳髄が煮えるような熱が頭をフラフラにさせていく。
ゲロを吐きながら振り絞るように書いていた、とかつて言っていたのは冲方丁さんだったか。
でも、そうやって掘り下げて積もっていたチリを払って「見つけた」キャラクターは、本物だ。
東雲いさなというキャラクターは、作中でも怪人と言っていいほどの変人だった。誰も予想のつかない掴み所のない言動で、作中の登場人物たちの度肝を抜いていく。作者本人ですら、わからないと言わしめる未知の存在でした。
それを丁寧に丁寧に、偏執的なほどしつこく探求し覗き込み、裏までひっくり返してバタバタ暴れるこいつを踏みつけておらおら吐けぇ、と誰も知らなかった本人ですらもよくわかってなかっただろう本音を、心の奥底にあったものを形にして引っ張り出してみせたのが、この5巻でありました。
いやもう、すげえよ。
特別になりたい、或いは普通になりたい。どこかしらで見聞きするテーマでもあります。いさなの母は、まさに特別のスペシャルであり、いさなの変人さを全肯定してくれる人でした。でも、いさなにとっては決して救いにはなってなかったんだなあ。いさなという人物を徹底的に解体していったとき、そこに現れたのは普通になりたかったただの女の子……なんて安易な事にはならないんですよね。水斗がいさなに見ていたのは、ある種の決めつけによる幻想でもあったわけですけれど、だからと言って結女たちが見ていたようなただの女の子でもなかった。あそこで、いさなへの幻想を諦めない水斗はやっぱりすごいと思いますよ。果たしてどれだけの人間が、東雲いさなという少女の本質にあそこまでたどり着けただろうか。とても普通でとても特別、その結論は決して珍しいものでもないのでしょうけれど、そこにたどり着くまでの東雲いさなという少女の徹底的な解体が、尋常ならざる説得力を、凄まじいまでの浸透力を、その結論へと与えるのである。これほどわかりにくい、意味不明な人物像を、そこまで詳らかにしてしまうだけの描写が、ここにはあったのだ。
そして、その普通であり特別である、という答えは誰もが普通であり特別である、という事へも繋がっていく。水斗という少年は、はっきり言って特別、と言っていいだけのキャラクターの持ち主だ。でも、いさなと再接続したときの彼は特別なんかじゃない普通のこっ恥ずかしい青臭い下手くそな男の子に過ぎなくて、でもそれが本当に素晴らしいんですよね。
特別な部分というのは誰にでもあって、前巻の水斗の従弟である幼い少年だった竹真くんの初恋の物語が背後で繰り広げられていたように、本巻でも結女のクラスメイトである二人の女子高生、坂井麻希と金井奈須華というそんな娘居たっけ? というキャラが登場した途端にとんでもねー濃いエピソードぶっこんできて、本作には背景キャラなんていなくて本当に一人ひとり自分の物語をそれぞれに繰り広げているんだな、というのが伝わってくるのだ。奈須華と先輩の話とか、これ結構色々とイメージあるんじゃあないかしら。
こういう子らが、周りに当たり前に散らばっていることで、作品そのものへの厚みが増していく。そしてメインのキャラをこれでもかと解体していくことで、深度もまた深まっていく。
東雲いさなの解体と再構築、そして周囲の人間関係の再設定は、一度義兄弟として固まってた水斗と結女の恋物語をリスタートするためには必要な事業だったのだろう。なにしろ、結女さんと来たら作者が「結女さんはなんで一人で勝手に負けヒロインになろうとするの?」と、わりとガチ目と思われるトーンで嘆くほどのポンコツであるからして、環境の後押しがないとドツボにハマったまま出てこなさそうだしなあ。
何気に、結女が水斗に恋をしているという事は暁月に伝わり、水斗もまたいさなと川波の協力を得て自分から動き出そうとしはじめているわけで、もう伊理戸兄妹の二人の間だけで収まる話じゃなくなってるんですね。
しかしこれ、冷静に考えるとお互いにもうすでに相手に惚れ直しているのに、もう一度惚れさせてやると入れ込んで、周りの支援を受けつつ真正面から衝突しようとしている三秒前、みたいな事になってやしませんかね。色んな意味で大惨事になりそうだなあ、うんうん。

しかし、同じシチュエーションでのお色気攻め、バスタオル一枚で男心を翻弄する、という行動に打ってでながら、結女と暁月でこれほど差が出てしまうのは、なんか結女さんに対して目を覆う他ないというか、逆に暁月と川波の幼馴染組は関係性がディープすぎてめまいしてきそうなんですけど。暁月ちゃん、小暮のこと好きすぎだろうこれ。そして、このままだと特殊なプレイに目覚めそうw

そして、本作読み終わって一番すげえな、と思わされた所が、あれだけ東雲いさなというキャラを解体し切ったにも関わらず、終わってなお「いさな」が予想のつかない想像の上を行く人物であり続けた事だろう。どれほど掘り下げ暴ききっても、キャラクターは駒にはならない。物語の登場人物に、実のところ底なんてものない。彼らは本来は誰からも自由な存在なのだ。東雲いさなは、それを一番先頭で体現し続けている。アホみたいに、すごいなあ、と口をぽかんと開くしか無い。
それがまた、痛快で楽しくて仕方ないのだ。うん、たまんないねェ♪


探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる ★★★★★   



【探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる】 玩具堂/悠理 なゆた MF文庫J

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私ならその事件・疑問・憂鬱、秒で解決だね——。可愛くて、どこか抜けていて、無邪気でキレッキレな山田さんと、思考フル回転 《本格派》学園ミステリーラブコメ!
新学期——俺は失敗した。
親の仕事が探偵だと口走ってしまったせいで、クラスメートから相談が持ち込まれるようになったのだ。絶版した小説の犯人当て、美術部で振るわれたナイフの謎、面倒なことになったと頭を抱える俺だったが−−

「それさ、そもそも事件じゃないね〜」
「多面的な考え方も取り入れたらどう? 戸村君」

何があっても山田姉妹は平常運転、鋭い推理でスパッと解決していく。最初は気に食わなかったけど、本気で推理する彼女たちは今では尊敬の対象だ。……が、話すときの距離、近すぎない!? 熱くなるのは分かるけど、これ完全に狙ってるよね!?
山田さんたちと俺の少し甘めな、本格派学園ミステリー。

もう好きーーーッ!!

やだなあもう、やっぱり自分て玩具堂さんのお話大好きですわ。もう好きすぎて、途中から心がピョンピョンしだして終盤読みながらゴロゴロ転がりまわってしまった。
相変わらずこの作者さんは情景描写が神がかっている。戸村くんを挟んで両隣に座った山田雨恵と山田雪音。この三人が並んで色んなやり取りをしている光景が、もうありありと目に浮かんでくるのです。ただ話しているだけじゃなくて、特に雨恵なんだけどフリーダムな性格のせいか動きも多いんですよね。机の上に寝転がるわ、靴下脱いで素足でブラブラしてるわ。足の指をくにくにと動かしながらあれこれ考えている様子がまた、なんか好きなんですよねえ。戸村くん、めっちゃ見てるし。爪が小さくて真珠みたいだ、とか思っちゃってるのって相当ガン見してますよね。
こんな風に細かい仕草まで自然な流れで丁寧に描写されるので、ただおしゃべりしているシーンでも誰かしらが情景の中で動いていて、言葉として発せられる以外の部分もそんな仕草や表情から雄弁に語られるのだ。誰かの発した台詞で、聞いていた人の反応から様々な心情が物語られる。
情景描写が、そのまま心理描写へと連結されているのだ。キャラクターの心の動きが、言葉で語られる以上にその人の仕草や表情、声の調子は僅かな反応などからさらに積み重ねられていく。其上で、言葉でもちゃんと心の動きをとても繊細に描いてくれるんですね。

ただ席が隣だった、いや何だかんだ仲の良い双子に挟まれて居心地の悪い思いをしていた大人しそうな戸村くんに、果たしてあの性格正反対の双子がどんな風に興味を持ち、彼といっしょに「探偵」をするのを楽しく感じるようになっていったのか。
このクラスになって初めて会って、話すのも初めてだった男の子、どんな風に仲良くなっていき、段々と彼の存在が自分たち双子の間で無視できないものになっていき、ちょっとした「特別」になっていくのか。
この過程がまた一つ一つ些細な積み重ねなんだけれど、その些細な影響、変化が双子の間で反復していくうちに大きくなっていくんですね。二人一緒、ではなく片方片方にそれぞれちょっとした揺らぎが起こることで相手の様子が気になり、無視できなくなり、段々と揺れ幅が広がっていく。これがほんと素晴らしくてねえ。
この双子、性格が正反対なのです。片や雨恵は天才肌の自由人。博識で真面目だけど人付き合いが不器用な雪音。仲の良い二人だけれど、同時にいつも喧嘩ばかりしていて雪の方は姉にコンプレックスめいたものを抱いているし、雨も不器用な妹のことを気にかけて、同時に何だかんだと自分に内向きだけど充実した高校生活を送っている雪のことを羨んでいる。
そんな二人の間に文字通り割って入ってきた戸村くん。いや、彼に構い出したのは雨であり、それに引っ張られる形で間にいる戸村くんに戸惑いながらも関わりだした雪であって、戸村くんは困ってばかりだったのだけれど、無理やり押し付けられた探偵仕事を推理という形だけれど助けて貰った事もあって、無視するでも拒絶するでもなく、二人の間になんとなくすっぽりと収まる事になる。
単に、席が二人の間、というだけではない本当の意味で二人に挟まれた関係になっていくんですね。それは二人の間に割って入るということでもあり、二人の姉妹の間を繋ぐということにもなるのである。
この戸村くん、お父さんが探偵で、それも名探偵とかじゃなく本当にただの興信所の運営者という意味での現実的な探偵であって、彼自身別に推理好きとか頭がいいとかじゃなく、傍目に見てるとほんとにただの何の特技もない普通の少年、に見えるんですよね。
でも実は……というわけでもなく、いやもう本当に普通、普通の子、のはずなんだけれど……うん、ちょっとおもしろいなあ。雨は、悪意に対する悪意の持ち主、なんて表現をしていたけれど、観察眼が特に人間関係での相手に対する心情、の部分で聡いというか察しがいいんですよね。マリーの彼氏への気持ち然り。美術部での友人関係の複雑な感情の在処然り。そして、実はなかなか難しいところのある山田姉妹のお互いに対する感情然り。
そういう察しの良さは、相手への気遣いにも向いていて、踏み込むべき所と無造作に手を突っ込んでは行けない所をちゃんとわかっているんですね。双子が喧嘩した時、雪の所に話しに行った時。美術部の人間関係に不用意に言及しようとした雪をとっさに止めた時、などにそれが伺えるのだけれど。
その理由というか根源に、上の姉が父親と喧嘩して家を飛び出し、家庭が軽い家庭崩壊になってしまった時の後悔があるようなのだけれど
決してコミュ力が高い、という風には見えないのだけれど、一番肝心な時に間違えずに相手を慮れる本当の優しさがある。山田姉妹って、方向は違うけどかなり難しい性格していて、自分たち二人のテリトリーに余人を踏み込ませる事をしないように見えるんですよね。雪はまずもって他人を寄せ付けられないし、雨は雨で軽く広く付き合いは気安く誰とでも仲良く出来るけど、本当の意味で踏み込んだ関係は煩わしがるタイプ。そんな二人の間に、わずか数週間でスルスルと入り込んでしまった。いや、戸村くん当人からすると入り込んだなんてもんじゃなく、二人に絡まれたくらいの感覚なんだろうけど、終わってみれば二人のこと、名字じゃなく名前で呼ぶ関係になってるんですもんね。
それに、最後のエピソード。姉妹が彼にパンダのアクセをプレゼントしようという話になったの、あれ双子が自分たちの「守護獣」を二人で揃える事が幼い頃からのエピソードからして、本当に特別なんですよね。これに関しては親すら踏み込ませない、二人の特別だったと思うんですよ。
それが、戸村くんの「守護獣」を選んで二人でプレゼントすることにした。これ、双子本人たちも気づいているとは思わないのだけれど、明確な特別なんですよね。双子を挟んで間に戸村くん。これが単なる教室の席順、では収まらなくなった象徴のようにも思うんですよねえ。

さて、本筋である日常ミステリー。作中では3つの事件、いや事件は最後の一つだけで前の2つは「探偵」に対する調査依頼というべき内容だったのですけれど、これがまた3つともべらぼうに面白かった。親が探偵やってます、と初クラスでの自己紹介で口走ってしまったが故に、無理やり頼まれてしまった依頼であり、以降の二人は最初の一件の評判によって持ち込まれた案件だったのですが。
実際の探偵業の後ろ暗さと後味の悪さを知っている戸村くんの心情として、謎を解くことで誰かに不幸になってほしくない、という思いがあり、それが彼に探偵をすることに気が進まないという思いを抱かせていたのですけれど、この3つの案件はどれも……2つ目はちょっと違うか、でもどれも謎を解くことによって誰かの不幸せを遠ざけられ、誰もが笑顔になれる、というエピソードだったんですよね。
なので、推理し謎を解く、という結果がどれも清々しくて、素直にああ良かったなあ、と思える形で終わっているのです。それが、双子と戸村くんに、探偵も悪くない、楽しいね、という共通の思いを抱かせ、より三人のつながりを深めていく所以にもなっていくのです。
発想の面白さとしては、やはり二番目の事件でしょう。表紙カバーだけ残された既に絶版となったライトノベルのミステリー作品。シリーズものの第五巻。それを中身を読まずに(何しろ中身の本がない)、カバーの登場人物紹介と作者の執筆傾向という情報だけでこの巻の事件の犯人とその動機を推理しろ、という内容。いかにも無茶振りなんだけれど、三人寄れば文殊の知恵、のごとく三人でああだこうだ話しているうちに推理が繋がっていく、この展開は面白かった。
この三人、戸村くんが方向性を見出し、雪が知識を駆使して情報を引き出し整理し、揃った材料から雨が閃く、という結構ちゃんとした分担になっているのがまた興味深い。
3つ目の事件は、彼ら三人の前の席の三原さんが依頼してくるのだけれど、前の席に座っている、ということで三原さん、この三人の会話をよく聞いていたから、美術部の事件の解決を彼らに依頼してきたそうなんだけれど、この娘が戸村くんと山田姉妹のこと、ファンなんだ、と微笑むシーン、すっごく分かり味だったんですよね。そうだよね、この三人の会話聞いてたら、好きになっちゃうよねえ。
ちなみに、この三原さんもえらい属性過多というか個性的な娘で、最後のエピソードだけの登場だったにも関わらず、存在感やたらパなかったです。最初にチラッと、自己紹介の時にこのクラス個性的なやつが想像以上に多かった、と印象が語られてたけれど、三原さんみたいなのがわんさかといるのか、もしかしてw

まあそんなクラスの中でも、この戸村くんと山田姉妹はトップクラスに個性的なトリオになっちゃってると思いますけど。あれ、三人の間では雑談してたらなんか真相が見えた、という感じで最初の事件も二番目の事件もあんまり当人たちは深く考えてないかもしれないけど、依頼した側からすると相談した次の日に、あっさりと真相を掴んでくるわ、本の中身のないミステリーの犯人と動機まで僅かな情報から探り当ててくるわ、なにこの人たちガチの名探偵じゃね!? と仰天しますわなあ。
実際、マリーにしても図書館の彼にしても度肝抜かれてましたし。客観的に見ても、訳解んないですよこの三人w

さて、かつて幼い頃に親から貰ったパンダのぬいぐるみは、双子ふたりの取り合いでついにはボロボロになって壊れてしまったそうで。さあ、新しいパンダは、もし双子ふたりの取り合いになったら耐えられるのか。
「ま……ぬいぐるみよりは丈夫でしょ」

なかなか不穏なことをおっしゃいますなあ、雨恵さんw

この三人の顛末、まだはじまったばかりで関係もまた本当の意味で「三人」になったばかり。これがどんな風に転がっていくのか、もう見たくて見たくて仕方ない。
名前で呼べと命令しながら、実際呼ばれると擽ったさに悶てしまう雨恵に、あとになって姉に対抗しようとして挫折して、「雪さん」と呼ばれるようになってやっぱり悶てる雪音。
このあたりの名前呼び関係の話はもうほんと甘酸っぱいというか擽ったいというか、たまらんかった! 名前で呼ぶだけでこれですよ、これ以降どうなるかもうたまらんじゃないですか。

あとがきでは、二巻以降はまだ決まっていないそうですが、絶対見たいです、読みたいですヨ!
そう叫びたくるくらい、素晴らしく面白く最高に素敵なお話でした。これくらい心がピョンピョンしてしまう物語は、滅多ないんですよぅ!

玩具堂・作品感想

TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 1 〜ヘンダーソン氏の福音を〜 ★★★★★  



【TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 1 〜ヘンダーソン氏の福音を〜】 Schuld/ランサネ  オーバーラップ文庫

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データ廃人(マンチ)、異世界を命がけで遊び尽くす!

「データマンチ」――それは、データ上可能であれば神殺しにさえ興じる変人。
そんな「データマンチ」だった前世を持つ少年・エーリヒは、異世界への転生時に授かったキャラビルドの権能を活用して理想の強キャラにならんと画策する。
妙に蠱惑的な幼馴染との遊戯やブラコンな妹のお世話をする中、頭を捻ってデータを隅まで舐め回し、熟練度をやりくりしながら極悪コンボを模索していくエーリヒ。
しかし彼が思うよりも早く物語(セッション)が動き出し、エーリヒは大切な者を守るため戦いに身を投じる(サイコロをふる)ことになり……!?
ヘンダーソンスケール行方不明のデータマンチ冒険譚、ここに開幕!
うははは、これ相当に加筆とかしてますよね。
それでなくても、一気に読むとこの作品の凄まじい「濃厚さ」に酔っ払いそうになる。読んでても、文章内の情報密度が半端なくてそれでいて目が滑る事無くグイグイと読み込ませてくれるだけに、読み応え歯応えが尋常ではないんですわ。
お陰で満腹感満足感がまたとんでもねー事になってます。

事前に書いたピックアップの記事でも書きましたけれど、キャラビルド、ステータスやスキルの数値を貯めた熟練度から好きに振り分けられるという展開は転生モノでは珍しくもないけれど、それを生粋にして屈指のTRPGプレイヤー。人生の趣味の時間の大半をTRPGに捧げた粋人、それも和マンチなどと言われるシナリオとルールとデータ傾向を舐め尽くすように吟味して、常識にとらわれずにやらかす人種が異世界転生して自分のキャラビルドをはじめてしまったら、というTRPGを嗜む人には垂涎の作品なんですよね。
サブタイトルの「ヘンダーソン氏の福音を」とかTRPGを嗜んでる人でなかったら意味わかんないんじゃないだろうか。ちなみに私はこの作品読むまで知りませんでした。あいにくとTRPGはやった事ないもので。でも、リプレイなんかは読んでても腹抱えて笑い転げたり手に汗握ったりとメチャクチャ面白く楽しめるものが多々あるだけに、色々と追いかけたものですのでどういうモノかというのはわかっているつもりなんですけど。
ヘンダーソンというのは作中の人物でなく、TRPGというジャンルにおける、プレイヤーを全殺しするつもりしかなかったGMのシナリオに参加して、その物語を見事にきれいな形で完結させた伝説のプレイヤーであり、彼の名を元にした「ヘンダーソン・スケール」というストーリーがシナリオの本筋からどれだけ離れてしまったかを示す指標のもとになった人物だそうです。
このヘンダーソンスケールは作中でも幕間でたびたび登場し、サブストーリーの展開やシナリオの展開が完全に本来のエンディングから逸脱してしまったいわゆる「IFストーリー」を示すものとして登場します。
本巻でも「ヘンダーソンスケール 1.0」という「IFストーリー」が描かれていて、これ今後もストーリーがもしこんな風に転んだら、こんなエンディングが待っている、という風に描かれるので続刊出たらお楽しみに♪

さて、この1巻ではデータマンチであるエーリヒ、データマンチってのがどういう輩なのかはあらすじ以上に本編で熱く語られているのでそれを参照してもらうとして、そんなビルダーな彼の幼少期から少年期の田舎の農村での生活が描かれることになります。
実のところ、派手な立ち回りが要求されるイベントはラストの一幕だけだったりするのですけれど、ただ辺境の農民の四男坊であるエーリヒの日々の生活、これがまたメチャクチャ濃厚なんですよ。
というのも、世界観の設定がとてつもなく緻密なのである。ライン三重帝国というエーリヒが暮らす国において、農村部の人々がどんな風に暮らしているのかというのが風俗風習からわりとシステマティックな社会体制、統治の仕組み、子供の育ち方や教育方針など様々な観点から緻密かつ非常に面白おかしく描かれていて、エーリヒを含めた子どもたちが成長していく様子を見ているだけでもこれめちゃくちゃ面白くて読み応えあるんですよね。
エーリヒたち家族のヒト種のみならず、この三重帝国は様々な種族が混在して当たり前に共存している、というごった煮感も素晴らしく、幼馴染でこの巻のメインヒロインともなるマルギットなんか、アラクネだったりしますからね。その蜘蛛人であるアラクネですら幾つかの人種があって、マルギットは蝿取り蜘蛛のアラクネという事で小柄で俊敏に飛び回る天性の狩人、という側面があり、ある意味凄まじい観点での種族あげての合法ロリだったりします。合法? もう尋常じゃなく色っぺーんですよね、この幼女風幼馴染。二歳年上の姉さんではあるんだけれど、見た目は幼く、しかし幼い容姿とは裏腹の妖艶さと一途さの持ち主で、幼女にして既に男の狩り方を母君から教授されており、エーリヒとの関係はもう小さい頃からたまらん状態だったりします。
「ヘンダーソンスケール 1.0」でああなってしまうのも、まあ仕方ないかなあ、と思わざるを得ない!
とは言え、マルギットがエーリヒに夢中なのもよくわかるんですよ。この主人公、可愛げの塊みたいな所がありますし。まさに人生を謳歌しているというか、周りを巻き込んで楽しそうに遊んでいるわけですよ。決してこの人生をゲームだと想っているわけではなく、家族を含めて知人友人への愛情タップリですし、最強ビルドを目指すぜーと人生の目標を立てているわけですけれど決して効率厨になっていなくて、ついついその場のノリで余計なスキルやらに熟練度を消費してしまって、素敵な笑顔を浮かべながら無駄な言い訳を自分に繰り返しちゃってるところなんぞ、まあ愛嬌たっぷりなんですよ。あるある、わかるわかる、と思わず頷いちゃう欲望に流されちゃうスタイルは共感すら覚えますし。でも、子供同士の隠れんぼで隠蔽系スキルをあれこれとっちゃったりするのは大人げないぞw

今はまだ辺境の田舎から見た世界という視点からの世界観描写ですけど、その時点でこれだけ密度濃く社会の仕組みの重厚さ、巧みさ、歴史の奥深さを感じさせてくれるのですが、これが先々またエーリヒが置かれる立場から、三重帝国の国家構造や民族、都市部の社会体制や人々の暮らし、娯楽風俗なんぞがまたたっぷりと描かれていくので、もう堪能し甲斐があるのなんの。
また世界観の解説として挟まれる「TIPS」と呼称される解説文章も、これ単なる説明文じゃなくてその場面に応じた諧謔、ウィットに富んだ詞になっていて、作中の雰囲気をより弾ませ撹拌し、匂い立たせることに一役買ってるんですよね。物語を綴る上での「間」を取る作用にもなっていて、読むテンポを調節する上でも重要な役割を負っているようにも見えます。この「TIPS」の使い方も何気にセンスの塊に思えるんだよなあ。思わず、ニヤリとさせられることも度々ですし。

いやあ、面白かった。この濃厚さは物語の世界の中に首まで浸かって思う存分スイミングしているような満足感を与えてくれます。掘れば掘るほど、掘っても掘っても宝がザクザク出てくるような、それがいつまでも終わらないような濃密さ。まだ村から旅立ちすらしていないにも関わらず、並のシリーズなら第一部完、までやっとこ読み切ったような読み応えでありました。うん、ウェブ版既読済みで、書籍化なる前からイチオシの作品だったのですけれど、こうして一気に読むとまた密度の濃さを改めて思い知らされた感があります。読んでるあいだじゅう、楽しい楽しい時間だった。
まだまだ、この世界を、エーリヒの愉快な旅路を堪能し続けたいと思わせてくれる作品でした。
まさに、至福の時間でしたよ〜。最高♪

継母の連れ子が元カノだった 4.ファースト・キスが布告する ★★★★★  



【継母の連れ子が元カノだった 4.ファースト・キスが布告する】 紙城 境介/ たかやKi 角川スニーカー文庫

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そういうところが、好きだったから。終わった初恋と“今”が交差する帰省編

親の再婚できょうだいになった水斗と結女は、元恋人同士。
“家族”らしさも板についてきた二人だが、ときおりあの頃の思い出が蘇り、やっぱりお互いが気になる日々で――。
そんな夏休みも半ば、伊理戸一家は父方の実家に帰省する。
「水斗くんじゃ~ん!! ひっさしぶりぃーっ!!」
水斗をハグで出迎えたのは、親戚の清楚風陽キャお姉さん・種里円香。
なぜか彼女には従順な水斗に、結女は察する――この人、水斗の初恋相手!?
昔の恋は振り切って、今の関係――“きょうだい”を受け入れたはずの元カレと元カノに、未練が渦巻く三度目の夏祭りが訪れる。
結女の決断に元カップルが大いに揺れ動く、夏休み帰省編!

はぁーーー。いやもう凄かった。元カップル同士が義理の兄妹になってしまって、未練を引きずりながらどうしようもない距離感で甘酸っぱいラブコメを繰り広げる、そんな作品だった本作だけれど、この巻に至ってラブコメという段階を突破してしまったのではないだろうか。
ほぼ結女の視点から描かれる未練の終わりと二度目の恋のはじまり。繊細に一つ一つ丁寧に紡がれていく心理描写。行きつ戻りつしながら整理されては迷走し、やがてひとつの答えへと辿り着いていく心の内。これはもう、真っ向純正の恋愛小説ではないか。
伊理戸家の実家に帰省し、父方の親戚の歓迎を受けて、知らなかった水斗の姿を垣間見る結女。これまでも家族となってはじめて恋人の頃と違い、お互いを慮らず気を遣わずただ一緒にいるという時間と空間を共にすることで、かつて知らなかった相手の姿を見る機会を得てきた二人だけれど、今回の帰省は改めて結女の知らない、過去の水斗が彼女の目の前に現れてくる。
それは言わば、水斗という青年の今へと繋がるルーツだ。彼という人間がどのように作られ、どのように育っていったのか。その内側に何を抱えているのかを知ることになる旅路だった。過去を知ることで、ようやく結女は今の水斗という青年の本当の姿を知ることになる。
それは恋人であり続けたなら多分知ることのなかっただろう姿。家族になってはじめて触れることの出来た成り立ち。
そして、彼の初恋の人と思われる親戚の女性円香の登場によって、彼女の未練は大いに揺さぶられることになる。
自分の中の未練の姿を、かつて自分が失ったものの大きさを、どれだけ自分が成すべきを成さなかったのかを、足りなかったのかを、知ることになる。円香さんの存在はまさに触媒だった。年上の女性、という経験値の豊富な彼女のアドバイスは結女の迷走に一つの方向性を与え、自分の心の内側を照らしだす灯火となる。
家族になってはじめて辿り着いた場所。義理の兄妹になってこそ。それこそが、この物語がただ元カップルがよりを戻すだけのお話にならなかった要なのだろう。
彼らが幾度も過去の関係を「若気の至り」と強調するのはごまかしでもなんでもない。彼らにとっても物語にとっても、それはまさに事実だったのだ。初恋は実らない、これもまた事実。だから、ここからはじまるのは、恋に恋する幼い初恋の物語でも青春の勢い任せの恋愛でもない。未練に引きづられて終わってしまったものをもう一度再開する昔の恋の続きでもない。
痛みを知り苦味を噛み締め傷跡を抱えながら、今度こそ本当にその人の人生そのものを掴み取る大人の恋の物語だ。
昔の恋が終わってくれない? それこそ未練だ。終わっている、それはもうとっくに終わっているのだ。それを認めなくてははじまらない。受け入れなければはじまらない。
だからこそ、伊里戸結女の宣戦布告。一足先にケリをつけてみせた女の宣言だ。
【ファースト・キスが布告する】。最高のサブタイトルだろう、これ。

しかし、このシーンをもうひとつの初恋の終焉に絡めているのって、心憎い演出だよなあ。恋破れた男の子にとっては、彼と彼女の間に繰り広げられている恋模様の内実は何も知らず、ただ目の前で起こった出来事でしかない。男の子の視点から見た光景を思うと、彼の千々に乱れているだろう心情と、結女と水斗の間で起こっている物語との断絶に感慨みたいなものが湧いてくるんですよね。
ああ今、結女と水斗と全く関係ない所でこの子だけの物語が繰り広げられているんだなあ、と。
この世界は、決して結女と水斗だけで出来ているわけじゃない。この子、竹真にとっての初恋の物語があり、やがて彼が成長するにつれてあのシーンは彼の心の育ち方に、恋愛観に多大な影響を及ぼすだろうことが想像できる。水斗の父と結女の母の結婚にも、親族たちの歓迎っぷりを見るととても大きな人生のドラマがあったのだろう。水斗の内面を作り出すきっかけとなり、今また結女に水斗の在りようを伝えるきっかけになってくれた曽祖父の自伝「シベリアの舞姫」もまた、かつてあり今結女たちに繋がっている人生の物語だ。とある壊れた幼馴染たち、あのどうしようもなく続いていくだろう川波と南の二人も独自の物語を構築しながら、この作品の世界観を形作る要素となっている。
登場人物の内面描写、心理描写を深く深く掘り下げて浮き彫りにしながら、人間関係を描き出していく作品は、ともすればメインの登場人物、主人公とヒロインのみに焦点を合わせて二人を描くためだめにすべてが用意されているような閉じた世界になるケースが幾つも見受けられるけれど、本作はちょっと違う気がする。
主人公とヒロインとは関わりがあるようで遠いところに幾つもの独自のドラマを見つけ、或いは目の端に映すことで、世界を広げ、そうすることでより深く一人ひとりのキャラの奥底を掘り出すための助走にしているかのようだ。広く浅くでも狭く深くではなく、広げることでより深く掘り起こし、成長させ、今までになかったものを構築していくかのような。心のあり方を見つけ、芽生えさせていくような。
この巻は、その一つの昇華の形である。
今までの三巻でばら撒いてきたものを、一気に集約して綴りあげてみせた段階を一つ上げるステップだ。そんでもって、こっからがリスタート。終わらない恋を終わらせて、はじまりはここからなのだ。
此処からなのよ!?
ほんとにもう、こいつは物凄い作品を送り出してきやがった!


数字で救う! 弱小国家 5.勝利する者を描け。ただし敵は自軍より精鋭と大軍であるものとする。 ★★★★★   



【数字で救う! 弱小国家 5.勝利する者を描け。ただし敵は自軍より精鋭と大軍であるものとする。】  長田 信織/紅緒 電撃文庫

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『この手紙を読んでいるということは、僕は死んでいるだろう』

同盟軍本隊の敗北により、ファヴェール王国軍は泥沼の戦争に突入した。
なんとか打開策を見つけようとする女王ソアラと宰相ナオキの二人だったが、武勇と知略に長けた、過去最高の強敵たちがその行く手を阻む。
不利に不運が重なって、
そして、ついにその時は訪れた。

――宰相ナオキ、凶弾に倒れる。

過去最大級のピンチを前に、女王ソアラの決断は……? そしてファヴェール王国の未来は……!?
異世界数学ファンタジー戦記、急展開のシリーズ第5弾!

大戦争だーー!!
ピエルフシュ王国との決戦で、敵有翼騎士団フサリアを見事に粉砕して大勝利をせしめたファヴェール王国。これで戦争は勝利、と思ったところで同盟の本隊がマイセンブルグ帝国との戦いで大惨敗を喫して、勝利の算段がひっくり返ってしまう、というのが前巻までの展開だったのでした。
じゃあ次はマイセンブルグ帝国と直接の戦いに? と、なると思ったらならないのが並の戦記物じゃないんですよね。
マ帝国と同盟本軍との戦線がマイセンブルグ帝国側に傾いたことで、ピエルフシュ王国側に援軍が来る……という体で王国の継戦の意志が復活してしまうわけですな。これ、面白いのは本当に援軍が来る、来たというわけではないところ。戦力バランスと観測の問題なんですなー。
これで、ピエルフシュ王国が継戦の意志をなくすまでさらに叩かなければならなくなった上に、同盟のフリを覆すためにオルデンボー戦線に戦力を追加投入しなければならなくなった。いや、したくないんだけれど同盟諸国、特にその本陣であるワルテリア帝国側の意志を無視するわけにはいかないのでテコ入れは絶対必要、ということなので、ファヴェール自体は勝ったのに戦争自体は大劣勢になってしまうんですな。さらに、マイセンブルグ帝国もここにきて直接近づいてきて殴る、というわかりやすい戦争ではなく、戦わずして戦局をひっくり返してしまう、というロジックの元にあれこれと仕掛けてくるのである。
これ、ナオキとまったく同じ思考パターンなのですね。つまり、ナオキのライバルとも言うべき人物がマイセンブルグ帝国に現れたのだ。
さらに、ピエルフシュ王国も南方戦線を担っていた英雄がぼんくら気味な国王から軍権を引っさらって、北方戦線へと指揮官として踊りかかってきた。
ここにきて、ナオキはまったくベクトルの異なる怪物二人を相手取ることに。
しかし、ナオキも今や「魔術師」として各国に恐れられ畏怖される名うての戦略家。いや、今回の縦横無尽の戦争指揮っぷりと来たら、これはもう「魔術師」の異名がピッタリという凄まじい転がし方なんですよね。これ、よっぽど視点が高い軍人武将でも、なにやられてるかわからんでしょう。まじで魔術みたいに思えてしまうんじゃないだろうか。
なにしろ、将棋で言うところの一手損角換わりに例えていたけれど、普通に戦えば敗北して撤退して占領される、という行程をすっ飛ばして、とっとと戦闘せずに撤退して相手に街を占領させることで、相手にあったはずの主導権を逆にファヴェール側が奪っちゃったんですよね。相手が先手で後手に回ってしまったのを、一手わざと損することで先手となり、こっちの思うように戦争そのものを動かせる余裕を手に入れる。これ、ほんと相手からしたらわけわからんですよ。これをリアルの戦場でこれほど読んでるこっちがわかりやすく理解しやすい形でスパッとやらかしてしまうとか、そりゃ相手の傭兵将軍あたま掻きむしって悔しがりますがな。自分が今まで積み上げてきていた勝利手順全部ぶち壊されたんだから。しかも、多分味方でそれを理解してくれる人ってかなり少なかったんじゃないだろうか。勝った勝ったで喜んでばかりで。
恐ろしいのは、これに似たことをピエルフシュ王国側にも仕掛けてて、英雄との戦争との後半戦なんか英雄さん連戦連勝の負けなしという圧倒的勝利の連続という状態に入ったのに、戦争そのものを俯瞰してみると、勝てば勝つほどピエルフシュ王国側が負けていく、という状態になってたんですよね。まさに、戦場での勝利が戦争の勝利に繋がらない状態にさせられてしまっていた。どころか、勝つほどにやばくなる、という陥穽を作り出してしまってるところに、ナオキの魔術師っぷりが際立つのである。
今回ばかりは、ナオキの戦争指導手腕にはゾクゾク肌が泡立ってしまった。ここまで鮮やかに「戦争」を作り上げるだけの、いわば戦争芸術と呼ぶに値するそれを戦記物で目の当たりにする機会は決して多くないですからね。
しかし、それでナオキがこの戦争を好き勝手できたか、というとそんな事はなく、今回は彼の計算を上回る出来事が幾度も起こり、ナオキも絶体絶命のピンチに追い込まれるという展開が度々。いや、マジで死ぬんじゃないか、という瀬戸際が何度も何度も繰り返されて、ハラハラしっぱなしでしたよ。今回、本気で余裕なかったし。それだけ、ピエルフシュ王国の英雄とマイセンブルグ帝国の傭兵将軍の辣腕と気迫が凄まじく、その将器が伝説の域に達していたからなのでしょう。それと真っ向から渡り合っていた、という時点でもうナオキも立派に歴史上の偉人の名を連ねるに何の不足もないやべえ領域の人になっちゃってたわけですけれど。
いやでも、今回本気でナオキ死ぬんじゃないかと思ったさ。傭兵将軍が評していたけれど、何気にナオキと同じスペックを有している人がファヴェールに居るんですよね。ソアラ女王というのですが。
この嫁さん、奥さん、ほぼほぼナオキと同じ戦略眼の持ち主で、戦場勘もあり、大戦争を指導できる視点もあり、ってかほぼ同スペックなんですよ。多分、ナオキが出来ることは彼女も出来るんじゃないだろうか。
既に物語としても、ソアラと結婚して子供も出来て、と主人公としてのナオキが退場しても物語として成立する土壌は出来ていたのである。まあその場合、ソアラさんが復讐鬼と化してそれはそれは楽しいさらなる大戦争になってた未来予想図も多分にあるのですが。
あのナオキが遺した遺書がなかったら、戦争自体かなりひでえことになってたんじゃないだろうか。ソアラ女王って、王女時代孤立してて今も何気に友達いない、と揶揄されるように人心掌握には微妙な所がありますし、結構感情で暴走する傾向もありますし、その暴走を統制された狂気へと昇華するだけの訳のわからんレベルのスペックもありますし、とこのお嫁さんやっぱりヤバいよなあ。彼女の旦那をやれている時点で、魔術師の異名を冠にしていいかもしれない。

ともあれ、今回は前回の戦争を三倍ほど上回る形で大盛りあがりでありました。やはり、戦争は強敵が相手に居ると否応なく盛り上がります。そりゃそうですよね、死闘激闘となってお互いの人外の才能を披露しまくるわけになるのですから。
マイセンブルグ帝国皇帝軍総司令官ワルター・フォン・グラフディール。これは、地球の史実におけるアルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタインに相当する人物でしょう。ドイツ三十年戦争における花形の一人、映えある傭兵将軍ヴァレンシュタイン。
そしてピエルフシュ王国の英雄ヴァツワフ・ジェヴスキーはスウェーデンの北方の獅子と呼ばれたグスタフ2世アドルフに戦場で圧勝しつづけたというポーランドの名将スタニスワフ・コニェツポルスキに相当すると思われる。
なるほど、今回ナオキが死にかけまくったのは、彼とソアラがグスタフ2世アドルフに相当する立場だから、というのもあったのか。グスタフ2世、戦場でボロクソにやられまくったみたいだし。ってか、ソアラの異名は北方の雌獅子なんですよねえ。

また、ナオキの元で活躍する若き世代も台頭してきて、傭兵将軍なレオンの息子ドグにナオキの数学の直弟子でもあるトゥーナ、そしてドクと同じ直属大隊長としてエアハルドという青年が躍進してきてこの三人トリオがまた活躍するんですねえ。そして、若者特有の甘酸っぱい展開に……なりそうで、ならない! というか、ドクがあれは可哀想過ぎるw 真っ白を通りこして悟りを開いたような状態になってしまうのも仕方なし。ってか、ある意味ドロドロじゃねえか。どうするんですか、ナオキさんこれw
でも、これだけ若い連中が台頭してきたから、最後の展開みたいになった、とも言えるんですよね。ソアラが闇落ちしかけていた時、復調するきっかけになったのもあれでしたし。思えば、ソアラを除けば本当からナオキのこの世界での人生に付き合ってきてくれたんだよなあ。一緒のものを見て、ナオキにこの世界の現実を教えてくれて、くだらなくも楽しいことを色々と教えてくれた。ナオキがソアラとともに二人きりの世界に閉じこもらずに済んだのも、ナオキの頭から湧き出してくるこの世界にはまだ見当たらなかったロジックを、気にも止めずに聞き流し、でも一緒に遊んでくれたあの人が居たからだ。恩人で、共犯で、悪友で、右腕で、親父さんだった。
楽しい、愉快な人だった。
だからだろう、ラストシーン、凄く好きだ。ナオキの胸にいっぱいに満ちたものを、わずかにでも共有できた気がする。
シリーズ最高の一作であり、屈指の戦記でありました。


異世界拷問姫 9 ★★★★★   



【異世界拷問姫 9】  綾里 けいし/ 鵜飼 沙樹 MF文庫J

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「どうか、皆、みーんな、一緒に死んでください」
最愛の父・ルイスを失い、【異世界拷問姫】アリスは世界を壊し始める。
かつて最愛の従者・瀬名櫂人を失った【拷問姫】エリザベートは世界を守り続ける。
それは鏡映し、共にあり得た可能性。
それ故に決定的に交わらない二つの道。
だから二人の拷問姫は“彼ら”の遺志を継ぎ、各々に世界へと立ち向かう。
「どうして、私だけお父様を失うの? 『瀬名櫂人』のエリザベートは生きているのに!」
「この【拷問姫】が全てを賭けるのだ──【異世界拷問姫】が受けずして、どうする?」
これが神話に至る物語。
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る至高のダークファンタジー、最終巻。


……冒頭の、見開きのカラー口絵。表紙絵がその一部分なのだけれど、これがもう美しすぎて、呆然と見とれてしまう。どこぞの美術館に飾ってあってもおかしくないと思えてしまう。初っ端から魂を鷲掴みにされて、そうして始まるのは生命の讃歌だ。

不思議だ。皆が皆、死んでいく。片っ端から、消えていく。惨たらしく、残酷に、血塗れになりながら、ろくな死体も残さず死んでいく。
なのに、これほど皆の「生」を、生きたという実感をどうして感じるのだろう。彼らは死んだ。だが、生きたのだ。生きて生きて、生き抜いた先での死だったのだ。それは惨劇ではない、悲劇ではない、そう思えてならない。そして、彼らの死は終わりではなかった。結末ではなかった。終わるためではなく、終わらないための、その繋ぐための彼らの生き抜いた証だったのだ。だから、彼らの死は犬死であっても無為ではなかった。その先へと続いていくための、橋渡し。不要ではあっても、証明だったのだ。世界は、人は、生きるということは、美しいモノだという事実を証立てる証明だったのだ。
瀬名櫂人とヒナが去ってからずっとエリザベートが自問し続けた問いかけ。果たして、世界は守るに値すべきものなのか。この人々の愚かさと醜さで彩られる世界は、瀬名櫂人が命を掛けるに値するべきものだったのか。救われるべきものだったのか。滅びてしまえばよかったのではないのか。愛するに、値しないものだったのではないか。
どうしようもない争いを目の当たりにしながら、何度も彼女が問いかけた疑問。そんな彼女を支え続けたのは櫂人の世界を愛し守ると願いであり意志であったけれど、この醜い世界で幾度も彼女が目にした美しい人の心がエリザベートを進ませ続けた。そんな美しい光そのものだった人たちが、キラキラと輝きながら散っていく。醜いと、愚かだと思えてならなかった人々すらも、この滅びの最果てで答えを得たかのように光り輝いていく。
そう、みんなこの世界の滅びゆく最果てで、各々に自分にとっての答えを得ていくんですね。迷いは払われ、それぞれが未来を思い描く。果たして、そこに自分がたどり着けないのだとわかっていても、思い描く未来が実現するのなら、それはきっと素晴らしいことなのだと。
だから、皆が胸を張り、ほほえみながら自分の成すべきことを見出して、成し遂げていくのだ。
聖女もまた、ついに自分の腕からこぼれ落ちていたあの「肉屋」を思い出し、彼の献身に思いを馳せ、愛おしさを胸に宿して、彼の愛に応えるように胸を張ってかつての自分の思いを取り戻し、貫き通していった。
神に身も心も捧げたはずの聖人たちも、兵器と成り果てていたはずの彼らもまた、一人一人が神と別れ自ら立ち、それぞれが思い描いた未来のために戦ってくれた。教会の人たちもそうだ。誰かに言われたからでも命じられたからでもない。その信仰は己の心のうちにあり。神の意志ではなく、彼ら自身の意志でその信仰を貫いた。
エリザベートを隊長と仰いだ治安維持の隊員たち。彼らこそが、いわばエリザベートを拷問姫というくびきから救い出した張本人たちだと言えよう。櫂人とヒナのいない世界で、エリザベートを人の子へと変えていき、解き放ったのは間違いなく彼らだ。
亜人たち。間違いだと知りながら敢えて間違いを貫いた者たち。綾里さんがちらっと某所で長い後書きを書いていてそこで触れているのだけれど、行き着く果に先のない亜人の彼らの絶望のなかで、あの父子は対局の立場に立ちながらそれぞれ同じ方向を向いて、先のない未来に立ち向かったんですね。そこには、確かに愛があった。同族への、家族への深い深い愛情が。

そして、愛があったのはアリスとルイスの疑似親子にもまた確かに。
愛があったからこそ、アリスはルイスの最期の願いに答えざるを得なかった。もう、それしかなかったから。ああ、なるほど。確かに、アリスはエリザベートと対極だ。世界を呪った者と世界を愛した者に遺されたもの同士、その遺志に寄り添う以外にその存在に意味はない。でも、ジャンヌとイザベラの愛しあう二人の姿にアリスは心打ち砕かれ、一方でエリザベートの世界への愛情は櫂人からの預かりものだけではなく、彼女自身が多く関わった人たちから貰ったもの。彼女自身が抱いた想い。彼女自身の意志でもあり、願いともなっていた。その違いだろう。それだけの、違いなのだろう。

アリスにはもうなにもない。でも、確かに彼女は愛されていて、父を愛した。その事実と過去だけを胸に、もう何もない彼女はそれからどうやって生きていくのか。残酷な結末でもあり、小さな希望の結末なのかもしれない。

皇帝は、ほんとね、こいつ悪魔だったはずなのに。契約者があのヴラドと櫂人であったのが災いしてしまったのか。もういつの間にか、悪魔であるという存在すら突破して違うものになっていた気がする。彼は彼で証明したのかもしれない。悪魔もまた、悪魔でなくなり自ら選んだ存在になれるのだと。誰よりも誇り高く、共に駆けてくれた戦友だった。

リュートはもう、なんというか、ほんと登場当初から彼はこの物語の救いそのものだった気がします。だからこそ、彼はいつでもどこでも無残に無為に死んでしまいそうだった。他の誰よりもただリュートであるというだけで死亡フラグそのものみたいな存在だった気すらする。
故に、彼が生きている限り。エリザベートを支えてくれている限り、この物語は希望を失っていないのだと信じることができた。実際、そのとおりであったことに、深い深い感謝を。

そして、ジャンヌとイザベラのカップル。多分、この物語で一番幸せだった二人。もっとも幸福だった二人。世界を愛し祝福し、だからこそ愛され祝福された二人。結婚おめでとう。最後まで、最期まで二人は二人でいることが目一杯幸せそうで、良かったね、という言葉を送ることができる。
でも、同時に泣いてしまうのは仕方ないですよね。泣いて泣いて、目が痛くなるほど泣けてしまって、でもやっぱり祝うのだ。おめでとう。ずっとずっとお幸せに、と。

そうやって、みんなやるべきを見出し、己の中の答えを得て、生きて生きて生き抜いて、やり尽くして去って逝く。
そんな彼らに問いかけたい。満足だったか? 満ち足りたか? 救われたか? 幸せだったか? 想いを果たせたか?
潰えることに無念はあるだろう、でも後悔はないに違いない。だから皆が皆、起立して胸を張って悠然と、笑顔すら浮かべて、去っていく。その胸に、目いっぱいの愛を宿し抱きしめて。
だからだろう、世界はこんなにも惨たらしく血塗れで死と破壊に侵されていたのに、切ないほどに美しい。
こんなにも、優しい。
だからこれは人間讃歌の物語。綺麗な夢のおとぎ話。

生きて生きて生き抜いて、途中で進めなくなった人たちに背中を押され、多くのものを預けられ、辛くでも苦しくても寂しくても悲しくても、背負いきれない罪を背負いながら、それでも進み続けたエリザベートの辿り着いた結末は。皆が思い描き、託したそのさき、その未来に辿り着いたエリザベートは。
拷問姫でなくなった、ただのエリザベートは。ようやく、ようやく、焦がれ焦がれた幸いをその手にとり戻す。
小さな小さな、幸せの夢を。

これは、ヒトが小さな幸せを手にする物語だ。



りゅうおうのおしごと! 12 ★★★★★   



【りゅうおうのおしごと! 12】 白鳥 士郎/しらび GA文庫

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奨励会三段リーグ。
四段(プロ)になれる者は2人だけという苛酷な戦場。そこに史上初めて女性として参戦した銀子は、八一と交わした約束を胸に封じ、孤独な戦いを続けていた。八一もまた、新たなタイトルを目指し最強の敵と対峙する。
そんな2人を複雑な思いで見守るあいと、動き出す天衣。そして立ちはだかる奨励会員(なかま)たち。
「プロになるなんて、そんな約束をすることはできない。けど――」
大切な人の夢を踏み砕くことでしか夢を叶えられない。それが将棋の世界で生きるということ。
銀子が、創多が、鏡洲が……純粋なる者たちの熱き死闘に幕が下りる
奨励会編堂々のフィナーレ!

すげえモノを読んだ。
よく身寄りのない子供たちを集めてきて暗殺者とか工作員を養成する学校とか隠れ里みたいなの、あるじゃないですか。ああいうのって、厳しい訓練にどんどん櫛の歯が欠けたように同じ境遇の子たちが消えていき、最終的に残った優秀な子供たちが卒業試験で試験官からこう告げられるのですよ。
「今、目の前にいる相手と殺し合え。生き残ったほうが合格だ」
そうして、生き残るために共に手を携えて育ってきた兄弟にも等しい大切な相手を、自らの手で殺すのです。最も大切で掛け替えのない相手を自分の手で殺すことで、彼らの育成は完成する。

この奨励会というシステムは、まさにこれなのである。これなのだ。まさに、これそのままなのだ!
ガチの殺し合いである。
一緒に育ってきた家族も同然の仲間たち、先輩後輩であり兄弟であり親友であり恩人ある人達と、総当たりで殺し尽くしていく。自らの手で葬り去っていく。引導を渡す。その将棋人生を終わらせていく。
殺し合いなのだ。殺戮なのだ。作中、ぶち殺す、という台詞が少なからず飛び交う。それは本当に比喩ではない、本気の言葉だ。本心からの叫びだ。己の手で大切な人を殺さなくてはいけない事への、悲鳴そのものなのだ。
これが現代の日本で行われているという事実に、今更ながら戦慄させられる。これほどの修羅の戦場が、現実に存在しているのだ。実在しているのだ。これは、小説であってもノンフィクションではない厳然とした真実なのである。死闘という言葉はなんらの比喩ではない、本物なのだ。
彼らは、本当に命を賭けている。人生そのものを賭けて捧げて費やして、喪っていくのだ。いって、いるのだ。
そんな光景を、情景を、この物語はあますことなく描き出している。
「命懸け」という言葉の本物を、この巻を読んだときに思い知るだろう。思い知らされるだろう。その恐ろしさを、重さを、激しさを、鮮烈さを、知るだろう。
人は、ここまで一つの物事に本気になれるのだ。それは感動であり、恐怖である。
人間は、ここまで化け物になれるのだ。能力ではなく、その在り方をもって怪物に成り果てられるのだ。
そうして、怪物は完成する。将棋の棋士とはそんな完成した人外の怪物の巣窟なのだ、と棋士の登竜門である奨励会三段リーグの凄まじさを前にして改めて魂に打ち込まれる。
そんな化け物共の、さらに上澄み。その頂点に彼は居る。
「人間じゃねえ」
その慨嘆は、これももう比喩に見えない。本当に、人間じゃないんじゃないのか、この主人公は。
恐るべき事に。実に恐るべき事に現実の将棋界はこれよりすらも魔界であるという。マジで人間なのか、棋士たちって?

前巻においてついについに想い結実し、通じ合った銀子と八一。その結果として描かれたのが今回の表紙絵なのでしょう。もう、見ただけで悶絶させられる素敵で素晴らしい二人の手を繋ぐ姿でした。
でも、覚醒した銀子がそのまま一気に頂点に駆け上る、なんて展開が待っているはずなかったのです。壁を突破しようやく将棋星人たちの見ている景色を理解できるようになった銀子は、でもようやくそこに至って棋士への挑戦権を得たようなものだったのです。棋力が激増して、ようやく舞台に立てたようなものだったのです。才能がないと唄われるのは、何も変わっていなかった。
ここからが、彼女にとっての本当の死闘、本物の死闘。命懸けの戦いのはじまりに過ぎなかったのです。
正直、本気で今回銀子、死ぬんじゃないかと不安にかられ続けました。銀子の残す言葉全部、遺言に見えて仕方なかった。実際、間違っていないんじゃないかと今でも疑っている。
この娘は、このあとも生きていけるんだろうか。生きて、幸せに成りえる娘なんだろうか。本質的に将棋を持ってしか繋がりあえない、だからこそ誰よりも深く深く余人が入り込めないほど混じりいるほどに寄り添い重なり合った八一との関係も、その将棋を以て焼き尽くされてしまうのではないか、と思えてならない。白雪姫と竜の魔王の寓話は、この上なくありのままを現しているように見えて仕方ない。でも、白雪姫は絶対に離れることはないだろう。竜の爪が彼女を引き裂き、その炎が身を焼こうとも彼女は離れないだろう。そうして、炎の中で燃え尽きていく光景が浮かんでやまない。それが、相応しいとすら思えてならない。
前巻で、あんなに素敵なハッピーエンドが見えた気がしたのに、銀子は超えられない壁を超えたのに。絶対に不可能だった世界へと、飛び込んでみせたのに。ああ、何もかもが遠すぎる。九頭竜八一はあまりにも、強大すぎる。
これ、本当にどうするんだろう。どこが着地点なのか、どうすればどうなればハッピーエンドなのか方向性すらわからなくなってしまった。
銀子が、八一に勝つしかないのか?

今回の奨励会編は、本当に誰が勝ち抜けるのかわからなかっただけに、最後の最後まで拳を握ったまま力が抜けない展開でした。感情移入してしまう、という意味では銀子だけじゃなく、ようやくその内面を垣間見せてくれた創多や、年齢制限によってこれが本当に最後の挑戦となる鏡洲さん、ヒールに徹しながらなぜ一度離れた奨励会を、アマの立場から這い上がってもう一度挑もうとしたのかが明らかになった辛香さん。誰も彼もが苦しみもがき、血反吐を吐くように戦う姿に心奪われ、感情移入しまくりました。
坂梨さんのくだりで決壊。泣いたよ。
これは本物の殺し合いでした。同じ棋士を目指して切磋琢磨した奨励会員同士、ライバルであり仲間であり、家族であった人たちとの殺し合いは、だからこそ殺し愛でもありました。これほど愛情を、親愛を、尊敬を込めて殺し合う戦いがあるのだろうか。相手の息の根を止める一指しに、血の涙を流しそうなほど苦しみもがく。生きて苦しみ死んで苦しみ、殺して苦しみ殺されて苦しむ。そうして苦しみあいながら、この最終局面に残った四人の間にあったのは、確かに大切な人への温かい想いであったのです。
だからこそ、辛すぎる。喜びと悲しみを、これほど一緒に味わう局面がこの現代にどれほどあるんだろう。
凄まじすぎる。

天ちゃん、君はこんなこの世の地獄みたいな場所を這い上がった、八一と指すためだけに這い上がった白雪姫と戦わなきゃいけないんだぜ。個人的には、あいよりもずっとこの子を応援している。この娘の心映えは誇り高く、果敢でカッコよく、女の子として健気で勇ましいその在り方が本当に好きだ。この娘はきっと、この作品に出ている女性の中で誰よりもイイ女になるだろう。間違いない。
あの奇襲は天晴極まる痛快なクリティカルだった。
それでもなお、あの血塗れで傷だらけのボロくずみたいな白雪姫の姿はあまりにも鮮烈で。
八一は魔王に例えられていたけれど、あらゆる本作のヒロインにとって銀子こそ魔王のように聳え立つ存在なのではないだろうか。まったく、勝てるヴィジョンが想像できない。本当にかろうじて、天ちゃんなんだよなあ。

鏡洲さんと創多のくだりでまた泣く。受け継がれる想いと夢、そして年相応の創多の満面の笑み。天才少年の、将棋を選んで良かった、という言葉。
戦いの後、殺し合いの後、そこに悔いはなく憂いはなく、先へと向かう者と見送る者の間に結ばれ託された思いの尊さに、ああ胸が熱い。この熱さが、たまらなく愛おしい。



 

9月30日

綾里けいし
(角川スニーカー文庫)
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慶野由志
(角川スニーカー文庫)
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三上こた
(角川スニーカー文庫)
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ヤマモトタケシ
(角川スニーカー文庫)
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桜目禅斗
(角川スニーカー文庫)
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タンバ
(角川スニーカー文庫)
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伏瀬
(GCノベルズ)
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棚架ユウ
(GCノベルズ)
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アロハ座長
(GCノベルズ)
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万野みずき
(GCノベルズ)
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支援BIS
(エンターブレイン)
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ぺもぺもさん
(エンターブレイン)
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とくめい
(エンターブレイン)
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飯田 栄静
(エンターブレイン)
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竹井 10日
(ファミ通文庫)
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小鈴危一
(モンスター文庫)
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川井 昂
(ヒーロー文庫)
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アネコ ユサギ
(ヒーロー文庫)
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朱雀 伸吾
(ヒーロー文庫)
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岩船 晶
(ヒーロー文庫)
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陽山 純樹
(ヒーロー文庫)
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ひだかなみ/山口悟
(ZERO-SUMコミックス)
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おだやか/クレハ
(B's-LOG COMICS)
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藤丸豆ノ介/友麻碧
(B's-LOG COMICS)
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一メルカ/深海亮
(B's-LOG COMICS)
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太田垣康男/矢立肇
(ビッグコミックス スペシャル)
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万乗大智
(少年サンデーコミックス スペシャル)
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9月29日

いのうえひなこ/棚架ユウ
(ライドコミックス)
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餅田むぅ/新山サホ
(ライドコミックス)
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八木ゆかり/保利亮太
(HJコミックス)
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青乃下/まきしま鈴木
(HJコミックス)
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表野まつり/柊遊馬
(HJコミックス)
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9月28日

三雲岳斗/Mika Pikazo
(新潮文庫nex)
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吉上亮/Mika Pikazo
(新潮文庫nex)
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9月27日

異識
(まんがタイムKRコミックス)
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ひさまくまこ
(まんがタイムKRコミックス)
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Koi
(まんがタイムKRコミックス)
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相崎うたう
(まんがタイムKRコミックス)
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セトユーキ
(まんがタイムKRコミックス)
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こめつぶ
(まんがタイムKRコミックス)
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福きつね
(まんがタイムKRコミックス)
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メイス
(まんがタイムKRコミックス)
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9月26日

えすのサカエ/宇野朴人
(角川コミックス・エース)
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相野仁/市倉とかげ
(角川コミックス・エース)
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平未夜/之貫紀
(角川コミックス・エース)
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大和田秀樹/矢立肇
(角川コミックス・エース)
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今ノ夜きよし/イノノブヨシ
(角川コミックス・エース)
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Ark Performance
(角川コミックス・エース)
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石田あきら/東出祐一郎
(角川コミックス・エース)
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前田理想/沢村治太郎
(角川コミックス・エース)
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鏡/丘野優
(角川コミックス・エース)
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東方Project/芦山
(電撃コミックスEX)
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笹倉綾人
(電撃コミックスNEXT)
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苗川采
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Dormicum
(電撃コミックスNEXT)
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山路新
(電撃コミックスNEXT)
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宝乃あいらんど/震電みひろ
(電撃コミックスNEXT)
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小早川ハルヨシ/金斬児狐
(アルファポリスCOMICS)
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くろの/永島ひろあき
(アルファポリスCOMICS)
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9月25日

涼樹悠樹
(オーバーラップ文庫)
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迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
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友橋かめつ
(オーバーラップ文庫)
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ネコクロ
(オーバーラップ文庫)
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ネコ光一
(オーバーラップ文庫)
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白米 良
(オーバーラップ文庫)
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白米 良
(オーバーラップ文庫)
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でんすけ
(MFブックス)
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出井 啓
(MFブックス)
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一分 咲
(MFブックス)
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筧千里
(MFブックス)
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カヤ
(MFブックス)
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波多ヒロ/あまなっとう
(ガルドコミックス)
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やもりちゃん/じゃき
(ガルドコミックス)
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もちろんさん/猫子
(ガルドコミックス)
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吉川英朗/月夜涙
(ガルドコミックス)
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吉乃そら/ネコ光一
(ガルドコミックス)
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天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
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卯乃米/桜あげは
(ガルドコミックス)
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綾北まご/冬月光輝
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9月24日

棚架ユウ/丸山朝ヲ
(バーズコミックス)
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天乃咲哉
(バーズコミックス)
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洋介犬
(バーズコミックス)
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かくろう/石神一威
(バーズコミックス)
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小林立/五十嵐あぐり
(ガンガンコミックス)
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小林立/五十嵐あぐり
(ビッグガンガンコミックス)
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小林立/めきめき
(ビッグガンガンコミックス)
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長田悠幸/町田一八
(ビッグガンガンコミックス)
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小林立
(ヤングガンガンコミックス)
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小林立/めきめき
(ヤングガンガンコミックス)
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福田晋一
(ヤングガンガンコミックス)
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田尾典丈/三雲ジョージ
(ヤングガンガンコミックス)
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戌森四朗
(ヤングガンガンコミックス)
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六本順
(ヤングガンガンコミックス)
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田澤裕/友井太郎
(ヤングガンガンコミックス)
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9月22日

十文字 青/原作・プロデュース:Eve
(MF文庫J)
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総夜ムカイ/原作・監修:みきとP
(MF文庫J)
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両生類 かえる
(MF文庫J)
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木緒 なち
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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川口士
(ダッシュエックス文庫)
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川口士
(ダッシュエックス文庫DIGITAL)
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川口士
(ダッシュエックス文庫DIGITAL)
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赤金武蔵
(ダッシュエックス文庫)
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河本ほむら/尚村透
(ガンガンコミックスJOKER)
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河本ほむら/斎木桂
(ガンガンコミックスJOKER)
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昆布わかめ
(ガンガンコミックスJOKER)
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サラ イネス
(イブニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニング KC)
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江口夏実
(モーニング KC)
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瀧下信英/津田彷徨
(モーニング KC)
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藤本正二/Juan Albarran
(モーニング KC)
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千嶌オワリ/津田彷徨
(モーニング KC)
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森高夕次/足立金太郎
(モーニング KC)
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一乃ゆゆ/佐島勤
(MFコミックス アライブシリーズ)
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杉井光/篠アキサト
(MFコミックス アライブシリーズ)
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ぐう/水無瀬
(MFC)
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柏木郁乃
(MFC)
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倭ヒナ/ぷにちゃん
(MFC)
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9月21日

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9月20日

大和田秀樹
(ヤングチャンピオン・コミックス)
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クール教信者
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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いとうえい
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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小宮地千々
(GCN文庫)
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一色一凛
(GCN文庫)
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風間レイ
(TOブックス)
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やしろ
(TOブックス)
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もちもち物質
(TOブックス)
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夕立悠理
(TOブックス)
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鳴沢明人
(HJ NOVELS)
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はぐれメタボ
(HJ NOVELS)
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9月19日

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9月16日

橘 公司
(富士見ファンタジア文庫)
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長岡 マキ子
(富士見ファンタジア文庫)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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七斗 七
(富士見ファンタジア文庫)
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いつきみずほ
(富士見ファンタジア文庫)
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ラマンおいどん
(富士見ファンタジア文庫)
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ラチム
(富士見ファンタジア文庫)
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紫大悟
(富士見ファンタジア文庫)
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朝陽千早
(富士見ファンタジア文庫)
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コイル
(電撃の新文芸)
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相原あきら
(電撃の新文芸)
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イダタツヒコ/広江礼威
(サンデーGXコミックス)
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やまむらはじめ/広江礼威
(サンデーGXコミックス)
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坂崎ふれでぃ
(サンデーGXコミックス)
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了子
(裏少年サンデーコミックス)
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神内アキラ
(裏少年サンデーコミックス)
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柊一葉/じろあるば
(裏少年サンデーコミックス)
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内藤マーシー
(講談社コミックス)
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宮島礼吏
(講談社コミックス)
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久世蘭
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
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裏那圭/晏童秀吉
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むちまろ
(KCデラックス)
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硬梨菜/不二涼介
(KCデラックス)
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さゆこ
(フロース コミック)
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あるてぃ/染井由乃
(フロース コミック)
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原泰久
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中村力斗/野澤ゆき子
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峰浪りょう
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雪森寧々
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小瀬木麻美/宮田ダム
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キナミブンタ
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大河原遁
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武田綾乃/むっしゅ
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子新唯一
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グレゴリウス山田
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ヤマザキマリ
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スガワラエスコ
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スガワラエスコ
(ヤングジャンプコミックス)
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瀬尾つかさ/bomi
(ヤングジャンプコミックス)
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川口士/的良みらん
(ヤングジャンプコミックス)
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9月15日

コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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福地翼
(少年サンデーコミックス)
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青山剛昌
(少年サンデーコミックス)
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青山剛昌/阿部ゆたか
(少年サンデーコミックス)
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かんばまゆこ/青山剛昌
(少年サンデーコミックス)
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田中現兎
(マガジンエッジKC)
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川田暁生
(マガジンエッジKC)
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ひな姫/猫又ぬこ
(マガジンエッジKC)
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水森崇史
(講談社コミックス)
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ひととせひるね
(講談社コミックス月刊マガジン)
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杜乃ミズ/餅月望
(コロナ・コミックス)
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中島鯛/ほのぼのる500
(コロナ・コミックス)
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まいたけ/生咲日月
(コロナ・コミックス)
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わかさこばと/春の日びより
(コロナ・コミックス)
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羽尻伊織/鉄人じゅす
(コロナ・コミックス)
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ハム男
(アース・スターノベル)
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友麻碧
(富士見L文庫)
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柚原 テイル
(富士見L文庫)
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七沢 ゆきの
(富士見L文庫)
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9月14日

鳥羽徹
(GA文庫)
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神田暁一郎
(GA文庫)
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佐伯さん
(GA文庫)
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佐伯さん
(GA文庫)
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海空りく
(GA文庫)
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海月くらげ
(GA文庫)
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柚本悠斗
(GA文庫)
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白石定規
(GAノベル)
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白石定規
(GAノベル)
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守雨
(GAノベル)
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金明豪×KJ
(アフタヌーンKC)
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こだまはつみ
(モーニング KC)
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9月13日

横島日記
(リュウコミックス)
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わらいなく
(リュウコミックス)
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9月12日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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河添太一
(ガンガンコミックス)
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宮澤伊織/水野英多
(ガンガンコミックス)
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南海遊/村山なちよ
(ガンガンコミックス)
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高津カリノ
(ガンガンコミックス)
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オジロマコト
(ビッグコミックス)
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ゆうきまさみ
(ビッグコミックス)
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田岡りき
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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源素水
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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七尾ナナキ
(裏少年サンデーコミックス)
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空谷玲奈/昴カズサ
(ガンガンコミックスONLINE)
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高野裕也
(ガンガンコミックスONLINE)
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礼島れいあ
(ガンガンコミックスONLINE)
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長岡マキ子/カルパッチョ野山
(ガンガンコミックスONLINE)
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森貴夕貴
(アース・スター コミックス)
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咲メギコ/師裏剣
(アース・スター コミックス)
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瑚澄遊智/漂月
(アース・スター コミックス)
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しろ
(アース・スター コミックス)
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檜山大輔
(アクションコミックス)
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浜田よしかづ
(アクションコミックス)
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ピロヤ
(メテオCOMICS)
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火曜
(まんがタイムKRコミックス)
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カエルDX
(まんがタイムKRコミックス)
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霜月絹鯊
(まんがタイムKRコミックス)
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そめちめ
(まんがタイムKRコミックス)
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9月10日

餅月望
(TOブックス)
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もちだもちこ
(TOブックス)
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岡崎マサムネ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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榛名丼
(TOブックス)
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9月9日

アサウラ/Spider Lily
(電撃文庫)
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アサウラ
(電撃文庫)
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佐伯庸介
(電撃文庫)
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西 条陽
(電撃文庫)
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宇野朴人
(電撃文庫)
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三河ごーすと
(電撃文庫)
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佐島 勤
(電撃文庫)
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鎌池和馬
(電撃文庫)
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駒居未鳥
(電撃文庫)
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逢縁奇演
(電撃文庫)
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ミサキナギ
(電撃文庫)
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丸深まろやか
(電撃文庫)
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岬 鷺宮
(電撃文庫)
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夏 みのる
(カドカワBOOKS)
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遠野 九重
(カドカワBOOKS)
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明。
(カドカワBOOKS)
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流優
(カドカワBOOKS)
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愛七 ひろ
(カドカワBOOKS)
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ヤマザキコレ
(BLADEコミックス)
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ツクモイスオ/三田誠
(BLADEコミックス)
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住川惠/甘岸久弥
(BLADEコミックス)
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yoruhashi
(BLADEコミックス)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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横山コウヂ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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福原蓮士/つちせ八十八
(ドラゴンコミックスエイジ)
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稲葉白
(ドラゴンコミックスエイジ)
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二式恭介
(ドラゴンコミックスエイジ)
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遠野ノオト/流優
(ドラゴンコミックスエイジ)
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はっとりまさき
(ドラゴンコミックスエイジ)
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神谷ユウ/桜木桜
(角川コミックス・エース)
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吉岡剛/菊池政治
(角川コミックス・エース)
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唐澤和希/藤本れもち
(角川コミックス・エース)
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皇ハマオ/月夜涙
(角川コミックス・エース)
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緒原博綺
(角川コミックス・エース)
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げしゅまろ
(角川コミックス・エース)
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ヨシラギ
(角川コミックス・エース)
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RYOMA/カンブリア爆発太郎
(角川コミックス・エース)
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レフトハンド/伽藍堂
(角川コミックス・エース)
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窪茶/涼暮皐
(角川コミックス・エース)
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ゼロキ/雪村ゆに
(角川コミックス・エース)
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蟹丹/トネ・コーケン
(角川コミックス・エース)
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TYPE−MOON/中谷
(角川コミックス・エース)
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Team RWBY Project/スエカネクミコ
(電撃コミックスNEXT)
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コトバノリアキ
(KCデラックス)
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吉村英明/木嶋隆太
(KCデラックス)
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金田陽介
(講談社コミックス)
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大森藤ノ/青井聖
(講談社コミックス)
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中丸洋介
(講談社コミックス)
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9月8日

エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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ヤチモト/resn
(KCデラックス)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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茅田丸/丁々発止
(シリウスKC)
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内々けやき/あし
(シリウスKC)
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マツモトケンゴ
(シリウスKC)
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くうねりん
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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芳橋アツシ/延野正行
(シリウスKC)
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亜希乃千紗
(シリウスKC)
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9月7日

赤堀君
(アフタヌーンKC)
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伊口紺/保志レンジ
(アフタヌーンKC)
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LEN[Aー7]
(アフタヌーンKC)
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深山鈴/茂村モト
(ガンガンコミックスUP!)
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森田季節/出水高軌
(ガンガンコミックスUP!)
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ケンノジ/松浦はこ
(ガンガンコミックスUP!)
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羽柴実里/zinbei
(ガンガンコミックスUP!)
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常磐くじら/桃山ひなせ
(ガンガンコミックスUP!)
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串木野たんぼ/ぽんこつわーくす
(ガンガンコミックスUP!)
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鈴木竜一
(SQEXノベル)
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初枝れんげ
(SQEXノベル)
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十夜
(SQEXノベル)
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9月6日

西尾 維新
(講談社)
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智弘カイ/カズタカ
(KCデラックス)
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二階堂 幸
(KCデラックス)
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9月5日

和成 ソウイチ
(ドラゴンノベルス)
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白水 廉
(ドラゴンノベルス)
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釜田/六つ花えいこ
(フロース コミック)
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御守リツヒロ/柚原テイル
(フロース コミック)
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轟斗ソラ/柏てん
(フロース コミック)
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ORKA/Spice&Kitty
(フロース コミック)
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9月2日

(TYPE-MOONBOOKS)
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浅野りん
(角川コミックス・エース)
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ナカノ/八木羊
(角川コミックス・エース)
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日月ネコ/渡辺恒彦
(角川コミックス・エース)
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バラ子
(角川コミックス・エース)
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赤羽ぜろ
(角川コミックス・エース)
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三部けい
(角川コミックス・エース)
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縞野やえ/MB
(角川単行本コミックス)
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葦原大介
(ジャンプコミックス)
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マポロ3号
(ジャンプコミックス)
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権平ひつじ
(ジャンプコミックス)
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タカヒロ/竹村洋平
(ジャンプコミックス)
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助野嘉昭
(ジャンプコミックス)
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空もずく/十森ひごろ
(ジャンプコミックス)
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猗笠怜司
(ジャンプコミックス)
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横山左
(ジャンプコミックス)
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岩田雪花/青木裕
(ジャンプコミックス)
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矢吹健太朗
(ジャンプコミックス)
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稲岡和佐
(ジャンプコミックス)
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叶恭弘
(ジャンプコミックス)
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大@nani/吉緒もこもこ丸まさお
(ジャンプコミックス)
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LINK/宵野コタロー
(ジャンプコミックス)
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LINK/SAVAN
(ヤングジャンプコミックス)
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桂イチホ/ふか田さめたろう
(PASH!コミックス)
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