あざの耕平

東京レイヴンズ 16.[RE]incarnation ★★★★★   



【東京レイヴンズ 16.[RE]incarnation】あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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「この夜が明けたとき、『新しい呪術の世』が幕を開ける」
昭和20年、戦時下の日本。東京を焼く空襲に、土御門夜光と相馬佐月は『双璧計画』の実行を決断する。それは『神』を降ろすことによって帝都を守る結界を築くという作戦だった。極めて壮大で難解で運命的な儀式の決行を翌日に控えた夜。「お待ちしています。幾瀬、幾歳の彼方で。私は―あなたのものですから」月明かりの下で咲き誇る向日葵、響く虫の音―ほんの一瞬の仮初の夏の夜に、幼馴染は約束を交わす。それは彼女の魂を長き旅へと導いて―。時を超え時を繋ぐ陰×陽ファンタジー。
多分、この作品において一番困難で繊細さを要求される部分こそ、「転生」における異なる人物の同一性だったのでしょう。土御門夜光と土御門春虎は異なるキャラクターでありましたし、それにまして飛車丸と土御門夏目は同一人物というのもおこがましいくらいの全く別人でありました。
魂が同一であっても、新しい生を得たからには全く別の人物である、というのが転生モノの大半の扱いでしょう。ただ、本作において魂の転生は時系列的にも一方通行ではなかったんですよね。むしろ、未来が先にあった。それは運命の出会いではあっても、すでに敷き詰められたレールの上を行くものではなかった。往還の旅路だったのでした。
あとがきであざのさんが、この過去編を一つのシリーズを書ききったようだ、と語っているようにわずか2巻ではありましたが、激動の時代を生ききった当時の夜光たちの人生が描き切られてたと思うんですよね。相馬佐月との最後の最期まで絶たれることのなかった友情、共有できた願い、約束。仲間たちと築いた黄金の時間。飛車丸との間に育まれた大切な思い出。彼らが残したものを、いろんな形であっても受け継いでいってくれた同じ時代を生きてきた人たち。そんな想いを引き継いでいった次世代以降の若者たち。
その果てに、春虎たちが生まれた時代があり、彼ら少年少女が懸命に戦った時代へとたどり着いたんですよね。この時代の変遷、まさに目の前で描き出された夜光たちの生き様と、その後の時代を見守り続けた飛車丸の眼があり、そして春虎としてコンとして夏目として懸命に足掻いた東京レイヴンズの物語が描かれたからこそ、ラストの合一になんらの違和も感じなかったのでした。
先ず、土御門混という女性と飛車丸という式神の分けられていた部分が、あの夜光の不器用な告白で合一なされたのが、また時代降って飛車丸がコンとして生きて、春虎たちと寄り添って一緒に生きた上で飛車丸へと戻ったことが、ハードルを引き下げることに成功していたのかもしれません。
それでも、夏目と飛車丸、あんなに違う人物だったのになあ。ここまでスッと、あのラストシーンで納得が行くとは自分でも不思議なくらいで、なんか感動的ですらありました。
ああ、夏目から旅立った魂が、飛車丸となって生きて恋して、そうしてまた夏目に戻ってきたという事実に、むしろ心地よいほどの合致感を得られたんですよねえ。
過去編はじまるまでは、コンと飛車丸と夏目に、とてもじゃないけれどイコールを結ぶなんて出来なかったのに。夏目が復活するにしても、飛車丸が喪われることに凄まじい欠落を感じていたのに。
全部、埋まってしまった。見事なくらいに、満たされた。
その感覚を思い返すと、この過去編は偉大ですらあると思うのです。

そして、二人の魂は再び出会い、未だ見たことのない未来へと進み出す。ちょっともう、びっくりするくらいドキドキしています。ここからどうなるのか。春虎と夏目が、これからどんなふうになるのか。ワクワクが止まらないのです。

それにしても、本当に見どころたっぷりでした、過去編。夜光編。佐月が期待してた以上にイイキャラクターすぎましたよね。ほんと、最期まで裏切らなかったもんなあ。彼に限らず、あの時代夜光とともに生きて輝いていた人たちの中に、悪い人はいなかったんですよね。結果として悪しきを成した人もいなかった。みんな全力で、やるべきことをやろうとしていた。
あの破綻は誰が悪いというのではなく、まさに時代であったとしか言いようがなく、そんな中で夜光が願っていたものが、とてもスケールでかく、一方でその芯となる部分はびっくりするくらいささやかであったことは、なんかすごく納得の行くものでした。あの願いもまた、春虎と夜光を不可分にしてくれた要素なのかもしれません。結局、なんにも変わっていないんだ、と確信させてくれた部分でした。
この東京レイヴンズは、一貫して春虎と夏目の物語であり、夜光と混の物語であった、ということなのでしょう。その意味でも、次からの展開は真の幕開けとも言えましょう。いやもう、ほんと次はもうちょっとだけでも、早く早くと急かしてしまいたいです。早く読みたい!!

シリーズ感想

東京レイヴンズ 15.ShamaniC DawN ★★★★   

東京レイヴンズ15 ShamaniC DawN (ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 15.ShamaniC DawN】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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幾瀬、幾年の彼方で会おう―遙かなる呪を抱いて、夏目の魂は転生した。後の世に伝説と語られる陰陽師・土御門夜光、その傍らに控える式神にして幼馴染の少女・飛車丸として。時は昭和14年、夜光が陰陽道宗家の家督を継いだある春の日。運命の分岐点は、赤髪の陸軍将校の姿を象って訪れる。「ぼくは相馬佐月。貴方と同じ―陰陽の道を歩む者です」人知れず呪術の未来を憂いていた夜光と、大戦前夜という情勢において陰陽道の再興を狙う佐月。二人の出会いがもたらすものは、呪術界の夜明けと、そして―。時を超えた魂がいま、すべての始まりを繙きはじめる。
二年ぶりの新刊かー! あざのさんとしたら初めてじゃないか、というくらい間が空いてしまいました。デビュー以来、決して速筆というわけじゃないけれど、コンスタントに本を出し続けたあざのさんですので、これは本当に苦戦したんだなあ。それは何となくだけれど、本分の方にも滲み出ている気がするんですよね。試行錯誤というか、安全運転というか。こう、行ったり来たりしながら話をばらしては組み立てなおして、登場人物にもキャラを掴むために何度も掘り返し、というような痕跡を随所に感じるのである。むしろ、その試行錯誤は新キャラではなく、夜光や飛車丸、角行鬼にこそ費やされていたのではなかろうか。角さんはともかくとしても、夜光と飛車丸って=春虎&コン/夏目という別人でありながら同一人物、というえらく難しい立ち位置である以上、その描き方のさじ加減って相当気を使わないといけないところだったと思うんですよね。まんま春虎じゃあ違うし、まんま夏目でもなんか違う。しかし、まったく違うわけではなく、同じ魂の持ち主でなければいけない。
そんな縛りがある上で、今回の過去編はキャラクターをいきなり渦中に放り込んで激動のさなかで立ち回らせる、のではなく、夜光と飛車丸たちにゼロから物語として動く流れを作り出して貰わなければならないのである。もちろん、プロットは決まっているなら話の流れというのも既に出来ているはずなんだけれど、だからといってそのとおりに物語が動き出すかというと、なかなかそう簡単には行かないものなんですよね。物理法則と案外似通っていて、停止していた物体を動かすことに必要なエネルギーというのは、既に動いている物体を動かし続けるエネルギーより多く必要とされるのと同じ原理が、物語にだって適用されるのだ。
それを担うべき過去の夜光と飛車丸は、まだ作者がキャラクターを隅々まで掌握しきれてない、把握しきれていない、定まりきれていない感じがして、これは苦労しただろうな、と。
その点、むしろ牽引役として大いに活躍してくれたのが、相馬の佐月くんなわけですよ。特に、澄ました顔をやめて本来の不良軍人的な顔を率直に見せるようになってからの、彼のあざの作品のキーキャラらしい内面の激しさには、一際視線を引っ張られたんですよね。相馬家の当主として、秩序を担う軍人として、新しい時代を切望する若者として。野心、義務感、傲慢、劣等感、克己心。正負様々な感情が渦巻き、先を見据えながらその先を未だ見いだせていない。信念と迷いが同居しながら、そこに「夜光と共に往くのなら」という同志として、友として、仲間としての意識を宿し、そのことに喜びめいたものを感じている。そんな相馬佐月という若者は酷く人間臭くて、同じ相馬でも自分の往く道の正しさを確信したまま進んでいた相馬の姫さんとはベクトルの異なる魅力の持ち主なんですよね。
むしろ、夜光は佐月の存在を起点にしてこそ、ようやく動き出せたと言えるくらいなんじゃないかと思うんですよね。物語的にもキャラクター的にも。
今のところ、夜光と佐月、二人は同じ道を歩み同じ未来を一緒に見ている、というかまだ一緒に探しているような段階なんですよね。なんで、なにがどうなって夜光の起こしたというあの事件に至ったのか未だまったくわからないし、想像もつかないわけだ。
ただ、夜光が最重要視してるのって、陰陽の未来や術者の世界の先行きとか、もちろん考えてはいるんだけれど、うーん……大事なのは、一番大事なのは、飛車丸なんだろうなあ。
やっぱりそこがポイントになってくるんだろうけれど、話はその肝心な部分の尻尾を未だ踏んでいないので、なんともかんとも。
思ってた以上に夜光が「政治」が出来ない人であり、決して謀略や計略に長けた人でもなかった、というのがわかってしまった以上、何もかもを夜光が仕組んでいた、というのはあり得なさそうになってるんですよね。ってか、生き当たりばったりだよね、けっこう。深慮はしても遠謀はしてないというか。考えなし、というわけでは全然なく、むしろよく考えてはいるんだけれど。根本的に感覚派なんだろうなあ、これ。
佐月くんの苦労が窺い知れると同時に、文句いいながら何だかんだと夜光の世話や後始末をするのにやりがいを感じてしまっている様子が何となく想像できてしまう。わりとダメな部分がはっきりしているので、それを助けたくなる、というタイプのカリスマになるのかねえ。
妹の小翳ちゃんも、なんだかんだと佐月と同じく、文句言いながら後始末してた人だしw
ああ、それにしても妹の小翳と飛車丸の関係が思いの外よくって、これが嬉しかったなあ。「お飛車さん」って、独特な呼び方、すっごい好きだわ。夜光と同じく飛車丸の方も小翳に頭があがらなくて、しかし夜光のやんちゃぶりに対する苦労に関してはまさに同志であり、お互いにとって数少ない気の置けない姉妹のような関係であり……。小翳さん、飛車丸に対しては一応当主の妹として分家の人間、それも式神という相手の立場上それ相応の態度はとっているのだけれど基本家族扱いだし、よくよく見ると飛車丸に対しても「妹」として接してるんですよね。当主であり後継者を作らないといけない兄に対して婚姻をせっつく様子が一切見られない点を鑑みても、彼女が飛車丸のことを「どう」捉えているか、というのは想像するに容易いのではなかろうか。
ともあれ、本格的に状況が動き出し、現在のあの顛末へと至る原因となる事件が起こるのは次巻となるか。一応次で過去編は終了みたいだけど、一旦動き出した以上は今回はそれほど間をあけずに続きを出してくれる、と信じたいんですけどね。

シリーズ感想

東京レイヴンズEX4 twelve shamans ★★★☆   

東京レイヴンズEX4 twelve shamans (ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズEX4 twelve shamans】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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東京を中心に霊的災害が多発する現代。呪術で東京を守る陰陽師の中でも選りすぐりの存在、それが『十二神将』である。史上最年少で『十二神将』入りし、『神童』の誉れ高き大連寺鈴鹿。悲しくおぞましい事情から禁呪に手を伸ばす彼女に、痩せた黒猫が囁く―「鈴鹿は自分が死んじゃってもいいの?」「鬼どもに任すは惜しい故―少し遊ばぬか?」呪術犯罪捜査官として『黒子』の異名を持つ大友陣。夜光信者を捜査する彼の前に現れたのは、「法師」とあだ名される伝説で…。呪術界の陰日向に活躍する『十二神将』。あの日あの時、彼らは何を視、何を想ったのか。語られなかった物語が、ここに。
「twelve shamans」のタイトル通りに今回の短編集は十二神将にスポットを当てたもの。と言ってもメインは鈴鹿と大友先生の話でその他の人たちの話は殆ど掌編なんですけどね。三善さんとかふたご姫とか、もっと人柄とか過去編とか内面とかに掘り下げて欲しい人は居たんですけどねえ。
鈴鹿の話は、彼女が神将に選ばれて……というかこの場合は試験を突破してということになるのか、そこから『神童』と呼ばれるようになって例の春虎たちと出会うことになる禁呪事件を引き起こすまでの期間のエピソード。一度は兄を蘇らせるために道を踏み外すことになった彼女だけれど、父親に呪術改造された子供として作られ、慕っていた兄を喪って荒んでいた彼女に戻れるだけの余地が生まれたのもこの時期だったんですねえ。
天海部長と小暮さんがあれ、よっぽど親身になって構ってたんだなあ、というのがよく分かる。そして、彼女の慰めであり心の支えとなっていた兄の残した猫の使い魔も。もし本当に鈴鹿に現世の拠り所となるものが何もなく、兄への憧憬だけしか残っていなかったらあの事件でポイントノーリターンを過ぎてしまっていたんだろうなあ。生まれて初めて兄以外で鈴鹿の身を案じてくれて心を尽くしてくれた大人が居て、まるで友達のように打ち解けた関係になってくれた青年が居て、自分を作った兄ではなく鈴鹿の事を最期まで心配してくれた使い魔が居て……こそ、この世への未練が鈴鹿の中に生じていた、と。
出会ったばかりの春虎たちでは、やっぱり鈴鹿を止めきれなかったと思うんですよね。その意味では、天膳部長たち大人はやっぱりいい仕事してるんだよなあ。
大友先生の方はずっと話題にはのぼっていながら語られていなかった彼の片足が失われる話、芦屋道満との初遭遇であり初対決となったエピソード。そうか、この頃にはまだ業界界隈でもDこと道満の存在というのは伝説以前に正体不明そのもので、裏の裏でホソボソと都市伝説のように語られる存在だったわけですね。まだ夜行信者が集まって不穏な動きをはじめる前の段階であり、大友先生が唯一世の不穏な醸成を勘で感じ取り、その確証を得るために動き回っているうちにDの暗躍に気づき、そのうごめく闇へと踏み込んでいってしまったわけか。
相手を追いかけていると思っていたら、いつの間にか逆に目をつけられて絡み取られてしまっていたというサスペンス調の謀略戦みたいな攻防は、ハラハラさせられて非常に面白かった。
正直、想定していたヤバさよりも実際のDのヤバさが段違いだったんですよね。結果的に不用意にタブーに触れてしまった、とも言えるわけでその意味では大友先生のミスとも言えるのか。だからこそ、大友先生はなりふり構わず逃げ出すことになったのだけれど、この決断力が大友陣の真骨頂とも言えるわけで。そうか、片足を失うって、こういう事だったのか。そりゃ、道満師が感心するわけだわ。そこまで躊躇なく思いきれるというのは、やはり尋常ではないですし。
興味深かったのが、涼先輩と思しき人の反応で……電話越しとは言えこの人がああいう反応するのか、と驚かされたような新鮮な心地になったんですよね。何考えてるかさっぱりわからないスットボケたあの人の素の心情をはじめて垣間見たような感覚、とでも言うのか。
彼女と大友先生、小暮くんの三人のエピソードはまず間違いなくやるんでしょうけれど、ようやく涼先輩側の内面の取っ掛かりを得られたんじゃなかろうか。

本編はどうやら苦戦中のようですけれど、満を持して作品通しての秘密が全部解き明かされる話になりますからなあ、ここは腰を据えてやって欲しいところです。期待値あがりまくってますよ?

シリーズ感想

東京レイヴンズ 14.EMPEROR.ADVENT ★★★★★  

東京レイヴンズ (14) EMPEROR.ADVENT (ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 14.EMPEROR.ADVENT】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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『天胄地府祭』―東京の霊相を一変させる大規模霊災テロの決行日まで、あと3日。夏目たちは神降ろしを阻止しようと、あらゆる手を尽くして奔走。その一手は『十二神将』の間にも波紋を広げていく。一方、暗躍する大友、牙を研いでいた鏡らも、決戦の舞台にあがる準備を進めていた。そして訪れる、上巳の日。星々が、呪術の粋を尽くして激突する中、黒き鴉の羽を纏った春虎もまた、決戦の地に舞い降りる。夏目を守る―彼女の式神として。その強き想いを胸に。時を超える陰×陽ファンタジー、いま交錯する願いが東京の夜を震わせ、時の輪を廻し始める―。
最初から最後までクライマックス! クライマックス! 読み終わった時、ひたすら「ほわーーっ! ほわーーっ! ほわーーっ!」と奇声を上げ続けざるを得なかったこの衝撃!
あかん、やばい、さすがや。この最後の堰を切ったあとの怒涛の展開の凄まじさにかけては、あざの耕平さんを超える人をまだ見たことがない。【Dクラッカーズ】しかり、【BBB】しかり。ノンストップでノーブレーキで登場人物全員が、敵も味方もあらゆる立場の人が怒涛のように押し寄せてくる激動の中で全力で抗い出す、走りだす、戦いだすのである。その一人ひとりの痛みを伴う決意を、覚悟を、必死さを、余すことなく描き出すのだ。もう、圧倒されるしか無い。
霊災テロの決行日まで、あと3日。小暮を失ったことでほぼ打つ手をなくしてしまった夏目たちが選んだ、賭けに等しい一か八かの勝ち筋。ここからの大逆転劇がもうね、もうね……ッ。
うわぁぁぁ。
これもDクラやBBBでも同様だったんだけれど、戦うべき世界を自己完結させて狭めないんですよね。世論に訴える、情報戦というのを殊の外大事にしている。
映像が、言葉が伝える情報が、公に掲げられた真実が爆弾となって炸裂する。
世界の存亡を賭けての戦いだからこそ、何が正しいのか、どんな世界を選ぶのか、というのをメインの登場人物たちだけではなく、世間に訴え問いかけることを辞めないんですよね。いやまさか、ここまで劇的に逃亡者で指名手配犯だった夏目たちと、陰陽庁の長官であり権力側だった倉橋たちとの力関係がひっくり返されることになるとは思いませんでした。
キーパーソンは、何の力も持たない術者でもないただ一人の女性記者。
まさに激動のラストデイズ。
もう何度も激動という言葉を使ってしまってますけれど、正直何度繰り返し使っても足りないくらい。
真実へといち早く辿り着いた十二神将たちの選択も、それぞれがまた重く痛い。弓削の麻里ちゃんの動点も然ることながら、山城くんの決断もどれだけ苦しいものだったか。そんな若者二人の苦悩を見守る三善さんがねえ……今まで見せていたそっけなさというか、あんまり他人を眼中に入れてなさそうな態度とは裏腹の、年上の大人の包容力みたいなものを今回はずっと醸し出していて、正直惚れ惚れしました。かなり瀬戸際の危うい橋を、不安定な若者たちと連れて渡ることになったにも関わらず、この人が居てくれるだけで大丈夫、という安心感がずっとありましたからねえ。
一方で宮地さんである。この人はこの人で、不安定で曖昧な位置に居ながらそこで安定してしまってるんですよねえ。すごく中途半端なところでフラフラしているにも関わらず、あまりに芯が据わっちゃってるのでその中途半端な位置で定まってしまった、というべきか。だからこそ、麻里ちゃんにああやって親身になって厳しく自分と違った道へと正して戻してあげられたんだろうけれど、ほんと酷いおっさんだよなあ。
これまで、本当は何を考えているのかわかりにくかった黒幕の一人である倉橋長官にも、すべてではないけれどその内面を描きつつスポットがあたることに。この人も、野心や欲望によるものではない宿命に準じた覚悟にもとづいて動いてるんだよなあ。それは、親愛の情を心の棚に区切って収めなければ成し遂げられないものではあるものの、愛情とか友情を喪ってしまったわけじゃないですよね。ちゃんと持ち続けているからこそ、ツライ。
倉橋長官、京子が星読みとして目覚めていること、知らなかったんですよね……。
知らなかったこの月日が父娘の断絶の深さを思い知らされると同時に、その事実を知った時に長官が抱いたあの胸がいっぱいになるような誇らしさ、寂しさはこれ以上なく父親としての情であって……彼の多軌子への接し方も含めて、この人の不器用さにはどうにも胸が切なくなります。
他にも、鏡といい大友先生といい、冬児といい、もう言葉を尽くしがたい思いで全力を振り絞ってるんですよね。皆が、死力を振り絞っている。

その果てが、これか……。

まだ山の頂上にたどり着いていないのか。
その前に、あまりにも衝撃的な真実が激突してきて、意識が飛びましたよ。真っ白だ。
そういうことだったのか!!

このシリーズはじまった当初、自分はある人の正体についてわりと自信を持って予想を立てたのですが、それは見事に大外れで、むしろどうしてそのキャラが件の人物の正体であると考えなかったのか不思議なくらい自明の配置で、意識の死角というものに唸ったものでしたけれど……。
ある意味、あの時の予想は正鵠を得ていたのか。
この事実は、同時に夜光の記憶が戻ったあとの春虎の状態。二人の違う人間の人格の統合がどういう形でなされているのか、という疑問にも答えが導き出される展開なんですよね。
これまで、春虎と過去の偉大な陰陽師である夜光とは違う人間なんだ、という意識がずっと付きまとっていったのだけれど……そうか、そういう事だったのか。
何もかもが繋がって、一貫していて、たったひとつの願いのもとに連なっていたのか。土御門夜光が、何をしようとしたのか。今までまったく不明だった真実に至る欠片を、ようやく掴んだ気がする。
うわーー、これはもう。このシリーズ自体、最初からそのテーマが何一つブレてないんじゃないか、これ。
すごいわー、凄すぎるわー。
次回は、核心へとたどり着く過去編へ。これをやらないと、何も始まらないし、どこにも繋がらないものね。
ああ、早く読みたい。興奮、未だ冷めやらず。

シリーズ感想




東京レイヴンズEX3 memories in nest4   

東京レイヴンズEX3 memories in nest (ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズEX3 memories in nest】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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陰陽師を育成する「陰陽塾」。それは、いずれ夜空に羽ばたく闇鴉の雛たちが、力と絆をはぐくむ巣。誰かに見られたら秘密がバレかねないモノを塾内で紛失してしまった夏目は、春虎たちと夜の塾舎へ潜入することに。最近、夜に塾内を徘徊しているという謎の式神と遭遇して…!?真夜中の陰陽塾での大騒ぎや、天才美少女からのエスケープ、コンの増殖(!?)事件など、陰陽塾での賑やかで鮮やかな日々がここに紡がれる。伝説の陰陽師・土御門夜光と、彼の式神・飛車丸、角行鬼のありし日の憶い出を描いた書き下ろしも収録。
どうしてこう、夏目はやることなすこと黒歴史ばっかりなんだろう。輝かしい青春時代、のはずなんだけれど、夏目に関してはちょっとシラフで語れないようなことが多すぎるんですけれど!! 今となっては笑い話だ……と、本人笑顔で言えないレベルのことが多すぎるんですけど!
本編の方ではもうマトモな日常生活を送れないような切羽詰まった状況になっていて、陰陽塾時代のことは随分遠い出来事になってしまったのだけれど、「あの頃」を懐かしく思いながら当時のことを思い出すと、おおむね夏目が蹲って顔を覆ったまま停止してしまう気がするんですけれどw
というわけで、優等生にして生真面目で堅物であるが故にゆるい春虎や冬児たちを説教し叱咤する側のはずの夏目さんでありますが、実際一番「やらかして」トラブルを起こした上にどうしようもないところまで悪化させているのかというと、アナタです、アナタ!
勿論、春虎をはじめとしてトラブルを起こしてしっちゃかめっちゃかにする人材には事欠かないのですけれど、顔を覆って呻くしかないようなとんでもないことを仕出かすのは、だいたい夏目なんですよねえ。
そんな夏目さんが今回やらかしたのは、ソシャゲ廃人へのデスロードである。ああ、うん、ハマるよねえ。この娘は一旦沼にハマると、真顔でより深みの方に突進していくんですよねえ。
止まれよ!
この娘のアクセルベタ踏みしてる自覚なしの暴走っぷりは、毎度ながらいっそ清々しくすらある。これに関しては、若さ云々じゃなく一生変わらなさそうなのが何ともはや。

「第三話 式神行進曲」
これはラストの写真に尽きるでしょう。ってか、なんでこの写真のイラストがないのか、というレベル。想像していたのを遥かに上回る可愛らしさだった。

「第四話 コン!コン!コン!」
これもイラスト、というよりも映像作品が欲しくなるエピソード。ユーチューブにアップせよ!
春虎も、安易に褒めるからー。そりゃ、可愛いかわいいと褒めたくなる気持ちもよくわかるんだけれどね。それで浮かれてしまう人をどうやってうまいこと止めるのか。これがなかなかの難題である。
あとで、この話を聞いた角行鬼がフリーズしてしまうのもよくわかる。本当になにをやってるんだ(笑

「ザ・ナイト・ビフォー・トライアングル」
思えば、土御門夜光がちゃんと描かれるのって、この話が初めてなんですよね。どうなんだろう、春虎とそこまで似ているかというと微妙かなあ、と思うところなんだけれど、快活さに自信と貫禄が備わってる、という所なのかなあ。
そして、これは初登場にして初情報なんだけれど、夜光に妹ちゃんの存在が。そうかー、春虎の家系ってこの妹の系譜にあたるのか。現代の土御門家って夜光の子孫と言われてるけれど、夜光に子供が居るという話はとんと聞かなかったのでどうなってるんだろうと首を傾げていたのですが。なるほどなるほど。でも、戦後苦労したんだろうなあ。夜光がああなってしまったあと、土御門家は随分と風当たりきつかったみたいだし。逞しそうな妹さんだったので、そこは踏ん張ったんだろうけれど。
しかし、夜光さんてば本当に規格外だったのですねえ。いや、禁呪であるはずの泰山府君祭、そんなに軽々と使っちゃって。え? そんな普通に使っちゃうの? と若干呆気にとられたり。鈴鹿がどれだけ危ない橋渡ってそれやろうとしたのか……。復活した春虎もそこまで気楽には使ってなかっただけに、まさに全盛期だったのか。
そんでもって、これが千年生きた茨木童子が角行鬼として、夜光の式神となるエピソードとなるのだけれど、夜光に纏わる話は物語の根幹に繋がるもの以外でも多分たくさんあると思うんですよね。倉橋理事長や闇寺の爺ちゃんなどとの若かりし日のあれこれ。飛車丸や角行鬼との出来事なんかも。もう本編クライマックス入っているので、果たして短編集が出るか微妙な所なんですが、もっと夜光時代のエピソードは見てみたいなあ。







東京レイヴンズ 13.COUNT>DOWN4   

東京レイヴンズ (13) COUNT>DOWN (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 13.COUNT>DOWN】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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夏目の窮地を機に、身を潜めていた仮初の巣から飛び立ち集結した仲間たち。再会を喜ぶのも束の間、わずか数日後に大規模霊災テロが計画されていることを知る。それは過去2度にわたり上巳の日に起こされてきた霊災テロの3度目―「本番」とも言うべきものだった!陰陽庁のトップ・倉橋ら、強大すぎる敵を前に、夏目たちは味方を増やすそうと行動を開始。が、それを阻むかのように陰陽庁がある声明を発表し…!?奔走する若き闇鴉たち、荒御霊を従えた元講師、独自の行動をとる『十二神将』、退路を断たれゆく春虎―刻々と迫る決戦の日に向け、星々が錯綜し戦況は目まぐるしく変転する!
もう十分追い詰められていると思うんだけれど、さらにそこから追い込むのか。容赦の欠片もないなあ。
バラバラに散らばっていた仲間たちが集結する、という盛り上がりはそのままラストバトルに突入してもおかしくないテンションだったのに、そこからジェットコースターで真っ逆さまに落ちるみたいに再下降だもんなあ。実際、この数年でみんな実力を蓄えてそんじょそこらの陰陽師では太刀打ちできないレベルに達した、とはいえトータルで見ると土御門の親父さんたちが捕まってしまい、春虎とは未だ合流できず、春虎の方もコンが戦線離脱、と戦力的に見れば倉橋一派とは比較にならないわけで。とにかく戦力が足らない、全然足らない!!
作中でも強調されていたけれど、天海部長が一緒に居てくれなかったら、三度目の震災テロというタイムリミットも迫った中で果たしてまともに動けたかどうか。そして、ここからも「大人」たちの重要性は欠かせないものなんですよね。その意味でも、陰陽庁の中で一番話しがわかる木暮さんに接触し、陰陽界全体に信望厚い彼を通して真実を広めて、味方を増やそうという試みはまさに逆転の一手だったはずで、普通の展開ならここを足がかりに事態を打開していくもんなんだけれど……本作はあっさりそれを叩き潰して追い込む追い込む。
権力サイド、というよりも情報を事実として左右できる側が敵に回ってると、本当にたちが悪い。大義が得られない戦いは、どうしたって世間まで敵に回ってしまう。それは、本来敵対しなくて済む人たちまで敵に回してしまう、という事なんですよね。これを甘く見てる作品はけっこう多いけれど、本作はその辺ある意味徹底してる。これは【BBB】の頃からそうでしたけれどね。
だから、夏目たちがどれだけ追い詰められても自暴自棄にならずに、可能性が限られていてもちゃんと大義を得る方向の作戦も進めているのには安心した。逆に言うと、どれだけ焦っても地に足をつけている夏目たちに対して、大友先生がどれほど不安定なのか、前のめりになってしまっているのかが対比として浮き彫りになった感じ。ある意味、大友先生こそライトノベルの主人公的な世界を敵に回しての孤軍奮闘に勤しんでいるとも言えるのが、なんとも興味深い。先生の危うさは、彼に絶対の信頼を置き憧れ頼りにしていた生徒たちからすると、不安を掻き立てるどころじゃない人が変わってしまったかのような感覚を覚えてしまうのも無理からぬことなんだけれど、それを一言で印象まるっとひっくり返してみせた天海の爺さんの言葉の魔術の見事さには、今振り返っても感嘆のため息が漏れてしまう。これぞ、乙種呪術だよなあ。
ともあれ、倉橋一派の動きはつくづく要所を抑えていて心憎いばかり。大友先生が視野狭窄に陥るのも仕方ない部分なんだけれど、決してその動きは計画通りではないんですよね。そのために微妙に不具合は出てきているし、隠蔽にもほころびは出ている。陰陽庁上層部の動きに違和感を覚えている人はけっこう居るようですしね。木暮さんも、いったい何を考えているのかわからず不気味なところがあったんだけれど、どうやらこの人は一切変わっていなかったようですし。ってか、本当にこの兄ちゃんは一貫して揺るがず正統派のヒーローだよなあ。
意外な人物が意外な発言をしていたり、とこれは思わぬ人物が予想外の活躍をするフラグがあちらこちらに立っている気がする。まあ内側からの突破口になりそうなのは、三善さんだろうな、というのは予想通りでしたが。あんなキワモノ、もといクセモノがそうそう良いように使われるはずないもんなあ。

しかし、改めてみんなで集合してみると、鈴鹿と天馬の成長が際立ってましたよねえ。あのワガママで繊細なお嬢様が、人を気遣い気を回せるしっかりとしたお姉さんになり、大人しくてコンプレックス持ちで一歩退いてたような天馬がこんなに頼もしくなり、と。能力的以上に人間的成長が眩しい。なんか、以前にもまして鈴鹿と天馬の相性ががっちりかみ合ってきてる気もしますけど。天馬の鈴鹿へのフォローも以前の恐る恐るとしたものから、えらい余裕のあるものになっちゃってますし。ってか、普通にイジってるし。鈴鹿も、天馬にイジられるのあんまり嫌がっていないのが、なんともはや。

さて、倉橋、ひいては相馬一派がいったい何を目論んでいるのか。ようやくその正体が霧の向こうから垣間見えてきた感があるけれど……まだまだ不明な部分も多すぎて。
それに、わざと土御門のご先祖様である安倍晴明を、一部だけ「清明」と表記していたのか。わざわざ強調していたのを見る限り、かなり重要な部分っぽいのだけれど。
いずれにしても、いいところで終わりすぎ! いや、この数巻ずっとどこで終わっても「そこで終わるのかよ!」と悲鳴を上げざるを得ないくらい、切れ間なくクライマックスなんですけどね!!

シリーズ感想

東京レイヴンズ 12.Junction of STARs4   

東京レイヴンズ (12) Junction of STARs (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 12.Junction of STARs】 あざの耕平/ すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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空を舞う『スワローウィップ』の群れ、くちばしからたなびくピンクのリボン―それは、天馬から夏目への“秘密の伝言”。そのメッセージは夏目だけでなく、決起の日を待つ仲間たちのもとにも届いていた。そして、都内にて潜伏する春虎にも。夏目が東京へ戻ってきたことを知った春虎は、焦燥を募らせる。夏目とは会えない事情があった。早く“捜し物”―『鴉羽』と対になる呪具を見つけなければいけないのだが、成果のないまま徒に時が過ぎていく。そんな春虎を追い詰めるように、夏目の危機を知らせる報がもたらされ…!?東京の闇の中、運命を背負う星々が瞬き、交錯する―!
おっおっおっおおおおおお、おおおおっ! かかか加速、ブーストが始まったぁ! こうなると止まらんよ、この振り落とされそうな疾走感。これこれ、あざのさんの作品はこれがたまらんのですわ。この質量があるかのような怒涛の展開。読み手の襟首を鷲掴みにされて、そのまま全力疾走で引きずり回されるかのような掌握力。ここまで圧倒的な展開力を持ってる作家さんは、まだまだ数少ないだけに、いざそれを食らってしまうと、構えていても「持って行かれ」てしまいます。
これから本巻を読む人は、是非余裕を持った読書時間の確保を。まさに火蓋が切られてからは、何があっても途中で読むのを中断するわけにはいかなくなりますから。
ついに、というべきなのでしょうか。蜘蛛丸と夜叉丸が動いたこの時こそ、皮肉なことに雛鳥たちが本当の意味で親鳥たちの庇護から離れる時だったんですなあ。すでにもう、旅立ちに対する心の準備は天馬があの花火を上げた時にできていたのでしょうけれど、夏目の危機の報が轟いた瞬間、あそこまで一気に何もかもが動き出すとは。籠の中の鳥たちまでもが、自力で飛び出してくるとは。
京子や鈴鹿はもっと面倒な展開を挟むのかとも思っていたので、あそこまで迷いなく檻をぶちぬいていかれたら、痛快以外のなにものでもありませんでした。いや、物理的な障害以上に、彼女たちの気持ちの問題としてもうちょっと回り道があるかな、と思ってたんですよね。見縊ってました、夏目のもとに駆けつけるのに、空白期間も置かれた立場も環境も、彼女たちにとって何も関係なかったことが、なんだかすごく嬉しかった。
こいつら、まったくもって最高ですわ。そして、最近の天馬くんが色々な意味で頼もしすぎる。みんな行き当たりばったりの中で、天馬が居なけりゃ何も成り立たないじゃない、これ。これほどの大重要人物をノーマークだった、というだけで敵さん大チョンボですよ。いつだって、此処一番で大仕事をやってのけたのは彼だったのに。上ばかり見ているから、こうなるのだ。ざまあw
しかし、今もって春虎の目的は定かじゃないんですよね。夜叉丸がだいぶ探り入れていましたけれど、いまいち的を絞れない。いや、春虎としては夏目の不具合を完治させるという目的は一貫しているのかもしれないけれど、夜光としてはどうなのか。
ぶっちゃけ、夜叉丸たち双角会は、というか世間の人たちは皆揃って、夜光が行った大儀式を「失敗」したと決めつけて疑いもしていないようだし、春虎も否定はしていないのだけれど……土御門夜光は、本当に「失敗」したのか?

一方で、ジョーカーとして動きまくっていた大友先生は、まさかまさかのダメ出しにここまで来て立ち止まってしまうことに。大友先生の危うさは、二期に入って強調されていたところではあったのですが、あそこまでキッパリと拒絶されるとはさすがに思わなかった。でも、今の大友先生ってべらぼうに強くはなっているのかもしれないのですが、一方で講師をやっていた頃の、誰と相対しても揺るがなかった安心感がなくなってるんですよね。あの頃は、負ける姿が想像できなかった、どんな相手展開でも最悪引き分けにまで持っていくような強かさやしぶとさが感じられたのに、今の大友先生は……鏡がまた張り切ってビンビン蓄えてるんだよなあ。
その意味では、ここで一度キッパリダメ出しされるのは良かったような、はたまた余計に不安定になってしまいそうな気配もあり、なんとも……。
そういえば、ようやく大友先生と木暮さん、そして涼が袂を分かった原因となる事件が見えてきましたね。その事件、あの女性記者の姉の、陰陽塾の講師だった人の死が、全く今の事態と関係のない独立した事件だった、とは考えにくいので、今後また深い所で絡んでくるのでしょうけれど、子供たちが独り立ちした分、ちょっと早めに三羽烏たちのエピソードも進展してほしいなあ。

と、状況は収まるどころかどんどんカードをつぎ込む形で留まる所を知らないまま盛り上がりはうなぎ登りの常態のままこの巻終わっちゃったので、次早く出ないと死にます。死にます。

シリーズ感想

東京レイヴンズ 11.change:unchange4   

東京レイヴンズ11change:unchange (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 11.change:unchange】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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新年、東京。春虎を追い続ける夏目は、久しぶりにこの街に帰ってきた。呪術界を揺るがしたあの夜から一年半。かつての仲間たちの現状が気になりながらも、会えば迷惑をかけると己を律する夏目に、秋乃の素朴な言葉が突き刺さる。「夏目はいいの?友達に会えなくていいの?」一方、夜の東京の片隅で、陰陽庁の仕掛けた「餌」に大きな獲物が食いついた。始まる激しい呪術戦。出動した『十二神将』と対峙するのは―。変わりゆくもの、変わらないもの。呪術と陰謀渦巻く東京で、再び運命が動き出す!
天馬のやつが本当にいい仕事するよなあ、こいつ。仲間たちとの出会いはどれも得難いものだったけれど、その中でも天馬という何も特別ではない少年とこうして友達になり、仲間になれたことこそが特別だったんじゃないかと、こうなってみると思えてくる。彼と仲良くなったのって、冬児がたまたま適当に声カケたから、でしかないんですよね。きっかけとしてはただそれだけで、だからこそ大きな運命すら感じてしまう。
鴉羽の時にしても、今回にしても、要となり先へと繋ぐ結び目となっていたのは間違いなく天馬でしたし。あの隠形術の使い方に目覚めた時から、ずっと密かに鍛え続けている、というのも良かったなあ。どうしても甲種前提の力を鍛える方向に行っている他の子たちと違って、天馬が一番乙種の使い方、というか使い様を自然に体得していっている気がする。ある意味、本当の陰陽師に近い道を歩んでいるのかもしれないですね。

というわけで、二部スタートにあたり、春虎と夏目以外の仲間たち、主要人物たちがこの二年、どういう道を選択し、どう過ごしてきたかの歩みを辿る足場固めの回でした。冬児が天扇と逃亡し、京子は学園に戻りながら監視される日々、鈴鹿は研究室に戻った、というのは前巻でもチラリと触れられていましたが、実情はどうなっているのか、というお話。なし崩しにそうなった、というわけじゃなく、鴉羽の事件のあと、一度集まって相談した上で決断した道だったわけですな、それぞれ。みんな目的意識を持っての選択であったが故に、この仲間たちと一切接触が立たれ孤立した状態に置かれながらも、強く心を持ってそれぞれに自分を高め、春虎と夏目の帰還を待つ日々だったわけですが、それでも二年間ずっと孤独に過ごし続けることの辛さは、徐々に各々を苛んでいたのでしょう。特に、事実上監禁状態にあった京子と鈴鹿の疲弊は見るに耐え難いものがありました。
だからこそ、夏目の手紙にかこつけた、天馬のアレは素晴らしかったんだよなあ。閉塞を一気に打破する、素晴らしいメッセージだった。そりゃ、テンションもあがるってなもんですわー。

天海の爺さん、後遺症はかなり重いもので、老齢ということもあり、さらに呪力の封印も解かれぬままである以上、もう全盛期への復帰は叶い難いのか。でも、呪捜部というのは食わせ物揃いのようで、頼りになる御仁、という風はまるで変わらず。ただ、冬児を鍛える師匠役としてはちょっと筋が違うみたいで、冬児が自分の鬼を制御する指導役に選んだ人物は、ぶっちゃけあまりにも予想外過ぎてぶっ飛びました。
よりにもよってこいつかよ!!
この人のポディションほど訳わからんのもないよなあ。これだけ危ない人物にも関わらず、実際何度も危害を加えられているにも関わらず、決定的に敵に回っているわけではないんですよね。位置取りもかなり独特だし、今後の動静が全く読めない人物でもある。にしても、大友先生好きすぎだろう、こいつ。そこまで真似したがるか。

その大友先生だけれど、こっちはこっちで春虎と同じレベルでテロリストとしてはっちゃけ中。京子の星詠みが不安すぎるんですが、Dの闇に飲まれつつあるのかしら。なんかまた濃ゆそうな式神が二人登場してますけれど。いや、大友先生よりもなんか変わっちゃってるのが木暮っちですよ。まさに人が変わったような風情で。ってか、神通剣、本気になった時の強さが尋常じゃないを通り越して異常なんですが。木暮さん、こんなにデタラメだったのか!? ぶっちゃけ、炎魔の人より強くないですか? 火力で押し切る宮地さんよりも応用性ありそうですし。
化け物揃いの十二神将の中で、新加入の山城くんが、相変わらず凡人の才をひた走っているのが微妙に笑える。でも、この作品の場合、未熟だったり地味だったりするのは成長フラグなんですよね。実際、他の十二神将と較べて力も特徴も乏しい中で、いい味を出しつつある。化けてくれそうなんだよなあ、彼。

さて、未だに謎のままの倉橋長官一派の本当の目的。夜光の遺志を継ぐ、と標榜しながらも決して夜光を崇め奉るのが目的でなかったのは、復活した夜光である春虎と完全に敵対状態に入っちゃってる事からも明らか。その真意を探るために相手の懐に飛び込んだ鈴鹿だけれど……そうかー、相馬の姫、多軌子と交友を結ぶことになっちゃったか。多軌子は、ほんとに昔と変わらないまんま。鴉羽の事件を通じてもうちょっとスレちゃうかなあ、と思ってたんだけれど、いい意味でも悪い意味でも純粋なまま。
でもね、人を呪わば穴二つ、じゃないんだけれど、交友を深めることで情に訴え、情によって鈴鹿を縛ろうとする呪は、そのまま多軌子にも及ぶ呪なんですよね。
多軌子の純粋さは、自分の正義を疑わない純粋さは、この呪をものともしないのかもしれないけれど、さて……。
しかし、なるほど、八瀬童子はそういう意味だったのか。相馬家が、あの人物に繋がる血統だった、というのも驚きだけれど。これは、相馬の血、というのは予想以上に重要になってくる予感。秋乃の存在だけならまだしも、鈴鹿もまた「相馬」だったとなると、なおさらに。

そんな血の宿命に縛られている多くの人々の中で、血に縛られない、願いによって結ばれた運命がある。
夏目の出自が本当に何の因縁もないゼロからのものだった、というのはなかなかの驚きでした。春虎の両親の本当の子、というパターンでもやっぱり違ったのか。そして、誰かの生まれ変わりでもなんでもなく、きっと本当のイレギュラーだったわけだ。その娘を、泰純が願いを込めて運命の輪の中に招き入れた、と。ようやく、本当の父娘として胸襟を開けて語り合う二人の姿に、思わずジンとしてしまった。良かったよ、血の繋がりがないとはいえ、夏目はちゃんと土御門の一員で、家族だったんだなあ。

さあ、再び舞台は東京に。天馬が掲げたそれが、新たなる動乱の号砲となるのか。次からこそ、大きく動き出しそうだ。

シリーズ感想

東京レイヴンズEX2 seasons in nest3   

東京レイヴンズEX2 seasons in nest (ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズEX2 seasons in nest】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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クリスマスといえばプレゼント交換にミニスカサンタ、そして―式神のひく橇で夜空を飛翔!?未来の陰陽師を育成する機関―陰陽塾。クリスマスとは無縁そうなこの学び舎だけれど、一年で一番盛大に行われるのは、なんとクリスマス・パーティーだった!ただし、呪術が息づくこの場所で、普通のパーティーで終わるわけがなく…。聖夜をはじめ、節分、新入生との交流、三者面談など、陰陽塾に訪れる、四季折々の騒動を綴った短編集が登場!のちに『三六の三羽烏』と呼ばれることになる大友や木暮たちの陰陽塾生時代を描いた書き下ろしも必読。

<第一話・聖夜ランデブー>
孫娘にミニスカサンタ服を実装するお祖母さん。倉橋理事長って、息子と違って人生謳歌してそうだよなあ、これ。陰陽塾あげてのクリスマス・パーティー、しかも生徒はスタッフ扱いって、殆ど塾の私物化だよねw まあこれ、考えてみると文化祭代わりになっていると思えばいいのか。しかし、陰陽塾きっての一大イベントがクリスマス・パーティーって……。しかし、春虎、パーティー用とは別に夏目だけにプレゼント用意してるとか、そりゃ鉄板だよなあ。

<第二話・バトル・オブ・ビーン>
京子と夏目になにさせてんだーー!! いや、これはギリギリもうアウトでしょう、アウト! 大惨事じゃないかっ。いや、怖いもの見たさでアニメで見てみたい気がするけど、このシーン。いや、やっぱり見ると何か大切なモノを失ってしまいそうな気がするので封印の方向で。大友先生は、いらんことしすぎやっ!!


<第三話・新入生十二神将>
あれ? この話って単行本化されてませんでしたっけ? アニメでこの話見た時は、てっきり、鈴鹿が帰ってきたあたりの4巻か5巻に収録されてる話かと思ってた。あんまり記憶に無いなあ、とは思ってたんだけれど。
しかし、アニメは概ねアレなんですけれど、鈴鹿だけはキャラの魅力的にも爆上げなった気がする。


<第四話 銀色の髪の後輩>
春虎たちの後輩の話が出てくるのは初めてか。これって、スピンアウトの漫画のキャラクター? 【Sword of Song】っちゅう漫画の主人公みたいですね。そっちのキャラの紹介、みたいな感じか。同時に、夏目の性別誤魔化す術が対プロ仕様であって、逆に素人相手には隠蔽がうまく作用していない、というのが如実にわかるお話。……これって、夏目が街歩いている時に一般の人にどう見られてるのか、気になるところですね。


<第五話 ティーンズ・ミッション>
大友先生が理事長命令で自分の担当する生徒たちの三者面談をやっていく、というお話、あるいはプレイw
きれいな目で見たら、倉橋理事長が教師としては新任である大友先生に経験を積ませ見識を広げさせるために用意した場、とも言えるんだけれど、完全に面白がってますよねこれ。
いやでも、実際の面談の様子見てると、実に立派に教師してるんですよね。ここまでいいコト、実になる事を言える先生はそうそういないですよ。綺麗事やお為ごかしで繕わず、率直に言ってのけるあたりなんかねえ。


<エンカウンター・トライアングル>
三羽烏こと、木暮、大友、早乙女の三人が学生時代、それも三人が初めて出会った時のエピソードから。
いや、何が驚いたって、木暮さんがこの頃は若干グレ気味だったというところか。しかも、周りからは浮いてて一匹狼みたいだった、というのは意外もいいところ。現在の爽やか青年風からすると、学生時代もみんなの中心で人気者、みたいなポジだと思ってたからなあ。彼が完全に一般人の家系からの入塾者というのも。そう言えば本編のメインキャラも、冬児を除いて殆どが(天馬も)陰陽道の名家の出身だというのも思うと、木暮さんや大友先生ってホント叩き上げなんですよね。いや、木暮さんはこの頃から図抜けた天才だったみたいですが。神通剣はどちらかというと修験道寄りの出身だったのか。
大友先生は、相変わらずというかイメージどおりというか、この頃から飄々と影を踏ませぬようでいて、どこか歳相応というか人間臭い俗っぽさがあるというか、胡散臭いくせに得体のしれなさは全然ない人なんだよなあ。
幼女先輩はこの頃から幼女先輩として幼女愛好家だったようで、この人こそわけわからん。というか、今とぜんぜん変わってないじゃん!! 果たして、男二人に対してロマンスみたいなのがあったのか……全然なさそうだなあ。若干木暮さんが常識人寄りな感じもするけれど、簡単に暴走するし、大友先生は苦労性っぽいけれど、平気で尻尾巻いてドロンしそうだし、幼女先輩はナチュラルに場を大混乱させて平常運転してそうだし……あかん、こいつら三羽烏以前に三バカだw
当時の講師陣の苦労は如何ばかりだったのか。大友先生なんか、因果応報で今の春虎や夏目たちに酷目に合わされているというよりも、むしろこの人が状況を悪化させるケースが度々あるのを見てると、昔から火に油を注いでたんだなあ、となんだか遠い目になってしまった。
しかし、幼女先輩はこの当時から謎すぎるぞ。

ラストシーンにはちょっとしんみりしてしまったけれど、大友先生にはもう一度先生に戻ってほしいなあ。

シリーズ感想

東京レイヴンズ 10.BEGINS/TEMPLE4   

東京レイヴンズ10  BEGINS/TEMPLE (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 10.BEGINS/TEMPLE】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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「ごめんな、夏目。でも、いつか…きっと、また会おう」
夏目を蘇らせるため『泰山府君祭』を執り行った春虎。夏目が目を覚ましたとき、その姿はもう何処にもなかった。そして夜は幾度も廻り―舞台は、冬の気配深まる山寺へ。幼い頃に寺に預けられ、下っ端として雑用をこなす少女・秋乃は、新入りの面倒を見るよう命じられる。蛟の生成りだという新入りに、不吉な予感を覚える秋乃。時を同じくして、三人の『十二神将』が来訪し、山寺は俄かに騒がしくなるが…!?大人気陰×陽ファンタジー、それぞれの想いと星の宿命が交錯する、待望の第二部―いよいよ開幕!!
ほ、ほんとにごめんなさいだよ、春虎ぁーーー!!
な、なんてこった、お前、よりにもよってアレ、失敗してたんか!!
あんぎゃーー、と思わず頭を抱えてしまいましたがな。



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東京レイヴンズEX 1.party in nest3   

東京レイヴンズEX1  party in nest (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ EX1 party in nest】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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緊急事態発生! 
平和な陰陽塾に突如、謎の『敵』襲来!!陰陽師を育成する陰陽塾。そこは、強力な結界に守られた日本屈指の安全な学舎、の筈だった。しかし今、その平和は破られた。謎の『敵』は数々の術を駆使し陰陽塾を攪乱、生徒の中には負傷者も発生する異常事態に!狙いは、稀代の陰陽師・夜光の生まれ変わりと噂される土御門夏目なのか!?塾内に響き渡る警戒警報を背に『敵』は愛刀の刃をキラリと光らす。ふさふさしっぽに狐耳…どっかで見たようなその『敵』の正体は!?
陰陽塾でのてんやわんやな日常のほか、春虎と北斗、夏の日の出会いを描いた書き下ろしを含む、シリーズ初の短編集!
東京レイヴンズ初めての短篇集……って、前にも短篇集なかったか? と思ったら、4,5巻あたりが変則とはいえ短篇集でしたよね? あちらは本編に上手いこと組み込む形で構成していたけれど、本編を絡めない短編のみの、となるとこれが初めて、ということになるのか。まあ、本編のほうが一部完となっててんやわんやのさなかに短篇集なんか挟み込めないよなあ。
という訳で、これは春虎たちの在りし日の、まだ雛鳥でいられた時代の最後の残光、などというと大仰だけれど、もう二度と戻れない平和な日々、と思うと感慨深いものがある。
このカラー口絵の投稿時の雑談風景、好きだなあ。あざのさん、盛り上げるときの演出もパないんだけれど、こういう何でもない日常風景の味付け彩りもまた抜群なんですよね。この緩急がより一層場面の盛り上がりに寄与するんだろうなあ。

【第一話 リア★コン】
春虎のお目付け役気取りでありながら実は日常におけるトラブルメーカーなのが夏目だったりするんだけれど、彼女とツートップを織りなす迷惑仕立て人なのが、春虎の護法であるコンなのである。春虎に忠節を誓いながら忠義が白熱しすぎて従順とは程遠い暴走を繰り返す式神、って面倒くさいもいいところなんだよなあ、この娘w
わりと不器用というか、上手くやろうとすればするほど壊滅的に状況を悪化させ破綻させてしまうあたり、結構夏目と似たり寄ったり。相性の悪い二人だけれど、何気に似たもの同士なんじゃないだろうか、この二人。
しかし、ちっちゃいバージョンだとまだ愛嬌あるけれど、本身取り戻したコンは危ない意味で狂信的になってそうで怖いw

【第二話 倉橋京子の挑戦】
京子が勇気を振り絞って夏目をデートに誘う、というまだ夏目の正体がバレてなかった頃ゆえの、ある意味京子の仕方のない空回り。いやしかし、これ見てるとほんとに夏目をどうやったら男の子に見れるんだ、と思ってしまいますよね。京子とのデートなんて、完全に仲の良い女の子同士の街遊びですし。夏目の反応がいちいち普通の女の子なあたりが、夏目の男としての振る舞いが身についていないというかあくまで偽装であって通常運行はどうしようもないくらい女の子なんだというのがよく分かる。
これでバレないんだから、思い込みというのは怖いよなあ。さすが乙式。
ただ、男装云々という観点を除いてこの二人のお出かけを見ていると、実は女の子同士として京子と夏目がすこぶる相性の良いことも伝わってきて、夏目の正体がバレて京子と仲直りしたあと、落ち着いてちゃんと女の子の友人同士としての時間をじっくり取る暇もなく大事件が起こってしまったのが惜しくて仕方がない。結局、彼女たちが女の子同士として普通の時間を過ごす機会がなかったですからね。その意味では、京子が真実を知らなかったとは言え、夏目と京子の貴重なガールズデートシーンだったんじゃないでしょうか。

【第三話 阿刀冬児のロジック】
相変わらず、一人だけハードボイルドというか、渋いエピソード持ってくるなあ、この男前は。大規模霊災に巻き込まれて鬼憑きとなってしまった冬児だけれど、その際彼一人が巻き込まれたわけじゃなく、一緒に居た友人もまた喪っていたわけで、そんな過去の傷跡を抱えながら逃げ出さず、言い訳もせず、黙々と踏破する男の背中がまたかっこ良いんだ。でも、そんな彼を孤高にせず、最大の理解者として見守っているのが春虎であり、尊重しながらもお節介を焼いていて、それを冬児も苦笑しながら受け入れる、二人のこの関係、良いわなあ。

【第四話 ペガサス・ファンタジー】
ラストシーン、あまりにアホな絵面の描写に容易に光景が想像できてしまって、爆笑してしまいましたがなw
天馬、愛されてるなあ……というので片付けてしまっていいのか悪いのか。京子は何気に春虎たちと同レベルで悪ノリするよねw 夏目はストッパー役として弱々なので、こういうケースの場合天馬がいないとどうなるか、というのが如実にわかってしまうエピソードだったのかもしれない。

【トライアングル・ミステイク】
春虎と、夏目が化けた北斗がいかにして出会い、仲良くなったか、というお話。いやこれ、夏目も悪いけれど春虎も悪いよね、というか春虎が悪いよね!! あかん、バカ虎呼ばわりされるのも仕方ないわ。二人が出会ってしまったのがこれほど完全な事故だった、というのはともかくとして、まだ北斗のキャラも定まっていない頃で春虎を前にした時の夏目のバタバタパニックっぷりは目を覆わんばかり。逃げ出すのも無理ないっちゃないんだが、なぜ追いかける春虎ww
これ、夏目が隠していた、というレベルの話じゃなくて、夏目の臆病さが招いた事態ではあるんだけれど、むしろあまりに春虎が馬鹿なんで言い出せなかった、という方が正解じゃないですか。夏目は何やってんだ、と思ってましたけれど、これはちょっと同情してしまうなあ。
でも、夏目にとって北斗となって春虎と過ごした時間がどれほど貴重でかけがえの無いものか、その体験が彼女の中で何を育みどんな想いを抱かせたのかをイメージさせる、良い過去編でした。

あざの耕平作品感想

東京レイヴンズ 9.to The DarkSky5   

東京レイヴンズ9  to The DarkSky (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 9.to The DarkSky】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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「オーダー!」
信じない。死んでなどいない。まだ取り戻せるはずだ。枯渇しかけた力をひたすらに治癒符に込め、春虎は呪を注ぎ続ける。主を―大切な幼なじみを呼び戻すために。
遂に夜光としての力を覚醒させた春虎。だがその代償は大きく、暴走する『鴉羽』から春虎を庇った夏目はその命を落とす。
「泰山府君祭だ。泰山府君祭なら夏目を生き返らせられる…!」
一方、千年にわたりこの国を統べてきた陰陽術、その真なる復権を掲げる双角会が姿を露わにしたことで、大友や木暮ら『十二神将』たちもまた、それぞれの信念のもと呪術界を巻き込んだ戦いへと身を投じていく―。
うおおおおっ!!
第一部完結編に相応しい、壮絶怒涛の盛り上がり。盤面返しの連続に、燃える燃える燃え上がる。読んでて何度も何度も雄叫びを上げそうになる。琴線をかき鳴らす言葉が舞い踊る。魂を魅了する表現がほとばしる。凄い、まったくもってすごすぎる。
これぞ、あざの作品の真骨頂というべき大活劇!!

夏目、死す。

衝撃の展開から幕をあけたこの第九巻。そんな絶望からはじまる長い長い濃密なまでの一昼夜。そう、この一冊はほんの一日半にも満たない時間で起こった出来事を詰め込んでいるのだ。暴風のような、深淵のような、あの激しくも時の流れが止まったかのような圧縮された時間が、この一冊に詰め込まれている。それを思い返すと、一瞬言葉を失ってしまう。この日を境に、これまで思い描いていた未来がすべて一変してしまった少年少女たちの事を思うと、絶句してしまう。何もかもが変わってしまったのだ。もはや後戻りできない場所に、唐突に突き進んでしまったのだ。もう何も背負わずに済んだ子供の時代を追えなければならなかったのだ。大人たちに守ってもらう立場から、皆が独り立たなければならなくなった。そうして放り出された場所は、それぞれの戦場。これほど激しい戦いの一夜をくぐり抜けた先もまた、終わりもなく先も見えない道であり戦場なのだ。それを思うと、彼らの想いと覚悟を想像すると、ただただ言葉を失ってしまう。
一夜にして全てが変わってしまったのは、彼ら子供たちだけではない。大人たちもまた、それぞれ抱え信じていた世界を、この夜を境に失って、未知なる闇へと漕ぎだすこととなった。先のない闇夜をゆくは、もはや子供も大人も、敵も味方も変わりない。未曾有の変革が訪れてしまったのだ。
その一部始終が此処にある。
此処に、余さず描かれている。
喪ったものを取り戻す夜闇の戦いが、ここに全部描かれている。

凄かった、繰り返すが凄かった。あざのさんはほんと、DクラでもBBBでも、それまでの状況を全部ひっくり返す決戦を描いた時、他の追随を許さない天井知らずのテンションに達することを、このレイブンズでもはっきりと示してくれた。この人が総力戦を描き出すと、比喩でなく全員に見せ場あるんですよね。今回に至っては、京子の覚醒と天馬の活躍にはぐうの音も出ないほど唸らされた。特に天馬である。彼の果たした役割というのは、今回の一連の出来事において、もっとも重要にして大仕事だったといえるんだけれど、演出や表現の仕方によっては全く目立たない地味な仕事に終わってしまってもおかしくはないんですよね。でも、それをあざのさんは見事に盛り上げ、緊迫感をはりつめさせ、価値を爆上げするのである。天馬がやってることがどれだけ物凄いことか、とんでもないことなのか、敵味方を問わず、どれほど狡猾だろうと深慮遠謀の持ち主だろうと関係なく、全員を出し抜いてみせたのだと知らしめるような、描き方なのである。この人ほど「魅せ方」というものを心得た作家は数少ない。文章というものの強みを本当に掌握しきって、天元の武器として自在に操りきっている。毎度ながら、その事実には感嘆させられてばかりだ。
そして、コンによる天啓ともいうべきあの言葉。目から鱗が落ちる、というべきなのか。あの場面は春虎と同じように「あっ!!」と声を漏らしてしまいましたよ。どうして、その発想がなかったのか。それ以上に、コンの言葉でそれまでの雰囲気、逆らいがたい激流のような流れがピタリと静止し、全部ひっくり返ってしまうのである。揺ぎないと思われていた認識が、根底から全部ひっくり返ってしまう、パラダイムシフトとすら言えてしまいそうなほどの大転換。劇的なまでのそれを、ここでもまた見せられてしまった。だから、この人のファンはやめられない。まったく、たまらない。
そして、ついに姿を表した夜光の懐刀、飛車丸。いやほんと、どうして彼女がそうだという発想がなかったんだろう。正体が明らかになってしまうと、どう考えたって彼女が飛車丸以外ないじゃないですか。夏目があからさまに女性にも関わらずバレなかったのと同じ、これは乙種そのものだと言わざるをえないよなあ。まさに、術中に陥っていたのでしょう。角行鬼、夜叉丸、蜘蛛丸が事実上人間そのものだったから、無意識に除外してたんだろうなあ。
クライマックス、角行鬼と飛車丸を従えた春虎の姿は、挿絵もないにもかかわらずありありと色鮮やかに脳裏に浮かび上がって、正直震えました。あのシーンは、鳥肌モノ。

でも、となると夏目は何者なんだろう。私は、てっきり春虎と取り替えっこした形で、春虎の両親の実の娘なのだと思ってたんですが、鷹寛・千鶴夫婦の反応を見ているとちょっと微妙なんですよね。夏目に何かあったと知った時の反応が、実の娘に対するそれとは微妙に違っていた気がする。北斗を使役出来て、夜光の生まれ変わりと噂されるに相応しい力量を示すに足る根拠が夏目にはあって然るべきなんだが、泰純が春虎の影武者となれるだけの才能を夏目に見出していないと身代わりにはなかなか成り得ないだろうし。鷹寛・千鶴夫婦の娘なら、血統的な根拠もあるので順当だとは思うのだけれど、もしそうではなかった場合、まだ夏目には秘密が残ってるということになるんだろうか。

いずれにしても、学生編、雛鳥編ともいうべき第一部が幕を閉じ、これがようやくの折り返し地点。これで、まだ折り返し!! そりゃあ、第二部に期待するなという方が無理でしょう。さあさあ、まだ鈴鹿たちのように本領を発揮する機会を逸している娘たちもいるのです。なんて楽しみなことでしょう。あんまり待たせると、首が長くなりすぎて折れてしまいそうなので、続き、頼みますよ〜〜♪

あざの耕平作品感想

東京レイヴンズ 8.over-cry4   

東京レイヴンズ8  over-cry (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 8.over-cry】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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白日の下に晒された夏目の本当の姿。「約束の男の子」は夏目ではなく春虎―。真実を知った京子は春虎たちを避け続けていた。一方、シェイバとの戦い以来、春虎は呪力を制御できず不安定な状態に陥っていた。幾つもの不安を抱える春虎たち。そんな折、土御門宗家が何者かによって襲撃される事件が起こる。動揺する夏目のもとに現れたのは、あの赤毛の少女、多軌子だった。「ぼくが目覚めさせるんだ。―夜光の生まれ変わりを」運命の歯車は、軋みを上げて回り始める。後戻りすることのできない、未来へと向かって―。
いや、大友先生じゃないけれど、一度女の子として正体が明らかになってしまった夏目は呪が解かれたみたいにどこからどう見ても女の子なんですよね。これ、ホントに今までどうやって男として振舞っていたんだったっけか? ずっと見てきていたはずなのに、思い出せない。正確には思い出せるんだけれど、異様なブレを感じてしまってイメージが合致しないのです。これが乙種の呪いってやつなんですか? 最初からわかっていてこの感覚である。知らなかった人達にとって、余計に衝撃なんじゃないだろうか。しかし、これがほぼ完璧に敵味方問わずに夏目の正体を騙しきっていたんだから、恐ろしい話である。ぶっちゃけ、身内間でバレたことにかこつけて夏目や春虎たちが自分で暴露しなければ、事が最後に至るまで大人たちには誰にも真実がバレなかった可能性すらあるわけですから。
もっとも、自分もまさか子供のすり替えまでやっているとは思わなかったので、明らかになった真相に土御門宗家の徹底ぶりを目の当たりにして絶句してしまいましたけれど。夏目はあくまで泰純の娘だと思ってたからなあ。実娘だからこそ、あそこまで厳しくあの生き方を強いていたと思っていただけに、親族とは言え他人の娘を身代わりとしてあんな風に育ててたんですから、夏目の扱いは非情と言われても仕方ないくらいキツいものじゃあないですか。相馬のお姫様の独善的な振る舞いには言いたいことはたくさんあるけれど、夏目の扱いに対する義憤についてだけはその方向性は兎も角として、怒りを覚えるという一点において共感できる。尤も、当事者である夏目からすれば余計なお世話なんでしょうけどね。たとえ、それが仕組まれたものであったとしても、夏目にとって春虎の為に自身の何もかもを犠牲にするということはむしろ喜びに感じる事だったのでしょうし。彼女は、自分が影武者であったことを決して恨みに思うことなどないのでしょう。
怒るのは、春虎自身の方なんだろうなあ。
この点、夏目の実の親だったということになるだろう春虎の両親はどう思っていたのか……あの脳天気そうなお母さんの性格からして、どうせ春虎の嫁になって自分の娘になるんだから一緒の事じゃあないのさ、程度に思っててもおかしくなさそうではある……どう考えてもあの両親の性格って春虎の方に引き継がれてると思うんだがなあ。夏目と似てる要素がどこにあるんだ? そそっかしそうなところか? 土壇場になると暴走し出すところか? いざとなると大雑把になって取り敢えずイケイケになってしまうところか? ……あれ? 結構似てますか?

にしてもまあ、春虎と夏目への追い詰め方がまた半端ない圧力である。ただでさえ、京子と物別れになってしまい、その対応で四苦八苦しているところに、春虎の呪力暴走が絡んだ上に、土御門宗家の襲撃事件で親たちが行方不明という緊急事態になり、さらに相馬多軌子が現れて奔放に場を引っ掻き回し、何やら意味深な発現を残して嵐のように去っていく、という……取り敢えず京子との仲直りに集中させてやれよ、と言いたくなるくらい立て続けに一つ一つで一杯一杯になりかねない重篤な問題を叩きつけてくるものだから、春虎たちの処理能力を完全に逸脱してしまっている無茶苦茶な圧である。傍から見ててもこれ、どこから手をつけていいものやら、手をつけるにしろ何をしたらいいのかさっぱりわからない、という混乱状態。これで鈴鹿が自分から動いてくれたり、天馬が積極的に調整に動いてくれたり、さらには大友先生が珍しく先生らしい指導をしてくれなかったら、完全に立ち往生してしまってたんじゃないだろうか。仲間、友人、恩師の有り難さが身に染みる次第である。
そして、真剣に親身になって付き合っていたからこそわだかまりが生じてしまった京子との仲。傷つけば傷ついた分だけ、夏目や春虎との関係を大事に思っていたって事ですもんね。さらには、幼い頃に抱いた恋心まで錯綜してしまったわけで、京子は歩み寄れない自分を相当に責めてしまっていますけれど、こればっかりは無理もない。人間、自分のうちからこみ上げてくる痛みを無視は出来ないし、勇気は振り絞るものであって簡単に振り翳していいものでもない。
京子の一件でもそうだけれど、昔からあざのさんという人は勇気というものの価値を神聖なまでに高める事に長けているんですよね。その踏み出す勇気がどれほど人と人の関係を素晴らしいものへと昇華させるのかを、十二分に捉え切っている。
何事も中途半端な行けないのだ。思いの丈を存分に吐き出してこそ、本心が剥き出しになる。余計なものを削ぎ落した本当の気持ちがあらわになる。夏目と京子のぶつかり合いは、その意味で本当に見事だったし、京子がとびっきりのイイ女であることをこれ以上無く見せつけてくれたエピソードでした。
……でも、京子って結果として要らんことをしてしまう星の下に生まれているご様子でw 何気にそれが致命的だったりするからなあ。タイミングが悪すぎるというかなんちうか。全くの善意であり不可抗力なのが余計にたちが悪い。

あとがきによれば、今巻は第一部の最終回直前。第一部ですよ、第一部。これで第一部ってことは第二部はどれほどの物語になるのか。立ってるステージが根本からかわるんだろうな。あくまでひな鳥に過ぎなかった春虎たちが、本当の意味で深淵に立ち、学生や子供といった保護される身分から一人ひとりが自分で立って判断し決断し戦わなければならない領域に……。
そこに、夏目の姿は果たしてあるのか。なんかもう、完全に取り返しのつかないところまで行っちゃったもんなあ。ここで終わるは鬼である。

あざの耕平作品感想

東京レイヴンズ 7._DARKNESS_EMERGE_4   

東京レイヴンズ7_DARKNESS_EMERGE_ (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 7._DARKNESS_EMERGE_】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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『D』による陰陽塾襲撃事件からしばらく。その傷跡は大きく、陰陽塾は一時閉鎖に追い込まれ、退塾する生徒も続出していた。そんな中、『D』と大友の熾烈な呪術戦に心を奪われたままの春虎は、夏目とともに訪れた陰陽塾屋上の祭壇で、一人の少女と出会う。「君たち二人のことはよく知ってる。初めまして―ぼくは相馬多岐子」。その出会いが、のちにもたらす意味を知らないままに。時同じくして、呪捜部公安課による双角会掃討作戦が密かに始動。陰陽庁内部に潜む“敵”の炙り出しが行われるのだが!?―。
春虎、覚醒編! 七巻にして遂にと言うべきか、はたまた漸くと言うべきか。何れにしても、どれほど大きな呪力を持とうと未だ雛鳥にすぎなかった春虎が、まさに「本物」への階段へと脚を踏み出した、或いは踏み入れたのが今回のお話。
覚醒編、と言っても単純にこれまで秘められていた力が目覚めました、なんて安易な展開じゃないのはあざのさんとしてはもう当然でしかないか。これまで、いわば才能に頼りきった戦い方をしてきた春虎にとって、道満と大友先生の戦いを目の当たりにしたことは、文字通り意識の変革であり未知を認識した瞬間だったのだろう。彼にとって、それは自分を囲う枠の拡大だったはずだ。つまり、イメージの拡大であり自分に課した限界の拡大である。人は、認知できないものは求めることすら出来ない。手を伸ばせば手に入れられる宝物でも、その存在を認識していなければそも手を伸ばそうとも思わない。
春虎にとって、大友先生の戦いは、イメージすらしたことのなかった境地だったのだ。
しかし、彼はそれを見た。認識した。つまりは知ったのだ。知ったのならば、行こうと思える。辿り着こうと考えられる。求めることを欲せられる。

彼が特殊だったのは、その初めて目の当たりにしたはずの境地を、多分知っていた事なのだろう。しかし、土御門春虎にとっては、真実未知だった領域である。その齟齬が、彼に戸惑いを与え続けていたのだ。
さながら、自分がかけていたメガネのピントがまるで合っていなかった事に初めて気づいたように。だがそれは、おそらく春虎が春虎であるならば、合ってはいけないピントだったのかもしれない。
雛が成長となり翼を羽撃かせるのとは全く意味の異なる、羽化が土御門春虎に訪れたのである。それが、同時に土御門夏目の正体が露見してしまった件と時を重ねたのは決して偶然ではあるまい。
あの瞬間、ある意味夏目は生来求められていた役目の一つをひそかに終えたのだ。彼女が男で在り続けなければならなかった真の理由が、散逸したのだ。
この件については、土御門家はほぼ完璧に秘すべきを秘通したのだと驚嘆すべきだろう。なにしろ、ついにその正体を表した黒幕一派が、その言動からしてこの期に及んで土御門家によるミスリードに完全にのせられていると思われるのだ。その暗躍をほぼ完全に伏せ通し、決して無能とはいえないどころか、有能極まる陰陽師の有為たちに対して未だに一部を除いてその存在すら認知させずにいるという、黒幕組織としては際立った力量を示している件の連中をして、土御門夏目が夜光の生まれ変わりだという「事実」を疑いもしていない。
誰が敵で誰が味方か、何をして敵と呼ぶのか、何を持って味方と任じるのかすらわからない混迷の中で、夜光という存在を間に挟んで、無形の鍔迫り合いが火花を散らしている。
相手の姿も認められるその刃を合わせることすらない凄まじい暗闘には、正直背筋が震える思いだ。その中心軸に否応なく放り込まれることになるだろう、春虎、夏目、冬児、鈴鹿たち少年少女たちに課せられたものはひたすらに重い。想像を絶するまでに重すぎる。そして、当人たちは未だ自分たちを取り巻き加速しつつある状況を、真の意味で捉えてはいないのだ。彼らなりに、彼らの知れる範囲で認識した危機意識に基づき、しっかりと覚悟を決め立ち向かおうとしているのに、無残なことに彼らの予測以上にその闇は深く悍ましい。
そんな闇に立ち向かう為に必要な物は、何よりも信頼出来る仲間たちだというのに、それは敢え無く破綻してしまう。
闇から迸るプレッシャーでただでさえ疲弊していた心は、幼い頃から大事に育み慈しんでいた想いを打ち砕く真実に耐え切れなかった。彼女はそうして、背を向けた。
呪詛である。それは人を呪い、自らを呪う負債である。本意のものではない、しかし疲れきった心が発した本心からの叫びだからこそ、それは自らも周りも打ちのめす。自分が発した一言に傷つけられ、打ち拉がれる京子の姿に胸を締め付けられるラストシーンだった。
ある意味、ムードメーカーで調整役で縁の下の力持ちという、何気に人間関係の要だった京子とのこの顛末は、予想以上の亀裂となりそうな予感。なにしろ、倉橋そのものがあれになっちゃったもんなあ。

さて、すず先輩の正体も明らかに……? なったけれど、立ち位置はまだ不明。あの人、一筋縄じゃいかないというか、どうも例の黒幕陣営とは関係してても同調はしてなさそうな気がするんだよなあ。そして、表紙にも出ているあの少女。黒幕陣営の姿見せ、と春虎の覚醒と共に大きく動いた展開だけれど、謎が明らかになってさらに謎が増す、というある意味ドツボにはめられているような流れだなあ、これ。
八瀬童子の扱い方といい、姫の尊称、言動の諸々からして、皇統関係じゃもはや定番と言っていい、あの系統に纏わる流れな気もするが……何れにしても、もっと夜光本人の情報、夜光の時代に何があったのか、当時の人達が何を想いどう行動していたのか。鈴鹿の父親の一件も含めて、過去情報がかなり乏しい状態の現在ではまだ何も判別できないよなあ、これ。

ともかく、夏目が男だと発覚した一件は、京子の事のみならず当人たちの予想以上に衝撃を持って受け止められ、波及していくはず。これに関して、そろそろ夏目が本当に夜光の生まれ変わりなのか、という疑問が生じそうなものなのだけれど……。いいところ、と言っていいのかわからないけれど、また先が気になる全く以て狡猾な終わり方をされてしまい、いいように首根っこを引っ張りまわされている気分である。
続き、早う早う♪

あざの耕平作品感想

東京レイヴンズ 6.Black Shaman ASSAULT4   

東京レイヴンズ6  Black Shaman ASSAULT (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 6.Black Shaman ASSAULT】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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北斗の正体は夏目かも? という疑念を抱く春虎。夏目と春虎の間にはぎこちない空気が漂う。一方、塾長の力の衰えと連動するように激しさを増す『D』の動き。事態を重くみた陰陽庁は来たるべき戦いに備えるのだが!?
ちょっ、道満ってラスボスか其れに準ずるレベルの敵役じゃなかったのか!? まさかのラスボス強襲編。如何な実戦を経験することで心構えと自立心、向上心を蓄えたとはいえ、未だ雛には変わりない春虎たち。本来なら、強力で手強い、しかし全力を尽くし全能を働かせれば何とか抗えるような相手と矛を交えていくことで力量を上げていくのが順当な成長の仕方なんだろうけれど、ここで今の主人公たちでは何をどうしようとも絶対に勝てない敵と向き合わせるとは。スパルタだなあ。
しかし、無抵抗でやられないのは見事。道満の式の質と物量に圧壊しそうになりながら、一手間違えれば即座に押し潰されかねない極限下で即興でそれぞれの役割を導き出し、最適なパーティーでの戦術を鍛造していくんですよ、この子たち。土御門春虎、土御門夏目、阿刀冬児、大蓮寺鈴鹿、倉橋京子、百枝天馬。まさかこの六人がこんなにバランスの取れた、そして息の合ったチームとして機能するとは、この目で見るまで考えもしなかったなあ。
これはもしかしたら、今後もこの六人パーティーで結構纏まって話の中核に切り込んでいくのかもしれないな。【Dクラッカーズ】や【BBB】がどちらかと言えば1対1の戦闘がメインでしたし、本作もこれまでバラバラに動いていましたからあんまり考えなかったのですけれど、ここまでパーティーとして機能したのを見せられるとなあ。
それに、一人一人で動くにはこの子たち、まだ未熟すぎるんですよね。力が弱すぎる。初心者な春虎に、土壇場に弱く脇が甘い夏目、時間制限付きの冬児。十二神将の一員ながら研究職で戦闘は専門外な鈴鹿。そしてオールラウンダーながら突出した能力を持つとは言いがたい京子に、実戦スキルに乏しい天馬。みんな、一騎当千には程遠い雛であり、これからも早々にいきなり十二神将に匹敵するような実力を得るなんて事も(あるケースを除いて)まずないでしょう。ところが、この六人が組むと実力を遥かに上回る戦闘ユニットとして機能する事が今回の攻防で発覚したわけで、これを一度限りのものとして終わらせるには少々勿体無い。即席だった今回から改めて正式にチームとして組んだら、より戦術なんかも最適化しそれぞれの成長の方向性も見いだせるだろうし、彼らの実力以上の相手とも渡り合える。うーん、これは続くと思うんだがなあ。天馬の成長フラグもここに掛かってきそうだし。
しかし、あの本番に弱い夏目が実力を発揮したら、あれだけとんでもない事になるのか。というか、これまで本当に実力出せてなかったのね。あの鈴鹿が素で驚くくらいだから、やっぱり素質も飛び抜けてるんだろうなあ。あとは実勢経験とくそ度胸がついてきたら、それこそ十二神将レベルまで到達できるのかもしれない。
でもって、当代十二神将の一人である鈴鹿。研究職でしかも力を封じられた段階でこれって、十二神将ってどれだけとんでもないんだ!?
さすがは十二神将という頼もしさを見せてくれたのはやっぱり美味しかったなあ。

とはいえ、現段階ではラスボス級相手に太刀打ちできるものでもなく、善戦虚しく圧倒的な力の前に撫でられそうになった時に現れたのが……やばい、やばい、やばい、大友先生がかっこ良すぎる!!
こっからの大友先生と道満との陰陽大戦は、それまでの春虎たちの決死の滾るような攻防が霞んでしまうくらいの次元が違う、本物の超一流の術士同士の全開バトル。今の春虎たちでは絶対に辿りつけないうてなの領域にある戦いである。凄かった、これはマジ凄かった。間違いなく東京レイヴンズシリーズにおける現段階での最高の決戦。大友先生、マジかっこいいっ!! どんだけ強いんだよ、この人は。しかもこの強さ、単なる腕っ節だけじゃなくて、むしろ知略策謀にあるところがまた痺れる。あの道満を実質手玉に取るってどんだけだよ。

でも、問題はこの道満の襲撃はあくまで枝葉に過ぎないって所なんだよなあ。爺さん、派手に動いたわりに今回の一件は裏で動いている核心からすると、決して本筋じゃないんですよね。状況を動かす要因にはなったとしても。仕込みをしたあの人の目論見といい、道満の式だというあの人の目的といい、道満の標的を奪い去ったあの人の思惑といい、ずっと傍観しているあの男の考えといい、まだ何も見えてないのが実際の所。でも、その四人の視線の先にいるのが春虎と夏目であるのは間違いないんですよね。あの大友先生と道満の攻防を見ていた時の春虎の反応、あれは完全に伏線だよなあ。

黒幕たちの思惑が未だ見えないのと同時に、結局春虎と夏目の微妙な関係、具体的には春虎の夏目が北斗なんじゃないかという疑いも解決しないまま、次回に持ち越し。鈴鹿が身内同然になってヒロインとしてほぼ立脚したので、マジで夏目さんうかうかしてると喰われますよ?

あざの耕平作品感想

東京レイヴンズ 5.days in nest II & GIRL AGAIN4   

東京レイヴンズ5  days in nest II & GIRL AGAIN (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 5.days in nest II & GIRL AGAIN】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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実技合宿を行うため湖畔の合宿所へと向かう春虎たち。遠出、お泊まりとくれば気持ちも浮き立ちおまけに鈴鹿から解放される! とはしゃぐ春虎と夏目。しかしそうは問屋が卸すはずなく!? 学園陰×陽ファンタジー!

夏目ぇ、オマエってやつは……orz
この娘ってほんとダメだよね。エリートで天才で頭が良くて聡明で生真面目で律儀で頑張り屋で四角四面、という表面だけ見てたら非の打ち所が無い上の覚え良さそうな優等生なんだけど、根本的な所でダメっ娘だよね。ほんとにもうしょうもない事ばっかり仕出かして。ただでさえ本番弱いのに、春虎が絡むとあっさり理性が欲望に負けるわ、合理的でないアホな方向に突っ走って地雷源に五体投地かますわ、いざという肝心なところに至るとヘタレて逃げ出すわ。本当にもうどうしようもない。
ホントならあきれ果ててしまうところなんだろうけれど……このダメっぷり、自爆っぷりが無性に愛しくて仕方ないのだ。微苦笑が浮かび上がったまま消えないんですよね。有頂天になっては落ち込み凹む上下不沈の大きすぎる夏目を見てると、異様に庇護欲みたいなものが湧いてくる。見てて放っておけなくなる、というのはこういう感じなんだろうなあ。作中でそれを一番理解ってるのは、唯一夏目の本性を間近で見てる冬児でしょう。彼ってそんなに世話好きという性格でもないですし、実際変なおせっかいとか極力しないようにしているのが見て取れるのですが、それでも度々よほど観ていられなくなったのか、それとなくフォローしたり手助けしてくれてるんですよね。まあ、ことごとく夏目はそれらを台無しにしていくのですが。
普通はこういうケースだと男側の鈍チン振りが槍玉に挙げられるものなのですが、この作品だとかたっぱしから夏目の自業自得扱いだもんなあ。
まあ今更、出来る女の土御門夏目なんて想像も出来ませんけど。
「屈辱だぁっ」ってグジグジいじけてる姿しか思い浮かばん。がんばれよ、メインヒロインw

ただ、春虎の様子を見てると、冬児が苦笑しているように殆ど出来レースに近い鉄板なんだよなあ。春虎、自覚こそしてないけれど、夏目に対する言動や無意識の所作を見てるとどう見ても青信号ですし端々から好意も見て取れるんですよね。さらに、夏目と北斗を同一に見てるような言動もちらほら見えるのです。春虎、ほんとにまったく自覚してませんけどね。
だから、夏目が普通に接してさえいれば何の問題もないはずなんですよ。最初の短編の正月実家からの帰り道の二人の様子見ればわかりますよ。あのコンが割って入る隙間を見いだせないほどイイ雰囲気を、ごく自然に出せている。夏目が普通にしてさえいれば、普通にそういう雰囲気になるんですよ。
なるのに!! この娘は! また自爆して!!(苦笑

鈴鹿からすれば、春虎への恋情を自覚した時にはもう、夏目と彼との間に自分が割って入る余地がないと感じ取っていたからこそ、あれだけ荒れていたのである。それこそ、サッカーでゴールキーパーがフォワードに躱されて、あとはチョンと蹴ったらゴールという詰んだ状況。麻雀で相手のアガリ牌を捨ててしまった状況である。
それを、あのダメっ娘夏目は、ロン牌を見逃すわ、ゴール前でボールを空振りしてすっ転ぶわ、マラソンでトップ独走してたら競技場に入る直前で道間違えてどっか行っちゃたとか、そんな勢いでかってに自爆して、わざわざ競争相手に道を譲る始末である。本人、顔を真赤にして全力で突っ走っているだけに、ちょっと泣けてすらくる(苦笑
ほんとにもう頑張れよ。
鈴鹿は自分の激情を持て余しながらも、必死に折り合いつけて、それでも我慢ならなくて二進も三進もいかなくなってる所とか、京子に遊ばれて年相応のガキっぽさを剥き出しにして喚いてる姿とか、めっちゃ可愛いんですけどね。この娘も頑張れと応援したくなるし、実際鈴鹿が夏目の事をズルいと嫉んでるように、夏目ズルいんだけど……仕方ないじゃん、夏目だもんw
もう夏目が哀れでアホ可愛くて、応援という意味ではやはり夏目に旗を振りたくなってしまいます。ダメな子ほど可愛い。

そう言えば、もう一人のヒロイン?であるところの京子が此処に来て今までにないキャラを立ててきましたね。正直、今まではちょっと彼女の方向性が見えてこなくてキャラ弱いかなあ、と思ってたんですが、これは冬児とは別の形でチームの牽引役になってくれそうだ。しかし、ああいう姿を見ると京子ってやっぱり塾長の孫なんだなあと実感した。性向がもうそっくりじゃないですか。

付録でついている学生証が相変わらず面白い。春虎、「式」の漢字くらい書けるようになろうぜ。ただのアホじゃないかw それと、なんで炭酸飲料禁止なんだ、塾則?

1巻 2巻 3巻 4巻感想

しかし、短編は何をどうやっても夏目無双になるんだなあ。何故どの話でも夏目は暴走するんだ?(爆笑

東京レイヴンズ 4.GIRL RETURN & days in nest 4   

東京レイヴンズ4 GIRL RETURN & days in nest  (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 4.GIRL RETURN & days in nest 機曄,△兇旅綿拭燭垢瀛次”抻慮ファンタジア文庫

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幼なじみの少女・ナツメとの約束を果たすため、春虎が親友の冬児とともに陰陽塾に転入してから半年。学園や寮生活にも慣れ始めた頃、陰陽塾では、春虎の周囲で奇妙な出来事が頻発し始める!
へえっ! これは面白い。ここでようやく、一巻で大暴れしていった大連寺鈴鹿嬢が再登場と相成ったわけですが、まだ春虎が自分にとってどういう相手なのかを確立出来ていない段階で、彼女を夏目と春虎を取り巻く事情の核心に放りこむのか!
これ、もしかして鈴鹿を本格的に夏目への対抗ヒロインに仕立て上げるつもりなんだろうか。実のところ、長編パートの前半部分、再会からこっち夏目の性別の秘密を回避しつつ、春虎と鈴鹿がお互いに手探りで距離感を測り合っているのを見て、ある程度鈴鹿が春虎をどういう対象として捉えるかを固めてから、夏目とカチ合わせると思ってたんですよね。その辺が定まったら、鈴鹿の春虎と夏目に対してどういう感情を抱き、どう反応し、どういう行動に出るか、という基本方針も基準が出来て定まりますからね。
ところが、ところがですよ、鈴鹿の春虎への感情が一番ピークに達して固まりかけ、本人も処理しきれずオーバーフローしていたまさにその瞬間に、春虎が地雷を踏み、続けて夏目が春虎を突き飛ばして地雷を起爆させてしまったわけです。この爆弾は何れ必ず爆発するもので、だからこそその被害を最小限にするために冬児などは非常に気を遣って立ち回り方を教導していたにも関わらず、春虎と夏目は彼の努力を文字通り蹴っ飛ばす勢いで、最悪のタイミングで全部台無しにしやがったのでした。
これ、アドバンテージを握ることになった鈴鹿ですけれど、握ったはいいものの彼女自身も完全にピーキー状態ですよ。本来ならあの瞬間、自分の中に湧き起こった激しい感情の渦を、時間を経る事で落ち着いて整理する事で具体的、とまでは言わずともある程度の名前らしきものは付けられるくらいの形にする事ができたはずなんですよ。そして、それにかかる時間というのは決してそれほどたくさんはいらなかったはず。もしかしたら、一日とか一晩という単位ですらなく、何分あるいは何秒か、そのくらいでもよかったのかもしれない。上から下に水が流れるように、その流れは出来ていましたしね。
ところが、春虎の発言がその水を、ガソリンに変換してしまった。そして、トドメとばかりに、夏目の情報爆弾ですよ。着火し大爆発である。これは酷い。まだ春虎だけでとどまってたら、鈴鹿のそれは女の矜持を保っていられたかもしれないのに。
ここまで鈴鹿の気持ちをひしゃげさせちゃって、どうするんだ一体w
しかし、このただの恋心や敵愾心にとどまらない強烈極まる激しい情念の渦はキャラクターとしてもヒロインとしても途方も無い武器ですよ。今のところ思いっきり持て余した挙句に変な方向に引火して誘爆してますけど、いずれはこの大連寺鈴鹿というヒロインを大いに飛躍させてくれるはず。このあたりの精神面、心理面での入念にして大胆エキセントリックな仕込みは、あざのさんならではなところ、あるよなあ。

とまあ、長編サイドの方は鈴鹿フィーバーが始まってますけれど、短編四篇の方は完全に夏目祭り。あとがきに習うなら、ナツメ・オン・ステージ!
この娘、ほんとにダメッ娘だな!! この娘の本番の弱さ、応用力の乏しさ、精神的な余裕の無さが日常コメディやラブコメの方に発揮されるとこんなアリサマになるのか。もはや惨劇じゃないかw テンパればテンパるほど、春虎を巻き込んで悲惨なことに。かわいいなあ、もう(笑

とまあ、若者たちは若者らしく色々な意味で血みどろになりながら青春を謳歌しているのだが、さらっと大人世代の方にも興味深い情報がちらつきはじめましたね。小暮と大友先生の元同級生コンビの話を聞いてると、彼らの世代にも何か色々あったっぽいんですよね。それが今なおシコリとして残っている。さらに上の世代である倉橋理事長の話題なんかものぼってましたし、3巻でもしみじみと実感しましたけれど、どうやらこのシリーズ、子供たちの話と同時に、大人たちの話もしっかり刻みこんでくるみたいですね。それもまた楽しみ。
次回も今回と同じく、長編と短編の混合の模様。途中といえば途中で終わっているので、出来れば早く続き読みたいなあ。あとがきによるとそれほど待たされないみたいですが。

1巻 2巻 3巻感想

東京レイヴンズ 3.cHImAirA DanCE4   

東京レイヴンズ3  cHImAirA DanCE (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 3.cHImAirA DanCE】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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進級試験に挑む春虎や冬児たち。落ちこぼれの春虎たちに気を揉む夏目だが、試験の最中に突如、異変が冬児を襲う。同時に、渋谷、品川、上野と都内各地で<霊災>が起き――!? 時を超える陰×陽ファンタジー!!

青春っ、してますね!!
あー、こうして改めて見ると、この物語が真っ当に少年少女たちの物語なのだというのがよくわかる。【Dクラッカーズ】は若者たちの話としてもアングラすぎた上にある種の閉鎖的な世界観での話だったし、【BBB】に至っては完全にワールドワイド。
それから比べると、このレイヴンズは正面突破の雛鳥たちの物語なんですよね。メインキャラたる面々は、夏目を初めとしてそれぞれに優秀と言える力を持っているのですけれど、実のところ十二神将という別格は別としても、現場でバリバリと働いている面々と比べてはっきりと差がある事が折々に触れて描かれている。それは、どちらかというと実力や技能の差というよりも、経験や意識の差とも言えるのかもしれない。陰陽塾という学び舎は、将来陰陽師という職能を活かして働く事を目指す若者たちが集まった、勉学のための学校というよりも就職に直結した、社会に出る事を前提とした職業専門学校としての色が強い場所であり、それ故に大人たちが実際に陰陽師として働いている場所に非常に近しい位置にある。同時に、春虎や夏目たちは各々が抱えた事情により大人たちの世界に否応なく関わる場面が多い。必然的に、自分の責務を果す大人たちの姿を目の当たりにし、強く意識するケースが多くなっている。自分たちがいずれ踏み込むであろう社会を、近い将来の現実として実感することが多くなっているんですね。
このへんの子供たちが自立心を芽生えさせていく描写は、何度読んでもいいなあ、と惚れ惚れする。
安易に「大人はなにもしてくれない」という風な方向に持っていくのじゃなくて、大人たちはできる限りの人事を尽くしている。子供たちを守ってくれる。でも、それに頼りすぎるのは信頼ではなく、甘えなのだと。大人たちを盲信し頼る前に、まず自分を頼り、自分で精一杯頑張って、それでも足らなければ周りが手助けしてくれると信じる。これこそ、庇護されるだけの子供からの脱却であり、大人になるための自立心の芽生え、なんですよね。
まだ精神的にも実力的にも未熟な雛鳥たちが、間近で大人の世界を覗き込み、時にそちら側へと踏み入りながら、自分で羽ばたき空へと飛び立たなければならない事を自覚する。これもまさに、青春じゃあないですか。
いやあ、これ確かに陰陽師たちによる異能バトルの世界観なんですけど、根っこの部分はそういうの関係なしに、直球直球豪速球の子どもが大人になる物語、だったんですなあ。

というわけで、これまでどこか底知れない一面を見せていた冬児の秘密が明らかになる話でもありました。こういう余人が立ち入れない男同士の友情を描かせると、あざのさんはビリビリに痺れさせてくれる。そうそう、男同士の友情は傍で女がちょっと羨望と嫉妬するくらいのがいいんですよ(笑
どうやら、彼に憑いているのはそれなりにいわく有り気なもののようだし、順当に起爆用の伏線が地雷原のごとく敷設されていっているのがひしひしと伝わってくる。これらが一度に爆発すると、またえらいことになりそうで、今からゾクゾクしてきましたよ。
これまで勿体付けていた十二神将たちも、一挙に出てきました。以前、テレビでも出ていらっしゃったあの小暮さんが、思ってた以上に面白いというか、キャラ的に丈幅が広そうな人で驚いた。癖のないくせ者というか、なんか使い勝手の自由度が半端ないぞ、このキャラ。一方で、あの鏡くんはあざのさん的には珍しいくらい真っ当な破綻者なんじゃないだろうか。作者は意外とこの手の壊れた人を頼もしい味方にしてしまう傾向があったんだけど、こいつは明らかに脅威以外の何者でもないようだし。かと言って、安易に敵にしてしまうような事はしないでしょうから、いったい物語においてどういう役回りになるのか、予想がつかなくてゾクゾクしますね、ゾクゾクしますね(笑

さて、そろそろ大連寺嬢が再登場しそうな予感。物語の進行的にも、ラブコメ的にも彼女の再投入は重要かつ必然でしょうからなあ。そう、熱い友情話で盛り上がったんだから、次はラブコメ熱が燃え上がってくれないと(笑

1巻 2巻感想

東京レイヴンズ 2.RAVEN゛s NEST4   

東京レイヴンズ2  RAVEN゛s NEST (富士見ファンタジア文庫 あ 2-5-2)


【東京レイヴンズ 2.RAVEN゛s NEST】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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北斗との別れ、幼なじみの少女・夏目との約束を経て“レイヴンズ”を育成する学園、東京にある陰陽塾へとやってきた土御門春虎。しかし春虎を待っていたのは思いがけない再会だった!? 時を超える陰×陽ファンタジー!

こ、このガキゃあ、自分でも知らないうちにあっちこっちでフラグ立てまくってるじゃないか(笑
そういう小器用な、色んな女の子から好かれるようなタイプではないと思うんだけどなあ、春虎は。まあ、倉橋京子は今のところフラグが立ってるだけで、実際に春虎の方を振り向いているわけじゃないから、これはこれでいいのか。明らかに、あとで多重錯誤がひっくり返るパターンではあるんだけど。
一巻で登場した鈴鹿は、あれはかなり怪しいですよ。再登場したときは、春虎は色々覚悟しておかんと。

というわけで、スクールライフ編である。何気に、あざのさんの作品でまともな学生生活ものって初めてだよね。Dクラは殆どドロップアウトしていて、マトモな学校での生活は描かれなかったし。デビュー作は禁酒法の時代、前作は世界規模の吸血鬼モノだったわけですから。ある意味新鮮だなあ。
新鮮といえば、むしろ夏目のキャラクターが新鮮だよ(笑
一巻で、彼女には色々な顔があることはわかっていたけれど、この学園での土御門夏目は北斗とも春虎の従姉妹である夏目とも違うキャラクターになってるんですよね。北斗っぽいかというと、ちょっと違うかんじだし、素顔の気位が高いけど楚々とした女の子らしい夏目とも違う、両者がうまいことかき混ぜられたような新しいキャラクターとして成立しているものだから、馴染みの夏目、春虎、冬児の三人のトリオなのに、陰陽塾という新しい場所も相まって、何とも新鮮な気分で三者のやりとりを見ていられるのは面白かったなあ。
土御門の名前を持ちながら、陰陽師としては完全にど素人で、色々と仕出かす春虎にやきもきする夏目に、逆に感情高ぶってテンパってる夏目の乱行に頭を悩ます春虎、そんな二人を脇からニヤニヤと眺めながら、何くれとなく卒なく救いの手を差し伸べる冬児。
そこに、春虎を出汁にして夏目に突っかかる倉橋京子に、お人好しのクラスメイト天馬。そして、父親から春虎に送られた式神・コン。なかなか賑やかなメンバーになってきたじゃないですか。
正直、今回の事件は敵さんも小物であんまり盛り上がらなかったけれど、ここで物語が広がっていくだろう舞台がどんなものか、様々な伏線も散りばめられ、始まる準備は整ったって雰囲気は伝わってきて、うん、これは先が楽しみだ。

しかし、ほんとにまだ始まる準備が整った、って感じなんですよね。役者もまだ出揃っている様子がないし、既に登場しているキャラクターたちからして、まだまだ謎が多い。冬児なんかその筆頭だもんなあ。彼が巻き込まれた霊災や後遺症からしてまだ全然わかってないし。辛うじて、鬼が絡んでいるというのは今回わかっただけだし。
そもそも、春虎と夏目からして……ねえ。状況は、世間で言われている夜光の生まれ変わりと真実が実は違っているのではないか、という示唆があちらこちらに散りばめられているのだけれど。夏目の男装の理由や、春虎に送られてきたコンの正体、最後に出てきた謎の人物の意味深な発言など、確かにそれらは、真実に裏側があるぞあるぞ、と指し示しているんだけど……ちょっと、あからさますぎる気がするんですよね。
どうも、ミスリードを誘っているような、もう二、三枚ひっくり返せる裏があるんじゃないかと疑いたくなる。
そういう仕掛けもまた、楽しみな要素である。あざのさんは後半、必ずドッカンドッカン大技ぶん投げて必殺してくれるもんなあ♪


何気に、このシリーズ、サブタイトルが好みだw

1巻感想

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと真夜中のカルテット4   

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと真夜中のカルテット (GA文庫)

【神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと真夜中のカルテット】 あざの耕平/カズアキ GA文庫

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ここで語られる創作者の心情が、筆者当人の考えではない、というのは大いに主張するべきところではあるけれど、あざの耕平はつまるところダン・サリエルみたいな奴なんだよ! というのはもういっそ認めちゃったほうが売りになるんじゃないですか?(笑
ああ、あざのさんってああいう人なんだー、という生暖かい視線に事欠かなくなることでしょうしw

というわけで、神曲奏界ポリフォニカワールドの中でも、唯一音楽の部分にスポットを当て、現実と理想の狭間に苦悩する芸術家たちをコミカルに描いたダン・サリエルシリーズも……ええっ!? これで終わりなの!? ひとまずの幕、良い区切りなどという文句を見ていると、また機会が合わされば書いてくれそうな気もするけど、間はどれだけ空いても構わないので、ポツポツと書いてくれないかなあ。
一応の最終巻となる三巻は、三話とエピローグという構成。
毎度、というか常に自分の掲げる理想と現実との狭間に苦悩する天才芸術家サリエルですが、今回はその中でもとびっきりの大ピンチ。
スランプ、である。
これは、特に理由もなくなってしまうものが本気で質が悪いんですよね。そうなる原因が無い以上、治るためのとっかかりも掴めない。色々試行錯誤しようとも、ダメなときはとことん駄目、何をやっても駄目。ダメダメダメ、が続いていくとだんだんそれまで自分がどうやってそれをやってきたかすらもわからなくなってくるんですよね。
場合によっては、本当にここで筆を折ってしまったり、楽器を置いてしまったり、という人も決して少なくないのです。スポーツ選手もスランプから引退にまで滑落してしまう人は珍しくありませんけど、練習によって身体能力を維持しているスポーツ選手ですら、感覚を見失うことで自分のプレイスタイルを崩落させてしまうのです。ロジカルでシステマティックな方法論が前提にあるとしても、その感性によって成り立たせている芸術というジャンルでは、よりスランプによる破綻が顕著になっていくのではないでしょうか。
音楽と執筆という違いはあるとはいえ、よくもこんな怖い話を書くよなあ(苦笑
そして、スランプも極致へと陥った最終局面にて、サリエルがしみじみとモモに語った、音楽に対する姿勢の話。これって、けっこう聞く人、読む人にもわかるもん、伝わるもんだと思うんですよね。そして、そうやって創りだされたものには必然的に迫力みたいなものが備わるんです。これは、内容が緩い話だったり、バカバカしいくだらない話でも変わらない。緩いなりに、バカバカしいなりに、くだらないなりに、渾身が伝わってくる。伝わってきた以上、やっぱり受け止める側も相応に気合がこもるわけですよ。そして、やっぱり適当に作られたものだとね、適当にしか受け止められないんですよね。

そして、二話ではなんとかスランプは脱したものの、どん底の時の演奏をさんざんに酷評されて、荒れまくるサリエルの図。ただ、普段は根に持つだけでそんなに気にしないものの、今回に関しては実際にひどい演奏だっただけに、サリエルが色々と気にして挙動不審になるおはなし。
スランプの時も相当ひどかったけど、けっこう繊細だよなあこの歩く傲岸不遜は(苦笑
酷評って、自分が気にもしていない部分をどれだけ指摘されても、鼻でフンと笑い飛ばせるものなんですけど、図星つかれたりするとかなりへこむんですよね。これは自信家だったり自分の手がけたものに揺ぎ無い自負を抱いている人でも、というかそういう人こそダメージが大きかったりする。
ここでサリエルが口走ってる暴言は冗談の類なんでしょうけど、サリエルの挙動不審っぷりはこれはちょっとディティールがリアルすぎますよ?(笑
まあサリエルみたくここまであからさまに傲慢で性格極悪な人はいないでしょうけど、表向き謙虚だし、内心でも謙虚たらんと心がけている人でも、その心のなかの建前をとっぱらったらサリエル並みって人はけっこういると思いますよ(笑
酷評ってのは、ある意味そんな自分でも一生懸命押し殺している部分を刺激し、ぐらぐらと揺るがすものなのかもしれませんね。いやね、サリエルのオレはもしかして、ひょっとすると、傲慢だったのか? というマジなセリフに、色々と、ねえ(笑


んでもって、最後の三話は原点回帰。キーラ・アマディアのあがり症、ひいては彼女が今置かれている現実と向き合うおはなし。
押しかけ弟子であって弟子じゃない、と言うくせにサリエルのアマディアへの面倒見の良さは、師匠と言うにも一生懸命過ぎるんですよね。
アマディアに女としてみてもらえる目があるかどうかは、ちょっと計り知れない部分がありますが(今回の話読んでて、もしかしたら可能性はあるのかも、と思うようになりましたけど)、演奏家としての彼女は文句なしにサリエルに認められ、愛されてすらいるんですよね。
前の感想でも書きましたけど、サリエルって音楽に対してはびっくりするくらいに理想家なところがあって、その理想は自分の音楽に留まらず、他人が弾くそれにまで広く及んでいるんですよね。音楽を愛する彼に取って、アマディアの音楽が失われてしまうのは我慢がならないこと。故にこそ、あそこまで無茶をしたんでしょうが……さて、そこにどれだけアマディア個人への親愛があったものか。ここで最終巻となってしまうのなら、それはご想像にお任せします、なんですよね。ちょっと残念。まあ、あんまりラブ方面には縁のないシリーズでしたし、これくらいの匂いでよかったのかもしれませんけど。
前回登場のリジアたちも登場しての、オールスタークライマックス。相変わらず、こっちのユフィンリーは面白残念美人で、素敵すぎます(笑 このユフィンリー好きだなあ。

ここで幕となってしまうのは、やっぱりとっても残念なので、何らかの形で続いてくれないかなあ。大迫さんが逝去なされた上にこのシリーズも終わってしまうのだと、ポリフォニカシリーズ
が手薄になってしまいますし。
別のキャラクターで新シリーズ、というのもありかもしれませんが。

東京レイヴンズ 1.SHAMAN*CLAN4   

東京レイヴンズ1  SHAMAN*CLAN (富士見ファンタジア文庫)

【東京レイヴンズ 1.SHAMAN*CLAN】 あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

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まずはポツリと落とす一滴。その一滴の雫が、真っ白なキャンバスをものすごい勢いで塗りつぶして行き、後になるほどその潜在していたスケールに戦かされるのが、あざの耕平作品のセオリーであり、かの人がスロースターターなどと呼ばれる所以なのだと踏んでいるのだけれど、さてこの新シリーズは如何なるものになっていくのか。
一都市の日常の裏に潜むダークサイドを舞台にした【Dクラッカーズ】。そこから一気に世界全体を揺り動かし、人類と吸血鬼の行く末を描くに至った【ブラック・ブラッド・ブラザーズ】。そして、この【東京レイヴンズ】は、タイトル通り東京を舞台に、世間の耳目が見聞きできる場所に躍り出た霊異と陰陽師たちの物語。これが、どこまで日本を揺り動かし、世界を震撼させるのか。楽しみで仕方がない。

にしても、確実に前作・前前作とは違う部分を狙ってきたなあ。同じものは書かないぞ、という舌なめずりをしながら手ぐすねを引いて取り掛かったような作者の熱気が伝わってきて、読んでるコチラの体温も自然と上昇してくる。
思えば前作【BBB】は斯くも偉大な物語へと駆け上ったけれど、唯一物足りない面があったとすれば、それはラブストーリーとしての側面だったんですよね。ミミコとジローさんはいい雰囲気は醸し出していたんだけれど、二人の関係は恋人としてのそれをじっくりと練り上げていくにはあまりにも激動の時代の波の渦中にありすぎて、それどころじゃなかったからなあ。
そうした前作の結果があったからか、今度のシリーズではより積極的に、果敢にラブ寄せを突っ込んできた。まだまだ鈍い主人公・春虎と自分の恋心を不器用に持て余すヒロイン・夏目という、初々しいラブコメ模様だけれど、かつての【Dクラッカーズ】の景と梓を彷彿とさせる因果と運命が二人の間柄には秘められていそうな雰囲気でもあり、二人の間に流れる想いが後々ドえらい展開をもたらす起爆剤であり原因となりかねない気配もあり、これも楽しみで仕方がない。
面白いといえば、メインキャラクターたる二人、春虎と夏目のわりと頼りなさそうな部分も面白いなあ。今までのあざの作品のキャラクターって、みんな突飛なところはあっても出来る人材が揃ってたんですよね。土壇場に追い込まれれば追い込まれるほど冴え渡り、度胸が座り、持ち得る最大のポテンシャルを発揮し尽くし、絶体絶命のピンチを乗り越えて行く、みたいな。
だので、夏目の肝心なところでの本番に弱くオタオタしまくるところには、状況も忘れて思わず和んでしまった。堅物で融通がきかず、きっちり者で内気で不器用、とまたこれまでにないキャラだなあと思ってはいたけれど、その上ダメっ娘だったとは。天才という評判はどこへ行った(笑
天才だけど、突き抜けてはいないんだよなあ。実際、十二神将と呼ばれる国家一級の陰陽師とはその実力にかなりの隔たりがあることが、明白となっているし。
いやしかし、この娘はホント面白い。話が進めば進むほどこの娘が内包している様々な要素が明らかになっていくのだけれど、少なくともこの一巻終了時点だけで夏目というヒロインが持ち得る可能性の多様さ、複雑さ、広大さは、その全貌を改めて確認するとちょっと呆気にとられてしまったほどだ。あざのさん、滅茶苦茶練りこんできたなあ。一見、よくあるラブコメヒロインの典型とも捉えられかねないけど、とんでもない、もうビックリするほど詰め込んであるよ、この娘。
そうか、なるほどなあ。なんで春虎が当初、鈴鹿に夏目と誤解されたのか。後半、実際夏目が鈴鹿と対面したとき、彼女が土御門夏目だと鈴鹿がわからなかったのか。
他にも、喫茶店で春虎が夏目の代わりに行くと言った時、それまでそわそわと上機嫌だった彼女が、春虎がちょっと鈴鹿の事を庇った発言をした途端、いきなり過剰なほどぶちきれてしまったのか、夏目の言動にはしっかりと伏線が仕込まれていることに気付かされる。
喫茶店で夏目がキレたときは、さすがに自分も「え? いきなり怒りすぎじゃね?」と思ったもんだけど、一連の出来事の裏にあった真実が明白になった後に振り返ってみると、ここの場面、確かに夏目は春虎の発言にキレて然るべきなんだよなあ。ものすげえ納得した(笑

あー、しかし北斗の奔放なキャラクターはすっごい気に入ってしまってたので、この展開には戸惑いとワクワクが収まらない。次巻以降、どういう風に描いていくんだろう。ラストで端緒は描かれているけれど、これが日常パートとなるとどうなっていくのか、楽しみで仕方がない。全部を理解した冬児は嬉しかっただろうし、めちゃめちゃ事態を楽しんでるんだろうなあ、これ。面白くって仕方ないだろう、見物人としては。
色々と頼りないダメっ娘だったりニブチンだったりする部分はあるけれど、春虎も夏目もあざの作品のメインキャラクターに相応しい、魂の熱さをしっかりと宿した真っ直ぐで敬服に値する、要するに惚れるに十分なキャラクターだ。これからも猛烈に追いかけていきたい。特に夏目は頑張れ、超がんばれ(笑 絶対苦労するタイプのヒロインだもんな、この娘は。春虎の野郎、さっそく中学生にフラグ立ててやがるしw ライバル多いぜ、きっと。
鈴鹿も、言動からして常識のない病んだヤバげな娘かと思ってたら、思いのほか一途で。その内面は攻撃的な態度とは裏腹で、うん、イイ娘だよなあ。こりゃあ、強力なライバルになりますぜ、夏目さんw

思っていた以上にキャラの造形に力が入っていたけれど、ストーリーの方も今後ドでかい爆弾が潜んでいる気配があちらこちらに仕込まれているし、数人の主要人物のみの閉じられた物語ではなく、これまでのシリーズのように沢山の登場人物が激動の運命に立ち向かう展開を予想させるものが確実に垣間見えているので、もう先々が楽しみで仕方がない。
とりあえずは次回は学園編ということで、こいつアホだろう、と否応なく確信させられてしまった春虎と、なんかもう大変な苦労をしいられそうな夏目さんの活躍を堪能したい、というところで、ここは敢えて、冬児の働きに期待(笑
陰陽師が表舞台に出ているこの世界観の詳しい社会面や、怪異を堂々と内包している日本の国際面での立場とか、そういう方向ももっと知りたいところだけれど、この辺は次回以降、無知な春虎がしっかりお勉強してくれるか。【BBB】でそういう異端異常を内包した社会のロジカルな設定構築の確かさはわかっているので、その意味では安心してワクワクしながら待てそう。
なんにせよ次回だ、次回。うん、早く早く、続き読みたい♪

BLACK BLOOD BROTHERS 11.賢者転生5   

BLACK BLOOD BROTHERS11  ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (富士見ファンタジア文庫)

【BLACK BLOOD BROTHERS 11.賢者転生】 あざの耕平/草河遊也 富士見ファンタジア文庫

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終わった。終わってしまった。
その事実を前にして、湧き上がり押し寄せてくる様々な感情の波に、ただただ翻弄される。
しかし、意外なほど喪失感はない。寂しさもない。もうこれ以上この物語の世界に住まう眩しいばかりの魂の持主たちの姿を読めない、というのにだ。
あざの先生のエンターテイナーとしての手管は、その意味では物語を完結させるやり方においてさえ、読者に対して行き届いていると言っていいのかもしれない。たとえ物語が、ページ上に文字列として描かれる形においては終わりを迎えたとしても、この赤と黒の血が交わる世界が泡沫のように消えゆくのではなく、何一つ終わることなく、先へ、未来へ、次の世代へと引き継がれ、様々な物語が紡がれていくのだろうというヴィジョンを、刻みつけていってくれたのだから。
だから寂しさなど何処にもなく、想いを馳せることただそれだけで、再び彼ら彼女らが駆け抜けていった世界の姿を脳裏に垣間見ることができる。刻々と変わっていくであろう世界を想像できる。
それがただ、嬉しい。
終わってなお、物語が続いていくだろうことが嬉しい。

出会いあれば別れあり。
しかれども、別れた先で想った人が元気であり続けてくれるのなら、たとえ二度と逢うことがないのだとしても、別れは決して辛くはない。
つまりは、そういうことなのだろう。



赤い血、人間の。黒い血、吸血鬼の。
この物語では、様々な形の意志の継承。世代を経て受け継がれていく想いというものが描かれてきた。
賢者の血統、ジローに課せられた血の宿命、サユカに受け継がれたゼルマンの意志のような、血によって引き継がれていく、吸血鬼独特の在り方。
また、陣内の遺志をミミコが引き継ぎ、より大きく翼を広げていったような、人間の世代の引き継ぎ方。
どちらが是で、どちらが否というわけではない。そのそれぞれの在り様を、まるまる飲み込み、すべてを肯定するようにして結実していく未来の形。
それはさながら、新しい世界での人間と吸血鬼との新たな関係の誕生を祝福するかのようだった。
カーサや九龍の家族たちが、ワインに託した思いが。ジローとミミコの間にうまれたものが、まさにその象徴、この大きな戦いと世界の変革がもたらすであろう世界の未来の、希望の光の象徴だったのではないだろうか。
まったくすごい。ここまで見事な形で、常にこの物語の根底に流れていたテーマに解答を叩きつけてくれるとは。もう、痺れるような快感に震えるしかないではないか。
おめでとう。ありがとう。ここまで書きたかったであろうことのあまねく全てを余すことなく書き切ってやったぜ、ってなものを見せられては、読者冥利に尽きるというものである。ほんとに。まったく本当に。


しかし、ある種の痛快感、カタルシスにいささか欠けた点があったのは否めないなあ。もちろん、理由は明快にして明確である。
倒されるべき敵。憎むべき仇敵。世界に仇なす大敵であるところの九龍の血統。
あの連中が、あまりにも愉快で、優しくて、温かで、眩しいぐらいの絆と愛情によって結ばれた、とてもとても素敵な家族(ファミリー)であったからだ。
敵として扱うには。倒される相手として見るには、あまりにも最高なヤツラだったからだ。
決して強大な敵などではなく、むしろ抗いがたい世界のうねりに勇ましくも誇り高く、持てる力と知恵を振り絞って戦いを挑んできた弱者たちだったからだ。
その彼らが、一人一人、倒れていく姿に、どうカルタシスを感じることができるだろう。どんな痛快感が生まれるというのだろう。
だからと言って、九龍側にだけ一方的に感情移入していたわけでは無論無い。ミミコの、ジローの、ケインの、サユカの。カンパニーを含めた吸血鬼・人類連合サイドの感情移入度も、最高潮に達していたのだ。
勘弁してほしい。敵味方、どちらもこんなに好きなのに。全身全霊を賭して戦い、抗い、生きようとして、世界を作ろうとしている姿にこれほど心打たれているというのに、その双方が争い、戦う事が運命づけられているんだから。どちらかが倒れなければならないことが決まっているわけだから、辛かったなあ。苦しかったなあ。
かといって鬱になるわけじゃないんだ。恩讐を超えた先、というべきか。互いに憎み恨み負の感情を募らせて傷つけ合った時期は確かにあったと思うけど、この最終決戦には不思議とネガティブなところは感じられなかった。誰もかれもが、眩しかった。光り輝いていた。
相容れぬはずだった二つの陣営。だけれども、戦いは避けられなかったにしろ、互いには認め合い、通じ合う何かが生まれていたように見えて仕方ないのだ。カーサを前にしたケインのあのセリフ。ミミコとカーサの約束。そして、ジローとカーサの最後の戦い。
だから、カルタシスなど感じなかったのは確かだけど、それとはまったく別の、とても深い感慨と、どこか不可思議な爽快感を、この最終決戦から受け取った気がする。

だからこそか。少しばかり、いや大いにか、この九龍の血統を生みだした世界の脈動が憎らしい。
はぐれ者たちの寄る辺となったこの血統だけど、乱を好む性質、血を吸って血族を増やすという特性から、世界と相容れぬ性を持たせ、新たな世界を生み出すための生贄のようにして、従来の世界を壊させ、罪を犯させ、用が済んだら使い捨てるように排除させた、世界が恨めしい。
やつらは、本当に素敵な連中ばかりだったのに。囚われたコタロウが思いのほか九龍の家族たちに馴染んでいたように、
もしワインがミミコを噛んでいたとき、カーサの企みが成ってミミコが九龍の血に感染していたら、と思う事がある。きっと、笑っちゃうほど馴染んでいたんだろうなあ、なんて光景が思い浮かんでしまうのだ。カーサにからかわれながらも肝心な時にはお尻を叩いて喝を入れ、ザザなんかも頭があがらず、ダールからは可愛がられ、弟たちからは小うるさいちいお姉ちゃんとして、うるさがられ、慕われて、ちょっぴり恐れられ。みんなを引っ張り回し、引っかき回し、逆に引っかき回され、頭を抱えて怒鳴り散らす。
そんな光景が容易に思い浮かんで仕方がない。

元は孤児で家族を知らないミミコは、思いのほか九龍の家族たちと相性が良かったのかもしれない。
ミミコがもし、あちら側にいれば。結局、ダールやザザでは抑えられなかったカーサの激情を、カーサという個性を殺すことなく見事に制御できたんじゃないだろうか。
アリスにもジローにもケインにも結局埋めきれなかったカーサの心の虚。それはリズと出会い、九龍の血統という家族を得て、蓋がされたのだろう。彼女は十分、満足していった。
でも、本当に彼女の虚を埋められたのは、もしかしたらミミコだったように思えてならない。この作品の登場人物の中で、もっともミミコという人が必要だったのは、カーサだったような気がしてならない。
カーサとミミコが敵ではなく、家族だったら。そんな「if」に想いを馳せるのが、少し楽しい。

それからすると、ミミコがワインとした約束は、実のところかなり惹かれるものがあるんですよね。
ミミコが本気になってワインを立てるようなことになったら。どこか、心躍るものがないだろうか。胸沸き立つものがないだろうか。
きっと、今回の一件が比肩にならないほどの大混乱が世界を満たすことになるに違いない。一つのテロリズムに過ぎなかった九龍の抵抗は、まったく形を変えた世界を変革する激動になるのがまぶたの裏に浮かんでくる。
そして、その中核にいる新たな家族たちは、きっとかつてのそれに勝るとも劣らない、素敵で愉快な面々であるに違いないのだ。


あとがきで作者が囁いていた、この世界のその後の物語にも相当心躍ったものだけど、ほんとに、終わったにもかかわらずこの作品には想像がつきることない可能性が詰め込まれていて、少し想いを馳せるだけで一気にそれらがあふれだしてくる。
まったく、楽しくて仕方無い。もう終わってしまったと言うのに、楽しくて仕方がないよ。


あと、少しだけ個人にも触れる。

カーサは、結局もう一人の主人公として、見事に走り切ったなあ。
この人は、結局最初から最後まで、どんな立場に立っていても、みんなのお姉ちゃんだったな。アリスたちと一緒にいたときも、九龍の血統になったあとも。みんなの頼りになるお姉ちゃんにして、みんなが守り支え助けてあげないと、と思ってしまうお姉ちゃん。
結局、彼女をよく知る人たちは、みんなカーサが大好きだったんだよね。罪作りな人だよ、カーサは。自分がこんなにも愛されているということを、彼女は頭では知っていたとしても胸の部分で分かっていなかったところがあったんだろうなあ。
もしかしたら、それを思い知ったのが、ケインが目の前に現れたあの時だったんじゃないだろうか。あの激しすぎる動揺は、ケインの想いに打たれたものは当然としても、それ以上に自分がどれほど想われ、大切にされ、愛されていたかを、本当の意味で思い知ったからなんじゃないだろうか、なんてことを思ったり。頭ではわかっていた、みんなが自分を愛していてくれた、という事実に、あの瞬間、実が籠り、色が生まれ、匂いや質感が生じ、本当に確かなモノとして感じとることが出来たんじゃないだろうか。
ただの、想像だけどね。
でも、だから。カーサはさいごまで幸せだったんじゃないだろうか。
そう、思うことにする。


通してカッコ良かったのは、間違いなくサユカさんだよなあ。この人はもう、あらゆる意味で化けた。もう惚れた。彼女に関して書いてたら、それこそ尽きることがないので、もうやめとく。やめとこう。
いやもう、最高にかっこよかったよ。

他にも書きたい人はいくらでも。それこそ、いくら書いても足りないくらいに。
だから、このへんにしておこう。



史上に残る大作にして、傑作でした。
終わることを惜しみつつ、また新たな先生の作品が読めることを喜んで。

BLACK BLOOD BROTHERS 10.銀刀出陣5   

BLACK BLOOD BROTHERS10  ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 銀刀出陣― (富士見ファンタジア文庫)

【BLACK BLOOD BROTHERS 10.銀刀出陣】 あざの耕平/草河遊也 富士見ファンタジア文庫

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カーサがワインに語る香港聖戦前夜。どうしてアンヌがカーサを誇り高き子と讃えて死んでいったのか、九龍の血統がどうして生まれたのか。どうして、カーサが裏切ったのか。その真相が語られる過去語り。
うん、なんでアンヌがカーサにあんなことを言って死んでいったのか、今ならその哀しみも誇らしげに思う気持ちもよくわかる。
もし、彼女がこの世にただ一人の孤独な混血児のままだったら、逆にカーサは九龍の血統にならなかったのだろうと思う。そうなると九龍の血統自体が生まれることがなかったのかな。
彼女が自分のような混血児の扱いを象徴とする世の歪み、世の矛盾と戦う事を選んだのは、自分を守るためじゃなく、自分じゃない誰かを守るためだったわけだ。
人間たちの世界が激動の変化を迎える近世。皮肉にも、ジローがアリスと契りを結び、カーサやケヴィンたちとともに歩んだこの百年こそがもっとも世界が激しく動いた百年であり、その激変に対して夜の世界はついていけず停滞し、淀み凝り煮詰まりつつあったと、ウォーカーマンは語った。
昼と夜は乖離を続け、おそらく両者の関係の破綻は時間の問題だったのかもしれない。
世界は変革を求めていた。そして、吸血鬼の始祖とは、世界が求めるからこそ生まれる存在なのだという。
今ある世界と戦う意思。自分を苦しめたものを自分ひとりに留めるために、初めて得てしまった家族を守るために、世界に抗う意思を得たカーサと運命が邂逅した瞬間、九龍の血統は生まれてしまったわけだ。

その結果、香港聖戦が起こり、世に吸血鬼の存在が知れ渡り、そして十年を経て特区インパクトが起こることになる。

確かに世界は変わりつつある。停滞は消し飛び、人間と吸血鬼の関係は劇的ともいうべき変化を迎えつつある。
九龍の血統は、世が求めた役割を見事に果たしたのだろう。
でも、変わりつつあるその世界の中に、はたして九龍の血統の居場所はあるのだろうか。
自分の存在の拠り所なく、寄る辺なく、孤独に飢え、常に家族を求めていたものたち。自らを家族と称し、自らの居場所を探し続けるものたち。
混血の名のもとに、すべてを飲み込み、孤独を隔てる壁を取り払おうとするものたち。
皮肉なことに、彼らが求めたゆえに訪れつつある変化した世界は、彼らを敵対者として、存在を許されぬ害悪とて、根絶すべき病根として滅ぼし消し去ろうとしている。
用済みだから消されるのか? 九龍の血統はただ触媒として用意されただけの使い捨ての駒に過ぎなかったのか?
彼らは乱を求め、戦うことで腐った不平等の平和を打破し、自らの居場所を勝ち取ろうとしている。でも、その果てに彼らの求める安息の地はあるのだろうか。
黒蛇が与えた禁断の果実によって、楽園を追われたアダムとイヴ。
求める未来に楽園は在るのか。それとも、今家族で集うこの現在こそが楽園なのか。それとも、おのおのが決別し捨て去った過去こそが楽園だったのか。
黒蛇カーサ。彼女が求める真の楽園はどこにあるのだろう。

彼女がひたすら見つめ続けた視線の先にいた男。望月ジロー。
彼女が決別の前にジローと語らった一夜の出来事。そこでどんな会話がかわされ、どんな想いが交錯したのかは夜の闇に沈んだまま、各々の心の奥に大切に仕舞われたまま、明らかにされることはないのだろうけれど。
ただ、彼女の秘められた想いは、思っていたような偏執的な歪んだものとはかけ離れた、とても尊く誠実で、他人が口出ししていいようなものではない、神聖なものなのだと、今は思う。とても、哀しいことだけど。


世界が動いている。
特区を占拠する九龍の血統をせん滅するため、昼の世界と夜の世界が手を結び、圧倒的なまでに燃え広がる炎のように、戦いの機運は盛り上がっていく。

でも、ずっと違和感があったのだ。
世界各地から、鳴りを潜めていた多くの血統から絶大な力を秘めた吸血鬼たちが集い、人間たちの組織力がそれをバックアップする。
戦いは、間違いなくミミコたちの勝利に終わるだろう。
でも、この流れに、ずっと違和感があったのだ。

まるで、弱者と自らを謳う九龍の血統を、生贄のように圧倒的なうねりの中に押し流そうというこの流れが。

特区インパクトからミミコがメイデンと呼ばれ、息をのむような怒涛の流れで生まれ変わっていく世界の姿に打ち震え、感動に胸を高鳴らせていた身でこういうことを言うのは矛盾かもしれないけれど。

お前たちは、違うだろう、と。思ったのだ。

この戦いの決着をつけるのは、こんな世界の流れなんかであるべきじゃない。戦いの帰趨を、よそから送り込まれてきた血統の派遣軍なんかにゆだねていいわけがない。
因縁も、愛憎も、そこにはなにもないじゃないか。
そう、よそ者だ。所詮は部外者なのだ。彼奴らは、九龍の血統の連中のことなんか何も知らない。彼らとミミコたちが、どういう想いを交錯させ、戦ってきたかを、知る由もない。
もちろん、尾根崎たちの尽力や、各血統たちの変革への決意を否定するわけじゃない。実際に特区の中で戦うレジスタンスたちの現状を無視するわけじゃない。
彼らはとても正しい。やるべきことを、限界を超えた力をもってやり遂げようとしているその姿は、眩しく誇らしく、素晴らしいものだ。

でも、違うと思ったのだ。こんな形で、この動乱を治めることは違うのだと。

まったく、ぐうの音も出ない。
びっくりするくらいにあざのさんは、この違和感を明確に読んでるこっちに突きつけ、そして打ち破ってくれやがった。

そう、この戦いの決着は、世界の流れなんかじゃなく、彼らの手にゆだねられるべきなのだ。

最終巻は、続けて来月に送り込まれてくる。
願わくば、一人のダンピールの少女に明るい未来を与えんことを。
それこそが、きっとすべての人の救いへとつながるはずだから。

万感の思いを胸に、五月を待つ。

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルとイドラの魔術師5   

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルとイドラの魔術師 (GA文庫)

【神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルとイドラの魔術師】 あざの耕平/カズアキ GA文庫 

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うひゃひゃひゃ、やっぱおもしれえ!
二巻になっても絶好調のポリフォニカ、ダン・サリエルシリーズ。このシリーズって、明らかに他のポリフォニカシリーズと方向性が違うんですよね。ほかは榊一郎さんのクリムゾンにしても、大迫純一さんのブラック、ゴールド、高殿円さんのホワイトにしても、人間と精霊という異なる存在が紡ぐ関係性に描写の主体が置かれているのに対して、このダン・サリエルという作品は音楽という芸術に魅入られた人間たちの足掻き、苦悩、すなわち音楽との関係性に主体が置かれている。
音楽家として成功しながら、自分の音楽の性質、方向性に不信と疑念を抱き、しかしその道を貫くことを己に課しているダン・サリエル。
神に愛されるほどの絶大な音楽の才能を持ちながら、あがり症という瑕疵でその才能を潰し落ちこぼれてしまっているキーラ・アマディア。
そしてこの二巻ではこの二人に加えて、
新人賞という成功を勝ち取り、トップへの道を目の前にしながら、自身の才能のなさ、というどうしようもない現実に叩きのめされるアサナミ・リジア。
誰もが望む音楽家という偶像を作り、偶像(イドラ)を操る魔術師。音楽プロデューサーのハセ・シャルマ。
という音楽という芸術の迷宮に挑む探究者ともいうべき二人が加わるわけです。
なんだかんだと自分の音楽家としての在り様に深刻な疑念を抱きながらも、才能に関しては有り余るほど持っていたサリエルとアマディアに対して、今度登場した二人は、現在進行形で才能のなさという現実に直面するリジアと、恐らくは過去に理想に潰れるよりも現実に徹することを選んだであろうシャルマという、また前の二人とは違う形で音楽に対して苦悩するキャラクターなんですよね。
まあ、シャルマはある意味、この中では一番迷いなく自分の道に徹している人なんでしょうけど。いや、迷いなく突き進むという意味では壁にぶち当たるたびに進む方向を変えてはいるものの、リジアもそちらのタイプか。
こうして、シャルマというキャラクターの物語への登場を介してみると、サリエルってあれで物凄い理想家だったんだな、というのがわかる。一巻での古典的音楽家たちとの対立などから浮き上がる大衆に迎合したいまどきの軽薄な音楽家、という彼に付きまとう評判がどれほど的外れなものかを知っているのは、むしろサリエルよりもシャルマの方なのかもしれないな。
もし、本当にサリエルがそういう音楽家だったとしたら、今でもシャルマと仕事上のパートナーとして上手くやっていたはずなんだから。
かといって、サリエルが自分の理想を体現できているかと言うと、なかなかうまくいかない。上手くいかないどころか、もしかしたら彼が望む方向性と彼が持っていた才能が示す方向性はまったく別のベクトルにあったのかもしれない。かといって、サリエルは自分の才能が示す音楽の方向性を否定しているわけじゃない。それどころか、決意と確信をもってその道を進んでいると言ってもいい。そして、現実に成功しているわけですしね。
ところが、心のどこかでは自分の理想とする音楽の形とのズレがあるような気がしていて、そこから自分の音楽に対して自信を抱き切れず、悩んでいる部分がある。一巻での老音楽家とのセッションなんかは、その辺があますことなく剥き出しになっていたように思える。
もしかしたら、アマディアの音楽とは、サリエルが思い描く理想の音楽そのものなのかもしれない。神に愛された圧倒的な、それこそ方向性だのなんだのを無意味とするような、完全無欠の音楽。
第一話「ダン・サリエルと七つの仕事」でサリエルが見せた劣等感なんかはその証なんだろうし。
でも、性格的に傲岸不遜、根性ひんまがってるように見える自己中の塊みたいなサリエルですけど、決して本当の意味でエゴイストじゃないんですよね。彼の理想は、自分だけではなく他人にも開かれている。彼がアマディアを潰さずに何だかんだと出入りを許しているのも、シャルマのもとを飛び出してきたリジアに手を差し伸べたのも、彼自身の音楽を高めることには何らの意味も価値もないことですもんね。それどころか、彼女らの成長と成長は自分の才能を潰すことになるかもしれない。特にアマディアの圧倒的な音楽には、はっきりとサリエルはその恐れを感じているわけですし。
彼が本当の意味で理想家だと思えるのは、彼の音楽に対する理想というものが自分の音楽にとどまっていないというところでしょうか。ともすれば、彼がたびたび古い因習に凝り固まった実力を伸ばす努力をしない音楽家たちを痛烈に批判するのも、傲岸さや売名行為だけじゃなく彼の音楽への理想がそう言わせているのかも。
態度からは想像もできないけど、彼ほど音楽を愛している人はいないのかも。

そんなサリエルも、昔ならリジアに手を差し伸べるようなことはしなかった、とシャマルが言ってましたけど……その昔っていつのことなんでしょうねえ。シャマルとケンカ別れしてモモと契約してからの事なのか、アマディアたちが入り浸るようになってからのことなのか。
今回は語られませんでしたけど、どうやらサリエルとモモの契約した過程にも相応の物語があった様子。なんでサリエルみたいな男がモモみたいな精霊と契約したのかずっと不思議だったのですけど、サリエルとモモとシャマル、この三人には随分と因縁めいたものがあるみたい。なにがあったんだろう。知りたいなあ、気になる気になるw
サリエルの変化がアマディアたちとの出会いの後にもあったとしたなら、自分はそこにはコジの影響が見逃せないと思いますね。
アマディアという天上の才能の持ち主との出会いも大きいと思いますけど、コジって結局サリエルとは契約しなかったわけですけど、契約しなかったわりにサリエルが寡黙になって酷く悩みに沈んだ時は、フラッと現れてさり気なく喝入れてくれるんですよね。あれでけっこう繊細で長いこと抱え込むタイプなサリエルに、内側に溜まったモヤモヤとしたものを、愚痴と一緒に吐き出させてすっきりさせるコジって、実は得難い存在なんじゃないでしょうか。こいついなかったら、もっとサリエルって長いこと鬱に沈んで迷走しそうだし。
契約精霊は得られなかったものの、サリエルはかけがえのない友人を得たのかもしれません。
ところどころ、虎じゃなくてにゃんこ化してますけどw 第二話は笑い死ぬかと思ったにゃー(爆笑

うーん、こうして振り返ってみると、やっぱりサリエルって好きだなあ。陰険ドSなのに、ここぞというときは優しいしなあ。
ラストのアマディアの演奏に寝た振りするところなんて、もうめちゃくちゃ惚れた。優しくて、厳しいその振る舞い。うーん、これってある意味、師匠としての振る舞いなんだろうか。

キーラ・アマディアのささやかな一歩。第四話のタイトルなんですけどね。総じて言えば、この本のメインは今回は彼女だったと言えるでしょうし。
天上の神に愛されるほどの才能を持ちながら、あがり症のおかげで人前ではまともに演奏することもできず、試験にはことごとく落ちまくり、実家からは見捨てられた落ちこぼれ。
絶賛、才能を持ちながら生かせず潰れていきかけてる最中の音楽家の卵。そんな彼女の前に現れる、幼馴染のリジア。新人賞を取り、成功者の列に名を連ねようとしているライバルの登場に、どれほど劣等感を抱き、羨望を覚え、翻って自分の情けなさに打ちのめされたか。
ところが、そのリジアはリジアで、自分の音楽をプロデューサーであるシャマルに否定され、そのもとを飛び出し、自分の力で成功を勝ち取ろうとしながら、結局自分が才能のない音楽家だということを思い知らされる、という過酷な現実にぶち当たるわけです。
それでも、彼女は怯まず自分が才能のない音楽家だというのを受け入れながら、負けるかーと突き進んでいくわけですけど。
そんなひたむきさ、前向きさ、音楽に対する姿勢を見せられたら、アマディアだって黙ってられないですよね。ただの成功者じゃない、プライドをかなぐり捨て、努力で才能のなさを突き破るリジアの姿は、アマディアにとってこれ以上ない良い刺激になったのじゃないでしょうか。
田舎に閉じこもっているだけでは決して開かれなかった扉。いろんな人との出会いが、閉ざされていたアマディアの未来を徐々に押しひらいていこうとしている感じが、とても素敵です。
サルエルは、そっぽ向きながらつま先でチョンチョンと蹴飛ばして、その扉を開けるのを手伝ってやってる感じだなあ(笑


レオン・ザ・リザレクターシリーズが高らかにポリ・ゴールドシリーズへの移行を表明した今、ポリフォニカで色がついてないのってこのシリーズだけなんですよね。そろそろこのシリーズもカラーでのラベリングを行ってほしい所なんですけど。一部で言われてる、ポリ銀はちょっち違う気もするんですよね。白銀の虎コジは、主要メンバーの一人ではありますけど、主人公ではありませんし、やっぱりダン・サリエルのイメージカラーこそがこのシリーズのカラーとなるべきなんでしょうけど……。
サリエルのイメージカラーってなんだろ。カラーの挿絵見てても、あんまり特徴的な色は持ってないんですよん、この人。敢えて言うなら、銀髪? となるとやっぱり銀になるのか? でも、この人のイメージって銀というよりも、むしろ紫っぽいなあと前々から感じてるんですよね、自分。ポリ紫?

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎5   

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫 あ 4-1)

【神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと白銀の虎】 あざの耕平/カズアキ GA文庫


べらぼうに笑ったわ! ユフィンリー、ユフィンリー!(爆笑
ユフィンリーの姐さん、もともとポリ赤のメイン格の一人なんですけど、どうもあっちでは大人しいというか、猫被ってるような、本性まだ出てないような感覚だったんですよね。彼女のプロフィールやたびたび語られる性格、エピソードからしても。榊作品でも、時々ネジが一本二本飛ぶタイプのキャラクターが下地にあるように感じてたんですけど、ポリ赤の作品の性格か、なかなかそういう一面が見られなくて、実のところちょっと欲求不満なところがあったんですが……やってくれました、あざの先生が。
ユフィンリー、ユフィンリー!(爆笑

というわけで、第二話。似た者同士の近親憎悪、仲がいいのか悪いのか、サリエルとユフィンリーの確執、までには至らないか。見栄の張り合いを発端としたある凄まじい価値を持つアンティーク単身楽団にまつわる狂騒劇。これが、もう笑い死ぬかと思うくらい、笑った笑ったw
サリエル、アマディア、ユフィンリーの三者三様にして同レベルの繰り返しパターンもさることながら、それらの集大成となる集結編。
もう、この場面の雰囲気の凄まじさと言ったらいやもうすごいのなんのって……ぶはっ(思い出し笑い

自信家にして野心家。傲慢にして傲岸。唯我独尊の俺様野郎であるところの主人公ダン・サリエルですが、この男のそれは夜郎自大ではないんですよね。
確かな実力と、天才を名乗るに相応しいセンスと能力。それ以上に、自分の力量とその性質を客観的に把握し、自信家というスタンスの影で常に自分の音楽家としての在り様に悩み続ける、本物の芸術家とも言うべき男なんですよね。
そうした彼の苦悩は第一話や、第三話のダン・サリエルと孤高の老楽士でも語られることとなるんですが、カッコいいんですよ、この男の生きざまは。悩みや迷い、常に自分に疑問を抱きながら、そうした疑念ですら自分の音楽家としての価値、至高に至るための糧として否定することなく貪欲に飲み下す、誇りの高さ。
上っ面こそ倦厭したくなるような男ですが、コジが神曲ではなくサリエルという人間そのものに興味を抱いたように、アマディアがその生きざまに憧れを抱き惹かれたように、その芯はまことに魅力的な男性なんですよね。
傍から見てる分には、人を人とも思わないろくでもない野郎以外の何者でもないんですが(笑
ただ、こいつの偉そうな態度は鼻につくものじゃなくて、なんか愛嬌があって微笑ましいんですよね。けっこう単純だし、陰険に見えてわりとサッパリしてるし。ネチネチしつこいところはありそうだけど、陰湿とは程遠いし。けっこう子供っぽいし。
めちゃくちゃに見えて、良く見ると筋が通ってるし。良く人の心を逆なでするようなこと言ってるけど、人の気持ちが分からないような輩でもなく、それどころか案外世話好きなところもあるようだし。
傍から見てると楽しいタイプ、ではなく、深く付き合って楽しいタイプ、というべき人物なのかもしれないですね。

ふと思ったのですが、サリエルの音楽のスタイルって、小説の中のライトノベルというジャンルへの思索にウーノ氏的に互換されるのかしら、などと深読みしてみたり。
そう考えると、色々意味深で、でも、結局のところ頼もしいんですけどね。

 

6月25日

十文字青
(オーバーラップ文庫)
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鬼影スパナ
(オーバーラップ文庫)
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迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
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篠崎 芳
(オーバーラップ文庫)
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寺王
(オーバーラップ文庫)
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御鷹穂積
(オーバーラップ文庫)
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メグリくくる
(オーバーラップ文庫)
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雨川水海
(オーバーラップノベルス)
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江口 連
(オーバーラップノベルス)
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和島 逆
(オーバーラップノベルスf)
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KK
(オーバーラップノベルスf)
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雨川透子
(オーバーラップノベルスf)
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6月24日

芝村 裕吏
(MF文庫J)
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志瑞祐
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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月見 秋水
(MF文庫J)
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三月みどり
(MF文庫J)
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花間燈
(MF文庫J)
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衣笠彰梧
(MF文庫J)
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常世田健人
(ダッシュエックス文庫)
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ジルコ
(ダッシュエックス文庫)
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疎陀陽
(ダッシュエックス文庫)
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九十九弐式/すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
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甘岸久弥
(MFブックス)
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yokuu
(MFブックス)
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天ノ瀬
(MFブックス)
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ラチム
(MFブックス)
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櫻井 みこと
(MFブックス)
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御手々 ぽんた
(MFブックス)
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支援BIS
(KADOKAWA)
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藤也卓巳
(あすかコミックスDX)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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横田卓馬/伊瀬勝良
(角川コミックス・エース)
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ぶんころり/プレジ和尚
(角川コミックス・エース)
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蛍幻飛鳥/志瑞祐
(角川コミックス・エース)
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水無月すう
(角川コミックス・エース)
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鈴見敦/八又ナガト
(角川コミックス・エース)
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御宮ゆう/香澤陽平
(角川コミックス・エース)
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人生負組
(角川コミックス・エース)
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ZUN/水炊き
(角川単行本コミックス)
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神地あたる/白米良
(ガルドコミックス)
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黒杞よるの/雨川水海
(ガルドコミックス)
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村光/ベニガシラ
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七六/鬼影スパナ
(ガルドコミックス)
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天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
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白砂/麻希くるみ
(ガルドコミックス)
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木乃ひのき/雨川透子
(ガルドコミックス)
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6月23日

日向夏/ねこクラゲ
(ビッグガンガンコミックス)
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押切蓮介
(ビッグガンガンコミックス)
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小林湖底/りいちゅ
(ビッグガンガンコミックス)
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深見真/真じろう
(ビッグガンガンコミックス)
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金田一蓮十郎
(ヤングガンガンコミックス)
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佐藤真登/三ツ谷亮
(ヤングガンガンコミックス)
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萱島雄太
(ヤングガンガンコミックス)
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優風
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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6月22日

浅草九十九/和ヶ原聡司
(MFコミックス アライブシリーズ) Amazon Kindle B☆W DMM


安里アサト/シンジョウタクヤ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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中山幸
(MFコミックス アライブシリーズ)
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三ツ矢だいふく
(MFコミックス アライブシリーズ)
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内藤隆/榎宮祐
(MFコミックス アライブシリーズ)
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花鶏ハルノ/相川有
(MFコミックス アライブシリーズ)
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久真やすひさ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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衣笠彰/紗々音シア
(MFコミックス アライブシリーズ)
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フジカワユカ/理不尽な孫の手
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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藍屋球/アネコユサギ
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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クマガエ/宮澤ひしを
(イブニングKC)
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カルロ・ゼン/石田点
(モーニングKC)
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泰三子
(モーニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニングKC)
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瀬下猛
(モーニングKC)
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NICOMICHIHIRO
(モーニングKC)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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藤近小梅
(ガンガンコミックスJOKER)
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田代哲也
(ガンガンコミックスJOKER)
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柊裕一
(ガンガンコミックスJOKER)
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村田真哉/速水時貞
(ガンガンコミックスJOKER)
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都月景/いふじシンセン
(ガンガンコミックスJOKER)
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殿ヶ谷美由記
(ガンガンコミックスpixiv)
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6月20日

風間レイ
(TOブックス)
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ほのぼのる500
(TOブックス)
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楢山幕府
(TOブックス)
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リッキー
(TOブックス)
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こりんさん
(GCN文庫)
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武田すん
(ヤンマガKCスペシャル)
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ペトス/橋本カヱ
(ヤンマガKCスペシャル)
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千田大輔
(ヤンマガKCスペシャル)
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Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
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小坂泰之
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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6月19日

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6月17日

上遠野浩平/カラスマタスク
(ジャンプコミックス)
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野田サトル
(ヤングジャンプコミックス)
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二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
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双龍
(ヤングジャンプコミックス)
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深川可純/広報広聴課ゾンビ係
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ
(ヤングジャンプコミックス)
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中山敦支
(ヤングジャンプコミックス)
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光永康則/入鹿良光
(ヤングジャンプコミックス)
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ソウマトウ
(ヤングジャンプコミックス)
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中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
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栗山ミヅキ
(少年サンデーコミックス)
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高橋留美子
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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福井セイ
(少年サンデーコミックス)
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安西信行
(少年サンデーコミックス)
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新井隆広/青山剛昌
(少年サンデーコミックススペシャル)
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日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
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麻生羽呂/高田康太郎
(サンデーGXコミックス)
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池澤真/津留崎優
(裏少年サンデーコミックス)
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山田 リツ
(裏少年サンデーコミックス)
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寺嶋裕二
(講談社コミックス)
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三宮宏太/西田征史
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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福留しゅん/天城望
(フロースコミック)
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伊吹有/葉山湊月
(フロースコミック)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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三河 ごーすと
(富士見ファンタジア文庫)
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桜生 懐
(富士見ファンタジア文庫)
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陸奥 こはる
(富士見ファンタジア文庫)
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高橋 びすい
(富士見ファンタジア文庫)
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恵比須 清司
(富士見ファンタジア文庫)
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三原 みつき
(富士見ファンタジア文庫)
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あボーン
(富士見ファンタジア文庫)
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白井 ムク
(富士見ファンタジア文庫)
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綾里けいし
(ガガガ文庫)
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カミツキレイニー
(ガガガ文庫)
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伊崎喬助
(ガガガ文庫)
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平坂 読
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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緒二葉
(ガガガ文庫)
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川上 稔
(電撃の新文芸)
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美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
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草薙 刃
(電撃の新文芸)
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時田 唯
(電撃の新文芸)
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6月16日

樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
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松岡健太
(マガジンエッジKC)
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さとうふみや/天樹征丸
(講談社コミックス)
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あだちとか
(講談社コミックス)
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和武はざの
(講談社コミックス月刊マガジン)
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6月15日

石田リンネ(富士見L文庫)
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猫田パナ(富士見L文庫)
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佐々木禎子(富士見L文庫)
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仲町鹿乃子(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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鍋敷(アース・スターノベル)
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LA軍(アース・スターノベル)
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天然水珈琲
(アース・スターノベル)
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西尾維新(講談社文庫)
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葛城阿高(ビーズログ文庫)
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ぷにちゃん(ビーズログ文庫)
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小田ヒロ(ビーズログ文庫)
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綾河ららら
(サーガフォレスト)
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バッド(サーガフォレスト)
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真安一(サーガフォレスト)
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カヤ(サーガフォレスト)
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コイシ/緑黄色野菜
(コロナ・コミックス)
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よこわけ/やしろ
(コロナ・コミックス)
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わかば/白露雪音
(コロナ・コミックス)
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小田山るすけ/たつきめいこ
(コロナ・コミックス)
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6月14日
ふか田さめたろう
(GA文庫)
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星奏なつめ(GA文庫)
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冬坂右折(GA文庫)
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白石定規(GAノベル)
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星崎崑(GAノベル)
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えぞぎんぎつね
(GAノベル)
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三木なずな
(GAノベル)
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カイシャイン36
(GAノベル)
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よっしゃあっ!
(GAノベル)
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6月13日


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6月12日

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6月10日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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天那光汰/梅津葉子
(ガンガンコミックス)
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おーしおゆたか
(角川コミックス・エース)
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猫田ゆかり
(角川コミックス・エース)
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リムコロ
(角川コミックス・エース)
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冥茶/萩鵜アキ
(角川コミックス・エース)
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浅野りん/ヤングエース編集部
(角川コミックス・エース)
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春花あや
(角川コミックス・エース)
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経験値/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
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佐島勤/おだまさる
(電撃コミックスNEXT)
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古宮九時/越水ナオキ
(電撃コミックスNEXT)
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ベキオ/ていか小鳩
(ガンガンコミックスONLINE)
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森田季節/シバユウスケ
(ガンガンコミックスONLINE)
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顎木あくみ/みまわがお
(ガンガンコミックスONLINE)
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加藤衣緒
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/夏海ケイ
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/刻夜セイゴ
(ビッグガンガンコミックス)
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飯島浩介/汐里
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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イノウエ
(サンデーうぇぶりSSC)
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こじまたけし
(サンデーうぇぶりSSC)
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白井もも吉
(サンデーうぇぶりSSC)
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オジロマコト
(ビッグ コミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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田村由美
(フラワーCアルファ)
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もこやま仁
(裏少年サンデーコミックス)
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影崎由那/川獺右端
(アース・スターコミックス)
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相模映/吉田杏
(アース・スターコミックス)
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となりける/shiryu
(アース・スターコミックス)
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ユンボ/風楼
(アース・スターコミックス)
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秋乃かかし/裂田
(アース・スターコミックス)
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東崎惟子(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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和ヶ原聡司(電撃文庫)
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白金透(電撃文庫)
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鎌池和馬/冬川基
(電撃文庫)
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佐島勤(電撃文庫)
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二月公(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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真代屋秀晃(電撃文庫)
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周藤蓮(電撃文庫)
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瀧岡 くるじ
(カドカワBOOKS)
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小田 ヒロ
(カドカワBOOKS)
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壁首領大公
(カドカワBOOKS)
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七夕 さとり
(カドカワBOOKS)
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KK(カドカワBOOKS)
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うみ(カドカワBOOKS)
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ふか田 さめたろう
(宝島社)
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魔石の硬さ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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地雷酒(TOブックス)
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サンボン
(TOブックス)
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蒼月海里(角川文庫)
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椹野道流(角川文庫)
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森見登美彦/原案:上田誠
(角川文庫)
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桑原水菜(角川文庫)
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仁木英之(角川文庫)
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6月9日

石塚千尋
(講談社コミックス)
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荒川弘/田中芳樹
(講談社コミックス)
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奈良一平
(講談社コミックス)
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小玉有起
(KCデラックス)
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横田卓馬
(シリウスKC)
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高田裕三
(シリウスKC)
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長谷川三時/七烏未奏
(シリウスKC)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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村上よしゆき/茨木野
(シリウスKC)
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K9/小林裕和/支援BIS
(シリウスKC)
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冬葉つがる
(シリウスKC)
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樋野友行/瀬戸メグル
(シリウスKC)
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刀坂アキラ/加茂セイ
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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西田拓矢/海空りく
(シリウスKC)
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松琴エア/はにゅう
(シリウスKC)
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原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
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山本やみー/門馬司
(KCデラックス)
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一二三
(KCデラックス)
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がしたに/MITA
(KCデラックス)
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うかみ
(KCデラックス)
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エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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桜野みねね
(BLADEコミックス)
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森野きこり
(BLADEコミックス)
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6月8日

かみはら(早川書房)
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西尾維新(講談社)
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ちんねん/能一ニェ
(BRIDGE COMICS)
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佐藤二葉
(星海社COMICS)
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山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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6月7日

泉光
(アフタヌーンKC)
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TNSK
(アフタヌーンKC)
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水瀬るるう
(まんがタイムコミックス)
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琴子/TCB
(ガンガンコミックスONLINE)
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枢呂紅/優月祥
(ガンガンコミックスUP!)
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雨後一陽/とちぼり木
(ガンガンコミックスUP!)
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西島ふみかる/白縫餡
(ガンガンコミックスUP!)
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雨沢もっけ
(ガンガンコミックスUP!)
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ふか田さめたろう/松元こみかん
(ガンガンコミックスUP!)
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えぞぎんぎつね/春夏冬アタル
(ガンガンコミックスUP!)
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リキタケ/三木なずな
(ガンガンコミックスUP!)
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琴子
(SQEXノベル)
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猫子
(SQEXノベル)
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平成オワリ
(SQEXノベル)
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榛名丼
(SQEXノベル)
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蝉川夏哉
(宝島社文庫)
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貴戸湊太
(宝島社文庫)
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6月6日

智弘カイ/カズタカ
(KCデラックス)
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ippatu
(ヤンマガKCスペシャル)
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6月5日

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6月3日

いつきみずほ
(ドラゴンノベルス)
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夢・風魔
(ドラゴンノベルス)
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矢吹健太朗
(ジャンプコミックス)
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助野嘉昭
(ジャンプコミックス)
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ONE/村田雄介
(ジャンプコミックス)
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松井優征
(ジャンプコミックス)
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伊科田海
(ジャンプコミックス)
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権平ひつじ
(ジャンプコミックス)
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鏡貴也/山本ヤマト
(ジャンプコミックス)
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水あさと
(ジャンプコミックス)
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篠原健太
(ジャンプコミックス)
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針川智也
(ジャンプコミックス)
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時田時雨
(ジャンプコミックス)
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猗笠怜司
(ジャンプコミックス)
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佐々木尚
(ジャンプコミックス)
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賀来ゆうじ
(ジャンプコミックス)
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末永裕樹/馬上鷹将
(ジャンプコミックス)
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大須賀玄
(ジャンプコミックス)
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バブル製作委員会/肘原えるぼ
(ジャンプコミックス)
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三部けい
(角川コミックス・エース)
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長岡太一
(角川コミックス・エース)
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佐茂すけ/竹村優希
(角川コミックス・エース)
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関崎俊三
(角川コミックス・エース)
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封宝/富樫聖夜
(フロース コミック)
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此匙/浜千鳥
(フロース コミック)
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神栖みか/シロヒ
(フロース コミック)
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武シノブ/江本マシメサ
(PASH!コミックス)
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柳矢真呂/ぷにちゃん
(PASH!コミックス)
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深山キリ/もり
(PASH!コミックス)
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さーもにずむ
(PASH!コミックス)
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6月1日

暁 なつめ
(角川スニーカー文庫)
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慶野 由志
(角川スニーカー文庫)
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藍月 要
(角川スニーカー文庫)
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破滅
(角川スニーカー文庫)
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震電 みひろ
(角川スニーカー文庫)
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紫ユウ
(角川スニーカー文庫)
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小路 燦
(角川スニーカー文庫)
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桜目 禅斗
(角川スニーカー文庫)
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手島史詞
(HJ文庫)
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ニーナローズ
(HJ文庫)
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日之浦拓
(HJ文庫)
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雨宮和希(HJ文庫)
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迅空也(HJ文庫)
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午前の緑茶
(HJ文庫)
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空埜一樹(HJ文庫)
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イズシロ(HJ文庫)
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花波薫歩
(アース・スター ルナ)
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海野アロイ
(アース・スター ルナ)
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まきぶろ
(アース・スター ルナ)
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今井神/海道左近
(HJコミックス)
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水島空彦/坂石遊作
(HJコミックス)
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狸田にそ/江本マシメサ
(HJコミックス)
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あさここの/ぷにちゃん
(B's-LOG COMICS)
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小神奈々/米織
(B's-LOG COMICS)
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5月31日

林 トモアキ
(星海社FICTIONS)
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御子柴 奈々
(講談社ラノベ文庫)
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kashmir
(楽園コミックス)
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渡辺神威/空戦型
(ライドコミックス)
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片町ひろ/柚子れもん
(ライドコミックス)
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有象利路
(電撃文庫)Kindle B☆W DMM

5月30日

Kindle B☆W DMM


急川回レ
(エンターブレイン)
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武野光
(エンターブレイン)
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武野光
(エンターブレイン)
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ながワサビ64
(エンターブレイン)
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小鳥屋エム
(エンターブレイン)
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三嶋与夢
(GCノベルズ)
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ちゃつふさ
(GCノベルズ)
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まさなん
(GCノベルズ)
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霧崎雀
(Mノベルス)
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咲く桜
(Mノベルス)
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友橋 かめつ
(Mノベルス)
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武藤 健太
(ヒーロー文庫)
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水辺チカ/星彼方(KCx)
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松もくば/鬱沢色素(KCx)
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木乃ひのき/古森きり(KCx)
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ちあき楽/柚子れもん(KCx)
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おしばなお/岡達英茉(KCx)
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イタガキコマリ/一分咲(KCx)
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きゆめぐり/マチバリ(KCx)
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林ふみの
(バンブーコミックス)
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小野中彰大
(バンブーコミックス)
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5月27日

まかろに◎
(電撃コミックスEX)
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ZUN/秋巻ゆう
(電撃コミックスEX)
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蛇野らい/槻影
(電撃コミックスNEXT)
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緋呂河とも/ながワサビ64
(電撃コミックスNEXT)
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なじみ
(電撃コミックスNEXT)
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うかみ
(電撃コミックスNEXT)
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きぃやん
(電撃コミックスNEXT)
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アズマサワヨシ
(電撃コミックスNEXT)
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苗川采
(電撃コミックスNEXT)
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石坂ケンタ
(電撃コミックスNEXT)
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廣瀬アユム
(電撃コミックスNEXT)
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柊ゆたか
(電撃コミックスNEXT)
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仲谷鳰
(電撃コミックスNEXT)
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川崎命大
(電撃コミックスNEXT)
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奏ヨシキ/徳川レモン
(電撃コミックスNEXT)
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カサハラテツロー/ゆうきまさみ
(ヒーローズコミックス)
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