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あわむら赤光

我が驍勇にふるえよ天地 11 ~アレクシス帝国興隆記 ★★★★   



【我が驍勇にふるえよ天地 11 ~アレクシス帝国興隆記】  あわむら赤光/ニリツ GA文庫

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吸血皇子と冷血皇子。
ともにクロードの皇子として生をうけながら、母親の身分の低さゆえに侮られ続けた二人の怪物が激突す。

「――俺の覇業に立ちはだかるのは、レオナートかもしれん」

かつての予測を見事に的中させたキルクスは万全の軍備を整え、一切の容赦も斟酌もなく、途上にある尽くを蹂躙しながら迫り来る!
その進軍を遅らせんと寡兵で挑むアランの命運や如何に? 半分血を分けた兄との決戦に臨むレオナートの命運や如何に?
そして暗闇より放たれた刃にシェーラの命運は――

痛快にして本格なるファンタジー戦記、堂々完結の第11弾!!
これ、一旦シェーラは完全に戦略的に負けちゃってるんですよね。アレクシス軍が敗北を避けられたのは、個々の将帥が献身的にその全身全霊を傾けて各々の戦場で粘ってくれたからであって、一箇所でも敗走していたら全軍が瓦解していたと思うと、ゾッとしないですわ。
恐るべきは、アレクシス軍にはシェーラに匹敵する人類史最高峰の戦略家が在籍していたということで、レイヴァーンが味方にいるってなんかバグってないですかね、戦力比。
重ね重ね、アドモフ帝国になんで勝てたんですかね!? あの国の人材と戦力をそのまま吸収できたことで、実質倍どころか3倍5倍とアレクシス軍って強化されてたんじゃないだろうか。内部分裂してなかったら、どう考えても勝てなかったでしょう、あれ。
そんでもあって、アレクシス軍に吸収された結果、アドモフ帝国の分裂していた政軍がほぼ統一された形で全力発揮できるようになった、というのはもうなんというか敵対国からすると反則としか思えなかったんじゃないだろうか、これ。
にしても、まさかよりにもよってトラーメさんが退場することになるとは思わなかった。キャラクターとして一番しぶとく生き汚い人でありポディション的にも一番死ににくい人であり、戦力的にもアレクシス軍の中で替えの居ない唯一無二の人材であってこの人が居なくなった場合のアレクシス軍が受けるダメージ、機能不全起こしかねないレベルのものだっただけによりにも寄ってこの人が死戦に身を投じることになるとは本当に想像していなかったです。
こんなトラーメさんですら、自らを省みずに自分の死と引き換えにしてでも、と思わせてしまうほどの魔性が、レオナートのカリスマだったのやもしれません。
これ、結果的に見ると無茶振りされまくり限界ギリギリのきつい仕事ばかり押し付けられた挙げ句に、使い潰されてしまったとも言えなくもないんですよね、トラーメさん。本人としては命の賭けどころを見つけてしまって、それで良かったのかも知れませんが。
この人はもっといいとこ取りの美味しい思いをして戦後を暮らして欲しいとも思ったんだよなあ。
実際、トラーメさんを喪ったことで以後のアレクシス軍は相当不具合が出てしまったらしいことは、巻末の評伝でも触れられていて、頷くばかりでありました。

しかし、これで完結巻と謳いながらも、今回の包囲網こそ食い破りながらも戦争自体は全然終わりそうにないのに、これどうやって完結まで持っていくんだろう。打ち切り!?それとも、もしかしてシェーラまで逝ってしまうことで描くべきものがなくなってしまうの!? とか、混乱していたのですが……天下統一までの道のりで一番山場というか危地というか、戦力的にも敵と釣り合いが取れていたのがここまでで、以降は圧倒的にアレクシス軍が優位になって、ほぼほぼ消化試合になっていたんですね。
なので、戦記としては以降は思い切ってバッサリと切って落とす形で終わらすことにしたんですなあ。
これは戦記物としては納得ではあるんですけれど、素直になれないジュカと余裕なアランとの恋模様とか、個々のキャラクターそれぞれにスポットを当てた物語を見ていたかった身としては、そのあたりもバッサリと片付けられてしまったのはちょっと肩透かしではあったんですよね。
巻末の列伝でそれぞれ個人の後日談についてちゃんと書いてくれていたのはありがたい限りなのですけれど、やっぱりその辺のラブコメ的な展開については直接話として見たかったなあ。特にジュカ関連は。
しかし、シェーラはなんで表舞台から消えなくちゃいけなかったんだろう。ジュカが大いに活躍して列伝残しているように、他にも侍女出身者でも名臣伝に名を残し重臣として遇された人は何人もいるのに。
まあ戦略結婚的に、絶対に子供が出来ないレオナートとメリジェーヌを差し置いて他の側室が子供作ったら、クロードとアドモフの国家統一事業に罅が生じるから、というのもあるだろうし、実質シェーラが表舞台に立つなら宰相以外の何物でもなく、シェーラひとりに権力が集中しすぎる、しかもレオナートがシェーラの言う事全部受け入れてたら傀儡に見えてしまう、と確かにまあ逆にシェーラの立場が危うくなってしまいかねないのも確かな話。
その上でシェーラ個人の幸せのため、そんでもって彼女の叡智をレオナートが全面的に受け入れて活かすためには、表舞台から消えて裏の女主人にして影の王妃になるのが最適だったんだろうなあ。
でも、確かにシェーラの件のみならず、他の人の列伝にしても真実から程遠い記述や情報隠蔽がこれほど沢山あると、ウイリアム・レイバッヘが歴史家としてはド三流と言われるのも仕方ないよなあ。記述者の恣意が入りすぎだよw
でも、ウィラン帝、表舞台から完全に去って隠遁生活送り続けるのかと思ったら、史書官でありながら安楽椅子探偵さながらに、助言を求めて訪ねてくる人にアドバイスを与え続けてズバズバとあらゆる問題解決に活躍しまくっていた、ってめちゃくちゃ表舞台で活躍してるじゃないですか、この隠遁者w
なんでこの人が皇帝やってる国に勝てたんだろう。振り返ってもちょっと信じられないんだが。

にしても、こうして見ると本作って信長の野望とか三國志といったコーエーの歴史シミュレーションゲーム的な側面がありますよねえ。内政とか戦争パートじゃなくて、人材方面で。
本来の史実だと、敵対した相手の家の武将どころか大名とかをまるごと吸収、登用するとか出来るもんじゃないのですけれど、信長の野望とかだと武田信玄とか上杉謙信とか大英雄たる戦国大名も自分の勢力の武将として登用できるじゃないですか。
そんな感じで、本作ではアドモフ帝国のレイヴァーンはじめとした諸将どころか皇帝陛下もこっそり登用していたわけですけれど……まさか、後日、この巻で決戦していたキルクス王子や、ガビロンの四兄弟まで降伏させたあとに首切らないで全員臣下にして、以降の大陸統一事業に投じていた、ってちょっと反則もいいところじゃないですか、これ!?
どんだけ世界最強の軍にしたかったんだよ、というくらいの人材の確保っぷりである。
これ、最後まで残ったヂェン帝国が一番割り食ってるんですよね。レオニート率いるアレクシス軍に、キルクス、ガビロン四兄弟、レイヴァーンにアレン。これに各国の名将勇将知将が揃って襲いかかってくるんですから、どんなフルボッコだよ、と。
さながら、織田信長に率いられた武田信玄、上杉謙信、北条氏康、毛利元就、島津四兄弟、徳川家康、三好長慶、今川義元、大友宗麟、などなどといったオールスターキャストに攻められる伊達政宗といった様相である。
もうやめてあげて、と言いたくなる人材力差なんだよなあ。
まあノブヤボなんかも、勢力がある一定のラインを超えるとあとはもう消化試合になるわけで、だらだらと続けずにすっぱりと物語を〆たのはやはり最善だったのかもしれません。
でもまあ、やっぱりもうちょっと後日談的な形での短編集みたいなものは欲しいですよねえ。特にジュカに関しては!

なにはともあれ、11巻にも及ぶ痛快なる英雄戦記、完結お疲れさまでした。


転生魔王の大誤算 4 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート ★★★★   



【転生魔王の大誤算 4 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート】  あわむら赤光/kakao GA文庫

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憤怒の魔将が挑む、絶対に怒ってはいけない侵略作戦!?

魔将たちの心を見事にまとめ上げ、魔王としての器にさらに磨きがかかるケンゴー。
次なる作戦にサ藤、マモ代、ベル原を指名、三カ国を同時に無血攻略させるゲームを立案する。
マモ代やベル原が自信ありげなのとは対照的に、難題に苦悩するサ藤。
「バカな……殺すだけで減点だと!?」
憤怒の魔将だけどキレるの禁止!
存在意義を真っ向否定されるルールに、七転八倒するサ藤を見かねて、ケンゴーが差し伸べたとある救済策とは――サ藤のことを見てるだけ!?
「はい、ありがたき幸せです!!」
わずかなきっかけで劇的な急成長をさせる嬉しい誤算が止まらない!
愛する部下を熱く育てる最強名君の爽快サクセスストーリー第4弾!!
こういう勘違いで主人公が過剰に持ち上げられるように見える作品って、その勘違いや誤解ってなかなか解消されないんですよね。場合によってはすれ違ったまま最後まで行ってしまう。
相互理解が致命的に破綻したまま、主人公の本当の気持ちや価値観、素の顔なんて知らないまま、見向きもしないまま、理想を押し付けることで主人公は他人からの理想を演じるハメになる。
或いは、主人公が成長してそうした一方的な理想に追いついていく、という展開もあるのだけれど、本質的にそういった立場に立たされている主人公って孤独なんですよね。
その点、本作においては幼馴染のルシ子がケンゴーの最大の理解者で、彼が本当はヘタレチキンだと知った上で支えてくれている、ヘタレチキンだけれど彼の一番芯の部分にある強さや勇気や、履き違えていない優しさの持ち主だというのをちゃんとわかってくれている人が側にいるだけで、最初から随分と違ってはいたんですよ。
最初から、ケンゴーは孤独ではなかったわけだ。
それどころか、前巻では嫉妬の魔将レヴィ山くんが、ケンゴーのヘタレチキンのことはよくわかっていないものの、ケンゴー自身がよくわかっていないケンゴーの良いところ、長所、優れた所、残虐な魔王らしくないけれど魔王という支配者にして統治者として相応しい要素、ある意味ケンゴーの本質的なところを、もしかしたらルシ子よりもわかってるんじゃないか、という理解者だったというのが明らかになった話でもあったんですよね。
ルシ子にしてもレヴィ山にしても、ケンゴーのこと大好きなの、上辺とか見た目とか勘違いじゃなくて、ケンゴーの本質を理解した上で大好きでいてくれるし、ケンゴーの方も七大魔将たちのこと強大な魔族としてビビってるし反逆されないかいつも恐れてるし、過剰な評価や期待を押し付けてくるのに疲れているんだけれど、それ以上にケンゴーの方も彼らのこと何だかんだと大好きなんですよね。
マモ代をはじめとした他の魔将の面々も何となくケンゴーの素の方との距離感縮まってきた感もありましたし。
すれ違ってお互いのこと見えてなくて砂上の楼閣みたいないつ崩れてもおかしくないいびつな関係に見えていた魔王ケンゴーと七大魔将たちの関係、どんどん気心の知れた身内みたいな、主君と部下というよりも遊び仲間みたいな、すごくよい関係になってきていたんですね。

ただ、そんな七大魔将の中で、サ藤君は特にケンゴーとすれ違い食い違っている人物のように見えていました。冷酷にして残虐、怒りに任せての殺戮を厭わないキレ易い若者代表、憤怒の魔将サ藤くん。その在り方や思想は誰もが思い描く悪魔そのもので、穏健路線で人間とも出来れば戦争したくないし血を見るようなことは避けてほしい、という方針のケンゴーとは全く真逆なのである。
ところが、サ藤はケンゴーの事を崇拝と言っていいほど敬愛して、ケンゴーこそは魔族の中の魔族、冷酷非情なる魔王に相応しい人と思い込んで、自分の理想を当てはめているのである。
ある意味、魔将の中で一番ケンゴーの事を慕いながら、ケンゴーを理解していない人物でもあったわけだ。理解しようとすらせず、理解する気もなく、一方的な崇拝を押し付けていたのである。
ケンゴーの方も、彼の前では従順で大人しくて健気な少年という顔しか見せないサ藤の事を可愛い弟分として甘い顔ばかり見せている一方で、サ藤の残虐で恐ろしい性格の方はなるべく見ないようにしていた節があるんですよね。
そうした二人の乖離は途方もなく広がっていて、これいつか破綻して破滅的なことになるんじゃないか、と思ってしまうほどに、相互理解が壊れていたのでした。
こういう思い込みの激しく頑なで、ある意味純粋ですらある子って、ほとんど変わることがないから、もう彼に関してはずっと勘違いさせたまま、誤解させたままで行くのだろうか、とも考えていたのですが。

そうかー、この物語はケンゴーの方だけじゃなく、部下たちの方も成長させてくれる物語なのか。幼い固定観念を打ち壊して、すくすくと健やかに伸ばす機会が訪れる物語でもあったのか。
お互いに、成長していける話だったんですねえ。

契機は、サ藤が人を殺したりとかあんまり酷いことをしないで国を征服せよ、という課題のために離島しようとした魔王軍への降伏派に属していた幼き才媛リモーネ王女との出会いだったのです。
言われてみると、サ藤もまだ魔族としては若者どころか、少年と言ってもいい歳頃だったんですねえ。
聡明なる知性と勇気と天真爛漫さを兼ね備えた小さな姫は、頑迷な古くからの魔族の固定観念に縛られていた幼き魔族の、まさに蒙を啓いていくのである。そうして、サ藤の思い込みを解きほぐし、彼とケンゴーの間にあった錯誤をすり合わせていってくれるのである。
それも、サ藤の信じるケンゴー陛下の素晴らしい魔王としての姿を全肯定したまま、ケンゴーの魔王としての事績、その統治思想や考え方を説いていくわけである。
同時に、サ藤がゴミクズとしか思っていなかった人間という存在を、リモーネ自身がひっくり返しながら。
最初はお互いになんだこいつは!? と面食らいドン引きしながら、でも衝突を繰り返していくうちにお互いの存在に惹かれ合っていく幼い少年少女の育まれていく関係がまたいいんですよ。
いけ好かない小僧だったサ藤が、リモーネに言い負かされ諭され、いつしか我慢を覚えて、ときに自分の中の固定観念を壊されて幼い年相応の顔を見せ、そんなみるみると成長していくサ藤を、リモーネが憧憬とも慈しみともつかない表情で見守るという、このボーイ・ミーツ・ガールはこれがまた微笑ましくてねえ。
ついには、自分がボロボロになりながらも、足手まといのリモーネを決して見捨てず身を挺してかばい続ける、まるで騎士のように耐え続けるサ藤の、今までの彼からするとありえない姿を見せられた時は、なんかもう感動を通り越してしまいそうでしたよ。
この弟分の成長を、ケンゴー陛下が喜ばないはずがなく、そしてその弟分がゴミクズのように痛めつけられる事を許せるはずがなく。
ヘタレチキンが怒るとほんと怖いんやでえ。
かわいいかわいい身内が痛めつけられた際の、魔王陛下の憤怒は留まる所を知らぬのである。こういう時、もう誰も文句が言えないくらいカッコいい姿見せてくれるんだから、七大魔将たちの敬愛も尊敬も、何も勘違いでも過剰評価でもないんですよね。最近は、その辺がっちり噛み合ってきてすらいるし。
ってか、ケンゴーってば最後おっさん仲人みたいになってるじゃないですか。いやもう、手をつないでギュッと握り合うサ藤とリモーネの小さなカップルが尊すぎて気持ちはわかる!





転生魔王の大誤算 3 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート ★★★☆   



【転生魔王の大誤算 3 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート】  あわむら赤光/kakao GA文庫

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ケンゴー陛下と結婚パーティーに同行するのは、どの魔将だ!?

人畜無害なヘタレチキン高校生、うっかり魔界の名君に!?
誤算続きで予期せぬ名声を得まくって、魔族全軍から心酔される最強魔王爆誕!
大人気シリーズ第3弾は、【嫉妬】のレヴィ山の真なる力が明らかに……?
魔王の自覚に目覚め始め、魔将たちとの絆がさらに深まってきたケンゴー。
占領した王都の再建を待つ間、しばしの休息を兼ねてレヴィ山の妹の祝賀パーティーに赴くことに。

「で、誰を同伴者に選ぶんです?」
女性同伴がマナーとされる中、ルシ子、マモ代、アス美、さらにはベル乃までもがケンゴーの『正妻』役を名乗り出て一触即発の事態に!
一方ケンゴーを迎えるアザゼル男爵領では魔界の四大実力者に数えられる大物アザールが魔王に認められたいあまり、極上の接待を用意していた。
だが、それがケンゴーの逆鱗に触れる大誤算で――!
“愛する”部下を守る“理想”の魔王の爽快サクセスストーリー第3弾!!

今回はほぼレヴィ山くんが主人公と言って良かったんじゃないだろうか。
まるっきりチャラ男で軽薄そうな態度とは裏腹に、レヴィ山ってマジでイイ男なんですよね。真面目ですし義理堅いですし気配り上手ですし情に厚いし。そもそも、今のチャラい態度もどうしてそうなったのか、どうしてそうしているのかを知ってしまうと彼の人間的な魅力に繋がってくるので、その軽薄さがなんとも愛おしくなってくる。
というか、彼の人生愛される事とそれを理不尽に喪うことの繰り返しで、よく人間性が歪まなかったよなあ、と思えるほどの山あり谷ありなんですよね。これだけの体験をしながら、今のようなレヴィ山になっている事自体が彼の強さを示しているようじゃないですか。
でなかったら、どこかで憎しみや恨みに囚われますよ。どこかで憤懣を抱え、世を嫉み、人を妬んでしまったでしょう。「嫉妬」を司りながら、レヴィ山の嫉妬ってネガティブな側面をあまり持たない。どちらかというと、それは憧れに近いもののように見える。自分にはないもの、持ち得ないものに凄いなあと憧れ、尊敬し、自分もそう在りたいと願う。ちょっと健全なくらいじゃなかろうか。リスペクトが常にある。
その分、それに見合わない詰まらない相手には一顧だにもしない所もあるんでしょうけれど。
彼は常に望まぬ立場を得てきました。今のレヴィアタン家の当主になったのも決して望んでの事ではなく、また魔将としてケンゴーに仕える事になったのも渋々の事でした。でも、彼はそこで掛け替えのないものを与えて貰うのである。
だからだろう、レヴィ山は一際家族や身内への愛情が深いし、実母と引き離され自分を愛してくれた兄たちと死別した事で大切なものがいつ喪われてもおかしくない儚いものがという事を身にしみて実感している。実の息子でない自分を、義母が自分の本当の息子たちを喪いながらもなお立ててくれる事を心から尊敬し、多分尊敬する以上に敬愛してるんじゃないだろうか。そんな義母に倣ってる所も見受けられるし。
そんなレヴィ山ですから、ケンゴーへの過剰なくらいの評価や称賛も実のところ決して的外れだったり誤解や勘違いでもないんですよね。ケンゴー自身は過剰評価されて変に勘違いされてると思ってるみたいですけれど、むしろケンゴー自身が気づいていない所もちゃんと見てる感じですし、ケンゴー自身が評価していない所を正しく認めているとも言える。ケンゴーが戦いを好いていないのもちゃんと知っているし、ケンゴーが思っているよりもずっとケンゴーの事ちゃんと理解してるんじゃなかろうか。
だから、ケンゴーが変に繕って魔王スタイル維持してなくても、レヴィ山の敬愛は何も変わらないんじゃないのかな、と確信して思えるようなレヴィ山くんの回でした。
レヴィ山が一人で抱え込んで我慢しようとした事を、ケンゴーが自分の戦争嫌いを飲み込んで、レヴィ山兄妹を苦しめるやつらは絶対許さん、と勇気振り絞ってレヴィ山への愛情を示してくれた時点で、レヴィ山の忠誠度はもうとどまる所を知らずでしょう。あれはレヴィ山でなくても、惚れる魔王様の御姿でしたし。
あの場面で、ケンゴーと同じノリ、ではないんだけど、ウチの身内になにさらしてくれとんじゃー! と、ばかりに他の七魔将たち全員がやる気みなぎらせて喧嘩売りにいったあたりも大好きなんですよね。
七魔将たち、こいつらもなんだかんだと仲いいなー、と。ちゃんと身内認定なんですよね。同じ上司に仕える同僚ってクールな関係じゃなく、魔王様の寵愛を奪い合うライバルでもなく、魔王様を頂点とした悪ガキ集団、みたいな感じで。一応、魔将ってからには大貴族で大将軍であるはずなんだけど、ケンゴーと魔将たち七人で身内で友達で、打ち解けた家族みたいな雰囲気にいつの間にかなってたんだなあ。
そう考えると、あのダサいレヴィ山とかルシ子というあだ名も、立場とか家柄とかいと高き名前とかうっちゃって、身内同士の中で呼び合う特別な関係の証拠、みたいなもんなんですよね。レヴィ山の妹のシトレンシアが、最後にあだ名つけてもらうシーンで、思わずなるほどと納得してしまいました。

色々と怪しげに暗躍する黒幕の様子が垣間見えてきましたけれど、それ以上に魔王と七魔将たちの関係が勘違いとか思い込みで出来た虚飾の関係じゃなくて、何だかんだと心通じ合った仲間たちである事がわかってきて、敵がどうであろうと心強い限りじゃないですか。うむ、面白くなってきた。




我が驍勇にふるえよ天地 10 ~アレクシス帝国興隆記 ★★★☆   



【我が驍勇にふるえよ天地 10 ~アレクシス帝国興隆記】  あわむら赤光/ニリツ GA文庫

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世に常勝不敗の将軍、二人あり。
一人はアレクシス侯レオナート。
いま一人はガビロン三太子マルドゥカンドラ。
ともに百戦して百勝という稀代の名将が、多士済々の勇者賢者英雄女傑を幕下に従え、万の軍を率い、遂にいくさ場にて相見える!
これ矛盾の故事なりや――激戦死闘の果てになお不敗の旗を掲げられるのは一方のみ!
真の常勝将軍は、果たしてレオか? マルドゥカンドラか?
武勇、知略、用兵、戦略、策略、情報、人材、国力――全てを駆使し激突する、シリーズ最大の総力戦に刮目せよ!
魔法がないから面白い、痛快にして本格なるファンタジー戦記の大本命、待望の第10弾!!

古来より戦記小説多々あれど、片方が将星の抱負さ……人材の質と量の両方の高さ多さを強味とする軍勢に対して、同じ多士済々の人材の質量で真っ向から勝負してかかってきた展開は、ちょっとはじめて見たかも知れない。
ただでさえレオナートのアレクシス軍って並の戦記物よりも多種多様なキャラクターの将星が揃っているんですよね。アドモス軍を吸収したものだから、さらに拍車がかかっていますし。
光武帝の雲台二十八将かってなもんで。いや、文字通り雲台二十八将がモデルになってるんですかね。同じ二十八神将なんて名前が後世につけられるみたいですし。
そんなレオナート軍と真っ向から此度かち合うことになったガビロンの常勝将軍マルドゥカンドラ。その不敗の軍団こそ、レオナート軍と同じく様々な得意分野に秀でた人材の宝物庫。オールスターキャストに対して、オールスターキャストで戦いを挑んできたようなもので、レオナート軍の将星たちのお株を奪うような逸材たちが、将棋やチェスで同じ駒が両陣営に揃っているように相互に対応するように、レオナート軍と真っ向からぶつかり合うことになるのである。
まさに、人材と人材の勝負、てなもんでした。そりゃ、これだけ敵方の一軍団にこれだけキャラの個性を考え、戦い方考え、レオナート軍との千差万別の戦闘を考えてたら時間かかりますよ。惜しげもなくネタを掘り起こして投じていくようなものですし。

でもこれ、人材と人材の勝負、と言いはしたものの、終わってみると何気にシェーラとジュカのレオナート軍の二大軍師によって、決戦がはじまったときにはだいたい決着はついていた、という様相になるんじゃないですか、これ。
残念ながら、マルドゥカンドラには盤上を自在に操る智将のたぐいは幾人も居たようですけれど、盤面そのものを用意する軍師は見当たらなかったみたいなんですよね。かといってマルドゥカンドラが自身でそれを成すかというと過去の戦歴を見ても、マルドゥカンドラは提供された戦場で戦うタイプの将軍であって、自分で戦場を用意したり作り上げるタイプじゃないみたいですし。これもアドモスの妖怪爺さんが語っていた、あの兄弟は優秀で仲が良すぎるが故に相手の職分を侵さない、という弱点にあたるのかもしれません。マルドゥカンドラもあくまで軍人に徹していて、言われたところに向かいそこで本分を尽くす、というような行動が伺えますし。
かといって、長兄は政治家としても軍政家としても化け物級みたいですけれど、大戦略家として国家戦略を先々に至るまで見通して操っている、というタイプでもなさそうですし、次兄は謀略家にして情報屋ですけれど、だからこそ裏方に徹しています。天才と言ってもいいんだろうけれど、三人とも限定された局面にしか手を伸ばそうとしないようで。だからこそ、彼ら兄弟は末弟に期待しているのかもしれないなあ。

ともあれ、終わってみれば「役者が違った」と言ってしまっていいくらいに、差が浮き出てしまった感があります。結局、レオナートの側の将星に勝てるような、決定的に上回るような逸材はあれだけ人材が豊富に居たにも関わらず、誰も現れなかったわけですしね。それに、あまりにも多種多様にキャラを出してしまったために、個々に当たるスポットが小さくなって結果として一人ひとりの印象も薄くなってしまった気がします。一番印象に残っているのが、性格最悪のクティルというのがなんともやは。
肝心のマルドゥカンドラも、人の扱いのうまさ、カリスマ性こそが常勝を担ってきた要因なのでしょうけれど、レオナートがトラーメという曲者を意外にもうまいこと使っているのに対して、マルドゥカンドラの方はクティルをはたして上手く使えていたかというと、もろに軍団の弱点になってしまった点を鑑みても、これを重用していた時点でどうなんだろう、と思ってしまった部分もありますし。
部下たちの意見を良く聞く、という点は彼の強みでもあったのでしょうけれど、物語としてはマルドゥカンドラの存在感そのものが薄まっていたような感じがありました。なんとなく軍団全体に主体性というか、主導する強烈な牽引力が見当たらなかったというのもありますし。
レオナート軍の方はシェーラとジュカ、特にジュカがガッツリ手綱握って主導権握って全体を動かしてくれてますしね。既に戦争全体の行程を整えた上で、戦場現場での対応をガンガンとジュカが指揮していってくれるこの安心感安定感。
おまけに、今回の戦いはオスカーとクルスという自ら先頭に立って切り込む個の武勇で活躍していた二人が、後方から一勢を指揮する将帥として一皮むけるステップアップに至った話にもなりましたしね。
こういうところに「役者が違った」という感があったんですよねえ。

やはり、拮抗し得るのは同じステージで戦う相手。この場合はシェーラと同じ目線で戦争を動かせる相手、となるのか。シェヘラザード、そしてキルクス皇子がやはり一番の強敵、ということになるんでしょうな。
作者としての難所を越えたことで、これからはガンガンと続きだしてくれると嬉しいんですけどね。勢い付けて頑張ってほしいな。


転生魔王の大誤算 2~有能魔王軍の世界征服最短ルート ★★★   



【転生魔王の大誤算 2~有能魔王軍の世界征服最短ルート】  あわむら赤光/kakao GA文庫

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臣下達の重すぎる忠義と愛に後押しされ、しぶしぶ世界征服を続けるケンゴー。
ベクター王国を一瞬で攻め落とすと、統治体制を確立するため民心獲得政策を打ち出す。
金と物をバラ撒き、魔王の体面を保ちながら、どれだけ民に媚びることができるか、ヘタレチキン魔王の政治《たたかい》が始まる!
意外にも臣下達も協力的で、むしろ有能すぎてケンゴーもほくほく顔。
「これはうれしい誤算だな! 」
だが、魔族と人族の融和を望まぬ者達が暗躍。
まさかアイツまでもが謀略の糸を張り巡らせ、ケンゴーの優しさ溢れる占領政策を妨害する!?
魔王の自覚が芽生え始め、臣下達の愛もますます深まる、誤算だらけのサクセスストーリー第2弾!!

媚びる媚びる、これでもかとゴマをすって媚びまくる。
これが誰かに仕える立場なら佞臣路線一直線なのだけれど、ケンゴー君は一番偉い魔王なのである。それが偉そうな顔をしながら、幹部である魔将たちに媚を売り、征服した人間の都市の市民たちに媚を売り、と大安売りもイイ所なんですよね。
自分の意図が伝わって無くて、独自解釈で盛大にやらかしてドヤ顔の魔将たちを叱責したり罰を与えたり、なんて小心者の彼に出来るはずもなく、まず褒めて褒めてその上で自分の思ってたのとちょっと違うなあ、というのを伝えつつこれはこれで素晴らしい結果を出していると褒め称え、その有能さと忠誠心を褒め称え、君たちは間違ってはいないしよくやってくれたけれど、ちょっとだけ方向修正するからね、悪く思わないでね。という趣旨の話をふんぞり返って尊大な物言いで覆い隠しながら、実質低姿勢で全力で媚びを売りまくる魔王ケンゴー。
いや、ここまで偉そうにおもねることが出来るのって、それはそれで才能かもしれない。いやいや、ちゃんと話聞いてたら無茶苦茶言ってるなあ、というのが露骨にわかるので別に全然上手いこと言ってるわけじゃないんですよね。凄まじくボロボロとボロを出しまくっていると言える。
それでも魔将たちが褒められたと喜び、超好意的に解釈してくれて、尊敬を深めてくれるのはそれだけ普段も最初からちゃんと話聞いてくれてない、という証左でもあるのかもしれない。
今回は、間違ってぶっかけられた魔法薬によって、冷静さを保てなくなると内面の凶暴さが表に出てしまうという副作用によって、魔将たちが思いえがく理想の魔王様像を何度も実演してみせてしまったのが、思い込みを助長させる結果になってしまっていたのかもしれないが。
いやでも、この副作用状態のケンゴー、ただの性癖全開の中二病に掛かった変態、でしかなかったような。これ、ただのエロ魔王ですよね。
おかげで、ケンゴーの正体を知り小心者としての彼をフォローし守ろうとしてくれているルシ子が、火消しに苦労するはめになるのですが。傲慢を司る彼女があくせくとケンゴーのやらかしをフォローしケアして回ってるというのは何とも皮肉な姿でもあるのですが、彼女の場合傲慢ってのはただのツンデレだから別にいいのか。むしろ、実体は健気で献身的、と言ったところですもんね。自分だけが本当のケンゴーを知っている、という優越感も持っているみたいだし。ある意味、彼を独占しているとも言えますからね。なので、自分だけに弱音を吐いてくるケンゴーに対して、つんつんしているようでこの娘だだ甘で、やたらと甘やかしてやがりますし。ケンゴーも、ルシ子にベタベタなものだから、二人きりになると途端にイチャイチャしてばかりなんだよなあ。

ただ、そのルシ子の優越感もいつまで保てるか。
ケンゴーの中身を理解せず、勝手に自分の理想像を彼に被せてファンか信者のように盛り上がっているように見える魔将たち。実際、ケンゴーはその幻想を裏切らないために四苦八苦しているわけですけれど、本当に一から十まで全部誤解と思い込みで、魔将たちの忠誠心と信仰が成り立っているかというと、彼らは見事に能力はともかく見る目はなくてぼんくらもイイ所ですけれど、完全に何も見ていないし話も聞かない、というわけじゃあないんですよね。
少なくとも、ケンゴーが本当にカッコいい魔王様だというのはわかっている。
小心者で臆病者だけれど、ケンゴーは卑怯者とは程遠い男である。平和主義者で本心ではまず話し合い優先で戦う事は怖いし嫌だし面白いとも思っていないけれど、引いてはいけない場面では決して退かない。理不尽に対して心から怒り、自分を困らせてばかりの部下たちだけれど、その忠臣には本当に感謝して有能さには尊敬すらしている。いざ、彼らがピンチになった時に自ら身体を張って守り助けることに何らの躊躇も抱かない。
魔将たちがオーディエンスと化して、魔王様かっけぇぇぇ! とやんや喝采してる時は本当にちゃんとカッコいいんですよね、魔王ケンゴー。いやそれにしても、ひたすらテンションマックスで大騒ぎしてアゲアゲで居続けるのって、疲れないかな、と思ってしまうのだけれど、推しに夢中な連中というのはこういうものなのかもしれない。
ってか、魔将たちって忠誠心というよりもこれファン心理ですよね。推しのアイドルを一心不乱に応援するドルオタのようなメンタルである。
果たしてそんなファンと理想像と推しの実像には乖離があることは不思議ではないのですけれど……こうして見てるとその乖離は徐々に埋まっていっているような気もするんですよね。徐々に、魔将たちはケンゴーの本質を、実像を理解しつつあるように見える。誤解や思い込みと実像の乖離が埋まりだしてなお、彼らのケンゴーへの敬愛が薄れないとしたら。
ルシ子も、いつまでも自分だけが彼を知ってるのだ、みたいな優越感に浸ってはいられないんじゃないだろうか。既に、アス美あたりはケンゴーの中身について察しはじめているようなきらいもありますし、マモ代は別の意味で盲目的にケンゴーのカッコいい側面に夢中になりはじめているし、レヴィ山くんもあれ、結構ケンゴーのことわかってるんじゃないだろうか。
そんな風に、いつの間にか魔将たちとの距離感詰まってるような感じがあり、面白くなってきた。
しかし、天使サイドはこれ完全に悪役なのか。聖女さまも、見事に狂信者ですし、ケンゴーの怒りに触れる理不尽には事欠かなさそう。





転生魔王の大誤算 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート~ ★★★☆   



【転生魔王の大誤算 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート~】 あわむら赤光/ kakao GA文庫

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歴代最強の実力を持つ魔王ケンゴーにも、決して漏らせぬ秘密があった。
「転生前より状況がひどくない!?」
前世の彼は、伝説の不良だった兄と勘違いされ舎弟から尊敬を集めた、草食系高校生の乾健剛だったのだ!
今度こそ平穏に生きたいのに、より凶悪な魔族達に臣従され、いつ本性を見抜かれるかハラハラの生活を送るケンゴー。
だが命惜しさに防御魔法を極めれば無敵の王と畏敬され、ハーレムに手を出す勇気がないだけなのに孤高だと逆にモテ、臣下の顔色を伺えば目配りの効く名君だと絶賛の嵐で、第二の人生は順風満帆!?
これは己の強さも権力も持て余し、誤算続きで名声まで爆上げしてしまう、転生魔王のサクセスストーリーである!
ルシ子さん、傲慢の魔将なんだけれど嫉妬するわ憤怒するわ、色々と忙しい。というか、傲慢というよりただのツンデレなんですが。しかも、かなりダダ甘のツンである。
勘違いモノの常として、どうしても主人公がひどい誤解をされる事で本当の気持ちとか想いを蔑ろにされ、思い込みでこうと決めつけられて、相互理解が致命的に喪われているケースが目立つんですよね。結果として、主人公は持て囃されながらも本当の自分を見てもらえないまま実質的に孤立してしまっている場合が多いのですけれど、本作の場合は幼馴染のルシ子がちゃんとケンゴーのことわかってくれてるんですね。前世が人間だったのも知っているし、彼がヘタレチキンなのもよくわかっている。いつクーデター起こされて酷い目に合わされるか怯えながら、必死に魔王として繕ってヘタレがバレないように頑張っているのもずっと横で見ていてくれているのである。
口ぶりはキツいし積極的に魔将たちとの関係を取り持ったりなんかはしてくれないものの、秘密を自分ひとりだけで抱えていないだけでも随分救われるし、へこたれた時なんかは何だかんだと甘やかしてくれるし、頼めばツンツンしながらもなんでもしてくれそうなチョロい所もあって、こんな幼馴染居るだけで勝ち組だろう、こいつ。
神様、自分なんか悪いことしました? というのが口癖で自分の境遇嘆くケンゴーですけれど、ルシ子を幼馴染にしてくれただけで大ボーナスだと思うんですけどねえ。
勿論、自分の境遇こそ嘆きながらも、ルシ子こそが自分にとっていちばん大事なもの、という真実だけは見失っていないので、ラストでもその辺ケンゴーにとっての一線に繋がってくるんですよね。どれだけ草食系で小心者で臆病でも、触れてはならないものに手出しされたら戦争である。
ともあれ、これだけ深い理解者が傍に居てくれているというだけでも、周りからどれだけ勝手な魔王像を押し付けられても彼が孤独にはならないのだと安心できる。ルシ子だったら、どれだけ酷い状況に追い込まれても絶対に味方で居てくれる、とケンゴー自身無意識にですが完全に信じ切ってますしね。
とはいえ、他の魔将たちもやんやと囃し立てて、深読みや思い込みでケンゴーの事を超絶魔王と思い込んで尊敬し慕いまくってるのですが、よくよく個々の魔将たちのケンゴーに対する見解を聞いていると案外と的を外していない気がするんですよね。いや、サ藤は相当思い込み激しくて勘違いが進んでますけれど、マモ代なんかはケンゴーがヘタレなのもう見抜いていますし、他の連中もケンゴーのやろうとしている事、どうしてそうしようとしているかは誤解しているか自分の都合の良いように解釈しているものの、ケンゴーのやろうとしている事はちゃんとわかっている奴もいますし、今までの歴代魔王と違うケンゴーのやり方についても分かった上で非常に好意的に見ていたり、彼の魔王としての実績についても決して過大評価じゃなくて、実情を見て評価してたりするんですよね。ケンゴーはそんなつもりないんですけど、とか言いそうですけど当人からは分からない所で彼の魔王としての在り方が魔将たちに良い傾向をもたらしているのは確かなんですよね。
魔族的価値観から、ケンゴーの本心についてはまったく分かっていないにしても、魔王が自分達魔将をかなり気を使って大事にしてくれている事はみんな大体気づいてるのである。ケンゴー、ビビリながらも何だかんだと魔将たち、嫌いじゃないみたいですし、愛が重いとはいえ一途に慕ってくれる彼らのことは何だかんだと親しんでる節もあるんだよなあ。
それにしても嫉妬の魔将のチャラ男なレヴィ山くん、嫉妬するために他人のイイ所探しが得意、というのは実は相当にイイ奴なんじゃないのか?w

なんだかんだと和気あいあいな魔族陣営に対して、むしろ怖いの人間サイドですよ。聖女さまが完全に狂信者&ドMという救いがたい変態だったりするし、全体的に神の使徒という体で思想が操作されてる様子が伺えるんですよね。おまけに、唯一神が実在しているみたいですし、神の意向によって魔族との絶滅戦争が施行されているので、何気に和解の余地がなさそうですし。そもそも、天使なんて神の尖兵まで攻めてくるわけですから、はたしてケンゴーの人間との和平なんて目的は叶えられるのか。魔族はどんどん殺る気満々、神様も殺る気満々、妥協の余地が見当たらねー。
それこそ、魔王のもとに世界征服するのが一番手っ取り早い気がしてきたぞ。

自他共認めるヘタレチキンであるけれど、肝心なものは見失わず、なけなしの勇気の出しどころは間違えない。ビビリで臆病者だけど、だからこそ油断なく、守るべきを護り通せる実力を死にものぐるいで手にしている。そして、怒るべきときに怒れる一端の男なのだ。ルシ子がべた惚れなのは、決して理由なきものではないのである。そんな彼の手による世界征服、うん重ね重ねそれが正解に思えてくる。なんか唯一神、ぬるぬるグチョグチョ系の邪神の可能性も出てきたし。


俺の女友達が最高に可愛い。2 ★★★★   



【俺の女友達が最高に可愛い。2】 あわむら赤光/mmu GA文庫

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バイト先の女友達も最高に可愛い!?
「お前、俺のこと好きだったの!?」
中村カイ、16歳。人生で初めて女の子から告白され、しかも相手は美少女――仲良くしていたバイトの後輩、アニメ大好き布袋琴吹さん!
青天の霹靂とも言えるこの事態にカイの頭は大混乱。琴吹は嫌いではないが「友達として好き」と「異性として好き」の境目はどこにある!?
一方、琴吹は果敢な猛アタックで、
「でしたら、まずはお試しデートで」
と、絶妙な提案を持ちかける。豆腐メンタルなはずの後輩の、懸命かつ健気なアピールをカイも無下にはできず、お試し交際してみることに。
そして始まる、人生初ガチデート。でもその場をジュンに見つかり――
ピュアフレンドラブコメ第2弾!!
おぅおぅおぅ、くっそ可愛いなあこの後輩ちゃん!
まずこの表紙絵が最高じゃないですか? これほど表情豊かでキャラクターが伝わってくる日常のワンシーンを切り取ったような表紙絵はなかなか見ないですよ。
お試しデートってラノベのラブコメではなかなか実行まで漕ぎ着けられないコンテンツなんだけれど、あっさり何の障害もなくデートまでたどり着けた上でちゃんとデートとして二人で一日中存分に楽しめた、という所に中村灰という少年のラブコメ主人公としての類を見ないポテンシャルを感じるのだ。
この子、一般的なラブコメ主人公と戦っているステージの種類が違う感じなんだよなあ。ラブコメ的環境や人間関係に対しての当事者意識というか視点が一般的なそれとどっか違うんですよね。自分の中のロジックというか。恋愛が面倒くさいという考え方自体は珍しくないと思うのだけれど、それを女の子と接する事が面倒くさいとイコールになっていない、或いは同世代の女性に対しての接し方が熟れていて意識の壁を持っていないというか。
よっぽどジュンに女の子との接し方を鍛えられたのか。いや、そもそもジュンとこういう関係になれた時点で女性への接し方が違うんですよね。決して相手を女として見ていないわけじゃなく、ちゃんと異性として認識している所なんぞも顕著だし、凄く尊重もしているし。馴れ馴れしいわけじゃないんだよなあ。
それは藤原怜奈との関係でも見られるところで、彼が女性と「友達」を出来る資質なのだろう。
でもこういう男の子って、女性の側からしても負担が少ないと言うか楽なんですよね。いや、楽どころか男に対して、というか他人に対して接するのに問題を抱えていたり色々と気を回したりしてエネルギーを使ってるタイプとか逆に圧を与えたりするタイプの女の子からすると、中村灰って子はちょっと特別感があるのかもしれない。
中でも布袋琴吹という娘にとってこのバイト先輩は、自分のクソザコメンタルに基づく結構面倒くさい言動を十全理解してくれた上でパーフェクトに対応してくれて、無理することなく自分の趣味とも相性良く、つまり何の負担も感じずひたすら楽しく一緒に過ごせる異性って、人生において一度出会えるか否か、というとんでもねー神物件に見えると思うんですよね。楽どころか、面倒くさい自分をあるがままありのまま見えてもニコニコと楽しそうに受け止めてくれる。そりゃあ、好きになるよねえ。
多分、琴吹という娘もカイとそんなに変わらないレベルで、恋愛とか面倒くさいと思うタイプだと思うんですよね。でも、そんな面倒くさい諸々が全く気にならなくなるのが、異性を好きになるという事。恋愛感情なのでしょう。面倒くさいことが、楽しくすらなるのが恋なのでしょう、夢中になるって事なのでしょう。
しかし、それはどうしたって琴吹からの一方通行に過ぎなかった。
多分、カイにとっての女友達が琴吹だけだったら、彼女と過ごす楽しさは恋愛を面倒に感じる思いを内包していても手放せないものだったでしょう。面倒を踏まえても恋人になる事に否はなかったんじゃないでしょうか。
でも、カイにはもうジュンが居た。ジュンと過ごす時間こそ彼にとって一番であり、何よりも優先される事だった。彼の人生にはもうジュンという存在が欠かせないものになってしまっていたのだ。
それを、布袋琴吹は知ってしまった。自分が彼と恋人となることを望んでも、カイは必ずジュンと友達として一緒にいる時間の方を選ぶだろうという事も、それが選べないのならジュンと一緒に居られなくなるのなら、自分と恋人になる事自体を断ってくるだろう事も。
琴吹はわかってしまうくらいには、このバイト先輩が自分を理解してくれるのと同じくらい、彼の事を理解していたが故の、懊悩の始まりであった。
懊悩の末に、琴吹はカイにジュンと過ごす時間よりも自分を選ぶメリットを、恋人になる事で得られるものの魅力を提示することで、体当たりの自己PRで訴えてくるのだけれど、それは相手にも自分にも1か0かを強いる強硬策だったんですね。否応のない選択の強制は、全部を得るか全部を失うかのハイリスクハイリターンで。同時に今のカイに対しては無謀の特攻でしかなかったのである。
それだけ、琴吹も切羽詰まってたんですね。クソザコメンタルからさらに余裕が失われてはそりゃあ玉砕必至をいい考えと、必殺の攻撃と思ってしまうかー。
カイはよく致命的になる前にインターセプトできたものである。いや、本来なら琴吹のそれは一線を越えたと言える段階だっただけに、カイは琴吹が自分から外そうとしたハシゴを捕まえて下ろしてあげたとも言えるんですよね。バッサリと切り落とすことも何も考えずに流される事もせずに収められたあたりは、やはりこの男ちょっとモノが違う部分があると思います。
それでも、クソザコメンタルにとって自分の暴走を気付かされるというのはダメージが大きいのは事実。なけなしの勇気を特攻に費やしてしまって、この気まずい状況をもう一度自分からなんとかする気力が琴吹にあるはずがなく、まあ動けなくなっちゃいますよね。
それに対して、速攻で連絡取ろうと自分から動いてるカイはほんとこいつ偉いです。でも、どれだけ連絡取ろうとしても全然反応なくてめげてしまうのも当然ちゃ当然なんですよね。
そこで諦めてしまうのか。このまま気まずいまま自然消滅してしまうのか。所詮はバイト先で一緒なだけの学校も違う年齢も違う者同士。そのバイト先でも指導役だった前までと違ってシフトもだいぶ重ならなくなっている現状、そのままズルズルと現状を続けていけば、お互い二度と前みたいな気安い関係には戻れなかったでしょう。
それでいいのか。それでなくなってしまってもいいのか。布袋琴吹と過ごす時間は、無くしたくないと思えるだけの楽しい時間だったのか、琴吹はなくしたくない大切な友達だったのか。
それをわからせ思い出させてくれるのが、背中を押してくれるのが、ここぞとばかりのジュンの親友ムーブなんですよねえ。
ただ一緒に居て楽しいだけじゃない、以心伝心ってのは遊びだけじゃなくほんとに真剣で必死な状況で心を重ねてくれること。その意味でも御屋川ジュンという少女は中村カイにとっての唯一無二なのだろう。
友情も恋も、タイミング次第で簡単に失われてしまうものでもある。ちょっとしたすれ違いで遠ざかってしまうものでもある。それを自分から離さないように

そうしてカイと琴吹は気まずい関係を解消でき、元の位置まで戻った上でコスプレという趣味を通じてより親密に打ち解けた友達として仕切り直し、また琴吹はジュンと本気で遊ぶことで友達として縛られずに楽しく過ごすのが今の自分にもぴったり合うものだと認めて、ジュンと遊ぶのはカイと一緒に過ごすのと同じくらい楽しいと受け入れることになる。

そこから、布袋琴吹という娘が本当は何を考えて動いてたかは描かれていない。ただ行動だけが描かれる。友達として、カイと再スタートした琴吹。でも、彼女の本心はどこにあるのだろう。
きっと、好きという気持ちはなくなっていないだろう。あの感情はなくなるものではない。封じ込められるものでもない。ならば戦略転換か? 強攻が文字通り自爆特攻になりかけたのを反省し、友達という立場からの浸透戦術で徐々に自分の存在をカイに刻み込んでいく方針に転換したのだろうか。
友達として、まずカイにとってのジュンを上回る。それは、カイとジュンの様子を見て自分もあんなふうに先輩となりたい、とベッドの中で悶え転がった琴吹の様子を思い返せば、決してなくはないと思うんですよね。
でも、恋人はまだ無理で友達のままがより楽しいというのも嘘じゃなく、本心でもあると思うんですよね。今の自分では、カイの恋人にはなれない。なれるところまで、彼の心の居場所にたどり着いていない。
でも、琴吹が現状の友達関係を維持していくだけのつもりじゃないのは、ラストシーンからも伺える。友達という枠組みのまま、実際のカイと自分の友達関係の内実をどんどんと更新していくつもりなんじゃないだろうか。先へ先へと進んでいくつもりではなかろうか。
閾値を超えるのを虎視眈々と待つ、という風に。
でも、ジュンとカイの関係はその閾値を最初からぶっ千切ってる関係でもあるんですよね。既にもう、望めばどこまでもいけるだけの到達してしまった関係の深度でもある。だから、二人は現状維持で満足していて、友達という関係に対する固定観念やジュン兄の王子先生がマメに設置する制止ラインの範疇で収まっているとも言える。時々、無意識に友達関係というレベルを振り切った行為をナチュラルにしてしまっているけれど、友達という関係の標準点は早々変わらなかったと思う。
でもむしろ、琴吹がぐいぐいと友達のまま友達ならこれも普通、という行為を先に進めていってしまうなら、この友達の標準が変わっていく。ジュンとの関係もじゃあ友達なんだからこれくらいしてもいいよね、という具合に心理ハードルがなくなっていく可能性は否めない。
既に膝枕とか恋人もかくやという行為を平然としてる二人に琴吹が負けずに追いすがった場合、ジュンとのそれがほんとなんでもありになりそうじゃないですか。
琴吹との友達関係強化は呼び水、或いは火に注ぐ油、既に通常と全く異なるレベルの違う友達関係がこれも自分たちのような友達同士ならありというバイアスになるんじゃないか。
ジュンとカイの友達関係の、さらなる起爆剤として刺激とか対抗意識によるエスカレートではなく、友達同士ならこれくらい当たり前という意識の基準範囲の通常からの逸脱、つまり二人にとっての自然がもっともっと深い所に行ってしまうのを期待してしまうのだ。
まあそうなると、琴吹ちゃんも同様にとんでもない深みに一緒にハマっていく事になるので、ほんとこれどうするんだ、という人間関係になってしまい兼ねない期待なのだけれど。
いやしかしこれほんとに、着地点どのあたりに見据えてるんでしょうね。はたして、友達を最後まで貫いて友達関係の新たな地平を切り開くのか、それとも恋愛は面倒という意識をぶち破るくらいの好きを芽生えさせて、やっぱり友達ではいられなかったというランディングにするのか。
いずれにしても、この子たちが本当に心から望んで喜べる結末が見れたらなあ、と思います。個人的には行き着く所まで逝ってしまったアブノーマルなまでの友達関係の成れの果てを見てみたいという歪んだ願望ガガガw




俺の女友達が最高に可愛い。 ★★★★☆   



【俺の女友達が最高に可愛い。】 あわむら赤光/mmu GA文庫

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多趣味を全力で楽しむ男子高校生中村カイには「無二の親友」がいる。
御屋川ジュン――学年一の美少女とも名高い、クラスメイトである。
高校入学時に知り合った二人だが、趣味ピッタリ相性バッチリ!
ゲームに漫画トーク、アニソンカラオケ、楽しすぎていくらでも一緒に遊んでいられるし、むしろ時間足りなすぎ。
「ジュン、マリカ弱え。プレイが雑」
「そゆって私の生足チラ見する奴ぅ」
「嘘乙――ってパンツめくれとる!?」
「隙ありカイ! やった勝った!!」
「こんなん認めねええええええええ」
恋愛は一瞬、友情は一生? カノジョじゃないからひたすら可愛い&ずっと楽しい!
友情イチャイチャ満載ピュアフレンド・ラブコメ!!

週五で家に遊びに来るって、小学生か! という入り浸りっぷりで、一緒に過ごしている時間も密度も桁違いだ。これだけ家に居たらそりゃ家族とも顔を合わせるし、今となっては気軽に晩御飯も一緒に食べていく。
でも友達。恋人じゃなくて友達。ジュンが来るのは一緒に遊ぶため。一緒に遊ぶのが楽しいから、一緒に過ごすのが楽しいから、一緒にいるだけで好きだからじゃない。でも、それは好きじゃない、という意味でもないんですよね。
友達関係と恋人関係の違いってなに? と、改めて改まって考えてみるとさてはっきりと明確な定義付はできるだろうか。
恋愛感情のある無し? でも、好き同士でだって恋人にならなかったら、それは友達のままだ。それは恋人という関係に進展しない前段階とも言えるし、新しい関係に踏み込めずに足踏みしている、とも捉えられる。そんな状態のままのラブコメなんて山ほどある。
でももし、その友達関係に……親友という関係に満たされていたのなら、敢えて恋人になる必要はあるのだろうか。
恋人になる、というのは一種の専属契約だ。お互いを最優先するという約束であり、付き合うという形を整える事で周囲にも専有を宣言するもの、と言っていい。その代わり、恋人という関係を成り立たせるために、幾つもの体裁や義務が生じることになる。もちろん、その範囲は各カップル次第で多大な制約下におかれる恋人関係もあれば、野放図なくらいお互い自由である恋人関係もあるだろう。
でも、カイとジュンにとっては恋人関係になることによって生じるであろう様々な縛りや付き合い、しがらみは自分たちにとっては不必要、と捉えたのだろう。だから、彼らは恋人になる必要性を感じていない。親友同士でいい、と思っているのだ。
恋人じゃなくて友達だと、出来ない事も多いだろう、と人はいうだろう。でもそうかしら?
それは、固定観念じゃないのか?
所詮、お付き合いなんてのは書面で契約したわけじゃないただの口約束だ。うん、口約束でも法的義務が生じる場合はあるけどね、でも明確な恋人同士でないとやっちゃいけないこと、その胸に生じさせ通じあわせてはいけない思い、なんてのは「無い!」んですよね。
だからお互いに対する同意と信頼があれば、彼氏彼女という枠組みに入ってこそ育むべき、なんて思われているあれこれだって、別になんら行っても構わないし、不誠実でも不埒でもないのである。

カイとジュンも、友達という関係に拘りつつも友達という関係によって連想されるだろう形式には何ら拘ってないし、縛られても居ない。好きという感情の大きさだって、友達という枠に連想される枠に押し込めようとしていない。大好き、という感情をまったく憚っていないし、異性であることをことさら意識しないように、なんて無駄な真似は一切していない。好きだし、異性として意識しているし、時にはエッチな気分になるけれど、そこにお互い親友同士という絶対的な信頼があることでそんな感情を一方通行ではなく、共有できている。
でも、これってお互いの感情の量や深さがちょうど釣り合っているから、とも言えるわけで危ういバランスの上にある事は忘れてはいけない。そんなあやふやな釣り合いへの不安から、恋人という枠組みの中に自分たちを収めて安定させよう、具体的に関係を明確化することによって……そうして恋人という状態を維持しようとお互い努力することを義務化することで安定化を図ろう、というのが恋人になるという事の大きな効果の一つなのだろう。
そうした安定性が、行き過ぎた親友関係には存在しない、とも言える。
繰り返し、になるのかな。カイとジュンを見ていると、二人はお互いを友達であり親友であり、恋人じゃないしなろうと思わない、と明言しているけれど、二人の間にあるのは友情でしか無い、なんて言い方は一切していない。恋人という枠組みに自分たちを押し込まないようにしようとして、逆に親友という枠組みに自分たちを押し込んでしまう、という窮屈な真似はしていないんですよね。
変に親友という言葉から連想される固定観念の枠組みの中に自分たちを押し込めてしまうと、それはそれで無理を生じさせて関係を破綻させてしまう、という無意識の回避が生じているのかもしれない。
お陰で、彼らの関係はなにものにも縛られていない。自由だ。なんの枠組みも柵にも囚われないまま、思いっきり羽根を伸ばして寄り添い合っている。
周りの人たちは、彼らのそんな特別な関係を把握しきれず、自分たちの理解できるところにはめ込めて捉えようとしているけれど、それじゃあきっとカイとジュンの関係はわからないだろう。
プリンス先生は、感覚的に理解したのかもしれないね。もしかしたら、二人の関係の発展性についても。だから、自分たち夫婦関係を取り戻して、その素晴らしさを証明してやりたい、と感じたんじゃないだろうか。
うん、そうなんですよね。ジュンとカイの友達関係って、そこが終着点じゃないんですよ。決して行き止まりの関係じゃない。彼らは友達のまま、親友のままどこまでも行ける。恋人という建前の関係性を取り込まないだけで、彼らの内側は自由で広大だ。友情も好きも否定しないまま肯定されて内包されている。だから、そのままどこまでも行けるのだ。
知っているか? 男と女は、恋人にならなくても「結婚」できるんだぜ?
友達のまま、好きになってもいいじゃない。親友だからこそできるエッチもあるだろう。そして、一生に二人と居ない掛け替えのない親友同士だからこそ、結婚という形で人生のパートナーになることだって可能なのだ。
もっとも、結婚には恋人どころじゃない義務や成さねばならないしがらみが生じる。結婚までしてしまう覚悟があるのなら、なんで恋人にならなかったのだ、とも思うだろうけれど。
うん、彼氏彼女になるどころじゃない重さが生じるからこそ、人生を共にするという覚悟を証明するからこそ、軽々に離れられなくなる本物の契約だからこそ、無二の関係に相応しいという体もあるんじゃなかろうか。
……いささか先走ってしまったけれど、ジュンとカイの間にある親友という関係は決して行き詰まったものでも停滞したものでもない、どこまでも一緒に進んでいけるだけの掛け替えのない自由のもとにあるものだ、という認識は定かにしておきたい。
ああ、素晴らしきかな、異性の親友。たった一人の生涯の友。

だがしかし、同時にそれはお互いの暗黙の了解のもとに成立している関係でもある。恋人という、彼氏彼女という、付き合っているという明確な約束、契約のもとに縛られていないということは、そうした契約によって「守られていない」無防備な関係とも言えるのだ。ファイアーウォールで守られていない、決して相手を束縛できないフリーの状態で親友だからといって、いや親友だからこそ相手の人間関係に勝手に口出しなんて出来ない。それが相手のためにならない悪い人間関係なら、友達として悪縁を切るために奮闘するのは大いにあることだろう。でも、祝福スべき新たな関係の成立を友達が自分の利己のために妨害することは、親友同士だからこそあってはならない。

ラストの展開は、まさに二人の関係の構造的惰弱性をクリティカルについてくる、実に唆る展開だった。
相手はぽっと出の雑魚などではない。ジュンに準じる密度と量の時間を共にし、カイの内面や心の動き、状態をよく理解し、その上で導くことまでしてくれている深いつながりを有する存在だ。
さあ、試される時である。ジュンとカイにとって、お互いの語る「親友」とはなんなのかを。


ちなみに、自分王子先生がちょっと好きになりすぎて、ヤバいです。この人、男としてちょっとかっこよすぎるでしょう! あとで明らかになる色々と駄目な部分すらも含めて、内面も外見もイケメンすぎる。ちと夫婦生活義務感とかが前に出てしまってギスギスしているみたいだけれど、カイとのコミュニケーションの中でどうも思う所あったようで、夫婦関係に本気になった様子が伺えるので、この人本気になったら、その情熱が傾けられたら夫婦関係劇的に改変されるんじゃないだろうか、という絶大な信頼が王子先生の人柄にはあるんですよねえ。
いやしかし、ジュンのお兄さんズがどうやら二人の関係の大きなハードルになっていくみたいだけど、ハードル超えたら凄え二人の応援派閥、肯定派になってくれそう。すでにあれ、ジュン抜きで「友達!」状態ですし。
すでにカイの家の方はジュンのこと晩ごはんどころか普通に泊めるのもオッケー状態なのを見ると、二人の家族周りは素晴らしく青信号なのが、何とも素敵すぎる。

いやもう、色んな意味で最高のラブコメ、ラブコメ? 女友達最高小説でした。
ほんと最高ッ、最高ッ!

あわむら赤光作品感想

我が驍勇にふるえよ天地 9 ~アレクシス帝国興隆記~ ★★★★   



【我が驍勇にふるえよ天地 9 ~アレクシス帝国興隆記~】 あわむら 赤光/卵の黄身  GA文庫

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キルクス、カトルシヴァ両皇子との緒戦、勝ち負けつかず。
その結末は引き分けというにはあまりにも重い代償をレオナートに突きつけた。

一方、中央帝国パリディーダでは、ツァーラント帝国、ガビロン帝国を一つに束ね、三国同盟でレオナートを滅ぼす邪悪な秘策が蠢動していた。
恐るべき絵図を描くは、千里をも見通すとされる《魔女》シェヘラザード。
混乱の情勢を不敵に操る魔術のごとき企みが、レオたちを新たな戦いへと誘う――。

いざ示さん、王者の戦い!
強大なる三帝国を堂々迎え撃て!!
痛快にして本格なるファンタジー戦記の大本命、激動の第9弾!!
キルクス皇子、有能さではレオナートのライバルにふさわしいのだけれど、それに比して地盤と人材がレオナートと比べると著しく弱いのがネックだと思っていたのですが、なるほどこういう展開か。
まずはレオナート包囲網。出る杭は打たれる、というのは戦国乱世となった国際情勢なら当然で、放って置いたらまず間違いなく近隣の最大勢力へとのし上がるに違いなく、それでいて平和的にやりましょうなんて連中ではないのだから、まだどうにか出来るうちに寄ってたかって叩き潰そうとするのは当たり前の流れなのでしょう。
でも、むしろ合従軍やら包囲網なんてのを起こさないといけない時点で手遅れ、というケースも珍しくはないのですが、さて今回の場合はどうなのか。
少なくとも、シェーラやジュカが想定していなかった以上は相当に早巻きされた展開ではあるんでしょうね。それだけ、各国のアレクシス軍の勃興に対する危機感は高く、それらをまとめ上げたシェヘラザードの手腕は並々ならぬもの、となるのでしょう。
しかしこのシェヘラザード、かなりいきなりポッと出てきましたけれど、一体何者なのか。バックグラウンドがかなり不明であることはともかく、シェーラと瓜二つというのは何かしらの意味があるんだろうなあ。シェヘラザード自身はシェーラの事は全く知らなかったようなのだけれど。
何気にやりかたも結構似てるんですよね。シェーラの『伝説伝承』構想。あのフォークロアと、シェヘラザードの語る『魔王』という世界の敵を仕立て上げる構想は、ベクトルこそ異なっているものの構造としてはほぼ一緒のものですし。
それでも、シェヘラザードが一番の黒幕でラスボス、というにはもう一つなにか違う気がするんですよね。これだと、あくまでシェーラの対抗馬という構図が一番当てはまりそうですし。
となると、やはりキルクス皇子がレイナートの最大の好敵手になっていくのか。今の段階では包囲網の中でも弱小勢力ですけれど、この件をきっかけに彼に元に色々と糾合していきそうな流れが生まれていましたし。その中でも一番の要になりそうだったのが、ツァーラント帝国の騎士の中の騎士アルフレッドだったのですが……。
いや、こいつ実際どうなの?
自分ルールすぎて、周りついていけてないんじゃない? 怖いは怖いしそのメチャクチャなまでの強さは脅威なんだけれど、こいつだけ在り方が突出しすぎていて過程や他人の心を蔑ろにしすぎている分、質的にも量的にも消耗が激しすぎるんですよね。自分の正義は正しい、という信仰は勝っているうちは渋々周りもついていくかもしれないけれど……。
だいたいこれ、考え方がパターン決まっちゃってる節があるので、レイヴァーンが相手って一番あかん組み合わせだったんじゃないだろうか、アルフレッドにとって。
つーかこれ、相変わらずレイヴァーンが凄すぎる。軍略家として未だに登場人物中で頭一つ抜けてるんじゃないだろうか。よくまあ、この男に勝てたよなあ。いや、実際ちゃんと勝っていなくて、アドモスの政変のおかげで向こうから降ってきた当時を振り返ってみたら、果たしてあのままレイヴァーンと戦っててレイナートですらちゃんと勝てたのかどうか。
そのシリーズ最大の強敵がまったく衰えないまま味方になっている、という現状が頼もしすぎます。彼のみならず、アドモス帝国の強敵たちがほぼまるごと反転してこっちの味方になっているわけですからね。
これでもまだ人材が足りない! と嘆くレイナートが贅沢すぎるのですけれど、これをして贅沢などと言えないくらいやはり包囲網という状況は過酷なのか。
……アランくんがすっげーフラグ立ててったのですけれど、さすがにこれ逆にフラグ潰しですよね? ね?

シリーズ感想

黄昏の騎士団、蹂躙、蹂躙、蹂躙す ★★★☆   



【黄昏の騎士団、蹂躙、蹂躙、蹂躙す】 あわむら赤光 /夕薙  GA文庫

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裏城紫苑は余命少ない末期患者の少年。生きる楽しみを何一つ知らず死にたくないと、闘病を続ける姿が、天上界の姫エミルナの目に留まった。
「適格者よ。我が“不死の騎士公”となり、君が求む快楽を探すといい」
不滅の肉体と、『他者にも不死性を与える』規格外の力を得る紫苑。そして、彼が見出した喜びとは―エミルナの右腕として無敵の軍団を結成し、地上を支配せんとする天上界の王族を殱滅することだった!
「強くなって悪い奴らを踏みにじる。これより気持ちいいことってある?」
不死の暴力。不滅の純愛。今、灰色だった人生への大叛逆が始まる!正義を娯楽とし圧倒的な力で為す独善懲悪バトルパレード、開幕!!
これはまたぶっ飛んでぶっ壊れた主人公だ。でも人間として異常であり破綻していて壊れていても、人間性という部分においては真っ当で物事の善し悪しについても純朴で、他人の感情の機微についても敏いものだから、独善懲悪なんて自ら謳いながらも不快ではなく好感の持てる少年なんですよね。作者のあわむらさん、こういう規格外の一方で感性真っ当な孤立しない主人公描くのうまいなあ。
エルミナ姫も、あらすじ見ると偶々出会って適格者だったので拾い上げました、みたいな感じですし傲慢なお姫様っぽく見えるんですけど、それどころか行きずりの犯行ではなく、何気に何年も紫苑のもとに通って闘病生活を支えてたんですよね。それも、逃亡生活で本来なら一処に留まることすら危険なのに。長きに渡って紫苑の闘病を、終末治療を拒んで苦しみ抜きながら生きることを諦めようとしなかった彼の足掻きと絶望をずっと見続けていたからこそ、献身的に介護し続けてきたからこそ、言えるセリフがあるというものです。
これは間に割って入るの難しい主人公とメインヒロインの一途な関係ですよ。
不死となり、あれだけ自由闊達に振る舞いながら、いざお姉ちゃん属性を振りかざすエルミナにはついつい弟気質が出てしまって、エルミナにうまく迫れなくてジタバタしている紫苑くん、あのお姫様に対してだけ初心でぶきっちょな姿は、別にショタじゃないのだけれど妙に可愛らしくて心擽られるものがありますなあ。
何気にダダ甘お姉ちゃんな姫様も、これはこれで実に可愛らしいのですけど。なんとも微笑ましいカップルなのです。
しかし、一方で敵に対しては死んでも死んでも瞬時に再生して、ニコニコと満面の笑みを浮かべながら迫りくる不死身の怪物さながらで、この盛大にぶっ壊れた精神性こそがキモなんでしょうなあ。普通に怖いもんね!!
とはいえ、不死身とはいえ決して無敵ではなく、封印などの術によってあっさり無力化されかねない可能性は一番最初の戦闘から提示されていて、これ何気に一番最初の戦いこそが最大のピンチだったんじゃないだろうか。というわけで、不死そのものが無敵の理由ではなく、不死の体、そして将棋のように相手の駒を不死にして自軍へと取り込むその能力、そして不死身という特性を存分に利用し尽くした死を全く恐れない理外の戦術策謀こそが、この紫苑の蹂躙劇の要なのである。
でも、もともと死に慣れていると言っていい紫苑と違って、後から仲間になるみんなはそこまで死に瀕するような状況に陥ったこともないだろうに、何気にすぐに身体が原型トドメないほど損壊するような死に様晒してもすぐにもとに戻る状況に適応してるの、果たして彼らが凄いのか不死になったことで彼らも何かが壊れたのか、微妙に恐ろしいところである。一度死ぬたびに人格やらが徐々に欠損していく、と最初から明言されているのでみんなもう少し気をつけて死のうよw
しかし、紫苑くん。あんな境遇でいながら性格壊れはしても歪んでないのは凄いなあ。もっと世界を憎み嫉み負の感情を拗らせていてもおかしくないどころか死んだら怨霊になっても不思議じゃない有様だったのに、常に前向きでプラス思考なんですよね。だからこそ、死に抗い続けられたとも言えるのでしょうけれど。あるいは、それだけエルミナの看護が心の支えになり続けていたのか。
それを言うと、渚なんかも酷い境遇で理不尽を強いられ続けていたのに、根っこはものすごくイイ子であり続けていたのは何とも微笑ましい。いや、境遇相応に性格ひねちゃってるんだけれど、そこから善良さや優しさが滲み出てくるのって、やっぱいいんですよね。ただまあ、紫苑はエルミナに一途も一途だから、報われなさそうなのは可哀想なところだけれど、これに関しては最初からバッサリされているので、ある意味後腐れはないのか。でも、姫様の悪口言うと紫苑にセクハラされる、という取り決め、悪用するとえらいことになりそうだぞ。渚ってむっつりっぽいキャラだしw 紫苑って、変なところで頑固だから一度決めたことは自分に都合悪くても曲げないだろうしw

あわむら赤光作品感想

百神百年大戦 2 ★★★   



【百神百年大戦 2】 あわむら 赤光/かかげ GA文庫

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Kindle BOOK☆WALKER

雌伏の時に終わりを告げ、神々の戦いへと再びその身を投じることになった《剣》の神リクドー。
新たな龍脈の地で契約を交わす巫女は――
「ワンコ! このペロリストめ! 」
リクドーの頬を舐め回す甘えたがりな犬人間族の少女ラランという。手強いライバル出現でミリアは内心穏やかではない!?
リンスク地方を巻き込んだ両巫女の対決に発展しかけるも、共にリクドーに見初められし最高の巫女同士、本当の『敵』を見誤りはしなかった!

リンスクの地に迫る三柱の悪神たち。宿敵ミヒャエルがついに一大侵攻を始め、その軍団をリクドーは迎え撃つ――!!
最古の少年神が征く神による神殺しの物語、第2弾!!
相変わらず庶民的なお姫様、というよりも商店街の看板娘みたいなお姫様である、ミリア。この元気いっぱいテンションあげあげなのがいいんですよね。もうちょいエンジンの回転落とせば、と心配になるくらいガンガン回しまくってるお姫様で、わりとチョロいというか乗せられやすいのが玉に瑕なんだけど、それもまた魅力なんですよねえ。これでアホの子だったり変な暴走するタイプだったりすると迷惑な子になってしまうのですが、ミリアの場合はガンガンぶん回すわりに視野も広くて肝心のところで立ち止まってグルっと周りを見渡して大事なところは見失わずに鋭く見極める子なので、その突っ走り方も安心して見ていられるのである。パワフルでありながら非常に聡明、というのだろう。
今回だって神様任せにせず、起こったかなり面倒な問題を自力で解決してるんですよね、この子。リクドーはどれほど親しみやすい存在であっても神である以上、その発言は絶対のものになってしまう。感情面でも論理面でも正しい結論だったとしても、上から与えられた結論には問答無用で抑え込まれて頭をさげなくてはいけなくなる。全部自分でなんとかしようとしていた時代のリクドーは、それで多分に嫌な思いをするに至って隠遁のような状態になってしまっていたわけで、今回の問題は再びその引き金になりかねなかったわけだ。それを、ミリアは人間だけの力で解決してしまった。神の権威を借りずに、である。リクドーにとって、それは自立した人格として自分と対等に付き合おうという姿勢なんですよね。それがどれほど好ましくあるか。新しい巫女であるラランからしても、快刀乱麻を断つように自分を取り巻く問題を解決してしまって自分を護ってくれたミリアは、敬愛すべき神様なリクドーを介在せずとも、ミリアだけで大好きなお姉さまになっちゃったわけで、この人誑し神誑しなお姫様め、という状況なんですよねこれ。
リクドーを最大のライバル視している敵サイドからしても、リクドーの動向をばかり注視していたら、全然眼中になかった人間のお姫様に策謀をひっくり返されてしまったわけで、まったく予想外だったわけですなあ。その仕掛け人たる月の女神は、自分のちょっかいを蹴っ飛ばしてしまったバイタリティが過剰にあふれているミリアのことをそりゃもう気に入ってしまったわけですから、リクドーが言うようにミリアという少女の性質は、神様からもモテモテになっちゃう類の快なんだろうなあ。クレスの顛末もあれ、リクドーがどうのというだけじゃなくて、ミリアにちょっかいかけたいというのが大きな動機になってそうだし。
まだちょっとミヒャエル陣営の動きが派手なわりに内実があんまりないというか、埋伏の毒にしてもそこで明かされるの? という効果がよくわからない段階での暴露で、ミリアの目立ち方に比べて神様の陣営同士のバチバチとした相対や、クレスやラランという他のヒロインの存在感の見せ方も若干弱かったかなあ、と思う部分もありました。ミリアのリクドーへの接し方も、そのパワフルなキャラのパワーの部分だけでぶん殴ってるような荒っぽさがちょっとどうか、というようなところもありましたし。取りも直さず巫女さん三人揃っての姦しさが、これから全体を盛り上げていってくれればいいのですが。

1巻感想

我が驍勇にふるえよ天地 8 ~アレクシス帝国興隆記~ ★★★★   



【我が驍勇にふるえよ天地 8 ~アレクシス帝国興隆記~】 あわむら赤光/卵の黄身 GA文庫

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アドモフ帝国、陥落! 遂にレオナートは一国を担う為政者となった。
その驚くべき報せは諸国へと轟き、パリディーダ帝国へと出征中だった"冷血皇子"キルクスの耳にも届く。
「今だ。俺の帝国を獲りにいく」

一方、レオ台頭の報せに揺れる首都クラーケンの混乱は、ありえざる客――南方帝国ガビロンの侵略軍を招き入れてしまう。
その四太子にして武の麒麟児、兵にも慕われるカトルシヴァが陽気に親征を開始する!

レオ、キルクス、カトルシヴァ、それぞれの想いを胸にした、三つ巴の戦いの行方や如何に――!?
魔法がなくても熱く燃え上がる痛快戦記ファンタジー、第8弾!!
仇敵アドモフ帝国を獲って、ひとまず次の戦い、本国クロード帝国の旧弊たる貴族たちとの決戦、国取りに向けた前哨戦か準備回かと思いきや、いや実際にほぼその通りだったんだけれど準備回というには激動すぎる巻でした。ここまで動くとはなあ。
アドモフ帝国の方はほぼそのままの形で併呑、という感じで。これほどの規模の軍組織、統治機構をほぼ損壊なく丸呑み出来た、というのは望外のことなのでしょう。普通、敵国に進行して降伏占領というプロセスをたどったなら、国土は荒廃して軍や統治機構はボロボロになってるもので、その復興にどれだけの時間と資金が必要になるか。王子とは言え、一地方領主に過ぎなかったレオナートにとって、滅びた一国そのものを丸抱えして復興させるには体力がいくら何でも足りなさすぎたでしょうし。
それを思うと、ウィラン皇帝との決戦へと至る電撃侵攻短期決戦は理想的な形で終わりましたし、非常に協力的な味方としてアドモフの大半が手に入った、というか麾下にはいったというのは凄い戦果だなあ、と。足引っ張りそうな要素は何気にウィラン皇帝が上手いこと事前に排除してくれてたわけですしねえ。
それにしても、メリジェーヌとレオナートの相性がこれほどよいとは思わなかった。ってか、レオくん、かなり満更じゃないのかこれ!? 実は熟女趣味だったのか! 亡き叔母上を敬愛し慕っていた影響が変なところで出まくっている。男嫌いでならしていたメリジェーヌも、レオナート相手だと打てば響くような噛み合う感じになってるんですよね。元々彼女の男嫌いって、生理的に男性がダメ、というよりも男尊女卑の概念に基づく男の傲慢さに対するもののようで、実直で勤勉な軍人たち相手には毛嫌いの様子は一切見せませんでしたし、政敵となった弟のウィランに対しても愛情は確かなものでしたし、ある意味堅物の塊みたいなレオナートは男らしくも変な男臭さは一切ない男なので相性いいのかもなあ。前巻のアランの企みを見た時はこれ空回りになるんじゃないか、とも思ったのですが意外とこれ行ってしまうのかしら。
いわゆる正ヒロインであるところのシェーラの反応が怖いところだったのですけれど、彼女も意外と言えば意外にも、でも考えてみれば当然なのか個人としての愛情と公人としての立場はくっきり分けているようで、むしろメリジェーヌとの婚姻に賛成にまわるとは。いや、賛成はすると思ったのですけれど、こんなサッパリ気負いも嫉妬もなくいいんじゃないですかー、的な軽い感じで受け入れるとは思わなかったんで。
ある意味強かですよねえ。この方面に関してはジュカの方がすごく不器用に乙女してるようなw
ただ、アリスティアはこの場合どうなるんだろう。ちょっとポディションというかどういう立ち位置になるのかわからなさすぎて、興味深い。

しかし、本国クロード帝国。腐敗しているとはわかっていたけれど、いくら何でもグダグダすぎやしないだろうか。ここまで酷いレベルの貴族の集まりだったとは。これ、普通にレオナートが反旗翻して戦っても、グズグズの豆腐を貫くくらいあっさりと倒せたような気がします。後が混沌として大変かもしれませんが。
現皇帝、レオの父親である傀儡帝についてはまさかこういう形の結末になってしまうとは。彼のレオナートには伝わらない本心については、色々と垣間見えるシーンがあったので驚きはなかったのですが、どういう形にしろレオナートに直接突きつける形で明らかになると思ってたので、まさかレオナートのまったくかかわらないところでこうなってしまうというのは……。
皇帝であった父の想いを、果たして息子が知ることがあるのでしょうか。国璽とも言える宝刀を託していることで伝わればいいのですが、知られることがなかったらそれはそれで悲しい。

結局、表紙にもあるように兄皇子キルクスと南方帝国との三つ巴の戦いになってきましたが、ラスボスって一体誰なんだろう。キルクス皇子は今の所勢力としてレオナートよりも小さいだけに対抗馬としてどうなんでしょうねえ。北方の遊牧騎馬民族を従えるような形になってますし、彼自身そういう気質でクロード帝国内を蹂躙してってますけれど、人材の質量ともにアドモフ取り込んだレオナートが圧倒的すぎて、むしろキルクスの方が挑戦者的な立ち位置に見えるんですよねえ。
ガビロンの方はさすがに手強そう。攻めてきた軍勢の指揮官であるカトルシヴァはレオナートやキルクスに比肩する形で歴史に残る、みたいな書き方をされているのだけれど、本国での立場を見ても彼自身の資質を見ても、先手大将であり個人的武勇の持ち主であってそれ以上ではないんですよね。
スケール的には後に控えている第三王子の方が凄そうなんだけれど。
でも、なんか島津四兄弟的な雰囲気ありますよね、ガビロンの四王子って。つおそう。
ラストの展開については、なんか妙にスポットあたってるから微妙に違和感はあったんですよね。ただ、そうと確信させるようなあからさまはなく、あくまで自然な様子を描いていたんで嫌な予感とまでは行ってなかったんで、なんかこうやられた感あります。バランスというか、埋め込み方が上手いというか。

シリーズ感想

我が驍勇にふるえよ天地 7 ~アレクシス帝国興隆記~ ★★★★☆  

我が驍勇にふるえよ天地7 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)

【我が驍勇にふるえよ天地 7 ~アレクシス帝国興隆記~】 あわむら赤光/卵の黄身 GA文庫

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アドモフ帝都を目指し進軍を続けるレオナート。
しかし東より迫る新たなる脅威――草原最強の騎馬軍団クンタイト・ダラウチ氏族襲来!

さらに若き皇帝ウィランがただひとり友と呼ぶ男、眠れる獅子ダノールが国家防衛のために目を覚ます。

だがレオナートは自覚していた。強敵との出会いに武者震いをする己を。
そしてこの一戦が歴史に深く刻みこまれるであろうことを――

「我ら、これより神話に入る!!」

あまねく神々よ照覧あれ、我が驍勇にふるえよ天地!
宿敵アドモフ帝国征服に挑むアレクシス軍飛躍の戦い、成るか?
魔法がないから熱く燃える痛快戦記、激闘の第7巻!
アドモス帝国とレオナート軍との最終決戦が繰り広げられるこの第七巻ですが、これって実質皇帝ウィラン三世の物語だったのではないでしょうか。
元帥皇女メリジェーヌの叛意が明らかになるまで、弟帝であるウィランは超保守派であり始祖であるレゴ帝に憧れ自らをそれになぞらえたいと思っているだけの特に特徴を感じさせない平凡な若い皇帝、という風情でした。おそらく、作中のキャラクターたちから見てもそれほど変わらない評価だったのでしょう。
しかし、実際の彼はそんな平凡とも力ない皇帝とも程遠い、大国の皇帝に相応しい器を持つ人物だったのです。その冴えは、メリジェーヌのクーデターを未然に防いだところから顕著に表に出るようになってきます。
別段、爪を隠していた、というわけでものでしょう。でもこの事件で覚醒した、というわけでもなさそうなんですよね。それまでにも片鱗はきちんと見せていたし、メリジェーヌの反乱が発覚したのは妹姫の密告という偶然の要素もあったわけですけれど、内向きの影働きにしっかりとした人材を雇っていたり、ダノールとの出会いから交流を得ていく段階で見識を高めていったりと、下地はきっちり整えられていたのです。
それでも、まさに彼が皇帝として見事な成長を見せ始めたのは、このレオナート軍の侵攻が始まってからの事ではないでしょうか。未曾有の国の危機が、彼に加速度的に皇帝としての自覚を……、そして多くの挫折が盲目的にレゴ帝の再現を目指していた硬直的な思考にひび割れを促し、誰かのモノマネではない唯一無二の、ヴィラン三世という皇帝像を自ら覚醒させていくのである。
その中で、若く経験も乏しいが故に重臣たちから軽く見られ、思う通りに国を動かせないもどかしさにのたうち回り、また自分の浅はかな考え方が国の行く末に動脈硬化を起こしつつあったことを理解して苦しみ、いわゆる王の孤独と呼ばれる孤立に苛まれながら、しかし目指すべき皇帝としての境地を自ら見出し、忠誠を通り越した真の友情を交わす友であるダノールと本当の意味で心通じ合わせ、意思と願いを通わせあい、王の孤独を癒やしてくれるその存在に救われ、皇帝として最良の幸せを感じ得る。
レオナート軍の国境越えからこっち、帝都への侵攻までの決して長くない期間に、この若き皇帝は王としての、皇帝としての様々な絶望と失望と希望と至高を味わうことになるのである。その中で、彼は歴代の皇帝の中でも類稀なる名君としての資質を、開花させていくこととなる。
いやもうほんとに、途中からどっちを応援して良いのか、と思い悩んでしまうほどに、このウィラン三世というキャラクターが輝きだしていくんですよね。さらに、ダノールとの友情もアドモフ帝国が追い詰められていくにつれて、どんどん盛り上がっていくし。お互いがお互いに殻を破り合い、皇帝として将帥として、そして友として覚醒していく様子はもうどっちが主人公なんだか、と。
ここまで来ると、メリジェーヌいらん事せんかったらアドモフ安泰もいいところだったのに、と思ってしまうんだけれど、何気にメリジェーヌもウィランの覚醒を目の当たりにして同じことを思ってしまったんじゃないのか、という反応を示してましたしね。
ただ、人種や嗜好におけるマイノリティの保護を打ち出しているメリジェーヌとしては、保守派なウィランの政治方針とはどうしても対立せざるを得なかった以上、こうなることは仕方なかったのか。
ウィランも姉の反乱とレオナートの逆侵攻がなければ、保守的な志向を変えてレゴ帝の真似事ではない自分の皇帝像を手に入れることは難しかっただろうし、このような覚醒も権力の掌握も長い長い時間をかけないと難しかっただろうから、どうしても収まるところには収まらなかったのだろう。
それでも、ここまで覚醒したウィラン皇帝、ダノールとのコンビという意味でもこのまま退場というのはもったいなさすぎるなあ、決してレオナートと相いれぬどころかむしろメリジェーヌよりも性格的には相性良さそうなんじゃないのか、このまま皇帝としてレオナートの盟友になってくれたほうがアドモフ軍が味方としてよく動いてくれるんじゃないか、とか思っちゃうところなのだけれど……。
長年の仇敵でもあり、首都を落とすまでの決着を得てしまった以上、指導者たるウィランをそのままというのは禍根が残るのは致し方ないところなのか。
でもだからこそ、このウィラン三世の降伏後の顛末というのは、意外であって痛快だったんですよ。
うわぁっ、そう来たかー! と。
頼りになる味方として残ってはくれなかったとしても、こういう終わり方をされてしまうと文句のつけようも不満もなんもないですわ。これもまた、在るべきところ、在るべき姿へと収まった、というものなのかもしれません。あまりにもしっくりと収まりすぎて、微笑が浮かんでしまったほどに。
ウィラン三世の歴史的評価も、なるほどあの人なら、他の人がいうのならともかくあの人の視点からするとまさにその通り、だったのでしょうし、ダノールの評価に関してもあの裏切り者の末裔という血筋、立場にずっと苛まれ続けてきた彼のことを思えば、もうこれ以上無い支援じゃないですか。
なにより、このウィラン三世はその友情の厚さこそが魅力でした。イイ男だったんじゃよ。

クンタイト騎兵、物凄いイキった登場してきたわりに、恐ろしくあっさりと降されてしまって、若干オイオイ、となってしまいましたけれど、あの弓騎兵、一兵科として捉えるとレイヴァーンが対処のしようがない、というように絶大な威力を発揮するんですよね。
それまで吸収して、となるとレオナート軍って凄まじい諸兵科連合と化しつつある。しかも、今回の顛末でレゴ戦術を扱うアドモフ軍まで取り込むことになったわけだし。アランくんなんか、レイヴァーン軍を率いることで、その動かし方学んじゃってますしね。

まさかこの段階でアドモフ帝国を下す、なんて急転直下なところまで転がるとは思ってなかっただけに、レオナート軍これからどうなるのか、どうするのか。そもそも、母国であるクロード帝国との関係置き去りにされたままなだけに、一地方軍にも関わらず敵国を倒しちゃって吸収しちゃうことになりそうなレイナート軍が、母国からどう扱われるのか。アドモフと比べても盛大に腐りまくってる地元なだけに、一波乱じゃ済まなさそう。アドモフ帝国をどうするのかの問題もありますし、なんかアランがえらいこと企んでましたしね。チョット待って、それシェーラさんが激おこになりません!? いや、軍師としては怒るどころか政略としてむしろ推奨して然るべきなんでしょうけれど、軍師としては埒外な陽キャラで軍全体のマスコットでもあるシェーラさんの場合、そんな自分を殺して主を立てるような陰な反応を素直にするのかしら。あと、レオナート自身がどう反応するかわからない!
ええい、いったいどうなるんだ!(ワクワク

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>22 ★★★★☆  

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 22 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>22】 あわむら赤光/ refeia GA文庫

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今や全世界の敵となった駿河安東を追い、天空に浮かぶ赤き月へと向かった諸葉たち。
サツキ、静乃、エドワード、シャルル、そして全ての仲間との絆が安東打倒の一手に繋がっていく。だが――
「ここからは俺も本気というだけよ」
現世で新たなる力さえ手にした安東はまさに死角なき絶対最強の王者として不遜に笑う。
そして、至高の武を結ぶ天上の戦いは、どんな前世でも到達しなかった究極の先へ――我が剣に宿れ、天地終焉の劫火!
≪剣聖×禁呪使い≫二つの前世を超え、灰村諸葉が未来を斬りひらく!!
超王道学園ソード&ソーサリィ、堂々たる決戦――これで終。
おぅおぅ、面白かったよう。昨今二十巻越え出来るシリーズなんて数えるほどしかないけれど、それに相応しい面白さを最後まで高止まりで維持し続けた傑作でありました。あとがきでも触れていますけれど、これほど長く続かなければ周りを固めるキャラクターをこれだけ掘り下げることは難しかったでしょうね。特に、本シリーズ影の主役である石動先輩ですよ。
とうとう、とうとうその頂きにまで至りましたか。もうめちゃくちゃかっこよくてめちゃめちゃ強えぇ。べらぼうじゃあないですか!!
当初はSクラスを目指しつつもついに手が届かないという儚い運命を背負ったキャラだったそうですけれど、彼の負けてもやられても倒れても諦めずに努力して努力して、ときに邪道に走りながらも闇落ちすることだけは決して無く、高潔な戦士のまま邁進し続けた結果、ストーリーとして自然な形でSクラスという頂きへと至る道をまさに自らの手で切り開いたという、思えば凄まじいキャラなんですよね。
絶対、途中で闇落ちすると思ってたもんなあ。実際、悪魔と契約するに等しい危うい真似はしているのですけれど、護る正義のために力を求めるという原則だけは絶対に見失わず、力を求めて自身の正義を見失うみたいな本末転倒な真似だけは決してしなかったわけで、そのあたりもこの人圧倒的に尊敬に値する人物だったんですよね。諸葉も最初から最後まで石動先輩への信頼は揺らがなかったですからね。
それだけに、最後の最後のあの圧倒的なまでのパフォーマンスはまさに二十巻を超えて待ちわびていただけに、まさに待ってましたの一言でした。
ラストは、クライマックスを飾るに相応しい総力戦。
一番印象的だったのはこの文章でした。
一人の人間としての孤独は、灰村諸葉として生を享けて以降、とっくに癒やされていたけれど。
一人の戦士としての孤高は、今この時に、本当の意味で癒やされたのだった。
自身でも述懐しているところですけれど、これまでずっと諸葉はその圧倒的な力を持って矢面に立ち続け、戦うときは常に最大戦力として身体を張り続けていたのですが、この最終決戦においてシャルルとエドワードという仲間とトリオを組むことで、むしろ自分がフォローに回って彼らの力を引き出す側に回って、自分の新たな可能性、そして自分もまた突出した一人として戦うよりも仲間とともに戦うことでもっともっと強くなれる、ということを、有無を言わさずまさに体感するのである。経験するのである。
ここでめちゃくちゃテンション上がってしまう諸葉が可愛くてねえ。
この主人公の諸葉は、ほんと最初からブレずに最強一途だったわけですけれど、その力に溺れない上から目線で歪まない、すごく可愛げと愛嬌のある好感持てる主人公で在り続けたのですけれど、それ故にシャルルとエドワードという一緒に戦えば相乗効果で力が増していく、本当の意味で対等の仲間を得てはしゃいでしまうところがもう可愛くて可愛くて、良かったねえと場を弁えずに微笑んでしまいました。そうお祝いしたくなってしまう主人公だったわけですよ。
最終決戦ということでほぼみんなに見せ場があったわけですけれど、こうしてみるとやはりフランス支部の魔術師団って世界各国の支部の中でも突出してたんだなあ、と実感させられてしまいます。よくストライカーズ、ある程度でも伍せたものです。イギリス支部があれだけ脆いとは思いませんでしたけれど。わりとAJさんのワンマンじゃね?これ。
アメリカ支部も、国土が広いのに比べてタレントの数が揃ってないですし、思えば壊滅する前のロシア支部、あれ本当に戦力揃ってたんだなあ。戦争スル気満々だったのもむべなるかな。
日本支部けっこう雑魚いね、と思ってたんだけれど各国の実情を見てみるとそこまで劣悪ではなかったのか、と少し思い直しました。
ルー・ヂーシンの顛末はまじで驚きましたけれど。石動先輩、マジぱねえっすわ。この腐れ外道をよくぞまあ……。
一方でレナードの旦那は敵だった頃から今にいたるまで一貫してイカシすぎてるよ、まじで。こうしてみると、シリーズ最強の敵だったのって間違いなく六翼会議だったのを実感させられます。その一角を討ち取った丈弦先輩もまじすげえっすわ。

エピローグ、いわばこの二十二巻の集大成な代物と言えるわけで果たしてどうするのかと思ったら、かなり大胆に分量を割いて、しかも1年後から5年後まで時系列を分けつつ描くという形でそれこそ「みんな」のその後を描いてくれたのは嬉しいものでした。これだけお付き合いしたわけですから、余すことなくみんなのその後、みたいですもんね。
石動先輩があの静乃のところの理事長の魔手に絡め取られてたのには驚きましたけれど。なんか政略結婚の鬼と化してるじゃないですか、理事長w でも、ただの野心家では収まらない、さすが静乃の係累と言わんばかりの計り知れない所も垣間見せてくれて、いやいや侮れんよこの人。なんだかんだと、あの灰村諸葉も静乃と結ばれたことで身内に引き込んだわけですしね。

……いやあ、まさかの春鹿さん最速とは、これはワラタ。現代においてそりゃ重婚ってのはどうやっても無理なのですけれど、敢えて結婚しないよー、という形で事実婚状態でみんなと結ばれる形にしたのは、時代の流れだなあと実感するところです。そうだよねー、結婚しなきゃ関係ないもんねー。まさか静乃とサツキではなく、最初に春鹿、次にレーシャに子供が生まれるというのは驚きましたけれど。マーヤが合法ロリの道をひた走ってるのも笑いましたし。
一方で、シャルルも年貢の納め時を迎えて、あれだけ結婚しないと宣言していたエドワードも、購入特典のSSで見事にAJさんにエドワード人生初の敗北を喫することになってるんですよね。ちゃんとバランスは取れてるわけだ。AJさん、ほんと良かったねえ良かったねえ。プロポーズされて、乙女らしい喜び方とは程遠いけど心底喜びまくってるのが否応なく実感できる喜び方しているアンジェラさん、可愛すぎでしょうこの人。
諸葉も、異性に対する愛情とか友人に対する友情とか除いて、純粋に人間として一番好き、めっちゃ好き、大好き!! てなってるのってアンジェラさんなんですよね。あの物凄いアンジェラ好きはなんなんだろう、と思うところだけれど、なんとなくわからないでもないw
熾場さんはというと、石動さんとは全く別のアプローチでダークヒーロー路線一直線。もうその背負ってる過去から凄惨な姿までアメコミのヒーローでもやれるんじゃないか、と。
ただ、孤高ではなくちゃんと支えてくれる仲間がいるのがこの人らしですよね。ってか、ネリーはもちろんとして、万理先生……これは行き遅れずに済んだ、と思って良いんですかね?w

なんにせよ、終わりましたねー。終わっちゃったなあ。感慨深いし、満足感もあるし、ちょっとした虚脱感もある。もろもろ、読んでる間ずっと楽しい思いに浸らせてくれる実にエンターテイメントしている作品でした。燃える滾る痛快な物語でした。まったくもってお疲れ様でした。
あー、面白かった♪

シリーズ感想

百神百年大戦 ★★★☆  

百神百年大戦 (GA文庫)

【百神百年大戦】 あわむら 赤光/かかげ GA文庫

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神VS神!天地鳴動バトルファンタジー開幕!

数多の神々が互いの覇を争い、力の源泉《龍脈》を巡って果てなき大戦を続ける世界、タイクーン。
そんな戦乱に関知せず、自堕落に暮らす神がいた。名をリクドー。少年の姿に"剣"の真名を持つ、最古の神の一柱。若き神々からは「中身、枯れたオッサン」と侮られるも、十大龍脈ヴェステル火山を根城とする彼の、本性を知る古き神々は言った。
「あの男こそ最も油断ならぬ腹黒狸」
そして今――リクドーは雌伏の時に別れを告げる!
立ちはだかるは軍神ミヒャエル。名だたる神々の殺戮者にして、大陸一つをも支配する宿敵の覇権を、いざ阻止せん!!
これは智勇以て天地鳴動の大戦に斬り込む、最古の少年神の最新神話。

ってかミリアさん、ちゃんとしたお姫様にも関わらず、世知辛いくらいの貧乏ぐらしすぎて庶民的を通り越して生活が「庶民!」なんですけど!
なまじ普通の民家じゃなくてちゃんとした王宮に住んでいるだけに、貧乏暮らしっぷりが堂に入ってしまってるんですよね。お姫様が王宮の壁の子供の落書きをバケツと雑巾引っさげて消してまわったり、料理する人の手が足りないときは自分で厨房に立って家族のごはん作ったり(そのまま厨房で食べる)。しかもその料理が豪快な野菜炒め、と完全に漢の料理。
神様が実在する世界であり、そりゃ当然神を奉る教会が権威を持ち、相対的に王家の価値は下がり、税金の徴収権は奪われ教会からのお小遣いで収入を賄う日々である。そりゃあ、王家も寂れる世界情勢。持ち込まれる稟議や陳情もそれ町内会でやるようなのじゃない? というものばかり。
お姫様たるミリアもまあやさぐれるわけである。神とか名乗る連中コノウラミハラサデオクベキカ、と怪気炎を上げるわけである。
それでも、このミリア姫、寂れ廃れた王家を復古させるために頑張るんですよね。でも、王家をどうのこうのする以前に、王族として……病気のために一線から退いている父王に代わり、あんまり頼っては来てくれないけれど、国民のために頑張るわけですよ。ご近所トラブルと変わらないような陳情だって、ちゃんと丁寧に聞いて親身になって解決しているのである。それも、わりとテキパキと適切かつスピーディーに解決してるんですよね。情と合理性の調和が取れた、統治者として理想的なそれを、えらくマイクロな規模ではあるもののちゃんと実践している。
何より、その庶民的を通り越して貧乏的ですらあることを、本人が自覚しているかはともかくとして、同じ目線の高さ……同じどころか若干低くね?と思うほどのところから、民を安んじるために走り回る王女様のことを、この年頃の娘さんにも関わらず何気に勝ち気を通り越して男前なんじゃない?と思わせてしまうカッコいいお姫様を、国民はこの上なく親しみ慕っているんですなあ。
それを間近で、押しかけ衛視となって身近で見続けた神様・リクドーが思わずときめいてしまうのもよくわかるほどの、それは普通のお姫様像からかけ離れているにも関わらず、理想的なプリンセス像なのである。神をも惚れさせる生き生きとした輝きというべきか。
可愛い。
そりゃ、神様としてもこの娘に認めてもらうためならば、とハッスルしますわなあ。
特に、人間との関係について他の神とは相容れない、しかし彼なりに確固とした理想像を持つリクドーとしては、その理想を体現するような彼女の存在はまさにクリティカルなのである。
まああれだけ、神=ゴキブリ扱いだったミリアもわりとあっさりとリクドーにコロリといってしまうのはチョロかろうチョロかろうと思ったけれど。他の神たちのえげつないまでの人間の扱いを見てしまうと、神にも関わらず人と同じ目線で生きてくれて、なおかつ普段の昼行灯といざというときのビシッとした在り方のギャップや、カッコよさと誠実さを見せられてしまったら、あれこいつイイ男じゃね?となってしまうのも無理からぬところ。普段のゆるいところも、母性本能くすぐる部分あるしなあ。
神同士のど派手なバトル、という観点だとまだ寝起きってところで宿敵となる軍神ミヒャエルとの手合わせも前哨戦ってところですし、これからが本番ってところですかなあ。
リクドーの神々の中でも油断のならない腹黒、という部分についてまだまだ真価が見えてきていないところですし、これからが本番ですか。
人間である巫女と寿命の無い神様との流れる時間の差異、という所も冒頭の先代巫女とのやり取りを見てても決して無視できなさそうな部分ですし、その辺も鑑みてシリーズ楽しみです。

あわむら赤光作品感想

我が驍勇にふるえよ天地 6 ~アレクシス帝国興隆記~ ★★★★   

我が驍勇にふるえよ天地6 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)

【我が驍勇にふるえよ天地 6 ~アレクシス帝国興隆記~】 あわむら 赤光/卵の黄身 GA文庫

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宿敵レイヴァーンとまさかの共同作戦を決断するレオナート。
いざ、アドモフ本土攻略へ進み出す!!

「貴軍に共闘を要請したい。謝礼はアドモフ一国、御身に差し上げる」
悲願のリント奪還を成したレオナートの下に怨敵レイヴァーンがもたらした衝撃の共同作戦。元帥皇女軍と名を改めたレイヴァーンは祖国を裏切りレオに助けを乞う。信念を貫こうとする彼の覚悟を知り、レオはこの最も憎むべき敵を迎え入れた。
行く手にはアドモフ帝国の大軍団。新皇帝ウィランが待ち受ける首都を目指し、レオは敵地を突き進む――。

いざ、アドモフ本土攻略へ!
因縁を超えて手を取った宿敵同士の同盟が歴史的戦術を凌駕する!!
痛快にして本格なるファンタジー戦記、激震の第6弾!!
皇帝ウィラン、なんか才気煥発って感じではないけれど、清廉な若さとやる気に満ちた熱血な好青年じゃないですか。そう、好青年なんですよね。姉に裏切られながらもまだ情を残していたり、その抜群の能力を活かす機会を与えられないし受け取ってもらえない親友に地団駄を踏んで悔しがったり。自分のために働け、って事じゃなくて、その親友が才能を発揮しない、世間に知らしめられないことそのものをもどかしく思い、悔しがってるってのは徹頭徹尾相手のことを思っての事なんですよね。
これで超保守派という政治スタンスでなければ、と思わないでもないのだけれど、始祖のレゴ帝と同じ偉業を残すのだ、と意気込んでいるウィランに立ち塞がっているのが、そのレゴの遺した体制であり、皇帝としての権力を満足に振るえない立場に立たされている、というのはずいぶんな皮肉なのではないだろうか。レゴに成るためにはレゴの遺したものを破壊しなければならない、という事実にいまだ彼は気づいていないように思える。あくまで現体制の延長線上に理想を体現しようとしているのがなあ。その食い違いさえなければ、元帥皇女が形成しようとしていた改革派と決して相容れないことはなかったようにも思えるのだけれど。
ぶっちゃけ、あのかなり趣味悪い姉さんよりも人間的には好ましいだけに……。
というか……ふーむ。
今回、元帥皇女派であるレイヴァーンが、皇姉の大逆罪による捕縛によってまさかの叛逆、レオナート軍と共同歩調を取る、というか実質従属するという体を取ってアドモフ本土決戦に一気に突入してしまったのに合わせて、一気にアドモフ側のキャラクターもたくさん登場してきたわけですけれど、みんなこうなんというか……一癖も二癖もある面々ばかりではあっても軍人としては気骨あるいっそ気持ちよいと言っていいくらいの面々なんですよね。
人間としてクズの割合がかなり多いレオナートの本国の貴族たちと比べると、それは顕著な値を示していて……むしろ、レオナートの性格からするとアドモフ人の民族性とか気質とかって相性ピッタリなんかじゃないか、と思うくらいで。それにレオナートもアドモフは敬愛するロザリアを喪い長年領土を占領されていた仇敵なんだけれど、その原因となったのは本国の貴族たちの後背からの卑劣な一刺しであって、アドモフとは正々堂々相争った相手という認識だし、占領されていたリントも取り戻してみれば荒れることもなく穏当に統治されていて、本拠の城なども以前と同じに保たれていたり、と敵国の文化を踏みにじったい蔑ろにしたりしない在り方が、アドモフの国風として根付いていることに大きな敬意を抱いてるんですよね。
本国に憎しみに近い感情を抱いているのと比べると、えらい違いなんですよね。
これは、話の展開次第では前巻のラスト並の大どんでん返しがあるんじゃないか、と期待してしまう。というか、あれこそがお膳立てというか前振りというか前例の構築なんじゃないだろうか。
元のレイヴァーンの軍勢を仮にとはいえアランが別働隊として率いることになって、お互いがお互いの戦い方に感化される、両者の戦い方がまだお互いに困惑しながらだけれどハイブリッドされていく萌芽みたいな展開になってるところなんぞ、まさにまさに。
あと、レイヴァーンってこうなってみると参謀長ポディションがえらいしっくり来るんだよなあ。元々レイヴァーン軍の幹部連中がレイヴァーン当人も含めて参謀集団って感じではあったんだけれど。意外と軍師であるシェーラたちとの住み分けもついてる雰囲気ですし。
いやこれ、アドモフ本土戦、ただ敵を倒していて首都を急襲する、というだけに収まらないナニカが待っていそうで、楽しみじゃあないですか。

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>21 ★★★★   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 21 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>21】 あわむら赤光/ refeia GA文庫

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「諸葉、あなたはもう独りじゃないのね」

駿河安東の軍勢に、熾場亮一党の思惑も絡み、終わりの来ない波状攻撃は、諸葉たちを確実に疲弊させていった。
亜鐘学園は崩壊し、仲間たちは次々と戦闘離脱を強いられた。
なお立ちはだかるは"ランクS"ヂーシンを素体とする、最強空前の魔神級。ついに秘密のヴェールを脱いだ、"不可視"田中太郎。
そして、駿河安東までもが自ら出陣を開始!
廃墟となった亜鐘学園を渦中に、総力戦の様相を呈す。諸葉が、エドワードが、シャルルが、剥き出しの全力を振り絞り、少女たちが負けじと続く。さらには、遥か遠き約束を守るため、"彼女"が現れて――。
そは、第三の伝説のプロローグ。
学園ソード&ソーサリィ、第21弾!!

表紙の女性、誰だろう誰だろうと読むまで首を傾げてたんですよね。アメリカ支部長はあんなに大人な容姿じゃないですし、AJともちょっと違う。雰囲気ちょっと違うけれど四門万里元校長?と考えていたら、まさかまさかの人物である。
それはわからんわーー!!
いや、いわゆる「賢者」についてはチラッと触れられてたことあったんだったけか。サー・エドワードに助言して白騎士機関立ち上げるのにも強力した人物だとかなんとか。いや殆ど覚えて無かったんだけれどもしあったとしてもそれほどちょびっとだけしか描写されてなかったはず。
しかしまあ、諸葉の叔母さんがなんか外国の人だというのを知った時は???が浮かびましたし、物語関係ないところで色々と逸話あるのかなあ、というぐらいに思ってたんですけれど、まさかここまでガッツリ絡んでくるとは。
ってかそもそも、駿河安東があれだけ昔から画策して動いていたのにも関わらず、白騎士機関が駿河に乗っ取られることもなく、彼の支配下に収まったのが日本支部だけ、というのは駿河の初動の速さからすると若干不思議ではあったんですよね。それだけ、サー・エドワードや他の支部長たちが出来物だったから、とも思ったのですけれど、初期目標としてセイヴァーの収拾とそれにまつわる組織の掌握を目論む相手に対して、しかもメタフィジカルを自由に生み出すことの出来る相手に対して、どれほど優秀であっても何も知らないエドワードたちが、最初期の戦略の差から言っても対抗し得るのか、という疑問は後からでも生じるわけで。
そうか、最初から白騎士機関そのものが、相手が駿河とはわからなくても、駿河の目的に対抗・阻止するために結成された組織だった、というのなら大いに納得である。
そもそもからして、最初から駿河と諸葉の戦いだったわけだ。それも、前前世からの因縁を前世の諸葉の介入によって今世の諸葉が生まれる前から対抗措置が準備されていたという。
それはそれとして、シャルルさんがはしゃぎすぎていて、誰が主役で誰がヒロインなんだかわからないんですけど!
この人がはしゃぎだすと、本人主役のつもりなのかもしれないけれど、むしろ全力でヒロイン枠になってしまう不思議。ツンデレも極めると男女の境を飛び越えるんですねえ。いやそれにしても、大暴れして活躍したり、盛大にやられたり、盛大に復活したり、とやかましいことこの上ない。
それでも、次々と集う仲間たちにはやっぱり胸熱くなるわけで。モモ先輩、エドワードやシャルルにすら瞠目させるほどの活躍をするようになちゃって。成長したなあ。出遅れた石動先輩は、真打登場の出番待ち、というのを信じておこう。
前前世も、前世も孤独に一人戦うばかりだった諸葉。前世の冥王の頃には右腕左腕がちゃんと居て、片割れの静乃だけではなく、自分の来世を託すだけの信頼と親愛を寄せる部下が出来ていただけ、孤高の騎士フラガよりも進捗していたのかもしれないけれど、それでも孤独の王だったシュウ・サウラを一番身近に見てきた「彼女」をして、心熱くするほど今世の諸葉の周りには多く人が居て、独りで戦うこと無く、みんなの力を借りて戦っているというのは、ほんと隙らしい隙ないですよね。殆ど単独でも突き抜けて強いはずなのに、それに甘んじず慢心せず、自分の周囲の人たちの成長を促し、敵であった者たちまで味方にして、一緒の舞台で戦っているのだから。独りで戦っていてすらも安定感半端ないのに、そこまでされたら揺るがしようがないじゃないですか。
傍に宇佐子が居たとしても、どうしても独りで戦わざるをえなかった熾場とはあまりに違うその有り様は、田中先生も思う所あっただろうなあ。
さて、ついに次でこのシリーズも最終巻ですか。今から大盛り上がりが予想できるが故に、実に楽しみです。

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>20 ★★★☆   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 20 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>20】 あわむら赤光/ refeia GA文庫

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完全崩壊にむかう亜鐘学園で、諸葉は六翼会議の首魁“炎王”熾場亮と再びの対峙を果たす。かつて学園で並ぶ者なき英雄として活躍し、諸葉以前にランクSへと到達した『もう一人の少年』。誰よりも冷静でありながら、誰よりも燃えさかる魂を宿した若き戦士は、いかにして悪魔になり果てたのか?そして今、灰村諸葉を前に練り上げた必勝策が狡猾な牙をむく…。むかいあう超最強VS超最強!!燃やせ。凍てよ。天地にせめぎあう炎と氷。在りし日の悔恨をくべ、竜をも呑みこむ火が燃えあがる!!語られざる物語が明らかとなる、学園ソード&ソーサリィ第20弾!!
ほぼ熾場視点から語られる第20巻。敵キャラ視点で話が進む、というのはかなり珍しいと思うんだけれど主人公の諸葉が熾場さん視点だと完全にラスボスなのはなんともはや。そもそも熾場さん、敵の首魁というには強キャラ感を自分から消しているような人だったから、やたら反則級の諸葉相手だとこう見えてしまうのもわからなくはない。そもそも、戦闘それ自体にはあまり意味を見出すタイプじゃないし。
それに、亜鐘学園黎明期の殉職者が出まくっている環境最悪の頃の悪戦苦闘を見せられると、熾場さんの自身への無力感が伝わってくるんですよね。どれほど力を蓄えても、守りたいものを守れなかった熾場さんにとって、自分の力を誇るなんてとても無理なんだろうし、それに比べて、犠牲者を出さずに仲間たちを守ってみせた諸葉への羨望や憧憬もよくわかる。
それにしても、マリさん校長先生、本当に苦労したんだなあ。黎明期の学園の状況というものは本当に酷いもので、教育方針も敵に対する戦術も何も確立されていないまま現れるメタフィジカルに対して無為に投入されて、次々に死んでいくまだ未熟な学生に過ぎない子どもたち。学園上層部は権力欲に取り憑かれてそもそも生徒を護るという発想もない。
ここからマリさん、ただの学生、ストライカーズの隊長という立場から学園の実権握って、諸葉が入学した頃にはあれだけの態勢を整えてみせてたんだから、本当に大したものである。しかも、それ以前に熾場さんと宇佐子の出奔という事態まであったんだし。
あのマリ校長のトレードマークである魔女の帽子の由来の話もあって、熾場さんと宇佐子が彼女にとってどれだけ大事な存在だったか、今更ながら納得させられる。そりゃあ、あの二人が目の前に現れたら、黙って攫われるとは言わないけれど、逆らう気力みたいなものはなくなってしまうかもしれない。まあそれだけではなく、彼らが完全に悪堕ちしていないという信頼もあったのだろうけれど。
自分を悪辣極まる悪魔と標榜する熾場さんだけれど、どれだけ自認していても人の良さが滲み出てしまってて無理があるんだよなあ。それに、宇佐子がそんな悪魔みたいな輩についていくはずがない、という信頼もありましたし。そんな彼らが、明らかに悪極まっている駿河の下に黙ってついている、というのが違和感ありましたけれど、そういう絡繰りを用意してたのか。田中先生もそっち側に加わっててのね。
田中先生の方は、どうしてインビジブルみたいなのになってたのか不思議ではあったんですよね。一族ぐるみなのかと思ってたら、田中息子の方は何も知らなかったみたいだし。
いや名前が田中太郎ってどれだけあからさまに偽名なんだ、ってそれでしたから古来からの暗殺者一族、みたいなノリなのかと思ってました。まさか、本名だったとは。
しかも、回想聞いてたら特別な事情や理由があったわけじゃなくて、結構なんとなくで今のポディションに収まっちゃってたんですねえこの人。で、後戻りできないところまで泥沼にハマってしまったと。元々善人以外のなにものでもないだけに、余計にしんどかっただろうなあ、この現状。
ともあれ、ここまで来て熾場さんが独自に動き出した、というのは展開としては興味深い。なんとなく、それやらかしてしまったんじゃ、という思いもあるのだけれど。宇佐子さん、ぽわぽわ癒し系キャラのくせに、めっさ幸薄そうなだけになおさらに。

シリーズ感想

我が驍勇にふるえよ天地 5 ~アレクシス帝国興隆記~ ★★★★   

我が驍勇にふるえよ天地5 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)

【我が驍勇にふるえよ天地 5 ~アレクシス帝国興隆記~】 あわむら赤光/卵の黄身 GA文庫

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リント攻防戦、最佳境へ!!

レイヴァーンの策により壊滅間際まで追い詰められたアレクシス軍。
だがレオナートは奪還した故郷リントを早くも発ち、戦況を打破する豪胆な一手へ向けて走りだしていた。
それは知謀シェーラが示す電撃作戦。不利が有利へ塗りかわり、敗走が大戦果への活路となる!
興奮必至のリント攻防戦、最佳境へ――!!

「急げ。次へ行く」
闇を往く百騎の死神。今宵、我らの英雄譚は終わらない――
終局まで読み切り、正着手を打ち続けるレイヴァーンの作り上げた、盤面全てを覆せ!
魔法がないから盛り上がる、痛快・本格ファンタジー戦記。両軍雌雄を決する第5弾!!
戦記モノって一種の群像劇だと思っているんだけれど、本作のアレクシス軍のキャラクターの多様性はなかなか類を見ない広さだわなあ。これだけ多士済々いるのも珍しいんじゃないだろうか。好漢が粒ぞろいに揃っているというタイプはよくあるんですけどね。お陰で味方陣営の人間模様を眺めているだけでも十分に面白いのだけれど、これが戦場での様子を描くとまた違った側面が出てきて、その上本作って味方が圧倒的に強いばかりではなく、敵側も常に強敵ばかりで一敗地に塗れるときもある。今回なんぞその極地であり、全軍崩壊敗走という憂き目にあうのだけれど、そういった局面だからこそ普段では見えてこない側面なんぞも見えてくるんですよね。
心弱ったジュカの捻くれまくったデレっぷりも、この一敗あってのことでしょう。ってかこの娘、予想以上にアランのこと大好きなんじゃないのこれ? 刺々しい語り口に誤魔化されそうになりますけれど、言ってること客観的に見てみると、めちゃめちゃ恥ずかしいことばっかり言ってないですか?
キスの約束反故にされたときのものすげえガッカリっぷりには笑ってしまいましたがな。シェーラに負けず劣らずの可愛らしさなんですけど。
一方でこの敗走で目立ったのがやはりアランのしぶとさでしょう。士気が崩壊して規律も何もかもがボロボロになった中でさえ、きっちりと軍をまとめて抵抗を続けられた、というだけで名将の器でしょう。このあたりは、同じく軍人としても騎士としても極めて有能であること疑いなしであるフェルナント卿が、戦う集団として指揮下の勢をまとめられなかったことでより引き立っている。いや、フェルナント卿もあの状況で部隊を四散させてないだけで大したもののはずなんですけどね。
最初は将としては特に特徴のない可もなく不可もなく、という塩梅に見えたアランだけれど、巻を重ねるごとにレオナート以外では唯一大軍を任せられる総司令官タイプ、というのが見事に浮き彫りになってきたんじゃないだろうか。
そんでもって、やっぱり一番派手なのがトラーメですよねえ。この忠義心の一切の無さは見事なくらいで、レオナートの方も彼のことはまず間違いなく嫌いなのに、この主従としては面白いほどの噛合いっぷりときたら。見てて一番面白いですわ、この人は。
今回の潰走は、機を見るに敏であり裏切るタイミングとしては最適であり、トラーメみたいなタイプがどう転ぶにしても一番暗躍して好き勝手する機会であったにも関わらず、ある意味一番彼が使い尽くされ働かされ倒す結果になってるわけですしねえ。
それで褒められて喜んでしまっていながら、自分で気づいていない姿ときたら。いやはや。
トラーメを要とした、全面潰走という絶体絶命のピンチからの起死回生の一手。これは、そりゃ後世に渡って軍記物なんかの語り草になるわなあ。なんというか、絵面がもう伝説的じゃないですか。
逆に、あそこまで全面的に勝っていながら、ヤバいとみるやそれまで多くを費やし積み重ねてついに切り出した一手を、まったく拘らずに放り出して致死になりかねない一撃をあっさりかわしてみせたレイヴァーンの徹底した合理性は、空恐ろしさしか感じませんでした。戦場の帥としては極みに至る一人なんじゃないだろうか。
だからこそ、その無謬の合理性をついてみせたシェーラの見ている景色の高さに背筋を震わされるのですが。
ジュカのそれが戦争芸術とすれば、レイヴァーンのそれは鉄血の合理性。そしてシェーラのそれは、血も涙も夢も何もない非情な戦争の現実に、【フォークロア】という浪漫と未来と希望で彩ってみせる演出家。煽動者であり語り部でありコンダクターというわけだ。レイヴァーンも、自ら状況を作り出せる戦略家だけれど、彼の場合それは自分の手が及ぶ範囲なんですよね。シェーラのそれは、ステージが一つ上側に違うと言っていい。そりゃ、前線の将帥の一人にすぎないレイヴァーンからすると想像つかんかもしれんなあ。
彼の手の長さの限界というのは、ラストシーンにも及んでいて、だからこそのあの度肝を抜かれるような仰天の展開に繋がっているのでしょうけれど、あれはまさかまさかだわなあ。
予想外過ぎて、もうどう転ぶにせよワクワクするしか無い展開ですがな。どうすんだこれ!

シリーズ感想

とっとと

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 19 ★★★★  

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 19 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 19】 あわむら赤光/ refeia GA文庫

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「我が総戦力を以って亜鐘学園へ侵攻。捕獲対象は――嵐城サツキ」
日本支部長・駿河安東が発した一言が亜鐘学園に波乱を呼ぶ。
日本各地から名だたる熟練救世主が集結、若き才能たちを蹂躙せんと無慈悲な総攻撃が仕掛けられる。その中にはあの邪仙・ペイリーの姿も……

「竜を戮すとは、こういうこと」
諸葉を殺すためだけに研ぎすませた千の罠の前に、果たして勝機は!?

さらにサツキと諸葉の前世を知る者たちも現れ、亜鐘学園は完全消滅へのカウントダウンを刻み始める。

これは、守るための戦い――。
正義の意味を問う超王道学園ソード&ソーサリィ、壮絶なる第19弾!!
総戦力って、嘘偽りなしに日本支部長としての戦力だけじゃなく、黒幕としての戦力も根こそぎ投じた総戦力だったのか。
ただ、絶望度ということになると前回の六翼会議による襲撃の方がヤバかった気がする。何しろ、前回は諸葉が不在だった上に、攻めてきた相手がSランクも含めたAランクでも逸脱した部類の連中ばかりで、戦力的にも圧倒的だったもんなあ。
今回に関しては、卒業した先輩たちが拘束され不在だったとはいえ、諸葉はちゃんと居るし、何より残った連中についてもレベルの上がり方が凄いことになってる途中でしたし。それぞれ、石動先輩にしても、サツキや静乃、春鹿、レーシャとみんな停滞や壁を突破してブレイクスルーしたあと、でしたからねえ。日本支部の各地の支部長がこれ、完全に当て馬扱い。みんながどれだけ成長したかの試金石、というのがなんともはや。
まあ日本支部自体、他の国と比べるとレベル低い感じではあったんですよねえ。各支部長の描写を見ていても、フランス支部やロシア支部の練達と比べると、セイバーとしての意識の甘さが伺えましたし。
その辺、才能が云々というよりも駿河安東という人物が、他の六頭領と比べると組織を率いるという姿勢において、あんまり力を尽くしてこなかった様子が伺えますしね。他の支部は、六頭領への尊崇や敬意、恐怖でもなんでも、彼らの導き、カリスマ性、リーダーシップによって強くなることに非常に貪欲であるのが見て取れたのに対して、日本支部は全体的に現状維持以上の意識に乏しい感じでしたし。その分、亜鐘学園のストライカーズがその強さへの貪欲さをひとえに抱え込んでいた節があります。もちろん、支部長の中には一廉の人物もいたのかもしれませんけれど、全体のリーダーでない以上どうしたって影響力は限定的になっていまうからなあ。
その意味では、亜鐘学園に校長として残った石動先輩は、最良の選択をしたのでしょう。今の彼は、組織に埋没するよりもリーダーとして影響力を広げ続けるほうが明らかに良い風になってますし。
と、今なら他の国の支部の精鋭たちとも互角に渡り合えるような亜鐘学園実戦部隊が、今更日本支部相手にどうこう出来るわけがなかったわけで、あれ? あたりが鈍いなあ……と思ってたら案の定彼らは前座にすぎず……。
って? あれ? 暗黒騎士ってそんな扱いでいいの!?
いや、彼らって能力的にもキャラクター的にも十分敵の幹部クラスとして存在感があったんですが、わりと簡単に……。そもそも、彼らの存在ってどういうカラクリになっているかまだ不明な部分も多いので、あれでおしまいというわけではないのかもしれないけれど。
それにしても、石動先輩がどうにも頼もしすぎる。ひたすら相手が強すぎて敗戦を繰り返してきた彼ですけれど、そのたびに努力して強くなり、しかし戦う相手はさらに格上、という辛すぎる立場だったのですが、今回の防衛戦でMVPだったのは間違いなく石動先輩だったのでしょう。だって、殆ど一人で戦線を支えて、サツキたち他の生徒たちが太刀打ち出来なかった連中を、圧倒していたのですから。
それでも、良い所を持って行かれてしまうのは彼の宿命なのかもしれませんが。いやもう、殆どSランクに両足突っ込んでる気がするんだけれどなあ。ジーシン相手くらいなら、もう勝てるくらいになっていてるんじゃないだろうか。
そんでもって、久々のシャルル復活。もっと劇的なパワーアップをして帰ってくるのかと思ったら、実のところこのひとも石動先輩と同じく努力型だったんですよね、そう言えば。何気に強くなり方が玄人趣味すぎて、派手なのか何なのかよくわからないあたり、非常にシャルルらしいというか、ギャンギャンうるさい先鋭すぎる性格と裏腹に能力の方はすげえ地道で繊細なのよねえ、というのを改めて実感させられたのでした。

と、ここからさらに本命襲来かー。やべえ、少数精鋭による襲撃もえげつなかったけれど、波がどんどん強くなる波状攻撃は、ジワジワと焦燥が募ってくる。確実に味方側が消耗してきたところに、真打ち登場だもんなあ。
ある意味、この巻は全部が前座だった、と言っていいかもしれない。これは、次の盛り上がりがどれほどになるか、非常に期待してしまう。

シリーズ感想
 
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(TOブックス)
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(GCN文庫)
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11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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11月18日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガブックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(エンターブレイン)
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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