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まおゆう魔王勇者 5.あの丘の向こうに5   

まおゆう魔王勇者 5あの丘の向こうに 特装版

【まおゆう魔王勇者 5.あの丘の向こうに】  橙乃ままれ/toi8 エンターブレイン

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希望か?絶望か?――ついに最終決戦へ

歪んだ欲望で、崩壊寸前の世界。
勇者の気迫、魔王の葛藤、女騎士の啖呵、女魔法使いの覚悟、メイド姉の祈り――戦いの終結を探り、それぞれの思いが交錯する!!

魔王と勇者が手を取り合った新世紀の冒険譚、堂々完結!!
それぞれが見た「丘の向こう」とは――!?
ヤバイなあ、もう読んでいる途中からなんだか泣けてきてしまいました。一度、ウェブ上でのまとめサイトで読んでいたにも関わらず、クライマックスでの盛り上がりは再び自分の心を揺さぶるに充分だったという事なのでしょう。魔王と勇者、たった二人の特異点が背負ってきた世界の行く末を、この物語は名も無き個人であったはずの一人ひとりが自立していくことによって、世界はそこに暮らす人々一人ひとりがそれぞれに背負っていくものへと変化させていきました。その到達点とも言うべき事象が、メイド姉の勇者宣言であり、青年商人の魔王宣言だったのです。この世に唯一無二だった魔王と勇者が、それこそこの世に無数に現れだしたのです。それも、与えられた使命ではなく、自覚を持って自ら担い手として名乗り出ることで、その責務を負わんとして。
これって、所謂神からの人間の自立であり、近代の夜明けなんですよね。第一巻の表紙に書き記されたキャッチコピーにはこうありました。
魔王と勇者が手を携えて、暗黒の中世に火を灯す物語
この文句は、正真正銘この物語の本質を表現していたのでしょう。この作品の凄いところは、単なる未来技術の導入による時代の革新を描いたものではなく、人間の意識の革命を一つの箱庭をモデルケースとして具体的な筋道を辿らせ、わずか数年という短く勢いあるスパンでダイナミックに描ききってしまったところにあるのではないでしょうか。なぜ、この作品が熱狂的に支持されたのか。それを読み解くキーワードは、多分その辺にあるんじゃないでしょうか。此処には、人の歴史の罪と罰、そして間違いと破綻が数多く書き連ねられたその上で、それでも人間は、人間たちが積み上げてきた歴史は素晴らしいもので、肯定されるに相応しいものなのだという確信が座している。
過ちは乗り越えられる。停滞は動かせる。閉塞は打ち破れる。未来は、広がっている。丘の向こうの未知なる世界に、人はきっと辿りつける。そんな肯定が、一杯一杯詰まっている、夢物語じゃない夢の様な物語なのだ。
泣けて来るのも、当然でしょう?

最終的にとてもたくさんのキャラクターが登場することになった本作ですけれど、好きなキャラはと問われたなら、やっぱり女騎士だと答えちゃいますねえ。作中でも随一の男前で、それと同時に随一のイイ女でした。ラストバトルに挿し込まれたイラストには、正直身震いさせられました。toi8さんいい仕事しすぎ。
火竜公女と青年商人のコンビをはじめ、実に心くすぐられるキャラクター揃いで、それぞれについて語り出したらきりがないくらい。今後続くであろう漫画などの展開で、その辺は存分に堪能するとしましょう。
こうして世に出、読みきる事が出来たことに感謝を捧げたい、稀代の傑作でした。ありがとう。

橙乃ままれ作品感想

Landreaall 19巻 限定版5   

Landreaall 19巻 限定版 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

【Landreaall 19巻 限定版】 おがきちか IDコミックス ZERO-SUMコミックス

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ついに女神杯が始まった。
順調に(?)勝っていくDXだったが、試合が進みレベルが上がっていく中で弱気になるDX。
今回の試合のためにお世話になった人たちに失礼じゃない負け方ができればいいとフィルに告げる。
はたしてDXの考えどおりに馬上槍試合は進むのか――?
ウマーー!! 馬すげえ、ランドリの世界だと馬は馬でもぜんぜん違うのか!!
てっきり、レディ・アプリだけが特別賢いのかと思ってましたが、表紙裏のランドリの世界での馬の解説を見て納得。この世界の馬は家畜じゃなく、人間と対等の社会性を持った知的生命体だったのです。人間以外では珍しい「信仰」を持つ生き物、というだけでも驚き、というか何か価値観からひっくり返ってしまう設定なんだが(他に犬やらクジラやらがそうなんだそうな)、人間のもとで働いている馬たちは飼われているのではなく、長期契約で雇われている、つまり就職しているというという事実には唖然としたものだけれど、そうと理解してから作中で描かれている馬と人間たちとの接し方を見るとなるほど、色々と腑に落ちる。
おっもしろいなあ!!
馬ひとつとっても、こんな設定があるなんて。このランドリの世界観って一般的なファンタジーと似ているようで、ところどころ根底から価値観違うところがあるんで、面白くって仕方がない。見たことない世界ですよ。

さて、その特性から馬と相対すると何故か馬のほうがカチンコチンに固まってしまうDX。お陰で今までろくに馬に乗ったことがなかった彼が、レディ・アプリのお陰で何とか馬上槍試合の予選は突破できたものの、本戦は最初から諦め気味。というところから19巻再開。ちょっと前回までの細かいところを忘れていたので、冒頭の「お兄が薄くなってる!?」というイオンの台詞の意味がわかんなくて戸惑ったのですが、読み進めて理解した。薄くなるってそういう意味かw 兎に角レディ・アプリにすべて任せて、DX自身は槍を構えた添え物として徹しているため、自己が薄くなってる、という意味だったんですな。このレディ・アプリがまた達人なんですよね。いや、達馬とでも言うべきか。見る人が見ればわかっているみたいだけれど、足さばきとか間合いの図り方とか、馬上のDXの動かし方とか、凄いのなんの。とは言え、本戦に入り上位に入るメンバーは練達揃い。幾らレディアプリが凄脚だとは言え、馬上のDXが素人な以上そうそう勝ち残れるわけがないのだが……悲喜交交ありまして、何故かDXが勝ち進むことにw
わりとこのへん、勝つ側のDXよりも、負ける側のレヴィとかワイアットの方がそれぞれの話の主役になってるんですけどね。DX、ある意味引き立て役(笑
それでも、結果として決勝に残ってしまったわけで……当人、勝ち進む気なかったから何も考えておらず直前まで忘れていた花冠の乙女の選出をいきなり迫られることになってしまうのでした。
と、ここで私も完璧に忘れていた、ディアに関する相談をしたためたリドへの手紙が、回りまわって今更のようにリドの手元に届き、しかもなぜかその手紙、竜葵を経由していて、DXへの返信がしたためられているという始末。
まさか、まさかあの相談の応えを竜葵が返してくるなんて。うおおおい、それってアリなのか!? しかも、内容がまたとんでもなくって、大爆笑ですよ、大爆笑。いやこれ、笑ってイイところなのか分からない場面なんだが、あれは笑うだろう。だって竜葵兄さんですよ!?
しかし……DXってばディアのこと、あんなふうに捉えてたのか。なるほどなあ。
それが、このタイミングで。わざわざこのタイミングで、ってのがまさに運命だ。言い切るのは難しいけれど、DXのこんな顔、久しぶりに見た気がする。真面目な、真剣な表情はこれまでもあったかもしれないけれど、あんな風にじっと誰かの面差しを見つめる表情は。
DX,本気だ。


それとは別に、王様の話も進行中。スレイファン卿とDXの対話はこれも興味深かったなあ。言うなれば、この国の大人たちの多くは、次の世代の子供達に王国の将来の選択を託したのだ。あくまで託したのであって、丸投げじゃないのが味噌。子供たちが選んだ道を、この大人たちはこぞって支え手助けしようとてぐすねひいて待っている。待ち望んでいる。待ち侘びている。
期待と希望に胸を膨らませて。そう、膨らませて心躍らせるくらい、次の世代を担う若者たちの姿が輝いてるんだろうなあ。きっと、継承権を放棄した時はまだ不安がいっぱいで、諦めも半分で、だからこそ荒んでいたんだろうけれど。王政反対派だというスレイファン卿から、あんな言葉を投げかけられた日にはね。一つ間違えれば背負わされる重荷になりそうなものだけれど、この大人たちはちゃんと一緒に背負ってくれる覚悟だもんな。頼もしいよ。
頑張れよー、フィル。

さあ、盛り上がりに盛り上がった所で次回への引き。毎度毎度、次の巻が楽しみすぎますってば、このイケズ。

おがきちか作品感想

子ひつじは迷わない うつるひつじが4ひき4   

子ひつじは迷わない  うつるひつじが4ひき (角川スニーカー文庫)

【子ひつじは迷わない うつるひつじが4ひき】 玩具堂/籠目 角川スニーカー文庫

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“なるたま”こと成田真一郎と佐々原は、会長命令で一緒に泊まり込みアルバイトにやってきた。そこは“万鏡館”という名前とは裏腹に一切鏡がなく、中も外も全て白と黒で統一された不思議な世界。なぜかそこから仙波も現れ―!?館の主人である美少女が「鏡を見る」ことを禁じたワケは?そして彼女の不可解な言動に隠された一族の秘密とは!!抜け出せない館で次第に疑心暗鬼に陥る子ひつじたちを救うため、仙波が館の謎に挑む。
子ひつじ、まさかの長編館もの。学園日常ミステリーという体裁だっただけに、思い切った舞台転換だった。その甲斐あってか、思いの外じっくりとなるたまと三人のヒロインズ、仙波、佐々原、岬先輩との人間関係の距離感を掘り下げられたのではなかろうか。と言っても、一方的に外側から彼ら彼女らの関係を観察して捉えていく、という作業ではなく、あくまで彼女たち自身がなるたまと自分との関係や距離感を改めて見つめ直し、どこか感覚的、なんとなくで維持してきたものについて、自ら直視し考え、自覚的に彼との関係は今どうなっているのか、自分はどうしたいのか、これからどうしていくべきなんだろう、という具体的な見地や将来の方向性を見出す形として整えていたのは、この【子ひつじは迷わない】らしいアプローチだなあ、と感心させられた。
尤も、肝心のなるたまはその辺りまったく意識もしていないのはご愁傷様、というべきか何なのか。この子はもうちょっと周りの女の子に自分がどう見られているのかについて意識すべきだよね。深く考えていないものだから、例えば岬会長にあんな冗談かませちゃうわけで……。
なるたま、絶対自分がどれだけ特大の地雷踏みぬいたか、わかってないんだろうなあ。今回、佐々原と仙波の二人を中心に描かれていたので、岬姉については一先脇に置かれたままだったのですが、何気に一番とんでもない変化を迎えてしまったのって岬姉なんじゃないのかな。
あの一件以降のらしくない大人しさを鑑みると、ねえ。これまで、会長はなるたまを弟分としてしか見ていなくて、少なくとも異性としては全く意識していなかったはず。なるたまがエラいことになった時にめちゃくちゃ動揺してキャラ壊れまくってたのを思い返すと、無意識ではどうだったかはわからないけれど。
でも、あのなるたまの仕出かした一件は、岬姉に自分と彼が単なる男と女である事を意識させるには十分だったわけで……直後の無反応にすら見えた放心や、なるたまの言動へのマジギレ、その後の妙に距離を置いて伺うような、考えこむような様子を見てると……ねえ?
これ、本当に次回以降、とんでもない事になるかも。

と、竹田岬関係のお楽しみは次回以降に取っておくとして、今回の目玉は「ついに仙波、デレる!?」である……ねーよ!!
いや、まあうん、相対的に見たらこれ……デレた? と言っても良いのかもしれないけれど、あまりに微細すぎるよ!! ってか、これでデレって、これまでどんだけなるたま嫌われ排斥されてたんだよ、という話ですよね。
極端に言うと、仙波がやっと自分がなるたまに影響されてちょっと変わりつつ在る、というのと彼のケースによっての有用性を認めただけで、なるたまのことを意識したわけでも、彼と打ち解けたわけでも、彼に好意を抱いたわけでも見なおしたわけでもないという……やっぱり厳しいな、おい!
今更ながら、どうしてこんなキツい娘につきまとうのか、なるたまのM度が気になるところ。

一方で、佐々原の方はもうちょっと自分となるたまとの関係性の名付けについて深く悩んでいた様子。誰かさんが余計なことを言ったお陰で、万鏡館という精神を揺さぶる特殊な環境も相まって、なにやら思考が悪い方へ悪い方へと流れてしまう始末。あの子からしたら、別に意地悪なんかじゃなくてちゃんと考えなさいよ、という誠実な忠告だったのかもしれないけれど、タイミングが悪かったんだろうな。
それに、結果としてなんとなく維持してきたなるたまとの距離感について、自分を見つめ直してちゃんと答えを導き出そうとできたみたいだし。結論が出たかは、ちょっと判断しづらいですけどね。でも、あそこまで考えとらえてしまった以上、今まで通り、とはいかないんだろうなあ。佐々原ってあれでヘタレたところはなく、それどころか思い立ったら動いてしまうような行動力もあるので、気づいた以上ちゃんと確かめなくては気が済まない形になりそうな……。

会長の件もあるし、これ次回結構激しく動くのか、もしかして?

連続殺人事件が起こるわけでも、誰かの悪事が暴かれて破滅したりするわけでも、最後に館が炎上してしまうわけでもないのだけれど、人間の心理を一枚一枚薄皮をひっぺがし、別のところにはりつけるみたいな微細でとろけるような没頭感を得られる不思議なノリの話で、なんだかんだと普段と雰囲気違うけれど面白かったな。

会長がおとなしかった分、余計に怪しい雰囲気で進んだ館編でしたが、その分ひとりで妹メイドことサトウが孤軍奮闘で賑やかしてくれて、楽しかった。仙波との仲も思ったよりも悪くなかったんだな。というか、仙波が意外と妹に甘かったのには驚いた。わりと厳しい、辛辣なイメージあったので。サトウもまあ、お姉ちゃん好き好きだのう。

1巻 2巻 3巻感想

Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ! 45   

Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ! (4) (角川コミックス・エース 200-7)

【Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ! 4】 

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クラスカード回収任務前任者のマッシブ系魔術師ともなんとか引き分け、無事平穏な日常がようやく戻ってきた!
イリヤを待っているのはラブ・オア・カオス?
そして"8枚目”をめぐるラストバトルの幕があがる――。
ヤバいヤバイヤバイヤバイっ、激烈に面白れぇ!!
ドタバタギャグにコメディにアクションにバトルに至るまですべてが怒涛のラッシュラッシュラッシュという凄まじい勢い。止まったら死ぬと言わんばかりの息もつかせぬ激走っぷり。正直、落ち着け!!
前回凄まじいばかりの強キャラっぷりを見せつけてくれたバゼットさんが、安心のダメットさんに。やっぱりダメだこの人!! 封印指定執行者ぉ。とりあえず敵としても日常パートの添えキャラとしても、近くに要られると大迷惑だ、というかなんか嫌だ(笑
みんなで海に遊びに行き、イリヤにクロにミユの三人の誕生会。普通なら賑やかで楽しげな心温まる日常パートになるものなのに……どうしてこうなった。なぜ楽しいひとときが常に惨劇と化すんだ!?
とりあえず17話と18話の扉絵の差が酷すぎる、ってか普通に大事故だよそれw
何気に龍子の母ちゃんが外国人ということが発覚して驚愕、美人で聡明そうな母上なのに娘はなぜあんなお馬鹿に育つ!?

そしてバトルパートは、本来七枚しか無いはずのサーバントクラスカードの謎の八枚目の回収編。もうね、バゼットさんの強キャラっぷりが想像を絶していた点について。3巻でイリヤたちを文字通り力づくでねじ伏せた猛攻っぷりは、こんなの絶対に敵わないと心折れてしまうような絶望っぷりで、嫌というほど思い知ったつもりだったのですが……この人まじパねえ!!
サーバントとも渡り合えるというのは比喩じゃなくて、この人本気でサーバント並なんじゃないのか!?
そして、相変わらず図抜けたスピード感と迫力のアクション描写。毎回毎回ここまで息を呑むような凄まじいアクション見せられると、溜まったもんじゃないよなあ。凄いよ、本当に凄い。デタラメと言っていいくらい激烈に燃えてしまうじゃないかぃ。
ゼロの次はこれがアニメ化ですよね!? ですよね!?

8番目のカードは二枚目の「アーチャー」。そして、彼が最後に使ったあの神話の剣は嫌というほど見覚えのある、アレ。
アイリの発言といい、ようやくこのプリズマ☆イリヤの世界観が置かれている状況が見えてきた感じ? ただ、なぜサーバントがカード化しているのか。ミユの過去の背景が徐々に情報開示されているものの、未だに推測が難しいなど、謎は深まるばかり。特に美遊については原作の設定からでは仮説も立てられないんだよなあ。ルヴィアはある程度でも推測がついているんだろうか。
一呼吸置くことも出来ず、またぞろとんでもない引きで終わってしまった第四巻。うははは、そこで引っ張るなんて凶悪すぎ!! 早く、早く次の巻をっ!

番外編はセラが主役。というか、本編やこの番外編を見ていると、士郎のメインヒロインって実はセラなんじゃないのか? と思う時が多々ある。何気に士郎と一番頻繁に絡んでるもんなあ。今回なんて裸で抱きついてるしwなにより、ルヴィアと凛は明らかに噛ませだしなっ!
って、前回の感想見たら巻末に同じ事書いてるよ、自分w

ひろやまひろし作品感想

パーフェクトフレンド5   

パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫 の 1-5)

【パーフェクトフレンド】 野崎まど メディアワークス文庫

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「友達」は果たして本当に必要か?
少女たちが贈る《友情》ミステリ!!


 周りのみんなより、ちょっとだけ頭がよい小学四年生の理桜。担任の千里子先生からも一目置かれている彼女は、ある日、不登校の少女「さなか」の家を訪ねるようにお願いをされる。能天気少女のややや(注:「ややや」で名前)や、引っ込み思案の柊子とともに理桜は彼女の家に向かうが、姿を現したさなかは、なんと早々に大学での勉学を身につけ、学校に行く価値を感じていない超・早熟天才少女であった。そんな彼女に理桜は、学校と、そこで作る友達がいかに大切であるかということを説くのだったが……果たしてその結末は!?
 野まどが放つ異色ミステリ、まさかの小学校編登場!


Marvelous!!

くはははははっ、久々にキタコレっ。これまでの作品も面白いのばかりだったんだけれど、ここまでクリティカルヒットされたのはデビュー作の【[映]アムリタ】以来。もう、滅茶苦茶好き、大好き。完全にやられた、最高。
友情をテーマにしたすこぶるハートフルで素敵極まりない物語にも関わらず、同時にこれ以上無い怪作なのである。世の人はもっと「野崎まど」という作家の名前を知っておいた方がいい。稀有な逸材ですよ、この人は。
周りのみんなより、ちょっとだけ頭がよい、という主人公の理桜。てっきり賢しらに早熟なだけの秀才ちゃんなのかと思ったらどうしてどうして。この子の頭の良さというのは勉強が出来る、という方向性じゃないんですよね。勿論、勉学も優秀でそちらの方も同世代の子に比べて図抜けて秀でているのですが、彼女が周りの子よりも頭が良くて大人っぽいのは精神が成熟しているから。もしかしたら、その辺のいい年をした大人よりも余程頭が良くて大人なのかもしれない。肝心なときに垣間見せる理桜の思慮深さや聡明さは、理桜という少女の器の大きさを実感させてくれる。幾らオトナっぽいとは言っても、普段は歳相応の子供なのにね。短気で自己顕示欲があって結構狷介なところもあって表裏のある狡猾でずる賢いところもあって。ほんと、こまっしゃくれた子なんですよ。それが嫌な子という評価にならないのは、この子は絶対に自分の悪意を許さない子だからなのでしょう。そして、感情豊かで喜怒哀楽を隠さないのに、本当に大事な場面では感情を制御しきり、優しい理性に身を任せるから。
理桜は天才なんかじゃありません。正しく、秀才です。でもこの秀才は、秀才だからこそ天才を包み込むほどの抱擁力を持ったのです。この世のすべてを解き明かす本物の天才ですら掌の中に収めてしまう大きさを、ただ一歩一歩地面を歩いて歩いて、その結果ちょっと頭が良くて人よりも物事がよく見える目を獲得するに至った秀才だからこそ、彼女は備えたのです。
秀才と天才だと、どうしても秀才は天才には絶対に叶わないものとして比べられ、評価され、上下に区別して扱われてしまうケースが多いけれど、そういう対立軸で語れるものでも同じ評価基準で語れるものでもないんですよね。
これまでデビュー作から幾多の「本物の天才」を見事に描ききってきた野崎まど作品だからこそ、理桜という「秀才」の存在感はインパクトすら感じたのだ。この巻にも、その世界の真理の狭間を読み解き顕現させてしまう狂気めいた「本物の天才」が登場するにも関わらず、だ。その小さな天才「さなか」を秀才である「理桜」が圧倒するのである。圧倒しただけじゃない、天才という同い年の幼い小学生だけじゃない、きっと大人も含めて殆どの人間が受け入れられないだろう異物を、何一つ損なわせる事無く丸ごと受け入れて見せたのである。
天才を天才のまま受容し、だが彼女が天才であるがゆえに致命的に欠損していた部分を完璧に補い、いや何も手を下すこと無く「さなか」に自分で自覚させたのだ。
この子、理桜は本当に凄い。物凄い子だ。というか、もう滅茶苦茶カッコイイのだ。惚れ惚れする、いっそ惚れそうだ。

と、ここまでで素直に終わっていたら、天才「さなか」を加えた四人の女の子のでこぼこコンビのコミカルな漫才まじりの笑い声に満ちた日常の繰り返しの末に、「さなか」が理桜とやややと柊子の本当の友だちになる。そんなハートフルで微笑ましい友情物語で幕引きだっただろうに……だがしかし、これを書いたのは野崎まどであることを忘れてはいけなかったのだ。

もう、愕然。愕然である。茫然自失である。そこからの展開はもう、ぶん投げるブン投げる。虚脱して魂を引きぬかれたまま、「彼女」と同じように言われるがまま動くしか無い。喪失の痛みに麻痺してしまった心のままに、「彼女」の縋るような行動を追うしか無い。
何が起こったのか、何が起こってしまったのか。あまりに突拍子もない、幻想的のような詐欺を働かれたような顛末に茫然自失が再びである。上塗りである。二度重ねである。
我に返った時にはすべてが終わっていて、解を紐とくにはあまりにも夢心地の出来事に混乱しながらも、絞りきられそうだった心は安堵にまみれて、とにかくよかった、そんな気分だったんですよね。
だからこそ、さなかの語る仮定を聞くのにもあんまり身が入らず、さなか自身も自分が導きだした仮定には納得が言っていない様子だし、結局世の中不思議なこともあるもんだ、でもまあさなかも、あの事件によって自分に足りなかったもの、心豊かにしてくれるものについて身を切るような痛みと共に思い知ったわけで、並べて丸く上手く収まったのだから、ハッピーエンドだし良かった良かった。
そんなホワホワした気分でエピローグを読んでたら、最後の最後に――。

ハンマーで頭ぶん殴られたような衝撃走る!!

う、うわあああああああああっっ!!?

は、犯人はおまえかーーーー!!! あんただったのかーーー!!

いや、いやいやいや、これは驚いた。驚いたなんてもんじゃない、仰天だよ。驚愕だよ。

そ、そうか、そうだったのか。だから、道理で、「さなか」の天然のそれとは違う、急所を狙って穿つような切れ味タップリのボケ倒しに既視感があったわけだ。
でも、え? ちょっと待って。
この人が犯人だったとすると、これ本当に「ハートフル」な物語だったの? 友達って素晴らしいという結論に至る素敵なお話だったの!? 
だって、この人がそんな真っ当な目的の為に動くの? というか、そういうまともな人間らしい発想が存在している人なの? いかん、もしかして何か裏の思惑があるんじゃないかと勘ぐってしまう。前にとんでもない目に合わされているだけに、恐怖感すらぞわぞわと湧いてきた。

とはいえ。
犯人にどんな思惑があろうとも、理桜とさなかの間に芽生えた友情には偽りなどないはず。これが、友達って素晴らしい、という素敵な素敵な友達の作り方のお話であったことには間違いない。
これは心温まる、声を立てて笑ってしまうような最高の友情物語だったのだ。染み入るまでに堪能させていただきました。
特にトム最高。あれはもう笑った笑った。さなか、もうボケのプロですよ。参った。

野崎まど作品感想

電撃4コマ コレクション 家族ゲーム 84   

電撃4コマ コレクション 家族ゲーム(8) (電撃コミックスEX)

【電撃4コマ コレクション 家族ゲーム 8】 鈴城芹 電撃コミックスEX

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ちょっ、表紙の紫杏がエラいことになってるんだが。ヤンデレを通り越してゾンビ化してるぞ!?(笑
本巻の見どころはやはり、憂い顔の西浦さんと恋する乙女全開の真言。そして幸せそうな尚武・日陽子カップルでしょう。特に尚武・日陽子カップルは付き合うまでの猶予期間を解消するように、同棲から半年で結婚というスピード決着。まあ同棲とは言っても二人暮らしではなく温水家に同居という形だったので、ほとんどもう嫁入り状態でしたからねえ。きっちり身を正したというところでしょうか。プロポーズイベントもなく、いきなり日陽子さんの実家に挨拶言ってたしなあ。しかし、まだ社会人になって間もないというのに結婚してしまうとは思ってなかった。結婚一番近いカップルだとは思ってたけれど、同棲始めたの7巻なのに。さすがにちゃんとした式はやらずに婚姻届だけみたいだけれど。
もっと由寿が拗ねるかするかと思ったら、反応が鈍くなってる。これは本当に兄離れしちゃったのかなあ。兄貴にキス解禁されても別に嬉しくもなさそうだったし。これはちょっと寂しいかも。と思ってたら、何か男の趣味がヤバい方向に!? 待て待て待て、年上だけならまだしもオヤジ臭のする中年萌えって、それならまだ実の兄貴に懸想してた方がマシだ!! その方向性はいかん。変な親父に引っかかりそうで、マジで怖い。
一方でついに恋に目覚めた真言と西浦さんとの関係は、遠慮と負い目が重なって完全に捻れて思いすれ違い停滞中。真言、ちゃんと自分が西浦さんを振った形になってしまっている事はわかってたのか。それが負い目になって、西浦さんに素直にアタックできず、切なさと寂しさに打ちのめされる日々。一方の西浦さんは完全に目が絶たれたと思い込んでいるので、変に夢を見ずに身近なお兄さんという関係に徹し、真言ときっちり距離を取った関係を維持しはじめる。真言への未練に心を引き裂かれそうになりながら。
もうふたりとも両思いなのに、こんなに苦しむことになるなんて。こりゃあ、想いが通じたときの反動が怖いくらいだぞ。悟と葵の方ももう何年もお預けを食らっているので、解禁になったときはエラいことになりそうですけどね。現段階ですら、葵も真言も発情期入ってるような有様なのに。それでも、葵の方はまだ禁欲的というか、倫理に厳しいタイプみたいなので、悟も大変だよなあ。ほっぺにキスくらいいいじゃない。
時系列は正月終わって年も明け、真言たち三年生は受験本番。多分、真言と西浦さんの停滞は大学に入ってまで続かないと思うので、次巻あたりが勝負なんだろうなあ。下手すると、母親の二の舞になりかねんのが楽しみすぎるw

鈴城芹作品感想
真言

カンピオーネ! 10.槍の戦神5   

カンピオーネ! 10 槍の戦神 (カンピオーネ! シリーズ)

【カンピオーネ! 10.槍の戦神】 丈月城/シコルスキー スーパーダッシュ文庫 

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神殺しは呪縛される――! 護堂が囚われた呪いとは? 黒き貴公子との対決の時が迫る!!

アテナとの最期の別れを経て、湖の騎士・ランスロットとの再戦に備える護堂たち。
イギリスの地に降り立った彼らは、白き姫君の力を借り、かの騎士の正体を突き止めようとする…。しかし、護堂は謎の女性との邂逅をきっかけに、神祖・グィネヴィアと共闘を強いられることに。当然、彼女を仇敵と定める神殺し・黒王子アレクとの対立が避けられるはずもなく、神殺しが相撃つ激闘が始まってしまう!
一方、護堂と引き離されたエリカやリリアナたちは…!?
ほんっっっっとうに大迷惑な存在だよな、カンピオーネってのは(笑
今までも散々散々言われ続けていた事だけれど、今回改めて再認識させられた。
人類にとってカンピオーネは「まつろわぬ神」に対抗できる唯一の存在だけれど、それを踏まえてなお大迷惑極まりない。生きた人間でありながらその実、台風だとか地震だとかと同じ自然災害と大して変わらない。
この【カンピオーネ!】なる作品。一応現代ファンタジーや伝奇ものというカテゴリーに当てはめられるんだろうけれど、最近これ「怪獣映画」なんじゃないだろうかと思うようになってきたくらいである。
さて、サブタイトルの槍の戦神。一体誰を指すのか発売前から色々と想像を巡らしていた訳ですが、ここは素直に前巻の続きからランスロット卿だった模様なのですが、その円卓の騎士たるランスロット卿の正体こそ驚愕でした。ヘロドトスさん、マジグッドジョブ。まさか、全身鎧の完全武装の騎兵というカテゴリーをそんな風に関連付けてひっくり返してくるとは。これは発想の勝利だし、何よりも面白い、実に面白い。ランスロットの正体に纏わる古代ローマ帝国と騎馬民族との和合の歴史も、歴史好きとしては非常に興味深いものだった。
私なんぞはこのカンピオーネ!の神話や伝説、歴史の薀蓄こそが何よりの楽しみだし、作品の醍醐味だと思ってるんだが、案外とこのあたり嫌い人も多いのかな。これがなけりゃカンピオーネ!じゃないし、「まつろわぬ神」という敵とのバトルにも「身」が無くなってしまうと思うんだけどなあ。
このカンピオーネに出てくる神様は、名前だけの存在じゃなくて神話に纏わる歴史そのものなのである。故にこそ、歴史が失われれば残された名前の意味も変わってきてしまう。
アーサー王を復活させようとした神祖グネヴィアの失敗も、護堂が戦ったランスロットが次に受肉したとしてもそれはアーサー王伝説の円卓の騎士ランスロットであり、護堂が知っているランスロットはもう二度と現れない、というのもそういう事。「まつろわぬ神」って、言うなれば情報によって構成された存在と言ってもいいのかもしれないな。

しかし、アーサー王が既に6年も前に復活していて、アレクたちによって討伐されていたとは驚いた! 「最後の王」がアーサー王でないのは間違いないと確信はしていたけれど、まさか既に「最後の王」ではないアーサーが現出していたという形で以て完全無欠に否定されるとは思わなかった。同時に、その「最後の王」がアーサー王伝説の元となった人物であったのも語られている。
そのアーサー王伝説がグネヴィアの肝いりで意図的に流布されたもの、という話はこれ面白かったなあ。アーサー王伝説を流行らせた著者たちがみんなとなるあの組織のメンバーだった、というのも実に興味深い。とは言え、仕込みが上手く行きすぎて大失敗につながってしまうあたり、グネヴィアって策謀家というわりにポカが多いよなあ。アレクは彼女の欠点についてえらく具体的に論っていたけれど、なるほどなあ。

黒王子アレクと護堂の相性の悪さは、近親憎悪でしたか。お互いに自分だけはカンピオーネ!の中で常識人だと思っている者同士。そりゃあ、なんかカチンと来るわなあ。アレクも、ちょっとはまともな人だと思ってたら、言ってる事もやってる事も無茶苦茶もいいところで、自分の非常識さを全く省みていないあたりは護堂よりも酷いと思うぞ。護堂はまあ、それなりに自分の破壊神っぷりには自覚あるし、なるべく被害を出すまいと心がけているし。それが実ったこともないし、そもそも肝心な場面になったら心がけなんてさっぱり忘れていますけど。
ヴォヴァンは魔王そのものだし、翠蓮姉さんはあの通りの人だし、ドニはまるっきりのバカだし……まだ名前しか登場していない一人を除くと、アレクも護堂もこの有様だとすると、一番まだマシなのってやっぱりジョン・スミス・プルートーになるのかなあ。あの人、残念な人だし変人だしプルートーになりきっている時はもうどうしたもんだろう、というタイプの厄介な人だけれど、それでも中の人は基本的に護堂よりも常識人だもんなあ。少なくとも、正体を見破られない程度には一般人として溶け込んでいるのはその証左でしょう。
ただ、プルートーがメインで描かれる事があったら、やっぱりこいつも所詮カンピオーネだ、という事になってしまいそうだけれど。
……「最後の王」はいわゆるカンピオーネを殲滅するための存在、なんだそうだけれど、この魔王どもがやられてしまうイメージが一人足りとも浮かばないんだが。無理だろう、これ。


粗筋にもあるように、今回の護堂さんは敵にある呪いをかけられてしまたことで、普段は頚木によってつながれているはずの本性が、完全にオープン状態に。
建前に縛られなくなった護堂さんの無敵っぷりが……あまりにもあまりにも。
やばい、護堂さんノリノリだ。プレイボーイっぷりが留まるところを知らないぜ。これ、性格を変えられているわけじゃなく、あくまでしがらみを取り払っただけ。これこそが素なのだというけれど……やっぱすげえぜ護堂さん。
むしろ、女性関係よりも闘争本能の方が凄いことになってた事のほうがインパクトはあったかも。本当の護堂さんはこんなにも好戦的だったのか。
女性を魅了してやまない護堂さんだけれど、面白いことに他にちゃんと意中の相手がいる女性は護堂さんには反応しないんですよね。アリスや、アレクの部下のアリシアなんかを見てるとよくわかる。ああ、そう言えばアレクってあれ自覚ないけれど、だいぶアリスの事気にかけてるんだなあ。グネヴィアに不快を通り越して殺意を抱いている理由の大きな一つが、どうやらアリスに纏わることだったのをポロッと漏らしてたし。アリスはアリスで、アレクのこと天敵だかみたいな事言っているけれど、護堂にアレクについて話している時なんて、「うちのアレクは」ってノリですもんねえ。二人してツンツンしてないでもうちょっとちゃんとイチャイチャすればいいのに。アリスも、護堂さんの陣営は進んでるなー、などと感心してないで。
と話を戻すと、護堂さんのプレイボーイっぷりはたとえ神様だろうと女であれば通じてしまうのですが、女神が護堂にベタボレになると「彼と死力を尽くして思う存分心ゆくまで戦いたい!」になるのはなんか凄い。さすが「まつろわぬ神」「戦神」というべきか。「好敵手」と書いて「親友」と読む、というのはよくあるけれど、カンピオーネのこれはさしずめ「好敵手」と書いて「愛人」と読む、とでも言うのか。
そんな二人の戦いはとかく痛快、楽しげに笑いながら存分に全力を振るい死力を尽くしあう闘争は燃える燃える。もう無茶苦茶熱い戦いだった。
敵でありながら誰よりも心通わせあった「運命」。なればこそ、アテナやこの女神の権能は護堂に受け継いで欲しかったなあ。どうやら作者は護堂の権能をウルスラグナと天叢雲に限定するつもりのようだけれど。まだウルスラグナの権能と天叢雲との合わせ技は見せていないパターンがいくつもあるし、今回「剣」の使い方にアレンジを加えたようにさらなる進化を秘めているようで、ネタ切れという事はまずなさそうではあるのだけれど。

ラストには、まさかの「彼女」の復活!? うおおおっ、これはまったくのサプライズ。とは言え、以前とは多分存在としては「異なる」もののはずで、護堂との関係も果たして前と同じ形になるのか。いずれにしても、彼女がまた出てきてくれるとは嬉しい限りだ。

次回は一旦本編を中止して、再び過去編へ。そう、カンピオーネになりたての護堂とメルカルト神との決着編であり、エリカが本格的にデレることになるエピソード2である。エリカが以前から「自慢」している、護堂に純潔が奪われた、というエピソードも多分ここのはずなんですよね。色々な意味で楽しみすぎる。

シリーズ感想

ベン・トー 7.5 箸休め 〜Wolves, be ambitious!〜4   

ベン・トー 7.5  箸休め 〜Wolves, be ambitious!〜 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ベン・トー 7.5 箸休め 〜Wolves, be ambitious!〜】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋たちHP(ハーフプライサー)同好会は、槍水の妹・茉莉花のおねだりに端を発した一泊二日の旅行に行くことに! 季節外れの観光地に向かう一同だったが、途中で予期せぬアクシデントに遭ってしまう。そこへかつて出会ったあいつが現れ…!?
その他に、佐藤たちの旅行のウラで静かに起きた著莪とその友人たちの日常編や、ウェブ掲載された短編、雑誌連載で大反響をよんだ「間食版」も書き下ろし分を加えて収録! もはや短編集ではないボリューム感満点でお届けする、メガ盛りの箸休め、庶民派シリアスギャグアクション、狼が大志を抱く7.5巻!!

【1章 3.5倍】
サラリーマンレッド再び!! 冒頭、恒例の佐藤の中学時代のクラスメイトの武勇伝に腹を抱えて大爆笑し、体も温まったところでいざ、旅行編である。って、初っ端から掴みが濃すぎるよ、このシリーズ。延々と中学時代や佐藤家の過去のエピソード書き綴るだけでも死ぬほど面白い作品が出来てしまいそうだ。こんだけ腹が痛くなるほど笑える話ってそうそう無いぞ。
さて、旅行編においてどうやらサラリーマンレッドは準レギュラー化してしまったらしい。こいつ、そろそろ会社クビになるんじゃないのか? 色々と思い込みの激しい人ではあるが、決して悪い人ではないしこんな報われない人生を歩んでしまう人じゃないと思うんだが、世の中だいたいこのたぐいの人は七転八倒して面白い方へと転げ落ちていくのである。ご愁傷さま。
面白いのが、普段の半額弁当争奪戦が格闘強奪戦であるのに対し、旅行時における駅弁の場合は電車の発車時間を睨んだ障害物競走的なタイムアタックになるところ。普段の狼同士の戦いとはかなり毛色が違っている。前回の妨害ありの競争と違って、今回は文字通りのタイムアタック。それも事前に入念に作戦を練った上での協力プレイ。新鮮さの中に見ごたえもあって、面白かった。さらば、サラリーマンレッド!!
「うなぎ茶漬け弁当」ウマそうだなあ。めちゃくちゃ美味そうだなあ……。

旅館では白梅さんの若奥様というか若女将らしい上品な佇まいが拝めて大満足。このシリーズ、女性陣の数は多いけれど本気で佐藤とカップルになれそうなのって、著莪を除けばこの白梅だけのような気がする。まあ、白梅の場合佐藤にお似合うというよりも、賢妻としてどんな男だろうと見事に立てつつ完全に首根っこ抑えて理想的な家庭を作ってしまいそうなスペックの高さの持ち主なのだろう。
まさにパーフェクト嫁、なのだが残念ながら真性の百合であるために男全般に興味皆無なのだ。なんというスペックの無駄!!

【間食版】
ジャンプSQの漫画連載にオマケとして掲載されていたという掌編。さり気なく今までで初めて見る、槍水先輩の一年生時の記録である。【魔導士】こと金城との先輩後輩関係。いったいどんな風なのだろうとは気になっていたのだけれど、これホントに懐いてたんだなあ。慕っている、というのを通り越して子犬みたいに懐いている。色々と構ってもらえるのが嬉しくて仕方ない、という金城と一緒にスーパーに居る時間が楽しくて仕方ない、というのがひしひしと伝わってくる。金城は金城で、仙のこと可愛くて仕方なかったんだなあ。ただ、まだこの時点では仲のよい先輩後輩、にとどまってたんだろか。烏頭がまだ仙のこと目の敵にしてないもんね。まだ仲が拗れていない頃の烏頭先輩は、あれはあれで仙のことかわいがってたんだなあ。確かに、この頃の仙って年上から無条件で可愛がられるような懐っこさがあるんですよね。なるほど、妹の茉莉花はこの頃の仙とよく似てるわ。
過去のHP部がどんな雰囲気だったのか、今までずっと謎のベールに覆い隠されていたのでちょっとすっきりした。でも、烏頭の一件以降にさらにこのHP部壊れていくんだよなあ。ほんとに何があったんだろう。


【モモとカズラと】
紫華先輩ェ……。
HP部とは関係ない、槍水先輩がいつも学校でつるんでいる二人の友人、木之下桃と紫華鬘の人となり、なんというかこいつらもか……。別に半額弁当を狙い打つ狼たちだけが変人じゃないんだよな、この作品。押し並べて変人ばかりなんだ、うん。
カズラさん、途中までは極普通の人に見えてたのに。というか本人は全然そんなつもりないんですよね。なのに、行動は明らかに偏執的なストーカー。いや、むしろ佐藤にイカレて頭がそれだけになってムチャクチャやらかす、というのよりも、逆に何の執着もないにも関わらずナチュラルにああいう行動を取ってしまうほうが怖くないか!?


【天使の贈り物】
……表沙汰にならない勢いで既に犠牲者出てるんじゃないか? 偶然死体が発見できない形でどうにかなってしまって、たまたま捜索願が出されないように状況が転がってしまって、とか。あれで死人が出ていない方が不思議だ。【死神】あせび。著莪もよくまあ付き合っていられるものである。そのへんわりと素直に尊敬する。あれ、よっぽどこまめにお札仕入れてるんだろうし。忘れたら本気で死にかねんもんなあ。
なんというか、神仏のご利益ってほんとにあるんだなあ、と実感できるお話である。


【男子寮と従姉とバレンタインデー】
ごちそうさまです。
なにこの普通にチョコあげたりもらったりするよりも濃厚な話は。著莪と佐藤の関係ってむしろチョコやり取りする方が野暮なんじゃないのか!? これは矢部くんや神田くんが佐藤を追い出すのも無理ないわ。
佐藤って絶対恋人出来ても、著莪を優先するよな、これ。しかも、何の葛藤も疑問も抱かず。こりゃあかんは。鉄板とかいう以前に既に終了してる。


【ある日の著莪あやめ】
あのサッパリとして快活な性格から、普通に男友達も居て仲良く遊んでいるだろうなあ、とは思っていたけれど、仲良くしているからこそ、佐藤との接し方との明確な違いがくっきりと浮き出てくるわけで。
あれだけベタベタと佐藤と男女の垣根を平然と乗り越えるようなスキンシップを繰り返し、自分の財布のように佐藤にたかり倒している著莪が、実は他人とはちゃんとキッパリ一線を画して、体には軽いスキンシップだろうと一切触れさせず、ちょっとした食べ物飲み物の奢りすらやり取りしようといない事にはなかなか驚かされた。軽そうに見えて、むしろめちゃくちゃ身持ち固いのか、著莪って!!
しかも、マジ告白されて断った上で理想の男のタイプを聞かれた時の著莪が動転したまま答えてしまった、恐らくは何も繕わない素の理想像。これはもう、明らかに特定の誰かを指している一言で……あー、咄嗟に出ちゃったかー。こりゃ、著莪当人もびっくりだ。びっくりだけど、納得だろうなー。もう鉄板とか本命とかどころの話じゃなく、好きとか愛してるとか通り越してるよね。難しいことなんて何もない、ややこしい事になんて陥らない。もうどうしようもないわ、これは。
幼なじみスキーとして、今まで色んなカップル嗜んできましたけど、この二人だけはホンマ凄いわ。こんな凄い幼なじみ見たことないわー。堪能させていただきました、はい。

そういえば、久々に狼として戦う著莪を見たのだけれど、かなりの強豪になってるんじゃないですか、これ。二階堂と咄嗟に組んだとはいえ、あのオルトロス相手にイイ勝負して弁当もちゃんとゲットしているあたり。あんまり著莪が佐藤と同じ戦場で戦ってるシーン、最近は特に見ないので、本編ではそっちも久々に見たいものである。

にしても、短篇集というのは厚い、濃い、と特濃すぎる内容で。どこが一体箸休めだ!!
満足!

シリーズ感想

狼と香辛料 17 Eplogue5   

狼と香辛料 17 (電撃文庫 は 8-17)

【狼と香辛料 17 Eplogue】 支倉凍砂/文倉十 電撃文庫

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ホロとロレンスの旅、感動の結末とは──
シリーズついに最終巻が登場!


『太陽の金貨』事件から数年。元羊飼いのノーラと女商人エーブは、ホロからの手紙を手に、北へと向かっていた。旅の途中、錬金術師ディアナも同じ馬車に乗り込んできて──。
 果たしてホロとロレンスは、幸せであり続ける物語を紡ぐことが出来たのか? 第16巻の後日譚を描く、ファン必読の書き下ろし中編のほか、電撃文庫MAGAZINEに掲載された短編3編も収録。
 剣も魔法も登場しないファンタジーとして多くの読者に愛された賢狼と行商人の旅の物語が、今巻でついに完結! 二人の旅の結末を、ぜひその目で見届けて下さい。

おめでとう おめでとう

お幸せに 末永くお幸せにっ


完全無欠のハッピーエンド。将来に渡ってもかけらの不安も残さない、本当に本当の「めでたしめでたし」。
長く付き合うことの出来た作品が終わってしまう時は、もう彼らの姿を見られないのかと寂しくなるものなのだけれど、不思議とこの【狼と香辛料】は寂しいと感じることがなかった。ホロとロレンス、この二人のコンビが大好きだったからこそ、二人がこのような最良の最終回を迎えることが出来たという事への嬉しさと幸福感で胸がいっぱいで、寂しいと感じる隙間も残っていないのだ。ただただ、彼らへの祝福ばかりが湧き上がってくる。
おめでとう お幸せに
思えば、ホロとロレンスがこんな幸せな旅路を手に入れることができるなんて、本編がはじまった当初は思いもよらなかった。いや、はじまった当初どころか、それこそ巻数が二桁を数えるまで二人の旅は別れを以て終わるのだと思っていた。それが決定的に変わったのが十巻の老羊との出会いであり、14巻で再会したエルサの強烈な指摘だったのでしょう。物語が実質16巻で終わったことを思えば、本当にギリギリまで二人の関係は何重にも予防線が敷かれたものだったと言える。それだけ、ホロとロレンスの関係というのは不安要素が大きく、悲観的にならざるを得ないものだったのかもしれない。この16という巻数は、理性的で賢明で思慮深く故にこそ臆病だった二人が、勇気を得るために必要な時間だったのだろう。ただ好きで好きでたまらなくていつまでも一緒に居たいという気持ちを一番の最優先にするだけの勇気を。
勿論、抜け目のない二人である。その気持を気持ちだけの空回りとしないだけの担保と見通しを手に入れてからこその勇気だったわけだけれど。

それにしても、見事なくらいのおしどり夫婦っぷりでした。夫婦の仲の秘訣って、旦那さんの献身さなんだよなあ。むしろ旅をしている時よりもロレンスはホロを甘やかすようになっているようにすら見えます。ホロはホロでロレンスの献身に甘え切るでもなく、むしろ旅をしていた頃よりも我侭言わなくなってるんじゃないかなあ。お互いにぴったりと寄り添っているにも関わらず、寄り掛からずに支えあっている様子はまさに仲睦まじい夫婦そのもの。
コルが戻ってきてくれて、二人を支えてくれてたのも嬉しかったなあ。
個人的にロレンスとホロが定住して店を開くとしても、物を売り買いする商家というのはいまいちイメージがまとまらなかったんですよね。それだと、どうしてもホロとロレンスが幸せに過ごしているイメージが出てこない。まあ大店のやり手女将と大旦那、という構図は眼に浮かぶのだけれど、ちょっと日々が忙しなさすぎて、二人の時間もちゃんと取れなさそうという感じがして。
その点、ロレンスが選んだ湯屋、温泉旅館というのは完全に盲点でした。なるほど、これなら人ならざる身のホロが長きに渡って、それこそロレンスが去った後ですらずっと関わり続ける事ができそうじゃないですか。何より、ホロとロレンス二人が一緒になって切り盛りできる。あの冬の街のうら寂しい宿屋などよりもよほど暖かく賑やかな雰囲気の中で。幸せな日々が続いていくのが容易に思い浮かべることが出来る。
旅の中で出会った友人たちを、笑顔で迎える事が出来る。
まさに、最良の選択だったのではないでしょうか。
そして、ラストのとびっきりのサプライズ。ああもう、最高だ。思いつく限り、最高のハッピーエンド。

まさにライトノベルという分野に燦然と輝く「名作」であり「大作」だったと思います。素晴らしい作品を読ませていただいて、ありがとうございました。

って、短編の感想とか、前半の過去の登場女性陣が集まってのガールズトークについてなど書けずに話が終わってしまったw
これ、短編は巻の前の方に纏めておいて欲しかったよなあ。どれも短いながらも素晴らしく、またあとがきで作者が触れているように、どこか終わりを感じさせる内容で、前座としても適切だったと思いますし。
にしても、エーブはロレンスの事結構本気だったんだな。いや、確かにそういう素振りをはっきり見せていましたけど、それ以上に商人としての我が強かったもんなあ。ただ、エーブがそれをしまったなあ、とちょっと悔しい思いをしてるとは思わなかった。6年経った彼女は相変わらず狼でしたけど、以前よりもだいぶ余裕があっていい意味で貫禄ついた感じです。
ノーラの方も深みが出ててさらに魅力的になってたなあ。彼女がディアナに語った話、抽象的なんですけど、後半読むとね、何となく気持ちがわかった気がします。もう一度あの二人に会いたい、ただ会いたいという気持ち。
ホロとロレンスの幸せそうな姿は、見ているだけで幸福を分け与えて貰えるような気がするから。ただ見ているだけで、不安や迷いが晴れていき、目の前が開かれていくような気持ちにさせてくれるから。
だからこんなにも嬉しいのだ。祝福してあげたいのだ。

おめでとう いつまでもいつまでもお幸せに  幸せになってくれて、ありがとう。

シリーズ感想

銀の河のガーディアン 34   

銀の河のガーディアン3 (富士見ファンタジア文庫)

【銀の河のガーディアン 3】 三浦良/久世 富士見ファンタジア文庫

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暗雲立ちこめる銀河の闇――。魔術師コンビに訪れる最大の危機!?
皇帝の進退を決める大会議の場に出席することになった、天才魔術師セーヤと皇帝の娘ラリエナ。刻々と会議が進む中、突如、謎の攻撃によって襲撃を受ける。首謀者を見つけるため、セーヤとラリエナは動き出すが……。
これ、次代の【星界シリーズ】を担えるスペースオペラになれると思ったんだけどなあ。あとがきを読む限り、どうも打ち切りっぽい。富士見は電撃みたいに一旦中断しても何らかの機会があれば再開も、というパターンが殆ど無いだけに、第一部完、では済まないだろう。
残念だ。
残念極まりない。
ほんと、なんでダメなんだろう。スペオペとしても、男女のでこぼこコンビによるバディものとしても、非常に面白かったのに。こういう風に期待していて、実際面白く書けてるシリーズがあえなく打ち切りになってしまうパターンが読み手としては一番辛い。

いくつかの事件を通じて打ち解けてきたセーヤとラリエナ。お互いの個性というか性格も把握したところで、段々と息のあった以心伝心のコンビプレイも冴えてきて、相棒としての信頼も醸成されてきている。
その魔力の大きさから中央に召しだされたものの、特に目的や目標というものがなかったセーヤが、ラリエナの愚直なくらい真っ直ぐで頑張り屋な人柄を目の当たりにし、宦官と誤解され酷い扱いを受けがちな姿をしている自分に対して何の含みも意趣もなく接してくれた彼女のために自分の力を尽くそうと心に決めたのはわりと最初の方でしたけれど、それに対してラリエナはセーヤの浮世離れした性格や、その異常なほどの規模の魔力への劣等感、冷静沈着に暴走する彼の危うさに振り回され、この変人とどう付き合ったら良いのか戸惑っていた節もありましたけれど、ようやく彼に命も何もかも預けられる相棒として認めてきた所だったんですよね。
この巻ではセーヤが向けてくる全幅の信頼と何くれとなく差し出される助けの手に、ラリエナが擽ったがるような心地のよい歓喜とともに、自分の不甲斐なさを悔しがり、彼の差し伸べてくれるものに見合うだけのものを返そうと奮起する彼女の内面の心の動きが、何だか胸の奥を羽でさわさわとなでられるみたいなキュンとさせられるものを感じさせてくれて、良かったんですよねえ。ただの仕事上の相棒という以上に、自分の弱さや情け無さも隠し隔てなくさらけ出してなお付き合えるパートナーという感じと、それを踏まえた上で女性としてのかすかな甘酸っぱい心境が入り交じっている感じがして。
ラリエナって短気で猪突で行動派というキャラクターなのだけれど、その一方で心のあり方は非常に繊細で女の子らしいところがあり、でもやけに太っ腹で鷹揚で細かいところは気にしないという大雑把なところもあり、と様々な性質が矛盾せずに混在しているところが非常に興味深く、好ましいキャラでありヒロインだったんですよね。
皇帝と養子の皇女という立場に縛られながらも、それを縁にしてお互いの愛情を示すことしか出来ない不器用な母娘のやり取りもねー、すっごい良かった。建前と立場に縛られた会談でありながら、ふたりとも娘を、母を、慕い、愛し、慈しんでいる様子があふれるくらいに滲み出てて。不器用であるからこそ、真摯で偽りの介在し得ない想いが伝わってくる、いいシーンでした。
ラリエナがどうしてあれだけ頑張れるのか、皇女として活躍し出世したいのかという理由も、よくわかる。単純に親にいいところを見せたいとか、養子という弱い立場、魔力の少なさからくる偏見の目を覆したいとか、そういう自分事じゃないんですよね。本当に、自分を娘にしてくれた、娘として愛してくれている母の役に立ちたいというだけなのだ、という事が伝わってくる。そりゃあね、元々ラリエナを支えたいと思っていたセーヤが、さらにラリエナを応援したいと想いを強くするのも当然だよ。こういう健気な子は助けてあげたいよ。

そんな相棒として揺るぎない絆で結ばれつつある二人に対して、丁度うつし鏡のように対峙するであろう敵役の二人組が登場。セーヤそっくりの容姿と膨大な魔力を持った少女と、生き別れていたラリエナの実の兄。今のセーヤとラリエナの在り方とまっこうから反発するような立ち位置に登場した敵役の登場だっただけに、まさにここから大盛り上がりという流れだったのになあ。
なんで終わっちゃうんだよぅ……。


にしても、この皇帝陛下は名君である。同盟との戦争に勝ったことそれだけでも君主として名望を高めただろうに、彼女は一番難しいであろう戦後を、単なる征服と併合と支配ではなく、新たなグランドデザインでもって舵取りし、帝国の人間も同盟の人間も見たことがない新しい世界を作り出そうとしているのだから。しかも、その融和への筋道の立て方がまた強かなんですよね。彼女の強みは、破壊者であり改革者であり創造者でありながら、性急さからは程遠い、どっしりとした長期のスパンで物を見て、準備を整えているところなのでしょう。それこそ、数十年、数百年の単位で自分が思い描いている世界へと近づいていけばいい、という遠望でいるのだ。
それでも、保守的な人々には急激な変化に見えてしまい、反発が高まっているのを見ると、彼女の描いているデザインがどれほど大きく、変化に富んだものかというのが伺える。
同盟をとり込み、自分の正統性を強化し広く知らしめた上で、反乱分子を炙り出すという鮮やかな手並みには惚れ惚れさせられましたよ。

重ね重ね、これでおしまいというのが勿体無い作品でした。なんでこれが続かないかな、ほんとに。

1巻 2巻感想

Landreaall 18  限定版5   

Landreaall 18巻 限定版 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

【Landreaall 18  限定版】 おがきちか IDコミックス ZERO-SUMコミックス

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今度の限定版はファレル母さん主役の描きおろし漫画が掲載された小冊子。ファレル信者は必読である。
それにしてもDXって騎士の全身鎧が壊滅的に似合わないよなあ。


ACT92 <騎士、祝福する>

友を信じよ 善なる人を導け …そして自由であれ

このDXが自分の言葉で語った祝祷を聞いて、ディアは自分が祝福されたみたいだ、と涙を流す。このDXの祝祷を聞いている時のディアの瞳が印象的なんですよね。あのフワッとしてこの世の真理を垣間見たような瞳が描かれる時って、その人に取って重要な内面の転機が訪れた時が多いのです。その時は、当人ですらも気づいていなくても、あとになってみるとあの瞳が描かれた瞬間こそがその時だったと思い起こすことが度々ある。
自由であれ。新生児にこんな祝祷を残す人は随分と珍しいらしい。だからこそ、DXという人間の源泉から湧き出た言葉なのだということがわかる。
自由であれ、自由であれ、自由であれ。
この時はとても心に響く良い祝祷だった、それこそディアが涙を思わず流してしまうくらいの、と思っただけだったが、あとになって明らかになったディアの現状と彼女が自分に定めている在り方を鑑みると、何故ここでディアが涙を流したのか、という点は多少は気にしてもいい気がする。
彼女は自分の在り方を信じているし、迷いもしていない。理不尽だと考えていないし、それを十全受け入れている。実際、事があるがまま進んだとしても、彼女は自分の選択を後悔しないだろう。彼女は諦めている訳でも我慢しているわけでもない。それを在るべき責務として自然なことだと考えているだけなのだから。それは彼女の本心だ。
でも、彼女は泣いたのだ。
それをきっと、DXは忘れないと思う。彼は絶対に、相手の気持ちを無視したり踏みにじったりしない人だけれど、ウルファネア王国での彼の行動を思い起こすなら、気持ちは無視しなくても意志や思惑はわりとぞんざいに扱う狡猾な所がある、容赦のない少年であることを忘れない方がいい。
ただ、素直なリドと違って、ディアはDXをして口で勝てない、理路整然とした理性的で聡明な女性だからなあ、手強いぜー。
教官の膝枕はデッドトラップでござった。そりゃないぜー。


ACT93 <OPERABUFFA>
何の因果か、DXの両親であるルッカフォート将軍と傭兵ファレルの馴れ初めとなるマリオンとの火竜退治のおはなしを題材にした芝居をディアと観に行くことになるDX。
ちなみにタイトルの<OPERABUFFA>とは<喜劇>のことである。さて、喜劇とは芝居のことか、真実のリゲインとファレルの馴れ初めのことか、はたまた悶々とするDXの御姿のことか。
普段から喜劇みたいなDXだけれど、このDXは珍しい、非常に珍しいと言っていいと思う。ディアとの事は友達、ともうDXは言い切れないよなあ、これは。もう一度彼の方から女性を芝居に誘うDXというところから珍しいのに、ディアにきっぱりと線引きされてしまったあとのあのしゃっきりしない態度。
DXは、誰に対しても飄々としているのに、ディアにだけは自分をコントロールしきれずに振り回されている。ディアが振り回しているのではなく、DXが勝手にバランスを崩して振り回されている、と言っていい。面白いなあ、あのDXが対人関係の距離感を完全に見失ってるよ。


ACT94 <ディッキーバード>

好きな人がいてもそう言うわ
穏やかにそう語ったとき、ディアの脳裏には誰の顔が浮かんでいたんだろう。ちなみに、DXはその時悶々と自分の言動にダメだしして凹んでました。
デートに誘ったつもりはなかった。にも関わらず、きっぱりと線引きされた後に何の反応も言葉も発せられなかったということは、デートのつもりじゃなかったと言えないのだと、DXはいつまでも自分に言い訳してられるような子じゃないからなあ。ある程度自分の気持について方向性を得たのだろうか。マリオンの件からも分かるとおり、DXは一途で献身的だからなあ。
でも、うん、イオンにディアが語った話は、かなりショックだった。まだ話があがっている段階なら兎も角、アカデミーを退学してまで準備を進めていた以上、もう既に殆ど整っちゃってるはずだし、ここから話を覆すのは至難のはず。
ただ、うん、家格としては釣り合い取れてるんだよなあ。DXのお見合いに、ディアの姉があてがわれたのは何よりの証拠。とは言え、略奪は家の面子もあるだろうから、大問題になりかねない。ただでさえ、微妙な時期だってのに、注目の種であるDXが家同士の問題を起こす訳にはいかないだろうしな、という建前じみた問題を蹴っ飛ばしていくのがこの作品なんだが、無思慮に蹴っ飛ばすんじゃなく蹴っ飛ばしても何とか収集のつく方向に条件を整えてから蹴っ飛ばすのが醍醐味な作品である以上、何らかの打開策はあるはずなのだが。
それにしても、丁度ここに王位に一番近かった男と一介の傭兵女の身分違いのラブロマンスを、話の味噌として芝居として、或いは小冊子の描きおろし読み切りとして出してくるあたりに強大な作為を感じる。
身分違いのロマンスとはまた違うけれど、これも結ばれるために困難の壁が立ちふさがるロマンスとも考えられるわけだし。両親程度には息子も苦労しろって事ですか?


ACT95 <Lines>
好きでもないのに結婚しようとする人あらば、好き同士なのに拗れて結婚が遠のく人あり。世は斯クも複雑なりけり。イオンみたいなシンプルな人間にはワケわからんのだろうなあ。とは言え、彼女だって何時までも単純では居られないはず。今のところは、無邪気にカイルを応援していられるのかもしれないけれど。
一方で、一度は拗れに拗れていたリドと竜葵は何だかんだとうまくいっている様子。ただこれ、通訳が居ないとまた拗れそうだなあw 今回はDXが上手いこと竜葵の言いたいことをリドに伝えてくれたから良かったものの。
そんでもって、DXはついにグレイにひっついて素性を隠して従騎士の訓練に参加していたのを告白。案の定お怒られるんだけれど……何だかんだとこの国の大人はみんな出来た大人だなあ。ちゃんと正しく適切な場面で子供を叱れる大人が揃ってる。DXみたいな子を叱れるって、それだけでも大したもんよ?


ACT96 <女神杯(エスナリア) 機
越後のちりめん問屋や遊び人の金さん、貧乏旗本の小倅、というだけでも怖いのに、DXってば殆ど風車の弥七レベルだもんな。市井に紛れる王族は珍しくもないかも知れないが、忍者や御庭番のレベルで何処にでもいる王族ってめちゃくちゃ怖いよ!w
女神杯観戦の為に、リゲインとファレルの両親も王都に。ああそうか、そう言えばロビンの父親の問題もあったっけ。今のところまだ手がかりなしだが……ティ・ティとディアの情報網があったらそりゃ心強いなあ。……ちょっと待って? 先にディアが例の件をイオンに話したときに餌を突っついてたのって……「こまどり(ロビン)」だったよな。これ、どういう暗喩なんだ!? ……え? あっ、あれ? あれれ!? まさかそういう繋がりだったりする可能性もあるの!? まだ完全に予想どころか妄想の段階なんだが、もし正解だったりしたらこれってえらい拗れた話にならないか?

誰かを――王にして国(アトルニア)を変えるのが夢でした。
しかし私の夢は少し変化したんです。
もうすぐ円卓がはじまる。アンは正式にDXを選ぶのだという。しかし、DXは王にはならない、今は。アンちゃんが夢見たものは何なのだろう。きっと、自分の思い描いた以上の景色を、見たいと思ってしまたんだろうな。


ACT97 <女神杯(エスナリア) 供
一話前とフィルのレディ・アプリへの接し方が全く違うのだが。フィルがレディに屈服してるww
今度の竜葵の手紙は内容が素直だ。少なくとも、リドが変な解釈をせずに真っ直ぐに受け止められる程度には。今更ながら、この兄弟の仲が戻った、というよりも以前よりもよくなった事にはホッとさせられる。お互い堅物同士で、面倒くさくも救われない拗れ方してたからなあ。あの竜葵がこんな手紙を送ってきたと思うとちょっとジーンとしてしまった。



掌編 Tail piese
だって六甲は家族だけどお兄ちゃんじゃないもん お兄ちゃんはDXだもん
六甲は兄弟だけどお兄ちゃんはDXだから……えっと、えっと〜〜〜
妹は弄るよりも愛でろ!!
なにこれかわいい

もうひとつは、王都に来たリゲインとファレル夫妻が、DXたちも見た自分たちが元ネタのお芝居を見た上で、楽屋裏を訪問のお話。ファレル母さん、カラッとして竹を割ったような性格で、宮廷にも未だに女性のファンが多いというのも納得の人なのだけれど……剣についてだけは容赦ないを通り越して酷いw


描きおろし読み切り小冊子 <淑女の剣帯>
傭兵たるもの、いかなる戦場でも手段を問わず勝利して生き残るべし。なるほど、先日ウルファネア王国でDXが体得した傭兵の極意を、既にファレル母さんはこの時代には開眼していたのか。
アカデミーを退学したあとも、宮廷のサロンで孤軍奮闘することになったファレル。DXみたいにふにゃふにゃじゃないファレルとしちゃあ、これほんとに苦労したんだなあ。それでも、ちゃんと打ち勝つあたりエラい。エラい以上に健気じゃないか。ってかね、ファレルの泣き顔に、私が壊れた。既にこの時点で凛としてどこか風格のある女性だったのが、泣いた途端に歳相応の可愛らしい女の子になっちゃって。そうなんだよなあ、リゲインが迎えに来たとき、普通の村娘に戻っていたファレルは、普通のカワイイ女の子だったもんなあ。
もうね、この可愛いファレルを見るためだけに限定版買って後悔なしですよ。むしろ、見れなかったら一生後悔だねっ♪


おがきちか作品感想

子ひつじは迷わない 泳ぐひつじが3びき5   

子ひつじは迷わない   泳ぐひつじが3びき   (角川スニーカー文庫)

【子ひつじは迷わない 泳ぐひつじが3びき】 玩具堂/籠目 角川スニーカー文庫

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なるたま、ピンチ! 使い物になりません!!
「子ひつじの会」に持ち込まれた相談に微妙な反応を見せるなるたまこと成田真一郎。その上、いつもなら積極的に解決しようとする彼が――。「成田くんが使い物にならないんです」。佐々原の訴えに仙波がとった行動は
うはははははっ、会長っ、会長っ、サキ姉激ラブ!!!
いやあ、今回は事件と並行する形で、二大ヒロインである仙波と佐々原の二人となるたまとの関係性が強烈にスポットを当てられ、微妙な緊張感を伴いつつ仲も深まっていく、という恋愛フラグが乱立する展開だったのですが、そんなライトのあてられたメインヒロイン二人の背景で、さりげなく物凄い自己アピールをしている人がw
そう、この三巻の表紙にもなっている生徒会長竹田岬先輩です。
これまで、なるたまの姉的な幼馴染として、なるたまの弱みを握り好き勝手いじり倒して遊んでいたこの人。学内でも表向きの外面の良さとは裏腹に、その類まれなる謀略の手練手管を以て幾多の事件で黒幕的存在として暗躍を繰り返してきたこの人。てっきり、なるたまの事を玩具にして遊んでいるだけの、享楽的ないじめっ子、なのかと想っていたのですが……。
しまった、まさかとは思ったがこの人、実は完全にダダ甘お姉ちゃんじゃないか!!
てっきりなるたまへのあのイジリ方を見て、彼に対してはもっと余裕と距離感を持って見守ってると思ってたんですよね。カワイイ弟分として可愛がりながらも、その成長をちゃんと姉役として一定の距離をおいて見守る分別を持っているのだと。
どうやら、見ている限り、本人もそのつもりのようです。そもそも腹黒系だけあって普段の様子は表も裏も完璧な才女で一切隙が無く、その御蔭でこれまでまるで気づかなかったのですが……。

全然実践できてないじゃん!!!

今回、なるたまが不安定になるのと合わせるように、岬会長も一緒になって不安定になって普段の完璧生徒会長の外面はどこへやら。合わせるようにって、明らかになるたまの不調に影響されまくってるのが、その時点でアレである。
なるたまが過去の失敗を突きつけられた挙句に、現在にまでしっぺ返しをくらって凹みまくっている際、落ち込む弟分を優しく見守るお姉さん、を演じようとして盛大に平静を保つの失敗して動揺しまくってたり(台詞噛むなよw)、なるたまが早退したのを知って、心配が高じた挙句休み時間に凸電しまくり、授業そっちのけで携帯で着信確認しまくったり、いやいやあんた、前巻までの狡猾フィクサー会長の面影どこだよっ、というくらいに新たな一面がボロボロと零れ落ちてきて……これは萌える!!
そもそもこの人、やってることが小さい頃から変わってないんですね。小学校の頃の、楓とのエピソード見て吹きましたがな。あんた、それ仙波に今やってるのとおんなじじゃないか!(爆笑
まさか小学校の頃から、なるたまが気にかける女の子に対して、影で牽制して回ってたとは。さり気無く、楓と仙波のサキ姉への感想が一緒なんですよね。こいつは気に入らない、嫌いだ、敵だ。そりゃそうだろう、サキ姉喧嘩売ってるんだから。ウチのタマに手を出したらどうなるかわかってんだろうねっ、と言外に威嚇してるんだから。
意外にマメな人なのである。
そこまで独占欲を持て余しているなら、いっそ囲ってしまえばと思うのだけれど、この人なりの矜持があるのか、それとも自分で気づいていないのか、弟を見守る姉、というスタンスにしがみついているのがなんだか涙ぐましく思えてきた。かなり失敗してるしw
弄ばれるなるたまとしては迷惑極まりないんだろうし、これまでは読んでるこっちもなるたま大変だなあ、と同情していたんだが、こうなってくるとむしろもっと構ってやれよ、と思えてくる不思議。
仕方ない、わっちはこれでも生粋の姉萌え幼馴染派なんだから、これだけ姉属性を拗らせている人を目の前にして心揺り動かされないはずがない。正直、仙波や佐々原もヒロインとしてはとてつもなく強烈で、他作品なら他の追随を許さないほどの強キャラなんだが、ここは敢えてサキ姉派を立ち上げたい所存である!!

サキ姉に限らずとも、三毛の桃子さんとか、出番の殆ど無いサブヒロインにしておくにはもったいないくらいのキャラなんだけどなあ、この作品は良い意味でみんなキャラが立ちすぎてて、入り込む余地が少ないのが悩みどころである。同じ生徒会の宮野さんなんか、イラスト内にも関わらず滅茶苦茶目立ってたし。

うん、やっぱり話が上手いなあ。その巧さも小器用さとかじゃなくって、自然で奔放なタッチで絶妙に巧いんですよね。至る所で調和が取れていて、でもフラフラと上下左右に揺れても問題ない余裕が空いている。学園青春日常ラブコメミステリーとしては、現在進行中のシリーズの中では屈指と呼んで過言でないかと。
次回はついに一巻まるまるの長編もの。しかも館でクローズドサークルときたら期待せずには居られません。ライトノベルでは珍しく巻末に時間の導入予告編が描かれているという構成は、引きとして良い意味で凶悪ですわ。
しかし、今回は殆ど竹田会長について力説してるだけだったな。世間様では素晴らしいツンをカマしてくださった仙波様へのフィーバー状態にも関わらず、そちらには殆ど触れてないし。しかし後悔など一切していない。自分にとっては会長祭りだったのですから。満悦満悦♪

1巻 2巻感想

ココロコネクト クリップタイム5   

ココロコネクト クリップタイム (ファミ通文庫)

【ココロコネクト クリップタイム】 庵田定夏/白身魚 ファミ通文庫

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太一さん、俺達に、部に入って貰いたいって思ってます?

「新入部員がこなーい!」積極的な勧誘をしないと決めたものの、いつまで経っても現れない新入生に焦る太一たち。そんな時、文研部の扉を叩いたのは気だるげな男の子と内気で小柄な女の子で――。待望の新入部員編と、文研部が1枚のスクープ写真で学校を湧かせた文化祭秘話、伊織と太一との三角関係に悩む稲葉の奮闘劇から、唯が体験した女の子とのドキドキ初デートまで! 愛と青春の五角形コメディの美味しいところを集めたココロコレクト第1弾!!

うおぃ!! この女、いったい誰だよ!?
ついにベールを脱いだデレた稲葉姫子。伊織が命名するところの「デレばん」がベールを脱いでしまいました。完全に病気扱いされてるじゃないか!(爆笑
いや、それにしても凄い。これがあの稲葉なのか? 全然別人じゃないか。キャラ崩壊してるじゃないか。丁度短篇集なので、時系列にそって短編が並んでいるのだけれど、9月時点と翌年4月の稲葉を見比べてみると、気が遠くなる、というかSAN値が下がる。だから誰だよ、お前。やばいなあ、思い出しただけで笑けてくる。こりゃ確かに太一と稲葉のバカップルっぷりはあてられるとか鬱陶しいを通り越して、もはや一つのネタとして楽しめるわ。本来三角関係の一角にあった伊織が二人のアリサマに一番ウケてるというのも、伊織の性格や後腐れなさを感じられて清々しい。しかし、本来ならああも弄られたら怒ったり照れたりしそうなものなのに、稲葉ん全然気にしてねえ。眼中にねえ。完全スルーで太一に夢中かよ。だからホントに誰だよアンタ!!!
一巻の時点でまさかこんな事になるなんて、予想した人いなかっただろうなあ。いたら怖いよ。
丁度最初の短編は、一巻の直後あたりになるのか。この頃はまだ太一と伊織の本命が揺るがない雰囲気だったんですよね。稲葉はむしろ二人の仲を後押ししている方だったし、伊織も太一も当人同士が何れ遠からず付き合いだす流れである事を自覚していて、あとはキッカケがあれば、という状況だったのにねえ。いやはや、それがこうなってしまうとは、紆余曲折にも程があるよ。
稲葉たち三人に隠れてますけど、唯と青木も遅々とではあってもこうして見るとちゃんと進展はしてたんだなあ。こっちはこっちで、最初はどうやったって青木にメはないって空気でしたのにねえ。まさか、最後の短編ではもうあの娘とはなんでもないんだからね、とわざわざ念押ししにくるくらいになってしまうとは。
でも、この五人は別に「ふうせんかずら」に嫌がらせに巻き込まれて特殊な状況に陥らなくても、普通の日常風景を追っかけているだけでもこんなに楽しいものだったとは。普段から十分、はっちゃけているというかお祭り騒ぎしてるじゃないか。これ、ただの日常ドタバタコメディだったとしても、それで十分一級品ですよ。キャラクターがイキイキとしている。短篇集ということで文研部の五人だけじゃなく、例の藤島委員長やクラスの友達連中も出てくるんだけど、滅茶苦茶キャラ立ってるじゃないですか。というか、藤島さん、あんた色々な意味で目立ちすぎや!! 一年次の時でも無駄なくらいキャラ立ってたのに、二年になったらなんでそんな事になってるんだよ、もう爆笑してしまった。ほんと何この人w
作中で自家ツッコミしてらっしゃるが、新学期になってキャラが別人になってる人多すぎ!!

さて、新年度になって太一たちも上級生となり、文研部も新入部員を確保しにかかるわけだが……うん、新入部員は欲しいけれど、まさに心の底までさらけ出しあった、これだけ絆の深まった五人のコミュニティに部外者を入れたくない、という微妙な心理、よくわかる。ふうせんかずらのちょっかいに巻き込んでしまうかもしれない、というのも確かに間違いないんだろうけど。仲が良くなったグループが排他的になるというのは自然を通り越して必然と言ってもいい流れですもんね。
それぞれの理由で文研部に惹かれながら、果たして自分がこのグループに加わっていいのか、自分は望まれているのかが見えず、二の足を踏む新入部員候補の新キャラ二人。このへんの旧来の五人と新たな二人の、表面上は和気藹々と賑やかに過ごしながら、同時に繊細で微妙な心理的な探り合いを重ねていく様子は、なんだかついつい心の腰を据えて読み込んでしまいましたね。短編でもこのへんはさすがは【ココロコネクト】と言ったところでしょうか。それでも、最後に自分たちの無意識の深層心理に気づき、その上で声を上げて後輩たちを招き寄せる五人の姿には、ついつい満面の笑みがこぼれてしまった。ほんとねー、この子らは素敵だわー。最高に素敵で気持ちの良い若者たちである。大好きですよ、この五人。
そして、そんな五人組にプラスとして加わることになった天然少女とひねくれ少年。天然少女の方の動機、というか心の底にある自分への蟠りみたいなものはなんとなく透けてみえたのだけれど、少年の方はかなりややこしそう。彼が「そう考えている」対象って誰のことなんだろう。あの物言いだと、伊織ではない、と言ってるみたいだけど。ややこしい分、一番最初に「ふうせんかずら」に絡まれてしまったか。これまでは、いつも五人一緒に現象に巻き込まれていたけれど、もしかしたら今度からは大きくルールみたいなものが変わってきそうだなあ。

それにつけても「デレばん」である。もうこの作品どっかいい所でアニメ化してくれないかな。そうなったらニヤケ死ぬ自信があるぞ。

シリーズ感想


普段の普通の日常から傍から見てて面白い

まおゆう魔王勇者 3.聖鍵(せいけん)遠征軍5   

まおゆう魔王勇者3 聖鍵(せいけん)遠征軍

【まおゆう魔王勇者 3.聖鍵(せいけん)遠征軍】 橙乃ままれ/toi8 エンターブレイン


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世界を闇で覆いつくさんとして人間の世界に侵攻してきた魔のモノたちを率いる魔王を、光の勇者が討ち倒す。そんな在るべき世界の形を、魔王と勇者が手を携える事で変えようとはじまったのがこの物語でした。
とはいえ、魔王と勇者が結びついた事は人間にとっても魔族にとっても裏切りであり、人間と魔族という両存在は不倶戴天の敵同士であるという価値観は揺るぎないものだったのです、これまでは。
そう、この三巻、忽鄰塔の大会議で起こった出来事は、そうした価値観を粉微塵に打ち砕く、衝撃的な革命でした。
ここは、ウェブ版で読んでいたときには本当に衝撃だったんですよね。ショックだったとすら言ってもいいかもしれない。なにせ、魔界における主要な氏族が集い魔界の方向性を決定づける忽鄰塔の大会議に新たに加わる事になった氏族が、あれですもの。この物語が常識をひっくり返す為のシロモノと承知していながら、それでもどこか固定観念に囚われていたのでしょうな。火竜公が連れてきたあの人が、新たな魔界の氏族を名乗った時には頭をハンマーでぶん殴られたようだったのです。そして、直後の起こった魔王の一時的な退場劇により発生した、魔界の意思決定権の、魔界の民の代表者たちによる会議への移行。「議会」が生まれた瞬間である。
まさに此処から魔王と勇者の結びつきによって生まれ、彼らの薫陶や影響を受けて種となり、己が見たいと願う世界のために動いていた人々の働きによって密かに進行していた世界全体のパラダイムシフトが、誰の目にもわかる形で起爆していくのである。
世界全体が、怒涛の勢いで再編されていく。
それは、保守であり既存の価値観を守ろうとする勢力をすら、以前のままの姿で在る事を許さない。旧来の魔王たる権威を取り戻そうとする蒼魔族と、既存の権益である人間の思想を守ろうとする聖教会勢力。その本来なら人間と魔族、不倶戴天の敵同士の主体とも言うべき両勢力が利用しあうという間柄とは言え手を結び、同じ魔族を、同じ人間を打ち払おうとした姿からも明らかであり、聖王国の王弟元帥がマスケット銃の運用を基軸にはじめた軍事革命が、中央集権化や産業革命へと至る萌芽となろうとしている一事を見ても、彼ら自身の意識は別として、新たな価値観の担い手となろうとしていることがわかる。
故にこそ、これは一見古い価値観と新しい価値観の衝突に見えるものの、実質的には方向性の対立へと移行しつつあるのでしょう。
既に、世界の方向性は魔王と勇者の制御の手を離れてしまいました。でも、彼らが蒔いた種は芽吹こうとはしており、それぞれが目の前の困難を打開しようとすることで中世の闇を切り開こうとしているものの、まだ足りないんですよね。世界を担う意思が足りない。目的意識、あるいは丘のむこうに何を見たいと願うのか、という未来像を持つことかもしれない。それを持ち、担い、目指そうとしているのは、まだ勇者と魔王のふたりだけなのです。パスファインダーたるものが居ない、足りない世界を待ち受けているのは混乱であり、混沌だ。明快な意思と思想に基づいた先導のない急激な変革は、創造よりも破壊を多くもたらしてしまう。そこには、魔王が恐れるカタストロフが待ち受けている。
だからこそ、この巻において一番重要な動きをみせているのは、他の誰でもない メイド姉 なのである。
誰もが目の前の壁に汲々とし、魔王と勇者の二人ですら押し寄せる波を切り払うのに必死な中で、彼女だけが一人先をみつめようとしている。まだ何も見つけておらず、何も見いだせず、漠然とした思いを胸に探し求めて大陸を放浪しているだけですが、実のところ彼女が一番先頭を歩いているのです。それを、近い将来読者はまざまざと見せつけられることになる。
あるいはもう一人、魔王と勇者以外ではもっとも早く「丘の向こう」を意識し始めた「彼」が、メイド姉に続いていると言ってもいいかもしれない。
経済的にもはや離れがたいまでに結びついた魔界と南部諸国の現状を、正しく政治が拾い上げ誰の目にも明らかな形で現れだした大変革。世界の構図は魔族対人間ではなくなり、しかし血で血を洗う戦乱の広がりは留まるところを知らず、新しい世界は産みの苦しみを迎えている。破滅か、あるいは新生か。第四巻のサブタイトルは「この手でできること」。何を求め、何を成すのか。随分と多くのキャラクターが跋扈するようになったけれど、次の巻ではそれぞれが求める世界を垣間見ることが出来るはず。そして、それこそが新しい世界を導くのだ。

1巻 2巻感想

狼と香辛料 65   

狼と香辛料 6 (電撃コミックス)

【狼と香辛料 6】 小梅けいと/原作:支倉凍砂 電撃コミックス

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金の密輸に挑むロレンスとホロの計画は成功するのか?

ばく大な借金返済のため、金(きん)の密輸を計画したロレンスとホロは、融資元であるレメリオ商会のリーベルト、金の運び手となる羊飼いのノーラと組む。
しかし、二人の前には次々と難関が立ちはだかり……。
短編の 「狼と琥珀色の憂欝」 も収録された注目の第6巻!

ノーラ編、あるいはリュビンハイゲン編。いわゆる原作二巻相当の完結編となる第六巻。ホロがその巨大な狼としての本性をこれでもかと大暴れさせる、原作通じても此処でしか見られない話でもあるのだけれど、ノーラが守る商隊にホロが襲いかかるシーンの迫力が半端ない。同じシーン、良作として名高いアニメでもやってるはずなんだが、ここまで迫力あっただろうか。とてつもなく巨大な狼に襲われる側の絶望感が、もう凄まじいことこの上ない。あれはチビるよなあ。ドラゴンに襲われるのと大して変わらん恐ろしさだぞ。
そんなアクションシーンに勝るとも劣らないこの巻の見所は、久々のホロの美しい裸身、脱衣シーンなんですけどね。これがもう、めちゃくちゃエロティックなのである。小梅さん、元々エロ漫画出身で実際私もいくつか読んだことはあるんですが、色気はこっちのホロの方が上なんじゃないかと思うくらい。
しかし、こうしてみるとこの時点でホロとロレンスって充分ラブラブなんだよなあ。ロレンスが裏切られてボロボロの惨状でいるのと再会した時の、ホロのブチ切れっぷりといい、本性を表したホロとノーラが交錯したときロレンスがどちらの名を呼んだのかしきりと気にする姿といい、改めてロレンスにホロが名前を呼ばれた時の笑顔といい、絵になるともうホロがロレンスの事大好きなこと、よく伝わってくる。小説だとロレンス視点な上にホロの物言いがまた迂遠だったり、ロレンスの言葉の解釈がにぶちん極まってたり、とホロの思惑や本当の思いがなかなか見通せないところがあって、彼女がもうこの時点からロレンスの事大好きだった、というのが明らかになるのはこの漫画の巻末にも収録してあるホロ視点の短編「狼と琥珀色の憂鬱」を以て初めてになるわけですが、漫画になってみるとホロの気持ち、よくわかる、うんうん。もう、ニヤニヤしてしまいますよ、これは。
で、肝心の「狼と琥珀色の憂鬱」なんだが……砂を吐きそう(笑
ホロがロレンスにお粥を食べさせてもらうシーンなんか、普通に「あーん」するだけじゃ飽きたらず、ロレンスの野郎、ホロを膝にだき抱えて食べさせてやがった。おまっ、病人相手にしてもそれは親密すぎるだろう。病人に「あーん」のシーンは数多見てきたが、そこまでやってるヤツは滅多観たことないぞw

ノーラもこれで見納め、なのですが、いずれノーラ主役の短編をまたおまけで描いて欲しいなあ。幸いなことに、原作でもちゃんとその話あるわけですし。でも、あれを漫画化するとなると単行本半分くらいは使いそうだが。

シリーズ感想

花物語4   

花物語 (講談社BOX)

【花物語】 西尾維新/VOFAN 講談社BOX

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悪マーセント趣味で書かれた小説です。――西尾維新

“薬になれなきゃ毒になれ。でなきゃあんたはただの水だ”
阿良々木暦(あららぎこよみ)の卒業後、高校三年生に進級した神原駿河(かんばるするが)。直江津(なおえつ)高校にひとり残された彼女の耳に届いたのは、“願いを必ず叶えてくれる『悪魔様』”の噂だった……。
<物語>は、少しずつ深みへと堕ちていく――
これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異!
君を知り、解きはなつための物語。
はーーーー。【猫物語(白)】があれで、【傾物語】があんなんで、【花物語】がこんな作品って、西尾先生は一連のシリーズを全部違うジャンルで書こうとでもしてるのか?
【傾物語】がご存知のようにあんなとんでもない内容の話になっていたので、いったい次の【花物語】はどうなるんだと戦々恐々としていたのだけれど、まったく逆方向に直球できたってなもんだ。果たして、作者がここまでひねくれることなくねじ曲がることなくヤサグレることなく、真っ当に、まっすぐに、愚直なくらいに折り目正しく背筋を正してこのテーマについて描いたのって初めてなんじゃないだろうか。勿論「これ」については作者はこれまでも「これ」をこそ描くことに心血を注いできたと言えるのですが、なんちゅうか独特の表現や遊び、奇をてらい、諧謔、アイロニーをまぶして描いてきたものだから、こうも率直に描かれてしまうとむしろ面食らってしまうくらい。しかし、今回はその率直さ、素直さこそが主眼に置かれていたのだろう。【花物語】なんて麗しいタイトルをつけたのも読み終えた今となっては理解できるような気がする。つまりは、気恥ずかしくなるくらい徹底してそういう話を書くつもりだったのだ。
一見してこれは<悪魔>の話なんだけれど、それ以上に<少女>の話になるんだよなあ。

さて、今回は【猫物語(白)】の羽川翼にひき続いて語り部は阿良々木くんではなく、神原駿河が担当する。羽川の時も一人称で随分と印象が変わったものだけれど、神原の場合も他人の見る目と本人が思い描く自分とのギャップに驚かされることになる。あれで、中身は相当テンション低い子だったんだなあ。色々やらかした過去の傷もあってか、自虐傾向もかなり強い。傍目には何も考えていない楽観主義者にみえるけれど、非常に神経質で繊細で内罰的で、鬱々と内に篭って悩んでしまっているようだった。とはいえ、今巻でも内面描写を排して客観的に彼女の実際の言動を追って見ると、確かにいつもの神原なんですよね。そして、彼女のこうした陰の部分は猿の手の暴走時や、撫子の蛇の事件の際の神原の言動などを思い返してみると、なるほど彼女の内なる形がこんな風だったのなら、あれらの時の神原駿河の姿はあるがままだったんだな、と納得出来るのだ。
でも、決して神原って難しい子じゃないですよね。少なくとも、自分で思っているよりはややこしくないと思う。人間って思考に耽ると自分のことについても自分を取り巻く環境のことについても、自分自身がウンザリするほどネガティブな方向に陥ったり、自縄自縛のこんがらがった考えに囚われたりすることは珍しくないんだけれど、問題はそれが表層にまで現れるかどうか。現実の当人の在り方に反映されているかというと、意外とそうでもない。
神原は盛んに他人の目から見た「神原駿河」と、神原駿河が知っている本当の「神原駿河」には大きなギャップがある、とのたまっているけれども、実のところ神原が思い描く自分自身が現実の「神原駿河」かというと、決してそうじゃない。自分のことは自分自身が一番良く知っている、などというけれど、自分自身のことなんて一番客観性から程遠い主観の中心核じゃあありませんか。得てして、案外と、他人の目から見た「自分」が、現実の「自分」を反映しててもおかしくはないでしょう。それは演じている姿などとうそぶいても、演技と本音の境目なんて有って無いようなものじゃあありませんか。
本当に内外のギャップがでたらめに破綻し、自分も他人も実際の「その人」がわからなくなりかけてたような特異な事例は、それこそ「羽川翼」みたいなのを言うのでしょう。その点、神原駿河は彼女自身が思い描くよりも遥かに健全で、裏表が少なく、彼女を知る周りの人は「神原駿河」を誤解も勘違いもしていないように思います。
つまるところ、起点にして発端にして根底であり基礎部分たる所がいかにウジウジしていようとも、そこから成り立っている神原駿河は、彼女自身が思っているよりも遥かに周りが思い描いている神原駿河でした、という事ですね。って、要約したつもりが余計にこんがらがったよっ。
まあ、若くて青いってことですなあ。ある意味、羽川よりもよっぽど真っ当に自分探しをしてるんじゃないでしょうか。その自覚があるのかはともかくとして。

さて、この【花物語】。時系列的には最後発になるのでしょうか。以降の作品はまた時間を遡るようですし。なんかコイツ誰だよ、というようなのが普通に居たし。いや、マジで誰ですよ。
相変わらず面白いのが阿良々木くんである。羽川視点の時もそうだったけど、端から見る阿良々木ってなんかこう……すごいっすよね(笑 筆舌に尽くし難いとでもいうのか、何やら有り得ない存在感を感じさせる。一般生徒の間でも伝説と化しているようだし。なんの伝説なんだろう。
そもそも、高校を卒業したあとの阿良々木くんがいったいどんなニューライフを送っているのか、という一番興味をソソラれる事案で、もっともピックアップして描かれていたのが妹とのただれた関係、ってのはどういうことだよ! 君、ちゃんと彼女いるんだから、普通にイチャイチャしてなさいよ。なんでカリンちゃんとイチャイチャしてるんだよ。というか、マジでスキンシップの度合いというか深度が以前よりも悪化してるんだが。犯罪的になってるんだが。中学生相手にやっちゃいけないことは、高校生相手にもやっちゃいけない、という当たり前の事実に気づいていなさそうな阿良々木くんが、そろそろ戦場ヶ原さんに刺されないか不安です。現在進行形で刺されてないか?
しかし、変態に磨きをかけつつも、実際に登場してくれると彼が神原にとって頼もしいを通り越し、精神的支柱とも言うべき先輩であることを改めて認識させられる。なるほど、ここまで神原にとって影響力があるってとなると、冒頭で阿良々木とガハラさんが卒業してしまい、自分一人が学校に取り残されてしまったことに彼女がへこみまくり、ブルーになるのもよくわかる。これほどとてつもない「安心」をくれる人から離れてしまう、というのはややも不安定な神原にとっては実際にそうなって初めて実感する、足元のおぼつかない不安、だったんだろうなあ。
こうしてみると、神原もかなり依存傾向の強い子だったというのがよくわかる。だからこその、この物語なんだろう。
季節は春。様々なものが入れ替わり、立ち代わり、過去が去来し遠ざかり、新しい生活が始まる季節。だから、これは少し遅咲きの、神原駿河の卒業の物語だ。

化物語(上) 化物語(下) 傷物語 偽物語(上) 偽物語(下) 猫物語(黒) 猫物語(白) 傾物語

カンピオーネ! 9.女神再び5   

カンピオーネ! 9 女神再び (カンピオーネ! シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫 た 9-9)

【カンピオーネ! 9.女神再び】 丈月城/シコルスキー スーパーダッシュ文庫

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女神は神殺しとの戦を望む

ついに訪れた女神との再戦の時。
手の内を知られた護堂に勝機はあるのか!?

草薙護堂の前に、再び現れたまつろわぬ女神アテナ。
何でもひとつ言うことをきくという、護堂が以前助けられた際にした約束を盾に再戦を望むアテナは、争いを望まない護堂の拒否を認めない。
ついには祐理やリリアナを石化し、人質にするという強行的な手段で、護堂との戦いを開始する。
アテナが勝負を急ぐのには差し迫られた理由があり…!?
新神話第9弾は激闘の調べ!!
そうかー、そうだよなあ。アテナがアテナである以上、先の羅濠教主と同じパターンになることはなかったんだよなあ。それでも護堂さんのプレイボーイっぷりに期待した所だったのですが、実のところ護堂さんって女性に甘いという意味でのフェミニストじゃないんですよね。アテナとの初対面からこれまでの関係を思うなら、両者はどれほど互いに好意を抱こうとも、いや互いに好意を抱くからこそ「良き敵」となる以外有り得なかったんだよなあ、と改めて納得した。護堂さんの良い所は、自分のエゴを押し通す意思と気概を持つと同時に、相手のエゴを認め受け入れる度量も持っている所。あそこでアテナの誇りを認めて、納得し、惜しまず哀しまず、ただ寂寥と喪失感を胸に宿して送り出せる護堂さんは、先ずなにより「王様」なのだという事がよくわかる。
これは彼の周りに侍る女性陣に対する態度にも如実に現れていて、特に今回心底感心させられたのが、夜伽を申し込んできた恵那に対する対応。結局ここで護堂さんは恵那の申し出を断ってしまうのですが、その理由がヘタレて逃げを打ってるどころかむしろ凶暴とすら言っていい理由なんですよ。これ、護堂さんの言ってることよくみると、色々な意味で凄まじい事言ってますよ。現場についても自分が魔王である事の自覚を今までになく強く意識し自覚した発言であると同時に、将来についてはもっと凄まじい事になることを前提にしていらっしゃいますし。さらに恐ろしいのは、これだけ横暴にして自分のエゴを押し通す事を言ってのけながら、しかし健気なくらい懸命な恵那にはまったく恥をかかせずに、むしろより柔らかく包み込むように場を済ませてしまっている所である。普通、ここまでのシチュエーションになったら、恵那か護堂どちらかが傷つかずには済まないと思うんだが、護堂さんの人垂らしはやっぱりパねえっすわー。まあ、その後本番さえしなきゃいいよねー、って感じにチュッチュイチャイチャしていやがりましたが。もうそこまで行くならどっちでもいいじゃない、と思わないでもないのだけれど、今の護堂さんだとそれ以上やると歯止めきかなくなってしまうんだろうなあ。今ですら、ちょっと前と比べると随分と歯止めきかなくなってるし。もう、自分からキスすることに対して躊躇いもしなくなってきてるもんなあ。
この分だと、護堂さんの言うところの器が出来上がるのはそんなに先のことじゃないような気がする。最初の、それこそアテナと最初に戦った頃と比べても、王としての自覚が段違いに出来上がってるし。しかし、同時に変化がないのもまた護堂さんなのかもしれない。アテナも、あなたは変わらないな、と呆れながら感心してたくらいだし。変わるべきところは変わり、不変たるべきところは変わらない。良き成長をしてると言えるのだろう。まあその成長というのも、人としての成長ではなく明らかに「魔王」としての成長なんだが。
うーん、こうしてみると護堂さんって、尋常じゃない女たらし、有り得ざるプレイボーイ的な見方ばかりされてますけど、実のところあんまり描写されてないだけで護堂さんって男にもモテてるっぽいんですよね。これ、BL的な意味じゃなく。陸鷹化に対するコメントなんか笑っちゃいますよ。鷹化の人柄に対してやれ一言多いし口も悪い、無駄に挑発的で気難しく偏屈。と散々論った挙句に
だが護堂には「甥」の生意気さが微笑ましくもあった。
この人、多分性格的にヤバかったり難しかったり面倒くさい男にこそ、より慕われるたちなんじゃないだろうか。多少どころでないヤンチャでも、護堂さんなら笑ってまあ何とかしてやるよ、と請け負ってくれそうな雰囲気があるわけで。昔、キャッチャーでならしてたそうだけど、気難しい投手連中にもモテたんだろうなあ。しかし、陸鷹化ほど危険でヤバい男をして、微笑ましい、ときたもんだ。可愛い甥っ子ときたもんだ。これを「王様」と言わずして何というのやら。

さて、再び視点をヒロインに移してみましょう。今回はエリカさんが後半までイタリアの方に出張に出かけていたおかげで、概ね恵那嬢のメイン回と言っても良かったようで。彼女も最初に登場したときは護堂さんにも胡乱に思われていたようだけど、此処に来てポディション固まったなあ。あっけらかんとして男友達のような気安さで付き合えると同時に、女の子としては一途で健気。同じ健気な万里谷と比べて、サッパリしている分、幼いくらいの無垢さとまっすぐさがあって、この娘はこの娘で非常に魅力的なヒロインとしての出力があがってきたっ!
そう言えば、万里谷の方はなんでエリカを差し置いて正妻正妻と言われてたのかが良くまだ理解できてなかったのだが、皆との関係が成熟してきてようやくなぜ彼女が「正妻」なのか何となく実感できてきた。なるほどなあ。確かにこれは、たとえエリカが一番で第一夫人だとしても、万里谷は「正妻」だわ(苦笑
で、護堂さんの女であると同時に、戦友でもある彼女たち。此処に来て彼女たちもようやくガチンコで主と肩を並べて、あるいは主の背を守れるだけの実力を備えはじめてきた感じ。尤も、今までが足手まといだった、なんて事は全く無かったんですけどね。ホントにそういう印象全然なかったんだが、言われてみると確かに今までの彼女たちの実力では神々との闘争に介入できるまでの力は持ってなかったんですよね。持ってないにも関わらず、彼女たちはこれまでそこに勇躍飛び込んで護堂さんの力になってたんだから大したもんだわ。そこからさらに力を蓄え、まさしくカンピオーネ・草薙護堂の家臣と呼ぶに相応しい実力をふるえるようになってきたのだから頼もしい限りである。恐ろしいのは、彼女たち以上の騎士、魔法使いたちがまだわんさと居るって所だよなあ。それらを飛び越え、護堂たち魔王が存在しているんだから、とんでもない世界である。

とんでもないっちゃー、今回のアテナの暴れっぷりはまあとんでもなかった。さすがは戦女神アテナである。スケールがケタ違い。最初の戦いも相当にむちゃくちゃでしたけど、石化能力なんか笑っちゃうくらいだもんなあ。そこらへんの漫画やゲームのラスボスが束になっても敵いませんよ、これ。

恒例の薀蓄は、今回はわりと少なめ、と感じた気がしたけどよくよく振り返ってみると、アーサー王関連について結構掘り下げて書いてありましたね。しかも、今回って改めて見ると、エクスカリバーVS天の叢雲というデタラメと言っていい対決になってたんだよなあ。ともすれば有名すぎる剣同士すぎて、陳腐に成りかねないラインナップにも関わらず、それぞれ虚栄となりかねない名に対して、しっかりと実を与える、情報、歴史、伝承、神話、解釈、考察、ハッタリの積み重ねがあったが故に、栄えのある戦いになりましたね。とはいえ、どうやらまだこれは序の口。どうやらまだ真打ちとなるべき一戦が待ち受けているようですが。

とりあえずグネヴィアたちは、眠る最後の王がアーサー王という認識で疑いもしていないようだけれど、いや事実アーサー王でもあるのだろうけれど、黒王子アレクの言い様だとやっぱりただそれだけではなさそうなんだよなあ。どうやら彼は既にある程度その正体について推察が出来ているようだけれど。
あ、そうそう、この黒王子殿ですよ。この人、ダメだろう(笑
この人だけは、まだ人格的にマシなんだと思いたかったんだが、全然ダメだよ! 何が巻き込まれ型ですか。厄介ごとに首をつっこむどころか、完全に自分から厄介ごと巻き起こす方じゃないですか。ドニや翠蓮やヴォバンと何も変らないよっ。どこをどうひっくり返しても魔王でしかないよ。ああやっぱり、カンピオーネってのはどうしようもなくカンピオーネでしかないのか(苦笑

因縁の、あるいは宿命の好敵手であったアテナ。義姉となった翠蓮とは別の意味で、護堂の行く末を見守り、敵として寄り添い続けるはずだった女神。それがいなくなってしまうのは、やはり寂しい。どこか、あのウルスラグナとの戦いと別れを想起させる。そうか、護堂がカンピオーネとして得る力というのは、普通の魔王のように神から奪うのではなく、親愛を以て授けられるものなんだなあ。今はまだ眠れる力のようだけれど、アテナがくれた力はいずれ護堂にとっての最大の切り札になるような気がする。彼女は、護堂が自分以外の誰にも負ける事を許してはくれなさそうですしね。

家族ゲーム 75   

家族ゲーム 7 (電撃コミックス EX 電撃4コマコレクション 96-7)

【家族ゲーム 7】 鈴城芹 電撃コミックス EX 電撃4コマコレクション

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うわあああ、うわあああ、うわあああ、ついに、ついについにですよ! 五年越しの告白。西浦さんが、ついに真言に告白。長かった、いつかいつかと待ちながら作中時間で五年たち、このままどうにもならないままなのかとすら思った矢先に、真言が後輩から告白されたのを西浦さんに相談した際、勢いでついに!
そうなんだよなあ。二人って出会ったの真言が中一の時だったんだよなあ。そして今、高校二年生ですよ。もう三年になるんですよ。五年って目茶苦茶長いですよ、どんだけ長いこと引きずってたんだよ、西浦さん。
それでも、これまで確かにちょびっとずつ距離は接近してる風な感じはありましたけど、真言があんなんだけに手応えは全然なかったんですよね。彼氏彼女のフリまでしながら、真言にはそういう素振りも気配もなかったからなあ。
そう、無かったと思ってたんですよ。そうか、全然皆無ではなかったのかっ! 西浦さんも気づいていないくらいだから、そりゃわからんわ。あれとかあれとか、真言なりにヤキモチ焼いてたんだ!
それこそ無数のカップルが誕生しているこの作品ですけれど、真言はその中でも頭ひとつ抜けて恋愛音痴で鈍感でニブチンだと皆から認識され、実際そのとおりだったんですけど……もしかしてこれ、大外一気でまくり差しか!? 真言も既に高校卒業まで間がない事を考えると、遊佐家の両親みたく大逆転でこの二人が一番はやくおめでたいことになりかねない。
まあ、西浦さん、表紙見てもわかるように顔が死んでますけど(笑
これは真言が悪いわー。いやもうこの娘はこういう子だから仕方ないんですけど、西浦さんがフラレたと勘違いしてしまったのは仕方ないわ。バカだなあ。誰がとは言わないけど、バカだなあ。
いやでも誤解が変な方向に行くというわけじゃなくて、この調子だと西浦さん、うれしいサプライズになりそうじゃないか。あれだけ待たされたんだから、拗れずにハッピーになってほしいよ。

とりあえず一番順調そうなのが葵と悟か。葵が成長するにつれて意外とお固い考え方の持ち主だというのが分かってきたのが面白い。だらしない悟さんは嫌だなあ、とかどんだけ潔癖なんだよ。君、高校生の悟くんがどれだけ我慢してると思っているのかね。いやもう、チューくらいはしてもいいでしょうに。プレイが焦らしすぎる。
それでも、悟くん、この歳で大学卒業したら即座に葵を娶る気でいる気概はホレるわあ。気概というほどでもなく、すでに既定路線、当たり前の将来像みたいになってるのが凄いが。あっ、五年後には結婚します、とか平気でのたまったもんなあ。葵が高校卒業したら即座にかよっ。

そして、一番「結婚」という言葉が近そうなのが、尚武兄ちゃんと今川さんか。ついに尚武の実家で同棲だもんなあ。朝帰りまでしちゃったし。既に恋人を通り越して家族同然ですから、もう。温水家にも馴染んじゃいましたし、もう嫁だよなあ、これ。そんな状態でもまだ粘る由寿の根性が素晴らしい。何気に関係が離れるどころかむしろ接近してるもんなあ。

他にもカップルが出来たり出来なかったり。小竹と里奈は完全にくっつく流れだったのに、あそこからあんな事になるとはさすがに予想だにしなかったぜ。目が丸くなりましたがな。こりゃ、里奈っち男運ないわー。運がないというか、タイミングが悪い?

とにかく、ラストのコマで真言が素晴らしい恋する少女の笑顔を見せてくれたので、大満足。ではないよっ、そこで切るのかよ、西浦さんとの関係どう着地させるんだよっ、と物凄い気になるところで終わってるので、辛抱タマランですよこれ。まだ半年以上、場合によっては一年以上待たされることになるんだから、たまらんたまらん。
いつまでも待ってます、待ってます、でもなるべく早めにお願いしますぅ。

鈴城芹作品感想

ベン・トー 7.真・和風ロールキャベツ弁当280円5   

ベン・トー 7 真・和風ロールキャベツ弁当280円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ベン・トー 7.真・和風ロールキャベツ弁当280円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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美味しいものには、毒がある!?
「このライトノベルがすごい!2011」第5位ランクイン!シリーズ第8作!

半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋は、ひょんなことから未曾有の経済危機に陥り、『変態』の二つ名を体現する日々を送っていた。そんなある日修学旅行で槍水が不在になる間、佐藤は彼女の縄張りであるスーパーを託されることに。しかし槍水と入れ替わるようにHP同好会に烏頭みことと名乗る美人OGが現れ、佐藤は彼女に翻弄されてしまうのだった。烏頭はかつてHP部が解散するに至った原因は槍水にあると告げるのだが――。毒を食わらば皿まで!「狼」の誇りを持って落とし前はきっちりつけろ!庶民派シリアスギャグアクション第8作!
まさかのアニメ化の一報に界隈が湧き立つ中で登場したシリーズ最新作。読んで改めて思ったが、この人天才だろう。完全に狂気を制御しきっている。それも、あらゆる種類の狂気を、だ。
これって、アニメ化にあたっての問題は、この【ベン・トー】という作品が内包する「狂気」を如何に見せるか、だよなあ。眼に見える部分である表層をなぞる事は幾らでも出来るけれど、はたしてそれだけではこの作品の本質とも肝ともいうべき部分をまるで見せることが叶わない気がする。差し当たっては、主人公佐藤洋のエキセントリックで一本スジの通った思考回路を映像という媒体でどれだけ見せられるのか、という所である。此処を取り逃がせば、この作品の本質は七割り落としたも同然だし。近年、ライトノベルがアニメ原作となるケースが物凄い勢いで増えているけれど、【ベン・トー】みたいな作品は、文章によって起こされた物語を映像に変換する難しさを思い出させてくれるような作品で、正直アニメ化についてはそれほど期待し切れないんだよなあ。
アニメ化の話はさておいて、本編の方はついにこれまで引っ張られたHP部解散の謎の一端を抱えて、OG【ウルフズペイン】烏頭みことが現れる。
まさか、ここまでべっとりと粘度の高い女の情念を、ベン・トーで見せられる事になるとは思わなかったなあ。今回当事者の一人である槍水仙は修学旅行で不在、著莪あやめも実家に帰っているなどして出番は非常に少ないのだが、なるほど今回の話に置いては槍水仙と著莪あやめは言わば登場してはいけない役だったんだなあ、と納得。洋にとって、二人は憧憬と安らぎの象徴みたいな所があるんですが、烏頭みこととの対立が深まる状況下で洋が二人と逢う事は精神的な敗北へとつながっていたわけです。修学旅行に行っていた槍水先輩はともかく、著莪については週明けには戻ってきてたわけで、逢おうと思えば逢えたはずなのに、実際一度心の安定を求めるかのように著莪に逢いに行こうとする機会があるのですが、結局二人の介入を許すこと無く洋の戦いは続くことになる。今回の話は洋にとっては完全にとばっちりなんですが、それでも女の愛憎入り交じった情念とも執念ともつかない怨念に絡め取られ、心竦んでしまう話であるわけです。そんな折に、毒に侵され心折れかけた有様であの二人に逢うというのは、やっぱりダメなんですよね。心の弱り方に「女」が絡んでいる以上、洋たち当人が意識していなくてもやっぱり関係性として「女」という括りが絡み付いているあの尊敬して慕う先輩と、気心のしれた幼馴染では、洋の狼としての部分を取り戻すどころか余計に殺してしまう可能性すらあったわけです。他のケースなら、二人ともこれ以上ないくら位頼もしい支えになれるんですけどね。
だからこそ、今回洋を復活させる役割を得たのは【オルトロス】や茶髪たちのような戦友たちでなければならなかった訳です。アレほどドロドロに渦巻いた人間関係の破綻と拗れ、縺れを半額弁当争奪戦という舞台に引き込みながら、最終的に、上手い弁当を激闘の末に奪取し、喰って堪能する、という狼の原点に立ち返る事の出来るこの作品は、やっぱりとてつもない。しかも、その原点こそが在るべき人の心の営みを取り戻し、傷ついた心や迷いを癒し、導く事になるわけだから、殆ど魔法みたいなストーリー構成である。
あれほどぐちゃぐちゃドロドロの話の流れの中で、しっかりと今回の【和風ロールキャベツ弁当】が究極へと至っていく過程がこれでもかとしっかりと描かれ、【真・和風ロールキャベツ弁当】という月桂冠の本命がドーーーンと登場する衝撃をきっちりと支えてるんだもんなあ。特に今回の最終決戦は、今まででも例を見ないくらい凄まじいメンツの揃った頂上決戦だった訳で、そんなメンツが奪い合う最上の財宝として【真・和風ロールキャベツ弁当】はばっちりちゃんと格を得ていたわけで……くっそう、やっぱりこの作品の食い物は有り得ないくらいウマそうだ。
でも、残念だったのは頂上決戦が本物の頂上決戦にはならなかったことだよなあ。正直、あのメンツでの本当の決戦をぜひ見たかった。特にウィザードは現れる事自体稀なレアキャラなだけに。オルトロスだって普段は狩場が違うんだし。
いやしかし、まだこれからも機会はあるか。ウィザードは帰国してしばらく此処にいるみたいだし、実のところHP部解散の真相は未だ全容は明かされてないわけですし、ウィザードと魔女の関係もまだ本当のところは見えてないですしね。

にしても、やはり茶髪はもう二つ名持ってもいいんじゃないのかな、という位に凄腕だよなあ。今回だって何気に一番イイところ持ってったし。というか、此処ぞという決戦で毎回いいところ持って行くわけだし。さらに、名無しの狼としてさらにウルフズカットの少女が登場。そうか、新入生か。まだまだ未熟で幼い狼なのが、そうか洋たちも戦場に立ちだしてもう後発が出てくるくらいになったんだなあ、という実感が。しかし、なんでおんなじ学校にも関わらずHP同好会に入ってくれないんだよ! まあ明らかに洋のせいなんだがw
その洋の爆笑過去回想は今までの中でもこの巻が一番絶好調だったんじゃないだろうか。本数も多かったし。こいつとその仲間の話はそれだけ本に纏めてもベストセラーになりそうなくらい面白いよなあ。革命話なんか、笑い死ぬかと思った。どんな光景だよ。

シリーズ感想

狼と香辛料 16.太陽の金貨(下)4   

狼と香辛料〈16〉太陽の金貨〈下〉 (電撃文庫)

【狼と香辛料 16.太陽の金貨(下)】 支倉凍砂/文倉十 電撃文庫

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行商人ロレンスと狼神ホロの旅、本編ついに感動の最終章!!

 デバウ商会によって新貨幣が発行され、自由と希望の町となるレスコ。ロレンスはそこで、ホロと共に店を持つことを決めた。しかしその矢先、コルのズダ袋を持った人物が現れ、二人はデバウ商会の内部分裂による事件に巻き込まれることとなってしまう。ホロは、禁書を得るためキッシェンへ。ロレンスは、デバウ商会に追われミューリ傭兵団とともに雪山を越えることに。バラバラになってしまった二人の運命は!?
 行商人ロレンスと狼神ホロの旅を描く新感覚ファンタジー、ついに本編感動のフィナーレ!

最後の最後に、ロレンスの今後の生き様を問う話になったなあ。
ホロと一生添い遂げる結びつきを得て、商人の町として新世界を拓こうというレスコにて、店を構える。ロレンスが夢見た理想が全部叶おうとした矢先だったからこそ、ロレンス個人の夢ではなく、彼が商人として抱いてきた理想や矜持そのものを否定されるような現実を前にして、彼が今後ホロと生きていく上でどのように人生を歩んでいくつもりなのか。確かに、最後を飾るには、読者としてこの巻のページをめくり終えたあとは、ホロとロレンスの行先をただ思い描きながら見送るしか無い身としては、本当のどん底に陥ったロレンスがその上でどんな選択をするのかを知る事は、安心と確信を得る事になるんですよね。ただ、夢を叶え理想を手に入れただけだと、いつかそれが破れ去った時にもしかしたら二人の人生に不幸が訪れるんじゃないかと一抹の不安が残ってしまう可能性もありますし。途中で、散々ホロとロレンスが煽りあっていた不安でもあったわけで。
でも、こうして先にロレンスが底の底を目の当たりにしてなお選んだ決断を見たならば、そしてホロもまた自分より先に連れ合いが逝ってしまう確実な未来に怯えるだけでなく、あの男を叱責したような想いがあるのなら、もう安心して見送れる。
その意味では、この最終巻はロレンスとホロの旅路の先に見える懸念という懸念を全部払拭する事に終始した巻だったのではないだろうか。
なんとも、実直にして実務的な話じゃないか(笑
まあだからこそ、後日談はやっぱり必要だったと思いますよ。ロレンスとホロのロマンスを見守ってきた身としては、幸せの確信と確約ばかりではなく、余韻みたいなものも欲しかったですしね。庶民としては、契約書だけじゃなくちゃんと現物もしっかり自分の目で見て触りたいものなんですよ。

しかし、ロレンスとホロのラブラブっぷりはもう行きつくところまで行ってしまいましたね。状況が危急続きだった事もあるのでしょうけど、普段みたいな迂遠な言い回しによる想いの駆け引きでイチャイチャという流れじゃなくて、もう直接、ダイレクトに、誤解の仕様のないくらいストレートな愛の言葉をぶつけ合うぶつけ合う(笑
特にホロのデレっぷりときたら。もう繕うの完全にやめてますよ。周りにも隠そうとしないし。それだけ、切実だったのかもしれませんけど。状況的に。
フラフラと深みにハマっていこうとするロレンスを、今回必死に服の裾を掴んで引っ張って、止めよう止めようとしてましたしね。あの「わっちは主のお姫様なんじゃろう!?」発言には、ホロのデレっぷり以上に必死さが感じ取れましたし。
でも、そうした必死さが逆にホロが相棒や恋人を通り越した「奥さん」っぷりを発露しているようで、ちょっと嬉しかったりニヤニヤしてしまったり。
ロレンスとの旅路で色々と考え方の変化を得てきたホロだけど、考えてみると一番彼女のお尻を蹴っ飛ばしたのって、あの教会のエルサになるんですよね。二人の仲を、ごちゃごちゃ言ってるけど結局愛し合ってるんでしょ!? とズバッと指摘して二人を後戻りできなくさせたのもエルサですし、今回ホロに最後の一押しをくれたのも、登場すらしていない彼女だったわけで。エルサ、よい仲人役になるぜ、これ(笑

当初は、いや中盤まで良い別れを以て終わることを予感させていたロレンスとホロの二人の旅が、こんな形で終わりを迎え、伴侶として新たな旅に出立していく様を見送る完結を読むことになるとは、こんな幸せな、最良の形で終わりを見る事が出来るとは思ってもいませんでした。
傑作でしたよね。ライトノベルの中で確かにひとつの金字塔となった作品だと思います。まだもう一つ短篇集が出るようで、そこで後日談の方も伺えるようなので、そこでの余韻を心待ちにしつつ、一先ずページを閉じたいと思います。

シリーズ感想

はたらく魔王さま!5   

はたらく魔王さま! (電撃文庫)

【はたらく魔王さま!】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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Kindle BOOK☆WALKER
魔王城は六畳一間!? フリーター魔王さまが繰り広げる、庶民派ファンタジー!

 世界征服まであと一歩だった魔王サタンが、勇者に敗れてたどり着いた先は、異世界『日本』の東京・笹塚だった! そんな魔王が日本でできること。それはもちろん“世界征服!!”──ではなく、アルバイトをして生活費を稼ぐことで!? その頃、魔王を追って時空を越えた勇者エミリアもまた、テレアポとして日本の貨幣経済と戦っていた。そんな二人が東京で再会することになり──?
 六畳一間のアパートを仮の魔王城に、今日も額に汗して働く魔王さまが繰り広げる、庶民派フリーター・ファンタジー登場!
結論から言うと、すんげえ面白かった。言い換えるとめちゃくちゃ面白かった!!
魔王サタンなんて安易な名前を使っているものだから、内容の方も兎に角ノリ重視特化型で中身のない勢いだけの作品なのかと不安だったんだがどうしてどうして。中身が無いどころか、地に足の着いた表現力についてはちょっと新人離れしてないか、これ? キャラクターたちの、実際に働いて生活費を稼いで家賃、光熱費を払って、生活必需品を買って毎日しっかり生活してます、という生活感がリアルすぎてビビるくらい。異世界から現実世界の日本に来て、文明レベルや文化の違いに戸惑い困惑しながらも日本での生活に慣れていく、というパターンの作品は枚挙の暇がないけれど、正直ここまで生活というものにリアリティを感じる作品を見たことがない。というか、異世界から現実世界に、というパターンどころじゃなくて、普通に現代日本を舞台にしたものでもライトノベルでこれだけ生活感を感じさせてくれるのって読んだことが無いですわ。まあ、ライトノベルは大概子どもが主人公だから当然といえば当然だろうけど。社会人が主人公のガチの恋愛ものとか、仕事がメインの漫画とか行かないと、こういうコミカルにして実在的な話って見ないよなあ。
そうなんだよなあ。日本で生活するには、まず戸籍が必要で住居を確保するには不動産屋に相談するのが必須で、健康に生活するにはとりあえず国民健康保険には入っておかないとマズイんだよなあ(笑
最初期に戸籍を入手する際など多少催眠魔術を使ったとは言え、基本的に無一文から犯罪など起こさず正当な手段で貧乏なりにも生活していけるだけの衣食住を確保し、安定した収入を得るに至った魔王さまこと真奥貞夫と悪魔大元帥アルシエルこと芦屋四郎のバイタリティは尊敬に値します。いや、ホントに凄いんですよ。バイトバイトに明け暮れて、勤務内容も真面目で優秀ですし。なんだよ、勤務態度優秀な魔王ってw
いやいや、侮ってはいけません、笑ってはいけません。現在契約社員として務めているファーストフード店での接客態度はぶっちゃけ神がかってました。そんなに出来る店員、滅多と居ねえよ!! それはもう、こっそり様子を伺っていた勇者が、魔王のくせになにやってんだと逆ギレするほどにw
その勇者は勇者で、やっぱりこちらの世界では力を発揮できず普通の人間になってしまったが為に、生活のためにテレアポの仕事をしてるOLをやってるんですけどね。こっちはこっちで、わりと高収入の仕事を確保して、ちゃっかりマンションなんかに収まってるあたり、ある意味魔王たちよりも上手くやってるわけですが。
魔王のくせに、魔王のくせに、とか言ってる勇者様ですけど、アンタだって財布落とした際に、銀行カードやクレジットの手続きをしないと、と昼休みに行列の出来る店に誘ってくれた同僚に断りながら愚痴ってるとか、あ、最近はカード類は電話するだけで止めるだけは止めれるのよ、とちょっとした豆知識を開陳したり。どんな勇者だ!! 完全にそこらのOLじゃないか(爆笑
日本での魔王と勇者初遭遇の際なんて、痴話喧嘩と間違えられて交番に連行されて調書まで取られてるし。どんな勇者と魔王だw
この作品の警察は、真奥と勇者エミリアこと恵美が謎の敵に襲われた際も、遺留物の真奥の自転車から所有者を割り出して、真奥を参考人として呼び出したり、恵美に身元引受人として来て貰ったりと、ちゃんと警察らしく仕事してるんですよね。そうだよなあ。警察って普通こういう風な仕事してるんだよなあ。他のラノベじゃ、何もしてないか、逆に特殊な部署が出てきて活躍したり、と極端な登場しかしないので、こうして普通に警邏課が実直に仕事してるのを見てると何やらジーンと感動してしまった。いやいや。

兎に角、様々な部分に身近な生活感が感じられるんですよね。部屋の中の家具や小物の配置から、身につけている衣服、通勤用のスーツについてのあれこれや、ちょっとした生活習慣に到るまで。それらが、単なる置物としての背景に留まっておらず、キャラクターの存在感や魅力として生き生きと活用されているのです。ぶっちゃけ、魔王と勇者、という異世界ファンタジーとしての要素が皆無の、現代が舞台のドラマでも、面白さの格は何一つ変わらず落ちず、創りあげられるんじゃないだろうか、この作者なら。かと言って、ファンタジー要素が邪魔だなんてことは全く無いですよ。異世界から飛び込んできた魔王たちと勇者が、普通の人間として日々を懸命に生きているというギャップや、自分たちを追ってきた第三の敵に図らずも共闘して戦うという展開も非常に面白かったですし。
さらに言うと、あの真奥のキャラクターは興味深いですよね。元々善人の魔王だった、というわけじゃなく異世界では典型的な魔王だったにも関わらず、魔力のほとんどを引き剥がされ人間同然になってしまったこちらの世界での真奥は、なんか凄い性格イケメンになってますし、異世界に舞い戻り魔王として再起を果たす、という目論見を些かも捨ててないにも関わらず、現状に対して絶望も不満も抱いておらず、まずは現在の職場で正社員になるんだっ、と非常に前向きに生きてますし、魔王として魔力を取り戻して戻るにしても、かつてのようにどんな犠牲を払っても、どんな手段を使っても、何がなんでも、という気持ちはまるで無いようだし。
そりゃ、勇者としてはかつての仇敵の変貌に混乱するだろうし、葛藤も生まれるよなあ。しかも、魔王軍との戦いは義務や使命感などからではなく、恵美は自分の父親の仇として、復讐者として戦ってきたわけだし。
そんなギャップに積もり積もった鬱積が爆発し、自分の復讐心も露に魔王に詰め寄った時の、彼の弁解のような謝罪のような、曖昧な内容が、実はけっこう自分は好きだったりします。
変に理屈をこね回して論破するでもなく、全面的に今までの所業を悔いて謝るのでもなく、あの戸惑いながら、実際彼女の悲しみや怒りに対して罪悪感を感じながら、でも今まで自分が魔王としてやって来たことに対して悪気を感じていないような、ただ今後魔王として戻るならちょっとこれまでのやり方を考え直すべきだよな、とでも考えていそうな、なんだろうこれ、自身の内面の変化によって過去と同じ事を以降も続けるべきではないと思いながらも自分の過去を否定する気はさらさらない、というふうな在り方? 反省はするけど後悔はしない? 見方によっては卑怯とも取れるそれが、自分には何故か好ましく思えてしまったのが、ナンでだろうと思いつつも面白い、うん面白い。
結局のところ、ここで描かれている人の在り方というのは、恵美の同僚にして友人である梨香が語った、かつて経験した大災害によって学んだという人間哲学、「今までの価値観がまっさらになったとき、人間ってどう転ぶか分からないんだよね」に尽きるのかもしれない。恵美は、その発言の後の言葉の方に関心が言ってしまって、この言葉についてはあんまり気に止めなかったようだけど。

何にせよ、この新人作品はとびっきりに面白かったです。続編が出るにしろ、新作になるにしろ、これは最優先で追いかけないと♪

ココロコネクト ミチランダム5   

ココロコネクト ミチランダム (ファミ通文庫)

【ココロコネクト ミチランダム】 庵田定夏/白身魚 ファミ通文庫

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そして──永瀬伊織は壊れていった。

「太一とは、付き合えません」太一は正式に伊織に告白し──玉砕した。異常な現象が起こっていても関係ないと、決死の覚悟で臨んだ想いは儚く散り、その上、重い足を引きずり向かった部室でフられた事をメンバーに知られてしまう! 部内は騒然となり、稲葉は動揺を隠せない。伊織が場を取りなそうとしたその瞬間、彼女の心と感情が響き渡り……。そして、その日を境に永瀬伊織は変わってしまった──。愛と青春の五角形【ペンタゴン】コメディ、岐路と選択の第4巻!
傑作。最高傑作。読み終った後に、これほど胸がぽかぽかにアッタマって、キューッと本ゴト抱き締めたくなってしまったような作品を傑作と言わずしてなんという。
ああもう、この子たちは素晴らしい、素晴らしいなあ。一人ひとり、ギュッと手を握って、ギューーゥと抱きしめて、バンバンと背中叩いて、ナデナデと頭を撫でてあげたい。君たちは本当に素敵でかっこ良くて可愛くて愛おしい子たちなんだと思ってることを、直接伝えてあげたくてたまらない。その代わりを、こうやってキーボードを叩いて発散しているわけなのだが。
もう、キューーッ、である。ムギューーーッ、である。たまらんぜー。みんな大好きだっ。

ふぅ、一先ず行き場のない塊を発散できた。落ち着け落ち着け。
 
実のところ、今回の「ふうせんかずら」が仕掛けてきた現象「感情伝導」は、今まで太一たちに起こった数々の現象と比べるとまだ大人しい部類のものだった。身体と精神が入れ替わってしまったり、理性が働かずに欲望のままに動いてしまったり、精神ごと身体が過去のものに若返ってしまったりといった現象に比べれば、「感情伝導」は太一たち身内の間にしか発言せず外部には直接影響が派生しない。そういった意味で、一番おとなしい現象のはずだったのに……伊織の破綻によって影響は普段の学校生活や友人関係にまで及んでいってしまうことになる。地味に最大のピンチだったんですよね。何気に、文化研究会を解散しなきゃならないんじゃないか、とまで思いつめる事になったのは初めてだった訳だし。
ただ、落ち着いてよくよく考えてみると今回の「感情伝導」で壊れてしまったのが伊織だけ、というのは凄いことなんですよね。これまでで一番大人しい現象とはいえ、外部に影響が出にくいだけの話で、その内容はというと自分が心のなかで思った、考えたことが感情ごとテレパシーみたいに伝わってしまう、という自分の心の中を洗いざらい見られてしまうようなものなのです。普通なら耐えられないでしょう。まともに、お互いの顔も合わせられないはず。自分の全部をさらけ出して、平気で居られるはずがない。多分、最初の頃の彼らならやっぱり耐えられなかったでしょう。五人の関係はズタズタに修復がきかないくらいに切り裂かれてしまっていたはず。
そう考えると、今のこの五人の関係というのは凄いというか凄まじいというか。これまでの事件を経て、もうこの五人は自分の弱い部分も醜い部分も、こいつらになら見られても仕方ない、心の奥底まで覗かれてしまっても、こいつらなら大丈夫、という関係になってるんですよね。勿論、そんな境地や関係に到るまでに彼らはそれこそ心がズタズタになる寸前にまで傷めつけられ、その上で痛みを乗り越え、お互いを信じ、友情を深めていったその結果として今があるわけです。安易な仲良しごっこの結果なんかじゃありません。心を傷だらけ血塗れにした上での信頼関係なのです。
今回の伊織の破綻もよくよくみると、自分の心が覗かれる事そのものについて忌避してた訳じゃないんですよね。彼女が壊れたのは、これまで上手くやってきた事が突然出来なくなってしまったから。どうやって今まで自分を、永瀬伊織という人間をやってきたのかがわからなくなってしまったから。彼女自身、難しく考えすぎていてたというのもあるんだろうけど、これまで普通にしてきたことが突然やり方からわからなくなってしまった時って、とてつもないパニックになるんですよね。当たり前のようにしてきたことだから、これまで通りにしようとしてもその方法がわからない。多分、前巻のラストらへんから、やや自分のあり方考え方について情緒不安定になっていた所に、今回の感情伝導で外部から自分の内側を観測された際に伊織らしくない、と皆から否定されて締まったことで、何が自分なのか訳分かんなくなっちゃったんでしょうね。もう、今回の現象は明らかに伊織をピンポイントで狙っていたとしか思えない。
そんなパニックになってしまった伊織に、真っ向からぶつかっていく太一と姫子、唯と青木の四人。すれ違い、戸惑い、右往左往しながらも、これまで一緒にボロボロになって、全部さらけ出して乗り越えてきた皆の絆は、変わり果ててしまった伊織に対して、困惑や怯えは生まれたとしても不審や疑念だけは抱かせない。当たって、ぶつかって、お互いに傷ついて、図らずも傷つけあって、それでも憎しみや怒りには変貌しないんですよ。自分を哀れんだりせず、ひたすらに相手のことばかり思ってる。薄っぺらな偽善や信念などではなく、それはこれまでの時間で彼らが勝ち取ってきた確かな強さな訳です。どれだけ傷ついても痛めつけられてもへこたれない、強くなったこの子たちが、本当に眩しかった。最初の弱かった頃を知っているから、此処に到るまでの必死の頑張りを余すこと無く知っているから、この子たちが最後まで負けまいと、伊織を失うまいと俯かずに歯を食いしばって頑張る姿が、ひたすらに嬉しかった。
最高だよ、君たちは。

これは永瀬伊織の限界を越えてしまったが故の破綻と、その先に太一や姫子たちの手助けで得た再生の物語。人間を人間が救うなんておこがましい。その点に置いて、太一の自己犠牲願望が彼の成長と共に鳴りを潜めていったのは良い方向性である。でも、自分を救うのは自分でしかなくても、きっと誰かの助けは必要なんですよね。助けあって生きていく、助けあって成長していく。そうする中で、支え合い理解し合うことで生じる恋がある、芽生える想いがある、弾ける衝動がある。好きだという感情が、花開く。
そのなんて素敵なことでしょう。

今回の稲葉姫子は、恋する稲葉姫子は、無敵を通り越して輝いてました。もう、無茶苦茶可愛い。史上に燦然と輝くくらいのとびっきりの、尋常じゃない可愛らしさ。もはや、兵器レベルの凶悪さ。前巻までのデレ可愛さですら、既に致命的な殺傷力だったにも関わらず、そこからさらに二段階、三段階レベルが違ってしまってる。
そんな超絶ヒロインでありながら、同時に姫子は対伊織戦の核弾頭として地べたを這いずりながらも、血反吐を吐きながらも、真っ向から歯を食いしばって突貫していく伊織のヒーローでもあったわけです。まあ、姫子に限らずこの文化研究部の五人って、自分以外の四人に対してヒーローでありヒロインでもあるんですけどね。でも、姫子はその中でもとびっきりだわ。ある意味、一番弱くて脆くて不器用なくせに小器用な責任感の強い子だったからこそ、主人公の太一を上回る勢いで縦横無尽に走りまわっていくわけです。
だからという訳じゃないけど、稲葉んが報われてよかったよー。デレばんって、どんななんだろう、もう気になって仕方ない。ああでも、そうかー、そうかそうか、うんうん。もう、相好が崩れて仕方ない。幸福感が後から後から湧いて出てきて尽きようがない。ヨカッタヨカッタ。素晴らしかった。素敵でした。最高傑作でございました。

こりゃ、始まってる漫画版とか、今度出るらしいドラマCD版も気にした方がいいなあ。今は、ココロコネクト関係、なんでも見境なく漁りたい気分だ。

シリーズ感想

FB CollectDrama03「ココロコネクト 夏と水着と暴風雨」
FB CollectDrama03「ココロコネクト 夏と水着と暴風雨」(ドラマCD) 水島大宙(八重樫太一) 豊崎愛生(永瀬伊織) 沢城みゆき(稲葉姫子) 金元寿子(桐山唯) 寺島拓篤(青木義文)

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まおゆう魔王勇者 2.忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀5   

まおゆう魔王勇者 2忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀

【まおゆう魔王勇者 2.忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀】 橙乃ままれ/toi8 エンターブレイン

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こうして分割されたものを読むと、初期には精力的に新たな概念を持ち込み、硬直した世界を揺さぶりに掛けていた魔王が、この時期はパタリと活動を停止しているのがよく分かる。
だが、主体的な先導者が一時的に消失したとはいえ、既に動き出した既存の世界を揺るがす激動のうねりは消え去ること無く、南部諸国に在する人々は旧来の体制を維持しようという変革への強烈な敵意を前に、岐路に立たされる。
そこで飛び出したのが、あのメイド姉による人間宣言だった。
此処から始まった事こそ、手を引かれて歩く赤子から自分の足で立って自分の思い描こうとする世界に辿り着こうと歩き始める、自立した人間たちの物語だ。魔王が撒いた種が芽吹き始め、人々は自分の意志で、魔王と勇者が夢見た「まだ見ぬ丘の向こう側」を自らの夢として望み始め、それを勝ち取るための戦いを始めるのだ。
そして生まれ始めるものこそ、多様性である。
勇者が提唱した、聖教会からの湖畔修道会の独立と南部諸国による国教化。青年商人が南部諸国をまるごと数回は国ごと買い占められるという同盟の巨大な財力を全力で駆使した凄まじい仕手戦によって描き出した、経済圏の分割。そして、完全悪であり人類の敵、意思疎通の余地のない滅ぼすべき敵に過ぎなかった魔族、そして異世界と思われていた魔界が、交渉の成り立つ隣人であったという、固定観念の撃滅。これらはすべて、多様性の獲得であると同時に、自分と他者を分けて認識することによって発生する相互理解と受容と刺激、それに伴う発展の萌芽であり、人が認識している世界の拡大なのである。
まだこの時点ではごく僅かな人だけが気付き始めているだけだが、彼らがこれまで生まれ持ってきた価値観が根こそぎひっくり返るような、とてつもないパラダイムシフトが既に起こり始めている。その事実を一番初めに捉え、率先して加速させ初めているのが、青年商人や商人子弟といった経済という概念を武器として戦っている面々である事は、魔王が自らを経済学者と名乗っている事からも興味深い話である。これは、彼らが国や慣習といった枠組みに囚われずに、流動する経済といううねりを知覚し、その解析と運用を常にロジカルに徹して行っているからなのだろうが。それが結局、時代の先鞭を付ける結果となっているのは実に面白い。
そして、目先の利益追求にとらわれず、青年商人が火竜公主の意見を汲んで仕掛けた戦争を止めた事は、彼もまたまだ見ぬ世界を望み、創りだそうとしているクリエイターの一人となった事の証左なのだろう。本来その商才を以て世界を変革する第一人者となっていく役割のはずの彼が、何がどうしてこうなったのか、情縁をもって価値観をひっくり返す先駆者となっていくのもまた、洒落がきいているというかなんというか。
彼以外にも、メイド姉の人間宣言を受けて立ち上がった南部三国の王侯たち。紅の学士(魔王)の薫陶を受けた軍人師弟、貴族子弟、商人子弟もまた、それぞれが望むべき「まだ見ぬ丘の向こう側」を自らの内に発見し、それを創りだすための戦いを開始する。

魔王と勇者、たった二人の特異点を中心に生まれた激動は、この巻を始まりとして、無数の焦点を産み始めるのだ。勿論、その点たるモノたちは未だ萌芽である。種から芽吹いたばかりの若葉に過ぎない。だが、次の三巻では種の芽吹きは魔界からも生まれだし、生まれた焦点たちは点から繋がって線となり、やがて面となって世界そのものをとてつもない衝撃と共に塗り替え始めるのだ。
そして、撒いた種を芽吹かせる雨と肥やしを撒くための、魔王と勇者の戦いが忽鄰塔(クリルタイ)にて今まさに始まろうとしているわけだ。
まさにこれ、革命前夜である。

さて、挿絵の方であるが、温泉話にきっちり挿絵つけてくれてるのはよくわかってる、よくわかってる!! これから見る限り、女騎士は本気でチッパイのなっ! それに比べて、魔王様とメイド長のけしからん事けしからん事。これが駄肉というものかっ!!

1巻感想

子ひつじは迷わない 回るひつじが2ひき5   

子ひつじは迷わない  回るひつじが2ひき (角川スニーカー文庫)

【子ひつじは迷わない 回るひつじが2ひき】 玩具堂/籠目 角川スニーカー文庫


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またまた『御悩相談千客万来 不迷羊会』!
生徒の悩みを解決に導くなるたまたち「子ひつじの会」の前に現れたのは、なんとメイド姿の女の子! オムライスをめぐるナゾに、仙波はいつも以上に乗り気じゃなくて――!?

うわぁっ、なにこれ無茶苦茶面白いッ! 面白い面白い面白い!!
相変わらず話がベラボウに上手い上に、物語としての柔軟性、発展性が桁違いに高くて余裕たっぷりなんですよね。個々のキャラクターの掘り下げに関しても、直裁的に主要登場人物の内面を掘り下げていくダイレクトアタックではなく、ふんだんに判断材料となる言動を提示することによって読み手側に論理的かつ感覚的にその人となりや考え方、そして事件を通じて生まれる変化を捉えさせるかのようなやり方をとっていて、実に心憎い。据え膳置かれるんじゃなく、自分で考え掴みとる事から得られる読者としての快感を実に心得ていると言える。その点では、第一話での国語の問題の意図は、この作品にも一部当てはめられるのかもしれないなあ。
何にせよ、エンタテインメント作品としても青春劇としてもラブコメとしても、殆どこれ「完璧」と言っていいんじゃないでしょうか。それも、終着点としての完璧ではなく、さらにバージョンアップの過程にあるにも関わらずの「完璧」。
いやあ、デビュー作の一作目もこれは大した作品だと感じましたけど、二作目読んで確信しました。これ、ホンモノだ。

これも一作目で感じた事だけど、議事録における注釈によるボケツッコミが素晴らしすぎて気絶しそう。もう、どうしたらいいんだってくらいに絶妙な間合いなんですよね。
一話の国語の問題は、これ生徒が作った問題としては破格ですよね。難易度の問題じゃなくて、解答に至る過程の発想の機智がまた並外れてる。さらに面白いのが、問題の解答の出し方のさらに上位に秘められていた出題者が解答者に出した本当の正解。これが明かされた時には思わず喝采をあげました。
しかしこの問題、最初は現国だとは思わなかった。てっきり、歴史か文学の問題かと思ってあれ? と思ったんですよね。この答えって、三国志の知識がある程度あったら答えられそうなものばかりだったし。固有名詞らしいのは倉舒くらいしか出てなかったですもんね。呉の孫うんたあという名詞で場所と時代とはわかりそうなものだけど。

二話の謎のウェイトレスがもたらした、オムライス死体遺棄事件もまた絶妙なお話で。オムライスが日替わりランチで出される日に限って、店の路地裏に捨てられる小動物や虫の死骸の謎。ウェイトレスが最初に供出してくれた情報で、おおよそ犯人は推察できるのですが、なぜオムライスが出される日に限って、その場所に死骸が捨てられるのか。その真相に到るまでの過程が、最初に提示された関係者、容疑者などの情報でパタパタとドミノが倒れるみたいに明らかになっていくのは、痛快にして爽快の一言。鮮やかなものである。この辺、一話でもそうだったけど、日常系ミステリーとしても見事な出来栄えなんじゃないだろうか。って、元々日常系ミステリーだったっけか、これ。仙波は典型的な安楽椅子探偵ですしね、というような話は前巻の感想でも触れてたっけ。

そして極めつけの第三話。
洞庭神君の竜王の娘を娶って神仙に登ったという経歴って、銭塘君関連を調べてた時に観た話で何か聞いたことあるなあ、と思って調べたらそのまま銭塘君の姪っ子夫婦の伝承だった。ただ、その後の銭塘君の姪っ子を娶って洞庭湖を継いだあとの柳毅は知らなかったんですよね。なるほどなあ、そんな事になってたんだ。
自分でも儘ならない、自分が律する正しさと自分を満たす充足との齟齬。青春をこじらせてるとかそんな話じゃなくて、これは若者だろうと大人だろうと多かれ少なかれ抱えている自己矛盾であり、その擦り合わせや正解はやはり多かれ少なかれ自分自身で結論付けないといけない話だと思うんですよね。それを意図的に誘導しようとするなるたまは小賢しいと言えば小賢しいんだが、明らかに傷つく方向に突き進んでいる人を止めないのはやっぱり見捨てる、ということなのかなあ。結局、今回のケースは性格とは言え自分の本心と相反する方向への突進だったし、彼女を慕う人を巻き込む形にもなっていた以上、なるたまの引っ張り出してきた方法は正解ではあったはず。何よりも皆が欲していたのは、自分の正しさを脇に置ける納得であったわけだし。
まあ、そんななるたまの小賢しさを、やすやすと蹴り破る形でシッチャカメッチャカに大暴れした挙句に、なるたまが企図したよりも綺麗に後腐れなく纏めてみせる竹井会長の快刀乱麻っぷりには惚れそうですが。敵わんよなあ、この人には。文芸部の部長も大怪獣だけど、この人はこの人で三国志は合肥の張遼みたいなもんだろう。遼来来、である。
これで、幼馴染の弟分であるなるたまがちょっと甲斐性見せたら、数日は上機嫌で居たりするところがある当たり、根っからのお姉さんというか可愛らしい所があるというか。
佐々原といい、キャラクターが本当に充実している。テッレルを貼れない独特にして個性的な面々が実に味わい深い存在感を醸し出してるんですよねえ。いやあ、この話に出てくる登場人物、みんな好きだわ。
それでいて、肝心の主人公(?)のなるたまが、なかなか掴みどころのない人物なのが興味深い。一巻を読んだときはもっと特徴的で尖ったところのある個性的な人物なのかと思ったものだけれど、今回は思いの外自己主張が小さかったんですよね。それでいて、存在感が薄いというのでもなく、普通の人というわけでもなく、いやでも普通のやつっぽくもあって、とにかくよくわからない。

とりあえず、オムライスにマヨは邪道だろう、とわりと強壮なマヨラーながら私も力強く提言しておく。

1巻感想

封殺鬼 帝都万葉4   

封殺鬼 帝都万葉 (ルルル文庫)

【封殺鬼 帝都万葉】 霜島ケイ/也 ルルル文庫

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「鵺」の事件から1年。東京で邪気に憑かれる者が続出し、桐子とふたりの鬼が調査を開始する。志郎が知り合いから譲り受けた黒い気配をまとう簪が、事件解明の鍵になるかもしれない。簪にまつわる因縁をたどる桐子たちの前に、謎の虚無僧が出現して…。待望のシリーズ最新刊。桐子と志郎の関係にも、ついに変化が訪れる!?
来た、来ましたよ、鵺子ドリ鳴イタの続編。続きを見てみたいと思いつつも、逆に続きを見るのが怖いという気持ちがあったシリーズですが、いざ読めるとなるとやはり嬉しい。鵺子ドリ鳴イタのラストに二人が結婚するという記述があったので、もしかしたらあそこで話を締める事もあるのではと勘ぐっていたんですけどね。どうやら、桐子と志郎の物語、最後まで書き切るつもりの御様子。ならば、最後まで見守るしかあるまいて。
今回の話は闇の世界のそのまた奥底を除くようなダークなお話とは少し違って、この世に未練を残した幽霊も絡んでの、桐子に恋とはなんぞや、異性を想い焦がれるとはなんぞやと教授するかのような、ちょっとポップなラブコメモード。暗く切ない幽幻の空気感を自在に扱う作家として印象の強い霜島さんですが、これでノリの良い、惚けたコメディタッチの話も抜群に上手い人なんですよね。古いけど【琥珀のティトラ】シリーズなんか明るく突っ走る作品で好きだったなあ。
と、話を戻して今回はこれまでの桐子の物語の中では頭ひとつ抜けて穏やかで、淡い人の想いが優しく交錯するお話でした。お陰で桐子も神島当主として、闇の秩序を司る長としての振る舞いに終始する事もなく、自然と年頃の女の子としての顔がこれまでよりも前面に出ていたような気がします……って、これまでよりもって、これまでなんかそんな少女の顔なんか滅多に表に出てこなかったのに、凄く変わったな、桐子。彼女がそういう顔を見せるのって、本当に心を許した僅かな人の前だけだったのに。それも、彼女自身が意図して緩めて垣間見えるのではなく、もはや金型のように固まった神島当主としての在り方の隙間から、一瞬零れ落ちる、とでも言うかのような僅かなものだったのに。
桐子が、普通の女の子みたいだ。
その事実が、結構な勢いでショックだった。
それ以上に、桐子と志郎がこんなにも当たり前の情熱で恋心を育んでいた事がショックだった。自分、二人の関係ってもっと熟成して落ち着いた愛情によって成立していくものなのだと思い込んでたんですよね。こんなにも熱に浮かされたような、初々しくも情熱的な想いが交錯しているなんて。桐子はもっと恋愛に対してはクールだと思ってたし、志郎だって、あんな浮世離れして俗世から乖離してるような執着心とは程遠い性格をしてたのに。
桐子も、志郎も、そんなにお互いの事、好きだったのか。当たり前の恋人のように、相手に夢中だったのか。
……ヤバいなあ。
二人のやりとりって、もう傍から見てるだけでホッペタが緩みっぱなしで、甘甘の糖分過多で、ニヤニヤしっぱなしなんですが、だからこそ……泣きそうになってくる。
多分、恐らく、きっと、昭和6年、今この時こそが、桐子と志郎にとって思い返すだけで幸せで胸が一杯になる思い出で成り立った、最良の時間だったのだろう。
異界のお堀で逢瀬し、猫叉と戯れ、志郎を引っ張りまわして資生堂パーラーでアイスを頬張り、銀ブラを楽しみ、可笑しな幽霊の願いを叶えるために帝都中を連れ立って歩きまわる。立場も柵も介在せず、想いの綱引きもまだ生まれていない、ただ手を繋ぐだけのような心だけが浮き立つ時間。人を好きになるという今を噛み締めるだけで良かった時間。
折しも志郎が予感しているように、きっと今この時が二人にとって何の憂いもなく満ち満ちて居られた時間だったのだろう。
まったく、この二人がこんなにも当たり前に強く恋しあっていた事に、こんなにショックを受けるとは思わなかった。
未来で、桐子が吐く事になるあの言葉の重み、痛みが全然違って見えてくるじゃないか。どんな思いで、彼女があの言葉を呟いたのか、想像するだけで泣きそうになってくる。
ああ、聖と弓生はもう千年も、こんな光景を見続けてきたのか。二人の抱える孤独と絶望が、今さらのように実感できた気がする。いや、この二人が生きた長い人生の中でも、桐子と志郎のように親しんだ人たちは殆ど居なかったようだから、その痛みは想像するに余りある。封殺鬼シリーズで、病床にあって特に目立った活躍のなかった隆仁がどこか特別な扱われ方をしていたのは、聖たちが神島から離れること無くあの人にこだわり続けた理由がようやくわかった気がする。

と、ついつい悄然としてしまうのはこちらの勝手で、繰り返しますが今回のお話は最後まで明るいです。勿論、伝奇小説らしいおどろおどろしい話も、関東大震災の地獄とその後処理の話などで触れられていますが、音吉姐さんと嘉助のおっちゃんという幽霊二人組が、お前ら幽霊のくせに存在感ありすぎ! という明るいキャラクターで、相変わらず脳天気な聖と合わせて今回の話の明るさを支えてくれてました。二人とも、死んだ理由からしてアレだもんなあ(苦笑
幽霊の恋の未練というと、随分とドロドロとした話になりそうでしたけど、音吉姐さんの抱えていた未練は幽霊としては場違いなほどに粋なもので、その解決は爽やかで清涼感のある清々しいものでしたし。恋を知らない桐子の良い相談役として、明後日の方向に行ってしまいそうな桐子をきちんと正しい恋する女の子の道へと導いてくれたことからも、ある意味半端ない重要なキャラだったのかも。桐子には聖や弓生のような兄貴分の保護者は居ても、また母替わりとなってくれる人は居ても、同性の年上の姉的な人ってこれまで皆無でしたからね。一期一会とは言え、桐子には良い影響になったんじゃないでしょうか。

ああ、やっぱり無茶苦茶可愛いなあ、桐子様。先々の切なさなど吹っ飛ばすくらいに、今の桐子様は可愛らしい。最後の志郎とのやりとりの時の彼女など、仕草の隅々まで反則レベルである。
巻末の掌編【夢見月】も、素敵極まってます。もう、でたらめにかわいいなあっ!


霜島ケイ作品感想
 

6月28日

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6月27日

浦上ユウ
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猫夜叉/亀小屋サト
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たくま朋正/伊藤暖彦
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綾村切人/ナフセ
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結城鹿介/髭乃慎士
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幌田
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6月25日

十文字青
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鬼影スパナ
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迷井豆腐
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篠崎 芳
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寺王
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御鷹穂積
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メグリくくる
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雨川水海
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江口 連
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和島 逆
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KK
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雨川透子
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6月24日

芝村 裕吏
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志瑞祐
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長月 達平
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長月 達平
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月見 秋水
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三月みどり
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花間燈
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衣笠彰梧
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常世田健人
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ジルコ
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疎陀陽
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九十九弐式/すかいふぁーむ
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甘岸久弥
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yokuu
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天ノ瀬
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ラチム
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櫻井 みこと
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御手々 ぽんた
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支援BIS
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藤也卓巳
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ひろやまひろし
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ひろやまひろし
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横田卓馬/伊瀬勝良
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ぶんころり/プレジ和尚
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蛍幻飛鳥/志瑞祐
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水無月すう
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鈴見敦/八又ナガト
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御宮ゆう/香澤陽平
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人生負組
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ZUN/水炊き
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神地あたる/白米良
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黒杞よるの/雨川水海
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村光/ベニガシラ
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七六/鬼影スパナ
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天羽銀/迷井豆腐
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白砂/麻希くるみ
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木乃ひのき/雨川透子
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6月23日

日向夏/ねこクラゲ
(ビッグガンガンコミックス)
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押切蓮介
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小林湖底/りいちゅ
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深見真/真じろう
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金田一蓮十郎
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佐藤真登/三ツ谷亮
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萱島雄太
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優風
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栗井茶
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栗井茶
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6月22日

浅草九十九/和ヶ原聡司
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安里アサト/シンジョウタクヤ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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中山幸
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三ツ矢だいふく
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内藤隆/榎宮祐
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花鶏ハルノ/相川有
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久真やすひさ
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衣笠彰/紗々音シア
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フジカワユカ/理不尽な孫の手
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藍屋球/アネコユサギ
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クマガエ/宮澤ひしを
(イブニングKC)
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カルロ・ゼン/石田点
(モーニングKC)
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泰三子
(モーニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニングKC)
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瀬下猛
(モーニングKC)
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NICOMICHIHIRO
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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鍵空とみやき
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藤近小梅
(ガンガンコミックスJOKER)
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田代哲也
(ガンガンコミックスJOKER)
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柊裕一
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村田真哉/速水時貞
(ガンガンコミックスJOKER)
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都月景/いふじシンセン
(ガンガンコミックスJOKER)
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殿ヶ谷美由記
(ガンガンコミックスpixiv)
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6月20日

風間レイ
(TOブックス)
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ほのぼのる500
(TOブックス)
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楢山幕府
(TOブックス)
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リッキー
(TOブックス)
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こりんさん
(GCN文庫)
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武田すん
(ヤンマガKCスペシャル)
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ペトス/橋本カヱ
(ヤンマガKCスペシャル)
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千田大輔
(ヤンマガKCスペシャル)
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Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
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小坂泰之
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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6月19日

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6月17日

上遠野浩平/カラスマタスク
(ジャンプコミックス)
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野田サトル
(ヤングジャンプコミックス)
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二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
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双龍
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深川可純/広報広聴課ゾンビ係
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ
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中山敦支
(ヤングジャンプコミックス)
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光永康則/入鹿良光
(ヤングジャンプコミックス)
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ソウマトウ
(ヤングジャンプコミックス)
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中村力斗/野澤ゆき子
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
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栗山ミヅキ
(少年サンデーコミックス)
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高橋留美子
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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福井セイ
(少年サンデーコミックス)
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安西信行
(少年サンデーコミックス)
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新井隆広/青山剛昌
(少年サンデーコミックススペシャル)
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日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
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麻生羽呂/高田康太郎
(サンデーGXコミックス)
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池澤真/津留崎優
(裏少年サンデーコミックス)
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山田 リツ
(裏少年サンデーコミックス)
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寺嶋裕二
(講談社コミックス)
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三宮宏太/西田征史
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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福留しゅん/天城望
(フロースコミック)
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伊吹有/葉山湊月
(フロースコミック)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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三河 ごーすと
(富士見ファンタジア文庫)
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桜生 懐
(富士見ファンタジア文庫)
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陸奥 こはる
(富士見ファンタジア文庫)
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高橋 びすい
(富士見ファンタジア文庫)
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恵比須 清司
(富士見ファンタジア文庫)
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三原 みつき
(富士見ファンタジア文庫)
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あボーン
(富士見ファンタジア文庫)
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白井 ムク
(富士見ファンタジア文庫)
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綾里けいし
(ガガガ文庫)
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カミツキレイニー
(ガガガ文庫)
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伊崎喬助
(ガガガ文庫)
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平坂 読
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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緒二葉
(ガガガ文庫)
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川上 稔
(電撃の新文芸)
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美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
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草薙 刃
(電撃の新文芸)
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時田 唯
(電撃の新文芸)
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6月16日

樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
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松岡健太
(マガジンエッジKC)
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さとうふみや/天樹征丸
(講談社コミックス)
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あだちとか
(講談社コミックス)
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和武はざの
(講談社コミックス月刊マガジン)
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6月15日

石田リンネ(富士見L文庫)
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猫田パナ(富士見L文庫)
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佐々木禎子(富士見L文庫)
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仲町鹿乃子(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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鍋敷(アース・スターノベル)
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LA軍(アース・スターノベル)
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天然水珈琲
(アース・スターノベル)
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西尾維新(講談社文庫)
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葛城阿高(ビーズログ文庫)
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ぷにちゃん(ビーズログ文庫)
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小田ヒロ(ビーズログ文庫)
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綾河ららら
(サーガフォレスト)
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バッド(サーガフォレスト)
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真安一(サーガフォレスト)
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カヤ(サーガフォレスト)
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コイシ/緑黄色野菜
(コロナ・コミックス)
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よこわけ/やしろ
(コロナ・コミックス)
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わかば/白露雪音
(コロナ・コミックス)
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小田山るすけ/たつきめいこ
(コロナ・コミックス)
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6月14日
ふか田さめたろう
(GA文庫)
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星奏なつめ(GA文庫)
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冬坂右折(GA文庫)
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白石定規(GAノベル)
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星崎崑(GAノベル)
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えぞぎんぎつね
(GAノベル)
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三木なずな
(GAノベル)
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カイシャイン36
(GAノベル)
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よっしゃあっ!
(GAノベル)
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6月13日


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6月12日

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6月10日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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天那光汰/梅津葉子
(ガンガンコミックス)
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おーしおゆたか
(角川コミックス・エース)
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猫田ゆかり
(角川コミックス・エース)
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リムコロ
(角川コミックス・エース)
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冥茶/萩鵜アキ
(角川コミックス・エース)
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浅野りん/ヤングエース編集部
(角川コミックス・エース)
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春花あや
(角川コミックス・エース)
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経験値/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
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佐島勤/おだまさる
(電撃コミックスNEXT)
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古宮九時/越水ナオキ
(電撃コミックスNEXT)
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ベキオ/ていか小鳩
(ガンガンコミックスONLINE)
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森田季節/シバユウスケ
(ガンガンコミックスONLINE)
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顎木あくみ/みまわがお
(ガンガンコミックスONLINE)
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加藤衣緒
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/夏海ケイ
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/刻夜セイゴ
(ビッグガンガンコミックス)
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飯島浩介/汐里
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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イノウエ
(サンデーうぇぶりSSC)
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こじまたけし
(サンデーうぇぶりSSC)
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白井もも吉
(サンデーうぇぶりSSC)
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オジロマコト
(ビッグ コミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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田村由美
(フラワーCアルファ)
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もこやま仁
(裏少年サンデーコミックス)
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影崎由那/川獺右端
(アース・スターコミックス)
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相模映/吉田杏
(アース・スターコミックス)
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となりける/shiryu
(アース・スターコミックス)
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ユンボ/風楼
(アース・スターコミックス)
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秋乃かかし/裂田
(アース・スターコミックス)
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東崎惟子(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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和ヶ原聡司(電撃文庫)
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白金透(電撃文庫)
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鎌池和馬/冬川基
(電撃文庫)
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佐島勤(電撃文庫)
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二月公(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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真代屋秀晃(電撃文庫)
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周藤蓮(電撃文庫)
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瀧岡 くるじ
(カドカワBOOKS)
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小田 ヒロ
(カドカワBOOKS)
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壁首領大公
(カドカワBOOKS)
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七夕 さとり
(カドカワBOOKS)
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KK(カドカワBOOKS)
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うみ(カドカワBOOKS)
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ふか田 さめたろう
(宝島社)
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魔石の硬さ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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地雷酒(TOブックス)
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サンボン
(TOブックス)
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蒼月海里(角川文庫)
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椹野道流(角川文庫)
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森見登美彦/原案:上田誠
(角川文庫)
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桑原水菜(角川文庫)
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仁木英之(角川文庫)
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6月9日

石塚千尋
(講談社コミックス)
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荒川弘/田中芳樹
(講談社コミックス)
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奈良一平
(講談社コミックス)
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小玉有起
(KCデラックス)
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横田卓馬
(シリウスKC)
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高田裕三
(シリウスKC)
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長谷川三時/七烏未奏
(シリウスKC)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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村上よしゆき/茨木野
(シリウスKC)
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K9/小林裕和/支援BIS
(シリウスKC)
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冬葉つがる
(シリウスKC)
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樋野友行/瀬戸メグル
(シリウスKC)
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刀坂アキラ/加茂セイ
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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西田拓矢/海空りく
(シリウスKC)
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松琴エア/はにゅう
(シリウスKC)
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原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
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山本やみー/門馬司
(KCデラックス)
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一二三
(KCデラックス)
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がしたに/MITA
(KCデラックス)
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うかみ
(KCデラックス)
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エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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桜野みねね
(BLADEコミックス)
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森野きこり
(BLADEコミックス)
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6月8日

かみはら(早川書房)
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西尾維新(講談社)
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ちんねん/能一ニェ
(BRIDGE COMICS)
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佐藤二葉
(星海社COMICS)
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山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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6月7日

泉光
(アフタヌーンKC)
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TNSK
(アフタヌーンKC)
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水瀬るるう
(まんがタイムコミックス)
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琴子/TCB
(ガンガンコミックスONLINE)
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枢呂紅/優月祥
(ガンガンコミックスUP!)
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雨後一陽/とちぼり木
(ガンガンコミックスUP!)
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西島ふみかる/白縫餡
(ガンガンコミックスUP!)
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雨沢もっけ
(ガンガンコミックスUP!)
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ふか田さめたろう/松元こみかん
(ガンガンコミックスUP!)
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えぞぎんぎつね/春夏冬アタル
(ガンガンコミックスUP!)
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リキタケ/三木なずな
(ガンガンコミックスUP!)
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琴子
(SQEXノベル)
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猫子
(SQEXノベル)
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平成オワリ
(SQEXノベル)
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榛名丼
(SQEXノベル)
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蝉川夏哉
(宝島社文庫)
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貴戸湊太
(宝島社文庫)
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6月6日

智弘カイ/カズタカ
(KCデラックス)
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ippatu
(ヤンマガKCスペシャル)
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6月5日

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6月3日

いつきみずほ
(ドラゴンノベルス)
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夢・風魔
(ドラゴンノベルス)
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矢吹健太朗
(ジャンプコミックス)
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助野嘉昭
(ジャンプコミックス)
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ONE/村田雄介
(ジャンプコミックス)
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松井優征
(ジャンプコミックス)
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伊科田海
(ジャンプコミックス)
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権平ひつじ
(ジャンプコミックス)
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鏡貴也/山本ヤマト
(ジャンプコミックス)
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水あさと
(ジャンプコミックス)
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篠原健太
(ジャンプコミックス)
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針川智也
(ジャンプコミックス)
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時田時雨
(ジャンプコミックス)
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猗笠怜司
(ジャンプコミックス)
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佐々木尚
(ジャンプコミックス)
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賀来ゆうじ
(ジャンプコミックス)
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末永裕樹/馬上鷹将
(ジャンプコミックス)
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大須賀玄
(ジャンプコミックス)
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バブル製作委員会/肘原えるぼ
(ジャンプコミックス)
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三部けい
(角川コミックス・エース)
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長岡太一
(角川コミックス・エース)
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佐茂すけ/竹村優希
(角川コミックス・エース)
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関崎俊三
(角川コミックス・エース)
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封宝/富樫聖夜
(フロース コミック)
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此匙/浜千鳥
(フロース コミック)
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神栖みか/シロヒ
(フロース コミック)
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武シノブ/江本マシメサ
(PASH!コミックス)
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柳矢真呂/ぷにちゃん
(PASH!コミックス)
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深山キリ/もり
(PASH!コミックス)
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さーもにずむ
(PASH!コミックス)
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