かにビーム

毎晩ちゅーしてデレる吸血鬼のお姫様 ★★★★   



【毎晩ちゅーしてデレる吸血鬼のお姫様】  岩柄 イズカ/かにビーム GA文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス
「あなたの血がもっと美味しくなるように私がお世話してあげるのです!」
吸血鬼なのに血が苦手なお姫様は、なぜか僕の血で酔いデレる!?

「ねえ、しろー……ちゅーしていいですか?」
普通の青春を送るため上京してきた紅月史郎は学校の帰り道、吸血鬼のテトラと出会う。
人間離れした美しさとスタイルを持つ彼女だが、実は吸血鬼なのに血が苦手だという。
史郎は新鮮な血でないと飲めないというテトラの空腹を満たすため血を差し出す。「そこまで言うなら味見してあげなくもないのですよ?」と言いながらひと口飲むと次第に表情がとろけだし――?
「しろーの、もっと欲しいです……」
なぜか史郎の血と相性が良すぎて依存してしまいテトラの好意がだだ漏れに!?
毎晩ちゅーをせがむ吸血鬼のお姫様とのデレ甘ラブコメ!!

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幼馴染の山吹さん 2.文学少女は文の上をゆっくり歩く ★★★   



【幼馴染の山吹さん 2.文学少女は文の上をゆっくり歩く】 道草よもぎ/かにビーム  電撃文庫

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見事“青春の呪い”を解いた灯里と喜一郎の前に呪いの精霊・小春が再び現れ、新たな青春ミッションを告げる―。『文学少女が望む理想の出会いを果たし、彼女の物語を完結させろ』文学少女にしてたった一人の文芸部員・瀬尾美咲と、さっそく接触をはかる灯里と喜一郎。果たして呪いが告げる彼女の物語とは!?そんな二人の前に…「創研部と文芸部の部室、取り替えっこしない?」創作研究部部長・立河すみれが現れ、さらなるトラブルを巻き起こす!?一度しかない高校生活を、僕と彼女が全力で駆ける青春ラブコメディ第2巻。

……うむ。これね、なかなかラストシーンが印象的なんですよ。古い文学作品なら、こういう〆方ってあるのかな。イメージとしてはそんな感じなんですよね。
そして、そのラストは呪いの精霊の嘆きであり、見方によっては「彼女」にとってのバッドエンドを示唆しているようにも見える。もちろん、ここで描かれた物語は美咲にとって決して無為などではなく、最後に立河さんにも言われたように確実に良い方向へと影響が出ているのです。
しかし、彼女の中に芽生えたもっとも大切で輝かしいものが、無残に潰えたのは小春のセリフからも明らかなのです。
この青春の呪いの精霊は、決して青春や少女たちの恋のものがたりを嫌っているものではありません。それどころか、一巻で見せたように彼女の呪いは呪いでありながら祝福の面もありました。一度目の山吹さんとキィくんの間に育まれ、そして記憶消去によって消されてしまった想いは、しかし記憶が失われてもなお確かに残され、今二人はかつての疎遠な関係から脱却し、仲の良い幼馴染という少し前では考えられない距離感へと近づき、もう少しでその向こう側へと飛び越えようとしています。
喜一郎は、山吹灯里との幼い頃の約束をちゃんと覚えていて、それを果たすことに何の疑いも持っていません。それは、小春にとって自分の呪いが祝福へと繋がっているのだという証明でもあったのではないでしょうか。
しかし、ここで繰り広げられた呪いの第二弾は、はたして誰かにとっての祝福足り得たのでしょうか。文学少女の物語は確かに完結し、終わったままきっと眠りにつくのでしょう。そこには何の意味があったのか。小春は、このとてもキレイな青春の夢が消えていく様を嘆き、その主である美咲はついに何も知らぬまま。肝心の灯里と喜一郎の物語にとっても、文学少女の青春の夢は何の意味があったのか。この本編において、山吹さんって特にらしい存在感を示していないんですよね。肝心なときには席を外しているし、そこで頑張る喜一郎はそこでは美咲のために、或いは文学少女の物語に関わる登場人物たちの本気の青春のために頑張るのだけれど、その中に山吹灯里は居ないのである。せめて、喜一郎と灯里が二人なくてはならないコンビを組んでこの問題に挑んでいたら、これは二人の物語でも在った、と言えたのかもしれないけれど。少なくとも、端緒はその形をとっていたし灯里もまた奮戦はしていたのだけれど、どうしても灯里と喜一郎の二人が一緒に手に手を取って頑張る、という構図にまでは届いていなかったように思う。どうしたって喜一郎が主体で有り続け、文学少女がその対象であり、灯里はお手伝い、という範疇にとどまっていたようにしか見えなかったのである。
だから、この本編は山吹灯里という幼馴染と喜一郎の物語としてはほとんど存在価値を見いだせない寄り道であったように思えてしまう。そして、そのヒロインである文学少女にとっても、その青春の夢のもっとも輝かしい部分は呪いによって掻き消されてしまったのだ。
すべては、最後の小春の嘆きに集約される。まるで、そのセリフをこそ書きたかったかのように。小春にそれを言わせたかったかのように。さながら、そのセリフに至るためにこの一冊があったかのように。
これこそが。青春の苦い味わい、というものであろうか。

一巻感想

幼馴染の山吹さん ★★★☆  

幼馴染の山吹さん (電撃文庫)

【幼馴染の山吹さん】 道草よもぎ/かにビーム 電撃文庫

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彼女にかけられたのは青春の呪い!? 笑ってちょっと泣ける学園ラブコメ。

「ねぇ、あかりちゃん。ぼく、やくそくするよ」
それは幼い頃に幼馴染の山吹灯里と交わした約束。けれども、今ではきっと青葉喜一郎しか覚えていない約束。
それから時は流れ、二人は自然と疎遠になり気付けば高校生になっていた。
地味な喜一郎とは違い、すっかり誰もが認める美人になった灯里だったが――
『今から貴様は呪いを受ける』
突然ふりかかった“青春の呪い”によって、彼女の存在は徐々に消されていき!?
彼女を救うためには、数々の青春(試練)をこなすこと!? 再び動き出した二人の時間。一度しかない高校生活を、少年少女が全力で駆ける青春ラブコメディ。

世界一・かわいいよ!!
とまあ自他ともに認める超絶美人の山吹さん。でも、彼女自身が自負する自分の可愛さって、他人が彼女に見ている可愛さとはまたちょっと質が違うんでしょうね、これ。山吹さんは、自分の可愛さを誇っているけれど、それを武器にして振り回しているわけじゃあない。彼女にとって「かわいい」とはとても素敵なことで、ただそれだけなんですよね。だから、自分以外の可愛さに対しても目がなくて愛でることに労力を惜しまない。彼女にとって、自分の可愛さも周りの可愛さも本質的には代わりのないもので、本当にただ「可愛い」ものが好きなだけなのだ。
それに対して、彼女を見ている周りの人たちは、その山吹さんの超絶的な「可愛さ」を崇拝してしまっている。超越したナニカを象徴するものとして、その可愛さを崇め奉っている。人によってはその「可愛さ」を自分のものにしたいと欲し、人によってはそれは他人が触れて良いものではないと祭り上げようとする。
主人公の喜一郎もまた、そんな崇拝者の一人になってしまっていたのだろう。山吹さんにとってはいちばん身近な幼馴染だったのに、彼のほうが勝手に彼女を奉り、神聖化し、恐れおののいて遠くから崇めることを選んでしまった。
二人の意識の隔絶は、あまりにも深く、あまりにも互いに理解の範疇の外にあり、本来ならそのまま年月が流れることで疎遠という関係は完全な断絶へと至ったはずだったのだろう。
ただ辛うじて、お互いに交わし、お互いに相手が忘れているだろうと思っていた約束だけが、二人を繋いでいた。意識の階層を違えてしまった二人が、辛うじて同じ高さで繋がるものが、その約束だったのだ。だがそれも経年劣化によって脆くなり、きっと時間の問題だった。
呪いとは同時に祝いであるのだという。
さて、かの呪いを施した霊樹はいったいどういうつもりだったのか。呪いというにはあまりにも理不尽なそれは、しかし喜一郎が手伝うことで随分とクリアが楽なものになっていた。というよりも、もはや内容からして二人の意識の隔絶を埋めるためのものとしか思えない内容なんですよね。しかし、その最後は随分と意地悪で、かの呪いの精霊さんは、まあお節介であるのでしょう。同時に、甘酸っぱい青春というものに、斜に構えたものも持っていらっしゃるようで。
学校という青春の場をずっと見守り続けた存在としては、そのもどかしい気持ちとリア充爆発しろという相反する気持ちを拗らせるのも、わからなくはないわけで。多少の意地悪もしちゃうよなあ、というものである。呪いなんてのは建前で、それはきっと祝いであり、そしてやっぱり試練なのだ。
応援するのは恋する少女で、蹴っ飛ばすべきなのは拗らせた男の子の方であるのは世の真理である。ダメンズはもっと痛い目を見るべきんじゃないか、と思わないでもないけれど、それで泣くのは女の子の方なので、やっぱり手心は加えるべきであり、しかし試練は自力で乗り越えて貰わないとやはり様にならない。その意味では、呪いの精霊さん、かなり良いバランス感覚の持ち主だったんじゃないだろうか。恋する少女的には、もっと十八禁ラインを跨いでも大丈夫的な心境だったのかもしれないけれど、さすがは学校在住の精霊、わりと風紀には厳しかったりスルのはなんともはや。いや、そこまでやっといて、呪い掛けた側がセーブさせるのはずるくない?と思わないでもないのだけれど。
できれば、肝心の青春ミッションの数をもうちょっと増やしてほしかったなあ。数的にあれだけだと、チュートリアルクリアしたら即座にラストミッション、みたいな感じで全然物足りなかったし。何気に山吹さんの方が最初から青信号だった、というのもあるんだけれど、もう少し長々と、そして徐々にイチャイチャの深度濃度があがっていった方が泥沼感があって濃厚だったのに、と思わないでもない。さすがにさっぱりしすぎでしたしねえ。

 

4月25日


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