徒然雑記

終日のたりのたりかな  
  オロチのまどろむ庭TOP  読書メーター  月刊書籍発売カレンダー  書籍感想・殿堂作品
  書籍感想・著者索引(表紙絵附) 書籍感想・著者索引(シンプル版)  書籍感想・作品タイトル索引(シンプル版)
  10月の漫画新刊カレンダー  10月のライトノベル新刊カレンダー
  11月の漫画新刊カレンダー  11月のライトノベル新刊カレンダー
 

さくらねこ

聖剣士さまの魔剣ちゃん 3 ~魔剣ちゃんは常にかわいいので、今回はハイエルフに注目していきます~ ★★★★   



【聖剣士さまの魔剣ちゃん 3 ~魔剣ちゃんは常にかわいいので、今回はハイエルフに注目していきます~】 藤木わしろ/さくらねこ HJ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

魔剣ちゃん大好き仲間を求め、いざ行楽都市へ!?

折れた魔剣ちゃん=セレスタの復活を目指すケイルたち。
そこで心強い味方を増やすべく、かつては魔剣の所持者であった謎多き幽霊(?)美女ハワワさんに会うため、ケイルたちは行楽都市ヴェルミアへの遠征を決める。
海に温泉にとレジャーを楽しむ傍ら、金欠から魔獣絡みの依頼を受けるケイルだが――

「それじゃリーシュはどうしたいんだい」
『とりあえずわたしの気が済むまでボコボコにして欲しいです』

コミカライズも絶好調な魔剣ファンタジーラブコメ、第3弾!
ハト! ハトがズルいよ!! ハト頭のムキムキ男出現のビジュアルイメージのあまりのキモさに爆笑してしまったんですけど! 殆ど一発ネタだけでも面白いのに、そこからヨロイ騎士化ハトにフルアーマー・ハトの畳み掛けるようなコンボはギャグのテンポが良すぎて、ちょっともうお腹痛いw
いやー、ほんとこのコメディのノリといい間といい、自分にはどストライクでめっちゃ好きですわー。
何気に根幹となっているストーリーラインは緩いどころかむしろ一直線にシリアスなんですよね、これ。そもそも魔剣という存在自体が少女たちを生贄にして生まれているようなもので、それを聖剣という殻の中に押し込めて使っていたようなものですしね。
そして、魔剣というものが世の中で忌み嫌われているのも、その戦略兵器並の強力さよりも印象操作の方が原因としては強いようですし、世に生まれてしまった魔剣とその使い手は影で処理されてしまっている、というかなり残酷な歴史が遙かな過去から続いているという。悪意と悲劇が連綿と今に至るまで続いているような、なかなか極悪な状況だったりするんですよね。
件のハワワさんとその魔剣であるセレスタが殺され、封印され、ハイエルフ(犬)が永きに渡って流離うことになったのもそれが理由ですし。
もちろん、その悪意は今も健在でリーシュとケイルにもいつ襲いかかってきてもおかしくないのが現状。なので、ふと気を抜くと途端に話はシリアス方面へと傾いていってしまう。

それを自らテコ入れして、シリアスには行かせない、と頑張る主人公たち……w
いやこの、魔剣ちゃんの顔を曇らせないために、とにかく何があろうと緩く行くぞ! という気合入りまくったコメディ路線堅持には、そこまでやられるとちょっとした感動まで芽生えてくるね!
口だけではなく、ちゃんと身体も張ってるし。

シリアスな空気を出すと装着者に骨が透けて見えるほどのビリビリ電撃を食らわせてくれる腕輪! とかいう、どうしたらそんなものを発想するんだ、という魔道具まで自分たちで作って自分たちで装着するケイルたち。引っ張り出してきたケイルだけじゃなく、渦中の当事者であるハイエルフ(犬)まで流れで一緒になって装着するの、さすがは歴戦の(犬)だよなあ、セリスw
おかげでどんなシリアスな展開になっても、ケイルとセリスがビリビリしてるもんだから、どうやってもシリアスにならない! 超無理やりコメディ路線を堅持するその気合っぷりは、もうお見事としか。
元魔剣所持者であるハワワさんと、件の折れた魔剣セレスタを見る限り、歴代の魔剣使いは全員が魔剣ちゃんダダ甘路線の変態みたいだし、魔剣ってわりと全員ナチュラルドSなのか。
魔剣サイドの登場人物たちが濃ゆすぎて、黒幕サイドがシリアス感を目一杯だしながら真面目に悪者ムーブしようとすればするほど、シリアス殺されるという悲劇。
敵側、コメディに乗るようなキャラじゃなくほんとに真面目に悪者なので、もうコメディ展開に蹂躙されてメタメタにされるの可哀想なくらいなんだけど、元々がゲス野郎なので悪党ムーブをギャグで潰されるという屈辱がざまぁ感出てて素晴らしいですもっとやれw

ともあれ、濃ゆいキャラばかりとはいえ、女の子はみんな可愛く、仲良く、ギャグでコメディではあっても永きに渡り離れ離れになっていた大切なモノ同士が再会するという感動展開はいささかも減じないのでありました。ひたすら尊い、てぇてぇ、てぇてぇ。
こういう温かい空気を守るために体張ってシリアス潰すケイルくんは、多少ヤバい人だろうとちゃんと主人公してると思いますよ。ヤバいやつだけど。


聖剣士さまの魔剣ちゃん 2.~主のために頑張る魔剣を全力で応援しようと思います ★★★☆   



【聖剣士さまの魔剣ちゃん 2.~主のために頑張る魔剣を全力で応援しようと思います】  藤木わしろ/さくらねこ HJ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

魔剣ちゃん、まさかの冒険者デビュー!?

世界一かわいくて危険な魔剣ちゃんことリーシュの主として日々幸せを噛みしめる聖剣士の青年ケイル。
そんなケイルの真摯な想いに応えるべく、人間になりたいと願うようになったリーシュは魔剣化防止のストレス解消も兼ねて冒険者デビューをすることになるが――

「僕も付いて行くけど、後ろで見守っているだけにしようかな」
「いえ、ケイル様はお留守番です」
「………………え?」
かわいいが炸裂する絶好調ファンタジーラブコメ、第2弾!
ケイルさま、本当にただ応援してるだけで何もしてないやん!
魔剣が危険視される現状と今後について説明されたために、ちゃんと事情を理解した上で人間らしくなろうと頑張るリーシュ。
一巻では純真無垢に何をしでかすかわからない、実際しでかしてしまうリーシュのフォローの為にあれこれと走り回り後処理やら事前のカバーなど必死に走り回っていたケイルでしたが、リーシュが上記のようにちゃんと弁えてくれたお陰で前みたいにフォローに走り回る必要なくなっちゃったんですよね。青い顔しながら駆けずり回る必要がなくなってしまったわけだ。
そうなるとどうなるかというと、ただひたすらリーシュかわいい、と言うだけの生き物になってしまってまあ……。
魔剣という事に拘らないようにするリーシュは、つまり四六時中使い手であるケイルにひっついている必要もなくなり、それどころか人間になるために一人で頑張ることになり、冒険者デビューして町の外に出たり、矢文ちゃんと一緒に買い物したり、と自立して動くことも多くなったわけです。
それを、四六時中ついてまわって見守るケイルと、ケイルと同じ方向性の変態であるハイエルフ犬のセリスのストーカー二人組。
こいつらが、もう常時ハイテンションでドタバタ大騒ぎしながらリーシュを付け回すわけですよ。なにこれ!?ってくらいもう作品の空気感が、ハイテンション!
影で見守るストーカーと化したケイルとセリスが薬でもキメてるんじゃないかというテンションで、リーシュの行動の一部始終を漫才実況するという、なんかもう意味不明な展開にw
お互いボケとツッコミを自由自在に入れ替えながら繰り広げられる漫才実況は、ここぞというタイミングで「リーシュかわいいぃぃぃ!」でケイルとセリスが見事にシンクロして区切りを付けて間を入れるのが無闇に高度なテンポ構築になっていて、なんか悔しいんですけどw
真っ当な人間になろうと頑張るリーシュの影で、どんどんと人間としてあかん領域にダイビングしていく聖騎士とハイエルフのコンビの対比が、なんともかんとも。
ただ、リーシュ可愛いのは真理なだけに、仕方ないと言えば仕方ない。これに加えて矢文ちゃんがもう当たり前みたいに姿を見せてリーシュと並んで、これまた可愛らしく女の子二人の可愛いコンビネーションを見せてくれるので、相乗的に可愛いが加速して変態二人がさらにハイテンションになるのも、まあ仕方ないかなあ、と。だって可愛いし。そして変態二人は気持ち悪い!

いや、わりとちゃんと物語の方も進行していて、魔獣とかドラゴン退治、みたいな血腥いことには一切ならずに、前に仲良くなったワイバーンのワイワイとの交流から古き竜とコンタクトが取れることになって、なぜ聖剣がしゃべる魔剣となるのか。人間の間で残されている歴史上からは隠れてしまった世界の真実の一旦が、徐々に垣間見えてくる展開をしっかりやっているわけですが。
なんでかもう、ケイルとセリスのハイテンション漫才実況ばかりが印象に残っちゃって。ストーカーのくせに声でかいよ、ふたりとも! そして特に意味なく七色に発光し続けていたケイルくん。
この主人公、なにやってんだ、ほんとに今回なにやってたんだ?

ともあれ、この最初から最後まで一向に衰えないままだったハイテンションのノリに、キレキレの会話の応酬は読んでてひたすら楽しかったです。いやマジでこのノリで最後まで突っ走るのは凄えわさw



聖剣士さまの魔剣ちゃん 1~孤独で健気な魔剣の主になったので全力で愛でていこうと思います~ ★★★☆   



【聖剣士さまの魔剣ちゃん 1~孤独で健気な魔剣の主になったので全力で愛でていこうと思います~】 藤木わしろ/さくらねこ HJ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

聖剣士ですが最強にかわいい魔剣の主になりました。

国家を守護する誉れ高き聖剣士に任命された青年ケイル。
そんな彼は自らの聖剣を選ぶ儀式で聖剣ではなく、人の姿になれる聖剣を超えた伝説の存在――魔剣を目覚めさせてしまった!
強大すぎる魔剣の力が周囲から危険視される中、自分を主と呼ぶ可憐な魔剣美少女リーシュを前に、ケイルはただただ、思った。

「かわいい」「えっと、主様」「?かわいい。すごくかわいい」

かくしてケイルは孤独な魔剣ちゃんを幸せにするべく全力を尽くした結果、王都を離れて辺境で冒険者を始めることに!?

魔剣ちゃんはかわいい、とにかくかわいい。それである意味話は完結している。可愛い女の子を幸せにしてあげたい、という欲求は世界の真理の一つだ。とても純真で素直で健気で主さまとなったケイルを慕ってくる魔剣ちゃんリーシュ、彼女がただの女の子なら幸せにするなんて簡単だっただろう。何しろ聖剣士ケイルは性格も能力もパーフェクトイケメンなのだから。
問題はただひとつ、彼女が人ではなく魔剣であったということ。戦争など遠い昔のことになった平和な時代、魔獣災害という危機はあるもののそれも冒険者を中心とした対処するシステムが安定的に構築され、人々は平穏に健やかに暮らしている。
そんな中に突如強大な、それこそ一撃で都市を吹き飛ばすような、森を一薙ぎで切り払うような戦略兵器モドキが現れたらどうなるか。当然のように危険視され、封印されかかった魔剣ちゃんを救うため、彼女の行動と使用に全責任を負って監視のもとに国を追われることになったケイルであった。
これで、魔剣ちゃんがその優しい性格通りに自分の力についても抑制的であったのなら、或いは強い自制を持っていたならさほどの問題はなかったのだろうけれど。
彼女は自分を女の子ではなく、魔剣として自認していて、剣である事に強い自負を抱いていた。プライドであり生き方として、剣であったのだ。
そして何より、価値観として荒ぶる魔剣そのものであり、血に飢えた妖刀のそれであったのである。
つまり、切り裂くのが大好きで血を見るのが大好きでぶっ殺すのが大好きな女の子であったのだ、やばい。
可愛い子猫や子犬を愛でるように、とても純真な目でキラキラ輝く笑顔で斬りましょう殺しましょう、と訴えてくる魔剣ちゃん。……それもまたかわいい。
歴代の魔剣の持ち主が、魔に魅入られて人類の敵に成り果ててしまった理由も、こうしてみるとわからなくはない。なにしろ、かわいいのだから。
かつて賢人は語ったものである。「かわいいは正義!」
しかし、そこで可愛いのみに屈しなかったのが聖剣士ケイルであった、よっ主人公! 彼女を幸せにするということは彼女の望むままに魔剣として振るって上げる、というのも一つの道だろう。しかし、人々を守り世界を平和に保つことを至上の命題としてきた聖剣士として、その道はどうしたって選べない。かと言って、魔剣ちゃんに剣としての自分を捨てろ、ただの女の子として生きろ、というのもまた彼女の生きる理由そのものを踏みにじる事。お前はいらない存在だ、と突きつけることになる。世界の平和と魔剣ちゃんの幸せ、その矛盾する双方を両立するために男ケイルは奮闘するのである。これぞ、パーフェクトイケメンにのみ許される崖っぷちの綱渡り。若干転げ落ちても猛スピードで崖を這い上がってこれるスペックと根性の持ち主だからこそ頑張れるインポッシブルミッション。
というわけで、つい気を抜くと斬殺を強請ってくる(それ以外はとても善良で穏やかで健気な少女なのだ)魔剣ちゃんを言い包めてその力の開放を防ぎつつ、途中「性癖・犬」と化したハイエルフや監視役として姿を隠したまま矢文でしかコミュニケーションを取ってこない矢文ちゃん(通称)を仲間?に加えつつ、冒険者稼業(魔剣ちゃんが仕えなくて他の剣や武器を使うと魔剣ちゃんが拗ねるので素手で)で無双しながら、魔剣ちゃんをその呪縛から解き放つために駆けずり回る聖剣士のハイテンションコメディ。
この畳み掛けるようなギャグとコメディにノれて、ひたすら可愛い魔剣ちゃん(&矢文ちゃん)を愛でられたら結構楽しい作品でした。
いや、ケイルくんいい具合に乱心してて、結構繊細な行動を求められる立場のはずなんだけれど、かなり豪腕で物事を解決するのがまたイカしているというか頭おかしくなってるなあ、と。魔剣ちゃんの可愛さに完全にヤラレながら正気でもあるというある意味複雑なキャラがかなり面白おかしく成り立ってるのが地味に凄い。魔剣ちゃんの事となると脊髄反射でとんでもねー行動に打って出てそれをスペックで押し切りやがるし。
また完全汚れ役の変態ハイエルフがいい味出していて、色々便利な上にオチ的にもだいたいコイツが悪い、で収まってくれるので、ある意味美味しいところを一人で請け負っているキャラである。
あと、矢文ちゃんもこれわりと魔剣ちゃんに匹敵するひたすら可愛い枠なんですよね。屋内でどうやって矢文してたのかについては追求しない。あと、どれだけ矢を持ち歩いているのか無限錬成か、というところも追求してはいけないし、途中で我慢できなくなって監視役にも関わらずさらっと合流してきたのも追求してはいけない。だってかわいいし。
おおむね、可愛いから、で解決できるし許してくれる平和で優しい世界である。まあそれで押し切るケイルくんの豪腕唸ってこそだけれど。


超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 10 ★★★   



【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 10】 海空りく/さくらねこ GA文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

ネウロの召喚魔法により、突如戦場に現れた皇帝リンドヴルムと麾下の精鋭たち。
リルルを殺して封印を解こうとする彼らと超人高校生たちの激突は、圧倒的な皇帝の力と、その考えに共鳴した《超人医師》桂音の裏切りにより幕を閉じた。
《超人王》となった皇帝の下、平等な世界へと作り替えられていくフレアガルド帝国。
勝人や林檎、葵までが取り込まれた中《超人政治家》御子神司は不敵に言い放つ。
「リンドヴルム皇帝。私と勝負しろ」
エルム村から始まった超人高校生たちの戦い。果たしてその行き着く先は!?
異世界革命物語・最終章!

この局面でよりにもよって桂音が裏切るのかー。以前、ロボトミー手術めいたものを平気でやらかしていた事からも、彼女の倫理観というものは普通からかけ離れているのはわかっていたけれど、優先順位が他の人と違ったんだろうなあ。それだけ、医療キャンプでの虐殺事件が彼女の心に傷を負わせたのか。そりゃそうだよね、いくら超人だろうと当時の桂音はまだ十代前半から半ばだったのだから。
桂音に限らないけれど、超人高校生たちは高校生にも関わらずそれぞれが抱えている闇が深すぎる。成せる能力以上に、成してしまった罪や業が大きすぎ、体験してきた事柄が惨たらしいんですよね。
果たして、この異世界の旅で彼らの幾人が自身の中に抱えていた闇を払拭できたのか。
唯一、暁だけがそういう闇とは一線を画していたわけだけれど、だからこその純真さと真っ直ぐな勇気が仲間たちにとっても「光」だったんだろうなあ。
なので、個人的には桂音の闇を幾分なりとも払ってくれるきっかけになるのは暁に期待してたんですけどね。司にやらせてしまうと、どうしたって思想を叩き潰す形になってしまうからなあ。まあ、超人皇帝と桂音の理想は、最初から矛盾していた実現不可能な理想である事は自明だったのですから、司としては現実を突きつけるしかなかったのだろうけど。
そうだよねえ、愛もまた欲である。理想を欲する、という事自体が欲なのだと思えば桂音もまた大いなる欲に従って世界を革命しようとしたのだし、それを否定してしまえば何もはじまらなくなってしまう。
救いは、超人皇帝も桂音も決して権力を握り続ける建前としてではなく、本気で世界を救おうとしていたところでありましょうか。やってたことは殆どポル・ポトの原始共産制めいたディストピアだったわけですけれど、それが実現不可能だと証明されたあとで現実を認めなかったり無駄な足掻きをしなかったり、というあたりがリンドブルムの強さでもあったのでしょうね。
伊達に邪竜の意志を塗りつぶすだけの超合金超人メンタルの持ち主ではなかったわけだ。自分の生涯の夢が実現しようというときに、それを全否定されて果たして並の精神で耐えられるだろうか。彼は耐え、事実を飲み込み、間違いを認めるという勇気を示した。それこそが、彼の超人たる証明なのだろう。
この人なら、極端に走らなくてもそれこそ臨機応変に柔軟に、目の前の困難を克服してよりよい社会をリアルタイムで構築し更新していけそうなだけに、むしろこれからの方が楽しみなんだよなあ、帝国は。エルムに留学して司たちが残してきた新しい学問を吸収した若い官僚たちも彼のもとに集うことになるのだろうし。さっそく地球文化をノリノリで楽しんでる皇帝陛下見ると、ねえ。

終わってみると、いやわりと最初の方から司たちはその常人ならざる超人っぷりを見せつけながら、けっこう余裕とは程遠いギリギリの局面を渡ってきたわけですが、最後も力押しではなく思想の対決、それも自分の足で立ったエルムをはじめとする各国が自ら主導する形での未来を示す万博、というイベントで帝国は超人皇帝との最終決戦へと持ってきたのは、このシリーズらしい結末だったのではないでしょうか。まさに初期の宣言通り、彼らは世界を数百年進め、人民が近代を担う意識を育むことに成功したわけだ。有言実行である。
なんか、この世界と地球と行き来できるようになったみたいだけれど、ここまで文明が進んだなら地球から一方的に搾取されることもないだろうし、対等のプレイヤーとして付き合うことも出来るでしょうし。
ラブコメ方面ではリルルがメインという事で収まりましたけれど、林檎ちゃんともはっきりしていないだけに、さてどうなることやら。
個人的には暁ハーレムでもよかったんですけどねw


超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 9 ★★★   



【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 9】 海空りく/さくらねこ GA文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

「これが終わったら……ツカサさんに伝えたいことがあるんです」
ヤマト兵を率いた奇襲により、緒戦で大勝利を収めた超人高校生は、それでも埋まらない帝国との戦力差を前に、戦線を後退させていた。
十倍近い敵と対峙する過酷な防衛戦。全員の限界が近づく中、司は《青の元帥》ネウロを直接打倒するための作戦を発案する。
だが、かつて彼らと袂を分かった《超人実業家》真田勝人もまた、自らの信念に基づいた行動を始めていて――!?
決戦を前に自分の気持ちに素直になろうとするリルルと、それに正面から向き合う約束をする司。
それぞれの想いが懸かった戦いが幕を開ける!

超人高校生の中で唯一、暁だけが常人である。という描き方をこれまでもされてきましたけれど、彼はその常人という枠の中で怯え恐れ迷いながらも、強さと賢明さというものを掴み続けてきました。
その這い上がってしがみついて掴んだ強さや賢さ、というものは最初から持てる者だった他の高校生たちには決して手に入れる事の出来ないものなのでしょう。
彼ら超人高校生は、人として踏み外してしまったが故に超人と呼ばれる領域に至ってしまった者たちです。でも、その仲間たちの中で唯一暁だけが真っ当に成長し、もっとも素朴な真理を掴み取っている。それは他の高校生たちにとって憧憬であり尊敬であり、自分たちの仲間にそういう人間が居るという事自体が、というよりも暁が自分たちを仲間と思ってくれている事が救いなのかもしれないなあ、と桂音や葵の暁への態度を見ているとふとそんな事を思ったり。
この二人が暁をからかいつつも、凄く大事にしている様子が垣間見えるのはそんな思いがあるからではないでしょうか。彼女らに限らず、高校生たちは自分たちが人でなしであるという強い自覚がありますからね。
これは今回、司がリルルから好意を向けられて苦悩する羽目に象徴されるように、彼らは自分たちがマトモな人生を歩めるとも普通の幸せを享受できるとも思っていない面々が多いんですよね。ろくな死に方をしない、と思ってるんじゃないだろうか。林檎はまだそのへん、初心というか純真で先まで顧みていないようにも見えますけど、他の面々は司と似たような側面を自分の生き様に抱いているんじゃないか。
そういう意味でも、リルルがやろうと思っている告白は司の未来のみならず、彼ら高校生たちへの試金石なのかもしれません。それでも、桂音と葵の二人は特にハズレ切っているきらいがあるので、むしろ彼女らについては暁くんに期待すべきなのかもしれませんねえ。

と言ったところで、ついに登場してしまった帝国の超人皇帝リンドヴルム。この人、ある意味司の対比的な存在なのか。政治家という以上に政治装置に徹しようとしている司よりも、遥かに徹底して自らをシステムとして捉えているその在り方は、方向性こそ違うもののある意味司の見定める先にある存在なのかもしれない。そんな相手を目の前にして、果たして司はどう自分を省みるのか。
それ以前に、リルル大ピンチというありさまなのだけれど。
勝人は、さすがにあのままだと幾ら何でも周りが見えてなさすぎな近視眼的なことになってしまって、超人実業家とか名乗れないぞ、と危惧していたのでその展開はむしろ安心しました。あまりにも目先の利益と安定に囚われすぎて、全部台無しにしそうな勢いだったもんなあ。
ともあれ次回でラスト。はたしてどういう着地を見せるのか。ここまでくれば、しっかりとした結末を手繰り寄せてほしいものです。

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!8 ★★★   



【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!8】 海空りく/さくらねこ GA文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

『ありがとう、リルル。よく彼らを此処まで導いてくれました』

帝国の支配からヤマトを解放した超人高校生たちは、すべての謎が眠るエルフの里へと向かう。
果たしてそこで待ちうけていたのは、彼らをこの世界へと呼び寄せた存在との邂逅だった! ついに語られる異世界召喚の理由。超人高校生たちは元いた世界に帰還するためにも、異世界を守る決意を新たにする。

だが、時を同じくして《青の元帥》ネウロは司たちとの全面対決を選択。圧倒的な大軍勢が疲弊したヤマトへと迫ろうとしていた!

世界の命運を懸けた戦い。その始まりを告げる、異世界革命譚第8弾!
超人ジャーナリストの忍ちゃん、全然ジャーナリスト成分が足りないよね!
いやもうこれやってること完全に忍者かエージェントであって、本分のジャーナリストとしてはあまり働けていないのが忍の辛い所だなあ。これで忍者としても無双ならともかく、今回忍びの者としては敵わない相手が出てきてしまったわけですし。
なんだかんだと自分の分野で力を発揮できているのって、桂音さんと林檎くらいじゃなかろうか。他はなにかと自分の分野外のことを強いられている場合が多いし。司も政治家をやってるだけ、というわけにはいかずそれ以外の分野の優秀さまで示さないといけなくなっちゃってますしね。現代政治家が武器取った段階でかなりギリギリなんだよなあ。
まあ、司が今やっていることが現代政治家の範疇かというと、もうそのあたり十分逸脱している気もするけれど。でもこじんまりとした政治家の範疇でやっていたら、今回段々とその素性が明らかになってきた帝国の超人皇帝とはやりあえなさそうだし、方向性としてはこのままで行くべきなのだろう。特に、超人皇帝の超個人有能主義に対して、司が個々の民一人ひとりの底上げという正反対の方針を掲げている以上は尚更に。

その意味では、一人離反している勝人の実業家としての在り方、何事も自分でやらなきゃ気がすまない、自分がやってなんとかなるなら自分がやるべきだ、という考え方は皇帝のそれとよく似た傾向であるが故に彼が司の側ではなく、あちら側に立っているというのはむしろ自然のことなのか。
ただ、ネウロに賭けるのはどう考えても悪手なんだよなあ。詳細を忍に聞きながらネウロにつくと判断したというのは実業家としてどうなんだろう。組む相手というのは商売でも最も重要なところだろうに。それとも、まだ利用できると判断したのか。別の思惑があるのか。単に従業員に対する情に負けたのか。従業員たちを守るためでも、このままネウロと組んでても決して良い結果になるとは思えないだけに、このあとの勝人がどう行動していくのか気になるところである。

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 7 ★★★☆   



【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 7】 海空りく/さくらねこ GA文庫

Amazon
Kindle B☆W

「作戦の最終段階に移ろう。敵を崩壊させ――安土へとなだれ込む!」
エルム共和国に新政権が樹立され、フレアガルド帝国で内乱が勃発する中、ヤマト自治領ではレジスタンスたちの戦いが繰り広げられていた。
要衝・不動砦を奪取したレジスタンスは、司の機略、葵の戦闘力、そして林檎のテクノロジーという支援を受け、ジェイド率いる圧倒的な大軍勢を相手に、順調に進撃していく。
だが、落城を目前にした安土城で、ヤマトの支配者マヨイは、臣民に対する非道な洗脳魔法を発動しようとしていた。
城を包む炎が、ヤマトの深部に秘められた過去を映し出す、異世界革命譚第7弾!

ぐわぁ、これはなんというかダメージ食らう。喰らった。
同情の余地など欠片もなかったマヨイとジェイドの支配者コンビでその所業たるや無辜の民を虐殺する以上に、人の尊厳を徹底して踏みにじるようなおぞましいやり口だったんですよね。人の心を洗脳して作り変え、意志も都合の良いように書き換え、最終的には人間ですらない生きた獣ですらない壊れた人形のような有様へと変えてしまう。そこにあったのは、人を決して同じ人と認めない、虐げ踏みにじる対象としてしか見ない考え方。こういうのって、自分一番嫌いだったはずだったんですけどね。
そんなマヨイのおぞましい意識が生まれた理由が、ヤマトに元々あった統治制度にあったのだとしたら、いったい誰が悪いのか、って話になるんですよね。
彼女の思想は、上から見下すものではなく、地べたに這いずり踏みにじられた者が抱いた怒りであり憎悪であったというのなら、その怒りも憎しみもいったい誰が否定できるのだろう。
やったことは決して許されないことなのだけれど、彼女が受けた仕打ちもまた同じことなんですよね。人として扱われず、人としての尊厳を奪われ、生きることすら許されず、ただ生きたいと願うことが醜く汚らしいこととして切って捨てられた。
彼女が受け続けた仕打ちが、この国ではずっと美談として讃えられ、この国の民はそれを享受して、食い物にしていた。ならば、果たして彼女の復讐は正当と言えるのか?
マヨイがやり続けた国全体に及ぼす洗脳魔術、でも視点を変えてみたら長く続いた統治システムとそこから生じた価値観によって、長年に渡ってこの国に根付いてきた思想と何が違うんだろう。それは魔術でなくても、効果としてはマヨイの行った洗脳と方向性として何が違うんだ?
そのおぞましさに、どれほどの違いがあるのだろう。
老将は、国も民も裏切って、ただ一人の少女の純粋な懇願を、ただ生きたいという願いを叶えることにした。この国の在り方のおぞましさにも、マヨイの成した復讐のおぞましさにも背を向けて、しかしだからこそまっさらな願いに縋った意志を、どうやったら責められるのだろう。

なんかもう、途中でそれまで寄って立っていた部分を根底からひっくり返されたような心持ちだった。ちゃぶ台返しで善悪がひっくり返ったわけじゃないんですよね。でも、一方的にこっちが正しくあっちが悪いという視点が徹底的に叩き潰され、民意もまた個々の尊厳を踏みにじる在り方を喜び尊び受け入れて、結果として猛悪を生んだのなら、それは自業自得じゃないのか、という考えが生じてしまうのである。
無辜の民など存在しない。
それが長年に渡って正しく効率的かつ平和的に機能し、それを民が受け入れているのならあえて口は出さないとした司の、政治家としてというよりも政治理念の体現者としての生き方もまたあまりにも人としてハズレ過ぎてるんだよなあ。それで居ながら、マヨイたちに訪れただろう結末に涙する人間性を失っていない。その矛盾は、果たして破綻とどう違うんだろう。
民主主義をこの世界にもたらしておきながら、こうして民意が肯定するもののおぞましさを、それが生み出した怪物の恐ろしさと哀れさをこうも冷徹に描かれてしまうと、正直震え上がる部分がある。
何気に痛快娯楽エンタメ作品とは全く異なる方向性に、意欲的といっていいほどグイグイ進んでいるあたり、このシリーズの実験作的な試みというかエッジの鋭さというか血塗れ感というか容赦のない喜悦みたいなのを感じてしまうのでした。

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!6 ★★★☆   

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 6 (GA文庫)

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!6】 海空 りく/さくらねこ GA文庫

Amazon
Kindle B☆W

「きゅっ!? 求愛、ですか!?」

帝国統治下のヤマト自治領に調査のため乗り込んだ司たちは、住民の幸せそうな様子に驚かされる。しかも監査官ジェイドと自治領主マヨイの歓待の最中、リルルと林檎に司への告白チャンス到来!? どこまでも平穏なヤマトでの外遊。しかし、その裏に潜む暗い情念はヤマト全土に確実に影を落としていた。
一方エルム共和国では総選挙が開始。ヤマト自治領に対する方針を巡り、テトラ率いる《原則派》とユーノ率いる《改革派》が繰り広げる選挙戦は必要以上に過熱し、留守を預かるゴッド暁に困難な選択を迫ることに!
異世界革命物語第6弾!!

超人高校生の中で最も意識が常識人であり一般人である暁だけれど、あそこで情に流されず権力に迷わず自分の役割を一切間違えずに貫き通せるのだから、伊達に司たちの仲間ではなく、皆から信頼されているわけじゃないんだなあ、と納得させられた。
暁の姿勢が一貫して「意思決定への不介入」であったことに象徴されるように、エルム共和国で初めて行われる国政選挙に、超人高校生たちは殆ど、いや一切関わらないまま状況は進んでいく。
そこで浮かび上がってきたものは、超人高校生という異邦人たちによって解放された自由と、もたらされた思想、そして与えられた理想、それらすべてが借り物にすぎず、概念として行き渡らず、身につかず、中世相当の専制社会の中で生きてきた彼らにとって、未だ高価なおもちゃに過ぎなかった、という現実であった。
司が目論んでいたのは、まさにその事実を当事者であるエルム共和国の政治家となろうとするもの、官僚として国政を支えようとしている者たちに、それが未だ持て余す借り物であると自覚を促すと同時に、この選挙を通じてそれらを借り物ではなく、彼ら自身のものとすることだったのだろう。
選挙戦を通じて、理想高く未来を見据える《原則派》と《改革派》の領袖たち、テトラやユーノはそこで徹底して現実に打ちのめされる。自分たちが掲げ、訴える理想は、何の力も実態もない、一番届いてほしい市民たちに、届かず触ってもらえない、まだ身の詰まっていない殻だけのものなのだと、思い知らされるのである。とても尊い考え方が在ると知り、それがどんなに素晴らしいものかを実感し、調べ考え学ぶほどにその奥深さに震え、その考えのもとに国を立ち上げ、国民と共に進み、やがては世界すべてを変革していき、みんなに幸せをもたらすのだという理想。
それが、現実の前に木っ端微塵に砕かれるのだ。
現実は非情である。
暁は、そうやって理想が踏みにじられていく様子を、希望が潰えていく様子を、未来が陰っていく様子を、間近でずっと見守り続けていたのだ。自分が介入すれば、この理不尽な現実が覆されて、今悪意に苦しんでいる人たちが救われ、正しさが踏み潰され捻じ曲げられようとしているのを食い止めることが出来ると知りながら。
耐えるのである。
なぜならば、神が介入した瞬間に、人の意思が死ぬからだ。
芽生えようとしている民主主義が死ぬからである。
もはや二度と、この国は自分たちだけで歩き進んでいくことができなくなるからである。
どれほど愚かな選択でも、民は自らの選択に責任を負わなくてはならない。神に選択を委ねた瞬間、それは市民の国ではなくなるのだ。
たとえ、人が死のうとも。たとえ、正義が潰えようとも。
そんな「理想」を置き土産にしようとする司は、怖気の走るほどに冷徹非情な政治家と言えるのでしょう。それとも、政治装置というべきか。
その司の試練とも課題とも取れる難題に、原則・改革両派の立候補者たちと、選挙を管理する官僚たちは向き合い、挑むことになります。理想破れた先にある、現実を前にしたその上での理想を掴むために。
空っぽで上っ面だけではない本当に中身の詰まった、自分たちが振るう旗の重さを知り得るために。
踏み越えて、乗り越えて、倒れて挫けて折れて心砕けても、信じた理想が、掲げたユメが、素晴らしいものだと知っているから。エルム共和国という国が産まれたとき、あの超人高校生たちと共に戦って手に入れたものを、今こうして自分たちの腕の中に抱えている、その重みを忘れていないから。その暖かさを、幸福感を今まさに胸に宿しているからこそ。
彼らは立ち上がるのである。負けないのだ。そうして、もう一度宣誓するのである。
エルム共和国という自分たちの国の誕生を。
正直、超人高校生たちがもたらした改革のあまりの急速さに、エルムの人たちがとてもついていけているようには見えず、与えられた民主主義という御旗に自分たちが振り回されているようにしか見えず、民は常に賢明ではなく、彼ら超人高校生たちが去ったあとに訪れるかの国の未来絵図は、無残なものしか想像できなかったのですが……。
よもやここまで、いやこの段階でここまで徹底して彼らが初めて手にした理想を踏みにじりボロボロに蹴り飛ばし、折り砕くとは思いませんでした。そうやってぐちゃぐちゃになるまで思い知らせた上で、残った超人高校生たちの手助けがあったとはいえ、彼らが自分で考え、自分で選び、自分たちで襲い来る現実に立ち向かい、歪みを正そうとし、そうしていく過程で虚だった理想が、本当の意味で彼らの身となり血となり肉となり、彼らの実になっていく様子がなんとも言えない感慨をもたらしてくれたのでした。
偉い、偉いなあこの人たちは。

あと、超人高校生の中で桂音さんはマジで人間じゃないんじゃないですか!? もはやアスクレピオス並かそれ以上なんですけど!

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 5 ★★★   

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 5 (GA文庫)

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 5】 海空りく/さくらねこ GA文庫

Amazon
Kindle B☆W

エルム共和国を成立させ、通貨の発行によってその基盤を確かなものとした超人高校生たち。だが、異世界の人々に国を委譲するための選挙を始めようとした矢先、亡国《ヤマト》の皇女カグヤが現れた。エルムの基本理念『万民平等』をタテに、帝国に苦しめられている自分たちへの援助を求めてきたのだ。
司は旧ヤマト領の扱いについて帝国への介入を始めようとするが――
「俺はその方針には反対だ」
勝人が地球への帰還を優先するため、帝国元帥ネウロとの敵対を避けるべきだと言い出し、超人高校生たちの間に不協和音が流れ始める!
激動の異世界革命物語第5弾!!
世界の一般常識におけるモラルの上昇が平和へと繋がる道、か。これはバカにしたものではなくて、特に時代的にまだ中世であり宗教的なモラルすらも規定されていないこの世界では、現代に即したモラルを普及させていくというのは劇的な効果があると思われる。エルム共和国の国民は司たちの教導によって民主主義をはじめとした現代モデルの考え方への意識も高まっているわけですしね。
もっとも、本来なら数百年のスパンを年単位どころか月単位で進めている弊害は大きい。劇薬過ぎる上に、高まった意識に追随スべき知識などが全然追いついていないんですね。教育がもたらされていない、と言ってもいい。まあこればっかりはなあ。明治維新から百数十年経っても民主主義を持て余している日本や、本家本元である欧州や米国が迷走しているのを見ると、果たして政治システムに成熟などというものが訪れる日が来るのかと疑問に思うことも多い。
本作においても民主主義が万能にして至上の政治システムだと掲げているわけではない。事実、民主的な政治システムの運用を開始した途端、その不具合や悪用されていく様子を一番基本的な部分からだがしっかりと描こうとしている。それを加味した上で、いや民主主義のダメなところをも市民が目のあたりにすることも最初から考慮に入れた上で理想を展開しようとしている司は、まさに国家百年の計をたてることの出来る偉大なる政治家なのだろう。将来の平和と理想のために、ある程度の被害や損害も最初から組み込んでおける、という意味においても。
そりゃあ、現世利益を追求する商人である勝人が、同じ道を歩めるわけはないわなあ。むしろ、歩くほうがイビツになってしまう。どちらかが、本来の本分を捻じ曲げなければならなくなる。友人であることとパートナー足り得るかはまた異なる話なのだ。
個人的には、むしろ帝国元帥ネウロが暗躍している企みの内容は邪魔とすら思えるところなんですよね。これって、どう考えても世界の危機をもたらすものであって、異なる主義主張や生き様を貫いているモノ同士でも一致団結しなければならないシーンを生み出すものであるからして、世界を変革していく物語としてはその手の外からの強制的な協力を必要としなければならない展開というのはちょっと無粋に感じる部分もあるわけだ。そういう横やりがないまま、司が理想を体現していく上で障害をどう乗り越え、現実に向かい合い克服し、時に妥協していくか、という流れの方が興味深く堪能できるのだけれど。
痛快さを求める物語としては、対峙するのはそっけない現実ではなく、心置きなくぶっ飛ばせる悪であることが求められることは大いに理解できるだけに、そのへんどこまで手を広げ、転がしていくのか、さてさて。

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 4 ★★★   

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!  4 (GA文庫)

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 4】 海空りく/さくらねこ GA文庫

Amazon
Kindle B☆W
北部四領を帝国の圧政から解放し、民主国家“エルム共和国”の樹立を宣言した超人高校生たち。人々が新たな時代の到来に歓喜する中、帝国から休戦の申し入れが届いた。図らずも訪れた平和な時間。リルルと林檎の恋の直接対決が勃発したりしつつも、超人高校生たちは国家としての体裁を急速に整えていく。そんなエルムの大きな柱となるのが独自通貨の発行。勝人はエルクらとともに経済の安定のため、周辺国家との通商会議に臨むが―!?「ここから先は俺の流儀でやらせてもらう」地球最高の実業家がついに本気を見せる!?異世界革命物語第4弾!

いや、この場合ルー子の思考パターンは国益を賭けて交渉する立場の人間としては真っ当ですらある、と言ってしまうとさすがにブラックなんだけれど、それが当たり前な世界だからなあ。その意味では新国家エルム共和国の政府中枢たる大臣・官僚となっていくだろうエルクたちは、才能や資質はあってもまだ経験が全くなく純朴でありすぎるんですよね。それでは、生き馬の目を抜く世界ではやっていけない。その意味では、早いうちに自分たちがフォローできる段階で痛い目を見ておけ、という司や勝人たちの方針は正しいといえるのでしょう。少なくとも、このピンチによってルー子の濁な意見を飲むだけの見識を得たわけですしね。それでも、まだまだ圧倒的に足りなかったわけですから。
でも、勝人はこれだけ他人に任せられない性格だとあんまり人を育てられるタイプじゃないんだろうなあ。それでも、ルー子みたいな子をちゃんと拾って鍛えることは出来ているんだけれど、いざとなると自分が出張って自分で全部解決してしまいたいワンマン気質だと、周りがもし育ってもそれが頭角を現しだすと決定的なところで対立しだす気がするんですよね。ワンマン社長が一代で大きくした会社の少なくない数が、次代との衝突で躓く過程を辿ったように。特にルー子は逸材であり勝人と似たタイプなだけに育った時に勝人と共存できる気がしないのよねえ。
他に類を見ない化物揃いの超人高校生たちだけれど、こうしてみると完璧超人とは言えない結構な粗も内包してるんですよね。葵なんか、戦闘担当なのに弘法筆を選びまくる、が如く使える武器が限定されていて、それが使用不能になると戦力半減って、ちょっと能力がピーキーしやすぎませんかね!? 戦闘超人なら、笹の葉でも真剣と同じようにスパスパ切りまくれる、くらいの強さだと思ってたのに。
帝国側に、自分たちと同じく異世界から来た人間が国家の最高幹部クラスに居座っている、ということが発覚して、余裕余裕とか言ってられなくなってきましたし、むしろ国を作ったことで足かせも増えてきて、なかなか難しいことになってきたなあ。
ぶっちゃけ、帝国を潰す、ということが目的なら今回の勝人の仕掛た経済戦で帝国、息の根止めることも出来たかもしれないんですよね。結果として、帝国の貨幣経済が壊滅して経済的な焼け野原が現出する阿鼻叫喚の地獄絵図になったとしても、ですけれど。
いや、そこまでやらかしてしまうと、エルム共和国だって波及効果でただで済むとは思えないのですが。その意味では、勝人は無茶やらかしたよなあ。事前に、司にセーフティネットになるように頼んでいた、というあたりは冷静なのかもしれませんけれど、彼のこの気質は商売人とか経済人とはまた異なるような気もするんだけどなあ。
明確に、いずれ司とは袂を分かつ素振りを見せている勝人ですけれど、彼に限らず実のところ他の高校生ズからして司の掲げているエルム共和国の理念に諸手を挙げて賛同しているか、というと微妙なところではあるんですよね。あくまで司への個人的友誼とエルムの人達に対する信義と好意からで、共和国の理念に対してはあんまり関心ないんじゃないか、という態度が結構見え隠れするわけで。まあそこは、政治家かそうじゃないか、という立場と視点の違いもあるでしょうし難しいところか。でも、歩む道が別となる理由としては十分でもあるだけに、今後どう取りまとめていくかには興味が尽きぬところであります。

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 3 ★★★   

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!  3 (GA文庫)

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 3】 海空りく/さくらねこ GA文庫

Amazon
Kindle B☆W
「春までに『民主国家』を建国する」ギュスターヴの戦略魔法による攻撃さえも退けた超人高校生たちはいよいよ帝国との本格的な戦いに突入。近代兵器で武装した“七光騎士団”は、智将アークライド侯爵に率いられた“討伐軍”を苦もなく撃破し、民主国家の建国を目指して邁進する。一方で、異世界にきてからの過労がたたった司と林檎は桂音から三日間の休養を言い渡され、せっかくだからと二人で街中デートをすることに!リルルの出現で焦っていた林檎は司との距離を縮めるために一念発起して奮戦するが―!?地球最高の叡智と技術がますます冴え渡る、異世界革命物語第3弾!

うはは、圭音先生いい具合にイカレてるじゃないですか。さすがは現代強化版ナイチンゲールというべきか、頭のおかしさもナイチンゲール超級だったというわけか。人を救うためには手段を選ばない、ってタイプの人だよなあ、これ。いや、正確には巧妙に手段は選んでいるので、最終目的へ到達するための障害を無理押しで余計に増やしてしまわないように真意は隠しつつ上手いこと立ちまわっている、とも言えるんですよね、これ。少なくとも、最大の障害になり得る司たちには一切悟られていないわけですから。
怖い怖い。
この超人高校生たち、何気に実際は常識人枠と、実は狂人枠に別れてるっぽいんですよね。司もショーニンも俗世の業を背負ってなお突き進むタイプで、浮世離れしている林檎もあれで幼少時のエピソードを見ると真っ当な感性を持つからこそ対人恐怖症になった類ですし、マジシャンは言わずもがな。一方でニンジャ娘ちゃんの忍はあれで境界線上をフラフラしていて、圭音先生と大剣豪葵がいささか振り切っちゃってる感がある。葵に関してはまだ根幹が見えてないのでなんとも言えないけれど。
しかし、復活したと思った途端にギュスターヴを叩き潰してしまったアレといい、ケーネ先生のイケナイ外科療法といい、主人公サイドがタブーとも言うべきラインをガンガン跨ぎ越していくのは、一種壮絶なものがある。これだけ超絶的な能力を制限なしに使いまくりながら、司たちにはキレイ事でお為ごかしする様子が一切ないんですよね。必要ならば徹底的に手を汚す覚悟を持っていることこそが、彼らの超絶的な能力が数字的スペックではない証左なのかもしれないが。ヌルい事を言って甘い見通しでやれるほど、文明を数世紀一気に進捗させることが簡単ではない、というのを誰でもない彼ら自身が承知しているということなのだから。
同時に、それだけ彼らが本気である、ということでもあるんですよね。他人事ではなく、文字通りその心身を削り倒して、この世界に未来を残そうとしている。特に司は、この世界においてすらも完璧に「公人」として自らを貫き通している。
一方でこれだけ高い視野で物事を見ている人物であり政治家であるにも関わらず、林檎のエピソードに出てくる司を見てると、たった一人のために身を粉にすることの出来る人でもあるんですよね。誰か一人を大事に出来る人でも在る。だからこそ、身近な人を幸せにすることと公の人物として国家や世界を幸福に導くことが相容れない状況が訪れたとき、この人の「私」は徹底的に滅び去ってしまうんじゃないだろうか、と心配になる。滅私という言葉を精神的に実践してしまうのではないか、と。その意味でも、彼のプライベートに寄り添おうとしているリリルと林檎の好意、恋慕は貴重なものなのかもしれない。

一見圧倒的に見える司たちだけれど、狂信的なギュスターヴの背後に見えてきた帝国の中枢がやたら不気味なんですよねえ。決してこれが超人高校生の蹂躙戦ではなく、超人的高校生が七人居て彼らが全力を尽くしてようやく、伍することが出来るほどの相手が、敵であり謎の皇帝の存在なのかもしれないと考えるなら、今まで司たちが居なかったこの世界って、完全に無理ゲーだったんだよなあ……(遠い目)

1巻 2巻感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 2 ★★★  

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 2 (GA文庫)

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 2】 海空りく/さくらねこ GA文庫

Amazon
Kindle B☆W

「では諸君。歴史を急き立てるとしよう」
地方領主をいともあっさりと打倒した超人高校生たちは、冬の終わりとともに始まるだろう帝国との全面対決に向けて、準備を開始する。そんな彼らが最初にとった方策は『宗教』!?
天才マジシャンのプリンス暁が現人神・ゴッド暁として奇跡の御業を示し、さらに桂音の医療技術や葵の武力など、それぞれが能力を生かして人々に実利を与えることで信仰を集め、超人高校生たちは急速に勢力を拡大していく!
帝国の理不尽な圧政に苦しめられてきた人々を、地球最高の叡智と技術で導く異世界革命物語第2弾!
宗教って劇薬に、敢えて手を出すあたりが超人的政治家、というべきか。中世レベルの文明からいきなり市民革命、と言ってもその基礎となる理念や教育が育ってないんですよね。被支配層である農民、市民に自ら責任を以って政治を担い、国を負うという意識も価値観も思想も根本的に存在しないし、それを植え付ける下地が備わっていない。だからこそ、乱暴ではあるけれど宗教という価値観を分かりやすく急速かつ強力に添付できるツールは、市民革命の芯となり得るのだ。もっとも、取り扱いが極めて難しく、実利が観念に取って代わられるのが早いうえに、新たな支配構造の枠組みとして市民の意識の自立の妨げになりかねないものだけに、やっぱり劇薬すぎるんだけれど。かなり穏当で融和的な教義と、組織として立ち上げないことで後々の禍根とならないように気を使っているのは見て取れるんだけれど、それでもやっぱり思い切ったなあと感心せざるを得ない。日本人は、宗教宗教したものには忌避感あるからねえ。それを、あくまでツールとして利用しようとする発想は、日本人離れしてるんじゃなかろうか。或いは、それだけ政界のおける妖怪的な存在に伍しているというべきか。
このような並外れた政治家には、それに相応しい無私と献身を期待してしまう、というかそうあるべきという観念を押し付けてしまうのだけれど、おかしいもので本当にプライベートもなく、自らの欲得を顧みない社会人民への奉仕者、という様相を見てしまうと逆に不安になってきてしまうのは、浅ましいだろうか。
指導者に神代の賢王と同等の徳を期待しながら、同時に自分たちと同列の人間味が感じられないと忌避感を感じてしまうのが、一般大衆というものである。果たして、司は現世地球ではその実力を誰しもが認めていたのは明らかだけれど、政治家としての人気はどうだったんだろう。支持率はもちろん、高かったんだろうけれど。
いずれにしても、この異世界でも司はひたすら無私を貫き、公共の益を優先し、個人的な感情を排して邁進し続ける。だが、決して個人的な感情がないわけではない。自分を押し殺すことに、傷つかないわけではない。その比類なき姿は、だが同時に痛ましさも感じてしまう。リリルは、そんな司のすべてを理解し、おそらく変われないだろう彼をそのまま受け止めることの出来る存在として寄り添えるパートナーとなってくれるんだろうけれど、こうやって全部許してくれる人って、場合によってはトドメにもなり得るんじゃないかと心配になってしまいます。

しかし、超人高校生たちが好き放題やらかしまくる、という枠組みの緩さとは裏腹に、この世界の支配体制というのは暗黒時代もいいところで、人権思想なんて萌芽すら感じられない凄まじい鬼畜っぷりが、もはや待った無しで世界を改革しないといけないという気にさせてくれる。急き立てられる、と言っていいかもしれない。それだけ、えげつない描写が多いんですよねえ。忍たちが遭遇した村の状況なんて、現世の地獄もいいところですし。
それを許容するには、この世界に舞い降りた彼ら超人高校生たちには力がありすぎた。

いやそれでも、あの超人剣豪の超人っぷりはもう人間辞めてるレベルんですけどね! ってか、剣豪とかいう段階じゃねえでしょ、それ! もう剣の腕がどうとかいう話じゃなく、身体機能が地上の生命としては間違ってるからそれ。
葵さん、それもうミサイルじゃなくても良かったんじゃないですかね? 犬の散歩じゃないんだから。もう、葵が爆弾持って吶喊した方が確実だったんじゃ、と思うくらいで。
ただ、相手も超人高校生たちに翻弄されるばかりじゃない、潔癖公のように別の意味でぶっ千切れたキャラが出てくると、カオスさも増していいんじゃないかなあ。

今回、微妙に人間関係に亀裂が生じかけてますけれど、あの語りだと深刻なことにはならない……か?

1巻感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 3   

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! (GA文庫)

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!】 海空りく/さくらねこ GA文庫

Amazon
Kindle B☆W
飛行機事故に巻き込まれた七人の高校生が目覚めると、そこは魔法や獣人の存在する中世っぽい異世界だった。
突然の事態に彼らは混乱――することもなく(!?)
電気もない世界で原子力発電所を作ったり、ちょっと出稼ぎに出ただけで大都市の経済を牛耳ったり、
あげく悪政に苦しむ恩人たちのために悪徳貴族と戦争したりと、やりたい放題!?
そう。彼らは誰一人普通の高校生ではなく、それぞれが政治や経済、科学や医療の頂点に立つ超人高校生だったのだ!
これは地球最高の叡智と技術を持つドリームチームによる、オーバーテクノロジーを自重しない異世界革命物語である!

あらすじ見ると、好き勝手やりたい放題やってるような感じに見えますけれど、実際に読むと結構抑制的なんじゃないだろうか、これ。それぞれ現代の地球で各分野の第一線に立っていた人物たちなせいか、むちゃくちゃな能力を持っているけれどその力を無分別に振り回すような子供じゃないんですよね。むしろ大人。それぞれ、その境遇から、或いはその高い能力を持っていたせいで大きな挫折や苦難、心に傷を負うような悲劇を越えて今の立場に立っている者が大半なので、出来た人物ばかりなのである。
これはガチでドリームチームだなあ。能力に振り回されない精神的に成熟した面々が七人も集まって、仲違いもせず一致協力してあたるわけですから。しかも、彼らが持つ能力ときたら異世界どころか現代の地球ですらそれぞれの分野で無双していた人外魔境ばかり。一人一人が一作の主人公を務められるような逸材ばかりである。
このタイトル【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!】の略称が「超余裕」というのには笑ってしまったけれど、なるほど余裕だ。
余裕なんだけれど、でもそれって彼ら七人が全部何もかもやってしまったら、他の者達は後からついてこさせ、考えるのも導くのも実行するのも全部自分たちでやってしまったら簡単で超余裕なのだろうけれど……面白い、と思ったのは彼ら七人は決して自分から前に出しゃばらず、常に彼らを救ってくれた獣人の村の人たちを尊重し続けてるんですよね。その意思も、その決断も、すべての主体はこの異世界の住人でありこの地で暮らす民である村の人たちに置いている。
その彼らの生活や意思を助けるためにやってしまう内容こそ、ここ異世界!! 地球じゃないから! と思わず叫んでしまうような自重の欠片もないやりたい放題っぷりではあるんだけれど、特に発明家! 発明家の娘! それは現代の地球でも数百年は先を行くようなオーバーテクノロジーだ! ってか、何百年未来に行っても個人でそこまで好き勝手作れる時代は絶対来ない!
商人、というか経済界の麒麟児たる実業家の少年が出先の街で繰り広げた錬金術なんかは、魔法じみた手管ではあっても一応辣腕の範疇に入るものなんだろうけれど、剣士や医者の娘のそれなんかもう人外魔境。
でも、何気に一番むちゃくちゃなのって、プリンスの手品ですよね。種も仕掛けもあるからって、もうなんでもありじゃないか、それ!! 魔法や魔術という幻想領域の代物が、しかしちゃんとルールや方式に則って出来ることしか出来ない、というのを逆手によるように、手品と標榜しつつ文字通り何でもあり、な物理法則も魔術法則も関係ないみたいなやりたい放題をやっているのには笑ってしまった。種も仕掛けもちゃんとあります、ただしネタは明かさない!
そのくせ、マジシャン・プリンス暁当人は七人の中で一番常識人で一般人だという……なにやら次回はその常識人がゴッド暁にサせられてしまうようですがw

彼らの能力が全開で発揮されれば、世界を破壊し時代を破綻させ文明にロケットブースターを取り付けて停止ボタン無しで発射されてしまうのでしょう。だがしかし、彼らはその世界を革命する力ボタンを自分たちで押すことなく、本来の世界の住人たちの手のひらの上に乗せるのです。彼らは王にならず、担い手にならず。
革命とは、個々の特別な人間の意思によって成されるものではなく、市民一人ひとりの願いの集積として旧弊の殻を割り産まれ出るもの。政治家である御子神司は、民主主義国家の政治家として断固としてそこは譲らないんですね。だからこそ、ラストの展開へと繋がっていくのでしょうけれど。
七人の超人高校生にぜんぶお任せ、じゃなくて獣人の村の人たちや真田勝人がその意思を汲んで買い上げた奴隷の幼女など現地の人たちが率先して前に出て物語の中枢に噛もうとしていたのは、好印象でした。
メインキャラだけじゃなくて、周りの人たちまでちゃんと気合入ってる作品は好きだなあ。
作者の講談社ラノベ文庫の作品が、主人公が全部たった一人で何もかもやってしまうほど突き抜けていて、周囲の人達が追随できず、助けられず、悔しい思いに七転八倒しながらなおも追いすがろうと、並び立とうとしているお話であるんですよね。それと比べると、色々とポイントを組み替えて構成しているのが面白いなあ。

ある意味、異世界に来ても公人に徹している司ですけれど、いや地球でも公人として私人としての何もかもをかなぐり捨ててきた彼ですけれど、だからこそここで出会ったエルフのリルルとの関係の行く末は興味深いですね。公人として、自分の家族を破滅に追いやった彼が、果たして私人としての幸せを掴めるのか。
リルル救出でも、実のところ彼は公人としての振る舞いに徹しているんですよね。心情は露わにしながらも、決断については私人としてのそれに最後まで譲らなかった。このあたり、先々もポイントになってきそう。
まあその前にまず面白そうなのが、ゴッド暁ですけどね。どうなってしまうんだ、マジシャン(笑

海空りく作品感想

それがるうるの支配魔術 Game6:リライト・ニュー・ワールド3   

それがるうるの支配魔術    Game6:リライト・ニュー・ワールド (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術 Game6:リライト・ニュー・ワールド】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

Amazon

水那斗繋のメッセージに導かれたるうるたちは、レビクシの光教団の聖域に踏み込んでいた。そこは10年前の集団失踪事件の現場であり、欧文研メンバーは口封じのため教団員に追われることに。そんな中、タマキは事件当時の記憶を追体験する。そこで目にしたのは、るうると初めて出会った瞬間であり、隠され続けてきた事件の真実だった!その真実はふたりにどんな結末をもたらすのか!?常識と魔術を巡る物語、クライマックス!―。
前回タマキがたどり着いた真相を真実だと思い込んでいたために、そのラストにはだいぶ衝撃を受けたものですけれど、冷静になって考えてみたらそんなはずはないんですよね。
ただ、魔術破りは発動した。と言うことは、彼が発した魔術破りの「言葉」は彼の意図とは違っていても間違いではなかったわけだ。そう教授されてから改めてタマキの発言を見なおしてみると、わりとなんて事のない謎だったことに気づく。
ただ、その気づいた事が真実だったとすると、これまで事実として扱われていた過去が、まず前提からおかしいことになってしまうんですね。
これは、そんな錯誤に満ちたあの光教団での出来事の本当がなんだったのか、あの日何が起こったのかを明らかにしていく解明編。
と言っても、まず情報があまりにも皆無すぎるので、タマキの失われた記憶が順次解放されていく、という形で過去が明らかになっていくのだけれど、これが記憶が回復することで殆どこれまで不明とされていた事も明らかになっていくんで、全体としてシリーズ前半のようなエッジの効いた、謎解き、間違い探しという要素はだいぶ薄れていたような気がする。だいたい、ここでさらに第三者が居た、という情報が出てくるのは辛いですよ。そういうヤツが居たって話これまでにありましたっけ? 自分は過分にして気づかなかったなあ。
あるとすれば、マスターのおじさんが何らかのヒントをくれていた場合だけれど、それにしても正体が不明すぎる。ただ、この第三者の存在が明らかにならないと、月城さんにずっと感じていた違和感の説明がつかなかったんですよね。あれはわからんよー。
まあ彼女の不気味さの理由がわかってよかったとも言える。
あの人がもう一回出てきてくれたのは素直に嬉しかったけれど、でも予想外の援軍とも言えるんですよね(ってか、最後どうなったんだこの人? 肝心のその後が描写されてなくて、あのまま消えてしまったのかともやもやが消えないんだが)。かなり行き当たりばったりで運が良かった、という気もしますし、ツナグさんの手のひらの上だったとも言えますし、マルとしては乗せられて別段何も悪いことはなかったんだけれど、主人公として活躍できたかというといささか消化不良だったかなあ。ラブコメとしても、しゃんとした決着じゃなかったですしね。言乃はもっと自己主張してほしかった。自分からアピールしなかったわりに、事故主張はしまくってた感はありますけれどw
何気にるうるよりも圧倒的に目立ってた気がするぞ。
シリーズ当初からの面白さからすると、逆にシリアス寄りにストーリーが進むに連れて減速していった感があるのは残念でした。この頭をひねる面白さは目新しさもあり、随分と惹かれたんですが。
次回のシリーズは期待したいなあ。

土屋つかさ作品感想

それがるうるの支配魔術 Game5:キングメーカー・トラップ3   

それがるうるの支配魔術  Game5:キングメーカー・トラップ (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術 Game5:キングメーカー・トラップ】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

Amazon

二学期が始まったばかりの欧文研のもとを、OGの月城舞花が訪れる。るうるの兄・繋と同級生であり、欧文研の創立メンバーでもある舞花の昔話に喜ぶるうるたち。しかし、話の中の違和感に気づいたタマキは、部室に仕掛けられた魔術を見破り、隠されていた数列を発見する。それは繋がるうるへ宛てたメッセージだった!数列はとあるテーマパークを示しており、欧文研メンバーと舞花はそこに向かうのだが!?シリーズ驚愕の展開へ。
マジで驚愕だよ!! これはとんでもない超展開じゃないか。いや、衝撃的すぎて読み終えたあとしばし呆然自失。まさか、四巻でのインナミさんの物語と彼女との約束が、こういう形でタマキに返ってくるなんて、想像できるはずないじゃないですか。インナミさんと約束した、すべてを明らかにするまで進む、という決意がまさかこんな結果を産むなんて。誰かの為につかれた「優しい嘘」の正体が、その真実が、まさかこんな事だったなんて。
何か空恐ろしい真実が、十年前の事件には秘められている、というのは頭では理解してたし、それが明らかにされることに心構えみたいなものもできていたはずなんだけれど、こうなってみると所詮他人事として捉えていたんだと今更ながらに認めざるをえない。目の前に現れるのがどんな嘘でも真実でも、この欧文研メンバーが揃っていれば、インナミさんがタマキに残してくれた、仲間との絆、というものがあれば、ちゃんと真っ向から立ち向かえるものなのだと思っていた。ところがこれ、相対する類のものじゃなかったんですよね。まさに盲点、死角の内側。
これが本物の「世界災厄の魔女」の魔術だったというわけか。筆舌しがたい、禁呪じゃないか。
それでも、インナミさんとの約束がなければ、タマキもあそこまで性急に動きはしなかったはず。あそこまで衝動的になってしまったのは、大切な約束の結論がまさに間近も間近にあってしまったからなんだろうなあ。他人事なら、迷いも出来たかもしれない。意思を疎通し意見を交わし、仲間同士で話し合って立ち向かう手段を、どう対処するべきかを導き出せたかもしれない。でも、その答えが「アレ」だった以上、約束を果たすためには迷うわけにはいかなかった。嘘を暴くことを止められると分かって相談など出来なかった。
真実を明らかにしなければならない以上、まずその真実を露わとしなければならなかったのだ。たとえ、それが=終わりだったとしても。否さ、終わりだったからこそ、だ。
これは、キツいよなあ。インナミさんも、まさかこんな結果が待ち受けてるとは思ってもいなかっただろう。あの人は純粋に、タマキを愛して幸福を願っていただけだったのに。

それでも、その真実が「本当」かどうかはまだわからないんだけれどね。嘘を見ぬいた、と思ったタマキが先走って幾つか見落としをしているかもしれない。何れにしても、結論は次の巻だ。

土屋つかさ作品感想

それがるうるの支配魔術 Game4:ロックドルーム・ゴッデス4   

それがるうるの支配魔術  Game4:ロックドルーム・ゴッデス (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術 Game4:ロックドルーム・ゴッデス】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

Amazon

夏休みに入り、欧文研のメンバーは合宿と称してタマキの田舎に遊びに行くことに。そこで彼らを出迎えたのは、妙な色気と雰囲気を持つインナミさん。なんと彼女は天候を操る“神様”として村で崇められていたのだ。しかも村祭りの儀式で、タマキさんはインナミさんと二人きりで一晩を共にすることになってしまう。さらに、激怒するるうるたちを尻目に始まった儀式で不可思議な盗難事件まで発生し―!?欧文研は夏合宿も非常識だらけ。
あれ? これって「るうる」? と困惑してしまったほどガラッと雰囲気を変えての第四弾。というのも、舞台がいつもの学校からタマキの田舎に移り、そこには当然のような顔をして「神様」であるインナミさんがふわふわと存在していたのでした。
田舎で「神様」というとすぐに「ゆのはな」とかを思い出してしまうのだが、わりとエロゲーでは定番ネタですよね。意外とライトノベルの方だと少ない気もするが。一迅社から出ていた【ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。】なんかがそれに該当するんでしょうけど、あの作者もシナリオライターでしたし。
とは言え、この「るうる」の世界観には「魔術」は存在しても「神様」なんて存在はいないはず。明らかにインナミさんの存在はイレギュラーなんですよね。でも、彼女の天真爛漫であでやかで、無垢と狡猾が合わさったような人の心の奥底まで見通すような佇まいは、どこか人智を超えた存在で、それ以上に神として奉られ、親しまれ、愛されている彼女の人柄は、そんな違和感を吹き飛ばすような明るい存在感を示しているのでした。
とても、自然なのです。インナミさんがニコニコと笑いながら村の人達と笑顔をかわして闊歩している姿が。その交流にまやかしや裏の思惑など存在していない事は明らかで、決して村人たちが騙され悪いことが起こっているようなことはありません。インナミさまは、ただ村を見守り、穏やかに村人たちを安んじているだけなのでした。
そんな彼女に疑念や粗探しを迫るというのはどうにも無粋な話でしかありません。

そこに嘘があるとして、誰が困っているのでしょう。誰が苦しむことがあるのでしょう。

続きを読む

それがるうるの支配魔術 Game3:ファミリアル・リドル4   

それがるうるの支配魔術  Game3:ファミリアル・リドル (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術 Game3:ファミリアル・リドル】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

Amazon

学園内で最近語られる“三不思議”。中途半端な数字だが、実際に被害者も出ていて、ネット上の『噂屋』でも色々情報が出回っているらしい。「不思議=特別な魔術=兄への手がかり」という方程式を確立したるうるがその話を聞いたら、また面倒なことに「タマキ、調べにいくの!」…なっちまったようだ。しかし調査しているのが、欧文研を目の敵にしはじめたアイツのバレるとマズイのだが?不思議の中に巧妙に隠された真実とは!?―。
やっぱり面白いなあこれ。このお話では、相手との対決はゲームのルールを確認しあい、号令に寄って始まるものではなく、相手によって規定されたルールの中に取り込まれる事で既に始まっていて、主人公たちはまず自分たちが知らないルールを押し付けられている事に気づかなくてはならず、気づいても相手が規定したルールの内側から、一体何が現実を歪めた間違いなのか、を探り出し見つけ出さなければならない。この間違い探しが抜群に面白いんですよね。普通のまちがい探しと違うのは、範囲指定をしてくれないところ。一体どの段階から誤認が仕込まれているか、まるでわからない。場合によっては前提から既にひっくり返されていた、なんてことすらあるのだから油断も隙もあったものじゃない。
虚々実々入り混じる、何が嘘で何が本当かわからない日常の中で、タマキたちがこれだけは揺るぎない正答だと信じて拠り所にしているものが、欧文研の仲間同士の絆だ。もっとも、それとて幾つモノ上書きされたルールに寄って真実は覆い隠され、想いはすれ違い、正しいものであるからこそ背を向けなければという脅迫観念に突き動かされることもある。言わば、これが想いの間違いなのだろう。それを一つ一つ、それは違う、誤認である、と指摘して歪められたルールを打ち破り、真実を取り戻しているのがタマキであり、この作品の一巻一巻の物語の根幹なんだろうと思う。一巻のるうる。二巻の碓氷。そしてこの三巻の言乃といった風情に。実のところ、その想いの誤認を破ることについては、タマキの魔術の理を破る能力によるものじゃないんですよね。勿論、彼の能力は事態を打開するのに必要不可欠なものであり、切り札として作用しているものですが、言乃たちの想いの誤認を破ったのは決して能力による作用でもなんでもない事は、犬海丸という少年の魅力の理の一柱として覚えておいていいものだと思います。
特に、らしくない言乃の様子に苛立ちをあらわにしていたところは良かったなあ。もうね、彼の中には言乃という少女はこうあるべきだ、という理想像があるんですよ。それはある意味勝手なイメージの押し付けではあるんだけれど、時のその押し付けって大事だったりするんですよね。その人が、自分を見失っている時などは特に。
タマキは決して押し付けがましい人間じゃないんだけれど、ここぞという時に強引になれる、というのはなかなかカッコいい男だと思ったのでした。
そりゃ、深い付き合いの相手には、男女を問わず慕われるわ。盲信ではなく、全幅の信頼を寄せられる相手って、掛け替えのないものですもんね。

注意深く読んでいると、作中のあらゆるところに伏線やキーワードが仕込まれていて、ピースがハマると途端に大きな景色が広がるような……なんというか「ぶわっ!」と視界が広がる感覚が凄まじい解放感を得られて、気持ちいい作品なんですよね、これ。真相が明らかになった時の、すとんと腑に落ちるロジカルな充足感。まさに謎解きの醍醐味です。
あとは、もうちょっとラブコメ濃度が増えてくれるとなおよし。今回は言乃がメインだったことで逆に言乃さんがそれどころじゃなくいっぱいいっぱいだったので、いつもの言乃のエロ可愛さが堪能出来なかったからなあ。
ただ、今回で言乃のくびきがなくなったことで、より積極性が高まったのではないかと思われるフシがあるので、今後の攻勢が楽しみすぎるのですよ、はい。

1巻 2巻感想


ザ・スニーカーウェブにて、るうるの短編が掲載されている模様。今回は本編になかったルールザ・ルールのお話だそうですので、まずは一舐めしてみますか。

それがるうるの支配魔術 Game2:リメンバランス・パズル4   

それがるうるの支配魔術    Game2:リメンバランス・パズル (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術(イレギュラー) Game2:リメンバランス・パズル】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

Amazon

水那斗るうる率いる我らが欧文研に、奇妙なオブジェが届いた。「私を捜して」というメッセージと"浮き世のオルカ”というヒントが添えられており、どうやら碓氷の初恋に関わるものらしい。碓氷よ、感傷に浸っているところ悪いが、こいつには妙な魔術がかかっているぞ?
「それなら、お兄ちゃんが作ったゲームかも!」
るうる、それは飛躍しすぎだろっ!? 魔術が仕掛けられた初恋パズルが導くのは、失踪中のるうるの兄へか、それとも!?

最初のルールズ・ルールはかなり早い段階で答え解かった!!
まああの挿絵はキャラを抑えてさえいたら違和感感じるだろうし、一度違和感の方向性さえ掴めば、描写をお浚いさえすればきっちり答えにたどり着けるようになっている。
今回の魔術発動による間違い探しは、明らかにおかしい状況が多発している為に、一巻の時のような一体何が間違っているのかを注意深く見極めて、それにたどり着いた時の痛快なカタルシスという意味ではやや乏しくなっているのだけれど、それでも細かい謎解きなど、実に理路整然としていて答えが明かされた時の「あっ、なるほど!!」という納得感が、やはり素晴らしく気持ちがいい。
答えを聞いてみると、確かにそれ以前にヒントとなる情報が描写されているんですよね。それも、よく探さないと見つからない、みたいな隠され方はされておらず、割と堂々と書かれている。ただそう思うのは後になって振り返ってみたからで、その時は普通の情景描写や何気ない会話の中の一言といった物語における自然の流れの中に紛れているのです。でも、完全に迷彩は掛かっていなくて、読み直していると結構「これはヒントですよっ」みたいな自己主張がさらっと為されてたりするんですよね。
その意味では、伏線・ヒントの仕込み方は巧妙でありながら読み手に対して優しい、あるいはサービスに富んでいると言えます。それがまた小気味良いんですわ。純粋に話の作り方、語り方が上手いとも言えるんじゃないでしょうか。
これは、今回の今回の依頼「オルカ・ゲーム」にまつわるものだけではなく、るうるの兄の失踪や、るうるを取り巻く状況といったこの作品の根幹を担う謎についても同様で、今は何を指しているか判断する情報が足りないものの、どうやら伏線・ヒントらしい情報があちらこちらに散りばめられていて、自然とこの物語そのものにグイグイと引き込まれていくのです。
うん、面白いっ!!

短篇集でも予定されているのか、どうやら一巻とこの二巻との間の時間軸に色々と事件やイベントがあったようで、結構人間関係も変わってますね。幼なじみとるうるがやたらと仲良くなっているのもそうですけど、小春さんもあんなに距離感近くなかったよなあ。
それから言乃ですよ、御剣言乃。この子、めちゃくちゃエロいんですけどっ! 別に色気タップリとか艶っぽいというキャラでもないし、性格もむしろ堅くて潔癖っぽい方で下ネタ好きという訳でもない。わざとエロい言動で主人公をからかおうというタイプでもない。
なんだけど……この子、凄い無防備なんですよ。男の視線というものに無頓着すぎる! いや、視線自体に気づいていないというわけでもなさそうなんだが、平気でブラチラしたりいきなり着替えだしたり。見られても気にしない、主人公を男とも思ってない、というのとも違うのだ。下着見られたら普通に怒るし、恥ずかしがる。恥辱心は人並み程度に持ってるようなんですよね。
なのにガードがゆるゆる。そういうのに頓着なさそうなるうるなんかと比べても、無防備にエロい言動を発してるんですよね。普通に「今、生理だから」とか言われたら、さすがに驚くわ! いや、過剰に反応するのもアホらしい話で、別に主人公も多少慌てたくらいで大して気にもしてなかったけれど、平然と男に対してそういう発言するキャラというのはなかなか見たことがなかったので、新鮮というかなんというか。そう言えば、一巻でもタマキに対して無防備な発言してたなあ。
……考えてみるとこの無防備さって、性格というよりも自分の価値を低く見ているから、のような気がしてきた。なんか、一巻で丸のことを真面目に誘っていた時もそう考えると当てはまるんだが、自分を大事にしてない感じなんですよね。とは言え、言乃が自分のどうも何らかの制約を受けているらしい立場について丸に言及したからこそ感じるに至った感想なのですが。
小春さんに仕込まれているネタといい、碓氷が気づいたうっすらとはびこる悪意といい、どうにも思ってた以上に【世界災厄の魔女】るうるにまとわりつくモノは粘っこく気持ちの悪いものらしい。
丸の主人公としての明晰さと頼もしさもさる事ながら、碓氷が主人公の友人キャラ、というパターン的に存在感薄い立ち位置のくせに、この作品ではハード面でもソフト面でもとてつもなく頼りになりそうで、さらに色々なところに仕込みやトラップが設置されている中では、唯一と言っていいくらいしがらみも何もなく友情と恩義でもって全幅の信頼をおける相手となってますからね、ひとりでもこういう味方が身近にいるというのは安心感が違いますわ。
本来頼りになりそうな言乃は、どうやらしばらくは味方や相棒というよりも「ヒロイン」として機能しそうですしね。

何にせよ、背後にうごめく影も動き出し、盛り上がってまいりました。実はマスターが○○なんじゃないの? と正解を見つけた気になっていい気になってたら、速攻でダメだしくらいました。うきゅー。

1巻感想

それがるうるの支配魔術 Game1:ルールズ・ルール4   

それがるうるの支配魔術Game1:ルールズ・ルール (角川スニーカー文庫)

【それがるうるの支配魔術(イレギュラー) Game1:ルールズ・ルール】 土屋つかさ/さくらねこ 角川スニーカー文庫

Amazon

俺の前に突然現れた“世界災厄の魔女”こと不思議少女るうる。しかも俺のことを監視するから常に一緒にいるだと? 「その嫌そうな顔、3ptダウン」なんだそのポイント制は!? 新感覚魔術学園ストーリー開幕!
やっべえ、これは好きだわ。面白かったという以上に、好みを直撃している。元々、この作者のデビュー作シリーズである【放課後の魔術師】シリーズもあの知的で理性的なところが相当好きだったのですが、なんというかより自分の作風やスタイルというのを自覚した上で確信的にそうした部分をより強調して仕上げてきた、って感じなんですよね。
まあ、作者の作中でもあとがきでも公言して憚らなかったゲーム好き、という所をこうも作品そのものにのっけてくるのは予想外だった。何らかの形で絡めてくるとは思ってましたけど、作品の主題にしてくるとはなあ(笑
しかし、好きで好きでたまらない要素を基盤に持ってきたお蔭でか、作品全体にノリに乗ってるような漲る躍動感がひしめいてるんですよね。これは読んでて楽しくなりますよ。
なにより、これは発想がおもしろ素敵すぎます。いわゆるこれって、大規模かつリアルな間違い探し、という事になるんですよね。最初のるうるとのゲーム【ルールズ・ルール】というあの遊びが基本であり、魔術による改変の発見はそれの実地応用編。これが読んでて楽しいんだ。【放課後の魔術師】でも、日常パートでみんなで海外産のボードゲームをやってるシーンは毎回面白そうで読んでるこっちも楽しかったのですが、それを全編に押し並べてみた、という感じだろうか。勿論、純粋に遊びでみんなでワイワイやっているパターンと違って、魔術が絡む展開は、るうるに課せられた負債や事件そのものの深刻性も相まって決して軽い展開ではないのだけれど、小春に纏わる事件での二段重ねの間違い探しなんかは読み応えありましたしね。「なんとー!?」と唸らされた、あれは。いや、主人公の観察眼はたいしたもんだわ、あれは。ここで現れてる「間違い」って、決して非現実的なものじゃないんですよね。普通に前知識がなければ何ら気づかない違和感。それこそ、探偵的な観察眼が必要とされるところ。面白いのは、探偵による推理ものの場合と違って、こちらは間違いが指摘されると同時に誤魔化されてた認識が正常化し、その場に居る全員が「あっ!!」と驚きと共にあからさまにおかしかった所が皆の共通認識になるところ。これが、さり気無く痛快なんですよね。思わず、パンと手を打ちたくなるくらい。
うん、面白い。実に面白い。

登場人物たちも、土屋さんらしい情緒豊かであると同時に非常に理知的である所が好ましい限り。みんな個性的ではあるものの、無神経とは程遠いんですよね。これは、ある種傍若無人キャラである「るうる」も同様で、最初は人付き合いが乏しいせいか結構無軌道な言動に終始してるんですけど、付き合いを重ねるうちにその辺はすぐに修正されてきて、本来のものらしい良く相手の気持ちを考え、慮った言動を取るようになりますし。
そもそも、この娘は小動物系ですよね、これ。基本ベースは無表情系ですけど、見てると意外なほど表情がクルクル変わりますし、此処ぞというときには大きく破顔した顔なんか見せてくれる。まだまだ距離感の掴み方がわからなくて戸惑っている節もありますけど、人見知りもしませんし、主人公だけに心をひらいているというふうでもなく案外人当たりも良いですし。周りから避けられて、自分も事情から人を寄せ付けないようにしていただけで、ゲーム好き遊び好きというのも相まって、実のところ大勢でワイワイと賑やかにするの、好きなんじゃないのかな、この娘。
兎にも角にも、無表情系のくせに人懐っこく、それでいて儚げなところもあって、これは庇護欲を掻き立てられるタイプだわ。
んでもって、もう一人のヒロインが御剣事乃。この娘も、登場時からその途中でキャラの印象がガラっと変わったヒロインである。いや、この娘、マジで普通ならメインヒロインやるようなキャラじゃないですか? 最初の印象だとだいぶ感情的で堅苦しいというか偏屈な所のあるお嬢様タイプなのかと思ってましたけど、付き合ってるとサッパリとして屈託の無い性格が見えてきて、気軽に軽口をたたきあえ親しみやすく情に厚く、しかし強かで計算高い部分もあるという、なかなかに熱くて冷たいパーフェクト加減、結構前作の遥を彷彿とさせるところがあって、これはヒロイン力相当高そうなんですけど。

何れにしても、土屋さんの新作ということで期待していたものをさらに上回るものを送り出してきてくれた感じで、実に嬉しい限り。こりゃ、楽しみなシリーズがはじまりました。
 
11月26日

(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月25日

Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(KADOKAWA)
Amazon Kindle B☆W

11月22日

(MFC)
Amazon Kindle B☆W


(MFC)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス フラッパーシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスpixiv)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月20日

Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(GCN文庫)
Amazon Kindle B☆W

11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月18日

(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガブックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングチャンピオン烈コミックス)
Amazon Kindle B☆W

11月17日

(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W

11月16日

(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W

11月15日

(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(Gファンタジーコミックス)
Amazon Kindle B☆W

11月12日

(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(宝島社)
Amazon Kindle B☆W


(星海社COMICS)
Amazon Kindle B☆W


(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーうぇぶりSSC)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(メテオCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アクションコミックス(月刊アクション))
Amazon Kindle B☆W

11月10日

(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W

11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W
11月6日

(角川書店単行本)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W

11月5日

エンターブレイン
Amazon Kindle B☆W


(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(PASH!コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(PASH!コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon


(KCデラックス)
Amazon


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


Kindle B☆W

11月4日

(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(JUMP j books)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索