
【GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 2(下)】 川上稔/さとやす 電撃文庫
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パシリ忍者は金髪巨乳の夢を見るか?
へいへいへい、妄想するのも大概にしろよ。これはあれか? 実は夢オチでした、というオチなんだろう? さもなくば幻覚攻撃による妄想具現化とか? でなければ、こんな男の痛い願望がくっきりこっきり鮮やかなほどストライクにかなってしまうなんて、夢みたいな危険なことがあるわけないじゃないか。
拙者の女の趣味は金髪巨乳でござる、それ以外興味ないでござる!
とかほざいていたパシリしか能のない脇の脇のそのまた脇のモブキャラは、一生非モテのままそのうちセリフどころか出番すらなくなり、フェイドアウトが山でござろう? それが、マジで金髪巨乳をゲットした挙句あいては女王様って、妄想オチしか考えられないジャン。というか、妄想って七つの大罪に含まれてないのかよ。くそぅ、やべえぜGENESISワールド。なんて恐ろしい世界だにゃ。こんな妄想がかなってしまうなら、トーリの言う世界征服なんてむしろ簡単じゃないのか? 楽勝じゃないのか? 鼻歌交じりじゃないのか? 点蔵に金髪巨乳のカノジョができました! なんて驚天動地の事象に比べたら、もう何もかもが実現可能に思えてくるぜ!!
と、まあ七つの大罪の感情の一つ、嫉妬に駆られながら書きなぐってしまったが、実のところ点蔵・クロスユナイト氏は、武蔵の脳みそが湯だった変人オールスターズの中では稀にみるほどのまともな人間なんですよね。武蔵の女性陣が真剣になんでこいつモテないんだ? と不思議がるほどの真人間であると同時に、細やかな気配りの効く才人なのである。まー、この細かい気配りができるせいで、云いようにパシらされてるという向きもあるんだろうけど。とはいえ、そういう気のきくキャラであるからこそ、本来なら主役の一人にはなかなか成り得ないキャラクターのはずだったのが、何をどう間違えたのか、この第二巻ではほとんど主役抜擢のすさまじい待遇に。
いやもう、普通ねえよ(笑
まだ四巻目にして1000ページ越え。あの伝説の【終わりのクロニクル】最終巻すらあっさりとぶっちぎった厚さを誇るからこそ、こういう内容にできるんだろうなあ。普通は無理。実際、これだけ厚くないとトーリとホライゾンというメインの二人以外の敵味方大量のキャラクターを余すことなく書きつくすなんて無理な話だもんなあ。少々疑っているのだけれど、もしかしたら著者はまだ描き足りないとすら思ってるんじゃないだろうか。
しかし、改めて思うのが武蔵の連中の仲の良さだ。その殆どが幼いころからの幼なじみ。このトモダチみんな幼なじみ、という形はどこか田舎の長閑な学校のコミュニティーを連想させる。
家族というほど密接ではなく、さりとて友達というほど他人ではない、遠慮のない親愛の絆は、読んでいてもどこか心地よい。正純なんか、その幼なじみグループじゃないことに、若干コンプレックス…というほどでもないか、羨ましいなーと思ってるみたいなところもあるみたいだけど。この幼なじみグループは、だからと言って排他性に関しては皆無に近いから、外から、後から加わった人でも居心地が悪さは一切感じていないみたいだ。でも、正純からすると、ふとした瞬間に浮き上がってくる彼らの幼い頃からの記憶・体験からくる共感を、外から見る寂しさみたいなのはあるんだろうなあ。でも、今この瞬間、激動の青春時代を共有しているのだから、五年後十年後には彼らと共感をともにすることになるんだろう。
まあ、同じ幼なじみグループと言っても、中では距離感みたいなものもあるんだよな。たとえばナルゼと点蔵。ナルゼの言によれば、この二人、不断は決して仲が良いってわけじゃないんですよね。でも、この二人の間にもきっちり幼なじみの絆があり、いざ決戦の時、ナルゼは決死の想いで点蔵の背中を守り、押すことになるわけです。
彼女に限らず、みんないざ点蔵が決心したら誰しもが当たり前のように力を貸してくれるこの関係。場合によってはせっかく協力関係になれた英国と決裂するかもしれないんだから、止めようという動きもあって然るべきなのにね。その辺の難しいところを正純がすかさずフォローにかかった、というのもあるんだろうけど。うん、その意味ではもう正純も必要不可欠な存在だわ。
これって、トーリとホライゾンがみんなにとって特別だった、というわけじゃない事にもなるんですよね。それが仲間のことだったら、誰のことであろうと一丸となって全力で味方する。
いいよなあ、幼なじみ!!
なんか最後には将棋や信長の野望みたく、仲間入りしてしまうっぽい人たちもいるみたいで、今後も各国と槍を交える間に仲間も増えそうな雰囲気なんだけど、こいつらが中核に居る限りは、存分に楽しめそうだ。
それにしても、インノケンティウス教皇総長、前回のラスボスだったくせに、今回観戦専門だったとはいえ、一貫して武蔵に肩入れしまくってたよな、これ(笑
御π御π♪