さとやす

GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 3(上)4   

境界線上のホライゾン〈3 上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)

【GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 3(上)】 川上稔/さとやす 電撃文庫

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前巻までの経験から、この作品だけはあとから感想書こうとしてもまとめきれない上に突っ込みどころが二桁オーダーで襲いかかってくるので、これはもう読みながら実況形式で感想かいた方が精査できるんじゃないかと考えた次第。

実際やってみると、ほとんど壱頁ごとに二回以上の頻度で突っ込みいれなくてはならないことに気がついてしまったので、さすがに色々我慢することにした。
それでも、感想としてはこれだけ読んでもナニを書いているのか傍目には理解し難い一方通行なものになってしまったが、妙に恍惚とした気分でもある。

というわけで、以下にダラダラと垂れ流したものを収納。

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GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 2(下)5   

境界線上のホライゾン2〈下〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)

【GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 2(下)】 川上稔/さとやす 電撃文庫

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パシリ忍者は金髪巨乳の夢を見るか?

へいへいへい、妄想するのも大概にしろよ。これはあれか? 実は夢オチでした、というオチなんだろう? さもなくば幻覚攻撃による妄想具現化とか? でなければ、こんな男の痛い願望がくっきりこっきり鮮やかなほどストライクにかなってしまうなんて、夢みたいな危険なことがあるわけないじゃないか。
拙者の女の趣味は金髪巨乳でござる、それ以外興味ないでござる!
とかほざいていたパシリしか能のない脇の脇のそのまた脇のモブキャラは、一生非モテのままそのうちセリフどころか出番すらなくなり、フェイドアウトが山でござろう? それが、マジで金髪巨乳をゲットした挙句あいては女王様って、妄想オチしか考えられないジャン。というか、妄想って七つの大罪に含まれてないのかよ。くそぅ、やべえぜGENESISワールド。なんて恐ろしい世界だにゃ。こんな妄想がかなってしまうなら、トーリの言う世界征服なんてむしろ簡単じゃないのか? 楽勝じゃないのか? 鼻歌交じりじゃないのか? 点蔵に金髪巨乳のカノジョができました! なんて驚天動地の事象に比べたら、もう何もかもが実現可能に思えてくるぜ!!

と、まあ七つの大罪の感情の一つ、嫉妬に駆られながら書きなぐってしまったが、実のところ点蔵・クロスユナイト氏は、武蔵の脳みそが湯だった変人オールスターズの中では稀にみるほどのまともな人間なんですよね。武蔵の女性陣が真剣になんでこいつモテないんだ? と不思議がるほどの真人間であると同時に、細やかな気配りの効く才人なのである。まー、この細かい気配りができるせいで、云いようにパシらされてるという向きもあるんだろうけど。とはいえ、そういう気のきくキャラであるからこそ、本来なら主役の一人にはなかなか成り得ないキャラクターのはずだったのが、何をどう間違えたのか、この第二巻ではほとんど主役抜擢のすさまじい待遇に。
いやもう、普通ねえよ(笑
まだ四巻目にして1000ページ越え。あの伝説の【終わりのクロニクル】最終巻すらあっさりとぶっちぎった厚さを誇るからこそ、こういう内容にできるんだろうなあ。普通は無理。実際、これだけ厚くないとトーリとホライゾンというメインの二人以外の敵味方大量のキャラクターを余すことなく書きつくすなんて無理な話だもんなあ。少々疑っているのだけれど、もしかしたら著者はまだ描き足りないとすら思ってるんじゃないだろうか。

しかし、改めて思うのが武蔵の連中の仲の良さだ。その殆どが幼いころからの幼なじみ。このトモダチみんな幼なじみ、という形はどこか田舎の長閑な学校のコミュニティーを連想させる。
家族というほど密接ではなく、さりとて友達というほど他人ではない、遠慮のない親愛の絆は、読んでいてもどこか心地よい。正純なんか、その幼なじみグループじゃないことに、若干コンプレックス…というほどでもないか、羨ましいなーと思ってるみたいなところもあるみたいだけど。この幼なじみグループは、だからと言って排他性に関しては皆無に近いから、外から、後から加わった人でも居心地が悪さは一切感じていないみたいだ。でも、正純からすると、ふとした瞬間に浮き上がってくる彼らの幼い頃からの記憶・体験からくる共感を、外から見る寂しさみたいなのはあるんだろうなあ。でも、今この瞬間、激動の青春時代を共有しているのだから、五年後十年後には彼らと共感をともにすることになるんだろう。
まあ、同じ幼なじみグループと言っても、中では距離感みたいなものもあるんだよな。たとえばナルゼと点蔵。ナルゼの言によれば、この二人、不断は決して仲が良いってわけじゃないんですよね。でも、この二人の間にもきっちり幼なじみの絆があり、いざ決戦の時、ナルゼは決死の想いで点蔵の背中を守り、押すことになるわけです。
彼女に限らず、みんないざ点蔵が決心したら誰しもが当たり前のように力を貸してくれるこの関係。場合によってはせっかく協力関係になれた英国と決裂するかもしれないんだから、止めようという動きもあって然るべきなのにね。その辺の難しいところを正純がすかさずフォローにかかった、というのもあるんだろうけど。うん、その意味ではもう正純も必要不可欠な存在だわ。
これって、トーリとホライゾンがみんなにとって特別だった、というわけじゃない事にもなるんですよね。それが仲間のことだったら、誰のことであろうと一丸となって全力で味方する。
いいよなあ、幼なじみ!!
なんか最後には将棋や信長の野望みたく、仲間入りしてしまうっぽい人たちもいるみたいで、今後も各国と槍を交える間に仲間も増えそうな雰囲気なんだけど、こいつらが中核に居る限りは、存分に楽しめそうだ。


それにしても、インノケンティウス教皇総長、前回のラスボスだったくせに、今回観戦専門だったとはいえ、一貫して武蔵に肩入れしまくってたよな、これ(笑
御π御π♪

GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 1(下)5   

境界線上のホライゾン 1下 (1) (電撃文庫 か 5-31 GENESISシリーズ)

【GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 1(下)】 川上稔/さとやす 電撃文庫

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偶々、【とある魔術の禁書目録】のアニメを視聴していたら、イノケンティウスがボーボー燃え盛りながら大暴れしていた。おおっ、さすがはK.P.A.Italia代表インノケンティウス教皇総長。イイ感じで茹だってますなあ、HAHAHAHAとか思いながら見ていた今日この頃。
いや、だってあのオッサン、喋り方から論法から厭味ったらしい性格悪そうな振る舞いを見せつつも、本性はあれ熱血正義感だっしょ。立場上、政治的役回りに徹してますが、正純との決闘過程を見る限り、ありゃあ若いころは血の気の多い熱血バカだぜ。ガリレオ先生も言ってたしな。わりと脳筋で知られてたに違いないw
ところで、なんで初っ端から教皇聖下の話してるんでしょうね?
話題には事欠かない境界線上のホライゾン、一巻の下巻。既に二冊目で700ページを軽く臨界突破。この調子でいくと最終巻は二千ページの大台を突破しそうな勢いである。二千ページの文庫本ってどんなだよ。
いや、マジで全部読破するのに五時間強かかりました。私の場合、普通のライトノベルを100ページ三十分弱のペースで駆逐するのですが、このホライゾン、単純にページ数が多いだけじゃなく一ページに掛かる時間も普通のライトノベルより時間が掛かっている模様。休日がリアルに吹き飛びましたがな。

だが、その価値はあった。

五時間、戦慄しっぱなしでした。身体が持たねえ。
極まったのは、やはり506〜511ページにわたるタイトルを冠する挿絵を目前とした瞬間でしょう。
あれ、最近のアニメでたまに見かける、初回放送のクライマックスで満を持して叩きこむ、OPムービーそのまんまの形式ですよね。
痺れた。あの瞬間はマジで全身が身体の奥底から痙攣して、床をリアルでのたうちまわった。
たっまんねーー!
あれ以前はまさしく序章、プロローグ。まさに、この物語【境界線上のホライゾン】はあの瞬間に始まったのでしょう。スタートである。号砲が鳴ったのである。
葵・トーリを首魁とする武蔵アリアダスト学院一党の闘争がはじまったのである。
しかし、6ページまるまる挿絵に使うとは。こりゃあ、川上稔/さとやすラインでないと絶対不可能な手法ですわな。二ページ見開きイラストでなんじゃこりゃ、と次のページ開いたら、ですぜ。ほんとにびっくりした。びっくりした。

境界線上のホライゾン。その意味が伺い知れなかったタイトルの真意もここに示された。平行線の交わる場所。異なる意見の重なる場所。それが境界線上。
これは、ホライゾンの立ち位置という以外にも、この物語の進む先をも示しているのでしょう。戦いの先にある、世界の危機の解決にも繋がる、到達点。

あと、ちょっとだらだらと垂れ流しに書く。

超絶無能、という触れ込みだった主人公、葵・トーリ。その字【不可能男(インポッシブル)】
まったく、この作者は。敵わない。このアーバンネームを意味を違えないまま、概念をひっくり返された時にはガツンと頭を殴られたような衝撃だった。そう来たか! てなもんである。
この男、何もできない無能者で、頭の悪い馬鹿者だけど、馬鹿と愚かはイコールじゃないのですよね。
彼は何もできないけど、何を為すべきかを知っている。彼は何もできないけど、
俺がオマエらの不可能を受け止めてやる! だから、オマエらは可能の力を持っていけ!


しかしこの男、イカレ具合が半端ねえや。これまでも、川上作品の登場城人物、特に主人公は馬鹿が極まったような変態ばっかりだったのですが、それらがまともに見えるくらいにバカだもんなあ。あの連中がまともに見えるってどんなレベルだよ。

そしてメインヒロインであるホライゾン。
前巻では、わりと大人しかったので、終わりのクロニクルのマロい子と似たような自己主張の少ないタイプなのかもしれないと考えていたのですが、どうしてどうして。
やっぱり、この娘も自動人形か(笑
いや、終わりのクロニクルとか読んでた人なら分かるはずですが、自動人形ってみんなこれなんですよね。イイ性格(笑
元々、ホライゾンが人間だった頃からそういう性格で、しかもトーリ相手限定だったみたいですけど。
「救けに来たぜ!!」
「――誰ですか貴方。迷惑ですのでお帰り下さい」

死んだと思ったけどね(w
このくらいじゃ死なねえとなると、わりとトーリの願掛けはしぶといのかも。
「おやおや、下手に出ましたね。いい判断だと判断します」
「は・は・は。率直に申しあげて――最悪ですね」

オパーイとか言ってるし。魂のレベルでトーリを記憶してるんだろうか。ほかの人には接し方、柔らかかったもんなあ。
一番のお気に入りは、ラストの挿絵でしょ、やっぱり。

鈴っち。貴重な前髪枠の人。今回、戦闘能力皆無の立場ながら、トーリの背を押し、皆の希望を呼び起こし大活躍だった彼女。というか、彼女の作文、そして絶叫は泣きそうになった。なったよね?
この子の「たすけて」は最強兵器じゃないのか? 貧乳ナイト様をも一瞬んで撃滅してみせたわけですし。
いや、ベルさんの問題はそこじゃあねえ。みな、気づいてないだろうか。この娘、密かにトーリと張り合うように登場女性陣の胸、オパーイを触りまくってやがるんですけど。トーリ並みに堪能してやがるんですけど。
隠れオパーイ魔人じゃないのか? 疑惑、みたいな?

「エ、エロ小説書いてますよ私! しかも、題名は?私がして欲しいこと”!」
浅間智。この娘、葵姉弟に弄られるから弄られ役なんじゃなくて、生まれついての自爆型なんじゃないのか? 誰にも弄られなくても、独りでドツボにハマってますよ?
それにしてもデケえ。姉ちゃんに負けず劣らずの巨乳。さすが、貧乳政治家に貧乳信仰をぐらつかせるだけの破壊力w

何気にイチャイチャカップルが多いんですよね、まだ一巻なのに。
ハイディさり気なく惚気てるシロジロ。正純の演説中、ずっと裎さんとイチャついてる宗茂さんに、東とミリアム。
ミリアムが特にエロい。ママでいいんですか? ママで。
「女の子の何度なんて、聞いたらぞっとするわよ? 世の彼女持ちの男の子達は、相手の女の子を攻略したつもりになってるかもしれないけど、――頑張る男の子を見て、女の子が自分から難度を下げたなんて、夢にも思ってないのよね」
「参ったわね――難度が下がり掛けてるかしら」

下げてます下げてます。

そういえば、この武蔵教導院の主だった面々、ほとんどが幼い頃からの幼馴染同士なんですよね。
なんか、時々垣間見える小さなころからの共通の思い出、みたいなものが連中の気の置けない仲間意識の源泉を見るようで、心くすぐられるものがあります。
ミトさんも、その一人というのはなんだ不思議な感じなんですけどね。最初のイメージだと、もっと皆とは人間関係的に距離のある人だと思ってたんですけど。
「懇願せずとも、騎士の魂は必ず民を救いますわ。何故ならば、その歩むべき義務を騎士道と言うのですから」

思えば、彼女が騎士として歩む選択をする以前の、武蔵の騎士階級の人々が選んだ選択もまた、とても誇りにあふれた気高いものだったんですよね。地位を捨て、民に未来を託す選択。
でも、ネイトが選んだのは、騎士として友たちとともに歩む選択。王と選んだ幼馴染に剣を捧げ、騎士として皆を守る意思。援けを求める人を助ける騎士としての矜持。
王に身も心もささげる、って何気にエロいんですけどね。既に胸とか捧げてるしw 心なしか、ミトさんってトーリに気がありそうな気もするし。


分厚い本巻だけど、やはりメインとなるのは表紙絵を飾る本多・正純の演説、インノケンティウスとの問答シーンになるんだろうか。
事実上、この物語が進むべき方向性を決める第一の宣誓のシーンでもあるわけだし。

戦争を回避した場合の戦死者。
「ホライゾンを救わず、戦争を回避したつもりが、そのツケを各居留地に支払わせることになる。それが戦争を回避して生まれる戦死者だ。…戦争によって直接の死者が出なければ、福祉の不備や貧困で死者が出てもいいと言うのか? それは、目に見える死者を避けようとして、見えないところで生まれる死者は“仕方ない”とすることだぞ!?」
「…戦争をしなくてもその選択によって死者が出るということだよな?」
「Jud.その通りだ。――開戦的状況を前にして、戦争をしなければ平和だ、というのは未来に目をつぶった言い訳にしか過ぎない」

自国の利益のみを主張しても、他国の同意は得られない。戦うにしても、自身の正義を示し、敵対者の非、悪を糺す大義名分をかざさなければ、それは大義なき戦いとなってしまう。
それを示せるのは、政治家 本多・正純のみ。トーリが彼女にしかできないと望み、彼女が加われば無敵と称した政治家としての技量。
「政治家だったら、救えるのかな」
「私が必ず、己の役目として、――ホライゾンへの道をつけてやる」

襲名を失敗し、男性化手術によって胸を削って半端な身体となった上に、父親にも冷たい態度をとり続けられ、彼女はずっと悩み苦しんできたわけだ。
そんな彼女が、自らの存在を示し、自らの足で踏みだし、自らの意志で選んだ道。女として、政治家として生きることを選んだ戦い。
それを後押ししたのが、
「オマエは男になったんじゃない! ――貧乳になったんだ!」

とかほざく野郎というのは、不可思議極まりないわけだけどw
でも、親父である本多・正信の彼女への真の評価は震えたなあ。
「政治家としては、失格だ。――武蔵の政治家、私達のような暫定議員としては、な」
「今の武蔵に必要なのは、私達のような従来通りの武蔵の政治家。官僚としての議員ではない」
「王に対し、絶対の正当性と答えを与えられる、――絶対権力の宰相という政治家だ」

宰相は、王に答えを示し、世界に明言する。
我らはホライゾンの奪われた感情。大罪兵器の収拾による、末世の解明と解決。世界の危機を救うために行動する。と。

そんなトーリに、王権を譲る王様。武蔵王ヨシナオ。
まさか王様に泣かされるとは思わなかったさ。かつて、フランスの地方領主であった王様。自らの力不足でかつての土地と民を守れなかった彼が、選んだのは以前の繰り返しではなく、民に苦しみを強い、だが共に歩むと誓うこと。
「何しろ、これでも麻呂は武蔵王。……王である以上、もはや民の元を離れることなく、その苦しみも、困難も、共に味わい、糧として、解決に向けて尽力していく次第であります」

そんな彼に、かつての民の娘は、
「王様、さっき、勇敢でしたから。だから、父も、…武蔵に来て良かったと思ってたかと」
「当然であるとも! この武蔵の王は、勇敢でなければ務まらぬのだから!!」
「Jud.行って来たまえ。君らの王を守るために」

良かったね、王様。過去の清算と許しを得て、彼は見守る者となったわけだ。

そして、皆を導く王様になることを選んだトーリを見守るのは、幼い頃から彼を導いてきた姉ちゃん・喜美。


彼女は、彼のこぼす涙に唇を寄せ、
「いい? アンタはこれからずっと、泣くように生きなさい。笑うときも怒るときも、生まれたばかりのように。産声のように。そしてそれが出来ない人を救いなさい。人が生まれてから失ったり奪われたりしたものを、――貴方は取り返す生き方をなさい。私はそれを手伝ってあげる」
舌に載った涙の味は、血と同じ味がした。
「生まれたばかりの子供は血塗れで。そして人が泣くことが出来るのは、――自らを血の味に浸して、生まれ変わりたいからよね」

ホライゾンを死なせ、絶望の中に自らも沈もうとしていた弟をひっぱりあげたのは、この姉ちゃん。だからこそ、皆はこの人に頭があがらない。エロくて淫らんではた迷惑で、ぶっちゃけトーリ以上に何言ってるかさっぱりわからんわけわからん人なんだけど。めちゃくちゃカッコいいんですよね。
ただ、この人だけなんでか主要メンバーの中では姉という以外の役割がないのが、なんでなんだろうと違和感のようなものが。なんか、不穏な伏線みたいなものを感じるのは気のせいと思いたいところ。まあ、トーリクン悲しんだら死んじゃううさぎさんなので、無いとは思うんですけど。
「姉ちゃんがいてくれて、良かったと思うよ」



ホライゾンが奪われた全てを取り戻すため、世界列強に宣戦布告した葵・トーリ。裸の王様。でも、皆の王様。葵・トーリ。
姫・ホライゾンを得て、宰相本多・正純を得て、騎士ネイト・ミトツダイラを得て、サムライ本多・二代を得て。姉・喜美。商人シロジロ、ハイディ。帝族東。巫女浅間・智。従士メガネっこアデーレ、黒魔女マルゴット、白魔女ナイゼ。前髪担当鈴、異端審問官ウルキアガ。パシリ忍者点蔵。軍師ネシンバラ。武神直政。格闘家ノリキ。
武蔵の戦い。おそらくは万ページに至るであろうGENESISが始まったわけだ。
付きあいますよ、最後まで。

GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 1(上)5   

境界線上のホライゾン 1上 (1) (電撃文庫 か 5-30 GENESISシリーズ)

【GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 1(上)】 川上稔/さとやす 電撃文庫


しょっぱなから513ページである。なんだ、AHEAD最終巻の半分じゃないか、と鼻で笑える人は相当の川上強者とみて間違いはないでしょう。
だが待ってほしい(某コラム風に)。かのリアル正方形文庫本AHEADシリーズですら、その第一巻のページ数は386ページでしかなかったのだ。
その事実を鑑みるならば、果たして今後このGENESISはいったいどこまで行くのだろう。恐ろしい話である。

中身の方も、ページ数に負けず劣らずぶっ飛んでいる。自重という言葉をあらゆる意味で遥か昔に置き去りにしてしまっている川上先生ではあるけれども、まさか序盤20ページ近くを設定資料につぎ込むとは思わなかったですよ。巻末に用語辞典が載ってる本は何度も見たことあるけど、巻頭に乗っけてるのは初めて見たさ(笑
だがしかし、AHEADはおろかCITYのCITYと銘打つ前のパンツァーシティの頃からの読者としては、既にこの程度のこと慣れ親しんでおるのであった。ファンとしては、むしろこのイカレ狂ったような設定群こそ、故郷であり桃源郷なのである。

AHEADの時代からEDGEの時代を経て、舞台はGENESISの時代。これは、閉塞の物語である。
神州は、重奏世界の崩壊により世界各国の侵攻を受け、暫定支配下に置かれ、極東の名を冠され、多くの自由を失っている。さらに、世界そのものが歴史をなぞる聖譜記述の失効によって、崩壊の危機がうたわれる末世を迎えている。
そんな閉塞を、だからこれは打破する物語なのだろう。
末世を救い、創生を導く鍵の名はホライゾン。過去に喪われたはずの少女。武蔵の人々に、葵・トーリという少年に深い深い後悔という傷を刻んで消えた少女。
この物語は、そんな消えたはずの少女と、少年の後悔を取り戻す物語。

とりあえず、P01−sの仕事着エプロンの裾がやたら短くて、インナーがパンツみたいに見えてエロいのは作者か絵師かどちらか知らないけど、意図的に詳細に設定したモノだというのは理解した。

さて、どうしたもんだろう。なんか、書いておきたいことが山ほどあって逆に書きにくいんですよね、相変わらず川上シリーズは。
なので、乱筆乱文上等で文章としては目も当てられない、読む人のことをまるで考えない垂れ流し的に適当に書くことにしましょう。

リアル・アマゾネス。先生である。高速戦闘型女教師。やっぱりリアル・アマゾネスでいいと思う。これって瀬戸の花嫁から? オリオトライ。変な名前だ。が、ネシンバラが榊原の改造名であるのと同じように、基となった姓があるのかもしれない。普段からジャージだそうだが、挿絵を見る限りこの世界観のジャージはえらいエロいな。ハイレグハイレグ。いきなり、主人公のトーリの乳揉みの被害者になってる。柔らかそうだ。

主人公のトーリはあれか? 少なくとも前半はトーリという名称よりも<全裸>で表記されてる割合の方が多いような気がするのは気のせいか? アホでエロゲが趣味の超無能。超絶無能小僧。でも、人望はあるらしいんですよね。人望というべきか、皆に好かれているというか。慕われているとは間違ってもいえないな。
最初は何にも考えてないような心底おバカなおバカキャラ(大事なので二回繰り返しました)に見えるんだけど、実際どうしようもないおバカで、救いようのないオバカなんですけど、でもホライゾンにまつわる過去と、P01−sへのスタンスを見せられては、ただの無能のおバカとはやっぱり思えない。不可能男のアーバンネームは、逆意を得られるのか否か。
バカは返上できないだろうけどな!
一番好きなシーンは、後悔通りをウロウロするところだろうか。というか、あの場面で好きなのはそんな弟の姿をじっと眺めてる姉ちゃんの方か。
トーリの姉ちゃん、葵・喜美。高圧、タカビー、身勝手、超わたくし様。頭のおかしい、トーリとはベクトルの違うようでわりと似たようなバカ。おバカ。しまった、この作品、おバカじゃない人が希少生物なので、おバカというのはあまり説明になってないことに気づいた。というか、思い出した。
意外なことに、この手のスペックの持ち主を、実姉系で見たことはあまりない。いや、あるのか? 
ただ、なんにしてもびっくりするくらい姉ちゃんなんですよね。弟を見守る姉ちゃん。賢姉と自称するのも伊達ではない。でも、変人である。
姉ちゃん好きだな、姉ちゃん。
浅間智はメインな弄られ役か。なにしろ、キャラ紹介分に、トーリ・喜美の幼馴染兼人生の被害者、と明言されてるくらいだし。
数少ないツッコミ役として貴重な役回りではあるか。エロゲ忍者もツッコミ役だけど、あれは可哀想な人だしなあ(笑

と、前半はキャラ紹介みたいな感じで馬鹿騒ぎな武蔵の学生生活が描かれるのだが、後半もクライマックスとなると一気にくすぶっていた事態が動き出す。というか、第一巻からぶっ飛んだ展開に!
まさに、閉塞された箱庭の横壁に、大穴をあけるような大爆発。若者たちに未来の在り処を指し示すのは、過去に座すオッサンども。
松平四天王 本多・忠勝の戦いは、体の底から痺れました。特にあのシーン。自動人形・鹿角が忠勝の首に腕を回すシーン。片手に神格武装<蜻蛉切り>、片腕に鹿角を抱いての東国無双最後の戦い。
悲壮感なく減らず口と悪口を叩きあいながらの敵との闘争は、自動人形・鹿角の引き継いだ魂の正体とも相まって、もうなんか泣きそうに。
無責任と言うなかれ。彼らは、若者たちに託したのだから。何事かを為せるだけの教材を配し、何事を為すかは残されたものたちが選ばせる。彼らが遺したのは可能性。そして、受け継ぐのは【不可能】の字名を冠するあの少年と、ホライゾン。
次からこそが、次代の、次世代GENESISたちの戦いの始まりか。

恐るべきことに、既に物語の最後までプロットは完成しているらしいから、きっと恐ろしい速度で刊行がなされるに違いないので、待たされるおそれはないだろう。なにしろ、次の巻はもう来月に出るんだからw




 

12月12日


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11月20日

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11月19日

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11月18日

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