徒然雑記

終日のたりのたりかな  
  オロチのまどろむ庭TOP  読書メーター  月刊書籍発売カレンダー  書籍感想・殿堂作品
  書籍感想・著者索引(表紙絵附) 書籍感想・著者索引(シンプル版)  書籍感想・作品タイトル索引(シンプル版)
  7月の漫画新刊カレンダー  7月のライトノベル新刊カレンダー
  8月の漫画新刊カレンダー  8月のライトノベル新刊カレンダー
 

しのとうこ

宮廷医の娘 ★★★☆   



【宮廷医の娘】  冬馬 倫/しのとうこ メディアワークス文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

凄腕の闇医者×宮廷医の娘。この出会いが後宮を変える—中華医療譚、開幕!
黒衣まとうその闇医者は、どんな病をも治すという——。

由緒正しい宮廷医の家系に生まれ、仁の心の医師を志す陽香蘭。ある日、庶民から法外な治療費を請求するという闇医者・白蓮の噂を耳にする。
正義感から彼を改心させるべく診療所へ出向く香蘭。だがその闇医者は、運び込まれた急患を見た事もない外科的手法でたちどころに救ってみせ……。強引に弟子入りした香蘭は、白蓮と衝突しながらも真の医療を追い求めていく。
どんな病も治す診療所の評判は、やがて後宮にまで届き——東宮勅命で、香蘭はある貴妃の診察にあたることに!?

法外な治療費を毟り取る黒衣の無免許医というと、ブラックジャックを想起しますがモデルではあるんだろうか。
舞台は中華風異世界の平原国。中華ファンタジーではないっぽいんですよね、ファンタジー要素ないですし。それとも異世界モノだったら全部中華ファンタジーの範疇になってしまうんだろうか。
ともあれこの平原国、文明レベルは中近世くらいに見えるのですけれど医療水準についてはかなり高そうなんですよね。そもそも、医療科挙という国家試験が存在し医療に関する国家資格があるという時点で、医学に対しての社会的な意識や地位が高いということですし、技術に関しても簡易的な外科手術なんかも行われているようで、基礎的な知識もある程度共通認識として共有されてるんじゃないだろうか。
香蘭はそんな国の元宮廷医の家系に育った医師一族の選良。幼い頃から医学を志ざす、というよりも医学そのものにのめり込み夢中になっていた。人形遊びで人形を分解して外科手術ごっこをしている時点で相当である。今は医療科挙の突破を目指し勉学に励む堅物な生真面目な娘なのだけれど、その女子力を完全に放り捨てた脇目も振らない性格と医学についての好奇心は、闇医者・白蓮との出会いによって見事に刺激されることになってしまう。元々の医学への好奇心がなかったら、平原国で常識とされる医術とはステージが異なっている白蓮の医術をああも純粋に受け止める事は出来なかっただろうし、貪欲に吸収しようとも思わなかっただろう。秩序や枠組みを重んじるように見せかけて、必要とあらばわりとうっちゃってしまえる性格なんじゃないだろうか、この娘。マッドの気質あり、と睨んでいる。
さて、そんな香蘭に色んな意味で目をつけられた医師・白蓮。彼の正体については何者かとは明言されていないのだけれど、明らかに現代水準の医療技術と知識を身につけている以上、中華風異世界版『JIN-仁-』さんなんだろう。医局政治への嫌悪感をむき出しにしていることから、白の巨塔紛いの政争に巻き込まれた経験があったのかもしれない。皮肉屋で世の中を斜に構えて見ているなかなかに性格の歪んだイケメン医師である。
評判のぼったくりに関しては、マジぼったくりで金持ち庶民で区別せず、きっちりと高額報酬を受け取る姿勢は徹底している。金持ちからはふんだくるけれど、貧乏人からは金とらないよ、的な古典的な名医な在り方からは傲然と背を向けている。
かといって守銭奴なのかというと、そういうわけでもなく。ただ、現代レベルの医療をこの文明レベルの世界で行うには、それ相応の元手が掛かるということなのだ。技術費さっぴいても原材料費とか諸経費相当掛かってるんじゃないだろうか。薬や医療器具など金に糸目をつけていないみたいだし。
現代の日本だって、健康保険や高額医療費制度などで控除されている分を取っ払ったときの医療費のはめっちゃ高いよ。なので、白蓮の請求する治療費は法外とは言えないのだろう。
でも、庶民相手でも手心は加えないけれど、むしり取れる所からはより毟り取ってるよね、これ。というわけで、金にがめつい面は着実にあると思われる。
そんな医は仁術とか知ったコッチャないね、という姿勢の医者に弟子入りした堅物の医師の卵の娘が主人公の物語である。

病気に怪我に、それらにかかり負ってしまう患者たちには、病気になるに至る背景があり、また負った怪我によって見舞われる事情がある。香蘭は、医師の卵として病気や怪我よりも患者の抱える問題に踏み込み、その解決に奔走することになる。人と向き合うのが医者の仕事だと言わんばかりに。
当初、白蓮に対してその仁術に背を向ける在り方に反発していた香蘭だけど、弟子入りしてからはさっさと全幅の信頼を師に置いてるんですよね、この娘。そう書くと思い込みの激しい娘に見えるんだけど、案外と柔軟というか師の合理性に判断基準を置くようになっているからなのか、思い込みから暴走して失敗してしまうというような事はなかったんですよね。まあ、思い込みが強いなんてのは医療では致命的なだけに、いろんな可能性を考慮しながら物事を見るという姿勢をちゃんと確立しているということなのかもしれませんが。自身の正義感をたぎらせているときでも、相応に師にお伺いを立てていますし。そういう所、育ちがいいっていうんでしょうね。

最後の話で早速というべきなのか、宮廷の奥に入り皇太子―東宮の寵姫の治療に携わることで、宮廷政治の闇に踏み込んでしまうのですが、東宮の知遇を得たこともあり、今後は宮廷と下町を平行に舞台にしながら話は進んでいくんだろうか。
個人的には、なんかすでに東宮と友達だったという白蓮の過去も気になるんですけどね。医療器具などを作れる職人を探し出したり、抗生物質などの薬品を作り出したり、そういう医療体制を立ち上げられるほどの生活基盤や人脈を整えるまでには、相当の苦労があったはずですし。多分、身一つでこの世界に放り出されたんでしょうしねえ。
いずれ、そっちの話も出てくるんでしょうか。




薬屋のひとりごと 8 ★★★★   



【薬屋のひとりごと 8】 日向 夏/しのとうこ ヒーロー文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

毒で体調を崩した姚が医局勤めに戻れるようになった頃、猫猫のもとに大量の書物が届いた。
送り主は、変人軍師こと羅漢。碁の教本を大量に作ったからと、猫猫に押し付けてきたらしい。
興味がないので売り飛ばそうかと考える猫猫の考えとは裏腹に、羅漢の本によって、宮中では碁の流行が広がっていくことになる。
一方、壬氏はただでさえ忙しい身の上に加えて、砂欧の巫女の毒殺騒ぎや蝗害の報告も重なり、多忙を極めていた。
そんな中、宮廷内で碁の大会が企画されていることを知った壬氏は、羅漢のもとに直接交渉をしかけに行く。
開催場所を壬氏の名前で提供する代わりに、さぼっている仕事をこなすように説得するのだが――。

変人軍師、酷い言われようだし(一番酷い言い草しているのは娘の猫猫なんだが)、実際まともに仕事もせずにフラフラしているろくでなしなんですよね。そもそも、頭の中身が常人と違いすぎるので、これに通常の仕事を期待するほうが間違っているのでしょうけれど。
というか、なんでそんな人を「太尉」になんかしてるんだ!?
太尉と言えば、古代中国では軍事を司る大臣みたいなもので、三公の一つにも数えられた王朝もある役職だ。偉いのである。超・偉いのである。
まあこの人、その偉さを活用するタイプではなく、派閥にも属さず中立らしいのだけれど、決して影響力が皆無ってわけじゃないんですよね。むしろ、影響力はワケワカランほどある、というべきなのかもしれない。だからこそ、太尉に祭り上げられているのかもしれないが。
そんなのが親父なのですから、猫猫も妓楼育ちのどこの馬の骨とも分からない下民出身の女官、というわけにはいかなくなっちゃってるんですよね。中立であろうと太尉の娘である。それも変人軍師の娘である。必然的に派閥争いと無関係とはいかなくなってしまっている。
身分としては、皇弟である壬氏さまとも釣り合いが取れなくない、という所ではあるんですけどね。ただこうなると、気楽に后の女官にする、という訳にはいかなくなったのか。玉葉様は猫猫をもう一度自分の所の侍女にしたかったみたいだけれど、猫猫をつけるということは必然的に中立である羅一族がその后の派閥についた、と見做される可能性が高くなってしまう、となるとそりゃ難しいよなあ。
玉葉さま、精神的にもタフで鷹揚としていてどんな難事にも堪えず物事を楽しめる、という大物感をずっと漂わせていましたけれど、今回彼女に迫っている危機というか圧迫は彼女をして相当にキツいものがあるみたいでかなりへこたれていただけに、猫猫を側に置きたいという気持ちはわりと切実なものがあったと思うのですけれど、さすがにこうなると難しそうだなあ。
まあ猫猫も、今は医局の手伝いに充実感を感じているようですし、それを途中で放り出して、というのは気持ちも進まないでしょう。玉葉后のことは結構好きみたいですし、あそこの侍女たちとも仲良くて居心地も良かったとは思うのですけれど、今回の医局の仕事はちゃんと正式に試験通って就いたものですしね。同僚の姚と燕燕ともここで離れ離れになるには惜しい関係を築いていますし。
て、猫猫とちゃんと友達になったのってこの二人が初めてなんじゃないだろうか。友人と呼ぶに足る相手は今までもいましたけれど、猫猫自身も認めていますけれど、一人はああなっちゃいましたし、もう一人も仕事の合間に顔を合わせるくらいの頻度でしか会えなかったですし、今は宮廷離れちゃってますしね。これだけいつも一緒に行動して、休みの日もたまに一緒に遊んだり、みたいな本格的な友人関係って姚と燕燕がはじめてと言っても過言ではないはず。
猫猫本人も、この淡白な娘が意外なほどこの二人を気にかけてますし、わりと素直に友達と思っているみたいですし。希少な関係だ。

とまあ、女三人寄れば姦しい、というにはちょっとあれな個性の三人ですけれど、猫猫が同世代の女の子と一緒に働き一緒に休み一緒に遊ぶ姿はなかなか眼福でありました。出会いから事件を経て関係も落ち着いたのがこの巻だっただけに、そのへんの三人の描写も多かったような気がします。
大きな事件もなく、囲碁大会の開催にまつわる諸事がメインでしたし。いや、三つ子兄弟の事件とかちょっとしたミステリーっぽい事件簿はありましたけれど。これ、羅門叔父さんがだいたい解決しちゃっているのを見ると、確かに羅一族ってみんな優秀なのなー。

羅漢軍師は別格にしても……あれは天才という以上にバカの方に一線越えてる気がするし……秀でた才覚の持ち主はあちらこちらに見受けられるわけで。
そういう際立った人物たちが目立ち始めると、確かに壬氏さまって有能では在るんだけれど柔軟さが足りてない所はありそうなんですよね。顔の良さが並外れて魔性の域に達しているだけに、人外魔境の一人のように見られてしまうけれど、中身は凡人という自己評価は間違っていない気がする。仕事の割り振りとかできなくて自分一人で抱え込んでパンクしかけてたり、かなり間が悪くて肝心なものは手に入れられないとか、結構ぽんこつな所も多いんですよね。当初から猫猫を振り回そうとして、逆にいつも振り回されてましたしw
さて、そんな壬氏さまもそろそろ形振り構わなくなってきたわけで。この囲碁大会で大人気なく策を弄しまくって盤外戦術に全身全霊注ぎ込んでしまっていたのには、なんとも微苦笑ものでしたわ。
それも、一見すると政治的な利益を得るための深慮遠謀に見えるんだけど、実質は一人の女性をゲットするための完全な私利私欲に全振りしてた、という残念っぷりは何とも壬氏さまだなあ、と。
それでうまくいくどころか、目的だった羅漢に娘さんをください、というお願いを聞いてもらう件については全く叶わなかった、というあたりなんぞは特に。
ラストの、あの自分の体を傷つけても、という周到かつ自分を追い詰め後に引けない事までして、皇族から離脱するという政治的決断も、難しい皇弟という立場での振る舞いや後継争いに関するスタンス、兄である主上に自分のことを諦めてもらう、など様々な思惑あってのことでしょうけれど……結局あれって、それら全部建前なんですよね。本当の目的は、猫猫を嫁にするための外堀を埋めることだったんですよね。
あそこまでどえらいことしでかしておいて、全部猫猫がどうやっても逃げられないように囲い込むため、というあたり、壬氏さま必死過ぎるw
いやもう完全に開き直ったというべきか。色んな意味で袖にされすぎて限界突破してしまったというべきか。ちょっと変なスイッチ入ってますよね!?
これはそろそろ猫猫も観念のし時、年貢の納め時じゃなかろうか。
やたらいい笑顔で猫猫を抱え込んでいる表紙絵、まさにこの巻を表している絵だったように思いますぞw


薬屋のひとりごと 7 ★★★☆   



【薬屋のひとりごと 7】 日向 夏/しの とうこ ヒーロー文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

里樹妃との一件が片付いたのもつかの間、
猫猫の元に高順が厄介ごとを持ってやってくる。
どんな用事かと言えば、猫猫に女官試験を受けないかというものだった。
猫猫は、半ば強制的に試験を受ける羽目になる。
新しく医官専属の女官となった猫猫の前に現れるのは、
面倒くさい変人軍師に厳しい上司の医官たち、それと同僚たる同じ女官たちだが――。
猫猫は同僚たちにお約束の通り嫌がらせを受ける。
特に、女官の首領である姚(ヤオ)は猫猫に対して突っかかってくるのだった。
出てったと思ったら、また戻ってきて、と後宮の人たちもなんだこの女、て感じでしょうね、猫猫に対して。
しかも、今度は医官付き女官。結婚までの腰掛けではなかなか出来ない専門職である。最初は攫われてきて、下女からだったのに。
とはいえ、ここで同僚になった姚と燕燕はこれまで仲良くなった女官たちよりも縁が深くなりそうなんですよね。これまで猫猫って、所属きっちり固定されずにあっちこっちにフラフラとたらい回しにされたり、引っ張ってこられたり、と落ち着いて同じ所で一緒に仕事する仲間というのが出来にくかったんですよね。相手の立場が上だったりすることもあったし、仲良くなっても違う場所で働いていたり。一時的に一緒になっても、猫猫がすぐ違うところに行くので縁は続いていてもそんなに頻繁に顔を合わせられなくなったり。
まあ猫猫がそもそも愛想良くなくて仲良くなってもそっけないままだから、よほど懐っこい子相手でなければ縁も続かなかった、というのもあるのだけれど。
ただ、今回の場合は姚も燕燕も医官専属女官として同じ職場でそれなりに専門的な仕事に携わるし、薬関係は猫猫の本職ということもあって、彼女もわりと腰を据えて掛かっていることもあって、彼女たちとのやり取りがかなり多かったんですよね。
向こうが、というよりも姚が、ですが。猫猫に突っかかってきていましたけれど、元々裏表のないお嬢様なので、猫猫もけっこう好感抱いていたみたいですし。
猫猫ってこういうパリッとした子好きですよね。男女問わず、パリッとしているというかシャキッとしてる人相手だと、結構面倒くさいような相手でも好感を持ちやすいような気がします。高順とかオヤジとか、この手の人たちも穏やかだけどシャキッとしてるというか、グジグジしないせいか、敬意を持って接してますし。
逆にねちっこいというか鬱陶しい系は対応が塩。軍師さまとか、わりと壬氏もねちっこいところある気がする。
ただ、猫猫はほんと考えてること、というか特に対人関係なんだけれど、相手のことどう思ってるのかわかんないんですよね。塩対応がデフォルト、というのもあるんだけれど、喜楽の感情がにじみ出るのって薬とか毒関係のことでご満悦になってるときくらいだもんなあ。
ただ、他人に興味が全然なかったり、何も感じていないというわけじゃなくて、過去に親しい人を亡くした件については今も時々思い出して物思いにふけってるし、好感を抱いている人が理不尽な目にあったら珍しいぐらいに怒ってましたもんね、今回なんぞ。
でも、こと女の感情、異性に対しての感性に関しては元々が変人極まっているせいか、どうも常人とはズレている節があるし。子供は一度産んでみたい、と思ってるけれど、それも妊娠出産というものへの興味好奇心が主であって、その相手に対してはまったく関心抱いてないみたいだもんなあ。
壬氏のことどう思ってるのか。嫌いとか鬱陶しいとかはさすがに思ってない……いや、めんどいとか鬱陶しい、とかはかなり思ってる感じだけれど、毛嫌いはしていないはず。ただ、猫猫が壬氏のこと好きか、と問われると……この女が好きとか恋とか愛とか感じる生物なんだろうか、と真剣に首を傾げてしまうところがありますし。実は、密かに、というのもちょっと想像つかないもんなあ。
だから、幾つか疲労やら苛立ちやらタイミングが重なり精神的にキレてしまった、にしてもあの猫猫が、グチグチ遠回しにばかり言ってないでちゃんとハッキリ告白しろ! という趣旨の言葉を壬氏に叩きつけたのは意外も意外で。たまたま神経に触ることを言われたからって、キレて皮肉やら毒舌やら批判をぶつける方が彼女らしいわけで、それが「ハッキリしろよ、おい!」ですもんね。
そんなん言ったら、ずっと自重していた壬氏を煽った意外のなにものでもなく。そりゃ、壬氏さまも渡りに船ですよ。言いたくても言わないでずっと我慢してたのを、向こうから言えって言ってきたら、そりゃ言いますがな。
それでも、ついにですからねえ。壬氏さま、ついに言いやがった! コクったーー!! やっはー! プロポーズだ、ひゃっほーい!
それで、やっべえ、と顔を赤くするのではなく青ざめさせるのが猫猫なのですが。にしても、ほんと珍しく感情的になったなあ。感情的になったとしても、ここまで墓穴堀ったのは初めてじゃないだろうか。
で、どうなんだよ、プロポーズだぞ。嬉しくないのか、と聞きたいところだけれど、当人からすると「死刑宣告」なのだそうです。いやうん、この娘の性格からしてそう捉えるのもわかる、凄くわかるのだけれど……本当にこれっぽっちも「乙女心」関連は稼働しないのだろうか。そもそも、存在しないとか言われても、そうなのかー、となりそうなのが怖いのだけれど。
まあ、壬氏さまもこれまでの経験の積み重ねから、この女がこういう人間だというのは嫌というほどわかった上で、ずっと粘ってきて苦労してきたわけですからね。今更どういう態度取られても気にしないだろうけど、いやこっそり気にしながらも堪えきるんだろうけど、それにしても趣味変わってるよなあ、この人は。

突如、後宮入りした愛凛妃の目的と、突如外交訪問してきた愛凛妃の故国の政治的象徴たる巫女の来訪と合わせて起こった事件。
猫猫としては、違和感と気づきそうで思い当たらないもどかしさが色んな場面で介在していて、今回はすっきりと真相にたどり着けなくて、けっこうもやもやしたんじゃないだろうか。
結果として事件が起こってしまって、姚が大変な目にあってしまう、という猫猫としても痛恨の事態になってしまったわけですし。真相としてはかなりびっくりする展開ではありましたけれど。宦官が当たり前にいる環境であるからこそ、その視点はけっこう死角だった気もするんですよね。あと、そんな簡単に、いや簡単じゃなく長年の積み重ねあってのことかもしれませんけれど……豊胸って出来るのか。
……燕燕、これガチで姚は儂が育てた、ってやつなんですか、あなたw
使用人というか従者にも関わらず、主人を弄って愉悦に浸る、でもぞっこん愛している、というドS系百合のやばいヤツじゃないですかー。ただ、男にもイケメンにもまったく興味なし、ということも相まって、顔の良さのおかげで災難が日常的に降り掛かってくる壬氏に目をつけられたのは、ご愁傷様でした。自分にまったく興味を示さない燕燕に、おまけに女色の卦ありと知った途端に、身の回りの世話をする女官として「採用!!」と食い気味に叫ぶ壬氏さま、相変わらずこう顔の良さと裏腹の残念さというか、毎日苦労してるんだなあ、と同情したくなる所がまた見れて、なんかもう貴方はそのままで居てください。

このシリーズ、ウェブ版の方ずっと追いかけていて、書籍版の方は積んだままだったのですけれど、いい加減シリーズ長期化してしまって最初から書籍版読んで追いかけるの大変になっちゃったんですよね。なので、もう途中からでいいから読み始めよう、と七巻から途中乗車しました。
ウェブ版の方、ちょうどこの7巻分のところまで読んで、そのさきは書籍版で追いかけるつもりでしばらく前から読むの止めているので、この先は何も知らないまっさら。というわけで、次巻すでに出てますけれど、遠からず続き読みたいところ。楽しみ楽しみ。


日向夏・作品感想

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 六 ★★★☆   



【ぼんくら陰陽師の鬼嫁 六】 秋田 みやび/しの とうこ 富士見L文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

廃遊園地を覆う呪詛――嫁のピンチに(ぼんくら)旦那が駆けつける!

“北御門”を狙う呪詛により、廃遊園地へ閉じ込められた芹たち一行は、その現象の主と目されるミステリ作家・鷹雄光弦と対峙する。一方で、急いで芹の元へと向かう皇臥には、光弦との因縁に心当たりがあって……?

作中ではいつもセットで行動している式神の祈里ちゃんと護里ちゃんんだけど、表紙を一緒に飾ったのは初めてですか。いや、白蛇と亀の姿も可愛いのだけれどこの娘たちの人間形態もイラストで見てみたいなあ。
芹に小松菜フルコースを用意するよという餌に、わいろには……ちょっとしかくっしません! と、見事に屈する護里ちゃんとかほんともう可愛すぎるんですけど。ここ、本巻の最萌ポイントでありました。
ちなみに、あとでお姑さんも密かな好物だったという洋食で同じようにわいろに屈しているあたり、お義母さんちびっこと同レベルですよ、と言いたくもあり、とりあえず餌で釣ろうとするこの嫁ってば、と呆れたり。いや、ちゃんと効果覿面なんで食べ物で釣る、は正解なのでしょうけれど。

ともあれ、今回は本間さんに笑ちゃんという一般人も一緒なので、芹ばかりを守っていられず彼らの事も芹から頼まれることで、いつも以上にピリピリとしていた祈里ちゃんと護里ちゃん。本間さんたちには祈里ちゃんたちの事は話していないのと、式神である彼女らは笑ちゃんたちには見えないので祈里ちゃんとのやり取りは八城くん以外の他の二人には内緒にしていたのだけれど、本間さんと笑ちゃんなら祈里ちゃんたちのこと話しても大丈夫そうなんですけどね。

ともあれ、鷹雄光弦によって遊園地の廃墟から出られなくなった一同。遊園地の周囲には浮遊霊の有象無象が集まってきていて容易に出るわけにもいかない、という理由もあるので、とにかく言うだけ言って姿を消してしまった鷹雄を探したり、この遊園地の様子を調べるために歩き回るのだけど。
その間にも、ふとした瞬間観覧車のゴンドラが次々と落ちていくんですよね。遠目にもどこからでも見える観覧車から、ゴンドラが落ちてすごい音が聞こえてくるの、けっこう怖いですよ。
まだ最初の頃は夕方前で明るかったために精神的に余裕があった、逆に夜になるとヤバいかもというのは当人たちのコメントでしたが、そう言えば芹と元々の霊感持ちの八城くんだけじゃなく、本間さんも笑ちゃんもそれぞれ事件で北御門にお世話になった関係でも有り、心霊現象の経験者でもあったんでしたっけ。
それもあってか、変にパニックにならずに意識して明るい雰囲気を欠かさないように皆が振る舞ったお陰で、閉じ込められたとはいうもののそれほど追い詰められたり恐怖にかられたり、という空気にならずに済んだのは幸いでした。いや、努力してのことですから幸いではないのでしょうけれど。
特に笑ちゃんは中学生なのに、むしろ率先してムードメーカーやってくれて明るくしてくれてましたからね。祈里ちゃんと護里ちゃんというガーディアンがいることを知っているのは芹と八城くんだけで、本間さんと笑ちゃんは知らないのを思えば二人共ほんとよく頑張ってくれたものです。
本間さん、こうしてみたら責任感も強いし頼りになるのになあ。
まず腹が減っては戦はできぬとばかりに焼肉パーティーをはじめてしまうあたり、みんな強いですw
しかし、得体の知れない状況に陥っているのも確かで、芹も不安は尽きない。その芹の不安の理由の大半が、側に皇臥がいないということ。陰陽師としてはぼんくらもいい所で、鷹雄光弦が片鱗だけでも垣間見せたその陰陽師としての実力からすると、比べるのもおこがましいくらい。そんなぼんくらな皇臥が来たところで、鷹雄光弦と対決なんて事になっても果たして役に立つのかどうか。それどころか、北御門家そのものを目の敵にしているかのような言動の鷹雄光弦の前に、皇臥が来てしまうのは余計に状況を煽るはめになるかもしれない。
それでも、いつも何かあった時には側にいた皇臥がいないという事が芹にとっては心許ない事のようで、折に触れて皇臥がいないことへの不安がこぼれだしてくるんですね。
普段から気丈、どころか何があっても動じないような肝の太い所をみせる芹としては珍しいくらいの姿で、それだけ日頃から何だかんだと皇臥の事頼りにしてたんだなあ、と。それだけ心寄せてたんだなあ、と。
これもう、皇臥はもっと自信持ってもいいんじゃないでしょうか。鷹雄光弦から皇臥の事を貶されたら、そりゃ実力はぼんくらかもしれないけれど本気で怒って、思いを馳せる芹の帰りたい家はもうあの小煩いけど可愛いお姑さんと式神たちが待つ北御門の家で。
契約婚なんておこがましい、もうほんとの家族じゃないですか。

そんな嫁のピンチに、慌てふためいて必死に幽霊だの呪詛だのが蔓延している遊園地周辺に無理やり突っ込んでいく皇臥が、なんとも可愛らしかったです。この兄ちゃん、いつもない余裕がいつもにも増してなくって、でもその懸命さが、芹を心配する様子が健気だし一杯一杯な様子が可愛げたっぷりで、ほんと可愛い男の人です。今回はよく頑張った。いやなにかして頑張ったかというと慌ててすっ飛んできただけのような気もするけれど、そのすっ飛んでくる一生懸命さがこの際は大事なのである。

しかし、すべての黒幕だと思われた鷹雄光弦が、なんか思ってたのとは全然違ったどんでん返しの展開は、まったく予想外でした。いやだって、完全にそっち系のムーブかましてたじゃないですかー。八城くんが喧嘩腰になるのも仕方ないですよ。祈里ちゃんと護里ちゃんも普段以上にピリピリして、鷹雄光弦には敵愾心剥き出しでしたし。
まさかそういう因縁だったとは。なんかこう、無闇に攻撃的に見せてしまうところとか母親似な所あるんじゃないですか、この人w

とはいえ、すべてがまるっと解決したわけではなく、むしろ余計に闇と謎が深まった感もあり、芹の身にまだ何か秘められたものがある事が発覚したわけで、本番はむしろこれからなのかもしれない。
すでに、芹の身に何かが起こり始めているわけですし。今回なんだかんだと何もしてない皇臥くん、いや駆けつけてきてくれただけで芹としては好感度アップ、なのかもしれないけれど。ともかく次からはつきっきりで芹の側にいて、旦那らしく嫁のために頑張らないと。


ぼんくら陰陽師の鬼嫁 五 ★★★★   



【ぼんくら陰陽師の鬼嫁 五】 秋田 みやび/しの とうこ 富士見L文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

保護者代わりとして、笑と二泊三日の短期高額バイト旅行に出かけた芹。途中、父親の墓参りも兼ねて立ち寄った伯母一家の営む食堂で、偶然八城を含めた『廃墟研究会』のメンバーと会う。彼らはミステリ作品の聖地巡礼で閉園した遊園地に行くらしい。話を聞いた笑は興味津々。そのまま芹たちも同行することに。しかし、閉園されたさびれた遊園地に、墓参りで出会った黒ずくめの男、ミステリ作家の鷹雄光弦が現れて―?ぼんくら陰陽師の嫁、旦那不在で大ピンチ!?退魔お仕事物語!
お義母さん好きが高じすぎて、当のお義母さんにドン引きされて避けられてしまう芹。猫が好きすぎて構いすぎて逆に逃げられるのとおんなじ構図だw
お義母さん側とすれば一生懸命嫌がらせしているはずなのに、逆にめちゃくちゃ好かれて懐かれてベタベタしてこられるんだから、怖いよな。まあ相変わらずお義母さんの嫌がらせは気遣いが一杯詰まった優しいものなので、芹も楽しみにしてしまってるんだが。楽しみにしている嫌がらせってなんだよ、と言いたいところなんだけれど、皮肉じゃなく本気で楽しみにしてるんだよなあ。まあわかるんですけど。あれらは全然嫌がらせになってないし。
と、前回の一件で芹のお義母さんへの好感度が自分を差し置いて爆裂してしまったことに密かに焦っている旦那であるはずの皇臥でありますけど、お義母さん好感度の爆上げに隠れてしまっていますけれど着実に芹の皇臥への好感度も上がってるんですよねえ。
ふとした時に皇臥の思いやりは気遣いを察して気持ちを揺らしたり、今回は笑ちゃんとの旅行ということで離れて行動しているわけだけれど、何くれと無く皇臥の事に思いを馳せたり、いざという時皇臥のことを頼りに思ったり、と以前よりもさらに皇臥に対して物思う時にじんわりとした温かい熱が籠もるようになってきているのが、言動の端々から感じるようになってきているのであります。
芹自身も多少なりとも自覚があるのかもしれません。そういうのをまるで察していなくて空回りしがちなのが皇臥クオリティなのですけど。でも、彼の細々とした気遣いとかちゃんと伝わってるんですよねえ。
今回だって、笑ちゃんとの旅行は芹のことを慮ってのことですし。芹って忘れがちですけど、まだ遊びたい盛りの大学生なわけですしね。まあ遊びたい盛りと言っても芹の場合境遇からしてそんな遊び回るような環境でもなかったですし、性格的にも一ところで落ち着けるタイプですけど。でも、友達と遊びにいくのも決して嫌いではないでしょうし、それどころか、旅行にかこつけてお墓参りとか親戚への挨拶も、とか気を回してくれるのを嬉しく思わないはずもないわけで。

ところが、この旅行をきっかけに芹の両親。野崎の実家の、というか父親の知らざる姿が明らかになってしまうのは芹にとっても皇臥にとっても予想外のことだったでしょう。
てか、芹パパって見える人だったのか。どうして、芹が親戚に預けられる時に腫れ物めいた扱いをされたのかも、こうして事情がわかってくると納得させられる部分もあるわけで。ただまあ理由は納得できても感情としては納得したくはないよねえ。形見を処分させられたのとか。
ともあれ、父親の知らざる事情に加えて、父親の弟子だったという作家先生と遭遇するにあたって何やら不穏な展開に。ミステリ作家の鷹雄光弦、なんか格好が京極夏彦先生みたいなのを想起してしまってちょっと笑ってしまったのだけれど、この人マジもんの陰陽師なんだよなあ。その先生、どうやら北御門とは因縁があるようで。あちらも、恩師の娘が北御門に嫁いでいるなんて知らなかったものだから、余計に面倒なことになってしまったようだけれど。
しかもこの先生、どうやら本物の天才らしく、素人の芹が九字の一音を聞いただけで「あ、うちの旦那とは別格だわ」と悟ってしまうほど。ってか、あそこで「皇臥ってほんとに陰陽師としてぼんくらだったんだ」としみじみ考えちゃうのはさすがに失礼! 事実であっても失礼!!
でも、皇臥はぼんくらでも北御門の式神は、護里ちゃんと祈里ちゃんは相変わらず頼もしいので大丈夫大丈夫。それにぼんくらであっても頼りになる旦那であるのは間違いなく、突然の窮地に急いで駆けつけてきているだろう皇臥の存在はこの場面においてはやっぱり頼もしいんですよね。いやまあ来てもらっても何が出来るかわからないんですけど。陰陽師の実力としては果たして頼りにしていいものか疑問ばかりなのですけど。それでも頼もしく感じるのは、夫としての存在感なのではないでしょうか。うんまあ、夫としても大丈夫かぁ、と疑念がよぎってしまう感じはありますけど、うん大丈夫大丈夫。

今回、『廃墟研究会』の実際の活動に芹たちも参加させてもらってましたけれど、凄くちゃんとした活動内容で感心してしまいました。あっちこっちに許可貰って申請して、危険がないように事前に準備も欠かさず計画もしっかり立てて、と想像以上に用意周到で慎重かつ安全重視で。なるほど、真っ当な活動とかこういうものを言うんだなあ、と。まあ今回はそれでもトラブルに見舞われてしまったのですが、これは不可抗力だよなあ。

あと、芹のパパさん。幼い娘を残したまま事故で妻と共に亡くなってたり、霊視体質で苦労したり奥さんと結婚する際もトラブルあったり、と幸薄いしんどい人生送ったような印象を外から見ると感じてしまうのですけど、鷹雄光弦が芹と話している時たびたび芹のマイペースな言動にやっぱりあの人の娘だな!!と思わず叫んでいるのを見ると、芹に似てバイタリティ溢れた人だったんだろうなあ、と思わず笑ってしまったり。芹もずいぶん苦労した人生送ってきましたけど、そんな人生をあんまり想像させないたくましいキャラですものねえ。願わくば、もう少し芹パパの昔話を聞ける機会が訪れればいいのですが。
事件はまさしく後編へと続く、という展開に。おお気になる気になる、続きを早く早く。

シリーズ感想

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 四 ★★★★   

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 四 (富士見L文庫)

【ぼんくら陰陽師の鬼嫁 四】 秋田 みやび/しの とうこ 富士見L文庫

Amazon
Kindle B☆W

ぼんくら陰陽師・北御門皇臥のプロ嫁として日々努める芹。嫌みな姑の史緒佳との関係も、意外と上手くいっていた。得意先の紹介で出張祈祷に出かけた芹たちだったが、突然の大雨で帰れなくなってしまう。幸い懐も温かいので、近くのオーベルジュに一泊することに。梅の花に囲まれた素敵な宿に美味しい料理…と思いきや、待ち受けていたのは、今まさに始まらんとする降霊会と元北御門の門人、そして自称霊能者で―?ぼんくら陰陽師の腕が試されるとき!?現代退魔お仕事物語!

自分がまだ子供だった頃に十代後半とか二十歳になったくらいの親戚とか身内の若いお兄さんお姉さんだった人が、ふと気づいたら三十とか四十越えてたりすると、思わず「マジか!」と声に出してしまう現象、よくわかります。
いや、今だと自分がマジか!と言われる方になってしまったのですが。
見た目が変わってるとかそういうんじゃないんですよね。結構三十路くらいだと見た目そんな老けてなかったり、というのは実のところ珍しくはないのです。でも、だからこそ逆に再会した時「あんま変わってないよねー、今いくつだっけか……マジか!!」になるのですが。
「え? あんたもう40なの? マジか!」と言われることもままあります。
今回登場の薙子さん、北御門の内弟子やっていたころはまだ十代から二十歳になる頃だったわけで、その頃皇臥くんはちびっこだったわけで、再会した薙子さん何年ぶりに会うのかと計算したら自然と年齢も数えてしまうわけで、そりゃあびっくりするわねえ。
とまあ驚くのは向こうも同じで、6つ7つも年下の弟分だった子供が再会したら弟子連れてるばかりでなく、嫁さんまで連れているわけだから、なおさらびっくりするものである。というか、自分の歳を顧みてしまうのである、ショック。
芹だって、まあ穏やかではいられない。なんせ、血は繋がっていないとはいえ彼女は姉のようなもので、家族同然だった人で、北御門の家人たちの過去をよく知っている、あるいは共有している、と言った方がいいか、そういう人なのだ。祈里や護里ら式神だって、「なぎこなぎこ」と呼んで親しんでいる。
とまあ、普通ならここで芹が気にしてもやもやしだすのは、旦那であり夫である皇臥くんと薙子さんの関係であり、二人が共有している家族の時間、過去の想い出に嫉妬したり鬱屈を覚えたり、というパターンなのだけれど……。
面白いことに、芹が引っかかってしまったのは北御門の姉である薙子ではなく、北御門の「娘」であった薙子の方だったんですよね。
折しも、降霊術で降ろそうとしている霊が皇臥たちが急遽宿泊することになった宿泊施設付きのレストランの前オーナーの、まだ幼稚園にも通わないくらいの小さな男の子の霊であり、母親に会えない寂しさが未練となって残ってしまっているタイプの子だったわけである。
芹自身、母親を早くに亡くしてその寂しさを抱えていた身。ちょうど、霊の寂しさと芹の想いがバッティングしてしまい、ややこしいことになってしまったわけだけれど、ここに「母親への思い」というものが重なって浮き上がってきてしまったわけだ。
芹ちゃん、ライバル関係みたいにうそぶきながら、その実姑である史緒佳さんのこと、そんなに慕うに至っていたのか。
そりゃあ、今回の出張でも今までしていなかった化粧の仕方なんかを丁寧に教えてもらったりして。友達とわいわい言いながら慣れ親しんでいくものとは違って、「母親」から教えてもらう化粧の仕方というのは女性にとっては特別なことなのでしょうか。幼い頃に死に別れてしまった芹にとっては、史緒佳から教えてもらったそれは、この歳になって初めての母親から教えてもらう特別な時間であり出来事だったんですなあ。史緒佳さん、チクチクと嫌味言いながらなんだけれど全然ものいい嫌らしくないし、今回なんか化粧品など試供品とか言ってたけれど何気に芹のために買い揃えてたものなんですよね。こう、度々芹の心をずきゅんと射抜くような心遣いや優しさを垣間見せてくるものだから……ちょっと皇臥くんよ、嫁さんのハートキャッチ、明らかに自分の母親に負けてるんですけど!
ついに、芹から「告白」された! と思ったら、皇臥くんじゃなくて「私、お義母さん大好き」ですもんねえ。ご愁傷様です、旦那さん。
出張から帰ってきたら妙に嫁が懐いてきて、パニクって恐慌状態に陥っている史緒佳さんも、なんというか皇臥の母親らしくて、なんか安心しましたけれど。このお義母さんほんと癒し系ですわ。
いやいや、皇臥くんの方も本人まったく自覚ないですけれど、ちゃんと芹ちゃんから意識されだしているので、日々の努力を怠らないように。なんか色々と駄目っぽいけれど。

しかし、降霊会だの自称霊能者だのと本物の陰陽師が関わると、詐欺事件をひっくり返すみたいな話になってしまうものですけれど、今回はあちらもなんだかんだと詐欺師でも偽物でもなく、幽霊の存在も実在していたので、なんか真面目に男の子の幽霊の未練を晴らすためにみんなでその方法を探し回る、というある意味真っ当な除霊になってて、逆に真っ当な除霊というか地縛霊を成仏させる話というのは新鮮でありました。
薙子さんたちの方も色々と裏はあったものの、真摯なお仕事っぷりでかつての身内が落ちぶれて、みたいなことになっていなくて良かったです。というか、薙子さん北御門に来た時の事情もさることながら、北御門を出たあとの来歴もパワフルというかバイタリティ溢れるというか。年の離れた弟くんに対して、姉というよりも母親のように守ってきたのが伝わってくる話ばかりで、若いみそらで大変だったろうに。そういう所も、同じく苦労してきた芹としては共感するところだったのかもしれません。
薙子さん本人よりも、弟の影臣くんの方が北御門に対して隔意を持っていたようだけれど、妙に八城と意気投合してましたし、なんというかなんだかんだと久々に身内と再会したときのぎこちなさと段々と昔みたいに打ち解ける和やかさみたいなのが相俟ってる上に芹と弟子くん、薙子さんの弟くんという、それまで面識がなかった者が介在してそこに相手側に対する複雑な思いなんかも絡んでいるが故の、昔通りとは違うお互いに家庭を持った同士の新しい関係、みたいなのってこれもまた一つの親戚づきあいという感じなんですかねえ。
そして、今回も伊周のレッサーパンダの存在感、パねえかったですw

シリーズ感想

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 三 ★★★★   

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 三 (富士見L文庫)

【ぼんくら陰陽師の鬼嫁 三】 秋田 みやび/しのとうこ 富士見L文庫

Amazon
Kindle B☆W

ぼんくら陰陽師・北御門皇臥のプロ嫁として、今日も厳しい家計をやりくりする野崎芹。そんな中、本家の嫁のお披露目をしろと叔父の武人がやって来る。無骨な武人は、姑・史緒佳と相性がよろしくないようで、門前からバチバチと火花を散らして嫌みの応酬!いつもは敵の史緒佳だが、今回ばかりは一時休戦で、最強嫁姑タッグ成立か!?そして、本間先輩の持ってきたいわくつきの白無垢が北御門家にさらなる混乱を招き―?旦那使役スキルもますます上がる、退魔お仕事嫁物語、第三弾!
表紙絵のレッサーパンダがえらい可愛いんですけど!! ってか、レッサーパンダってなにさ!? と思ったんだけれど、そう言えばメディアワークス文庫の【絶対城先輩の妖怪学講座】でもこれについては語られていたっけ。ある妖怪の正体ではないかって。となると、本作中では明言されていないのだけれど伊周さんの正体って妖怪ランク的にも相当レベル高いものなんじゃなかろうか。いやでも、正体レッサーパンダなんだけど! あかん、元のロマンスグレーな老紳士とのギャップがw
さて、相変わらず嫁と姑でバチバチ火花飛ばしながら家族仲良く過ごしている北御門家ですが、名門当主にようやく出来た嫁の、一門衆へのお披露目というイベントが残っていて、というか親戚連中からせっつかれて、ついに代表して叔父さんが押しかけてくるというお話で、起こる事件の要となるのが花嫁衣装の白無垢、ということでついに芹の嫁問題にスポットが当たってきたのである。なんかもう、嫁として定着しすぎてて今更!って感じがしないでもないのだけれど、だからこそ親戚一同にも周知徹底していく必要はあるわけで、これに関しては皇臥よりもよっぽど芹の方が腰も肝も据わっている。いやまあ、この件だけではなく概ねどのようなときでも芹の方が色々と据わっちゃっているのだけれど。なので、むしろ今回の話って皇臥の方にもっと旦那として嫁を守るために頑張れ、という話だったんじゃないだろうか。なんだかんだと、芹をターゲットにして直接霊障が起こるというのは初めてなケースだったわけですし。幾ら祈里・護里の式神コンビに常時守られているからって今回はかなりヤバイ感じで、芹も随分怖い思いをさせられるはめになったわけですし。芹を守るために、非事苦手とかもうそういうの脇に放り出して必死に駈けずりまわる皇臥くんの姿は、なんでも出来る完璧超人とは程遠いからこそ、一生懸命さが伝わってきて好感が持てるんですよね。芹もこの旦那のこと、なんだかんだと信頼しているのが伝わってくるし。
それにしても、友好的とは言えない叔父さんへの角は立てないけれど腰も引けてない物怖じしない、それでいて礼儀はしっかりとした芹の対応は大人というかなんというか、けっこう大人げないお姑・史緒佳さんの対応と比べてしまうと、大したものだなあ、と。いや、史緒佳さんはこの大人気なさが可愛らしいのですけれど。仲の悪い叔父さんへのそれは、芹に対する微妙に方向性間違えている意地悪と違って直球でボコボコボールぶつけるような感じなのですが、それでもじっとりとした陰湿さがないのはホント、根っからいい人なんだよなあ。史緒佳さん自体はこの家に嫁として来た時、皇臥の祖母にあたるお姑さんには凄く可愛がられたらしくて、自身いじめられた経験がない、という話は芹へのピント外れの全然ダメージにならない可愛らしい意地悪しか出来ない理由の一つとして、なるほどなあ、という風情で。芹がいい加減お義母さん大好きだろう、という感じになってきてないだろうか、これ。
まあ、叔父さんの方も史緒佳さんが嫁入りしてきたときからチクチクと嫌味の応酬を繰り広げて大変仲が悪いまま現在まで来てしまったようだけれど、こちらはこちらで嫌い合っているわりに憎み合うようなドロドロとした感情はさっぱりなくって、史緒佳さんのことも彼女の苦労や努力も認めてるんですよね。嫌いだけれど。ってか、この人も根っからいい人だよなあ。
今回のことからも、陰陽師の家に嫁ぐということは危険とも隣り合わせで、怖い目にも合うわけで、厭味ったらしい事ばかり言ってくる叔父さんですけれど、芹に対してはそういうことも心配してくれてるんですよね。
しかし、芹の方は契約上の嫁云々抜きで、この北御門家の嫁を続けていく不安とかはもう全然ないのである。怖い目にあったらそりゃ怖いけれど、逃げ出したいとは欠片も思う様子もない。それはもう、彼女にとってここが帰る家、居場所になっているということなんですよね。寄る辺のない天涯孤独の彼女のとっての、温かくて居心地の良い家族と暮らす我が家なのである。無理してしがみついているのではなく、もう根を下ろしたような感覚でいる。
冗談でお義母さんと、離婚したあとの祈里と護里の式神所有権なのか親権問題なのかわからないことを話してたけれど、叔父さんにこぼした自分の居場所の話こそ芹の本音なんでしょうなあ。皇臥はマジで頑張れよ。こんな出来た嫁は二度と見つからんぞ。
それにしても、祈里・護里コンビの可愛らしさがさらに凶悪になってきてるんですけど。ホンマにかわいいなあ、おい。なんか、おとなしかった護里の方も祈里の方に影響受けてアレな感じになってきてるのが笑ってしまったのですが。式神なのに平然と主人を脅しに掛かるこのちびっ子たちw まあそれもこれも、芹さまが一番大事、という気持ちからなのですけれど。
ラストで、ついに14年前の隠された真実に迫る急展開。北御門家の傷跡に踏み入る話へと突入しはじめたのですが、いやもうほんと皇臥頑張れよ。

シリーズ感想

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 二 ★★★★   

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 二 (富士見L文庫)


【ぼんくら陰陽師の鬼嫁 二】 秋田みやび/しのとうこ 富士見L文庫

Amazon
Kindle B☆W

野崎芹は陰陽師・北御門皇臥と契約結婚をしている。彼の式神が視えたことで見初められ、生活上の利害の一致から決断したのだ。だが、かつての時代の公務員たる陰陽師一家の家計は厳しかった!それも皇臥が怪奇な事件が苦手なぼんくら陰陽師だったからで…。そこで芹はプロの嫁として、持ち前の機転と旦那使役スキルで依頼を解決。すると今度は姑から、結婚のお披露目を迫られる!さらに友人からは悪霊に憑かれたという相談事が舞い込んで…?前門の霊、後門の姑な退魔お仕事仮嫁語、待望の第二弾!
今どき大学生の娘さんが結婚した! となったら、同級生たちはそりゃあ「うはぁ!」ってテンションあがるでしょうなあ。ってか、結婚したこと隠さずに友達にも伝えてたのか。てっきり契約結婚なんていう話なんだから、芹にしても皇臥にしても必要がなくなったらとっとと契約解除する心づもりなのかと思ってたんだけれど、二人ともあんまり契約解除のことに関しては考えてない気がするんだが。契約だろうがなんだろうが、ちゃんと婚姻届出しちゃって正式な夫婦になっているわけで、芹側は友人にも知れ渡っているし、皇臥の側も近々親戚や弟子一同に紹介する流れになってってるし、これもうそう簡単に契約解除、即離婚、とか出来ないですよ。
お互い、現状に一杯一杯なせいか後のこと全然考えてなさそうだけれど。これは考えなしというよりもむしろ、芹と皇臥の相性良すぎて、今の関係しっくり行き過ぎているのも元凶なんでしょうなあ。この前まで他人だったにも関わらず、熟年夫婦みたいに馴染んじゃってるし、ここまで馴染んでると契約解除のこととか忘れてるんじゃないだろうか、ってなくらいで。
ただ、いきなり熟年夫婦になってしまった分、恋愛という過程を踏んでいないだけに、まあ結婚したとなるとやがて後継者問題というのが出てくるのを果たしてどうするのか。
何しろ今回の話ときたら、見方によっては子供の教育方針をめぐる夫婦喧嘩みたいなもんですもんねえ。
祈里にしても護里にしても、そして新たに登場した錦にしても、北御門の式神たちは精神年齢的にもまさに子供ですし。って、一応ちゃんと大人な式神たちもいるのですが芹にべったりな式神たちはみんなお子様ですからね。それを芹も本当にかわいがっていて、式神たちを家族のように捉えている。もし、契約結婚が皇臥と一対一の差し向かいのものだったら、ここまで彼と馴染んでなかったんじゃないだろうか。祈里や護里たち式神たちを家族として認識し、それらをひっくるめて北御門という家の嫁としてやっていくんだ、という意識があったからこそ上手くいったような気がします。姑さんへの対応に関しても、それを含めて北御門の家だから、という認識があったればこそ、じゃないかなあ。あのお義母さんが全然陰湿になれない人だからというのも大きいのでしょうけれど。お義母さん、そのイビリ、意地悪は姑さんがする類いのものじゃなくて、小学生低学年くらいの妹が大好きなお兄ちゃんに突然出来たお嫁さんにやるような他愛もないイタズラすぎて、むしろ可愛げがありすぎますってな。本人が必死な分、尚更に。
芹が逞しくて、お義母さんの意地悪にまったく動じてないどころか、むしろやり返してる、というところもあるのでしょうけれど、お義母さんやられ返されても逆ギレしたり、怨みをつのらせたり出来なくて、普通に悔しがってしまう人の良いさを感じてしまうなあ。

さて、さんざんボンクラ呼ばわりされてしまう旦那さんですけれど、今回は苦手な荒事にも関わらず、嫁さんの友達が困っているということで本来なら断る案件に首を突っ込んでいくことに。旦那として、嫁さんのメンツを潰させないために、学校での芹の評判を落とさないように、という気遣いと男気を感じさせる決断ではあるのですけれど、まず前提として苦手なことからは尻尾巻いて逃げるのが常態化していた、というのがあるだけに、素直にカッコイイとは思えない不思議。いやでも、ヘタレが嫁さんのために勇気出して頑張ろうとしているのだから、芹としてもまあ悪い気はしないのです。なかなか厳しい言を申しておりますが、芹もまんざらじゃなさそうでしたしね。
それだけお互いのことを考えられて、気心が知れたからこそ、本気でぶつかれる、喧嘩できるということもあるのでしょう。単なる契約、ビジネスライクなら喧嘩なんて出来ないですよ。それも、式神のことでなんて。
式神を子供のように、人間と変わらぬものとして扱っている芹と、本心はともかくとして陰陽師として式神の扱い方を割り切らないければならないと考えている皇臥とでは、いつか出るだろう齟齬と対立点がここで噴出してしまった、ということなんでしょうけれど、皇臥がぼんくららしく陰陽師に徹しきれずに彼自身式神たちのことを可愛がっているのがまああからさまなので、陰陽師の言い分としては皇臥が間違っていないにも関わらず、明らかに皇臥の方が分が悪い様子になっていたのは、さすがボンクラというところなのでしょうが。でも仕方ないね、祈里カワイイもの。
でも、それで言を翻したり、芹に妥協せずに陰陽師としての理であり、式神への責任をあっさり放棄せずに譲ることをしなかった皇臥は、幾らぼんくらであっても立派な陰陽師なのでしょう。この点は誉めて然るべきなんじゃないかと。一方で、家族のパパとしてはそこで冷徹に徹してしまうのは家族の破綻をもたらしてしまうわけで、人間が出来てたり巧みだったりする人はうまいこと公人としての立場と私人としての立場を使い分けて妥協点を作り出すんだろうけれど、皇臥がそれが出来るほど器用な人間なら、契約嫁とか取る必要なんかなかっただろうし、嫁や世間にぼんくら呼ばわりされてないよなあ。
だからこそ、北御門の生命線は「式神」なんでしょうなあ。この時、皇臥の公人と私人の間を取り持ってくれたのも、家族としての振る舞いの間を取り持ってくれたのも、皇臥が生み出した式神である錦くんなんですよね。
彼のお説教は、式神として主人である皇臥の不見識を叱るものであり、同時に家族の中のお兄ちゃんとして、姉だけれど妹となる祈里を庇い、父親の無神経さを怒るものでした。錦くん、落ち着きのないうるさい糞ガキの末っ子だとか思っててごめんなさいだよ。ちゃんと家族のことをよく見てよく考えてくれてるしっかりしたお兄ちゃんじゃないか。
式神としての機能、能力云々ではなく、これだけよく人間の出来た人格を持った式神を生み出せる、という一点において、皇臥の陰陽師の能力は捨てたもんじゃないんじゃないだろうか。
まあ、皇臥の作った式神たち、祈里、護里、錦が揃って子供メンタルなのは、他の昔からいる式神たちがちゃんとした大人なのに比べると、まあアレなんだけれど。でもいいんだよ、可愛いんだからみんな。子供は可愛い、これ正義。
いや本当にもうお子様式神たちが可愛くて可愛くて、芹じゃないけれどもう愛でるよねえ、これ。結構本格的な怪談調、ガチの霊障で、クローズドサークル気味の舞台であったのも相まってホラー風味だったはずなのだけれど、そんなに怖い雰囲気にならなかったのは、式神たちの可愛らしさと頼もしさにあったんでしょうなあ。


一巻感想

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 ★★★★   

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 (富士見L文庫)

【ぼんくら陰陽師の鬼嫁】 秋田みやび/しのとうこ 富士見L文庫

Amazon
Kindle B☆W

京都は左京区、哲学の道にほど近い公園で。何かと不幸な体質の野崎芹は、やむなき事情で住処をなくして途方に暮れていた。そんな彼女に手を差し伸べたのは、通りすがりの陰陽師・北御門皇臥。なんと彼の式神が視えた芹を、嫁に迎えたいということで…!?破格の条件につられ仮嫁契約を交わす芹。ところが皇臥は式神以外の能力がない、ぼんくら陰陽師だった!怪奇事件にも逃げ腰で、悠々自適の生活のはずが家計がピンチ。ここに芹はプロの嫁として、立ち上がることを決意するのだった―退魔お仕事嫁物語、開幕!
あ、これ同じ作者の富士見L文庫から出てる【三宮ワケあり不動産調査簿】と世界観一緒なのか。あちらが神戸でこちらが京都と。作中で明言されてはいないのだけれど、どうやらあちらで登場してた人らしき人物の話がチラリと語られてたし。こういう世界観を広げる作品跨いだシステムは好きなので大いにやって
欲しい。
本作、一見してジャケットデザインやあらすじから時代背景がわからなかったのだけれど、ガッツリ現代なのね。現代で通りすがりに陰陽師が歩いているあたり、さすがは京都である、パない。
その陰陽師の北御門皇臥くん。思いっきりタイトルでぼんくら呼ばわりされてますけれど……いや、ぼんくらは言いすぎじゃないですか? 確かに超一流とは程遠いみたいですけれど、全然陰陽師としてダメってわけじゃないし、仕事に対して意欲がない訳じゃなくむしろ真面目な方だし。そりゃ、いささか頼りないなあ、と思う所はあるけどさ、ぼんくらとまでは……。何気に優秀でも無能でもないって中途半端ですね! でも、普通や平凡って感じでもないんですよね。単に得意分野に偏りがあって、苦手分野に対しては及び腰ってだけで。
でも、仕事を選り好みできるほど現代の陰陽師は悠々自適ではないわけで。そうだよね、自営業だもんね、陰陽師。しかも、料金システムがちゃんとしているような職種ではないので、何気に現物払いが少なくない、というのはちょっと笑ってしまった。物によっては現金よりもありがたいケースも有るので、一概に悪いとは言えないんだけれど。
そんな苦手分野を選り好みしてしまっていた旦那に、いつまでもそんなことじゃこの先やってけないでしょう! と尻を叩く羽目になったのが、新妻芹ちゃんなのである。
偽装結婚じゃなくて、一応ガチの婚姻なのかー!! 幾ら住むところも手持ちのお金もないという切羽詰まった状況だったとはいえ、思い切ったよなあ。一応書類上は正式な婚姻を結ぶと言っても、生活実態はあくまで名目上であって、いわゆる雇われ嫁なのだけれど……恋愛が介在しないだけで嫁としての役割は子作り以外はほぼ満了でこなしているあたり、なるほどプロ嫁である。
しかも、お姑さんの相手までw
いやこれ、気持ち的に仕事と割り切れる芹ちゃんよりも、お姑さんの方が複雑ですよ。一応、これが息子が親戚筋の圧力を躱すために契約した偽装嫁という事実を知っちゃってるわけですから、どう対応したらいいかそりゃわかんないですよ。わかんないなりに、なんか腹立つので地味に嫌がらせしてしまうあたりは苦笑モノだし、その内容が嫌がらせというには人が良すぎるものなのが、まったく微苦笑モノなのですけれど。そして、結局息子と同様にプロ嫁に餌付けされてしまってるし。何このお姑さん、チョロいww
だいたい芹ちゃんも、これが契約婚姻ならもっとビジネスライクにやりゃあいいのに、色んな意味でやる気満々なのが微笑ましい。皇臥と知り合ったきっかけが、本来他人には見えない彼の式神であるまもりちゃんに懐かれてしまった、というところから始まって、健気で愛らしい幼女なまもりに随分と思い入れてしまっている、というのも北御門家にビジネスじゃなく親身になってしまっている理由なんだろうけれど、皇臥に対してもさっそく尻に敷いているあたりは、もう完全に嫁してるんだよなあ。しっかり者で人情家の嫁とか、よく捕まえたもんである、皇臥くん。何気に大昔に唾つけてたことも発覚するんだけれど、新参の嫁に発破かけられてやる気になったり喜んでるあたり、こ、こいつはぁ……と思わないでもない。芹ちゃんみたいな性格だと、こういう頼りなさそうで意外とたちが悪いというか、手癖が悪いと言うか裏で手綱を引くのがうまいタイプにはハマりやすいのかなあ。叩けば叩くほど発奮するし、いざという時しっかり守ってくれる旦那というのは、しっかり者の嫁としたら気持ちいいでしょうし。

事件の内容は、陰陽師というセラピスト、みたいなものではなく、わりとガチの心霊案件。同時に、家族間の関係がお婆ちゃんの死によって微妙に拗れてしまった、というか要であったお婆ちゃんが居なくなったことでギスギスしたものが露呈してしまってきている、という状態か。それを、この怪奇案件をきっかけに事件の真相をミステリーのように解き明かすことで同時に家族の内実、思い込みを取っ払った本当の姿、心の在り処というものを詳らかにしていくことになるんだけれど、これがまた悪意がある一方で思わず心温まる愛情のお話でもあって、夫婦っていいなあ、いいですよ、どうよ? と契約夫婦の二人に見せつける話にもなっていて、いやはやごちそうさまでした。
二人とも満更でもない、というか既に皇臥くんの方はガッツイてる感すらあるので、いやむしろお前が一歩引かないと芹ちゃん思わず後ずさりするしかないじゃない? と言いたくなる二人なのですけれど、雰囲気自体はいいだけに、このまま既成事実にすり合わせる感じで距離縮まっていってほしいものです。その過程をつぶさにシリーズ化してほしいものです、はい。
あと麺つゆは許しましょう。許しましょう。あれは万能ですけぇ、お姑さんも恥ずかしがらずw
にしても、ぼんくらも誇張だと思うけれど、鬼嫁も言い過ぎだわなあ。芹ちゃん、全然鬼じゃないですよ。叱られる旦那の方が反省スべしw 式神たち、みんな嫁派になっちゃってる件についてよく考えなさい。

秋田みやび作品感想

バー・コントレイルの相談事 3   

バー・コントレイルの相談事 (富士見L文庫)

【バー・コントレイルの相談事】 小竹清彦/しのとうこ 富士見L文庫

Amazon

横浜の路地にひっそりと佇むバー・コントレイル。「バーに入るのはまだ早い」なんて思っていた、ちょっと引っ込み思案な社会人2年目の志摩縁が勇気を振り絞って飛び込んでみたその店には、一見すると好青年、だけど不思議な雰囲気を纏ったバーデンダー・羽鳥慎がいた。初めて訪れるバーに緊張しつつも、羽鳥との会話とカクテルの味に引き出されるまま、自身の抱えるトラブルを打ち明けた縁。そんな彼女に、羽鳥はバーテンダーならではの観察力と洞察力で、思いもよらぬ解決策を提示し…!?
自分、酒は飲めないのでそもそも居酒屋ですら飲み会くらいでしか行かないので、さらにお洒落なBARなんてものにはてんで縁がないのですけれど、だからこそ関わりのない空間を覗き見る、という読書における楽しみを得る事も叶うというもの。
全く無知なだけに、BARでも普通にビールとか飲めるのね、という多分常識な部分から驚けていたりする。
そんでもって、また「料理」が美味しそうなんだわ。BARで出てくる、しかもメニューに載っているものだけではなく、お客の曖昧なリクエストから作り出されてくる料理なだけに、イタリアンをはじめとしたおシャレで品の良さそうな料理ばかりなんだけれど、これが実に垂涎もの。空腹を誘うというよりも、口の中の舌が味を求めて切なくなるみたいな?
そんなお酒と料理を肴にして、気心の知れた飲み仲間たちと過ごす居心地の良い空間。相変わらず、この人の描き出す人間関係は、安息のような安らぎに満ちている。べったりといつまでもひっついているような仲間意識ではなくて、約束するでもなく自然と集まり、同じ時間と空間を共有し、謳歌する。でも、その場限りの関係ではなく、酒をきっかけに育まれた友情は、それぞれの人生、それぞれの生き方に手を差し伸べる事を厭わない。
凄く、素敵な関係なんですよね。
夜のBARを舞台にしているにも関わらず、まどろむように温かな空気に包まれている。
縁の苦しみも、フライ屋の娘さんの悩みにも、そして縁がずっと抱え込んでいた家族へのシコリにも、みんなが親身になって話を聞き、真剣に話し合って、その解決を一緒になって喜んで……。
生きることに充実している、というのはこういう日常を得ている事を言うんだろうなあ。
お酒は殆どのまない自分ですけれど、カクテルに対するこだわりや歴史、薀蓄なんかは凄く面白かったです。こういうのは、実際飲んでこそ、と言われるのかもしれませんが、話を聞いているだけで楽しい、というのも本当なんですよ。

小竹清彦作品感想
 
8月3日

(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W

8月2日

(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(YKコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(FUZコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W
7月30日

Kindle B☆W


(WITノベル)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川ビーンズ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川ビーンズ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川ビーンズ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ファミ通文庫)
Amazon Kindle B☆W


(モンスター文庫)
Amazon Kindle B☆W


(モンスター文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ZERO-SUMコミックス) Amazon


(ビッグコミックス) Amazon Kindle B☆W


(モンスターコミックス) Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

7月29日

(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W

7月28日

Amazon Kindle B☆W

7月27日

(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(KADOKAWA)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

7月26日

(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース・エクストラ)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(KADOKAWA)
Amazon Kindle B☆W


(KADOKAWA)
Amazon Kindle B☆W

7月25日

(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W

7月21日

(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFC)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス フラッパーシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

7月20日

(4コマKINGSぱれっとコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(4コマKINGSぱれっとコミックス)
Amazon


(4コマKINGSぱれっとコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(4コマKINGSぱれっとコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W

7月19日

(HJ NOVELS)
Amazon Kindle B☆W


(HJ NOVELS)
Amazon Kindle B☆W


(HJ NOVELS)
Amazon Kindle B☆W


(HJ NOVELS)
Amazon Kindle B☆W


(HJ NOVELS)
Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(チャンピオンREDコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

7月17日

(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W

7月16日

(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(角川文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川文庫)
Amazon Kindle B☆W

7月15日

(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W

7月14日

(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GAノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(GAノベルス)
Amazon


(ハヤカワ文庫JA)
Amazon Kindle B☆W


(ハヤカワ文庫JA)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(モーニングKC) Amazon Kindle B☆W

7月13日

(リュウコミックス)
Amazon Kindle B☆W

7月12日

(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーうぇぶりSSC)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーうぇぶりSSC)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグ コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグ コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(YKコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(YKコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(YKコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(メテオCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


(メテオCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


(メテオCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


(メテオCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

7月10日

(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(モーニングスターブックス)
Amazon Kindle B☆W

7月9日

(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(講談社)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(星海社COMICS)
Amazon Kindle B☆W


(ブレイドコミックス)
Kindle B☆W


(ブレイドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


7月8日

(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W



(宝島社)
Amazon Kindle B☆W

7月7日

(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


(幻冬舎文庫)
Amazon Kindle B☆W



(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索