なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 5.鋼の墓所 ★★★☆   



【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 5.鋼の墓所】 細音 啓/neco  MF文庫J

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英雄シドの剣と武技を継承し「真の世界を取り戻す」決意をした少年カイ。切除器官を取り込み、他を圧倒する幻獣族の英雄ラースイーエによる世界輪廻の再現をギリギリで阻止。だが、彼らを待ち受けていたのはウルザ連邦への瞬間転移、そして正史にも存在しない第六の種族・機鋼種との遭遇だった。新たなる事態に直面したカイたちが、再びラースイーエの企みを止めるべく休む間もなく作戦を開始。そんな彼らに接触してきたのは、悪魔族の次席ハインマリル。幻獣族の暴走を止めるべく他種族が集結していくなか、少年の知る正史とはまた別の、世界の真実が迫っていた。

ハインマリル、見た目からしてツインテ小悪魔でこうキャピキャピした感じであれこれ腹に一物抱えて裏で動く策士系なのかと思ったら……なんかこう、すごく脳筋系じゃないですか?
いやこう裏で色々と画策はしてそうなんだけれど、最終的にとりあえずぶん殴ればいいじゃん、という結論でまとめているような頭の悪さを感じるのですが。サキュバスロードらしく、魅了使ったり人間関係引っ掻き回すような言動を好んでしているようではあるんですけれど、普遍的なサキュバスらしからぬパワー依存型っぽさが、引っ掻き回し方にしても雑というか力任せな感じが……w
いやそのくらいだからこそ、リンネやレーレーンあたりと釣り合ってるのかもしれないけれど。ハインマリルが本気でカイの事を引っかけようとしていないというのもあるんだろうが、駆け引き巧者がリンネとレーレーンに本気で絡んできたら太刀打ちできそうにないですし。
しかし、カイがちょっかい掛けられてリンネが嫌がるのはわかりますけど、レーレーンも一緒になってあそこまで噛み付いてくるとは思わなかった。エルフ娘さんもそろそろ隠す気もなくなってきましたなあ。
それ以上にブチ切れてたのが、鏡光さんですけど。ってか、ちょっかいだされたのカイに対してではなく、バルムンクのおっちゃんに対してですが。ハインマリルがいらんちょっかいをバルムンクに出そうとした途端にえらい剣幕で激烈な反応を見せたのが鏡光さん。
いやもう滅茶苦茶お気に入りじゃないですか。管理対象とかペットとか一生懸命建前述べてますけれど、はっきりと自分のもの宣言して手を出すなと主張してますし、あれ二人だけの時のやり取り微妙に甘えた風な態度とってますし、あのヒゲどこかそんなに気に入ったんだw
バルムンクの方も普段の威厳はどこへやら、鏡光相手だと口喧しいお母ちゃんか、というくらいあれこれと鏡光に小言をとばしているのですが、ある意味構いまくってるんですよね。お互いツンツンしながらイチャイチャしてるようにしか見えないんですけどw

というわけで、ついに悪魔族まで合流して幻獣族を除いた混合パーティーに。カイの元いた正史でも他種族は敵だったことを思うと、カイが憧れる英雄シドが築き上げた歴史とはまた全く別の世界をこの少年は導き出そうとしているということになるんでしょうか。
リンネの正体についても、ようやく意味深なことを語ってくれる人が出てきてくれましたけれど。
考えてみると、リンネの存在は切除器官や機鋼種以上に謎なんですよね。あの人は随分と核心に近い助言をくれたようにも思いますけれど。
シドについても、他に二人の若いシドが出てきたことで余計に混迷が深まってますけれど、ある程度事情を知っていた、或いは思い出した素振りのあった悪魔族の英雄ヴァネッサ、彼女が再登場すればその辺の謎の解明も進展するかと思っていたのですが……。うん、ヴァネッサは絶対また出てくるとは思ってた。というか特に隠されているようすもなく、ハインマリルが初登場した時からそんな感じは匂わしてましたしねえ。
ただ、ようやく出てきたわりには実はちゃんと思い出してはいないのか、あんまり詳しくは語ってくれないヴァネッサお姐さん。さすがはハインマリルよりも大物感を出してはいるのですが、ところどころ抜けてる素振りもあって、実は一番ちゃんとしているの怠惰な鏡光さんじゃないのか、と思えてきてしまいます。
それにしても、ハインマリルもそうだったけど、ヴァネッサも元がサキュバスとは思えないくらい脳筋ですなあ。

シリーズ感想

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 4.神罰の獣 ★★★☆   



【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 4.神罰の獣】 細音 啓/neco  MF文庫J

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英雄シドの剣と武技を継承し「真の世界を取り戻す」決意をした少年カイ。聖霊族の英雄・六元鏡光との共闘で謎の怪物・切除器官を撃破。こうして世界輪廻を招いた元凶は、最後の四英雄・幻獣族のラースイーエに絞られた。一方で、順調すぎる世界の解放に戸惑いを覚えながらも、ジャンヌは幻獣族の支配するシュルツ連邦への進出を決意する。切除器官を従えて暗躍を続けるラースイーエ、存在が明かされた二人の“シド”―「この世界の秘密を知る者たち」とカイたちが邂逅を果たすとき、五種族大戦の影に潜んでいた「真の支配者」が目を覚ます―

バルムンクさん、度胸もあり柔軟性もあり人の話も聞き威厳があり、とほぼほぼパーフェクトリーダーなんだけれど、その分完璧すぎて面白みのない人だなあ、とも思ってたんですが、小さくなった鏡光のお世話係になぜかなってしまったおかげか、フリーダムな鏡光に振り回され突っかかっていなされてと空回りしまくる姿を見せてくれて、なんか好きになってしまいましたよ、この人。なんだろう、この相性の良すぎるコンビは。本来なら長年生存をかけて争った相手同士にも関わらず、漫才コンビのようになっちゃってまあ。バルムンクも真面目すぎて鏡光の自由さについていけてないんだろうけど、その生真面目さは良いツッコミキャラの資質ですよ、うん。
さて、ラースイーエの野望というべきか、他の種族の領域にまで手を出し世界輪廻を招いた元凶として暗躍しているラースイーエに対抗するために、聖霊族とも休戦がなり落ち着いて振り返ってみると幻獣族以外とはある程度休戦状態が成立している状態になったんですよね。悪魔族も今のところはハインマリルを通じて交戦状態からは遠ざかってたし。
とはいえ、切除器官なる異常な敵の出現に意図が読めないラースイーエ、と余計に状況は混迷を深めていたところで、ついにカイもこの世界に元の世界の英雄シドとは違う「シド」が存在していることを知り、その人物を追いかけることになる。
幾つもの世界の謎が明らかになってきたとはいえ、むしろ謎も深まり絡まりますますわからなくなってきた、とも言えるんですよね。英雄シドが正史においてなにをやらかしたのか。その結果とこの世界輪廻後の世界とはどう繋がっているのか。今回、切除器官と融合したラースイーエが新たな世界の改変を行いかけたことからも、世界の在り方が正史とこの世界輪廻後の世界の二つだけではなく、ラースイーエが持ち得た力のように何らかの鍵さえ持っていれば幾度でも世界の在りようが変えられる、とわかったのは……いやこれ、余計に足元不安定な感じになりますよね。
ただ、この状況のメインプレイヤーとなるのは種族の英雄であるラースイーエたちではなく、どうやら預言者に認定された「シド」の名を冠する者たちの方であるっぽいんだよなあ。ラースイーエはこの場合イレギュラーなのか、それとも正式な反逆者なのか。今回のサブタイトルは神罰の獣だけれど、神を罰する獣という意味であるらしいし。
ただこの新しい二人のシドたちって、妙にイキっているし自信満々で自分が一番強いし偉い、みたいな態度が逆に底が浅くてショボそうな気配がしてしまうのだけれど、細音さんの作品の場合こういうキャラはそのとおりに強くて偉いケースが多いので、自己評価通りなのかしら。
ともあれ、新たな第六の種族の出現で余計に既存の種族たちの共闘の流れが出てきたか。なんだかんだとハインマリルとも協力することになったし……ってか、悪魔族明らかにバックに例の人がいそうなんですけど、あからさますぎるw

シリーズ感想

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 3.神々の道 ★★★☆   



【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 3.神々の道】 細音 啓/neco  MF文庫J

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世界は人類が五種族大戦に敗れた歴史へと「上書き」された―英雄シドの剣と武技を継承し「真の世界を取り戻す」決意をした少年カイは、何者かの影響で豹変した蛮神族の英雄・主天アルフレイヤを撃破。イオ連邦の地にひと時の休戦をもたらす。聖霊族が支配するユールン連邦への案内役として、エルフの巫女レーレーンを加えた一行。だが、凶暴化した巨大なベヒーモスの襲撃で事態は急変。導かれるようにオルビア預言神の祠へと辿り着く。「あなたたちに世界の運命を託したい。この世界は『偽り』です」。ジャンヌに救世主となるよう求める預言神。だが、カイはこの世界での出来事から神の言葉に疑問を抱いていた―大注目のファンタジー超大作、第3弾!
異種族の英雄の中でも一番人間から遠く外れていて、意思の疎通すら不可能な異形の怪物……と、思われていた聖霊族の英雄・六元鏡光が、まさかの癒し系!
いやこれ、殆どマスコットじゃないですか。他の英雄様たちはその名に相応しく厳しいというか強面というか、見るからに強そうで怖そうな人たちばかりだったのに、鏡光ちゃんだけやたらと可愛いんですけど。キャラクターももとがスライムなせいか無表情無感情キャラっぽいんですけど、よくよく見てると結構すっとぼけていてノリも良くて、カイもジャンヌも堅苦しいところが目立つ中で中々いい具合に場をかき回してくれるキャラになってるんですよね。無邪気なリンネと口うるさいレーレーンにしても、何だかんだと二人とも基本真面目な娘ですからね。
ともあれ、人類側の勢力圏がほぼ侵し尽くされほそぼそとレジスタンスとして抗うしか無い中で、それぞれの地域を制圧している異種族の英雄を打倒し、人類の生存圏を取り戻す……という体だった基本路線も、結局最初の悪魔族との戦いがその通り進んだだけで、二巻での蛮神族との戦いはアルフレイヤが操られ、この三巻では聖霊族と戦う前にその英雄である六元鏡光が既に襲われ撃破されてしまっていた、という始末。そこには新たな誰も知らない異形の勢力の暗躍が認められ、その異形の存在こそがこの書き換えられた世界の存在である、という異種族対人類という対立構図が決定的にズレはじめたのが、この第三巻の概要となるのでしょう。
その中で鍵となるのが、正史であるはずのカイの歴史で英雄として異種族を打ち破った「シド」なる存在だったわけですけど、そのシドって一体何者!? というのが結局今までさっぱりわからなかったんですよね。いやもう情報少なすぎて気持ち悪いくらい。どういう容姿でどういう来歴でどんな出身のどういう人物なのかがまるで語られない。今までシドの事を普通に男と思い込んでいたのだけれど、何気に性別すら語られて来なかったんですよね。もちろん、シドを知っているのが今となってはカイだけなので、主人公の彼が語ってくれなければ何も知ることは出来ないのだけれど、そのカイからして語ってくれないんだもんなあ。物語の展開上、シドの情報は極力伏せる必要がある、のだろうけれど、カイがあれだけシドに傾倒しているわりにここまで触れてくれないというのは、ちと不自然な感じがして気持ち悪かったんですよね。
まあ待った甲斐もあってか、ようやく「シド」というキーワードが実体を持って動き出してくれたのですけれど……。
ちょっとまって、シドって「そういう意味」も含んでたの!? 単なる個人名かと思っていたから、英雄シドのことも単なるそういう名前の個人だと思いこんでたんだけれど、これ物事がそう単純じゃなくなってきてしまった、という事なんですよね。
となると、今回の作中でカイじゃなくて、ジャンヌの方がオルビア預言神にお前がシドになるんだよ!系の託宣を頂いてしまったのも、単にジャンヌにこの世界での救世主になれ、というだけの意味じゃなさそう、って事なんですよね。
それに、カイが受け継いでいるものを見てしまうと、実質的にもカイもまた「シド」を継承しているともとれますし。
今の所、まだ箱の中に仕舞われていた真実の群れが、蓋を開けてひっくり返されて散らばってしまた、というような状態なのでまた全体像がさっぱりなだけに、詳しくわかってくるのはこれからなんだろうけれど。
まあ色々とご指名をうけてしまったジャンヌさんですが、一巻の頃の追い詰められて切羽詰まって余裕がなかった頃に比べたら、カイのことが気になって仕方なくて不器用ながら積極的にアプローチしかけて仲良くなろうなろうとしている様子が実に可愛らしくも女の子していて、良かったねえと微笑ましくなる。正史では親密な幼馴染だったのに、こっちでは面識ない所からはじまってしまったわけですからねえ。ボーイフレンドという関係も大いに前進でありますよ。

シリーズ感想

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 2.堕天の翼 ★★★  

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?2 堕天の翼 (MF文庫J)

【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 2.堕天の翼】 細音 啓/ neco MF文庫J

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世界は人類が五種族大戦に敗れた歴史へと「上書き」された。強大な異種族に支配された地上でただ一人、人間が勝利した世界を知る少年カイは、全ての人間から忘れられた存在になりながらも、英雄シドの剣と武技を継承し「真の世界を取り戻す」ことを決意する。運命の少女リンネと共に悪魔の英雄ヴァネッサをうち破り、人類を悪魔族から解放することに成功。さらに霊光の騎士ジャンヌと共に、蛮神族の領土イオ連邦へ。天使やエルフ、ドワーフたちの支配地でカイが見たものは、蛮神族の英雄・主天アルフレイヤの豹変だった。「主天様は…変わってしまわれた。すべてはあの時から…」早くも大ヒット!圧倒的反響を巻き起こすファンタジー超大作、第2弾!

イオ連邦の解放軍のリーダーがあまりにも酷すぎて、よくこれまで持ってたなあ、と逆に感心してしまった。それだけ、実戦部隊の隊長の爺ちゃんが超有能だったんだろうけれど、元王族とはいえあそこまで下の連中からの信望もなくなっちゃってたら、旗印としての意味もなかったんじゃなかろうか。よくまあ、後ろから撃たれなかったものである。前線に一切出てこないから、後ろから撃ちようもなかったのかもしれないが。それでも、早晩クーデターあってもおかしくなかったんじゃなかろうか。
でも、そんなボスを頂いていてもジャンヌたちよりもイオ連邦側の方が組織として大きく兵力も装備も充実している、というのは皮肉な話である。それだけ直接の敵対勢力である悪魔の好戦性が蛮神族よりもキツかった、ということなんだろうけれど。でも、生産施設バンザイだよなあ、この場合。
そしてダンテさん、改心したように見えてこいつなにも変わってないんじゃ……。

今回は早々にラスタライザが登場して暗躍しているけれど、黒幕が存在するということがわかっても謎は深まるばかり。普通なら、中ボスが倒されるときにヒント残していくケースではそのたびに謎が明らかになって世界観が広がっていくものなんだけれど。
まさかの、今際の発言の矛盾である。ヴァネッサとアルフレイヤ、言ってることが違うんですけど!? ふたりとも、嘘をついて騙そうなんて余裕がある状況ではなかっただけに、それぞれ知っていることが違ったか認識が食い違っていたか。いずれにしても、何もわかっていないに等しいカイ側からすると、え?どういうことなの? と戸惑う材料が増えたばかりで、いやこれ結局何もわからないまま次の敵に突撃していくしかないじゃない。
今回は蛮神族側が内輪もめしていたところにスルリと入り込めたから良かったものの、なんかジャンヌも装備にすごいリスク抱えているみたいだし、このまま何の対策もなく、次へ進んでいっていいものなんだろうか。
仲間が増えたのはいいことですけれど。
なんか、恐ろしく速攻でデレたなあ、リーリーン。ラスト、ちょこんと無意識にカイの側に陣取って離れなかったり、とか可愛すぎる。見事なポンコツ枠でもあるので、パーティーの雰囲気の盛り上がり的にも期待したい。なんだかんだとジャンヌもファリンも真面目さんだし、リンネは天然過ぎて空気読めずに雰囲気を明るくするキャラとしては微妙だし。
まあなんというか、ジャンヌさんも速攻で女っ気出しまくってカイにベタベタしているので、変に雰囲気明るくしなくてもいいのかもしれないですけれど。幼馴染としての記憶は世界が上書きされたことからなくなってしまっているはずなんだけれど、あの気安さはもう幼馴染級ですよねえ。男装する彼女が女の子だというのを知っている同性がカイだけ、にしても色々とくっつきすぎである。どっかで、腐ってる女子が出てきてハアハアしないか心配になるほどに。まあこの作者さん、そういうタイプの娘あんまり出さなさそうだけれど。

シリーズ感想
 

6月14日


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