徒然雑記

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ほんたにかなえ

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その11 ごく個人的な世界のはじまり3   

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その11 (MF文庫J)

【おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その11 ごく個人的な世界のはじまり】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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荒谷学園第三旧校舎、古い木造建ての一階にあるゲーム同好会部室。白崎宗司は孤高の美少女、森塚一乃と放課後のときを過ごす…ってまた1巻のアレか!!“煉獄”森塚一乃の最後の武器にして最凶の妹、“断罪の鎮魂歌”終乃―漆黒の一乃と反転する純白の少女。終乃と宗司はたった二人で夢の世界を往く。追憶と追憶が重なる時、またしても一乃は―巨乳に変身!―そう、ここは荒谷学園第三旧校舎、古い木造建ての一階にあるゲーム同好会部室。かつてとある約束がなされたこの教室に卒業式の桜は舞うのか!?新感覚ラブコメディ的なにか、大団円の開演が迫る!
そこまでして巨乳になりたいのか、なりたいのか! これでまだキリカの巨乳に無駄な敵意をまき散らしているに留めていたら、苦笑で済んでいたのに、夢の世界で自分が巨乳になってご満悦しているのを見てたら、目尻が熱くなってきてしまいましたがな。

哀れな……。

いやもう敵愾心湧き立たせてるなら可愛い物なんだけれど、そこで実際は自分も巨乳になりたかっただけ、だというのなら、それはもうただの嫉妬。見苦しい八つ当たり、みっともないないものねだり。そして、現実じゃなくて夢の世界でも満足してしまえる時点で、もう虚しい。そこまでして巨乳になって見たかったのか。でも、一乃さん。それはね、巨乳じゃなくて虚乳って言うんだよ?
もはやここまで胸が張り出して悦に浸っているのを見てしまうと、宗司と永遠の世界にしけ込むのが目的じゃなくて、むしろ巨乳になるのが目的だったんじゃないだろうか、という勘ぐりすら出来てしまう。そりゃ、巨乳を愛でてくれる人がいないと、意味がないのかもしれませんけれど、一乃さん誰にも見てもらわなくても、肩こりを経験しただけで満足してそうだもんなあ。

さて、現実世界から夢の世界に逃げ込んで、ラスボスであり世界の敵たる存在の討伐を完全に放棄してしまった一乃さんに、さすがの世界さんもいい加減堪忍袋の緒が切れたのか、もう辻褄合わせとか考えずに無理やり「一乃の妹」なる存在をゼロから創造、誕生させ刺客として投入してきたのでした。その名も「森塚終乃」。
もはや、名前を真剣に考えるのも面倒くさいのか放棄してしまっているように思えるのは気のせいだろうか、大丈夫か世界さん。色々とやけっぱちになってないか? それとも誰も言うこと聞いてくれなくて拗ねてるのか?
案の定というべきか、よほど世界さんが無能なのかドジっ娘属性なのか、最終兵器として投入してきた終乃ちゃんは、見事に「ぽんこつ」。これ以上ないパーフェクトなポンコツ娘でありました。
最終兵器なのに、なんで作中屈指の弄られ属性なんだよっ、かわいいじゃないか!!
誰にもまともに相手してもらえず、涙目で奮闘しているうちに暴走し始め、いつの間にかいつものように同類が増えている、という有り様に。いや、後輩属性は初めてだったので、これはこれで。いや、むしろこれがベストで。
「先輩ッ♪」というふうに呼んでもらえるのは「お兄ちゃん」よりも何気にポイント高いです。
しかし、終乃にかぎらずどの子もポンコツすぎて、ヒロインというよりもネタキャラにまで落ちちゃってるよなあ。中で一番ヒロインというか少女らしく乙女らしくキラキラしていたのが、ペンギンことリアだったというのはどうなんだろう。まあリアは登場当初からぶっちぎりでヒロインしていましたけれど。場合によってはペンギンの頃から健気属性で売ってたし。

なんだかんだで、結局夢の国からもおん出るはめになり、結局非日常のような日常は続く。学校を卒業しても続くんだろうか。むしろ、大学入ってからの方が自由に非日常で日常は出来る気もするのだけれど、作品としてはこれで完結、でいいのかな。はっきり明言されてないので断言は出来ないけれど、常にエンドマークがつきそうだったサブタイトルが、ついに反転したわけだし。
いい加減ちょっとグダグダがすぎていたので、さすがに締めなのでしょう。もうちょっと話としても踊れたらよかったんでしょうけれど、お疲れ様でした。

シリーズ感想

バロックナイト 4.Love Is Over:幻象煉獄3   

バロックナイト4 (MF文庫J)

【バロックナイト 4.Love Is Over:幻象煉獄】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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囚われたバロックを取り戻すため、立ち上がる京耶―だが目覚めるとそこは新妻瑠璃子の家で、しかも監禁されていた!日常風景と狂気が交錯する現象都市で、キョウコは京耶に最後のゲームを仕掛ける。バロックを助けるためにレイニーデイズと共にレガシーに立ち向かう京耶達だが、それぞれに喪ってしまった運命を取り戻すことができるのか。「信じているよ、京耶」「愛してます、京耶さん」「そんなに、私のことを愛してくれてありがとう京耶」永遠の因果を結ぶ、アンノウンバトルアクション第四弾!
うわぁ、これはもう思う存分好き放題やったなあ。ここまで読者の理解をぶん投げて、マイワールドに没入したのはデビュー作の【この広い世界にふたりぼっち】以来なんじゃないだろうか。一乃さんの方で何か鬱憤みたいなものでも溜まってたんだろうか。ヒロインにしても主人公にしても、総ざらえで破滅志向の権化となって手と手を取り合って終焉へと踊り込んでいく姿は、もうここまで行くといっそ痛快ですらある。個人的には、葉村さんの破滅へと至る滅びの道は、もっと静謐で胸がキュンとなるような儚い美しさに彩られているのが好きだったので、あまりに狂騒的すぎて論理破綻以上に情緒が崩壊している今回の楽園パレードは好みとは少しズレているのだけれど、ここまで吹っ切れた狂気三昧は清々しいくらいなので、嫌いではないんですよねえ。
バロックも瑠璃子も、キョウコも挙句に早香にしても、愛に狂い独占に耽溺して自ら破滅しようと狂乱していくのだけれど、誰もがその狂気の果てに幸福とか欲望を満たして満足しよう、という気はさらさらないんですね。表層的には近似のセリフを吐いているけれど、究極的には四人とも滅びをこそ志向している。同じ京耶に想いを寄せる女性たちを出し抜いて、自分こそが京耶に愛される事を望むのだけれど、それは同時に京耶を滅ぼし、京耶に滅ぼされ、一緒に破滅する事を望んでいるのである。滅びこそが、破滅こそが愛し愛されることなのだ、彼女たちにとっては。色々と言葉を飾り言葉を弄り遊興に勤しんでいるバロックや瑠璃子に対して、この点はこわれた早香のセリフこそがシンプルにすべてを表しているように思える。これも一つの殺し愛の極地であり、さながら、心中モノの様相すら呈している。まあいつもの葉村作品、と言ってもいいのかもしれない。その極端系と考えれば。
そのまま投げっぱなしにせず、どれだけとんでも展開であろうとキチンと京耶がバロックを選んだ、という結果を尊重しながら、それでいて見事に瑠璃子、キョウコ、早香の全員に対して京耶エンドを迎えさせた豪腕には、ちょっと笑ってしまったけれど、それ以上に感嘆させられた。これって冷静に考えてみると、ヒロインそれぞれのキャラを融解させて歪ませ切ってしまっている、という恐ろしい結末なんだけれど、狂気の産物の結果にして終焉の幕引きとして捉えるなら、いい具合におぞましく狂ってて良いハッピーエンドなんじゃないだろうか。私は結構お気に入りのエンドである、これ。
なにげに早香さんが役得w

葉村哲作品感想

バロックナイト 2.Fallen Angel:歪曲天使3   

バロックナイト2 (MF文庫J)

【バロックナイト 2.Fallen Angel:歪曲天使】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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魂を接続する幻想空間『レガシーオブタナトス』におけるバトルゲームに参戦を決めた京耶は、自らの秘密を徐々に知っていく。
そんな中、ゲーム管理者側の一味であり京耶の前妻――元恋人と主張する瑠璃子から協力要請があった。ゲーム内で頻発する“大量殺人"。人型レガシー『切り裂きジャック』に乗っ取られたプレイヤーに肉薄せよ!! 世界を侵食するレガシーとはいったい何か、セフィロト社の真の目的は? 京耶とバロックは深遠に踏み込んでいく。
因果と天命が交差する、アンノウンバトルアクション疾走する第二弾!
うわぁ、これはまたダークサイドに思いっきり舵を切ってきたものです。一巻はわりと多くコメディタッチの要素を残していたのですが、今回に至っては京耶が面白むっつりスケベな一面を封殺して、記憶の狭間で正気と狂気の淵をフラフラと歩く極めて危険な主人公として動くことになる。特筆すべきところは、バロックにまったくストッパーとなる意志がないところでしょう。殺人に対する忌避感を持たず、しかし殺人を忌避する倫理観を備え持つがゆえに辛うじて一線を越えずに居る現状の京耶を、バロックは肯定も否定もしていません。彼女にとって執着スべきは京耶の存在そのものであって、彼の精神性や正気度というのは言っちゃあなんだがどうでもいいと思っている節がある。彼が狂った殺人鬼であろうとなんだろうと、自分を嫁として大事にしてくれるなら彼が一線を越えようが何をしようが関係ない、と。それどころか、自分に都合が良いと考えれば京耶に一線を越えさせようという謀略に嬉々として手を貸した、と捉えられても仕方ない行動にすら出ている。そこに、罪悪感というものは露ほども感じられない。彼女の真意が、表に見える言動に終始しているのなら、彼女は文字通り堕天使と呼ばれるに相応しい存在だ。世界よりも秩序よりも正義よりも倫理よりもただ一人の男を愛するために、欲望のまま本能のまま想うがままに弄ぶ邪悪にして一途な天使と呼ぶべきなのだろう。
記憶の途切れた少年のまどろみにも似た温くも穏やかな日常は、気がつけばすでに遠く果ての果て。ふと見渡せば、悪意と殺意はゲームという枠組みを超えて軽々と現実世界への侵食を開始している。いや、すでに失われた記憶の向こうで、京耶はすでに血塗られた道を歩んでいたのだ。罪も業も記憶とともに喪われたわけではない。ただ、消し飛んだ記憶によって見えなくなっていただけで、常に彼の傍らに寄り添い続けていた。ただ、それが見え始めただけなのだ。えずくようなむせ返るような濃密な血の匂い、一度思い出してしまえば自分の身体から漂うその腐臭をもう無視できない。
どれだけ京耶が善意を持って行動しようとも、人を殺すことはイケないことなのだという倫理にしがみつこうとも、これは最初から手遅れの、終わりを迎えた向こう側からはじまった物語である以上、取り戻せる因果は自分の犯した罪の報いだけなのだ。だから、どれだけ早香さんとフラグが立ったように見えても、立った瞬間からフラグは折れたも同然だったのである。捨てられた前妻である瑠璃子の悲壮も、現妻であるバロックの余裕も、そのように視点を置けば必然なのだろう。特に瑠璃子の、京耶に記憶を取り戻させて関係を取り戻そうという意欲も、関係を刷新して新しくはじめようという意志もなく、宙ぶらりんな状況のままですがるように撓垂れ掛かるような京耶への接し方は、京耶がどうやっても終わり切ってしまっている事を誰よりも身に沁みて解っているからなのだろう、と思えてくる。この間で描かれた京耶の喪失に伴う彼女が抱いていた絶望感を思うなら、この奇跡のような猶予を壊せるわけもなく、恐る恐る堪能してしまうのも無理からぬことだと納得させられる。思いの外、彼女は臆病で繊細な女性なのだ。なるほど、瑠璃子がバロックから彼を強奪にかかれないはずである。
今のところ、京耶当人がいったいどうしたいのか、という目標や目的意識もなく、淡々と状況に流されているだけなので、しばらくはこれバロックの想うとおりに進んでいくんだろうなあ。容易にポコポコと人死も出ている状況でもあり、このまま話はどっぷりと作者の趣味に準じていくと思われる。
とりあえず、無意識に脳内で女性を全裸に剥いて分析を始める京耶さんは、シリアスなのか単にむっつりスケベを抉らせているのか判断しづらくて、とりあえず笑うしかなかった。こいつ、色んな意味で手遅れだw

1巻感想

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 その9 最後の一年より3   

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その9 (MF文庫J)

【おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その9 最後の一年より】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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なんやかやで同居することになった宗司と一乃、キリカ、フェルたち。荒谷学園ゲーム同好会はついに白崎家まで侵攻してきたのだった!
まず、昨今イケメン化著しい宗司が満を持して自宅にて最高のホワイトデーを提供する。そして二年生最後の部活
動を楽しむ一乃に仕掛けられた最悪の罠、アンダースコート大作戦、さらには再び繰り返される裸エプロン(下に水着を着てるよ)戦争!! 宗司の胃袋を、家庭を制するのは誰だ!?
「戦争は――なにも生み出さない(by宗司)」
終わりじゃないどこかに向かって驀進する新感覚ラブコメディ(と断言します)、第9巻!
もはや部活でも同好会でもそもそも学園モノでもなくなって、殆ど家に引きこもりみたいになってきた気がする昨今。何気に親父殿の嫁的存在が三人から六人に増えてたみたいなんだが、前巻でいったいなにがあった!?(笑
それはそれとして、今回の表紙はついに完全にヒロイン枠に参入と相成ったカラアゲさんことペンギンのような蛇のような何かであるリア嬢。宗司もあれでいい具合にノリよく壊れているので、作中登場人物で唯一と言っていい常識人であり、その分だけ気苦労を一手に担っている次女さんである。長女にしてリーダーのフェルが、もう完全にアーパーですもんね。でも、気苦労を背負ったぶん、ヒロインとしての立ち位置を確保してしまったのは幸か不幸か。とは言え、表紙にまで抜擢されるほどだから大したものであります。中身を見ても、今回挿絵の大半にリアが採用されているあたり、優遇は本物っぽい。宗司にも、ちゃんと嫁的養う対象に数えられてましたしねー。
そう、ハーレムを築くと将来的にそれだけたくさんの嫁さんを養わなければならないので、大変なのである、経済的に。わりと早々に現世から退場する気満々だった宗司くんですが、なんやかんやと終末的エンドマークは嫁さんたちの横暴によってかなり延々と先延ばしにされてしまったので、そうなると世知辛い現実的な経済事情というのに直面しなきゃならなくなってしまった、という何ともしまらないお話。まあ、何事も先立つモノがなければ成り立たないのであります。
その点、宗司くんにはちゃんと先達にして見習うべき人が居るわけで、まずその人にどうすればいいのか、あんたはどうしてたんだよ、と尋ねるのは大変賢明な行動だったと思われます。
うぉいこら、雪道! お前、ヒモやったんかぃ!!
いや、そりゃ瑛子の家は凄い金持ちでしたし、シロコもアングラで相当稼いでたってのはわかるんですけどさ。あー、多分天音はその点養われる側だな、うん。この娘は滲み出るような金に縁の無さそうな、貧乏そうな気配出してたし、うん。
一応、親父も自分で稼ぎは稼いでるみたいだけれど、自分一人の稼ぎで全部賄うのは全く無理だったようで、昨今のハーレムはF1ドライバーみたいに資金持ち寄りが常道ですか……。
でも、それを本作のヒロインに照らし合わせてみてみると……妹ちゃんはもちろん家計一緒ですし、キリカも一乃も別に家が金持ちという風でもないし、煉獄の眷属たちは元より動物形態が元だからお金とか関係ないし、あれ? 宗司詰んだ?
そう言えば、ついに煉獄の七大罪のウチ、ワンコが唯一男性人格と発覚! って、男性人格居たのかよ! まだ人化はしていないのだけれど、その様子からして可愛がられる弟キャラなのか!? さすがに七大罪の嫁化はせいぜいリアまでだろうなので、他のシスターズはワンコがハーレム化するんだろうか、してほしいな。
ってか、マンボウは女性人格なのかよww そろそろマンボウも人化する頃かと思うんだが、長らく引っ張られてるな、マンボウ。

次回への引きは、またぞろフェルを筆頭に煉獄の七大罪が怪しい動きを見せているけれど……ラストの怪しい動きって全然深刻な話にならないから、別段構えなくていいんだけれど、キリカが絡むとあれだよなあ。一乃が増えてダブル一乃でドタバタ、という展開が容易に予想できる、ってそれリリスがずっとやってるネタじゃね?

葉村哲作品感想

バロックナイト overture:幻想接続3   

バロックナイト (MF文庫J)

【バロックナイト overture:幻想接続】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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放課後の屋上に呼び出された京弥を迎えたのはバロック――【歪み】という名を持つ少女だった。彼女と口づけを交わした瞬間、京弥は『レガシーオブタナトス』という異空間に『幻想接続』した!!
待ち受けるのは悪魔に天使、妖精と幻獣、神々の遺跡。バロックは、京耶と共にバトルゲームの頂点『王冠』を目指すという。実は現世で存在が消滅していた京弥の「因果」を取り戻すため、バロックは京弥と共に武器を手に
したのだった!
そう、全ては――、「私はキミを、あいしているから」
剣哮と弾丸が交差する、アンノウンバトルアクション開幕!
一乃さんの方がもうイチャラブの箍が外れてしまったせいもあるのか、気分を一新して新シリーズを新たに起草。それがこの【バロックナイト】なのだが、これまた葉村哲の真骨頂である「滅び」の要素が十二分にインサートされた作品でした。葉村哲と言う人はデビュー作である【この広い世界にふたりぼっち】の頃から、その世界観に「滅び」や「終焉」と言ったこれまで続いていた日常や平穏が終わる直前の「滅びの美」みたいなものが内包されている。これは延々とヌルいイチャラブを続けているような【おれと一乃のゲーム同好会活動日誌】も同様だ。あれも、最近はかなり踏み外しかけている素振りがあるけれど、常に「終わり」を意識させる設定構造になっている。その傾向が特に顕著だったのが【天川天音の否定公式】。あれが凄かったのは、主人公の存在を含めて「滅び」にキッチリとタイムリミットが敷かれていたにも関わらず、その「滅び」に抗うのではなく、誰もが暗黙にそれを受け入れていたところでしょう。終わり消え去り潰える事を前提とした日常の、終へと至る美しさ。それが、あの作品には色濃く浮き出ていました。
然して、この新しいシリーズはと言うと……それからさらに一つ進んだステージのお話なんですよね。
言うなれば、終わった跡の物語。或いは、終わりの始まりならぬ、終わりの終わりの物語。既に、これは滅びて終わった日常の、その残り香を無理やり繋ぎ止めているだけの後日譚にもありえない未練の縁の物語、なんですよね。
一応、一度終わってしまったものを取り戻し、因果を覆そうという進行方向を向いているものの、この人が描くと前向きだったり、絶望にあがく物語にはならず、残影のような、影絵遊びのような、淡くも静謐な甘く蕩けるような靄がかったお話になるのは、もうこの作者の筆の特性と言っていいのかもしれない。それこそが、この人の作品の魅力そのものでもあるんですけどね。
だいたい、主人公を取り戻そうとしているヒロインのバロックからして、その名前からしてもまともな人間足り得ない。バロックという言葉には「いびつ」や「不規則性」という意味が篭められているように、普通から外れてしまったものだ。そんな存在が、主人公の何を取り戻そうというのか。少なくとも、普遍性や一般性を伴う日常への回帰になるのだろうか。どうやらこの主人公は、元々相当の破綻者だったようだし。むしろ、平穏という意味では現在の人間性の方が心の平穏を保っているのではないだろうか、と思えるほどに。因果を失うということは、しがらみや執着を失う、というのと同意なのかもしれない。その執着の中には愛する人や、親しい人という正の人間関係も含まれるのかもしれないけれど、それ以上に負の要素が強かった人間にとって、この滅びはむしろ救いだったのではないか、という考えも浮かんでしまう。薄くなって消えることは、果たして不幸であり絶望なのか。
残された人にとっては、絶望以外の何物でもないのだろうけれど。だからこそ、バロックは消え去るだけだった残影にしがみついたのだろうし。おそらく、滅びの前の立場、人間関係をかなぐり捨てて。本来、そうするべきは彼女ではなく、恋人であった瑠璃子の役割なんだろうけれど、彼女はそれを拒否して今の彼に対して敵対とも傍観とも付かない態度を取ろうと努力している(失敗しているけれど)。彼女にとって、京弥の中にあった狂熱的な柵こそが、大事なものだったのかもしれないけれど……。だからといって今の滅びてサッパリしてしまった京弥にも未練が無いわけではなく、バロックに好きにされているのも我慢ならず、なかなか綺麗に割り切れずにぐるぐると迷走してしまっているあたりは、実に面倒くさくてこういうヒロイン大好物(笑
主人公の京弥くんのキャラクターも面白い。面白いというか、滑稽w 
他人とコミュニケーションを取るのが苦手であんまり上手く喋れないのを、俺様超イケメンでクールだぜ、的なスカした態度で誤魔化そうとして華麗に失敗して逆に恥ずかしいほどダサくなっているのがむしろ愛嬌になって可愛らしくなってる重度のむっつりスケベ、という残念を抉らせた主人公なのだ(笑
この説明だと一見して意味不明かもしれないが、読むと一目瞭然なので御覧ください。かなりのむっつりスケベです。自分ではこっそり気づかれてないつもりでガン見しちゃってるのがバレバレなタイプのむっつりスケベですw
一度終焉を迎えてしまったことで、自分の中身を一切合財を空っぽにしてしまった主人公。そんなゼロ以下の、未だに終わり続けている存在が積み上げられるものは、新たに手に入れたものか、無くしておいて取り戻したものか。またぞろ全部無くしてしまうことを前提に、儚く上書きしているだけなのか。何れにしても、葉村さんの作品でこうした0スタートの主人公は珍しいので、その意味でも注目。

葉村哲作品感想




おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その8 ハッピーエンド・プロローグ3   

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その8 (MF文庫J)

【おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その8 ハッピーエンド・プロローグ】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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「全て受け止めてやる、全員かかってこい!」宗司はついに“誰も選ばない”という最低な宣言をした。一乃とキリカ、リリス×2のそれぞれのエンドが今、語られる!? ……と、その前に彼らの日常はというと、ウェディングドレスコスプレからウサ耳へ。リリスの胸が大きくなったりキリカデートだったり、リアが脱がされたり一乃がついに宗司と××だったり。さらに事態のあまりの煮え切らなさに、フェルによる『煉獄』けものかいぎが開催される!宗司の目指すハーレムエンドとはいったい!? 思わせぶりなこと言ってるけどこのシリーズまさか終わるのか!? 真相は第8巻へ――!
正直相当にぐだぐだになってきたと言わざるを得ない。宗司がハーレム宣言したのは良かったんだけれど、それである意味緊張感が失せちゃった感もあるんですよね。まあ緊張感があった試しも無い気がしますが、一乃たちが完全に開きなおちゃったので、逆に彼女たちの方の必死さが薄くなってきてるんですよね。前の彼女たちはもっとガツガツしていたのに、今の彼女たちはどこか現状維持で満足してしまっている。あの飢えた狼みたいにガジガジと宗司に噛み付いてきてたからこそ、ラブコメにもキレがあったんですけどね、最近はちょっとマンネリになってしまってる。ならそれはそれでもっと関係踏み込んでいくしかないんだが……ラストで完全に同棲生活に入ったので、今回は過渡期だったのかもしれないが、それでも一巻まるまるちょっと停滞しすぎだった。
シリアス編は、キリカさんとデート、くらいか。彼の物言いからすると、宗司の永遠の異能はシステムのバグであり、どうやら彼は先のシリーズの雪道と同じく、木の股から生まれた類の自然発生した存在のようだ。同じ永遠でも永遠式とは在り方が全然異なっているんだが、むしろ逆だからこそ消失した永遠式の残したバグだと捉えてみてもいいのかもしれない。
しかし、本来在ってはならないバグを修正スべきパッチデータである一乃たちが、そのままイチャイチャして役割を放置してるんだから、システムさんとしてはたまったもんじゃないよなあ。このまま放置すれば、宗司の異能が世界を停止させかねない以上、何事も無くこのままなし崩しでハーレム建国とはいかないだろうから、何らかのアクションはあるんだろうけれど……いい加減、ここまで何事も無く来ちゃってるもんなあ。これから何かあると言われても、はたして緊張感を取り戻せるのか。
いずれにしても、現状維持では破滅必至。それでなくても、キリカは一年経てば記憶をデリートされてしまう。まさか、またキリカさんだけゼロから始まる、なんて展開が続くはずもないので、何らかの決着はあるんだろうが……はてさて。
とりあえず、もうペンギンさんエンドでいいんじゃね?

葉村哲作品感想

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 その6 End Time/End Game3   

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その6 (MF文庫J)

【おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 その6 End Time/End Game】
 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J


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ついに明らかになった宗司と一乃の関係。二人は悠久のときをも超える、運命の敵どうしだった!
「あなたが私の『敵』なのでしょう」「…ああ」「正座」「?」「私、とても機嫌が悪いの」「はい(宗司、正座する)」「ムラムラするわね!」「イライラでなく!?」今度の一乃さんは女王様モード!ほか、食欲の秋にちょっぴり膨らんじゃう一乃キリカリリスとか、王様ゲームとかミニスカサンタとか。それでも宗司は永遠の敵なわけで…ゲーム同好会は一体どうなってしまうのか!?特別短編「秋葉原編」「池袋編」を完全収録した悶絶決定版ラブコメディ(でいいよねもう)第六巻。
……え? ちょっと、待って? なんでここで<永遠式>が出てくるの!?
あれ? え? まさか本当にそういう事だったの? ちょっとしたサービスの意味で前作の【天川天音の否定公式】との関連性を匂わせているだけかと思ってたんだが、もしかしてガチで繋がってるのか!?
振り返ってみると、宗司と彼の父親、そして三人の母親には血の繋がりはないような描写が綴られていた。特に三人の母親については、家族ではあるものの誰が自分の産みの親だというような態度を宗司は示してなかったんですよね。あくまで母親として可愛がり愛してくれた人だという風にしか語っていなかった。其れに比べて、父親だけは妙に近しい、というか養父とは言いがたい何らかの繋がりを感じさせるような態度だったんですよね。もし、この父親が前作の主人公である芦原雪道だったとしたら、彼が天川天音、長月瑛子、浅闇シロコ以外の女性とは絶対に関係を持つはずがない。そう考えるなら、彼女たちの実の息子ではない彼が、雪道の実の息子ではないのは間違いく……宗司の苗字が芦原ではなく白崎だというのも、宗司が実子ではない証拠だと思ってたんだが。
もし宗司が新しい雪道の次の<永遠式>だというのなら、ある意味雪道の息子というのも間違いじゃないんですよね。そして、その<永遠式>と自動的に運命の敵として位置づけられるのなら、一乃たちは<終焉式><虚構式><願望式>の原初式であると考えると全部しっくり来るのだ。順当に当てはめるなら、一乃が<終焉式>、キリカが<願望式>、リリスが<虚構式>なんだろう。宗司の発言からしても、永遠式に呼応して、一乃たちの能力は対抗存在として発生したような言い方してるし。
さらに、「『死にたくない』という絶望を砕く、『生きていたくない』という希望」という宗司の言葉からも、これらの原初式が想起されるんですよね。前回の天音っぽい一人目の母親に続いて、今回電話越しに登場した二人目の母親は、明らかに瑛子だったしなあ。てっきり、これらの問題は全部前作で片がついたと思ってたんだが、まさか持ち越ししちゃったのか?

前回の運命の敵である事が発覚した際は、まだ日常が崩れるほどの歪みは生じていなかったのですが、マイペースに日常を続けるのかと思った一乃は、何やら予想以上に無理していたようで。「日常継続ゲーム」なんて言い出しちゃったら、日常が続いている方がおかしい事を認めるようなものじゃないか。
さすがに今回のラストは、何事もなかったかのように今までの平和な展開を続けるわけにはいかないだろう激震が纏めて襲いかかってきたので、さすがに次巻は動くんだろうなあ……それでもなお、あのリリスやキリカでこれまでと同じくラブコメを続けたら、それはそれで尊敬しますけどね!

しかし、いい加減一乃さん、マジで焦燥にかられるかして余裕がなくなったみたいで……ガチで据え膳し出したぞ、この女w もはやからかって遊ぶとか、鈍感くんを誘惑して反応を楽しむ段階を飛び越し、恋敵と張り合うがためにアピールすることすら跨ぎ越し、露骨にいいからお前、とっとと私を襲えやこら、と首根っこ捕まえて振り回すかのような勢いでの積極攻勢w キリカとリリスもそんな一乃に引きずられて、これ一体どんな桃色空間ですか?
もうボケと冗談と弄りについては、フェルを筆頭とする煉獄の不思議生物群がほぼ専任担当という有様に。ある意味、フェルがこれまで以上に大活躍ですよ。こいつ、第一罪とバレた途端に言動に遠慮が全力で皆無になったな。実に楽しそうに宗司たちで遊びまわってやがる。かっこいい台詞録音成功には吹いた。あれをばっちり録音してるとか、フェル、やり手すぎる(笑

葉村哲作品感想

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その5 この夜に奏でられるフィナーレ4   

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 その5 (MF文庫 J は 6-12)

【おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その5 この夜に奏でられるフィナーレ】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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次はちょっと控えめに――控えませんでした。一乃さん、ブルマを着用。
夏休み明け、一乃のいない荒谷学園ゲーム同好会。生まれながらの異能『煉獄』、つまりフェルを失った森塚一乃は学校を休んでいた。事情を知らない宗司とキリカだが、キリカが一乃の家を訪れることになる。そこでキリカが見たものは……。その他、ブルマの妖精さんと柔軟体操とか、宗司と一乃のデート再びとか、まさかの女子会開催とか宗司のコスプレ(誰得)とか文化祭とか。一乃の異能、完全喪失!?「私はもう、ただの非力な女の子よ」――かつて宗司と交わされた「契約」はどうなってしまうのか? 葉村哲が贈る新感覚ラブコメディ(でおK)、全然自重する気配のない第五弾!
本気で自重する気無いな、一乃さん! ってか、異能がなくなり宗司と交わした「契約」が曖昧になってしまった為に、一乃さん的には腰が引けて宗司から距離を置こうとするんじゃないだろうか、なんて予想してたんだがこの女……余裕なくしてテンパッた挙句に逆に血相変えてしがみついてきやがった!!(爆笑
こらこらこらこら、クールで孤高の美少女は何処へ行った。もうそんなキャラ初っ端から残ってねえよと言われればそれまでだけれど、少なくとも形骸くらいは残ってたと思うんだが、そのへん全部かなぐり捨てて来たってなもんだ。表向き単に普段よりも壊れ気味なだけ、とも取れるけれどこれってもう一乃必死だよね。普段の見栄張って暴走して自爆するだけのプライドも残ってない様子だし。デート編なんていつもならついつい宗司の優しさに甘えてムチャクチャした挙句に色々と酷いことになるのが定番なのに、あまりにも普通にデートしてしまったお陰でキリカが一乃が壊れたって泣いちゃったくらいだし(泣くなよ……。
とにかくもう一乃さんちょっとビックリするくらい必死なのだ。今回の一乃さんのややもはっちゃけすぎなくらいのテンションはそういう事なのだ。ただ色ボケしてたり妄想に耽溺してたりキャラが壊れてたわけではない。距離をおくなんてとんでもない。それどころか、しがみつき、むしゃぶりつき、涙ながらに懇願するように私を捨てないで、私を忘れないで、私を一人にしないで、離さないでと喚いているのだ。それこそドSだった彼女が軽視できない勢いでMッ気をまき散らしていた程に。幼児退行して大暴れしていたあれが、実のところ今回の一乃さんの一番素の顔だったんじゃないだろうか。
一乃が宗司にベタぼれなのは本人も公言しているし自明の事だったんだけれど、ここまでなりふり構わなくなるほど好きだったとはなあ。
いろんな意味で弱ってしまった一乃の為に、キリカとリリスが今回に限って前に出ずフォローにまわっていたのはなかなか印象的だった。本気で仲が悪いはずの三人(四人?)なんだけれど、実際はこの通り溺れた犬を棒で叩くどころか助けてあげるあたり、何だかんだと仲がいいんだよな……多分。

フェルについてはちょっと勘違いしていた。彼女が煉獄の総体というわけじゃなくて、あくまでのあのペンギンとかワンコとかマンボウと同じ化身の一つであって、異能そのものに意識や人格があると決まったわけでもないのか。ただ、リリスの事も考えれば、キリカのバッドジョークや宗司の白夜にも何らかの要素があってもおかしくない、というのはまだ否定は出来ないんだな。……ってかフェル、前の巻であんなに意味深に姿消したくせに簡単に戻ってきたなおい。このゆるキャラヒロインめ。

そしてラストの衝撃的(?)なのかどうなのかよくわからない展開も、まるで皆の関係が決定的に壊れねじ曲がるシリアス展開っぽく終わっていたが、むしろあの設定は一乃さん逆に燃えそうなんだがな。またぞろドSに戻りそうな予感。それどころか肉食系になって宗司食いつかれそうな気がするんだが。ご愁傷さまである。

1巻 2巻 3巻 4巻感想

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 その4 彼女だけのエピローグ3   

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その4 (MF文庫J)

【おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 その4 彼女だけのエピローグ】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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「お目覚めなさい、ご主人さま」超目覚めの悪い感じで毎朝が訪れる荒谷学園ゲーム同好会の夏休み。白崎家では一乃、キリカが泊まりこむ合宿が開催されていた。双子の妹リリス×2と二人が毎秒ごとに宗司を巻き込む喧嘩を繰り広げる中、チャイムが鳴ったドアの向こうには。「そうじ、はじめまして、フェルはあなたの……あなたの、なに?」燃えるような瞳に真っ白肌、ネコ耳&巨乳、妹みたいに小さめな……なんか色々ちょっとずつかぶっちゃってる感じの美少女だった!新たな火種とともに、ついに物語の核心の予感!? 葉村哲が贈る新感覚ラブコメディ(かも?)、第四弾!
此処に来てさらに新ヒロイン!? とは露程も思わなかった。葉村式からして、すでにヒロインは一乃、キリカ、リリスの三人で定まっており、ここにさらにもう一人加わるというのはあり得ない。
だとすると、フェルという少女は何なのか。図らずも、あるいは図ってか、粗筋で凡そ彼女についての核心めいたことは書いてあるんですよね。彼女の正体そのものは散々同棲ラブコメをやらかしたあとのラストにてついに明らかになるのだけれど、先のシリーズ【天川天音の否定公式】で第四のヒロインになれなかった少女「コッペリア」がそうであったように、彼女こそが物語を覆い隠していたベールを開くための作動キーであった訳ですな。とはいえ、彼女はコッペリアのように受動的ではなく、彼女自身の意思に基づいて能動的に役割を担っていたのですけれど。それに、彼女の正体そのものにはさすがに驚かされました。これって彼女だけが特別なのか、あるいは彼女以外の同類もまた同じように自律しているのか。ここは結構重要だと思いますよ。場合によってはキリカの運命にも関わってくることですし、未だ明らかになっていない宗司に纏わる諸々についての今後の展開にも大きく作用してくるはずですから。
何れにしても、前シリーズにひき続いてメインヒロインまたも蚊帳の外に放り出されたなあ。当初は非日常設定の中心に居ると思わせておいて、いざとなると実は一番部外者だったという有様になるのは、前の天川天音とおんなじわけで。そう言えば、今回三人いる宗司の母親のうち今回電話口で登場したの、あれ天音だよなあ。残念さは相変わらずのご様子で。
ともあれ、今のところ本当に一乃が一番の部外者なのかは、異能に纏わる話がまったくの情報不足なので断定はし難いのだけれど、ラストのあの展開なら少なくとも一乃がそう思い込む可能性は高いはず。こりゃ、イケイケ娘さんも背中を向けて距離を置こうとしてしまうのか。そうなってしまうと、果たしてあの宗司がどう反応するのかやや怖い所なんですよね。来るものは拒まずの彼だけど、去る者は追わず的な「無関心」とも言うべき側面を今回垣間見てしまっただけに、今後の一乃に対してどういうアクションを示すのかわからない部分がある。
あー、今まで宗司が「あの」キリカとこれまで仲良く過ごしてこれたのって、つまり宗司が「そういう」人間だったから、なんだよなあ。キリカもそれを本能的にか理解しているからこそ、彼に対して安心して懐いているのだろうけれど……。ふーむ、となるとやっぱり重要なのは一乃という新しく加わった要素なのか。
彼女と宗司が出会ったことでもしナニカ変化が生じ、生まれたものがあるのだとしたら、次回以降それが明示されるはず。やはり次回は大きく話が動きそうだ。話は動かなくても、関係と感情は動きそうだ。

にしてもだ、この娘さんたち攻撃力は高いけれど、受け身に回ると弱すぎですなっ! 宗司くんが悪質な洗脳を受けてキャラ変わってしまった日誌七なんか、ボロボロじゃないですか。あんたら、鼻血吹いて倒れるヘタレハーレム主人公かw

葉村哲作品感想

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その3 エンドオフ・エンドレスエンド4   

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その3 (MF文庫J)


【おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その3 エンドオフ・エンドレスエンド】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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知っているかしら、私の看病は……、蕩けそうなぐらい甘いわよ
荒谷学園ゲーム同好会。いっさいのゲームを拒否し、思いつくままに刹那の時を燃やしつくす少年少女たちが集う永遠の天国(かっこよくしてみた)。さて、同好会の次なる使命は、旧校舎の大掃除! 素早く若奥様スタイルにコスプレした一乃とキリカ、そして増殖する妹・リリス×2の壮絶なバトルが始まる! ほか、花火をする五人とか、宗司の家に泊まりにくる一乃とキリカとか、無人島に宝探しに出かけるとか。ぽろりしかない……だと!?  そして密かに語られる、宗司とリリスの秘密の過去――。葉村哲が贈る新感覚ラブコメディ(問題ない!)、第三弾!
ん? んんん? 妻的な人が三人? 高校時代の友達で、文化祭の日に告白されて、そのままいい雰囲気のままズルズルと現在に至る……って、なんか聞いたことのあるような来歴なんですが、宗司くんのお父さん。苗字が違うじゃないか、という意見も浮かぶのだけれど、そもそもリリスがそうであるように、宗司が父親の実子であるかというと、どうもかなり怪しい部分があるし。宗司が、三人いる母親について肉親としての愛情があることは語っても、実の母親というふうには、その語り口からは感じられなかったし。そもそもあの写真。父親と母親三人が映ってる写真。なんで十年前なんだ? 宗司の年齢である16,7年より前の、子供がいない時分の若い頃の写真ではなく。
父親、性格が結構違うくね? という部分は確かにあるんですけどね。でも、宗司の正体が未だに謎に包まれ、彼が自分のことについて嘘をついていることが明らかになった以上、父親と母親たちの素性が、いわゆる前作のあの人たちである可能性は大いにあるはず。
だとしたら、幸せにやってるということで、嬉しいんですけどね。両親の寝室、ダブルベッド二つ並べて、四人一緒に寝られるようにしてるって、どれだけ幸せ享受してるんだ、って話ですけど(笑
しかし、身近にこうしてハーレム完成させた実例があると、現状の宗司だけが認めていない一乃、キリカ、リリスによるラブラブ時空も、そのまま成立してしまえばいいんじゃない、という気になっちゃいますよねえ。肝心のヒロイン衆も「あれ? ハーレムってありなの?」と蒙を啓かれたようですし。さすがは日本人。前例主義者は伊達じゃありませんw

さて、本格的にリリスも加わったヒロインたちの誘惑合戦もアバンチュールな夏に差し掛かった事でさらにエスカレート。まあ、エスカレートと言っても彼女らが切羽詰ってるって訳じゃないんですけどね。この手のラブコメ系で主人公にアピールをスルーされ続けていると、大抵のヒロイン衆は焦って暴走しだすのが常なのですが、一乃たちはむしろ余裕たっぷりなのが面白い。宗司が弄り甲斐のある可愛い反応をしてくれるというのもあるし、彼女たち自身がそれほどガツガツと成果を求めてないからなんでしょうね。今の関係を大いに楽しみつつ、でも本気になって襲ってきてもそれはそれで嬉しいからオッケー、という余裕のある姿勢でいるからか、露骨な誘惑を仕掛けてきても見苦しさがないですしね。恋敵との競り合いも、姑息に走らず真正面からの殴り合いで、いっそ爽快でありますし。
そろそろ一乃の異能が、ただの謎ペット製造機関になりつつあるのが何とかしろ、という感じですがw
にしても、自分、ナース服属性は皆無だったはずなんだけどなあ……まさか、黒ナース服なんてジャンルがあるとは! これは死角を突かれたぜ。さらに、白スク。自分、白スクに限らずスクール水着にはピクリとも食指を動かされること皆無だったのだが……一乃さん、すげえぜ。ナース服といい白スクといい、本来萌え属性にないジャンルにも関わらず、ザクザクとこちらのハートを抉ってきやがる。おへそおへそ♪ 最近の一乃さんの誘惑は、本気でその場で襲い掛かれても仕方ないレベルだぞ。
「そう、私は森塚一乃、十六歳」「強引に迫られるのも悪くないかもとちょっぴり思う、意外に受け身な部分もある少女」
「そう、私は森塚一乃、十六歳」「鉄壁のガードを誇るも一度内側に踏み込まれると意外にちょろい少女、攻略難易度は上の下ぐらい」
「ね、ねえ宗司。私は首輪と目隠しにロープくらいなら、その、頑張るわよ?」
鉄壁のガードを誇っていたのはいつの時代ですか、一乃さん。全然記憶にないんだが(笑

一応、今回はリリスの当番回、になるのかな。此処に来て、ほぼ一乃やキリカと同等の第三ヒロインとして、出番の頻度も同じくなってきたし。彼女が養女であること。最初は一人であったことなどが明らかになったわけで。彼女の異能「第一世界」の詳しい内容や、なぜ同一の二人のリリスが存在しているのか、の謎については語られないものの、あの過去回想から色々推察は出来るようになっている。
とはいえ、むしろあの回想は宗司の異常性を示すものとして描かれているようだけれど。やっぱりこちらのシリーズでも、ヒロイン的な役回りになるのは主人公である宗司になるっぽいな。
そして、次は同棲編か。これももう、定番だな(笑

1巻 2巻感想

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 24   

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 その2 (MF文庫J)

【おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 2】 葉村哲/

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荒谷学園第三旧校舎、古い木造校舎の一階にある部室。白崎宗司と森塚一乃、そして沢村キリカ。三人きりのゲーム同好会では今日も元気に(ゲームしないで)お喋りとか宗司いじめとか宗司を巡る異能バトルが繰り返されている。宗司の妹・双子のリリスも加わった今、戦況は混乱するばかり――。そんな中、沢村キリカの誕生日が近づき、昔から仲の良かった宗司とキリカは「17歳の誕生日までにしたいことリスト」を片手に宗司とデート(?)に出かける。大ヒット御礼、葉村哲が贈る、新感覚ラブコメディ(な気がする!)第二弾登場!

うわぁ………(絶句

やっぱり、葉村哲は葉村哲だったということかー。いやあ、このラブコメな日常が崩れ去る事はない以上、一巻でちと書いたように異能がもたらす要素はあくまでエッセンスに留まっているのだろうけれど……代わり映えしない日常が送られる根底に、こんな真実が寄り添っているというのは想像を絶するなあ。
これ、異能を持った人間たちの繰り広げる駄弁り系日常ラブコメというフレーズなんだけど、この作品の特別なところは登場人物が異能を持っているにも関わらず、その異能力を無駄遣いしながら日常を過ごしていく所にあるのだと思っていたのだが、どうやら違ったらしい。
異能を持っている、というのは関係ないのだ。注視するべきは、宗司をはじめとした登場人物の精神面での異常性なのだ。最後まで読んでもらうと理解できると思うが、キリカの秘密を知ってしまった今となると、あの真実を抱えたまま生きているキリカと、それを知った上で全部受け入れている宗司が、平然と日常を楽しそうに過ごしている事自体が異常極まりないんですよね。普通なら耐えられないし、まず破綻してしまうはず。それを微塵も感じさせずに何でもない日常を過ごしているということがどれだけおかしい話か。
まだその過去が明らかになっていない一乃や、どう見ても存在自体が狂っている白崎リリカ×2など、未だ掘り下げが行われていない他のヒロインにしても、どうせキリカの例からしてもろくでもない真実を抱えているのはまず間違いないはず。
となると、この作品って他愛ないキャッキャウフフのラブコメな日常を描きながら、そうした日常が送られていること自体が異常で異端でイカレている、という凄まじい有り様になっているという事になる。それってまるで、絶望めいた救いで、地獄みたいな楽園だ。
改めて見なおしてみても、宗司という主人公は想像を絶する。この青年は、一体どういう在り方を以て自らを保っているのだろう。キリカと知り合って以来、もう何年も経っているはずなのに、どうしてこの男は表面上だけだろうと平静でいられるんだろう。キリカと、あんな気楽に付き合えるんだろう。普通の仲の良い女の子のように付き合えるんだろう。一緒に笑えるんだろう。
想像を絶する。信じられない。
いや、だからこそか。こういう男でなければ、キリカや一乃のような絶望を抱えた少女を受け入れ切れず、そんな男だからこそ彼女たちもまた一途に想いを寄せるしか無いのだろう。それこそ、全身全霊を賭けて。口では茶化した風を装いながらも、その実彼女らの露骨な誘惑する言動はいつだって本気で、身も心も宗司に捧げきっているのだ。
彼女らの愛は、常に献身である。

と、いう風に書いているととても重たい話に見えてしまうかもしれないが、基本的には現在続いているシリーズ作品の中では五指に入るであろうイチャラブコメディだ。
なまじ宗司が鈍いを通り越して完全スルーに徹しているものだから、自他共に認める地雷女の一乃とキリカはツンする暇もなく競い合うように宗司へのデレをエスカレートさせていく。宗司が完全に木石ではなく、二人に恋愛感情を抱いていないというだけで二人の可愛さやアピールにわりと年頃の男の子らしくグラグラと理性をぐらつかせ、はっきりと口に出して可愛い可愛いと褒めたりもするので、嬉し恥ずかしな小っ恥ずかしい甘酸っぱい雰囲気にもよくなりますしね。好きな男の子にそんな可愛い反応をされたら、そりゃあ鼻息荒くしてやること為すこと過激化していくのも仕方ありません(無いのか?)
しょっちゅうガチで殴り合ってる影響か、段々と一乃とキリカの中も複雑怪奇に良くなってきている感じですし……良くなってるのかなあ? 本当に抜け駆けされたら、ガチで殺し合いになりそうな緊張感もエッセンス(笑

にしてもだ、一乃にしてもキリカにしても、ヤバいくらいに可愛い。もうメロメロである。その発射しまくりな「襲って♪襲って♪光線」はいい加減凶器だw
君ら、本気でソージ君好きなんだねえ(笑

葉村哲作品感想

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その1 ごく個人的な世界の終わり4   

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その1 ごく個人的な世界の終わり

【おれと一乃のゲーム同好会活動日誌その1 ごく個人的な世界の終わり】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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おれ、この人には一生付いていくべきだと思うんだ♪
いかん。葉村さんの描くヒロインが毎度毎度ツボすぎる。

「(中略)。それに、ソージみたいなタイプは、怖いから」
「怖い?」
「誰にでも平等に優しい人の『特別』には、誰もなれないから」
「……そうね」
「あ、でも確実にソージを好きになっちゃうタイプもいるよ」
「どんなタイプかしら?」
「地雷女」
「ちょっと優しくされただけで舞い上がって運命とか感じちゃって、距離感無視して踏み込むんだけど、アピールの仕方が素直じゃないから気づいてもらえなくて空回りした挙句、ほとんど八つ当たりで迷惑かけちゃうの。でも相手は優しいから許してくれて、ますます舞い上がって以下エンドレス――って感じかなっ!」
「素晴らしい分析だわ。でも何故かしら、少し胸が痛いわ」
「うん、実はわたしも言ってて胸が痛かったよ」

viva、地雷女♪

前作が、滅びゆく運命のもと、永遠に似た刹那の中で恋に殉じる少女たちの儚くも美しい恋愛模様を描いたラブストーリーだとしたら、本作はそのラブの部分を徹底的に抽出した上で、異能という外装をまとわせた上で、その外装をまったく活用するシチュエーションが皆無な最近はやりの駄弁り派日常系のジャンルに放り込んだ、ごった煮作品である!
ジャンルは日常系ラブコメ異能バトル!
ジャンルが隆盛となりだすと、そこからいろんな派生系が生まれてくるものだけど、ついに異能者さんたちによる益体もない駄弁り日常系まで出てくるとは、そのうち異世界ファンタジー日常系とかスペオペ日常系とかも出てきそうだな。
あとがきの葉村先生がまるっきり「はがない」の小鳩さんとか「俺妹」の黒猫さんなのは置いておいて、とりあえず担当さんの柔軟性はグッドジョブ(笑
次は日常系コメディにしましょう→えーっ、ムリっす。武器も異能も二つ名もない世界を書けなんて→じゃあ、武器も異能も二つ名も出てくる日常系にしましょう。
何故そうなる(爆笑
いやでも、これは慧眼ですよ。前作でも、あの独特で幻想的な雰囲気とは別に、日常パートのラブコメ部分はこれだけ独立させても十分いけるだろう、ってくらいに良く出来てましたし、あの悶絶しそうな甘甘な雰囲気を一冊丸ごと堪能させてやろうという目論見は、大いにアリと言わざるを得ない。
実際、本作は非常にラブコメ色が強いんですよね。メインヒロインとなる一乃とキリカは、もう既に主人公の宗司にベタ惚れ、という段階ですし。もっとも、二人共いささか性格に難があるので、好意のあらわし方が=宗司を言葉責めにしたり逆セクハラで慌てさせたりという、とにかく弄らずには居られないという有り様なのでアレなのですが、上の本文引用でも彼女たち自身が述懐しているように、宗司くんは非常に懐の広い男の子なので、弄られてもツッコミスキルで鮮やかにあしらいつつ、丁寧に根気よく二人の相手をしてくれるんですよね。だいたい、一乃の弄り方もキツいものではなくて、その言動の端々に隠しきれない好意がはみ出しまくってるんですよね。宗司は気づいてくれないにしても、一乃のムチャ振りを邪険にせずいちいち付き合ってるし、お陰で、傍目には多少ズレているとはいえ、ずっとイチャイチャらぶってるようにしか見えん!(笑

この作品が自分にとって新鮮だったのは、このラブラブ全開の部分なんですよね。最近流行りの日常系コメディって、ラブコメ要素はあるにしても、普段のダラダラした日常を壊さない程度にしか小出ししてくれないわけです。もっとも、将来的に爆弾となって炸裂しそうな伏線は様々な作品で随所に仕込まれていますけど。でも、あくまでメインはだらだらと続く何気のない日常の方。たとえば「はがない」では友達が出来た時の予行演習、「神明解」は帰宅、「生徒会の一存」は生徒会室での駄弁り、といった風に。
ところが、この……ええっと、略称はなんなんだ? 一乃さん? おれいち? ともかく、本作はというと、何も起こらない代わり映えのしない日常がメインなのは一緒なのですが、一乃とキリカにとってその日常というのは、宗司とイチャイチャする&恋敵を潰すッ、というものなので、必然的にこの「おれいち」ではラブコメ! が、メインとなってくるわけです。
短編が幾つも挟まれる日常系コメディというジャンルでラブコメをやられてしまうと、一巻で十本以上の様々なラブコメイベントを一気に堪能できるという、これかなり至福でありますよ?
しかも、葉村さんのラブコメは、私の波長に合うのか、毎度毎度、芯がぐにゃぐにゃになるほど悶えさせられるシロモノで、もう甘いのなんの。砂を吐きそう(笑

異能という要素は、なんだろうこれ。登場人物たちの不安の根本であり、また絆でもある、といった所か。ふとしたことで、ここで描かれている日常風景があっさりと吹き飛んでしまう原因となりそうなものでもあり、作品全体にある種の儚い雰囲気を漂わせている要素でもある。もっとも、前作の否定公式のあの滅びの雰囲気に比べたら、あくまで予感にもならない匂い程度のものだけれど、あくまでエッセンスって感じか。
あと、犬五号とペンギン(笑
犬はもとより、ペンギンは反則だ。階段降りてくるシーンなんか、かわいすぎるんですけど!

あー、やっぱりこの人の書くラブストーリー、波長が合うわー。胸がキュッとなるような嬉し恥ずかしな話を読みたい時はこの人の作品を読むに限る♪
新キャラは程々に、一乃とキリカをあくまでメインに掘り下げて、とことんラブコメで長々とやって欲しいなあ。甘甘、堪能させていただきました。

天川天音の否定公式 44   

天川天音の否定公式 IV (MF文庫J)
 
【天川天音の否定公式 4】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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領域との休戦のようなひととき、長月学園では文化祭準備が佳境を迎えていた。瑛子は天音に「後夜祭で、雪道に告白する」と宣言をする。複雑な心中の天音だが、応援すると決めた。折しも虚構式の断片が世界中で発見された報告を受け、この街に居る時間も短いことを悟ったときだった。しかし、後夜祭にて学園全体を巻き込む攻撃が御堂姉妹によって仕掛けられ、雪道たちは戦闘に巻き込まれていく。願望の化身エピメテウスの思惑とはいったい? そして、雪道と天音がうちに抱えた「永遠」と「終焉」という世界の全ての根源である『式』が、二人を思わぬ運命に導いていく――。

永遠以外は無価値だ。終わってしまうもの、消え去ってしまうものに価値など無い。そう言い切ったのは、<待ち人(ゴドー)>。
永遠へとたどり着くために彼が選んだ方法は、数年という僅かな年月のみ存在を許された人の姿形と心を持った人形に永遠式を継承し、先へ先へと繋げていくこと。いつか、永遠に辿り着く日を待ち続け。だがそれは、その人形は、彼が無価値と断じた、ただ消え去りゆくもの、そのものではないか。
矛盾である。矛盾があるからこそ、待ち人は決して永遠にたどり着けない。彼だけが、それに気づかない。
そして、そんな無限に続く放浪の中に囚われる彼を終わらせたものこそ、彼が無価値と断じたものだった。

思えば、芦原雪道には永遠どころか過去も未来も許されていなかった。永遠式の人形として発生した雪道には過去というものは何も無く、いずれ永遠式に蝕まれ消えゆく定めがある以上、未来もまた存在しない。彼を産んだ両親すらも存在せず、係累もなく、過去を共有する友人もいない。何も無いまま存在し、そのまま永遠式を継承して消えゆくだけだった彼を、芦原雪道という人間にしたのは、まさに長月瑛子その人だったのだ。第一巻で、雪道が瑛子をどう思っているのか、好きなのかと天音に問われ、間髪入れずに「光だ!」と告げたのは、暗喩でも何でも無く事実そのものだったのだと今になってよくわかる。瑛子の存在は、無に等しかった彼にとって、闇を払う光そのものだったのだ。雪道が瑛子を半ば神聖視し、崇めるように彼女を大切にしているのも決して大げさなことではなかった。彼にとって、瑛子は文字通り人生のすべてだったのだろう。
二人の世界はまさに二人で完結していたと言ってもいい。例外は二人をつないだ二匹の猫だけ。いずれ泡沫のように消え去ることを運命づけられた、刹那の楽園。そんな中に飛び込んできたのが天川天音であり、彼女こそが非日常の世界に二人を巻き込んだように見えてその実、四つの原初式によって紡がれる滅びの運命に巻き込まれた部外者だった、という趣旨の話は2巻や3巻の感想で触れた事だったか。
そして部外者であるからこそ、彼女が雪道たちに忍び寄る滅びの運命を覆す鍵となるのでは、と考えていたのだけれど、勿論天音も役割を果たしたと言えるんだが、想像以上に雪道、瑛子、シロコ、そして天音の四人が四人共に誰一人欠けていても叶わなかったという形で、四つの(いやこの場合は四人の、と言い表した方がいいか)原初式と向き合うことになる。
永遠に辿り着くために生み出された雪道は、瑛子たちと過ごす時間を通じて消えゆく今この瞬間にこそ掛け替えのない価値を見出し、無価値であった自身を<待ち人>と伍するほどの存在へと昇華させる。それは永遠式の否定。
願望式に見込まれた瑛子は、絶望を恐れず、希望を拒絶し、何も望まず、何も願わず、自らの手で大切なものを取り戻そうとする。それは願望式の否定。
瑛子と雪道に拾われた猫として、本来彼ら二人の行く末をただ傍観する立場だったシロコは、世の理をねじ曲げ、自らも彼らが織りなす舞台へと上り、運命へと完全と介入することを選ぶ。それは虚構式の否定。
そして、すべてを終わらせることで救いを与えようとする力、終焉式を振るいながら、終わることを拒絶し、滅びに抗い、先へとつなげようとした天音。それは終焉式の否定。
原初式となりはてた四人が違ってしまった結末を、雪道たち四人は敢然と否定したことで、図らずも在り得るはずがなかった未来を手繰り寄せることが叶ったわけだ。
運命は、覆されたのだ。
私、この物語は雪道や瑛子たち個々人の感じる幸せは別として、現実的にはあまり救われない結末を迎えるんじゃないかなあ、と思ってたんですよね。透明で幻想的で美しくはあっても、たとえば根本的に普通の娘である天音は、寂しい思いを抱える形で終わるような終り方になるんじゃないかと。
ところが、そんな予想されてしかるべき儚い終焉を、彼らは見事に打ち破ってくれた。いや、正直言ってたまたまそうなってくれた、と言うべきかもと思わないでも無い。シロコも瑛子も雪道も、誰も自分が生き残ることを考えて動いていなかったわけだし。三人とも自分が死に、消えてしまう事をまったく恐れず、ただ自分の大切なものを守ろうとしただけ。その意味では、やっぱり天音の存在は、皆が未来に繋がるための鍵になったんじゃないかなあ。一生懸命のわりに役に立ってたか怪しい、というのが天音らしいんだけど(笑
否定の解釈については、上に書いた意外にもまだ色々と視点を変えて捉えられる部分が多そう。
なんにせよ、見事なくらいに上手いこと話がまとまった上で先に続いてくれたのは、幸せだった。ちゃんと、みんな告白できたわけだしね。
最後まで天音は残念美少女だったけど(苦笑
このヘタレで間が悪くて残念なところこそが、天音のめんこい所なんですけどねえ。ぶっちゃけ、瑛子には恋愛方面では絶対に叶いそうにないんだよねえ。ただ、逆に完全に瑛子との間で雪道の所有権については上下関係できちゃっているっぽいので、その意味では強行派で裏表の激しい策士であるがゆえに瑛子とガチで対決しそうなシロコと違って、天音は二号さんで安泰なのかもしれない。天音のダメッ娘っぷりは、見捨てるのも突き放すのも難しいような、ついつい放っておけない気にさせられてしまうところがあるからなあ。雪道と瑛子のふたりがかりで面倒を見てしまいそうな所があるのよねえ。いや、メインヒロインとしてはどうよ、というようなダメっぷりだけどね(笑
とりあえずこれで完結なのかしら。どこにも明記されてないんですよね。話はきっちり終わってると思うのだけど、このままラブコメメインで続いてもらっても、それはそれで全然OKなんだがw

1巻 2巻 3巻感想

天川天音の否定公式 34   

天川天音の否定公式〈3〉 (MF文庫J)

【天川天音の否定公式 3】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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この、物語全体にしんしんと降り積もる一種異様な儚さ、明るく賑やかにわいわいとラブコメをやっているはずなのにどこか仄かに香る物悲しさ。
この他の異能モノやラブコメハーレムものに類を見ない、あまりに独特であまりに異端な雰囲気は、同時にどこか既視感があって、いったいなんだったかなあとずっと頭を悩ましていたのですが、ようやくわかった。
これ、一種の終末モノなんだ。
遠くない未来、自分たちが滅び去ることを半ば承知しながら、それでもその時、その瞬間が来るまで絶望する事を選ばず、懸命に今の幸福を享受して生きる若者たち。その輝きは眩くも儚く、美しくも幻のようにふつりと消えてしまいそうで。
彼らはきっと、破滅するのだろう。
雪道は瑛子たちを守ると決めながらそれが叶わぬのだと識っている。
瑛子は未来を知らずとも忍び寄る運命を察し、その果てが滅びであると薄々気づきながら、最期まで雪道と離れないと決めている。
天音もまた、雪道に迫る絶対的破滅の足音を聞きながら、巻き添えを食う前に逃げろと言う協力者に別離を告げ、彼と滅びることを選択した。
シロコは最初から何もかも承知の上でカレの前に現れた。

みんな、最期まで運命に抗い戦い抜くつもりであり、同時にその果ての滅びが避けられないものだとどこかで受け入れ、その上で今この瞬間を、かけがえのない日常を、騒がず慌てず穏やかに過ごしているのだ。
それはまるで、滅びゆく世界で終末を前に、それでも懸命に穏やかに日々を生き抜こうとする人々の物語そのままのように感じたのだ。
それは雪道が、この巻の最後、この結末をとても悲しみながらも、悔悟や理不尽に憤る事もなく、ただ粛々と受け入れ、瑛子たちに努めて普段と変わらぬ表情を見せたこと。瑛子たちもまた、穏やかにそれを受け入れたことに、象徴されているのではないだろうか。

何度読んでも、彼と彼女らのこの透明な覚悟には、背筋が震える。表向きの賑やかなラブコメパートが楽しいだけに、その明るさに余計に胸打たれる。
その明るさが、決して無理をして作り出しているものではない、極々自然に湧き出しているものだという事実が、彼女らの健気さを示しているようで、息を飲む。
天音が協力者だった人から<領域>の動向を知らされた時の一瞬の躊躇いもない、穏やかな決断とその後の別れのやり取りなんか、ちょっとした衝撃ですらあったものなあ。その後、みんなの前での天音が、それまでと何も変わらなかったという事も。
どこかお遊戯のような日常の時間が、彼女らにとってどれほど大切でかけがえのないものなのか、思い知らされたようで。
あれほどの痛切で鮮烈な想いを抱えながら、瑛子も天音もシロコも、決してそれをぶちまけず、無様に晒さず、ぬるま湯のような空気の中で戯れじゃれ合い続ける。
来るべき時が来たならば、自身の何もかもを投げ捨てる覚悟を秘めながら、今はただ戯れ続ける彼と彼女らが、無性に切なく愛しい。
もし叶うならば、彼らの幸せな時間が長く長く続くように、祈りたい。その祈りはもう何度も何度も物語の中で否定され続けているのだけれど。

そして、他の彼女たちのように一途に雪道に想いを寄せながら、その運命に押し流されていったコッペリア。人形である彼女こそが、幸せな時間が終わることを否定し、そして失敗したと言うのはここでは何を意味するんだろう。
彼女は、結局雪道を中心とした小さな世界に、入りきれなかったと言うことではあるんだろうけれど。今回の一件で確信したのは、この物語においてもはやヒロインは増えないという事ですね。あくまでヒロインは天音と瑛子の二人であり、特別枠はシロコのみということか。
こうなってくると、あの最初の四式も、この四人にかかってくるのだろうか。雪道の原初式に加えて、天音は終焉式を得ているわけで、あとの二式も瑛子とシロコに対応すると想像し得る。
時間迷宮で出てきたもう一人の天音の意味深な発言も、待ち人ゴドーの言葉にかかる部分があるし、想像の余地はまだまだあるなあ。

天川天音の否定公式 25   

天川天音の否定公式 II (MF文庫J)

【天川天音の否定公式 2】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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そうか、これはそういう事だったのか!!
完全に登場人物の立ち位置を勘違いしていたのが、シロコの天音への痛烈な指摘とエピメテウスの繰り言によって、この作品について捉えていた構図がガラリと百八十度引っ繰り返った。
そもそも、非日常の象徴として雪道と瑛子を巻き込む存在として現れたはずの天音こそが、逆に巻き込まれた側であり、もっとも普通の人間であり、この惨劇が約束されている未来の運命に対する部外者だったという事か。
故にこそ逆に彼女――天川天音こそが雪道・瑛子・天音の三人によって紡がれ始めていたこのぬるま湯のような安息の日常を護る担い手となり、部外者であるが故に運命を覆す要となり、雪道や瑛子の歯止め――ストッパー、いつか彼らが境界を飛び越えてしまうのを、日常の側に引き留める存在になるということか。

てっきり典型的パターンとして元々日常サイドの人間だった瑛子の方がその役割を担う側だと思い込んでいたんだけれど、今回の一連の事件での瑛子の行動を見ている限り、彼女にはそういう立場に立つ事が絶対に無理だと思い知った。
瑛子と雪道の関係は、あまりに重く深く断ち難い繋がりによって、それこそ魂の根源からと言えるほどの深度で繋がっているので、日常とか非日常とか周りの環境、生死の境ですら問題ではないんですよね。彼女にとって雪道とは絶対と言っていい存在であり、彼の辿る道ならたとえ地獄だろうと奈落の底だろうと何の躊躇なく付いていく。他の何を捨てても振り返る事すらないだろう、まさしく絶対存在。
それは、雪道にとっての瑛子もまた同じで、それはかつて雪道が彼女のことを「自分にとっての光だ」とのたまったように、瑛子の存在は雪道にとって何を引き換えにしても後悔のない掛け替えの無い存在。今でこそ天音やシロコが現れ、彼にとって護るべき存在は増えているとはいえ、瑛子はまるで別格なんですよね。
そんな二人が、二人だけでいたなら、きっと軽々と越えてはいけない境界を踏み越えてしまうに違いない。いずれ襲い来るであろう明示された絶望の運命に、彼ら二人だけでは抗えない。
そこに、天音の存在が必要になるわけです。
ただ二人だけで完結しかねない雪道と瑛子の間に現れた、運命の部外者天川天音。彼女は異能者であり非日常の側の人間でありながら、あまりに普通の人間であり、多くのしがらみを捨て切れずにいる人間です。ラストに近いとあるシーン。あのシーンで躊躇なく雪道のいる場所に駆けこんでいった瑛子と違って、天音は異常な空間に隔てられた雪道のいる場所に飛びこむことを躊躇い、迷ってしまいました。
ヒロインとして致命的に見えるこの行動こそが、きっと天音の存在がこの物語において、雪道と瑛子の二人にとって、かけがえのない者となる事を示しているんじゃないかと思うのです。
異能者でありながら普通の人間そのものである彼女だからこそ、二人を日常の側に引き留める、過酷な運命から二人を護る存在になるのでは、と。
ですが、部外者が、普通の人間が運命の楯になるのなら、それ相応の代償が必要。大好きな二人を守るため、彼女はここでしばらく前、同じような選択を迫られた瑛子と正反対の選択をするわけです。それぞれが多大な勇気と覚悟を持って。
この時点を以って、雪道と瑛子と天音の三角関係というものは、誰一人欠けてもいけない、尊いまでの繋がりと化したのではないでしょうか。
もっとも、正直、今回の一件で天音はめちゃめちゃな勢いで死亡フラグを立てまくった気がします。雪道は、きっと最後に立てた誓いを果たす事はできないんでしょうけれど、守られたその先にこそ、もう一度果たせなかった誓いを果たす機会を得るのでは、となんとなくそんな展開を想像してみたり。それには、きっと瑛子が必要なんだろうね。瑛子こそが雪道の光なのだし。だからこそ、誰一人欠けたらいけないんだわ、きっと。

とまあ、完璧に入り込む隙のないように見えたこの三人の中に、見事にすべり込む事に成功した浅闇シロコというキャラクターの描き方は絶妙の一言。なるほど、出自と言い雪道や瑛子との関係といい、彼女が秘めていた知識と目的といい、その行動の果てに辿り着いた居場所といい、彼女もまた運命のキーパーソンとして重要な立ち位置を担う存在になるわけだ。具体的にどういう役割を担うかは、次回以降に見えてくるんだろうけど


シリアスパートの尻上がりの面白さと同様に、ラブコメパートもまたニヤニヤが止まらんのよですねえ。一番常識人で抑え役だったはずのクールで冷静だったはずの瑛子さんが、際限なく暴走しまくり、それをあたふた右往左往しながら必死に宥める天音の構図。おい、逆、元々の立ち位置と逆逆(w
猫被りのダメッ娘という属性に苦労症という属性まで付けて、天音さんはいったいどこまで行くつもりだ(笑
一巻で、既に振り回され役と思われた主人公の雪道が実は無自覚に振り回す方だったと発覚した上に、瑛子の無表情に惑乱暴走するタイプ、しまいにシロコは小悪魔的に事態をひっかきまわすタイプ、となると必然的に天音の抑え役の役回りが回ってきてしまうのか。傍若無人のお調子者に見えて結構根は常識人というのが発覚しちゃったからなあ(笑

一巻で絶賛に絶賛を重ねた本作品、二巻でますます惚れた、ベタ惚れ。自分の好みをスマッシュヒットされまくり。前シリーズの【この広い世界にふたりぼっち】よりは一般向けにカスタマイズされてるけど、まだまだ読み手を選ぶタイプの作品だとは思います。けど、自分相手にはまったくもって傑作様でございました。もう、こういうの大好きなんだよな、たまらん!!

1巻感想

天川天音の否定公式5   

天川天音の否定公式 (MF文庫 J は 6-4)

【天川天音の否定公式】 葉村哲/ほんたにかなえ MF文庫J

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うわあ、前作の【この広い世界でふたりぼっち】とはまるで違うじゃないの。この人、こういうのも書けるんだ、と感心してしまった。いやはや、作風の範囲が広いというのは、いいことだと思うよ。
それに、個性を消してしまったわけではなく、後半ラストの主人公周辺の情報が浮き上がってくるらへんのシーンでは、前作で作品全体に立ちこめていた深く立ちこめる白い霧を連想させる、うすら寒くも厳かな幻想神話の雰囲気が確かに感じられたんですよね。前作がとにかく自分の持ってる特色部分を先鋭的に研ぎ澄まし、特化させた作品だったとしたら、今回のはそれをうまく引き出して使いこなしているイメージ。その意味でも、非常に驚き感心させられたんですよね。よほど地力が高くないと、自分の作風をこんな風に掌握して使えないですよ。前作みたいな作品書く人は、書き方事態に引っ張られ、引きずりまわされてしまいがちだしねえ。

個人的には序盤の異能編は普通だったんだけど、際立って素晴らしかったのが猫被ってた天音の本性に主人公が慣れ、同時に瑛子が仲好くなった二人の関係に気づいて割り込んできたあたりですか。
すなわち、ラブコメパート!! これが、とんでもなく素晴らしかった!!
瑛子と天音がぶつかりだしたあたりから、二人に振り回されてるみたいに見えていた主人公・雪道の本性が明らかになってくんですよね。雪道の策略で、天音の猫被りが瑛子にバラされ、有耶無耶のうちに二人とも仲良くさせられてしまった挙句に、ヒロイン二人がまとめてマイペースな雪道のノリに振り回されまくる、という展開に(笑
「あーん」とか、極悪だぜ、あれw

でも、この三人の関係が、ほんとにすばらしいんだ。個人的に、こうした誰が欠けてもいけないトライアングルの三角関係って、ツボにハマりまくるんだよなあ。雪道の瑛子を大事に思う気持ちとか、瑛子が雪道を好きな気持ちの純粋で真っすぐな温かさは、ほんと可愛らしくて眩しいくらいに思えるし、そんな二人に出会った天音の無邪気さ。弄られ、可愛がられ、大事にされ、という関係は、ほんと読んでて楽しかったし、ニヤニヤしっぱなしだった。
中盤から、ただ巻き込まれていただけと思われていた雪道の存在に突き付けられた謎の、寒々しさを感じさせる不穏な空気が、余計にこの三人の関係を引き立たせていた気もするなあ。能天気ではない、今にも崩れそうな前提の上にあるからこそ、尊くも眩く大切な関係、という感じで。

御堂叶流も、これ思いのほかイイキャラだったなあ。いや、途中まではそんなにイイとも思ってなかったんですが、エピメテウスに対してあの態度・表情のまま、あんな事をナチュラルに云った瞬間にガラッとイメージ変わりましたよ。あの理由だけなら、ここまでグルっと変わらなかったんですけどね。ただ、言動通りの人間じゃなかったんだな、と思うだけで。
ただ、それまでもあの奇矯な物腰の侭、自然にああいうこと言われてしまうとね、いきなり底が見えなくなった気がしたんですよね。考えすぎかもしれませんけど。

にしても、面白かった。セリフの中にも、短いくせに異様に印象に残る名セリフも多いし。「全部」とか「光だ」とか、もうグッと来ましたよ。
後半行くほどテンションあがってきて、これはホント、予想外に傑作でした。やー、面白かった。
最後の雪道の叫びには、もうニヤニヤしすぎて、顔面崩壊だったw
 
11月26日

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