徒然雑記

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ぽんかん(8)

獅子は働かず 聖女は赤く 5.かくして、あいつは働いた3   

獅子は働かず 聖女は赤く 5 かくして、あいつは働いた (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 5.かくして、あいつは働いた】 八薙玉造/ポンカン─.后璽僉璽瀬奪轡緤幻

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さらわれたアンナを取り戻すため、“裏切りの獅子”ユリウスは中央教会の本拠地である教都ノヴァリアを襲撃した。激戦の末、アンナを取り戻したユリウスだったが、“焔鎧王”マルテは損傷。その窮地を救ったのは聖なる黒竜と化したサロメだった。彼女の力でアンナと共にガルダ正統帝国に逃げ延びたユリウスだが、教皇ヴァルターはそれをきっかけとして、セレスター王国と共にガルダ正統帝国討伐の軍を挙げる。大軍と共に迫る四機の御使い。戦を阻止するため、ユリウスとアンナは傷ついたマルテ単騎で立ち向かう!竜と鋼と魔女のファンタジー時々コメディ、ここに完結!!

もはやヴァルターが名前じゃなくて「腰痛」が代名詞になっちゃってるあたり、これほど不憫なラスボスも滅多と居ないんじゃないだろうか、と目尻が熱くなってしまった。竜に変身したなら腰痛が解消されるなら、もうずっと竜で居なさいよ、と言いたくなるくらい。
でも、「腰痛」呼ばわりされてる頃のヴァルターの方が愛嬌があって良いキャラだったんですけどね。ラスボス足ることを選んでしまった彼の宿業は、自身の在りようすらも歪めてしまうほどのものであり、希望を標榜しながらもそこにサロメと同じくらいの絶望が垣間見えて、なんだか哀れですらあったのでした。すべてが終わった時、重石から解き放たれたような安堵が感じられてしまった事が、何とも哀しくてねえ。
すべて諦めてしまっていたサロメも哀しい存在でしたけれど、諦めることが出来なくて頑なに、それこそ腰をイワシてしまうほど頑張り続けたヴァルターもねえ、辛かったねえ、と終わってみれば労ってやりたい気分に。
もっとも、その頑なさにどれだけ血が流れたかを思えば苦しい所なんだけれど、全部が全部彼のせいなどではなく、教団の在りようなんてものは時代の趨勢なんて部分も大きかったでしょうしね。【赤き聖女】マルレーネの悲劇なんて、その際たるものだったのでしょうし。
だからこそ、ヴァルターのあのラスボス化はある意味逃れがたい教団の宿業を一度破壊し、時代を一つ進める役目を担ったとも言えるのではないでしょうか。ヴァルターのそれは、教団の宿痾の部分を全部背負い、残った教団の人々に人間として正しい道を選ばせる形になったわけですし。
魔女への迫害も、教団の独善性の暴走も、固定観念そのものもぶち壊していってくれたのですから。
尤も、それが為されたもの、アンナの呼びかけがあったからこそですし、その呼びかけに応えるだけの善性と人として正しい信仰が、セレスター王国や帝国の首脳部や、教団の騎士たちにあったからこそ、と思えば、この大団円はまさにみんなの勝利、だったんですよねえ。
壊れかけのマルテただ一騎で、教団の御使い四機と渡り合うことになる総力戦から、まさかの大どんでん返しとなる、残ったすべてのキャラクターの総力を結集した大々総力戦。ラストバトルとしては十分の盛り上がりだったのではないでしょうか。

さすがに、もうクライマックス一直線の佳境も佳境で、悠長にいつものキレキレの掛け合いに興じるコメディパートは少なくて、なによりいつものアンナさんのごきげん連続殺人未遂事件もなく、アンナさん真面目なほうに頑張ってて、噂の歩く超危険人物的には非常に大人しかったので、その意味では少々物足りないものもありましたが。恒例のサロメお師匠様弄りも、お師匠様一杯一杯すぎてできなかったですしね。
それでも、ようやくつかみとった平和の中で、十分アンナさん自由に暴れるがよろしいですよ。サロメ師匠の弄られポディションは、もう生涯変わらなさそうですけどw
完結、お疲れ様でした。

シリーズ感想

生徒会探偵キリカ 4 4   

生徒会探偵キリカ4 (講談社ラノベ文庫)

【生徒会探偵キリカ 4】 杉井光/ぽんかん(8) 講談社ラノベ文庫

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生徒数8000人の超巨大学園に秋がやってくる。食欲の秋、読書の秋、そしてスポーツの秋!二学期最初のビッグイベント・体育祭を控え、生徒会は臨戦態勢に入っていた。もちろん白樹台の体育祭はただの運動会じゃない。運営権と予算枠3000万円を賭けた、体育科とのガチンコバトルだったのである!強大な敵を前に、普段は反目しあう会長と朱鷺子さんと郁乃さんも一致団結。キリカも莫大な予算額にいつになくやる気満々。そして僕らの前に立ちはだかる体育科のリーダーは…魔王陛下?いつもより多めの肌色に青春の汗と涙がまぶしく光るハイテンション学園ラブコメ・ミステリ、第4弾!
すげえ、何言ってるかさっぱりわからないけれど、会話が成り立ってるよ!! 体育科のリーダーと言いつつもあんまり体育会系の匂いのしない魔王様。一応フェンシングの選手らしいけど、どう考えても政経系統だよな、この人。相変わらず杉井さんは、マイワールドを展開している人を描くことにかけては息を吸うかのように滑らかだ。普通に喋っている限り、まるで一般人と会話が通じないような独自言語がするすると吐き出されてくるんですよね。合いの手となる主人公のツッコミが華麗すぎるので、なんとなく意味がわかるような気がするけれど、実際ほんとに何言ってるかわかんないよねこれw
これまで中二病を発症してマイワールドを展開してるキャラは幾人も見てきたけれど、これほど滑らかに中二言語を互換して喋ってるキャラは初めて見ました。というか、普通の中二病キャラの喋りには「誇示」が含まれているものなんだけれど、この魔王様の場合はあんまり主張は感じないんですよね。純粋に互換して喋っているような気がする。ある意味同作者の【楽聖少女】のハイドーーーン!の人と同じベクトルを感じるw
しかし、その頭脳の切れ具合は浮かれた部分など微塵もない。何だかんだとお調子者な生徒会の面々や、弄られ属性が色濃くある朱鷺子などと比べても、魔王様の思考は常にクールで鋭く研ぎ澄まされていて、じっと機会を伺い雌伏し続けることを厭わない我慢強さが垣間見える。それでいて、その心根は実に熱く情熱的だ。実は杉井作品に稀に見る主人公属性の人なんじゃないだろうか、これ。

今回は超巨大学園の体育祭、しかも主導するメンツにエンターテイナーが揃いも揃ったイベントだけに、お話も盛り上がる盛り上がる。なんか、終わってみれば超真っ当な知恵と力と意地と根性が真っ向からぶつかり合う、実に健全で血の滾るお祭り騒ぎだったんじゃないでしょうか。純粋に楽しかったぞ、今回!
我らが詐欺師ひかげくんも、経験したことのない大イベントに戸惑いながらも、より大会を楽しく盛り上げるために、何よりキリカに楽しんで貰うためにあれこれと尽力してまわっていたあたり、今回はほんとに肉体的にも精神的にも健康なお話だったように思うのでした。
応援合戦は、個人的には体育科の勝ちだったよ! 楓花さん、素敵過ぎます!! ヒロイン度爆上げだったんじゃないでしょうか。キリカもひかげの後押しがあったからだけれど、普段からは想像もつかないほど前面に出て活躍していましたし。キリカが体育祭であんなに前に出るとは、予想外もいいところ。杉井作品の主人公って、概ねヒロインに対して過保護だけれど、キリカはその中でも比較的積極的に応える娘だなあ。
とまあ、全体的にこんなにも健全な流れだったのに……のに、って言っちゃあなんですけれど、ひかげ君、今回は生徒会側の軍師的な役回りでクライマックスで策を巡らせていたのですが、ひかげがやるとどうしても軍師や戦略家の神の手、というよりもなんか詐欺っぽくなるんだよなあ(笑
相手の作戦を逆手に取る、どころか相手に自分たちの思う通りの作戦を立てさせるように誘引するところなんぞ、毛利元就もかくやという謀略家っぷりだったんだけれどなあ、終わってみれば詐欺にあったようなお話でw
いや、ほんとにお見事としか言いようのない鮮やかさだったんですけどね。普段の行いだなあ、こればっかりは。こんな彼が、真っ当に狐徹会長に勝負して正々堂々と勝つ姿はやっぱり想像できない。詐欺で騙して勝つ姿は想像できるけれど、それっていいの?という話だし(苦笑
それでも、ひかげには今や明確に会長と勝負して勝ちたいという欲求が赤々と燃え上がっているようだ。対決の日は、近いのだろうか。

1巻 2巻 3巻感想

獅子は働かず 聖女は赤く 4.あいつ、我とか言いだしおった4   

獅子は働かず 聖女は赤く 4 あいつ、我とか言いだしおった (獅子は働かず 聖女は赤くシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 4.あいつ、我とか言いだしおった】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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「君は世界を変えられるんだ」
ついに明らかになったアンナの秘密!
運命に翻弄される少女が選ぶ明日は!?

《裏切りの獅子》ユリウスと、見習い修道女アンナの旅は転機を迎えた。魔女たちの隠れ里《茨の城》を巡る戦いで、ユリウスは中央教会の精鋭《獅子の牙》を打ち破った。しかし、満身創痍の彼は倒れ、アンナは中央教会に連れ去られてしまう。
大きな秘密を抱く彼女を利用しようと策謀が巡らされる中、再び立ち上がったユリウスは、《竜の魔女》サロメたちと共に中央教会の中枢、教都ノヴァリアに襲撃をかける。しかし、彼の前に立ちはだかったのは、驚くべき敵だった!!
竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ第四弾!

もうヤメテ、お師様のライフはとっくにゼロよっ!! 
なんで出てくるキャラ、みんなしてお師様ディスるんだよ。元々サロメって最初からライフゼロの超弱キャラだけどさっ、確かに暇さえあれば苛めたくなるようなキャラだけどさ!!
崇め敬い親愛をこめてディスる、ってちょっとした新境地だよね。これだけ身近な人達に慕われ大切に思われながら、けちょんけちょんにけなされてしまう人が居ただろうか。一応一番の年長者で、実際に功績も確かで<竜の魔女>なる悪名で恐れられる偉大な賢人であり、主人公にもお師様と呼ばれる指導者であり教導者であり、偉くて大変な人だというのに……ここまでチョロくて弱くて押すと引いちゃうどころか、足をもつれさせてひっくり返って後頭部打って悶絶して泣いちゃうような人だというのは、なんなんでしょうねこれ。サロメ師匠については、ちょっと似た類型が思い浮かばない。ナチュラルボーンキラーズなメインヒロインというアンナさんも相当独特で他の追随を許さないガラパゴスなヒロインだけれど、サロメのこれは全く新しいキャラなんじゃないかな。少なくとも、自分は彼女を表すキャラの属性を思いつけない。

というわけで、アンナさんを連れ去られ、自身も心身ともにボロボロに傷つき昏倒したユリウスが再び目を覚ました時に寝ていた場所は、当初の目的地だった魔女たちの隠れ里。そこは、元々サロメが作り、世間から追われた魔女たちを匿っていた場所であり、そこにいる魔女たちはサロメを母として慕っていた。これまでのサロメの発言からして、自分は単に<茨の城>の関係者の一人にすぎない、みたいな顔をしてからに、実際にはサロメ自身が創設者であったわけです。ホントにこの人は弱キャラのくせに、実際にやってることは凄いんだよなあ。ホント、この人がやってるとは思えないくらいの実績なんだが。助けられ守られてきた魔女たちの方も、サロメをお母さんと呼んで慕っているくせに、その扱いときたら酷いのなんの。お師様と呼び崇めながら、サロメに働かせて日銭を稼がせ、食事や洗濯などの家事も押し付けて自分は優雅にニート決め込んでいたユリウスもかくや、という木っ端扱いである。
誰か、サロメに優しくしてあげて!!
そのうち、打算で優しくしてくれる結婚詐欺師とかに引っかかりそうで正直こわいです。

何とか動けるまでに回復したユリウスは、当然のようにアンナを取り戻すために動き出す。働きたくない働きたくない、とサボることばかり考えながらその実、勤勉な働き者だったりするユリウス。ただ、今回ばかりは仕方なしに、というわけには行かず、義務にかられてでも大切な人の遺言を守るためでもなく、気づいてしまった自分の想いに殉じる形でアンナをさらった帝国に乗り込むことに。
立ちふさがるのは、残された最後の「獅子の牙」、かつてのユリウスの同僚たち。まったく、「獅子の牙」という連中はどいつもこいつも、キワモノ揃いか!!
ヤンデレコルネリアが一番マトモとか、どういう一団なんだこの連中。仮にも神聖なる異端審問の執行機関のはずなんだが、とても宗教的な狂信性が見えない連中なんですよね。宗教的じゃない狂乱性については極め付きもいいところなのですが。
とりあえず、この古豪アンドレア爺さんは、真性にヤバイです。というかダメです。あんた、孫くらいの年齢の少女にナニ本気になってるんだーー!! 隠せてない、そのヤバゲな恋愛感情、まったく隠せてませんから!! 老いらくの恋どころじゃねえですってww
これがもっとこう、落ち着いた老人の秘めた静かな恋心、とかだったら叙情的で素敵にすら思えるのかもしれないけれど、こいつのは駄目だ。どう見てもただの「ヘンタイ」にしか見えないw
ただ、相手の超秀才の少女のほうが特に嫌がってもいないので、別にいいのか、セーフなのか? 単に気づいていないだけじゃないのか?w 誰か、教えてやんなさいよ、危険性とか、ヘンタイについてとか。50年以上の年齢差についてとか。

ともあれ、立ちふさがる敵を魔女たちの協力もあって突破したユリウスを待ち受けていた最後にして最大の障害は、驚きのあの人。突然「我」とか言い出しちゃったあの人の登場である。
でも、実のところ「我」モードのこの人はあんまり怖くないんですよね。どれだけデタラメに強かろうと、そんなに怖くないし恐ろしくない。どれだけチートな能力で蹂躙されようと、圧倒的な力でねじ伏せられようと、それがどうした、という感じ。だって……。
あんた、普段の方が無茶苦茶怖いから!!
いや、実はこの能力が無意識に発動してたからあれだけ不意打ちとか食らわせられてたのだっ、とか力説してましたけれど、絶対嘘。絶対嘘です。あんた、そもそもちゃんと相手のこと見てもいなかったじゃない。ハッキリ言ってあのナチュラルボーンキラーなヤバさは、その能力では説明がつきませんから。なんかそれっぽく、実はこうだったんですよ、とか言って自分で納得しているみたいですけれど、違いますからね。あんたがヤバかったのは、能力云々の無意識な発動とかいうぬるい理由じゃないですからね。
本能です!

と、何だかんだと終わってみると非常に大迷惑というか、らしいいつものことだったというか、収まるところに収まってくれたのですが……コルネリア乙。いや、コルネリアは置いておいて、ご愁傷さまなんですが置いておいて。これで何とか話もまとまったか、と思われたところで、最後の最後に大ドンデン返しの真実が明らかになり、真の黒幕がヴェールを脱ぐ。
……いや、驚いたけど! すごい驚いたけど!! いいのかこれ、ラスボスというか黒幕がこれで!?
棒でつついたら倒せそうだぞ!? 或いは、ちょっと大きめに実ったスイカなんぞを、思わず受け取ってしまうように投げ渡したら、それで簡単にやっつけられそうだぞ!?
なんでそんなことするんだ、と物凄い怒られそうだけどw

1巻 2巻 3巻感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。65   

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6 (ガガガ文庫)

【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6】 渡航/ぽんかん(8) ガガガ文庫

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慣れない役割、ぎこちない関係。

文化祭。面倒な仕事をスルーする方法は……呼ばれても返事をしない、なるべく面倒くさそうな気持ちを顔に出す!?
ぼっちのスキルをフル活用して文化祭の準備をサボる気満々の八幡。しかし、授業をサボっていたら、不在なのをいいことに文化祭の実行委員にさせられてしまう。
慣れない役割とぎこちない関係。
新学期が始まってからの八幡は、どこか調子がおかしい。クラスでも、部活でも。雪乃への疑問は消えないまま、そしてそれを問わないまま……学校中が祭の準備で浮かれた空気の中、取り残されているのが当たり前のはずの八幡なのに、居心地の悪さは消えない。
まちがえてしまった答えはきっとそのまま。
人生はいつだって取り返しがつかない。
前に進まず、後戻りも出来ない二人、雪ノ下雪乃と比企谷八幡。近づきも遠ざかりもしない不変の距離感に変化は訪れるのか。

アニメ化も決定、話題のシリーズ第6弾。
平塚先生の優しい言葉が骨の髄まで染みてくる。静ちゃんのこの時のセリフって、あんまり「先生」って感じはしないんですよね。教育的だったり上の立場から諭すように言うのとは、柔らかさが違っている。この人、前々から八幡との距離感に微妙に踏み込みすぎたような部分が見受けられたんだけれど、あの台詞は雪乃や結衣の事を語っているようでその実、静ちゃん自身の気持ちを語っているようにも見える。如何様にも取れるんだけれど、先生という立場を超えて踏み込んできた上で、こうやって真意を、自分がやったことの意味をちゃんと理解し、心配し、そして讃えてくれる人がいるというのは、幸せな事なのだろう。もっとも、八幡はそういう理解してくれる人たちの為だからこそ、自分を損なっても殉じてしまうメンタルの持ち主なんですよね。
今回の一件、彼がヒールに徹したのは決してみんなのため、ではありませんでした。ましてや、相模なんかのためではなかった。ただただ、雪ノ下雪乃の為に、彼女の頑張りに報いるために、彼女の孤高を、ボッチを肯定する為に、身を投げ打ったのです。
多くの人にとって、彼は不愉快な存在でしょう。理解不能で場の空気を悪くする存在でしょう。しかし、これほど、絶大な信頼を寄せられるニンゲンがいるだろうか。
とは言え、こういう社会から逸脱してしまう人間と親しく付き合うというのは、勇気が居ることなんですよね。どれだけ信頼出来る人間だろうと、周りから見ると排斥の対象となりはみ出し者として扱われる以上、それを付き合うということは同じようにはみ出し者として扱われてしまう危険がある。
由比ヶ浜結衣が本当に偉いのは、そのリスクを承知しながらも、そのリスクに怯えながらも、勇気を持って逃げずに八幡たちに関わろうとしているところでしょう。彼女の偉大さは、あの雪ノ下雪乃の凝り固まった心を解きほぐしたことでも明らかです。あの、雪乃が一番苦しかった時、雪乃が全部を拒絶せずついに結衣の差し伸べた手を握ったのは、これまでの彼女の努力があったからこそ。このシーンほど、胸打たれたシーンはありませんでした。この娘の善良さとひたむきさには、毎回毎回泣きそうなほど感動させられる。
一方で、結衣がマイノリティに追いやられてないのは、八幡のクラスのカースト最上位のメンツ、葉山や三浦、海老名という連中が何気に本気でイイ奴らであると同時に優秀な人間であるからなんですよね(三浦は多分に天然なところがあるようですが)。人間的な余裕、と言ってもいいのかもしれませんが、八幡たちの方にふらふらしている結衣を突き放さずに好きなようにさせつつ、抱擁している現状は彼らの人間性の現れなのでしょう。
ただ、今回の八幡の行為が生徒全体から悪印象を受けてしまった以上、葉山たちもこれまでみたいには容易に八幡には近づきがたくなるかもしれない。いや、葉山たち自体は露骨に態度に出さないかもしれませんが、八幡はその辺気にするだろうから、これまで以上に結衣と距離おこうとするんだろうなあ。結衣を大事に思っているからこそ、結衣が自分の為に自分と同類と観られることを嫌うはずですから。それを、結衣がどう思い、どう捉え、どう行動するか。彼女からさり気なく、自分から踏み込む宣言が折しも出ていた以上、もしかしたら次回以降は彼女の動向こそが物語の中心になっていくかもしれない。

もう一つ興味深いのが、葉山の動向である。今回の一件で一番その反応が興味深かったのが、この葉山なんですよね。恐らく、雪ノ下雪乃と陽乃、由比ヶ浜結衣と平塚静を除けば、八幡の真意とその行動の意味を一番正確に理解していたのが彼、葉山隼人なのでしょう。その彼が見せた、八幡の行為に対する怒り……というよりも、あれは苛立ちか。葉山の心情に思いを巡らすと、なかなかソソるものがあるんですよね。彼の複雑な内面と雪乃への気持ち、そしてどうしてもブレることのない善良性。それらを鑑みて、この時の葉山の心情を思うと、八幡の行為を否定し避難するような言動を残してはいるものの、葉山くん、この時かなり悔しかったんじゃないかな。自分では決して出来ない方法で、自分ではどうしようもなかった状況を救ってくれた。自分が助けられなかった雪乃を、彼はまた助けてしまった。八幡は葉山を認めながら、同時に自分とは人種が違う、と割りきっているけれど、善玉である葉山にとってヒールになれる八幡という存在は劣等感すら抱いてしまう相手なんじゃないだろうか。恐らく、これまでどんな人間だろうと受容してきた大きな器の持ち主である彼にとって、初めて現れた受け入れがたい、しかし誰よりも認めざるをえない相手、認めるどころか自分には出来ないことを自分には絶対できないやり方で成し遂げてしまう、敵わないと思わされた相手。それが、八幡だったんじゃないだろうか。夏休みのボランティア・キャンプで味わった敗北感、それが再び、より大きな波となって葉山くんを苛んだのではないだろうか。
それでいて、あの「どうしてそんなやり方しかできないんだ」という叫びには、否定だけではなく彼が非難されることへのやりきれなさがうかがえるのだ。なんかねー、このセリフには葉山くんの八幡はもっと認められるべき人間なのに、という悔しさすらも感じるのです。自分が八幡にどういう役割を負わされたのかも理解した上で、ある種の信頼を寄せられていた事を悟った上で、どうして自分がこんな役割を果たさなきゃいけないのだという苛立ち。自分ではなく雪乃を救ったのが彼だという嫉妬。静ちゃんの言う八幡が傷つくことで同じように傷ついた人間の中に、彼葉山くんもまた入っていたはず。
結衣に負けず劣らず、私はこの葉山くんという人は根っからの善人で良い奴なんだと思えて仕方がない。
この時、彼の中で渦巻いていた様々な感情に思いを馳せると、非常に心くすぐられるのです。当初からは予想外に、葉山くんというキャラクターが重みを増してきた気がするなあ。

そして、雪ノ下雪乃。彼女が、比企谷八幡という少年をどう思っているか、どう思うようになったかを示すような具体的な台詞は見当たらず、その様子からもなかなか窺い知る事はできない。
それでも、今回のターンは、恐らく決定的な一歩を担ったのではないだろうか。これまで、本当に全くと言っていいほど前にも後ろにも進まなかった二人。否、若干距離感のとり方を見失っていた二人の間に生じたものは、見えざるも確かな繋がりだったんじゃないだろうか。
すべてを置き去りにして突っ走ろうとして、躓いて膝をつきかけた彼女が見つけたのは、大切な2つのもの。こうなった以上、彼女のプライドにかけて、もう観ないふりなんて出来ないに違いない。
何も変わらないように見えて、何かが確かに変わったのだ。
ターニングポイント。
おそらくは、ここがそうだったに違いない。その瞬間の、あの陽乃が立ち会い見届けていた事がどう作用するのか。彼女の思惑が未だに見えていない以上、予断は許されない。正直、八幡が思い描いた陽乃の考えは、甘すぎると思うから。

しかし、アニメ化って……ここまで凄まじい圧巻の青春ドラマを見せつけられると、ハードル爆上げしてますよね。生半な心情描写じゃとてもじゃないけど表現しきれんぞ、これ。どれだけ八幡の地の文を演出し、引き出し、その表も裏も描ききれるか、なんだろうなあ。

シリーズ感想

生徒会探偵キリカ 34   

生徒会探偵キリカ3 (講談社ラノベ文庫)

【生徒会探偵キリカ 3】 杉井光/ぽんかん(8) 講談社ラノベ文庫

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生徒数8000人超の巨大学園を牛耳る生徒会で書記として働き始めた僕。やってきた高校最初の夏休みは遊びやイベントでいっぱい……では全然なく、いつものように生徒会室で変人ぞろいの女たちにいじくられながら、舞い込むトラブルをさばく日々だった。暴走気味の風紀委員長とはカンニング疑惑を巡って真っ向勝負で正義を戦わせ、夏といえばプール! の水泳対決では副会長の美園先輩の腹黒さとナイスバディが炸裂? 《生徒会探偵》キリカも諸般の事情でついに水着に! 色々と真っ盛りのハイテンション学園ラブコメ・ミステリ、第3弾
生徒会詐欺師が公称になってて笑ったw もはや詐欺師と称されても否定もできなくなってきたヒカゲくん。それでも、手口は詐欺師でも実際に犯罪を犯しているわけじゃないから、という言い訳にもならない言い訳にしがみついていたくせに、とうとうリアル軽犯罪に手を出してしまい、言い訳のしようもなくなりました。完全に詐欺師です。ってか、本当に手口が犯罪、犯罪です!! それ、オレオレ詐欺の上級手口だから(笑
杉井光作品の現代劇の主人公は多かれ少なかれ詐欺師めいた手法を取るんだけれど、その中でもこのヒカゲは頭一つ抜けてやり口が完全に詐欺師なんですよね。オマケにそのやり口が妙に現実的で生々しいものだから、色々と迫真なのである。でも、リアルな分騙しのテクニックも見ていてはっとさせられるほど秀逸で、つまるところエンターテイメント性が実は高かったりするのである。何気にガチで詐欺師モノという路線でも面白そうじゃあないですか。妙に、会長との対決気運が高まっている昨今ですけれど、あの政治的巨人であり暴君である会長と真っ向から対決し渡り合うとなると、ヒカゲもその詐欺師スタイルを全開にしていくことになるんでしょうか。なんでまた、ヒカゲが会長に対抗心を募らせているのかもなかなかわかりにくいところですけれど。あれで、人の下に付くを良しとしないタイプだったのか、ヒカゲって。それこそ名前の通りヒカゲでこそこそしながら、ちゃっかり実利だけもぎ取っていってしまうような人間に思えたんだが(酷
それとも、ヒカゲな人間だからこそちょっと遠くに行って欲しいほどギラギラ輝いている太陽みたいな会長に、羨望みたいな感情を抱いているんだろうか。そこに取って代わりたいとか、引きずり下ろしてやりたい、とか根暗な感情を抱いているようではないですが。

それにしても、この詐欺師モテモテである。さすがは結婚詐欺も手がけているだけある。詐欺師でジゴロって手に負えないですよね。しかも、人の感情に疎いところがある、なんていうのは他人の感情を弄び、意識を誘導するのが生業みたいな詐欺師にとっては、肝心な部分で感情に引っ張られない、と言う事にもつながるので有利ですし。まあ、情がないというわけではなく、むしろ情に流されやすいのですから、損得は差し引きされるのでしょうけれど。個人的には、最初から最後までアクセル全開でブレーキなにそれ? みたいな勢いでチョロい事になっている、というか24時間据え膳状態な美園さんが一押しですw いや、ヒカゲさん、ちょっとは相手してあげましょうよ。その内放置プレイですね、はあはあ、とか言い出しそうでちょっと怖いくらいですし。まあ、なんだかんだ言い訳しながら何気に一番ダイレクトアタックしてきてる朱鷺子さんに対抗するには、それくらい常時アッパー状態でないといけないのかもしれませんが。
キリカと薫を含めて、ボケとツッコミのテンポがキレキレに切れまくってて、このあたりのドタバタな掛け合いは本当に楽しかった。わりとシリアスではなくラブコメに重点に置いているという意味では、今シリーズ化している杉井作品の中では一番面白いかもしれない。

1巻 2巻感想

獅子は働かず 聖女は赤く 3.あいつはもう一人でも大丈夫じゃ5   

獅子は働かず 聖女は赤く 3 あいつはもう一人でも大丈夫じゃ (獅子は働かず 聖女は赤くシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 3.あいつはもう一人でも大丈夫じゃ】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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「わしは誰かが傷つくところを見たくない。それだけなんじゃ」
《竜の魔女》サロメ。優しき魔女が最後にたどり着いた想いは…!

中央教会に追われる反逆者《裏切りの獅子》ユリウスと《竜の魔女》サロメ。
彼らと共に、アンナの旅は続く。
その途中で救った魔女の姉妹を匿うため、彼らは魔女の隠れ里《茨の城》を目指していた。
そこに中央教会の刺客《獅子の牙》が襲いかかる。
《大空の貴公子》フェルディナンドに翻弄されるユリウス。
さらにユリウスを想うコルネリアは、共に死のうとユリウスを抱きしめながら、谷底へと身を投げる。
散り散りになる一行。
そんな中、アンナに秘められた謎が明らかに…!?
竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ第三弾登場!!
こう言っちゃあ語弊があるかもしれないけれど、八薙玉造という人はあれだ……

キャラクターの殺し方が巧過ぎる!!

久々に、この人が【鉄球姫エミリー】を書いた人だというのを思い出した。思い知らされた。この巻で、かつてのユリウスの想い人であった【赤き聖女】マルレーネの処刑前夜と、実際に火刑に処せられるシーンが描かれているんだけど、この人が描く「死への直面」って、もうほんとエグいんですよ。生きたい人がそれでも死ななきゃいけない事の無残さ、無念さ、恐ろしさ、悲惨さ。もう、読んでいるこっちまで心をズタズタにされるんです。【鉄球姫エミリー】シリーズの時に、どれだけ心を八つ裂きにされたものか。それを久々に思い起こされました。泣けてくるとか哀しいとかそういうんじゃないんですよね、なんかもう立ち直れないんじゃないか、というショックと脱力感が襲ってくる。マルレーネの、処刑を前にして怯える姿。火をかけられ、ユリウスが見ている前で体中を焼かれながら苦痛に絶叫する姿。もう、耐え難いショックなんですよ。
人が死ぬシーンというのは、それこそ億千万と描かれるシーンです。そして、それぞれに心揺さぶる意味合いが篭められている。印象的な、衝撃的なシーンを効果的に書く人もたくさんいる。でも、この人のように直接読者の心を殺しにかかる「残酷な死」を描く人は滅多居ないと思います。
……ほんとにねえ、キツいんすよ、この人のは。でも、だからこそ真摯で誠実に、死ななきゃならなかった人と生き残った人の想いを描ききっていて、素晴らしいんだ。

とまあ、ここまでの感想を読むとそりゃもう重い話に見えるんですけれど、実際相当に重い話ではあるんですが……この作品の味はむしろキレキレに切れまくった個性的過ぎるキャタクターたちによるぶっ飛んだギャグの掛け合いにこそあり、この三巻もまた超残念ダメッ娘不憫師匠のサロメを中心に、心優しく親切だが親愛がなぜか殺傷力を帯びているメインヒロインのアンナ、もういい歳なのにツインテがそろそろ厳しいコルネリア、昔はイケメンだった善人のフェル兄さん、腰痛が持ちネタを通り越して代名詞になりつつ有るヴァルターなど、当人たちの真面目なのか不真面目なのかかなり判別のしにくいやり取りが、かたっぱしから大爆笑すぎて、色々な意味で息苦しいです、たすけてーww
アンナは、もう相変わらず世話好きでユリウスに構いまくるのですが、世話を焼こうとすると客観的に見て殺人未遂と拷問のオンパレードになってしまうという……何を言っているかわからないと思うが実際にこのとおり以外の何物でもない、ほんとになにやってんの? という有様で、このヒロインやばいよー!(爆笑
今回表紙にもなっているサロメ師匠もまた、表紙を飾って燃えたのかして、不憫さがいつもにもましてフル回転。もうヤメてあげてよ!! 誰とは言わないけれど、もうヤメてあげてよ、ほんとに(笑
なんでこの人、偉い魔女で師匠で凄い人なのに、こんなに不憫枠なんだろう。虐めてオーラ漂ってるんだろうw 色々駄目すぎて、助けてあげたくなる、というか慰めてあげたくなる。生きてるだけで、不憫!

とまあ、お笑い成分も多分に含みつつも、ストーリーの根幹は常にハード路線。此処に居たり、ついに赤の聖女マルレーネと、アンナの関係も明らかとなり、なぜアンナが各勢力から追われるのかというユリウスも知らなかった真実が暴かれていく。そして、なぜユリウスがアンナの元に現れたのかという理由も。
ユリウスも彼の抱えていた過去を見れば悲惨極まりないんだけれど、それ以上にコルネリアがもう一杯一杯で見ていられない。人を好きになる事がこれほど一人の少女を追い詰め、苦しませる事があるんだなあ。てっきり彼女については、もっと女の情念ドロドロで、マルレーネへの対抗心からユリウスと心中を図ろうとしていたのかと思ってたんだけれど……まさかマルレーネから直接あんな呪いを掛けられていたとは。ただ憎めていれば、ただ呪えていれば、ただ嫉妬にまみれていられればむしろ楽だっただろうに。あんなふうに託されてしまったら、耐え切れずに狂ってもおかしくなかろうに。
この子も、かわいそうな境遇すぎる。

そして、アンナに隠されていた真実が、世界を激震へと導いていく。
これは、ちょっと予想していなかった。これ、作品が長期に続くなら、これを期に物語全体が大きく飛躍するターニングポイントになるんじゃないだろうか。それくらいに、この展開はこれまでこの作品に抱いていたイメージからすると予想外。
ある意味、彼もまたマルレーネの呪いによって流されていたユリウス。その彼が、無気力に約束に縛られていた彼が、ついに自分の為すべきを自覚した時、自分のやりたいことに気づいた時、彼がもう一度本当の意味で立ち上がり、<炎鎧王>マルテと完全に繋がったこのタイミングで、ユリウスが秘していた秘密がアンナとユリウスに逃れがたい錯誤を生み、そしてアンナの真実がすべてを覆す。
まさに、これからどうなるの!? という大盛り上がりのところで引きですか、引っ張るなあ、引っ張りやがりまするなあ!!
このシリーズはもっと話題になってもおかしくないと思うくらいに面白いんだけど、なぜか微妙に知名度が低いのが勿体無くて仕方ない。
面白いですよーー! これ、ホントに面白いんですよーー! と、場末で叫んでおきましょう。
面白いんですよーー!!

1巻 2巻感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 54   

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。5 (ガガガ文庫)

【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 5】 渡航/ぽんかん(8) ガガガ文庫

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間違い、すれ違い……少しずつ変わる景色。

長いようで短い夏休みも、もうすぐ終わり。小町といつもの日々を過ごす八幡の家に、結衣が訪れる。さらには戸塚からの誘い、クラスメイトからの頼み事……。そして花火大会で偶然再会したのは、雪乃の姉・陽乃だった! 群れない、期待しない、押してダメなら諦めろ――。人間関係において間違った悟りの境地に達し、孤高を貫く“ぼっちの達人"八幡のスルースキルをもってしても、見過ごせない、やり過ごせない事実が雪乃、結衣、八幡の3人の関係を少しずつ変えていく。間違い続ける青春模様、ターニングポイントの第五弾!


雪ノ下雪乃の居ない夏。

ボランティアで参加したキャンプ以降の八幡の夏休みに、雪乃と顔を合わせるというイベントは存在しなかった。誰とも約束もなく長い長い休日を一人で家に引きこもって過ごす八幡だけれども、それでも結衣をはじめとして、幾人かの知人友人と顔を合わせ、同じ時間を共有する機会は一度ならずともあったにも関わらず、雪乃だけはその姿を見せない。その近況も伝わってこない。
この巻において、彼女がその姿を現すのは夏休み明けを待たなければならない。彼女がこの休みの間どうしていたのか、八幡は元より頻繁に連絡を取り合っていた結衣すらも音信が途絶えがちで、その詳細が見えてこない。唯一それを知っているだろう雪乃の姉・陽乃は意味深な事を口にしながらけむにまくばかり。
孤高の中にじっと佇んでいた少女は、この長期休暇を気にまたその背姿を霧の向こうに隠してしまった。それが彼女自身の意志なのか、望まぬ形なのかも伝えないまま。

でも、会わないことで、その姿を見ないことで、八幡は雪ノ下雪乃という少女のことを意識から遠ざける事ができたか、というとむしろ逆だったのかもしれない。人は、距離を置くことで逆により強く鮮明に、普段から顔を合わせ続けたその人について、思いを巡らしてしまう事がある。
常にその人の事ばかりを考えているわけではない。普段通りに過ごし、退屈極まる日常の繰り返しの中で、あるいはふとした遭遇をきっかけに、意識の端に泡のように浮き上がるようにして、その人の事を思い出すのだ。

雪ノ下雪乃とは、どんな人間なのか。

今更に、当人が居ないところで考えても答えの出ない疑問について、ふと思い巡らせてしまう。それは八幡に限ったことではない。この夏休みの終盤、八幡と顔を合わせた人たちはひとしきり彼と他愛のない時間を過ごしたあと、ふと思い出したように雪乃の話が話題に登る。彼女についての話題は、各章においてさしたる重要性も分量も割いているわけではない。それどころか、特に意味のない雑談の中で紛れてきた小さな話題の一つだったり、別の話の引き合いとして雪乃の事が持ちだされたり、とその程度のものだ。そしてその話題は、そのまま掘り下げもされずにただの話の接ぎ穂のようにして、次の会話の中に埋もれていってしまう。
本当に小さな小さな、会話の中の流れの一つ。
でも、誰しもが必ず一度は、雪ノ下雪乃の事を口端に登らせるのだ。彼女を忘れている人は、誰一人としていなかった。

だからだろう。この巻には雪ノ下雪乃は一切登場しないにも関わらず、この巻の初めから最後まで雪ノ下雪乃の影がずっと視界の端に揺らめいているかのようだった。恐らくそれは、比企谷八幡という男の心象そのものだったんじゃないだろうか。この男は、ずっとなんでもない振りを他人にも自分にも徹底して貫きながら、その心の奥ではずっと傷つき続けていたんじゃないだろうか。
4巻の最後に知ってしまった事実は、それほどまでに大きかったのだ。それだけ大きくなってしまうほど、比企谷八幡という男にとって、雪ノ下雪乃という孤高は憧憬の対象だったのか。
裏切られた、なんて思ってしまうほどに。

しみじみと思うところなんだけれど、この作者―渡航さんの作品構成って凝ってて面白いんだ。全体のストーリーラインの整え方といい、登場人物の心情描写といい、視点を変えると景色が変わってくるというか、何枚もヴェールが被せられていて、捲るごとに違う意が込められているというか。積層プリズム化しているというか。ともかく、一筋縄では行かないんですよね。それでいて、そうした物語の意が輻輳している点については極力意識させないように埋没し、でも読んでいると自然に頭の片隅に染み込んでいるような卓抜した仕込みが行われている。直裁的な表現に慣れて言うといささかもどかしいと思う人もいるかもしれないけれど、噛めば噛むほど味わいがあるスルメみたいなスタイルは、物凄い自分好みなんですよね。
なんで自分、この作品凄く好きなのか、ようやく解った気がする。

さて、全体を俯瞰してみなくても、雪乃の件がなくても、個別エピソードそれぞれを覗きこむだけでも十分以上に面白い出来栄えに仕上がっているのがこの短篇集。
こうしてそれぞれのキャラが個別に八幡と時間を過ごすエピソードを見ると、一学期間とこの夏休み中盤までの時間で、みんな八幡との関係性は完成といっていい領分にまで至ったんだなあ、と実感する。とはいえ、完成図は言ってもそこで停止するのではなく、ある種の流動性、あるいは常の伸展を保っているのは実に面白い。特にその辺が激しいのが結衣であり、興味深いことに妹の小町だったりするんですよね。小町の場合は、むしろ兄・八幡の周辺が近年に無く騒がしいのに合わせて積極的に動いているんだろうけれど。この娘、ほんとにイイ妹ですよね。というか、妹の分際でこれだけ兄に対して「愛を乞う」のではなく「与える愛」を実践してる子は滅多といないですよ。好きな兄だからこそ、自分で捕まえておこうとせずに自分じゃない誰かに任せようと、マメに動き回っている。それだけ、今までの兄貴の状態に危機感を抱いていたのかもしれないけれど、それでも打破の結論として、自分が兄離れするような形になるのが最良、と考えて行動できるとか、なかなか凄いですよ。
なんていうんだろう、これ最優の妹なんじゃないだろうか。

本作で一番の萌えキャラは誰ですか? とアンケートを取ったなら、まず間違いなくこの人が一番だ、と挙げる自身があるのが、平塚先生でしょう。
……行き遅れで婚期を気にする残念女教師、というジャンルは古今珍しくもないけれど、正直ここまでモテないのが納得出来ない人も居ないよなあ。平塚先生、なんで結婚できないんだ?
教師としても人間としても女性としても、びっくりするくらい魅力的だと思うんだが。
いや、確かに地雷女的な側面はあるけれど。あるけれどww
それでも、その危険性を無視して構わないくらい可愛くてかっこよくて美人な女性なんだけどなあ。なんだけれど、着々と八幡とフラグ立てていくのはやめてください。そいつ、生徒ですから。あんた、教師ですから(笑
数いる女性キャラの中で、なんで平塚先生が一番自分で八幡とのフラグ積み立てっていってるんだよw 結衣ですら、かなり慎重を期しておっかなびっくり丁寧にやってるというのに。この教師と来たら、勢い余って八幡がほだされない勢いでフラグ立てるからなあ。これが、ガツガツと飢え剥き出しであからさまな年下狙い、という見っともないフラグの立て方ならドン引きするだけなんだが、この人ときたらちゃんと教師として接する一方で無意識かつ無防備に、非常に可愛らしく尚且つナチュラルにポンポンポンとフラグ立てていくもんだから、もう溜まったもんじゃないんですよね。あれあれあれ?と思ってるうちに、本当に八幡が貰っちゃっててもおかしくないくらい。卒業したあとにラーメン屋連れてってやる、って約束するその意味、この人わかってるのかわかってないのか(苦笑

逆に本当に四苦八苦しているのが、結衣なんでしょう。この子の一生懸命さは、毎度毎度心が震える。自分がどれだけリスク負っているか、危ない橋渡ってるか他人の顔色を伺っていきてきたこの子が一番わかってるだろうに。自分の感情に従うことが、どれだけヤバいことかわかってるだろうに。それでも、折り合いがつくところを必死で探し回りながら、そんなもの無いのを薄々感じ取りながら、だからこそ悩みながら、その先に踏み出そうとしているこの子のいじましさには、ほんとうに胸打たれる。

本当に八幡のこと好きなんだな、結衣って。
同時に、同じくらい雪乃の事も心配している。

八幡、どうするつもりなんだろう。……どうするもなにも、こいつも平塚先生の言うところの優しい奴だからなあ。ぼっちのくせに、ひねくれ者のくせに優しすぎる奴だからなあ。もうちょっと無神経で、他人の心の機微なんか疎くて、自分の都合を優先してしまえる奴だったら、もっと楽だったろうに。でもぼっちだからこそ、彼は潔癖にそういう人間の無神経さをこそ許せないんだろう。憎んですらいるはずのそれらを、自分に許すなんて絶対に受け入れられないんだろうなあ。
比企谷八幡とは、そんな誇り高いボッチなのだ。
その誇りを、今八幡は必死に抱きとめようとしている。自分が唾棄している在り様を必死に拒絶しようとして、湧き上がるそれを抑えられずにいる。
違うのに。
その思いを押し殺すことは、なかったコトにしてしまうのは、プライドを護ることとは違うのに。

さあ、本当に嘘をついているのはいったい誰だ?

シリーズ感想

生徒会探偵キリカ 23   

生徒会探偵キリカ2 (講談社ラノベ文庫)

【生徒会探偵キリカ 2】 杉井光/ぽんかん(8) 講談社ラノベ文庫

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巨大学園を支配する生徒会に、見習いとして入った僕。正式な書記になるには、会長のライバル・中央議長の朱鷺子さんに認められなければいけない。次第に明らかになる役員たちの過去、そして登場する前任の書記は……やっぱり変態さん? 着替え中の女子中学生を狙った(?)詐欺事件に、陰謀渦巻く文化祭実行委員会の委員長選挙、会長と朱鷺子さんとウサギを巡る失踪事件。舞い込むトラブルを《生徒会探偵》聖橋キリカが一発解決!

……まあちょっと待て。なんでこれ、タイトルが【生徒会探偵キリカ】であって、【生徒会詐欺師ヒカゲ】じゃないんだ? 主人公のヒカゲくん、こいつ詐欺師呼ばわりされてるけれど、呼ばわりじゃなくて実際詐欺師そのものじゃん! やり口がいっそ、正統派すぎるくらいの詐欺師の手法だし、するりとその口端からのぼる女の子への口説き文句と来たら、まんま結婚詐欺師のそれである。甘言を弄し、小手先で数字を転がし、網を張って向こうから獲物が掛かるのを待つえげつなさ。杉井光作品の主人公は大概口八丁手八丁の癖者だけれど、ここまで真っ当に詐欺師してる奴は早々いないぞ。まさに経済詐欺から結婚詐欺までのべつくまなく詐欺します、なキャッチフレーズでも背負えばいいんだw だいたい、今時【探偵】なんて肩書き、タイトルにつけても大して見栄えもしないんですよね。それに比べて堂々とタイトルに【詐欺師】なんて入れてみなさいよ。なんぞこれ!? と注目浴びること必至だろうに。それに、決してタイトルが内実と食い違ってる、というわけでもないし。もろに詐欺師の詐欺行為によって生徒会に持ち込まれるトラブルをソフトランディングさせているわけですから。むしろ、キリカの方があんまり【探偵】とかしてませんよ?
舞い込むトラブルを《生徒会探偵》聖橋キリカが一発解決! って、その宣伝文句こそ詐欺な気がする。作中でもキリカは自身の探偵行為についてこの文句と裏腹の見解を述べていますし。

さて、此度の新登場キャラクターの神林薫ちんの正体については完全に反則(笑
この子の姉があの神林朱鷺子さんだというのだから、よくあの完璧美人のお姉さんとこのマスコットキャラが血が繋がっているものだと似てなさにいっそ感心させられる。ただ、むしろ人心掌握術やカリスマ、土壇場の度胸
などを見ると、リーダーとしての資質は薫の方が多分にありそうというのが面白い。もっとも、朱鷺子さんがリーダータイプじゃない、ってわけじゃないんですけどね。この人も下から慕われ、組織の長として切り盛りする充分な資質と才覚の持ち主には違いないんですが、妙に余裕のない所があって首を傾げていたんですが、ウサギの話で色々と納得しました。この人、まだまだ傍らでサブとして支える立場に未練タラタラだったんだ。
あの副会長を首にされて、中央議長に追いやられてしまった経緯を見ると、気持ちもわかるし同情も募るんですけどねえ。あれは、狐徹会長が乱暴すぎるよ。朱鷺子さんへの信頼と親愛と期待ゆえだろうと、我儘の極みだもんなあ。彼女の野心によって、朱鷺子さんの気持ちはズタズタにされてしまったのですから。
遊ぶなら、みんなで楽しくならないと、と思うのは甘いんでしょうかね。この王様を一人ぼっちにしないようにするのは、随分と大変なお仕事になりそうだ。将来、キリカとヒカゲはこの会長様と対決することになるそうですが、果たしてこの二人に勝てるんかねえ。手段を問わずに社会的に抹殺する勢いでやりたいようにやってしまえば、キリカとヒカゲの「えげつなさ」からすると、叩き潰すことは案外デキそうな気がしますがw

1巻感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 イラスト集付き限定特装版4   

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 イラスト集付き限定特装版 (ガガガ文庫)

【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 イラスト集付き限定特装版】 渡航/ぽんかん(8) ガガガ文庫

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夏休み。誰とも会わず、遊ばず、働かず。一人悠々自適な生活を送る八幡だが、平塚先生から招集がかかり、奉仕部として雪乃や結衣たちとともにキャンプ場でのボランティアを強制される。しかし、なぜかそこにいたのは葉山、三浦などの「リア充」組。強制的に発動された青春っぽいイベントに、八幡たちはどう立ち向かう?水着に花火に肝試し、キャンプの夜の会話、そして風呂…?「みんな仲良く」なんてできるわけがない!?夏は、ぼっちにとって忌避すべき危険がいっぱい。相変わらずひねくれ、間違い続ける青春、第四弾。
葉山がこんなにも重要な立ち位置にハマるとはなあ。内面も外面もイケメンで瑕疵のない完璧超人の彼は、単に八幡のキャラクターを皮肉るための役どころとして用意されたキャラクターだと何となく思っていたんだけれど、皮肉るどころか対比というかアンチテーゼというか、イケメンだからこそクズである八幡と相対させてくるとは。いや、それ以上に葉山というキャラクターを背景を彩るモブではなく、ちゃんと苦悩を抱え複雑な感情を有してそれを主人公たちにぶつけてくる悩める若人の一人として立脚してきたことに驚きを覚える。
この作者、中身と歴史のないキャラクターは絶対に書きたくない、というか描いたキャラ全員に自立した人格を与えないと気が済まない人なのか。「リア充」組にもあれだけ個性を与えて見せてくるとなるとね。
その中でも葉山は、雪乃が今みたいな性格になった原因を担い、彼自身もそれを引きずっていると同時に現在もなお雪乃を強く意識している、という話の本筋に絡むキャラクターとして舞台の中央に進みだしてきたのだ。そうして初めて、自分と全く異なる価値観を雪乃と共有している「敵」の存在に気づくことになる。
面白いなあ。葉山にとって、八幡とは過去に自分が盛大に失敗し、成長した今もなお手も足もでなかった問題を、下衆のやり口とはいえ突破口を開き、解決と言わずとも問題を問題と言えない状況に叩き潰す、という自分に出来なかった事をやってのけた相手として、自分の前に現れたわけだ。彼が、自分の価値観、正義感とは決してそぐわない彼の作戦に敢えて乗り、汚れ役を引き受けた心境はどれほどのものだったんだろう。葉山は本当に良い奴だから、問題がうやむやになってあの少女が救われた事を喜ばざるを得ないにしても、八幡のやり方で叶ってしまったというのは忸怩たるものがあったんじゃないだろうか。
いやそれ以上に、かつて自分が雪乃を助けられないどころかどん底に突き落としてしまったのと同じケースを、雪乃がかつての自分を映し見て少女を苦しみから掬い上げたいと声を上げて、あの雪乃が声を上げて願った問題を、あのクズが何とかしてしまったという事実こそが、どれほど葉山に強いショックを与えたのか。
実に興味深い。自他ともに認めるイイ奴である葉山が、果たしてこれから八幡に対してどう接していくのか。

それと同時に、雪乃の心境も興味深いんですよね。彼女が生き方を踏み外し、今もなお原因である葉山を拒絶し続ける事になった問題を、八幡が酷いやり方とはいえ一つの筋道を見せたことに、彼女がどんな思いを抱いたのか。これまでも雪乃は何だかんだと八幡を認めていたと思うのだけれど、なんだろう、あれはその場での停滞を望んでいた彼女に、踏ん切りをつけるきっかけになったんだろうか。これまでも、結衣との交流を通じて徐々に凍っていたものを溶かして行っていたけれど、今回はさらに彼女の根源の部分を揺さぶる出来事だったかあなあ。
しかし、彼女の停滞を固定し続ける姉の存在がある以上、まだ決定的なものには成り得ないか。あの姉は……実に気持ち悪い。八幡に対する牽制は八幡がアレだから別にどうとも思わなかったけれど、結衣に要らん事を言い出したのには流石にイラっとさせられた。お前みたいなのが結衣に変なこと言ってんじゃねえよ。

しかし、なんでこの作品は、思わずニヤニヤしてしまうようなきゃっきゃうふふな糖分過多なラブコメイベントが、常に彩加相手なんだ? なんで二人で話し始めると空気がピンク色になってラブラブ時空に突入するんだ?
なんて甘酸っぱい……だが、

そ・い・つ・は・オ・ト・コ・だ!!

イラスト集の方では雪乃と結衣、どっちがお姉ちゃんになってもアリだなあ、なんてコメントしていた妹ちゃんも、本編の方で、これも彩ちゃんもアリかも!? とか言い出してるし。いいのか? 義姉がオトコでもいいのか!?
結衣さん、そろそろマジで焦らないとこのクズ男ってば本気で彩加に走るぞ。ってか、もう半分ハマってる、ハマってるから。
と、ここで件の事故車の正体が示されてきたというのは、どういう展開に入っていくことを示唆してるんだ? なんか、何が起こっているかサッパリわからない裏の事情が、知らない内に決定的な場面を迎えた気配がする。これ、次は修羅場か、もしかして。

1巻 2巻 3巻感想

獅子は働かず 聖女は赤く 2.あいつも昔はイイ子だったのに4   

獅子は働かず 聖女は赤く 2 あいつも昔はイイ子だったのに (獅子は働かず 聖女は赤くシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 2.あいつも昔はイイ子だったのに】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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「あなたの命は、わたくしが護ります」
「お前の命は私が奪う!」
過去と現在、少女の決意が共鳴する!
中央教会の見習い聖職者であるアンナは、その身に秘められた謎により狙われていた。そんな彼女を、中央教会に追われる反逆者《裏切りの獅子》ユリウスと《竜の魔女》サロメは、半ば誘拐する形で、旅に連れ出した。旅路を進む一行の前に突如姿を現した、蛇のような体をした紫の禍竜。さらには拳を振るう蒼き禍竜までも出現する。だが、その遭遇はユリウスの過去を巡る戦いの始まりに過ぎなかった! 二頭の巨竜が、獅子の聖印をさげた鎧の少女が、ユリウスに迫る! 竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ第二弾!!
お師匠、あんたユリウスと出会う前からそんなチョロ弱キャラだったのか。てっきり昔はちゃんと偉くて偉そうで、それが戦中戦後の苦労を通じて色々と精神的に磨耗してしまった結果として、あんな風な可哀想な娘さんになってしまったかと思ってたのに。あ、でもその設定は無理があるよな、うん。あんなチョロ弱いキャラクター、後天的になれるはずもなく、明らかに生まれつきだし。でも、こんな性格でよくまあ【竜の魔女】なんて呼ばれるだけの実力を蓄えられたものだと逆に感心する。サロメちゃん、明らかに誰からも舐められそうだし。実際、既に亡くなった赤の聖女さまですら、お師匠様と呼びながら明らかにちょー舐めてたし。鼻であしらいちょろまかしてたし。聖女ちゃん、あんた性格悪いっすよね、それ。聖女というよりもむしろサロメよりも魔女っぽいというか悪女っぽいというか、性格悪いというか。まあ、概ねサロメ相手だけだったのかもしれないが……って、それもひどいよな、うん。

とまあ、上から下まで概ねぶっ飛んだキャラクターによってお送りされるファンタジー巨編。正直、このシリーズ作者の手がけた作品の中で一番好きかもしれん。なにが時々コメディだぃ。殆どコメディじゃないかい。なまじストーリーの根底部分が相変わらずの人間の悪意やらしがらみタップリのドロドロの内容なだけに、それを豪快にキャラの愉快さで押し割っていくパワフルなコメディーラインが楽しくって仕方がない。
そも、ヒロインのアンナからして、息をするように拷問をユリウスに仕掛けるような子だもんなあ。なんでこの娘は反射的に拷問するんだ!? 驚いた拍子に思わずユリウスを関節固めして沸騰した湯を耳に流し込もうとするとか、なぜ其れを反射的にやる! とユリウスじゃなくても突っ込むよな、うん。これがちゃんと意図した行動だったら、まだ拷問趣味の危ない子で済むんだけれど、全部条件反射なのが恐ろしい。条件反射でなんであんなに的確に拷問を仕掛け、もしくは暗殺に走るのか。もしかしてアンナって物心付く前から暗殺者の訓練でも受けてたんじゃないか、と疑いたくなるレベルである。マジ危ないんだが、この娘(笑
さすがに命の危機を感じだしたユリウスのキレっぷりがまた切実すぎて笑えてくる。ヒロインに対してマジギレっすよ。相変わらずニートのダメ人間だけれど、これはさすがに同情する。そこまでされるいわれはないよ、ないよ。よくまあ、これまでアンナさん、ひょいとした事で人殺しちゃったりしなかったものである。育ての親の苦労が忍ばれる。
そんな死の危険、というかアンナに殺戮される危機を何とか回避しながら彼ら三人が辿り着いた地域では、禍竜を伴った改革教会の反乱が村で起こっており、ユリウスが何故か普段のぐーたらさをかなぐり捨てて、反乱の鎮圧に首を突っ込もうとするのだった。

ここでようやく本格的に明らかになる、ユリウスがまだ裏切り者になる前の時代、そして赤の聖女と運命的な出会いを得る事になるエピソード。そして、過去の因縁を引き連れて現れたかつての同輩・コルネリア。
彼女、場合によっては仲間になるフラグ立ってるのかなあ、と思ってましたけれど、交戦中にユリウスに訴えかけたあの台詞で、ああこりゃダメだ、と確信しましたね。この娘、教会の信仰や正義で裏切ったユリウスを許せず憎み、殺そうとしているわけじゃないんだ。それなら、教会の不実を訴え、協力を求めることもやぶさかではなかったんだろうけれど、根本的な所でコルネリアは正義や信仰などどうでもいいんだ、これは。
もし、そこに拘ってるなら、一緒に死んでやる、なんて台詞が出てくるはずがない。
彼女がユリウスを憎んでいるのは、女の情念ゆえ。教会を裏切ったことではなく、自分を裏切って赤の聖女についていってしまった事をこそ憎んでいるのであり、だからこそ自分こそがユリウスを殺さないとと決め込んでいるのだ。赤の聖女が死んでしまった今となっては、本当の意味でユリウスを奪い返すことはかなわない以上、彼を殺して自分も一緒に死ぬしか赤の聖女から愛するユリウスを取り戻す事は叶わない。そう思っている以上、どれだけどちらに正義があるか、などを説いても通じるわけがない。
ドロドロの愛憎劇ですよーー! 修羅場らVANVANですよーー! さすが八薙玉造。能天気だけじゃ済ませませんね、最高ですw
これでコルネリア、決して情念に狂ってるだけじゃないのがまた素晴らしい。ちゃんとまともな理性を持ち、正義や倫理を重んずる騎士としての本分も忘れていないだけに、個人的な感情と公的な立場の摺り合わせに汲々としているあたりにも、揺さぶり甲斐のあるキャラクターっぷりがにじみ出ていて、実に魅力的だ。
今のところ、公的な任務と感情の向く方向を無理やり同一化されているから、精神的にもそれほどブレてないけれど、これが比重崩れてくるともう色々とむき出しになってくるぞ。
おそらく、むき出しになってきたときにそれとまともに相対するハメになるのは、ユリウスよりもヒロインであるアンナっぽい気がするが……はたしてこの天然娘とどこまで噛み合うか。合ったら合ったで修羅場だろうし、合わなかったら合わなかったでより悲惨な修羅場になりそうで、実に楽しみである。
アンナも、ちゃんとメンタル成長してますしねえ。何も出来ないと嘆いてうずくまるのではなく、何も出来ないなりに何とかしようというひたむきな姿勢。肝心な時に限って暴走ではなく、ちゃんと考えてユリウスの迷惑になる形での行動ではなく、ちゃんと益となる結果を求めて動こうとするあたりは、大した成長ですよ。
なぜそれが普段の行動の反省に繋がらないのかは不思議極まりないところでありますがw 反省しても、すぐに忘れるからなあ、これ。


このシリーズ、あんまり欝な方向には行かないつもりなのか、正直悲惨な結末になるかと思われた村の反乱の顛末も、救いや報いがちゃんとある形に収まって、作者の容赦無い残虐展開っぷりを思い知らされている身とすれば、ホッと一安心。あの暴走姉妹なんぞ、よっぽどひどい目にあったまま終わっちゃうかと危惧してましたしね。まさか、レギュラー化するとは。何故か旅の連れが増えたことでますますお師匠様が不憫と化しそうな気がするのは気のせいかしら?(w

1巻感想

生徒会探偵キリカ 13   

生徒会探偵キリカ1 (講談社ラノベ文庫)

【生徒会探偵キリカ 1】 杉井光/ぽんかん(8) 講談社ラノベ文庫

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前払いなら千五百円、後払いなら千八百円
金取るのかよ……

僕が入学してしまった高校は、生徒数8000人の超巨大学園。
その生徒会を牛耳るのは、たった三人の女の子だった。女のくせに女好きの暴君会長、全校のマドンナである副会長、そして総額八億円もの生徒会予算を握る不登校児・聖橋キリカ。
生徒会長によってむりやり生徒会に引きずり込まれた僕は、キリカの「もうひとつの役職」を手伝うことになり……生徒会室に次々やってくるトラブルや変人たちと戦う日々が始まるのだった!
愛と欲望と札束とセクハラが飛び交うハイテンション学園ラブコメ・ミステリ、堂々開幕!
なんちゅーか、清々しいほどの恒例の杉井小説だなこれ。主人公のキャラクターなんぞ、木村拓哉がどのドラマでも木村拓哉なのと同じくらいに、どの作品でもまるで変わらないあたりはいっそ徹底していると言ってすらいいのかもしれない。本気で単に名前が違うだけで、性格から何から殆ど変わらないし。
しかし面白い。
【神様のメモ帳】の方が、学校には殆ど寄り付かずに裏社会のフィクサーになってしまったので、今度はちゃんと学園ものにしたかった、と後書きに書いてらっしゃいましたけれど、明らかにやってることは学生の領分じゃないですよね?(笑 
そもそも、舞台となる学園が8000もの学生が通う巨大な一つの社会でなければならなかった、という時点で普通の小じんまりとした学校単位では狭すぎて、主人公たちの活動のスケールが収まらない、というのが如実に伝わってくるわけで。生徒会長の野望も無茶苦茶だもんなあ。あれ、本気で言ってるんだろうか。本気なんだろうなあ。【ピアノソナタ】のあの革命家に比べたら、その目的というか野心の方向性も分かりやすくて即物的な気もするけれど、言ってる内容が内容だけに解釈を間違えているかもしれない。
まああんまり難しく考える必要はないかもしれませんけどね。この作品に限らず、この度創刊された講談社ラノベ文庫の作品を読んでいると、全体的にどうも「易しい」作りになってる気がするんですよね。軽いと言ったら語弊があるんだが、言うなればライトノベル初心者向けにマイルドに作ってあるというふうな印象を読んでいて感じた次第。この作品だって【神様のメモ帳】とコンセプトは非常に似通っていると思うんだけれど、アレに比べて変に拗らせずに、殊更キャラの抱える事情にしても思惑にしても行動原理にしても、実際の話の流れや問題の解決方法など、分かりやすい要素を積み重ねて構成している感触なんですよね。それで食い足りない、という訳ではないのは流石だと思うけれど、でも【ピアノソナタ】や【神様のメモ帳】みたいな濃縮さにはやっぱり欠けるので、あのレベルを求めるならちょっと違うんだろうなあ。
というかこれは、神様のメモ帳タイプの舞台装置に【さくらファミリア!】や【ばけらの!】スタイルのキャラや掛け合いで組み上げた作品だと考えれば、しっくりくる。ともあれ、主人公の腕章は冗談でなく「詐欺師」でいいんじゃないかしら。そのうち冗談じゃなく「ジゴロ」という腕章をつけろという話になりそうな気もするが。
何だかんだと気軽に楽しく読めるというのは、作者の作品としては意外と珍しいのかな?

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。35   

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。3 (ガガガ文庫)

【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。3】 渡航/ぽんかん(8) ガガガ文庫


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ひねくれぼっちに降りかかる新たな悩み! 日々は相変わらず。友達もなく、彼女もなく、孤高の学園生活……のはずが、八幡の中に生じた慣れない居心地の悪さ。それはやはり、部室にいない一人の女子が原因なのか……。それを解決できる器用さが雪乃や八幡にあるはずもなく、発生するのは間違いだらけのイベントばかり。戸塚との甘酸っぱい時間、材木座の慟哭と雄叫び、けっして見てはいけない平塚先生の一面……そして、脱衣トランプ!?  誤った方向に力強く暴走するキャラたちに囲まれて、奉仕部の日常は戻ってくるのか?  ひねくれぼっちの青春ラブコメ第三弾。
あー、なんだろこれ。この変にテンションが乱高下しない、落ち着いた雰囲気、すごく好きだわー。八幡と結衣のすれ違いに寄って生じた空白、今まで通りに流れなくなってしまった人間関係。気まずさが固定化し、徐々に結衣との距離が疎遠になってしまっていく中で、それを食い止めんとハッキリと動いたのは、雪ノ下雪乃その人でした。
ゆきのん、変わったよなあ。少なくとも、このシリーズがはじまった当初はもっと他人に対して無関心だったはず。自分とは関係のない所で距離を置きはじめた他人を、わざわざ追いかけて連れ戻そうなんて真似しなかったはず。いつの間に、こんなに立ち振る舞いが柔らかくなってたんだろう。いつの間に、その辛口や毒舌から刺々しさが消え去っていたんだろう。相変わらず、雪乃は孤高で他人を寄せ付けないシャープでクールな佇まいを身に纏っている。でも、かつて自分を守る殻であり鎧であり、現状への順応の形だったそれは、今や弱さを意味するものではなく、強さの象徴。武器であり剣となっているように見える。
自身の迷いも、怯えも、逡巡も、その鍛造されたクールさで切り払い踏み越えて、自分が本当に欲するものに素直に向き合い、掴みとろうとする強さを、今の雪乃には感じるのだ。
慌てず騒がずジタバタせず、自分の本心と向き合い、傍目には淡々としているように見えるほど落ち着いて、たった一人の友人の為に動いた雪乃の一途さは、ぶっちゃけ痺れるほど格好良かった。
雪乃みたいな娘が、誰に言われるでもなく自分から、結衣の誕生日を祝ってあげたいとプレゼントを用意し、会を企画したんですよ。雪乃みたいな子が。八幡と結衣との間に何かがあったのは、聡明な彼女ならおおよそ見当もついていたでしょうに、それについては一切言及せず、追求もせず、変に人の気持ちをほじくり返したりもせず、触れないままでした。これは、踏み込まない優しさだよなあ。
多分、いずれ、踏み込まないと先に進めない瞬間は訪れるんでしょう。それでも、今この時だけは雪乃の踏み込まず、でも放っておかない優しさが沁み渡ったのでした。
前巻で結衣のこと、めちゃくちゃ好きになったのですけれど、今回の話で雪乃の事もすんごい好きになってしまった。ふたりとも、いい子すぎるわ。

それにしても、雪乃の結衣へのデレっぷりは此処まで来ると殆ど陥落状態だ。はっきり結衣のことを自分にとってのオンリーワンと言い切ってるしなあ。それでもベタベタしないところは雪乃らしいけれど、結衣は結衣で雪乃の事が大好きなようなので、もう傍目にはイチャイチャしているようにしか見えない。
……さて、結衣と雪乃、八幡と戸塚、なんで同性同士でばかりイチャイチャして甘い雰囲気出してるんだこいつら?
結衣が距離を置いていた為に、必然的に…或いは偶然的に雪乃と八幡が二人きりで行動する機会が増えたのですが、この二人って本当に恋愛臭発生しませんよね。どちらも、相手のことを異性として全く意識などしていないのは間違いなく、ラブコメな展開にならないのは凄いと思うくらい。ただ、それが雪乃と八幡の関係が悪かったり、冷たかったり、何の変化もなかったり、という訳じゃないんですよね。異性としてのそれはさておいて、友人としてはちゃんと仲が深まっていってるんですよ、これが。今まで気づかなかったお互いのイイ所や隠された一面を知る機会が増え、親しみが増し、好ましい人物として相手を認めていっている。
今なら、口ではともかく、本心ではちゃんとお互いのことを信頼できるいい友達だと思ってるんじゃないかな。
この恋愛感情がマジでゼロの関係だからこそ、何となくですが雪乃と八幡の関係って今が溜めの時期な気がしてきた。ゼロだからこそ、1が発生する時の威力、インパクトがとてつもないことになりそうな。そう思うと、今は何ともない二人の関係にワクワクしてしまう。
それと同じくらいに、結衣の淡い恋心も眩しくて、果たして二人の恋が出揃ったときの化学反応がどれほどのものになるのか、今から胸が高鳴るばかりです。
ギクシャクしていた結衣と八幡も、雪乃が仕切りなおししてくれたお陰で、なんとか元の鞘に。元々、現状認識のボタンの掛け違いが原因のギクシャクでしたからね、雪乃の前提を整地してしまうやり方は上手かったと思う。ただ、そのシーンでの雪乃の台詞は、ずいぶんと気になるものでしたけれど。
彼女の問題は、それこそ結衣と八幡、二人がかりでないとどうしようもないものなのかもしれない。雪乃の姉が顔見せ程度に出てきたのも、どうやら伏線だよなあ、これ。

さて、相変わらず女性サイドの残念度を一人で引き受けている平塚先生が、なんともかんとも(苦笑
先生、毎回泣かされてるよな。誰か、誰か慰めてあげてよ!

1巻 2巻感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 25   

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。2 (ガガガ文庫)

【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 2】 渡航/ぽんかん(8) ガガガ文庫

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話題独占! ひねくれ男のダメ青春第二弾!!
美少女ふたりと部活をしても、ラブコメ展開にはちっともならない。携帯アドレス交換しても、メールの返事が返ってこない。とっても可愛いあのコは男子。個性という名の残念さをそれぞれ抱え、相変わらずリア充の欠片もない0点の学校生活を送る奉仕部の部員たち──冷血な完璧美少女・雪乃、見た目ビッチの天然少女・結衣、そして「ひねくれぼっち」では右に出るもののいない八幡。そんな青春の隔離病棟・奉仕部に初めて事件な依頼が飛び込んで──?  八幡の妹、新キャラも登場の第二弾。俺の青春のダメさが今、加速する──!?
ほんっっとに良い子だわ、結衣。なんかもう、感動すらしてしまったくらい人として好ましい中身をしてる子だ。チャラチャラした外見や頭空っぽそうな言動に引きずられて、よっぽどちゃんと付き合わないと彼女の優しさとかひたむきさとか真摯さには気づきにくいのだけど、一度知ってしまうとどんなにお馬鹿な言動取られてももう邪険には扱えないよなあ。あの性格ドライアイスの雪乃と、性格が僻み根性で腐ってる八幡をして、彼女の本質を知って以降は結衣への接し方全然違うもんなあ。何気にめちゃくちゃ大事に扱われてるもの。特に雪乃なんて、言動こそキツいままだけれど、よくよくみると結衣に対してかなりダダ甘だし。雪乃さん、メインヒロインのくせに八幡の方は眼中ないくせに、結衣にはそんなに甘いってのはどうなのよ(笑
さり気無くこの二人、イチャイチャしているようにしか見えない!
でもまあ、分かる。分かるよ。この子に対して甘くなっちゃうのも。あれだけキツく当たっても、裏表なく真っ直ぐに、しかも本気で真剣に友達として好いてきてくれるのだ。たとえ正論だったとしてもナイフとかわらない凶器そのものの自分の言葉を、ちゃんと受け止めてくれた子なのだ。
多分、ほんとは結構ウザイと思ってるんだろうけど。でも、嫌いになれないんだろうし、やっぱり好きなんだろうなあ、うん。
一方で結衣の方も、誰にでも接するのと同じ、じゃなくちゃんと雪乃を特別な友達だと思ってるようなんですよね。あの空気を読む事に必死になって、友人だけじゃなくとにかく周りの人と悪い雰囲気になる事を怖がっていた、他人の顔色をうかがって迎合するのを処世術にしていた結衣が、雪乃の為にマジギレしたときは、この子のことホントに好きになりましたよ。惚れた。

それだけに、最後に生じてしまったすれ違いは胸が締め付けられるようだった。あれ、誰も悪くないんだよね。結衣はもちろん、八幡だって決して悪くはない。結衣がとんでもなく良い子だと分かっているからこそ、あそこで彼は傷ついてしまったんだし。これまで何度も何度もズタズタに傷ついてきた八幡だからこそ、条件付けされた反応としてあんな捉え方しか出来なかったんだろう。単純に、小町が思ってたみたいな考え方をしていればよかったのに。八幡も、結衣も、二人とも可哀想だわ、これは。

相変わらず、主人公八幡のプロのぼっち振りが凄まじく、帯では【ニャル子さん】の逢空万太さんが「これ作者の自伝だろう」と突っ込む始末。痛々しさが生々しすぎて、こっちまでのたうちまわりそうなのであります。
でも、根性腐っていようと八幡、こいつもイイ奴なんだよ。ひねくれ者で世の中斜めに見てていじけてるような奴なんだけど、イイヤツなんだよ。結衣はあれで結構見る目あると思うよ。結衣みたいに、八幡や雪乃のちょっと普通の人なら受け付けないような部分もあんまり気にせずぽややんとスルー出来る子だと、そもそもこの二人の面倒くささを「我慢する」必要ないですからね。相性ヨさそうなんだよなあ。そんでもって、そういう面倒くさい部分さえなくしたら、この二人けっこうお買い得商品なんですよ、スペックや中身は。例えば、八幡の妹の小町の兄評を見ると、だいたいおわかりいただけるかと。妹ちゃん、兄貴のことはダメ人間だと思ってるし色々残念だと呆れてもいるけれど、でも今の兄貴で満足してるっぽいんですよね。一緒に暮らす家族として、兄として、彼はちゃんとして妹である自分を満たしてくれている、と考えているようなのです。贔屓目や偏愛といったものじゃなく、ちゃんと地に足が着いたものの捉え方で、兄貴をそう評して、好いて慕っている。
面倒くさい部分さえ目をつむれば、大抵のことはちゃんとしてくれる奴ですよ。ちゃんと、幸せにしてくれる男だと思います。まあその面倒くささが商品価値を売り物に出来ないレベルにまで落としているとも言えるのですが。

ふーむ、にしてもビックリするくらいラブコメ展開にはならないですね、この作品。一番それらしいシーンを醸し出しているのが、男の彩加相手の時というのはどういうことだ。雪乃なんて、ほんとに全く普通にともだち……というか知り合い? というレベルの関係で「フラグ」とか立った試しもないし。
結衣の一々可愛い反応を見てるのはニヤニヤさせられますけど、彼女も別にアピールやアプローチの類は殆どしてないもんなあ。だから、どんどんと仲が進展していってるのが彩加だけというのはどういう事なんだ!? こいつ、そのうち本気で道踏み外すんじゃないだろうな。なんだか心配になってきたぞ。新登場の川崎も、そっちの気配は完膚なきまでになかったし。
何だかんだと好意を持った女の子が周りに集まるこの系統の作品としては珍しく、人間関係はひどく真面目だったりするんだよなあ。雪乃の抱えている問題や家庭環境も段々と見えてきましたけれど、今のところそれが八幡と関わってくる様子は皆無ですし。もしかして、本当に恋愛関係は結衣だけに絞るつもりなんだろうか。雪乃に関してはまだこれから、と見ることも出来るけど。


PS:とりあえず、この作品における萌えキャラは平塚先生だな、うん。それ以外は彩加だろうと認めないッ。
誰だよ、先生泣かしたやつ。思わずマジで萌えちゃったじゃないかw

1巻感想

獅子は働かず 聖女は赤く あいつ、真昼間から寝ておる3   

獅子は働かず 聖女は赤く あいつ、真昼間から寝ておる (集英社スーパーダッシュ文庫 や 2-9)

【獅子は働かず 聖女は赤く あいつ、真昼間から寝ておる】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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ファンタジーですが、主人公はニートです。
でも、それだけじゃ終わらない物語が始まる!!

禍竜戦争と呼ばれる大乱に見舞われたガルダ正統帝国。
戦が終わり、国が平和を取り戻しつつあるそんな頃、聖職者見習いのアンナは、毎日自分を見つめる青年の姿に気づいた。その青年・ユリウスが何か悩みを抱いているのだと勝手に思い込んだアンナは、持ち前の行動力で、彼の自宅を強襲する。妹のような少女・サロメを働かせ、自分は働きもしないユリウスに怒るアンナは、彼を更正させることを誓うのだった。
しかしそんな彼らに、運命と過去が戦いを引き連れて迫る!
竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ。物語がついに始まる!!
ファンタジーでニートというと、最近では富士見Fの【柩姫のチャイカ】の主人公の兄ちゃんが最初そんな感じだったけれど、丁度あちらもこちらも大きな戦争が終わった後、という環境が共通しているな。文明レベルが中世レベルであることが多いファンタジー世界だと、そもそもよほど裕福で地位や身分が高い家庭の子女でないと無職でブラブラなんて社会的にも存在が許されないと考えられる。そんな中でニートなんてのが成立し得る社会情勢というと、戦争で国や仕事を失った難民や、戦争終結により軍を放り出された兵士崩れが続出し世情も落ち着かず戦火の残り火がくすぶっている<大戦後>、という所になるのでしょう。
これが主人公が公職についている側だと、治安維持と社会不安の解消に奮起する、世の理不尽と向きあう事になるとしても正道を歩む物語になるのでしょうけれど、これがニートなんていう生産性のない、戦後社会の歪みの一端を担うような立ち位置にいる人物が主人公なんぞになってしまうと、これが自然と反社会的なサイドへとまわってしまうものらしい。
とはいえ、既に戦争の終結という形で既に大方の命運は決してしまっているわけです。これを個人の反抗から訪れた平和そのものをひっくり返すというのは非常に難しい。必然的に彼らは既に終わってしまった所をスタートラインにして、敗北を背負い、過去のものとなってしまった遺物を縁にして、現在と未来を司る者たちを相手に戦いをはじめなければいけない事になる。最初からなかなかヘヴィーな立場じゃないですか。
今回については、敵はある意味主人公たちと同じ敗残者であり、過去に囚われた亡者だったが為に、過去の精算という形に終始してましたけれど、先々これはなかなか厳しい展開になりそうです。
しかし、このユリウスなる主人公、本気でパラサイトしてやがるな!! 完全にサロメに養って貰ってるじゃないか。しかも家事はしない、働かない、あれこれ言い訳して食っちゃ寝食っちゃ寝。サロメが何気に精神的に疲れはててるあたりが切羽詰ってるよ!! それでいて強く言い聞かせる事もできずに現状に流されているあたり、完全に働かずにブラブラしてる息子を持ったお母さんだよ!!
ちゃんと目的あって働いてないのかと思ってたら、サロメもそう思ってたらしいが、よくよく言動を見ていると目的は目的でさておいて、働かないのは働きたくないからだというのが透けて見えてしまうやる気の無さ。
駄目だこいつ。
そんな残念な方向に強烈すぎる個性を振りまくユリウスとサロメのコンビの印象を吹き飛ばすくらいに、メインヒロインのアンナのインパクトがすごすぎた。
このヒロイン、既に三、四人過失で殺してるだろう! 
天然で危なっかしいヒロイン数あれど、ここまで無意識に意味なく殺しに掛かるヒロイン観たことないよ! 思い込みが激しく熱弁を振るえば振るうほど、無意識に手に持った刃物も一緒に振り回す、という銃刀法違反で逮捕しないとマジ危ない少女である。取り敢えずなぜ刃物を持つ!? デフォで包丁を持ち歩くな!
主人公、敵と戦って危うくなるよりも、遥かにアンナに殺されかかってる回数が多いし。この主人公、死にそうになり過ぎだと思うんだが、その全部がヒロインの無意識の攻撃によるものというのは如何なものか。

あらすじでコメディですよ、と主張しているように、常時暴走しているヒロインはじめ、個性的なメンツで緩いやり取りを繰り広げながらも、そこは八薙玉造である。サクサクッと人が死に、ヒロインが足蹴にされて、人間が壊されます。さすがに【鉄球姫】ほどエグい展開はまだないけれど、油断してると同じファンタジーですし、サクサクっと血みどろになりそうですから、気を付けないと。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4   

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)

【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】 渡航/ぽんかん(8) ガガガ文庫

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青春は残酷だ!? ひねくれ男の妄言ラブコメ
孤独に負けず。友達もなく、彼女もなく。青春を謳歌するクラスメイトを見れば「あいつらは嘘つきだ。欺瞞だ。爆発しろ」とつぶやき、将来の夢はと聞かれれば「働かないこと」とのたまう──そんなひねくれ高校生・八幡が生活指導の先生に連れてこられたのは、学校一の美少女・雪乃が所属する「奉仕部」。さえない僕がひょんなことから美少女と出会い……どう考えてもラブコメ展開!?  と思いきや、雪乃と八幡の残念な性格がどうしてもそれを許さない!  繰り広げられる間違いだらけの青春模様──俺の青春、どうしてこうなった!?
なんで平坂さんが帯で推薦書いてるのかと思ったら、これコンセプトは【僕は友達が少ない】とおんなじなのか。ただ、あっちが友達が欲しいけど友達がいない連中の集い(というには友達欲しがってるのは主人公だけのような気が最近してるが)であるのに対して、こちらは友達なんていらねえ、と嘯く連中の集いというところ。しかも、キャラや環境がややもすっ飛んでいるあちらと違って、こっちは微妙に生々しくてヤダな!!(笑
ああでも、これ面白いや。ここで登場する人たち、主人公の八幡や雪乃を含めた連中はみんな痛ましい。性格がイタいのではなくて(多少そのきらいはあるが)、皆がまばゆいばかりの青春を送る中で、楽しい盛りのはずの学生生活を上手く送れずにのたうち回っている姿が痛ましいのである。かなりコメディちっくに重たくなく話しているから、変なシリアスにはなってないですけど、ここで描かれている彼らの心の傷というのはけっこう膿んでて傷んでいる。スクールカーストやコミュニケーションの失敗による人間関係の拗れなどによって、これまで散々傷つき痛みにのたうちまわってきた彼らは、孤独や孤高といったそれぞれの鎧に身を包んで他人を遠ざけ、独りで居ることでようやく安息の時間を得ることが出来ていたわけだ。
雪乃も八幡も、決して現状を不満に思ってたり、寂しく感じていたわけじゃないのだろう。私は、雪乃の刺々しい態度や八幡の腐ったヤサグレっぷりが、決して強がりや現状を変えようともがいていたためとは思わない。あれは、ある種の順応だったと思う。恨みも妬みも嫉みもあっただろう。でも、言い訳や正当化で彼らは現状を良しとしていた訳じゃないだろう。彼らは自分たちが孤独であることを諦めの果てだろうとなんだろうと受け入れ、覚悟し、謳歌するつもりだったはずだ。傍目から見たら寂しく欺瞞に満ちているかもしれないが、当人たちからすれば他人にごちゃごちゃ言われる筋合いのない、非難される謂れのない、蔑まれようとどうだっていい、生き様であったはずだ。でなきゃ、現実逃避の卑屈すぎるだろう。
でも、彼らは出会ってしまった。何となく、同じ時間と空間を、空気を共有するようになってしまった。いつの間にか、いつも自分たちを傷つけるだけだった「友達」という関係になっていた。
できてしまったものを、もう繋がってしまったものを、やっきになって否定し遠ざけようとすることは、それこそ今までの彼らの孤独という生き様が虚栄であり、現実逃避にすぎなかった証明になってしまう。雪乃も、八幡も、一度繋がったものを見栄や意地で蔑ろにすることはなかった。傷つけられた過去の記憶から臆病になりながらも、一度生まれた繋がりはちゃんと大切に守ろうとしてくれた。彼らは決して惰弱でしかなかったから独りだったのではないと、きちんと示してくれたのが、ちと嬉しかったなあ。こいつらのこと、好きになれましたよ。
八幡なんて、ほんと人間が腐ってるし、ひねくれてるし、ゆがんでるし、友達居無さそうなヤツなんですけどね。でも、悪いヤツじゃないですよ、性格がまがってるだけで。イイヤツなんですよ、性格が荒んでるだけで。
……色々と許してやってくださいw

しかし、こうしてみると何気に重要なポディションに居たのがチャラ娘の由比ヶ浜結衣だったのがよくわかる。元々クラスのトップカーストの一員で、自分の意見を持たず表層的に他人に合わせて薄く広い付き合いを得意としてる娘だったのに、いやだからこそなのか、その薄っぺらさを辛辣に雪乃に指摘された際に、普通なら正論だからこそ受け入れられないその直言を、素直に受け入れ、「ごめん、ちゃんとするから」と自分の枠を飛び出してのけた時、雪乃と八幡にも転機が訪れた気がする。あのシーンこそ、ターニングポイントだったのだろう。多分、雪乃と八幡の二人だけなら何も変わらなかったし、始まらなかったはずだ。
この後も、彼女は自分のクラス内での立ち位置を危うくする危険性を犯しながらも、自分の素直な気持ちにしたがって、かつての友達に傷つけられてきたトラウマを抱える雪乃や八幡の懐に無防備に飛び込み、彼らの強ばりを徐々に解きほぐしていくこととなる。彼女が秘めていた、八幡とのかかわりが分かったときは結構驚きでしたけど。クッキー作ってた時の相手のひとって、もしかしてもしかしてだったのか!?
最初は単純なお礼を言いそびれてたもどかしさと好奇心だったんだろうけど、どこらへんから本気になってったんだろう。やはり、あのクラスでの揉め事の際だろうか。あそこで、八幡と雪乃の行動は際立ってたもんなあ。

とりあえずちゅうに病は、可愛い幼女な妹ならともかく、むさくるしい男のクラスメイトだと普通に勘弁な♪

ともあれ、期待以上に面白かったです。個性的なメンバーが揃っている割に、決してエキセントリックでも突飛でもありすぎず、どこか地に足の着いた学校というコミュニティー内での人間関係の描き方は、良き青春モノになってたんじゃないでしょうか。真面目一辺倒じゃなく、全体の雰囲気は通して明るく素っ頓狂で、雪乃と八幡の丁々発止に結衣が無防備に飛び込んでくる掛け合いも非常に楽しいものでした。
これは、もっともっとこの子たちの話、読んでみたいですね。続きを強く希望します。


PS:先生の男前でスタイリッシュな佇まいとは裏腹に、男運なさそうな所が大好きですw
 
12月2日

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11月27日

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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(エンターブレイン)
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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