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やすも

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 7 ★★★☆   



【真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 7】  ざっぽん/やすも 角川スニーカー文庫

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 人類が魔王軍と激戦を繰り広げている最中、最前線から遠く離れた辺境の地に緊張が走る。
大国ヴェロニア王国からの宣戦布告、そして開戦。
かつて一度は戦場から離れることを選んだレッドであったが、最大の危機を迎えたゾルタンと愛する人々を守るため再び剣を取り戦場を駆ける!
――そして、流れ着いた一騎当千の英雄達が暗雲立ち込めるその先に見たものとは!?

「ふふっ幸せだなぁ、私って本当に幸せなの。こうしてレッドと一緒に雨の中を歩いて、綺麗な景色を見れるなんて」

 雨はやみレッドとリットの日常に再び穏やかな陽射しが降り注ぐ――。
超大幅加筆で贈る大人気スローライフ・ファンタジー、第7弾!

一連の事件の黒幕だった王妃レオノール。その彼女を評した「穢れなき悪女」というフレーズは特に印象的でした。
神から与えられた加護によって生き方を縛られ、強制され、場合によっては精神さえも塗り替えられてしまうこの世界で、レッドたちは与えられた役割から背を向け、ルーティーもまた勇者という束縛から脱し、このゾルタンの地で自由に生きる事を選びました。
ミストーム師もまた、そんな本来あるべき立場から逃れてきた人であり、ヴェロニアから現れた追手はそんな置き去りにした過去を突きつけてくるものでした。
でも、面白いことにミストームを追い求めてきたヴェロニア艦隊のサリウス王子もまた自分にはめ込まれた枠組みに疑問を持ち続けていた人であった事なんですよね。
そして極めつけが、ヴェロニア王国動乱の原因であり、ミストーム師が故国から逃げる原因となった黒幕レオノール王妃こそがあらゆる縛り、強いられた役割、加護といったものから自由足らんとしたものであったのです。
純粋に、ひたむきに、己の欲望と向き合ったもの。己の邪さに忠実だったもの。誰よりも自由に生きた者。それがレオノールという女性でした。稀代の悪女だったのです。
加護に縛られず自分たちの望んだように、自由に生きる。
それはレッドたちが願い、この辺境ゾルタンの地で叶えようとしている事と同じはずなのに、こんなにも異なる形で現れてしまっている。対比というにも、まるで異なる有り様に。
こうしてみると、加護の縛りの有無ばかりが悪しきの原因じゃないんだというのがわかる。ダナンみたいに、自分の加護とこれ以上なくうまく付き合っている人も居るわけだし。
果たして、レオノールの生き方はレッドたちの望む自由とは遠くかけ離れたもので、レッドたちには見習うべき所はなかったのでしょうね。彼女は自分を愛し、孤独を愛した。自分の内側に入れる他者を必要とせず、たった独りで完結していたし、それに満足していた。それをこそ望んでいた。
そこが、同じ自由を望みながら自分以外の人を愛するレッドたちとは一番違う所だったのでしょう。思えば、このゾルタンの地は、最初からそうした他者を受け入れる土地として語られてきたんですよね。それどころか、今回ミストーム師の身柄の引き渡しを求められて大いに反発し、彼女を守るためにゾルタンの民みんなが立ち上がったのは、この地この国が何よりも自由を愛する地でありだからこそ集まった人達の国だったからなんでしょうね。
課せられた立場でも役割でもなく、自分たちで選んだ自由を守るための戦い。それがこのゾルタン初の戦争だったわけだ。他人事じゃなく、自分たちの戦い。そりゃあ、レッド達がルーティーがリットが率先して戦うのも当然で必然だわなあ。
同じ自由を求める者たち同士の戦い。己の自由のみを愛した者と、他者を含めたみなの自由を守ろうとした者たちとの戦争。そんな風に捉えたらいいんでしょうかね。
レオノールと組んでいたアスラデーモンたちも、まさに自分たちの自由を謳歌していた者たちでお互い利益以外でつながっていたわけじゃないですし。
アスラデーモン達もなあ。加護に縛られていないという意味で感性はまっとうなはずなのに、価値観がどうにもマトモな人間と異なっているものだから、やっぱりどこかおかしくて理解できない部分が多くを占めていてモヤモヤする存在ですなあ。
さて、エピローグでは体制側の逆襲というべきか、新たな勇者の擁立によってまたぞろ不穏な空気が。最強の勇者ルーティーが、あの手の勇者に遅れをとるとは思えないのだけれど、その勇者の加護を封じてしまっているにも確かなわけで。現状のルーティーって具体的な能力的にどうなっているのかまだ詳しくは語られていないだけに、さてどうなるのか。

しかし、リットのあの作戦は完璧なのに、いざ実行するとなんでか上手く行かない属性ってなんか不運属性でもあるんですかね!?



真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 6 ★★★☆   



【真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 6】 ざっぽん/やすも 角川スニーカー文庫

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ヤランドララとの再会に喜んだのも束の間、謎の老婆ミストームに関わる因縁から大国の軍船、最強アサシンの襲来とゾルタンは未曾有の危機に直面する。
だが、襲撃者達は知らない。この地には世界最高峰の勇者達がいることを――。
卓越した英雄の力を発揮するレッドとルーティ、伝説の暗殺者と対峙するティセ、更にリットは加護の力で狼の知覚能力を宿らせて!?
「ほら、せっかくの機会だし狼リットちゃんに触れてみない?たまにはイチャイチャしましょ!」
騒乱巻き起こる辺境の地。しかし、決して侵されることのない二人の幸福は続いていく。
冬の夜、月光降り注ぐ大地の下でのんびり過ごす第6弾!

ヤランドララの人生が波乱万丈過ぎるw
いや、この人主人公にしたら相当にダイナミックな大河小説が描けるんじゃないだろうか。【流血女神伝】の主人公であるカリエも斯くやというジェットコースター人生っぷりである。ただヤランドララの場合、全部自分の思うがままに走り回っている、という様子なので激動の運命の船に乗せられて振り回されて、という風情ではない。海賊になったり、傭兵団を率いたり、ただでさえ人間よりも長い寿命のエルフだから、普通の人が一生かけてやる事を一通りやったら次のことをはじめてしまう、という軽快ぷり。自由奔放でもあり、勝手気ままでもあり、エルフの長い人生をこの人は常に全力疾走で突っ走ってる感じだなあ。落ち着きがさっぱりないぞ。
さてもヤランドララが隠れてなにかやっていると察したレッドたちが、面倒事に巻き込まれていそうな彼女を助けるためにあれこれと調べ回った結果、現在ゾルタンを混乱の渦に陥れいている大国からの要求にミストーム師とヤランドララが関わっていることがわかってきて。
と、レッドたちも渦中の出来事に首を突っ込む事にはなるんだけれど、あくまでヤランドララの手助けという体であくまでサポート、という姿勢なんですよね。ゾルタンの混乱を治める為の施策と要求への対策はルーティーとティセにほぼ任せているのを見ると、お兄ちゃん本当に妹離れしたんだなあ、とちょっと感心してしまった。ゾルタンに来てからルーティーが精神的にも安定して勇者の加護の衝動からも守られている事もあって、常に見守っていないとという心配がなくなったのもあるのだろうけれど、ルーティーに任せておけば大丈夫という信頼の厚さもまた伝わってくるんですよね。
妹の傍らにティセという能力的にも人格的にも信頼でき信用でき、妹を任せられると頼みに出来る相手がいてくれているのも大きいのでしょうけれど。兄はどうやったって兄にしかなれず、友達にはなれないですもんね。これまでの勇者パーティーの面々は頼もしくはあっても仲間でしかなく、勇者ではない妹としてのルーティーを守るのはどうしたってレッドのやるべき事だったのだけれど。
初めて出来た妹の同世代の友達という存在が、それだけレッドを安心してルーティーから目を離すことの出来る要因になったんだろうなあ。と、レッドのあの小さな暗殺者の少女へ向けられる絶大な信頼感を見る度に思うわけで。
妹たちだけでなく、レッドの様子を見ているとゾルタンの市長をはじめとした幹部たちへの評価も非常に高いものがあって、あんまり自分やリットが本格的に介入する必要性を感じていないようなんですよね。任せておけば大丈夫、と言わんばかりに。なので、絡んでくる暗殺者やら襲撃者なんかは撃退しつつもサポート役に終始している感じで、余裕があればリットとイチャイチャしているのんびりっぷり。襲撃者への探査のためにリットがなった獣人化も、あんまり切羽詰まっていないのでケモミミプレイの材料にしてしまってて、ええんかいそんな使い方w

しかし、こうして見るとミストーム師は故国での立場を捨てて新たな自分の人生をこのゾルタンの地で歩み始めたという意味で、レッドたちの正当な先達とも言える人だったのか。
考えてみると、レッドやリットの考えるスローライフって立場や加護の衝動なんかの強制的な押しつけを廃して、自分で選んだ生き方を自由になしていく、というもので別に平穏で平和な時間を保たないとスローライフじゃない、というわけじゃないんですよね。
ティセにスローライフするのに不殺を貫くことを課しているわけじゃないよ、とレッドが言ったようにスローライフのためにあれやこれやと縛りや戒めを作ってしまうのは本末転倒って考えているのでしょうね。ミストーム師の引き渡しを阻止するためにあれこれと手助けするのも、ミストーム師やヤランドララが友人であるというのも大きな理由なのでしょうが、彼女たちが過去のしがらみに囚われて自由を失ってしまうことに自分たちを重ねて忌避感を感じたのもあるのではないでしょうか。
束縛も強制も忌むべきこと。ゾルタンという辺境の地は、そういう縛りから逃げ出してきたアウトローたちの土地ですけれど、自由に生きることを望んだ者たちの土地でもあるわけだから、レッドたちにとって流れ着いた場所から、もうだいぶ思い入れある自分たちの街、という意識が強くなってるんじゃないでしょうか。このゾルタンという自分たちが暮らす地を誇らしく思う場面も増えていますし。軍船による海上封鎖によって必需品の入手が困難になりそうだったところを、自給自足の手伝いに奔走したのも、ちゃっかり儲け話を作るという目的もあったわけですけれど、ゾルタンの住人としてなんとかしたい、という他人事じゃない身内のことという感覚がありましたもんねえ。
というわけで、全体を見るとゾルタンが危機に陥り戦闘も増えてバタバタしている風雲急を告げる状況ですけれど、レッドたちとしては一貫してスローライフしてると見るのが正解なんでしょうなあ。

ちょっと面白かったのがティセが所属している暗殺者ギルドで、これって殺し屋の仕事の仲介、という面ももちろんあるのだけれど、それ以上に暗殺者たちのための組織だったんですねえ。加護の衝動という呪いのようなものがある世界特有の組織のあり方というべきなのでしょうか。暗殺の実行それ自体よりも、暗殺者としての衝動を解消させるために仕事を供給するという仕組みなんですなあ。だから、内容は非常に厳選されますし利益よりも暗殺者側の方に配慮が行き届いていますし、任務の数も衝動を解消するのに必要最低限に絞られている、という。互助組織は互助組織なんですが、面白い在り方だなあ、と。ティセが自分の暗殺者という職業自体には忌避感や嫌悪感を抱いていないのも、組織に対して忠実なのも、こうしてみると納得なのでした。



真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 5 ★★★☆   



【真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 5】 ざっぽん/やすも 角川スニーカー文庫

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賢者アレスの強襲を退けたレッドは、最愛の妹ルーティ、そしてその親友であるティセと共に幸せな日常を過ごしていた。闘いの果てに生涯の愛を誓い合ったリットへ最高の宝石を贈ろうと決意したレッドは“世界の果ての壁”に向かったのだが、その旅の道中でかつての仲間と再会して!?
「ねぇ、私とあなたが恋人になった可能性―あったと思う?」
美しきハイエルフや仲間達との宝石を巡る冒険の旅。そして愛する人と絶景を眺めながらの美味しい食事、ゆったり温泉へと浸かる至福のひとときがここに。完全書き下ろしで綴られる超人気スローライフ・ファンタジー、待望の新章開幕!

ヤランドララ襲来。なんか、名前が怪獣みたいだなあ、と思ったら怪獣みたいに暴れだしたぞ、この人。災害扱いされてしまってるし、いいのかエルフ怪獣w
価値観の違いか微妙に話が通じない人っぽかったので心配したけれど、少なくとも暴れだしたのは当初だけだったので良かった。ヒロイン候補のように見えて、以前からリットとは凄く仲が良かったようだし、レッドとリットが一緒にいるというのを喜んでいるようだったのでそれほど揉める心配はしていなかったのだけれど、思っていた以上にヤランドララってレッドたちの事保護者感覚で見ていたのね。
話を聞いていると、彼女ハイエルフの中でも結構御年配みたいなこと言ってたんですよね。
……この人、オバちゃんじゃないのかもしかしてw
だから、種族的に人間よりも長く生きているから、という感覚よりも単に精神年齢的にも一回り上だったから、若い子たちを見守り庇護する感覚だったんじゃないだろうか。若い子どころか子供を見ている感覚だったかもしれない。具体的には30代以上の妙齢の女性が十代後半の若い子を見ているような。発言からすると、未亡人属性もありそうな素振りでしたし。
さすがにレッドやリットからはそんな風に見てはいないだろうけど。
勇者の加護の束縛から脱したルーティとの接し方も、単に仲間というんじゃなくて年上目線な感じでしたし。でも、お姉さんというのはちょっとしっくり来ないかなあ、というのでおばちゃん呼ばわりしてしまった、正直申し訳ないw
ともあれ、引き取って自分の家に連れて帰ろうとした子供たちに、結婚してここで暮らすから大丈夫心配しないで、と断られて、そっかーとその成長を喜びつつちょっと寂しい親戚のおばちゃんの図である。ちなみに、ちょっと若いツバメを狙ってた節も有りw

結婚準備のために指輪に使う宝石を入手するために、辺境のさらに奥地へと冒険に向かうレッドたち。勇者関係なしにお兄ちゃんのために力を振るえることに喜ぶルーティが実に可愛い。可愛いんだけれど、この娘「妹」の定義をやや勘違いしている節があるので、何気に爆弾継続中なのか? ティセさん、先送りして知らんふりしないでください、ほんとに。
魔王軍との戦争からはドロップアウトしたにも関わらず、変なところで伝説級の魔物と戦うハメになったり、のんびり暮らしているわりにやたらとハードル高い所跳んでるなー、と。ともあれ、知性あるモンスターたちと交流して知遇を得たり、商売ルートを開拓したり、と平和は平和なのかもしれない。
それでも、流れ者訳ありの人間が集まる辺境では、因果が相まってトラブルも舞い込んでくるわけで、次は他国とのイザコザが持ち込まれてくるのかしら。
そして、何気に今回もうげうげさんがイケメンムーブしまくってて、うげうげさん主人公のハーレムものがはじまっても、全然納得してしまえそうなんだけどどうしよう。ゴドウィンみたいなおっさんをトキメかしてどうするんだ、とも思うのだけれど、一人の人間の人生を真人間に戻してまっとうな道を歩ませるに至ったわけだから、大した蜘蛛である。

シリーズ感想

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 4 ★★★☆  



【真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 4】 ざっぽん/やすも  角川スニーカー文庫

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勇者のパーティーから離脱したルーティを追い求め、辺境ゾルタンの遺跡に人類最強の英雄達が集結する。卑劣な策略を巡らせ自らの野心の為にルーティを連れ戻そうとする『賢者』アレスと、妹の身を案じる『導き手』レッドの再会は遂に全面対決へと発展し!?世界を救う役割を強制された『勇者』である事を拒み、兄を愛し一人のルーティとして生きていく事を決意した少女による戦いの結末や如何に。宿命を背負う妹と役割から外れる事を選んだ兄。世界の運命を担った兄妹の、新たなる幸福な日常がはじまる―。

アレスの末路が本当に酷い。賢者の加護って、スキルという点では優遇あるけれどなんていうんだろう、システム的に魔法使いと僧侶の呪文の両方を使えるというだけで、知性に優れているというわけではないんですよね。賢さに補正が掛かっているわけではないので、本当の意味での賢者とは程遠い。それでいて、加護だけは文字通り賢き者「賢者」でなければ出来ないような行動や判断を衝動として要求してくる。賢者の加護を与えたからには賢者である。賢者であるからには、その行動や考えは常に正しいものである。という現実を完全に無視した押しつけを強要されている。本質的にアレスって、ダナンと対して変わらない程度の頭の悪い人間っぽいんですよね。それどころかダナンのような直感や本質を見極める目がないので、ひたすら賢者の衝動に突き動かされるバカという始末の悪い有様になっていた。身の程にあっていない加護、という意味ではこれほど酷いものもないでしょう。賢者でありながら、加護というもののいびつさを疑問に思うような賢さすらもなかったがゆえに、加護に押しつぶされてしまった、というべきなのでしょうか。
せめて、ルーティのように自分の加護に悩み苦しむような感性があればなんとかなったのかもしれないけれど。それにしても、加護をもたらしてくれているという神は、デーモンが作中で語っていたように人というものをまったく理解していないんでしょうね、これ。賢者にしろ、勇者にしろ、加護が人を助けるものとして機能しているのではなく、人間が加護の乗り物みたいになっている。
名前のない加護、という初期化された無の加護みたいなものをルーティたちが発見したおかげで、それによって元の加護が緩和されて今の所、勇者の加護の衝動は抑えられてルーティは普通の女の子に戻れているわけですけれど、加護という存在に対しての根本的な対処がなされないと結局対処療法なんだよなあ。古エルフの遺跡など、勇者製造の情報は出てきているし、デーモンたちの動きも世界征服云々ではなく、もっと世界の構造そのものに対するものになってきているようだし、大きな動きに乗れるだけの要素は出てきているのだけれど、そうした話になってくると肝心のスローライフはどうした、ということになるので、作品としての主題を果たしてどうするのか。
とりあえず、リットとは名実ともに結ばれて、ルーティも妹として小姑としてお兄ちゃんの恋人への承認許可は出してくれそうなので、このまま辺境に引っ込んでいること自体には問題はなくなったのだけれど、さてどうなるか。
ルーティも、辺境まで兄を追ってきたときはどうなるかと思ったんだけれど、思った以上に穏当に終わって良かった。最初のコロなんか、勇者の衝動抜きでえらい病んでる節もありましたし、場合によってはリットととんでもない修羅場になるのでは、と恐れるところだったのですが、ティセが期待以上にルーティの大切な部分を占めるようになってくれて、お兄ちゃんしかいなかったルーティの空隙を埋めてくれたんですよね。ティセが傷ついた時のルーティのショックの受け方なんか、他の仲間が傷ついてもそうはならないだろう、という激しいものでしたし。結局、ティセと二人で辺境暮らしはじめるみたいですし。
しかし、今回もティセのぺっとのうげうげさんが前回に引き続いてMVP級の働きを見せてくれて、なんちゅうイケメン蜘蛛なんだうげうげさんは。今回はただのモブの小物敵キャラだったゴドウィンがいちばん大事なところで根性見せて、逆転の目を作るきっかけを生み出してくれたりと、こいつ何気に一番美味しいところを持ってったんじゃないだろうか。
それに比べて、本当にアレスは残念なところしかなかったのが何ともかんとも。

さて、事件も終わりうるさいストーカーもいなくなり、世界は相変わらずピンチだけれど後は知らないや、とばかりに落ち着いたはずだったのですが、先にギデオンを探してパーティーを離脱したにも関わらず、ダナンやテオドラにも遅れを取って今までどこでなにしてたんだ、というエルフのヤランドララがようやく再登場。本当にどこで何してたんだ、この娘。

シリーズ感想

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 3 ★★★☆  



【真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 3】 ざっぽん/やすも  角川スニーカー文庫

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温暖な地域の辺境ゾルタンにも、冬の寒波がやってきた。
「寒い日だからこそ来たくなるような薬でもあればいいのに」
リットのそんな提案から、レッドはかつての冒険で得た知識を駆使し新商品の開発に取りかかる。やがて、ゾルタンでは珍しい雪が降り始め、夜の林で雪を眺める2人は顔を寄せ合い温め合う―
「あなたの身体ってあったかいねぇ」
愛しい人と温もりを分かち合う2人の日常は幸せいっぱい。一方、“勇者の加護”による衝動から解き放たれる為、ルーティは暗殺者ティセと共に辺境の地・ゾルタンへと向かうのだが!?加護により引き離された兄妹、2人の運命が交錯する第3弾!

うげうげさん、なんなのこの子、この蜘蛛。蜘蛛なのに、人の心の機微に聡すぎる。勇者の加護に塗り潰されて殆ど機能を停止してしまっていたルーティの気持ちを察して、ティセとの間を繋ごうとするその聡明さは、もはやこのうげうげさんこそが賢者じゃないの? 賢き者じゃないの? と思えてくる。アレス? 知らないこですね。
一体あれのどこが賢者なのか真剣にわからないんですけど。賢者と書いて愚者と読むのか。賢者の加護って一体どういう方向で作用してるんだろう、かなり謎である。まあその彼も僅かながら良いこともしていて、その最たるものが暗殺者ティセを勧誘して仲間に引き入れたことなのでしょう。自分の手駒として招き入れたのに、ティセの方はアレスのこと全く眼中になかったのは苦笑してしまいましたが。ティセは普通に勇者パーティーの一員として頑張ろうとしているだけの真面目な娘だっただけなのですけど。
しかしこのティセも面白い子で、地の文の彼女の独白は雄弁というかおしゃべりというか結構頭の中では早口にいろいろなことを考えていて意外と落ち着きが無いと言うか浮ついてるところも目立つ娘なのだけれど、あれって地の文だからであって、傍から見るとだいぶ寡黙でおとなしい娘っぽいんですよね。
なので、今の勇者の加護に塗り潰されて人格が機能不全を起こしているルーティとのコンビって実は相当無言で会話のない旅だったんじゃないだろうか。
ルーティが兄であるギデオン=レッドと再会したときの様子を見ると本来のルーティとはかなり様子が違うようになっているみたいなんですけど、兄の述懐からすると元々あんまり喋る方でもなかったみたいで。ただ、感情の起伏は喋らなくてもその態度からよく見える子だったみたいですし、今のルーティの勇者の加護によって感情が押さえつけられ、体感のための様々な機能が停止してしまっている現状は本当に痛ましい。例の悪魔の加護によって勇者の加護がやや効果を落としてようやくこの状態ですからね。
こんな妹を置いていってしまったのですから、兄はもっと反省するべきですよ。勇者の加護への懸念はずっと持っていたのですから。ってか、あのアレスを信用して妹を任すとか、人を見る目がなさすぎじゃあなかろうか。
人助けという衝動から逃れられず、それどころか人を助けるために感情も削ぎ落とされ、身体の機能も改造され、人助けの装置のようになってしまう勇者という存在。ならば、その勇者を助けるのは誰なのか。
勇者ではなく、一人の少女ルーティの想いを、今まで抱えていた苦しみを悲しみを、彼女の助けを求める声を聞いたティセの、勇者を救う……いや、友達を助けるための冒険が今、はじまるのだ。って、なんかティセが主人公っぽくなってきましたよ?

ラブラブの同棲生活に突然現れた妹という小姑。これは修羅場発生か、とも期待?したのですが、その点に関してはルーティ、思ったよりも激烈な反応を示しませんでしたね。レッドが早々にリットを改めて紹介する時に結婚宣言したのも大きかったのでしょうけれど。ってかこれ、ルーティにティセがいなかったら、ルーティ本当に独りになってしまってて結構ヤバかったんじゃなかろうか。レッドくん、そのへんちゃんと考慮してただろうか。
意外と言えば、リットもまたしばらくずいぶんとおとなしかったんですよね。突然現れたルーティにどういう反応を示すのかと思ったら、しばらく距離を置く感じでしたし。ひさびさに会う兄に甘えるルーティに遠慮して、というのもあったんでしょうけれど。むしろ、ルーティの方からリットに踏み込んで自分の胸の内を明かしてきたのは意外でした。逆にリットの方から歩み寄るというか、ルーティと仲良くなろうとするかと思ってただけに。まあ以前勇者なルーティにリットは会ってるし、こてんぱんにやられてたというのもあるので、距離の詰め方に迷ってたのかもしれませんが。
ルーティ、絶対お前なんかお兄ちゃんにはふさわしくない! 的な牽制いれてくると想像していたので、ごめんなさい妹ちゃんちゃんとイイ子でしたわ。
なんとかこの可愛い妹を、加護という呪いから解き放ってやれないものか。とりあえず、本編の目的地はこの妹の解放、ということになるのかな。さすがにもう、この状態に妹を放っておいてリットとイチャイチャなんて出来ないでしょうし。

シリーズ感想

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 2 ★★★☆  



【真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 2】 ざっぽん/やすも  角川スニーカー文庫

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追い出された英雄・レッドは、魔王軍との戦線を離れ辺境の地で薬師として幸せな新生活を営んでいた。
「薬屋って案外、暇なのなー」
「それじゃあ仕事のことは忘れて、のんびり遊びましょ!」
そんなリットの提案から、2人は店に本日休業の札をかけ走竜に乗り川辺でデートをする事に―。
「ね、早く泳ご!」
水着姿のお姫様との甘い時間は英雄の心を潤していく。一方、レッドの離脱により混乱する勇者達は遺跡に遺された先代魔王の飛空艇をめぐり更なる激戦地へと向かうのだが!?世界に何があっても、2人の幸せな時間は揺るがない―。追われた英雄による大人気スローライフ・ファンタジー第2幕!

さすがはツン期の終わったツンデレである。距離感の詰め方に無駄がない! いやこれ、ただデレデレしてる子や即落ちチョロイン系だと、いい感じになってからがわりとグダグダと進展しないものなんですけど、その手のグダグダした部分やツンツンしてお互いの関係を刺激するような期間はとっくに終わっているのがツン期の終わったツンレデさんなので、あとはグイグイと来るのみなのである。
レッドが開業した薬屋に住み込みで飛び込んできて、居候を勝ち取ったのもつかの間。その実態をさっさと居候から同棲にするための求愛行動に卒がないのである、このリットさん。
グイグイとは来るものの、そこに無理やりな強引さがなく自然に距離を詰めてレッドにストンと納得させる形で二人の関係を前へ前へと後押ししていく手練手管はお見事の一言。
無理やり手を引っ張っていくような形ではなく、腕を組んでちょっと背中を押しながらピタリとくっついて前に進んでいくような形なんですよね。なので、レッドの方も急かされる感じじゃなく促されたにしても、自分の選択でリットと恋人関係になっていくのを受け入れ選んでいく形になっているので、レッド自身も関係の変化に戸惑いじゃなくワクワクとしたトキメキを抱いているのが、二人の初々しい微笑ましさを割り増ししてるように見えるのです。
ツンデレは一人で勝手にツン期が終わるわけじゃあないものなあ。相手となる男性だって、ツンツンされることに試行錯誤してその頑なさをほぐしていくという能動的な行動をしているわけですから、相手の女の子に対して相応に思う所は出来ているわけです。リットがデレている分、レッドの方だってリットに対してちゃんと想いは醸成されているわけだ。だから、リットの早い歩調に対してレッドの方も自然と歩みが合ってくる。
まあ、速攻で注文していたベッドを二人で寝れるようにダブルベッドに変更するまでに進展しちゃうとは思わなかったけれど。ベッド注文したのつい先日じゃん!!
トラブルあって居候させることになった村の少年のおかげで、妙に家族観というものを形成できたのも良かったのかもしれないけれど。
辺境の奥地でゆるりとスローライフ、と行きたいところだけれど辺境は辺境でその土地相応のトラブルが付きまとうもの。何しろ今は魔族との戦争の真っ最中。その余波は押し寄せてくるものだし、世相が乱れているということはそれだけ治安なんかも不安定になるものだ。
麻薬騒ぎに人種間のトラブルが相まって、地域間での紛争紛いの問題が起こってしまうところに介入せざるをえなくなるレッドとリット。とはいえ、主体ではなくあくまで地域の住人としてというスタンスから、解決のために奔走しているので英雄のお仕事とはまた程遠いのだろうけれど。締めるところは締めていますが、主役はアルでしたしね。
裏で魔族たちが何やら暗躍していますけど、魔王軍もなにやらややこしいことになってるのか?
のんびりスローライフとはなかなか行きませんけれど、目立たず出しゃばらず薬屋で一介の冒険者としての範疇をはみ出ない、愛する女性との穏やかな田舎暮らし、というスタンスは崩していないんじゃないでしょうか、ちゃんとね。

ひどいことになっているのは、勇者パーティーの方で。いや、勇者ルーティーの能力が天蓋突破してしまったせいで、殆ど勇者ワンマンでなんでも倒せちゃうから何とかなっていますけれど、パーティーとしては完全に機能不全に陥っているのが伺えます。ってかアレンくん、ただの無能じゃないかこれ。
レッドこと勇者の兄ギデオンが居なくなった代わりに、とアレンによってスカウトされてパーティーに入ることになった暗殺者の少女ティセがまた真面目なイイ子でねえ。無表情キャラがルーティーと被っているのですが、内面めっちゃ喋ってるしこの子w かなりの苦労性なのか、入った時には崩壊していたこのパーティーを何とか維持するために新参者の彼女が四苦八苦するはめに。愚痴れる相手もいないので、内心でめっちゃ泣いてるのが可哀想やら可愛いやら。
なんかもう大変だけど、頑張れー。
とか言ってる間にレッドたちの暮らすゾルタンに真打ち登場である。最恐の小姑襲来である。

1巻感想

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました ★★★☆  

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました (角川スニーカー文庫)

【真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました】 ざっぽん/やすも 角川スニーカー文庫

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「君は真の仲間じゃない―」
最前線での戦いについていけなくなってしまった英雄・レッドは、仲間の賢者に戦力外を言い渡され勇者のパーティーから追い出されてしまう。
「はぁ、あんときは辛かったなぁ」
レッドが抜けた事で賢者達が大パニックになっているとは露知らず、当の本人は辺境の地に移り住み薬草屋を開業しようとワクワクした気分で過ごしていたのだが…
「私もこのお店で働いていいかな?住み込みで!」
突如かつての仲間であるお姫様が自宅まで訪ねてきて!?“のんびり楽しい薬屋経営”、“お姫様とのイチャイチャ生活”、報われなかった英雄による素晴らしき第2の人生がはじまる!

おお、本当にスローライフしてる! 辺境の街で店を持ち一国一城の主として働くのをスローライフというのかはまあさておき、ガチガチのタイムスケジュールに合わせてあくせく生きるのに対してのんびりと自分ペースでゆっくりのんびりと追い立てられることなく生きるのをスローライフというのなら、このレッドくんまさにスローライフを満喫してるんですよね。
スローライフとは? と首を傾げたくなるような作品が多いなかで、そのへんは特筆すべきところかも。
元勇者パーティーの一員というだけあって、最前線から程遠い平和な辺境の街では不釣り合いなほどの能力を持ってはいるんだけれど、それをこっそり振るって無双したり、商売に活かして新たな商売圏を確立する、みたいな派手なことは一切せず、というか殆ど使う機会もなく、地道に薬草を集めて実直に薬草屋を営んで、と本当にこう……前線から退き剣を置いた引退した人間がやるような暮らしなんですよね。戦いの緊張感から解き放たれ、人間関係のストレスからも解放され、のんびりとした時間を満喫しのびのびと穏やかな日々を楽しんでいる。まさにスローライフ!
全然繁盛しない薬草屋の販路の開拓についても、元勇者のパーティーのあれこれとか全然まったく関係ない、些細な工夫から生じたものでしたし。
というか、あれはリットという事実上の恋人というか同棲相手みたいな相手との仲睦まじさを改めて実感するようなイベントでしたし。
お相手のリットも、勇者パーティーに一時加入したイベントキャラ、みたいな感じで過去に関わった人なのだけれど、結局パーティーには加入せずそこで別れたものの、彼女も故国で色々あったらしくほぼ出奔みたいな形で辺境に流れてきたところを偶然再会して、というなんだろうこれ、高校の同級生だった娘と社会人になってから偶然再会して、そのまま盛り上がって同棲してしまった、みたいな雰囲気w
このリットのツン期の終わった元ツンデレ、という紹介文が的確すぎて強烈である。元ツンデレ!
そりゃ、ひたすらデレっぱなしなわけですよ。
薬草屋の開業を手伝っているうちに、そのまま押しかけで住み込み従業員として一緒に暮らすようになり、事実上の同棲生活。レッドの方も全然満更でもなく……どころか、こっちもデレッデレですよね!
お互い嬉し恥ずかしな距離感を徐々に詰めながらの甘酸っぱいやり取りはもうなんだろうこれ。同棲通り越して新婚さん!?
安いながらも指輪なんか送っちゃったりして、式はやんないけれどもう事実婚状態だよね、みたいな暗黙の雰囲気w
レッドもリットも、色々と口を挟んでくるだろう身内関係が、出奔しているが故にまったく周りでガチャガチャすることがないので、誰にも邪魔されずにイチャイチャしっぱなしである。元お姫様とか勇者のお兄ちゃん、という自分の出自、当人たちがもう忘れてるんじゃないだろうか。
忘れてもいいくらいに、幸せいっぱい、ということなんですけれど。

一方おかげさまで、勇者パーティーの方はえらいことになっているようですが。
この作品世界の「与えられた加護に人格が引っ張られる」という設定、何気に怖いものがありますよね。喧嘩屋の加護を得てしまった子供が暴力的になったり、という事から見てもダーティー系の加護を受けてしまうと、高い確率でその加護に意識や人格が持っていかれてしまうみたいですし、事実勇者ルーティーなんぞ、殆ど元の人格を改変されたんじゃないか、というような有り様ですし。このへん、結構ストーリー的にも意図ある設定なんだろうか。
ルーティーの壊れっぷりを見るに、意味深どころではないのだけれど。

監獄学校にて門番を 3 ★★★☆  

監獄学校にて門番を (3) (電撃文庫)

【監獄学校にて門番を 3】 古宮九時/やすも 電撃文庫

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学園中が活気づく、クラス替えシーズン。しかし監獄学校は、絶望へと突き落とされた。突如、何者かの手により種族英雄たちが解き放たれ、学園は瞬く間に戦火に包まれる。不死の呪いを持つ種族英雄と戦い、生徒は次々と傷つき、王女であるニアは誘拐されてしまう。そして無情にも、地下最奥に封印された“災厄の巨人”までもが動き出し―。これは勝率0%の、絶望的な戦い。しかし、クレトは過去の因縁を断ち切り、学園を守るために最大の敵に挑む。衝撃の真実が明かされる、興奮最高潮の第三巻!

セーネの思惑って、結局なんだったんでしょうね。多くを語らず、語ってもそこに真実があるかは定かではなく、他者を翻弄し続ける思うがままに振る舞う最悪の魔女。
確かに、今回の騒動を通り越した災禍を引き起こした彼女の言動は、まさに魔女の評判通りであったのだけれど、どうにもね。そのように思われているから、そのように振舞っている、相手がそう見ているから、そう演じている。そんな素振りが伺えるのである。
その相手とは、多分にしてクレトなのだけれど。それでいて、振る舞うは悪い魔女としてのそれで、クレトが信じたいと思っているセーネの芯の部分については、そっぽを向いて殊更に覆い被せて見せようとしない。
本当に、最初から最後まで見せようとはしなかった。
でも、彼女の行動を見てると、どうしたってその動機の中心はいつだってクレトなんですよね。全部が、クレトを核に置いている。クレトのため、クレトのため、全部クレトのため。
前回、彼女がずっと苛立っていたのは、過去に囚われたまま不変にたゆたうことを平穏に感じていたクレトが、現在を生きる生徒たちとの交流で、いつしか未来に思いを馳せるようになってしまったことが原因、だったのだと仮定するなら。
囚われ人たちが微睡む揺り籠の番人だったセーネの、今回の蛮行の理由も何となくわかる気がするのである。
いつしか、変化を期待し、未来を望み、生徒たちと同じように先のことを考えるようになったクレトが、それなのに檻の中から抜け出そうと思わないのだとすれば。外の世界を眺めながら、自分は動かず、生徒たちを檻の中から見送ることを疑いもしていないのだとしたら。
何をどう促しても、この不器用な頑固者の頭が固まったまま容易に動かないのだとしたら。
過去に囚われたまま停止し、変化もなくゆらゆらと揺蕩い続ける不変にして平穏の楽園は、永遠に苦痛が続く監獄と成り果てる。ただ苦しみが、辛さが続くだけの場所になってしまう。
そして、この不器用な男は、その苦しみも痛みも飲み込んで、気づかないふりをしたまま、先へ進んでいく者たちを見送り続けるのだ。
そんな馬鹿げた光景を否定するには、この男が己の本心を偽れないくらいにきっぱりと、どうしようもないくらいに破滅的なまでに、蹴っ飛ばしてやらにゃあなるまいて。
それこそ、檻そのものをぶち壊してしまうほどに。彼らを捉える過去そのものを、叩き潰してしまうくらいに。
荒治療である。多くの者にどれほどの被害が出るかわかったものではない。破綻し破滅し壊乱する国や秩序や社会がどれほど出てしまうか想像もできない。それこそ、平和が喪われ戦乱の世に戻ってしまうかもしれない。彼が望んだ未来そのものを壊してしまうかもしれない。
それでも、魔女は不変たるを維持できなくなったクレトを、そうやって無理矢理に肯定してみせたのだと、思いたい。
結局、何も語らなかった彼女だけれど。その程度の想いを馳せることは許して欲しい。
本当に、魔女については何も何もわからなかった。人形である彼女と、本体である彼女に区別と差異があったのか、という端緒のところから、何もわからなかったのだけれど。
ジリアが手を引き、背中を推し、無言で促し、または言葉を費やして教え諭す、寄り添うヒロインなら、セーネは視界の外からじっと見守り、時々手ひどく蹴っ飛ばしに来る、でももう一人のヒロインだったんだなあ、と今は思う。

過去の檻は盛大に破壊され、それに囚われていた過去の英雄も、現在の生徒たちも、すべて解き放たれ、あとに残されたのは自由にどこまでもいける、心細いくらいに先の見えない未来ばかりだ。
それでも、一緒に歩いていける人が居るならば。胸に秘め地を踏みしめるに足る夢が出来たなら、何も恐れることはない。どこにでも行ける。どこまででも行ける。
それを、この監獄学校の生徒たちは身を持って示してみせ、その証明をクレトはしっかりと受け取ったわけだ。もうクレトは先へ進んでいく彼らを見送るばかりではない。自らも一緒に、進んでいける。

かなり展開を捲くることになったであろう最終巻でしたけれど、きっちりテーマは回収できたんじゃないでしょうか。ルルゥに関しては、これはもうあれですね。百聞は一見に如かず、に尽きるのではないかと。
ジリアはなんだかんだと、美味しいポディションを見事に最後までキープしたなあ。さすがです。
しかし、クレトの本体ってもっと大巨人というイメージだったのですけれど、意外とそんなに大きくなかったなあ。

次の新作は、作者がウェブ上で連載していた作品の中でも屈指の傑作、【Babel】の書籍化ということで。これはもうすんげえ期待しています。古宮九時作品感想

監獄学校にて門番を 2 3   

監獄学校にて門番を (2) (電撃文庫)

【監獄学校にて門番を 2】 古宮九時/やすも 電撃文庫

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監獄学校の危機を救ったクレト。ニートだった彼も、門番として仕事に慣れてきた矢先――突然、身体が小さくなった。彼の監督役である羽人族の指輪生・ジリアからは、ブラコンチックに普段よりも"良い子良い子"と可愛がられる始末。そんなドタバタの中、監獄学校に一人の少女がやってくる。
彼女は、死んだはずのジリアの幼馴染みで、最強の≪腕輪生≫――。
監獄学校に潜む巨大な魔物や、地下牢に封印されていた種族英雄が復活!
熾烈なバトルも注目の第二巻!

功罪相半ばする。どんな物事にも往々にして良い側面と悪い側面が混在するものです。また、善意によって作られたものが悪しきものを生み出すこともあれば、決して良い思惑で作られたものでなかったとしても思わぬ良い結果が伴うものもあるでしょう。白か黒かなんて、簡単に分け隔てられるもんじゃない。
しかし、悪である1面をばかりあげつらい、それに伴うすべてを全否定しようとする者は決していなくならない。
間違いは正すべきでしょう、それは当然だ。しかし、間違いを糾弾する人の言う事がだからすべて正しいなんてのは、また見当違いの話なのだ。

それは間違っている、だからそれを指摘する私の考えは正しい、だから私の考えを否定する者は間違っている。

この物語に登場する彼女、ルルゥのロジックを端的にしてみれば、こんなもんじゃなかろうか。彼女の確信に満ちた学園の在りよう、そして羽人族が置かれた状況に対する糾弾は、おそらく正しいのだろう。彼女の語る悪しき形は、正されるべき社会の歪みなのだろう。だが、彼女の滑らかで澱みのない物言いは、迷いも躊躇いもない思想は、だからこそこの上なく気持ち悪い。
彼女の理論武装はジリアに対話を試みているようでいて、その実まったく聞く耳を持っていない。答えは既に出ていて、それにそぐわぬ意見は一顧だにされない。理解しようとする素振りすら無い。
対話が成り立たず、会話すら噛み合っていないような気持ち悪さが付きまとっている。
凝り固まったそれは、いわば不変の一つなのだろう。先の大戦の終焉に不死の呪いをかけられたクレトたち、クレトはその呪いの本質を、何が最も最悪なのかを、決して変わらないことと言っている。肉体の不変以上に、思索思想、そういった精神・意識に変化が生じない、考えが変わらない、停止してしまっている事こそが呪いなのだと、語っている。
改変を、革命を語りながら過去へと戻ろうとし、その手段として不死を求めようとしているルルゥが、既に不変に足を踏み入れているのは、皮肉なのか必然なのか。

でも、クレトが自身を不変の怪物と思っているのなら、それはある意味ジリアの言葉をまったく見向きもしないルルゥとクレトも同類、という事になるんですよね。本当の意味で、クレトにも生きている者たちの言葉は届かない、と。セーネが抱いている苛立ち、絶望はやはりそれに類するものなのか。
でも、セーネは自分で思っている以上に良い仕事をしていると思うけどね。本当に彼が何も受け付けずに変わらない、その場に立ち尽くして変わっていくものたちを見送っていくだけの存在なら、果たして生徒たちを信頼して、なんて振る舞いがあの危機的な場面で出来ただろうか。
彼の言葉を受けて、あの道を外れてしまっていた竜人の青年ディサロスが、自らを省みて新たな道を模索しはじめることがあっただろうか。心変わらぬ者に、幼馴染との決別に傷つくジリアへ、毅然と立ち向かう芯を与える事ができただろうか。

クレトはまだ、自分を過去の牢獄の中に閉じこもったまま、現在から未来へと歩いて行く現代の若者たちを見送っているつもりなのだろう。隔離された不変の時の中に置き去りにされて、佇んだまま遠ざかっていく者たちを見送るつもりなのだろう。
でも、そうなのかな。
一巻の時よりも確実に、クレトの立っている位置は未来に向かって走ろうとしているジリアたちの側にあるように見えた。過去に無かって逆走しようとしているルルゥとジリアたちとの対比の中で、クレトは離れた場所ではなく確かに、ジリアたちの傍らにあったように見えたのだ。
今回、青年版の人形の肉体を壊されて、一時的に子供バージョンの人形で活動していたクレトだけれど、表紙のようにジリアが随分と構って彼を抱き寄せたり、膝の上に乗せて撫で回していたけれど、そうしたスキンシップが不思議と薄皮一枚分なにかが挟まったように隔てられていた、クレトとジリアたちとの間を自然に埋めていたような気もするんですよね。ただのふれあいだけれど、シンプルに触れ合うということが彼と彼女らが同じ時間の流れの中にいるという実感を伴わせてくれたというべきか。
クールな女性であるジリアは、決して情熱的にクレトを引っ掻き回し引っ張りまわして、閉じこもろうとする彼を「此方側」に引きこむなんて真似はしなかったけれど、それでも十分、彼を無意識に口説いていたようにも思えたなあ。
何気に、異種族婚について興味津々な素振りも垣間見えましたし。いったい、何を考えてました、ジリアさんw

1巻感想

監獄学校にて門番を3   

監獄学校にて門番を (電撃文庫)

【監獄学校にて門番を】 古宮九時/やすも 電撃文庫

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監獄学校。そこは、国が認めた超危険人物のみを集め、矯正されるまで永久に出ることを許さない最凶最悪の学校。就職活動99連敗中、長年地下に引きこもる青年・クレトのもとに突如届いたのは、その監獄学校の門番への採用通知だった。「ようこそ、監獄学校に。ここがあなたの墓場です。…多分ね」成績優秀な“指輪生”の少女・ジリアの指導のもと、門番の仕事を始めるクレト。しかし、古人・獣人・竜人・巨人・羽人、多種多様な種族が集められた学校は、まさに無法地帯で―。そして次第にクレトは、学校の裏に隠された国をも脅かす“闇”を知ることとなる。第20回電撃小説大賞、最終選考作。

no-seen flower】というサイトにて執筆活動をしてらっしゃった作家さんのデビュー作品。この人の描く物語、綴る言葉から生まれる空気がすごく好きでねえ、ついつい寝る時間も忘れて読み耽ったものです。
でも、正直言いまして出だしから後半にかけて、本来のこの方の描き方からするとかなり語り口がぎこちない感じがしました。不思議とあるんですよね、ウェブ上で長い間バリバリやってた人がデビュー作品だと、まるで緊張してガチガチになってるみたいに、綴られる言葉が固くなってしまったり、慣れない流行りのスタイルに戸惑ったりした感じになったようなのが。
でも、まるで別人のお話のようになってしまっているのかというと、そんな事はなく……。

言うなれば、もうそれは生きているとも言えない過去の残影。長い年月を経てなお存在し続けるそれは、過去の情景を宿し続ける影のようなもの。だから、同じ時、同じ時代、同じ世界の中に在りながら、それは区切られた透明な壁のようなもので隔てられ、違う区切りの中で残っている。見えていて、会話でき、触ることすら出来るのに、それは遠い時間の住人なのだ、遠い世界の住人なのだ。
さても、作者がウェブ上に書き残している全ての小説をまだ読んではいないのだけれど、少なからず物語の主要な登場人物にはそのような傾向があったように思う。そして重要なのは、その隔てられ、置き去りにされた、或いは置き去りにしてきた者達が、今と生きる人達と同じ時間の流れの中で生きることで、世界を生きる人達と同じ世界で交流することで、再び生誕する物語だったのだ。
そう捉えると、ぎこちなくもライトノベルらしさを妙に意識した作りになっているこの作品もまた、そこに帰結している作者らしい物語だと腑に落ちる。
彼は過去の残影であるがゆえに、かつての自分たちが、過去の自分達がもたらした今を知りたくて外を覗き見ることとした。そこに今という時代に生きる覚悟や意思があったようには見えない。ただ見たかったのだろう。ただ感じたかったのだろう。結果であり、行く末だった、今の時代を。
そう考えると、彼は主人公として描かれつつも主体ではないんですよね。あくまで隔てられた向こう側に居たままの彼は、力を及ぼすことは出来ても、時代や世界を動かすことは出来ない。それが出来るのは、今の時代、この世界に生きている住人なのですから。この作品において、その役割を担っているのは最後まで読み終えて、とりあえず二人。そして、その二人こそ、彼をコチラ側へと引きずり出すための主体のはず。
惜しむらくは、彼女たち二人はその存在を、過去を継承した上で今を生き、未来を紡いでいく者であるという存在を彼に知らしめるところまでは行ったものの、そこから先はまだ何も成し得ていない事なのです。
彼の魂は未だ過去に終わった彼の大切な人たちの中に埋もれたままで、今の彼は残影のようなものです。彼はこのままなら、そこで影のように世界を見守り続けるのでしょう。でも、それは今を生きているといえるのか。
ジリア・シィースとクレト・ダラスはまだ行き合ったばかり。彼女はまだ怒りすら抱いていない。自分が過去の面影の縁としてしか見られていないことを知りすらしていない。まだ、始まってすらいないのだ。
もし始まったとするならば、それは多分きっと、彼女が彼の腕を支えるように触れて、ぽんと叩いた時。そこからきっと、彼が再び誕生し、この世界で生きることを始めるための物語が始まったのだろう。
つまりはこの物語は、終わってようやく始まったのだ。概ねすべてが、プロローグだったと思えば、この食い足りなさも納得できる。迂遠ではあるが丁寧でもあり、ウェブ小説出身らしいとも思える。
いずれにせよ、ジリア嬢がもっと果敢に牽引をはじめなければ、なかなか全体的に動きにくい凝り固まりようだと思う、何しろクレト・ダラスにはもう必要以上に自分から動く理由がないものなあ。かの蒼き月の魔女を口説き落とした王子様ほどの無茶ぶりは望むべくもないけれど、ジリア嬢には期待しています。むしろ、最初に果敢に動き出すのはもう一人の方かもしれないけれど。
しかし、本当の黒幕については絶対、そっちの子だと思ってたんだけどなあ。いい意味で裏をかかれた。

 
11月26日

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