アスクビクターモア

第64回宝塚記念 G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 阪神競馬場 2,200メートル(芝・右)

ああーー、疲れた。今日は湿度が高かったせいか、なんかやたらとしんどかった。つかれたー。
阪神競馬場もほぼ満杯。チケットは今日は予約制だったのかな。それでも全部完売したそうで。人もめちゃくちゃ多かったみたいですね。確実に桜花賞や大阪杯よりも多かったと思います。
それだけ、誰もがイクイノックスを見に来ていたのか。

前走ドバイシーマで化け物じみた勝ち方をしてG1三連勝を飾ったイクイノックス。世代最強、現役最強、そして世界最強の看板を背負い満を持して出走した春のグランプリ。名実ともに一番人気。倍率は1.3倍と、かつてのディープインパクトやビワハヤヒデ、オグリキャップに続くオッズを叩き出してきました。
初の関西遠征でしたが、かなり早くから栗東入りして準備を整えていたみたいで、馬体重も前回から変動なしに止め、調教の様子も抜群も抜群。最高の仕上がりを見せていました。


ライラック       牝4 M.デムーロ 158.9(13番人気)
カラテ         牡7 菅原明良 180.2(15番人気)
ダノンザキッド    牡5 北村友一 35.1(8番人気)
ボッケリーニ     牡7 浜中俊  28.3(6番人気)
イクイノックス     牡4 C.ルメール 1.3(1番人気)
スルーセブンシーズ 牝5 池添謙一 55.7(10番人気)
プラダリア       牡4 菱田裕二 262.5(16番人気)
ヴェラアズール    牡6 松山弘平 42.1(9番人気)
ジャスティンパレス  牡4 鮫島克駿 8.5(2番人気)
ディープボンド     牡6 和田竜二 16.6(5番人気)
ジェラルディーナ   牝5 武豊   13.8(3番人気)
アスクビクターモア  牡4 横山武史 14.3(4番人気)
ジオグリフ       牡4 岩田望来 83.1(11番人気)
ブレークアップ     牡5 川田将雅 113.4(12番人気)
ユニコーンライオン  牡7 坂井瑠星 176.0(14番人気)
モズベッロ       牡7 角田大河 480.4(17番人気)
ドゥラエレーデ     牡3 幸英明  30.2(7番人気)

他に一桁台の人気は前走天皇賞・春を勝ったジャスティンパレスの8.5倍だけ。パレスは馬の充実っぷりが本格化の様相をていしていて、完成の域に達しようというレベルでしたからね。このメンツでも2番人気にあげられたのもよくわかります。有馬記念ではイクイノックスに太刀打ちできませんでしたが、イクイノックスの3歳秋の覚醒に遅れ馳せながらも、自身もここで結実しての再戦でしたからね。気合も入っていたかと思います。
珍しいところでは、3歳馬としてはいつ以来になるのか。ドゥラエレーデが参戦。斤量が53キロとずば抜けて低いこともあってか、一定の人気は得ていましたね。ただ、ここで勝ち負けになると考えていた人がどれだけいたか。
相手としては、やはり女王ジェラルディーナ。同世代対決として菊花賞馬のアスクビクターモア。
調教で素晴らしい出来栄えを見せていた閃光一線のヴェラアズール。そして重賞を好走し続けている充実一途のボッケリーニ。このあたりがなんとか対抗できるか、というイメージだったですね。
まあ少なくとも、スルーセブンシーズはまったくの眼中外でありました。

今日の馬場は、先週とはちと様相が変わっていました。中間、雨の影響はなかったはずで実際良馬場だったのですけれど、土日で急速に馬場が痛み、今週の芝レース映像見てもらうとわかるのですけれど凄まじい土埃があがってるんですよね。とかく、ゆるい馬場でどうにも足元に負担のかかるパワーのいる馬場だったように見えました。
そのせいか、どの芝レースも前残りで後ろが差そうにも脚が残っていないケースが散見されたんですよね。先週と比べると上がり時計もやたら掛かってますし。
意外と荒れているわりに内を走った先行馬がそのまま残るケースが続く。
これはもちろん実際に乗っている騎手たちもわかっていたでしょうから、この宝塚記念も相当に前掛かりになったっぽいんですよね。
前半600メートルで34.0秒。1000メートルで58.9秒はこの馬場では相当に早かったと思います。この時点で相当消耗する事になっていたでしょうから、よっぽどタフでスタミナがないと、前に居た馬は残れなかったんでしょうね。
実際、先行集団に居て勝負できたのは、ディープボンドだけでした。よくまあ、この流れで5着入りましたよ。或いは、これこそ出走できなかったタイトルホルダーにばっちりハマるレースだったような感じもあるだけに、もったいないよなあ。
結果、上位にあがった馬は2コーナーで最後方に固まっていた集団。勝ったイクイノックスは最後方から2番手。2着のスルーセブンシーズは文字通りの一番うしろでしたからね。
これはなかなか、今日一日のレース展開の傾向を踏まえると興味深いことになりました。
恐るべきはルメール騎手であり、イクイノックスでしょうね。いやだって、前走イクイノックスってドバイシーマを単走でぶっ千切って独走して勝っちゃったんですよ? 大逃げで後ろを寄せ付けないまま勝っちゃったんです。それが次のこのレースでは最後方からの競馬ですよ。ほんまに、どこからでも競馬できるじゃないですか、この子。逃げから追い込みから変幻自在に戦法を駆使したと言えば、マヤノトップガンが有名ですけれど、イクイノックスは彼を上回る雄大な自在性を感じさせてくれます。
そして、この展開を見越し、イクイノックスの能力を信じて後ろから大外ぶん回したルメールですよ。3.4コーナー中間で武さんがジェラルディーナをあげていった際に一緒についていかずに、ジャスティンパレスを見る形で4コーナーに差し掛かるところでまくりあげてってるんですよね。
ただこれ、ジョッキーカメラのルメさんの映像を見ていると、レース後に反応遅かったからお外に出した、って言ってるので、意図した仕掛けのタイミングではなかったのかもしれません。
実際、パレスの外を回らされてかなり大外回らされてますし。結構ゴール前、思ったよりも突き放せずに際どい着差になってましたからね。上がり34.8はイクイノックスでもなかなかしんどかったという数値なんじゃないでしょうか。
2着のスルーセブンシーズは……これ、池添くん痛恨だったなあ。残り300メートルのところでジオグリフとジャスティンパレスの間を突こうとして、その隙間がジオグリフが前のジェラルディーナを躱しに掛かろうとして外に流れてきた煽りをくってなくなっちゃったんですよね。パレスを弾き飛ばそうにも丁度パレスの外にはイクイノックスが馬体合わせて抜きに掛かっている最中で、これはこじ開けるのは不可能だった。ほんの一瞬のタイミングの差。あとワンテンポ早く前に入れていたらジオグリフ寄ってこられなかったんでしょうけれど、そのタイミングの差で進路が塞がれて一度大きく後退しちゃうんですよね。ところが、そこからセブンシーズ内側に空いていたルートに切り込み、再度加速。残り200メートルからとんでもねー脚を見せて、内の先行集団も、外のジオグリフ、ジェラルディーナ、ジャスティンパレスもまとめてぶち抜いて、イクイノックスに迫ったんですよ。
これ、不利がなかったらイクイノックスと勝ち負けになってたぞ。一頭だけ脚色全然違ったもんなあ。
これは池添くん、悔しかろう。
セブンシーズは前走中山牝馬Sでようやく初重賞制覇したような遅咲きの牝馬。ただ、なんでかこの馬、凱旋門賞に登録してるんですよね。それだけ陣営、この馬の能力に信頼を置いていたということなのか。父は宝塚と有馬で無類の強さを誇ったドリームジャーニーというまさに血のサダメを感じさせるような血統。この馬もイクイノックスと同じく栗東に滞在してじっくり仕上げてきたようで、追い切りの評価もダイブ高かったんですよね。さらに当日もあの細江純子さんがこの馬に注目していたようで、出来はほんとに良かったみたいです。
これだけの結果を見せてくれると、今後のレースも楽しみですよね。今回4着だったジェラルディーナ相手に女王の座を争うことが出来るか否か。
3着にはジャスティンパレスが。ずっと長距離路線を走ってきた馬だけに、2200という中距離はどういう結果を出せるか注目もしていたのですけれど、その答えは十分に見せてくれたんじゃないでしょうか。
5着にはディープボンド。良く走ったんですけどねえ。うん、能力は発揮していると思うんだが、勝てんなあ。この子が勝てるレースって、なんなんでしょうね。G1馬なれるだけの力はあるはずなんだが……といわれ続けてここまで来ちゃったなあ。
ボッケリーニは、最内から勝負に掛かりましたけれど、馬込みでスムーズに行かなかったり、やはり内は荒れていたというのもあるんでしょう。最後の脚の切れが外からまくってきた馬とちょっと差が出来てしまいましたね。7着。
8着はヴェラアズール。今日の馬場だと、ヴェラアズールの切れ味は発揮しにくかったかなあ。
アスクビクターモアはもう今日に関しては展開がどうしようもなかった、と。向かなかったですね。にしても、もうちょっと見せ場は欲しいところではありますけれど。


さても、イクイノックスが1.3倍という圧倒的人気に応えて勝利。現役最強を名実ともに証明した形です。秋はどの路線に行くのでしょうか。ドウデュースとの再戦がどこかであるのか。色々と楽しみの募る宝塚記念でありました。





第167回天皇賞(春) G1 レース回顧   

4歳以上オープン(国際)(指定)定量 京都競馬場3,200メートル(芝・右 外)


ううううう、タイホー。タイトルホルダーくん、競走中止。古馬の中では一推しの子だけにショック。
ショック大きすぎて、昨日はあれからずっと意気消沈してしまってなんとなく何もやる気になれずに一日が終わってしまったです。
今のところ怪我も大したことがないみたいで、具体的な症状はまだわからないですけれど、少なくともいきなり命に別状があるものではなさそうなのが不幸中の幸いでした。下馬したあとの歩いている様子見て大丈夫そうかも、とは思ったんですけどね。
話題にもなっていますが、確かにレース前にテレビでアンカツさんが横山和騎手が妙に入念にほぐしてるけどどうなのかな、と言及してましたし、細江純子さんもパドックでちょっと違和感を感じてるみたいだったんですよね。聞いた話ではグリーンチャンネルのパドック解説でもちょっと変みたいに言われてたみたいなので、見てわかる人はみんなわかるくらい歩様に違和感があったみたいですね。
海外では歩様に異常が少しでも見られたら強制除外、ってこれはドバイでしたっけ。香港でしたっけ。結構厳し目なのに比べて、日本はJRA側から出走アウトとか言うの聞いた事ないですからねえ。
圧倒的一番人気という事もありましたし、走る前に除外とは行かなかったのかもしれません。横山和くんもどこかおかしくなったら即止めるつもりだったんでしょうね、これ。大事になる前に止めたのは良判断だったと思います。
このレースは頑張って先頭切ってタイホの頭を抑えてみせたアフリカンゴールドも道中、心房細動を起こして脱落。さらに代わりに先頭に立ったタイトルホルダーまで脱落という波乱も波乱のレースとなってしまい、ペースで鑑みるとかなり乱れた事になってたんじゃないでしょうか。
入線後、トーセンカンビーナも浅屈腱不全断裂と大怪我になってしまいましたし。これ、ウインバリアシオンが競争能力喪失してしまった怪我ですよね。カンビーナももう7歳だし、復帰は難しいかもしれませんね。
タイホの真後ろにつけていたアスクビクターモアは一番煽りを食ってしまいましたね。外に逃げるスペースもなく、下がってくるタイホに押される形で後退。まさかタイホがこんな形で後退するとは想像もしていなかったでしょうから。本来なら、タイホが先頭千切るのについていって、最後に躱すみたいなプランニングしてたんじゃないかな、というのがレース後コメントからも伺えます。
ディアスティマやヒュミドールあたりも不利食らったのかな、このあたりで。
予想外というなら、ディープボンドも先行陣が早々に壊滅してしまったために、まさかの4コーナーから直線に入るところで早々に先頭に立ってしまうことに。この展開なら仕方ない、変に抑えても遅れちゃいますしね。ただ、こっからぐんぐんと後続を突き放していくような脚は彼には乏しいんだよなあ。和田さんのコメントでも目標がなくなっちゃったと言ってるんですよね。追いかける方が闘争心発揮するタイプなのかな。でも頑張った。早々にジャスティンパレスに抜かれてしまうものの、その後もしぶとく踏ん張り続けて3年連続の春天2着。惜しいよなあ。ほんと、G1までもうちょっとなんだけどなあ。
そして勝ったのは、ルメールのジャスティンパレス。1枠1番なのに、2周目の1コーナーでルメール、スススっと馬を外側に持ち出してるんですよね。これ見たとき、うひゃーっと思わず呟きましたよ。ルメちゃん、4コーナーの下りで仕掛けるつもりだこれ、と思って。
改装によって以前よりもコーナーの角度がゆるくなり馬群がバラけなくなったのは先週のマイラーズカップで各所で語られていますけれど、一番実感しているのは実際に走っている騎手の人たちでしょう。早速ルメール、新京都競馬場のコース仕様のレースしてきたぞ、と。そして、今の京都なら外ラインを走っても届く、という自信がジャスティンパレスの出来栄えに対してあったのでしょう。
前走の阪神大賞典の時点でジャスティンパレス、馬体重が16キロアップして馬格がめちゃくちゃデカくなった! なんか馬が全然去年と違うぞ!? これとてつもなく成長しているぞ、と。
レースっぷりも明らかに馬の強さが別格になっていて、ディープボンド、ボルドグフーシュを実力でねじ伏せてるんですよね。
今回も増えた馬体重は結局増減なしで来て、増えた分は全部成長分でしたと言わんばかりの迫力。
ルメールの騎乗に100%応えるまったく強い勝ち方でした。3歳時はクラシック完走はしたものの、どうあっても主役にはなれないその他大勢の一頭に過ぎなかったのですけれど、本当に見違えました。今の彼なら、イクイノックスを筆頭とした最強世代に主役の一人として名乗りをあげるに相応しい力があるでしょう。すごいですね、年を跨いでこれだけ馬が見違えるってのは。

3着には後方から唯一捲ってきたシルヴァーソニック。彼も去年の落馬で変に目立ってしまいましたけれど、その休養明けからの連勝はついにその才能が開花したのを示すような強い勝ち方でしたけれど、それを証明するような気合の入った3着入線でした。
ブレークアップも頑張ったんだけど、ちょっと距離のある4着。前の三頭とはちと実力差がまだありそう。
ボルドグフーシュもこれは離されちゃいましたね。3000で2着2回してるようにスタミナが足りないわけじゃないんだろうけど、バテちゃったみたいですね。2400〜2500あたりでどういう走りするのか見てみたいところ。

競走中止やトーセンカンビーナが入線後に大怪我発覚と過酷なレースになってしまいましたけど、とにもかくにもみんな命を失わずに帰ってこれたことだけは幸いでした。
この日は、京都競馬場のライスシャワー碑にとんでもなく長い行列が出来ていたというのが話題になっていましたけれど、無事を願う人々に応えてくれたライスの加護があったのかもしれませんね。




第71回日経賞 G2 レース回顧   

4歳以上オープン(国際)(指定)別定 中山競馬場2,500メートル(芝・右)


新旧菊花賞馬対決! 
というわけで、去年の前半圧巻の勝利を重ねて現役最強の看板を立てたタイトルホルダー。
そして去年の暮れから古馬戦線に乗り込んで暴れまわり、今年に入っても海外含めて勝ち星を重ねまくっている22年クラシック世代。その中で菊花賞を制して三冠の一角を担ったアスクビクターモア。
この現役最強ステイヤーが初顔合わせとなったのがこの日経賞でありました。

タイトルホルダーは天皇賞春・宝塚記念と連勝したあと、凱旋門賞に挑んだもののそこで底なし沼のようなフランスの馬場に苦しみ、帰国したあとも復調しきれず有馬記念で大敗。

仕切り直しとばかりに、去年も勝ったこの日経賞で再始動。今年の最初のレースに挑むことになったのです。しかし新世代が競馬界を席巻する中で人気はアスクビクターモアが一番に。二強対決ながらもタイトルホルダーは2.4倍で二番人気という屈辱を味わうことになったのでした。
しかして、この新旧対決はどうなったのか。
御覧ください。



どーーーん。

わはーーー。いやーーーこれは強いわ。
アスクビクターモアはスタート完全に失敗しちゃいましたね。どうやらゲート開く前に突進して頭ぶつけてたみたいで。おまけに今日は折からの雨もあって馬場状態は最悪の「不良」。ビクターモアはこういう馬場初めてでしょう。慣れない足元、慣れないポディション。今回は鞍上もあえて無理はしなかったと思います。本番は次ですもんね。
にしても、タイトルホルダーが強すぎでした。完全に最初から最後まで主導権握りっぱなし。ペースを掌握し切っていました。いや前半あれだけスローに落とされたら、後半のスタミナ勝負でこのタイホに太刀打ちできるやついるはずないじゃないですか。直線に入る4コーナーで果敢に攻めていったヒートオンビートは距離を詰めるどころか全然追いつけず、途中でスタミナ切れて失速。
かろうじて前にいてタイホのあとにくっついていたボッケリーニとディアステマが粘りましたけど、直線でどんどん突き放されるばかり。スピードをあげたタイホに誰もついていけませんでした。脱落、脱落、みんな脱落。
最後尾にいたライラックだけが、なんか一頭だけ捲っていきましたけれど、それでも4着まで。いや、最後方からあそこまで突っ込んでくるあたり、ライラックはほんと、追い込み馬の鑑みたいなもんですなあ。重馬場得意、少なくとも苦手ではないんでしょう。エリ女でも重馬場で2着飛び込んできてますし。
そのライラックをして上がり時計は二番手。上がり最速が先頭にいたタイトルホルダーという時点で、もうとんでもないです。
文句なしにタイトルホルダー復活。復権。天皇賞春連覇に向けて天気明朗でありました。

まあ、まさかその晩に、誰が現役最強馬だって? とばかりにイクノイックスがドバイで同じように他馬を置き去りにするレースを見せてくれるのですが。それはまた別枠で
アスクビクターモアも今回は度外視でいいでしょう。無理しなかった事で消耗もそこまで酷いことにはならなかったでしょうし。本番天皇賞・春では甘く見ない方がいい。今度こそ二頭の壮絶なマッチレースが見れたらなあ、などと思ったり。



 

6月25日


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